説明

タイヤ構成部材の成型方法及び成型装置

【課題】タイヤ構成部材の成型を精度高く行うことである。
【解決手段】
回転する成型ドラム20に帯状材料15を巻き付け、巻き付けた帯状材料15の端部同士を接合してタイヤ構成部材を成型する成型方法であって、帯状材料15をコンベアベルト30で成型ドラム20に向けて搬送する搬送工程と、コンベアベルト30を成型ドラム20に接近させて帯状材料15を成型ドラム20に巻き付ける第1の巻き付け工程と、成型ドラム20上で所定量帯状材料15を巻き付けたとき、コンベアベルト30を成型ドラム20から離隔させ、空けた領域で帯状材料15を切断する切断工程と、切断した帯状材料15を保持して成型ドラム20に移送して巻き付ける第2の巻き付け工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ構成部材の成型方法及び成型装置に関し、例えばサイドゴムなどのタイヤ構成部材を成型するための材料を、所定長に自動的に切断し、成型ドラムに巻き付けて成型するタイヤ構成部材の成型方法及び成型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばタイヤ構成部材の成型は、供給装置からコンベアベルトなどで構成されるサーバで搬送されてくる材料を成型ドラムに巻き付けて行っている。
この成型工程においては、材料はカッターで成型ドラム一周分に切断され、その端部同士を接合してタイヤ構成部材に成型する。その材料の切断方式として、予めサーバ上で材料を切断した後で巻き付ける切断方式と、材料を一旦成型ドラムに巻き付け、その後ドラム上に巻き付けた状態で切断するドラム巻き付け切断方式とが知られている。
【0003】
この両方式を対比すると、サーバ上で材料を切断する場合は、材料を切断位置にセットする精度はドラム巻き付け切断方式より相対的に高いが、切断した後に材料を成型ドラムに巻き付けるため、切断からドラム巻き付けの間に、材料が元々持っている湾曲特性が復元する傾向があり、また、切断面近傍では切断された材料が収縮し易くその長さが変動する。そのため成型ドラム上で行う材料の端部同士のジョイント精度はドラム巻き付け切断方式より相対的に低くなる傾向がある。
【0004】
他方、ドラム巻き付け切断方式では、材料を成型ドラムに巻き付けた状態で切断するため、切断位置の位置決め精度は前記切断方式より相対的に劣る一方、材料を切断した直後にドラムに巻き付けるため、切断後の寸法誤差は比較的少なくジョイント精度は相対的に高くなる。しかし、この場合でも材料を切断した後、成型ドラムに巻き付けるまでは、材料、とくにその材料の切断端部は拘束を受けないため収縮しやすく寸法変化が生じる虞がある。
【0005】
また、コンベアベルトと成型ドラム間に隙間があると、そこでは材料は位置保持されないため、蛇行などが起き易く位置ズレが発生する虞がある。
そのため、コンベアベルトと成型ドラム間の距離は接近していればいる程好ましい。
【0006】
ところで、帯状材料を切断する場合、切断後速やかに成型ドラムに巻き付けるためには、切断はできるだけ成型ドラムに近い位置で行うことが望ましい。しかし、切断を成型ドラムの近傍で行う場合は、コンベアベルトを成型ドラム近傍から離さなければならず、コンベアベルトを成型ドラム近傍から離すと、既に説明したように、搬送中の材料が蛇行するなどして位置ズレが生じる虞が増大する。
このように従来の切断方式には、それぞれ一長一短があり、タイヤ構成部材を成型する際の寸法誤差を無くすためには更なる精度向上が望まれている。
【0007】
次に、本発明に関連すると思われる特許文献に記載された従来技術について説明する。
まず、例えば特許文献1に記載された「タイヤ組み立てドラム用フィーダ」について説明する。
特許文献1には、ドラム供給ベルトがタイヤ組立ドラム(成型ドラム)に接離し、供給兼切断装置がドラム供給ベルトの前記接離に伴って移動する構成が記載されている。
しかし、この構成は、前記予めサーバ上で材料を切断した後で巻き付ける切断方式に属するものであって、切断後に成型ドラムに巻き付ける間に材料の長さが変わることは全く考慮されていない。したがって、この装置によっては、前記課題は解決されない。
【0008】
また、特許文献2には、帯状材料をタイヤ成形ドラムに巻き付ける際に、帯状材料をタイヤ成形ドラムに搬送するアドバンサープレートをタイヤ成形ドラムに接離する構成の「タイヤ帯状材料の自動切断自動巻付け装置」が記載されている。
この装置では、アドバンサープレートが帯状材料を載せた状態でタイヤ成形ドラム側に移動しタイヤ成形ドラム上に帯状材料の先端部を供給して巻き付け、圧着装置の圧着ローラがタイヤ成形ドラム上に供給された帯状材料の先端を圧着し、この状態でタイヤ成形ドラムを所定の角度回転させながら、かつ圧着させた状態で巻き付ける。帯状材料の後端部の位置、即ち、タイヤ成形ドラムの周長に対応した長さ位置がアドバンサープレートに設けたカッター受け板上に位置すると、帯状材料の後端部を自動的に切断する。そして後端部の切断後、前記タイヤ成形ドラムを再び回転駆動し、帯状材料を圧着装置の圧着ローラで圧着しながらタイヤ成形ドラムの1周分を巻き付けて成型を終了するようになっている。
【0009】
この装置では、アドバンサープレートは帯状材料をタイヤ成形ドラムに接近させて巻き付けるが、アドバンサープレート自体は帯状材料を供給源から搬送する搬送装置を構成するものではなく、また、カッター受け板はアドバンサープレートに設けられているので、後記する本発明の切断装置とはその構成が相違している。また、後端部を切断された帯状材料は保持されることがなく、自由な状態でタイヤ成形ドラムに巻き付けられるため、切断後にその形状が変化して誤差が生じる虞がある。
したがって、特許文献2に記載された「タイヤ帯状材料の自動切断自動巻付け装置」でも、前記課題は解決されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−79955号公報
【特許文献2】特開平11 −291364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は前記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、搬送されてきたタイヤ構成部材成型用の材料を搬送装置から成型ドラムに巻き付けるまでの間、及び前記材料の後端を切断した後の巻き付けにおける位置ズレ及び寸法変動を抑制し、タイヤ構成部材の成型を精度高く行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、回転する成型ドラムに材料を巻き付け、巻き付けた材料の端部同士を接合してタイヤ構成部材を成型するタイヤ構成部材の成型方法であって、材料を搬送手段で成型ドラムに向けて搬送する搬送工程と、搬送手段を成型ドラムに接近させて材料を成型ドラムに巻き付ける第1の巻き付け工程と、成型ドラム上に所定量の材料を巻き付けたとき、搬送手段を成型ドラムから離隔させて空けた領域で材料を切断する切断工程と、切断した材料を保持して成型ドラムに移送して巻き付ける第2の巻き付け工程と、を有する。
本発明は、回転する成型ドラムに材料を巻き付け、巻き付けた材料の端部同士を接合してタイヤ構成部材を成型するタイヤ構成部材の成型装置であって、成型ドラムに材料を搬送する搬送装置と、搬送装置を成型ドラムに接近又は離隔させる手段と、搬送装置を成型ドラムから離隔させて空いた領域に配置して材料の切断を行う切断装置と、切断した材料を保持して成型ドラムに移送する保持移送装置と、を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明のタイヤ構成部材の成型方法及び成型装置によれば、搬送されてきたタイヤ構成部材成型用の材料を搬送装置から成型ドラムに巻き付けるまでの間、及び前記材料の後端を切断した後の巻き付けにおける位置ズレ及び寸法変動を抑制することができ、したがって、タイヤ構成部材の成型を精度高く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係るタイヤ構成部材の成型装置の全体を概略的に示す図である。
【図2】成型装置を構成する図1のコンベアベルトの帯状材料の供給端部を示す平面図である。
【図3】図1の切断装置及び真空吸着装置の構造を模式的に示す図である。
【図4ABCD】本実施形態に係るタイヤ構成部材の成型装置の動作を説明する模式図である。
【図4EFGH】本実施形態に係るタイヤ構成部材の成型装置の動作を説明する模式図である。
【図4IJKL】本実施形態に係るタイヤ構成部材の成型装置の動作を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に係るタイヤ構成部材の成型装置について説明する。
図1は、本実施形態に係るタイヤ構成部材の成型装置の全体を概略的に示す図である。
ここでは材料はタイヤのサイドゴムを例に採って説明する。
本実施形態に係るタイヤ構成部材の成型装置は、図示のように材料の供給源であるリールなどの帯状材料15が巻回された材料供給部10と、成型ドラム20と、材料供給部10と成型ドラム20間で、材料供給部10から繰り出された帯状材料15を搬送するコンベアベルト30と、搬送されてきた帯状材料15を切断する切断装置40と、切断した帯状材料15を成型ドラム20上に搬送する真空吸着装置50と、真空吸着装置50の移送装置60とから成っている。
なお、図示の成型装置では一系統のみ示されているが、実際には同じ成型ドラムで同時に左右のサイドゴムの巻き付け成型を行うため、図示のものと同じものが並列して備えられている。また、図示していないが、これらの各装置がシーケンシャルに動作できるように、各装置を制御する制御部が設けられている。
【0016】
ここで、材料供給部10は、例えばゴム押出機から口金を通して押し出され、所定の断面形状(ここではサイドゴムの断面形状)に成型された長尺のサイドゴム成型用の帯状材料15をリールに巻き取って保管する装置である。
成型ドラム20は従来のものと同様、図示しない回転駆動装置により回転自在に支持されており、その周長に等しい長さに切断された帯状材料を巻き付け(貼り付けて)、タイヤ構成部材、ここではタイヤのサイドゴムを成型する。
【0017】
コンベアベルト30は、図示しない例えばステッピングモータ及び減速機などから成る駆動装置で駆動される駆動ローラ31及び従動側ローラ32間に掛け渡された無端ベルトである。
従動側ローラ32は、ここでは3個のローラ32a、32b、32cから成り、ローラ32aと32bは成型ドラム20に対して例えば図示しないシリンダ機構の伸縮で移動自在な移動ローラであり、ローラ32cは例えば機枠に位置固定されたローラである。
移動ローラ32a、32bは、帯状材料15の成型ドラム20に対する巻き付け位置と、後述する帯状材料15の切断位置間で移動自在になっている。つまり移動ローラ32a、32bを移動させることで、コンベアベルト30の搬送面を成型ドラム20に近接した位置と、離隔した帯状材料15の切断装置間において往復移動することができる。
【0018】
コンベアベルト30の材料供給部10側には、図2の平面図に示すようにガイドローラ33が配置されている。このガイドローラ33は板ガイド34に向かって帯状材料15を案内するローラ群33aから成り、図示ようにコンベアベルト30の延在方向に対して傾斜して配置すると共に、帯状材料15をコンベアベルト30上に載せるときにその位置決めがし易いように、板ガイド34に向かって下降するように一端部が高く他端部が低くなるように傾斜して配置されている。
【0019】
材料供給部10から繰り出されるサイドゴム成型用の帯状材料15は、その断面形状が非対称つまりその厚み(ゲージ)が偏っているが、ガイドローラ33の作用により板ガイド34方向にガイドされて、その幅方向端部が板ガイド34に当接する。これによりコンベアベルト30に対して正しく位置決めされる。
ここで、コンベアベルト30の搬送面は粘着処理されている(例えば所望の粘着力を備えた粘着剤を塗布、或いは粘着両面テープを貼り付けたものであってもよい)。したがって、未加硫のサイドゴム成型用の帯状材料15は一旦位置決めされた後は搬送中その位置を維持することができる。
【0020】
切断装置40は、図3に示すように、板状のカッター41と、帯状材料15を切断する際に、そのカッター41の受け金となるアンビル42とから成っている。カッター41は切断刃41aを有し、例えばシリンダ機構41bなどの駆動機構により往復駆動される。アンビル42は上面が平坦な切断受け金でその下側にはアンビル42の駆動用のシリンダ機構42aのピストンロッド42bが連結されている。
アンビル42は、シリンダ機構42aにより図示のように成型ドラム20に近接した上昇位置と、成型ドラム20から離れた下降位置間で往復駆動される。
【0021】
真空吸着装置50は、図3に示すように図示しない真空ポンプに接続されたバキュームハンド51と、バキュームハンド51の両側に配置された貼り付けロールである前押さえロール52、後押さえロール53と、これらを支持する支持枠54とから成っている。
バキュームハンド51は椀状を成す吸着パッド51aと、吸着パッド51aを上下動させるためのシリンダ機構51bと、シリンダ機構51bと吸着パッド51aとの間に介在配置された例えばコイルばねからなる緩衝体51cとから成っている。
【0022】
後押さえロール53は、バキュームハンド51のコンベアベルト30側に配置されており、支持枠54に対してシリンダ機構53aにより上下動自在に取り付けられている。また前押さえロール52はバキュームハンド51に対して後押さえロール53とは反対側に配置されており、支持枠54に対してシリンダ機構52aにより上下動自在に取り付けられている。
ここで、前及び後押さえロール52、53はいずれも自由回転ロールであって、帯状材料15をシリンダ機構52a及び53aにより成型ドラム20上に貼り付けるステッチング用のロールである。
【0023】
真空吸着装置50の移送装置60は、図1に示すように、駆動ローラ61と従動ローラ62間に掛け渡したタイミングベルト63から成っている。このタイミングベルト63には真空吸着装置50の上端部を取り付けたレール状部材64が取り付けられている。
したがって、タイミングベルト63を可逆駆動することでレール状部材64及びこのレール状部材64に固定された真空吸着装置50を、成型ドラム20とコンベアベルト30間で往復動させることができる。
【0024】
次に、以上で説明した本実施形態に係るタイヤ構成部材の成型装置の動作について図4を用いて説明する。以下の説明においては、各部材は図1〜3におけるを符号を使用する。
まず、連続して成型を行う前の準備工程について説明する。
コンベアベルト30を含むサーバを成型ドラム20の大きさに合わせてそのレベルを合わせるため、ここでは下降させる。続いて、材料供給部10のリールに巻回された帯状材料15を引き出し、図1に示すように、フェスツーンFを形成した後、ガイドローラ33(図2)に載せてガイドし、その側縁を板ガイド34(図2)に当接させて位置決めし、その状態でコンベアベルト30の粘着面に貼り付ける。続いて、コンベアベルト30により成型ドラム20に向かって搬送する。
【0025】
この段階では、コンベアベルト30は、移動ローラ32a、32bにより成型ドラム20から離隔した、つまり退却した位置にあり、コンベアベルト30が退却して空いた領域(隙間)にはアンビル42が上昇してきている(図4A)。
したがって、コンベアベルト30によって搬送されてきた帯状材料15は、アンビル42上に達し、その位置でコンベアベルト30の駆動を停止する。
【0026】
次に、シリンダ機構51bを作動させてバキュームハンド51を下降させ(図4B)、吸着パッド51aで帯状材料15を真空吸着すると共に、シリンダ機構42aを作動させてアンビル42を下降する(図4C)。ここで、移送装置60を駆動してバキュームハンド51を成型ドラム20の巻き付け位置に向かって前進させ、同時に移動ローラ32a、32bを成型ドラム20方向に移動させてコンベアベルト30を成型ドラム20に所定の近接位置まで移動させてその位置で停止させる(図4D)。
【0027】
この位置において、バキュームハンド51を下降させて、帯状材料15を成型ドラム20上に装着した後吸着パッド51aの真空吸着を解除にする。また、それと共に、後押さえロール53をそのシリンダ機構53aを作動させて下降させ、その緩衝体51cを介して帯状材料15を成型ドラム20に押し付ける(図4E)。その後、シリンダ機構51bを作動してバキュームハンド51を引き上げる(図4F)。
【0028】
その状態で成型ドラム20とコンベアベルト30を作動させて、成型ドラム20上に帯状材料15を巻き付けると共に、後押さえロール53で巻き付けた帯状材料15を成型ドラム20上に貼り付ける。この場合、成型ドラム20の周速度とコンベアベルト30の搬送速度が等速になるよう、それぞれの駆動モータを回転制御する。
このようにして帯状材料15を成型ドラム20の周上に所定長さ貼り付け、これを例えば成型ドラム20の図示しない回転角度センサで検知すると、成型ドラム20の回転を停止し、同時にコンベアベルト30の回転を停止する。その後、移動ローラ32a、32bを成型ドラム20から離隔する方向に移動させて、コンベアベルト30を退却させる。コンベアベルト30の退却に伴い、コンベアベルト30と成型ドラム20との間の空いた領域(空間)に向かってアンビル42を移動(上昇)させる(図4G)。また、図示しないカッター押さえを下降させる。
【0029】
また、その間に、移送装置60(図1)を作動させて、レール状部材64を後進させ、レール状部材64に連結された真空吸着装置50を帯状材料15の吸着位置まで後進させる。ここでシリンダ機構41bを作動させてカッター41を斜め下方に下降させてアンビル42上で帯状材料15を切断し、真空吸着装置50を切断した帯状材料15上に下降させて、その吸着パッド51aで帯状材料15を吸着保持する(図4H)。
【0030】
次に、吸着パッド51aで帯状材料15の端部を吸着保持した状態で、シリンダ機構51bを作動させてバキュームハンド51を上昇させ(図4I)、カッター41を待機位置に戻す。続いて、成型ドラム20を再び反時計方向に回転させると共に移送装置60を駆動してレール状部材64(図1)を前進させ、それによって真空吸着装置50を材料の巻き付け位置に移動させる(図4J)。続いて、バキュームハンド51を成型ドラム20上に下降させて吸着パッド51aのバキュームを解放する。また、それと共に、シリンダ機構52aを作動させて、前押さえロール52を下降させる(図4K)。続いて、帯状材料15を成型ドラム20の周面に押圧して貼り付ける(図4L)。
その後、帯状材料15の貼り付けが終了したときは、前押さえロール52を引き上げ、真空吸着装置50は図4Aの位置に戻り、上述の動作を繰り返す。つまり、帯状材料15を成型ドラム20に貼り付けてタイヤ構成部材であるサイドゴムを連続して形成することができる。
【0031】
なお、以上で説明した動作の制御は図示しない制御部が行う。即ち、帯状材料15がコンベアベルト30により搬送されて、コンベアベルト30上の所定位置に配置した位置センサS(図1)の位置まで来ると、位置センサSが帯状材料15を検知する。この位置センサSの検知信号を基準として前記制御部は以後の各装置の起動と停止のタイミング制御を行う。その制御部自体は、以上で説明した本実施形態に係るタイヤ構成部材の成型装置の動作を実現するものであれば任意である。
【0032】
以上、本実施形態によれば、材料供給部10から繰り出された帯状材料15を、搬送装置であるコンベアベルト30に搭載する前に、ガイドローラ33でガイドしてその幅方向端部を板ガイド34に当接させることで位置決めし、その状態でコンベアベルト30の粘着性の搬送面に貼り付けることで搬送中の帯状材料15の位置ズレが防止できる。
また、このように位置ズレなく搬送される帯状材料15を、コンベアベルト30に載せたまま成型ドラム20の直近位置まで搬送し、その状態で成型ドラム20に対する巻き付けを行うため、従来のように成型ドラム20への巻き付け中に成型ドラム20とコンベアベルト30の間の隙間の領域で、帯状材料15が蛇行する虞はない。
【0033】
さらに、成型ドラム20への巻き付け中に帯状材料15の後端を切断する際には、コンベアベルト30を一旦後退させ、それによって空いた領域、つまり成型ドラム20の直近位置にアンビル42を移動させ、その位置で切断を行う。切断した帯状材料15の後端部はそのまま吸着保持して成型ドラム20の巻き付け位置まで移送するため、成型ドラム20への巻き付けまでに位置ズレが生じる虞がない。
つまり、本実施形態によれば、帯状材料15のサーバへの供給から、搬送及び成型ドラム20への巻き付けの全段階において帯状材料15の位置ズレが防止され、位置ズレに基づくタイヤ構成部材の成型不良を良好に防止することができる。
【符号の説明】
【0034】
10・・・材料供給部、15・・・帯状材料、20・・・成型ドラム、30・・・コンベアベルト、31・・・駆動ローラ、32a、32b・・・移動ローラ、32c・・・ローラ、33・・・ガイドローラ、34・・・板ガイド、40・・・切断装置、41・・・カッター、41a・・・切断刃、41b・・・シリンダ機構、42・・・アンビル、42a・・・シリンダ機構、42b・・・ピストンロッド、50・・・真空吸着装置、51・・・バキュームハンド、51a・・・吸着パッド、51b・・・シリンダ機構、51c・・・緩衝体、52・・・前押さえロール、52a・・・シリンダ機構、53・・・後押さえロール、53a・・・シリンダ機構、54・・・支持枠、60・・・移送装置、61・・・駆動ローラ、62・・・従動ローラ、63・・・タイミングベルト、64・・・レール状部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する成型ドラムに材料を巻き付け、巻き付けた材料の端部同士を接合してタイヤ構成部材を成型するタイヤ構成部材の成型方法であって、
材料を搬送手段で成型ドラムに向けて搬送する搬送工程と、
搬送手段を成型ドラムに接近させて材料を成型ドラムに巻き付ける第1の巻き付け工程と、
成型ドラム上に所定量の材料を巻き付けたとき、搬送手段を成型ドラムから離隔させて空けた領域で材料を切断する切断工程と、
切断した材料を保持して成型ドラムに移送して巻き付ける第2の巻き付け工程と、
を有するタイヤ構成部材の成型方法。
【請求項2】
請求項1に記載されたタイヤ構成部材の成型方法であって、
前記第2の巻き付け工程では、前記切断した材料を吸着保持して成型ドラムに移送するタイヤ構成部材の成型方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたタイヤ構成部材の成型方法であって、
前記切断工程では、材料の搬送経路までアンビルを移動し、アンビル上の材料をカッターで切断するタイヤ構成部材の成型方法。
【請求項4】
回転する成型ドラムに材料を巻き付け、巻き付けた材料の端部同士を接合してタイヤ構成部材を成型するタイヤ構成部材の成型装置であって、
成型ドラムに材料を搬送する搬送装置と、
搬送装置を成型ドラムに接近又は離隔させる手段と、
搬送装置を成型ドラムから離隔させて空いた領域に配置して材料の切断を行う切断装置と、
切断した材料を保持して成型ドラムに移送する保持移送装置と、
を有するタイヤ構成部材の成型装置。
【請求項5】
請求項4に記載されたタイヤ構成部材の成型装置であって、
前記切断装置は、前記空いた領域に移動可能なアンビルと、前記アンビル上の材料を切断する切断手段とからなるタイヤ構成部材の成型装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載されたタイヤ構成部材の成型装置であって、
前記搬送装置はコンベアベルトであって、
前記コンベアベルトを成型ドラムに接近又は離隔させる手段は、前記コンベアベルトの搬送面を成型ドラムに接近又は離隔させる手段であるタイヤ構成部材の成型装置。
【請求項7】
請求項4ないし6のいずれかに記載されたタイヤ構成部材の成型装置であって、
前記保持移送装置は材料を吸着保持する真空吸着装置と、前記真空吸着装置を成型ドラムに移送する移送装置とを有するタイヤ構成部材の成型装置。
【請求項8】
請求項7に記載されたタイヤ構成部材の成型装置であって、
前記真空吸着装置は、巻き付けた材料を成型ドラムに貼り付けるための押し付けロールを備えているタイヤ構成部材の成型装置。
【請求項9】
請求項6ないし8のいずれかに記載されたタイヤ構成部材の成型装置であって、
材料供給部から供給される前記材料を前記コンベアベルトの所定位置に位置決めする位置決め手段を有し、かつ、前記コンベアベルトの搬送面は材料の前記所定位置からの位置ズレを防止するため粘着加工されているタイヤ構成部材の成型装置。
【請求項10】
請求項4ないし9のいずれかに記載されたタイヤ構成部材の成型装置であって、
前記タイヤ構成部材はタイヤのサイドゴムであるタイヤ構成部材の成型装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4ABCD】
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【図4EFGH】
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【図4IJKL】
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【公開番号】特開2013−82173(P2013−82173A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224895(P2011−224895)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】