タバコ製品に添加するための要素及び製剤
この発明は、アセトアルデヒドを結合させることができる物質を含む製剤の使用、ならびに、タバコおよび/もしくはアルコールへの依存性を軽減させるための、タバコ製品に取り付けられいるフィルターの使用に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
喫煙することは、健康に種々の有害な作用をもたらす。喫煙は、種々の癌、例えば肺、口、咽頭、喉頭、食道および胃等の癌の危険性を、極めて著しい程度にまで増大させる。喫煙は、冠動脈性心疾患及び慢性閉塞性肺疾患をももたらす。妊娠中の喫煙は、胎児および新生児死亡、早産、並びに新生児の出産時低体重の割合を増大させ得る。親が喫煙する子供は、気管支炎および肺炎を患うことがしばしばあり、後年に癌を発症する高いリスクを負っている。
【背景技術】
【0002】
健康上の種々の深刻な有害性を知っていながら、喫煙者は喫煙を止めることが非常に困難であることを認識している。世界中には、約13億人の喫煙者がいる。喫煙者がニコチン置換療法(nicotine replacement therapy)によって喫煙を止めることを試みたとしても、12ヶ月の期間にわたって喫煙を止めることに成功し得る者は、約20%のみであろう(Rose, 2006, Nicotine and nonnicotine factors in cigarette addiction. Nicotine Tob. Res. 3, 383-390 and WiIlemsen et al., 2003, Ned. Tijdschr. Geneeskd.)。喫煙することによって、世界中で年間500万人もの死者が生じており、その大部分は肺癌、慢性閉塞性肺疾患および心疾患によるものであると推測されている(EzzatiおよびLopez、2003年、The Lancet 362:847-852)。
【0003】
アルコールも癌をもたらすということが知られている。Salaspuro (Salaspuro, M. Best Pract Res Clin. Gastroenterol (2003) 17:679-94)およびFrancheschiら(Cancer Res (1990) 50:6502-07)によれば、喫煙および飲酒は共に、上部消化管の発癌のリスクを150倍にも高めるおそれがある。年間約200万人が、主として喫煙および飲酒によってもたらされる上部消化管に癌を発症し得ることが見積もられている。
【0004】
喫煙者に喫煙を止めさせることができ、そして、アルコール多飲者に飲酒を控えさせることができる方法、組成物またはプログラムを見出すことは、国民の健康について非常に重要なことであろう。
【0005】
アセトアルデヒドは、動物に癌を生じさせるといこと、そしてヒトの唾液および消化管に生じ得る局所的な発癌性物質を含むということが観察されている。2004年、Salaspuroらは、喫煙者の生体内(in vivo)の唾液におけるアセトアルデヒドの平均含有量が、喫煙を伴わない場合であっても、アルコールを摂取した後では、160分間(図1)の総制御期間を経ると、非喫煙者の約2倍も高いということを立証した(Salaspuro V, Salaspuro M. Synergistic effect of alcohol drinking and smoking on in vivo acetaldehyde concentration in saliva. Int J Cancer. 2004 September 10; 111 (4): 480-3)。喫煙者の唾液中のアセトアルデヒドを示すグラフの下側の面積は、非喫煙者についての面積よりも、それぞれ114.8(+−)ll.5 μM x h 対 54.2(+−)8.7μM x h(p=0.002)と、相当に大きかった。
【0006】
タバコを吸う間における生体の唾液中のアセトアルデヒドは、アルコールのみを摂取する場合に生じるレベルの10倍も増大していた。唾液中のアセトアルデヒドは、喫煙を開始したときに著しく増大するが、喫煙を止めたときに急速に減少した(図2)。喫煙者におけるアセトアルデヒドを示すグラフの下側の面積は、非喫煙者と対比した場合に、7倍も大きく、それぞれ、369.5(+−)12.2μM x h 対 54.2(+−)8.7μM x h(p=0.001)と著しい差があった。活発な喫煙の間に、唾液中のアセトアルデヒドは、その基礎レベルから261.4(+−)45.5μMの値まで増大した。喫煙が始まった時に、唾液中のアセトアルデヒドは直ちに増加したが、喫煙を止めると直ぐに減少した(図3)。
【0007】
アルコールの最初の代謝生成物は、アセトアルデヒドである。アルコールは、生体の液相中に均一に分配される。従って、個人がアルコールを摂取しており、アルコールが生体内に存在する以上は、血液、唾液、胃液中のアルコールの量と、内蔵の含量とは同じに保たれる。消化管の微生物は、消化管内において、アルコールをアセトアルデヒドへ酸化させることができる。
【0008】
アセトアルデヒドは、生命体では、肝代謝の結果としてアルコールから生成し、および、消化管内では微生物によって局所的に生成する(Salaspuroら, (1996) Ann Med 28:195-200)。他方、発癌性のアセトアルデヒドは、口内で、特に無酸状態の胃(acid-free stomach)の中で、糖または炭化水素の高い含量を有する種々の食料から微生物によって内生的に生成され得る。萎縮性胃炎(atrophic gastritis)および無酸状態の胃(胃酸欠乏症(achlorhydria))は、よく知られている胃癌の危険因子である。
【0009】
胃が無酸症であるかまたは薬によって無酸状態にされている場合には、微生物代謝によって胃の中でアセトアルデヒドが生成している(Vakevainen et al., 2000, Alimentary Pharmacology Ther 14:1511-1518)。萎縮性胃炎に罹患した患者では、胃内の微生物はエタノールおよび糖から高含量のアセトアルデヒドを生成して、胃癌に罹るリスクを増大させる(Vakevainen et al, Scand J Gastroenterol 2002 (6):648-655)。
【0010】
酸性の胃の中ではアルコール発酵は起こらない。他方、ヘリコバクターピロリ菌感染および特定の薬、例えば、タンパク質ポンプ阻害剤(PPI)などは、胃のpHを上昇させる。
【0011】
特許出願WO02/36098は、口、胃または大腸の中でゆっくりと溶解して、アセトアルデヒドと結合する物質を長時間にわたって放出し、そしてこのようにして口および消化管内で癌を発生するリスクを低減することを開示している。
【0012】
特許出願WO2006/037848は、口内に維持されるかまたはタバコに取り付けられる製剤、または、その他の方法でタバコに取り付けられるかまたは吸収させられ、その表面が口内に維持される組成物、特にタバコ製品を消費する場合に用いられる組成物について開示している。その場合、タバコ製品を使用する間、タバコ製品からまたは口の中に保持された製剤から唾液中に、アセトアルデヒドに結合する物質(アセトアルデヒド結合物質(acetaldehyde-binding substance))が放出される。
【0013】
上述した特許明細書の製剤および組成物によって、個々の喫煙者が発癌性のアセトアルデヒドにさらされることを低減することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
タバコおよびアルコールの摂取を止めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
驚くべきことに、アセトアルデヒドに結合する化合物を口または消化管の中へ放出する同じまたは対応する製剤を用いることによって、タバコおよびアルコールの摂取を止めることができるということが、本発明に関して、見出されている。本発明に関連する試験において、喫煙中および/もしくはアルコール摂取中(飲酒中)に、口の中に入ってくるアセトアルデヒドに結合すると、個人は、タバコ、パイプまたは葉巻きをもはや所望しないということが観察されている。楽しむ感覚が無くなると、個人はタバコおよびアルコールを消費することを徐々に止めるようになる。
【0016】
本発明は、タバコおよび/もしくはアルコールを止めるために使用することができる、製剤および/もしくは要素、例えば、タバコ製品に取り付けられるフィルター等を提供する。タバコ製品に取り付けられる製剤または要素は、タバコ製品の煙の中に存在するアセトアルデヒドの本質的な部分を除去したり、または、喫煙または飲酒に関連して唾液または消化管に入るアセトアルデヒドに結合したりする。
【0017】
本発明は、ヒトがタバコおよび/もしくはアルコールを止めることができる方法をも提供する。方法は、好ましくは、タバコおよび/もしくはアルコールを首尾良く止めさせるプログラムをも含む。
【0018】
より正確に言えば、本発明による使用は、請求項1の特徴的部分に表現される事項を特徴とする。また、アセトアルデヒドを結合させる化合物および方法は、請求項18および19の特徴的部分に表現される事項を特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、非喫煙者と(同時に喫煙をしていない)喫煙者との、エタノール摂取後における生体内での唾液アセトアルデヒドを示している。
【図2】図2は、非喫煙者と(同時に喫煙をしている)喫煙者との、エタノール摂取の後における生体内での唾液アセトアルデヒドを示している。アセトアルデヒド濃度間の差は、40〜160分(p<0.05)のすべての時点において著しい。
【図3】図3は、(同時に飲酒せずに)1本のタバコを吸った後での喫煙者の唾液アセトアルデヒドを示している。
【図4】図4は、偽薬と共に喫煙した場合と、1.25mg、2.5mg、5mgあるいは10mgのL−システインを含有するタブレットと共に喫煙した場合とにおいて、5分後の唾液アセトアルデヒド(SEM)を示している。
【図5】図5は、喫煙中の唾液における、発癌性アルデヒドの濃度、即ち、タバコの煙の中に生じるアセトアルデヒドの濃度について、水−システイン溶液を用いて湿らせたフィルタの濾過効果を示している。システイン・フィルターを使用すると、喫煙中の唾液から測定されるアセトアルデヒド濃度が、発癌性(carcinogenity)について国際的に決められている限界値を著しく下回る値へ低下する。
【図6】図6A〜Cは、タバコ製品およびそれに取り付けることができる要素(シガレットホルダー)を上方から観察した状態(図6A)と、タバコ製品から要素が取り外されている状態の断面図(図6B)と、またはタバコ製品に取り付けられている状態の断面図(図6C)とを示している。
【図7】図7は、要素(ホルダー)の、端(図3A)および側方(図3B)から観察される断面図を示している。図3Cはホルダー端部から観察されるホルダーを示している。
【図8】図8は、タバコ製品に接続することができるホルダーまたはフィルター等の要素が、アタッチメントの間でタバコ製品に取り付けられているタバコ製品の側面図を示している。
【図9】図9は、タバコ製品に取り付け可能な要素がその中にパックされている、パッケージング・プレートを示している。
【図10】図10は、アルコールを摂取した個人について、偽薬と比較した、アセチルシステインのアセトアルデヒドとの結合性能を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(発明の詳細な説明)
本発明は、タバコおよび/もしくはアルコール依存症を軽減させるために用いることができる製剤およびツールを提供する。
【0021】
タバコ依存症もしくはアルコール依存症、またはその両者は、以下の段階:
a)タバコおよび/もしくはアルコールに依存性を有する個人に、タバコ製品および/もしくはアルコールを摂取するのと同時に、またはそれらと関連して、アセトアルデヒドに結合することができる化合物を含む組成物を与えること、ならびに/または、
b)タバコに依存性を有する個人に、タバコ製品に取り付けるべき要素であって、喫煙中にアセトアルデヒドに結合することができる化合物を含む要素、例えばフィルターを取り付けたタバコ製品を、与えること;ならびに
c)個人に喫煙および/もしくは飲酒をさせて、アセトアルデヒド結合化合物にタバコ製品もしくはアルコールまたは両者において生じたアセトアルデヒドを結合させ、ハルマン(harmane)と称される物質の生成を防止すること;ならびに
d)段階a)および段階b)、または両段階を同時に、ならびに段階c)を、個人のタバコおよび/もしくはアルコール依存症が軽減され、そして喫煙もしくはアルコール摂取を止める結果をもたらすようになる程度まで繰り返して行うこと
を経ることによって軽減させることができる。
【0022】
本発明の好ましい態様では、喫煙またはアルコール摂取に関連して、段階a)および段階b)、または両段階の同時実施を、少なくとも5回、好ましくは少なくとも10回、より好ましくは15〜50回、または20〜100回も、典型的には10〜20回、繰返すべきである。上記段階は、通常通りの喫煙もしくはアルコール摂取によって、治療またはプログラムを中断することなく、連続して繰返すことが好ましい。
【0023】
本発明の好ましい実施態様によれば、治療またはプログラムの1つの段階は、喫煙および/もしくはアルコール依存症が軽減されたかまたは終了したかということを、観察することを含む。これは、プログラムを受けた直ぐ後に実行することができる。止めることが生じていない場合、個人はプログラムを繰り返すように助言される。止めることが生じたと考えられるのは、個人が、もはやタバコおよび/もしくはアルコールを所望しなくなり、規則的な間隔、最初は2〜7日間、その後、例えば、2週間、その後、1カ月の間隔でチェックが行われる場合である。個人が、翌年の半分、もしくは好ましくは翌年の一年の間、規則的な喫煙および/もしくは規則的で重度のアルコール摂取(適度を越える摂取)を控えることができるようになれば、その停止が成功したと考えることができる。
【0024】
更に、タバコ製品に加えられた、止めるための製剤もしくは部品もしくは要素を、個人が通常タバコを吸ったりアルコールを摂取したりする方法と同様の方法で使用することによって、喫煙および/もしくは飲酒活動を繰り返すことは好ましい。麻薬アンタゴニスト(opiate antagonists)によって、通常飲用する場合にアルコールへの欲求を消滅させることは、米国特許第4,882,335に記載されている。
【0025】
本発明のもう1つの好ましい態様例によれば、方法は、個人が、タバコおよび/もしくはアルコールに含まれているアセトアルデヒドによって生じる健康被害および依存性について伝えられ、方法を始める際に、タバコおよび/もしくはアルコールによって引き起こされるダメージについて彼らに認識させる段階も含んでいる。
【0026】
本発明(本明細書)に記載しているタバコおよびアルコール依存症の軽減は、アセトアルデヒドを結合させて、生物体に無害な形態にする場合に、依存性をもたらす生成物がそこから生じ得ない、という事項の結果であり得る。Talhoutらによれば、ハルマン(harmane)およびサルソシノール((salsosinol)これはアセトアルデヒドと生物起源のアミンとの縮合生成物として生成する)などの生成物が、アセトアルデヒド依存性を引き起こす物質であり得る。ハルマンは喫煙時に生成し、喫煙者の血液中のハルマンレベルは非喫煙者の2〜10倍高い。ハルマンは、血液脳関門を容易に越えて、モノアミンオキシダーゼを抑制する十分な特性を有するので、喫煙者の脳の中で観察されるより低いモノアミンオキシダーゼ(MAO)活性に影響し得る。ハルマンとサルソシノールとはモノアミンオキシダーゼ(MAO)を抑制する。Talhoutらは、アセトアルデヒドおよび生物起源のアミンがタバコの煙および/もしくは生体内で生成する場合に、タバコ製品の依存性を生じさせる潜在的能力を、アセトアルデヒドが高め得ると、結論付けた。Talhoutらは、2007年に、アセトアルデヒドがげっ歯動物において依存性を引き起こすことを見出した。この依存性は、ニコチンによってもたらされる依存性と協働する。
【0027】
2002年、McBrideらは、サルソシノールが、アルコールを所望すること、およびそれによってアルコール依存症を高めるということを、提案した。Naoiらは、salsosinolの影響について論じた(NeuroToxicology 25 (2003) 193-204 and Haber et al. 1996, Alcohol Clin. Exp. Res. 20(l):87-92)。
【0028】
アセトアルデヒドは、血液脳関門に浸透し、その一方で、脳においても生成されているかもしれない。しかしながら、普通の人々はアルコールを燃やす一方で、血液中に測定可能な量のアセトアルデヒドを有さないので、研究には異論がある。脳研究は、次に、実験動物について行われ、非常に高いアセトアルデヒド濃度が用いられた。
【0029】
微生物の燃焼生成物としてのアルコールから唾液中に生じた、またはタバコから唾液中に溶解されたアセトアルデヒドは、アミノ酸トリプタミンと縮合して、神経伝達物質として機能するハルマンを生成する。アセトアルデヒドとトリプタミンとの縮合物であるハルマンは、個人がアルコールを摂取する場合または血液循環を通じてアルコールが胃液の中へ若しくは唾液中へ流入する場合に、酸分泌を抑制する医薬品を用いることに関連して、およびヘリコバクターに含まれているADH酵素の作用の結果として、無酸状態の胃の中で生成し得る。トリプタミンは、例えば、ミルク製品(例えば、発酵チーズ)および大豆生成物の中に生成する。口または胃の中で生成したハルマンは、粘膜を通って吸収されて、血液循環に直接入り、間の肝臓の解毒機構にさらされることなく、更に脳に流入し得る。脳に入るハルマンは、(二日酔いに似た)不快な症状をもたらしたり、アルコール依存症を高めたりすることがある(Callaway et al. 1996, Life Sciences 58(21):1817-1821)。
【0030】
唾液からのアセトアルデヒドを結合させること、またはそれが唾液に入ることを防止することによって、ハルマンおよび他の悪性の神経伝達物質が生成することおよびそれらが脳に入ることが相当程度に軽減される。本発明の製剤およびツールは、ならびにそれを使用することは、二日酔いの症状の軽減にも寄与する。
【0031】
本発明のタバコおよび/もしくはアルコールを止めるための生成物、ツールおよび方法の使用は、タバコを止めるために用いられてきた既知の方法と組み合わせることができる。一般にニコチンを含む禁煙生成物、例えばニコチンガムは、個人が喫煙を控えることができる時に、使用することができる。そのような製品には、例えば、チューインガムのようなニコレット(Nicorette)(登録商標)製品、タブレット、プラスター、または米国特許第5,488,962号および同第5,845,647号に記載されている製品が含まれる。個人がタバコ製品の使用をやめることができずに、喫煙を再開した場合には、彼は、本発明のアセトアルデヒドに結合する化合物(アセトアルデヒド結合化合物)を含む製剤、またはアセトアルデヒドに結合することができる化合物を含んでおり、タバコ製品に取り付けられる部品もしくは要素を使用することができる。
【0032】
タバコおよび/もしくはアルコールを止めるための本発明の方法は、本発明の方法によってアセトアルデヒドによってもたらされる依存性から個人を解放させる段階;およびニコチンを含む禁煙生成物によって個人がニコチンを止めるという段階を含んでなる。本発明の生成物およびツールは個人が喫煙を控えることができない時に使用され、ニコチン含有製剤は個人が喫煙を控えることができる時に使用される。
【0033】
「タバコ製品(tobacco product)」は、タバコ、葉巻きまたはパイプのようないずれかのタバコ製品を意味する。タバコ製品には、通常用いられるフィルターを既に有しているものもあり、または、フィルターを有さないものもある。しかしながら、フィルターは、アセトアルデヒド結合物質を含む要素(ホルダー、アセトアルデヒドを結合させるフィルター)を通って煙が流れることを防止しないことが好ましい。「喫煙」は、タバコ、葉巻きまたはその他のタバコ製品等のタバコ製品を使用することを意味する。
【0034】
「タバコ製品に取り付けることができる部品または要素」は、タバコホルダーまたはフィルターと呼ぶこともできる。その場合に、タバコ製品に用いられる従来のフィルターとは異なるものとして、アセトアルデヒド結合フィルター(アセトアルデヒドを結合させるフィルター)を意味する。本明細書において「喫煙に関連して」とは、喫煙を始めた時点から喫煙を終えた時点までの間の時間を意味する。特に、本明細書において「喫煙に関して」とは、アセトアルデヒドが喫煙者の口に入る間の時間を意味する。
【0035】
本明細書において「アルコール飲料の摂取に関して」とは、飲酒を始めた開始時から、血液中にそれ以上のアルコールが入らない終了時までの間の時間を意味する。
【0036】
アセトアルデヒドの結合
「アセトアルデヒドの結合」とは、アセトアルデヒドと、遊離アミノ酸および/もしくはスルフヒドリル基もしくはスルホン酸基を有する化合物との化学反応であって、それによってアセトアルデヒドと「アセトアルデヒド結合物質」とがより大きな分子を生じて反応水を生じさせることができる化学反応を意味する。「アセトアルデヒド結合物質」は、好ましくは、1またはそれ以上の遊離アミノ基およびスルフヒドリル基またはスルホン酸基を含む化合物を意味する。「化合物」とは、1もしくはそれ以上の化合物を意味することもある。
【0037】
例えば、システインと反応すると、アセトアルデヒド自体はスルフヒドリル基およびアミノ基の両者と結合して、2-メチル-L-チアゾリジン-4-カルボン酸および水が生成する。アセトアルデヒドは、それ自体が大部分のいずれかのタンパク質のアミノ基と結合して、それによってシッフ塩基または2-メチル-イミダゾール(imidzole)環を生成し得る。
【0038】
システイン、その塩および誘導体は、本発明の使用に特に適している。本発明の使用に最も好適なアミノ酸には、L−システインおよびD−システイン、アセチルシステイン、N−ペニシラミン、またはシステインの誘導体であって、L−システインもしくはD−システインおよびそれらの塩と同様に作用する誘導体が含まれる。最適な化合物は、L−システインおよびその塩である。
【0039】
生物体においてアセトアルデヒドと結合するのに好適な化合物には、式(I):
[式中、R1は、水素または炭素原子1〜4個を有するアシル基であり、R2はスルフヒドリル基またはスルホン酸基であり、nは1、2、3 または4のいずれかである。]
で示される化合物が含まれる。
【0040】
アセトアルデヒドと好適に結合し、ならびに遊離のスルフヒドリル基(SH)および/もしくはアミノ基(NH2)を含むアミノ酸または他の化合物には、L−システイン、D−システイン、システイン酸(cysteinic acid)、シスチン、システイン−グリシン、トレオ−β−フェニル−DL−システイン、エリトロ−β−フェニル-DL−システイン、β−テトラメチレン−DL−システイン、メチオニン、セリン、D−ペニシラミンおよびそのN末端基ジペプチド、セミカルバジド、グルタチオン、還元グルタチオン、β−メルカプトエチルアミン、D,L−ホモシステイン、DL−ホモシステイン酸、N−アセチルシステイン、L−システイニル−L−バリン、β−β−テトラメチレン−DL−システイン、システイニルグリシン、メルカプトエチルグリシン、システイン塩酸塩、チアミン塩酸塩、メタ重亜硫酸ナトリウム、アルギニン、グリシン、リシン、塩化アンモニウム、1,4−ジチオトレイトール、メルカプタン、またはこれらの化合物のいずれかの塩が含まれる。
【0041】
ある種のアセトアルデヒド結合またはアルデヒド結合性物質の効果は、例えばL−アスコルビン酸のようなビタミンによって向上することができる。本発明において用いられる好適な化合物には、アセトアルデヒド結合化合物の塩、特に、薬学的に許容される塩が含まれる。
【0042】
用いられる投与量で健康被害を呈さない、アセトアルデヒドを結合させる化合物はいずれも、本発明の製剤に適している。本発明が開示する、アセトアルデヒド結合化合物は、アセトアルデヒド以外のアルデヒドを結合するために用いることもできる。
【0043】
化合物の味または匂いが不愉快でないかまたはあまり強くない場合には、それも有利である。有効な化合物の不快味を、好適な甘味剤または香味料によって隠すことも可能である。しかしながら、マイルドおよび/もしくは心地よい味を具備する化合物を用いることによって、その化合物をシンプルに保ち、製造を容易にすることができる。生成物の味の重要性を低減させるもう1つの方法は、できるだけ少量を用いることである。
【0044】
タバコは、喫ったり、噛んだり、または濡らしたり若しくは嗅いだりすることによって使用することができる。発明者らの研究によれば、喫煙は、特に、口内のアセトアルデヒドの生成をもたらすようである。本発明に関する喫煙は、典型的には、タバコもしくは葉巻き、または代わりにパイプを吸うことを意味する。
【0045】
ヒトの口、食道、胃および大腸内において「有害な/発癌性のアセトアルデヒドの濃度」は、唾液の50〜100μMol/Lである。トリプタミンを伴えば、より低濃度のアセトアルデヒドであっても、ハルマンを生じさせる。例えば、喫煙および/もしくは飲酒に関連して、および飲酒の後であっても、血液、唾液または胃液中にアルコールが存在する限り、有害で、発癌性で、またはハルマンを生成するアセトアルデヒド濃度が、ヒトの口内において得られる。
【0046】
本発明の目的は、口内のアセトアルデヒドを、本発明の製剤を用いない場合よりも本質的に低く保つことである。唾液のアセトアルデヒド濃度を、組成物を用いない場合の、少なくとも60%、より好ましくは少なくとも80%低いレベルに保つことが好ましい。依存症をもたらすハルマンを形成する時間がないように、アセトアルデヒドの本質的にすべてを除去することが最も好ましい。喫煙に関して、唾液中のアセトアルデヒドのすべてを上述した製剤によって除去することができる。アルコールを摂取することに関して、唾液中に生成するアセトアルデヒドを少なくとも約70%減少させ得ることが好ましい。胃の中へシステインを徐々に放出する製剤を用いて、好ましくは、アセトアルデヒドを少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約80%、およびより好ましくは少なくとも約90%減少させることができる。
【0047】
本発明(本明細書)に記載する生成物は、単独でまたは組み合わせて使用することができるということに留意すべきである。例えば、アセトアルデヒドを結合させることができるホルダー、および口の中で維持される製剤は、このように同時に使用することができる。
【0048】
「口内に置かれる局所的な製剤」は、口の中で吸われたり噛まれたり、頬、唇若しくは舌および歯茎(歯肉)の間に配することができる、すべての製剤を指しており、および、そこでの物質の放出は口内で局所的効果を有するように意図される。その製剤は、好ましくは、咽頭、食道または胃の中で効果がある。製剤は、短時間、例えば、5〜15分間、または、長時間、例えば1時間30分を越えるような時間で、アセトアルデヒド結合物質を放出することができる。
【0049】
更に、局所的な製剤とは、胃(またはそれ以降の腸、例えば大腸等の中)へ放出される、アセトアルデヒド結合化合物を含むカプセル、タブレットまたは他の製剤を意味する。化合物は、例えば、顆粒(granules)の形態でカプセル内に入れることができる。これらの製剤は、唾液と共に胃へ流入したり、無酸状態の胃若しくはヘリコバクターに感染した胃の中で微生物によってアルコールから生成されたりするアセトアルデヒドを除去することが意図されている。また、アルコールと共に、酸の分泌を抑制する薬の使用についても同じことが言える。好適な製剤は、例えば、WO02/36098およびPCT/FI2007/050287およびPCT/FI2007/050288等の公開されている特許文献に開示されている。
【0050】
本明細書において「組成物(composition)」という用語は、有効物質を含む組成物を指しており、好適なキャリヤーと共に混合され得る。組成物は、口、胃(またはそれ以降の消化管、例えば大腸)の中で用いられることが好適な局所製剤の形態をとることができる。
【0051】
「組成物」は、(例えば、食料品の添加剤として用いることができる)ヒトの摂取に好適な、無毒な組成物を意味する。組成物は、薬学的に許容されるキャリヤーを含む薬学的に許容される組成物をも指す。有効な化合物はこれらの化合物の塩であって、特にヒトの摂取に好適であるかまたは薬学的に許容される塩をも指す。本発明の組成物は、経口使用に特に適している。
【0052】
本発明の局所製剤は、噛むことのできるタブレット若しくはサッキング錠、または口腔錠、舌下錠、キャンディー、パステル剤、チューインガム、バブルガム、ゲル剤、医薬錠剤またはカプセルおよび顆粒薬の中から選択することができる。
【0053】
製剤は、アセトアルデヒドを結合させる有効物質と称されるものに加えて、有効物質の放出を阻害することなく、容易にする少なくとも1種のキャリヤーを含むことが好ましい。有効物質を徐々に放出する製剤の場合、キャリヤーが有効物質の放出を制御することが好ましい。更に、製剤が、喫煙中または飲酒中に、口内により容易に保持されるような形状を有することが好ましい。製剤は、例えば、円形若しくは楕円形、縦長のカプセル形状、凸形状または環状形状等のいずれか形状を有することができる。また、その使用が喫煙活動またはアルコールの摂取を複雑にしたり変更したりしないように、製剤は比較的小さいことが好ましい。
【0054】
製剤は、アルコールを摂取したり喫煙したりする間に口内に配することもできるし、または、好適な方法でタバコ製品に取り付けることもできる。製剤は、喫煙中はタバコ製品に取り付けた状態を保つことができ、タバコ製品から取り外したり、喫煙開始時に口内に配置したりすることができる。
【0055】
喫煙に関して使用される製剤の理想的な操作時間は、喫煙に消費される時間(約5分間)と同じである。製剤の(アルコールの摂取に関して用いられ、アセトアルデヒド結合化合物を徐々に口または胃のいずれかの中へ放出する)操作時間は、好ましくは2〜4時間である。
【0056】
物質の味がよくない場合、有効物質の量をできるだけ少量に保つことができれば、化合物の味を隠す必要がまったくないか、またはわずかな程度の味隠しだけでよいので、有利である。組成物を用いる個人は、過度に高濃度の化合物を消費する必要はない。また、製剤はそれほど高価ではない。
【0057】
本発明の製剤は、アセトアルデヒド結合化合物を、1〜300mg、好ましくは1〜250mg、より好ましくは1〜200mg、さらに好ましくは1〜150mg、最も好ましくは1〜100mg含むことが好ましい。口または胃中でのアセトアルデヒドを長時間にわたって結合することが目的である場合、またはタバコおよびアルコールの両者から生成したアセトアルデヒドを結合させることが目的である場合、より多い量が特に有利である。大量の有効物質は、特に、アセトアルデヒド結合化合物の味が問題とはならない胃の中で、用いることができる。その場合に、組成物の投与単位は、50〜500mgのアセトアルデヒド結合物質を含むことが好ましい。アセトアルデヒド結合物質の量は、好ましくは50〜300mg、最も好ましくは100〜200mgである。胃の中へシステインを放出する製剤は、典型的には、1個のカプセル当たり200〜500mgのアセトアルデヒド結合物質を含むことができる。
【0058】
本発明の好ましい態様では、本発明の製剤(特に口内で用いられる製剤)は、アセトアルデヒド結合化合物を、1〜50mg、より好ましくは5〜30mg、更により好ましくは5〜10mg、または1〜5mg程度、典型的に10〜20mg若しくは1〜20mg、場合によって15〜20mg含む。喫煙中に製剤がタバコ製品に取り付けられた状態で維持される場合には、喫煙開始時に口内に製剤を配する場合と比べて、物質の量をより多くすることが好ましい。
【0059】
上述の製剤に加えて、本発明の範囲には、タバコ製品と共に用いられ、喫煙時に、アセトアルデヒド結合物質を唾液中へ放出することができるその他の製剤および組成物が含まれる。例えば、WO2006/037848の特許明細書には、口の中で維持され、タバコ製品の使用の間に、アセトアルデヒド結合化合物を放出する組成物について記載されている。有効物質を含む組成物は、上述の公開された特許出願に記載されているように、例えば、濃縮したりおよび/もしくは乾燥したりならびに/またはタバコ製品、フィルターまたはホルダーに含浸させたりすることができる。
【0060】
特許出願WO2006/037848に記載されているように、含浸させたフィルターを、タバコ製品と別体として、例えば、タバコ製品に取り付けたり、タバコ製品のホルダーに配置したりすることもできる。
【0061】
これらの用途におけるアセトアルデヒド結合物質の量は、口内に維持される製剤よりも多いことが好ましい。アセトアルデヒド結合物質の量は、1つのタバコ製品またはフィルター若しくはホルダー当たり、5mgを越える量、好ましくは10mgを越える量、より好ましくは20mgを越える量、最も好ましくは30mgを越える量、更により好ましくは50mgを越える量であってよい。組成物が濃縮されており、および/若しくは乾燥されており、および/若しくはフィルター、タバコ製品またはホルダーの表面だけに含浸させている場合、より少ない量が好ましい。
【0062】
組成物は、有効物質に加えて、以下の組成物をを含むことができる。
1.薬学的に許容される希釈剤(フィラー、エクステンダー)、
2.糖および糖アルコール等の甘味料、
3.香味料、および
4.スリップ添加剤/滑沢剤。
【0063】
糖は、例えば、蔗糖、フルクトース若しくはグルコースまたはそれらの混合物を含むものであってよい。糖アルコールは、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルト若しくはキシリトールまたはそれらの混合物を含むものであってよい。どの添加剤も製剤内の他の成分と反応しないことが好ましい。甘過ぎないために、好ましい甘味料にはマンニトールが含まれるが、製剤におけるその量はきわめて多くなり得る。従って、それは、同時に希釈剤として機能する。
【0064】
香味料には、例えば、スペアミント、ペパーミント、メントール、柑橘類、ユーカリまたはアニシード、またはそれらの混合物を含むことができる。製剤は、口臭を防止する物質、例えば呼吸清涼剤および/もしくは虫歯防止剤として機能する物質、またはビタミンを含む製剤等の成分を含むことができる。
【0065】
製剤は、唾液分泌を向上させる物質を含むこともできる。もっとも、これらの添加剤は、アセトアルデヒド結合物質を唾液中に迅速に放出することを防止してはならない。本明細書において上述したように、製剤は、口内の粘膜の細胞にアセトアルデヒドが影響を及ぼす前に、アセトアルデヒドの本質的な量が唾液に結合するように、アセトアルデヒド結合物質を非常に有効に放出すべきである。
【0066】
本発明の好ましい実施形態では、製剤(例えば1つのタブレット)は、以下の物質:
アセトアルデヒド結合物質 1〜50mg、
希釈剤/甘味料 50〜750mg、
香味料 適量、
潤滑剤 5〜25mg(0.5〜3重量%)
を本質的に含むかまたは含んでなるものであってよい。
【0067】
製剤は、
アセトアルデヒド結合物質 1〜50mg、
マンニトール等の糖または糖アルコール 50〜750mg、
香味料 適量、
ステアリン酸マグネシウム 5〜25mg
を含むサッキング錠であってもよい。
【0068】
組成物は、粉状の物質を混合し、それをいずれか既知の方法によってサッキング錠に圧縮することによって調製することができる。アセトアルデヒド結合化合物の量を増加させる場合には、アセトアルデヒド結合物質の味を隠す必要があるため、希釈剤/甘味料および香味料の量を増加する場合もある。
【0069】
本発明のもう1つの好ましい方法により、製剤は、次の物質:
アセトアルデヒド結合物質 1〜50mg、
甘味料若しくは他の物質を含むガムベース 500〜1500mg、
香味料 適量、
潤滑剤 5〜30mg(0.5〜3重量%)
を本質的に含むかまたは含んでなるものであってよい。
【0070】
ガムベースは、薬用チューインガムに含むことができるものであって、天然または合成エラストマー、軟化剤、ワックスおよび脂質を含んでなる(Morjaria, Y. et al., Drug Delivery Systems & Sciences, vol. 4, No. 1, 2004)。生ゴムおよびいぶした天然ゴムを含む天然のガムベースは、FDAによって許可されている。しかしながら、今日のガムベースは、ほとんどが合成であって、スチレン‐ブタジエンゴム、ポリエチレンおよびポリ酢酸ビニルを含んでいる。ガムベースは、チューインガムの15〜40%を構成する。残部は、薬剤成分、糖、甘味料、軟化剤、香味料および着色剤からなる。チューインガムをベースとする薬物送達システム(drug delivery systems)の大部分は、常套の方法を用いて製造されている。もっとも、直接圧縮できる粉体ゴムは、薬用チューインガムの今日における代替物である。ファーマガム(pharmagum)は、圧縮可能な新しいガム系である。それは、ポリオールおよび/もしくは糖とガムベースとの混合物である。ファーマガムを含む製剤は、従来のタブレットプレスを用いることによって、ガム・タブレットへ圧縮することができる。製造方法は迅速で低コストである。甘味料を含む、製剤中のガムベースの量は、50〜500mg、好ましくは500〜1500mgである。
【0071】
ファーマガムSはラバーベースおよびソルビトールを含んでおり、ファーマガムMはラバーベース、マンニトールおよびイソマルトを含んでいる。
製剤は、
アセトアルデヒド結合物質 1〜50mg
ファーマガムS 500〜1500mg
香味料 適量
ステアリン酸マグネシウム 5〜30mg(0.5〜3重量%)
を含むチューインガムであってよい。
【0072】
組成物は、粉末の物質を混合し、それを咀嚼錠に圧縮して詰め込むことにより製造されている。
その製剤は、
アセトアルデヒド結合物質1〜50mg、
イオン化されていない高分子5〜25mg、
イオン化された高分子 2〜10mg、
香味料 適量、
潤滑剤 0.5〜3重量%
を含む口腔錠であってよい。
【0073】
イオン化されていない高分子には、例えば、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリエチレングリコール(PEG)を含んでいる。
イオン化するポリマーは、例えばカルボキシルメチルセルロースナトリウム(NaCMC)、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、キトサン、ポリカーボファイル(polycarbofile)(Noveon(登録商標))およびカルボマー(carbomer)(Capropol(登録商標))が含まれる。
【0074】
製剤は、以下の物質:
アセトアルデヒド結合物質1〜50mg、
希釈剤/甘味料50〜500mg、
香味料 適量、および
潤滑剤 0.5〜3重量%
を本質的に含むかまたは含んでなる舌下錠であってよい。
希釈剤には、例えば、ラクトース、リン酸カルシウム、スターチ、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースが含まれる。甘味料は、例えばマンニトールまたはキシリトールであってよい。
【0075】
本発明の好ましい実施態様によれば、本発明の製剤は、
− 多数の葉巻きまたはタバコ剤、
− 喫煙中に、唾液からのアセトアルデヒドに結合して、本質的に喫煙前のアセトアルデヒドのレベルへとすることができる量のアセトアルデヒド結合物質を含む多数の製剤
を含んでなるツールキットにて提供される。
製剤は、少なくとも1本の、場合によっては、1、2または3本のタバコまたは葉巻きを吸う間に、唾液からのアセトアルデヒドに結合することができることが好ましい。
【0076】
ツールキットは、葉巻きまたはタバコ用のタバコパッケージまたは箱に、製剤用のもう1つのパッケージまたは箱が取り付けられたものであってよい。葉巻きまたはタバコ、およびその製剤は、同じまたは別個のパッケージ若しくは箱の中に入れられていてもよい。2つのパッケージまたは箱は別体であってもよいし、連結されていてもよい。ツールキットは、葉巻きとタバコと同じかまたはより多数の製剤を本質的に含むことが好ましい。パッケージ内の葉巻きまたはタバコの数は、少なくとも10本、一般に少なくとも20本、場合によっては少なくとも30本、典型的には、20〜40本または20〜50本の葉巻きまたはタバコを含むことが好ましい。
【0077】
パッケージ内の葉巻きまたはタバコの数は、少なくとも10本、一般に少なくとも20本、場合によっては少なくとも30本、典型的には、20〜40本または20〜50本の葉巻きまたはタバコを含むことが好ましい。本発明のもう1つの好ましい実施態様では、製剤は、葉巻き、タバコ、ホルダーまたはパイプ等のタバコ製品に取り付けることができる。製剤は、噛むことのできるタブレット若しくはサッキング錠、口腔錠、舌下錠、キャンディー、パステル剤、医薬錠剤、チューインガム、カプセル、顆粒またはゲル等のいずれか好適な形態であってよい。製剤は、例えば、円形形状、楕円形形状、凸形状、釘形状、円筒形状、カプセル形状、環状または長方形形状などのいずれか好適な形状であってよい。
【0078】
本発明の更に好ましい実施態様によれば、製剤は、葉巻き、タバコ、ホルダーまたはパイプに対して、脱着可能に取り付けることができる。喫煙を始める個人は、例えば、手、歯またはその他の手段で、タバコ製品から製剤を取り外し、製剤を唾液に接触させた状態に留めるように、製剤を口内で、例えば、舌下で、または頬と歯茎(歯肉)との間で、噛み、吸い若しくは保持することができる。
【0079】
アセトアルデヒド結合物質の投与
喫煙の結果として唾液中に生成するアセトアルデヒドの含量は、喫煙に関して、製剤を、好ましくは同時に1種または2種の製剤を、口内、舌下、頬内、もしくは頬と歯茎との間に、配置して、例えば、システイン、またはシステインと本質的に同じ作用を有する他のアセトアルデヒド結合化合物を、連続しておよび有利に1本のタバコ製品が消費されるまで、好適な速度にて、好ましくは一定の速度にて、放出して、減少することができる。次のタバコ製品を開始する場合には、新しいアセトアルデヒド結合化合物が口内に設けられる。本発明の好ましい実施態様によれば、1本の葉巻き、タバコまたはパイプを吸う間の唾液アルデヒド含量を、タバコを吸う前のアセトアルデヒドのレベルへ低下させることもできる。
【0080】
アセトアルデヒド結合物質の使用は、新しいタバコ製品を開始するのと同じ回数で繰り返される。新しい葉巻き、タバコまたはパイプを吸い始める前に、口内に製剤を既に配置していることは好ましい。
【0081】
本発明の好ましい実施形態による製剤は、アセトアルデヒド結合物質を唾液に接触させた時点から、30分未満、および好ましくは15分未満以内の時間で、口内で優勢な条件下の唾液の中へアセトアルデヒド結合化合物を放出することができる。従って、アセトアルデヒド結合物質は、製剤が唾液に接触した時点から、0〜5分以内、より好ましくは0〜10分以内、最も好ましくは0〜15分以内で放出される。アセトアルデヒド結合物質の放出は、本質的に1本の葉巻きまたはタバコを吸う時間、即ち実際の喫煙時間およびそれより数分長い時間で、行われる。
【0082】
口内で長い時間作用する製剤
アルコールを飲むかまたは喫煙する間に、アセトアルデヒドを放出する物質を口内へ徐々に放出する組成物を用いることができ、それは特許出願WO02/36098に記載されている。「有効物質の延長された放出」は、物質が少なくとも30分間、好ましくは少なくとも120分間、最も好ましくは4時間以上の時間で放出されることを意味する。本発明の組成物を用いると、4〜8時間程度までの有効物質の放出時間を達成することができる。化合物は、口内の条件下で、1時間当たり15〜25mgの量で放出されることが好ましい。本発明の1種または2種の製剤を一度に口内に配置することができ、それらは、4〜10時間のインターバルで、最も好ましくは6〜8時間のインターバルで新しいものに交換することができる。
【0083】
胃の中で作用する製剤
「胃において局所的効果を有する持続型薬剤」とは、全体が単一体であるか、若しくは多重構造のタブレットであるか、若しくはカプセルであるか、若しくはそれ自体が顆粒状の形態であって、胃液によって湿らされた場合に、胃の粘膜に付着し、若しくは胃の内容物に浮遊するゲルを生成し、若しくは胃の中の滞留時間を長引かせる形状若しくは寸法を有しており、従って、胃の中への持続放出および胃における薬剤の局所的効果を可能とする製剤を意味する。例えば、胃に局所的に作用する持続型薬剤は、また液状製剤(混合物)であってよく、それは経口的に摂取され、ゲル状の物理的構造を有している。例えば、胃に局所的および長期的な効果がある製剤は、特許明細書WO02/36098に記載されている。
【0084】
胃の中で作用する製剤は、胃の中へ有効物質を持続的に放出することに寄与する無毒なキャリヤーを含むことが好ましい。持続的な放出とは、胃の条件下において少なくとも30分間、有効物質を放出することを意味する。有効物質は、0.5〜8時間、典型的には2〜6時間、通常は2〜4時間で放出される。
【0085】
本発明のいくつかの好ましい態様例によれば、4〜10時間のインターバルで、好ましくは6〜8時間のインターバルで、投与する製剤を更新することができる。
【0086】
胃の中で作用する組成物は、タブレット、カプセル、顆粒、パウダー、または顆粒若しくはパウダーを含むタブレット若しくはカプセルの形態を有する製剤の形態をとることができる。組成物は、単一体または複合ユニット製剤の形態、例えば、タブレット若しくはカプセル若しくは顆粒形態であってよい。個々の製剤の投与には、タブレット若しくはカプセルまたは好適な量の顆粒、または顆粒若しくはパウダーを含むタブレット若しくはカプセルを含むことができる。
【0087】
製剤は、少なくとも7mmの直径、好ましくは8〜15mmのの直径、およびより好ましくは11〜15mmの直径を有する形態を有することが好ましい。このことは、製剤が十分な時間で胃の中に留まって、有効物質の緩やかな放出を確保するために有用である。
製剤から胃の中へ放出される物質の量は、1時間当たりで、40〜80gであることが好ましい。
【0088】
製剤中においてキャリヤーは、胃の条件下で、有効物質の持続的な放出を提供することを目的とする。
本発明の好ましい実施態様によれば、組成物は、胃の条件下で、溶解しないかまたは溶解するとしてもわずかであるキャリヤーを含んでなる。別法として、水に不溶性のフィルムで組成物をコーティングすることができる。
【0089】
本発明のもう1つの実施態様によれば、キャリヤーは、胃の中で、胃の内容物に浮遊するゲルを生じさせることができる。
本発明の第3の実施態様によれば、組成物は、経口的に摂取され(経口の混合物)、ゲルの物理的形態を有する、液状製剤の形態をとることができる。
【0090】
本発明の第4の実施態様によれば、製剤は胃の粘膜に付着することができる。
本発明の好ましい実施態様によれば、組成物は、胃の条件下で溶解しないキャリヤーを含む。キャリヤーは、例えば、メタクリレートポリマー、例えば、Eudragit RS若しくはS、エチルセルロース等のポリマーであってよい。
【0091】
組成物は、1種又はそれ以上のアセトアルデヒド結合化合物、胃の中で溶解しないポリマー、およびフィラーを含んでなる群から選ばれる物質を含むことができる。
組成物は、1〜40重量%、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは10〜30重量%のアセトアルデヒド結合化合物を含むことが好ましい。典型的には、20〜25%の量である。
【0092】
組成物は、10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%、およびより好ましくは20〜30重量%のポリマーを含むことが好ましい。
組成物は、20〜70重量%、より好ましくは40〜60重量%、およびより好ましくは約50重量%のフィラーを含むことが好ましい。
【0093】
本発明の好ましい実施態様によれば、組成物は、胃内で溶解しないマトリックス顆粒を含む。
組成物は、例えば、
アセトアルデヒド結合物質 5〜40重量%(好ましくは25重量%)、
胃の中で溶解しないポリマー 10〜50重量%(好ましくは20〜30重量%)、
不活性フィラー 20〜70重量%(好ましくは40〜60重量%)、
エタノール 適量
を含み得る。
【0094】
胃の中で溶解しないポリマーは、メタクリレートポリマー(例えばEudragit RS若しくはS、またはエチルセルロース(EC))等の製薬産業において一般的に用いられるいずれかの添加剤であってよい。不活性フィラーは、例えば、リン酸水素二カルシウム、微結晶セルロース(MCC)または他の対応する非膨潤性物質であってよい。固体物質は、エタノールと混合され、湿潤化される。湿らされた混合物は、製薬産業において一般的に用いられる方法および装置を用いて粒状化される。乾燥された顆粒は、それ自体で使用することもできるし、カプセル等の中に投与単位で分配することもできる。
【0095】
本発明の好ましい実施態様によれば、組成物は、胃の中で溶解しないマトリックス・タブレットを含む。組成物は、例えば、
アセトアルデヒド結合物質5〜40%(好ましくは25重量%)、
胃の中で溶解しないポリマー 10〜50重量%(好ましくは20〜30重量%)、
不活性フィラー20〜70%(好ましくは20〜50重量%)
を含むことができる。
【0096】
胃の中で溶解しないポリマーは、メタクリレートポリマー(例えばEudragit RS若しくはS、またはエチルセルロース(EC))等の製薬産業において一般的に用いられるいずれかの添加剤であってよい。不活性フィラーは、例えば、リン酸水素二カルシウム、微結晶セルロース(MCC)または他の対応する非膨潤性物質であってよい。固体物質は混合され、混合物は、例えば、エタノールまたは親水性ポリマー溶液を用いて顆粒状化される。顆粒は、製薬産業においてよく知られている方法および装置によって、タブレットへと圧縮される。有効物質の放出は、タブレット・マトリックスに形成された細孔(pores)からの水溶性有効物質の拡散に基づいて行われる。
【0097】
本発明の好ましい実施態様によれば、有効物質が口内へ放出されないように、組成物を保護することができる。顆粒、タブレットおよびカプセルは水溶性フィルムでコーティングすることができ、それは、アセトアルデヒド結合化合物の味を有効にカバーしたり、隠したりすることもできる。
【0098】
本発明のもう1つの好ましい実施態様によれば、組成物は、1種又はそれ以上のアセトアルデヒド結合化合物、水溶性フィラー、および製剤をコーティングして多孔質フィルムを形成する物質を含む群から選ばれる物質を含む。
【0099】
組成物は、1〜50重量%、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは20〜50重量%、更に好ましくは20〜30重量%のアセトアルデヒド結合化合物を含むことが好ましい。典型的には、20〜25%の量である。
組成物は、10〜80重量%、好ましくは40〜80重量%、およびより好ましくは50〜60重量%のフィラーを含むことが好ましい。
【0100】
組成物は、エチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース等の、多孔質フィルムを形成する物質を含むことが好ましい。ECのHPMCに対する割合は、3/2〜7/3であってよい。
【0101】
製剤(好ましくはタブレット)は、胃の中で溶解しないフィルムでコーティングされる。組成物は、例えば、
アセトアルデヒド結合物質 1〜50重量%(好ましくは20〜50重量%)、
水溶液フィラー 50〜80重量%(好ましくは30〜60重量%)、
多孔質フィルムを形成する物質 適量
を含むことができる。
【0102】
水溶性フィラーは、例えば、ラクトース、または、製薬産業において一般的に使用されるその他の水溶性フィラーであってよい。固体物質は混合され、混合物は、製薬産業においてよく知られている方法および装置によって、タブレットへと圧縮される。多孔質フィルムは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等の水溶性ポリマー、およびエチルセルロース(EC)等の水に不溶性のポリマーから製造することができる。フィルム形成物質の相対的な割合は、例えばECとHPMCとの場合には、EC2〜5部とHPMC1〜2部を含むことができる。胃の条件下において、水溶性高分子は溶解し、水に不溶性のポリマーには細孔が形成される。有効物質の放出は、フィルムに形成された細孔を通して、水溶性の有効物質の拡散に基づいて行われる。フィルムを形成する物質は、アセトアルデヒド結合化合物の味を有効にカバーしたり、隠したりすることもできる。
【0103】
本発明の好ましい実施態様によれば、製剤は、HPMCフィルムでコーティングすることもできるし、硬質のゼラチンまたはHMPCカプセルまたはその他の製剤に入れることもできる。
製剤は、胃の中でアセトアルデヒドに結合するための物質を含むこともできる。場合により、その製剤は、HPMCカプセルまたはゼラチン、特に硬質ゼラチン等のカプセルの形態をとることもできる。
【0104】
例えば、アルコールを飲むことに関連して、アセトアルデヒドは大腸の中でも形成されるが、特に、有効物質またはその一部が大腸の中に至るまで放出されないように、組成物を保護することは好ましい。好適な製剤は、例えば特許明細書WO02/36098に記載されている。
【0105】
これらの製剤における有用な腸溶性のポリマーには、例えば、ヒドロキシプロピル・メチルセルロース・フタレート等級、ヒドロキシプロピルメチルセルロース・スクシネート等級、またはヒドロキシプロピルメチルセルロース・アセテート・スクシネート(HPMC−AS)等級等、若しくは、Aqoat(登録商標)、特にAqoat AS-HF(登録商標)の商品名で販売されている物質、Aquateric(登録商標)の商品名で販売されているセルロースアセテートフタレート(CAP)等級、および酸メチル誘導体、メタクリル酸メチルメタクリレート共重合体(Eudragit-S(登録商標)の商品名で販売されている等級が特に有利である)等が含まれる。
好適な製剤は、例えば、特許出願PCT/FI2007/050287およびPCT/FI2007/050288に、記載されている。
【0106】
タバコ製品に取り付けられる要素
本発明によれば、アセトアルデヒドに結合することができる化合物は、タバコ製品に取り付けることが意図されている要素の中に入れられる物質の中に、何らかの手段によって、取り付けられる。
【0107】
要素がタバコ製品の吸い口にしっかりと取り付けられていると、タバコの煙は要素の中を移動し、アセトアルデヒドに結合し得る化合物を含む要素内の材料は、タバコの煙からのアセトアルデヒドを結合させる。これによって、口内および唾液中において、アセトアルデヒド含量が有害なレベルへ上昇することを防止することができる。アセトアルデヒドに結合することができる化合物は水相でアセトアルデヒドに結合するので、その結合反応を生じさせるために、喫煙を開始する際には、アセトアルデヒド結合化合物を含む物質は十分に湿潤化されている必要がある。
【0108】
本発明の好ましい実施形態の目的は、タバコ製品に取り付けられた要素の、有害なアセトアルデヒドに結合する能力が、製品を貯蔵する間でも保持される手段を提供することである。
本発明の好ましい実施態様によれば、結合するアセトアルデヒドに有能な化合物は、その材料を備えたフィルターが使用されるに至るまで、材料の水分含量を十分に高く保持することを目的として、多孔質材料の中へ水溶液として吸収される。この十分に高い水分含量は、材料中のアセトアルデヒド結合化合物を、活性な状態に、即ち、健康に無害となるようにアセトアルデヒドを結合させることができる状態に留めることを意味する。
【0109】
本発明の好ましい実施態様によれば、タバコ製品に取り付けられている要素に含まれている材料において、湿分は、防湿層(moisture barrier)によって維持されている。タバコ製品に取り付けられている要素は、防湿層によって部分的にまたは全体的に保護されている。
本発明のもう1つの好ましい実施態様によれば、アセトアルデヒド結合化合物を含むフィルター材料は、タバコ製品に取り付けられている要素の内部に入れることができる容器に詰められている。容器は、部分的にまたは完全に防湿層によって保護することができる。
【0110】
本発明のアルデヒドに結合することができるフィルターによって、タバコ、葉巻き、パイプまたはその他のタバコ製品の煙に含まれているアルデヒドの、少なくとも60%、典型的には少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、そして最も好ましくは少なくとも95%を結合することができる。
【0111】
アセトアルデヒドを結合させるフィルターの使用は簡単である。フィルター材料を含む要素は、市販されている口金またはパイプと同様にして、タバコ製品に取り付けられている。本発明の好ましい実施態様によれば、要素は、防湿層によって全体的にまたは部分的に保護されている。要素端から防湿層が取り除かれるか、または、防湿層として機能するパッケージから要素が取り出される。フィルターは、直ちに使用する準備ができている。実施形態において、要素に含まれるフィルター材料が、十分な量のアセトアルデヒド結合化合物を含む場合、要素は、タバコ製品の2回以上の使用の間(喫煙回数)に用いることができる。
【0112】
もう1つの好ましい実施形態によれば、アセトアルデヒドを結合させるフィルター材料は、使用前に、口金またはホルダー等の要素に加えられる。容器は、好ましくは防湿層によって部分的にまたは全体的に保護される。使用前に、防湿層が取り除かれ、タバコ製品に取り付けられている要素の中に容器が挿入される。
【0113】
ここで、図6〜9を参照して、本発明の手段について説明する。
図6は、タバコ製品に取り付けられている本発明の要素1およびタバコ製品2を示している。図6Aおよび6Bにおいて要素1とタバコ製品2とは分離されており、図6Cにおいて、要素1とタバコ製品2とは相互に取り付けられている。図6Aにおいて、要素1およびタバコ製品2は、上方から観察されている。図6Bおよび6Cは、側方から観察した断面図を示している。タバコ製品に取り付けられることが意図されている要素1は、両端が開口して、内部は本質的に中空である円柱状空間13を有しており、要素はタバコ製品2の吸い口12にしっかりと適応することができる。タバコ製品に取り付けられると、要素1の両端は開いており、喫煙中に煙は要素の中を通って流れることができる。要素1はパイプまたはフィルターと称することもできる。図2に示されるタバコ製品は従来のフィルター14をも有している。
【0114】
タバコ製品に取り付けられることが意図されている要素1の内側の空間13には多孔質材料3が入れられている。多孔質材料3には、少なくとも1種のアセトアルデヒド結合化合物を含む水溶液が吸収されているか、又は少なくとも1種のアルデヒド結合性化合物が、その他の何らかの方法で取り付けられている。アセトアルデヒド結合化合物を含む材料も、本明細書においてフィルター材料と称することができる。タバコ製品の吸い口12に適応することができる要素1の端部には、材料3が存在しないスペース15がある。要素1をタバコ製品2に取り付ける際に、端部16の嵌め合わせ領域がタバコ製品の端部12を覆うように、タバコ製品の吸い口12を要素1の端部のスペース15の内に嵌め合わせる。
【0115】
要素のフィルタ濾過部分が形成された後では、材料3は湿潤化されているべきである。材料は、20〜500μl、より好ましくは50〜250μlの水によって湿潤化されることが好ましく、または、アセトアルデヒド結合化合物が水溶液に含まれる場合には、アセトアルデヒド結合物質を含む水溶液によって湿潤化される。材料を湿潤化させるために必要な水溶液の量は、当然のことながら、要素(ホルダー)の長さおよび材料の量に依存する。要素1における材料3の水分含量は、喫煙の開始前に、開かれたり、取り除かれたりし得る、防湿層4、5によって本質的に変化しないようにしておくことができる。
【0116】
本発明のもう1つの好ましい実施態様によれば、フィルター材料は使用前に湿潤化される。その場合に、フィルター材料中のアセトアルデヒド結合化合物は、乾燥した場合であっても、アセトアルデヒドと反応することができるその特性を保持し得ることが確保されるべきである。本発明の好ましい実施態様によれば、アセトアルデヒド結合化合物は、水溶液状態でフィルター材料に結合され、タバコ製品およびそれに取り付けられているフィルター材料を有する要素が使用されるようになるまで、フィルター材料の湿気は本質的に変化しないように保持される。
【0117】
図7は、本発明の手段による防湿層4および5を示している。防湿層はアルミニウム箔等の本質的に気密性の材料から形成されている。防湿層4および5は、要素1の両端を覆っている。
【0118】
図8に示されている本発明の好ましい実施態様によれば、要素1にはアタッチメント8および9が設けられており、アタッチメントは、適所にある場合に、防湿層4および5を貫通する突出部10および11を有している。要素1がアタッチメント8および9の間にて、相互にしっかりと連結することができるように、アタッチメントはタバコ製品2の吸い口12に設けることができる。突出部10および11によって防湿層4および5を貫通して開口させた後では、煙はタバコ製品2および要素1の中を流れることができる。
【0119】
図9は、要素1をパッケージにする本発明の好ましい実施態様における包装シート16を示している。要素1は、形成材料、例えばプラスチックで形成された、包装シート16の凹部6に詰められている。凹部は、要素1の形状に適合する形状を有することが好ましい。凹部6は、防湿層17によって覆うことができ、それによって要素1は凹部6の気密スペースに配される。要素1は凹部6から押し出すことができ、それによって防湿層17が裂かれるか、又は防湿層17を要素から引き離すことができる。同じ包装シート16は、各凹部6の中にいくつかの要素1がパックされていてよい。
【0120】
多孔質材料3は、そこにアセトアルデヒド結合化合物が吸収されているか、又は何らかの手段で取り付けられており、できるだけ大きな表面が煙に接触するように、要素1の内部に入れられている。図7は、本発明の好ましい実施態様におけるパッケージングの方法を示している。実施形態によれば、材料7はロールの形態に巻かれて、要素1の内部にパックされている。その場合に、煙は材料7のわずかに離れている層18どうしの間を流れることができ、材料の中のアセトアルデヒド結合化合物は煙の中のアセトアルデヒドに接触することができる。本発明のもう1つの好ましい実施態様によれば、セルロースは、要素1の内部に詰める形態の物質としてパックすることができる。
【0121】
典型的には、タバコ製品に取り付けることができる要素は、パイプ/口金の長尺の形状を有している。
要素1の内部には、容器19があることが好ましく、その内部には多孔質材料3およびアセトアルデヒド結合化合物がパックされている。容器は、プラスチックと同様の材料で形成されていることが好ましい。容器は、それが要素1の内側に適合するような形状および寸法を有することが好ましい。容器の外側寸法は、例えば6〜10mm×30〜40mm、一般に8mm×35mmであってよい。
【0122】
本発明の好ましい実施態様によれば、容器19はパックされ、個々に部分的に又は全体的に防湿層によって保護される。容器は、喫煙を開始する前に、それはタバコ製品に取り付けられるべき、パイプまたは口金等の要素1に挿入することができる。
【0123】
多孔質材料は、例えばセルロースを含むことができる。セルロースは、例えば、セルロース綿又はフィルターペーパー又は同様に作用するその他の材料であってよい。1つのパイプ、またはその内部の容器当たりの材料の量は、50〜200mg、好ましくは70〜150mg、典型的には90〜120mgであってよい。多孔質材料の量は、口金若しくはパイプまたはその内部の容器の寸法、ならびにどれだけの量のアセトアルデヒド結合化合物が材料に付着することになっているかなどに依存する。
【0124】
1つのパイプ又はその内側の容器に用いられる水溶液の量は、好ましくは20〜400μL、典型的には50〜250μLである。水の量は、アセトアルデヒド結合化合物を活性に保つために十分な量である必要がある。
【0125】
タバコ製品に取り付けられることが意図されている、パイプまたはその内部の容器等の要素は、アセトアルデヒド結合化合物を、少なくとも1つのタバコ製品の煙の中に含まれているアセトアルデヒドを結合させるのに十分な量で含むことが好ましい。この量は、好ましくは0.5mg〜100mg、典型的に10〜50mgである。特にパイプまたは容器等の要素が2回以上使用される場合、より多い量が好ましい。
【0126】
アセトアルデヒド結合化合物が、タバコの煙の中に発生する他のアルデヒドをも結合し得るということは注目されるべきである。また、本発明の製剤、フィルターおよびホルダーはアセトアルデヒド以外のアルデヒドを結合することにも適している。
【0127】
「アルデヒド」は、鎖状、分岐状または環状構造を有する炭化水素鎖であってよいC1〜C7アルデヒドを意味する。それらは、アルデヒド基に加えて、その他の反応性基や、原子間に二重結合又は三重結合をも有することができる。低分子量のアルデヒドには、ホルムアルデヒド(C1)、アセトアルデヒド(C2)、およびアクロレイン(C3)およびクロトンアルデヒド(C4)があり、後の2つは二重結合を有している。これらの中で、アセトアルデヒドは特に重要である。本明細書においてアルデヒドは、タバコ製品の煙に発生するアルデヒドを意味する。
【0128】
アセトアルデヒド結合化合物を含む水溶液は、それらの酸分が調節されておよび/もしくはそれらに塩が加えられて緩衝化された水溶液を意味する。タバコの煙からのアセトアルデヒドの結合およびそれらのフィルタリングは、例えば、水溶液に少量の塩を加えて、その酸分をわずかにアルカリ性側若しくは酸性側に調節するか又は緩衝化することによって向上させることができる。
【0129】
以下、アセトアルデヒドについて説明するが、特に、タバコの煙の中に発生する他のアルデヒドを表わす。
本発明によれば、化学結合によって、アルデヒド、特にアセトアルデヒドから得られる化合物は、器官に無害である。
【0130】
実施例
実施例1
以下の成分:
システイン 20mg、
マンニトール(または同等の糖若しくは糖アルコール) 750mg、
香味料 適量、
ステアリン酸マグネシウム 10mg
を含むサッキング錠を調製した。
粉末状の物質を混合し、サッキング錠へ圧縮して、組成物を調製した。
【0131】
実施例2
システイン1.25mg、2.5mg、5mgおよび10mgをそれぞれ含むこと以外は、実施例1と同様のにしてサッキング錠を調製した。
【0132】
実施例3
以下の成分:
システイン 20mg、
ファーマガムS、M若しくはC 1000mg、
香味料 適量、
ステアリン酸マグネシウム 20mg
を含むチューインガムを調製した。
粉末状の物質を混合し、チューインガムへ圧縮して、組成物を調製した。500mgのファーマガムS若しくはMおよび20mgのステアリン酸マグネシウムを含むもう1つの組成物を調製した。
【0133】
実施例4
以下の成分:
システイン 20mg、
メトセル(Methocel) 25mg、
カルボポール(Carbopol) 7mg、
香味料 適量
ステアリン酸マグネシウム 2mg
を含む口腔錠を調製した。
粉末状の物質を混合し、口腔錠へ圧縮して、組成物を調製した。
【0134】
実施例5
以下の成分:
システイン 10mg、
マンニトール 250mg、
香味料 適量、
ステアリン酸マグネシウム 5mg
を含む舌下錠を調製した。
粉末状の物質を混合し、舌下錠へ圧縮して、組成物を調製した。
【0135】
実施例6
2名の個人が、実施例1で製造された製剤をテストした。喫煙の開始前と、喫煙開始後の5分後、即ち、個人が喫煙を開始してから0分後、5分後、10分後、および15分後に、個人の唾液アセトアルデヒド含有量を測定した。各個人は、それぞれ1本のタバコを吸い、偽薬タブレットを吸収した際に、同時に、彼らの口から唾液を採取した。喫煙は5分間続いた。もう1つのテストにおいて、個人は20mgのシステインを含むサッキング錠を用いて実験を繰り返した。
【0136】
喫煙前は、各個人の唾液アセトアルデヒド含有量は非常に低かった。第2の試験において、アセトアルデヒド含有量は、最初の5分経過後、既に測定不能なレベルへ効果していた。
【0137】
実施例7
(年齢29(+−)2.8歳の)5人の喫煙者が、(間にクリーニング時間をおいて)3種のタバコ剤を吸うという実験に参加した。各タバコを(5分間で)を吸いながら、個人は、偽薬、L−システインをそれぞれ1.25mg、2.5mg、5mg、10mgまたは20mg含む目隠しテスト用のタブレットを吸った。喫煙を開始してから、0分後、5分後、10分後および20分後に唾液試料をガスクロマトグラフィーによって分析した。
【0138】
L−システインタブレット(5mg、10mgおよび20mg)は、タバコから発生したアセトアルデヒドのすべてを唾液から除去した(図4を参照)。喫煙直後における平均唾液アセトアルデヒド含有量は、偽薬および5mg、10mgおよび20mgのL−システインタブレットについてそれぞれ、191.2(+−)48.5μM、0μM、0μM、0μMであった。
【0139】
研究は、5mgのL−システインであっても、溶けるタブレットに供給されている場合には、喫煙中の唾液内において、発癌性のアセトアルデヒドを完全に不活性化したことを示した。偽薬と対比して、1.25mgのL−システインタブレットはアセトアルデヒドの量を約3分の2減らした。
【0140】
実施例8
5mgのL−システインを含むサッキング錠、チューインガム、口腔錠および舌下錠を製造した。
【0141】
実施例9
湿潤化されたシステインフィルター
以下の材料:
タバコ:
Marlboro Red, Amer Tupakka
North State Plain, BAT
を試験に使用した。
Marlboro Redのフィルター全体を除去するか、又は、いくつかの試験では元々のフィルターの2〜3mmをタバコに残した。
【0142】
パイプ
試験では、Denicotea (www.denicotea.de) の直ぐに使用できる市販のパイプ/口金を使用した。パイプ/口金の中で、内部にフィルター材料がパックされている、プラスチック製の円筒形状の「容器」を使用した。(ニコチンの除去が意図されていた)容器の元の内容物は除去され、試験に用いられる材料と取り替えられた。容器の外部寸法は、直径8mmおよび長さ35mmであった。
【0143】
フィルター材料
セルロース綿(c.100mg)、フィルターペーパー(Whattman)、
市販フィルター: Smart(輸入業者:Altadia Finland Oy)およびVentti(Philip Morris Finland Oy)
システイン
システインは、30〜180mgのL−システイン/1mLで蒸留水に溶解させた。製造業者:Fluka 30089
【0144】
試験の準備:
プラスチック・シリンダーの中にパックされたフィルター材料を、水−システイン溶液(50−250μL)によって湿潤化させ、このようにして形成したフィルター容器をDenicoteaパイプに入れた。その後、個人は、口金に設けられたタバコを吸った。喫煙中、個人から唾液試料を採取した。唾液中のアセトアルデヒドは、ガスクロマトグラフィー(Perkin-Elmer、HS40、headspace Gas Chromatograph)によって分析した。
【0145】
結果:
2つのブランドのタバコについて、同様の結果が得られた。
- 水−システイン溶液によって湿潤化させたフィルター材料は、唾液からほぼすべて(95%)のアセトアルデヒドを除去した(図5)。
- 唾液から測定されたアセトアルデヒド含有量は、システイン・フィルターを用いることに関して、癌原性のアセトアルデヒドについて設定されている国際的な制限値100μMよりも著しく低い値へ低下した。
- 濾過性はシステインの量に依存した;図5は、喫煙中に、唾液アセトアルデヒド含有量に対する湿潤化したシステイン・フィルターの影響を示している。
【0146】
結果は、以下の事項を示している。
- フィルター材料単独では、アセトアルデヒドをろ過しない。
- 水によって湿潤化されたフィルターは、アセトアルデヒドをろ過しない。
- 固体形態のフィルターおよびシステインはアセトアルデヒドをろ過しない。
- 結果は、種々のブランドのタバコについて、フィルターのある場合とない場合とで一般化することができる。
- 市販のフィルターは水を結合しない;従って、それらはフィルター材料に適していない。
- システイン・フィルターを、タバコの元のフィルターと共に用いることは好ましくない。その場合に、煙は、2つのフィルターを通常のようにおよび容易に流れない。システイン・フィルターの材料が十分に多孔質である場合には、元のフィルターの小さい部分を残すことができる。
【0147】
実施例10
個人は、体重の1キロ当たり0.8gの量のアルコールを摂取した。その後、個人は、100mgのN-アセチルシステインを含む口腔錠を上唇の下側に取り付けた。それはアセチルシステインを徐々に放出した。唾液アセトアルデヒド・レベルは、20分間隔で、320分まで測定した。結果を、図10に示す。アセチルシステイン・タブレットを用いたケースのアセトアルデヒド含有量は、偽薬を用いたケースのアセトアルデヒド含有量よりも全体的に低かった。
【0148】
実施例11
個人は、タバコまたは葉巻きを吸いながら、同時に、それらの口内に、少なくとも0mg、5mgおよび10mgのシステインを含むチューインガムを維持させられた。口内にシステイン・チューインガムを入れて、喫煙を5回、10回、15回、20回および30回と繰り返す。個人は、新しいタバコを吸い始める度に、タバコを所望することに関する所見について報告する。テストの間、個人は、アセトアルデヒド結合製剤を伴わずに、タバコ剤または葉巻きを吸わない。個人は、1年間にわたって、2週間間隔で、喫煙習慣について報告することになる。彼らが喫煙を開始しようとすると、その度に、システイン・チューインガムを使用し始めるように助言される。
【0149】
実施例12
アセトアルデヒド結合ホルダーおよびシステイン製剤を口内で同時に用いて、請求項(実施例)11に記載の試験配置を繰り返す。個人は、実施例11と東洋の喫煙習慣について報告することになる。
【0150】
実施例13
胃の中でアセトアルデヒドを膨らますための非分解性マトリクスタブレット
相対的な組成は以下のものを含む。
組成物 25部、
Eudragit RS 20〜30部、
微結晶セルロース 20〜50部
【0151】
100〜200mgのシステインを含むタブレットは、製薬産業において常套の通りに用いられる装置によって、粉末混合物から圧縮される。タブレットは、胃の中で分解しない単一体のマトリックス・タブレットである。持続的方法にて、有効物質が放出され、胃液の中に溶解され、アセトアルデヒドの持続的な結合効果が得られる。Eudragit RSは、水に不溶性の結合性物質であって、対応する方法で作用する医薬品添加物、例えばエチルセルロース等と置換することができる。
【0152】
実施例14
胃の中でアセトアルデヒドと結合するフィルムコーティングタブレット
胃の中へアセトアルデヒド結合化合物を持続的な方法で放出する医薬製剤も、多孔質フィルムでコーティングされて、タブレットとして製造することができる。
組成物のコアは以下の物質を含む。
システイン (20〜50部) 30部、
ラクトース 50〜80部、
ステアリン酸マグネシウム 1〜2部、
滑石 1〜2部。
【0153】
粉末状の物質をタブレットへ圧縮し、製薬産業において一般的に使用されている技術を用いて、フィルムでコーティングされる。例えば、
エチルセルロース 2〜5部、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC) 1〜2部
エタノール 95部。
エチルセルロースは胃腸管内では溶解しないが、HPMCは胃腸管内では溶解して、フィルムに細孔が形成され、タブレットからシステインを持続的な方法で放出することを可能にする。
【0154】
実施例15
胃の中へアセトアルデヒド結合化合物を持続的に放出するための非分解性の顆粒
相対的な組成は以下の通りである。例えば、
システイン 25部、
Eudragit RS又はエチルセルロース 20〜30部、
微結晶セルロース 40〜60部、
エタノール 適量。
製薬産業において一般的に用いられる装置を用いて、粉末状の物質を混合し、エタノールで湿潤化した。湿潤化した混合物は、いずれか既知の方法によって、粒状化され乾燥される。必要ならば、システインの味をカバーするために、生成したマトリックス顆粒を、低分子量のヒドロキシプロピルメチルセルロースフィルムでコーティングすることができる。システイン(100〜200mg)を1回分含む十分な数の顆粒は、ゼラチンカプセルへ分配するか、または例えば、微結晶セルロースを用いてタブレットへ圧縮することができる。
【技術分野】
【0001】
喫煙することは、健康に種々の有害な作用をもたらす。喫煙は、種々の癌、例えば肺、口、咽頭、喉頭、食道および胃等の癌の危険性を、極めて著しい程度にまで増大させる。喫煙は、冠動脈性心疾患及び慢性閉塞性肺疾患をももたらす。妊娠中の喫煙は、胎児および新生児死亡、早産、並びに新生児の出産時低体重の割合を増大させ得る。親が喫煙する子供は、気管支炎および肺炎を患うことがしばしばあり、後年に癌を発症する高いリスクを負っている。
【背景技術】
【0002】
健康上の種々の深刻な有害性を知っていながら、喫煙者は喫煙を止めることが非常に困難であることを認識している。世界中には、約13億人の喫煙者がいる。喫煙者がニコチン置換療法(nicotine replacement therapy)によって喫煙を止めることを試みたとしても、12ヶ月の期間にわたって喫煙を止めることに成功し得る者は、約20%のみであろう(Rose, 2006, Nicotine and nonnicotine factors in cigarette addiction. Nicotine Tob. Res. 3, 383-390 and WiIlemsen et al., 2003, Ned. Tijdschr. Geneeskd.)。喫煙することによって、世界中で年間500万人もの死者が生じており、その大部分は肺癌、慢性閉塞性肺疾患および心疾患によるものであると推測されている(EzzatiおよびLopez、2003年、The Lancet 362:847-852)。
【0003】
アルコールも癌をもたらすということが知られている。Salaspuro (Salaspuro, M. Best Pract Res Clin. Gastroenterol (2003) 17:679-94)およびFrancheschiら(Cancer Res (1990) 50:6502-07)によれば、喫煙および飲酒は共に、上部消化管の発癌のリスクを150倍にも高めるおそれがある。年間約200万人が、主として喫煙および飲酒によってもたらされる上部消化管に癌を発症し得ることが見積もられている。
【0004】
喫煙者に喫煙を止めさせることができ、そして、アルコール多飲者に飲酒を控えさせることができる方法、組成物またはプログラムを見出すことは、国民の健康について非常に重要なことであろう。
【0005】
アセトアルデヒドは、動物に癌を生じさせるといこと、そしてヒトの唾液および消化管に生じ得る局所的な発癌性物質を含むということが観察されている。2004年、Salaspuroらは、喫煙者の生体内(in vivo)の唾液におけるアセトアルデヒドの平均含有量が、喫煙を伴わない場合であっても、アルコールを摂取した後では、160分間(図1)の総制御期間を経ると、非喫煙者の約2倍も高いということを立証した(Salaspuro V, Salaspuro M. Synergistic effect of alcohol drinking and smoking on in vivo acetaldehyde concentration in saliva. Int J Cancer. 2004 September 10; 111 (4): 480-3)。喫煙者の唾液中のアセトアルデヒドを示すグラフの下側の面積は、非喫煙者についての面積よりも、それぞれ114.8(+−)ll.5 μM x h 対 54.2(+−)8.7μM x h(p=0.002)と、相当に大きかった。
【0006】
タバコを吸う間における生体の唾液中のアセトアルデヒドは、アルコールのみを摂取する場合に生じるレベルの10倍も増大していた。唾液中のアセトアルデヒドは、喫煙を開始したときに著しく増大するが、喫煙を止めたときに急速に減少した(図2)。喫煙者におけるアセトアルデヒドを示すグラフの下側の面積は、非喫煙者と対比した場合に、7倍も大きく、それぞれ、369.5(+−)12.2μM x h 対 54.2(+−)8.7μM x h(p=0.001)と著しい差があった。活発な喫煙の間に、唾液中のアセトアルデヒドは、その基礎レベルから261.4(+−)45.5μMの値まで増大した。喫煙が始まった時に、唾液中のアセトアルデヒドは直ちに増加したが、喫煙を止めると直ぐに減少した(図3)。
【0007】
アルコールの最初の代謝生成物は、アセトアルデヒドである。アルコールは、生体の液相中に均一に分配される。従って、個人がアルコールを摂取しており、アルコールが生体内に存在する以上は、血液、唾液、胃液中のアルコールの量と、内蔵の含量とは同じに保たれる。消化管の微生物は、消化管内において、アルコールをアセトアルデヒドへ酸化させることができる。
【0008】
アセトアルデヒドは、生命体では、肝代謝の結果としてアルコールから生成し、および、消化管内では微生物によって局所的に生成する(Salaspuroら, (1996) Ann Med 28:195-200)。他方、発癌性のアセトアルデヒドは、口内で、特に無酸状態の胃(acid-free stomach)の中で、糖または炭化水素の高い含量を有する種々の食料から微生物によって内生的に生成され得る。萎縮性胃炎(atrophic gastritis)および無酸状態の胃(胃酸欠乏症(achlorhydria))は、よく知られている胃癌の危険因子である。
【0009】
胃が無酸症であるかまたは薬によって無酸状態にされている場合には、微生物代謝によって胃の中でアセトアルデヒドが生成している(Vakevainen et al., 2000, Alimentary Pharmacology Ther 14:1511-1518)。萎縮性胃炎に罹患した患者では、胃内の微生物はエタノールおよび糖から高含量のアセトアルデヒドを生成して、胃癌に罹るリスクを増大させる(Vakevainen et al, Scand J Gastroenterol 2002 (6):648-655)。
【0010】
酸性の胃の中ではアルコール発酵は起こらない。他方、ヘリコバクターピロリ菌感染および特定の薬、例えば、タンパク質ポンプ阻害剤(PPI)などは、胃のpHを上昇させる。
【0011】
特許出願WO02/36098は、口、胃または大腸の中でゆっくりと溶解して、アセトアルデヒドと結合する物質を長時間にわたって放出し、そしてこのようにして口および消化管内で癌を発生するリスクを低減することを開示している。
【0012】
特許出願WO2006/037848は、口内に維持されるかまたはタバコに取り付けられる製剤、または、その他の方法でタバコに取り付けられるかまたは吸収させられ、その表面が口内に維持される組成物、特にタバコ製品を消費する場合に用いられる組成物について開示している。その場合、タバコ製品を使用する間、タバコ製品からまたは口の中に保持された製剤から唾液中に、アセトアルデヒドに結合する物質(アセトアルデヒド結合物質(acetaldehyde-binding substance))が放出される。
【0013】
上述した特許明細書の製剤および組成物によって、個々の喫煙者が発癌性のアセトアルデヒドにさらされることを低減することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
タバコおよびアルコールの摂取を止めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
驚くべきことに、アセトアルデヒドに結合する化合物を口または消化管の中へ放出する同じまたは対応する製剤を用いることによって、タバコおよびアルコールの摂取を止めることができるということが、本発明に関して、見出されている。本発明に関連する試験において、喫煙中および/もしくはアルコール摂取中(飲酒中)に、口の中に入ってくるアセトアルデヒドに結合すると、個人は、タバコ、パイプまたは葉巻きをもはや所望しないということが観察されている。楽しむ感覚が無くなると、個人はタバコおよびアルコールを消費することを徐々に止めるようになる。
【0016】
本発明は、タバコおよび/もしくはアルコールを止めるために使用することができる、製剤および/もしくは要素、例えば、タバコ製品に取り付けられるフィルター等を提供する。タバコ製品に取り付けられる製剤または要素は、タバコ製品の煙の中に存在するアセトアルデヒドの本質的な部分を除去したり、または、喫煙または飲酒に関連して唾液または消化管に入るアセトアルデヒドに結合したりする。
【0017】
本発明は、ヒトがタバコおよび/もしくはアルコールを止めることができる方法をも提供する。方法は、好ましくは、タバコおよび/もしくはアルコールを首尾良く止めさせるプログラムをも含む。
【0018】
より正確に言えば、本発明による使用は、請求項1の特徴的部分に表現される事項を特徴とする。また、アセトアルデヒドを結合させる化合物および方法は、請求項18および19の特徴的部分に表現される事項を特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、非喫煙者と(同時に喫煙をしていない)喫煙者との、エタノール摂取後における生体内での唾液アセトアルデヒドを示している。
【図2】図2は、非喫煙者と(同時に喫煙をしている)喫煙者との、エタノール摂取の後における生体内での唾液アセトアルデヒドを示している。アセトアルデヒド濃度間の差は、40〜160分(p<0.05)のすべての時点において著しい。
【図3】図3は、(同時に飲酒せずに)1本のタバコを吸った後での喫煙者の唾液アセトアルデヒドを示している。
【図4】図4は、偽薬と共に喫煙した場合と、1.25mg、2.5mg、5mgあるいは10mgのL−システインを含有するタブレットと共に喫煙した場合とにおいて、5分後の唾液アセトアルデヒド(SEM)を示している。
【図5】図5は、喫煙中の唾液における、発癌性アルデヒドの濃度、即ち、タバコの煙の中に生じるアセトアルデヒドの濃度について、水−システイン溶液を用いて湿らせたフィルタの濾過効果を示している。システイン・フィルターを使用すると、喫煙中の唾液から測定されるアセトアルデヒド濃度が、発癌性(carcinogenity)について国際的に決められている限界値を著しく下回る値へ低下する。
【図6】図6A〜Cは、タバコ製品およびそれに取り付けることができる要素(シガレットホルダー)を上方から観察した状態(図6A)と、タバコ製品から要素が取り外されている状態の断面図(図6B)と、またはタバコ製品に取り付けられている状態の断面図(図6C)とを示している。
【図7】図7は、要素(ホルダー)の、端(図3A)および側方(図3B)から観察される断面図を示している。図3Cはホルダー端部から観察されるホルダーを示している。
【図8】図8は、タバコ製品に接続することができるホルダーまたはフィルター等の要素が、アタッチメントの間でタバコ製品に取り付けられているタバコ製品の側面図を示している。
【図9】図9は、タバコ製品に取り付け可能な要素がその中にパックされている、パッケージング・プレートを示している。
【図10】図10は、アルコールを摂取した個人について、偽薬と比較した、アセチルシステインのアセトアルデヒドとの結合性能を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(発明の詳細な説明)
本発明は、タバコおよび/もしくはアルコール依存症を軽減させるために用いることができる製剤およびツールを提供する。
【0021】
タバコ依存症もしくはアルコール依存症、またはその両者は、以下の段階:
a)タバコおよび/もしくはアルコールに依存性を有する個人に、タバコ製品および/もしくはアルコールを摂取するのと同時に、またはそれらと関連して、アセトアルデヒドに結合することができる化合物を含む組成物を与えること、ならびに/または、
b)タバコに依存性を有する個人に、タバコ製品に取り付けるべき要素であって、喫煙中にアセトアルデヒドに結合することができる化合物を含む要素、例えばフィルターを取り付けたタバコ製品を、与えること;ならびに
c)個人に喫煙および/もしくは飲酒をさせて、アセトアルデヒド結合化合物にタバコ製品もしくはアルコールまたは両者において生じたアセトアルデヒドを結合させ、ハルマン(harmane)と称される物質の生成を防止すること;ならびに
d)段階a)および段階b)、または両段階を同時に、ならびに段階c)を、個人のタバコおよび/もしくはアルコール依存症が軽減され、そして喫煙もしくはアルコール摂取を止める結果をもたらすようになる程度まで繰り返して行うこと
を経ることによって軽減させることができる。
【0022】
本発明の好ましい態様では、喫煙またはアルコール摂取に関連して、段階a)および段階b)、または両段階の同時実施を、少なくとも5回、好ましくは少なくとも10回、より好ましくは15〜50回、または20〜100回も、典型的には10〜20回、繰返すべきである。上記段階は、通常通りの喫煙もしくはアルコール摂取によって、治療またはプログラムを中断することなく、連続して繰返すことが好ましい。
【0023】
本発明の好ましい実施態様によれば、治療またはプログラムの1つの段階は、喫煙および/もしくはアルコール依存症が軽減されたかまたは終了したかということを、観察することを含む。これは、プログラムを受けた直ぐ後に実行することができる。止めることが生じていない場合、個人はプログラムを繰り返すように助言される。止めることが生じたと考えられるのは、個人が、もはやタバコおよび/もしくはアルコールを所望しなくなり、規則的な間隔、最初は2〜7日間、その後、例えば、2週間、その後、1カ月の間隔でチェックが行われる場合である。個人が、翌年の半分、もしくは好ましくは翌年の一年の間、規則的な喫煙および/もしくは規則的で重度のアルコール摂取(適度を越える摂取)を控えることができるようになれば、その停止が成功したと考えることができる。
【0024】
更に、タバコ製品に加えられた、止めるための製剤もしくは部品もしくは要素を、個人が通常タバコを吸ったりアルコールを摂取したりする方法と同様の方法で使用することによって、喫煙および/もしくは飲酒活動を繰り返すことは好ましい。麻薬アンタゴニスト(opiate antagonists)によって、通常飲用する場合にアルコールへの欲求を消滅させることは、米国特許第4,882,335に記載されている。
【0025】
本発明のもう1つの好ましい態様例によれば、方法は、個人が、タバコおよび/もしくはアルコールに含まれているアセトアルデヒドによって生じる健康被害および依存性について伝えられ、方法を始める際に、タバコおよび/もしくはアルコールによって引き起こされるダメージについて彼らに認識させる段階も含んでいる。
【0026】
本発明(本明細書)に記載しているタバコおよびアルコール依存症の軽減は、アセトアルデヒドを結合させて、生物体に無害な形態にする場合に、依存性をもたらす生成物がそこから生じ得ない、という事項の結果であり得る。Talhoutらによれば、ハルマン(harmane)およびサルソシノール((salsosinol)これはアセトアルデヒドと生物起源のアミンとの縮合生成物として生成する)などの生成物が、アセトアルデヒド依存性を引き起こす物質であり得る。ハルマンは喫煙時に生成し、喫煙者の血液中のハルマンレベルは非喫煙者の2〜10倍高い。ハルマンは、血液脳関門を容易に越えて、モノアミンオキシダーゼを抑制する十分な特性を有するので、喫煙者の脳の中で観察されるより低いモノアミンオキシダーゼ(MAO)活性に影響し得る。ハルマンとサルソシノールとはモノアミンオキシダーゼ(MAO)を抑制する。Talhoutらは、アセトアルデヒドおよび生物起源のアミンがタバコの煙および/もしくは生体内で生成する場合に、タバコ製品の依存性を生じさせる潜在的能力を、アセトアルデヒドが高め得ると、結論付けた。Talhoutらは、2007年に、アセトアルデヒドがげっ歯動物において依存性を引き起こすことを見出した。この依存性は、ニコチンによってもたらされる依存性と協働する。
【0027】
2002年、McBrideらは、サルソシノールが、アルコールを所望すること、およびそれによってアルコール依存症を高めるということを、提案した。Naoiらは、salsosinolの影響について論じた(NeuroToxicology 25 (2003) 193-204 and Haber et al. 1996, Alcohol Clin. Exp. Res. 20(l):87-92)。
【0028】
アセトアルデヒドは、血液脳関門に浸透し、その一方で、脳においても生成されているかもしれない。しかしながら、普通の人々はアルコールを燃やす一方で、血液中に測定可能な量のアセトアルデヒドを有さないので、研究には異論がある。脳研究は、次に、実験動物について行われ、非常に高いアセトアルデヒド濃度が用いられた。
【0029】
微生物の燃焼生成物としてのアルコールから唾液中に生じた、またはタバコから唾液中に溶解されたアセトアルデヒドは、アミノ酸トリプタミンと縮合して、神経伝達物質として機能するハルマンを生成する。アセトアルデヒドとトリプタミンとの縮合物であるハルマンは、個人がアルコールを摂取する場合または血液循環を通じてアルコールが胃液の中へ若しくは唾液中へ流入する場合に、酸分泌を抑制する医薬品を用いることに関連して、およびヘリコバクターに含まれているADH酵素の作用の結果として、無酸状態の胃の中で生成し得る。トリプタミンは、例えば、ミルク製品(例えば、発酵チーズ)および大豆生成物の中に生成する。口または胃の中で生成したハルマンは、粘膜を通って吸収されて、血液循環に直接入り、間の肝臓の解毒機構にさらされることなく、更に脳に流入し得る。脳に入るハルマンは、(二日酔いに似た)不快な症状をもたらしたり、アルコール依存症を高めたりすることがある(Callaway et al. 1996, Life Sciences 58(21):1817-1821)。
【0030】
唾液からのアセトアルデヒドを結合させること、またはそれが唾液に入ることを防止することによって、ハルマンおよび他の悪性の神経伝達物質が生成することおよびそれらが脳に入ることが相当程度に軽減される。本発明の製剤およびツールは、ならびにそれを使用することは、二日酔いの症状の軽減にも寄与する。
【0031】
本発明のタバコおよび/もしくはアルコールを止めるための生成物、ツールおよび方法の使用は、タバコを止めるために用いられてきた既知の方法と組み合わせることができる。一般にニコチンを含む禁煙生成物、例えばニコチンガムは、個人が喫煙を控えることができる時に、使用することができる。そのような製品には、例えば、チューインガムのようなニコレット(Nicorette)(登録商標)製品、タブレット、プラスター、または米国特許第5,488,962号および同第5,845,647号に記載されている製品が含まれる。個人がタバコ製品の使用をやめることができずに、喫煙を再開した場合には、彼は、本発明のアセトアルデヒドに結合する化合物(アセトアルデヒド結合化合物)を含む製剤、またはアセトアルデヒドに結合することができる化合物を含んでおり、タバコ製品に取り付けられる部品もしくは要素を使用することができる。
【0032】
タバコおよび/もしくはアルコールを止めるための本発明の方法は、本発明の方法によってアセトアルデヒドによってもたらされる依存性から個人を解放させる段階;およびニコチンを含む禁煙生成物によって個人がニコチンを止めるという段階を含んでなる。本発明の生成物およびツールは個人が喫煙を控えることができない時に使用され、ニコチン含有製剤は個人が喫煙を控えることができる時に使用される。
【0033】
「タバコ製品(tobacco product)」は、タバコ、葉巻きまたはパイプのようないずれかのタバコ製品を意味する。タバコ製品には、通常用いられるフィルターを既に有しているものもあり、または、フィルターを有さないものもある。しかしながら、フィルターは、アセトアルデヒド結合物質を含む要素(ホルダー、アセトアルデヒドを結合させるフィルター)を通って煙が流れることを防止しないことが好ましい。「喫煙」は、タバコ、葉巻きまたはその他のタバコ製品等のタバコ製品を使用することを意味する。
【0034】
「タバコ製品に取り付けることができる部品または要素」は、タバコホルダーまたはフィルターと呼ぶこともできる。その場合に、タバコ製品に用いられる従来のフィルターとは異なるものとして、アセトアルデヒド結合フィルター(アセトアルデヒドを結合させるフィルター)を意味する。本明細書において「喫煙に関連して」とは、喫煙を始めた時点から喫煙を終えた時点までの間の時間を意味する。特に、本明細書において「喫煙に関して」とは、アセトアルデヒドが喫煙者の口に入る間の時間を意味する。
【0035】
本明細書において「アルコール飲料の摂取に関して」とは、飲酒を始めた開始時から、血液中にそれ以上のアルコールが入らない終了時までの間の時間を意味する。
【0036】
アセトアルデヒドの結合
「アセトアルデヒドの結合」とは、アセトアルデヒドと、遊離アミノ酸および/もしくはスルフヒドリル基もしくはスルホン酸基を有する化合物との化学反応であって、それによってアセトアルデヒドと「アセトアルデヒド結合物質」とがより大きな分子を生じて反応水を生じさせることができる化学反応を意味する。「アセトアルデヒド結合物質」は、好ましくは、1またはそれ以上の遊離アミノ基およびスルフヒドリル基またはスルホン酸基を含む化合物を意味する。「化合物」とは、1もしくはそれ以上の化合物を意味することもある。
【0037】
例えば、システインと反応すると、アセトアルデヒド自体はスルフヒドリル基およびアミノ基の両者と結合して、2-メチル-L-チアゾリジン-4-カルボン酸および水が生成する。アセトアルデヒドは、それ自体が大部分のいずれかのタンパク質のアミノ基と結合して、それによってシッフ塩基または2-メチル-イミダゾール(imidzole)環を生成し得る。
【0038】
システイン、その塩および誘導体は、本発明の使用に特に適している。本発明の使用に最も好適なアミノ酸には、L−システインおよびD−システイン、アセチルシステイン、N−ペニシラミン、またはシステインの誘導体であって、L−システインもしくはD−システインおよびそれらの塩と同様に作用する誘導体が含まれる。最適な化合物は、L−システインおよびその塩である。
【0039】
生物体においてアセトアルデヒドと結合するのに好適な化合物には、式(I):
[式中、R1は、水素または炭素原子1〜4個を有するアシル基であり、R2はスルフヒドリル基またはスルホン酸基であり、nは1、2、3 または4のいずれかである。]
で示される化合物が含まれる。
【0040】
アセトアルデヒドと好適に結合し、ならびに遊離のスルフヒドリル基(SH)および/もしくはアミノ基(NH2)を含むアミノ酸または他の化合物には、L−システイン、D−システイン、システイン酸(cysteinic acid)、シスチン、システイン−グリシン、トレオ−β−フェニル−DL−システイン、エリトロ−β−フェニル-DL−システイン、β−テトラメチレン−DL−システイン、メチオニン、セリン、D−ペニシラミンおよびそのN末端基ジペプチド、セミカルバジド、グルタチオン、還元グルタチオン、β−メルカプトエチルアミン、D,L−ホモシステイン、DL−ホモシステイン酸、N−アセチルシステイン、L−システイニル−L−バリン、β−β−テトラメチレン−DL−システイン、システイニルグリシン、メルカプトエチルグリシン、システイン塩酸塩、チアミン塩酸塩、メタ重亜硫酸ナトリウム、アルギニン、グリシン、リシン、塩化アンモニウム、1,4−ジチオトレイトール、メルカプタン、またはこれらの化合物のいずれかの塩が含まれる。
【0041】
ある種のアセトアルデヒド結合またはアルデヒド結合性物質の効果は、例えばL−アスコルビン酸のようなビタミンによって向上することができる。本発明において用いられる好適な化合物には、アセトアルデヒド結合化合物の塩、特に、薬学的に許容される塩が含まれる。
【0042】
用いられる投与量で健康被害を呈さない、アセトアルデヒドを結合させる化合物はいずれも、本発明の製剤に適している。本発明が開示する、アセトアルデヒド結合化合物は、アセトアルデヒド以外のアルデヒドを結合するために用いることもできる。
【0043】
化合物の味または匂いが不愉快でないかまたはあまり強くない場合には、それも有利である。有効な化合物の不快味を、好適な甘味剤または香味料によって隠すことも可能である。しかしながら、マイルドおよび/もしくは心地よい味を具備する化合物を用いることによって、その化合物をシンプルに保ち、製造を容易にすることができる。生成物の味の重要性を低減させるもう1つの方法は、できるだけ少量を用いることである。
【0044】
タバコは、喫ったり、噛んだり、または濡らしたり若しくは嗅いだりすることによって使用することができる。発明者らの研究によれば、喫煙は、特に、口内のアセトアルデヒドの生成をもたらすようである。本発明に関する喫煙は、典型的には、タバコもしくは葉巻き、または代わりにパイプを吸うことを意味する。
【0045】
ヒトの口、食道、胃および大腸内において「有害な/発癌性のアセトアルデヒドの濃度」は、唾液の50〜100μMol/Lである。トリプタミンを伴えば、より低濃度のアセトアルデヒドであっても、ハルマンを生じさせる。例えば、喫煙および/もしくは飲酒に関連して、および飲酒の後であっても、血液、唾液または胃液中にアルコールが存在する限り、有害で、発癌性で、またはハルマンを生成するアセトアルデヒド濃度が、ヒトの口内において得られる。
【0046】
本発明の目的は、口内のアセトアルデヒドを、本発明の製剤を用いない場合よりも本質的に低く保つことである。唾液のアセトアルデヒド濃度を、組成物を用いない場合の、少なくとも60%、より好ましくは少なくとも80%低いレベルに保つことが好ましい。依存症をもたらすハルマンを形成する時間がないように、アセトアルデヒドの本質的にすべてを除去することが最も好ましい。喫煙に関して、唾液中のアセトアルデヒドのすべてを上述した製剤によって除去することができる。アルコールを摂取することに関して、唾液中に生成するアセトアルデヒドを少なくとも約70%減少させ得ることが好ましい。胃の中へシステインを徐々に放出する製剤を用いて、好ましくは、アセトアルデヒドを少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約80%、およびより好ましくは少なくとも約90%減少させることができる。
【0047】
本発明(本明細書)に記載する生成物は、単独でまたは組み合わせて使用することができるということに留意すべきである。例えば、アセトアルデヒドを結合させることができるホルダー、および口の中で維持される製剤は、このように同時に使用することができる。
【0048】
「口内に置かれる局所的な製剤」は、口の中で吸われたり噛まれたり、頬、唇若しくは舌および歯茎(歯肉)の間に配することができる、すべての製剤を指しており、および、そこでの物質の放出は口内で局所的効果を有するように意図される。その製剤は、好ましくは、咽頭、食道または胃の中で効果がある。製剤は、短時間、例えば、5〜15分間、または、長時間、例えば1時間30分を越えるような時間で、アセトアルデヒド結合物質を放出することができる。
【0049】
更に、局所的な製剤とは、胃(またはそれ以降の腸、例えば大腸等の中)へ放出される、アセトアルデヒド結合化合物を含むカプセル、タブレットまたは他の製剤を意味する。化合物は、例えば、顆粒(granules)の形態でカプセル内に入れることができる。これらの製剤は、唾液と共に胃へ流入したり、無酸状態の胃若しくはヘリコバクターに感染した胃の中で微生物によってアルコールから生成されたりするアセトアルデヒドを除去することが意図されている。また、アルコールと共に、酸の分泌を抑制する薬の使用についても同じことが言える。好適な製剤は、例えば、WO02/36098およびPCT/FI2007/050287およびPCT/FI2007/050288等の公開されている特許文献に開示されている。
【0050】
本明細書において「組成物(composition)」という用語は、有効物質を含む組成物を指しており、好適なキャリヤーと共に混合され得る。組成物は、口、胃(またはそれ以降の消化管、例えば大腸)の中で用いられることが好適な局所製剤の形態をとることができる。
【0051】
「組成物」は、(例えば、食料品の添加剤として用いることができる)ヒトの摂取に好適な、無毒な組成物を意味する。組成物は、薬学的に許容されるキャリヤーを含む薬学的に許容される組成物をも指す。有効な化合物はこれらの化合物の塩であって、特にヒトの摂取に好適であるかまたは薬学的に許容される塩をも指す。本発明の組成物は、経口使用に特に適している。
【0052】
本発明の局所製剤は、噛むことのできるタブレット若しくはサッキング錠、または口腔錠、舌下錠、キャンディー、パステル剤、チューインガム、バブルガム、ゲル剤、医薬錠剤またはカプセルおよび顆粒薬の中から選択することができる。
【0053】
製剤は、アセトアルデヒドを結合させる有効物質と称されるものに加えて、有効物質の放出を阻害することなく、容易にする少なくとも1種のキャリヤーを含むことが好ましい。有効物質を徐々に放出する製剤の場合、キャリヤーが有効物質の放出を制御することが好ましい。更に、製剤が、喫煙中または飲酒中に、口内により容易に保持されるような形状を有することが好ましい。製剤は、例えば、円形若しくは楕円形、縦長のカプセル形状、凸形状または環状形状等のいずれか形状を有することができる。また、その使用が喫煙活動またはアルコールの摂取を複雑にしたり変更したりしないように、製剤は比較的小さいことが好ましい。
【0054】
製剤は、アルコールを摂取したり喫煙したりする間に口内に配することもできるし、または、好適な方法でタバコ製品に取り付けることもできる。製剤は、喫煙中はタバコ製品に取り付けた状態を保つことができ、タバコ製品から取り外したり、喫煙開始時に口内に配置したりすることができる。
【0055】
喫煙に関して使用される製剤の理想的な操作時間は、喫煙に消費される時間(約5分間)と同じである。製剤の(アルコールの摂取に関して用いられ、アセトアルデヒド結合化合物を徐々に口または胃のいずれかの中へ放出する)操作時間は、好ましくは2〜4時間である。
【0056】
物質の味がよくない場合、有効物質の量をできるだけ少量に保つことができれば、化合物の味を隠す必要がまったくないか、またはわずかな程度の味隠しだけでよいので、有利である。組成物を用いる個人は、過度に高濃度の化合物を消費する必要はない。また、製剤はそれほど高価ではない。
【0057】
本発明の製剤は、アセトアルデヒド結合化合物を、1〜300mg、好ましくは1〜250mg、より好ましくは1〜200mg、さらに好ましくは1〜150mg、最も好ましくは1〜100mg含むことが好ましい。口または胃中でのアセトアルデヒドを長時間にわたって結合することが目的である場合、またはタバコおよびアルコールの両者から生成したアセトアルデヒドを結合させることが目的である場合、より多い量が特に有利である。大量の有効物質は、特に、アセトアルデヒド結合化合物の味が問題とはならない胃の中で、用いることができる。その場合に、組成物の投与単位は、50〜500mgのアセトアルデヒド結合物質を含むことが好ましい。アセトアルデヒド結合物質の量は、好ましくは50〜300mg、最も好ましくは100〜200mgである。胃の中へシステインを放出する製剤は、典型的には、1個のカプセル当たり200〜500mgのアセトアルデヒド結合物質を含むことができる。
【0058】
本発明の好ましい態様では、本発明の製剤(特に口内で用いられる製剤)は、アセトアルデヒド結合化合物を、1〜50mg、より好ましくは5〜30mg、更により好ましくは5〜10mg、または1〜5mg程度、典型的に10〜20mg若しくは1〜20mg、場合によって15〜20mg含む。喫煙中に製剤がタバコ製品に取り付けられた状態で維持される場合には、喫煙開始時に口内に製剤を配する場合と比べて、物質の量をより多くすることが好ましい。
【0059】
上述の製剤に加えて、本発明の範囲には、タバコ製品と共に用いられ、喫煙時に、アセトアルデヒド結合物質を唾液中へ放出することができるその他の製剤および組成物が含まれる。例えば、WO2006/037848の特許明細書には、口の中で維持され、タバコ製品の使用の間に、アセトアルデヒド結合化合物を放出する組成物について記載されている。有効物質を含む組成物は、上述の公開された特許出願に記載されているように、例えば、濃縮したりおよび/もしくは乾燥したりならびに/またはタバコ製品、フィルターまたはホルダーに含浸させたりすることができる。
【0060】
特許出願WO2006/037848に記載されているように、含浸させたフィルターを、タバコ製品と別体として、例えば、タバコ製品に取り付けたり、タバコ製品のホルダーに配置したりすることもできる。
【0061】
これらの用途におけるアセトアルデヒド結合物質の量は、口内に維持される製剤よりも多いことが好ましい。アセトアルデヒド結合物質の量は、1つのタバコ製品またはフィルター若しくはホルダー当たり、5mgを越える量、好ましくは10mgを越える量、より好ましくは20mgを越える量、最も好ましくは30mgを越える量、更により好ましくは50mgを越える量であってよい。組成物が濃縮されており、および/若しくは乾燥されており、および/若しくはフィルター、タバコ製品またはホルダーの表面だけに含浸させている場合、より少ない量が好ましい。
【0062】
組成物は、有効物質に加えて、以下の組成物をを含むことができる。
1.薬学的に許容される希釈剤(フィラー、エクステンダー)、
2.糖および糖アルコール等の甘味料、
3.香味料、および
4.スリップ添加剤/滑沢剤。
【0063】
糖は、例えば、蔗糖、フルクトース若しくはグルコースまたはそれらの混合物を含むものであってよい。糖アルコールは、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルト若しくはキシリトールまたはそれらの混合物を含むものであってよい。どの添加剤も製剤内の他の成分と反応しないことが好ましい。甘過ぎないために、好ましい甘味料にはマンニトールが含まれるが、製剤におけるその量はきわめて多くなり得る。従って、それは、同時に希釈剤として機能する。
【0064】
香味料には、例えば、スペアミント、ペパーミント、メントール、柑橘類、ユーカリまたはアニシード、またはそれらの混合物を含むことができる。製剤は、口臭を防止する物質、例えば呼吸清涼剤および/もしくは虫歯防止剤として機能する物質、またはビタミンを含む製剤等の成分を含むことができる。
【0065】
製剤は、唾液分泌を向上させる物質を含むこともできる。もっとも、これらの添加剤は、アセトアルデヒド結合物質を唾液中に迅速に放出することを防止してはならない。本明細書において上述したように、製剤は、口内の粘膜の細胞にアセトアルデヒドが影響を及ぼす前に、アセトアルデヒドの本質的な量が唾液に結合するように、アセトアルデヒド結合物質を非常に有効に放出すべきである。
【0066】
本発明の好ましい実施形態では、製剤(例えば1つのタブレット)は、以下の物質:
アセトアルデヒド結合物質 1〜50mg、
希釈剤/甘味料 50〜750mg、
香味料 適量、
潤滑剤 5〜25mg(0.5〜3重量%)
を本質的に含むかまたは含んでなるものであってよい。
【0067】
製剤は、
アセトアルデヒド結合物質 1〜50mg、
マンニトール等の糖または糖アルコール 50〜750mg、
香味料 適量、
ステアリン酸マグネシウム 5〜25mg
を含むサッキング錠であってもよい。
【0068】
組成物は、粉状の物質を混合し、それをいずれか既知の方法によってサッキング錠に圧縮することによって調製することができる。アセトアルデヒド結合化合物の量を増加させる場合には、アセトアルデヒド結合物質の味を隠す必要があるため、希釈剤/甘味料および香味料の量を増加する場合もある。
【0069】
本発明のもう1つの好ましい方法により、製剤は、次の物質:
アセトアルデヒド結合物質 1〜50mg、
甘味料若しくは他の物質を含むガムベース 500〜1500mg、
香味料 適量、
潤滑剤 5〜30mg(0.5〜3重量%)
を本質的に含むかまたは含んでなるものであってよい。
【0070】
ガムベースは、薬用チューインガムに含むことができるものであって、天然または合成エラストマー、軟化剤、ワックスおよび脂質を含んでなる(Morjaria, Y. et al., Drug Delivery Systems & Sciences, vol. 4, No. 1, 2004)。生ゴムおよびいぶした天然ゴムを含む天然のガムベースは、FDAによって許可されている。しかしながら、今日のガムベースは、ほとんどが合成であって、スチレン‐ブタジエンゴム、ポリエチレンおよびポリ酢酸ビニルを含んでいる。ガムベースは、チューインガムの15〜40%を構成する。残部は、薬剤成分、糖、甘味料、軟化剤、香味料および着色剤からなる。チューインガムをベースとする薬物送達システム(drug delivery systems)の大部分は、常套の方法を用いて製造されている。もっとも、直接圧縮できる粉体ゴムは、薬用チューインガムの今日における代替物である。ファーマガム(pharmagum)は、圧縮可能な新しいガム系である。それは、ポリオールおよび/もしくは糖とガムベースとの混合物である。ファーマガムを含む製剤は、従来のタブレットプレスを用いることによって、ガム・タブレットへ圧縮することができる。製造方法は迅速で低コストである。甘味料を含む、製剤中のガムベースの量は、50〜500mg、好ましくは500〜1500mgである。
【0071】
ファーマガムSはラバーベースおよびソルビトールを含んでおり、ファーマガムMはラバーベース、マンニトールおよびイソマルトを含んでいる。
製剤は、
アセトアルデヒド結合物質 1〜50mg
ファーマガムS 500〜1500mg
香味料 適量
ステアリン酸マグネシウム 5〜30mg(0.5〜3重量%)
を含むチューインガムであってよい。
【0072】
組成物は、粉末の物質を混合し、それを咀嚼錠に圧縮して詰め込むことにより製造されている。
その製剤は、
アセトアルデヒド結合物質1〜50mg、
イオン化されていない高分子5〜25mg、
イオン化された高分子 2〜10mg、
香味料 適量、
潤滑剤 0.5〜3重量%
を含む口腔錠であってよい。
【0073】
イオン化されていない高分子には、例えば、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリエチレングリコール(PEG)を含んでいる。
イオン化するポリマーは、例えばカルボキシルメチルセルロースナトリウム(NaCMC)、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、キトサン、ポリカーボファイル(polycarbofile)(Noveon(登録商標))およびカルボマー(carbomer)(Capropol(登録商標))が含まれる。
【0074】
製剤は、以下の物質:
アセトアルデヒド結合物質1〜50mg、
希釈剤/甘味料50〜500mg、
香味料 適量、および
潤滑剤 0.5〜3重量%
を本質的に含むかまたは含んでなる舌下錠であってよい。
希釈剤には、例えば、ラクトース、リン酸カルシウム、スターチ、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースが含まれる。甘味料は、例えばマンニトールまたはキシリトールであってよい。
【0075】
本発明の好ましい実施態様によれば、本発明の製剤は、
− 多数の葉巻きまたはタバコ剤、
− 喫煙中に、唾液からのアセトアルデヒドに結合して、本質的に喫煙前のアセトアルデヒドのレベルへとすることができる量のアセトアルデヒド結合物質を含む多数の製剤
を含んでなるツールキットにて提供される。
製剤は、少なくとも1本の、場合によっては、1、2または3本のタバコまたは葉巻きを吸う間に、唾液からのアセトアルデヒドに結合することができることが好ましい。
【0076】
ツールキットは、葉巻きまたはタバコ用のタバコパッケージまたは箱に、製剤用のもう1つのパッケージまたは箱が取り付けられたものであってよい。葉巻きまたはタバコ、およびその製剤は、同じまたは別個のパッケージ若しくは箱の中に入れられていてもよい。2つのパッケージまたは箱は別体であってもよいし、連結されていてもよい。ツールキットは、葉巻きとタバコと同じかまたはより多数の製剤を本質的に含むことが好ましい。パッケージ内の葉巻きまたはタバコの数は、少なくとも10本、一般に少なくとも20本、場合によっては少なくとも30本、典型的には、20〜40本または20〜50本の葉巻きまたはタバコを含むことが好ましい。
【0077】
パッケージ内の葉巻きまたはタバコの数は、少なくとも10本、一般に少なくとも20本、場合によっては少なくとも30本、典型的には、20〜40本または20〜50本の葉巻きまたはタバコを含むことが好ましい。本発明のもう1つの好ましい実施態様では、製剤は、葉巻き、タバコ、ホルダーまたはパイプ等のタバコ製品に取り付けることができる。製剤は、噛むことのできるタブレット若しくはサッキング錠、口腔錠、舌下錠、キャンディー、パステル剤、医薬錠剤、チューインガム、カプセル、顆粒またはゲル等のいずれか好適な形態であってよい。製剤は、例えば、円形形状、楕円形形状、凸形状、釘形状、円筒形状、カプセル形状、環状または長方形形状などのいずれか好適な形状であってよい。
【0078】
本発明の更に好ましい実施態様によれば、製剤は、葉巻き、タバコ、ホルダーまたはパイプに対して、脱着可能に取り付けることができる。喫煙を始める個人は、例えば、手、歯またはその他の手段で、タバコ製品から製剤を取り外し、製剤を唾液に接触させた状態に留めるように、製剤を口内で、例えば、舌下で、または頬と歯茎(歯肉)との間で、噛み、吸い若しくは保持することができる。
【0079】
アセトアルデヒド結合物質の投与
喫煙の結果として唾液中に生成するアセトアルデヒドの含量は、喫煙に関して、製剤を、好ましくは同時に1種または2種の製剤を、口内、舌下、頬内、もしくは頬と歯茎との間に、配置して、例えば、システイン、またはシステインと本質的に同じ作用を有する他のアセトアルデヒド結合化合物を、連続しておよび有利に1本のタバコ製品が消費されるまで、好適な速度にて、好ましくは一定の速度にて、放出して、減少することができる。次のタバコ製品を開始する場合には、新しいアセトアルデヒド結合化合物が口内に設けられる。本発明の好ましい実施態様によれば、1本の葉巻き、タバコまたはパイプを吸う間の唾液アルデヒド含量を、タバコを吸う前のアセトアルデヒドのレベルへ低下させることもできる。
【0080】
アセトアルデヒド結合物質の使用は、新しいタバコ製品を開始するのと同じ回数で繰り返される。新しい葉巻き、タバコまたはパイプを吸い始める前に、口内に製剤を既に配置していることは好ましい。
【0081】
本発明の好ましい実施形態による製剤は、アセトアルデヒド結合物質を唾液に接触させた時点から、30分未満、および好ましくは15分未満以内の時間で、口内で優勢な条件下の唾液の中へアセトアルデヒド結合化合物を放出することができる。従って、アセトアルデヒド結合物質は、製剤が唾液に接触した時点から、0〜5分以内、より好ましくは0〜10分以内、最も好ましくは0〜15分以内で放出される。アセトアルデヒド結合物質の放出は、本質的に1本の葉巻きまたはタバコを吸う時間、即ち実際の喫煙時間およびそれより数分長い時間で、行われる。
【0082】
口内で長い時間作用する製剤
アルコールを飲むかまたは喫煙する間に、アセトアルデヒドを放出する物質を口内へ徐々に放出する組成物を用いることができ、それは特許出願WO02/36098に記載されている。「有効物質の延長された放出」は、物質が少なくとも30分間、好ましくは少なくとも120分間、最も好ましくは4時間以上の時間で放出されることを意味する。本発明の組成物を用いると、4〜8時間程度までの有効物質の放出時間を達成することができる。化合物は、口内の条件下で、1時間当たり15〜25mgの量で放出されることが好ましい。本発明の1種または2種の製剤を一度に口内に配置することができ、それらは、4〜10時間のインターバルで、最も好ましくは6〜8時間のインターバルで新しいものに交換することができる。
【0083】
胃の中で作用する製剤
「胃において局所的効果を有する持続型薬剤」とは、全体が単一体であるか、若しくは多重構造のタブレットであるか、若しくはカプセルであるか、若しくはそれ自体が顆粒状の形態であって、胃液によって湿らされた場合に、胃の粘膜に付着し、若しくは胃の内容物に浮遊するゲルを生成し、若しくは胃の中の滞留時間を長引かせる形状若しくは寸法を有しており、従って、胃の中への持続放出および胃における薬剤の局所的効果を可能とする製剤を意味する。例えば、胃に局所的に作用する持続型薬剤は、また液状製剤(混合物)であってよく、それは経口的に摂取され、ゲル状の物理的構造を有している。例えば、胃に局所的および長期的な効果がある製剤は、特許明細書WO02/36098に記載されている。
【0084】
胃の中で作用する製剤は、胃の中へ有効物質を持続的に放出することに寄与する無毒なキャリヤーを含むことが好ましい。持続的な放出とは、胃の条件下において少なくとも30分間、有効物質を放出することを意味する。有効物質は、0.5〜8時間、典型的には2〜6時間、通常は2〜4時間で放出される。
【0085】
本発明のいくつかの好ましい態様例によれば、4〜10時間のインターバルで、好ましくは6〜8時間のインターバルで、投与する製剤を更新することができる。
【0086】
胃の中で作用する組成物は、タブレット、カプセル、顆粒、パウダー、または顆粒若しくはパウダーを含むタブレット若しくはカプセルの形態を有する製剤の形態をとることができる。組成物は、単一体または複合ユニット製剤の形態、例えば、タブレット若しくはカプセル若しくは顆粒形態であってよい。個々の製剤の投与には、タブレット若しくはカプセルまたは好適な量の顆粒、または顆粒若しくはパウダーを含むタブレット若しくはカプセルを含むことができる。
【0087】
製剤は、少なくとも7mmの直径、好ましくは8〜15mmのの直径、およびより好ましくは11〜15mmの直径を有する形態を有することが好ましい。このことは、製剤が十分な時間で胃の中に留まって、有効物質の緩やかな放出を確保するために有用である。
製剤から胃の中へ放出される物質の量は、1時間当たりで、40〜80gであることが好ましい。
【0088】
製剤中においてキャリヤーは、胃の条件下で、有効物質の持続的な放出を提供することを目的とする。
本発明の好ましい実施態様によれば、組成物は、胃の条件下で、溶解しないかまたは溶解するとしてもわずかであるキャリヤーを含んでなる。別法として、水に不溶性のフィルムで組成物をコーティングすることができる。
【0089】
本発明のもう1つの実施態様によれば、キャリヤーは、胃の中で、胃の内容物に浮遊するゲルを生じさせることができる。
本発明の第3の実施態様によれば、組成物は、経口的に摂取され(経口の混合物)、ゲルの物理的形態を有する、液状製剤の形態をとることができる。
【0090】
本発明の第4の実施態様によれば、製剤は胃の粘膜に付着することができる。
本発明の好ましい実施態様によれば、組成物は、胃の条件下で溶解しないキャリヤーを含む。キャリヤーは、例えば、メタクリレートポリマー、例えば、Eudragit RS若しくはS、エチルセルロース等のポリマーであってよい。
【0091】
組成物は、1種又はそれ以上のアセトアルデヒド結合化合物、胃の中で溶解しないポリマー、およびフィラーを含んでなる群から選ばれる物質を含むことができる。
組成物は、1〜40重量%、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは10〜30重量%のアセトアルデヒド結合化合物を含むことが好ましい。典型的には、20〜25%の量である。
【0092】
組成物は、10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%、およびより好ましくは20〜30重量%のポリマーを含むことが好ましい。
組成物は、20〜70重量%、より好ましくは40〜60重量%、およびより好ましくは約50重量%のフィラーを含むことが好ましい。
【0093】
本発明の好ましい実施態様によれば、組成物は、胃内で溶解しないマトリックス顆粒を含む。
組成物は、例えば、
アセトアルデヒド結合物質 5〜40重量%(好ましくは25重量%)、
胃の中で溶解しないポリマー 10〜50重量%(好ましくは20〜30重量%)、
不活性フィラー 20〜70重量%(好ましくは40〜60重量%)、
エタノール 適量
を含み得る。
【0094】
胃の中で溶解しないポリマーは、メタクリレートポリマー(例えばEudragit RS若しくはS、またはエチルセルロース(EC))等の製薬産業において一般的に用いられるいずれかの添加剤であってよい。不活性フィラーは、例えば、リン酸水素二カルシウム、微結晶セルロース(MCC)または他の対応する非膨潤性物質であってよい。固体物質は、エタノールと混合され、湿潤化される。湿らされた混合物は、製薬産業において一般的に用いられる方法および装置を用いて粒状化される。乾燥された顆粒は、それ自体で使用することもできるし、カプセル等の中に投与単位で分配することもできる。
【0095】
本発明の好ましい実施態様によれば、組成物は、胃の中で溶解しないマトリックス・タブレットを含む。組成物は、例えば、
アセトアルデヒド結合物質5〜40%(好ましくは25重量%)、
胃の中で溶解しないポリマー 10〜50重量%(好ましくは20〜30重量%)、
不活性フィラー20〜70%(好ましくは20〜50重量%)
を含むことができる。
【0096】
胃の中で溶解しないポリマーは、メタクリレートポリマー(例えばEudragit RS若しくはS、またはエチルセルロース(EC))等の製薬産業において一般的に用いられるいずれかの添加剤であってよい。不活性フィラーは、例えば、リン酸水素二カルシウム、微結晶セルロース(MCC)または他の対応する非膨潤性物質であってよい。固体物質は混合され、混合物は、例えば、エタノールまたは親水性ポリマー溶液を用いて顆粒状化される。顆粒は、製薬産業においてよく知られている方法および装置によって、タブレットへと圧縮される。有効物質の放出は、タブレット・マトリックスに形成された細孔(pores)からの水溶性有効物質の拡散に基づいて行われる。
【0097】
本発明の好ましい実施態様によれば、有効物質が口内へ放出されないように、組成物を保護することができる。顆粒、タブレットおよびカプセルは水溶性フィルムでコーティングすることができ、それは、アセトアルデヒド結合化合物の味を有効にカバーしたり、隠したりすることもできる。
【0098】
本発明のもう1つの好ましい実施態様によれば、組成物は、1種又はそれ以上のアセトアルデヒド結合化合物、水溶性フィラー、および製剤をコーティングして多孔質フィルムを形成する物質を含む群から選ばれる物質を含む。
【0099】
組成物は、1〜50重量%、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは20〜50重量%、更に好ましくは20〜30重量%のアセトアルデヒド結合化合物を含むことが好ましい。典型的には、20〜25%の量である。
組成物は、10〜80重量%、好ましくは40〜80重量%、およびより好ましくは50〜60重量%のフィラーを含むことが好ましい。
【0100】
組成物は、エチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース等の、多孔質フィルムを形成する物質を含むことが好ましい。ECのHPMCに対する割合は、3/2〜7/3であってよい。
【0101】
製剤(好ましくはタブレット)は、胃の中で溶解しないフィルムでコーティングされる。組成物は、例えば、
アセトアルデヒド結合物質 1〜50重量%(好ましくは20〜50重量%)、
水溶液フィラー 50〜80重量%(好ましくは30〜60重量%)、
多孔質フィルムを形成する物質 適量
を含むことができる。
【0102】
水溶性フィラーは、例えば、ラクトース、または、製薬産業において一般的に使用されるその他の水溶性フィラーであってよい。固体物質は混合され、混合物は、製薬産業においてよく知られている方法および装置によって、タブレットへと圧縮される。多孔質フィルムは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等の水溶性ポリマー、およびエチルセルロース(EC)等の水に不溶性のポリマーから製造することができる。フィルム形成物質の相対的な割合は、例えばECとHPMCとの場合には、EC2〜5部とHPMC1〜2部を含むことができる。胃の条件下において、水溶性高分子は溶解し、水に不溶性のポリマーには細孔が形成される。有効物質の放出は、フィルムに形成された細孔を通して、水溶性の有効物質の拡散に基づいて行われる。フィルムを形成する物質は、アセトアルデヒド結合化合物の味を有効にカバーしたり、隠したりすることもできる。
【0103】
本発明の好ましい実施態様によれば、製剤は、HPMCフィルムでコーティングすることもできるし、硬質のゼラチンまたはHMPCカプセルまたはその他の製剤に入れることもできる。
製剤は、胃の中でアセトアルデヒドに結合するための物質を含むこともできる。場合により、その製剤は、HPMCカプセルまたはゼラチン、特に硬質ゼラチン等のカプセルの形態をとることもできる。
【0104】
例えば、アルコールを飲むことに関連して、アセトアルデヒドは大腸の中でも形成されるが、特に、有効物質またはその一部が大腸の中に至るまで放出されないように、組成物を保護することは好ましい。好適な製剤は、例えば特許明細書WO02/36098に記載されている。
【0105】
これらの製剤における有用な腸溶性のポリマーには、例えば、ヒドロキシプロピル・メチルセルロース・フタレート等級、ヒドロキシプロピルメチルセルロース・スクシネート等級、またはヒドロキシプロピルメチルセルロース・アセテート・スクシネート(HPMC−AS)等級等、若しくは、Aqoat(登録商標)、特にAqoat AS-HF(登録商標)の商品名で販売されている物質、Aquateric(登録商標)の商品名で販売されているセルロースアセテートフタレート(CAP)等級、および酸メチル誘導体、メタクリル酸メチルメタクリレート共重合体(Eudragit-S(登録商標)の商品名で販売されている等級が特に有利である)等が含まれる。
好適な製剤は、例えば、特許出願PCT/FI2007/050287およびPCT/FI2007/050288に、記載されている。
【0106】
タバコ製品に取り付けられる要素
本発明によれば、アセトアルデヒドに結合することができる化合物は、タバコ製品に取り付けることが意図されている要素の中に入れられる物質の中に、何らかの手段によって、取り付けられる。
【0107】
要素がタバコ製品の吸い口にしっかりと取り付けられていると、タバコの煙は要素の中を移動し、アセトアルデヒドに結合し得る化合物を含む要素内の材料は、タバコの煙からのアセトアルデヒドを結合させる。これによって、口内および唾液中において、アセトアルデヒド含量が有害なレベルへ上昇することを防止することができる。アセトアルデヒドに結合することができる化合物は水相でアセトアルデヒドに結合するので、その結合反応を生じさせるために、喫煙を開始する際には、アセトアルデヒド結合化合物を含む物質は十分に湿潤化されている必要がある。
【0108】
本発明の好ましい実施形態の目的は、タバコ製品に取り付けられた要素の、有害なアセトアルデヒドに結合する能力が、製品を貯蔵する間でも保持される手段を提供することである。
本発明の好ましい実施態様によれば、結合するアセトアルデヒドに有能な化合物は、その材料を備えたフィルターが使用されるに至るまで、材料の水分含量を十分に高く保持することを目的として、多孔質材料の中へ水溶液として吸収される。この十分に高い水分含量は、材料中のアセトアルデヒド結合化合物を、活性な状態に、即ち、健康に無害となるようにアセトアルデヒドを結合させることができる状態に留めることを意味する。
【0109】
本発明の好ましい実施態様によれば、タバコ製品に取り付けられている要素に含まれている材料において、湿分は、防湿層(moisture barrier)によって維持されている。タバコ製品に取り付けられている要素は、防湿層によって部分的にまたは全体的に保護されている。
本発明のもう1つの好ましい実施態様によれば、アセトアルデヒド結合化合物を含むフィルター材料は、タバコ製品に取り付けられている要素の内部に入れることができる容器に詰められている。容器は、部分的にまたは完全に防湿層によって保護することができる。
【0110】
本発明のアルデヒドに結合することができるフィルターによって、タバコ、葉巻き、パイプまたはその他のタバコ製品の煙に含まれているアルデヒドの、少なくとも60%、典型的には少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、そして最も好ましくは少なくとも95%を結合することができる。
【0111】
アセトアルデヒドを結合させるフィルターの使用は簡単である。フィルター材料を含む要素は、市販されている口金またはパイプと同様にして、タバコ製品に取り付けられている。本発明の好ましい実施態様によれば、要素は、防湿層によって全体的にまたは部分的に保護されている。要素端から防湿層が取り除かれるか、または、防湿層として機能するパッケージから要素が取り出される。フィルターは、直ちに使用する準備ができている。実施形態において、要素に含まれるフィルター材料が、十分な量のアセトアルデヒド結合化合物を含む場合、要素は、タバコ製品の2回以上の使用の間(喫煙回数)に用いることができる。
【0112】
もう1つの好ましい実施形態によれば、アセトアルデヒドを結合させるフィルター材料は、使用前に、口金またはホルダー等の要素に加えられる。容器は、好ましくは防湿層によって部分的にまたは全体的に保護される。使用前に、防湿層が取り除かれ、タバコ製品に取り付けられている要素の中に容器が挿入される。
【0113】
ここで、図6〜9を参照して、本発明の手段について説明する。
図6は、タバコ製品に取り付けられている本発明の要素1およびタバコ製品2を示している。図6Aおよび6Bにおいて要素1とタバコ製品2とは分離されており、図6Cにおいて、要素1とタバコ製品2とは相互に取り付けられている。図6Aにおいて、要素1およびタバコ製品2は、上方から観察されている。図6Bおよび6Cは、側方から観察した断面図を示している。タバコ製品に取り付けられることが意図されている要素1は、両端が開口して、内部は本質的に中空である円柱状空間13を有しており、要素はタバコ製品2の吸い口12にしっかりと適応することができる。タバコ製品に取り付けられると、要素1の両端は開いており、喫煙中に煙は要素の中を通って流れることができる。要素1はパイプまたはフィルターと称することもできる。図2に示されるタバコ製品は従来のフィルター14をも有している。
【0114】
タバコ製品に取り付けられることが意図されている要素1の内側の空間13には多孔質材料3が入れられている。多孔質材料3には、少なくとも1種のアセトアルデヒド結合化合物を含む水溶液が吸収されているか、又は少なくとも1種のアルデヒド結合性化合物が、その他の何らかの方法で取り付けられている。アセトアルデヒド結合化合物を含む材料も、本明細書においてフィルター材料と称することができる。タバコ製品の吸い口12に適応することができる要素1の端部には、材料3が存在しないスペース15がある。要素1をタバコ製品2に取り付ける際に、端部16の嵌め合わせ領域がタバコ製品の端部12を覆うように、タバコ製品の吸い口12を要素1の端部のスペース15の内に嵌め合わせる。
【0115】
要素のフィルタ濾過部分が形成された後では、材料3は湿潤化されているべきである。材料は、20〜500μl、より好ましくは50〜250μlの水によって湿潤化されることが好ましく、または、アセトアルデヒド結合化合物が水溶液に含まれる場合には、アセトアルデヒド結合物質を含む水溶液によって湿潤化される。材料を湿潤化させるために必要な水溶液の量は、当然のことながら、要素(ホルダー)の長さおよび材料の量に依存する。要素1における材料3の水分含量は、喫煙の開始前に、開かれたり、取り除かれたりし得る、防湿層4、5によって本質的に変化しないようにしておくことができる。
【0116】
本発明のもう1つの好ましい実施態様によれば、フィルター材料は使用前に湿潤化される。その場合に、フィルター材料中のアセトアルデヒド結合化合物は、乾燥した場合であっても、アセトアルデヒドと反応することができるその特性を保持し得ることが確保されるべきである。本発明の好ましい実施態様によれば、アセトアルデヒド結合化合物は、水溶液状態でフィルター材料に結合され、タバコ製品およびそれに取り付けられているフィルター材料を有する要素が使用されるようになるまで、フィルター材料の湿気は本質的に変化しないように保持される。
【0117】
図7は、本発明の手段による防湿層4および5を示している。防湿層はアルミニウム箔等の本質的に気密性の材料から形成されている。防湿層4および5は、要素1の両端を覆っている。
【0118】
図8に示されている本発明の好ましい実施態様によれば、要素1にはアタッチメント8および9が設けられており、アタッチメントは、適所にある場合に、防湿層4および5を貫通する突出部10および11を有している。要素1がアタッチメント8および9の間にて、相互にしっかりと連結することができるように、アタッチメントはタバコ製品2の吸い口12に設けることができる。突出部10および11によって防湿層4および5を貫通して開口させた後では、煙はタバコ製品2および要素1の中を流れることができる。
【0119】
図9は、要素1をパッケージにする本発明の好ましい実施態様における包装シート16を示している。要素1は、形成材料、例えばプラスチックで形成された、包装シート16の凹部6に詰められている。凹部は、要素1の形状に適合する形状を有することが好ましい。凹部6は、防湿層17によって覆うことができ、それによって要素1は凹部6の気密スペースに配される。要素1は凹部6から押し出すことができ、それによって防湿層17が裂かれるか、又は防湿層17を要素から引き離すことができる。同じ包装シート16は、各凹部6の中にいくつかの要素1がパックされていてよい。
【0120】
多孔質材料3は、そこにアセトアルデヒド結合化合物が吸収されているか、又は何らかの手段で取り付けられており、できるだけ大きな表面が煙に接触するように、要素1の内部に入れられている。図7は、本発明の好ましい実施態様におけるパッケージングの方法を示している。実施形態によれば、材料7はロールの形態に巻かれて、要素1の内部にパックされている。その場合に、煙は材料7のわずかに離れている層18どうしの間を流れることができ、材料の中のアセトアルデヒド結合化合物は煙の中のアセトアルデヒドに接触することができる。本発明のもう1つの好ましい実施態様によれば、セルロースは、要素1の内部に詰める形態の物質としてパックすることができる。
【0121】
典型的には、タバコ製品に取り付けることができる要素は、パイプ/口金の長尺の形状を有している。
要素1の内部には、容器19があることが好ましく、その内部には多孔質材料3およびアセトアルデヒド結合化合物がパックされている。容器は、プラスチックと同様の材料で形成されていることが好ましい。容器は、それが要素1の内側に適合するような形状および寸法を有することが好ましい。容器の外側寸法は、例えば6〜10mm×30〜40mm、一般に8mm×35mmであってよい。
【0122】
本発明の好ましい実施態様によれば、容器19はパックされ、個々に部分的に又は全体的に防湿層によって保護される。容器は、喫煙を開始する前に、それはタバコ製品に取り付けられるべき、パイプまたは口金等の要素1に挿入することができる。
【0123】
多孔質材料は、例えばセルロースを含むことができる。セルロースは、例えば、セルロース綿又はフィルターペーパー又は同様に作用するその他の材料であってよい。1つのパイプ、またはその内部の容器当たりの材料の量は、50〜200mg、好ましくは70〜150mg、典型的には90〜120mgであってよい。多孔質材料の量は、口金若しくはパイプまたはその内部の容器の寸法、ならびにどれだけの量のアセトアルデヒド結合化合物が材料に付着することになっているかなどに依存する。
【0124】
1つのパイプ又はその内側の容器に用いられる水溶液の量は、好ましくは20〜400μL、典型的には50〜250μLである。水の量は、アセトアルデヒド結合化合物を活性に保つために十分な量である必要がある。
【0125】
タバコ製品に取り付けられることが意図されている、パイプまたはその内部の容器等の要素は、アセトアルデヒド結合化合物を、少なくとも1つのタバコ製品の煙の中に含まれているアセトアルデヒドを結合させるのに十分な量で含むことが好ましい。この量は、好ましくは0.5mg〜100mg、典型的に10〜50mgである。特にパイプまたは容器等の要素が2回以上使用される場合、より多い量が好ましい。
【0126】
アセトアルデヒド結合化合物が、タバコの煙の中に発生する他のアルデヒドをも結合し得るということは注目されるべきである。また、本発明の製剤、フィルターおよびホルダーはアセトアルデヒド以外のアルデヒドを結合することにも適している。
【0127】
「アルデヒド」は、鎖状、分岐状または環状構造を有する炭化水素鎖であってよいC1〜C7アルデヒドを意味する。それらは、アルデヒド基に加えて、その他の反応性基や、原子間に二重結合又は三重結合をも有することができる。低分子量のアルデヒドには、ホルムアルデヒド(C1)、アセトアルデヒド(C2)、およびアクロレイン(C3)およびクロトンアルデヒド(C4)があり、後の2つは二重結合を有している。これらの中で、アセトアルデヒドは特に重要である。本明細書においてアルデヒドは、タバコ製品の煙に発生するアルデヒドを意味する。
【0128】
アセトアルデヒド結合化合物を含む水溶液は、それらの酸分が調節されておよび/もしくはそれらに塩が加えられて緩衝化された水溶液を意味する。タバコの煙からのアセトアルデヒドの結合およびそれらのフィルタリングは、例えば、水溶液に少量の塩を加えて、その酸分をわずかにアルカリ性側若しくは酸性側に調節するか又は緩衝化することによって向上させることができる。
【0129】
以下、アセトアルデヒドについて説明するが、特に、タバコの煙の中に発生する他のアルデヒドを表わす。
本発明によれば、化学結合によって、アルデヒド、特にアセトアルデヒドから得られる化合物は、器官に無害である。
【0130】
実施例
実施例1
以下の成分:
システイン 20mg、
マンニトール(または同等の糖若しくは糖アルコール) 750mg、
香味料 適量、
ステアリン酸マグネシウム 10mg
を含むサッキング錠を調製した。
粉末状の物質を混合し、サッキング錠へ圧縮して、組成物を調製した。
【0131】
実施例2
システイン1.25mg、2.5mg、5mgおよび10mgをそれぞれ含むこと以外は、実施例1と同様のにしてサッキング錠を調製した。
【0132】
実施例3
以下の成分:
システイン 20mg、
ファーマガムS、M若しくはC 1000mg、
香味料 適量、
ステアリン酸マグネシウム 20mg
を含むチューインガムを調製した。
粉末状の物質を混合し、チューインガムへ圧縮して、組成物を調製した。500mgのファーマガムS若しくはMおよび20mgのステアリン酸マグネシウムを含むもう1つの組成物を調製した。
【0133】
実施例4
以下の成分:
システイン 20mg、
メトセル(Methocel) 25mg、
カルボポール(Carbopol) 7mg、
香味料 適量
ステアリン酸マグネシウム 2mg
を含む口腔錠を調製した。
粉末状の物質を混合し、口腔錠へ圧縮して、組成物を調製した。
【0134】
実施例5
以下の成分:
システイン 10mg、
マンニトール 250mg、
香味料 適量、
ステアリン酸マグネシウム 5mg
を含む舌下錠を調製した。
粉末状の物質を混合し、舌下錠へ圧縮して、組成物を調製した。
【0135】
実施例6
2名の個人が、実施例1で製造された製剤をテストした。喫煙の開始前と、喫煙開始後の5分後、即ち、個人が喫煙を開始してから0分後、5分後、10分後、および15分後に、個人の唾液アセトアルデヒド含有量を測定した。各個人は、それぞれ1本のタバコを吸い、偽薬タブレットを吸収した際に、同時に、彼らの口から唾液を採取した。喫煙は5分間続いた。もう1つのテストにおいて、個人は20mgのシステインを含むサッキング錠を用いて実験を繰り返した。
【0136】
喫煙前は、各個人の唾液アセトアルデヒド含有量は非常に低かった。第2の試験において、アセトアルデヒド含有量は、最初の5分経過後、既に測定不能なレベルへ効果していた。
【0137】
実施例7
(年齢29(+−)2.8歳の)5人の喫煙者が、(間にクリーニング時間をおいて)3種のタバコ剤を吸うという実験に参加した。各タバコを(5分間で)を吸いながら、個人は、偽薬、L−システインをそれぞれ1.25mg、2.5mg、5mg、10mgまたは20mg含む目隠しテスト用のタブレットを吸った。喫煙を開始してから、0分後、5分後、10分後および20分後に唾液試料をガスクロマトグラフィーによって分析した。
【0138】
L−システインタブレット(5mg、10mgおよび20mg)は、タバコから発生したアセトアルデヒドのすべてを唾液から除去した(図4を参照)。喫煙直後における平均唾液アセトアルデヒド含有量は、偽薬および5mg、10mgおよび20mgのL−システインタブレットについてそれぞれ、191.2(+−)48.5μM、0μM、0μM、0μMであった。
【0139】
研究は、5mgのL−システインであっても、溶けるタブレットに供給されている場合には、喫煙中の唾液内において、発癌性のアセトアルデヒドを完全に不活性化したことを示した。偽薬と対比して、1.25mgのL−システインタブレットはアセトアルデヒドの量を約3分の2減らした。
【0140】
実施例8
5mgのL−システインを含むサッキング錠、チューインガム、口腔錠および舌下錠を製造した。
【0141】
実施例9
湿潤化されたシステインフィルター
以下の材料:
タバコ:
Marlboro Red, Amer Tupakka
North State Plain, BAT
を試験に使用した。
Marlboro Redのフィルター全体を除去するか、又は、いくつかの試験では元々のフィルターの2〜3mmをタバコに残した。
【0142】
パイプ
試験では、Denicotea (www.denicotea.de) の直ぐに使用できる市販のパイプ/口金を使用した。パイプ/口金の中で、内部にフィルター材料がパックされている、プラスチック製の円筒形状の「容器」を使用した。(ニコチンの除去が意図されていた)容器の元の内容物は除去され、試験に用いられる材料と取り替えられた。容器の外部寸法は、直径8mmおよび長さ35mmであった。
【0143】
フィルター材料
セルロース綿(c.100mg)、フィルターペーパー(Whattman)、
市販フィルター: Smart(輸入業者:Altadia Finland Oy)およびVentti(Philip Morris Finland Oy)
システイン
システインは、30〜180mgのL−システイン/1mLで蒸留水に溶解させた。製造業者:Fluka 30089
【0144】
試験の準備:
プラスチック・シリンダーの中にパックされたフィルター材料を、水−システイン溶液(50−250μL)によって湿潤化させ、このようにして形成したフィルター容器をDenicoteaパイプに入れた。その後、個人は、口金に設けられたタバコを吸った。喫煙中、個人から唾液試料を採取した。唾液中のアセトアルデヒドは、ガスクロマトグラフィー(Perkin-Elmer、HS40、headspace Gas Chromatograph)によって分析した。
【0145】
結果:
2つのブランドのタバコについて、同様の結果が得られた。
- 水−システイン溶液によって湿潤化させたフィルター材料は、唾液からほぼすべて(95%)のアセトアルデヒドを除去した(図5)。
- 唾液から測定されたアセトアルデヒド含有量は、システイン・フィルターを用いることに関して、癌原性のアセトアルデヒドについて設定されている国際的な制限値100μMよりも著しく低い値へ低下した。
- 濾過性はシステインの量に依存した;図5は、喫煙中に、唾液アセトアルデヒド含有量に対する湿潤化したシステイン・フィルターの影響を示している。
【0146】
結果は、以下の事項を示している。
- フィルター材料単独では、アセトアルデヒドをろ過しない。
- 水によって湿潤化されたフィルターは、アセトアルデヒドをろ過しない。
- 固体形態のフィルターおよびシステインはアセトアルデヒドをろ過しない。
- 結果は、種々のブランドのタバコについて、フィルターのある場合とない場合とで一般化することができる。
- 市販のフィルターは水を結合しない;従って、それらはフィルター材料に適していない。
- システイン・フィルターを、タバコの元のフィルターと共に用いることは好ましくない。その場合に、煙は、2つのフィルターを通常のようにおよび容易に流れない。システイン・フィルターの材料が十分に多孔質である場合には、元のフィルターの小さい部分を残すことができる。
【0147】
実施例10
個人は、体重の1キロ当たり0.8gの量のアルコールを摂取した。その後、個人は、100mgのN-アセチルシステインを含む口腔錠を上唇の下側に取り付けた。それはアセチルシステインを徐々に放出した。唾液アセトアルデヒド・レベルは、20分間隔で、320分まで測定した。結果を、図10に示す。アセチルシステイン・タブレットを用いたケースのアセトアルデヒド含有量は、偽薬を用いたケースのアセトアルデヒド含有量よりも全体的に低かった。
【0148】
実施例11
個人は、タバコまたは葉巻きを吸いながら、同時に、それらの口内に、少なくとも0mg、5mgおよび10mgのシステインを含むチューインガムを維持させられた。口内にシステイン・チューインガムを入れて、喫煙を5回、10回、15回、20回および30回と繰り返す。個人は、新しいタバコを吸い始める度に、タバコを所望することに関する所見について報告する。テストの間、個人は、アセトアルデヒド結合製剤を伴わずに、タバコ剤または葉巻きを吸わない。個人は、1年間にわたって、2週間間隔で、喫煙習慣について報告することになる。彼らが喫煙を開始しようとすると、その度に、システイン・チューインガムを使用し始めるように助言される。
【0149】
実施例12
アセトアルデヒド結合ホルダーおよびシステイン製剤を口内で同時に用いて、請求項(実施例)11に記載の試験配置を繰り返す。個人は、実施例11と東洋の喫煙習慣について報告することになる。
【0150】
実施例13
胃の中でアセトアルデヒドを膨らますための非分解性マトリクスタブレット
相対的な組成は以下のものを含む。
組成物 25部、
Eudragit RS 20〜30部、
微結晶セルロース 20〜50部
【0151】
100〜200mgのシステインを含むタブレットは、製薬産業において常套の通りに用いられる装置によって、粉末混合物から圧縮される。タブレットは、胃の中で分解しない単一体のマトリックス・タブレットである。持続的方法にて、有効物質が放出され、胃液の中に溶解され、アセトアルデヒドの持続的な結合効果が得られる。Eudragit RSは、水に不溶性の結合性物質であって、対応する方法で作用する医薬品添加物、例えばエチルセルロース等と置換することができる。
【0152】
実施例14
胃の中でアセトアルデヒドと結合するフィルムコーティングタブレット
胃の中へアセトアルデヒド結合化合物を持続的な方法で放出する医薬製剤も、多孔質フィルムでコーティングされて、タブレットとして製造することができる。
組成物のコアは以下の物質を含む。
システイン (20〜50部) 30部、
ラクトース 50〜80部、
ステアリン酸マグネシウム 1〜2部、
滑石 1〜2部。
【0153】
粉末状の物質をタブレットへ圧縮し、製薬産業において一般的に使用されている技術を用いて、フィルムでコーティングされる。例えば、
エチルセルロース 2〜5部、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC) 1〜2部
エタノール 95部。
エチルセルロースは胃腸管内では溶解しないが、HPMCは胃腸管内では溶解して、フィルムに細孔が形成され、タブレットからシステインを持続的な方法で放出することを可能にする。
【0154】
実施例15
胃の中へアセトアルデヒド結合化合物を持続的に放出するための非分解性の顆粒
相対的な組成は以下の通りである。例えば、
システイン 25部、
Eudragit RS又はエチルセルロース 20〜30部、
微結晶セルロース 40〜60部、
エタノール 適量。
製薬産業において一般的に用いられる装置を用いて、粉末状の物質を混合し、エタノールで湿潤化した。湿潤化した混合物は、いずれか既知の方法によって、粒状化され乾燥される。必要ならば、システインの味をカバーするために、生成したマトリックス顆粒を、低分子量のヒドロキシプロピルメチルセルロースフィルムでコーティングすることができる。システイン(100〜200mg)を1回分含む十分な数の顆粒は、ゼラチンカプセルへ分配するか、または例えば、微結晶セルロースを用いてタブレットへ圧縮することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タバコおよび/もしくはアルコール依存症を軽減させるために用いられるアセトアルデヒド結合化合物。
【請求項2】
a)タバコまたはアルコールへの依存性を有する個人に、タバコ製品および/もしくはアルコールを摂取するのと同時に使用されるべき、アセトアルデヒドと結合し得る化合物を含む製剤を与えること、ならびに/または
b)タバコまたはアルコールに依存性を有する個人に、喫煙中および/もしくはアルコール摂取中または喫煙および/もしくはアルコール摂取に関連して、アセトアルデヒドに結合することができる化合物を含む部品または要素が取り付けられているタバコ製品を与えること、および
c)個人にタバコを吸わせおよび/もしくはアルコールを飲ませて、タバコ製品若しくはアルコールから生じるアセトアルデヒドをアセトアルデヒド結合化合物に結合させることによって、ハルマンと称される化合物が生成することを防止すること、ならびに
d)前記段階(a)若しくは(b)またはその両段階および(c)を、個人のタバコおよび/もしくは飲酒依存症が軽減され、そして喫煙若しくは飲酒を止めるようになる程度まで繰り返して行うこと
を特徴とする、タバコおよび/もしくはアルコール依存症を軽減するための請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
タバコ製品は、タバコ、葉巻きまたはパイプを意味することを特徴とする請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
使用は、個人に、口またはその他のいずれかの消化器系において、タバコまたはアルコールによって生成するアセトアルデヒドによってもたらされる発癌性およびその他の健康上有害性について説明する段階を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
口内に維持される製剤が、少なくとも1種のタバコ製品を消費する間に、アセトアルデヒド結合化合物を放出することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
口内に維持される製剤が、少なくとも5分間、アセトアルデヒド結合化合物を放出することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
口内に維持される製剤が、1〜20mgのアセトアルデヒド結合化合物を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
口内に維持される製剤が、アセトアルデヒド結合化合物を少なくとも1時間30分の間放出する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
口内に維持される製剤が、少なくとも50mgのアセトアルデヒド結合化合物を含むことを特徴とする請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
個人に、胃の中へアセトアルデヒド結合化合物を少なくとも30分の間で放出する製剤であって、アルコールを摂取することに関して又は血液中にアルコールが存在する間に消費されるべき製剤が与えられることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
2〜4時間の間隔で個人に製剤が与えられることを特徴とする請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
個人が無酸症若しくはヘリコバクター感染であるか、または個人が胃酸の分泌を低減する薬を使用することを特徴とする請求項10または11に記載の化合物。
【請求項13】
部品または要素が0.5〜100mgのアセトアルデヒド結合化合物を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
アセトアルデヒド結合化合物が、1種またはそれ以上の遊離アミノ基およびスルフヒドリル基またはスルホン酸基を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の化合物。
【請求項15】
アセトアルデヒド結合化合物が、式(I):
[式中、R1は、水素または炭素原子1〜4個を有するアシル基であり、
R2はスルフヒドリル基またはスルホン酸基であり、
nは1、2、3 または4のいずれかである。]
で示される化合物1もしくはそれ以上の化合物、またはその化合物の塩を含むことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の化合物。
【請求項16】
アセトアルデヒド結合化合物が、L−システイン、D−システイン、システイン酸、システイン−グリシン、シスチン、トレオ−β−フェニル-DL−システイン、エリトロ−β−フェニル-DL−システイン、β−テトラメチレン-DL−システイン、メチオニン、セリン、D−ペニシラミン若しくはそのN末端ジペプチド、セミカルバジド、グルタチオン、還元グルタチオン、β−メルカプトエチルアミン、DL−ホモシステイン、DL−ホモシステイン酸、N−アセチルシステイン、L−システイニル−L−バリン、β−β−テトラメチレン−DL−システイン、システイニルグリシン、メルカプトエチルグリシン、システイン塩酸塩、チアミン塩酸塩、メタ重亜硫酸ナトリウム、アルギニン、グリシン、リシン、塩化アンモニウム、1,4−ジチオトレイトール、メルカプタン、またはこれらの化合物のいずれかの塩を含む群から選ばれることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の化合物。
【請求項17】
アセトアルデヒド結合化合物が、L−システイン若しくはD−システイン、アセチルシステイン、N−ペニシラミン、若しくはL−システイン若しくはD−システインと同様にして機能するシステインの誘導体、またはこれらの化合物の塩を含む群から選ばれることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の化合物。
【請求項18】
方法は、個人がタバコを止めるためにアセトアルデヒド結合化合物を使用する段階、または個人がタバコを止めるためにニコチン代替物を使用する段階を含んでなることを特徴とする、タバコおよび/もしくはアルコールへの依存性を軽減することが意図された、請求項1〜17のいずれかに記載の化合物。
【請求項19】
個人が喫煙を控えることができない時に、アセトアルデヒド結合化合物を含む製剤、および、タバコ製品に取り付けられており、喫煙の際にアセトアルデヒドに結合することができる化合物を含む要素を使用すること、ならびに個人が喫煙を控えることができる時に、ニコチン代替物を使用することを特徴とする、タバコおよび/もしくはアルコールへの依存性を軽減することが意図された、請求項1〜18のいずれかに記載の化合物。
【請求項20】
タバコおよび/もしくはアルコールへの依存性を軽減させるための製剤若しくは部品若しくは要素であって、タバコ製品に取り付けられており、アセトアルデヒドを結合させることができる製剤若しくは部品若しくは要素を製造するための、アセトアルデヒド結合化合物の使用。
【請求項21】
タバコおよび/もしくはアルコールへの依存性を軽減させるための方法であって、
a)タバコおよび/もしくはアルコールに依存性を有する個人に、タバコ製品および/もしくはアルコールを摂取するのと同時に、アセトアルデヒドに結合することができる化合物を含む製剤を与えること、ならびに/または
b)タバコおよび/もしくはアルコールに依存性を有する個人に、喫煙中および/もしくは飲酒中にアセトアルデヒドを結合させることができる化合物を含む部品若しくは要素が取り付けられたタバコ製品を与えること、ならびに、
c)個人にタバコを吸わせおよび/もしくはアルコールを飲ませて、タバコ製品若しくはアルコールから生成するアセトアルデヒドをアセトアルデヒド結合化合物に結合させることによって、ハルマンと称される物質の生成を防止すること、ならびに
d)段階(a)および(b)またはその両段階および段階(c)を、個人のタバコおよび/もしくは飲酒依存症が軽減され、そして喫煙若しくは飲酒を止めるようになる程度まで繰り返して行うこと
を含んでなる方法。
【請求項1】
タバコおよび/もしくはアルコール依存症を軽減させるために用いられるアセトアルデヒド結合化合物。
【請求項2】
a)タバコまたはアルコールへの依存性を有する個人に、タバコ製品および/もしくはアルコールを摂取するのと同時に使用されるべき、アセトアルデヒドと結合し得る化合物を含む製剤を与えること、ならびに/または
b)タバコまたはアルコールに依存性を有する個人に、喫煙中および/もしくはアルコール摂取中または喫煙および/もしくはアルコール摂取に関連して、アセトアルデヒドに結合することができる化合物を含む部品または要素が取り付けられているタバコ製品を与えること、および
c)個人にタバコを吸わせおよび/もしくはアルコールを飲ませて、タバコ製品若しくはアルコールから生じるアセトアルデヒドをアセトアルデヒド結合化合物に結合させることによって、ハルマンと称される化合物が生成することを防止すること、ならびに
d)前記段階(a)若しくは(b)またはその両段階および(c)を、個人のタバコおよび/もしくは飲酒依存症が軽減され、そして喫煙若しくは飲酒を止めるようになる程度まで繰り返して行うこと
を特徴とする、タバコおよび/もしくはアルコール依存症を軽減するための請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
タバコ製品は、タバコ、葉巻きまたはパイプを意味することを特徴とする請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
使用は、個人に、口またはその他のいずれかの消化器系において、タバコまたはアルコールによって生成するアセトアルデヒドによってもたらされる発癌性およびその他の健康上有害性について説明する段階を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
口内に維持される製剤が、少なくとも1種のタバコ製品を消費する間に、アセトアルデヒド結合化合物を放出することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
口内に維持される製剤が、少なくとも5分間、アセトアルデヒド結合化合物を放出することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
口内に維持される製剤が、1〜20mgのアセトアルデヒド結合化合物を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
口内に維持される製剤が、アセトアルデヒド結合化合物を少なくとも1時間30分の間放出する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
口内に維持される製剤が、少なくとも50mgのアセトアルデヒド結合化合物を含むことを特徴とする請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
個人に、胃の中へアセトアルデヒド結合化合物を少なくとも30分の間で放出する製剤であって、アルコールを摂取することに関して又は血液中にアルコールが存在する間に消費されるべき製剤が与えられることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
2〜4時間の間隔で個人に製剤が与えられることを特徴とする請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
個人が無酸症若しくはヘリコバクター感染であるか、または個人が胃酸の分泌を低減する薬を使用することを特徴とする請求項10または11に記載の化合物。
【請求項13】
部品または要素が0.5〜100mgのアセトアルデヒド結合化合物を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
アセトアルデヒド結合化合物が、1種またはそれ以上の遊離アミノ基およびスルフヒドリル基またはスルホン酸基を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の化合物。
【請求項15】
アセトアルデヒド結合化合物が、式(I):
[式中、R1は、水素または炭素原子1〜4個を有するアシル基であり、
R2はスルフヒドリル基またはスルホン酸基であり、
nは1、2、3 または4のいずれかである。]
で示される化合物1もしくはそれ以上の化合物、またはその化合物の塩を含むことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の化合物。
【請求項16】
アセトアルデヒド結合化合物が、L−システイン、D−システイン、システイン酸、システイン−グリシン、シスチン、トレオ−β−フェニル-DL−システイン、エリトロ−β−フェニル-DL−システイン、β−テトラメチレン-DL−システイン、メチオニン、セリン、D−ペニシラミン若しくはそのN末端ジペプチド、セミカルバジド、グルタチオン、還元グルタチオン、β−メルカプトエチルアミン、DL−ホモシステイン、DL−ホモシステイン酸、N−アセチルシステイン、L−システイニル−L−バリン、β−β−テトラメチレン−DL−システイン、システイニルグリシン、メルカプトエチルグリシン、システイン塩酸塩、チアミン塩酸塩、メタ重亜硫酸ナトリウム、アルギニン、グリシン、リシン、塩化アンモニウム、1,4−ジチオトレイトール、メルカプタン、またはこれらの化合物のいずれかの塩を含む群から選ばれることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の化合物。
【請求項17】
アセトアルデヒド結合化合物が、L−システイン若しくはD−システイン、アセチルシステイン、N−ペニシラミン、若しくはL−システイン若しくはD−システインと同様にして機能するシステインの誘導体、またはこれらの化合物の塩を含む群から選ばれることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の化合物。
【請求項18】
方法は、個人がタバコを止めるためにアセトアルデヒド結合化合物を使用する段階、または個人がタバコを止めるためにニコチン代替物を使用する段階を含んでなることを特徴とする、タバコおよび/もしくはアルコールへの依存性を軽減することが意図された、請求項1〜17のいずれかに記載の化合物。
【請求項19】
個人が喫煙を控えることができない時に、アセトアルデヒド結合化合物を含む製剤、および、タバコ製品に取り付けられており、喫煙の際にアセトアルデヒドに結合することができる化合物を含む要素を使用すること、ならびに個人が喫煙を控えることができる時に、ニコチン代替物を使用することを特徴とする、タバコおよび/もしくはアルコールへの依存性を軽減することが意図された、請求項1〜18のいずれかに記載の化合物。
【請求項20】
タバコおよび/もしくはアルコールへの依存性を軽減させるための製剤若しくは部品若しくは要素であって、タバコ製品に取り付けられており、アセトアルデヒドを結合させることができる製剤若しくは部品若しくは要素を製造するための、アセトアルデヒド結合化合物の使用。
【請求項21】
タバコおよび/もしくはアルコールへの依存性を軽減させるための方法であって、
a)タバコおよび/もしくはアルコールに依存性を有する個人に、タバコ製品および/もしくはアルコールを摂取するのと同時に、アセトアルデヒドに結合することができる化合物を含む製剤を与えること、ならびに/または
b)タバコおよび/もしくはアルコールに依存性を有する個人に、喫煙中および/もしくは飲酒中にアセトアルデヒドを結合させることができる化合物を含む部品若しくは要素が取り付けられたタバコ製品を与えること、ならびに、
c)個人にタバコを吸わせおよび/もしくはアルコールを飲ませて、タバコ製品若しくはアルコールから生成するアセトアルデヒドをアセトアルデヒド結合化合物に結合させることによって、ハルマンと称される物質の生成を防止すること、ならびに
d)段階(a)および(b)またはその両段階および段階(c)を、個人のタバコおよび/もしくは飲酒依存症が軽減され、そして喫煙若しくは飲酒を止めるようになる程度まで繰り返して行うこと
を含んでなる方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2010−539144(P2010−539144A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524538(P2010−524538)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【国際出願番号】PCT/FI2008/050507
【国際公開番号】WO2009/034232
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(501391733)
【氏名又は名称原語表記】BIOHIT OYJ
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【国際出願番号】PCT/FI2008/050507
【国際公開番号】WO2009/034232
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(501391733)
【氏名又は名称原語表記】BIOHIT OYJ
【Fターム(参考)】
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