説明

センサ装置

【課題】本発明は、センサ装置の検出精度を向上させることを目的とする。
【解決手段】そして、この目的を達成するために本発明は、位相調整部30が前記ドライブ入力処理部10の温度特性と検波部21の温度特性との差を用いてドライブ信号の位相を調整する構成としたものである。この構成により、ドライブ入力処理部10や検波部21が温度特性を持っていても、位相調整部30がドライブ入力処理部10の温度特性と検波部21の温度特性との差を用いてドライブ信号の位相を調整するため、ドライブ信号とセンス信号との周波数ずれの発生を抑制することができ、正しい検波を可能とすることができるため、その結果としてセンサ装置の検出精度を向上させることができるのである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、航空機、船舶、ロボット、その他各種電子機器等に用いられるセンサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種のセンサ装置は、図13に示すごとく、伝達信号とセンス信号とを出力する検出デバイス1と、前記検出デバイス1から出力された伝達信号の出力値を測定し前記伝達信号をドライブ信号に変換し出力するドライブ入力処理部2と、前記センス信号の位相と前記ドライブ信号の位相の内少なくとも一方を前記センス信号の位相と前記ドライブ信号の位相とが対応するよう調整し出力する位相調整部3と、前記ドライブ信号を用いて前記センス信号の検波を行う検波部4と、前記検波部4により検波されたセンス信号を平滑化するセンスフィルタ部5と、前記センスフィルタ部5により平滑化されたセンス信号を出力する出力端子6とを備えた構成としていた。
【0003】
なお、この出願に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−267448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来のセンサ装置では、検出精度が悪いことが問題となっていた。
【0006】
すなわち、上記従来の構成においては、ドライブ入力処理部2と検波部4とが温度特性を持つため、前記検波部4での検波において、前記ドライブ信号と前記センス信号との周波数がずれてしまい、正しい検波がなされず、オフセットエラーが発生してしまい、その結果として検出精度が悪くなってしまっていた。
【0007】
そこで本発明は、センサ装置の検出精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、この目的を達成するために本発明は、前記位相調整部が前記ドライブ入力処理部の温度特性と前記検波部の温度特性との差を用いて前記ドライブ信号の位相を調整する構成としたものである。
【発明の効果】
【0009】
この構成により、ドライブ入力処理部や検波部が温度特性を持っていても、前記位相調整部が前記ドライブ入力処理部の温度特性と前記検波部の温度特性との差を用いて前記ドライブ信号の位相を調整するため、前記ドライブ信号と前記センス信号との周波数ずれの発生を抑制することができ、正しい検波を可能とすることができるため、その結果としてセンサ装置の検出精度を向上させることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1におけるセンサ装置の回路図
【図2】本発明の実施の形態1のセンサ装置におけるドライブ信号とセンス信号との位相差の温度特性図
【図3】本発明の実施の形態1におけるセンサ装置の回路図
【図4】本発明の実施の形態1におけるセンサ装置の回路図
【図5】本発明の実施の形態1におけるセンサ装置の回路図
【図6】本発明の実施の形態1におけるセンサ装置の回路図
【図7】本発明の実施の形態1におけるセンサ装置の回路図
【図8】本発明の実施の形態1におけるセンサ装置の回路図
【図9】本発明の実施の形態1におけるセンサ装置の回路図
【図10】本発明の実施の形態1におけるセンサ装置の回路図
【図11】本発明の実施の形態1におけるセンサ装置の回路図
【図12】本発明の実施の形態1におけるセンサ装置の回路図
【図13】従来のセンサ装置の回路図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1におけるセンサ装置について図面を参照しながら説明する。
【0012】
本実施の形態におけるセンサ装置は、図1に示すごとく、伝達信号とセンス信号とを出力する検出デバイス100と、前記検出デバイス100から出力された伝達信号の出力値を測定し前記伝達信号をドライブ信号に変換し出力するドライブ入力処理部10と、前記ドライブ信号の位相を前記センス信号の位相と対応するよう調整し出力する位相調整部30と、前記位相調整部30から出力された前記ドライブ信号を用いて前記センス信号の検波を行う検波部21と、前記検波部21により検波されたセンス信号を平滑化するセンスフィルタ部22と、前記センスフィルタ部22により平滑化されたセンス信号を出力する出力端子24とを備えている。
【0013】
ここで、前記ドライブ入力処理部10はドライブ入力プリアンプ10aを有しており、前記ドライブ入力処理部10にはドライブフィルタ部11が電気的に接続されている。このドライブフィルタ部11は、前記ドライブ信号から前記検出デバイス100を駆動させる上で必要な周波数成分を抽出し、出力する。そして、この抽出された周波数成分を、前記ドライブフィルタ部11に電気的に接続されたドライブ出力部12が増幅し、ドライブ出力信号として前記検出デバイス100へ出力する。
【0014】
また、前記位相調整部30と前記検波部21との間には検波タイミング生成部31を電気的に接続しており、この検波タイミング生成部31が前記ドライブ信号から、クロック等の検波タイミング信号を生成している。
【0015】
さらに、前記検出デバイス100には、前記検出デバイス100からのセンス信号の出力値を増幅し、不要成分を除去するセンス入力処理部20が電気的に接続されており、このセンス入力処理部20はセンス入力プリアンプ20aを有している。そして、前記センス入力処理部20には、前記検波部21が電気的に接続されている。さらに、前記センスフィルタ部22と前記出力端子24との間には、前記センス信号の増幅度、オフセット電圧などを調整するセンス出力部23を電気的に接続している。
【0016】
そして、前記位相調整部30が前記ドライブ入力処理部10の温度特性と前記検波部21の温度特性との差を用いて前記ドライブ信号の位相を調整する構成としている。
【0017】
具体的には、図2に示すごとく、あらかじめ各温度におけるドライブ信号の位相とセンス信号の位相との差を計測、あるいはシミュレーションを用いて算出しておく。そして、位相調整部30に温度測定機能を付加しておき、当該温度測定機能による測定の結果、例えば、現在の温度がAであれば、前記ドライブ信号の位相をa[deg]進め、温度がBであれば、前記ドライブ信号の位相をb[deg]遅らせ、温度がCであれば、前記ドライブ信号の位相をc[deg]遅らせる。
【0018】
このような構成、即ち、各温度において一律にドライブ信号の位相を調整するのではなく、前記位相調整部30が前記ドライブ入力処理部10の温度特性と前記検波部21の温度特性との差を用いて前記ドライブ信号の位相を調整する構成とすることにより、ドライブ入力処理部10や検波部21が温度特性を持っていても、前記位相調整部30が前記ドライブ入力処理部10の温度特性と前記検波部21の温度特性との差を用いて前記ドライブ信号の位相を調整するため、前記ドライブ信号と前記センス信号との周波数ずれの発生を抑制することができ、正しい検波を可能とすることができるため、その結果としてセンサ装置の検出精度を向上させることができるのである。
【0019】
なお、本実施の形態においては、前記位相調整部30が温度測定機能を有しており、この温度測定機能による測定の結果を用いてドライブ信号の位相調整を行う構成としたが、前記位相調整部30自身が、センス信号の位相の温度特性とドライブ信号の位相の温度特性との差に等しい温度特性を持つような場合には、このような温度測定機能を付加することなく、ドライブ信号の位相調整を行う構成としても構わない。
【0020】
なお、検波部21は、センス入力処理部20の前段に設けてもよく、また、センス入力処理部20に内在させても構わない。
【0021】
なお、図3に示すごとく、前記位相調整部30よりも前段に前記検波タイミング生成部31を配置しても構わない。
【0022】
また、図4に示すごとく、前記位相調整部30を前記ドライブ入力処理部10内に配置する構成としても構わない。
【0023】
なお、図5に示すごとく、前記位相調整部30が前記検出デバイス100と前記検波部21との間において電気的に接続され、より具体的には、前記位相調整部30が前記センス入力処理部20内に配置され、前記センス信号の位相を前記ドライブ信号の位相に対応させて調整し、前記検波部21が前記ドライブ入力処理部10から出力されたドライブ信号を用いて前記位相調整部30から出力されたセンス信号の検波を行う構成としても構わない。
【0024】
また、図6に示すごとく、前記位相調整部30が前記ドライブ入力処理部10と前記検波部21との間において電気的に接続されるとともに、前記検出デバイス100と前記検波部21との間において前記センス入力処理部20を介して電気的に接続され、前記センス信号の位相と前記ドライブ信号の位相の内少なくとも一方を前記センス信号の位相と前記ドライブ信号の位相とが対応するよう調整し、前記検波部21が前記位相調整部30から出力されたドライブ信号を用いて前記位相調整部30から出力されたセンス信号の検波を行う構成としても構わない。
【0025】
なお、この図6に示した構成とほぼ等価な構成として、図12に示すごとく、前記位相調整部30が前記検波部21を内在する構成として実現しても構わない。
【0026】
なお、図7に示すごとく、センス入力処理部20内に第1のADコンバーター40を設けるとともに、センス出力部23内に第1のDAコンバーター41を設け、前記センス出力部23に接続されたアナログ出力端子25よりアナログセンス信号を出力する構成としても構わない。このような構成により、前記センス入力処理部20から前記センス出力部23までのセンス信号の伝達をデジタルで行うことができる。
【0027】
なお、検波タイミング生成部31は、AD変換、あるいはDA変換する際に用いるクロックを生成するPhase Lock Loop回路で構成しても構わない。
【0028】
なお、検波部21は、センス入力処理部20における第1のADコンバーター40の前段に設けても構わない。
【0029】
また、図8に示すごとく、センス入力処理部20内に第1のADコンバーター40を設け、センス出力部23に接続されたデジタル出力端子42よりデジタルセンス信号を出力する構成としても構わない。このような構成により、前記センス入力処理部20から前記デジタル出力端子42までのセンス信号の伝達をデジタルで行うことができる。
【0030】
さらに、図9に示すごとく、センス入力処理部20内に第1のADコンバーター40を設けるとともに、センス出力部23内に第1のDAコンバーター41を設け、前記センス出力部23に接続されたアナログ出力端子25からはアナログセンス信号を、デジタル出力端子42からはデジタルセンス信号を出力する構成としても構わない。このような構成により、前記センス入力処理部20から前記センス出力部23までのセンス信号の伝達をデジタルで行うことができるとともに、前記アナログ出力端子25からはアナログセンス信号を、前記デジタル出力端子42からはデジタルセンス信号を出力する構成を実現することができる。
【0031】
なお、図10に示すごとく、ドライブ入力処理部10に第2のADコンバーター43を設けるとともに、ドライブ出力部12に第2のDAコンバーター44を設けることにより、前記ドライブ入力処理部10から前記ドライブ出力部12までのドライブ信号の伝達をデジタルで行うことができる。
【0032】
また、図11に示すごとく、センス入力処理部20内に第1のADコンバーター40を設けるとともに、センス出力部23内に第1のDAコンバーター41を設け、且つドライブ入力処理部10内に第2のADコンバーター43を設けるとともに、ドライブ出力部12内に第2のDAコンバーター44を設け、前記センス出力部23に接続された出力端子24からアナログセンス信号を出力する構成としても構わない。このような構成により、前記センス入力処理部20から前記センス出力部23までのセンス信号の伝達をデジタルで行うことができるとともに、前記ドライブ入力処理部10から前記ドライブ出力部12までのドライブ信号の伝達をデジタルで行うことができる。
【0033】
なお、図11において、前記第1のDAコンバーター41を設けない構成とすることにより、前記出力端子24からデジタルセンス信号を出力する構成とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明のセンサ装置は、検出精度の向上という効果を有し、自動車、航空機、船舶、ロボット、その他各種電子機器等において有用である。
【符号の説明】
【0035】
10 ドライブ入力処理部
10a ドライブ入力プリアンプ
11 ドライブフィルタ部
12 ドライブ出力部
20 センス入力処理部
20a センス入力プリアンプ
21 検波部
22 センスフィルタ部
23 センス出力部
24 出力端子
30 位相調整部
31 検波タイミング生成部
100 検出デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝達信号とセンス信号とを出力する検出デバイスと、
前記検出デバイスから出力された伝達信号の出力値を測定し
前記伝達信号をドライブ信号に変換し出力するドライブ入力処理部と、
前記センス信号の位相と前記ドライブ信号の位相の内少なくとも一方を
前記センス信号の位相と前記ドライブ信号の位相とが対応するよう調整し出力する位相調整部と、
前記ドライブ信号を用いて前記センス信号の検波を行う検波部と、
前記検波部により検波されたセンス信号を平滑化するセンスフィルタ部と、
前記センスフィルタ部により平滑化されたセンス信号を出力する出力端子とを備え、
前記位相調整部が
前記ドライブ入力処理部の温度特性と前記検波部の温度特性との差を用いて
前記ドライブ信号の位相を調整する
センサ装置。
【請求項2】
前記位相調整部が
前記ドライブ入力処理部と前記検波部との間において電気的に接続され
前記ドライブ信号の位相を前記センス信号の位相に対応させて調整し、
前記検波部が
前記位相調整部から出力されたドライブ信号を用いて
前記検出デバイスから出力されたセンス信号の検波を行う
請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記位相調整部が
前記検出デバイスと前記検波部との間において電気的に接続され
前記センス信号の位相を前記ドライブ信号の位相に対応させて調整し、
前記検波部が
前記ドライブ入力処理部から出力されたドライブ信号を用いて
前記位相調整部から出力されたセンス信号の検波を行う
請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記位相調整部が
前記検出デバイス及びドライブ入力処理部と前記検波部との間において電気的に接続され
前記センス信号の位相と前記ドライブ信号の位相の内少なくとも一方を
前記センス信号の位相と前記ドライブ信号の位相とが対応するよう調整し、
前記検波部が
前記位相調整部から出力されたドライブ信号を用いて
前記位相調整部から出力されたセンス信号の検波を行う
請求項1に記載のセンサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−69627(P2011−69627A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218436(P2009−218436)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】