説明

タイヤ空気圧検出装置

【課題】送信機からタイヤ空気圧に関するデータが送られてこなかった場合に、それが送信機の故障によるものなのか、それとも他の原因によるものなのかを判別できるようにする。
【解決手段】送信機2からの応答がない場合、具体的には未応答状態が所定回数継続した場合に、送信機2に異常が発生したかもしれないものとして、該当する車輪と対応するトリガ機5に対して定常送信とは異なるタイミングでトリガ信号を出力させることでリトライし、送信機2に異常が発生しているか否かの判別を行うようにする。これにより、未応答状態が送信機2の異常によるものなのか、それとも他の原因によるものなのかを的確に判別することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤが取り付けられた車輪に圧力センサが備えられた送信機を直接取り付け、その圧力センサからの検出信号を送信機から送信し、車体側に取り付けられた受信機によって受信することで、タイヤ空気圧の検出を行うダイレクト式のタイヤ空気圧検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤ空気圧検出装置の1つとして、ダイレクト式のものがある。このタイプのタイヤ空気圧検出装置では、タイヤが取り付けられた車輪側に、圧力センサ等のセンサが備えられた送信機が直接取り付けられている。また、車体側には、アンテナおよび受信機が備えられており、センサからの検出信号が送信機から送信されると、アンテナを介して受信機にその検出信号が受信され、タイヤ空気圧の検出が行われる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3212311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このようなダイレクト式のタイヤ空気圧検出装置では、車輪側に取り付けられる送信機が車体側に取り付けられる受信機から物理的に離れたものであるため、送信機からデータが送られてこなかった場合に、それが送信機の故障の所為なのか、外部からのノイズによるものなのか、それともたまたま送信機の位置的理由によるものなのかが分からない。このため、送信機からデータが送られてこなかった場合に、例えば、ドライバに対してそれを警告する必要があるのか否か判別等を適切に行うことができなかった。
【0004】
本発明は上記点に鑑みて、送信機からタイヤ空気圧に関するデータが送られてこなかった場合に、それが送信機の故障によるものなのか、それとも他の原因によるものなのかを判別できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明では、受信機(3)に備えられた第2制御部(32b)に、送信機(2)からフレームが送信されるタイミングのときにフレームが受信されたか否かを判定する判定手段(105、135、165、195)と、判定手段にてフレームが受信されていないと判定されたときに、フレームが送信されるタイミングと異なるタイミングでトリガ機(5)に対してトリガ信号を出力させる指令信号を出力し、送信機に対してフレームの送信を再度行わせるリトライ処理を実行するリトライ処理手段(220)と、を備えることを特徴としている。
【0006】
このように、送信機からのフレームが受信できない状態であると判定された場合に、送信機に異常が発生したかもしれないものとして、該当する車輪と対応するトリガ機に対して定常送信とは異なるタイミングでトリガ信号を出力させることでリトライし、送信機に異常が発生しているか否かの判別を行うようにしている。このため、フレームを受信できない状態が送信機の異常によるものなのか、それとも他の原因によるものなのかを的確に判別することが可能となる。
【0007】
例えば、第2制御部に、判定手段にてフレームが受信されていないことが予め決められた回数に達したか否かを判定する未応答回数判定手段(110、140、170、200)を備え、該未応答回数判定手段にてフレームが所定回数受信されていないと判定されたときに、リトライ処理手段にリトライ処理を実行させるようにすると好ましい。このようにすれば、フレームを受信できない状態が送信機の故障等によるものではなく、偶発的に生じたものである場合にまで、リトライ処理が頻繁に行われることを防止することができる。
【0008】
また、トリガ機を複数個備える場合、リトライ処理手段にて、判定手段にてトリガ機のうちフレームが受信されていないと判定された車輪に対応するトリガ機にのみ、トリガ信号を出力させるようにリトライ処理を実行するようにしても良い。
【0009】
すなわち、リトライは、正常にフレームを受信できなかった車輪に対してのみ行えばよいため、複数のトリガ機のうちその車輪に対応するもののみから再度トリガ信号を出力させるようにすれば良い。
【0010】
具体的には、リトライ処理手段にて、複数個の車輪それぞれに備えられた送信機がフレームを送信するタイミングとは異なるタイミングでリトライ処理を実行させる。このようにすれば、送信データ同士でのバッティングによって受信が不可能となることを防ぐことができる。例えば、リトライ処理手段にて、複数個の車輪それぞれに備えられた送信機がフレームを送信するタイミングよりも後にリトライ処理を実行させるようにすれば良い。
【0011】
さらに、リトライ処理手段にて、リトライ処理を1回実行するのに対して、トリガ機に対してトリガ信号を複数回出力させるようにすると好ましい。このようにトリガ信号を複数回連続的に発生させる指令とすると、トリガ信号が送信機に伝わる可能性を高めることができる。この場合、リトライ処理手段は、トリガ機に対してトリガ信号を複数回出力させる際に、それぞれのトリガ信号の間隔がランダムになるようにすることもできる。
【0012】
また、第2制御部にて、車両(1)が走行中であるか否かを検出し、車両が走行中の際に、リトライ処理手段にリトライ処理を実行させるようにすると良い。
【0013】
例えば、送信機の位置がたまたまトリガ信号が受信し難い場所にあったときにトリガ信号が出力された場合等においては、送信機が同じ場所にある状態でリトライしてもまた送信機がトリガ信号を受信できないという状態になり兼ねない。このため、車両が走行中にリトライさせるようにすれば、送信機の位置が変わり、トリガ信号が受信できる可能性を高めることが可能となる。
【0014】
このようなリトライ処理を実行してもフレームを受信できない場合には、タイヤ空気圧に関する情報を提供する情報提供装置(4)を備えると共に、第2制御部に、リトライ処理手段にてリトライ回数をカウントアップし、該リトライ回数が予め決められた回数に達したか否かを判定するリトライ回数判定手段(115、145、175、205)を備え、該リトライ回数判定手段にてリトライ処理回数が予め決められた回数に達した場合に、情報提供装置にて送信機の異常を報知することで、ドライバにその旨を知らせることができる。
【0015】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0017】
(第1実施形態)
図1に、本発明の第1実施形態におけるタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示す。図1の紙面上方向が車両1の前方、紙面下方向が車両1の後方に一致する。
【0018】
図1に示されるように、タイヤ空気圧検出装置は、車両1に取り付けられるもので、送信機2、受信機3、表示器4およびトリガ機5を備えて構成されている。
【0019】
送信機2は、車両1における4つの車輪6a〜6d(スペアタイヤを含めると5つ)それぞれに取り付けられるもので、各車輪6a〜6dに取り付けられたタイヤの空気圧を検出すると共に、その検出結果を示す検出信号のデータを送信フレーム内に格納して送信するものである。また、受信機3は、車両1における車体7側に取り付けられるもので、送信機2から送信される送信フレームを受信すると共に、その中に格納された検出信号に基づいて各種処理や演算等を行うことでタイヤ空気圧を求めるものである。
【0020】
図2(a)、(b)に、これら送信機2と受信機3のブロック構成を示す。図2(a)に示されるように、送信機2は、センシング部21、マイクロコンピュータ22、電池23、送信アンテナ24および受信アンテナ25を備えて構成されている。
【0021】
センシング部21は、例えばダイアフラム式の圧力センサや温度センサを備えた構成とされ、タイヤ空気圧に応じた検出信号や温度に応じた検出信号を出力するようになっている。
【0022】
マイクロコンピュータ22は、制御部(第1制御部)22aや送信部22bおよび受信部22cなどを備えた周知のもので、制御部22a内のメモリ(図示せず)内に記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行する。
【0023】
制御部22aは、センシング部21からのタイヤ空気圧に関する検出信号を受け取り、それを信号処理すると共に必要に応じて加工し、検出結果を示すデータ(以下、タイヤ空気圧に関するデータという)として各送信機2のID情報と共に送信フレーム内に格納し、その後、送信フレームを送信部22bに送るものである。具体的には、制御部22aは、受信アンテナ25および受信部22cを通じてトリガ機5からのトリガ信号を受け取り、トリガ信号を受け取ると、タイヤ空気圧に関するデータが格納された送信フレームを送信部22bに送るようになっている。
【0024】
送信部22bは、送信アンテナ24を通じて、制御部22aから送られてきた送信フレームを受信機3に向けてRF帯、例えば310MHzの電波で送信する出力部としての機能を果たすものである。
【0025】
受信部22cは、受信アンテナ25を通じて、トリガ信号を受け取って制御部22aに送る入力部としての機能を果たすものである。
【0026】
電池23は、制御部22aなどに対して電力供給を行うものであり、この電池23からの電力供給を受けて、センシング部21でのタイヤ空気圧に関するデータの収集や制御部22aでの各種演算などが実行される。
【0027】
このように構成される送信機2は、例えば、各車輪6a〜6dのホイールにおけるエア注入バルブに取り付けられ、センシング部21がタイヤの内側に露出するように配置される。これにより、該当するタイヤ空気圧を検出し、受信アンテナ25を通じてトリガ信号を受信する毎に、各送信機2に備えられた送信アンテナ24を通じて送信フレームを送信するようになっている。
【0028】
また、図2(b)に示されるように、受信機3は、アンテナ31とマイクロコンピュータ32を備えた構成となっている。
【0029】
アンテナ31は、各送信機2から送られてくるフレームを総括的に受け取る1本の共通アンテナとなっており、車体7に固定されている。
【0030】
マイクロコンピュータ32は、受信部32aや制御部(第2制御部)32bなどを備えた周知のもので、制御部32b内のメモリ(図示せず)内に記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行する。
【0031】
受信部32aは、各送信機2から送信されたフレームがアンテナ31で受信されると、それを入力して制御部32bに送る入力部としての機能を果たすものである。
【0032】
制御部32bは、トリガ機5に対してトリガ信号を出力させることを指令するトリガ指令信号を出力すると共に、受信部32aから送られてきたフレームを受け取り、フレームに格納されたタイヤ空気圧に関するデータに基づいて各種信号処理および演算等を行うことによりタイヤ空気圧を求めると共に、求めたタイヤ空気圧に応じた電気信号を表示器4に出力する。例えば、制御部32bは、求めたタイヤ空気圧を所定のしきい値Thと比較し、タイヤ空気圧が低下したことを検知した場合には、その旨の信号を表示器4に出力する。これにより、4つの車輪6a〜6dのいずれかのタイヤ空気圧が低下したことが表示器4に伝えられる。
【0033】
表示器4は、図1に示されるように、ドライバが視認可能な場所に配置され、例えば車両1におけるインストルメントパネル内に設置される警報ランプによって構成される。この表示器4は、例えば受信機3における制御部32bからタイヤ空気圧が低下した旨を示す信号が送られてくると、その旨の表示を行うことでドライバにタイヤ空気圧の低下を報知する。
【0034】
トリガ機5は、受信機3の制御部32bから送られてくるトリガ指令信号が入力されると、例えば、134kHzのLF帯であって、所定の信号強度を有するトリガ信号を出力するものである。本実施形態では、各車輪6a〜6dそれぞれに対応して1つずつトリガ機5a〜5dが備えられている。各トリガ機5a〜5dから出力されるトリガ信号の強度は、トリガ機5a〜5dそれぞれに対応する車輪6a〜6dに取り付けられた送信機2に対してのみトリガ信号が受信できる程度に設定されている
なお、トリガ機5は、周囲すべてが金属で覆われていない場所であればどこに搭載されていても構わないが、できるだけ金属で覆われないような場所、かつ、走行中に石等が当らないような例えばライナー内や車室内などに搭載されているのが好ましい。
【0035】
以上のようにして、本実施形態におけるタイヤ空気圧検出装置が構成されている。
【0036】
次に、本実施形態のタイヤ空気圧検出装置によるタイヤ空気圧検出方法について説明する。タイヤ空気圧検出装置は、例えば、図示しないイグニッションスイッチがオフからオンに切り替わったときに、タイヤ空気圧検出を行う。タイヤ空気圧検出は、受信機3の制御部32bがタイヤ空気圧検出処理を実行することにより行われる。図3−a、bに、タイヤ空気圧検出処理のフローチャートを示し、これを参照してタイヤ空気圧検出方法について説明する。
【0037】
まず、ステップ100では、電源投入から所定時間経過後に、第1トリガ機5aに向けてトリガ指令信号を出力する。このトリガ指令信号が第1トリガ機5aに入力されると、第1トリガ機5aから右前輪6aに取り付けられた送信機2に向けて、所定の信号強度を有するトリガ信号が出力される。
【0038】
このトリガ信号が右前輪6aに取り付けられた各送信機2の受信アンテナ25および受信部22cを通じて、制御部22aに入力されると、制御部22aがWake−up状態となって、受け取ったトリガ信号に応答するために、タイヤ空気圧に関するデータを各送信機2の区別のために付けられるID情報と共にフレーム内に格納し、それを送信する。
【0039】
続いて、ステップ105では、第1トリガ機5aから出力されたトリガ信号に対して、送信機2が応答したか否かを判定する。例えば、送信機2の故障および送信機2の電池切れ以外に、妨害電波を放射している施設・設備近くに駐車しているなど、車両の周辺環境からトリガ信号の出力強度が影響を受ける場合に送信機2でトリガ信号を受信できなくなる可能性がある。また、送信機2が右車輪6aを挟んで第1トリガ機5aの反対側に位置していたり、送信機2とアンテナ31との間の車体部品の影響によって電波が届き難い状態になっていても、同様のことが言える。このため、送信機2が応答してこなかったのが送信機2の故障および送信機2の電池切れのように、ドライバに対して警告する必要がある場合であるか否かを判定する必要がある。
【0040】
なお、このとき、トリガ信号の出力強度が高いと、第1トリガ機5aと対応する右前輪6aに取り付けられた送信機2以外の送信機2も応答する可能性がある。このため、上記のようにトリガ信号の出力強度を調整しておくことで、右前輪6aに取り付けられた送信機2のみが応答するようにしておくのが好ましい。
【0041】
また、第1、第2トリガ機5a、5bから出力されるトリガ信号の強度が距離に伴って減衰することを利用し、第1、第2トリガ機5a、5bから各車輪6a〜6dまでの距離を異ならせることで、各送信機2で受信するトリガ信号の受信強度を異ならせ、その受信強度に応じて送信機2の送信タイミングが調整できるようにすることもできる。例えば、各送信機2の送信タイミングが受信強度に応じて設定されるようにしておくと共に、受信機3側で各送信機2でのトリガ信号の受信強度と送信タイミングとの関係を記憶しておき、各送信機2が応答するときのタイミングが把握できるようにしておけば、他の車輪6b〜6dに取り付けられた送信機2が応答したとしても、右前輪6aに取り付けられた送信機2から送られてきたフレームか否かを判別することができる。
【0042】
そして、送信機2が応答してこない場合、もしくは、送信機2の応答を受信機3で受信できない場合、制御部32bに内蔵された図示しない未応答回数計数用のカウンタのカウント値を1つインクリメントすることで未応答の回数を記憶したのち、ステップ110において、未応答が所定回数(ここでは2回)連続してるか否かを判定する。ここでいう所定回数は、未応答が送信機2の故障等によるものではなく、上記理由により偶発的に生じたものである場合を除くことで、頻繁にリトライが行われることを防止するためである。このため、1回目の未応答では、単に未応答であったことだけを記憶するだけに留め、2回目の未応答の際に上記各処理をリトライする。
【0043】
したがって、未応答が2回目となり、制御部32bに内蔵されたカウンタのカウント値が2となって、ステップ110で肯定判定されると、ステップ115に進む。ステップ115では、リトライ回数が5回以下であるか否かを判定する。ここでいうリトライ回数とは、後述するステップ305において、制御部32bに内蔵された図示しないリトライ回数計数用のカウンタでカウントされるものであり、右前輪6aに対してトリガ信号の出力を何回リトライしたかを示す値である。そして、リトライ回数が5回以下であれば、ステップ120に進み、リトライの必要があるとして、トリガ信号再送信を行う旨のデータを記憶しておく。例えば、右車輪6aに対してリトライが必要であることを示すフラグをセットするなどにより記憶しておく。
【0044】
後述するように、右前輪6a以外の他の車輪6b〜6cに対してもトリガ信号の送信を行ってタイヤ空気圧検出を行うことになるが、リトライしたときに他の車輪6b〜6dのデータ送信と重なってしまうと、送信データ同士でのバッティングによって受信が不可能となる場合がある。このため、すべての車輪6a〜6dでのタイヤ空気圧検出が終わった後か、もしくは、各車輪6b〜6dでのタイヤ空気圧検出のタイミングを避けて、リトライが行われるようにする必要がある。そこで、ここではステップ120で右前輪6aに対してリトライする必要があることを記憶しておき、とりあえず先に他の車輪6b〜6dのタイヤ空気圧検出を行う。
【0045】
一方、ステップ115において、上記カウント値に基づき、リトライ回数が所定回数(ここでは5回)を超えていればリトライせずにステップ125に進む。この場合には、送信機2の故障や電池切れなどが発生していると考えられるため、右車輪6aに取り付けられた送信機2に異常が発生していることを示すべく、表示器4に対してその旨の信号を出力する。これにより、表示器4で右車輪6aに取り付けられた送信機2に異常が発生していることが表示される。
【0046】
続く、ステップ130〜ステップ155では、左前輪6bに対して、上述したステップ100〜ステップ125と同様の処理を行う。すなわち、第2トリガ機5bに向けてトリガ指令信号を出力し、これに対して左前輪6bに取り付けられた送信機2が応答するか否かを判定する。そして、応答が2回連続して無く、リトライ回数が所定回数(ここでは5回)を以下であれば、左前輪6bに対してリトライの必要があるとしてトリガ信号再送信を行う旨のデータを記憶させ、リトライ回数が所定回数を超えても応答がなければ左前輪6bの送信機2が異常であることを示す信号が表示器4に対して出力される。
【0047】
同様に、左前輪6bに対してタイヤ空気圧検出が終わると、ステップ160〜185において、右後輪6cに対して、上述したステップ100〜ステップ125と同様の処理を行う。すなわち、第3トリガ機5cに向けてトリガ指令信号を出力し、これに対して右後輪6cに取り付けられた送信機2が応答するか否かが判定される。そして、応答が2回連続して無く、リトライ回数が所定回数(ここでは5回)を以下であれば、右後輪6cに対してリトライの必要があるとしてトリガ信号再送信を行う旨を記憶させ、リトライ回数が所定回数を超えても応答がなければ右後輪6cの送信機2が異常であることを示す信号が表示器4に対して出力される。
【0048】
さらに、右後輪6cに対してタイヤ空気圧検出が終わると、ステップ190〜215において、左後輪6dに対して、上述したステップ100〜ステップ125と同様の処理を行う。すなわち、第4トリガ機5dに向けてトリガ指令信号を出力し、これに対して左後輪6dに取り付けられた送信機2が応答するか否かが判定される。そして、応答が2回連続して無く、リトライ回数が所定回数(ここでは5回)を以下であれば、左後輪6dに対してリトライの必要があるとしてトリガ信号再送信を行う旨を記憶させ、リトライ回数が所定回数を超えても応答がなければ左後輪6dの送信機2が異常であることを示す信号が表示器4に対して出力される。
【0049】
続く、ステップ220では、リトライ処理が実行される。リトライ処理とは、上述したステップ120、150、180、210において、トリガ信号送信を行う旨のデータが記憶されていた場合、そのデータに基づいて車輪6a〜6dのうちリトライを行う車輪と対応するトリガ機5に対してトリガ信号を出力させることを指令する信号を送るものである。
【0050】
図4−a、bは、このリトライ処理の詳細を示したフローチャートである。この図に示すように、リトライ処理では、まず、ステップ300において、右前輪6aに対してリトライの必要性があるか否かを判定する。この判定は、上述したステップ120でトリガ信号を再度送信する旨のデータ(例えばリトライの必要があることを示すフラグ)が記憶されているか否かに基づいて行われる。ここで必要ありと判定された場合には、ステップ305に進み、上記ステップ100と同様に、第1トリガ機5aに対してトリガ信号を出力させることを指令する信号を出力し、それと同時にリトライ回数を1つインクリメントする。
【0051】
これにより、すべての車輪6a〜6dのタイヤ空気圧検出が終わってから所定時間経過後に、リトライのためのトリガ信号が出力される。このとき、トリガ信号を1回発生させる指令であっても構わないが、1回のリトライ処理時にトリガ信号を複数回連続的に発生させる指令とすると、トリガ信号が送信機2に伝わる可能性を高めることができるため、より好ましい。
【0052】
この処理により、第1トリガ機5aからトリガ信号が出力されるため、ステップ310において、上記ステップ105と同様に、右前輪6aに取り付けられた送信機2からの応答があるか否かを判定する。そして、応答があればステップ315に進んでリトライ回数計数用および未応答回数計数用のカウンタのカウント値を0にリセットし、応答がなければリトライ回数を維持したままとする。
【0053】
そして、ステップ320〜335では左前輪6bに対して、続いてステップ340〜ステップ355では右後輪6cに対して、最後にステップ360〜375では左前輪6dに対して、上述したステップ300〜315で示した各処理と同様の処理を行う。このようにして、リトライ処理が実行され、タイヤ空気圧検出処理が完了する。
【0054】
このようなタイヤ空気圧検出処理は、イグニッションスイッチがオフからオンに切り替えられた後、所定周期毎に実行される。そして、各車輪6a〜6dに取り付けられた各送信機2からの応答が途切れなくあれば、タイヤ空気圧を所定周期毎に取得することとなり、応答が途切れたときに、該当する車輪と対応するトリガ機5に対して定常送信とは異なるタイミングでトリガ信号を出力させ、送信機2に異常が発生しているか否かの判別が行われる。
【0055】
そして、タイヤ空気圧検出処理において、送信機2から応答があった場合には、受信したフレームからタイヤ空気圧を示すデータおよびタイヤ内の温度を示すデータが抽出され、温度を示すデータに基づいて必要に応じて温度補正がなされ、タイヤ空気圧が求められる。このとき、基本的に、各トリガ機5からのトリガ信号に応答して送信機2からのフレームの送信が行えるため、受信機3側でフレームを受信したときに、どの送信機2が送ってきたものかを特定することができるが、必要であれば、フレーム内に格納されたID情報に基づいて、そのフレームが4つの車輪6a〜6dのいずれに取り付けられた送信機2から送られてきたものかを判別しても良い。
【0056】
そして、例えば、図示しない別フローにおいて、求められたタイヤ空気圧と前回求められたタイヤ空気圧との差が所定のしきい値を超えていないようなタイヤ空気圧の変化が少ない場合には、タイヤ空気圧を検出する周期がそのまま(例えば1分間毎)とされ、所定のしきい値を超えてタイヤ空気圧の変化が大きい場合には、その周期が早められる(例えば5秒間毎)。この後、求められたタイヤ空気圧が所定のしきい値を下回っていると判定されれば、制御部32bから表示器4にその旨を示す信号が出力され、タイヤ空気圧が低下したのが4つの車輪6a〜6dのいずれであるかが特定できる形態で、表示器4に表示される。これにより、ドライバに車輪6a〜6dのいずれのタイヤ空気圧が低下したかを知らせることが可能となる。
【0057】
最後に、イグニッションスイッチがオンからオフに切り替わると、再び受信機3の制御部32bからトリガ機5にトリガ指令信号が出力され、トリガ機5からトリガ信号が出力される。このトリガ信号が受信アンテナ25および受信部22cを通じて制御部22aに入力されると、送信機2がSleep状態に切り替わる。これにより、タイヤ空気圧検出装置のタイヤ空気圧検出が終了になる。なお、このときには、トリガ信号に送信機2がSleep状態となるように指示するコマンドを含めて送信する。このトリガ信号を受けて、送信機2は、制御部22aが前記トリガ信号を受信しSleep状態となる。
【0058】
参考として、図5に、上記のようなタイヤ空気圧検出処理を実行したときのタイミングチャートを示す。図5(a)は、各車輪6a〜6dに取り付けられた送信機2に異常がなかった場合のタイミングチャートであり、図5(b)は、右後輪6cに取り付けられた送信機2に異常が発生した場合のタイミングチャートである。
【0059】
図5(a)に示されるように、イグニッションスイッチがオンされると同時に、第1〜第4トリガ機5a〜5dから順にトリガ信号が出力され、それに対応して車輪6a〜6dに取り付けられた各送信機2からタイヤ空気圧に関するデータおよびID情報を格納したフレームが送信される。これが受信機3で受信されると、イグニッションスイッチがオフに切り替わるまでタイヤ空気圧検出処理が実行される。
【0060】
一方、図5(b)に示されるように、上記のようなタイヤ空気圧検出の際に、例えば右後輪6cに取り付けられた送信機2から2回続けて応答が無かった場合、トリガ信号送信を行う旨が記憶される。これに基づいて、右後輪6cに対応する第3トリガ機5cに向けてトリガ指令信号を出力され、第3トリガ機5cから所定回数トリガ信号が連続的に出力されることで、右後輪6cに対するタイヤ空気圧検出がリトライされる。そして、右後輪6cに取り付けられた送信機2が故障していたのであれば、リトライされても応答がないため、上述したように右後輪6cにとり付けられた送信機2が故障していることを示す信号が表示器4に伝えられ、表示器4にてそれが表示される。
【0061】
以上説明したように、本実施形態では、送信機2からの応答がない未応答状態であった場合、ここでは未応答状態が所定回数継続した場合に、送信機2に異常が発生したかもしれないものとして、該当する車輪と対応するトリガ機5に対して定常送信とは異なるタイミングでトリガ信号を出力させることでリトライし、送信機2に異常が発生しているか否かの判別を行うようにしている。このため、未応答状態が送信機2の異常によるものなのか、それとも他の原因によるものなのかを的確に判別することが可能となる。
【0062】
勿論、このようなリトライは、正常にフレームを受信できなかった車輪に対してのみ行えばよいため、第1〜第4トリガ機5a〜5dのうちその車輪に対応するもののみから再度トリガ信号を出力させるようにすれば良い。
【0063】
また、このようなリトライを行う際に、トリガ信号を複数回連続的に出力させるようにすることで、送信機2にトリガ信号が伝わる可能性を高め、送信機2からの応答の可能性を高めることが可能となる。このため、より送信機2の異常を的確に検出することが可能となる。
【0064】
なお、このようなリトライを行う場合、車両1が走行中にリトライするようにすると好ましい。例えば、送信機2の位置がたまたまトリガ信号が受信し難い場所にあったときにトリガ信号が出力された場合等においては、送信機2が同じ場所にある状態でリトライしてもまた送信機2がトリガ信号を受信できないという状態になり兼ねない。このため、車両1が走行中にリトライさせるようにすれば、送信機2の位置が変わり、トリガ信号が受信できる可能性を高めることが可能となる。車両1が走行中であるか否かの検出に関しては、制御部32bに入力される車速センサ8の信号に基づいて行えばよく、車速が発生するような条件となったときに受信機3からトリガ機5に対してトリガ信号の出力指令を送るようにすれば良い。
【0065】
例えば、上述した図4のステップ300の前段に、車両1が走行中であるか否かを判定するステップを設け、肯定判定された場合にのみステップ300以降の処理が実行されるようにすれば良い。なお、車両1が走行中ではないと否定判定された場合には、リトライしていないことになるため、リトライ回数は増加しないままリトライ処理が完了するため、次回図3に示すタイヤ空気圧検出処理が実行されてもリトライ回数は前回の処理のときの値が維持されることになる。
【0066】
さらに、本実施形態では、リトライ処理の際に、トリガ信号が予め決められたタイミング(ここではすべての車輪6a〜6dのタイヤ空気圧検出が終了してから所定時間経過後)で複数回連続的に出力することができるが、各トリガ信号の出力間隔をランダムに変更しても良い。例えば、乱数表などを予め受信機2の制御部32bに記憶させておき、その乱数表にしたがってトリガ信号の出力間隔を設定することができる。
【0067】
(第2実施形態)
上記第1実施形態に示したタイヤ空気圧検出装置では、受信機3がトリガ機5からトリガ信号を出力させる毎に、それに応答して送信機2がタイヤ空気圧に関するデータを格納したフレームを送信するようにした形態について説明した。これに対して、上記第1実施形態と同様の構造を有するタイヤ空気圧検出装置を用いて、イグニッションスイッチがオフからオンに切り替わったときに受信機3がトリガ機5から出力させる1回目のトリガ信号に基づいて送信機2をWake−up状態にさせ、定期送信モードに切り替えることで自動的に所定周期毎にタイヤ空気圧に関するデータを格納したフレームを送信させると共に、イグニッションスイッチが再びオフに切り替わったときに受信機3がトリガ機5から出力させる2回目のトリガ信号に基づいて送信機3をSleep状態にさせるという形態としても構わない。
【0068】
このような形態とされる場合、トリガ機5からトリガ信号を出力しなくても車輪6a〜6dに取り付けられた各送信機2から自動的にタイヤ空気圧に関するデータが格納されたフレームが送られてくるため、受信機3の制御部32bで実行するタイヤ空気圧検出処理として、上述した図3のステップ100、130、160、190の処理を削除したものを実行すれば良い。
【0069】
図6は、このようなタイヤ空気圧検出処理を実行したときのタイミングチャートを示したものである。図6(a)は、各車輪6a〜6dに取り付けられた送信機2に異常がなかった場合のタイミングチャートであり、図6(b)は、右後輪6cに取り付けられた送信機2に異常が発生した場合のタイミングチャートである。
【0070】
図6(a)に示されるように、イグニッションスイッチがオンされると同時に、第1〜第4トリガ機5a〜5dから順にトリガ信号が出力され、それに対応して車輪6a〜6dに取り付けられた各送信機2からタイヤ空気圧に関するデータおよびID情報を格納したフレームが送信される。これが受信機3で受信されると、イグニッションスイッチがオフに切り替わるまでタイヤ空気圧検出処理が実行される。そして、各送信機2は、トリガ信号が送られてこなくても自動的に所定周期毎にタイヤ空気圧に関するデータを格納したフレームを送信するという処理を、イグニッションスイッチがオンからオフに切り替わるまで繰り返す。
【0071】
一方、図6(b)に示されるように、上記のようなタイヤ空気圧検出の際に、例えば右後輪6cに取り付けられた送信機2から2回続けて応答が無かった場合、トリガ信号送信を行う旨が記憶される。これに基づいて、右後輪6cに対応する第3トリガ機5cに向けてトリガ指令信号を出力され、第3トリガ機5cから所定回数トリガ信号が連続的に出力されることで、右後輪6cに対するタイヤ空気圧検出がリトライされる。そして、右後輪6cに取り付けられた送信機2が故障していたのであれば、リトライされても応答がないため、上述したように右後輪6cにとり付けられた送信機2が故障していることを示す信号が表示器4に伝えられ、表示器4にてそれが表示される。
【0072】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態のタイヤ空気圧検出装置は、第1実施形態に対してトリガ機5の形態を変更したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、異なる部分についてのみ説明する。
【0073】
図7は、本実施形態のタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示した模式図である。上記第1、第2実施形態では、各車輪6a〜6d毎にトリガ機5が配置されているものについて説明したが、本実施形態では、図7に示すように、両前輪6a、6bに対してトリガ信号を出力するための第1トリガ機5Aと両後輪6c、6dに対してトリガ信号を出力するための第2トリガ機5Bの2つのみによりトリガ機5を構成している。本実施形態では、第1トリガ機5Aから送信されたトリガ信号が左右前輪6a、6bに取り付けられた送信機2に届き、第2トリガ機5Bから送信されたトリガ信号が左右後輪6c、6dに取り付けられた送信機2に届くようにしている。
【0074】
また、各トリガ機5は、対応する各車輪に対して異なる距離となるように、車両1を左右対称に分断する中心線に対してオフセットされて配置される。本実施形態では、第1トリガ機5Aは左前輪6bの近傍に配置され、第2トリガ機5Bは左後輪6dの近傍に配置されており、両者は共に中心線よりも左側に配置されている。このため、第1トリガ機5Aから左右前輪6a、6bまでの距離は、右前輪6aの方が左前輪6bよりも長く、第2トリガ機5Bから左右後輪6c、6dまでの距離は、左後輪6d、右後輪6cの順に長くなっている。
【0075】
このようなタイヤ空気圧検出装置の場合、第1トリガ機5Aからトリガ信号を出力すれば、両前輪6a、6bに取り付けられた送信機2が応答してタイヤ空気圧に関するデータを格納したフレームを送信してくる。このため、本実施形態のタイヤ空気圧検出装置では、受信機3の制御部32bが図8に示すようなタイヤ空気圧検出処理を実行する。
【0076】
ここで示したタイヤ空気圧検出処理は、第1実施形態において図3に示したタイヤ空気圧検出処理のうち、ステップ100で第1トリガ機5Aからのトリガ信号の出力を指令すると共に、ステップ160で第2トリガ機5Bからのトリガ信号の出力を指令し、ステップ130〜155やステップ190〜215の処理を省略したものであり、他は図3に示したタイヤ空気圧検出処理と同様である。このようにして、本実施形態のタイヤ空気圧検出装置によるタイヤ空気圧検出処理とすることができる。
【0077】
なお、このような形態とされる場合、制御部22aにて、フレームを送信部22bに送るタイミングを制御する。これは、各送信機2からの送信データ同士でのバッティングを防ぐためである。例えば、トリガ信号を受け取ってから何秒後にフレームを送るかという送信タイミングが、予め各送信機2毎に異なるもので設定されている。このため、各車輪6a〜6dの送信機2から、それぞれ異なったタイミングでフレームが送信されるようになっている。
【0078】
ただし、各車輪6a〜6dの送信機2から異なるタイミングでフレームが送信されるようにするために、単に、各送信機2の制御部22aに異なった送信タイミングを記憶させただけでは、各送信機2の記憶内容が異なったものとなってしまう。このため、例えば、トリガ信号の受信強度に応じてフレームの送信タイミングがずらされるように、受信強度に応じて送信タイミングが選択できるマップ、もしくは、送信強度を変数として送信タイミングを求める関数式を制御部22aに記憶させておき、受信強度の相違により必然的に各送信機2の送信タイミングが異なるようにすれば、すべての送信機2の制御部22aのプログラムを共通にすることが可能となる。
【0079】
また、送信タイミングが毎回ランダムに変更されるように、制御部22aに記憶させるプログラムを設定しても良い。このように、毎回ランダムに変更されるようにすれば、高い確率で各送信機2の送信タイミングがすべて異なったものになるようにすることが可能である。
【0080】
一方、リトライ処理に関しては、図9に示すフローチャートを実行することになる。すなわち、ステップ400では、右前輪6aまたは左前輪6bに対してリトライが必要であるかを判定する。これは、1つのトリガ機5により、両前輪6a、6bに対してトリガ信号を出力することになるため、両前輪6a、6bの少なくとも一方においてリトライの必要があるかを判定するのである。ここで肯定判定されれば、ステップ405に進み、第1トリガ機5Aからのトリガ信号の出力を指令し、ステップ410に進む。
【0081】
そして、ステップ410において、リトライが必要であった該当車輪の送信機2から応答があったか否かを判定し、あればステップ415に進んでリトライ回数をリセットし、なければリトライ回数を維持したままにする。
【0082】
同様に、ステップ420〜435において、右後輪6cと左後輪6dの少なくとも一方においてリトライの必要がれば第2トリガ機5Bからのトリガ信号の出力を指令し、リトライが必要であった該当車輪の送信機2から応答があったか否かを判定する。そして、応答があればリトライ回数をリセットし、なければリセット回数を維持したままリトライ処理を終了する。
【0083】
図10は、このようなタイヤ空気圧検出処理を実行したときのタイミングチャートを示したものである。図10(a)は、各車輪6a〜6dに取り付けられた送信機2に異常がなかった場合のタイミングチャートであり、図10(b)は、右後輪6cに取り付けられた送信機2に異常が発生した場合のタイミングチャートである。
【0084】
図10(a)に示されるように、イグニッションスイッチがオンされると、第1トリガ機5Aにトリガ信号が出力され、それに対応して両前輪6a、6bに取り付けられた各送信機2からタイヤ空気圧に関するデータおよびID情報を格納したフレームが送信される。続いて、第2トリガ機5Bにトリガ信号が出力され、それに対応して両後輪6c、6dに取り付けられた各送信機2からタイヤ空気圧に関するデータおよびID情報を格納したフレームが送信される。そして、これらが受信機3で受信されると、イグニッションスイッチがオフに切り替わるまでタイヤ空気圧検出処理が実行される。
【0085】
一方、図10(b)に示されるように、上記のようなタイヤ空気圧検出の際に、例えば右後輪6cに取り付けられた送信機2から2回続けて応答が無かった場合、トリガ信号送信を行う旨が記憶される。これに基づいて、右後輪6cに対応する第2トリガ機5Bに向けてトリガ指令信号を出力され、第2トリガ機5Bから所定回数トリガ信号が連続的に出力されることで、両後輪6c、6dに対するタイヤ空気圧検出がリトライされる。そして、右後輪6cに取り付けられた送信機2が故障していたのであれば、リトライされても応答がないため、上述したように右後輪6cにとり付けられた送信機2が故障していることを示す信号が表示器4に伝えられ、表示器4にてそれが表示される。
【0086】
(第4実施形態)
上記第3実施形態に示したタイヤ空気圧検出装置でも、第2実施形態と同様に、イグニッションスイッチがオフからオンに切り替わったときに受信機3がトリガ機5から出力させる1回目のトリガ信号に基づいて送信機2をWake−up状態にさせ、定期送信モードに切り替えることで自動的に所定周期毎にタイヤ空気圧に関するデータを格納したフレームを送信させると共に、イグニッションスイッチが再びオフに切り替わったときに受信機3がトリガ機5から出力させる2回目のトリガ信号に基づいて送信機3をSleep状態にさせるという形態としても構わない。
【0087】
このような形態とされる場合、トリガ機5からトリガ信号を出力しなくても車輪6a〜6dに取り付けられた各送信機2から自動的にタイヤ空気圧に関するデータが格納されたフレームが送られてくるため、受信機3の制御部32bで実行するタイヤ空気圧検出処理として、上述した図8のステップ100、160の処理を削除したものを実行すれば良い。リセット処理に関しては、第3実施形態で示した図9の各処理を実行すれば良い。
【0088】
図11は、このようなタイヤ空気圧検出処理を実行したときのタイミングチャートを示したものである。図11(a)は、各車輪6a〜6dに取り付けられた送信機2に異常がなかった場合のタイミングチャートであり、図11(b)は、右後輪6cに取り付けられた送信機2に異常が発生した場合のタイミングチャートである。
【0089】
図11(a)に示されるように、イグニッションスイッチがオンされると、第1トリガ機5Aにトリガ信号が出力され、それに対応して両前輪6a、6bに取り付けられた各送信機2からタイヤ空気圧に関するデータおよびID情報を格納したフレームが送信される。続いて、第2トリガ機5Bにトリガ信号が出力され、それに対応して両後輪6c、6dに取り付けられた各送信機2からタイヤ空気圧に関するデータおよびID情報を格納したフレームが送信される。そして、これらが受信機3で受信されると、イグニッションスイッチがオフに切り替わるまでタイヤ空気圧検出処理が実行される。この後、各送信機2は、トリガ信号が送られてこなくても自動的に所定周期毎にタイヤ空気圧に関するデータを格納したフレームを送信するという処理を、イグニッションスイッチがオンからオフに切り替わるまで繰り返す。
【0090】
一方、図11(b)に示されるように、上記のようなタイヤ空気圧検出の際に、例えば右後輪6cに取り付けられた送信機2から2回続けて応答が無かった場合、トリガ信号送信を行う旨が記憶される。これに基づいて、右後輪6cに対応する第2トリガ機5Bに向けてトリガ指令信号を出力され、第2トリガ機5Bから所定回数トリガ信号が連続的に出力されることで、両後輪6c、6dに対するタイヤ空気圧検出がリトライされる。そして、右後輪6cに取り付けられた送信機2が故障していたのであれば、リトライされても応答がないため、上述したように右後輪6cにとり付けられた送信機2が故障していることを示す信号が表示器4に伝えられ、表示器4にてそれが表示される。
【0091】
(他の実施形態)
上記実施形態では、すべての車輪6a〜6dのタイヤ空気圧検出が終わってからリトライ処理が実行されるようにしたが、各車輪6a〜6dでリトライの必要があると判定されたときに、他の車輪6a〜6dのタイヤ空気圧検出が終わる前にその都度リトライを行うようにしても構わない。
【0092】
また、上記実施形態で説明したリトライを行うか否かの判定基準としている未応答の回数(図3、図8のステップ110、140、170、200参照)や送信機2が異常であるか否かの判定基準としているリトライ回数(図3、図8のステップ115、145、175、205参照)に関しては、あくまでも例示であり、その他の回数としても構わない。
【0093】
上記第3、第4実施形態では、第1トリガ機5Aを両前輪6a、6b側に配置し、第2トリガ機5Bを両後輪6c、6d側に配置している。そして、左右前輪6a、6bを一対としてそれらに対して第1トリガ機5Aからトリガ信号を出力し、左右後輪6c、6dを一対としてそれらに対して第2トリガ機5Bからトリガ信号を出力させるようにした。これに対して、第1トリガ機5Aを両左車輪6b、6d側に配置すると共に、第2トリガ機5Bを両右車輪6a、6c側に配置し、両左車輪6b、6dを一対としてそれらに対して第1トリガ機5Aからトリガ信号を出力し、両右車輪6a、6cを一対としてそれらに対して第2トリガ機5Bからトリガ信号を出力させるようにしても構わない。この場合、第1トリガ機5Aを両左車輪6b、6dのいずれか一方に対して他方よりも近づけて配置し、第2トリガ機5Bが両右車輪6a、6cのいずれか一方に対して他方よりも近づけて配置するようにすれば、第1、第2トリガ機5A、5Bからトリガ信号を出力したときに、その受信強度が異なった値となるため、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0094】
また、上記第1、第2実施形態では、トリガ機5を第1〜第4トリガ機5a〜5dの4つ、第3、第4実施形態では、第1、第2トリガ機5A、5Bの2つで構成する場合について説明したが、すべての送信機2にトリガ信号を届かせられるのであれば、各車輪6a〜6dそれぞれから異なる距離となるように1つのトリガ機5を備えるようにしたものであっても良い。
【0095】
また、上記実施形態では、4輪車両に対して本発明の一実施形態を適用したものについて説明したが、4輪車両に限るものではなく、大型車両のようにそれ以上の車輪が備えられた車両のタイヤ空気圧検出装置に対して本発明を適用することもできる。
【0096】
また、上記実施形態では、車速センサ8の検出信号に基づいて車両1が走行中であるか否かを検出したが、その他の周知となっている信号、車輪速度センサや前後加速度センサ等の検出信号に基づいて検出することもできる。
【0097】
なお、各図中に示したステップは、各種処理を実行する手段に対応するものである。例えば、ステップ105、135、165、195に示す処理を実行する部分は判定手段に相当し、ステップ220に示す処理を実行する部分はリトライ処理手段に相当する。また、ステップ110、140、170、200に示す処理を実行する部分は未応答回数判定手段に相当し、ステップ115、145、175、205に示す処理を実行する部分はリトライ回数判定手段に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の第1実施形態におけるタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示す図である。
【図2】(a)、(b)は、それぞれ、送信機と受信機のブロック構成を示した図である。
【図3−a】受信機の制御部が実行するタイヤ空気圧検出処理のフローチャートである。
【図3−b】図3−aに続くタイヤ空気圧検出処理のフローチャートである。
【図4−a】受信機の制御部が実行するリトライ処理のフローチャートである。
【図4−b】図4−aに続くリトライ処理のフローチャートである。
【図5】(a)は、各車輪に取り付けられた送信機に異常がなかった場合のタイミングチャートであり、(b)は、右後輪に取り付けられた送信機に異常が発生した場合のタイミングチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態のタイヤ空気圧検出装置によりタイヤ空気圧検出処理を実行したときのタイミングチャートであり、(a)は、各車輪に取り付けられた送信機に異常がなかった場合のタイミングチャート、(b)は、右後輪に取り付けられた送信機に異常が発生した場合のタイミングチャートである。
【図7】本発明の第3実施形態におけるタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示す図である
【図8】受信機の制御部が実行するタイヤ空気圧検出処理のフローチャートである。
【図9】受信機の制御部が実行するリトライ処理のフローチャートである。
【図10】(a)は、各車輪に取り付けられた送信機に異常がなかった場合のタイミングチャート、(b)は、右後輪に取り付けられた送信機に異常が発生した場合のタイミングチャートである。
【図11】本発明の第4実施形態のタイヤ空気圧検出装置によりタイヤ空気圧検出処理を実行したときのタイミングチャートであり、(a)は、各車輪に取り付けられた送信機に異常がなかった場合のタイミングチャート、(b)は、右後輪に取り付けられた送信機に異常が発生した場合のタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0099】
1…車両、2…送信機、3…受信機、4…表示器、5…トリガ機、5a〜5d…第1〜第4トリガ機、5A、5B…第1、第2トリガ機、6a〜6d…車輪、7…車体、8…車速センサ、21…センシング部、22…マイクロコンピュータ、22a…制御部、22b…送信部、22c…受信部、23…電池、24…送信アンテナ、25…受信アンテナ、31…アンテナ、32…マイクロコンピュータ、32a…受信部、32b…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤを備えた複数個の車輪(6a〜6d)それぞれに備えられ、タイヤ空気圧に関するデータを取得するセンシング部(21)と、受信アンテナ(25)を通じてトリガ信号を受信する受信部(22c)と、前記受信部で前記トリガ信号を受信すると、決められたタイミングのときに前記センシング部からタイヤ空気圧に関するデータを得てフレーム内に格納すると共に該フレームを出力する第1制御部(22a)と、送信アンテナ(24)を通じて前記第1制御部にて処理された前記フレームを送信する送信部(22b)とを有してなる送信機(2)と、
車体(7)側に備えられ、前記複数個の車輪のうちの複数に受信されるように前記トリガ信号を出力するトリガ機(5)と、
前記車体側に備えられ、受信アンテナ(31)を通じて前記フレームを受信する受信部(32a)と、該フレームに格納された前記タイヤ空気圧に関するデータに基づいて、前記複数個の車輪それぞれに備えられた前記タイヤの空気圧を求める第2制御部(32b)とを有してなる受信機(3)と、を備え、
前記第2制御部は、前記送信機から前記フレームが送信されるタイミングのときに前記フレームが受信されたか否かを判定する判定手段(105、135、165、195)と、前記判定手段にて前記フレームが受信されていないと判定されたときに、前記フレームが送信されるタイミングと異なるタイミングで前記トリガ機に対して前記トリガ信号を出力させる指令信号を出力し、前記送信機に対して前記フレームの送信を再度行わせるリトライ処理を実行するリトライ処理手段(220)と、を有していることを特徴とするタイヤ空気圧検出装置。
【請求項2】
前記第2制御部は、前記判定手段にて前記フレームが受信されていないことが予め決められた回数に達したか否かを判定する未応答回数判定手段(110、140、170、200)を有し、該未応答回数判定手段にて前記フレームが前記所定回数受信されていないと判定されたときに、前記リトライ処理手段に前記リトライ処理を実行させることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ空気圧検出装置。
【請求項3】
前記トリガ機は複数個有り、
前記リトライ処理手段は、前記判定手段にて前記トリガ機のうち前記フレームが受信されていないと判定された車輪に対応するトリガ機にのみ、前記トリガ信号を出力させるように前記リトライ処理を実行することを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ空気圧検出装置。
【請求項4】
前記リトライ処理手段は、前記複数個の車輪それぞれに備えられた前記送信機が前記フレームを送信するタイミングとは異なるタイミングで前記リトライ処理を実行することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のタイヤ空気圧検出装置。
【請求項5】
前記リトライ処理手段は、前記複数個の車輪それぞれに備えられた前記送信機が前記フレームを送信するタイミングよりも後に前記リトライ処理を実行することを特徴とする請求項4に記載のタイヤ空気圧検出装置。
【請求項6】
前記リトライ処理手段は、前記リトライ処理を1回実行するのに対して、前記トリガ機に対して前記トリガ信号を複数回出力させることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載のタイヤ空気圧検出装置。
【請求項7】
前記リトライ処理手段は、前記トリガ機に対して前記トリガ信号を複数回出力させる際に、それぞれのトリガ信号の間隔がランダムになるようにすることを特徴とする請求項6に記載のタイヤ空気圧検出装置。
【請求項8】
前記第2制御部は、車両(1)が走行中であるか否かを検出し、前記車両が走行中の際に、前記リトライ処理手段に前記リトライ処理を実行させることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載のタイヤ空気圧検出装置。
【請求項9】
前記タイヤ空気圧に関する情報を提供する情報提供装置(4)を有し、
前記第2制御部は、前記リトライ処理手段にて前記リトライ処理を実行しても前記フレームを受信できない場合にリトライ回数をカウントアップすると共に、該リトライ回数が予め決められた回数に達したか否かを判定するリトライ回数判定手段(115、145、175、205)を有し、該リトライ回数判定手段にて前記リトライ処理回数が予め決められた回数に達した場合に、前記情報提供装置にて前記送信機の異常を報知することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載のタイヤ空気圧検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3−a】
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【図3−b】
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【図4−a】
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【図4−b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−74163(P2008−74163A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−253043(P2006−253043)
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】