説明

タイヤ用加硫モールド及びタイヤの製造方法

【課題】加硫モールドにおいて、セクターモールドの釜締めに伴うバリの発生を抑制する。
【解決手段】 分割した複数のセグメント12から成り、半径方向に縮径して釜閉じしたときに円環状となるセクターモールド10と、セクターモールド10を挟んで配置され、内部に生タイヤ用の収容空間を形成する一対のサイドモールドから成るタイヤ用加硫モールドであって、前記各セグメント12の割位置12bの内周側に、セクターモールド10を閉じたときに、収容された生タイヤを凹ませて前記各骨部20間に生タイヤが侵入するのを抑制する凸部22を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ用加硫モールド及び前記タイヤ用加硫モールドで加硫してタイヤを製造するタイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生タイヤを加硫して製品タイヤを製造する場合において、生タイヤを加硫する加硫モールドは、一般にタイヤのクラウン部を形成する内周面を備え、半径方向に移動可能な複数の円弧状のセクターセグメントから構成されるセクターモールドと、タイヤのサイド部を形成する内周面をもつ上下一対の円盤状をなすサイドモールドとから成っている。
タイヤの加硫時には、前記セクターモールドと、前記サイドモールドの内部に形成される空間に生タイヤを挿入し、上側のサイドモールドと半径方向外側に拡径した状態のセクターモールドを同時に下降させ、上下のサイドモールドの間隔が所定距離になった時点で、セクターモールドを半径方向内側に縮径して、セクターモールドの内周面の幅方向端部である密着面と、上下のサイドモールドの半径方向外側の外周端である密着面とを密着させて、内部に収容した生タイヤを加硫する。
【0003】
前記加硫モールドで生タイヤを加硫する場合、サイドモールドのサイド密着面とセクターモールドのセクター密着面との間に侵入した生タイヤを構成するゴムが、両密着面により押し潰されて、フィルム状の大きなはみ出しゴムとなってバリが発生するという問題がある。
大きなはみ出しゴムを有する空気入りタイヤは、外観を著しく悪化させてしまうため、はみ出しゴムを切除する工程が必要となり、作業が煩雑となるとともに生産能率が低下する。
【0004】
そこで、従来から、生タイヤの加硫モールドにおいてバリの発生を抑制する処置が講じられている。
図4は、従来のバリの発生を防止するための措置を施した生タイヤの加硫モールド(特許文献1)の要部断面図であり、図5は、その一部拡大図である。
図示のように、サイドモールド103及びセクターモールド105のそれぞれに角部のない切欠き部109、115を設けて、生タイヤが位置ずれしても、サイドモールドの角部に引っかかるのを防止して、引っかかった部分がサイド密着面とセクター密着面との間に侵入するのを防止している。
【0005】
しかしながら、はみ出しゴムの発生は、サイドモールドとセクターモールド間だけではなく、セクターモールドを構成する複数の分割されたセグメントモールド間においても発生する。次にこの点について、このはみ出しゴムの発生を模式的に示した図6を参照して説明する。
一般に、円環状のモールドを円周に沿って分割した形状に形成されたセクターモールドの分割数は、円周角の360°に対応させるため倍数が360になるように設定されることが多く、とくに8、9、12で分割されることが多い(以下、分割された個々のセグメントモールドを便宜上セグメントと称する)。
各セグメントは、セクターモールドが縮径して閉じるとき、図6に示すように、セグメント12の周方向の中心Cではセクターモールド10の径方向に開閉するが、各セグメント12の割位置12bにおいては、中心Cからずれている分中心Cに対しては斜めに開閉することになる。
【0006】
例えば、前記のように倍数が360になるように設定されたセグメント12では、そのセグメント12の割位置12bとセクターモールド10の中心Oを通る直線L、Lは、前記セグメント12の中心Cとセクターモールド10の中心Oを通る直線L01、L02に対して、8等分割では45度、9等分割では40度、12等分割では30度のV字状をなし、セグメントの開閉時、セグメント12との割位置12bは前記V字状の直線L、Lに沿って開閉する。
【0007】
ところで、セクターモールド10の内周面には主溝やラグ溝などタイヤ溝を形成するための骨部(溝用骨部)20が突出(凸起)して設けられている。
即ち、セクターモールド10の各セグメント12はその内面に凸起する骨部20を有しているが、当然のことながらその骨部20が隣り合ったセグメント12間で割位置12bを挟んで連続するように配置される場合が生じる。その場合、加硫前の生タイヤGTの外径がセグメント12の骨部20の内径よりも大きいと、加硫時において、セクターモールド10を縮径して行く過程で、図6に示すように、生タイヤGTは割位置12bにおける各骨部20間に挟まれることが発生する(この挟まれたゴムの部分が薄く延ばされて加硫したものをはみ出しゴムやバリと呼ぶ、また、この現象を「噛み」とも云う)。
【0008】
即ち、セクターモールド10を閉じる時には、セクターモールド10は、最終的に密接した円環状に配置されるまで徐々に縮径され、各セグメント12間の距離を詰める。その際、加硫前の生タイヤGTの外径がセグメント12の骨部20の内径よりも大きいと、釜閉じ過程において、各セグメント12の骨部20の内周端20aが生タイヤGTに密着し、生タイヤGTを押し込みながら縮径を続ける。
骨部20に押し込まれた生タイヤGTは、押し込まれた部分の周りは逆に膨出するように変形するが、膨出した部分GTaはセグメントの内周面12aに密着するとその変形が抑制される。
【0009】
しかし、セクターモールド10が縮径される過程では隣接したセグメント12の各骨部20間には隙間24があるため、膨出したゴムGTaはこの隙間24に入りこむ。骨部20間に入り込んだゴムGTaは、釜閉じに伴って骨部20間に挟み込まれ、はみ出しゴム又はバリが発生することになる。
バリが発生すると、既に述べたように、加硫後における手直し(バリ取り)が必要となるため工数が増えるだけではなく、製品タイヤの外観を低下させ、また、加硫モールドの組み立て精度を狂わせたりする等の問題が生じる。また、はみ出しゴムやバリの厚みが大きい場合や、それらの出現頻度が多い場合には、セクターモールド10の精度を狂わせることになり良好な加硫を行うことができなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−210248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記従来の問題を解決すべくなされたものであって、その目的は加硫モールドにおいて、バリの発生を抑制してバリ取りの工数を低減し、かつ製品タイヤの外観を低下させることがなく、また、加硫モールドの組み立て精度を維持できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)本発明は、分割した複数のセグメントから成り半径方向に縮径して閉じたときに円環状となるセクターモールドと、セクターモールドを挟んで配置され、内部に生タイヤ用の収容空間を形成する一対のサイドモールドから成るタイヤ用加硫モールドであって、前記各セグメントの内周側に、セクターモールドを閉じるときに、収容された生タイヤを凹ませて、各セグメントの割位置間に生タイヤが侵入するのを抑制する凸部を備えたタイヤ用加硫モールドである。
(2)本発明は、(1)に記載されたタイヤ用加硫モールドであって、前記セクターモールドを閉じたときに、互いに隣接する前記凸部間に、膨出する生タイヤを収容する凹部を形成したタイヤ用加硫モールドである。
(3)本発明は、(1)又は(2)に記載されたタイヤ用加硫モールドであって、前記凸部は前記各セグメントの内周面に設けた骨部に設けられているタイヤ用加硫モールドである。
(4)本発明は、(3)に記載されたタイヤ用加硫モールドであって、前記各骨部の基準高さをHとし、かつ割位置における前記骨部の高さをhとするとき、0.5≦h/H≦1.0であるタイヤ用加硫モールドである。
(5)本発明は、(3)又は(4)に記載されたタイヤ用加硫モールドであって、前記凸部の高さをHdとし、前記骨部の基準高さをHとしたとき、1.4≦Hd/H≦1.9であるタイヤ用加硫モールドである。
(6)本発明は、(1)ないし(5)のいずれかに記載されたタイヤ用加硫モールドにより生タイヤを加硫して製造するタイヤの製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、加硫時にセグメント間ではみ出しゴムやバリが発生するのを抑制できる。そのため、従来のように製品タイヤの外観を悪化させたり、手直しの工数を増やしたり、或いは加硫モールドの組み立て精度を狂わせることがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係るセクターモールドのセグメントの一部を模式的に示す平面図である。
【図2】図2Aは凸部の位置を示す図1と同様の図であり、図2Bは凸部の変形例を示す側面図である。
【図3】本発明の実施品と参考品とを比較してはみ出しゴムの生成状態を示す一覧表である。
【図4】従来のバリの発生を防止するための措置を施した生タイヤの加硫モールドの要部断面図である。
【図5】図4の一部拡大図である。
【図6】従来のセクターモールドのセグメントの一部を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態に係るセクターモールドのセグメントの一部を模式的に示す平面図であって、1例として、円周を任意に等分割した形状のセクターモールド10のセグメント12の内周面に凸設した骨部を示す(従来と同様の部分には同様の符号を付している)。
各セグメント12は円周を分割した平面視円弧状であって、隣接するセグメント12には、凸起した骨部20が、各セグメントを閉じたときに互いに連続するように、割位置12bの位置からそれぞれの内周面に沿って平面視円弧状に設けられている。
隣接する一方のセグメント12の骨部20の周方向端部20bは、セクターモールド10を閉じた時に、他方のセグメント12の骨部20の周方向端部20bと密着する密着面となっており、それによって一連の溝がタイヤのトレッド面に形成される。
【0016】
以上の構成は既に説明した従来のセクターモールド10と同じであるが、従来のセクターモールド10では縮径して釜閉じをしたときに、そのセグメント12間において、生タイヤが骨部20間に挟まれてバリとなることがある。そこで、本実施形態では、骨部20の割位置12bから所定長の位置にさらに凸部22を凸起させて設け、これにより、生タイヤが骨部20に接触する前に、生タイヤを凹ませることで、従来のように生タイヤを構成するゴムが割位置12bで骨部20間に挟まれないようにしている。また、それと共に、割位置12bにおいて骨部20間で仮に生タイヤを構成するゴムが膨出しても、膨出したゴムを収容できるよう、割位置12b及びその近傍において骨部20の高さを下げて、割位置12bで骨部20同士を密着したときに、ゴムの挟み込みを防止する凹部が形成できるようにした。
【0017】
加えて、本実施形態では、ゴムの挟み込みを効果的に防止するため、前記骨部の基準高さ(骨部20の径方向の肉厚をここでは便宜上高さという)をH、割位置12bにおける骨部20の高さをh、凸部22の高さをHdとしたときの、それぞれの関係を規定してゴムの挟み込み防止に有利な数値範囲を規定するものである。
【0018】
即ち、本実施形態においては、割位置12bにおける骨部20の高さhは、径方向同等位置での骨部20の基準高さH(骨部20の本来の又は設計高さをいう)に対し、0.5≦h/H≦1.0の範囲であり、かつ、前記割位置12b側の凸部22の高さを周方向長さd(割位置12bから凸部22の頂部までの距離)が所定値(例えば10mm)のところでHdと定義したとき、1.4≦Hd/H≦1.9である。
即ち、割位置12bにおける骨部の高さhは、その基準高さHに等しいかそれよりも下げて形成されており、この基準高さHに等しいか高さを下げた所定長の部分に続き、そこからセクターモールド10の中心Oに向かって骨部20の内周面から突出した凸部22が設けられている。
【0019】
本セグメント12は上記構成を備えたことにより、釜閉じ時にセグメント12の割位置12bでは、隣接したセグメント12の骨部20の内周端20aに形成される基準高さHに等しいか高さを下げた部分と、凸部22とが協働して隣接する骨部20(凸部22)の端部間に凹部20cが形成される。つまり、凸部22の高さは、基準高さHに等しいか高さを下げた部分に対して相対的に高いため、隣接したセグメント12同士を密着したときに、凸部22間に凹部20cが形成される。
【0020】
ここで、0.5≦h/H≦1.0としたのは、セグメント12の割位置12bにおいて、凸部22で変形された膨出したゴムを収容するための凹部20cを形成するためであるが、h/Hが0.5未満であると、凹部20cが必要以上に深くなり過ぎてタイヤの外観を悪くする可能性があり、逆に、h/Hが1.0を超えると凹部20cの容量(又は容積)が不足する可能性があり、容量が不足すると凹部20cから溢れたゴムGTa(図6)が隣接する骨部20の端部間に侵入してバリが形成される虞があるからである。なお、h/H=1の場合は、割位置12bにおける骨部の高さは基準高さとなるが、その場合でも凸部22の高さHdは基準高さHを上回っているため前記凹部20cは形成される。
【0021】
また、1.4≦Hd/H≦1.9としたのは、Hd/Hが1.4未満では、凸部22による生タイヤに対する食い込みは少ないが、生タイヤGTの押さえ込み効果が少なく、生タイヤGTのゴムGTa(図6)が凹部20cの容積を超えてバリが発生する虞があり、また、Hd/Hが1.9を超えると凸部22が突出し過ぎてそれによる生ゴムの変形が大きくなり、タイヤの外観を損ねる虞があるからである。
【0022】
図2Aは凸部22の位置を示す図1と同様の図であり、図2Bは凸部22の変形例を示す側面図である。
凸部22は、骨部20上に凸起即ち凸部として設けられるが、その形状は例えば図2BのAでは幅方向に延在する矩形であり、Bは楕円形、Cは円弧状のコーナー部を持った矩形、Dは、割位置12b側が短辺となる台形、Eは、前記生タイヤの幅方向に平行に並んだ細幅の二条の矩形を成している。
要は、本発明の目的を達成できるものであればその形状は任意である。
【0023】
次に以上で説明した本実施形態に係るセクターモールド10の動作について説明する。
加硫モールド内に生タイヤを配置した後、釜閉じ動作時にセクターモールド10したがってセグメント12を縮径して行くと、セグメント12内面の凸部22の内径が、生タイヤGTの外径よりも縮径した時点で、凸部22は生タイヤGTに食い込み、その状態でセグメント12間の距離を縮める。
凸部22は前記セクターモールド10の縮径に伴って、生タイヤGTに食い込むが、本実施形態の場合、凸部22間には凹部20cが形成されるため、生タイヤGTのゴムが変形して膨出した部分GTaを前記凹部20cで収容するため生タイヤGTは凸部22間で挟まることが起こり難い。
【0024】
なお、発明者の検討結果では、凸部22の高さが6.7mmあったケースでも実際に生タイヤGTに食い込んでいるのは1.0mm程度であり、差分は割位置12b以外のところで当たる凸部22が生タイヤGTを押さえ込むために、噛みの発生に至らないことが確認されている。
つまり、はみ出しゴムやバリの発生の抑制は割位置12b付近の凸部22により行われ、凸部22の他の部分は、生タイヤGTを押さえ込み、前記現象の低減に寄与していることが確認された。
【0025】
本実施形態では、図に示すように、セグメント12(したがって骨部20)の割位置12bに凹部20cを形成することで、バリなどの発生を抑制することに加え、骨部20から凸起した凸部22を配置したことで、割位置12bにおける生タイヤを押さえる機能を強化しバリなどの発生抑制機能を一層強化している。
【0026】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、セクターモールドの縮径に伴い凸部22が生タイヤに食い込んで行く場合、凸部22がセクターモールドと生タイヤGTの径差分でそのまま食い込むと思われていたところを、そうではなく、生タイヤGTを凹ませる機能も同時に生じること、また、その作用によりセクターモールド10と生タイヤGTの径差が吸収されること、したがって、凸部22のこの凹ませる機能により、食い込み量はその分減少し、割位置12bにおけるセグメント12間におけるゴムの挟み込み量もその分減少し、その結果、バリなどの発生を抑制できる、との知見に基づき案出されたものである。
【0027】
本実施形態に係るタイヤ用加硫モールドは、セクターモールド10の各セグメント12が備えた凸部22のハンプの高さにより、セグメント12間の割位置12bでの生タイヤの押さえ効果を得ることができ、しかも、その押さえ効果は割位置12bの直近で作用することにより、ゴムの挟み込みの抑制に有利に働く。
また、割位置12bでのモールドの高さhは、上述のように基準高さHと同等でもよいが、基準高さHよりも高さを下げた高さにすると、噛み抑制には一層有利である。本発明者の検討では、釜閉じ時における凸部22による生タイヤへの食い込みは、上述のように、凸部22の高さが6.7mmあったケースでも実際に生タイヤGTに食い込んでいるのは1.0mm程度であることが判明しているので、Hd―h>1mmであれば、はみ出しゴムやバリの発生は激減することが分かった。
【0028】
図3は、本発明の実施形態に係る骨部20に凸部22を設けていない比較品に対して、ここでは、本発明の実施品1〜7を対比してそのはみ出し体積や目視による外観検査の結果を比較したものである。
比較品及び実施品1〜7の骨部20の高さHは全て6.5mm、割位置での骨部20の高さhは全て6mmとし、実施品の凸部22のHdは、実施品1〜6においては割位置側から周方向長さ10mmのところで、また実施品7では割位置側から周方向長さ18mmのところでいずれも7.3mmとした。
また、凸部22の形状(ハンプ形状)は、実施品1、6、7では図2のAタイプ、実施品2では同Bタイプ、実施品3では同Cタイプ、実施品4では同Dタイプ、実施品5では同Eタイプとした。
各ハンプの丸め加工の曲率半径は、比較品、実施品1〜5は0.7mm、実施品6、7は1.2mmとした。
【0029】
以上の比較品及び実施品1〜7について、加硫実験を行ったところ、まずセグメント間におけるはみ出し体積は、従来品を100とした場合、実施品1では45,実施品2では55,実施品3では50,実施品4では45,実施品5、6、7では65で、いずれも比較品よりも改善されていることが分かった。
また、外観検査では、従来品では難ありとの評価であったが、実施品1〜6はいずれも良好であった。実施品7ではやや難があることが分かった。
実施品7において、外観にやや難があるのは、隣接する骨部20に形成した凸部22間の幅が広くなる結果、はみ出し幅が広くなりやや目立つためである。
なお、以上の実施形態では、凸部は骨部20に形成したものとして説明したが、本発明は必ずしもこれに限定されず、加硫時にセグメントの割位置12b間に生タイヤが進入する虞がある場合においては、前記凸部22をセグメントの内周面に直接設けることもできる。
【符号の説明】
【0030】
10・・・セクターモールド、12・・・セグメント、12b・・・割位置、20・・・骨部、20a・・・骨部の内周端、20b・・・骨部の周方向端部、20c・・・凹部、22・・・凸部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分割した複数のセグメントから成り半径方向に縮径して閉じたときに円環状となるセクターモールドと、セクターモールドを挟んで配置され、内部に生タイヤ用の収容空間を形成する一対のサイドモールドから成るタイヤ用加硫モールドであって、
前記各セグメントの内周側に、セクターモールドを閉じるときに、収容された生タイヤを凹ませて、各セグメントの割位置間に生タイヤが侵入するのを抑制する凸部を備えたタイヤ用加硫モールド。
【請求項2】
請求項1に記載されたタイヤ用加硫モールドであって、
前記セクターモールドを閉じたときに、互いに隣接する前記凸部間に、膨出する生タイヤを収容する凹部を形成したタイヤ用加硫モールド。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたタイヤ用加硫モールドであって、
前記凸部は前記各セグメントの内周面に設けた骨部に設けられているタイヤ用加硫モールド。
【請求項4】
請求項3に記載されたタイヤ用加硫モールドであって、
前記各骨部の基準高さをHとし、かつ割位置における前記骨部の高さをhとするとき、
0.5≦h/H≦1.0
であるタイヤ用加硫モールド。
【請求項5】
請求項3又は4に記載されたタイヤ用加硫モールドであって、
前記凸部の高さをHdとし、前記骨部の基準高さをHとしたとき、
1.4≦Hd/H≦1.9
であるタイヤ用加硫モールド。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載されたタイヤ用加硫モールドにより生タイヤを加硫して製造するタイヤの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−39793(P2013−39793A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179538(P2011−179538)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】