説明

タクシー呼出し装置、基地局装置、タクシー呼出しシステム、タクシー呼出し方法、及びタクシー配車方法

【課題】タクシーが来るまでの間の利用客における気掛りや不安を極力解消する。
【解決手段】利用客によるタクシーの配車を要請する旨の入力を受け入れる入力手段(ステップ51)と、入力手段により入力された配車要請を所定の基地局装置に対して送信する配車要請送信手段(ステップ52)とを備えたタクシー呼出し装置において、配車要請送信手段により送信された配車要請に応じて配車されたタクシー車両の迎車回送中に基地局装置から送られてくる回送状況に関する情報を受信する回送状況受信手段(ステップ55)と、回送状況受信手段により受信した回送状況情報の内容を利用客に対して提示する回送状況提示手段(ステップ56)とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タクシーの配車要請に用いられるタクシー呼出し装置、該配車要請を受けるための基地局装置、該タクシー呼出し装置及び基地局装置を備えたタクシー呼出しシステム、該タクシー呼出し装置に適したタクシー呼出し方法、並びに該基地局装置に適したタクシー配車方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は従来のタクシー呼出しシステムの構成を示すブロック図である。図中の71はタクシー呼出し用の専用電話機、72は専用電話機71が接続された公衆電話回線網、73は公衆電話回線網72に接続された電話機、74は電話機73が設けられたタクシー会社、75はタクシー会社74において配車オペレーションを行うオペレータ、76はタクシー会社74内に設けられた無線機、77はタクシー会社74が所有する運行中のタクシー車両、そして78はタクシーを利用する利用客である。専用電話機71は病院や公共施設などに設置される。専用電話機71としては、利用客78が電話番号を入力せずに受話器を上げるだけで電話機73の呼出しを行うことができるものが用いられる。タクシー車両77には、無線機76と無線通信が可能な無線機が搭載される。
【0003】
この構成において、利用客78が専用電話機71の受話器を上げることにより電話機73を呼び出すと、これに応じてオペレータ75が電話機73の受話器を上げることにより通話が開始される。この通話において、利用客78からオペレータ75に対してタクシーの配車要請が行われる。この要請に応じ、オペレータ75は、複数のタクシー車両77のうち、配車要請がなされた地点に最も近いタクシー車両77の運転手を無線機76により呼び出して、該要請地点への迎車回送を行うように指示する。これに応じ、指示を受けた運転手は迎車回送を開始する。
【0004】
なお、このようなタクシー呼出しシステムは、たとえば特許文献1において開示されている。ただし、同文献のシステムでは、難聴者等でも不都合なく利用できるように、オペレータとの会話によらず、押しボタンにより配車要請や要請内容の確認を行うようになっている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−337995号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上述従来のシステムによれば、公衆電話回線網を利用しているので、タクシー呼出し用の専用電話機を設置することができる場所が限定される。したがって、タクシー会社は、専用電話機を任意の場所において容易に設定することができない。
【0007】
また、タクシーの利用客は、専用電話機でタクシーを要請してからタクシーが迎えに来るまでの間、あとどれくらいでタクシーが来るのか、間違いなくこちらに向かっているのか等の情報を一切知ることがきず、気になったり、不安になったりする場合が多い。
【0008】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、タクシー呼出しシステムにおいて、タクシーが来るまでの間の利用客における気掛りや不安を極力解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するため、第1の発明に係るタクシー呼出し装置は、利用客によるタクシーの配車を要請する旨の入力を受け入れる入力手段と、前記入力手段により入力された配車要請を所定の基地局装置に対して送信する配車要請送信手段と、前記配車要請送信手段により送信された配車要請に応じて配車されたタクシー車両の迎車回送中に前記基地局装置から送られてくる回送状況に関する情報を受信する回送状況受信手段と、前記回送状況受信手段により受信した回送状況情報の内容を利用客に対して提示する回送状況提示手段とを具備することを特徴とする。
【0010】
第2の発明に係る基地局装置は、所定のタクシー呼出し装置から送信される配車要請を受信する配車要請受信手段と、前記配車要請受信手段により受信した配車要請に応じて配車されたタクシー車両の迎車回送中に、回送状況に関する情報を取得する回送状況取得手段と、前記回送状況取得手段により取得した回送状況情報を前記タクシー呼出し装置に対して送信する回送状況情報送信手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
第3の発明に係る装置は、第1又は第2発明において、前記回送状況情報は、前記迎車回送中のタクシー車両の位置、及び前記タクシー呼出し装置の位置に基づいて取得されることを特徴とする。
【0012】
第4の発明に係る装置は、第1〜第3のいずれかの発明において、前記回送状況情報には、前記迎車回送の完了までにどの程度の距離又は時間を要するかに関する情報が含まれることを特徴とする。
【0013】
第5の発明に係る装置は、第1発明において、前記配車要請送信手段により送信した配車要請に応じた配車が完了した旨の情報、及び該配車を識別する配車識別情報を前記基地局装置から受信する配車完了情報受信手段と、前記配車完了情報受信手段により受信した配車識別情報を利用客に対して提示する配車識別情報提示手段と、各配車識別情報に係る迎車回送が終了した旨を示す終了情報を前記基地局から受信する終了情報受信手段とを備え、前記回送状況受信手段が受信する回送状況情報は、前記配車識別情報毎のものであり、前記回送状況提示手段は、同時に進行中の複数の前記配車識別情報に係る迎車回送については、各配車識別情報の表示に対応させて各配車識別情報毎の回送状況情報の内容を同時に表示することにより、前記回送状況情報の提示を行うものであることを特徴とする。
【0014】
第6の発明に係る装置は、第2発明において、前記配車要請受信手段により受信した配車要請に応じたタクシー車両の配車が完了した旨の情報、及び該配車を識別する配車識別情報を前記タクシー呼出し装置に送信する配車完了情報送信手段と、各配車識別情報に係る迎車回送が終了したときに、その旨を示す終了情報を前記タクシー呼出し装置に送信する終了情報送信手段とを備え、前記回送状況送信手段は、前記回送状況情報の送信を、前記配車識別情報毎のものとして行うものであることを特徴とする。
【0015】
第7の発明に係る装置は、第1発明において、配車を要請する旨の入力は、手動操作によるものであることを特徴とする。
【0016】
第8の発明に係るタクシー呼出しシステムは、第1発明に係るタクシー呼出し装置及び第2発明に係る基地局装置を具備し、前記タクシー呼出し装置及び基地局装置間の通信は専用の無線回線を用いて行われることを特徴とする。
【0017】
第9の発明に係るタクシー呼出し方法は、利用客によるタクシーの配車を要請する旨の入力を受け入れる入力工程と、前記入力工程により入力された配車要請を所定の基地局装置に対して送信する配車要請送信工程と、前記配車要請送信工程により送信された配車要請に応じて配車されたタクシー車両の迎車回送中に前記基地局装置から送られてくる回送状況に関する情報を受信する回送状況受信工程と、前記回送状況受信工程により受信した回送状況情報の内容を利用客に対して提示する回送状況提示工程とを具備することを特徴とする。
【0018】
第10の発明に係るタクシー配車方法は、所定のタクシー呼出し装置から送信される配車要請を受信する配車要請受信工程と、前記配車要請受信工程により受信した配車要請に応じて配車されたタクシー車両の迎車回送中に、回送状況に関する情報を取得する回送状況取得工程と、前記回送状況取得工程により取得した回送状況情報を前記タクシー呼出し装置に対して送信する回送状況情報送信工程とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、迎車回送中に、回送状況を利用客に提示するようにしたため、タクシーが来るまでの間の利用客における気掛りや不安を極力解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は本発明の一実施形態に係るタクシー呼出しシステムの構成を示すブロック図である。同図に示すように、このシステムは、タクシーの配車要請を行うための呼出し端末11、タクシー会社に設けられた基地局12、及び該タクシー会社が所有する各タクシー車両に搭載された車載端末13により構成される。呼出し端末11は適当な複数の場所に設けられている。各呼出し端末11及び基地局12間、並びに各車載端末13及び基地局12間はそれぞれ無線で通信することができるようになっている。各呼出し端末11及び基地局12間の通信には、専用の無線回線が用いられる。図中の14は呼出し端末11によりタクシーを要請して利用する利用客であり、15はタクシー会社において利用客14からの配車要請に応じ、適当なタクシー車両を選択して配車を行うオペレータである。
【0021】
同図に示すように、呼出し端末11から基地局12に対しては、呼出し要求データが、その出所を区別するための該呼出し端末11の呼出し端末IDとともに送信される。この送信は、呼出し端末11がタクシーの呼出し要求すなわち配車要請を受け付けたときに行われる。「呼出し要求データ」とは、タクシーの呼出し要求があった旨を示すデータである。「呼出し端末ID」とは各呼出し端末11に対してユニークに割り当てられた識別情報である。
【0022】
基地局12から呼出し端末11に対しては、配車完了情報、配車番号、車両接近情報、及び呼出し終了情報が送信される。「配車番号」とは、配車要請を受けたときに、その要請に対応して行われる配車を区別するために、その配車に対して割り当てられる番号であり、配車を行う毎にインクリメントされる値が該配車に対して順次割り当てられる。「配車完了情報」とは、それに付随する配車番号に係る配車手続が完了し、迎車回送が開始されることを示すものである。「車両接近情報」とは、それに付随する配車番号に係る迎車回送の状況を示すものである。たとえば、迎車回送が完了するまでの残りの走行距離や、所要時間に関する情報が含まれる。「呼出し終了情報」とは、それに付随する配車番号に係る迎車回送が完了したことを示す情報である。
【0023】
基地局12から車載端末13に対しては、該車載端末13を搭載したタクシー車両の運転手に対するオペレータ15からの迎車指示を行うための通話が行われる。「迎車指示」とは、回送地点を特定し、その回送地点まで迎車回送を行うように指示することである。車載端末13から基地局12に対しては、車載端末13の刻々変化する位置情報が定期的に送信される。また、車載端末13が搭載されたタクシー車両において空車、賃送、迎車等の運行状態が変化したときに、その旨を示す運行情報が送信される。
【0024】
図2は呼出し端末11の外観を示す斜視図である。呼出し端末11は、同図に示すように、基地局12に対してタクシーの配車要請を行うための呼出しボタン21、基地局12からの配車完了情報に付随する配車番号が印字された番号札を出力する番号札出力装置22、及び基地局12からの車両接近情報等を表示する表示装置23を備え、これらによりユーザインタフェースを構成している。呼出し端末11は、また、基地局12との間の無線通信を行うための図示していない無線機、及び基地局12から送られる情報等を音声合成により音声で知らせる音声出力手段、及び所定のプログラムに従って必要な処理を行い各部を制御するプロセッサ等を備える。
【0025】
図3は基地局12の外観を示す斜視図である。同図に示すように、基地局12は、配車に関連する処理を行う配車制御装置31、及び配車制御装置31に接続された送受信機32を備える。配車制御装置31はパソコン等により構成され、表示装置や、キーボード、マウス等の入力装置を備える。送受信機32は呼出し端末11や車載端末13からの送信情報を受信して配車制御装置31に供給するとともに、配車制御装置31からの情報を呼出し端末11に送信する。つまり送受信機32は、配車制御装置31が呼出し端末11及び車載端末13との間で無線通信を行うために用いられる。送受信機32はまた、オペレータ15が、タクシー車両の運転手との間で、該車両に搭載された車載端末13を介して通話を行う際にも用いられる。
【0026】
配車制御装置31は各車載端末13から定期的に送られる位置情報や運行情報に基づいて各タクシー車両の位置や運行状態を表示する機能や、呼出し端末11からの呼出し要求データを受信したときに該呼出し端末11からの呼出し要求があったことをオペレータ15に知らせる機能を有する。配車制御装置31はまた、オペレータ15から、呼出し要求に応じて配車するタクシー車両の選択を受け入れるとともに、選択されたタクシー車両の車両ID、該呼出し要求に係る呼出し端末11の呼出し端末ID、及び該配車に対して割り当てられた配車番号を関連付けて記憶する配車手続手段を構成する。各配車に対し配車番号として割り当てられる値は、配車制御装置31が有するカウンタにより、配車を1回行う度にインクリメントされる。また、配車制御装置31は、上述の配車完了情報、車両接近情報、及び呼出し終了情報を、対応する配車番号とともに、それぞれ、対応する配車手続の完了時、迎車回送時、及び迎車回送の完了時に、対応する呼出し端末11に対して送信する機能を有する。
【0027】
図4は車載端末13の構成を示すブロック図である。同図に示すように、車載端末13は、音声及びデータを送受信するための無線通信機41、刻々変化する各時点での位置情報を取得する位置情報取得手段42、及び空車、賃送、迎車などの運行状態を表示する表示板(スーパーサイン)43を備える。無線通信機41は、位置情報取得手段42が取得する位置情報を一定時間毎に基地局12に送信する機能を有する。また、表示板43における運行状態が変化したときに、その旨を示す運行情報を基地局12に送信する機能を備える。
【0028】
図5は各呼出し端末11における処理を示すフローチャートである。この処理は所定のプログラムに従い、各呼出し端末11の稼働中に繰り返し行われる。すなわち呼出し端末11は、ステップ51、53、55、及び57においてそれぞれ、呼出しボタン21の押下、配車完了情報の受信、車両接近情報の受信、及び呼出し終了情報の受信の有無を常に監視する。
【0029】
そして、ステップ51において呼出しボタン21の押下があったと判定した場合には、ステップ52において、呼出し要求データ及び自身の呼出し端末IDを基地局12に対して送信する。
【0030】
ステップ53において配車完了情報の受信があったと判定した場合には、ステップ54において番号札を出力する。番号札には、該配車完了情報に付随する配車番号が印字される。番号札は該配車番号に係る配車を要請した利用客が保持し、その後に表示装置23上に表示される車両接近情報の確認等のために使用される。
【0031】
ステップ55において車両接近情報の受信があったと判定した場合には、ステップ56において、車両接近情報の内容を、これに付随する配車番号とともに表示装置23上に表示する。該配車番号に係る車両接近情報が既に表示されている場合には、その表示を今回受信したものの内容となるように更新する。車両接近情報の表示に際しては、異なる利用客又は同一の利用客からの複数の呼出し要求(配車要請)に対応する複数の車両近接情報を同時に表示することができる。図2の例では、2つの配車番号「001」及び「002」が「呼出番号」の欄に表示され、各配車番号に対応する迎車回送完了までの回送車両の走行距離及び所要時間「500m 約1分」及び「1500m 約3分」が「到着まで」の欄に表示されている。これらの情報を、さらに音声出力手段により音声で出力するようにしてもよい。
【0032】
ステップ57において、呼出し終了情報の受信があったと判定した場合には、ステップ58において、該呼出し終了情報に付随する配車番号に係る迎車回送は完了したので、該配車番号に係る車両接近情報の表示を終了する。
【0033】
図6は配車制御装置31における処理を示すフローチャートである。この処理は所定のプログラムに従い、配車制御装置31の稼働中に繰り返し行われる。すなわち配車制御装置31は、図中のステップ61、66、及び68においてそれぞれ、呼出し要求データの受信の有無、車両近接情報を送信すべき所定のタイミングであるかどうか、及び迎車回送中のいずれかのタクシー車両の運行状態が実車に変化したかどうかを常に監視している。
【0034】
なお、配車制御装置31は図6の処理と並行して、各タクシー車両の車載端末13から定期的に送られる位置情報や運行情報を送受信機32を介して逐一受信し、刻々変化する各タクシー車両の位置や運行状態を逐次表示する。この表示に基づき、オペレータ15は各タクシー車両の位置や運行状態を把握することができる。
【0035】
配車制御装置31は、ステップ61において呼出し要求データの受信があったと判定した場合には、ステップ62へ進み、該呼出し要求データを送信した呼出し端末11からタクシーの呼出し要求があった旨を表示し、かつアラーム音を出力する。このとき、予め配車制御装置31に登録してある各呼出し端末11の位置情報に基づき、該呼出し要求データを送信した呼出し端末11の詳細な位置を表示するようにしてもよい。次に、ステップ63において、オペレータ15が該呼出し要求に応じて配車の手配を行おうとするタクシー車両の選択を受け入れる。このときオペレータ15は、配車制御装置31が表示している各タクシー車両の位置や運行状態、及び該呼出し要求データを送信した呼出し端末11の位置に基づき、配車に適したタクシー車両を手配車両として選択することができる。
【0036】
次に、ステップ64において、選択されたタクシー車両の車両ID、該呼出し要求データを送信した呼出し端末11の呼出し端末ID、及び該呼出し要求に応じて行う配車に対して割り当てた配車番号を関連付けて、関連付けデータとして記憶する。配車番号の割当ては、配車を行う毎にインクリメントされる値を割り当てることにより行う。次に、ステップ65において、配車完了情報を該配車番号とともに該呼出し端末11に対して送信する。なお、これにより該呼出し要求に対する配車手続が完了するので、配車番号用の値がインクリメントされる。
【0037】
ステップ66において所定のタイミングであると判定した場合には、ステップ67において、迎車回送中の各タクシー車両についての車両接近情報を、対応する配車番号とともに、対応する呼出し端末11に対して送信する。所定のタイミングとは、車両接近情報を送信すべきタイミングとして予め定められた定期的に到来するタイミングである。このタイミングは、各配車番号毎に、配車完了情報の送信タイミングが相違することに応じて、異なるものとしてもよい。迎車回送中の各タクシー車両は、記憶されている関連付けデータによりその車両IDが関連付けられているものとして把握することができる。したがって、迎車回送中の各タクシー車両についての車両接近情報の送信は、関連付けデータにより関連付けられている各車両ID、呼出し端末ID、及び配車番号を参照し、各車両IDのタクシー車両から送られる位置情報、及び対応する呼出し端末11の設置位置に基づいて、各タクシー車両の迎車回送が完了するまでの残りの走行距離や所要時間を取得し、対応する呼出端末11に対し、対応する配車番号とともに送信することにより行うことができる。
【0038】
ステップ68において迎車回送中のいずれかのタクシー車両の運行状況が実車に変化したと判定した場合には、その迎車回送が完了し、利用客が回送されたタクシー車両に乗車したことを意味する。そこでこの場合には、ステップ69において、関連付けデータに基づき、該タクシー車両に対応する呼出し端末11に対し、対応する配車番号とともに、呼出し終了情報を送信する。なお、運行状況が実車に変化したかどうかは各タクシー車両から送られる運行情報に基づいて判定することができる。この後、ステップ70において、該タクシー車両に係る関連付けデータを削除し、該タクシー車両に係る関連付けを解除する。なお、該呼出し終了情報を受信した呼出し端末11においては、該呼出し終了情報に付随する配車番号の車両接近情報の表示が消去されることになる(ステップ58)。
【0039】
次に、図5及び図6の処理に従い、タクシーを呼び出して利用するまでの流れを説明する。ある利用客14(以下、「利用客A」という。)が、ある呼出し端末11(以下、「呼出し端末A」という。)の呼出しボタン21を押下すると、呼出し端末Aは呼出し要求データを、呼出し端末Aの呼出し端末IDとともに、基地局12に対して送信する(ステップ51、52)。これを受信すると、基地局12の配車制御装置31は、呼出し端末Aから呼出し要求データを受信した旨を表示し、アラーム音を出力する(ステップ61、62)。
【0040】
これに応じ、オペレータ15は配車制御装置31において表示されている各タクシー車両の位置情報や運行状況、及び呼出し端末Aの位置に基づき、適当なタクシー車両を、配車の対象とする手配車両(以下「車両A」という。)として選択する(ステップ63)。これに応じ、配車制御装置31は、車両Aの車両ID、呼出し端末Aの呼出し端末ID、及び該配車に対して割り当てられた配車番号(以下、「配車番号N」という。)を関連付ける関連付けデータを記憶する(ステップ64)。これと同時に、配車完了情報を配車番号Nとともに、呼出し端末Aに対して送信する(ステップ65)。これにより利用客Aからの呼出し要求に対する配車手続が完了する。オペレータ15は車両Aの運転手に対し、送受信機32により迎車指示を行う。これに応じて、車両Aの運転手は迎車回送を開始する。なお、配車制御装置31は、迎車指示が完了した旨の入力をオペレータ15から受け入れてから、配車完了情報の送信を行うようにしてもよい。
【0041】
配車完了情報を受信すると、呼出し端末Aは、配車完了情報に付随する配車番号Nを印字した番号札を番号札出力装置22により出力する(ステップ53、54)。利用客Aはこの番号札を受け取り、車両Aの到着を待機することになる。なお、呼出し端末Aにおいて、利用客Aが呼出しボタン21を押下してから番号札が出力されるまでの間に、表示装置23上に、「しばらくおまちください」等の文字を表示させて、タクシーの配車手続中であることを利用客Aに知らせるようにしてもよい。
【0042】
配車手続の完了後、配車制御装置31は、車両Aついての車両近接情報を配車番号Nとともに、呼出し端末Aに対して定期的に送信する(ステップ66、67)。この車両近接情報を受信する毎に、呼出し端末Aは、車両近接情報の内容を、それに付随する配車番号Nとともに、表示装置23上に表示し、又は更新表示する(ステップ55、56)。
【0043】
車両Aが利用客Aのもとに到着し、利用客Aを乗せて実車になると、車両Aの表示板(スーパーサイン)43からの運行状態が実車に変化するので、車両Aの車載端末13の無線装置41は、車両Aの運行状態が実車に変化した旨を示す運行情報を、車両Aの車両IDとともに配車制御装置31に送信する。これを受信すると、配車制御装置31は、該車両IDに対して関連付けデータにより呼出し端末IDが関連付けられている呼出し端末Aに対し、呼出し終了情報を、該関連付けデータにより関連付けられている配車番号Nとともに送信する(ステップ68、69)。またこれと同時に、該該車両IDに係る関連付けデータを削除し、該関連付けを解除する(ステップ70)。
【0044】
呼出し終了情報を受信すると、呼出し端末Aは、呼出し端末情報に付随する配車番号Nに係る車両近接情報の表示を終了させる(ステップ57、58)。これにより、利用客Aがタクシーを呼び出して利用するまでの流れが終了したことになる。
【0045】
本実施形態によれば、基地局及び呼出し端末間の通信を専用の無線回線を介して行うようにしたため、公衆電話回線網が存在しない場所においても呼出し端末を設置することができる。したがって、呼出し端末の設置場所を増加させ、利用客の拡大を図り、これによりタクシー会社側の利益を増大させるとともに、利用客の利便性を向上させることができる。
【0046】
また、配車手続の完了後に車両近接情報を利用客に提供するようにしたため、利用客は配車されたタクシーが到着するまでに要する時間や、タクシーが間違いなくこちらに向かっているか等の回送状況を把握することができるので、回送状況が気になったり、不安になったりするのを解消することができる。
【0047】
さらに、呼出し時における利用客及びオペレータ間の会話が不要となるので、スムーズで確実な呼出しが可能となる。
【0048】
なお、本発明は、上述実施形態に限定されることなく適宜変形して実施することができる。たとえば、上述においては、回送状況に関する情報として、迎車回送が完了するまでの残りの走行距離や、所要時間に関する情報を例示したが、この他、回送が問題なく進行中であるとか、回送車両が渋滞に巻き込まれた、あるいは巻き込まれるおそれがあるといった情報を含めるようにしてもよい。
【0049】
また、上述においては、回送状況に関する情報を、回送車両からの位置情報、及び呼出し端末の設置位置に基づいて演算を行うことにより取得するようにしているが、この代わりに又はこれに加え、オペレータの入力に基づいて取得するようにしてもよい。その場合には、図6のステップ67において、オペレータに対し、回送状況に関する情報の入力を促し、該情報を取得するようにしてもよい。その際、オペレータは配車制御装置において表示されているタクシー車両及び呼出し端末の位置や、各種交通情報等に基づいて回送状況を判断し、入力することができる。
【0050】
また、上述においては、配所要請の入力を押しボタン21の押下により受け入れるようにしているが、この代わりに、音声により受け入れるようにしてもよい。また、利用客とオペレータとが無線又は有線による通話手段を介して通話を行い、利用客による配車を要請する旨の音声を通話手段のマイクにより入力して基地局に送信し、基地局のオペレータに通知するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態に係るタクシー呼出しシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1のシステムにおける呼出し端末の外観を示す斜視図である。
【図3】図1のシステムにおける基地局の外観を示す斜視図である。
【図4】図1のシステムにおける車載端末の構成を示すブロック図である。
【図5】図2の呼出し端末における処理を示すフローチャートである。
【図6】図3の基地局の配車制御装置における処理を示すフローチャートである。
【図7】従来のタクシー呼出しシステムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0052】
11:呼出し端末、12:基地局、13:車載端末、14:利用客、15:オペレータ、21:呼出しボタン、22:番号札出力装置、23:表示装置、31:配車制御装置、32:送受信機、41:無線通信機、42:位置情報取得手段、43:表示板、71:専用電話機、72:公衆電話回線網、73:電話機、74:タクシー会社、75:オペレータ、76:無線機、77:タクシー車両、78:利用客。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用客によるタクシーの配車を要請する旨の入力を受け入れる入力手段と、
前記入力手段により入力された配車要請を所定の基地局装置に対して送信する配車要請送信手段と、
前記配車要請送信手段により送信された配車要請に応じて配車されたタクシー車両の迎車回送中に前記基地局装置から送られてくる回送状況に関する情報を受信する回送状況受信手段と、
前記回送状況受信手段により受信した回送状況情報の内容を利用客に対して提示する回送状況提示手段とを具備することを特徴とするタクシー呼出し装置。
【請求項2】
所定のタクシー呼出し装置から送信される配車要請を受信する配車要請受信手段と、
前記配車要請受信手段により受信した配車要請に応じて配車されたタクシー車両の迎車回送中に、回送状況に関する情報を取得する回送状況取得手段と、
前記回送状況取得手段により取得した回送状況情報を前記タクシー呼出し装置に対して送信する回送状況情報送信手段とを具備することを特徴とする基地局装置。
【請求項3】
前記回送状況情報は、前記迎車回送中のタクシー車両の位置、及び前記タクシー呼出し装置の位置に基づいて取得されることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記回送状況情報には、前記迎車回送の完了までにどの程度の距離又は時間を要するかに関する情報が含まれることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記配車要請送信手段により送信した配車要請に応じた配車が完了した旨の情報、及び該配車を識別する配車識別情報を前記基地局装置から受信する配車完了情報受信手段と、
前記配車完了情報受信手段により受信した配車識別情報を利用客に対して提示する配車識別情報提示手段と、
各配車識別情報に係る迎車回送が終了した旨を示す終了情報を前記基地局から受信する終了情報受信手段とを備え、
前記回送状況受信手段が受信する回送状況情報は、前記配車識別情報毎のものであり、
前記回送状況提示手段は、同時に進行中の複数の前記配車識別情報に係る迎車回送については、各配車識別情報の表示に対応させて各配車識別情報毎の回送状況情報の内容を同時に表示することにより、前記回送状況情報の提示を行うものであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記配車要請受信手段により受信した配車要請に応じたタクシー車両の配車が完了した旨の情報、及び該配車を識別する配車識別情報を前記タクシー呼出し装置に送信する配車完了情報送信手段と、
各配車識別情報に係る迎車回送が終了したときに、その旨を示す終了情報を前記タクシー呼出し装置に送信する終了情報送信手段とを備え、
前記回送状況送信手段は、前記回送状況情報の送信を、前記配車識別情報毎のものとして行うものであることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項7】
配車を要請する旨の入力は、手動操作によるものであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
請求項1のタクシー呼出し装置及び請求項2の基地局装置を具備し、前記タクシー呼出し装置及び基地局装置間の通信は専用の無線回線を用いて行われることを特徴とするタクシー呼出しシステム。
【請求項9】
利用客によるタクシーの配車を要請する旨の入力を受け入れる入力工程と、
前記入力工程により入力された配車要請を所定の基地局装置に対して送信する配車要請送信工程と、
前記配車要請送信工程により送信された配車要請に応じて配車されたタクシー車両の迎車回送中に前記基地局装置から送られてくる回送状況に関する情報を受信する回送状況受信工程と、
前記回送状況受信工程により受信した回送状況情報の内容を利用客に対して提示する回送状況提示工程とを具備することを特徴とするタクシー呼出し方法。
【請求項10】
所定のタクシー呼出し装置から送信される配車要請を受信する配車要請受信工程と、
前記配車要請受信工程により受信した配車要請に応じて配車されたタクシー車両の迎車回送中に、回送状況に関する情報を取得する回送状況取得工程と、
前記回送状況取得工程により取得した回送状況情報を前記タクシー呼出し装置に対して送信する回送状況情報送信工程とを具備することを特徴とするタクシー配車方法。

【図1】
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【図7】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−61582(P2010−61582A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−229041(P2008−229041)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】