説明

タイヤ製造方法

【課題】生タイヤの加硫モールドへの咬み込み等を防止しつつ、加硫モールド内で生タイヤを拡張させる加圧流体が生タイヤへ接触して浸透するのを防止する。
【解決手段】コア20の周りにキャビティKよりも小さい生タイヤGTを形成し、コア20を外型10内に挿入して組み合わせ、生タイヤGTと外型10との間に隙間がある状態で加硫モールド1を型閉めして、生タイヤGTをキャビティK内に収納する。コア20と、その外面に装着した膨張可能な膜体25との間に、コア20に貫通して形成した供給孔を通して加圧流体を供給し、加圧流体により膜体25を膨張させる。この膨張する膜体25により、生タイヤGTを拡張させて外型10に押し付け、その内面に所定圧力で押圧しつつ、生タイヤGTを加熱して加硫成型する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ加硫モールドの内型と外型との間に形成されるキャビティ内に生タイヤ(グリーンタイヤ)を収納し、加硫成型して所定形状のタイヤを製造するタイヤ製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤは、一般に、未加硫ゴム等からなる各種のタイヤ構成部材を組み合わせて生タイヤを成形し、加硫モールド内で加硫成型されて製造される。また、近年では、タイヤ性能の向上等を目的に、タイヤの内面形状を規定する剛体のコア(内型)に、各タイヤ構成部材を順次貼り付ける等して、製品タイヤに近い形状の生タイヤを成形し、生タイヤから製品タイヤになるまでの形状の変化量を小さくした、いわゆるコア製法によりタイヤを製造することが行われている。
【0003】
ところが、このコア製法では、加硫モールドのキャビティと生タイヤが略同じ大きさであるため、加硫成型工程での型閉め時に、加硫モールドの外型分割面に生タイヤのゴムが咬み込まれ、又はゴムがはみ出す等の不具合が生じることがある。そこで、これらを防止するため、生タイヤをキャビティよりも小さく形成してキャビティ内に収納した後、コア内部から生タイヤとの間に加圧流体を注入して生タイヤを拡張させ、その外面を外型内面に押し付けて加硫成型する装置が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
図7は、このような従来のコアの例を模式的に示す斜視図であり、その一部を抜き出して示している。また、図8は、このコアを使用した従来の加硫成型について説明するための模式図であり、加硫モールドの幅方向断面の一方側を拡大して示す半断面図である。
従来の加硫時には、図示のように、加硫モールドの外型10内のキャビティKよりも若干(例えば、タイヤ径で数%程度)小さい生タイヤGTを中空状のコア20の外面に形成し、生タイヤGTをコア20とともに外型10内に配置(図8A参照)する。このように、外型10と生タイヤGTとの間に隙間がある状態で型閉めして、生タイヤGTを、咬み込み等を防止しつつキャビティK内に収納した後、コア20の内部から貫通孔(図示せず)を通して、加圧流体、例えばガスをコア20の外面と生タイヤGTの内面との間に注入(図8Bの矢印F)する。このガスにより、生タイヤGTをキャビティK内で直接押し広げて拡張させ、生タイヤGTの外面を外型10の内面に押し付けて型付けし、その状態で加硫成型を進行させて所定形状のタイヤを製造する。
【0005】
しかしながら、この加硫時に注入するガスは、一般に、高温・高圧であるため、生タイヤGTの内面表層のゴムと直接接触する間に、ガスがインナーライナ等のゴムの内部まで僅かに浸透する恐れがある。また、この場合には、加硫後のタイヤの表層ゴム内部にガス(気泡)が残留してゴムゲージが不足し、或いは気泡による外観不良の発生や、エア透過防止性、耐キズ性、耐衝撃性等の低下につながる恐れもある。
【0006】
【特許文献1】特開2000−52349号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、生タイヤの加硫モールドへの咬み込みやゴムのはみ出し等を防止しつつ、加硫モールド内で生タイヤを拡張させる加圧流体が生タイヤへ接触して浸透するのを防止し、加硫後のタイヤの気泡や外観不良の発生、又は、エア透過防止性、耐キズ性、耐衝撃性等が低下するのを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、タイヤの内面形状を規定する内型と、タイヤの外面形状を規定する外型との間に形成されるキャビティ内に生タイヤを収納して加硫成型するタイヤ製造方法であって、内型の周りにキャビティよりも小さい生タイヤを形成する工程と、内型と外型とを組み合わせてキャビティ内に生タイヤを収納する工程と、内型と内型外面に装着した膨張可能な膜体との間に加圧流体を供給する工程と、加圧流体で膨張させた膜体により生タイヤを拡張させて外型に押圧する工程と、外型に押圧した生タイヤを加熱して加硫成型する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、生タイヤの加硫モールドへの咬み込みやゴムのはみ出し等を防止しつつ、加硫モールド内で生タイヤを拡張させる加圧流体が生タイヤへ接触して浸透するのを防止でき、加硫後のタイヤの気泡や外観不良の発生、又は、エア透過防止性、耐キズ性、耐衝撃性等が低下するのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態のタイヤ製造方法では、タイヤ加硫装置が備える加硫モールド内で生タイヤを加熱・型付けして加硫成型し、製品タイヤを所定のトレッドパターンを含む所定形状に形成する。
【0011】
図1は、本実施形態のタイヤ加硫装置が備える加硫モールドの要部を模式的に示す断面図であり、加硫成型する生タイヤの幅方向に対応する方向の断面を、かつ、その断面の一方側(図では上側)を拡大して示す半断面図である。
加硫モールド1は、図示のように、タイヤの外面形状を規定する外型10と、タイヤの内面形状を規定する内型であるコア20とを有し、外型10の内面とコア20の外面との間に形成されるキャビティK内に生タイヤを収納して加硫成型する。また、タイヤ加硫装置は、外型10を介して生タイヤを加熱する手段や、外型10とコア20の移動手段及び、それらを所定位置に配置して組み合わせて保持する手段等、生タイヤを加硫するための他の手段を備えている。
【0012】
外型10は、金属等の剛体からなり、内部に略環状の空間(凹所)が形成されて、その内面に、成型するタイヤの外面形状に応じた内面形状(成型面)を有する。具体的には、外型10は、その中央部の成型面11(図では下側を向く半径方向内側面)が、タイヤのトレッドパターンを含むトレッド部形状に応じた形状に形成され、その左右両側の各成型面12(対向する内側面)が、それぞれタイヤのビード部からサイドウォール部にかけての側面形状に応じた形状に形成されている。外型10は、これら各成型面11、12によりキャビティKの外面側を区画するとともに、コア20と生タイヤの内部への収納と取り出しとを行うため、所定位置で分割された各部が、互いに接近及び離反して型閉め(当接)及び型開き(開放)可能に構成されている。その際、外型10は、例えば中央部を挟んで左右2つに分割され、或いは、左右に対向する略円盤状の一対のサイドモールド及び、それらに挟まれた複数のセグメントからなる略環状のトレッドモールド等の複数に部分に分割され、それらが所定方向に移動して互いに接近及び離反する。
【0013】
コア20は、外型10と同様の剛体からなる、いわゆる剛体(剛性)コアであり、中空構造の略環状をなし、その外面が、成型するタイヤの内面形状に応じた成型面に形成され、外型10内でキャビティKの内面側を区画する。また、コア20には、外型10への収納前に、成型面上に各タイヤ構成部材やリボン状のゴム部材等が順次配置や積層等されて、所定形状及び大きさ(体積)の生タイヤが形成される。タイヤ加硫装置は、このコア20を外型10内に収納して型閉めし、外型10内面とコア20外面との間に、製品タイヤの形状に応じた略トロイダル状のキャビティKを形成し、その中に収納した生タイヤに成型面形状を転写しつつ加硫成型を行う。その際、ここでは、コア20内から、その外面に装着した膜体25との間に加圧流体を供給し、膜体25を膨張させて、生タイヤを外型10へ押し付けて加硫成型する。以下、このコア20について、より詳細に説明する。
【0014】
図2は、本実施形態のコア20を模式的に示す平面図であり、コア20の軸線方向から見た要部の概略形状を示している。
コア20は、図示のように、径方向に移動可能な2種類の弧状のセグメント21、22が複数(ここでは5つ)ずつ、周方向に交互に密着した状態で配置されて構成されている。これらセグメント21、22は互いに形状が異なり、一方のセグメント21が、径方向外側に向かって次第に広がる平面視略扇形状であるのに対し、他方のセグメント22は、径方向外側に向かって次第に縮小する、又は実質的に変化しない平面視略矩形状に形成されている。このようにして、各セグメント21、22には、コア20の組み立て及び、その加硫後のタイヤからの取り出しができるように、互いの当接面に勾配(抜き勾配)が設けられる。
【0015】
即ち、コア20は、組み立て時には、各セグメント21、22を、当接面の勾配に合わせて径方向に相対的に移動させる等して互いに当接させて、略環状に形成される。一方、コア20を加硫後のタイヤの内側から取り出すときには、まず、平面視略矩形状のセグメント22を順次径方向内側へ移動させて中央孔2から軸線方向に抜き出し、その後、残りの各セグメント21を同様に順次径方向内側へ移動させて軸線方向に抜き出し、コア20をタイヤ内から取り出す。
【0016】
図3は、このコア20の一部を拡大して模式的に示す斜視図である。
本実施形態のコア20には、図示のように、伸縮性を有する膨張可能な膜体25(図では表面に格子状のハッチングを付して示す)が、セグメント21、22の外面の全部又は一部を覆うように、その周方向の全体に亘って所定範囲に装着されている。この膜体25は、例えば加硫用ブラダの材質と同じ材質のシート状ゴム等、耐高温性や耐高圧性を有する所定厚さのシート部材からなり、コア20への装着範囲に応じた形状や大きさに形成される。また、膜体25は、コア20内から供給される膨張用の加圧流体がコア20の外面との間に充填されて外部(生タイヤ側)へ漏れないように、コア20に気密状に取り付けられ、コア20の周りで膨張及び収縮して、コア20に密着した状態と外側に向かって拡張した状態との間で状態変移する。
【0017】
ここでは、膜体25は、生タイヤのトレッド部(又はトップトレッド部)の内面側に位置し、同範囲を成型するコア20のトレッド成型部20Tへ装着され、各セグメント21、22(コア20)の外周面を覆うように、その全体に亘って略環状に配置される。従って、この膜体25は、コア20の周りに形成される生タイヤとコア20との間に配置されて、少なくとも生タイヤのトレッド部内面に当接する。また、各セグメント21、22の膜体25が装着される部分には、コア20の外面と膜体25との間に加圧流体を供給する供給孔が形成されている。
【0018】
図4は、このコア20を膜体25とセグメント21、22とに分解して示す模式図であり、セグメント21、22は、膜体25の装着部分のみ示している。
セグメント21、22には、図示のように、複数の供給孔Hが、膜体25と対向する範囲の全体に亘って略均等に開口するように、内外面間を貫通して断面略円形状に形成されている。これら複数の供給孔Hは、それぞれセグメント21、22の内部と外部とを連通させて、内外間の加圧流体の流通を可能にする小孔であり、コア20の内面側に送り込まれた加圧流体を外面側の膜体25との間まで流通させて、膜体25を膨張させる。
【0019】
このタイヤ加硫装置では、加圧流体として、所定圧力に加圧された空気や窒素等のガスを使用し、これをコア20内から各供給孔Hを通して膜体25の内面側まで供給する。そのため、タイヤ加硫装置は、所定圧力の加圧流体の供給源と、加圧流体をコア20の内面側まで送り込んで循環させる開閉可能な循環通路等からなる加圧流体の供給手段を有し、これにより、加圧流体をコア20の内面側に所定のタイミングで送り込む。また、この加圧流体を供給孔Hから膜体25側まで供給して、膜体25を膨張させ、その外面側に形成された生タイヤを拡張させて外型10の内面(成型面)へ接触させ、その状態で、加圧流体の循環通路の出口を閉鎖し、加圧流体をコア20及び膜体25内に封入する等して、膜体25を膨張状態に維持する。これにより、生タイヤを外型10に所定圧力で押し付けて押圧した後、加硫成型の終了等の所定条件の成立に伴い、循環通路の出口を開放する等して、加圧流体による加圧を停止して膜体25を元の状態に収縮させる。
【0020】
次に、このタイヤ加硫装置による生タイヤの加硫成型を含むタイヤ製造の手順や動作等について説明する。
なお、以下説明する手順や動作は、タイヤ加硫装置等が備える制御装置(図示せず)により制御され、所定のプログラムに基づいて装置各部を予め設定されたタイミングや条件で関連動作させる等、それらを連動して作動させて実行される。この制御装置は、例えば中央演算処理装置(CPU)、各種プログラムを格納するROM(Read Only Memory)、及び、CPUが直接アクセスするデータを一時的に格納するRAM(Random Access Memory)等を備えたコンピュータから構成され、接続手段を介して装置各部が接続されている。これにより、制御装置は、装置各部と制御信号を含む各種データを送受信し、生タイヤの成形や加硫等に関する各動作をそれぞれ実行させる。
【0021】
図5は、本実施形態のタイヤ製造の手順を示すフローチャートである。また、図6は、タイヤ加硫装置による生タイヤの加硫時の各状態を順に示す断面図であり、図1に対応して加硫モールド1の要部を模式的に示している。
タイヤ製造時には、図5に示すように、まず、内型であるコア20の周りに、各種タイヤ構成部材を配置や積層する等して組み合わせ、その成型面及び膜体25上に、収納されるキャビティKよりも小さい生タイヤGT(図6A参照)を所定形状及び構造に形成する(S101)。このように、キャビティK内に収納される生タイヤGTを、キャビティKの体積よりも体積が小さく、キャビティKよりも一回り小さな形状になるように形成する。ただし、ここでは、生タイヤGTを、キャビティKに対し、外周側のトレッド部Tでより小さくなり、外型10との隙間が大きくなるとともに、その両側の側面部Sでは外型10との隙間が小さくなり、その範囲のキャビティKと略一致する大きさに形成する。
【0022】
次に、コア20を外型10内に挿入して加硫モールド1を型閉めし、コア20と外型10とを組み合わせてキャビティKを形成し、キャビティK内にコア20外面の生タイヤGTを収納する(S102)。この状態では、上記したように、生タイヤGTのトレッド部T外面と外型10内面との間に隙間ができ、その範囲のキャビティK内に空隙Rが生じる。
【0023】
続いて、上記した加圧流体の供給手段により、コア20の内面側に加圧流体を送り込み、この加圧流体をコア20に形成された供給孔Hを通して、コア20の外面と膜体25との間に供給する。このように、コア20とその外面に装着した膜体25との間に加圧流体を供給(図6Bの矢印F)して(S103)、加圧流体で膜体25を膨張させ、この膜体25により、外面に当接する生タイヤGTを外側に向かって変形させる。これにより、生タイヤGTの全部又は一部を拡張させて、その全体を外型10に押し付けて密着させ、その内面に向けて所定圧力で押圧して(S104)、生タイヤGTの外面を外型10の内面(成型面)で型付けする。その際、ここでは、外型10との間に空隙Rが生じる生タイヤGTの少なくともトレッド部Tを拡張させて、外型10へ押圧する。
【0024】
次に、外型10に生タイヤGTを押圧した状態で、生タイヤGTを所定温度まで加熱(S105)して加硫成型を進行させ、所定時間経過する等して加硫成型が終了するまで(S106、NO)、生タイヤGTの押圧と加熱とを継続する。また、加硫成型の終了に伴い(S106、YES)、加圧流体の供給を停止してコア20及び膜体25内の圧力を大気圧に復帰させ、膜体25を収縮させて(S107)、生タイヤGTの押圧を解除し、加硫後のタイヤを外型10から取り出す(S108)。以上のように、タイヤの内面形状を規定するコア20と、タイヤの外面形状を規定する外型10との間に形成されるキャビティK内に生タイヤGTを収納して加硫成型した後、加硫モールド1外で、加硫後のタイヤ内からコア20を分解して取り出し、検査等の後工程を経て製品タイヤを製造する。
【0025】
この加硫時に、本実施形態では、生タイヤGTを収納されるキャビティKよりも小さく形成し、生タイヤGTと外型10との間に隙間がある状態で加硫モールド1を型閉めする。そのため、型閉めする際に、外型10の分割面に生タイヤGTのゴムが咬み込まれ、或いは、ゴムがはみ出す等の不具合の発生を防止することができる。また、膜体25を加圧流体により膨張させて、膜体25を介して生タイヤGTを拡張させるため、加圧流体と生タイヤGTの内面表層のゴムとを直接接触させずに、生タイヤGTを拡張させて外型10へ押圧することができる。
【0026】
このように、本実施形態によれば、生タイヤGTの加硫モールド1への咬み込みやゴムのはみ出し等を防止しつつ、ガス等の加圧流体が生タイヤGTへ接触して、インナーライナ等のタイヤゴムの内部まで浸透するのを防止することができる。その結果、加硫後のタイヤの気泡の残留や外観不良の発生、又は、それらに伴う、エア透過防止性、耐キズ性、耐衝撃性等のタイヤ性能が低下するのを抑制することもできる。また、ここでは、必要に応じて、生タイヤGTの一部を拡張させて外型10に押圧するため、膜体25をコア20の必要な範囲に配置すればよく、コア20へ供給孔Hを形成する手間や工数等の増加を抑制しつつ、コア20や膜体25を含む設備の簡略化を図ることができる。
【0027】
ここで、生タイヤGTのトレッド部Tは、加硫モールド1の型閉め時に、ゴムのはみ出しや咬み込みが発生し易い部分である。そのため、生タイヤGTのトレッド部Tを、本実施形態のように、キャビティKに対して小さく形成し、外型10との間に隙間がある状態でキャビティK内に収納することで、型閉め時の不具合を効果的に防止することができる。従って、このように生タイヤGTを形成するとともに、これに応じて、膜体25を少なくともコア20のトレッド成型部20Tへ装着し、加硫時には、この膜体25により、生タイヤGTの少なくともトレッド部Tを拡張させて外型10に押圧するのが望ましい。
【0028】
なお、加圧流体は、例えばセグメント21、22間の隙間を通して、コア20と膜体25との間に供給する等、供給孔Hを形成せずに他の通路を通して供給するようにしてもよい。ただし、このタイヤ加硫装置のように、コア20の内面側に送り込んだ加圧流体を、コア20に形成した供給孔Hを通して供給する場合には、加圧流体を膜体25の所望の位置に均等に供給でき、膜体25の膨張を確実、円滑に行うことができる。
【0029】
また、加硫時の生タイヤGTは、外型10を介して加熱して加硫成型してもよく、併せて、コア20側からも加熱するようにしてもよい。この場合には、例えば、タイヤ加硫装置に加圧流体を加熱する手段を設けて、加圧流体を加熱してコア20の内面側へ供給し、この加圧及び加熱流体により、コア20及び膜体25を介して生タイヤGTを加熱する。一方、キャビティKは、製造するタイヤの形状や、加硫時における生タイヤGTの拡張量等に応じて、その形状が、それぞれ収納する生タイヤGTよりも大きくなるように設定される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施形態のタイヤ加硫装置が備える加硫モールドの要部を模式的に示す断面図である。
【図2】本実施形態のコアを模式的に示す平面図である。
【図3】本実施形態のコアの一部を拡大して模式的に示す斜視図である。
【図4】本実施形態のコアを分解して示す模式図である。
【図5】本実施形態のタイヤ製造の手順を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態のタイヤ加硫装置による生タイヤの加硫時の各状態を順に示す断面図である。
【図7】従来のコアの例を模式的に示す斜視図である。
【図8】図7に示すコアを使用した従来の加硫成型について説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0031】
1・・・加硫モールド、10・・・外型、20・・・コア、21・・・セグメント、22・・・セグメント、25・・・膜体、GT・・・生タイヤ、H・・・供給孔、K・・・キャビティ、T・・・トレッド部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤの内面形状を規定する内型と、タイヤの外面形状を規定する外型との間に形成されるキャビティ内に生タイヤを収納して加硫成型するタイヤ製造方法であって、
内型の周りにキャビティよりも小さい生タイヤを形成する工程と、
内型と外型とを組み合わせてキャビティ内に生タイヤを収納する工程と、
内型と内型外面に装着した膨張可能な膜体との間に加圧流体を供給する工程と、
加圧流体で膨張させた膜体により生タイヤを拡張させて外型に押圧する工程と、
外型に押圧した生タイヤを加熱して加硫成型する工程と、
を有することを特徴とするタイヤ製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載されたタイヤ製造方法において、
外型に押圧する工程は、生タイヤの一部を拡張させて外型に押圧することを特徴とするタイヤ製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載されたタイヤ製造方法において、
外型に押圧する工程は、生タイヤの少なくともトレッド部を拡張させて外型に押圧することを特徴とするタイヤ製造方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載されたタイヤ製造方法において、
加圧流体を供給する工程は、内型の内面側に加圧流体を送り込む工程と、送り込まれた加圧流体を内型に形成された供給孔を通して内型外面と膜体との間に供給する工程と、を有することを特徴とするタイヤ製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−30242(P2010−30242A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197444(P2008−197444)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】