説明

タービン

【課題】混合損失の更なる低減を図り、タービン効率を向上させることを課題とする。
【解決手段】回転自在に支持されたロータ及び前記ロータの周囲に設けられたステータとのうち一方に設けられ、前記一方側から他方側に向けて径方向に延在する翼59と翼59の径方向先端部において周方向に延在するシュラウド51とを有する翼体50と、前記他方に設けられ、周方向に延在すると共に、シュラウド51を隙間Gを介して収容し且つ翼体50に対して相対回転する収容凹体11と、を備え、翼59に沿って流れる主流Mから漏れた漏流Lが隙間Gに流れるタービン1であって、シュラウド59のうち、収容凹体11に対向する周面53Cと、周面53Cよりも漏流Lの下流において主流M側に形成された後縁端部56との間には、周面53Cに沿って流れる漏流Lを周面53Cから後縁端部56まで沿うように案内する案内曲面57が形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、発電プラント、化学プラント、ガスプラント、製鉄所、船舶等に用いられるタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、蒸気タービンの一種として、ケーシングと、ケーシングの内部に回転自在に設けられた軸体と、ケーシングの内周部に固定配置された複数の静翼と、これら複数の静翼の下流側において軸体に放射状に設けられた複数の動翼とを備えたものがある。このような蒸気タービンのうち衝動タービンの場合は、蒸気の圧力エネルギーを静翼によって速度エネルギーに変換し、この速度エネルギーを動翼によって回転エネルギー(機械エネルギー)に変換している。また、反動タービンの場合は、動翼内でも圧力エネルギーが速度エネルギーに変換され、蒸気が噴出する反動力により回転エネルギー(機械エネルギー)に変換される。
【0003】
この種の蒸気タービンでは、動翼の先端部と、動翼を囲繞して蒸気の流路を形成するケーシングとの間に隙間が形成され、また、静翼の先端部と軸体との間にも隙間が形成されている。これら隙間には、主流上流側から下流側に向けて漏流(漏洩蒸気)が流れるが、この漏流が主流下流側において主流と合流すると、主流の流れを乱して損失(以下、「混合損失」という。)を生じさせ、タービン効率を低下させてしまう。
【0004】
下記特許文献1には、上述した隙間のうち漏流の流路出口側において、漏流を案内する案内板をシュラウドに取り付けて、動翼から流出した主流の方向に漏流の方向を一致させる構成が提案されている。このような構成により、漏流と主流との合流の際に発生する主流の乱れを抑制し、混合損失を低減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−321721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術においては、上述した隙間の下流側において、主流を攪拌する漏流の渦が形成されて混合損失を生じさせてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、混合損失の更なる低減を図り、タービン効率を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係るタービンは、回転自在に支持されたロータと、前記ロータの周囲に設けられたステータと、前記ロータと前記ステータとのうち一方に設けられ、前記一方側から他方側に向けて径方向に延在する翼と前記翼の径方向先端部において周方向に延在するシュラウドとを有する翼体と、前記ロータと前記ステータとのうち他方に設けられ、周方向に延在すると共に、前記シュラウドを隙間を介して収容し且つ前記翼体に対して相対回転する収容凹体とを備え、前記翼に沿って流れる主流から漏れた漏流が前記隙間に流れるタービンであって、前記シュラウドのうち、前記収容凹体に対向する周面と、前記周面よりも前記漏流の下流において前記主流側に形成された後縁端部との間には、前記周面に沿って流れる漏流を前記周面から前記後縁端部まで沿うように案内する案内曲面が形成されていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、周面と後縁端部との間に形成された案内曲面が、周面に沿って流れる漏流を周面から後縁端部まで沿うように案内するので、漏流が後縁縁部から主流側に流出することで、翼体と収容凹体との隙間と、主流流路との境域において主流の上流側から下流側に向かう渦(以下、順渦という。)が形成される。
仮に、案内曲面を備えずに後縁端部と周面とが角部を介して連続していると、この角部において、周面に沿って流れていた漏流が剥離し、順渦とは逆方向に流れる逆渦が形成されてしまう。この逆渦は、上記隙間と主流流路との境域において主流に逆流し、また、シュラウドの後縁において上記隙間に主流を引き込むので、主流を攪拌してしまう。
一方、上記構成によって形成される順渦は、上記隙間と主流流路との境域において主流に逆流せず、また、シュラウドの後縁において上記隙間に主流を引き込まないので、主流が攪拌されない。
従って、混合損失の発生を抑制することができ、タービン効率を向上させることができる。
【0010】
また、前記後縁端部は、回転軸方向に延在するアキシャルフィンとされていることを特徴とする。
この構成によれば、後縁端部が回転軸方向に延在するアキシャルフィンとされているので、後縁端部に案内された漏流の径方向速度成分が減殺される。これにより、主流の径方向速度成分と漏流の径方向速度成分との差分が小さくなる。従って、漏流を主流に滑らかに合流させることができるので、混合損失をさらに低下させることができる。
【0011】
また、前記案内曲面において前記収容凹部に対する前記シュラウドの相対回転方向とは逆方向に案内する案内通路が形成され、前記案内通路は、前記周面側において前記漏流を流入させる流入部と前記後縁端部側において前記漏流を流出させる流出部とが、前記相対回転方向とは逆方向にずらされていることを特徴とする。
この構成によれば、収容凹部に対するシュラウドの相対回転方向とは逆方向に案内する案内通路が形成されているので、相対回転方向に流れていた漏流の周方向速度成分に相対回転方向とは逆方向の周方向速度成分が付与されることとなり、漏流の周方向速度成分と主流の周方向速度成分との差分を小さくすることができる。従って、漏流を主流に滑らかに合流させることができるので、混合損失をさらに低下させることができる。
【0012】
また、前記案内通路は、溝状に形成されていることを特徴とする。
また、前記案内通路は、前記案内曲面の法線方向に突出する突壁で形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、比較的に簡単に案内通路を形成することができる。
【0013】
また、前記案内曲面は、周方向に交差する断面の断面輪郭が円弧状に形成されていることを特徴とする。
また、前記案内曲面は、周方向に交差する断面の断面輪郭が楕円状に形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、比較的に簡単に案内曲面を形成することができる。
【0014】
また、前記案内曲面は、少なくとも前記翼の表面よりも凹凸状に形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、案内曲面が凹凸状に形成されているので、案内曲面に沿って流れる漏流が乱流化する。これにより、案内曲面に対する漏流の付着性を向上させることができ、漏流が案内曲面から剥離し難くなる。これにより、シュラウドの後縁端部まで、より確実に漏流を案内することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、混合損失の更なる低減を図ることができ、タービン効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第一実施形態に係る蒸気タービン1を示す概略構成断面図である。
【図2】図1における要部Iを示す要部拡大断面図である。
【図3】蒸気タービン1の作用説明図であって周方向に交差する断面の要部拡大図である。
【図4】蒸気タービン1の作用説明図であって要部拡大断面斜視図である。
【図5】蒸気タービン1における主流速度Vと漏流速度vとを示すベクトル線図である。
【図6】蒸気タービン1の比較例01の要部拡大断面図である。
【図7】蒸気タービン1の変形例1Aの要部拡大断面図である。
【図8】本発明の第二実施形態に係る蒸気タービン2の要部拡大断面図である。
【図9】蒸気タービン2の要部拡大断面斜視図である。
【図10】蒸気タービン2における主流速度Vと漏流速度vとを示すベクトル線図である。
【図11】蒸気タービン2の変形例2Aの要部拡大断面図である。
【図12】本発明の第三実施形態に係る蒸気タービン3の要部拡大断面斜視図である。
【図13】蒸気タービン3の翼列図である。
【図14】蒸気タービン3における主流速度Vと漏流速度vとの速度を示すベクトル線図である。
【図15】本発明の第四実施形態に係る蒸気タービン4の要部拡大断面斜視図である。
【図16】蒸気タービン4の翼列図である。
【図17】蒸気タービン4における主流速度Vと漏流速度vとの速度を示すベクトル線図である。
【図18】本発明に係る案内曲面57を省略したモデル1の解析結果である。
【図19】本発明に係る案内曲面57を形成したモデル2の解析結果である。
【図20】本発明に係るモデル1,2のタービン効率とリーク流量−主流流量比とを示すグラフである。
【図21】本発明を静翼40に適用した例を示す要部拡大断面図であって、図1における要部Jに相当する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態に係る蒸気タービン(タービン)1を示す概略構成断面図である。
蒸気タービン1は、ケーシング(ステータ)10と、ケーシング10に流入する蒸気Sの量と圧力を調整する調整弁20と、ケーシング10の内方に回転自在に設けられ、動力を図示しない発電機等の機械に伝達する軸体(ロータ)30と、ケーシング10に保持された静翼40と、軸体30に設けられた動翼(翼体)50と、軸体30を軸回りに回転可能に支持する軸受部60と、を主たる構成としている。
【0018】
ケーシング10は、内部空間が気密に封止されているとともに、蒸気Sの流路とされている。このケーシング10は、ケーシング内壁面に強固に固定されたリング状の仕切板外輪(収容凹体)11を有しており、軸体30を囲繞している。
【0019】
調整弁20は、ケーシング10の内部に複数個取り付けられており、それぞれ図示しないボイラから蒸気Sが流入する調整弁室21と、弁体22と、弁座23とを備えており、弁体22が弁座23から離れると蒸気流路が開いて、蒸気室24を介して蒸気Sがケーシング10の内部空間に流入するようになっている。
【0020】
軸体30は、軸本体31と、この軸本体31の外周から径方向に延出した複数のディスク32とを備えている。この軸体30は、回転エネルギーを、図示しない発電機等の機械に伝達するようになっている。
この軸体30は、ケーシング10の内部において仕切板外輪11を挿通している。
【0021】
静翼40は、仕切板外輪11から軸体30に向けて径方向に延在する翼49と、翼49の径方向先端部において周方向に延在するハブシュラウド41とを有している。
この静翼40は、軸体30を囲繞するように放射状に多数配置されて環状静翼群を構成しており、それぞれ前述した仕切板外輪11に保持されている。各静翼40は、ハブシュラウド41が周方向に連続することで連結されており、全体的に見てリング状に連なったハブシュラウド41が軸体30に対向している。
これら複数の静翼40からなる環状静翼群は、回転軸方向に間隔をあけて六つ形成されており、下流側に隣接する動翼50側に蒸気Sを案内するようになっている。
【0022】
動翼50は、軸体30から仕切板外輪11に向けて径方向に延在する翼59と、翼59の径方向先端部において周方向に延在するチップシュラウド(シュラウド)51とを有している。
この動翼50は、各環状静翼群の下流側において、放射状に多数配置されて環状動翼群を構成しており、それぞれ軸体30が有するディスク32の外周部に強固に取り付けられている。これら動翼50の先端部は、各動翼50は、全体的に見てリング状になったチップシュラウド51で連結され、仕切板外輪11に対向している。
このような環状動翼群と環状静翼群とは一組一段とされている。つまり、蒸気タービン1においては六段に構成されている。そして、調整弁20側から回転軸方向に、蒸気Sの主流Mが静翼40と動翼50とを交互に流れるようになっている。以下の説明においては、軸体30の回転軸方向を「軸方向」といい、軸方向における主流上流側を「軸方向上流側」といい、軸方向における主流下流側を「軸方向下流側」という。
【0023】
図2は、図1における要部Iを示す要部拡大断面図である。
図2に示すように、チップシュラウド51の先端側にはステップ部52A〜52Cが形成されている。
これらステップ部52A〜52Cは、軸方向上流側から軸方向下流側に向かって、翼59からの高さが次第に高くなるように階段状に形成されている。これらステップ部52A〜52Cにおいて、それぞれ周方向に延在すると共に径方向に直交する外周面(周面)53A〜53Cは、チップシュラウド51の段状の外周面を構成している。
【0024】
仕切板外輪11には、チップシュラウド51に対応する部位に環状溝(環状の凹部)11Aが形成されており、この環状溝11A内にリング状に連結された複数のチップシュラウド51が隙間Gを介した状態で収容されている。
この隙間Gは、図2に示すように、周方向に直交する断面の断面形状がU字状(あるいは逆U字状)に形成されたものであって、チップシュラウド51の前縁54と仕切板外輪11の上流溝側面11aとの間に形成された軸方向隙間gaと、チップシュラウド51の後縁55と仕切板外輪11の下流溝側面11bとの間に形成された軸方向隙間gbとが、チップシュラウド51の外周面53(53A〜53C)と仕切板外輪11の溝底面11cとの間に形成された径方向隙間gcで連通している。
【0025】
この隙間Gを封止するために、仕切板外輪11の環状溝11Aにおける溝底面11cには、三つのステップ部52(52A〜52C)に1:1で対応するように延出する三つのシールフィン15(15A〜15C)が配設されており、シールフィン15(15A〜15C)の先端と各外周面53(53A〜53C)との間に微小間隙H(H1〜H3)が形成されている。
このチップシュラウド51には、後縁55のうち主流M側に位置して主流Mと接する後縁端部56と、ステップ部52Cの外周面53Cとの間に、案内曲面57が形成されている。
【0026】
案内曲面57は、周方向に交差する断面の断面輪郭が四半楕円状に形成されている。この案内曲面57は、微小間隙H3の軸方向下流における始端(外周面53Cの終端)から軸方向下流側に進むに従って曲率半径が大きくなっており、外周面53Cと後縁端部56とを接続している。
【0027】
図1に戻って、軸受部60は、ジャーナル軸受装置61及びスラスト軸受装置62を備えており、軸体30を回転自在に支持している。
【0028】
次に、上記の構成からなる蒸気タービン1の動作について、図を用いて説明する。図3は、蒸気タービン1の作用説明図であって周方向に交差する断面の要部拡大図である。
まず、調整弁20(図1参照)を開状態とすると、図示しないボイラから蒸気Sがケーシング10の内部空間に流入する。
【0029】
蒸気Sは、各段における環状静翼群と環状動翼群とを順次通過する。この際には、圧力エネルギーが静翼40によって速度エネルギーに変換され、静翼40を経た蒸気Sのうちの大部分が同一の段を構成する動翼50間に流入し(主流M)、動翼50により蒸気Sの速度エネルギーが回転エネルギーに変換されて、軸体30に回転力が付与される。一方、図3に示すように、蒸気Sのうちの一部(例えば、数%)は、静翼40から流出した後に、軸方向隙間gaから隙間Gに流入して漏流Lとなる。
【0030】
この漏流Lは、微小間隙H1,H2を経てシールフィン15B,15C間のキャビティに到達する。そして、このキャビティに到達した漏流Lは、外周面53Cに沿うようにして微小間隙H3を通過する。
【0031】
微小間隙H3を通過した漏流Lは、外周面53Cに沿って軸方向下流側に流れた後に、案内曲面57に付着した状態で後縁端部56まで流れていく。
【0032】
図4は、蒸気タービン1の作用を説明するための要部拡大断面斜視図であり、図5は、蒸気タービン1における主流速度Vと漏流速度vとを示すベクトル線図である。
上記の作用をより詳細に説明すると、微小間隙H3を通過した漏流Lは、動翼50に回転エネルギーを付与しないことから静翼40によって与えられた速度エネルギーの大部分を保有している。すなわち、周方向(ロータ回転方向)速度成分が比較的に大きくなっており、かつ、この周方向速度成分は動翼50(チップシュラウド51)の周方向速度成分よりも大きくなる。このため、図4に示すように、微小間隙H3を通過した漏流Lは、案内曲面57に沿って径方向内方かつロータ回転方向に流れる。
そして、後縁端部56から、動翼50を通過した主流Mに流出する。この際、図5(a)〜(c)に示すように、主流Mの主流速度Vは軸方向速度成分のみを有しているのに対して、漏流Lの漏流速度vは、周方向速度成分vθ(=vθ1)、径方向速度成分v(=vR1)を有している。
【0033】
図3に示すように、後縁端部56から主流Mに流出した漏流Lは、一部が主流Mと混合する一方、他の一部が主流Mによって軸方向上流側から下流側に向けて押し流された後に、環状溝11Aの下流溝側面11bに接触して径方向内方側から外方側に向けて流れる。
このように、案内曲面57に沿って径方向内方側に向かう流れと、主流Mに沿って軸方向下流側に向かう流れと、下流溝側面11bに略沿って径方向外方側に向かう流れとにより、案内曲面57と溝底面11cと下流溝側面11bとが仕切る空間において、図3に示すように、紙面反時計方向回りに流れる順渦Cが形成される。
この順渦Cは、隙間Gと主流流路との境域において主流Mに逆流せず(図3中の矢印c1)、また後縁55に沿って主流Mを隙間Gに引き込まないことから、主流Mを攪拌しない。
このようにして、蒸気タービン1は効率よく稼働する。
【0034】
以上説明したように、蒸気タービン1によれば、外周面53Cと後縁端部56との間に形成された案内曲面57が、外周面53Cに沿って流れる漏流Lを外周面53Cから後縁端部56まで沿うように案内するので、漏流Lが後縁端部56から主流M側に流出することで、順渦Cが形成される。この順渦Cは、隙間Gと主流流路との境域において主流Mに逆流せず、また、チップシュラウド51の後縁55に沿って隙間Gに主流Mを引き込まないので、主流Mが攪拌されない。
従って、混合損失の発生を抑制することができ、タービン効率を向上させることができる。
【0035】
図6は、蒸気タービン1の比較例01の要部拡大断面図である。なお、図6の比較例において、蒸気タービン1に対応する構成要素に同一の符号を付す。
図6に示すように、案内曲面57を形成せずに外周面53Cと後縁端部56とを軸方向に交差する端面057で接続した場合には、端面057と外周面53Cとの間に形成される角部057aにおいて、外周面53Cに沿って流れた漏流Lが剥離してしまう。そして、漏流Lが、径方向において外周面53Cと略同位置を軸方向下流側に流れ、下流溝側面11bに到達した後に下流溝側面11bに沿って径方向内方側に向かうことで、順渦Cとは逆方向に流れる逆渦Xが形成される。
すなわち、外周面53Cに沿って流れる漏流Lが主流Mから離間した位置で剥離して逆渦Xが形成されると、この逆渦Xが隙間Gと主流流路との境域において主流Mに対して逆流し(図6中の矢印x1)、また、チップシュラウド51の後縁55で隙間Gに主流Mを引き込むことにより(矢印x2)、主流Mを攪拌して混合損失を生じさせてしまう。
【0036】
しかしながら、蒸気タービン1の構成によって形成される順渦Cは、隙間Gと主流流路との境域において主流Mに逆流せず(図3中の矢印c1)、また、チップシュラウド51の後縁55に沿って隙間Gに主流Mを引き込まないので、主流Mが攪拌されず、混合損失の発生を抑制することができ、タービン効率を向上させることができる。
【0037】
なお、本実施形態においては、案内曲面57を周方向に交差する断面の断面輪郭を四半楕円状に形成したが、楕円外周のうち他の一部に相当する形状の楕円輪郭であってもよい。
【0038】
また、例えば図7に示す変形例1Aのように、案内曲面57Aを円弧状に形成してもよい(図7の例では四半円弧状)。
また、本実施形態では、案内曲面57が外周面53Cと後縁端部56とを接続する構成にしたが、図7に示す変形例1Aのように、案内曲面57Aと後縁端部56とが軸方向に交差する端面58で接続されていてもよい。すなわち、案内曲面57は、漏流Lを案内曲面57だけに沿わして後縁端部56まで案内するように形成されている必要はなく、案内曲面57から流出した後に他の面(例えば端面58)に沿って後縁端部56に漏流Lを到達させても、上述した効果と同様の効果を得ることが可能である。つまり、案内曲面57は、案内曲面57に連続する他の面に沿って漏流Lが最終的に後縁端部56に到達するように形成されていればよい。換言すれば、案内曲面57が、外周面53Cに沿って流れる漏流Lを、外周面53Cから後縁端部56まで案内曲面57及び他の面に沿うように案内する場合も本発明に含まれる。
また、本実施形態においては、外周面53Cを径方向に直交するように形成したが、軸方向下流側に進むに従って漸次拡径あるいは縮径するように形成された外周面についても本発明を適用することができる。つまり、外周面53Cは径方向に交差してさえいれば本発明を適用することができる。
【0039】
(第二実施形態)
次に本発明の第二実施形態に係る蒸気タービン2について図を用いて説明する。
図8は、蒸気タービン2の要部拡大断面図であり、図9は、蒸気タービン2の要部拡大断面斜視図である。なお、図8及び図9において、図1〜図7と同様の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0040】
図8に示すように、蒸気タービン2は、蒸気タービン1の後縁端部56に相当する後縁端部70が、蒸気タービン1と異なっている。
後縁端部70は、チップシュラウド51から軸方向下流側に延びるアキシャルフィンとなっており、軸方向隙間gbが狭められている。この後縁端部70の径方向外方側には、案内曲面57に接続されると共に、案内曲面57から軸方向下流側に進むに従って漸次径方向内方側に向かうテーパ面70aが形成されている。
【0041】
図9に示すように、微小間隙H3を通過した漏流Lは、案内曲面57に沿って後縁端部70に向けて流れていく。後縁端部70に到達した漏流Lは、後縁端部70に案内されて流れの向きを軸方向下流側に大きく変えた後に、テーパ面70aに沿って流れ、軸方向隙間gbから主流M側に流出する。
【0042】
図10は、蒸気タービン2の主流速度Vと漏流速度vとを示すベクトル線図である。
上記の作用をより詳細に説明すると、漏流速度v〔径方向速度成分vR1,周方向速度成分vθ1,軸方向速度成分0〕(図5(a)〜(c)参照)で後縁端部70に到達した漏流Lは、後縁端部70に案内されて、漏流速度v〔径方向速度成分vR2,周方向速度成分vθ1,軸方向速度成分vZ1)〕で主流Mに流出する。
すなわち、案内曲面57から流出した漏流Lは、後縁端部70によって径方向速度成分vの一部が軸方向速度成分vに変換され、径方向速度成分vがvR1からvR2に大幅に減少する一方(図10及び図5の(a)(b)参照)、軸方向速度成分vが0からvZ1に増加する(図10及び図5の(b)(c)参照)。
【0043】
このため、漏流Lは、軸方向速度成分がvZ1に増加した状態で後縁端部70から軸方向下流側に流出することとなるので、順渦Cが強く形成されて、案内曲面57に沿って流れる漏流Lを案内曲面57に押し付ける。
また、径方向速度成分vがvR1からvR2に減少しており、主流Mの径方向速度成分(≒0)に対する差分が減少する。つまり、主流Mの攪拌を抑えつつ漏流Lが主流Mに滑らかに合流する。
【0044】
以上説明したように、蒸気タービン2によれば、後縁端部70が軸方向に延在するアキシャルフィンとされているので、径方向速度成分vの一部が軸方向速度成分vに変換される。これにより、順渦Cが強く形成され、案内曲面57に沿って流れる漏流Lを案内曲面57に押し付ける。従って、漏流Lが更に剥離し難くなって主流Mの攪拌抑制効果を安定して得ることができる。
また、後縁端部70が軸方向に延在するアキシャルフィンとされているので、後縁端部70に案内された漏流Lの径方向速度成分vが減殺される。これにより、主流Mの径方向速度成分(≒0)と漏流Lの径方向速度成分v(=vR2<vR1)との差分が小さくなる。従って、主流Mの攪拌を抑えつつ漏流Lを主流Mに滑らかに合流させることができるので、混合損失をさらに低下させることができる。
【0045】
なお、本実施形態においても、図11に示す変形例2Aのように、案内曲面57Aを用いてもよい。
また、案内曲面57とテーパ面70aとは、曲率を有するように滑らかに連続させてもよいし、角が形成されるように不連続に構成してもよい。
また、アキシャルフィンの先端は、軸方向に交差する端面(図8参照)を設けてもよいし、端面を設けずにシャープエッジにしてもよい。
【0046】
(第三実施形態)
次に、本発明の第三実施形態に係る蒸気タービン3について図を用いて説明する。
図12は、蒸気タービン3の要部拡大断面斜視図であり、図13は、蒸気タービン3の翼列図である。なお、図12及び図13において、図1〜図11と同様の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0047】
図12に示すように、蒸気タービン3は、蒸気タービン1の案内曲面57に案内通路81が形成されている点において、上述した蒸気タービン1と異なっている。
案内通路81は、図12に示すように、溝状に形成されており、径方向外方側から内方側に見た場合において、案内曲面57の始端(外周面53Cの終端)から後縁端部56まで湾曲して延びている。より具体的には、図13に示すように、外周面53Cから漏流Lを流入させる流入部81aと、後縁端部56において漏流Lを流出させる流出部81bとが、ロータ回転方向とは逆方向にずらされている。換言すれば、案内通路81の流出部81bが流入部81aよりもロータ回転方向における下流側に形成されている。
この案内通路81は、案内曲面57において、互いに間隔を空けて周方向に複数形成されている。
【0048】
上記案内通路81は、蒸気タービン3に設定された定格回転数や動翼50の周方向位置に基づいて、隙間Gに流入した漏流Lが主流M側に流出する際に周方向速度成分vθを小さくするように(後述する。)、案内通路81の本数と、流入部81a及び流出部81bの周方向位置と延在方向とが設定されている。
【0049】
続いて、蒸気タービン3の作用を説明する。
図13に示す速度三角形のように、上流段における動翼50の流出部において相対速度wの蒸気Sは、動翼50の回転速度uにより、絶対速度cで動翼50から流出する。次いで、静翼40に流入した蒸気Sは絶対速度cで静翼40に流入した後に、静翼40によって流れの向きを変更され、静翼40から絶対速度cで流出する。そして、この絶対速度cで流出した蒸気Sが、動翼50の回転速度uにより、相対速度wで動翼50に流入することとなる。
【0050】
動翼50に回転エネルギーを付与した主流Mは、図13に示すように、動翼50の回転速度uにより、絶対速度c(=V),相対速度w(=V´)で動翼50から流出する。
【0051】
一方、漏流Lは、動翼50に回転エネルギーを殆ど付与しないことから、静翼40から流出した際の速度エネルギー(絶対速度c,相対速度w)の大部分を保有する漏流速度v(絶対速度v,相対速度v´)で微小間隙H3を通過する。
【0052】
微小間隙H3を通過した漏流Lのうち案内通路81に流入した一部は、案内通路81を流れる過程で、動翼50の回転方向(正の速度成分)とは逆方向の周方向速度成分(負の速度成分)が与えられ、周方向速度成分が減少する。動翼50側から見ると、漏流Lが案内通路81を流れることで漏流Lから動翼50の回転方向に周方向速度成分が与えられることになり、漏流Lから回転エネルギーを回収することとなる。
このため、案内曲面57を流れた漏流L全体の速度エネルギーは、静翼40から流出した際の速度エネルギーに比べて小さくなる。
従って、漏流Lの速度vが、上述した第一実施形態における漏流Lの速度vに比べて小さくなる。
このようにして、漏流Lは、後縁端部56から漏流速度v(絶対速度v,相対速度v´)で主流Mに流出することとなる。
【0053】
図14は、蒸気タービン3における主流速度Vと漏流速度vとを示すベクトル線図である。
図14に示すように、後縁端部56に到達した際の漏流速度v(第一実施形態)と漏流速度vとを比較すると、周方向速度成分vθが減少しており、主流Mの周方向速度成分に対する差分が減少して略一致する。
また、主流Mと直交する速度成分V=(VR3+Vθ30.5が第一実施形態における速度成分V=(VR1+Vθ10.5に比べて小さくなる。
従って、漏流Lが主流Mに滑らかに合流する。
【0054】
以上説明したように、蒸気タービン3によれば、仕切板外輪11に対するチップシュラウド51の相対回転方向とは逆方向に案内する案内通路81が形成されているので、相対回転方向に流れていた漏流Lに逆方向の周方向速度成分vθが付与されることとなり、漏流Lの周方向速度成分vθが小さくなる。従って、主流Mの攪拌を抑えつつ漏流Lを主流Mに滑らかに合流させることができるので、混合損失をさらに低下させることができる。
また、案内通路81で漏流Lの速度エネルギーを回収することができるので、タービン効率を向上させることができる。
【0055】
なお、本実施形態においては、案内通路81を溝状に形成したが、例えば、案内曲面57の法線方向に突出する突壁(若しくは羽根状体)で案内通路81を形成しても、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態においても、案内曲面57に代えて案内曲面57Aを用いてもよい(図7及び図11参照)。なお、案内曲面57と後縁端部56との間を端面58で接続する場合には、端面58にも案内通路を形成してもよい。
【0056】
(第四実施形態)
次に、本発明の第四実施形態に係る蒸気タービン4について図を用いて説明する。
図15は、蒸気タービン4の要部拡大断面斜視図であり、図16は、蒸気タービン4の翼列図である。なお、図15及び図16において、図1〜図14と同様の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0057】
図15に示すように、蒸気タービン4は、第二実施形態において説明した後縁端部70と、第三実施形態において説明した案内通路81とを重畳的に適用したものである。
蒸気タービン4においては、軸方向上流側において案内通路81に連通すると共に軸方向下流側において隙間Gに開放された補助案内通路82を、後縁端部70のテーパ面70aに形成している。
【0058】
続いて、蒸気タービン4の作用を説明する。
図16に示すように、動翼50に回転エネルギーを付与した主流Mは、動翼50の回転速度uにより、絶対速度c(=V),相対速度w(=V´)で動翼50から流出する。
一方、漏流Lは、静翼40から流出した際の速度エネルギー(絶対速度c,相対速度w)の大部分を保有する漏流速度v(絶対速度v,相対速度v´)で案内曲面57及び案内通路81に流入する。
漏流Lは、案内通路81で動翼50の回転方向とは逆方向の周方向速度成分vθが与えられることにより、漏流L全体の周方向速度成分vθが減少する。
【0059】
後縁端部70に到達した漏流Lは、後縁端部70に案内されて流れの向きを軸方向下流側に大きく変え、径方向速度成分vがvR4に大幅に減少する一方で、軸方向速度成分vが0からvZ1に増加する。
そして、軸方向隙間gbから主流M側に流出して主流Mに沿うようにして合流する。
【0060】
図17は、蒸気タービン4における主流速度Vと漏流速度vとを示すベクトル線図である。
図17に示すように、主流Mに流出する際の漏流速度v(第一実施形態)と漏流速度vとを比較すると、周方向速度成分vθがvθ1から大幅に減少する。さらに、径方向速度成分vがvR1からvR4に大幅に減少する一方で、軸方向速度成分vが0からvZ1に増加する。
すなわち、漏流速度vの周方向速度成分vθ,径方向速度成分v,軸方向速度成分vの全てにおいて、主流速度Vの各方向の速度成分に対する差分を小さくするので、主流Mの攪拌を更に抑えた状態で漏流Lが主流Mに対して極めて滑らかに合流する。
【0061】
以上説明したように、蒸気タービン4によれば、主流Mの攪拌を更に抑えた状態で漏流Lが主流Mに対して極めて滑らかに合流するので、混合損失を極めて効果的に低減することができ、タービン効率を大幅に上昇させることができる。
また、軸方向速度成分vが増加することにより、順渦Cが強く形成され、案内曲面57に沿って流れる漏流Lを案内曲面57に押し付けるので、漏流Lが更に剥離し難くなって主流Mの攪拌抑制効果を安定して得ることができる。
また、案内通路81及び補助案内通路82で漏流Lの速度エネルギーを回収することができるので、タービン効率を向上させることができる。
【0062】
(シミュレーション)
ここで、案内曲面57の有無によるタービン効率及びリーク流量−主流流量比との関係について、シミュレーションを行った結果について説明する。
図18は、案内曲面57を省略したモデル1のシミュレーション結果であり、図19は、案内曲面57を形成したモデル2のシミュレーション結果である。なお、図18及び図19において、図1〜図17と同様の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0063】
各モデルは、後縁端部56と下流溝側面11bとの軸方向距離を、上述した各実施形態と比較して大きく形成している。
また、図18に示す比較モデル1においては、外周面53Cと後縁端部56との間を、軸方向に交差する端面057と径方向に交差する外周面053Dとで接続した構成となっている。
【0064】
図18に示すように、案内曲面57を省略したモデル1においては、外周面53Cに沿って流れた漏流Lが、外周面53Cと端面057とで形成された角部057aで剥離している。このため、端面057の軸方向下流側において逆渦Xが形成されると共に、逆渦Xの軸方向下流側かつ径方向外方側において、逆渦Xに接するようにして渦が形成されている。このため、逆渦Xが主流Mに対して逆流すると共に後縁端部56において主流Mを巻き上げてしまって、主流Mが攪拌されている。
【0065】
一方、図19に示すモデル2においては、外周面53Cに沿って流れる漏流Lを、案内曲面57が後縁端部56まで案内しており、後縁端部56において主流M側に流出している。このため、案内曲面57の軸方向下流側において逆渦Xが形成されず、隙間Gにおいて大きな順渦Cが形成される。このため、隙間Gと主流流路との境界において、主流Mに攪拌が生じていない。
【0066】
図20は、モデル1,2のタービン効率とリーク流量−主流流量比とを示すグラフであり、図中左側に示した二種の棒グラフがモデル1,図中右側に示した二種の棒グラフがモデル2を示している。二種の棒グラフのうち、ドットの模様を付した棒グラフがタービン効率を示しており、白抜きの棒グラフがリーク流量−主流流量比を示している。
【0067】
図20に示すように、リーク流量−主流流量比については、モデル1及びモデル2で殆ど変わらない一方で、タービン効率については、モデル1に対してモデル2の方が大きくなっている。つまり、モデル1よりもモデル2のほうがタービン効率が良いことを確認することができる。
【0068】
なお、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上述した各実施形態においては、仕切板外輪11をケーシング10と別体としたが、ケーシング10と一体に形成してもよい。
【0069】
また、上述した各実施形態の案内曲面57,57Aを凹凸状に形成してもよい。このように形成することで、案内曲面57,57Aに沿って流れる漏流Lが乱流化し、案内曲面57,57Aに対する漏流Lの付着性が向上するので、漏流Lが案内曲面57,57Aから剥離し難くなる。従って、チップシュラウド51の後縁端部56まで、より確実に漏流Lを案内することができる。
なお、上記の「凹凸状」は、ディンプル加工等を施すことによって得られる目視できる程度の大きさのものから目視できない程度の微小なものまでが含まれる。
【0070】
また、上述した各実施形態においては、案内曲面57,57Aの断面輪郭を楕円状又は円弧状に形成したが、例えば変曲点を有する断面輪郭に形成してもよいし、曲率の異なる複数の円弧同士を、あるいは、円弧と直線とを滑らかに連続させてもよい。
【0071】
また、上述した各実施形態では、最終段の動翼50に本発明を適用したが、任意の段の動翼50に本発明を適用することができる。
また、上述した各実施形態では、動翼50に本発明を適用したが、図21に示すように、静翼40に本発明を適用してもよい(図21において図1〜図20における構成要素と同様のものについては同一の符号を付し、近似できるものについては同一の符号を付すと共に括弧で括る。)。図21の場合には、軸体30がロータであり、軸本体31及び相互に隣接するディスク32によって収容凹体が構成され、ハブシュラウド(シュラウド)41の内周面(周面)43Cと、後縁端部46との間に案内曲面47が形成されることとなる。
【0072】
また、上述した各実施形態においては、チップシュラウド51をステップ状に形成したが、段差を形成しないで平状に形成してもよい。
また、上述した各実施形態においては、ステップ部52を三つ設けたが、二つでもよいし、四つ以上でもよい。また、ステップ部52は、階段状に形成されていなくてもよく、凸凹状に形成してもよい。
また、前記実施形態のように、シールフィン15とステップ部52とは必ずしも1:1で対応させる必要はなく、これらの数については任意に設計することができる。
【0073】
また、前記実施形態では、本発明を復水式の蒸気タービンに適用したが、他の型式の蒸気タービン、例えば、二段抽気タービン、抽気タービン、混気タービン等のタービン型式に本発明を適用することもできる。
さらに、前記実施形態では、本発明を蒸気タービンに適用したが、ガスタービンにも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1,1A,2,2A,3,4…蒸気タービン(タービン)
10…ケーシング(ステータ)
11…仕切板外輪(収容凹体)
30…軸体(ロータ)
31…軸本体(収容凹体)
32…ディスク(収容凹体)
40…静翼(翼体)
41…ハブシュラウド(シュラウド)
43C…内周面(周面)
50…動翼(翼体)
51…チップシュラウド(シュラウド)
53C…外周面(周面)
46,56,70…後縁端部
57,57A…案内曲面
81…案内通路
G…隙間
L…漏流
M…主流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在に支持されたロータと、
前記ロータの周囲に設けられたステータと、
前記ロータと前記ステータとのうち一方に設けられ、前記一方側から他方側に向けて径方向に延在する翼と前記翼の径方向先端部において周方向に延在するシュラウドとを有する翼体と、
前記ロータと前記ステータとのうち他方に設けられ、周方向に延在すると共に、前記シュラウドを隙間を介して収容し且つ前記翼体に対して相対回転する収容凹体とを備え、
前記翼に沿って流れる主流から漏れた漏流が前記隙間に流れるタービンであって、
前記シュラウドのうち、前記収容凹体に対向する周面と、前記周面よりも前記漏流の下流において前記主流側に形成された後縁端部との間には、前記周面に沿って流れる漏流を前記周面から前記後縁端部まで沿うように案内する案内曲面が形成されていることを特徴とするタービン。
【請求項2】
前記後縁端部は、回転軸方向に延在するアキシャルフィンとされていることを特徴とする請求項1に記載のタービン。
【請求項3】
前記案内曲面において前記収容凹部に対する前記シュラウドの相対回転方向とは逆方向に案内する案内通路が形成され、
前記案内通路は、前記周面側において前記漏流を流入させる流入部と前記後縁端部側において前記漏流を流出させる流出部とが、前記相対回転方向とは逆方向にずらされていることを特徴とする請求項1又は2に記載のタービン。
【請求項4】
前記案内通路は、溝状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のタービン。
【請求項5】
前記案内通路は、前記案内曲面の法線方向に突出する突壁で形成されていることを特徴とする請求項3に記載のタービン。
【請求項6】
前記案内曲面は、周方向に交差する断面の断面輪郭が円弧状に形成されていることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか一項に記載のタービン。
【請求項7】
前記案内曲面は、周方向に交差する断面の断面輪郭が楕円状に形成されていることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか一項に記載のタービン。
【請求項8】
前記案内曲面は、少なくとも前記翼の表面よりも凹凸状に形成されていることを特徴とする請求項1から7のうちいずれか一項に記載のタービン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−62863(P2012−62863A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209570(P2010−209570)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】