説明

タイ層を有する空気入りタイヤ及びその製造法

【課題】バリア層として使用されるDVAフィルムをタイヤ層、例えばプライ層に接着させるタイ層を有する空気入りタイヤ及びその製造法を提供する。
【解決手段】トレッド14と該トレッドの内側に配置されたバリア層24を含む空気入りタイヤ10。バリア層は動的加硫アロイを含む。タイヤ層、例えばプライ層18は、バリア層とトレッドとの間に配置され、ジエンゴムを有するゴム配合物を含む。タイ層22は、バリア層とタイヤ層との間に配置される。タイ層は、10〜50部のニトリルゴム、20〜70部の天然ゴム、及び10〜30部の合成ポリイソプレンゴムから選ばれるゴムの混合物100部を有するゴム配合物を含み、ゴム配合物はさらに、少なくとも一つの補強充填剤、少なくとも一つの粘着付与剤、及び所望により少なくとも一つのプロセス油を含む。タイ層は、最内層でありうるバリア層及びタイヤ層に直接接着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、タイ層及びそれに接着されたバリア層を含む空気入りタイヤ、及びその製造法に向けられる。
【背景技術】
【0002】
[0002]動的加硫アロイ(“DVA”,dynamically vulcanized alloy)フィルムは、タイヤのハロブチルバリア層、例えばハロブチルインナーライナーの改良代替品としてもてはやされている。その理由の少なくとも一部は、該フィルムが従来のハロブチルインナーライナーよりも薄くて軽量のためである。それでも、DVAバリア層を用いたタイヤを構築及び硬化するためには、カーカスへの取り付けについて対処する必要がある。なぜならば、従来のハロブチルバリア層とは異なり、DVAは固有粘着力のない非粘着材料だからである。これらの欠点を克服するには、接着材料をDVAフィルム上に直接適用して、その粘着性及び硬化接着を改良すればよい。DVAバリア層の非粘着性を克服するための別の選択肢は、特定ゴム配合物の薄層であるタイ層をDVAフィルムとタイヤ層、例えばカーカスのプライ層との間に提供して、DVAフィルムがタイヤ層に望ましく接着するための十分な構築粘着性と硬化接着を得ることである。
【0003】
[0003]残念なことに、現在のタイ層配合物には様々な欠点が存在する。従来のタイ層配合物に関する一つのそのような問題は、タイ層自体の加工を妨害し、タイヤの構築を不可能にしうる望ましくないほど低レベルの粘着性である。別の問題は、タイ層に高価で希少な特殊ゴムであるエポキシ化天然ゴムを使用することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004]そこで、上記欠点を克服した、バリア層として使用されるDVAフィルムをタイヤ層、例えばプライ層に接着させるタイ層を有する空気入りタイヤ及びその製造法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]本発明は、バリア層として使用されるDVAフィルムをタイヤ層、例えばプライ層に接着させるタイ層を有する空気入りタイヤ、及びその製造法に向けられる。
[0006]一態様において、DVAバリア層をタイヤ層、例えばプライ層に接着させるために空気入りタイヤで使用するために提供されるタイ層は、10〜50部のニトリルゴム、20〜70部の天然ゴム、及び10〜30部の合成ポリイソプレンゴムから選ばれるゴムの混合物100部を有するゴム配合物を含む。ここで該混合物はゴム配合物のゴムの全量である。ゴム配合物はさらに、少なくとも一つの補強充填剤、少なくとも一つの粘着付与剤、及び所望により少なくとも一つのプロセス油を含む。
【0006】
[0007]別の態様において、硬化された外側トレッドと該外側トレッドの内側に配置されたバリア層を含む空気入りタイヤを提供する。バリア層は、連続相としてエンジニアリングレジン及び分散相として少なくとも部分加硫されたゴムを含む動的加硫アロイを含む。タイヤ層、例えばプライ層は、バリア層とトレッドとの間に配置され、ジエンゴムを有するゴム配合物を含む。タイ層は、バリア層とタイヤ層との間に及びバリア層とタイヤ層に隣接して配置される。タイ層は、10〜50部のニトリルゴム、20〜70部の天然ゴム、及び10〜30部の合成ポリイソプレンゴムから選ばれるゴムの混合物100部を含むゴム配合物を含む。ここで該混合物はゴム配合物のゴムの全量である。ゴム配合物はさらに、少なくとも一つの補強充填剤、少なくとも一つの粘着付与剤、及び所望により少なくとも一つのプロセス油を含む。タイ層は、例えばバリア層の対向面に接着材料を適用する必要なしに、タイヤ層及びバリア層に直接接着される。
【0007】
[0008]別の態様において、動的加硫アロイを含むバリア層をタイヤ構築装置上に配置することを含む空気入りタイヤの製造法を提供する。動的加硫アロイは、連続相としてエンジニアリングレジン及び分散相として少なくとも部分加硫ゴムを含む。方法はさらに、タイ層を直接バリア層上に配置することを含む。タイ層は、10〜50部のニトリルゴム、20〜70部の天然ゴム、及び10〜30部の合成ポリイソプレンゴムから選ばれるゴムの混合物100部を有するゴム配合物を含み、該混合物は、ゴム配合物のゴムの全量である。ゴム配合物はさらに、少なくとも一つの補強充填剤、少なくとも一つの粘着付与剤、及び所望により少なくとも一つのプロセス油を含む。ジエンゴムを有するゴム配合物を含むタイヤ層、例えばプライ層は、タイ層上に直接配置される。次に、トレッドをタイヤ層の外側に配置して未硬化タイヤアセンブリを定義づける。
【0008】
[0009]添付の図面は、本明細書に取り込まれ、その一部を構成するものであるが、本発明の態様を例示し、また、上に示した本発明の一般的説明及び以下に示す詳細な説明と一緒になって本発明を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】[0010]図1は、本発明の態様に従ってタイ層とDVAバリア層を有する空気入りタイヤの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0011]図1は、サイドウォール12と、外周ゴムトレッド14と、プライ層18及び拡張不能のビード20を含む支持カーカス16と、タイ層22と、そして最内バリア層24とを含む空気入りタイヤ10を示す。個別サイドウォール12は、トレッド14の軸方向外端から半径方向内向きに伸びて、拡張不能な各ビード20に接合する。プライ層18を含む支持カーカス16は、トレッド部14とサイドウォール12のための支持構造として働く。タイ層22は、二つの層を結び付けるのでそのように名付けられているが、プライ層18と、タイヤ10の最内層であるバリア層との間に直接配置されている。外周トレッド14は、タイヤ10の使用時、接地するように適応されている。そしてバリア層24は、タイヤ圧が長期間にわたって維持されるように、空気又は酸素の通過を阻止するように設計されている。バリア層24は、タイヤ10の最内層として配置されている場合、一般的にインナーライナーと呼ばれる。
【0011】
[0012]タイヤ10のバリア層24は、連続相として少なくとも一つのエンジニアリングレジン及び分散相として少なくとも部分加硫されたゴムを含む動的加硫アロイ(“DVA”)を含む。DVAは、一般的に、動的加硫として知られている技術を利用して、エンジニアリングレジンとゴムを硬化剤及び充填剤と共に一緒にブレンドすることによって製造できる。“動的加硫”という用語は、エンジニアリングレジンとゴムを硬化剤の存在下、高剪断及び高温の条件下で混合する加硫プロセスのことを言う。動的加硫は、ゴムの硬化温度又はそれを上回る温度で、ロールミル、バンバリーミキサー、連続ミキサー、ニーダー、混合押出機(例えば二軸スクリュー押出機)などを用いて成分を混合することによって実施される。その結果、ゴムは、同時に架橋及びエンジニアリングレジン内に例えばミクロゲルの形態の微粒子として分散され、連続マトリックスを形成する。動的硬化組成物の一つの特徴は、ゴムは硬化されている(又は少なくとも部分硬化されている)という事実にもかかわらず、組成物は、押出、射出成形、圧縮成形などの従来の熱可塑性加工技術によって加工及び再加工できることである。
【0012】
[0013]エンジニアリングレジン(“エンジニアリングサーモプラスチックレジン”、“熱可塑性樹脂”、又は“熱可塑性エンジニアリングレジン”とも呼ばれる)は、任意の熱可塑性ポリマー、コポリマー又はそれらの混合物を含みうる。例えば、下記の一つ又は複数であるが、これらに限定されない。a)ポリアミド樹脂、例えばナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロン6/66コポリマー(N6/66)、ナイロンMXD6(MXD6)、ナイロン6T(N6T)、ナイロン6/6Tコポリマー、ナイロン66/PPコポリマー、又はナイロン66/PPSコポリマー;b)ポリエステル樹脂、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、PET/PEIコポリマー、ポリアクリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキシアルキレンジイミド二酸/ポリブチレートテレフタレートコポリマー及びその他の芳香族ポリエステル;c)ポリニトリル樹脂、例えばポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル−スチレンコポリマー(AS)、メタクリロニトリル−スチレンコポリマー、又はメタクリロニトリル−スチレン−ブタジエンコポリマー;d)ポリメタクリレート樹脂、例えばポリメチルメタクリレート、又はポリエチルアクリレート;e)ポリビニル樹脂、例えば酢酸ビニル(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エチレンコポリマー(EVOA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニル/ポリビニリデンコポリマー、又はポリ塩化ビニリデン/メタクリレートコポリマー;f)セルロース樹脂、例えば酢酸セルロース、又は酢酸酪酸セルロース;g)フッ素樹脂、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロロフルオロ−エチレン(PCTFE)、又はテトラフルオロエチレン/エチレンコポリマー(ETFE);h)ポリイミド樹脂、例えば芳香族ポリイミド;i)ポリスルホン;j)ポリアセタール;k)ポリラクトン;l)ポリフェニレンオキシド及びポリフェニレンスルフィド;m)スチレン−無水マレイン酸;n)芳香族ポリケトン;及びo)a)〜n)のいずれか及びすべての混合物のほか、a)〜n)のそれぞれの中の実例又は例示エンジニアリングレジンのいずれかの混合物。
【0013】
[0014]一態様において、エンジニアリングレジンは、ポリアミド樹脂及びそれらの混合物、例えばナイロン6、ナイロン66、ナイロン6 66コポリマー、ナイロン11、及びナイロン12、並びにそれらのブレンドを含む。別の態様において、エンジニアリングレジンは、オレフィンのポリマー、例えばポリエチレン及びポリプロピレンを除外する。
【0014】
[0015]DVAのゴム成分は、ジエンゴム及びその水素化物、ハロゲン含有ゴム、例えばハロゲン化イソブチレン含有コポリマー(例えば臭素化イソブチレンp−メチルスチレンコポリマー)、シリコーンゴム、硫黄含有ゴム、フルオロゴム、ヒドリンゴム、アクリルゴム、イオノマー、熱可塑性エラストマー、又はそれらの組合せ及びブレンドなどでありうる。
【0015】
[0016]一態様において、DVAのゴム成分はハロゲン含有ゴムである。ハロゲン含有ゴム、又はハロゲン化ゴムは、少なくとも約0.1モル%のハロゲン(例えば、臭素、塩素又はヨウ素)を有するゴムなどでありうる。適切なハロゲン化ゴムは、ハロゲン化イソブチレン含有ゴム(ハロゲン化イソブチレンベースのホモポリマー又はコポリマーとも呼ばれる)を含む。これらのゴムは、C〜Cイソモノオレフィン誘導単位、例えばイソブチレン誘導単位と、少なくとも一つのその他の重合可能単位とのランダムコポリマーと言うことができる。一例において、ハロゲン化イソブチレン含有ゴムは、ブチルタイプのゴム又は分枝ブチルタイプのゴムの臭素化されたようなものである。本開示に適切な、オレフィン又はイソオレフィンのホモポリマー及びコポリマーなどの有用な不飽和ブチルゴム及びその他のタイプのゴムは周知であり、RUBBER TECHNOLOGY 209−581(Maurice Morton ed.,Chapman & Hall 1995)、THE VANDERBILT RUBBER HANDBOOK 105−122(Robert F.Ohm ed.,R.T.Vanderbilt Co.,Inc.1990)、及び8 KIRK−OTHMER ENCYCLOPEDIA OF CHEMICAL TECHNOLOGY 934−955中のEdward Kresge and H.C.Wang(John Wiley & Sons,Inc.4th ed.1993)に記載されている。一例において、ハロゲン化含有ゴムは、ハロゲン化イソブチレン−p−メチルスチレン−イソプレンコポリマー又はハロゲン化ポリ(イソブチレン−コ−p−メチルスチレン)ポリマーで、これは約0.1〜約5wt%のブロモメチル基を一般的に含有する臭素化ポリマーである。
【0016】
[0017]一態様において、ゴム成分及びエンジニアリングレジンとも、ゴム配合物の総重量を基にして少なくとも10重量%の量で存在し;ゴム成分とエンジニアリングレジンの総量は、ゴム配合物の総重量を基にして30重量%以上である。
【0017】
[0018]前述のように、DVAは一つ又は複数の充填剤成分も含みうる。それは、炭酸カルシウム、クレイ、マイカ、シリカ及びシリケート、タルク、二酸化チタン、デンプン及びその他の有機充填剤、例えば木粉、及びカーボンブラックなどでありうる。一例において、充填剤は、全DVA組成物の約20%〜約50重量%存在する。
【0018】
[0019]当該技術分野で公知の追加の添加剤も、所望の物理的性質を有する所望のコンパウンドを得るためにDVAに入れてもよい。そのような公知の通常使用されている添加剤材料は、活性化剤、遅延剤及び促進剤、ゴムプロセス油、粘着付与樹脂を含む樹脂、可塑剤、脂肪酸、酸化亜鉛、ワックス、劣化防止剤、オゾン劣化防止剤(antiozonant)、及びしゃく解剤である。当業者にはわかるように、DVAの意図する使用に応じて、添加剤は選択され、従来量で使用される。
【0019】
[0020]本発明の態様に従う適切なDVA及びDVAの製造法は、米国特許出願公開第2008/0314491号;2008/0314492号;及び2009/015184号に開示されている。これらの内容は、引用によってそれらの全体を明示的に本明細書に援用する。
【0020】
[0021]動的加硫プロセス自体に関して詳しく述べると、該プロセスは、組成物中の少なくとも一つの加硫可能なゴム成分(組成物はさらに加硫可能でない少なくとも一つのエンジニアリングレジンも含む)を、加硫可能な成分のための加硫剤又は硬化剤を用いて、実質的に同時に混合及び加硫、又は架橋することを含む。動的加硫プロセスのための適切な硬化剤(curing agent又はcurative)は、例えば、ZnO、CaO、MgO、Al、CrO、FeO、Fe、及びNiOなどで、これらは対応するステアリン酸金属化合物(例えば、Zn、Ca、Mg、及びAlのステアリン酸塩)、又はステアリン酸と、及び硫黄化合物又はアルキルペルオキシド化合物のいずれかと共に使用できる。所望により促進剤を添加してもよい。ペルオキシド硬化剤は、選択されたエンジニアリングレジンが、ペルオキシドによってこれらの樹脂自体の架橋が起こり、過度に硬化された非熱可塑性組成物がもたらされるような場合は避ける必要がある。
【0021】
[0022]動的加硫プロセスは、ゴム成分を少なくとも部分加硫する条件で実施される。これを達成するには、エンジニアリングレジン、ゴム成分及びその他の所望ポリマーと共に硬化系を、樹脂を軟化させるのに十分な温度で一緒に混合すればよい。混合プロセスは、所望レベルの加硫又は架橋が完了するまで継続できる。一態様において、ゴム成分は、エンジニアリングレジンの一部又は全部の存在下で動的加硫できる。同様に、全部の充填剤及びオイルは、使用される場合、動的加硫段階の前に添加される必要はない。ある種の成分、例えば安定剤及び加工助剤は、硬化後に添加されるとより効果的に機能することができる。加硫温度での加熱及び混練は、一般的に約0.5〜約10分で加硫を完了させるのに適切である。加硫時間は加硫温度を高めることによって短くできる。加硫温度の適切な範囲は、例えば、典型的には熱可塑性樹脂のおよそ融点〜約300℃である。
【0022】
[0023]得られたDVAは、バリア層24としてそのまますぐに使用できる。そのためには、DVA材料を吹込成形して約0.05mm〜約0.3mmの厚さを有するシート又はフィルム材料にし、該シート材料を特定のサイズ又はタイプのタイヤに適用するのに適切な幅及び長さのストリップにカットすることによって、バリア層24又は“ストック”を製造すればよい。別の例では、DVA材料は約0.1mm〜約0.2mmの厚さを有していてもよい。バリア層24は管状層として提供することもできる。バリア層24として使用するための一つの適切なタイプのDVAフィルムは、テキサス州ヒューストンのExxonMobil社から入手できるExxcore(登録商標)である。
【0023】
[0024]バリア層24をタイヤ10のプライ層18に接着させるタイ層22は、10〜50部のニトリルゴム、20〜70部の天然ゴム、及び10〜30部の合成ポリイソプレンゴムから選ばれるゴムの混合物100部を有するゴム配合物を含む。該混合物は、ゴム配合物のゴムの全量である。そのようなゴム配合物はさらに、少なくとも一つの補強充填剤、少なくとも一つの粘着付与剤、及び所望により少なくとも一つのプロセス油を含む。
【0024】
[0025]ゴムの混合物に関して、ニトリルゴムのアクリロニトリル(ACN)含有量は約10%〜約45%の範囲でありうる。別の例において、ニトリルゴムは約15%〜約30%のアクリロニトリル(ACN)を含みうる。また別の例において、ニトリルゴムは約18%〜約28%のアクリロニトリルを含みうる。ニトリルゴムのパーセント含有量が高くなりすぎると、ガラス転移温度(Tg)が望ましくないほど増大し、結果としてゴム配合物は脆くなり、低温で亀裂が発生するようになる。タイ層22に使用するのに適切なタイプのニトリルゴムは、Perbunan(登録商標)1846 F(18%ACN;ムーニー粘度(ML(1+4)100℃)45)又はPerbunan(登録商標)2845 F(18%ACN;ムーニー粘度(ML(1+4)100℃)45)で、これらはペンシルベニア州ピッツバーグのLanxess社から市販されている。
【0025】
[0026]補強充填剤は、炭酸カルシウム、クレイ、マイカ、シリカ及びシリケート、タルク、二酸化チタン、デンプン及びその他の有機充填剤、例えば木粉、カーボンブラック、及びそれらの組合せなどでありうる。一例において、補強充填剤はカーボンブラック又は改質カーボンブラックである。適切なカーボンブラックの等級は、RUBBER TECHNOLOGY 59−85(1995)に記載されているように、N110〜N990を含む。一例において、等級はN660カーボンブラックである。
【0026】
[0027]補強充填剤は、ゴム配合物中に約10phr〜約150phrの量で存在しうる。別の例において、充填剤は、約30phr〜約100phrの量で存在する。さらに別の例において、充填剤は、約40phr〜約70phrの量で存在する。
【0027】
[0028]粘着付与剤は、ロジン又はロジン誘導体、例えばガムロジン、ウッドロジン、及びタル油ロジン、並びにそれらの水素化形及び不均化形のほか、各種誘導体、例えばアセチレン−フェノール系化合物、及びそれらの組合せなどでありうる。具体例は、アルキルフェノール、例えばブチルフェノールとアセチレンの縮合物、例えばアルキルフェノールアセチレン樹脂粘着付与剤(ドイツのBASF Ludwigshafen社からKoresinとして市販されている)、及び無色透明ガムロジン(water white gum rosin)(マサチューセッツ州ハッティズバーグのEastman Chemical社から市販されている)などである。一例において、粘着付与剤は、アルキルフェノールアセチレン樹脂粘着付与剤及び無色透明ガムロジンの混合物を含む。
【0028】
[0029]粘着付与剤は、ゴム配合物中に約1phr〜約20phrの量で存在しうる。別の例において、粘着付与剤は、約2phr〜約18phrの量で存在する。別の例において、粘着付与剤は、約5phr〜約15phrの量で存在する。
【0029】
[0030]所望によるプロセス油は、脂肪酸エステル又は炭化水素可塑剤油、例えばパラフィン系及び/又はナフテン系石油又はポリブテン油などでありうる。一例において、プロセス油はナフテン系/パラフィン系中油(medium oil)である。ナフテン系含有量は約39重量パーセント〜約54重量パーセントの範囲で、パラフィン系含有量は約36重量パーセント〜約48重量パーセントの範囲でありうる。プロセス油は、ゴム配合物中に約0phr〜約15phrの量で存在しうる。別の例において、プロセス油は、約1phr〜約10phrの量で存在する。
【0030】
[0031]当該技術分野で公知の追加の添加剤も、所望の物理的性質を有する所望のコンパウンドを得るためにタイ層22のゴム配合物に入れてもよい。そのような公知の通常使用されている添加剤材料は、活性化剤、遅延剤及び促進剤、可塑剤、脂肪酸、酸化亜鉛、ワックス、劣化防止剤、オゾン劣化防止剤、及びしゃく解剤である。タイ層22のためのゴム配合物は、該組成物が加硫可能となり標準のゴム配合法によって製造できるように、硬化剤又は硬化系も含む。当業者にはわかるように、タイ層の意図する使用に応じて、添加剤及び硬化剤は選択され、従来量で使用される。
【0031】
[0032]タイヤカーカス16は、空気入りタイヤ10に使用するための任意の従来型タイヤカーカス16でよい。一般的に、タイヤカーカス16は、トレッド部14及びサイドウォール12の支持構造としての役割を果たすプライ18及び/又はコードの一つ又は複数の層を含む。図1では、カーカス16は、ジエンゴムを含むゴム配合物を有する少なくとも一つのプライ層18を含み、タイ層22に隣接して配置されている。
【0032】
[0033]ジエンゴムは一般的に天然及び/又は合成ゴムを含みうる。一例において、ジエンゴムは高ジエンゴムで、少なくとも50モル%、別の例では少なくとも約60モル%〜約100モル%のC〜C12ジエンモノマーを含む。有用なジエンモノマーゴムは、オレフィン又はイソオレフィン及びマルチオレフィンのホモポリマー及びコポリマー、又はマルチオレフィンのホモポリマーなどである。これらは周知であり、RUBBER TECHNOLOGY 179−374(Maurice Morton ed.,Chapman & Hall 1995)、及びTHE VANDERBILT RUBBER HANDBOOK 22−80(Robert F.Ohm ed.,R.T.Vanderbilt Co.,Inc.1990)に記載されている。ジエンモノマーゴムの適切な例は、ポリイソプレン、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、天然ゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムなどで、これらは単独でも又は組合せ及び混合物でも使用できる。別の例では、ジエンゴムはスチレン系ブロックコポリマー、例えば5wt%〜95wt%のスチレン含有量を有するものを含むことができる。適切なスチレン系ブロックコポリマー(SBC)は、一般的に熱可塑性ブロック部分A及びエラストマー性ブロック部分Bを含むものなどである。
【0033】
[0034]プライ層18のゴム配合物は、補強充填剤、例えば、炭酸カルシウム、クレイ、マイカ、シリカ及びシリケート、タルク、二酸化チタン、デンプン及びその他の有機充填剤、例えば木粉、カーボンブラック、及びそれらの組合せなども含みうる。一例において、補強充填剤はカーボンブラック又は改質カーボンブラックである。当該技術分野で公知の追加の添加剤も、所望の物理的性質を有する所望のコンパウンドを得るためにプライ層18のゴム配合物に入れてもよい。そのような公知の通常使用されている添加剤材料は、活性化剤、遅延剤及び促進剤、ゴムプロセス油、粘着付与樹脂を含む樹脂、可塑剤、脂肪酸、酸化亜鉛、ワックス、劣化防止剤、オゾン劣化防止剤、及びしゃく解剤である。
【0034】
[0035]プライ層18のためのゴム配合物は、該組成物が加硫可能となり標準のゴム配合法によって製造できるように、硬化剤又は硬化系も含む。当業者にはわかるように、プライ層18の意図する使用に応じて、添加剤及び硬化剤は選択され、従来量で使用される。
【0035】
[0036]タイ層22及びプライ層18のためのゴム配合物の全成分の混合は、当業者に公知の方法によって達成できる。例えば、成分は少なくとも二つの段階、すなわち少なくとも一つのノンプロダクティブ段階とそれに続くプロダクティブ混合段階で混合できる。最終の硬化剤は典型的には最終段階で混合される。この最終段階は従来“プロダクティブ”混合段階と呼ばれ、混合が典型的にはエラストマーの加硫温度より低い温度、又は極限温度で実施される。“ノンプロダクティブ”及び“プロダクティブ”混合段階という用語は、ゴム混合分野の技術者には周知である。タイ層22及びプライ層18は、例えば押出又はカレンダリング法の使用によって形成されるシート又はフィルムとして提供できる。一例において、タイ層22は、約0.015インチ〜約0.065インチの厚さを有しうる。別の例において、タイ層22は、約0.020インチ〜約0.030インチの厚さを有しうる。
【0036】
[0037]タイヤ部品の残り、例えばタイヤトレッド14、サイドウォール12、及び補強ビード20も、一般的に当該技術分野で従来知られているものから選ぶことができる。タイ層22及びプライ層18と同様、タイヤトレッド14、サイドウォール12、及びビード20、並びにそれらの製造法もそのような分野の技術者には周知である。
【0037】
[0038]上記の層を用いて、空気入りタイヤ10は、タイヤ形成ドラム(図示せず)上に標準的タイヤ構築技術を用い、複雑で高価なタイヤ構築装置を使わずに構築することができる。特に、図1に示されている空気入りタイヤ10は、まずタイヤドラム上に最内バリア層24を配置し、その後未硬化タイヤの残り部分をその上に構築することによって製造することができる。次に、タイ層22をインナーライナー24上に直接配置する。次にプライ層18をタイ層22上に直接配置し、続いてタイヤカーカス16の残りを配置する。タイ層22は、バリア層24をそれ(タイ層)に、バリア層24の対向面上に例えば接着材料の必要なしに、初期接着させるための望ましい未硬化粘着性又は粘着力を含む。最後に、ゴムのタイヤトレッド14をタイヤカーカス16上に配置することによって未加硫タイヤアセンブリを定義づける。別の例において、タイ層22とバリア層24は、構築前に共カレンダリングして、単一積層部品としてタイヤ形成ドラムに供されてもよい。
【0038】
[0039]ドラム上で未硬化タイヤアセンブリを構築したら、取り外して熱金型に入れることができる。金型は、未硬化タイヤの内周に配置される膨張可能なタイヤ成形ブラダーを包含している。金型を閉じたらブラダーを膨らます。そうすると、ブラダーは硬化プロセスの早期段階でタイヤを閉金型の内表面に押し付けることによってタイヤ10を成形する。ブラダー及び金型内の熱はタイヤ10の温度を加硫温度にまで上昇させる。
【0039】
[0040]一般的に、タイヤ10は広範囲の温度で硬化でき、加硫温度は約100℃〜約200℃となりうる。例えば、乗用車又はトラックのタイヤは約130℃〜約180℃の範囲の温度で硬化されることになろう。タイヤ10は、航空機、トラック、農場用、又はオフロード用のタイヤとしても利用できる。硬化時間は、タイヤの質量に応じて約1分から数時間の範囲で変動しうる。硬化時間及び温度は、当該技術分野で周知の多数の変数、例えばタイヤ部品の組成(各層の硬化系を含む)、全体的なタイヤのサイズ及び厚さなどに依存する。アセンブルされたタイヤの加硫は、タイヤアセンブリのすべての構成要素又は層、すなわちバリア層24、タイ層22、カーカス16、及び外側トレッド14並びにサイドウォール層12の完全な又は実質的に完全な加硫又は架橋をもたらす。加硫は、各層及び全体構造の所望の強度特性を発揮させることに加えて、これらの構成要素間の接着も増強し、別個の多数の層であったものから、硬化された一体化(unitary)タイヤ10を生み出す。
【0040】
[0041]前述のように、少なくとも一つのエンジニアリングレジン及び少なくとも部分加硫されたゴムを有する動的加硫アロイを含むバリア層24は、望ましく低い透過特性を示す。タイ層22は、それが接触しているバリア層24の表面に対して望ましく高い加硫接着を生じることができる。このことは、望ましく薄いタイ層22の使用も可能にしうる。そして、得られる全体構造は、低減された重量を有するタイヤ構造を可能にする。
【0041】
[0042]図1では最内層として示されているが、バリア層24は、タイヤ10全体の中間的位置に配置することもできることは理解されるはずである。一例において、タイ層22は、別のバリア層又はプライ層18のようなタイヤ層をそれに結合させられるように、バリア層24の内表面に隣接させて配置されてもよい。別の例では、バリア層24の内表面及び外表面をタイ層に隣接させて配置し、所望のタイヤ層をそれに接着させてもよい。一例において、それらのタイヤ層の一つは、例えば、バリア層24と同じでも異なっていてもよい別のバリア層を含みうる。
【実施例】
【0042】
[0043]詳細な説明に従ってタイ層に使用されるゴム配合物の非制限的例を以下に開示する。この例は単に例示を目的としたものであって、本発明の範囲又は本発明を実施できる様式の制限と見なされてはならない。当業者には他の例もわかるであろう。
【0043】
[0044]表I:タイ層のためのゴム配合物
【0044】
【表1】

【0045】
[0045]表1のタイ層ゴム配合物と以下で比較例A〜Dとして識別される他の様々なタイ層ゴム配合物を、それらの配合物を複数のタイヤ構築物中に組込み、その後加硫に付すことによって比較した。試験目的のためにDVAインナーライナーをタイヤ構築物に利用した。インナーライナーとして使用するためのDVAフィルムは、テキサス州ヒューストンのExxonMobil社によって供給されているExxcore(登録商標)であった。このDVAインナーライナーは、連続相としてナイロン及び分散相として少なくとも一つの部分加硫された臭素化イソブチレンp−メチルスチレンコポリマーを含んでいた。タイ層は、DVAインナーライナーと、高ジエンゴムすなわち天然ゴムを含むプライ層との間に挟まれた。未硬化又はグリーン粘着性及びタイ層のDVAインナーライナーへの硬化接着など、タイ層の様々な特性及び性質を評価した。結果/データをさらに下に示す。
【0046】
[0046]比較例A
[0047]このタイ層ゴム配合物は、下記を除いて表Iのゴム配合物と同一であった。すなわち、ニトリルゴムの代わりに特殊ゴムであるエポキシ化天然ゴムを使用し、合成ポリイソプレンゴムもプロセス油も使用しなかった。
【0047】
[0048]比較例B
[0049]このタイ層ゴム配合物は、65phrの天然ゴムと35phrのニトリルゴムをゴム成分としてこのゴム配合物に利用した以外は表Iのゴム配合物と同一であった。
【0048】
[0050]比較例C
[0051]このタイ層ゴム配合物は、1phrの(3phrではなく)アルキルフェノールアセチレン樹脂粘着付与剤を利用した以外は比較例Bと同一であった。
【0049】
[0052]比較例D
[0053]このタイ層ゴム配合物は、2phrの(5phrではなく)無色透明ガムロジンを利用した以外は比較例Bと同一であった。
【0050】
[0054]上記ゴム配合物は、当業者に公知の標準的ゴム配合法によって、及び上記のように製造された。製造された各配合物は、タイヤ構築に使用するのに適切な層を提供するための標準法によってさらに加工された。アセンブルされたタイヤは標準硬化条件下で硬化された。タイヤの硬化前に、DVAインナーライナーに対するタイ層の未硬化粘着力(グリーンタック)をInstronを用いた引張試験によって測定した(ISO 527により)。タイヤの硬化後、DVAインナーライナーに対するタイ層の硬化接着を同様にInstronを用いた引張試験によって測定した(ISO 527により)。各ゴム配合物とも3個のサンプルを試験した。
【0051】
[0055]表II:試験結果
【0052】
【表2】

【0053】
[0056]試験結果に基づくと、表Iのタイ層のゴム配合物の未硬化粘着力(グリーンタック)及び硬化接着は、全比較例のそれよりも優れていることは明らかである。
[0057]本発明を、その一つ又は複数の態様を記載することによって例示してきたが、そしてまた、その態様をかなり詳細に記載してきたが、それらは、添付のクレームの範囲をそのような詳細に制限又は限定することを意図したものでは決してない。追加の利益及び変更は当業者には容易に思い浮かぶであろう。従って、本発明は、その広い側面において、提示及び記載された特定の詳細、代表的製品及び方法及び例示的実施例に限定されない。従って、一般的発明概念の範囲から逸脱することなく、そのような詳細からの逸脱をなすことは可能である。
[発明の態様]
1.空気入りタイヤであって、
硬化された外側トレッドと;
前記外側トレッドの内側に配置され、動的加硫アロイを含むバリア層であって、前記動的加硫アロイは、連続相としてエンジニアリングレジン及び分散相として少なくとも部分加硫されたゴムを含むバリア層と;
前記バリア層と前記トレッドとの間に配置され、ジエンゴムを有するゴム配合物を含むタイヤ層と;そして、
バリア層とタイヤ層との間に及びバリア層とタイヤ層に隣接して配置されたタイ層であって、前記タイ層は、
10〜50部のニトリルゴム、20〜70部の天然ゴム、及び10〜30部の合成ポリイソプレンゴムから選ばれるゴムの混合物100部、ここで前記混合物はゴム配合物のゴムの全量である;
少なくとも一つの補強充填剤;
少なくとも一つの粘着付与剤;及び
所望により少なくとも一つのプロセス油
を含むゴム配合物を含むタイ層と;
を含み、前記タイ層はバリア層及びタイヤ層に直接接着されている空気入りタイヤ。
【0054】
2.バリア層が最内層である、1記載のタイヤ。
3.タイヤ層がプライ層である、1記載のタイヤ。
4.バリア層が最内層であり、タイヤ層がプライ層であり、そしてタイ層がバリア層及びプライ層に直接接着されている、1記載のタイヤ。
【0055】
5.粘着付与剤が、ガムロジン、アルキルフェノールとアセチレンの縮合物、又はそれらの混合物を含む、1記載のタイヤ。
6.タイ層のためのゴム配合物がプロセス油を含む、1記載のタイヤ。
【0056】
7.プロセス油がパラフィン系及び/又はナフテン系石油を含む、6記載のタイヤ。
8.エンジニアリングレジンがポリアミドであり、少なくとも部分加硫されたゴムがハロゲン化ゴムである、1記載のタイヤ。
【0057】
9.空気入りタイヤに使用するためのタイ層であって、
タイ層として使用するための、そして
10〜50部のニトリルゴム、20〜70部の天然ゴム、及び10〜30部の合成ポリイソプレンゴムから選ばれるゴムの混合物100部、ここで前記混合物はゴム配合物のゴムの全量である;
少なくとも一つの補強充填剤;
少なくとも一つの粘着付与剤;及び
所望により少なくとも一つのプロセス油
を含むゴム配合物を含むゴム物品
を含むタイ層。
【0058】
10.粘着付与剤が、ガムロジン、アルキルフェノールとアセチレンの縮合物、又はそれらの混合物を含む、9記載のタイ層。
11.タイ層のためのゴム配合物がプロセス油を含む、9記載のタイ層。
【0059】
12.プロセス油がパラフィン系及び/又はナフテン系石油を含む、11記載のタイ層。
13.空気入りタイヤの製造法であって、
動的加硫アロイを含むバリア層をタイヤ構築装置上に配置し、前記動的加硫アロイは、連続相としてエンジニアリングレジン及び分散相として少なくとも部分加硫ゴムを含み;
タイ層を直接バリア層上に配置し、前記タイ層は、
10〜50部のニトリルゴム、20〜70部の天然ゴム、及び10〜30部の合成ポリイソプレンゴムから選ばれるゴムの混合物100部、ここで前記混合物はゴム配合物のゴムの全量である;
少なくとも一つの補強充填剤;及び
少なくとも一つの粘着付与剤;及び
所望により少なくとも一つのプロセス油
を含むゴム配合物を含み;
タイヤ層を直接タイ層上に配置し、前記タイヤ層はジエンゴムを有するゴム配合物を含み;そして
トレッドをタイヤ層の外側に配置して未硬化タイヤアセンブリを定義づける
ことを含む方法。
【0060】
14.未硬化タイヤアセンブリを、タイ層をバリア層及びタイヤ層に直接接着させるための熱及び圧力条件下で硬化させることをさらに含む、13記載の方法。
15.バリア層が最内層である、13記載の方法。
【0061】
16.タイヤ層がプライ層である、13記載の方法。
17.粘着付与剤が、ガムロジン、アルキルフェノールとアセチレンの縮合物、又はそれらの混合物を含む、13記載の方法。
【0062】
18.タイ層のためのゴム配合物がプロセス油を含む、13記載の方法。
19.プロセス油がパラフィン系及び/又はナフテン系石油を含む、18記載の方法。
20.エンジニアリングレジンがポリアミドであり、少なくとも部分加硫されたゴムがハロゲン化ゴムである、13記載の方法。
【符号の説明】
【0063】
10 空気入りタイヤ
12 サイドウォール
14 トレッド
16 カーカス
18 プライ層
20 ビード
22 タイ層
24 バリア層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気入りタイヤであって、
硬化された外側トレッドと;
前記外側トレッドの内側に配置され、動的加硫アロイを含むバリア層であって、前記動的加硫アロイは、連続相としてエンジニアリングレジン及び分散相として少なくとも部分加硫されたゴムを含むバリア層と;
前記バリア層と前記トレッドとの間に配置され、ジエンゴムを有するゴム配合物を含むタイヤ層と;そして、
バリア層とタイヤ層との間に及びバリア層とタイヤ層に隣接して配置されたタイ層であって、前記タイ層は、
10〜50部のニトリルゴム、20〜70部の天然ゴム、及び10〜30部の合成ポリイソプレンゴムから選ばれるゴムの混合物100部、ここで前記混合物はゴム配合物のゴムの全量である;
少なくとも一つの補強充填剤;
少なくとも一つの粘着付与剤;及び
所望により少なくとも一つのプロセス油
を含むゴム配合物を含むタイ層と;
を含み、前記タイ層はバリア層及びタイヤ層に直接接着されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
バリア層が最内層である、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
タイヤ層がプライ層である、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項4】
バリア層が最内層であり、タイヤ層がプライ層であり、そしてタイ層がバリア層及びプライ層に直接接着されている、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項5】
粘着付与剤が、ガムロジン、アルキルフェノールとアセチレンの縮合物、又はそれらの混合物を含む、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項6】
タイ層のためのゴム配合物がプロセス油を含む、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項7】
プロセス油がパラフィン系及び/又はナフテン系石油を含む、請求項6に記載のタイヤ。
【請求項8】
エンジニアリングレジンがポリアミドであり、少なくとも部分加硫されたゴムがハロゲン化ゴムである、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項9】
空気入りタイヤに使用するためのタイ層であって、
タイ層として使用するための、そして
10〜50部のニトリルゴム、20〜70部の天然ゴム、及び10〜30部の合成ポリイソプレンゴムから選ばれるゴムの混合物100部、ここで前記混合物はゴム配合物のゴムの全量である;
少なくとも一つの補強充填剤;
少なくとも一つの粘着付与剤;及び
所望により少なくとも一つのプロセス油
を含むゴム配合物を含むゴム物品
を含むことを特徴とするタイ層。
【請求項10】
粘着付与剤が、ガムロジン、アルキルフェノールとアセチレンの縮合物、又はそれらの混合物を含む、請求項9に記載のタイ層。
【請求項11】
タイ層のためのゴム配合物がプロセス油を含む、請求項9に記載のタイ層。
【請求項12】
プロセス油がパラフィン系及び/又はナフテン系石油を含む、請求項11に記載のタイ層。
【請求項13】
空気入りタイヤの製造法であって、
動的加硫アロイを含むバリア層をタイヤ構築装置上に配置し、前記動的加硫アロイは、連続相としてエンジニアリングレジン及び分散相として少なくとも部分加硫ゴムを含み;
タイ層を直接バリア層上に配置し、前記タイ層は、
10〜50部のニトリルゴム、20〜70部の天然ゴム、及び10〜30部の合成ポリイソプレンゴムから選ばれるゴムの混合物100部、ここで前記混合物はゴム配合物のゴムの全量である;
少なくとも一つの補強充填剤;及び
少なくとも一つの粘着付与剤;及び
所望により少なくとも一つのプロセス油
を含むゴム配合物を含み;
タイヤ層を直接タイ層上に配置し、前記タイヤ層はジエンゴムを有するゴム配合物を含み;そして
トレッドをタイヤ層の外側に配置して未硬化タイヤアセンブリを定義づける
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
未硬化タイヤアセンブリを、タイ層をバリア層及びタイヤ層に直接接着させるための熱及び圧力条件下で硬化させることをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
バリア層が最内層である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
タイヤ層がプライ層である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
粘着付与剤が、ガムロジン、アルキルフェノールとアセチレンの縮合物、又はそれらの混合物を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
タイ層のためのゴム配合物がプロセス油を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
プロセス油がパラフィン系及び/又はナフテン系石油を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
エンジニアリングレジンがポリアミドであり、少なくとも部分加硫されたゴムがハロゲン化ゴムである、請求項13に記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−96786(P2012−96786A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−237687(P2011−237687)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(590002976)ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー (256)
【氏名又は名称原語表記】THE GOODYEAR TIRE & RUBBER COMPANY
【住所又は居所原語表記】1144 East Market Street,Akron,Ohio 44316−0001,U.S.A.
【Fターム(参考)】