説明

ターボ過給型大型2サイクルディーゼルエンジン用の燃料弁

【課題】噴射精度の改善と開閉運動を早くした燃料弁の提供。
【解決手段】ターボ過給型大型2サイクルディーゼルエンジンの燃焼室に燃料を噴射するための燃料弁1は、中空の遮断軸40を含む弁座22と協働する、弾性的に付勢される軸方向可動式弁ニードル20と、ノズル30上に軸方向かつ放射状に分配された、複数のノズル孔35とを備える。開口されるノズル孔35の数は、軸方向可動式弁ニードル20および中空の遮断軸40のリフト量の増大とともに増加し、従って軸方向可動式弁ニードル20のリフト量は、燃料噴射中にいくつのノズル孔35を開くのかを決定し、それによって燃料噴射中の利用可能な流れ領域が決定される。燃料弁1の軸方向可動式弁ニードル20は、軸方向可動式弁ニードル20をリフトさせるために、リニアアクチュエータ85に対して動作しうるように接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボ過給型大型2スロトークディーゼルエンジン用の燃料弁に関し、具体的には、クロスヘッドを有するターボ過給流入型大型2ストロークディーゼルエンジン用の電子制御式燃料弁に関する。
【発明の背景】
【0002】
クロスヘッドを有するターボ過給型大型2サイクルディーゼルエンジンは、典型的には、コンテナ船等の大型船舶や、発電所の主機関として使用される。
【0003】
これらのエンジンには、典型的には、各シリンダカバーの中に2つまたは3つの燃料弁が設けられている。燃料弁には、可動式弁部材としての機能を果たす、ばね付勢された軸方向に可動な弁ニードルが設けられる。燃料(典型的には重油燃料)の圧力が、予め設定された圧力(典型的には350バール)を超えると、軸方向可動式弁ニードルはその座部から持ち上げられ、燃料は、燃料弁の先端のノズルから燃焼室の中へと流れることが可能になる。
【0004】
従来のノズルの縦方向の軸は、シリンダ中のピストンの運動方向に対して約10〜15度の角度で配置される。ノズルには、中央孔の他に、複数のノズル孔が設けられる。これら複数のノズル孔は、燃料の方向を、シリンダ壁から離れるように、燃焼室の中に向かうように方向付ける。燃料が噴射される際、燃焼室の中の空気には、普通、渦が存在する。大部分のノズル孔は、渦流に沿って燃料を噴射するように方向付けられるが、一部の孔は、渦流に逆らって燃料を噴射するように方向付けられる場合もある。
【0005】
この種の既知の燃料弁は、残存する燃料のサック容積を最小限に抑えた設計を有する、MAN Diesel社のスライド式燃料弁である。この既知の燃料弁は、2つの位置を有する。すなわち、全てのノズル孔を使用する開位置と、閉位置である。軸方向可動式弁ニードルの位置は、軸方向可動式弁ニードルの上側の弁筺体の中の圧力チャンバによって制御される。圧力室は、絞り接続部(throttled connection)を介して高圧燃料供給源に常に接続されており、また、閉鎖可能な絞り接続部を介してドレインにも恒久的に接続されている。この構造は、弁開時期中にかなりのドレイン損失を引き起こし、燃料弁の開閉速度を比較的遅くしてしまう。
【0006】
排出量の減少や比燃料消費(specific fuel consumption)の改善は常に求められており、そのために燃料噴射システムはさらなる発展が求められている。精度の改善と開閉運動の速さは重要な点である。
【0007】
二元燃料エンジンは、エンジンがガス燃料で動作する際、パイロット噴射のために、比較的少量ではあるが、燃料の噴射を必要とする。現在の技術は、燃料油運転に使用される噴射弁をパイロット弁に使用することも、およびその逆も可能にしていないため、パイロット噴射には小型のパイロット噴射弁を追加して使用しているが、これは、二元燃料エンジンが、燃料油だけで動作する従来のエンジンと比較して、2倍の数の燃料弁を有することを意味する。
【発明の開示】
【0008】
このような背景から、本願の目的は、上述した要求を少なくとも部分的に満たし、かつ上述した問題を少なくとも部分的に解決することが可能である、燃料弁を提供することである。
【0009】
この目的は、大型2サイクルディーゼルエンジンの燃焼室に燃料を噴射するための次のような燃料弁を提供することによって達成される。この燃料弁は、燃料弁筺体と;軸方向の孔および閉鎖した前面を備える細長いノズルと;高圧燃料供給源への接続のための高圧力燃料入口ポートと;高圧力燃料入口ポートをノズルに接続する、導管と;弁筺体の中の弁座と協働し、高圧燃料入口ポートからノズルへの燃料の流れを制御するように構成される、弾性的に付勢される軸方向可動式弁ニードルであって、リフトすることによって、高圧燃料供給ポートからノズルへの流れを可能にする、弾性的に付勢される軸方向可動式弁ニードルと;ノズル上で軸方向および径方向に分配された、複数のノズル孔と;ノズル孔を開閉するために、弁ニードルと共に移動し、ノズルの中央孔の中で軸方向に移動可能に受容される、遮断軸と;を備える。前記複数のノズル孔は、開口されるノズル孔の数が、弁ニードルおよび遮断軸のリフト量の増大とともに増加し、従って軸方向可動式弁ニードルのリフト量は、いくつのノズル孔を開くのかを決定するように軸方向に分配される。また前記燃料弁は、軸方向可動式弁ニードルをリフトさせるために、該軸方向可動式弁ニードルに対して動作しうるように接続される、電気油圧式リニアアクチュエータを備え、前記電気油圧式リニアアクチュエータは、制御信号に応答して、軸方向可動式弁ニードルのリフトの大きさを制御する。また前記電気油圧式アクチュエータは、油圧弁に作用する電動式アクチュエータを備え、この油圧弁は、弁ニードルに対して動作しうるように接続される油圧式リニアアクチュエータを出入りする流れを制御する。
【0010】
噴射イベント中の弁リフト量と開口されるノズル孔の数との間の関係を提供することによって、およびリニアアクチュエータを提供することによって、噴射イベント中の開口されるノズル孔の数を制御することが可能になる。これは、二元燃料エンジンが天然ガス等のガス燃料で動作する時に、それに必要とされるパイロット噴射のための比較的に少量の燃料の噴射に関連して、特に有利である。したがって、燃料油(また、重燃料油)運転に使用される大型2ストローク二元燃料ディーゼルエンジンの燃料弁を、ガス運転中にパイロット油の噴射(パイロット噴射)に使用することが可能になる。
【0011】
電気油圧式リニアアクチュエータを使用することによって、弁ニードルの位置を、迅速かつ正確に制御することができる。
【0012】
ある実施形態では、リニアアクチュエータは、制御信号に応答して、軸方向可動式弁ニードルのリフトの大きさを制御する。
【0013】
別の実施形態では、リニアアクチュエータは、軸方向可動式弁ニードルに少なくとも部分的に一体化される。この点に関して、リニアアクチュエータは、軸方向可動式弁ニードルの軸方向の孔の中で受容される作動スプールに対して動作しうるように接続される、リニア電気モータを備えてもよい。
【0014】
好ましくは、リニアアクチュエータは、軸方向可動式弁ニードルの駆動セクションの軸方向の孔の中で受容される作動スプールに対して動作しうるように接続される、リニア電気モータを備え、該作動スプールは、該油圧弁の一部であり、該油圧式リニアアクチュエータを出入りする流体の流れを制御するように構成される。
【0015】
ある実施形態では、前記リニアアクチュエータの筺体は、燃料弁筺体に結合され、前記リニアモータの出力軸は、作動スプールに対して動作しうるように接続される。
【0016】
燃料弁は、加圧された時に、軸方向可動式弁ニードルを弁座に向かって付勢するために、軸方向可動式弁ニードルの上側に配置される、弁筺体の中の圧力室をさらに備え、該作動スプールは、軸方向可動式弁ニードルに対する作動スプールの位置に応じて、圧力室を高圧燃料入口ポートに接続するか、圧力室をドレインに接続するか、または圧力室を閉鎖するように構成される。
【0017】
好ましくは、作動スプールは、軸方向可動式弁ニードルの中の複数のポートと協働し、該ポートは、高圧燃料入口ポートを、それぞれドレインおよび圧力室に接続する。
【0018】
ある実施形態では、ポートおよび作動スプールは、軸方向可動式弁ニードルが、弁筺体に対する作動スプールの軸方向運動に従うように構成される。
【0019】
好ましくは、油圧弁は、比例弁である。
【0020】
ある実施形態では、リニアモータが、出力軸位置信号を提供するか。または、位置センサが、リニアモータの出力軸または作動スプールに接続される。
【0021】
別の実施形態では、リニアアクチュエータが、出力軸位置信号を提供する。または位置センサが、リニアアクチュエータの出力軸または作動スプールに接続される。
【0022】
好ましくは、前記遮断軸の内部は中空であり、前記中空の内部は、弁ニードルがその座部から持ち上げられた時に、燃料弁の流入ポートに接続される。
【0023】
好ましくは、ノズル孔を通る流れ領域は、弁ニードルのリフトの量によって決定される。
【0024】
ある実施形態では、燃料弁は、加圧された時に、ニードル上の軸方向可動式弁を弁座に向かって付勢するために、軸方向可動式弁ニードルの上側に配置される、弁筺体の中の圧力室をさらに備え、前記リニア電気モータは、軸方向可動式弁ニードルの軸方向の孔の中で受容される作動スプールに対して動作しうるように接続され、前記作動スプールは、軸方向可動式弁ニードルに対する作動スプールの位置に応じて、圧力室を高圧燃料入口ポートに接続するか、圧力室をドレインに接続するか、または圧力室を閉鎖するように構成される。
【0025】
本願に従う燃料弁のさらなる目的、特徴、利点、および特性は、詳細な説明からより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
以下、図面に示される例示的実施形態を参照しつつ、本発明についてより詳細に説明する。
【図1】燃料弁の例示的実施形態の縦断面図である。
【図2】燃料弁の別の例示的実施形態の縦断面図である。
【図3】燃料弁で使用するノズルの例示的実施形態の詳細を示す図である。
【図4】燃料弁で使用するノズルの例示的実施形態の詳細を示す図である。
【好適な実施形態の詳細な説明】
【0027】
図1に示される例示的実施形態による燃料弁1は、その最後端部に燃料入口ポート16および燃料出口ポート18を備える外部筺体10を有する。入口ポート16は、燃料油や、燃料ポンプまたはコモン燃料レールからの重油等の、高圧燃料の供給源Pに接続される。出口ポート18は、タンクTへの戻しラインに接続される。
【0028】
燃料弁1は、既知の様式で、大型2サイクルディーゼルエンジンのシリンダカバーの中に設置されて、燃料ポンプ(図示せず)と接続されてもよい。
【0029】
燃料入口ポート16は、ダクト17と流体的に通じている。ダクト17は、弁筺体10の中の軸方向の孔の中で軸方向に移動可能な弁ニードル20の座部まで延在する。弁ニードル20は、閉鎖ばね23によってその座部22に付勢される。弁筺体10の最前部は、燃料弁1がシリンダカバー上に設置された時に、弁筺体10からエンジンシリンダ(図示せず)の燃焼室の中に突出するノズル30を保持する。
【0030】
図1は、弁座22上に静止している弁ニードル20を示す。この位置では、燃料油流入ポート16からノズル30への燃料の流体流れは阻止されている。弁座22の上側の室25は、加圧された燃料を受け入れるために、ダクト17に接続されている。
【0031】
弁ニードル20は、弁ニードル20の最後部区間よりも薄い最前部遮断軸40を担持し、遮断軸40は、ノズル30の中央孔33の中に突出する。したがって、弁ニードル20が筺体10の孔の中で軸方向に位置を変えるときに、遮断軸40も、ノズル30の中央孔の中で軸方向に位置を変える。
【0032】
ノズル30には、中央孔33から燃焼室の中にそれを通して燃料が噴射される複数のノズル孔35がさらに設けられる。したがって、燃料噴射イベント中に、燃料のジェットがノズル孔35から生じる。
【0033】
ある実施形態では、ノズル孔35は、ノズルの中に穿設される。各ノズル孔35の中心線は、中央孔33の中心線とほぼ一致してもよい。しかしながら、ノズル孔35の中心線は、必ずしも中央孔33の中心線と一致する必要はない。
【0034】
遮断軸40は、例示的実施形態では、弁ニードル20との一体部品として作製される。遮断軸40は中空であり、遮断軸40の中空内部は、弁座22の下流側の空間に接続する。したがって、弁ニードル20がその座部から持ち上げられた時に、流路は、燃料油入口16から遮断軸40の中空内部まで完全に延長する。
【0035】
以下で詳細に説明するように、ダクト19は出口ポート18に接続され、ダクト19は戻り油流を回収する。
【0036】
遮断軸40の最前部は、円筒であり、中央孔33に正確に嵌合する。
【0037】
図3に示される実施形態では、隣接するノズル孔35の境界部分が軸方向にある距離を開けて配されるように、複数のノズル孔35がノズル30上で分配されている(ネガティブ・オーバーラップ)。
【0038】
図4に示される実施形態では、隣接するノズル孔35の境界部分が軸方向に距離を置かずに配されるように、複数のノズル孔35がノズル30上で分配されている(ポジティブ・オーバーラップ)。実施形態によっては、重なりをゼロとすることもできる。
【0039】
その最低位置では、遮断軸40は、最下孔を常時閉じることになる。また、密閉条件を改善するために、少し重なるようにしてもよい。さらに、ノズル孔35は、燃料噴射中にノズル孔35から起こる燃料のジェットが燃料室の広い範囲に及ぶように、放射状に配され、径方向に異なる方向を有する。
【0040】
したがって、弁ニードル20および遮断軸40のリフトの程度は、所与の時点でノズル孔35のうちのいくつを開くのかを決定し、したがって、弁ニードル20のリフトの程度は、そこを通して燃料が霧状の形態で燃焼室の中に噴射される、流れ領域を決定する。リフトが大きくなるにつれて、(全てのノズル孔35が開かれる段階に到達するまで)より多くのノズル孔35が開く。したがって、燃料噴射イベント中に使用されるノズル孔35の数は、弁ニードル20および遮断軸40のリフトの程度を介して制御することができる。
【0041】
ガス運転の際のパイロット噴射、および燃料油運転の際の通常の燃料油噴射のどちらにも特に有用である、噴射弁1のある実施形態では、弁ニードル20の開口運動の第1のパート中に開かれる第1群のノズル孔35は、比較的に小さい直径を有し、弁ニードル20の以降の、すなわち、開口運動の第2のパートの際に開かれるノズル孔35は、第1群のノズル孔35よりも大きい直径を有する。本実施形態では、弁ニードル20の少しのリフトは、比較的に小さい直径を有する第1群のノズル孔35だけを開き、これは、エンジンのガス運転の際のパイロット噴射に少量の燃料油を噴射するのに有効な少しの流通領域を生じさせ、弁ニードル20のより大きいリフトは、小さな直径を有する第1群のノズル孔35、およびより大きい直径を有する他のノズル孔35の双方を開き、これは、エンジンの燃料油運転の際の通常の燃料油噴射に有効な大きい流通領域を生じさせる。本実施形態はまた、低負荷運転時に噴射される比較的少量の燃料油を噴射するための、低負荷運転(燃料油運転)に関連して特に有用である。
【0042】
弁ニードル20は、駆動セクション43を含む。駆動セクション43は、弁ニードル20の一体部分とするか、または弁ニードル20に連結されることができる(示される実施形態では、駆動セクションは、弁ニードル20と一体である)。駆動セクション43は、駆動セクション43が弁筺体10の中でピストンのように作用できるように、弁筺体10の軸方向の孔45の中でスライド可能に受容される、実質的に円筒状の部分である。弁筺体10の上部(図面における上部)に形成される圧力室46は、駆動セクション43の上側に配置される。弁ニードル20をその座部22上に付勢するためのばね23は、圧力室46の中に受容されて、駆動セクション43の頂部に作用する。圧力室46の中の圧力は、弁ニードル20に作用して、有効表面領域A1を備える後方を閉鎖方向に付勢する。
【0043】
弁ニードル20を開口方向に付勢するための別の圧力室70は、駆動セクション43の下側に位置し、孔72を介してダクト17に接続される。したがって、圧力室70は、燃料入口ポート16が加圧された燃料の供給源(燃料ポンプ等)に接続された時に、常時加圧される。圧力室70の中の圧力は、有効表面領域A2で弁ニードル20に作用して、後方を開口方向に付勢する。
【0044】
駆動セクション43の中には同心円状の軸方向の孔52が形成される。スプール要素53は、軸方向の孔52の中で摺動可能に受容される。スプール要素53は、3つの平坦部54、55、56を有し、駆動セクション43に対するスプール要素53の位置は、軸方向の孔52に開口する3つのポート57、58、59を出入りする流れを決定する。
【0045】
ポート57は、駆動セクション43を通してポート69に径方向に接続する。ポート69は、ダクト19に径方向に接続する。軸方向の孔45の内側壁の陥凹67は、駆動セクション43の位置の範囲の中でポート57とポート69との間に流通があることを確実にする。
【0046】
ポート58は、駆動セクション43を通してポート62に径方向に接続する。ポート62は、ダクト17に径方向に接続する。軸方向の孔45の内側壁の陥凹65は、駆動セクション43の位置の範囲の中でポート58とポート62との間に流通があることを確実にする。
【0047】
ポート59は、径方向の区間と、軸方向の区間とを有し、軸方向の孔52の内部を圧力室46に接続する。
【0048】
駆動セクション43に対するスプール要素53の位置、および弁筺体10に対する駆動セクション43の位置は、ポート57、58、および59のうちのどれが開かれて、それぞれダクト17およびダクト19に接続されるのかを決定する。
【0049】
スプール要素53の下側の室86は、孔83を介して室80に接続される。室80は、ダクト19に直接接続され、したがって、室86は、タンクTに接続される。
【0050】
弁座領域は、有効圧力領域A3に等しい。圧力領域A2は、弁ニードル20が弁座22上に設置され、燃料弁1が閉じられている時に、弁ニードル20をリフト方向に付勢する唯一の領域である。弁ニードル20がリフトする時には、有効圧力領域A2および有効圧力領域A3の双方が、弁ニードル20を開弁方向に付勢する。弁ニードル20を弁座22に戻すことを可能にするために、有効圧力面A1の油圧力と組み合わせたばね46の力は、有効圧力面A2およびA3の組み合わせた油圧力よりも大きくなければならない。
【0051】
弁ニードル20をリフトするための有効圧力領域は、領域A1、A2、およびA3の結果であり、すなわち、A2+A3が開口方向に作用し、A1が閉鎖方向に作用する。
【0052】
スプール要素53は、継ぎ手11を介してリニアアクチュエータ85に接続される。リニア電気モータ85は、弁筺体10に対するスプール要素の位置を決定する。リニアアクチュエータ85は、電子制御ユニット50、例えばエンジンの電子制御ユニットに連結される。リニアアクチュエータは位置センサ86を備える。本実施形態では、リニアアクチュエータは、電動アクチュエータ、すなわち、リニア電気モータ85である。電子制御ユニット50は、リニアアクチュエータ85の中の位置センサ86から位置信号を受信し、それによって、電子制御ユニット50にはリニアアクチュエータ85および弁ニードル20の位置が通知され、閉ループ制御回路が形成される。
【0053】
圧力室70の中の圧力が有効圧力面A2上に作用し、また、有効圧力領域A3上に弁のリフトがある時には、ばね23の作用に逆らって弁ニードル20を開口方向に付勢する。有効圧力領域A1は、有効圧力領域A2およびA3の合計よりも大きい。
【0054】
スプール要素53、作動部材43、ならびに種々の孔およびポートは、スプール要素53がリフトする時に、圧力室46が、孔59、孔57、および67、ならびにダクト19を介して、ドレイン(タンクT)に接続されるように構成される。したがって、スプール要素53がリニアアクチュエータ85によってリフトされると、圧力室46の中の圧力が降下する。リニアアクチュエータ85が、スプール要素53を下方に移動させた時に、ダクト17と圧力室46との間に接続が確立され、圧力室46の中の圧力が上昇し、有効圧力領域A1が有効圧力領域A2およびA3の合計よりも大きいので、ばね23によってさらに支援されて、弁ニードルが閉鎖するように付勢される。
【0055】
したがって、弁ニードル20は、リニアアクチュエータ85がスプール要素53を上方または下方に移動する時、同じ距離および方向を移動する。
【0056】
運転中に、電子制御ユニット50は、エンジン負荷および速度等の種々のパラメータに基づいて、所与のシリンダに対する次の噴射イベントの形状(率成形)およびタイミングを決定する。率成形について計算されたプロファイルに基づいて、電子制御ユニットは、所与の時点での弁ニードル20のリフトの程度を決定する。電子制御ユニットは、所与の時点で決定された位置まで移動するように、リニアアクチュエータ85に指示する。弁リフトが増大すべき時、電子制御ユニットはリニアアクチュエータ85にそのように命令し、逆の場合も同じである。
【0057】
電子制御ユニットによって制御される、弁ニードルのリフトの程度は、燃料噴射イベント中または燃料噴射イベントの一部分の間に、ノズル孔35のうちのいくつを開き、加圧燃料を開口した孔35を通して燃焼室の中に噴射するのかを決定する。燃料噴射イベント中に、電子制御ユニットは、リニアアクチュエータ85が最初の位置に戻り、弁ニードルがその座部22に戻り、そして燃料噴射イベントが終了するまで、決定された(率形成)曲線に従うように、リニアアクチュエータ85に命令する。
【0058】
リニアアクチュエータ85の最初の位置から上方への運動の長さの程度は、噴射イベント中のいずれかの時点でノズル孔35のうちのいくつを開くのかを決定する。したがって、燃料噴射イベント中に使用されるノズル孔35の数は、各燃料弁1および各噴射イベントについて個別に制御することができ、噴射イベント中に使用されるノズル35の数を状況に適合させることを可能にする。
【0059】
したがって、図1に従う実施形態は、軸方向可動式弁ニードルをリフトさせるために、軸方向可動式弁ニードルに対して動作しうるように接続される、電気油圧式リニアアクチュエータ43、26、70、120を有する。このリニアアクチュエータは、制御信号に応答して、軸方向可動式弁ニードルのリフトの大きさを制御する。また燃料弁1は、油圧弁43、57、58、59に作用する電動式アクチュエータ85を有する。この油圧弁は、比例弁のように、油圧式リニアアクチュエータ43、46、70を出入りする流れを制御する。油圧リニアアクチュエータは、弁ニードル20に対して動作しうるように接続される。
【0060】
図2は、燃料弁1の別の例示的実施形態を示す。図2に例示される燃料弁1は、その最後端部に燃料入口ポート16および燃料出口ポート18を備える外部筺体10を有する。入口ポート16は、燃料ポンプからのまたはコモン燃料レールからの、燃料油等の高圧燃料、重燃料油、または天然ガス等のガス燃料の供給源Pに接続される。出口ポート18は、タンクTへの戻りラインに接続される。
【0061】
燃料弁1は、既知の様式で、大型2サイクルディーゼルエンジンのシリンダカバーの中に設置されて、燃料ポンプ(図示せず)と接続されてもよい。
【0062】
燃料入口ポート16は、ダクト17と流体的に通じている。ダクト17は、弁筺体10の中の軸方向の孔の中で軸方向に移動可能な弁ニードル20の座部まで延在する。弁ニードル20は、閉鎖ばね23によってその座部22に付勢される。弁筺体10の最前部は、燃料弁1がシリンダカバー上に設置された時に、弁筺体10からエンジンシリンダ(図示せず)の燃焼室の中に突出するノズル30を保持する。
【0063】
図2は、弁座22に静止している弁ニードル20を図示している。この位置では、燃料油流入ポート16からノズル30への燃料の流れは阻止されている。弁座22の上側の室25は、加圧された燃料を受容するために、ダクト17に接続される。
【0064】
弁ニードル20は、弁ニードル20の最後部区間よりも薄い最前部遮断軸40を担持する。遮断軸40は、ノズル30の中央孔33の中に突出する。したがって、弁ニードルが筺体10の孔の中で軸方向に位置を変えるときに、遮断軸40は、ノズル30の中央孔の中で軸方向に位置を変える。
【0065】
ノズル30には、中央孔33から燃焼室の中にそれを通して燃料が噴射される複数のノズル孔35がさらに設けられる。したがって、燃料噴射イベント中に、燃料のジェットがノズル孔35から起こる。
【0066】
ある実施形態では、ノズル孔35は、ノズルの中に穿設される。各ノズル孔35の中心線は、中央孔33の中心線とほぼ一致してもよい。しかしながら、ノズル孔35の中心線は、必ずしも中央孔33の中心線と一致する必要はない。
【0067】
遮断軸40は、例示的実施形態では、弁ニードル20との一体部品として作製される。遮断軸40は中空であり、遮断軸40の中空内部は、弁座22の下流側の空間に接続する。したがって、弁ニードル20がその座部からリフトする時に、流路17は、燃料油入口16から遮断軸40の中空内部まで完全に延在する。以下で詳細に説明するように、ダクト19は出口ポート18に接続され、ダクト19は戻り油流を回収する。
【0068】
遮断軸40の最前部は円筒形であり、ノズル30の中央孔33の中に正確に嵌合する。弁ニードル20の、およびそれによって遮断軸40の角度位置は、弁ニードル20が弁筺体10に対して回転するのを防止する、ピン(図示せず)によって固定される。
【0069】
ある実施形態では、複数のノズル孔35は、ノズルの縦方向範囲、すなわち軸方向に沿って、互いにある距離を開けて伴って配されるように、ノズル30上で分配される。遮断軸40は、その最低位置において、最下孔を常時閉じることになり、また、密閉条件を改善する少しの重なりを有することもできる。さらに、ノズル孔35は、ノズル孔35から起こる燃料のジェットが燃料室の広い範囲に及ぶように、放射状に配され、径方向に異なる方向を有する。
【0070】
したがって、弁ニードル20および遮断軸40のリフトの程度は、所与の時点でノズル孔35のうちのいくつを開くのかを決定し、したがって、弁ニードル20のリフトの程度は、そこを通して燃料が霧状にされる、流れ領域を決定する。リフトが大きくなるにつれて、(全てのノズル孔35が開かれる段階に到達するまで)より多くのノズル孔35が開く。したがって、燃料噴射イベント中に使用されるノズル孔35の数は、弁ニードル20および遮断軸40のリフトの程度を介して制御することができる。
【0071】
ガス運転の際のパイロット噴射、および燃料油運転の際の通常の燃料油噴射のどちらにも特に有用である、噴射弁1のある実施形態では、弁ニードル20の開口運動の第1のパート中に開かれる第1群のノズル孔35は、比較的に小さい直径を有し、弁ニードル20の以降の、すなわち、開口運動の第2のパートの際に開かれるノズル孔35は、第1群のノズル孔35よりも大きい直径を有する。本実施形態では、弁ニードル20の少しのリフトは、比較的に小さい直径を有する第1群のノズル孔35だけを開き、これは、エンジンのガス運転の際のパイロット噴射に少量の燃料油を噴射するのに有効な少しの流通領域を生じさせ、弁ニードル20のより大きいリフトは、小さな直径を備える第1群のノズル孔35、およびより大きい直径を有する他のノズル孔35の双方を開き、これは、エンジンの燃料油運転の際の通常の燃料油噴射に有効な大きい流通領域を生じさせる。本実施形態はまた、低負荷運転時に噴射される比較的少量の燃料油を噴射するための、低負荷運転(燃料油運転)に関連して特に有用である。
【0072】
弁ニードル20は、駆動セクション93を含む。駆動セクション93は、弁ニードル20の一体部分とするか、または弁ニードル20に接続することができる(示される実施形態では、駆動セクションは、弁ニードル20と一体である)。駆動セクション93は、駆動セクション93が弁筺体10の中でピストンのように作用できるように、弁筺体10の軸方向の孔95の中でスライド可能に受容される、実質的に円筒状の部分である。弁筺体10の上部(または後部)(図面における上部)に形成される室96は、駆動セクション93の上側に配置され、弁ニードル20をその座部22上に付勢するためのばね23は、室96の中で受容されて、駆動セクション93の頂部に作用する。
【0073】
弁ニードル20を開口方向に付勢するための圧力室100は、駆動セクション93の下側に位置し、孔102を介してダクト17に接続される。したがって、圧力室100は、燃料入口ポート16が加圧された燃料の供給源(燃料ポンプ等)に接続された時に、常時加圧される。圧力室100の中の圧力は、有効表面領域A4で弁ニードル20に作用して、後方を開口方向に付勢する。適切な運転のために、有効圧力面A3およびA4上を組み合わせた油圧力は、有効圧力領域A5上の油圧力およびばね96によって印加される力の組み合わせよりも小さくなければならず、そうでない場合は、燃料弁を閉じることが不可能になる。
【0074】
駆動セクション93は、接続軸110を介して、電気油圧式アクチュエータ120に接続される。電気油圧式アクチュエータ85は、アクチュエータ筺体122を含む。アクチュエータピストン124が、円筒孔126の中でスライド可能に受容される。アクチュエータピストン124はまた、円筒孔126の縮径区間の中で部分的に受容される、縮径区間を有する。第1の作動室128は、アクチュエータピストン124において直径が小さくなっている部分の上側に形成される。第1の作動室128は、アクチュエータピストンを下方向(図において下向き)に付勢するために、有効表面領域A5を備えるアクチュエータピストン124に作用する。第2の作動室130は、アクチュエータピストン124の下側に形成される。第2の作動室130は、有効表面領域A6を備えるアクチュエータピストン124に作用する。領域A5およびA6は、アクチュエータのサイズに応じて変動し、第2の作動室130の有効表面領域A6は、第1の作動室128の有効表面領域の領域A5の2倍、すなわち、A4=1/2×A5である。接続軸110は、アクチュエータ筺体122を通して第2の作動室130まで延在して、アクチュエータピストン124に接続する。
【0075】
第1の作動室128は、導管133を介して、圧力の供給源P1(燃料ポンプ等)に常に接続される。第2の作動室130は、導管135を介して、比例パイロット弁140に接続される。比例パイロット弁140は、2つの最高位置と、1つの中間位置とを有する。第1の最高位置では、比例パイロット弁140は、第2の作動室130をタンクTに接続する。中間位置では、比例パイロット140は、閉じられ、第2の最高位置では、パイロット弁140は、第2の作動室130を圧力の供給源P1に接続する。比例パイロット弁140は、これらの3つの位置の間で徐々に移行することができる。比例パイロット弁の位置は、エンジンの電子制御ユニット等の電子制御ユニット150によって決定される。
【0076】
電子制御ユニット150は、電気油圧式アクチュエータ120の位置、およびそれによって、弁ニードル20のリフトの位置および程度を制御するための閉ループ制御回路を確立するために、電気油圧式アクチュエータ120の中の位置センサ152を介して、アクチュエータピストンの位置に関する情報を受信する。
【0077】
運転中に、電子制御ユニット150は、エンジン負荷および速度等の種々のパラメータに基づいて、所与のシリンダに対する次の噴射イベントの形状(率成形)およびタイミングを決定する。率成形について計算されたプロファイルに基づいて、電子制御ユニット150は、所与の時点での弁ニードル20のリフトの程度を決定する。電子制御ユニット150は、所与の時点で所定の位置まで移動するように、電気油圧式アクチュエータ120に指示する。弁リフトが増大すべき時に、電子制御ユニット150は、所望の位置が得られるまで、第2の作動室130を圧力源P1に接続するように、比例パイロット弁140に命令する。開口方向に作用する第2の作動室130と関連付けられる有効圧力領域A6が、第1の作動室128と関連付けられる有効圧力領域A5および圧力室100と関連付けられる有効圧力領域A4の合計よりも大きいので、第2の作動室130がタンクに接続された時に、アクチュエータピストン124は、上方(図において上方)に移動する。
【0078】
したがって、アクチュエータピストン124、弁ニードル20は、最初の位置(例えば、燃料弁の閉鎖位置)から、電子制御ユニット150によって決定された距離だけ上方に移動し、弁ニードル20は、アクチュエータピストン124の運動と同じ距離だけその弁座22から持ち上げられる(アクチュエータピストン124の最初の位置では、弁ニードル20は、その弁座22上に設置され得る)。電子制御ユニット150によって制御される、弁ニードルのリフトの程度は、燃料噴射イベント中に、または燃料噴射イベントの一部分の間にノズル孔35のうちのいくつを開き、加圧燃料が開口した孔35を通して燃焼室の中に噴射されるのかを決定する。
【0079】
燃料噴射イベント中に、電子制御ユニット150は、アクチュエータピストン124が最初の位置に戻り、弁ニードルがその座部22に戻り、そして燃料噴射イベントが終了するまで、決定された曲線に従うように、電気油圧式アクチュエータ120に命令する。
【0080】
電気油圧式アクチュエータ120の最初の位置から上方への運動の長さの程度は、噴射イベント中のいずれかの時点でノズル孔35のうちのいくつを開くのかを決定し、それによって、ノズル孔を通る流れが決定される。したがって、燃料噴射イベント中に使用されるノズル孔35の数は、各燃料弁1および各噴射イベントについて個別に制御することができ、噴射イベント中に使用されるノズル35の数を状況に適合させることを可能にする。
【0081】
したがって、図2に示される実施形態による燃料弁は、軸方向可動式弁ニードルをリフトさせるために、該軸方向可動式弁ニードル20に対して動作しうるように接続される、電気油圧式リニアアクチュエータ120、122、124、140、141を備え、このリニアアクチュエータは、制御信号に応答して、軸方向可動式弁ニードル20のリフトの大きさを制御する。電気油圧式アクチュエータは、油圧弁140に作用する電動式アクチュエータ141を備え、油圧弁は、弁ニードル20に対して動作しうるように接続される油圧式リニアアクチュエータ122、124、126、130を出入りする流れを制御する。
【0082】
本開示の教示は、数多くの利点を有する。異なる実施形態または実装は、以下の利点のうちの1つ以上をもたらし得る。これは、包括的なリストではなく、本明細書に記載されていない他の利点があり得ることに留意されたい。本開示の教示の1つの利点は、燃料噴射イベント中にノズル孔を開くこと、およびその数を最適化することを可能にする、大型2サイクルディーゼルエンジン用の燃料弁を提供することである。本燃料弁の別の利点は、燃料噴射イベントの正確な制御を可能にすることである。本燃料弁の別の利点は、ガス燃料運転中のパイロット噴射に使用でき、かつ燃料油、または重燃料油による通常の燃料噴射に使用できることである。本開示の別の利点は、ガス燃料運転中には、小径のノズル孔をパイロット噴射で使用し、燃料油または重燃料油で運転する時には、大径のノズル孔を使用することを可能にする、燃料弁を提供することである。
【0083】
本願の教示について例示目的のために説明したが、このような詳細が単にその目的のためのものであること、ならびに本願の教示の範囲から逸脱することなく、当業者によりそこに変更を加えてもよいことを理解されたい。
【0084】
用語の「備える」は、請求項において使用する際、他の要素またはステップを除外しない。請求項における単数形の用語は、複数形の実施形態を除外しない。単一のプロセッサまたは他のユニットは、請求項に列挙するいくつかの手段の機能を実行してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大型2サイクルディーゼルエンジンの燃焼室に燃料を噴射するための燃料弁(1)であって、
燃料弁筺体(10)と、
軸方向の孔および閉鎖した前面を備える細長いノズル(30)と、
高圧燃料供給源(P)への接続のための高圧燃料入口ポート(16)と、
前記高圧燃料入口ポート(16)を前記ノズル(30)に接続する、導管と、
弁座(22)と協働し、前記高圧燃料入口ポート(16)から前記ノズル(30)への燃料の流れを制御するように構成される、弾性的に付勢される軸方向可動式弁ニードル(20)であって、リフトすることによって、高圧燃料供給ポートから前記ノズル(30)への流れを可能にする、軸方向可動式弁ニードル(20)と、
前記ノズル(30)上で軸方向および径方向に分配された、複数のノズル孔(35)と、
前記ノズル孔(35)を開閉するために、前記弁ニードル(20)と共に移動し、前記ノズル(30)の中央孔(33)の中で軸方向に移動可能に受容される、遮断軸(40)とを備え、
前記複数のノズル孔(35)は、開口されるノズル孔の数が、前記弁ニードル(20)および前記遮断軸(40)のリフト量の増大とともに増加し、従って前記軸方向可動式弁ニードル(20)のリフト量は、いくつのノズル孔を開くのかを決定し、前記複数のノズル孔(35)は、それによって流れ領域を決定するように軸方向に分配され、
また前記燃料弁(1)は、前記軸方向可動式弁ニードルをリフトさせるために、前記軸方向可動式弁ニードルに対して動作しうるように接続される、電気油圧式リニアアクチュエータ(43、26、70、120)を備え、
前記電気油圧式リニアアクチュエータは、制御信号に応答して、前記軸方向可動式弁ニードル(20)のリフトの大きさを制御し、
前記電気油圧式アクチュエータ(120)は、油圧弁(53、57、58、59、140)に作用する電動式アクチュエータ(85)を備え、前記油圧弁は、前記弁ニードル(20)に対して動作しうるように接続される油圧式リニアアクチュエータ(43、46、70、122、124、126、130)を出入りする流れを制御する、
燃料弁(1)。
【請求項2】
前記油圧式リニアアクチュエータ(43、46、70)は、前記軸方向可動式弁ニードル(20)に少なくとも部分的に一体化されるか、またはその一体部分である、請求項1に記載の燃料弁(1)。
【請求項3】
前記リニアアクチュエータは、前記軸方向可動式ニードル(20)の駆動セクション(43)の軸方向の孔(52)の中で受容される作動スプール(53)に対して動作しうるように接続されるリニア電気モータ(85)を備え、
前記作動スプール(53)は、前記油圧弁の一部であり、前記油圧式リニアアクチュエータを出入りする流体の流れを制御するように構成される、
請求項2に記載の燃料弁(1)。
【請求項4】
前記リニアアクチュエータの筺体は、前記燃料弁筺体(10)に結合され、前記リニアモータの出力軸は、前記作動スプール(53)に対して動作しうるように接続される、請求項3に記載の燃料弁(1)。
【請求項5】
加圧された時に、前記軸方向可動式弁ニードル(20)を前記弁座(22)に向かって付勢するために、前記軸方向可動式弁ニードルの上側に配置される、前記弁筺体(10)の中の圧力室(46)をさらに備え、
前記作動スプール(53)は、前記軸方向可動式弁ニードルに対する前記作動スプールの位置に応じて、前記圧力室を前記高圧燃料入口ポート(16)に接続するか、前記圧力室をドレインに接続するか、または前記圧力室を閉鎖するように構成される、
請求項4に記載の燃料弁(1)。
【請求項6】
前記作動スプール(53)は、前記軸方向可動式弁ニードル(16)の中の複数のポートと協働し、前記複数のポートは、前記高圧燃料入口ポート(16)を、それぞれ前記ドレインおよび前記圧力室に接続する、請求項5に記載の燃料弁(1)。
【請求項7】
前記ポートおよび前記作動スプールは、前記軸方向可動式弁ニードルが、前記弁筺体(10)に対する前記作動スプールの軸方向運動に従うように構成される、請求項6に記載の燃料弁(1)。
【請求項8】
前記油圧弁(53、57、58、59、140)は、比例弁である、請求項1に記載の燃料弁(1)。
【請求項9】
前記リニアモータ(85、141)が出力軸位置信号を提供するか、または、
位置センサが、前記リニアモータの前記出力軸または前記作動スプール(53)に接続される、
請求項3に記載の燃料弁(1)。
【請求項10】
前記リニアアクチュエータが、出力軸位置信号を提供するか、または、
位置センサが、前記リニアアクチュエータの前記出力軸または前記作動スプールに接続される、
請求項1に記載の燃料弁(1)。
【請求項11】
前記遮断軸(40)の内部は中空であり、前記中空の内部は、前記弁ニードル(20)がその座部(22)から持ち上げられた時に、前記燃料弁(1)の前記入口ポート(16)に接続される、請求項1に記載の燃料弁(1)。
【請求項12】
前記ノズル孔を通る流れ領域は、前記弁ニードルのリフトの量によって決定される、請求項1に記載の燃料弁(1)。
【請求項13】
加圧された時に、前記軸方向可動式弁を前記弁座に向かって付勢するために、前記軸方向可動式弁ニードルの上側に配置される、前記弁筺体(10)の中の圧力室(46)をさらに備え、
前記リニア電気モータ(85)は、前記軸方向可動式弁ニードル(20)の軸方向の孔(52)の中で受容される作動スプール(53)に対して動作しうるように接続され、
前記作動スプール(53)は、前記軸方向可動式弁ニードル(20)に対する前記作動スプール(53)の位置に応じて、前記圧力室(46)を前記高圧燃料入口ポート(16)に接続するか、前記圧力室(46)をドレインに接続するか、または前記圧力室(46)を閉鎖するように構成される、
請求項1に記載の燃料弁(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−11273(P2013−11273A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−135432(P2012−135432)
【出願日】平成24年6月15日(2012.6.15)
【出願人】(597061332)エムエーエヌ・ディーゼル・アンド・ターボ・フィリアル・アフ・エムエーエヌ・ディーゼル・アンド・ターボ・エスイー・ティスクランド (98)
【Fターム(参考)】