説明

ソレノイドバルブ

【課題】コンパクトなソレノイドバルブを提供する。
【解決手段】往復移動するフラッパ21を有するソレノイド2と、一次側流路51又は二次側流路52に接続されておりフラッパ21の往復移動によって開閉される流路を有する一対の流路付プラグ31,32と、一対の流路付プラグ31,32のいずれかを通じて選択的に導入される一次側流路51又は二次側流路52の流体圧によって往復移動して開閉される弁体40と、を備えるソレノイドバルブ1である。
そして、流路付プラグ31,32を収納するプラグハウジング30は、弁体40が配置されるチャンバ53を有するバルブ本体50Aと一体に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソレノイドバルブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、純水や薬液などの流体の流れを制御するために、応答性の優れている電磁石(ソレノイド)によって流体を封止する弁体を開閉するソレノイドバルブを用いることが一般的である。
【0003】
このソレノイドバルブの弁体を開閉作動させる作動方式として、直動式やパイロット作動式などの方式がある。
【0004】
直動式は、ソレノイドの動力によって弁体の開閉に必要な動力をまかなう方式で、大きな動力を必要とするためソレノイドやバルブ自体が大型化して、スペース、初期コスト、使用電力などにおいて問題となる。
【0005】
一方、パイロット作動式は、上記の問題を解決するもので、ソレノイドによって流体圧を導入し、その流体圧を利用してより大きな弁体を制御する方式であるため、装置を小型化できるうえに、初期コスト、使用電力などにおいても有利である。
【0006】
このようなパイロット作動式のバルブとして、例えば特許文献1には、主弁体を備える主弁本体に取り付けられるパイロット弁箱と端子台組立とを有し、かつ、パイロット弁箱内にパイロット弁を、主弁体の摺動する方向と直交する方向に設置するソレノイドバルブが開示されている。この構成によれば、装置を小型化できるうえに応答性を向上させることができる。
【0007】
さらに、別の構造として、図9,10に示すように、ソレノイド2、流路付プラグ31,32、プラグハウジング30、弁体40、などを備えるソレノイドバルブ1cが知られている。
【特許文献1】特開平10−103554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記特許文献1では、主弁体の摺動する方向と直交するようにパイロット弁が設置されるため、ソレノイドバルブの横方向の寸法が大きくなってしまうという問題があった。
【0009】
また、図9,10の従来のソレノイドバルブ1cでは、流路付プラグ31,32を収納するプラグハウジング30がソレノイド2の形状に適応するように形成されているため、ソレノイドバルブ1の高さが高くなるという問題があった。
【0010】
つまり、図9に示すように、プラグハウジング30の横幅はソレノイド2の横幅と同一にされているため、流路付プラグ31,32どうしの距離が近くなってしまう。
【0011】
そうすると、バルブ本体50Aのチャンバ53からある程度の距離をおいてパイロット流路61,62を設ける必要から、バルブ本体50Aの高さ寸法が大きくなることになる。さらに、バルブの流路口径が大きくなればなる程、高さ寸法の長大化は避けられないことになる。
【0012】
そこで、上記のような問題を解決すべく、本発明は、コンパクトなソレノイドバルブを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明のソレノイドバルブは、往復移動するフラッパを有するソレノイドと、一次側流路又は二次側流路に接続されており前記フラッパの往復移動によって開閉される流路を有する一対の流路付プラグと、前記一対の流路付プラグのいずれかを通じてパイロット流路を介して選択的に導入される一次側流路又は二次側流路の流体圧によって往復移動して開閉される弁体と、を備えるソレノイドバルブであって、前記流路付プラグを収納するプラグハウジングは、前記弁体が配置されるチャンバを有するバルブ本体と一体に成形されることを特徴とする。
【0014】
また、前記プラグハウジングは、前記ソレノイドの横幅よりも突出するように形成されるとともに、前記一対の流路付プラグは、前記プラグハウジングの突出部分に後端部を位置させるようにして、前記弁体が配置されるチャンバに近接して配置されることが好ましい。
【0015】
さらに、前記一対の流路付プラグの軸方向は、前記プラグハウジング内において、前記一次側流路及び前記二次側流路の軸方向と略直交するように配置されることが好ましい。
【0016】
そして、一次側流路又は二次側流路から前記一対の流路付プラグのそれぞれの後端近傍まで流体圧を導入するパイロット流路は、前記プラグハウジング内において、前記流路付プラグの後端近傍に前記一次側流路又は前記二次側流路から直線状に設けた傾斜孔部として形成されることが好ましい。
【0017】
また、一次側流路又は二次側流路から前記一対の流路付プラグのそれぞれの後端近傍まで流体圧を導入するパイロット流路は、前記プラグハウジング内において、前記流路付プラグの後端近傍に側方から設けた横孔部と、前記横孔部に前記一次側流路又は前記二次側流路から設けた縦孔部と、を備えて構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
このように、本発明のソレノイドバルブは、ソレノイドと流路付プラグと弁体とを備えるソレノイドバルブであって、流路付プラグを収納するプラグハウジングは、弁体が配置されるチャンバを有するバルブ本体と一体に成形されている。
【0019】
このため、プラグハウジングの構造をバルブ本体の構造に適応させて変えることで、高さ寸法を抑えたコンパクトなソレノイドバルブとなる。
【0020】
また、プラグハウジングは、ソレノイドの横幅よりも突出するように形成されるとともに、一対の流路付プラグは、プラグハウジングの突出部分に後端部を位置させるようにして、弁体が配置されるチャンバに近接して配置されることで、チャンバからある程度の距離をおいてパイロット流路を設けても、プラグハウジングの高さを抑えて、ソレノイドバルブをコンパクトにすることができる。
【0021】
さらに、一対の流路付プラグの軸方向は、一次側流路及び二次側流路の軸方向と略直交するように配置されることで、パイロット流路の傾斜が緩やかになるため、チャンバからある程度の距離をおいてパイロット流路を設けても、ソレノイドバルブをコンパクトにすることができる。
【0022】
そして、流体圧を導入するパイロット流路は、流路付プラグの後端近傍に一次側流路又は二次側流路から直線状に設けた傾斜孔部として形成されることで、簡単な構成によってソレノイドバルブをコンパクトにすることができる。
【0023】
また、流体圧を導入するパイロット流路は、流路付プラグの後端近傍に側方から設けた横孔部と、横孔部に一次側流路又は二次側流路から設けた縦孔部と、を備えて構成されることで、チャンバとの位置関係によらずにソレノイドバルブをコンパクトにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の最良の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0025】
まず、図2を用いて本実施の形態のソレノイドバルブ1を備える管路構造の全体構成を説明する。なお、前記背景技術で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0026】
本実施の形態の管路構造は、図2に示すように、上流側の管路85と、下流側の管路86と、この上流側の管路85及び下流側の管路86の間に介在して設置されたソレノイドバルブ1と、を備えている。
【0027】
この上流側の管路85や下流側の管路86は、合成樹脂によって長尺の円筒部材として形成されるもので、受口57,57に接着固定され、受口57,57とともにユニオンナット58,58によってソレノイドバルブ1の両端の一次側流路51や二次側流路52に接続して固定されている。
【0028】
また、ソレノイドバルブ1のバルブ本体50A(プラグハウジング30)の上には、ソレノイド2が固定されており、このソレノイド2の上部にはソケット24(図1参照)を介して電源供給と通信制御を兼ねたDINケーブルなどのケーブル87が接続されている。
【0029】
そして、本実施の形態のソレノイドバルブ1は、図1,3,4に示すように、プラグハウジング30の上に固定されて動作を制御するソレノイド2と、流路付プラグ31,32を収納するプラグハウジング30(上側のバルブ本体50A)と、一次側流路51や二次側流路52などが設けられた下側のバルブ本体50Bと、を備えている。
【0030】
このソレノイド2は、電流を流したコイル内の鉄心に磁力を発生させ、スプリングの弾性反力と協働して往復運動に転換するためのもので、本体部の下面には下方に突出して往復移動するフラッパ21が設けられ、本体部の上部にはケーブル87(図2参照)を取り付けるためのソケット24が設けられている。
【0031】
さらに、このソレノイド2の下面から舌状に突き出したフラッパ21には、図4(a)に示すように、合成ゴムなどによって弾性を有するように形成されたパッキン25が、フラッパ21を覆うようにキャップ状に嵌合されている。
【0032】
このパッキン25は、ソレノイド2の下面に沿う板状部とこの板状部から突出する突出部とを有して形成されるもので、板状部によってソレノイド2の下面とプラグハウジング30の上面との間の隙間を塞ぐとともに、突出部によってフラッパ21を覆って流路付プラグ31,32の先端31C,32C(図4(b)参照)との密着性を向上させている。
【0033】
そして、本実施の形態では、流路付プラグ31,32を収納する機能部分としてのプラグハウジング30は、下側のバルブ本体50Bと嵌合してチャンバ53を形成する機能部分としての上側のバルブ本体50Aと一体に成形されている。
【0034】
このプラグハウジング30(上側のバルブ本体50A)は、図1,3,4に示すように、流路付プラグ31,32を収納する機能部分として、ソレノイド2の横幅よりも突出した突出部分33と、この突出部分33に向かい合って配置されて流路を有する一対の流路付プラグ31,32と、この一対の流路付プラグ31,32と一次側流路51や二次側流路52とを接続するパイロット流路61,62と、を備えている。
【0035】
この突出部分33は、チャンバ53を避けて配置されるパイロット流路61,62の仰角を大きくすることで、プラグハウジング30の高さを抑えるために設けられる部分であり、下側のバルブ本体50Bに設けたパイロット流路51a,52aの近傍から略垂直に立ち上がる側面を有するように形成される。
【0036】
また、流路付プラグ31(32)は、図4(b)に示すように、先端側に螺合溝が刻まれた弾丸状の本体部31e、本体部31eの後端側に設けた円周方向に連続する流路溝31a、この流路溝31a内に直径方向に貫通して設けられた貫通孔31f、この貫通孔31fから本体部31eの先端31cまで連通して設けられた流路孔31b、後端面に位置調整のために設けた六角孔31d、などを備えて構成されている。
【0037】
さらに、上側のバルブ本体50Aの流路付プラグ31に接続する一方のパイロット流路61は、下側のバルブ本体50Bの一次側流路51に接続するパイロット流路51aと相互に連通することによってチャンバ53内に一次側流路51の流体圧を導入できるようにされている。
【0038】
一方、上側のバルブ本体50Aの流路付プラグ32に接続する他方のパイロット流路62は、下側のバルブ本体50Bの二次側流路52に接続するパイロット流路52aと相互に連通することによってチャンバ53内に二次側流路52の流体圧を導入できるようにされている。
【0039】
この場合、パイロット流路61,62は、流路となる流路付プラグ31,32の流路溝31a,32aが外側に近く位置しているため、チャンバ53の空間を侵すことなく、チャンバ53から距離をおいてプラグハウジング30の断面内に削孔される。
【0040】
そして、ソレノイド2のフラッパ21が移動して、流路付プラグ31,32のいずれかの先端31c,32cに当接し、いずれか一方の流路孔31b,32bを塞ぐとともに他方の流路孔32b,31bを空けることによって、パイロット流路61,62を通じてチャンバ53内に一次側流体圧又は二次側流体圧を選択的に導入するようになっている。
【0041】
また、プラグハウジング30(上側のバルブ本体50A)は、下側のバルブ本体50Bと嵌合する機能部分として、一次側又は二次側の流体圧が選択的に導入されるチャンバ53と、チャンバ53の下方を塞いで上下に弾性変形しつつ移動して流体を封止する弁体40と、を備えている。
【0042】
チャンバ53は、プラグハウジング30内において、下側のバルブ本体50Bの弁座54に対向するように設けられる短円柱状の空間であり、下方を弁体40によって塞がれて一次側流路51や二次側流路52と区分されている。
【0043】
そして、このチャンバ53の上部は、ソレノイド2のフラッパ21が収容される空間に繋がっていることで、一次側流路51又は二次側流路52のいずれかの流体圧を導入することができる。
【0044】
また、弁体40は、合成樹脂や合成ゴムによって中央に孔を有する円盤状に形成されるもので、円盤の外周縁がプラグハウジング30と下側のバルブ本体50Bとに挟まれることで接合面の止水性を保持しつつ固定されている。
【0045】
そして、図4(a)に示すように、この弁体40に設けた孔には、裏面側から突起を有する形状保持部材が嵌め込まれ、表面側から中央に孔を有する形状保持部材が嵌め合わされることで、往復移動する際の変形性を保ちつつ、全体形状を保持している。
【0046】
さらに、下側のバルブ本体50Bは、上流側の流路である一次側流路51と、下流側の流路である二次側流路52と、一次側又は二次側の流体圧が導入される空間であるチャンバ53と、流体を封止する弁体40が当接する弁座54と、を備えている。
【0047】
この一次側流路51は、上流側の管路85(図2参照)の延長線上に開口するもので、下流端においては中央に円柱状に設けられた二次側流路52の周囲を取り巻くように形成されており、弁座54を境界として二次側流路52に繋がっている。
【0048】
また、二次側流路52は、下流側の管路86(図2参照)の延長線上に開口するもので、上流端においては上端面に弁座54を有する円柱状に形成されており、略直角に屈曲して下流側の管路86に接続されている。
【0049】
次に、本実施の形態のソレノイドバルブ1の動作について簡単に説明する。
【0050】
まず、流体を封止せずに流す場合の動作について説明する。
【0051】
はじめに、制御に適切なタイミングで、封止された状態のソレノイドバルブ1のソレノイド2に、ソケット24に接続されたケーブル87を通じて弁体40を開くように司令する。
【0052】
司令を受信したソレノイド2は、フラッパ21を二次側流路52と繋がった一方の流路付プラグ32側から、一次側流路51と繋がった他方の流路付プラグ31側に移動させる。
【0053】
移動されたソレノイド2に嵌め込まれたパッキン25の突出部の側面は、他方の流路付プラグ31の先端31cに当接して流路孔31bを封止する。
【0054】
そうすると、一次側流路51の流体圧は封止されると同時に、パイロット流路62を通じて二次側流路52の流体圧がチャンバ53内に導入されることになる。
【0055】
そして、この二次側流路52(面積S2)の流体圧(P2)は一次側流路51(面積S1)の流体圧(P2)よりも小さいため、S1×P1>S1×P2からS1×P1+S2×P2>(S1+S2)×P2が成立し、一次側流路51の流体圧によって押し上げられるようにして、弁体40がチャンバ53の方向に移動して流路が開かれることになる。
【0056】
次に、上記とは反対に、流体を封止する場合の動作について説明する。
【0057】
はじめに、開放された状態のソレノイドバルブ1のソレノイド2に、弁体40を閉じるように司令する。
【0058】
司令を受信したソレノイド2は、フラッパ21を二次側流路52と繋がった他方の流路付プラグ32側に移動させる。
【0059】
移動されたソレノイド2に嵌め込まれたパッキン25の突出部の側面は、他方の流路付プラグ32の先端32cに当接して流路孔32bを封止する。
【0060】
そうすると、二次側流路52の流体圧は封止され、一次側流路51の流体圧がチャンバ53内に導入される。
【0061】
そして、この一次側流路51の流体圧は二次側流路52の流体圧よりも大きいため、S2×P1>S2×P2から(S1+S2)×P1>S1×P1+S2×P2が成立し、チャンバ53内に導入された一次側流路51の流体圧によって押し下げられるようにして、弁体40が弁座54の方向に移動・当接して流路が閉じられる。
【0062】
次に、本実施の形態のソレノイドバルブ1の作用効果について説明する。
【0063】
このように、本実施の形態のソレノイドバルブ1は、ソレノイド2と流路付プラグ31,32と弁体40とを備えるソレノイドバルブ1であって、流路付プラグ31,32を収納するプラグハウジング30は、弁体40が配置されるチャンバ53を有する上側のバルブ本体50Aと一体に形成されている。
【0064】
このため、プラグハウジング30の構造をバルブ本体50Aの構造に適応させて変えることで、高さ寸法を抑えたコンパクトなソレノイドバルブ1となる。
【0065】
つまり、従来は、図9,10に示すように、プラグハウジング30は、ソレノイド2に適合して製造されていたため、プラグハウジング30の横幅が限定されていた。
【0066】
この場合には、流路付プラグ31,32の後端部の距離が近くなってしまうため、パイロット流路61,62を配置する際にチャンバ53を避けようとすると、パイロット流路61,62が長くなり、プラグハウジング30の高さが高くなってしまうという問題があった。
【0067】
つまり、パイロット流路61,62は、射出成形後にドリルによって削孔されるものであるから、チャンバ53を迂回する曲線に設けることはできず、直線や直線を組み合わせた形状に設けることしかできない。
【0068】
このため、バルブ本体50B内に設けたパイロット流路51a,52aと、流路付プラグ31,32の流路溝31a,32aと、を直線的に接続しようとすると、チャンバ53を避けるためにどうしてもパイロット流路51a,52aの仰角を大きくする必要があった。
【0069】
これに対して、本実施の形態のソレノイドバルブ1では、プラグハウジング30をバルブ本体50Aと一体に成形することで、ソレノイド2の横幅に関係なく流路付プラグ31,32を設置することができる。
【0070】
このように、流路付プラグ31,32の後端部の距離を遠くしてやれば、パイロット流路61,62はチャンバ53から離れることになり、パイロット流路61,62の仰角が大きくなることはなく、プラグハウジング30の高さを抑えることができる。
【0071】
加えて、このようにプラグハウジング30がバルブ本体50と一体に形成されていれば、流体圧が作用する接合面が減少することとなり、ソレノイドバルブ1の強度が向上する。
【0072】
すなわち、流体圧が作用する接合面としては、ソレノイド2とプラグハウジング30の間の接触面だけを考慮すればよいことになる。したがって、作用する流体の圧力(単位面積当たりの力)が同一であれば、接触面積が小さければそれだけ小さい力しか作用しないことになる。
【0073】
さらに、このようにソレノイド2とプラグハウジング30のみを固定する構造にすれば、従来のようにソレノイド2とプラグハウジング30とを2本のボルトで一旦固定し、そのうえでプラグハウジング30とバルブ本体50を残り2本のボルトで固定する必要がなくなる。
【0074】
そうすると、ソレノイド2とプラグハウジング30を固定する際に、ソレノイド2の四隅全てをボルト26,・・・によって固定することができるため、よりいっそう耐圧強度が大きくなる。
【0075】
より具体的には、プラグハウジング30は、ソレノイド2の横幅よりも突出する突出部分33を有するように形成されるとともに、一対の流路付プラグ31,32は、プラグハウジング30の突出部分33に後端部を位置させるようにして、弁体40が配置されるチャンバ53に近接して配置されることで、チャンバ53からある程度の距離をおいてパイロット流路61,62を設けても、プラグハウジング30の高さを抑えて、ソレノイドバルブ1をコンパクトにすることができる。
【0076】
すなわち、流路付プラグ31,32の後端部が突出部分33に位置していれば、流路付プラグ31,32の後端部に設けた流路溝31a,32aもこの突出部分33に位置することとなるため、パイロット流路61,62もこの突出部分33に接続されればよいこととなる。
【0077】
そうすると、パイロット流路61,62は、チャンバ53と離れた位置に配置できるようになるため、チャンバ53との相対位置関係を考慮しなくてもよいこととなり、結果として流路付プラグ31,32をチャンバ53に近い位置に配置できるようになる。
【実施例1】
【0078】
以下、図5,6を用いて、前記実施の形態とは別の形態のソレノイドバルブ1Aについて説明する。なお、前記実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0079】
まず、構成から説明すると、本実施例のソレノイドバルブ1Aは、ソレノイド2、プラグハウジング30(上側のバルブ本体50A)、下側のバルブ本体50B、などを備えている。
【0080】
このプラグハウジング30は、下側のバルブ本体50Bと嵌合してチャンバ53を形成する機能部分としての上側のバルブ本体50Aと一体に成形されている。
【0081】
そして、本実施例のプラグハウジング30(上側のバルブ本体50A)は、一次側流路51及び二次側流路52の軸方向に略直交するようにして、向かい合って配置されて流路を有する一対の流路付プラグ31,32と、この一対の流路付プラグ31,32と一次側流路51や二次側流路52とを接続するパイロット流路61,62と、を備えている。
【0082】
したがって、下側のバルブ本体50Bに設けたパイロット流路51a,52aから流路付プラグ31,32の流路溝31a,32aに接続したパイロット流路61,62は、一次側流路51及び二次側流路52の軸方向から斜め上方に向かって傾斜した傾斜孔部として形成されることになる。
【0083】
次に、本実施例のソレノイドバルブ1Aの作用について説明する。
【0084】
このように、本実施例では、一対の流路付プラグ31,32の軸方向は、一次側流路51及び二次側流路52の軸方向と略直交するように配置されることで、パイロット流路61,62の傾斜が緩やかになるため、チャンバ53からある程度の距離をおいてパイロット流路61,62を設けても、ソレノイドバルブ1Aをコンパクトにすることができる。
【0085】
つまり、円柱空間状に形成されるチャンバ53の上部は球面状に形成されるため、下側のバルブ本体50Bに設けたパイロット流路51a,52aをそのまま上方に延長するよりは、斜め上方に向かって延長したほうが球面との距離が大きくなる。
【0086】
このため、プラグハウジング30の高さを一定にすると流路付プラグ31,32をより内側に設置できるようになり、流路付プラグ31,32の距離を一定にするとプラグハウジング30の高さを抑えることができる。
【0087】
そして、流体圧を導入するパイロット流路61,62は、流路付プラグ31,32の後端近傍に一次側流路51又は二次側流路52から直線状に設けた傾斜孔部として形成されることで、簡単な構成によってソレノイドバルブ1Aをコンパクトにすることができる。
【0088】
なお、この他の構成および作用効果については、前記実施の形態と略同様であるため説明を省略する。
【実施例2】
【0089】
以下、図7,8を用いて、前記実施の形態及び実施例1とは別の形態のソレノイドバルブ1Bについて説明する。なお、前記実施の形態及び実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0090】
まず、構成から説明すると、本実施例のソレノイドバルブ1Bは、ソレノイド2、プラグハウジング30(上側のバルブ本体50A)、下側のバルブ本体50B、などを備えている。
【0091】
このプラグハウジング30は、下側のバルブ本体50Bと嵌合してチャンバ53を形成する機能部分としての上側のバルブ本体50Aと一体に成形されている。
【0092】
そして、本実施例のプラグハウジング30(上側のバルブ本体50A)は、一次側流路51及び二次側流路52の軸方向に略直交するようにして、向かい合って配置されて流路を有する一対の流路付プラグ31,32と、この一対の流路付プラグ31,32と一次側流路51や二次側流路52とを接続するL字状に屈曲したパイロット流路61,62と、を備えている。
【0093】
このL字状に屈曲したパイロット流路61,62は、流路付プラグ31,32の流路溝31a,32aの位置から横方向(流路付プラグ31,32の流路孔31b,32bに対して垂直方向)に設けた横孔部61a,62aと、この横孔部61a,62aの途中から分岐して下側のバルブ本体50Bのパイロット流路51a,52aに連通した縦孔部61b,62bと、を備えている。
【0094】
そして、このプラグハウジング30に設けた横孔部61a,62aには、外側からニードル弁64,65が螺入されており、流量を調整できるようになっている。
【0095】
次に、本実施例のソレノイドバルブ1Bの作用について説明する。
【0096】
このように、本実施例では、一対の流路付プラグ31,32の軸方向は、一次側流路51及び二次側流路52の軸方向と略直交するように配置されることで、ソレノイドバルブ1Bをコンパクトにすることができる。
【0097】
そして、流体圧を導入するパイロット流路61,62は、流路付プラグ31,32の後端近傍に側方から設けた横孔部61a,62aと、横孔部61a,62aに一次側流路51又は二次側流路52から設けた縦孔部61b,62bと、を備えて構成されることで、チャンバ53との位置関係によらずにソレノイドバルブ1Bをコンパクトにすることができる。
【0098】
つまり、パイロット流路61,62の削孔工程を2段階に分けて、L字状に形成することによって、いっそうチャンバ53から距離をおいてパイロット流路61,62を配置できるようになる。
【0099】
なお、この他の構成および作用効果については、前記実施の形態及び実施例1と略同様であるため説明を省略する。
【0100】
以上、図面を参照して、本発明の最良の実施の形態及び実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態又は実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0101】
例えば、前記実施の形態及び実施例1,2では、プラグハウジング30が突出部分33を備える場合について説明したが、これに限定されるものではなく、プラグハウジング30とバルブ本体50Aが一体に成形されるものであれば、L字状のパイロット流路61,62を設けることができるため、ソレノイド2と同一幅に形成されるものであっても適用できる。
【0102】
また、前記実施例2では、流路付プラグ31,32の軸方向を一次側流路51及び二次側流路52の軸方向と略垂直に設置する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、L字状に形成されるものであれば一次側流路51及び二次側流路52の軸方向と同じ方向に設けられるものであってもよいし、45度傾けるものなどであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の最良の実施の形態のソレノイドバルブの構成を説明する縦断面図である。
【図2】ソレノイドバルブを備える管路の全体構成を説明する斜視図である。
【図3】本発明の最良の実施の形態のソレノイドバルブの構成を説明する横断面図である。
【図4】本発明の最良の実施の形態のソレノイドバルブの構成を分解して説明する分解斜視図である。
【図5】実施例1のソレノイドバルブの構成を説明する縦断面図である。
【図6】実施例1のソレノイドバルブの構成を説明する横断面図である。
【図7】実施例2のソレノイドバルブの構成を説明する縦断面図である。
【図8】実施例2のソレノイドバルブの構成を説明する横断面図である。
【図9】従来のソレノイドバルブの構成を説明する縦断面図である。
【図10】従来のソレノイドバルブの構成を説明する横断面図である。
【符号の説明】
【0104】
1,1A,1B ソレノイドバルブ
2 ソレノイド
21 フラッパ
30 プラグハウジング
31,32 流路付プラグ
31a,32a 流路溝
31b,32b 流路孔
33 突出部分
40 弁体
50 バルブ本体
51 一次側流路
51a パイロット流路
52 二次側流路
52a パイロット流路
53 チャンバ
61,62 パイロット流路
61a,62a 横孔部
61b,62b 縦孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
往復移動するフラッパを有するソレノイドと、一次側流路又は二次側流路に接続されており前記フラッパの往復移動によって開閉される流路を有する一対の流路付プラグと、前記一対の流路付プラグのいずれかを通じてパイロット流路を介して選択的に導入される一次側流路又は二次側流路の流体圧によって往復移動して開閉される弁体と、を備えるソレノイドバルブであって、
前記流路付プラグを収納するプラグハウジングは、前記弁体が配置されるチャンバを有するバルブ本体と一体に成形されることを特徴とするソレノイドバルブ。
【請求項2】
前記プラグハウジングは、前記ソレノイドの横幅よりも突出するように形成されるとともに、前記一対の流路付プラグは、前記プラグハウジングの突出部分に後端部を位置させるようにして、前記弁体が配置されるチャンバに近接して配置されることを特徴とする請求項1に記載のソレノイドバルブ。
【請求項3】
前記一対の流路付プラグの軸方向は、前記プラグハウジング内において、前記一次側流路及び前記二次側流路の軸方向と略直交するように配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のソレノイドバルブ。
【請求項4】
一次側流路又は二次側流路から前記一対の流路付プラグのそれぞれの後端近傍まで流体圧を導入するパイロット流路は、
前記プラグハウジング内において、前記流路付プラグの後端近傍に前記一次側流路又は前記二次側流路から直線状に設けた傾斜孔部として形成されることを特徴とする請求項3に記載のソレノイドバルブ。
【請求項5】
一次側流路又は二次側流路から前記一対の流路付プラグのそれぞれの後端近傍まで流体圧を導入するパイロット流路は、
前記プラグハウジング内において、前記流路付プラグの後端近傍に側方から設けた横孔部と、前記横孔部に前記一次側流路又は前記二次側流路から設けた縦孔部と、を備えて構成されることを特徴とする請求項3に記載のソレノイドバルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−138969(P2010−138969A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314651(P2008−314651)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】