説明

ダイカストマシン等の型締装置及び同型締装置を備えた金型交換方法ならびに移動側ダイプレートの交換システム

【課題】ダイハイトを可及的に小さくすることが可能なダイカストマシン等用のダイプレート及び同ダイプレートを備えた型締装置を提供する。
【解決手段】ベースBS上に配置された型締装置の固定側ダイプレートFXPLと移動側ダイプレートMVPLは、内部にそれぞれ汎用主型FXD、MVDを収納している。各汎用主型には、上面側または側面側のタイバーTBU、TBDと干渉することなく型開き空間に搬入された一対の入子FINS及びMINSが互いに分離されて締結される。移動側ダイプレートが型閉じ位置にあるときのダイハイトはほとんどゼロかきわめて小さくなるので、結果として型締装置の型開閉方向の長さを短くできる。また、金型荷重により特に移動側ダイプレートが傾斜することもない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はダイカストマシンや射出成形機(以下ダイカストマシン等という)に係り、特に型開閉方向の長さを可及的に短くすることの可能な型締装置及び同型締装置を備えたダイカストマシン等の金型交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイカストは、溶けた金属を、精度よく加工された金型へ高速、高圧で鋳造する成形法である。そのため、鍛造や押出等の塑性加工や切削加工に比べ、複雑な形状の成形品を1工程で成形できる大きなメリットを持っている。その故に、ダイカストマシンは、各種の工業用部品や複雑な形状を有する構成要素、特に機械的強度を必要とする部品、部材、自動車のエンジンなどの構成要素の成形品を低価格で、大量に生産する産業機械として適している。
【0003】
一方、上記種々の成形品を成形するために用意されるダイカストマシン用の金型は、単一の鉄鋼素材からキャビティを形成するものもあるが、主として製作コストの観点から、大抵は、各成形品の形状に対応したキャビティを形成する入子と、同入子を締結・保持する主型(おもがた)との組み合わせにより構成されるようになっている。(この点は、前記射出成形機の場合も同様である)従って、この主型は、機能として多くの種類の成形品用入子に対応可能であるので、汎用性を有する主型とみなすことができる。
【0004】
また、前記ダイカストマシン用金型は、射出成形機の場合に比べ、複雑な形状の成形品を成形することが多いため、中子を多用し、そのため多くの中子シリンダを上下あるいは左右方向に配置している。
【0005】
一般に、ダイカストマシン用金型の移動側ダイプレートに取付けられる移動金型を構成する主型は、固定側ダイプレートに取付けられる固定金型を構成する主型よりもはるかに多くの中子シリンダを備えており、成形品の押出ピン部分や前記各シリンダへの圧油の給排等の様々な要素・配管を含むので、複雑な構成をしているのみならず、前記多数のシリンダが上下左右方向に伸びて配置されているため実際に入子を締結した各主型を前記移動側及び固定側のダイプレートにそれぞれ取付ける場合、その搬入搬出に際し、タイバー特に、クレーンで搬入搬出する場合、少なくとも上側の2本のタイバーとの干渉が避けられないという問題がある。
【0006】
このため、金型交換に際しては、事前にタイバーの両ダイプレートからの引き抜き作業が行なわれる。しかもそのためにはタイバー引き抜き専用のシリンダを設けており、型締装置の型開閉方向の長さはこうした作業空間を確保するためそれだけ長くしなければならないという問題がある。
【0007】
図5は、上記従来の金型交換作業の一連の作業シーケンスを例示したフローチャートである。同図に示すように、ステップST5、ステップST9ではタイバーの引き抜き、挿入が行なわれるが、タイバーは重量が大きいため、その引き抜き、挿入の移動にはかなりの時間を要するという問題がある。
【0008】
また、従来は、主型と入子は結合された状態でダイカストマシン内へ搬入(搬出)され、各ダイプレート対向面上に取付け固定される。そして、当該入子と主型の締結または締結解除の作業はダイカストマシンの外部にて、金型交換の事前にまたは事後に行なわれる。このようにしているのは金型交換全体の時間を短縮するのに適している。
【0009】
図4は、上側のタイバーTBUを引き抜いた後一対の金型MVD,FXDがクレーン等で入子と共に型開き空間内に搬入された状態を示す。ここで型開き空間とは固定側ダイプレートFXPLに対し移動側ダイプレートMVPLが所定量後退したとき両ダイプレートの金型取付け面の間に形成される空間をいうものとする。
【0010】
同図4において、参照符号TBUは前記上側のタイバー、CYL1、CYL2、CYL3は中子用シリンダであり、これらは移動側ダイプレートMVPLの金型取付け面へ固定される主型MVDに搭載されている。参照符号MINS,FINSはそれぞれ主型MVD、FXDに締結されている一対の入子である。
【0011】
図4において、各主型MVD、FXDが移動側及び固定側ダイプレートの金型取付け面に締結された状態で移動側ダイプレートMVPLを型閉じ位置まで右方へ移動させたときの前記両金型取付け面の間の距離は一般にダイハイトと称され、同図では主型MVDとFXDのタイバー軸方向の長さの和である。このダイハイトは、前記主型MVDとFXDに固有の長さであり、他の主型に変更したとしてもその変更した主型に固有な長さが必ず存在する。従って、主型に固有なダイハイト以下に型閉じ位置を小さくすることはできないことは理の当然である。
【0012】
一方、従来のダイカストマシンでは、図4において移動側ダイプレートMVPLの左方には、図示しないが例えば、最も多く採用されている、トグル機構及びリンクハウジングが配置結合されるタイプ、あるいは型締用ラムシリンダ及び同シリンダを固定保持するテンプレートを配置するタイプのダイカストマシンがあり、これらタイプのダイカストマシンでは、ベースBSの長さ、即ち、型締装置の型開閉方向が長く、またタイバーの長さも前記リンクハウジングやテンプレートまで必要なため、長く且つそれだけ太くしなければならないという問題がある。
【0013】
さらに、中、大型のダイカストマシンでは、前記金型のダイハイトが大きく且つ、その重量も数トンから10トン以上にもなり、特にガイド上を移動する移動側ダイプレートMVPLは片持ちのため曲げモーメントが下方に常時作用し、その倒れ、傾斜の要因となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明者等は、前述した種々の問題点を解決すべく鋭意分析、研究、検討及び努力した結果、従来は、前記ダイプレートの金型取付け面に主型を締結している点に着眼し、これを各ダイプレートの内部に収納することで前記様々な問題が基本的に解決できることを突き止めた。
【0015】
従って、本発明の第1の目的は、ダイハイトを可及的に小さくすることが可能なダイカストマシン等用のダイプレートを提供することにある。
【0016】
本発明の第2の目的は、前記ダイプレートを備えたダイカストマシン等用の型締装置を提供することにある。
【0017】
さらに、本発明の第3の目的は、ダイカストマシン等において、前記ダイプレートを備えた型締装置を用いて金型を交換する方法を提供することにある。
【0018】
さらに、本発明の第4の目的は、ダイカストマシン等において、前記ダイプレートを備えた型締装置の移動側ダイプレートを交換する方法を提供することにある。さらに、本発明の第5の目的は、前記移動側ダイプレート交換方法を実施するための交換システムを提供することにある。
【0019】
その他の、本発明の目的は、以下の記載の中で明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記第1の目的を達成するための、本発明によるダイカストマシン等用のダイプレートは、入子を着脱可能に締結・保持する汎用主型を内部に収納して構成される。
【0021】
その場合、前記汎用主型は前記ダイプレートに着脱可能に締結・保持されるよう構成することができる。また、その場合、前記汎用主型は前記ダイプレートに一体的に組み込まれ、少なくとも前記汎用主型を構成する部材の一部が前記ダイプレートの機械的構成部材であるよう構成することができる。さらにその場合、前記ダイプレートは移動側ダイプレートであることができる。
【0022】
また、前記第2の目的を達成するための、本発明によるダイカストマシン等用の型締装置は、ベースと、同ベースの射出側端部に立設固定された固定側ダイプレートと、前記ベース上で前記固定側ダイプレートに対向して進退可能に配置された移動側ダイプレートと、同移動側ダイプレートの進退移動を案内するべく前記ベース上に配設されたガイド手段と、前記移動側ダイプレートを前記ガイド手段上で進退移動させる第1の駆動手段と、前記各ダイプレートのコーナー部近傍を貫通すると共に、両ダイプレートの型締状態を保持するよう作用するタイバーと、前記固定側ダイプレートと移動側ダイプレートとの間に型締力を与える第2の駆動手段と備え、前記各ダイプレートは、入子を着脱可能に締結・保持する汎用主型を内部に収納可能に形成して構成される。
【0023】
その場合、前記第1の駆動手段は、前記ベースに取付けられたサーボモータにより回転されるネジ軸と、前記ガイド手段上を摺動すると共に前記ネジ軸と螺合するナット部を備え且つ、前記移動側ダイプレートの側面に固定された結合部材とから構成されることができる。
【0024】
またその場合、前記第2の駆動手段は、前記固定側ダイプレートのタイバー貫通部に形成された型締シリンダと、前記固定側ダイプレートに取付けられ、同固定側ダイプレートを貫通したタイバーの一端部を締結する第1の締結手段と、前記移動側ダイプレートに取付けられ、同移動側ダイプレートを貫通したタイバーの他端部を締結する第2の締結手段とから構成されることができる。
【0025】
また、前記第3の目的を達成するための、本発明による金型交換方法は、ベースと、同ベースの射出側端部に立設固定された固定側ダイプレートと、前記ベース上で前記固定側ダイプレートに対向して進退可能に配置された移動側ダイプレートと、同移動側ダイプレートの進退移動を案内するべく前記ベース上に配設されたガイド手段と、前記移動側ダイプレートを前記ガイド手段上で進退移動させる第1の駆動手段と、前記各ダイプレートのコーナー部近傍を貫通すると共に、両ダイプレートの型締状態を保持するよう作用するタイバーと、前記固定側ダイプレートと移動側ダイプレートとの間に型締力を与える第2の駆動手段と備え、前記各ダイプレートは、入子を着脱可能に締結・保持する汎用主型を内部に収納可能に形成してなる型締装置を有するダイカストマシン等における金型交換方法であって、金型交換前の状態で第1の金型を形成している、第1の入子を締結した第1汎用レベルに対応する第1の汎用主型を収納する前記各ダイプレートのうち移動側ダイプレートを所定位置まで後退させて固定側ダイプレートとの間に型開き空間を形成する第1の段階と、前記各第1の汎用主型との締結を解除して前記型開き空間へ前記各第1の入子を取出す第2の段階と、前記型開き空間へ取出された前記各第1の入子をそれぞれ単独又は、一対の第1の入子として結合して、当該型開き空間から第1の所定位置へ搬出する第3の段階と、金型交換後の状態で第2の金型を形成するために、前記第1汎用レベルに対応する一対の第2の入子を第2の所定位置へ用意する第4の段階と、前記第3の段階に続いて、前記第2の所定位置に待機している一対の第2の入子を前記型開き空間へ搬入する第5の段階と、前記型開き空間において当該一対の第2の入子を分離し、それぞれ前記各第1の汎用主型に締結せしめて前記第2の金型を形成する第6の段階と、同第6の段階の後、前記移動側ダイプレートを所定の型閉じ位置まで前進せしめる第7の段階から構成することができる。
【0026】
さらに、前記第4の目的を達成するための、本発明によるダイプレートを備えた型締装置の移動側ダイプレートを交換する方法は、ベースと、同ベースの射出側端部に立設固定された固定側ダイプレートと、前記ベース上で前記固定側ダイプレートに対向して進退可能に配置された移動側ダイプレートと、同移動側ダイプレートの進退移動を案内するべく前記ベース上に配設されたガイド手段と、前記移動側ダイプレートを前記ガイド手段上で進退移動させる第1の駆動手段と、前記各ダイプレートのコーナー部近傍を貫通すると共に、両ダイプレートの型締状態を保持するよう作用するタイバーと、前記固定側ダイプレートと移動側ダイプレートとの間に型締力を与える第2の駆動手段とを備え、同第2の駆動手段は、前記固定側ダイプレートのタイバー貫通部に形成された型締シリンダと、前記固定側ダイプレートに取付けられ、同固定側ダイプレートを貫通したタイバーの一端部を締結する第1の締結手段と、前記移動側ダイプレートに取付けられ、同移動側ダイプレートを貫通したタイバーの他端部を締結する第2の締結手段とから構成され、前記各ダイプレートは、入子を着脱可能に締結・保持する汎用主型を内部に収納可能に形成してなる型締装置を有するダイカストマシン等における前記移動側ダイプレートの汎用主型を他の汎用主型と交換するための移動側ダイプレート交換方法であって、前記移動側ダイプレート交換前の状態で、前記ベース上に配設されている第1汎用レベルに対応する第1の汎用主型を収納する第1の移動側ダイプレートを前記第1の駆動手段によりベース上の第1の所定位置まで後退させて固定側ダイプレートとの間に型開き空間を形成する第1の段階と、前記各ダイプレートの汎用主型との締結を解除して前記型開き空間へそれぞれ入子を取出す第2の段階と、前記型開き空間へ取出された前記各入子をそれぞれ単独又は、一対の入子として結合して、当該型開き空間から搬出する第3の段階と、前記第3の段階後、前記第1の移動側ダイプレートをさらに前記ベース上の第2の所定位置へ後退移動させる第4の段階と、前記第1汎用レベルと異なる第2汎用レベルに対応する第2の汎用主型を収納した第2の移動側ダイプレートを所定の待機位置に用意する第5の段階と、前記第4の段階に続いて前記第2の所定位置にある第1の移動側ダイプレートをベース上から搬出する第6の段階と、同第6の段階後、前記待機位置に用意された第2の移動側ダイプレートを前記第2の所定位置へ搬入する第7の段階とから構成される。
【0027】
さらにまた、前記第5の目的を達成するための、本発明による移動側ダイプレート交換方法を実施するための交換システムは、異なる汎用レベルに対応する汎用主型を収納した移動側ダイプレートを1個又は複数個格納する第1の格納手段と、前記移動側ダイプレートの各汎用主型に対応して用いるよう形成された複数対の入子を格納する第2の格納手段と、前記第6の段階においてベース上の第2の所定位置から第1の移動側ダイプレートを受取る第1の搬送台車と、前記第7の段階において前記待機位置に用意された第2の移動側ダイプレートを前記第2の所定位置へ搬入するための第2の搬送台車と、少なくとも前記第1の格納手段と前記第2の所定位置近傍との間に配設された前記第1及び第2の搬送台車用の第1の搬送路と、前記第1の搬送路上での前記第1及び第2の搬送台車の移動を制御する搬送制御ユニット、を備えて構成される。
【0028】
その場合、前記第1の格納手段内には、前記第2の移動側ダイプレート用の待機位置を設けることができる。
【0029】
またその場合、前記第1の搬送路には前記ベース近傍位置にバイパス路が配設され、前記待機位置として当該バイパス路を利用可能とすることができる。
【0030】
さらにまたその場合、前記第1の格納手段に格納される移動側ダイプレートは、移動側ダイプレートに着脱可能に締結・保持される汎用主型を収納する第1のタイプと、移動側ダイプレートに一体的に組み込まれ、少なくとも汎用主型を構成する部材の一部が当該移動側ダイプレートの機械的構成部材である汎用主型を収納する第2のタイプとの両方又はいずれか一方のタイプであることができる。
【0031】
その場合、前記第1のタイプの移動側ダイプレートを格納する格納手段は、前記第2のタイプの移動側ダイプレートを格納する格納手段と別個の位置に配設することができる。
【0032】
またその場合、一対の入子を当該ダイカストマシン等の側部から搬入・搬出可能な入子搭載手段を設けることもできる。さらにまた、前記第2の格納手段と前記ダイカストマシン等の側部との間に前記一対の入子を搬送する第2の搬送路を配設すると共に、同第2の搬送路上で前記入子を搭載して搬送するための第3の搬送台車を設けることができる。
【0033】
また、前記第1、第2及び第3の搬送台車は、自走式台車とすることもできる。
【発明の効果】
【0034】
請求項1記載の本発明によれば、主型がダイプレート内に収納されているので、ダイカストマシン等の型締装置の種類に関係なくそのダイハイトを可及的に小さくすることが可能となり、さらに入子を含む主型の荷重によりダイプレートの倒れ、傾斜の要因をなくすことが可能となる。
【0035】
請求項7記載の本発明によれば、前述した効果に加え、型締シリンダは固定側ダイプレートに形成されており、また、金型交換の前後にタイバーの引き抜き、挿入作業が不要となり、従って、引抜き用シリンダを設ける必要もない。また、型締装置の型開閉方向長さは実質的に移動側ダイプレートの移動範囲で良く、タイバーの長さも短くすることが可能になり、型締装置の製造コストを下げ、メンテナンスを容易にする。
【0036】
請求項9記載の本発明によれば、金型交換は、一対の入子の搬入・搬出で対応できるため、従来のタイバー引き抜き、挿入に要した時間を節約でき、交換作業自体を単純化できる。
【0037】
請求項10記載の本発明によれば、タイバーを引き抜くことなく、移動側ダイプレートをベース上の第2の所定位置へ移動させて型締装置内から搬出することができ、また当該ベース上の第2の所定位置へ次の汎用主型を収納した移動側ダイプレートを型締装置内へ導入するだけで移動側ダイプレートの交換が可能である。
【0038】
請求項11記載の本発明によれば、複数の汎用レベルの異なる移動側ダイプレートを第1の格納手段に格納しているので、予め次に必要な汎用レベルの汎用主型を収納した移動側ダイプレートを選択し、搬送台車に搭載して型締装置近傍に待機させることが可能であり、移動側ダイプレートの交換時間を短時間で終了させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下本発明の好適な実施例について、図1乃至図3により詳細に説明する。
【0040】
図1は、本発明によるダイカストマシンの型締装置100の全体を示す側面図である。
【0041】
同図1において、ベースBSの右端部には固定側ダイプレートFXPLが立設して固定されている。この固定側ダイプレートFXPLの射出側の側面にはコの字形のフレーム104が取付けられその垂直フレームに設けた孔を介して図示しない射出プランジャロッドが射出スリーブ102に挿通されるようになっている。前記固定側ダイプレートFXPLに対向して移動側ダイプレートMVPLが配置されており、これら両ダイプレートにはその各コーナー部を貫通している2本の上側タイバーTBUと、2本の下側タイバーTBDが配設されている。参照符号TBSCは、外周にネジまたは角溝を形成した移動側の係合部であって、同係合部TBSCはタイバーTBUと各ダイプレートが所定位相関係位置にあるとき移動側ダイプレートMVPLの反固定側の面に取付けられたクランプ装置CLMP2内の係合部材と係合するよう構成されている。
【0042】
参照符号CLMP1は、固定側ダイプレートFXPLを貫通したタイバーTBUの固定側端部に形成したネジまたは角溝の係合部と係合する係合部材を内部に有するクランプ装置である。
【0043】
参照符号CYLは、型締シリンダであって、固定側ダイプレートの、前記タイバーTBUの貫通部に形成されており、前記タイバーTBUは前記型締シリンダCYLのピストン及びピストンロッド部分を兼ねている。なお、下側のタイバーTBD用のクランプ装置は図を略し、タイバーTBDの固定側端部を示しているが、上側と同様なクランプ装置が設けられている。同様に、移動側ダイプレートMVPL用のクランプ装置CLMP2はタイバーTBD用の下側にも配設されている。
【0044】
参照符号10は、ベースBSの側面に配設された取付け台であって、サーボモータSVMが取付けられている。参照符号16は、前記サーボモータSVMの出力軸に結合したボールネジ軸である。前記サーボモータSVMの軸上には図示しないが、ロータリーエンコーダが取付けられている。
【0045】
参照符号12は前記ボールネジ軸と螺合するナット部であって、結合部材14に取付けられている。この結合部材14は、底部がベースBS上に配設されたガイド18上に摺動可能に配設され、同底部から垂直に延びる側壁部を有しており、この側壁部は移動側ダイプレートMVPLの側面に固定されている。
【0046】
これらの要素10、SVM、16、14、18は、図中のオペレータと反対側(反操作側)のベース上にも配置されている。
【0047】
なお、前記要素は本発明における第1の駆動手段を構成している。また、前記クランプ装置CLMP1、CLMP2は本発明における第2の駆動手段を構成している。
【0048】
前記クランプ装置CLMP1は、固定側のタイバーTBUの端面が当接したときに当該クランプ装置CLMP1内の係合部材の係合部とタイバーTBUの端部に形成されている前記ネジまたは角溝との位相が一致し噛み合い可能な状態となる。
【0049】
そして、このクランプ装置CLMP1が噛み合っている状態で、前記型締シリンダCYLを駆動して、タイバーTBUを軸方向へ移動させることにより、移動側ダイプレートMVPLを貫通するタイバーのネジまたは角溝TBSCと、クランプ装置CLMP2内に設けた係合部材の係合部との位相が一致するよう調整することが可能である。なお、前記型締シリンダCYL、クランプ装置CLMP1のさらなる詳細については出願人らが既に鋭意研究している。
【0050】
従って、クランプ装置CLMP1は、金型の交換に伴う移動側ダイプレートの型閉じ位置が変更されるときにだけその係合を解除される。一方、クランプ装置CLMP2は移動側ダイプレートMVPLを前記第1の駆動手段により進退移動させるときはその係合が解除される。参照符号20は、移動側ダイプレートMVPL内に収納されている汎用主型の外周部を示す。
【0051】
図2は、本発明によるダイプレートを備えた型締装置における金型交換の様子を簡略化して示している。同図2に示されるように、移動側及び固定側ダイプレートMVPL、FXPL内には、それぞれ汎用の主型MVD、FXDが収納されている。
【0052】
各汎用主型MVD、FXDには、図示のように、上面側または側面側のタイバーTBU、TBDと干渉することなく型開き空間に搬入された一対の入子INSの各入子FINS及びMINSが互いに分離されて締結される。移動側ダイプレートMVPLが型閉じ位置にあるときのダイハイトはほとんどゼロかきわめて小さくなるので、結果として型締装置の型開閉方向の長さを短くできることになり、また、従来のように、各ダイプレートの対向面に主型を締結したときの金型全体の荷重により移動側ダイプレートMVPL、固定側ダイプレートFXPLが傾斜することもない。
【0053】
一対の入子INSは、各入子MINSとFINSが別々に搬入されることも可能である。
【0054】
入子の型開き空間への搬入・搬出は、クレーンを利用することも可能であるが、図3に示すように、入子専用の搬送台車CNV・Bを使用し、同台車で所定場所の入子格納庫から要求された一対に入子INSをダイカストマシンDM1の側部ステーション300Bに設けた入子搭載手段LD上に受け渡しすることも可能である。この場合、入子搭載手段LDは型開き空間内へ側方向から挿入可能である。
【0055】
この入子搭載手段LDは、例えば、入子をガイドするガイドレール及びローラ等の転動手段を備えることができる。また、型開き空間内の所定位置に位置付けされた入子を各ダイプレートの方へ移動させるときのガイド手段を設けることも可能である。
【0056】
移動側ダイプレートMVPLに収納された汎用主型MVDへの入子MINSの装着・締結の詳細機構は図示しないが、例えば、プルスタッドやネジ等の機械的な結合手段や、これらと組み合わせた油圧機構を採用することが可能である。
【0057】
また、前記汎用主型MVD内へ入子MINSを挿入する場合、オペレータ自身が挿入状態を手で確かめながら押し込むことが可能であるが、前記主型MVD側に引き込み手段を設けて、入子MINSの引き込み、取出しを行なわせることもできる。
【0058】
前記移動側ダイプレートMVPLに収納される汎用主型MVDは、単一の汎用主型で当該ダイカストマシン用のすべての入子に対応するように形成することは、可能ではあるが必ずしも効果的ではない。即ち、当該ダイカストマシンで成形できる成形品の大きさに応じて、例えば、大、中、小の3ランクに分けて、それぞれ大、中、小用の汎用主型を用意するようにすることができる。このように、汎用主型に種類を設けることで、素材の高価な入子を必要以上に大きく形成せずに済む。
【0059】
本発明においては、この汎用主型の種類を汎用性のレベルと定義している。この汎用レベルは、前記のように、入子の大きさの点から定義される場合だけでなく、主型の機構の複雑さの点から定義してもよい。またそれらの組み合わせにより定義するようにしてもよい。
【0060】
一方、前述したように、固定側ダイプレートFXPLに収納される汎用主型FXDについては、移動側ダイプレートMVPL側の汎用主型MVDよりもシンプルであり、必ずしも移動側の汎用主型MVDとその汎用レベルを同一に形成する必要はなく、異なる複数レベルの汎用性を有するよう高い汎用性を有する主型として構成されることができる。その場合、挿入締結される入子FINSをそれらのレベルに対応するように形成することもできるが、各汎用レベルに対応するための調整部材を用意して、入子FINSと前記高い汎用レベルの固定側汎用主型FXDとの間に介在させて対応させることも可能である。
【0061】
次に、移動側ダイプレートMVPL内に収納される汎用主型MVDの収納形態について説明する。
【0062】
この汎用主型MVDは、移動側ダイプレートMVPLに常時、締結保持されているが、汎用主型MVD自体をその締結を解除することにより、当該ダイプレートMVPLから容易に分離可能に形成されている場合と、少なくとも汎用主型MVDを構成する部材の一部が前記ダイプレートMVPLの機械的構成部材であり、むしろ当該ダイプレートMVPLに一体的に組み込まれ、構造上、当該ダイプレートの一部を構成している場合とに大別される。この場合、本発明においては、前者の汎用主型を収納する移動側ダイプレートを第1のタイプの移動側ダイプレート、後者の汎用主型を収納する移動側ダイプレートを第2のタイプの移動側ダイプレートと定義している。
【0063】
図2から明らかなように、前記第1のタイプの移動側ダイプレートMVPLの場合その汎用主型MVDの締結を解除したとしても、タイバーTBU、TBDがあるので、その型開き空間から当該汎用主型MVDを搬出することはできない。また、前記第2のタイプの移動側ダイプレートにおける汎用主型MVDの場合はなおさらそうである。
【0064】
本発明においては、このような、移動側ダイプレートに収納された汎用主型を汎用レベルの異なる他の汎用主型と交換する場合の対応として、図1に示した移動側ダイプレートMVPLを、入子を排出し、さらにクランプ装置CLMP2のタイバーTBUとの係合を解除した後、サーボモータSVMを有する第1の駆動手段によりさらに左方へ即ち、所定の後退位置であるベース端部まで移動させた後、ベース端部近傍に待機させた第1の搬送台車により受け取らせるようにして、当該ダイカストマシンの型締装置外へ搬出する。その後、新しい所望の汎用レベルに対応する汎用主型を収納した移動側ダイプレートを搭載し、予め前記ベース端部近傍の別の位置に待機させておいた第2の搬送台車を前記ベース端部近傍に移動して、当該新しい移動側ダイプレートをベース上にて受け取るようにして当該ダイプレートの交換を行なうものである。
【0065】
図3は、本発明による移動側ダイプレートの交換システムの構成を示す平面視配置図である。同図3において、参照符号DM1、DMiは本発明による型締装置を備えたダイカストマシンを示す。参照符号200は、複数の移動側ダイプレートを格納する第1の格納手段200Aと、複数対の入子INSを格納する第2の格納手段200Bを有する格納庫である。
【0066】
第1の格納手段200Aには、前記第1のタイプの移動側ダイプレートと第2のタイプの移動側ダイプレートの両方を配置することも可能であるが、第1のタイプの移動側ダイプレートを別に配設された格納手段400に格納することもできる。
【0067】
参照符号500Aは、移動側ダイプレートMVPLを搭載する搬送台車CNV・A用の搬送路である。この搬送路500Aには前記格納手段400にアクセスするバイパス路が形成されている。同バイパス路上には待機用の搬送台車CNV・Aを示す。参照符号300Aは、型締装置のベース端部近傍に配設した移動側ダイプレートの受け渡し用ステーションであって、同図3で前記第2の搬送台車CNV・Aの右方側にある第1の搬送台車は移動側ダイプレートを搭載していない状態のもので、ステーション300Aに接近しその位置で予め待機している搬出用の移動側ダイプレートMVPLを受け取るようになっている。
【0068】
参照符号500Bは、入子INS用の搬送路を示す。この搬送路500Bは、前記第2の格納手段200BとダイカストマシンDM1の型締dvの側部で型開き空間の近傍に配設されたステーション300Bとの間に配設されている。参照符号CNV・Bは入子INSを搭載して前記搬送路500B上を搬送する第3の搬送台車である。ステーション300Bに設けられている入子搭載手段LDと各汎用主型との間の入子の搬入、搬出等については前述したのでその説明は省略する。
【0069】
参照符号600は、前記搬送台車CNV・A、CNV・Bの搬送位置を制御する搬送制御ユニットである。各搬送台車は、自走式であってもよく、またチェインや油圧シリンダ等で外力により駆動されるタイプであってもよい。参照符号SG1は各搬送台車の位置情報などの受信信号、SG2は各搬送台車へ与えられる制御信号である。
【0070】
以上、本発明の好適な実施例をダイカストマシンの場合において説明したが、当業者であれば、同様な型締装置を有する射出成形機の型締装置にも本発明が適用可能であることは容易に理解されるところである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明によるダイカストマシンの型締装置全体を示す側面図である。
【図2】本発明によるダイプレートを備えた型締装置における金型交換を簡略化して示す図である。
【図3】本発明による移動側ダイプレートの交換システムの構成を示す配置図である。
【図4】従来の金型交換の要部を説明するものであって、上側のタイバーを引き抜いた後、一対の金型がクレーン等で入子と共に型開き空間内に搬入された状態を示す図である。
【図5】従来の金型交換作業における一連の作業シーケンスを例示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
10 取付け台
12 ナット部
14 結合部材
16、16A ボールネジ軸
18 ガイド手段
20 汎用主型外周部
100 ダイカストマシンの型締装置
102 射出スリーブ
104 フレーム
200 格納庫
200A 第1の格納手段
200B 第2の格納手段
300A 移動側ダイプレート用のステーション
300B 入子用のステーション
400 格納手段
500A、500B 搬送路
600 搬送制御ユニット
BS ベース
CYL 型締シリンダ
CYL1、CYL2、CYL3 中子用シリンダ
CLMP1、CLMP2 クランプ装置
CNV・A、 移動側ダイプレート用の搬送台車
CNV・B 入子用の搬送台車
DM1、DMi ダイカストマシン
FINS 固定側入子
FXD 固定側汎用主型
FXPL 固定側ダイプレート
INS 一対の入子
LD 入子搭載手段
MINS 移動側入子
MVD 移動側汎用主型
MVPL 移動側ダイプレート
SG1 受信信号
SG2 制御信号
SVM サーボモータ
TB タイバー
TBD 下側タイバー
TBU 上側タイバー
TBSC ネジまたは角溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入子を着脱可能に締結・保持する汎用主型を内部に収納したダイカストマシン等用ダイプレート。
【請求項2】
請求項1において、前記汎用主型は前記ダイプレートに着脱可能に締結・保持されていることを特徴とするダイカストマシン等用ダイプレート。
【請求項3】
請求項1において、前記汎用主型は前記ダイプレートに一体的に組み込まれ、少なくとも前記汎用主型を構成する部材の一部が前記ダイプレートの機械的構成部材であることを特徴とするダイカストマシン等用ダイプレート。
【請求項4】
請求項1乃至3において、前記ダイプレートは移動側ダイプレートであることを特徴とするダイカストマシン等用ダイプレート。
【請求項5】
ベースと、同ベースの射出側端部に立設固定された固定側ダイプレートと、前記ベース上で前記固定側ダイプレートに対向して進退可能に配置された移動側ダイプレートと、同移動側ダイプレートの進退移動を案内するべく前記ベース上に配設されたガイド手段と、前記移動側ダイプレートを前記ガイド手段上で進退移動させる第1の駆動手段と、前記各ダイプレートのコーナー部近傍を貫通すると共に、両ダイプレートの型締状態を保持するよう作用するタイバーと、前記固定側ダイプレートと移動側ダイプレートとの間に型締力を与える第2の駆動手段と備え、前記各ダイプレートは、入子を着脱可能に締結・保持する汎用主型を内部に収納可能に形成したことを特徴とするダイカストマシン等の型締装置。
【請求項6】
請求項5において、前記第1の駆動手段は、前記ベースに取付けられたサーボモータにより回転されるネジ軸と、前記ガイド手段上を摺動すると共に前記ネジ軸と螺合するナット部を備え且つ、前記移動側ダイプレートの側面に固定された結合部材とから構成されることを特徴とするダイカストマシン等の型締装置。
【請求項7】
請求項5又は6において、前記第2の駆動手段は、前記固定側ダイプレートのタイバー貫通部に形成された型締シリンダと、前記固定側ダイプレートに取付けられ、同固定側ダイプレートを貫通したタイバーの一端部を締結する第1の締結手段と、前記移動側ダイプレートに取付けられ、同移動側ダイプレートを貫通したタイバーの他端部を締結する第2の締結手段とから構成されることを特徴とするダイカストマシン等の型締装置。
【請求項8】
請求項5において、前記第1及び第2の駆動手段は、前記移動側ダイプレートの固定側ダイプレート対向面と反対側の面に結合されたトグル機構及びリンクハウジングから構成されることを特徴とするダイカストマシン等の型締装置。
【請求項9】
ベースと、同ベースの射出側端部に立設固定された固定側ダイプレートと、前記ベース上で前記固定側ダイプレートに対向して進退可能に配置された移動側ダイプレートと、同移動側ダイプレートの進退移動を案内するべく前記ベース上に配設されたガイド手段と、前記移動側ダイプレートを前記ガイド手段上で進退移動させる第1の駆動手段と、前記各ダイプレートのコーナー部近傍を貫通すると共に、両ダイプレートの型締状態を保持するよう作用するタイバーと、前記固定側ダイプレートと移動側ダイプレートとの間に型締力を与える第2の駆動手段と備え、前記各ダイプレートは、入子を着脱可能に締結・保持する汎用主型を内部に収納可能に形成してなる型締装置を有するダイカストマシン等における金型交換方法であって、
金型交換前の状態で第1の金型を形成している、第1の入子を締結した第1汎用レベルに対応する第1の汎用主型を収納する前記各ダイプレートのうち移動側ダイプレートを所定位置まで後退させて固定側ダイプレートとの間に型開き空間を形成する第1の段階と、
前記各第1の汎用主型との締結を解除して前記型開き空間へ前記各第1の入子を取出す第2の段階と、
前記型開き空間へ取出された前記各第1の入子をそれぞれ単独又は、一対の第1の入子として結合して、当該型開き空間から第1の所定位置へ搬出する第3の段階と、
金型交換後の状態で第2の金型を形成するために、前記第1汎用レベルに対応する一対の第2の入子を第2の所定位置へ用意する第4の段階と、
前記第3の段階に続いて、前記第2の所定位置に待機している一対の第2の入子を前記型開き空間へ搬入する第5の段階と、
前記型開き空間において当該一対の第2の入子を分離し、それぞれ前記各第1の汎用主型に締結せしめて前記第2の金型を形成する第6の段階と、
同第6の段階の後、前記移動側ダイプレートを所定の型閉じ位置まで前進せしめる第7の段階からなることを特徴とするダイカストマシン等の金型交換方法。
【請求項10】
ベースと、同ベースの射出側端部に立設固定された固定側ダイプレートと、前記ベース上で前記固定側ダイプレートに対向して進退可能に配置された移動側ダイプレートと、同移動側ダイプレートの進退移動を案内するべく前記ベース上に配設されたガイド手段と、前記移動側ダイプレートを前記ガイド手段上で進退移動させる第1の駆動手段と、前記各ダイプレートのコーナー部近傍を貫通すると共に、両ダイプレートの型締状態を保持するよう作用するタイバーと、前記固定側ダイプレートと移動側ダイプレートとの間に型締力を与える第2の駆動手段とを備え、同第2の駆動手段は、前記固定側ダイプレートのタイバー貫通部に形成された型締シリンダと、前記固定側ダイプレートに取付けられ、同固定側ダイプレートを貫通したタイバーの一端部を締結する第1の締結手段と、前記移動側ダイプレートに取付けられ、同移動側ダイプレートを貫通したタイバーの他端部を締結する第2の締結手段とから構成され、前記各ダイプレートは、入子を着脱可能に締結・保持する汎用主型を内部に収納可能に形成してなる型締装置を有するダイカストマシン等における前記移動側ダイプレートの汎用主型を他の汎用主型と交換するための移動側ダイプレート交換方法であって、
前記移動側ダイプレート交換前の状態で、前記ベース上に配設されている第1汎用レベルに対応する第1の汎用主型を収納する第1の移動側ダイプレートを前記第1の駆動手段によりベース上の第1の所定位置まで後退させて固定側ダイプレートとの間に型開き空間を形成する第1の段階と、
前記各ダイプレートの汎用主型との締結を解除して前記型開き空間へそれぞれ入子を取出す第2の段階と、
前記型開き空間へ取出された前記各入子をそれぞれ単独又は、一対の入子として結合して、当該型開き空間から搬出する第3の段階と、
前記第3の段階後、前記第1の移動側ダイプレートをさらに前記ベース上の第2の所定位置へ後退移動させる第4の段階と、
前記第1汎用レベルと異なる第2汎用レベルに対応する第2の汎用主型を収納した第2の移動側ダイプレートを所定の待機位置に用意する第5の段階と、
前記第4の段階に続いて前記第2の所定位置にある第1の移動側ダイプレートをベース上から搬出する第6の段階と、
同第6の段階後、前記待機位置に用意された第2の移動側ダイプレートを前記第2の所定位置へ搬入する第7の段階とからなることを特徴とする移動側ダイプレート交換方法。
【請求項11】
請求項10記載の移動側ダイプレート交換方法を実施するためのダイカストマシン等における移動側ダイプレートの交換システムであって、
異なる汎用レベルに対応する汎用主型を収納した移動側ダイプレートを1個又は複数個格納する第1の格納手段と、
前記移動側ダイプレートの各汎用主型に対応して用いるよう形成された複数対の入子を格納する第2の格納手段と、
前記第6の段階においてベース上の第2の所定位置から第1の移動側ダイプレートを受取る第1の搬送台車と、
前記第7の段階において前記待機位置に用意された第2の移動側ダイプレートを前記第2の所定位置へ搬入するための第2の搬送台車と、
少なくとも前記第1の格納手段と前記第2の所定位置近傍との間に配設された前記第1及び第2の搬送台車用の第1の搬送路と、
前記第1の搬送路上での前記第1及び第2の搬送台車の移動を制御する搬送制御ユニット、
を備えたことを特徴とするダイカストマシン等における移動側ダイプレートの交換システム。
【請求項12】
請求項11において、前記第1の格納手段内には、前記第2の移動側ダイプレート用の待機位置が設けられていることを特徴とするダイカストマシン等における移動側ダイプレートの交換システム。
【請求項13】
請求項11において、前記第1の搬送路には前記ベース近傍位置にバイパス路が配設され、前記待機位置として当該バイパス路を利用可能としたことを特徴とするダイカストマシン等における移動側ダイプレートの交換システム。
【請求項14】
請求項11において、前記第1の格納手段に格納される移動側ダイプレートは、移動側ダイプレートに着脱可能に締結・保持される汎用主型を収納する第1のタイプと、移動側ダイプレートに一体的に組み込まれ、少なくとも汎用主型を構成する部材の一部が当該移動側ダイプレートの機械的構成部材である汎用主型を収納する第2のタイプとの両方又はいずれか一方のタイプであることを特徴とするダイカストマシン等における移動側ダイプレートの交換システム。
【請求項15】
請求項11乃至14において、前記第1のタイプの移動側ダイプレートを格納する格納手段は、前記第2のタイプの移動側ダイプレートを格納する格納手段と別個の位置に配設したことを特徴とするダイカストマシン等における移動側ダイプレートの交換システム。
【請求項16】
請求項11乃至15において、一対の入子を当該ダイカストマシン等の側部から搬入・搬出可能な入子搭載手段を設けることを特徴とするダイカストマシン等における移動側ダイプレートの交換システム。
【請求項17】
請求項11乃至16において、前記第2の格納手段と前記ダイカストマシン等の側部との間に前記一対の入子を搬送する第2の搬送路を配設すると共に、同第2の搬送路上で前記入子を搭載して搬送するための第3の搬送台車を設けたことを特徴とするダイカストマシン等における移動側ダイプレートの交換システム。
【請求項18】
請求項11乃至17において、前記第1、第2及び第3の搬送台車は、自走式台車であることを特徴とするダイカストマシン等における移動側ダイプレートの交換システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−315058(P2006−315058A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−141978(P2005−141978)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(000003458)東芝機械株式会社 (843)
【Fターム(参考)】