説明

タンクシステム

【課題】高圧系ユニットの組替え時に配管内に残留する高圧水素を簡易に短時間で抜く構造を有するタンクシステムを提供する。
【解決手段】タンクシステム1は、充填配管3内に残存する高圧ガスをタンクシステム1内のレセプタクル5の弁体及びべスペルシートに発生させた間隙から抜くことを可能とし、供給配管4内に残存する高圧ガスをタンクシステム1内のリリーフ弁9の弁体及びリリーフ弁本体に発生させた間隙から抜くことを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンクシステムに係り、特に、車両内に装備され、内部に設けられた弁体及びレセプタクル本体に接続されたべスペルシートが密着することで逆止弁を形成するレセプタクルと、レセプタクルに接続されて高圧ガスを貯蔵するタンク内へ充填する充填配管と、内部に設けられた弁体及びリリーフ弁本体に設けられた流入口に連通する接触面とが密着することで逆止弁を形成するリリーフ弁と、リリーフ弁に接続されてタンクからガス消費装置へと高圧ガスを供給する供給配管と、を備えるタンクシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の動力源となる、例えば水素などのガスは車両内のタンクに貯蔵される。このタンクシステムは、レセプタクルに接続し、高圧ガスを貯蔵するタンク内へガスを充填する充填配管と、リリーフ弁に接続し、タンクからガス消費装置へと高圧ガスを供給する供給配管と、を備える。また、充填配管及び供給配管には、配管の漏れを検出する高圧リークチェックポートをそれぞれ備える。さらに、供給配管には、配管内の高圧ガスが過剰な圧力となった場合にガスをリリーフ弁から開放する集合減圧弁を有する。
【0003】
図4に、このタンクシステムで用いられている従来のレセプタクルを断面で示す。レセプタクル105は、レセプタクル本体120、べスペルシート121、弁体122、フィルタ123、及びバネ124から構成される。弁体122の一端にはレセプタクル本体120に接続されたバネ124が取付いている。そして、弁体122はこのバネ124により高圧ガスが流れる方向と逆の方向に弾性的に押圧されている。弁体122の他端は凸状の球面体になっている。また、レセプタクル本体120に接続された樹脂製のべスペルシート121には弁体122の凸状の球面体と略同様の曲率を有する凹状の球面体が設けられ、弁体122の凸状の球面体に対向する。この弁体122の凸状の球面体とべスペルシート121の凹状の球面体とは弁体122がバネ124に押圧されることで相互に密着して逆止弁を形成する。レセプタクル本体120の流入口125から流入したガスは、図4中に矢印で示すように、フィルタ123を通過し、べスペルシート121に設けられた開口を通過して弁体122の凸状の球面体に面する。そして、このガスが所定の圧力に達すると、弁体122に取り付いたバネ124を高圧ガスが流れる方向に押圧して変位させ、弁体122の凸状の球面体をべスペルシート121の凹状の球面体から離間させる。これにより、高圧ガスがレセプタクル105の流出口126を経由して充填配管に流入する。
【0004】
図5に、このタンクシステムで用いられている従来のリリーフ弁を断面で示す。リリーフ弁109は、リリーフ弁本体130、弁体132、及びバネ134から構成される。弁体132の一端にはリリーフ弁本体130に接続されたバネ134が取付いている。そして、弁体132はこのバネ134により高圧ガスが流れる方向と逆の方向に弾性的に押圧されている。弁体132の他端は円盤状の面になっており、リリーフ弁本体130に設けられた高圧ガス流路139からガスが流入するのを塞ぐように接触面140に対向する。この弁体132の他端の面は弁体132がバネ134に押圧されることで流路を密着して塞ぎ逆止弁を形成する。供給配管に接続されたリリーフ弁本体130の流入口135から流入したガスは、図5中に矢印で示すように、弁体132とリリーフ弁本体130の間隙に到達し、所定の圧力に達すると弁体132に取り付いたバネ134を押圧して変位させ、弁体132をリリーフ弁本体130から離間させる。これにより、リリーフ弁本体130に設けられた流出口136から高圧ガスが大気開放される。
【0005】
このタンクシステムの高圧系ユニットを組替える際などに、タンク、充填配管、供給配管などに高圧ガスが残留している場合には、高圧系ユニット内のガスを抜く機構がないため、車両を走り込ませてガスを抜く場合がある。
【0006】
一方、特許文献1には、気体貯蔵システムが開示されている。ここでは、各バルブを閉鎖して、充填口、および逆止弁を伴う気体供給用のバルブを備えたリークチェックポートから点検用の気体を供給することで気体の漏れ点検を行うことが記載されている。
【0007】
一方、特許文献2には、ガスボンベにおける交換時期報知器が開示されている。ここでは、ガスボンベのガス取出口に接続している圧力計付き減圧弁と流量調整弁との間に圧力降下検出スイッチを配置し、ガスボンベの残圧が所定の圧力よりも降下したことを圧力降下検出スイッチが検出すると、警報回路中に配置した警報器が発動し、交換時期を報知することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−372197号公報
【特許文献2】特開平2−43600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のタンクシステムには、高圧系ユニット内に残留した高圧ガスを抜く機構が装備されていないため、タンクシステムの高圧系ユニットを組替える作業が手間取っていた。
【0010】
本願の目的は、かかる課題を解決し、高圧系ユニットの組替え時に配管内に残留する高圧水素を簡易に短時間で抜く構造を有するタンクシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係るタンクシステムは、車両内に装備され、内部に設けられた弁体及びレセプタクル本体に接続されたべスペルシートが密着することで逆止弁を形成するレセプタクルと、レセプタクルに接続されて高圧ガスを貯蔵するタンク内へ充填する充填配管と、内部に設けられた弁体及びリリーフ弁本体に設けられた流入口に連通する接触面とが密着することで逆止弁を形成するリリーフ弁と、リリーフ弁に接続されてタンクからガス消費装置へと高圧ガスを供給する供給配管と、を備えるタンクシステムにおいて、レセプタクルは、弁体のガスの流れる方向についての位置を調整する第1の位置調整手段を備え、第1の位置調整手段により弁体を移動させ、弁体とべスペルシートとの間に間隙を設けて充填配管内に残存する高圧ガスを抜くことを可能とし、リリーフ弁は、弁体のガスの流れる方向について位置を調整する第2の位置調整手段を備え、第2の位置調整手段により弁体を移動させ、弁体とリリーフ弁本体との間に間隙を設けて供給配管内に残存する高圧ガスを抜くことを可能としたことを特徴とする。
【0012】
上記構成により、タンクシステムは、充填配管に接続するレセプタクルの第1の位置調整手段により弁体の位置を調整して弁体及びべスペルシートに間隙を発生させ、また、供給配管に接続するリリーフ弁の第2の位置調整手段により弁体の位置を調整して弁体及びリリーフ弁本体に間隙を発生させることで、高圧系ユニットの組替え時などに残留する高圧水素を簡易に短時間で抜くことができる。
【0013】
また、タンクシステムは、レセプタクルが高圧リークチェックポートの上流に設けられ、リリーフ弁が高圧リークチェックポート及び集合減圧弁の下流に設けられることが好ましい。これにより、配管内の高圧ガスを抜くという機能を高圧リークチェックポートの機能とは別に設けることができる。
【0014】
また、タンクシステムは、レセプタクル本体が、第1レセプタクル本体及び第2レセプタクル本体から構成され、第1の位置調整手段が、ガスの流れる方向と逆の方向に弁体を弾性的に押圧する第1の押圧手段と、第1レセプタクル本体と第2レセプタクル本体との相対的な位置を固定する第1の固定手段と、を備え、リリーフ弁のリリーフ弁本体が、第1リリーフ弁本体と、第2リリーフ弁本体から構成され、第2の位置調整手段が、ガスの流れる方向と逆の方向に弁体を弾性的に押圧する第2の押圧手段と、第1リリーフ弁本体と第2リリーフ弁本体との相対的な位置を固定する第2の固定手段と、を備えることが好ましい。これにより、レセプタクルは、第1の押圧手段と第1の固定手段により、第1レセプタクル本体と第2レセプタクル本体との相対的な位置が固定され、リリーフ弁は、第2の押圧手段と第2の固定手段により、第1リリーフ弁本体と第2リリーフ弁本体との相対的な位置が固定される。
【0015】
また、タンクシステムは、第1の固定手段が、ガスの流入口を有し、べスペルシートが接続される第1のレセプタクル本体と、ガスの流出口を有し、第1の押圧手段が接続されて弁体をべスペルシート側に押し込む第2レセプタクル本体と、第1レセプタクル本体と第2レセプタクル本体とをそれぞれネジ部により係合して連結する継手管と、から構成され、継手管と、第1のレセプタクル本体又は第2のレセプタクル本体とを相互に回転させて第1の押圧手段を弾性的に伸ばし、弁体の位置をべスペルシート側に移動させて固定し、弁体とべスペルシートとに隙間を発生させて充填配管内に残存する高圧ガスを抜くことを可能とすることが好ましい。これにより、従来のレセプタクル本体を第1のレセプタクル本体及び第2のレセプタクル本体に分割して継手管により係合させるだけで簡易に充填配管内などの高圧系ユニットに残留する高圧ガスを抜くことができる。
【0016】
さらに、タンクシステムは、第2の固定手段が、ガスの流入口を有し、流入口に連通する接触面を有する第1のリリーフ弁本体と、ガスの流出口を有し、第2の押圧手段が接続されて弁体を第1のリリーフ弁本体の流入口に連通する接触面側に押し込み、第1のリリーフ弁本体とネジ部により係合する第2のリリーフ弁本体とから構成され、第1のリリーフ弁本体と第2のリリーフ弁本体とを相互に回転させて第2の押圧手段を弾性的に伸ばし、弁体の位置を第1のリリーフ弁本体の接触面側に移動させて固定し、弁体と第1のリリーフ弁本体の接触面とに隙間を発生させて供給配管内に残存する高圧ガスを抜くことを可能とすることが好ましい。これにより、従来のリリーフ弁を第1のリリーフ弁と第2のリリーフ弁とに分割して相互に係合させるだけで簡易に供給配管内などの高圧系ユニットに残留する高圧ガスを抜くことができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明に係るタンクシステムによれば、高圧系ユニットの組替え時に配管内に残留する高圧水素を簡易に短時間で抜く構造を有するタンクシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るタンクシステムの1つの実施形態の概略構成を示す説明図である。
【図2】タンクシステムのレセプタクルを示す断面図である。
【図3】タンクシステムのリリーフ弁を示す断面図である。
【図4】従来のタンクシステムのレセプタクルを示す断面図である。
【図5】従来のタンクシステムのリリーフ弁を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を用いて本発明に係るタンクシステムの実施形態につき、詳細に説明する。
【0020】
図1に、車両内に装備される、例えば、水素などのガスを貯蔵するタンクシステムを示す。タンクシステム1は、タンク2a,2b、タンク2a,2bのそれぞれに接続される充填配管3及び供給配管4、レセプタクル5、RRマニホールド6、高圧リークチェックポート7,11、FRマニホールド8、リリーフ弁9、及び集合減圧弁10から構成される。本実施形態では、タンク2は、2個のタンク2a,2bから構成されるが、その個数はこれに限らない。
【0021】
充填配管3は、レセプタクル5から高圧ガスを貯蔵するタンク2a,2b内へガスを充填する。また、供給配管4は、タンク2a,2bからガス消費装置(図示せず)へと高圧ガスを供給する。充填配管3に設けられたRRマニホールド6は、2個のタンク2a,2bへの充填配管3を分岐し、供給配管4に設けられたFRマニホールド8は、2個のタンク2a,2bからの充填配管3を集合させる。充填配管3に設けられた高圧リークチェックポート7,及び供給配管4に設けられた高圧リークチェックポート11では、装置の取付け後に、それぞれ充填配管3及び供給配管4内のガス漏れが検査される。さらに、集合減圧弁10は、ガス消費装置(図示せず)へ供給される高圧ガスの圧力が過剰になった場合に、インジェクタに影響が生じないようにガス圧を調整する。なお、配管内の圧力は、略70MPaである。
【0022】
図2に、タンクシステム1のレセプタクル5を示す。レセプタクル5は、弁体22と、ガスの流れる方向と逆の方向に弁体22を弾性的に押圧するバネ24からなる第1押圧手段と、2個に分割された第1レセプタクル本体20a及び第2レセプタクル本体20bと、第1レセプタクル本体20a及び第2レセプタクル本体20bとそれぞれネジ部26により係合する継手管25からなる第1固定手段とから構成される第1位置調整手段を有し、弁体22の位置を調整することにより高圧系ユニットの充填配管3内などに残存する高圧ガスを抜く。また、レセプタクル5はべスペルシート21及びフィルタ23を含む。この弁体22には、バネ24の端部を支持してガイドするバネ押さえガイド27、及び弁体22のがたつきを押さえてガイドするがたつき防止ガイド28が設けられる。なお、本実施形態では、第1の押圧手段はバネ24とするが、弾性的に挙動する材料であればこれに限らない。
【0023】
弁体22の一端には第2レセプタクル本体20bに固定されたバネ24が取付いている。そして、弁体22はこのバネ24により高圧ガスが流れる方向と逆の方向に弾性的に押圧されている。弁体22の他端は凸状の球面体になっている。また、第1レセプタクル本体20aに固定された樹脂製のべスペルシート21には弁体22の凸状の球面体と略同様の曲率を有する凹状の球面体が設けられ、弁体22の凸状の球面体に対向する。この弁体22の凸状の球面体とべスペルシート21の凹状の球面体とは弁体22がバネ24に押圧されることで相互に密着して逆止弁を形成する。
【0024】
第1レセプタクル本体20aの流入口12から流入したガスは、図2中に矢印で示すように、フィルタ23を通過し、べスペルシート21に設けられた開口を通過して弁体22の凸状の球面体に面する。そして、このガスが所定の圧力に達すると、弁体22に取り付いたバネ24を高圧ガスが流れる方向に押圧して変位させ、弁体22の凸状の球面体をべスペルシート21の凹状の球面体から離間させる。これにより、高圧ガスがレセプタクル5の流出口13を経由して充填配管に流入する。
【0025】
図2に示すように、この第1レセプタクル本体20aと第2レセプタクル本体20bとは、管状の継手管25の内側に設けられた左右のネジ部26にそれぞれ係合する。そして、第1レセプタクル本体20aと第2レセプタクル本体20bとは、継手管25の内部に設けられたダイアフラム41に突き当てられる。この第1レセプタクル本体20aと第2レセプタクル本体20bとの位置関係において、レセプタクル5が上述した逆止弁の機能を発揮する。すなわち、ガスが所定の圧力に達すると弁体22の凸状の球面体がべスペルシート21の凹状の球面体から離間する。
【0026】
高圧系ユニットの組替え時などには、弁体22の位置を移動させることで、弁体22の凸状の球面体とべスペルシート21の凹状の球面体との間にガスが抜ける隙間を発生させる。
【0027】
すなわち、継手管25に対して第1レセプタクル本体20aを回転させることで第1レセプタクル本体20aを図2において左方向に移動させる。また、継手管25に対して第2レセプタクル本体20bを回転させることで第2レセプタクル本体20bを図2において右方向に移動させる。さらに、第1レセプタクル本体20a及び第2レセプタクル本体20bのネジを逆ネジとし、継手管25に対して第2レセプタクル本体20b継手管25を回転させることで第1レセプタクル本体20aを左方向に、第2レセプタクル本体20bを右方向に同時に移動させることもできる。このように、継手管25と、第1レセプタクル本体20a又は第2のレセプタクル本体20bとを相互に回転させてバネ24を弾性的に伸ばす。そして、弁体22の位置をべスペルシート21側に移動させて固定する。これにより、ベスペルシート21の凹状の球面体と弁体22の凸状の球面体との間に隙間が発生する。そして、流出口13から流入口12に向かって高圧系ユニットの充填配管3内などに残存する高圧ガスを抜くことができる。
【0028】
図3に、タンクシステム1のリリーフ弁を示す。リリーフ弁9は、弁体32と、ガスの流れる方向と逆の方向に弁体32を弾性的に押圧するバネ34からなる第2押圧手段と、第1リリーフ弁本体30aと第2リーフ弁本体30bとからなる第2固定手段とから構成される第2位置調整手段を有し、弁体32の位置を調整することにより高圧系ユニットの供給配管4内などに残存する高圧ガスを抜く。なお、本実施形態では、第2の押圧手段はバネ34とするが、弾性的に挙動する材料であればこれに限らない。
【0029】
弁体32の一端には第2リーフ弁本体30bに接続されたバネ34が取付いている。そして、弁体32はこのバネ34により高圧ガスが流れる方向と逆の方向に弾性的に押圧されている。弁体32の他端は円盤状の面になっており、第1リリーフ弁本体30aに設けられた高圧ガス流路39からガス流入するのを塞ぐように接触面40に対向する。この弁体32の他端の面は弁体32がバネ34に押圧されることで流路を密着して塞ぎ逆止弁を形成する。
【0030】
供給配管に接続された第1リリーフ弁本体30aの流入口37から流入したガスは、図3中に矢印で示すように、弁体32と第1リリーフ弁本体30aとの間隙に到達し、所定の圧力に達すると弁体32に取り付いたバネ34を押圧して変位させ、弁体32を第1リリーフ弁本体30aから離間させる。これにより、第2リーフ弁本体30に設けられた流出口36から高圧ガスが大気開放される。
【0031】
図3に示すように、この第1リリーフ弁本体30aの内部側、及び第2リーフ弁本体30bの外部側には、それぞれネジ部36が設けられて相互に係合する。そして、弁体32と第1リリーフ弁本体30aの接触面40とが接触した状態で、リリーフ弁9が上述した逆止弁の機能を発揮する。すなわち、ガスが所定の圧力に達すると弁体32の円盤状の面が第1リリーフ弁本体30aの接触面40から離間する。
【0032】
高圧系ユニットの組替え時などには、第1リリーフ弁本体30aと第2リーフ弁本体30bとにより弁体32の位置を移動させることで弁体32の円盤状の面と第1リリーフ弁本体30aの接触面40との間にガスが抜ける隙間を発生させる。
【0033】
すなわち、第1リリーフ弁本体30aと第2のリリーフ弁本体30bとを相互に回転させてバネ34を弾性的に伸ばす。そして、弁体32の位置を第1のリリーフ弁本体30aの接触面40側に移動させて固定する。これにより、弁体32の円盤状の面と第1リリーフ弁本体30aの接触面40との間に隙間が発生する。そして、流出口38から流入口37に向かって高圧系ユニットの供給配管4内などに残存する高圧ガスを抜くことができる。
【0034】
本タンクシステム1のレセプタクル5は、高圧リークチェックポート7の上流にあり、本タンクシステム1のリリーフ弁9は高圧リークチェックポート11及び集合減圧弁10の下流にある。これにより、充填配管3及び供給配管4内の高圧ガスを抜くという機能を高圧リークチェックポート7,11の機能とは別に設けることができる。
【符号の説明】
【0035】
1 タンクシステム、2a,2b タンク、3 充填配管、4 供給配管、5,105
レセプタクル、6 RRマニホールド、7,11 高圧リークチェックポート、8 FRマニホールド、9,109 リリーフ弁、10 集合減圧弁、12,37,125,135 流入口、13,38,126,136 流出口、20a 第1レセプタクル本体,20b 第2レセプタクル本体,21,121 べスペルシート、22,32,122,132 弁体、23,123 フィルタ、24,34,124,134 バネ、25 継手管、26 ネジ部,27 バネ押さえガイド、28 がたつき防止ガイド、30a 第1リリーフ弁本体,30b 第2リーフ弁本体,36 ネジ部、39,139 高圧ガス流路、40,140 接触面、41 ダイアフラム、120 レセプタクル本体、130 リリーフ弁本体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内に装備され、内部に設けられた弁体及びレセプタクル本体に接続されたべスペルシートが密着することで逆止弁を形成するレセプタクルと、レセプタクルに接続されて高圧ガスを貯蔵するタンク内へ充填する充填配管と、内部に設けられた弁体及びリリーフ弁本体に設けられた流入口に連通する接触面とが密着することで逆止弁を形成するリリーフ弁と、リリーフ弁に接続されてタンクからガス消費装置へと高圧ガスを供給する供給配管と、を備えるタンクシステムにおいて、
レセプタクルは、弁体のガスの流れる方向についての位置を調整する第1の位置調整手段を備え、第1の位置調整手段により弁体を移動させ、弁体とべスペルシートとの間に間隙を設けて充填配管内に残存する高圧ガスを抜くことを可能とし、
リリーフ弁は、弁体のガスの流れる方向について位置を調整する第2の位置調整手段を備え、第2の位置調整手段により弁体を移動させ、弁体とリリーフ弁本体との間に間隙を設けて供給配管内に残存する高圧ガスを抜くことを可能とすることを特徴とするタンクシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のタンクシステムであって、レセプタクルは高圧リークチェックポートの上流に設けられ、リリーフ弁は高圧リークチェックポート及び集合減圧弁の下流に設けられることを特徴とするタンクシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のタンクシステムであって、レセプタクル本体は、第1レセプタクル本体及び第2レセプタクル本体から構成され、第1の位置調整手段は、ガスの流れる方向と逆の方向に弁体を弾性的に押圧する第1の押圧手段と、第1レセプタクル本体と第2レセプタクル本体との相対的な位置を固定する第1の固定手段と、を備え、
リリーフ弁のリリーフ弁本体は、第1リリーフ弁本体と、第2リリーフ弁本体から構成され、第2の位置調整手段は、ガスの流れる方向と逆の方向に弁体を弾性的に押圧する第2の押圧手段と、第1リリーフ弁本体と第2リリーフ弁本体との相対的な位置を固定する第2の固定手段と、を備えることを特徴とするタンクシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のタンクシステムであって、第1の固定手段は、ガスの流入口を有し、べスペルシートが接続される第1のレセプタクル本体と、ガスの流出口を有し、第1の押圧手段が接続されて弁体をべスペルシート側に押し込む第2レセプタクル本体と、第1レセプタクル本体と第2レセプタクル本体とをそれぞれネジ部により係合して連結する継手管と、から構成され、継手管と、第1のレセプタクル本体又は第2のレセプタクル本体とを相互に回転させて第1の押圧手段を弾性的に伸ばし、弁体の位置をべスペルシート側に移動させて固定し、弁体とべスペルシートとに隙間を発生させて充填配管内に残存する高圧ガスを抜くことを可能とすることを特徴とするタンクシステム。
【請求項5】
請求項3に記載のタンクシステムであって、第2の固定手段は、ガスの流入口を有し、流入口に連通する接触面を有する第1のリリーフ弁本体と、ガスの流出口を有し、第2の押圧手段が接続されて弁体を第1のリリーフ弁本体の流入口に連通する接触面側に押し込み、第1のリリーフ弁本体とネジ部により係合する第2のリリーフ弁本体とから構成され、第1のリリーフ弁本体と第2のリリーフ弁本体とを相互に回転させて第2の押圧手段を弾性的に伸ばし、弁体の位置を第1のリリーフ弁本体の接触面側に移動させて固定し、弁体と第1のリリーフ弁本体の接触面とに隙間を発生させて供給配管内に残存する高圧ガスを抜くことを可能とすることを特徴とするタンクシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−27160(P2011−27160A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−172662(P2009−172662)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】