説明

タイムレコーダ

【課題】専用のタイムカードを使用せずに、または少ないメモリ容量および小さい処理負担で、複数の締日に対応した打刻情報の記録等を行うことができるようにする。
【解決手段】標準締日と別個に設定することが可能な拡張締日を適用するタイムカード40のIDコード41をIDコード登録テーブル30に記憶する。打刻時には、カード差込口2に差し込まれたタイムカード40のIDコード41がIDコード登録テーブル30に記憶されているIDコード41と一致した場合には、拡張締日を基準にしてタイムカード40上における打刻情報の記録位置を特定して打刻情報の記録を行い、差し込まれたタイムカード40のIDコード41がIDコード登録テーブル30に記憶されているIDコード41と一致しない場合には、標準締日を基準にしてタイムカード40上における打刻情報の記録位置を特定して打刻情報の記録を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出退勤時刻を記録するタイムレコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、雇用形態や職種の違いによる多種多様な勤務形態に対応するため、複数の締日の混在に対応したタイムレコーダが提案されている。
【0003】
例えば特許文献1および2に記載のタイムレコーダでは、予め、特定の締日に対応したコード(締日コード)が付加されたタイムカードを利用している。タイムカード引込時に専用のセンサにより締日コードを読取ることにより、当該タイムカードに適用された特定の締日を認識し、認識された特定の締日に従って、以降の打刻処理や勤務実績の集計処理を行うものである。
【0004】
また、高機能なタイムレコーダでは、内部に社員マスター情報を保持し、社員一人一人に対して自由に締日が設定可能になっているものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−44916号公報
【特許文献2】特開平8−115446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上述した締日コードが付加されたタイムカードを利用する方式では、締日コードが付加された専用のタイムカードを用意しなければならない。締日には例えば15日締め、20日締め、25日締め、月末締めなどがあるため、メーカー側は、これらの締日にそれぞれ対応した締日コードが付加された複数種類のタイムカードを製造しなければならない。この結果、製造が複雑となり、製造工程が増え、コストが上昇する。
【0007】
また、タイムレコーダを利用する側においては、ある特定の締日に対応した締日コードが付加されたタイムカードが不足してしまった場合、これと異なる締日に対応した締日コードが付加されたタイムカードや、締日コードが付加されていない一般のタイムカードは使用できないため、当該特定の締日に対応した締日コードが付加されたタイムカードをメーカーから入手しなければならない。すなわち、複数の雇用形態を採用しているために複数の締日を有する企業等は、複数の締日に応じて複数種類のタイムカードを購入して常備していなければならず、不便であり、コストがかかる。
【0008】
また、上述した締日コードが付加されたタイムカードを利用する方式では、締日コード用の読取りセンサをタイムレコーダに設けなければならず、これは、タイムレコーダ自体のコストアップを招来する。
【0009】
一方、内部に社員マスター情報を備え、社員一人一人に対して締日が設定可能なタイムレコーダでは、大容量のメモリと高速な処理能力が要求され、低機能で廉価なタイムレコーダにその機能を搭載することは難しい。
【0010】
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の第1の課題は、少ないメモリ容量および小さい処理負担で複数の勤怠管理期間(例えば複数の締日)に対応した打刻情報の記録、勤怠集計等を行うことができるタイムレコーダを提供することにある。
【0011】
また、本発明の第2の課題は、締日コードが付加された特別な専用のタイムカードを使用することなく、複数の勤怠管理期間(例えば複数の締日)に対応した打刻情報の記録、勤怠集計等を行うことができるタイムレコーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第1のタイムレコーダは、記録媒体に打刻情報を記録するタイムレコーダであって、IDコードを読み取るIDコード読取手段と、時刻および日付を特定する日時特定手段と、前記日時特定手段により特定された時刻を打刻情報として前記記録媒体に記録する打刻情報記録手段と、標準勤怠管理期間を特定する標準基準日、および少なくとも1つの拡張勤怠管理期間を特定する拡張基準日を含む設定情報を記憶する設定情報記憶手段と、前記拡張勤怠管理期間を適用するIDコードを記憶するIDコード記憶手段と、前記IDコード読取手段により読み取られたIDコードが前記IDコード記憶手段に記憶されたIDコードと一致するときには前記拡張基準日を採用し、前記IDコード読取手段により読み取られたIDコードが前記IDコード記憶手段に記憶されたIDコードと一致しないときには前記標準基準日を採用する基準日切替手段を備えている。
【0013】
これにより、IDコードを利用して、複数の勤怠管理期間に対応した打刻情報の記録を簡単な構成により行うことができる。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の第2のタイムレコーダは、記録領域を有すると共に固有のIDコードが付加されたタイムカードに打刻情報を記録するタイムレコーダであって、前記タイムカードを差し込むカード挿入口と、前記カード挿入口への前記タイムカードの挿入を検知するカード検知手段と、前記カード挿入口へ挿入されたタイムカードから前記IDコードを読み取るIDコード読取手段と、時刻および日付を特定する日時特定手段と、前記日時特定手段により特定された時刻を打刻情報として記録すべき前記タイムカードの記録領域内における記録位置を特定する記録位置特定手段と、前記記録位置特定手段により特定された記録位置に前記打刻情報を記録する打刻情報記録手段と、標準勤怠管理期間を特定する標準基準日、および少なくとも1つの拡張勤怠管理期間を特定する拡張基準日を含む設定情報を記憶する設定情報記憶手段と、前記拡張勤怠管理期間を適用するタイムカードのIDコードを記憶するIDコード記憶手段とを備え、前記記録位置特定手段は、前記タイムカードから読み取られた前記IDコードが前記IDコード記憶手段に記憶されたIDコードと一致するときには、前記日時特定手段により特定された日付と前記拡張基準日との関係に従って前記記録位置を特定し、前記タイムカードから読み取られた前記IDコードが前記IDコード記憶手段に記憶されたIDコードと一致しないときには、前記日時特定手段により特定された日付と前記標準基準日との関係に従って前記記録位置を特定する。
【0015】
これにより、タイムカードにもともと一般的に付加されている固有のIDコードを利用して、複数の勤怠管理期間に対応した打刻情報の記録を簡単な構成により行うことができる。
【0016】
また、上述した本発明の第2のタイムレコーダにおいて、前記IDコード記憶手段に記憶されていないIDコードが付加されたタイムカードが前記カード挿入口に挿入されたとき、前記IDコード読取手段により当該タイムカードから前記IDコードを読み取り、当該読み取ったIDコードを前記IDコード記憶手段に記憶するIDコード登録手段を備えることが望ましい。
【0017】
これにより、拡張勤怠管理期間(拡張締日)を適用して打刻情報の記録、勤怠集計処理を行うタイムカードを簡単な操作によりタイムレコーダに登録することができる。
【0018】
また、上述した本発明の第2のタイムレコーダにおいて、前記IDコード登録手段は、前記拡張勤怠管理期間が適用されることまたは前記拡張基準日を示す文字、数字、記号またはマークを前記タイムカードの記録領域内に記録する登録表示記録手段を備えることが望ましい。
【0019】
これにより、拡張勤怠管理期間(拡張締日)を適用して打刻情報の記録、勤怠集計処理が行われるタイムカードを、標準勤怠管理期間(標準締日)を適用して打刻情報の記録、勤怠集計処理が行われるタイムカードと容易に識別することが可能になる。
【0020】
また、上述した本発明の第2のタイムレコーダにおいて、前記IDコード記憶手段に記憶されているIDコードが付加されたタイムカードが前記カード挿入口に挿入されたとき、当該タイムカードに付加されたIDコードを前記IDコード読取手段により読み取ることにより特定し、当該特定されたIDコードを前記IDコード記憶手段から消去するIDコード取消手段を備えることが望ましい。
【0021】
これにより、拡張勤怠管理期間(拡張締日)を適用して打刻情報の記録、勤怠集計処理を行うタイムカードの登録を簡単な操作により取り消すことができる。
【0022】
また、上述した本発明の第2のタイムレコーダにおいて、前記IDコード取消手段は、前記IDコードが前記IDコード記憶手段から消去されたことを示す文字、数字、記号またはマークを前記タイムカードの記録領域内に記録する取消表示記録手段を備えることが望ましい。
【0023】
これにより、拡張勤怠管理期間(拡張締日)を適用して打刻情報の記録、勤怠集計処理を行う設定が取り消されたタイムカードを容易に識別することが可能になる。
【0024】
また、上述した本発明の第2のタイムレコーダにおいて、前記タイムカードに記録した打刻情報を含む勤怠情報を記憶する勤怠情報記憶手段と、前記カード挿入口に挿入された前記タイムカードにつき、前記勤怠記憶手段に記憶された勤怠情報に基づいて勤怠集計処理を行う勤怠集計処理手段とを備え、前記勤怠集計処理手段は、前記カード挿入口に挿入されたタイムカードから読み取られた前記IDコードが前記IDコード記憶手段に記憶されたIDコードと一致するときには前記拡張基準日に基づいて勤怠集計処理を行い、前記タイムカードから読み取られた前記IDコードが前記IDコード記憶手段に記憶されたIDコードと一致しないときには、前記標準基準日に基づいて勤怠集計処理を行ってもよい。
【0025】
これにより、タイムカードにもともと一般的に付加されている固有のIDコードを利用して、複数の勤怠管理期間に対応した勤怠集計を簡単な構成により行うことができる。
【0026】
また、上述した本発明の第1または第2のタイムレコーダにおいて、前記標準基準日は前記標準勤怠管理期間の締日であり、前記拡張基準日は前記拡張勤怠管理期間の締日であることが望ましい。
【0027】
これにより、IDコードを利用して、複数の締日に対応した打刻情報の記録を簡単な構成により行うことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、少ないメモリ容量および小さい処理負担で複数の勤怠管理期間(複数の締日)に対応した打刻情報の記録、勤怠集計等を行うことができる。また、締日コードが付加された特別な専用のタイムカードを使用することなく、複数の勤怠管理期間(複数の締日)に対応した打刻情報の記録、勤怠集計等を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態によるタイムレコーダの外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態によるタイムレコーダの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】IDコード登録テーブルを示す説明図である。
【図4】タイムカードを示す説明図である。
【図5】タイムカードに拡張締日登録マークが記録された状態を示す説明図である。
【図6】タイムカードに拡張締日取消マークが記録された状態を示す説明図である。
【図7】拡張締日登録処理等を示すフローチャートである。
【図8】拡張締日取消処理を示すフローチャートである。
【図9】拡張締日登録確認処理を示すフローチャートである。
【図10】打刻処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0031】
(タイムレコーダ)
図1は、本発明の実施形態によるタイムレコーダを示している。図1において、タイムレコーダ1は、出勤時刻、退勤時刻等を示す打刻情報をタイムカード40(図4参照)に記録する装置であり、例えば中・小規模の事業所や店舗等向けの低機能で廉価なタイムレコーダである。タイムレコーダ1は、カード挿入口としてのカード差込口2、出退勤モード指定キー群3、LED4A〜4Fおよび表示器5を備えている。
【0032】
カード差込口2はタイムカード40を差し込む部分であり、例えばタイムレコーダ1のケース(上蓋部)の上面に開口している。
【0033】
出退勤モード指定キー群3は、タイムレコーダ1のケースのフロント部に設けられている。出退勤モード指定キー群3は、例えば休祭日等の特別な勤務時に押下する特別日キー3Aと、出勤時に押下する出1キー3Bと、退勤時に押下する退1キー3Cと、同日2回目の出勤時に押下する出2キー3Dと、同日2回目の退勤時に押下する退2キー3Eと、徹夜勤務等により日付変更後に退勤するときに押下する徹夜キー3Fとを有し、これら各キー3A〜3Fの選択操作に従って、タイムレコーダ1の動作モードが決められる仕組に成っている。
【0034】
LED4A〜4Fは、キー3A〜3Fが押下されたことを確認し、またはキー3A〜3Fを押下すべきことをタイムレコーダ1から操作者に案内するためのものであり、キー3A〜3Fとそれぞれ対応するように、キー3A〜3Fに、またはキー3A〜3Fの近傍に設けられている。
【0035】
表示器5は、タイムレコーダ1のケースのフロント部に設けられている。表示器5は、例えば液晶ディスプレイであり、表示画面を有し、現在の時刻、現在の日付、警告表示、エラー情報等の各種の情報を表示する。
【0036】
図2は、タイムレコーダ1の電気的構成を示している。図2に示すように、タイムレコーダ1は、当該タイムレコーダ1の種々の制御を行うCPU(Central Processing Unit)6、ROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)を有するメモリ7を備えている。さらに、これらCPU6とメモリ7との間にはバス8を介してインターフェイス9が接続されている。そして、インターフェイス9には、出退勤モード指定キー群3、LED4A〜4Fおよび表示器5に加え、カード検知手段としてのカード検知センサ10およびカード搬送モータ17が接続されている。カード検知センサ10は、タイムカード40がカード差込口2に差し込まれたことを検知する。カード搬送モータ17は、カード検知センサ10の検知結果に応じ、カード差込口2に差し込まれたタイムカード40をカード差込口2内へ自動的に引き込む。また、カード搬送モータ17は、打刻情報の記録が完了したとき、タイムカード40の表、裏を反転させるとき等に、タイムカード40をカード差込口2外へ自動的に排出する。また、カード搬送モータ17は打刻情報を記録すべき記録位置にタイムカード40を移動させる。また、インターフェイス9には、IDコード読取手段としての表面コードセンサ11および裏面コードセンサ12が接続されている。表面コードセンサ11および裏面コードセンサ12は、タイムカード40に印刷されているIDコード41(表面コード41Aおよび裏面コード41B)(図4参照)の読取を行う。
【0037】
さらに、インターフェイス9には、カード送り用のエンコーダを読取るエンコーダ用センサ13と、プリンタホームポジションセンサ14と、タイムレコーダ1のケース(上蓋部)を開くと、タイムレコーダ1のモードをメンテナンスモードに切替えるケース開検知センサ15と、タイムカード40の差込または引込が検知されたときの時刻および日付を特定する日時特定手段としての時計回路16と、打刻情報、拡張締日登録マーク45(図5参照)、拡張締日取消マーク46(図6参照)をタイムカード40に記録(印字)する打刻情報記録手段、登録表示記録手段および取消表示記録手段としてのドットプリンタ18と、エラー等が発生した場合に発音するブザー19とが接続されている。
【0038】
CPU6は、メモリ7に格納されているプログラムを実行することにより、インターフェイス9を介して接続された各要素3、4A〜4F、5、10〜19を制御し、後述する拡張締日登録処理、拡張締日取消処理、拡張締日登録確認処理、打刻処理等を行う。なお、CPU6は、記録位置特定手段、勤怠処理集計処理手段、IDコード登録手段、IDコード取消手段および基準日切替手段の具体例である。
【0039】
メモリ7には、各種設定情報を記録する設定情報記録領域が設けられている。設定情報には、日付切換時刻、標準締日および拡張締日が含まれる。
【0040】
日付切換時刻は「0時00分〜23時59分」で設定が可能で、設定された時刻に従いタイムレコーダ1の内部処理日付が切換えられる。例えば、日付切換時刻を5:00に設定すれば、10日の4:59まではカレンダー上は既に11日でも10日の処理扱いになり、5:00以降になると11日として処理が行われる。
【0041】
標準締日および拡張締日は互いに独立した2つの締日である。締日は、勤怠管理期間を特定する基準日である。勤怠管理期間は通常1ヶ月の期間であり、締日はこの1ヶ月の期間の最終日である。すなわち、締日はタイムレコーダ1の内部における月の区切り日を示すものである。タイムカード40の表面記録領域42Aおよび裏面記録領域42Bの双方を使用して1ヶ月分の打刻情報の記録を行うタイムカード40では、締日によりタイムカード40の表面記録領域42A、裏面記録領域42Bに対して、割り当てるべき日付が決まる。例えば、月末締めの場合は、1〜15日が表面記録領域42Aに割り当てられ、これらの日付についての打刻情報を記録すべき位置は表面記録領域42A内となる。そして、16〜31日が裏面記録領域42Bに割り当てられ、これらの日付についての打刻情報を記録すべき位置は裏面記録領域42Bとなる。また、20日締めの場合には、21〜4日が表面記録領域42Aに割り当てられ、これらの日付についての打刻情報を記録すべき位置は表面記録領域42A内となる。そして、5〜20日が裏面記録領域42Bに割り当てられ、これらの日付についての打刻情報を記録すべき位置は裏面記録領域42Bとなる。
【0042】
標準締日および拡張締日は例えば職場の管理者等が任意に互いに別々に設定、変更することができる。例えば、職場で雇用形態等に応じて月末締めと20日締めを採用する場合には、標準締日を月末を示す「31」に設定し、拡張締日を20日を示す「20」に設定する。標準締日および拡張締日の設定は、例えばタイムレコーダ1の動作モードを、設定情報の入力等を行う設定モードに切り換えた後、キー3A〜3Fを操作することにより行うことができる。設定モードに切り換えたときには、キー3A〜3Fの機能が、出退勤指定モードの指定から設定情報の入力に切り替わる。また、タイムレコーダ1の出荷時には、標準締日の初期値として例えば「31」が設定され、拡張締日の初期値として例えば「20」が設定されており、管理者等がこれら締日の設定入力操作を行わない場合には、これら締日の初期値に基づいて後述する打刻処理等が行われる。
【0043】
また、メモリ7には、図3に示すIDコード登録テーブル30を記憶するテーブル記憶領域が設けられている。IDコード登録テーブル30には、拡張締日(拡張勤怠管理期間)が適用されるタイムカード40のIDコード41が記憶される。拡張締日が適用されるタイムカード40のIDコード41は、後述の拡張締日登録処理において、管理者等の操作により登録(IDコード登録テーブル30への記憶)をすることができる。また、拡張締日が適用されるタイムカード40のIDコード41は、後述の拡張締日取消処理において、管理者等の操作により登録取消(IDコード登録テーブル30からの消去)をすることができる。また、拡張締日が適用されるタイムカード40のIDコード41は、IDコード登録テーブル30において昇順に並べられて記憶される。
【0044】
また、IDコード登録テーブル30には例えば100個のIDコード41を記憶することができる。そして、IDコード41は例えば1バイトのデータである。これにより、最大256人の職員のうち100人分のタイムカード40について拡張締日を適用することができる。最大256人の職員のうち100人分のタイムカード40について拡張締日を適用することができれば、小規模な企業における勤怠管理に十分に対応することができる。また、この場合、IDコード登録テーブル30のために費やされるメモリ7の記憶領域は100バイトにすぎず、それゆえ、メモリ7の容量を小さくすることができる。
【0045】
なお、本発明では、標準締日と、2つ以上の拡張締日とを設けることも可能である。例えば、月末締めの標準締日と20日締めの拡張締日に加え、15日締め、25日締めにそれぞれ対応する第2、第3の拡張締日を設定情報としてメモリ7の設定情報記憶領域に記憶し、これら3つの拡張締日に対応する3つのIDコード登録テーブル30をテーブル記憶領域に記憶してもよい。もっとも、小規模な企業においては、本実施形態で示すように、標準締日と1つの拡張締日を設ければ十分であることが多い。拡張締日を1つにすることにより、メモリ7の容量を小さくすることができる。
【0046】
さらに、メモリ7には、勤怠情報を記憶する勤怠情報記憶領域が設けられている。勤怠情報は、IDコード41と、打刻日付と、打刻時刻と、出勤1/出勤2/退勤1/退勤2/特別日/徹夜等の出退勤区分とから構成され、打刻日付、打刻時刻および出退勤区分については、少なくとも当日のものと、前日のものを含んでいる。また、メモリ7には、複数のタイムカード(複数の登録者)にそれぞれ対応する複数の勤怠情報が記憶されており、これら複数の勤怠情報はIDコード41により識別することができる。
【0047】
図4はタイムカード40を示している。図5はタイムカード40に記録された拡張締日登録マークを示し、図6はタイムカード40に記録された拡張締日取消マークを示している。図4に示すように、タイムカード40には固有のIDコード41が付加されている。IDコード41はタイムカード40ごとに異なる。IDコード41は表面コード41Aと裏面コード41Bとに分割され、表面コード41Aはタイムカード40の表面40Aの横端部に黒帯からなるバーコードとして印刷され、裏面コード41Bはタイムカード40の裏面40Bの横端部に黒帯からなるバーコードとして印刷されている。表面コード41Aは表面コードセンサ11により読み取られ、裏面コード41Bは裏面コードセンサ12により読み取られ、それぞれ読み取られた表面コード41Aおよび裏面コード41BはCPU6により合成され、IDコード41となる。
【0048】
また、タイムカード40の表面40Aには前半の半月分の打刻情報等を記録する表面記録領域42Aが設けられ、裏面40Bには後半の半月分の打刻情報等を記録する裏面記録領域42Bが設けられている。各記録領域42A、42B内は、各日に対応する記録段43、および「出勤1」、「出勤2」、「退勤1」、「退勤2」に対応する記録欄44が設けられている。
【0049】
さらに、表面記録領域42A内の下部には、拡張締日登録マーク45(図5参照)を記録するための空白欄47が設けられている。後述の拡張締日登録処理においてタイムカード40のIDコード41がIDコード登録テーブル30に登録されたときには、図5に示すような拡張締日登録マーク45が空白欄47内に記録される。例えば拡張締日が20日締めを示す「20」である場合には拡張締日登録マーク45として「シメビ 20日」と記録される。なお、拡張締日登録マーク45はこれに限らず、「S1」、「し2」等のより単純な文字、数字、記号等でもよい。また、一旦登録されたタイムカード40のIDコード41が後述の拡張締日取消処理においてIDコード登録テーブル30から消去されたときには、図6に示すような拡張締日取消マーク46が拡張締日登録マーク45上に記録(上書き)される。なお、拡張締日取消マーク46は取消線(横線)に限らず、×印や「トリケシ」等でもよい。
【0050】
このような構成を有するタイムレコーダ1によれば、標準締日に対応した打刻情報の記録と、拡張締日に対応した打刻情報の記録とを単一のタイムレコーダ1により行うことができる。例えば職員200人のうち、20日締めの職員が75人で、その他の125人の職員が月末締めである職場である場合、標準締日として月末締めを示す「31」を設定し、拡張締日として20日締めを示す「20」を設定する(この場合は初期値のままでもよい)。そして、例えば当該職場の管理者は、タイムレコーダ1の動作モードを拡張締日登録モードにし、20日締めの職員75人にそれぞれ割り当てられた75枚のタイムカード40をタイムレコーダ1に順次差し込み、各タイムカード40のIDコード41をIDコード登録テーブル30に記憶させる(拡張締日登録処理)。また、雇用形態の変更等により、今まで20日締めだった職員の一部が月末締めになった場合には、職場の管理者は、タイムレコーダ1の動作モードを拡張締日取消モードにし、月末締めになった職員に割り当てられたタイムカード40をタイムレコーダ1に順次差し込み、各タイムカード40のIDコード41をIDコード登録テーブル30から消去する(拡張締日取消処理)。また、タイムレコーダ1の動作モードを拡張締日登録確認モードにすることにより、管理者はIDコード登録テーブル30に登録されているIDコード41を確認することができる(拡張締日登録確認処理)。
【0051】
また、各職員が出退勤時にタイムカード40をタイムレコーダ1に差し込んで打刻をするときには、タイムレコーダ1は、差し込まれたタイムカード40のIDコード41と一致するIDコード41がIDコード登録テーブル30に記憶されている場合には、打刻情報の当該タイムカード40の記録領域42A、42B内における記録位置を拡張締日に従って特定して当該打刻情報の当該タイムカード40への記録を行う。一方、差し込まれたタイムカード40のIDコード41と一致するIDコード41がIDコード登録テーブル30に記憶されていない場合には、タイムレコーダ1は、打刻情報の当該タイムカード40の記録領域42A、42B内における記録位置を標準締日に従って特定して当該打刻情報の当該タイムカード40への記録を行う(打刻処理)。
【0052】
以下、タイムレコーダ1による拡張締日登録処理、拡張締日取消処理、拡張締日登録確認処理および打刻処理について詳細に説明する。
【0053】
(拡張締日登録処理)
図7はタイムレコーダ1における拡張締日登録処理を示している。タイムレコーダ1は電源を投入すると、タイムレコーダ1の各動作モードの設定や各部のチェック等の各種の初期処理を実行後、待機状態となる。待機状態では、カード検知センサ10による各種カードの挿入の検知、キー3A〜3Fの押下検知、ケース開検知センサ15によるケース開の検知、の各状態を監視し、検知された場合にはそれぞれ所定の処理を行う。
【0054】
待機状態において、管理者等が拡張締日登録、拡張締日取消および拡張締日登録確認、標準締日および拡張締日の設定を含む各種設定を行うときには、タイムカード40とは別の設定カード(図示せず)を用いてタイムレコーダ1の動作モードを設定モードにする。設定カードには特殊なIDコードが付加されている。設定カードがカード差込口2に差し込まれると、カード検知センサ10がこれを検知し、表面コードセンサ11および裏面コードセンサ12が当該設定カードに付加された特殊なIDコードを読み取る。CPU6は読み取られた特殊なIDコードを認識し、これに応じてタイムレコーダ1の動作モードを設定モードに切り換える。このとき、表示器5には設定モード固有の符号パターンが表示されると共に、出退勤モード指定キー群3A〜3Fの機能が出退勤モードの指定から設定項目の指定に切り替わる。
【0055】
そして、図7中のステップS1において、タイムレコーダ1のCPU6は、キー3A〜3Fの押下をチェックし、キーの押下があればステップS2に進む。押下がなければ、キー押下を待ち続ける。
【0056】
ステップS2にて、押下されたキーの種別を判定し、押下されたキーが出1キー3BならステップS3に進み、拡張締日登録モードとなり、拡張締日登録処理を行う。また、押下されたキーが退1キー3Cの場合はAにジャンプして拡張締日取消モードとなり、図8に示す拡張締日取消処理を行う。また、押下されたキーが出2キー3Dの場合はBにジャンプして拡張締日登録確認モードとなり、図9に示す拡張締日登録確認処理を行う。また、押下されたキーが他のキーの場合には、所定の設定処理(例えば標準締日および拡張締日の設定など)を行うが、ここでの説明は省略する。
【0057】
出1キー3Bが押下された場合は、ステップS3において、拡張締日登録モード固有の符号パターンと、設定された拡張締日と、現段階においてIDコード登録テーブル30に登録されたIDコードの個数(登録件数)を表示器5に表示すると共に、設定カードを排出する。ここで、設定された拡張締日と登録件数が表示されるので、管理者は登録状況を容易に確認でき、登録間違いの防止に繋がる。
【0058】
続いて、ステップS4において、キー3A〜3Fの押下をチェックし、キーの押下があれば拡張締日登録モードおよび設定モードを終了し、ステップS14において待機状態に戻る。キーの押下がなければ、ステップS5に進む。
【0059】
管理者等は、拡張締日を適用するタイムカード40のIDコード41を登録するためにタイムカード40をカード差込口2に差し込む。ステップS5において、この管理者によるタイムカード40の差込をカード検知センサ10により検知する。タイムカード40の差込を検知した場合はステップS6へ移行する。タイムカード40の差込が検知されないときは、ステップS4に戻って、キー押下検知とカード挿入検知を繰り返しながら、操作待ち状態を続ける。
【0060】
ステップS6ではタイムカード引込処理を行う。タイムカード引込処理では、タイムカード40を引き込みながら、表面コードセンサ11と裏面コードセンサ12により、タイムカード40の表面40Aに印刷された表面コード41A、および裏面40Bに印刷された裏面コード41Bを読み取る。そして、タイムカード40の引込が終了したら、タイムカード40をその位置に保持する。
【0061】
次に、ステップS7ではIDコード抽出処理を行う。IDコード抽出処理では、ステップS6にて読取られた表面コード41Aおよび裏面コード41Bを判読・合成して、タイムカード40のIDコード41を抽出する。IDコード41の抽出結果より、タイムカード以外の設定カード等だったり、IDコードのないカードだった場合には以降の処理が異なるが、ここでは説明を省略する。
【0062】
続いて、ステップS8において、IDコード41が登録済みか否かを判定する。すなわち、ステップS7にて抽出したIDコード41とIDコード登録テーブル30に記憶されたIDコード41とを比較し、ステップS7にて抽出したIDコード41と一致するIDコード41がIDコード登録テーブル30に記憶されていたときには、ステップS7にて抽出したIDコード41が既に登録済みであると判定し、ステップS12へ移行する。一方、ステップS7にて抽出したIDコード41と一致するIDコード41がIDコード登録テーブル30に記憶されていないときには、ステップS7にて抽出したIDコード41が未登録であると判定し、ステップS9に移行する。
【0063】
ステップS9では、ステップS7にて抽出したIDコード41をIDコード登録テーブル30に記憶することにより、IDコード41の登録を行う。このとき、今、登録したばかりのIDコード41を含め、IDコード登録テーブル30に記憶されたIDコード41をこれらが昇順となるように並び変える。
【0064】
続いて、ステップS10において、タイムカード40の表面40Aの空白欄47に、図5に示すように、拡張締日登録マーク45として「シメビ 20日」をドットプリンタ18により記録(印字)する。
【0065】
続いて、ステップS11において、表示器5の登録件数表示を1増加させる。ここで、1件のIDコード登録が完了する。管理者等は、表示器5に表示された登録件数の増加を見ることにより、登録が正常に完了したことを確認することができる。
【0066】
続いて、ステップS13に移行し、タイムカード40を排出し、さらにステップS4に戻って、キー押下検知とカード挿入検知を繰り返しながらの操作待ち状態に移行する。(次のカード挿入またはキー入力による終了の操作待ち。)
一方、ステップS8において、タイムカード40から抽出したIDコード41が既に登録済みであると判定した場合には、ステップS12においてエラー報知を出力する。具体的には、所定時間、ブザー19を吹鳴し、エラーコード「E−20」を表示器5に表示する。
【0067】
続いて、ステップS13においてタイムカード40を排出した後、ステップS4に戻り、キー押下検知とカード挿入検知を繰り返しながらの操作待ち状態に移行する。
【0068】
拡張締日登録処理により、拡張締日が適用されるタイムカード40のIDコード41を、当該タイムカード40をカード差込口2に差し込むという簡単な操作により正確に登録することができる。
【0069】
(拡張締日取消処理)
図8はタイムレコーダ1における拡張締日取消処理を示している。上述したように、図7中のステップS2において退1キー3Cが押下された場合には、拡張締日取消モードとなり、図8に示す拡張締日取消処理を開始する。
【0070】
まず、ステップS21において、表示器5に、拡張締日取消モード固有の符号パターンと、設定された拡張締日と、現段階においてIDコード登録テーブル30に登録されたIDコードの個数(登録件数)を表示器5に表示すると共に、設定カードを排出する。
【0071】
続いて、ステップS22において、キー3A〜3Fの押下をチェックし、キーの押下があれば拡張締日取消モードおよび設定モードを終了し、ステップS32において待機状態に戻る。キーの押下がなければ、ステップS23に進む。
【0072】
ステップS23において、管理者によるタイムカード40の差込をカード検知センサ10により検知する。タイムカード40の差込を検知した場合はステップS24へ移行する。タイムカード40の差込が検知されないときは、ステップS22に戻って、キー押下検知とカード挿入検知を繰り返しながら、操作待ち状態を続ける。
【0073】
ステップS24およびステップS25では、拡張締日登録処理と同様にタイムカード引込処理およびIDコード抽出処理を行う。すなわち、タイムカード40を引き込み、タイムカード40から表面コード41Aおよび裏面コード41Bを読み取り、IDコード41を抽出する(図7中のステップS6、S7参照)。
【0074】
続いて、ステップS26において、IDコード41が登録済みか否かを判定する。すなわち、ステップS25にて抽出したIDコード41とIDコード登録テーブル30に記憶されたIDコード41とを比較し、ステップS25にて抽出したIDコード41と一致するIDコード41がIDコード登録テーブル30に記憶されていないときには、ステップS25にて抽出したIDコード41が未登録であると判定し、ステップS30に移行する。一方、ステップS25にて抽出したIDコード41と一致するIDコード41がIDコード登録テーブル30に記憶されていたときには、ステップS25にて抽出したIDコード41が既に登録済みであると判定し、ステップS27に移行する。
【0075】
ステップS27では、ステップS25にて抽出したIDコード41と一致するIDコード41をIDコード登録テーブル30から消去することにより、当該IDコード41の登録を取り消す。当該IDコード41の消去後、IDコード登録テーブル30に記憶されたIDコード41をこれらが昇順となるように並び変える。
【0076】
続いて、ステップS28において、図6に示すように、タイムカード40の表面40Aの空白欄47に記録された拡張締日登録マーク45(「シメビ 20日」)に、拡張締日取消マーク46として取消線を上書きする。
【0077】
続いて、ステップS29において、表示器5の登録件数表示を1減少させる。ここで、1件のIDコード取消が完了する。管理者等は、表示器5に表示された登録件数の減少を見ることにより、取消が正常に完了したことを確認することができる。
【0078】
続いて、ステップS31に移行し、タイムカード40を排出し、さらにステップS22に戻って、キー押下検知とカード挿入検知を繰り返しながらの操作待ち状態に移行する。(次のカード挿入またはキー入力による終了の操作待ち。)
一方、ステップS26において、タイムカード40から抽出したIDコード41が未登録であると判定した場合には、ステップS30においてエラー報知を出力する。具体的には、所定時間、ブザー19を吹鳴し、エラーコード「E−21」を表示器5に表示する。
【0079】
続いて、ステップS31においてタイムカード40を排出した後、ステップS22に戻り、キー押下検知とカード挿入検知を繰り返しながらの操作待ち状態に移行する。
【0080】
拡張締日取消処理により、拡張締日が適用されるタイムカード40のIDコード41の登録取消を、当該タイムカード40をカード差込口2に差し込むという簡単な操作により正確に行うことができる。
【0081】
(拡張締日登録確認処理)
図9はタイムレコーダ1における拡張締日登録確認処理を示している。上述したように、図7中のステップS2において出2キー3Dが押下された場合には、拡張締日登録確認モードとなり、図9に示す拡張締日登録確認処理を開始する。
【0082】
まず、ステップS41において、表示器5に、拡張締日登録確認モード固有の符号パターンと、設定された拡張締日と、現段階においてIDコード登録テーブル30に登録されたIDコードの個数(登録件数)を表示器5に表示すると共に、設定カードを排出する。
【0083】
続いて、ステップS42において、キー3A〜3Fの押下をチェックし、キーの押下があればステップS43に進む。キーの押下がなければ、直前に戻ることにより、キー押下を待ち続ける。
【0084】
そして、ステップS43において、押下されたキーの種別を判定し、押下されたキーが退2キー3EならステップS44に進み、ステップS44にてIDコード登録テーブル30の最初に記憶されているIDコード41を表示器5に表示し、ステップS46に進む。
【0085】
一方、ステップS43の判定の結果、押下されたキーが出2キー3DならステップS45に進み、ステップS45にてIDコード登録テーブル30の最後に記憶されているIDコード41を表示器5に表示し、ステップS46に進む。
【0086】
また、ステップS43の判定の結果、押下されたキーが他のキーの場合には、ステップS42に戻り、再度のキー押下を待つ。
【0087】
続いて、ステップS46において、キー3A〜3Fの押下をチェックし、キーの押下があればステップS47に進む。キーの押下がなければ、直前に戻ることにより、キー押下を待ち続ける。
【0088】
ステップS47において、押下されたキーの種別を判定し、押下されたキーが退2キー3EならステップS48に進み、ステップS48にて、IDコード登録テーブル30において、表示器5に現在表示されているIDコード41の次に記憶されているIDコード41を表示器5に表示することによりIDコード41の表示変更を行う。ただし、現在表示されているIDコード41がIDコード登録テーブル30において最後のIDコード41である場合には、表示変更は行わない。その後、ステップS46に戻る。ステップS46、S47およびS48の処理が繰り返されることにより、IDコード登録テーブル30に記憶されたIDコード41が表示器5に昇順表示される。
【0089】
一方、ステップS47の判定の結果、押下されたキーが出2キー3DならステップS49に進み、ステップS49にて、IDコード登録テーブル30において、表示器5に現在表示されているIDコード41の前に登録されているIDコード41を表示器5に表示することにより、IDコード41の表示変更を行う。ただし、現在表示されているIDコード41がIDコード登録テーブル30において最初のIDコード41である場合には、表示変更は行わない。その後、ステップS46に戻る。ステップS46、S47およびS49の処理が繰り返されることにより、IDコード登録テーブル30に記憶されたIDコード41が表示器5に降順に表示される。
【0090】
また、ステップS47の判定の結果、押下されたキーが徹夜キー3Fなら拡張締日登録確認モードおよび設定モードを終了し、ステップS50にて待機状態に戻る。
【0091】
ステップS47の判定の結果、押下されたキーがその他のキーの場合はS46に戻り、再度キーが押下されるのを待つ。
【0092】
拡張締日登録確認処理により、タイムカード40を用いずに、キー操作だけで、現在拡張締日の登録されたIDコード41をすべて確認することができる。
【0093】
(打刻処理)
図10はタイムレコーダ1における打刻処理を示している。待機状態において、操作者が打刻するためにタイムカード40をカード差込口2に差し込むと、カード検知センサ10がこれを検知し、打刻処理が開始される。
【0094】
なお、当日1回目の出勤の打刻を行う操作者は出1キー3Bを押下してからタイムカード40をカード差込口2に差し込む。また、当日1回目の退勤の打刻を行う操作者は退1キー3Cを押下してからタイムカード40をカード差込口2に差し込む。また、当日2回目の出勤の打刻を行う操作者は出2キー3Dを押下してからタイムカード40をカード差込口2に差し込む。また、当日2回目の退勤の打刻を行う操作者は退2キー3Eを押下してからタイムカード40をカード差込口2に差し込む。さらに、徹夜勤務等により日付変更後の深夜または早朝において退勤の打刻をする操作者は徹夜キー3Fを押下してからタイムカード40をカード差込口2に差し込む。また、タイムレコーダ1は出退勤自動識別機能を有しているため、操作者がキー3B〜3Eを押下せずにタイムカード40をカード差込口2に差し込んだ場合でも、当該操作者の勤怠情報に基づいて、打刻が当日1回目の出勤打刻か、当日1回目の退勤打刻か、当日2回目の出勤打刻か、当日2回目の退勤打刻かが自動的に判断される。
【0095】
さて、図10中のステップS61においてタイムカード引込処理を行う。タイムカード引込処理では、カード搬送モータ17を駆動してタイムカード40を引き込む。そして、タイムカード40を引き込みながら、表面コードセンサ11と裏面コードセンサ12により、タイムカード40の表面40Aに印刷された表面コード41A、および裏面40Bに印刷された裏面コード41Bを読み取る。そして、タイムカード40の引込が終了したら、タイムカード40をその位置に保持する。
【0096】
次に、ステップS62ではIDコード抽出処理を行う。IDコード抽出処理では、ステップS61にて読み取られた表面コード41Aおよび裏面コード41Bを判読・合成して、タイムカード40のIDコード41を抽出する。IDコード41の抽出結果より、タイムカード以外の設定カード等だったり、IDコードのないカードだった場合には以降の処理が異なるが、ここでは説明を省略する。
【0097】
続いて、ステップS63において、抽出したIDコード41に対応するIDコードが含まれる勤怠情報をメモリ7の勤怠情報記憶領域から読み出し、これを例えばCPU6の作業領域としてメモリ7内に設けられた一時記憶領域に一時的に記憶する。
【0098】
続いて、ステップS64において、内部処理日付を算出する。内部処理日付の算出は、メモリ7の設定情報記憶領域に記憶された日付切換時刻と、時計回路16により特定された現在時刻とを比較することにより行うことができる。
【0099】
続いて、ステップS65では、上述したステップS62にて抽出したIDコード41が登録済みか否かを判定する。具体的には、ステップS62にて抽出したIDコード41と一致するIDコード41がIDコード登録テーブル30に記憶されているかどうかを判定する。
【0100】
抽出したIDコード41と一致するIDコード41がIDコード登録テーブル30に記憶されていない場合には、当該IDコード41が登録済みでないと判定し、ステップS66において、標準締日を適用して打刻情報を記録すべき記録位置を特定する。具体的には、メモリ7の設定情報記憶領域に記憶されている標準締日を参照すると共に、この標準締日と、ステップS64において算出した内部処理日付との関係を調べる。例えば、標準締日が月末締めを示す「31」であり、内部処理日付が5日である場合には、打刻情報を記録すべき記録位置は、タイムカード40の表面記録領域42A内の上から5段目の記録段となる。そして、当該記録段における記録欄は、タイムカード40差込前の当該操作者によるキー3A〜3Fの操作、または出退勤自動識別機能により特定される。
【0101】
一方、ステップS65の判定の結果、ステップS62にて抽出したIDコード41と一致するIDコード41がIDコード登録テーブル30に記憶されている場合には、当該IDコード41が登録済みであると判定し、ステップS67において、拡張締日を適用して打刻情報を記録すべき記録位置を特定する。具体的には、メモリ7の設定情報記憶領域に記憶されている拡張締日を参照すると共に、この拡張締日と、ステップS64において算出した内部処理日付との関係を調べる。例えば、拡張締日が20日締めを示す「20」であり、内部処理日付が5日である場合には、打刻情報を記録すべき記録位置は、タイムカード40の裏面記録領域42B内の1段目の記録段となる。そして、当該記録段における記録欄は、タイムカード40差込前の当該操作者によるキー3A〜3Fの操作、または出退勤自動識別機能により特定される。
【0102】
上記打刻情報の記録位置を特定した後、ステップS68においてタイムカード40の表裏を判定する。すなわち、打刻情報を記録すべき記録位置が表面記録領域42A内であるにもかかわらず、現在カード差込口2に引き込まれているタイムカード40にドットプリンタ18により情報が記録され得る面がタイムカード40の裏面40Bである場合、または、打刻情報を記録すべき記録位置が裏面記録領域42B内であるにもかかわらず、現在カード差込口2に引き込まれているタイムカード40にドットプリンタ18により情報が記録され得る面がタイムカード40の表面40Aである場合には、ステップS74に移行し、所定時間、ブザー19を吹鳴し、エラーコード「E−01」を表示器5に表示し、タイムカード40の表裏をひっくり返して打刻をやり直すべき旨を当該操作者に知らせる。そして、ステップS72でタイムカード40を排出し、ステップS73で打刻処理を終了して待機状態に戻る。
【0103】
一方、ステップS68におけるタイムカード40の表裏判定の結果、打刻情報を記録すべき記録位置が表面記録領域42A内であり、かつ現在カード差込口2に引き込まれているタイムカード40にドットプリンタ18により情報が記録され得る面がタイムカード40の表面40Aである場合、または、打刻情報を記録すべき記録位置が裏面記録領域42B内であり、かつ現在カード差込口2に引き込まれているタイムカード40にドットプリンタ18により情報が記録され得る面がタイムカード40の裏面40Bである場合には、ステップS69に移行する。
【0104】
続いて、ステップS69においてタイムカード戻し搬送処理を行う。タイムカード戻し搬送処理では、タイムカード40を引込終了時の保持位置から印字段まで搬送し、保持する。このようなタイムカード40の搬送は、カード搬送モータ17を反転駆動し、エンコーダ用センサ13により搬送量を検出することにより行うことができる。
【0105】
続いて、ステップS70において、時計回路16により特定された現在時刻を、ドットプリンタ18により上記記録位置へ打刻情報として記録する。このとき、出退勤モード指定の選択状態によっては日付や例外マークを時刻と一緒にタイムカード40に記録する。
【0106】
続いて、ステップS71にて、今回の打刻についてのIDコード41、打刻日付、打刻時刻および出退勤区分をメモリ7の勤怠情報記憶領域に勤怠情報として記憶する。
【0107】
続いて、ステップS72においてタイムカード40を排出する。これで打刻処理を終了し、ステップS73にて待機状態に戻る。
【0108】
このように、本実施形態によるタイムレコーダ1の打刻処理によれば、タイムカード40に一般的に付加されている固有のIDコード41を利用して、複数の締日に対応した打刻情報の記録を簡単な構成により行うことができる。
【0109】
なお、本実施形態において、1つのタイムカード40についての拡張締日登録および取消は1回に限らず、何回も繰り返し行うことができる。ただし、登録、取消の繰返回数を増やすために、タイムカード40の空白欄47の面積を大きくするか、拡張締日登録マーク45を小さくし、拡張締日登録、取消の繰返に応じ、拡張締日取消マーク46が上書きされた拡張締日登録マーク45を空白欄47に並べて記録すると共に、最新の拡張締日登録マーク45をさらに追記することができるようにすることが望ましい。
【0110】
また、上述した本発明の実施形態によるタイムレコーダ1に、メモリ7の勤怠情報記憶領域に記憶された勤怠情報(この場合、1ヶ月分の打刻情報等を勤怠情報としてメモリ7に蓄積する)を用いて勤怠集計処理を行う機能を追加することができる。この場合、タイムレコーダ1は、カード差込口2に差し込まれたタイムカード40から読み取られたIDコード41がIDコード登録テーブル30に記憶されたIDコード41と一致するときには拡張締日に基づいて勤怠集計処理を行い、タイムカード40から読み取られたIDコード41がIDコード登録テーブル30に記憶されたIDコード41と一致しないときには、標準締日に基づいて勤怠集計処理を行う。これにより、タイムカード40に一般的に付加されている固有のIDコード41を利用して、複数の締日に対応した勤怠集計を簡単な構成により行うことができる。
【0111】
また、本発明は、上述したようなタイムカードに打刻情報を記録するタイプのタイムレコーダに限らず、ICカードにより打刻を行い、打刻情報を内部メモリに記録するタイプのタイムレコーダ、生体認証により打刻を行い、打刻情報を内部メモリに記録するタイプのタイムレコーダ等にも適用することができる。ICカードにより打刻を行い、打刻情報を内部メモリに記録するタイプのタイムレコーダの場合には、IDコードはICカードに付加されており、打刻情報を記録する記録媒体はタイムレコーダの内部メモリである。また、生体認証により打刻を行い、打刻情報を内部メモリに記録するタイプのタイムレコーダの場合には、IDコードは例えば指紋、網膜、虹彩、静脈、顔形、声紋等であり、打刻情報を記録する記録媒体はタイムレコーダの内部メモリである。
【0112】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うタイムレコーダもまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0113】
1 タイムレコーダ
2 カード差込口
6 CPU
7 メモリ
10 カード検知センサ
16 時計回路
18 ドットプリンタ
30 IDコード登録テーブル
40 タイムカード
41 IDコード
45 拡張締日登録マーク
46 拡張締日取消マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に打刻情報を記録するタイムレコーダであって、
IDコードを読み取るIDコード読取手段と、
時刻および日付を特定する日時特定手段と、
前記日時特定手段により特定された時刻を打刻情報として前記記録媒体に記録する打刻情報記録手段と、
標準勤怠管理期間を特定する標準基準日、および少なくとも1つの拡張勤怠管理期間を特定する拡張基準日を含む設定情報を記憶する設定情報記憶手段と、
前記拡張勤怠管理期間を適用するIDコードを記憶するIDコード記憶手段と、
前記IDコード読取手段により読み取られたIDコードが前記IDコード記憶手段に記憶されたIDコードと一致するときには前記拡張基準日を採用し、前記IDコード読取手段により読み取られたIDコードが前記IDコード記憶手段に記憶されたIDコードと一致しないときには前記標準基準日を採用する基準日切替手段を備えたタイムレコーダ。
【請求項2】
記録領域を有すると共に固有のIDコードが付加されたタイムカードに打刻情報を記録するタイムレコーダであって、
前記タイムカードを差し込むカード挿入口と、
前記カード挿入口への前記タイムカードの挿入を検知するカード検知手段と、
前記カード挿入口へ挿入されたタイムカードから前記IDコードを読み取るIDコード読取手段と、
時刻および日付を特定する日時特定手段と、
前記日時特定手段により特定された時刻を打刻情報として記録すべき前記タイムカードの記録領域内における記録位置を特定する記録位置特定手段と、
前記記録位置特定手段により特定された記録位置に前記打刻情報を記録する打刻情報記録手段と、
標準勤怠管理期間を特定する標準基準日、および少なくとも1つの拡張勤怠管理期間を特定する拡張基準日を含む設定情報を記憶する設定情報記憶手段と、
前記拡張勤怠管理期間を適用するタイムカードのIDコードを記憶するIDコード記憶手段とを備え、
前記記録位置特定手段は、前記タイムカードから読み取られた前記IDコードが前記IDコード記憶手段に記憶されたIDコードと一致するときには、前記日時特定手段により特定された日付と前記拡張基準日との関係に従って前記記録位置を特定し、前記タイムカードから読み取られた前記IDコードが前記IDコード記憶手段に記憶されたIDコードと一致しないときには、前記日時特定手段により特定された日付と前記標準基準日との関係に従って前記記録位置を特定するタイムレコーダ。
【請求項3】
前記IDコード記憶手段に記憶されていないIDコードが付加されたタイムカードが前記カード挿入口に挿入されたとき、前記IDコード読取手段により当該タイムカードから前記IDコードを読み取り、当該読み取ったIDコードを前記IDコード記憶手段に記憶するIDコード登録手段を備えている請求項2に記載のタイムレコーダ。
【請求項4】
前記IDコード登録手段は、前記拡張勤怠管理期間が適用されることまたは前記拡張基準日を示す文字、数字、記号またはマークを前記タイムカードの記録領域内に記録する登録表示記録手段を備えている請求項3に記載のタイムレコーダ。
【請求項5】
前記IDコード記憶手段に記憶されているIDコードが付加されたタイムカードが前記カード挿入口に挿入されたとき、当該タイムカードに付加されたIDコードを前記IDコード読取手段により読み取ることにより特定し、当該特定されたIDコードを前記IDコード記憶手段から消去するIDコード取消手段を備えている請求項2ないし4のいずれかに記載のタイムレコーダ。
【請求項6】
前記IDコード取消手段は、前記IDコードが前記IDコード記憶手段から消去されたことを示す文字、数字、記号またはマークを前記タイムカードの記録領域内に記録する取消表示記録手段を備えている請求項5に記載のタイムレコーダ。
【請求項7】
前記タイムカードに記録した打刻情報を含む勤怠情報を記憶する勤怠情報記憶手段と、
前記カード挿入口に挿入された前記タイムカードにつき、前記勤怠記憶手段に記憶された勤怠情報に基づいて勤怠集計処理を行う勤怠集計処理手段とを備え、
前記勤怠集計処理手段は、前記カード挿入口に挿入されたタイムカードから読み取られた前記IDコードが前記IDコード記憶手段に記憶されたIDコードと一致するときには前記拡張基準日に基づいて勤怠集計処理を行い、前記タイムカードから読み取られた前記IDコードが前記IDコード記憶手段に記憶されたIDコードと一致しないときには、前記標準基準日に基づいて勤怠集計処理を行う請求項2ないし6に記載のタイムレコーダ。
【請求項8】
前記標準基準日は前記標準勤怠管理期間の締日であり、前記拡張基準日は前記拡張勤怠管理期間の締日である請求項1ないし7のいずれかに記載のタイムレコーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−34337(P2011−34337A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179768(P2009−179768)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000101617)アマノ株式会社 (174)
【Fターム(参考)】