説明

ソケット

【課題】プラグの接続時に、圧縮空気の供給を止めなくても、圧縮空気が噴出することがなく、プラグを難なく接続させることができるソケットを提供する。
【解決手段】一端部に圧縮空気の供給口30が開口したバルブ部材3と、一端部にプラグ接続口20を有するとともに他端部にバルブ装着口21を有し、内部に圧縮空気の空気通路22を有するソケット本体2とを備える。バルブ部材3は、内部に圧縮空気の流路31を有するとともに、先端部側の外周面に流路31と連通する流出口32が形成されている。ソケット本体3とバルブ部材3との間には、バルブ部材3の復動時には、流出口32を介してソケット本体2の空気通路22とバルブ部材3の流路31とを連通する一方、バルブ部材3の往動時には、ソケット本体2の空気通路22とバルブ部材3の流路31との連通を遮断するシール部材4が介在されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気によって駆動する釘打機やエアガンなどの空気工具へ圧縮空気を供給するためのホースやエアコンプレッサの空気供給口などに設けられて、ホースやエアコンプレッサの空気供給口と空気工具とを連結するソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
エアコンプレッサなどの圧縮空気供給源からホースを介して圧縮空気が供給されるように構成された空気工具においては、エアコンプレッサの空気供給口に接続されたホースにソケットが設けられるとともに、空気工具にプラグが設けられており、プラグをソケットに着脱可能に連結することにより、エアコンプレッサの空気供給口からホース内を通って圧縮空気を空気工具へ供給することができるようになっている。これらソケットおよびプラグは継手と呼ばれており、この種のソケットは、例えば特開2009−299786号公報(特許文献1)などに記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−299786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した継手において、プラグとソケットとを接続するには、プラグの先端をソケット内に差し込む操作が必要となるが、この際、プラグにはソケットから噴出する圧縮空気が作用してプラグをソケットから離反させるように作用する差込荷重が発生する。よって、作業中に、ソケットに連結して使用する空気工具を、ある空気工具から他の空気工具に交換する場合には、ソケットから噴出する圧縮空気のために、プラグの差込荷重が大きくなってしまい、空気工具に対するプラグの装着作業性が悪くなる。そのうえ、ソケット内を流れる圧縮空気の圧力が高い場合には、ソケットから噴出する圧縮空気により作業者に損傷を与えるおそれがある。一方、ソケットに連結して使用する空気工具を変更するたびに、エアコンプレッサからの圧縮空気の供給を止めたのでは、作業を効率良く行うことができない、という問題がある。
【0005】
本発明は、上記した問題に着目してなされたもので、プラグの接続時に、わざわざエアコンプレッサからの圧縮空気の供給を止めなくても、ソケットから圧縮空気が噴出することがなく、プラグを難なく接続させることができるソケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、圧縮空気で駆動される工具に取り付けられたプラグを着脱可能に接続して工具に圧縮空気を供給可能なソケットであって、一端部に圧縮空気供給源からの圧縮空気の供給口が開口した筒状のバルブ部材と、一端部にプラグを着脱自在に接続可能なプラグ接続口を有するとともに他端部に前記バルブ部材を軸方向に往復動自在に装着可能なバルブ装着口を有し、内部に圧縮空気の空気通路を有している筒状のソケット本体とを備え、前記バルブ部材は、内部に圧縮空気の流路を有するとともに、前記バルブ装着口から前記ソケット本体内に挿入される他端部側の外周面に、前記流路と連通する圧縮空気の流出口が少なくとも1つ形成されており、前記ソケット本体と前記バルブ部材との間には、前記バルブ部材の復動時には、前記流出口を介して前記ソケット本体の空気通路と前記バルブ部材の流路とを連通する一方、前記バルブ部材の往動時には、前記ソケット本体の空気通路と前記バルブ部材の流路との連通を遮断するシール部材が介在されているソケットによって達成される。
【0007】
本発明の好ましい一実施態様においては、前記シール部材は、前記ソケット本体内に保持されるとともに、中央部に前記ソケット本体の空気通路に連結される貫通孔を備える厚い肉厚のゴム製の筒状体からなり、前記バルブ部材の往動時に、前記バルブ部材の他端部が前記筒状体の貫通孔を塞ぐことにより、前記ソケット本体の空気通路と前記バルブ部材の流路との連通が遮断されることを特徴としている。
【0008】
また、本発明の好ましい他の実施態様においては、前記シール部材は、前記バルブ部材の前記流出口よりも下流側に固定されたゴム製のリング部材からなり、前記バルブ部材の往動時に、前記リング部材が前記バルブ部材の他端部と前記ソケット本体の空気通部との隙間をシールすることにより、前記ソケット本体の空気通路と前記バルブ部材の流路との連通が遮断されることを特徴としている。
【0009】
また、本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記バルブ部材は、外周面にねじが形成されており、前記ねじが前記ソケット本体の前記バルブ装着口側の内周面に形成されたねじに螺合されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のソケットによると、バルブ部材の開閉動作によって、プラグの接続時に、ソケットから圧縮空気が噴出することがないように制御できるので、わざわざエアコンプレッサからの圧縮空気の供給を止めなくても、プラグを難なく接続させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態であるソケットの一部断面図である。
【図2】図1のソケットの分解断面図である。
【図3】バルブ部材の往動時のソケットの内部構成を示す断面図である。
【図4】バルブ部材の復動時のソケットの内部構成を示す断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態であるソケットの一部断面図である。
【図6】図5のソケットの分解断面図である。
【図7】バルブ部材の往動時のソケットの内部構成を示す断面図である。
【図8】バルブ部材の復動時のソケットの内部構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の一実施形態であるソケット1の外観構成および内部構成を、図2はこのソケット1の分解図を、それぞれ示している。図示例のソケット1は、圧縮空気で駆動される空気工具(以下、単に「工具」という。)に取り付けられたプラグ8(図3および図4に示す)を接続して、工具に圧縮空気を供給するために用いるものである。このソケット1は、基本的には、両端が開口した略円筒状のソケット本体2と、一端が開口した略円筒状のバルブ部材3と、ソケット本体2とバルブ部材3との間に介在するシール部材4とにより構成されている。
【0013】
ソケット本体2は、一端部に工具のプラグ8を着脱自在に接続可能なプラグ接続口20を有するとともに、他端部にバルブ部材3を軸方向に往復動自在に装着可能なバルブ装着口21を有している。ソケット本体2の内部には、プラグ接続口20とバルブ装着口21とを連通して、エアコンプレッサなどの圧縮空気供給源からバルブ部材3に供給される圧縮空気をプラグ8へと導く圧縮空気の空気通路22が形成されている。本実施形態のソケット本体2は、図2に示すように、一端部にプラグ接続口20を備える本体部5と、シール部材4を本体部5内に保持させる保持具6とにより構成されており、保持具6の一端部がバルブ装着口21を備えた構成になっている。
【0014】
本体部5は、両端が開放された筒状体50と、筒状体50の先端側の外周面に嵌合するスリーブ51と、筒状体50とスリーブ51との間に設けられたコイルバネ52(図1に示す)と、筒状体50の筒壁に径方向に貫通するように形成された複数の貫通溝53と、貫通溝53内に径方向に出没可能に設けられた複数の球状のロックボール54(図1に示す)とで構成されている。
【0015】
スリーブ51は、筒状体50の外周面上に、回転自在かつ軸方向に往復動自在に取り付けられており、コイルバネ52のバネ力によって常時、外方(図3では右方向)へと付勢されている。スリーブ51の内周面には、筒状体50の外周面上を摺動して各ロックボール54を貫通溝53へ向けて押し込む押込面51Aが形成されており、その外方には各ロックボール54が嵌り込むことが可能な凹部51Bが全周にわたって形成されている。
【0016】
コイルバネ52のバネ力に抗してスリーブ51を内方(図3では左方向)に向けて移動させた状態で、プラグ8をプラグ接続口20から挿入させると、プラグ8の外周面により各ロックボール54が貫通溝53の外側に押し出されて、スリーブ51の凹部51Bに嵌まり込む。プラグ8の挿入後、スリーブ51を元の位置まで移動させると、スリーブ51の押圧面51Aにより各ロックボール54が内側に押される結果、各ロックボール54がプラグ8の外周面に形成された施錠凹部80に嵌入するとともに、スリーブ51の押圧面51Aによって施錠凹部80内に各ロックボール54が保持されることで、プラグ8は本体部5(ソケット本体2)から抜け出るのが阻止されるようになっている。
【0017】
なお、図中、55は、筒状体50の内周面に嵌め込まれたOリングであり、プラグ8の挿入時に、プラグ8の外周面がOリング55の内周面と密接し、このOリング55が、プラグ8の外周面と筒状体50の内周面との隙間を塞ぐことで、プラグ8と筒状体50との気密性を高めて圧縮空気が漏れないようになっている。プラグ8は、プラグ接続口20から筒状体50内に挿入される部分のうち、少なくとも一部分がOリング55内に隙間なく嵌まり込むような大きさに(プラグ8の少なくとも一部分の外径がOリング55の内径よりも多少大きく)形成されていれば、圧縮空気がプラグ8の外周面と筒状体50の内周面との間から外部に漏れることがない。よって、プラグ8は、筒状体50への挿入時に、Oリング55内に隙間なく嵌まり込む部分を外周面の一部分に有してさえいれば、その一部分(Oリング55との密接部分)よりも先端側の形状については、種々の形状をとることができ、図示例のソケット8のように先端が先細形状のもの、あるいは、先端が上記一部分(Oリング55との密接部分)と略同径状のものなど、種々の形状のソケット8を本体部5(ソケット本体2)に接続することが可能である。
【0018】
一方、この状態から、スリーブ51をコイルバネ52のバネ力に抗して内方(図3では左方向)に向けて移動させると、各ロックボール54は、貫通溝53の外側へ移動可能となり、プラグ8の施錠凹部80から抜け出してスリーブ51の凹部51Bに嵌まり込むようになるので、プラグ8は本体部5(ソケット本体2)から引き抜きが可能な状態となる。
【0019】
スリーブ51の内周面には、スリーブ51の基端部から先端部に向けて所定幅延びる第1の凹溝59Aと、第1の凹溝59Aと連通し、第1の凹溝59Aの基端部からスリーブ51の周方向に向けて延びる第2の凹溝59Bとが形成されている。第2の凹溝59Bは、スリーブ51の内周の約1/6程度にわたって形成されている。一方、筒状体50の基端部側の外周面には、所定位置に凸部59Cが形成されている。この凸部59Cは、第2の凹溝59B内を摺動可能に配置されており、これにより、スリーブ51は、凸部59Cが第2の凹溝59B内を摺動する範囲内において、筒状体50に対して正逆方向に回転するように規制されている。
【0020】
また、凸部59Cが第2の凹溝59B内に位置している間は、スリーブ51は筒状体50に対する軸方向への往復動が規制される。これに対し、スリーブ51の回転により、凸部59Cが第2の凹溝59Bから第1の凹溝59A内に移動し、第1の凹溝59A内を摺動可能となることによって、スリーブ51が筒状体50上を軸方向に往復動して、プラグ8の抜き差しができるようになっている。
【0021】
なお、本体部5のプラグ接続構造は、上記のいわゆるツータッチ式接続構造に限られるものではなく、例えば、プラグ8を差し込むだけで両者の連結が可能な、いわゆる公知のワンタッチ式接続構造を採用してもよい。
【0022】
本体部5の他端部(筒状体50の基端部)側の開口56は、シール部材4を挿入可能な大きさに形成されており、本体部5の他端部(筒状体50の基端部)側の内部には、シール部材4のサイズ(径、高さ)と略同一のサイズを有していて、シール部材4を保持可能な保持部57が設けられている。保持部57に隣接する本体部5の他端開口56側の内周面には、後述する保持具6の外周面に形成された雄ネジ部60に螺合する雌ネジ部58が形成されている。
【0023】
また、本体部5(筒状体50)の内部には、プラグ接続口20と他端開口(保持具接続口)56とを連通して、他端開口(保持具接続口)56側から送られる圧縮空気をプラグ8に供給する前記空気通路22が設けられている。
【0024】
保持具6は、両端に開口を有する略円筒状のものであり、その内部は、バルブ部材3の先端部側を挿入可能な大きさの空洞が形成されている。保持具6の一端部側の外周面には、雄ネジ部60が形成されている。シール部材4を本体部5(筒状体50)内の保持部57に挿入した状態で、保持具6を本体部5(筒状体50)の他端開口(保持具接続口)56に挿入して、両ネジ部58,60を介して接続することにより、シール部材4をソケット本体2内に保持することが可能になっている。なお、保持具6の一端部には、外径が小さく形成された突起部61が設けられており、この突起部61は、後述するシール部材4の凹部42に嵌合可能となっている。
【0025】
保持具6の他端部側の開口は、バルブ部材3を軸方向に往復動可能に装着可能なバルブ装着口21を構成している。保持具6のバルブ装着口21側の内周面には、後述するバルブ部材3の外周面に形成された雄ネジ部33に螺合する雌ネジ部62が形成されており、バルブ部材3を保持具6のバルブ装着口21から挿入して、両ネジ部33,62を螺合することにより、バルブ部材3を保持具6に装着することが可能となっている。また、バルブ部材3を保持具6に対して正逆各方向に回転させることにより、バルブ部材3が保持具6(つまりは、ソケット本体2)に対して軸方向に往復動させることが可能となっている。
【0026】
シール部材4は、例えばゴムなどの弾性を有する弾性材料により形成されており、中心部に貫通孔41を有する厚い肉厚の筒状体40により構成されている。貫通孔41は、本体部5内の空気通路22とほぼ同じ外径を有しており、シール部材4が本体部5内の保持部57に挿入されたときに、貫通孔41が空気通路22に連結されるようになっている。これにより、バルブ装着口21に装着されたバルブ部材3から送られる圧縮空気は、保持具6の一端部側の開口63を通って、シール部材4の貫通孔41および本体部5内の空気通路22に流入し、プラグ8へと供給される。
【0027】
シール部材4の保持具6と対向する側の端面には、保持具6の突起部61が嵌合可能な凹部42が形成されている。保持具6の突起部61がシール部材4の凹部42に嵌合することにより、保持具6とシール部材4との気密性が高められている。なお、図3中、64は、保持具6の内周面に嵌め込まれたOリングである。このOリング64が、バルブ部材3を保持具6に装着したときに、バルブ部材3の外周面と保持具6の内周面との隙間を塞ぐことで、バルブ部材3と保持具6との気密性を高めて圧縮空気が漏れないようになっている。
【0028】
バルブ部材3は、基端部(一端部)が開口した略円筒状のものであり、先端部(他端部)は閉塞している。バルブ部材3の開口は、圧縮空気の供給口30として機能するものであり、エアコンプレッサの空気供給口やエアコンプレッサの空気供給口に接続されたホースを接続することで、バルブ部材3内に圧縮空気の供給が可能となっている。バルブ部材3の内部には圧縮空気の流路31が形成されている。バルブ部材3の先端部側の外周面には、筒壁を径方向に貫通するように形成された複数(本実施形態では4つ)の流出口32が等角度位置に形成されている。各流出口32は、バルブ部材3内部の流路31と連通しており、バルブ部材3内に供給された圧縮空気は、流路31から各流出口32を介してソケット本体2内に供給されるようになっている。
【0029】
また、バルブ部材3の外周面には、雄ネジ部33が形成されている。この雄ネジ部33は、保持具6の内周面に形成された雌ネジ部62に螺合可能であり、バルブ部材3をソケット本体2(保持具6)のバルブ装着口21から挿入し、両ネジ部33,62を螺合させた状態で、バルブ部材3をソケット本体2(保持具6)に対して正逆方向に回転させて、雄ネジ部33を雌ネジ部62に緩めたり締め付けたりすることにより、バルブ部材3がソケット本体2(保持具6)に対して軸方向に往復動するようになっている。
【0030】
バルブ部材3の先端部の端面には、中央部に円錐状の突起34が形成されているとともに、突起34周縁の残りの部分は平坦面35となっている。突起34の外径は、筒状体40(シール部材4)の中央部に形成されている貫通孔41の径よりも小さく形成されており、図3に示すように、バルブ部材3がソケット本体2(保持具6)の先端方向に往動して、バルブ部材3の先端部が筒状体40(シール部材4)の端面に突き合わされる状態では、バルブ部材3の突起34が筒状体40(シール部材4)の貫通孔41内に挿入されるとともに、突起34周縁の平坦面35が筒状体40(シール部材4)の貫通孔41周縁の平面部と密に面接触する。これにより、筒状体40(シール部材4)の貫通孔41は、バルブ部材3の先端部により完全に塞がれた状態となるので、このバルブ部材3の往動時には、バルブ部材3の流路31とソケット本体2(本体部5)の空気通路22との連通が遮断されるために、プラグ8側への圧縮空気の供給が一時ストップした状態となる。
【0031】
一方、図4に示すように、バルブ部材3がソケット本体2(保持具6)の基端方向に復動し、バルブ部材3の先端部が筒状体40(シール部材4)の端面から離れると、筒状体40(シール部材4)の貫通孔41は開放される。よって、このバルブ部材3の復動時には、バルブ部材3の流路31がソケット本体2(本体部5)の空気通路22と再び連通するために、プラグ8側に圧縮空気を供給可能な状態となる。
【0032】
なお、図2中、7は、バルブ部材3の一端部側の外周面に取り付けられた摘みである。摘み7は、バルブ部材3よりも大きな外径を有するリング状に形成されており、内周面には、バルブ部材3の一端部側の外周面に形成された雄ネジ部36に螺合する雌ネジ部70が形成されている。この摘み7は、両ネジ部36,70の螺合によりバルブ部材3に固定されており、バルブ部材3をソケット本体2(保持具6)に対して回転動作させるとき、この摘み7を摘まんで回転させることで、バルブ部材3の回転動作を容易にしている。
【0033】
本実施形態に係るソケット1は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその作用並びに効果について説明する。まず、バルブ部材3の供給口に、エアコンプレッサの空気供給口やエアコンプレッサの空気供給口に接続されたホースを接続するとともに、ソケット本体のプラグ接続口20に、作業において使用する工具のプラグを接続して、工具をソケット1に取り付ける。このとき、バルブ部材3をソケット本体2に対して正方向に回転させることで、バルブ部材3をソケット本体2の先端側に移動(往動)させて、ソケット本体2の空気通路22とバルブ部材3の流路31との連通を遮断しておくことが好ましい。
【0034】
そして、接続完了後に、バルブ部材3をソケット本体2に対して、上記とは逆方向に回転させることで、バルブ部材3をソケット本体2の基端側に移動(復動)させる。これにより、バルブ部材3の流路31がソケット本体2の空気通路22と連通するため、バルブ部材3に供給された圧縮空気が、筒状体40(シール部材4)の貫通孔41およびソケット本体2の空気通路22を介してプラグ8に供給される結果、工具の使用が可能になる。
【0035】
その後、作業において、使用中の工具を他の工具に変更したい場合には、バルブ部材3をソケット本体2に対して正方向に回転させて、バルブ部材3をソケット本体2の先端側に移動(往動)させることにより、ソケット本体2の空気通路22とバルブ部材3の流路31との連通を遮断する。これにより、プラグ8への圧縮空気の供給が一時ストップした状態となる。この状態で、ソケット本体2のプラグ接続口20に接続された現在使用中の工具のプラグ8をプラグ接続口20から取り外し、これから使用する他の工具のプラグ8をソケット本体2のプラグ接続口20に接続する。そして、バルブ部材3をソケット本体2に対して、逆方向に回転させて、バルブ部材3をソケット本体2の基端側に移動(復動)させることにより、バルブ部材3に供給された圧縮空気をプラグ8に供給することが可能になり、他の工具の使用が可能になる。
【0036】
上記した構成のソケット1によると、作業において使用する工具を、ある工具から他の工具に交換する場合に、わざわざエアコンプレッサからの圧縮空気の供給を止めなくても、バルブ部材3をソケット本体2に対して回転させるだけで、ソケット1からの圧縮空気の供給を一時的にストップすることができる。よって、工具の交換作業を効率よく行うことができるとともに、ソケット1からの圧縮空気に邪魔されることなく、次に使用する工具のプラグ8をソケット1に難なく簡単に装着することができる。また、工具の交換時にソケット1からの圧縮空気の噴出によって作業者が負傷したりするおそれもない。
【0037】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の具体的な態様は、上記実施形態に限定されるものではない。図5および図6は、本発明の他の実施形態に係るソケット10の構成を示している。図示例のソケット10も、両端が開口した略円筒状のソケット本体2と、一端が開口した略円筒状のバルブ部材3と、ソケット本体2とバルブ部材3との間に介在するシール部材4とにより構成されている。なお、本実施形態のソケット10において、上記した実施形態のソケット1の構成と対応する構成には、同一の符号を付することで説明を省略する。
【0038】
ソケット本体2は、一端部に工具のプラグ8(図7および図8に示す)を着脱自在に接続可能なプラグ接続口20を有するとともに、他端部にバルブ部材3を軸方向に往復動自在に装着可能なバルブ装着口21を有している。ソケット本体2の内部には、プラグ接続口20とバルブ装着口21とを連通して、エアコンプレッサなどの圧縮空気供給源からバルブ部材3に供給される圧縮空気をプラグ8へと導く圧縮空気の空気通路22が形成されている。
【0039】
本実施形態のソケット本体2は、図6に示すように、一端部にプラグ接続口20を、他端部にバルブ装着口21を、内部に空気通路22を、それぞれ備える略円筒状の筒状体9と、筒状体9の先端側の外周面上に回転自在かつ軸方向に往復動自在に取り付けられたスリーブ51と、筒状体9とスリーブ51との間に設けられたコイルバネ52(図5に示す)と、筒状体9の筒壁に径方向に貫通するように形成された複数の貫通溝53と、貫通溝53内に径方向に出没可能に設けられた複数の球状のロックボール54(図5に示す)とで構成されている。なお、ソケット本体2のプラグの接続構造は、上記した実施形態と同様である。
【0040】
筒状体9のバルブ装着口21側の内部には、バルブ部材3の先端部(他端部)を挿入可能な大きさの空洞が形成されており、その一部の内周面には、バルブ部材3の外周面に形成された雄ネジ部33に螺合する雌ネジ部90が形成されている。バルブ部材3を筒状体9のバルブ装着口21から挿入することにより、両ネジ部33,90を介してバルブ部材3を筒状体9に装着することが可能となっている。また、バルブ部材3を筒状体9に対して正逆各方向に回転させることにより、バルブ部材3を筒状体9(つまりは、ソケット本体2)に対して軸方向に往復動させることが可能となっている。
【0041】
バルブ部材3は、両端部に開口を有する略円筒状の本体部38と、本体部38の先端部に取り付けられて、本体部38の先端開口を閉塞している突起体39とにより構成されている。本体部38の基端部(バルブ部材3の一端部)側の開口は、圧縮空気の供給口30として機能するものであり、エアコンプレッサの空気供給口やエアコンプレッサの空気供給口に接続されたホースを接続することで、バルブ部材3内に圧縮空気の供給が可能となっている。本体部38の内部には圧縮空気の流路31が形成されている。
【0042】
本体部38の先端部側の外周面には、筒壁を径方向に貫通するように形成された複数(本実施形態では4つ)の流出口32が等角度位置に形成されている。各流出口32は、本体部38内部の流路31と連通しており、供給口30から供給された圧縮空気は、流路31から各流出口32を介してソケット本体2内に供給されるようになっている。
【0043】
また、本体部38の外周面には、雄ネジ部33が形成されている。この雄ネジ部33は、筒状体9の内周面に形成された雌ネジ部90に螺合可能であり、本体部38(バルブ部材3)を筒状体9(ソケット本体2)のバルブ装着口21から挿入し、両ネジ部33,90を螺合させた状態で、本体部38(バルブ部材3)を筒状体9(ソケット本体2)に対して正逆方向に回転させて、雄ネジ部33を雌ネジ部90に緩めたり締め付けたりすることにより、本体部38(バルブ部材3)が筒状体9(ソケット本体2)に対して軸方向に往復動するようになっている。
【0044】
突起体39は、円錐状の突起39Aと、突起39Aの端面に一体に設けられたネジ軸39Bとを備えている。ネジ軸39Bを、本体部38の先端部の内周面に形成されたネジ穴39Cに螺合することにより、突起体39は、本体部38の先端開口に着脱自在に取り付けられる。なお、突起39Aの外径は、筒状体9内の空気通路22の径よりも小さく形成されており、バルブ部材3がソケット本体2の先端方向に往動して、バルブ部材3の先端部がソケット本体2内の空気通路22に到達した状態では、突起39Aが空気通路22内に挿入されるようになっている。
【0045】
シール部材4は、本実施形態では、例えばゴムなどの弾性を有する弾性材料により形成されたリング部材43により構成されている。リング部材43の内径は、バルブ部材3の本体部38の先端部の内径とほぼ同じ大きさに形成されており、本体部38の先端部と突起体39との間にリング部材43を介在させた状態で、本体部38の先端開口に突起体39を締め付け固定することにより、リング部材43はバルブ部材3に取り付け固定される。
【0046】
リング部材43の外径は、筒状体9内の空気通路22の径よりも大きく形成されている。これにより、図7に示すように、バルブ部材3が筒状体9の先端方向に往動して、バルブ部材3の先端部が筒状体9内の空気通路22に到達した状態では、バルブ部材3の突起体39が空気通路22内に挿入される一方、リング部材43が筒状体9の内壁91と密に接触して、バルブ部材3の先端部と筒状体9の空気通部22との隙間を完全にシールする。よって、バルブ部材3の流路31とソケット本体2の空気通路22との連通が遮断される結果、プラグ8側への圧縮空気の供給が一時ストップした状態となる。
【0047】
一方、図8に示すように、バルブ部材3がソケット本体2の基端方向に復動し、バルブ部材3の先端部が空気通路22から離れると、空気通路22は開放される。よって、このバルブ部材3の復動時には、バルブ部材3の流路31がソケット本体2の空気通路22と再び連通するために、プラグ8側に圧縮空気を供給可能な状態となる。
【0048】
上記した構成のソケット10においても、作業において使用する工具を、ある工具から他の工具に交換する場合に、わざわざエアコンプレッサからの圧縮空気の供給を止めなくても、バルブ部材3をソケット本体2に対して回転させるだけで、ソケット10からの圧縮空気の供給を一時的にストップすることができる。よって、工具の交換作業を効率よく行うことができるとともに、ソケット10からの圧縮空気に邪魔されることなく、次に使用する工具のプラグ8をソケット10に難なく簡単に装着することができる。また、工具の交換時にソケット10からの圧縮空気の噴出によって作業者が負傷したりするおそれもない。
【符号の説明】
【0049】
1 ソケット
2 ソケット本体
3 バルブ部材
4 シール部材
8 プラグ
20 プラグ接続口
21 バルブ装着口
22 空気通路
30 供給口
31 流路
32 流出口
33 雄ネジ部
40 筒状体
41 貫通孔
43 リング部材
62,90 雌ネジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気で駆動される工具に取り付けられたプラグを着脱可能に接続して工具に圧縮空気を供給可能なソケットであって、
一端部に圧縮空気供給源からの圧縮空気の供給口が開口した筒状のバルブ部材と、
一端部にプラグを着脱自在に接続可能なプラグ接続口を有するとともに他端部に前記バルブ部材を軸方向に往復動自在に装着可能なバルブ装着口を有し、内部に圧縮空気の空気通路を有している筒状のソケット本体とを備え、
前記バルブ部材は、内部に圧縮空気の流路を有するとともに、前記バルブ装着口から前記ソケット本体内に挿入される他端部側の外周面に、前記流路と連通する圧縮空気の流出口が少なくとも1つ形成されており、
前記ソケット本体と前記バルブ部材との間には、前記バルブ部材の復動時には、前記流出口を介して前記ソケット本体の空気通路と前記バルブ部材の流路とを連通する一方、前記バルブ部材の往動時には、前記ソケット本体の空気通路と前記バルブ部材の流路との連通を遮断するシール部材が介在されているソケット。
【請求項2】
前記シール部材は、前記ソケット本体内に保持されるとともに、中央部に前記ソケット本体の空気通路に連結される貫通孔を備える厚い肉厚のゴム製の筒状体からなり、
前記バルブ部材の往動時に、前記バルブ部材の他端部が前記筒状体の貫通孔を塞ぐことにより、前記ソケット本体の空気通路と前記バルブ部材の流路との連通が遮断されることを特徴とする請求項1に記載のソケット。
【請求項3】
前記シール部材は、前記バルブ部材の前記流出口よりも下流側に固定されたゴム製のリング部材からなり、
前記バルブ部材の往動時に、前記リング部材が前記バルブ部材の他端部と前記ソケット本体の空気通部との隙間をシールすることにより、前記ソケット本体の空気通路と前記バルブ部材の流路との連通が遮断されることを特徴とする請求項1に記載のソケット。
【請求項4】
前記バルブ部材は、外周面にねじが形成されており、前記ねじが前記ソケット本体の前記バルブ装着口側の内周面に形成されたねじに螺合されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のソケット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−102846(P2012−102846A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253903(P2010−253903)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(509196925)有限会社ヤマトエンジニアリング (3)
【Fターム(参考)】