説明

ダイシング装置、ダイシング装置ユニット及びダイシング方法

【課題】ブレードの交換、真直度、同軸度確認及び端面調整並びにノズル調整などを容易に実行でき、且つ、メンテナンスの作業性を向上させ、ダイシング装置の重心を安定化させるとともに設置スペースを縮小させる。
【解決手段】ワークを載置したワークテーブルと、該ワークを切断するブレードと、該ワークテーブル上のワークを前記ブレードに対して相対的に移動させるワークテーブル送り機構と、前記ブレードを回転可能に取り付けたスピンドルと、該スピンドルを支持するスピンドル移動機構とを備え、該スピンドル移動機構と前記ワークテーブル送り機構とが互いに直交して配設されたダイシング装置において、前記スピンドル移動機構と前記ワークテーブル送り機構は、方形に形成されたダイシング装置の方形匡体の対角線上に配置され、且つ、前記ダイシング装置の略中央部にワーク切断加工部が配設されているとともに、前記ダイシング装置の前部にワーク交換部が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はダイシング装置、ダイシング装置ユニット及びダイシング方法に関し、 特に
、半導体ウェハ等のワークをチップに切断分割するコンパクト構造のダイシング装置、ダイシング装置ユニット及びダイシング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェハや電子部品材料等のワークを個々のチップに切断分割するためにダイシング装置が使用される。ダイシング装置は、ワークが載置されるワークテーブルと、該ワークを切断するブレードと、該ワークを前記ブレードに対して相対的に移動させるワークテーブル送り機構と、前記ブレードを回転可能に取り付けたスピンドルと、該スピンドルを移動可能に支持するスピンドル移動機構とを備えている。
【0003】
従来のダイシング装置としては、特開2002−280328(特許文献1)及び特開平11−77461(特許文献2)記載の技術が知られている。特許文献1の技術は、図11に示すように、フロアスペースを増加させることなく安全な機械配置を確保するために、匡体(ダイシング装置Dの本体部)1の右側後部にロードポート2が設けられているとともに、該匡体1の右側前部にワーク洗浄部3が設けられている。
【0004】
又、匡体1の左側中央部にワーク(ウェハ)切断加工部4が配設され、且つ、匡体1の右側中央部にワークテーブル5が設置され、これにより、ロードポート2及びワーク洗浄部3にアクセスできるように構成されている。又、匡体1の前後方向中央部にワークテーブル送り機構6が配置されているため、ワークWはオペレータMから遠く離れた匡体1の前後方向中央部を左右方向に走行する。尚、図中の7はワークWを切断するブレード、8はブレード7を回転自在に取り付けたスピンドルユニット、9はスピンドルユニット8を支持するガイドレール(ガイドレール機構)である。
【0005】
又、特許文献2の技術では、ガイドレール機構は、方形匡体の左側に設置され、且つ、ワークテーブルは方形匡体を左右方向へ横切るように配設されている。そして、スピンドルユニットとガイドレールは、方形匡体の左側にて交差し、この交差部分でワークの切断加工が行われている。
【0006】
通常、ワークを切断加工する際は、所要のワーク位置決め精度が要求されるほか、切断加工時に生ずる振動を抑えるため、特にワーク切断加工部を支持する部分は十分な剛性を有するように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−280328
【特許文献1】特開平11−77461
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1及び2記載の技術は、次のような問題点を有していた。即ち、特許文献1記載の技術では、ワークが匡体上を左右方向に走行し、ブレードがオペレータから遠く離れた匡体の前後方向中央部に存在するため、ブレードを交換する際に、ブレードの交換作業が行い難いという問題があった。
【0009】
又、ブレードがワークテーブルに対して真直であるか否かを確認するには、オペレータはその都度ダイシング装置の前側面から右側面若しくは左側面まで回って確認しなければならない。そして、仮にブレードの真直度が悪い場合には、ブレードの真直度を確認しつつ調整する必要がある。
【0010】
このとき、オペレータは、ブレードとガイドレールが干渉しない場所、例えば、匡体の右側面に移動して、ブレードの真直度を確認・調整しなければならない。しかし、匡体の右側面から真直度の確認・調整作業を行うと、オペレータからブレードまでの距離が遠く離れているので、真直度の確認・調整作業が困難になる。
【0011】
更に、ブレードを取り付ける際、ブレードの基準面となるスピンドル端面に対して、平面度を調整するための端面研磨が実施されるが、この場合、スピンドル端面は、ワークに対するブレードの真直度に大きく影響するため、前記端面研磨を非常に精密に行う必要がある。この端面研磨については、砥石を用いてスピンドル端面を精密に研磨加工して真直度を出す。具体的には、砥石をスピンドル端面に押し当てスピンドルをゆっくりと回しながら、スピンドル端面の突起物を研磨除去しつつ、念入りにスピンドル端面の真直度を高めていく。
【0012】
前記端面研磨を行う際に、例えば、図11に示す対向型のツインスピンドルを有するダイシング装置では、一方のスピンドル端面はダイシング装置の前面側から見えるが、もう一方のスピンドル端面はダイシング装置の背面側を向いているため、ダイシング装置の前面からは一方のスピンドル端面しか研磨することができない。又、ダイシング装置の前面側から前記スピンドル端面までのアクセス距離が長いため、スピンドル端面の研磨作業が非常に難しく、高度の熟練を要する。
【0013】
更に、もう一つのスピンドル端面を研磨する際は、ダイシング装置の背面側にオペレータが回って研磨作業を行っているが、高精度の端面研磨を行う上で高度な技術が強いられている。即ち、ブレード交換やブレード交換後の精度確認においても、ダイシング装置の前面からだけでなく、ダイシング装置の背面側若しくは側面側などに回って精度確認を行う必要がある。
【0014】
一方、特許文献2のダイシング装置では、特に、ワーク切断加工時に生ずる振動を抑えるために、ワーク切断加工部を支持する部分は十分な剛性を持たせているが、剛性が高い分だけダイシング装置の重量も大きくなる。そして、前記重量の大きい部分はダイシング装置の中心に対して片側に偏倚しているため、全体として重心位置もダイシング装置の中心から変位してアンバランスになる。その結果、ダイシング装置が全体のバランスを崩して振動し易くなり、ダイシング装置に予め設定した切断精度が維持されなくなる。
【0015】
また、ワークテ−ブル送り機構及びガイドレール機構は十分な剛性を備えた台座上に取り付ける必要がある。例えば、分厚い板の上にワークテーブル送り機構などを据え付けた場合は、ダイシング装置全体が非常に重くなる。そのため、匡体の4隅に設けた支柱の間に梁を架け渡し、この梁の上にガイドレールやワークテーブル送り機構を設けている。
【0016】
この場合、梁自体の剛性についても、ガイドレールやワークテーブル送り機構の振動を制止できる程度の剛性が要求されるため、前記支柱の間に架け渡す梁の板厚も十分大きく設定する必要があり、それに応じてダイシング装置全体の重量が更に増加し、従って、ダイシング装置の製作コストが高騰するとともに、大掛かりな過大設備が強いられることになる。
【0017】
さらに、ノズル位置の調整も問題となる。ノズルには、ブレードの回転方向に沿って潤
滑作用を付与するための水と、ブレードそのものを切断時の摩擦熱から冷却すべく冷却作用を付与するための水の2種類のノズルがある。潤滑作用のためのノズルは、1つのノズルでブレードの回転に沿って供給するが、ブレードを冷却するためのノズルは、ブレードの左右両方向からブレードの側面に供給する。これらのノズルの向き調整は非常に微妙であり、その向きが正確に設定されない場合には、切削点にて所要の潤滑作用が得られなくなる。そのため、切断加工時の摩擦抵抗により振動を生じたり、或いは、ブレード自体が過熱して切断加工の抵抗が大きくなり、その結果、切断速度が低下したり、或いは、切断精度そのものを悪化させることがある。
【0018】
尚、ウェハを所定の数枚切断した後には、ノズル位置が多少変化することもあるため、ノズルの位置や向きを随時精密に調整する必要がある。このノズル調整については、図8に示すように、同一軸線上に2つのブレードが互いに対峙して存在する場合、メンテナンスを行う際の調整方向の数は全部で3つの方向となる。
【0019】
特許文献1記載のダイシング装置では、ブレード交換に加えて、前記ノズルの位置や向きの調整作業が非常に困難になる。さらに、こうしたノズルの調整や先述した端面研磨などを行う際は、ダイシング装置の前面側のみならず、ダイシング装置の側面側や背面側などに回って調整することが余儀なくされる。
【0020】
上記の如くダイシング装置の前面、側面または背面からメンテナンスを行う場合、次のような問題が付随的に生じる。即ち、同一種類のダイシング装置を多数並べる量産方式の設備においては、ダイシング装置同士を隙間なく隣接させて配置することが要望される。また、オペレータが一人で複数のダイシング装置を監視しながら作業を行う場合もしばしばある。
【0021】
特許文献1に記載のダイシング装置は、ダイシング装置の様々の方向からメンテナンスを行うために、ダイシング装置同士を隙間なく隣接させて配置することは困難である。そのため、隣接する個々のダイシング装置同士を一定の間隔を有するように配置する必要があり、従って、複数台のダイシング装置を配置する場合のフロアスペースの設計においても、1台当たりの専有面積が非常に大きくなるという問題があった。
【0022】
また、ダイシング装置単体におけるスペースの問題もある。特許文献1に記載のダイシング装置は、ダイシング装置の4隅にデッドスペースが生じるためスペースの有効活用が阻害され、結果として、ダイシング装置の機能に対して過大な設備スペースを必要とするという問題があった。
【0023】
そこで、ブレードの交換、真直度、同軸度確認及び端面調整並びにノズル調整などを容易に実行でき、且つ、メンテナンスの作業性を向上させ、ダイシング装置の重心を安定化させるとともに設置スペースを縮小させるために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、ワークを載置したワークテーブルと、該ワークを切断するブレードと、該ワークテーブル上のワークを前記ブレードに対して相対的に移動させるワークテーブル送り機構と、前記ブレードを回転可能に取り付けたスピンドルと、該スピンドルを支持するスピンドル移動機構とを備え、該スピンドル移動機構と前記ワークテーブル送り機構とが互いに直交して配設されたダイシング装置において、前記スピンドル移動機構と前記ワークテーブル送り機構は、方形に形成されたダイシング装置の方形匡体の対角線上に配置され、且つ、前記ダイシング装置の略中央部にワーク切断加工部が配設されているとともに、前記ダイシング装置の前部にワーク交換部が設けられていることを特徴するダイシング装置を提供する。
【0025】
この構成によれば、スピンドル移動機構と前記ワークテーブル送り機構は、方形に形成されたダイシング装置の方形匡体の対角線上に配置され、且つ、前記ダイシング装置の略中央部にワーク切断加工部が配設されているとともに、前記ダイシング装置の前部にワーク交換部が設けられている。
【0026】
すなわち、ワークを切断する際に、ブレードに対して相対的に移動させるワークテーブル送り機構と、スピンドルを支持するガイドレール機構とを有し、ワークテーブル送り機構とガイドレール機構は互いに直交するとともに、これらの機構が方形の方形匡体の対角線上に配置され、且つ、ダイシング装置の略中央部にワーク切断加工部が位置しているので、ワーク切断加工部の剛性が高くて重量が大きい場合でも、重量の大きい部分がダイシング装置の中心部に一致するために、ダイシング装置が全体として重心のバランスが安定化する。その結果、加工時にダイシング装置に振動が伝達し難い構造になり、ダイシング装置に設定した加工精度を常に維持することができる。
【0027】
要するに、ダイシング装置内の略中央にワーク切断加工部が位置することにより、最も高い剛性と精度が要求される部分がダイシング装置の略中央に位置するので、ダイシング装置の重心位置がダイシング装置の中央位置と略一致してダイシング装置全体のバランスが安定化する。そのため、ワーク切断加工時における振動を極力制止することができる。
【0028】
また、ダイシング装置の前部にワーク交換部が位置しているので、ブレードを交換する際は、ダイシング装置の前面側から対峙している何れのブレードに対しても簡便に交換することができる。さらにブレード交換後のブレードの取り付け状態などの確認及び調整、例えば、ブレードの同軸度調整並びにブレードのワークに対する真直度の確認・調整に関してダイシング装置の前面側から簡便に作業を行うことができる。この場合、ブレードのワークに対する真直度は、ワークの切断方向の正面側から視認できる。
【0029】
また、ブレードのスピンドルに対する取り付け同軸度は、ワークの切断方向に対して直角に視認することができる。さらに言えば、ブレードの同軸度調整並びにブレードのワークに対する真直度の確認・調整は双方共に、ダイシング装置の前面側から斜め45度の方向にて視ることができ、このため、ブレードの同軸度及び真直度の確認・調整作業をダイシング装置の前面側だけで実行できるので、オペレータは従来例のようにダイシング装置の側面若しくは背面側に回る必要がない。
【0030】
又、スピンドルの定期的な端面調整についても、前記同様に、ダイシング装置の前面側だけで実行できるので、ダイシング装置の側面若しくは背面側に回ることなく簡便に作業を行える。
【0031】
さらに、潤滑用の水を供給するためのノズルの位置調整、並びに冷却用の水を供給するためのノズルの位置調整についても、前記同等に、ダイシング装置の前面側だけで実行できるので、ダイシング装置の側面若しくは背面側に回ることなく簡便に作業を行える。
【0032】
請求項1記載の発明は、ワーク切断加工部の剛性が高くて重量が大きい場合でも、重量の大きい部分がダイシング装置の中心部に一致するために、ダイシング装置が全体として重心のバランスが安定化する。その結果、加工時にダイシング装置に振動が伝達し難い構造になり、ダイシング装置に設定した加工精度を常に維持することができる。
【0033】
要するに、ダイシング装置内の略中央にワーク切断加工部が位置することにより、最も高い剛性と精度が要求される部分がダイシング装置の略中央に位置するので、ダイシング装置の重心位置がダイシング装置の中央位置と略一致してダイシング装置全体のバランスが安定化する。そのため、ワーク切断加工時における振動を極力制止することができる。
【0034】
また、ブレードの交換、ブレードの同軸度若しくは真直度の確認・調整、スピンドルの端面調整並びにノズルの位置調整を行う際、オペレータはダイシング装置の背面側に移動することなくダイシング装置の前面側にて簡便に作業を実施できるので、これらの作業効率を従来例に比して向上させることができる。
【0035】
請求項2記載の発明は、ワークを載置したワークテーブルと、該ワークを切断するブレードと、該ワークを前記ブレードに対して相対的に移動させるワークテーブル送り機構と、前記ブレードを回転可能に取り付けた2つのスピンドルと、該スピンドルを支持するスピンドル移動機構とを備え、前記2つのスピンドルは同一軸線上にて互いに対向して配設され、前記スピンドル移動機構と前記ワークテーブル送り機構とが互いに直交して配設されたダイシング装置において、前記スピンドル移動機構と前記ワークテーブル送り機構は、方形に形成されたダイシング装置の方形匡体の対角線上に配置され、且つ、前記ダイシング装置の略中央部にワーク切断加工部が配設されているとともに、前記ダイシング装置の前部にワーク交換部が設けられていることを特徴するダイシング装置を提供する。
【0036】
この構成によれば、ワークを切断する際に、ブレードに対して相対的に移動させるワークテーブル送り機構と、スピンドルを支持するガイドレール機構とを有し、ワークテーブル送り機構とガイドレール機構は互いに直交するとともに、これらの機構が方形の方形匡体の対角線上に配置され、且つ、ダイシング装置の略中央部にワーク切断加工部が位置している。依って、ワーク切断加工部の剛性が高くて重量が大きい場合でも、重量の大きい部分がダイシング装置の中心部に一致するために、ダイシング装置が全体として重心のバランスが安定化する。
【0037】
また、ダイシング装置の前部にワーク交換部が位置しているので、ブレードを交換する際は、ダイシング装置の前面側から対峙している何れのブレードに対しても簡便に交換することができる。さらにブレード交換後のブレードの取り付け状態などの確認及び調整、例えば、ブレードの同軸度調整並びにブレードのワークに対する真直度の確認・調整に関してダイシング装置の前面側から簡便に作業を行うことができる。この場合、ブレードのワークに対する真直度は、ワークの切断方向の正面側から視認できる。また、ブレードのスピンドルに対する取り付け同軸度は、ワークの切断方向に対して直角に視認することができる。
【0038】
さらに、ブレードの同軸度調整並びにブレードのワークに対する真直度の確認・調整は双方共に、ダイシング装置の前面側から斜め45度の方向にて視ることができ、このため、ブレードの同軸度及び真直度の確認・調整作業をダイシング装置の前面側だけで実行できるので、オペレータは従来例のようにダイシング装置の側面若しくは背面側に回る必要がない。又、スピンドルの定期的な端面調整についても、前記同様に、ダイシング装置の前面側だけで実行できるので、ダイシング装置の側面若しくは背面側に回ることなく簡便に作業を行える。
【0039】
さらに、潤滑用の水を供給するためのノズルの位置調整、並びに冷却用の水を供給するためのノズルの位置調整についても、前記同等に、ダイシング装置の前面側だけで実行できるので、ダイシング装置の側面若しくは背面側に回ることなく簡便に作業を行える。
【0040】
請求項3記載の発明は、上記方形に形成されたダイシング装置の方形匡体は、その前部一側は斜めに切り欠けられ、且つ、該ダイシング装置の前部一側にワーク交換及びメンテナンスを行うための開口部が設けられていることを特徴する請求項1又は2記載のダイシング装置を提供する。
【0041】
この構成によれば、方形に形成されたダイシング装置の方形匡体は、その前部一側は斜めに切り欠けられ、且つ、該方形匡体の前部一側にワーク交換及びメンテナンスを行うための開口部が設けられている。依って、オペレータはこの開口部からブレード、ノズル及びスピンドルまでのアクセス距離が短くなる。
【0042】
請求項4記載の発明は、請求項3記載のダイシング装置を2台一組として互いに突き合わせた状態で偶数組設置して成るダイシング装置ユニットであって、各組のダイシング装置の方形匡体の前部一側に設けた切欠個所同士が互いに隣接するように配置されていることを特徴するダイシング装置ユニットを提供する。
【0043】
この構成によれば、各組のダイシング装置の方形匡体の前部一側に設けた切欠個所同士が互いに隣接するように配置されているので、複数組のダイシング装置を並べてレイアウトされていても、オペレータは、隣接する切欠個所の開口部からブレード、ノズル及びスピンドルまでのアクセス距離が短くなる。
【0044】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4記載のダイシング装置又はダイシング装置ユニットを用いたダイシング方法であって、ワークを上記方形の方形匡体の一方の対角線方向に沿って搬送して、方形匡体の略中央部に設けたワーク切断加工部にて停止させた後、上記スピンドルに取り付けた上記ブレードをワーク切断位置まで移動させ、該ブレードの回転によりワークを切断することを特徴とするダイシング方法を提供する。
【0045】
この方法によれば、ワークを方形の方形匡体の一方の対角線方向に沿って搬送して、方形匡体の略中央部に設けたワーク切断加工部にて停止させた後、上記スピンドルに取り付けたブレードをワーク切断位置まで移動させ、該ブレードの回転によりワークを切断する。この場合、最も剛性の高いワーク切断加工部分がダイシング装置の略中央に位置するので、ダイシング装置全体の重心位置が該ダイシング装置の中央位置と略一致してダイシング装置のバランスが安定化し、振動が生じ難い状態でワークに対して切断加工が実施される。
【発明の効果】
【0046】
請求項1記載の発明は、ワーク切断加工部の剛性が高くて重量が大きい場合でも、重量の大きい部分がダイシング装置の中心部に一致するために、ダイシング装置が全体として重心のバランスが安定化する。その結果、加工時にダイシング装置に振動が伝達し難い構造になり、ダイシング装置に設定した加工精度を常に維持することができる。
【0047】
要するに、ダイシング装置内の略中央にワーク切断加工部が位置することにより、最も高い剛性と精度が要求される部分がダイシング装置の略中央に位置するので、ダイシング装置の重心位置がダイシング装置の中央位置と略一致してダイシング装置全体のバランスが安定化する。そのため、ワーク切断加工時における振動を極力制止することができる。
【0048】
また、ブレードの交換、ブレードの同軸度若しくは真直度の確認・調整、スピンドルの端面調整並びにノズルの位置調整を行う際、オペレータはダイシング装置の背面側に移動することなくダイシング装置の前面側にて簡便に作業を実施できるので、これらの作業効率を著しく向上させることができる。
【0049】
請求項2記載の発明は、最も高い剛性と精度が要求されるワーク切断加工部分がダイシング装置の略中央に位置するので、ダイシング装置全体の重心位置が該ダイシング装置の中央位置と略一致してダイシング装置のバランスが安定化する。そのため、切断加工時にダイシング装置全体として振動が生じ難い構造になり、ダイシング装置に設定した加工精度を常に維持することができる。
【0050】
また、ブレードの交換、ブレードの同軸度若しくは真直度の確認・調整、スピンドルの端面調整並びにノズルの位置調整を行う際、オペレータはダイシング装置の背面側に移動することなくダイシング装置の前面側にて簡便に作業を実施できるので、これらの作業性を大幅に向上させることができる。
【0051】
請求項3記載の発明では、オペレータはブレード、ノズル及びスピンドルまでのアクセス距離が短くなるので、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、方形匡体の外形寸法が大きい場合でも、ブレードの交換、ブレードの同軸度若しくは真直度の確認・調整作業、スピンドルの端面調整作業並びにノズルの位置調整作業を一層簡便に行うことができる。
【0052】
請求項4記載の発明では、複数組のダイシング装置を並べてレイアウトしたことにより、ワークのダイシング加工の生産性向上が図られるとともに、隣接するダイシング装置同士を詰めて配置できるので、スペースの有効活用が可能になり、ダイシング装置1台当たりの専有面積が小さくなり、設備の省スペース化が可能になる。
【0053】
しかも、ブレードの交換、ブレードの同軸度若しくは真直度の確認・調整、スピンドルの端面調整並びにノズルの位置調整を行う際に、オペレータはブレード、ノズル及びスピンドルまでのアクセス距離が短くなるので、複数台のダイシング装置を一個所に集約化した場合でも、ブレードの交換、ブレードの同軸度若しくは真直度の確認・調整作業、スピンドルの端面調整作業並びにノズルの位置調整作業をより簡便に行うことができる。
【0054】
請求項5記載の発明は、ワークの切断加工を行う際に振動が生じ難いので、ダイシング装置に設定した高い加工精度を安定して確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施例を示し、ダイシング装置の各部のレイアウトを説明する配置平面図。
【図2】図1のダイシング装置を2台並べた構成例を示す平面図。
【図3】本実施例に係るダイシング装置のローダを共用化して2台並べた構成例を示す平面図。
【図4】図1のダイシング装置を4台並べた構成例を示す平面図。
【図5】本実施例に係るブレードをスピンドルに取り付けるときの状態を説明する斜視図。
【図6】図5のブレード外周の側面に電気マイクロメータのピックアップを当ててブレードの揺れ幅を測定するときの状態を説明する斜視図。
【図7】図5のブレードの最外周部に電気マイクロメータのピックアップを当ててブレードの真円度を測定するときの状態を説明する側面図。
【図8】本実施例においてスピンドルの交換等を説明するための図であり、(a)はスピンドルAの交換等を説明するための平面図、(b)はスピンドルBの交換等を説明するための平面図。
【図9】本実施例において筐体上のワーク交換部位置側はクリーンゾーンであり、スピンドル移動機構を挟んでその反対側はダーティゾーンであることを説明するための平面図。
【図10】筐体形状の変形例を示す図であり、(a)は8角形とした場合の平面図、(b)は7角形とした場合の平面図。
【図11】従来本例を示し、ダイシング装置の各部のレイアウトを説明する配置平面図。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本発明は、ブレードの交換、真直度、同軸度確認及び端面調整並びにノズル調整などを容易に実行でき、且つ、メンテナンスの作業性を向上させ、ダイシング装置の重心を安定化させるとともに設置スペースを縮小させるという目的を達成するために、ワークを載置したワークテーブルと、該ワークテーブル上のワークを切断するブレードと、該ワークを前記ブレードに対して相対的に移動させるワークテーブル送り機構と、前記ブレードを回転可能に取り付けたスピンドルと、該スピンドルを支持するスピンドル移動機構とを備え、該スピンドル移動機構と前記ワークテーブル送り機構とが互いに直交して配設されたダイシング装置において、前記スピンドル移動機構と前記ワークテーブル送り機構は、方形に形成されたダイシング装置の方形匡体の対角線上に配置され、且つ、前記ダイシング装置の略中央部にワーク切断加工部が配設されているとともに、前記ダイシング装置の前部にワーク交換部が設けられていることによって実現した。
【実施例1】
【0057】
以下、本発明の好適な実施例を図1乃至図7に従って説明する。図1は本実施例に係るダイシング装置21を示す平面図である。同図に示すように、ダイシング装置21の本体部である匡体22の平面視形状は方形に形成され、方形匡体(以下、「方形匡体」という。)22の右前側隅部の直角二等辺三角形部分は切り欠けられ、ダイシング装置21の前面に対して45度の角度をなす斜辺縁部が形成されている。該斜辺縁部には開閉カバー付きの開口部23が設けられ、この開口部23から方形匡体22上にてワーク交換及びメンテナンス作業を実施できるように構成されている。
【0058】
又、方形匡体22上には、ワークであるウェハWが載置される回転可能なワークテーブル24と、該ウェハWを切断するブレード25,25と、ウェハWを載置したワークテーブル24をブレード25,25に対して相対的に移動させるワークテーブル送り機構26とが設けられている。ワークテーブル送り機構26は、図2に示すように、方形匡体22の右前側隅部と左後側隅部とを結ぶ第1対角線上に設置されている。
【0059】
更に、方形匡体22上にはスピンドル移動機構28が設置され、該スピンドル移動機構28はガイドレール29を備えている。スピンドル移動機構28は、方形匡体22の左前側隅部と右後側隅部とを結ぶ第2対角線上に設置されている。このため、スピンドル移動機構28は、ワークテーブル送り機構26に対して直交するように配置されている。従って、スピンドル移動機構28のガイドレール29は、ワークテーブル送り機構26によるワーク送り方向に対して直角に交差している。
【0060】
ガイドレール29には、2つのスピンドル30,30が移動可能に支持され、該スピンドル30,30は同一軸線上にて互いに対向して配設されている。各スピンドル30,30にはブレード25,25が回転可能に取り付けられている。
【0061】
又、ダイシング装置21の略中央部、即ち、方形匡体22におけるスピンドル移動機構28とワークテーブル送り機構26とが直交する部分にはワーク切断加工部32が配設され、該ワーク切断加工部32においてブレード25,25によりウェハWを切断加工できるように構成されている。
【0062】
本実施例のウェハ切断加工部32においては、ブレード25,25を保持するスピンドル30,30の移動距離を対角線の長さに応じて長くできるため、大口径のウェハであってもこれを効率良く切断することができる。又、スピンドル移動機構28(又はガイドレール29)は強度的に門型構造に形成することを可とし、本実施例では、スピンドル移動機構28を支持する門型の支柱は、ダイシング装置21の方形匡体22の支柱と共用することができるように構成されている。
【0063】
そのため、剛性の高いスピンドル移動機構28用の門型の支柱を特別に設けなくとも、ダイシング装置21内にスピンドル移動機構28及びガイドレール29を効率良く配置でき、高剛性かつ高精度のダイシング装置21を構成することができる。
【0064】
更に、ダイシング装置21の右前側部分にはワーク交換部33が設けられ、該ワーク交換部33は、方形匡体22の右前側斜辺縁部に設けた開口部23に近接して配置されている。このワーク交換部33において、ワークテーブル24に載置されたウェハWを容易に交換できる。
【0065】
図中の符号34は、ワーク切断加工部32から流れ出る切削水や洗浄水の廃液を受けるオイルパンであり、オイルパン34はワークテーブル送り機構26を包囲するように形成されている。
【0066】
更に、方形匡体22における左後側隅部には、排水口35を有する排水機構36と、排気口37を有する排気機構38とが配設されている。前記排水口35は、高速回転するブレード25,25でウェハWを切断する際に、該ブレードWの回転方向に沿って切削水や洗浄水が飛散する方向の略延長線上に配置されている。また、前記排気口37は排水口35と対応する真上部に形成されている。尚、ダイシング装置21の所定位置には、操作・表示部、撮像手段、モニターテレビ、表示灯及びコントローラ(図示せず)等が設けられている。
【0067】
次に、上記ダイシング装置21を用いたダイシング加工方法について説明する。先ず、スピンドル30,30にブレード25,25を取り付けるとともに、ワークテーブル24にウェハWを載置固定する。次いで、ワークテーブル24をワークテーブル送り機構26により方形匡体22の第1対角線方向に沿って方形匡体22の略中央部側に搬送させ、ワーク切断加工部32にウェハWを所定の移動速度で搬入させる。
【0068】
然る後、ワーク切断加工部32の中心に向かってスピンドル30,30を移動させ、該スピンドル30,30に取り付けたブレード25,25を高速回転させながら、ウェハWの切断加工を行う。加工中、スピンドル30,30先端に設けた切削水用ノズル及び洗浄用ノズル(図示せず)から夫々切削水及び洗浄水をウェハWの加工ポイントに供給する。
【0069】
そして、供給された切削水(洗浄水を含む。以下同じ。)は、オイルパン34により受けられた後、オイルパン34の下流側に流れて、排水口36より排水管を通過して外部に排出される。又、加工時に、切削水と共にミストがブレード25,25の回転方向に沿って飛散し、飛散したミストは、上昇しつつワーク切断加工部32から方形匡体22の左後側隅部に向かって流れる。方形匡体22の左後側隅部に流れたミストは、排水口35の上方に設けた排気口37より排気管を通過して外部に排出される。
【0070】
而して、ウェハWに対する1つの切断ラインに沿うダイシング加工が終了すると、ブレード25,25は、次に加工する隣の切断ラインにインデックス送りされて位置決めされ、前記と同様の加工手順により、当該切断ラインに沿うダイシング加工が実施される。
【0071】
そして、前記ダイシング加工が繰り返されることにより、所定数の切断ラインに沿うダイシング加工が全て終了すると、ワークテーブル24と共にウェハWを90度回転させて、前記と同様の加工手順により、前述した切断ラインと直交する方向の切断ラインに沿ってダイシング加工が行われる。
【0072】
而して、当該切断ラインに沿うダイシング加工が全て完了すると、ウェハWは多数のチップに切断分割される。この後、ウェハWを載置したワークテーブル24はワークテーブル移動機構26によりワーク交換部33に搬送され、次に加工すべきウェハWと交換される。この後、上記した加工手順に従って、当該ウェハWのダイシング加工が新たに実施される。
【0073】
次に、本発明に係るダイシング加工の具体的な実施態様について補足説明する。上記ブレード25は、図5に示すように、ブレード25を取り付けるブレードフランジ50に倣わせるようにして取り付ける。そして、ブレードフランジ50端面にブレード25を嵌め込み、その上から、ナット51を締めこむことでブレード25を固定する。ブレードフランジ50の真直度が十分に出ているため、真直度が狂うことはほとんどないが、ブレード25とブレードフランジ50の間に異物が噛み込んだり、或いは、ナット51の締め付けが十分ではない場合においては、真直度が確保できない場合がある。
【0074】
前記ブレード25を締め付けるナット51は専用のトルクレンチを使用して、約40Kgf
・cm程度のトルクで締め付ける。ブレード25を取り付け後、図6に示すように、ブレード25外周の側面に電気マイクロメータ52のピックアップ53を当てて、ブレード25をゆっくり回転させながら、ブレード25の振れ幅を測定する。また、電気マイクロメータ52上記ワークテーブル24上に固定して、ブレード25を相対的にゆっくり前後にスライドさせて、ブレード25の真直度を確認する。
【0075】
この場合、ブレード25を少し回転させては前記同様に、ブレード25を相対的にゆっくり前後にスライドさせる。ブレード25がブレードフランジ50に対して傾いて取り付けられて、ブレード25の真直度が出ていない場合には、ブレードフランジ50端面の真直度と比較して相対的に位置ずれを生じる。その位置ずれを確認することにより、ブレード25の真直度を確認することができる。
【0076】
こうした測定では、電気マイクロメータ52を正確にセットすることが要求される。真直度を確認するための電気マイクロメータ52を正確にセットするには、ブレード25の外周付近の所定の場所に電気マイクロメータ52のピックアップ53をあてて、ブレード25の略正面とブレード25の側面、すなわちブレード25が線状にみえる方向との両方から見て確認する必要がある。本発明の前記構成によれば、ブレード25及びスピンドル30端面は対向型であったとしても、両方を同様に視認することができるため、こうしたメンテナンスを好適に実施することが可能となる。通常、この真直度の調整において、その振れ幅の範囲は、1〜3μm以下に抑えて調整する。
【0077】
また、ブレード25の同軸度の確認においては、図7に示すように、ブレード25の最外周部に電気マイクロメータ52のピックアップ53をあてて測定する。ブレード25単体の真円度は、ブレード25自体の検査に委ねられる。一方、同軸度においては、ブレード25の中心とスピンドル30の中心とが合致していない場合に不良となるため、これはブレード25交換のメンテナンスのときに起こる。そのため、ブレード25を交換し、新たに取り付けたときには、この同軸度調整も出来る限り行った方が望ましい。
【0078】
この同軸度が確保されていない場合は、被加工物を切断時にブレード25が被加工物に対して、断続的に接触し、ブレード25外周が片べりすることがある。また、極端な場合、振動を誘発し、精度よくカットできない場合もある。こうした同軸度の測定は、ブレード25外周に電気マイクロメータ52のピックアップ53をあてて、スピンドル30とブレード25をゆっくり回転させながら、その振れ幅をみる。一回転に応じて振れ方が周期的に現れるが、その振れ幅の半分が同軸度に相当する。この同軸度も1〜3μm以下程度にすることが望ましい。
【0079】
こうした同軸度についても、ブレード25を切断方向から見て、ブレード25が線状にみえる場所でブレード25と電気マイクロ52のピックアップ53の位置を確認し、その状態でブレード25最外周部の先端に電気マイクロメータ52のピックアップ53を当てる。この位置がずれると、同軸度は良いにもかかわらず、振れ幅が悪い結果となる場合もあるため、十分注意して適正な方向から、調整する必要がある。本発明の構成では、これを適正な方向から行うことができるため、ブレード25を取り付けた後の精度確認を正確に行うことが出来る。
【0080】
こうしたブレード25としては例えば、三菱マテリアル製MD325-50KM050の回転刃などを好適に使用できる。ブレード25先端部にはダイヤモンド砥粒がメタル電着されている。また、ビトリファイドボンドなどで焼結されたブレード25なども好適に使用できる。こうしたブレード25は切断時に目つぶれを起こしつつもダイヤモンドが脱落して、新しい砥粒が中から出てくるといった砥粒の自生作用を利用すると、ブレード25を比較的長く使用することが出来る。
【0081】
切削する被加工物としては、通常ではシリコンウェハや半導体デバイス向けのシリコンウェハなどが多くあるが、これに限ったものではない。アルミナ等のセラミックスや石英ガラス、また、サファイア基板上のGaN、AlTiC基板など様々な被加工物の切断加工に対して適用できる。また、被加工物の形状についても、ウェハは円盤状であるが、角型基板などについてもワークテーブル24の形態を変えることで対応することが可能である。
【0082】
被加工物の切断条件としては、たとえば以下の条件を用いることができる。
スピンドル回転数 10000rpm〜30000rpm
ワーク(被加工物)の送り速度:50〜100mm/sec
潤滑用純水:1〜2L/min、冷却用純水:0.5L/min〜2L/min
潤滑用純水は、特に切削時ブレード25の切り込みに沿いつつ、ブレード25の回転で巻き込むようにしながら、切削点に純水を運びつつ供給する。また、ブレード25の側面からはブレード25そのものが熱を持たないように冷却用として水を供給する。これも0.5〜2L/min程度の供給量でよい。
【0083】
尚、こうした条件は、ワーク(被加工物)の材質や厚みなどによっても最適化されるものであり、上記はあくまで一例である。ワーク(被加工物)の切断方向は一方向であり、ブレード25が回転し、未切断部分がブレード25の回転によって自然に巻き込まれる方向にワークを送る。一度のワークの手前でブレード25を下ろし、ワークを切断してワークを通り越すと、スピンドル30を1ピッチずらして、次の切断位置に移動する。また、それ
と同時にブレード25を一旦上に持ち上げて、ワークの上を移動し、再度、ワークの前方でブレード25を下ろしてワークを一直線に切断する。これを繰り返して、切断ごとにワークを順次移動させて等間隔で一直線に切断していく。
【0084】
一方向の切断が完了すると、ワークテーブル24を90度回転させ、再度ワークに対してスピンドルを相対的に移動させ、一直線上に順に切断していく。これをすべて終えると、一つのワークを多数の小さい角片(チップもしくはダイとよぶ)に区分けすることができ、切断加工が完了する。こうした切断加工はシングルスピンドル、すなわち一つのブレードを有するスピンドルで完全に切断するまで加工しても良いが、もう一つの方式としてはダブルスピンドルであってもよい。ダブルスピンドルでは対向型のスピンドルが多用される。対向型スピンドルでは、一方のスピンドルのブレードを初期切断とし、もう一方を最終切断としてブレード自体もそのワークの状態に応じて区分けすることができる。
【0085】
まず、初期切断で被加工物を完全に切断せず、表面付近に切り目を入れていく。次にスピンドルを1ピッチ分送ると、最終切断用のブレードが同じラインに合わされて、ワーク
を送りながら、同一のラインを最終切断用のブレードが走り、完全にワークを切断する。こうしたワーク(被加工物)の切断方法は、たとえば、ワークの表面と内部で組成が変わる場合など好適に使用できる。
【0086】
例えば、表面が酸化膜であって内部がシリコンなどである場合、初期切断は比較的硬いものを切断するブレードを選択し、最終切断は比較的柔らかい材料を切断できるブレードを使用すればよい。こうした切断方法を区分けすることでスループットも向上し、なおかつ材料の特性に応じた効率よい切断加工を実施することができる。また、対向する二つのブレードの間隔は、切断するダイ(チップ)の間隔に対応させておけばよい。チップサイズが小さい場合においては、二つのダイ(チップ)間隔で対向するブレードの間隔を設定しても良い。
【0087】
所定数枚のウェハWをダイシング加工すると、オイルパン34の最下流側底部に設けた排水口35の近傍に研削屑(研削粉を含む)が堆積するので、ダイシング装置21の稼動を定期的に停止して、オイルパン34の清掃が実行される。
【0088】
叙上の如く本発明によると、ワークテーブル送り機構26は、方形匡体22の第1対角線上に配置されているとともに、スピンドル移動機構28は、方形匡体22の第2対角線上に配置され、方形筐体22の略中央部にワーク切断加工部32が配設されている。
【0089】
従って、最も高い剛性と精度が要求されるワーク切断加工部32、すなわち、最大重量部分の重量が大きい場合でも、この重心位置がダイシング装置21の中央位置と略一致しているので、ダイシング装置21全体のバランスが安定化する。斯くして、ワーク切断加工時に、ダイシング装置21の重心のアンバランスに起因する振動の発生が極力制止されるため、ダイシング装置21に設定した加工精度が安定的に維持される。
【0090】
また、方形筐体22の右前側隅部にワーク交換部33が設けられているので、ブレード25,25を交換する際には、オペレータは、ダイシング装置21の右前側隅部から2つのブレード25,25の何れも簡便に交換できる。さらに、交換後のブレード25,25の取り付け状態などの確認・調整、例えば、ブレード25,25の同軸度調整・確認並びにブレード25,25のウェハWに対する真直度の確認・調整作業も、ダイシング装置21の右前側隅部から簡便に実施できる。この場合、ブレード25,25のウェハWに対する真直度は、ウェハWの切断方向における正面側から正確かつ容易に視認できる。
【0091】
また、ブレード25,25のスピンドル30,30に対する取り付け同軸度は、ウェハWの切断方向に対して直角方向より視認することができる。さらに、ブレード25,25の同軸度調整並びにブレード25,25のウェハWに対する真直度の確認・調整は双方共に、ダイシング装置21の前右側隅部から斜め45度の方向にて視ることができる。その結果、ブレード25,25の同軸度及び真直度の確認・調整作業を行う際、オペレータMはダイシング装置21の前右側隅部にて実行できるので、従来例のようにダイシング装置21の側面若しくは背面側に回る必要がない。
【0092】
又、スピンドル30,30の定期的な端面調整についても、前記同様に、ダイシング装置21の前面側だけで実行できるので、従来例のようにダイシング装置21の側面若しくは背面側に回ることなく簡便に作業を行える。
【0093】
さらに、潤滑用の水を供給するためのノズルの位置調整、並びに冷却用の水を供給するためのノズルの位置調整についても、前述の手順と同様に、ダイシング装置21の前右側隅部にて簡便に作業を行える。
【0094】
本実施例では、方形匡体22の右前側隅部は45度の右斜め方向に切り欠けられ、該切り欠けられた斜辺縁部に、ワーク交換及びメンテナンスを行うための開口部23が設けられている。依って、オペレータはこの開口部23からブレード25,25、スピンドル30,30及び前記ノズルまでのアクセス距離が短くなるので、方形匡体22の外形寸法が大きい場合でも、ブレード25,25の交換作業、ブレード25,25の同軸度若しくは真直度の確認・調整作業、スピンドル30,30の端面調整作業並びにノズルの位置調整作業を容易迅速に行うことができ、これらの作業性が従来例に比し大幅に向上する。
【0095】
本発明に係るダイシング装置21は、図2乃至図4に示すように、2台一組として互いに突き合わせた形態で偶数組設置することにより、ダイシング装置ユニット40を構成することができる。この場合、各組のダイシング装置21,21の方形匡体の前部一側に切り欠けられた斜辺縁部(開口部23,23)同士が互いに隣り合うように配置される。
【0096】
このダイシング装置ユニット40によれば、2台または4台のダイシング装置21が突合せて並置されることにより、ウェハWの個数が多数であっても、ダイシング加工の生産性を向上させることができる。
【0097】
本発明では、図3に示すように、2台のダイシング装置21,21の間にローダ41を共通に設置することができる。このように構成すると、2台のダイシング装置21,21でローダ41を共用化でき、設備コストの低減化が可能になる。また、図4に示すように、ダイシング装置ユニット40の右側又は左側を構成する前後一対のダイシング装置21,21同士の隣接部外側には、排気管及び排水管を含む配管エリア42を共用できる。このように構成すると、配管エリア42の共用化に伴い、ダイシング設備の省スペース化及び配管コストの低減化が可能になる。
【0098】
しかも、隣接する4台のダイシング装置21,21,21,21同士を互いにつき合わせて配置することにより、配置スペースの一層の有効活用が可能になるので、ダイシング装置1台当たりの専有面積が小さくなり、設備の大幅な省スペース化が可能になる。
【0099】
偶数台のダイシング装置21,21を一個所に並置した場合でも、オペレータMは、隣接する切欠個所のスペースが増大するため作業性が向上し、左右両側の開口部23,23から2台の各ダイシング装置21,21の双方のブレード25,25、スピンドル30,30及び前記ノズルに対するアクセス距離が短くなる。従って、ブレード25,25の交換、ブレード25,25の同軸度若しくは真直度の確認・調整、スピンドル30,30の端面調整並びにノズルの位置調整を行う際に、当該確認調整作業、端面調整作業及び位置調整作業をより簡便に実施でき、保守点検作業性を大幅に向上させることができる。
【0100】
さらに、メンテナンス向上性については、図8の(a)、(b)に示すような方法でブレード25,25を回転させるスピンドル等の交換も可能である。スピンドル交換も定期的に行われ、交換前にも回転精度チェックなど様々な作業が行われる。
【0101】
スピンドル交換位置としては、ワーク交換部33位置を境として、スピンドル移動機構28の両端方向にそれぞれ存在する。通常ダイシング装置では、スピンドルは対向した形で二つのスピンドルを有する。ワーク交換部33位置から向かって左側のスピンドルをスピンドルA、右側のスピンドルをスピンドルBとする。
【0102】
スピンドルAを交換するには、図8 (a)に示すように、ワーク交換部33位置の左側にスピンドルA,Bを移動して寄せる。この左側に寄せた位置をスピンドルメンテナンス位置1(SP・MT1)とする。スピンドルAのメンテナンスはワーク交換部33位置の左側のパネルを開くだけですぐにアクセスすることが可能となり、スピンドルA内部のメンテナンスやスピンドルの交換などが方向(3)で示すように装置外部から容易に行うことができる。
【0103】
また、スピンドルメンテナンス位置1(SP・MT1)では、スピンドルBのブレード25の調整が可能となる。特に、スピンドルメンテナンス位置1(SP・MT1)の方向(1)で示す左側からスピンドルBをみると、スピンドルBのブレード25を略正面からみることができる。そのため、スピンドルBブレード25の真円度測定、ブレード25のスピンドルBに対する同軸度測定及びスピンドルBの端面研磨と測定など、目視で確認しながら、ブレード取り付け調整と測定を行うことが可能となる。
【0104】
さらに、スピンドルメンテナンス位置1(SP・MT1)の方向(2)で示す右側からスピンドルBをみると、スピンドルBのブレード25を真横から見ることができる。そのため、スピンドルBのブレード25のワークに対する垂直度の測定や調整において、目視で確認しながら、ブレード25の取り付け調整と垂直度や振れの測定を行うことができる。
【0105】
次に、右側のスピンドルBを交換する場合は、図8 (b)に示すように、ワーク交換部33位置の向かって右側にスピンドルB,Aを移動して寄せる。その右側に寄せた位置をスピンドルメンテナンス位置2(SP・MT2)とする。スピンドルBのメンテナンスは、ワーク交換部33位置の右側のパネルを開くだけですぐにアクセスすることが可能となり、スピンドルB内部のメンテナンスやスピンドルの交換などが方向(6)で示すように装置外部から容易に行うことができる。
【0106】
また、スピンドルメンテナンス位置2(SP・MT2)では、先と同様にスピンドルAのブレード25の調整が可能となる。特に、スピンドルメンテナンス位置2(SP・MT2)の方向(4)で示す右側からスピンドルAをみると、スピンドルAのブレード25を略正面からみることができる。そのため、スピンドルAブレード25の真円度測定、ブレード25のスピンドルAに対する同軸度測定及びスピンドルAの端面研磨と測定など、目視で確認しながら、ブレード取り付け調整と測定を行うことが可能となる。
【0107】
さらに、スピンドルメンテナンス位置2(SP・MT2)の方向(5)で示す左側からスピンドルAをみると、スピンドルAのブレード25を真横から見ることができる。そのため、スピンドルAのブレード25のワークに対する垂直度の測定や調整において、目視で確認しながら、ブレード25の取り付け調整と垂直度や振れの測定を行うことができる。
【0108】
従来装置の場合、スピンドル交換するにおいても、装置外側からスピンドル位置までの距離が長いため、交換が手間取っていたり、片側のスピンドルはアクセスしやすい一方、他側のスピンドルはアクセスしにくいなどの問題があった。また、対向するスピンドルとそのスピンドルに取り付けられたブレードに対して、ブレード調整ではブレードの正面側から見ることと、ブレードの側面側から見ることと両方の動作が必要であり、従来装置においては、少なくとも3方向から装置内に入り込んで調整と測定を行う必要があった。
【0109】
本装置構成においては、対向するスピンドルA,Bにおいてブレード25調整やスピンドルA,B調整に対して、上述した僅か二つのスピンドルメンテナンス1,2位置で、簡単に調整することが可能となる。また、一つのメンテナンス位置で、ブレードを2方向から確認することが可能となるため、ブレード据付と調整、その調整後の確認測定を効率よく行うことができる。
【0110】
また、ブレード調整や、スピンドルメンテナンスとともに、ブレードに冷却水を吹き付けるノズル位置もノズル向きやブレードに対する位置関係など、対向するブレードにおいて、それぞれのブレードで双方向から位置を確認することが可能となる。こうした構成により、スピンドルメンテナンスを装置の外側から非常に近い位置で作業することができるとともに、従来に比べて非常に簡便に精度調整作業を行うことができる。
【0111】
以上の構成は、方形筐体22の略対角線上にスピンドル移動機構28があり、それと垂直にワークテーブル送り機構26があり、ワークテーブル送り機構26のスピンドル移動機構28より手前側にワーク交換部33位置があり、奥側に排水口やミスト排気部がある。
【0112】
しかし、こうした構成を言い換えれば、厳密には方形筐体ではなくてもよい。即ち、ワーク交換部33位置からスピンドル移動機構28に至る部分は、徐々に装置の筐体幅を広げていく構成とするのでもよい。それは、先に述べたとおり、スピンドルやブレードのメンテナンス、ワーク切断加工のための冷却水のノズル調整が様々な角度から行いやすくなるからである。スピンドル移動機構28部分の奥行きはある程度確保するとして、次に、切削水・切削ミストの排水・排気効率を向上させるために、徐々に装置の筐体幅を狭くしていく構成にするとよい。
【0113】
そのようにすることで、スピンドル移動機構28とワークテーブル送り機構26が交差する加工部分から飛散する切削水や切削水ミストは、筐体幅が狭くなることで流速が増して、効率よく排除することが可能となる。
【0114】
結果的に言い換えれば次のような構成になる。即ち、ワーク交換部33位置からスピンドル移動機構28までは徐々に装置の筐体幅が増大し、スピンドル移動機構28の位置で最も幅が大きくなる。そのスピンドル移動機構28から、ワーク交換部33位置と反対側にある排水・排気機構36,38までは、徐々に装置の筐体幅が狭くなるように構成する。図9に示すように、装置のワーク交換部33位置側はクリーンゾーンCL・Zであり、メンテナンスゾーンも隣接する。一方、スピンドル移動機構28を挟んで反対側は、ワーク切断加工によるワークのスラッジや、切削水、切削水ミストなどが飛散するダーティゾーンDT・Zとなる。
【0115】
こうした領域分けをするためには、ワーク交換部33位置とワーク切断加工部32位置と排水・排気機構36,38位置とが略直線状に配置され、ワーク切断加部工部32位置を境にしてワーク交換部33位置と、排水・排気機構36,38位置とが、反対側に配置される必要がある。
【0116】
そのように捉えれば、厳密には方形筐体ではなくともよい。例えば、筐体コーナー部分を面取りして、図10(a)に示すように、略8角形の筐体22aや、同図(b)に示すように、略7角形の筐体22bの装置としてもよい。結果的に上記に示した作用効果は大きく変わらない。筐体22aを略8角形とする場合は、その中における各部の構成は次のように示すことができる。即ち、スピンドル移動機構28とワークテーブル送り機構26はそれぞれが一定の幅を持ち、それらは直交して配置される。
【0117】
スピンドル移動機構28の幅の部分で構成される両端面で、8角形の2辺をなす。ワークテーブル送り機構26の幅の部分で構成される端面で一辺をなし、排水・排気機構36,38部分の幅で構成される端面で一辺をなす。残りの4辺はこれらの辺をつなげるように、構成する。8角形のうち2辺は、スピンドルメンテナンス位置SP・MT1及びSP・MT2に相当させてもよい。
【0118】
なお、7角形の筐体22bとする場合、排水・排気機構36,38部分は中央部に切削水を集めるためにあえて辺ではなく、頂点として構成し、あとは8角形の筐体22a場合と同様にすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、ワークをブレードに対して相対的に移動させるワークテーブル送り機構と、スピンドルを支持するスピンドル移動機構とを備えたダイシング装置であれば全て適用可能である。
【符号の説明】
【0120】
21 ダイシング装置
22 方形匡体
23 開口部
24 ワークテーブル
25 ブレード
26 ワークテーブル送り機構
29 ガイドレール
28 スピンドル移動機構
30 スピンドル
32 ワーク切断加工部
33 ワーク交換部
34 オイルパン
35 排水口
36 排水機構
37 排気口
38 排気機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを載置したワークテーブルと、該ワークを切断するブレードと、該ワークテーブル上のワークを前記ブレードに対して相対的に移動させるワークテーブル送り機構と、前記ブレードを回転可能に取り付けたスピンドルと、該スピンドルを支持するスピンドル移動機構とを備え、該スピンドル移動機構と前記ワークテーブル送り機構とが互いに直交して配設されたダイシング装置において、
前記スピンドル移動機構と前記ワークテーブル送り機構は、平面視方形に形成されたダイシング装置の方形匡体の対角線上に配置され、且つ、前記ダイシング装置の略中央部にワーク切断加工部が配設されているとともに、前記ダイシング装置の前部にワーク交換部が設けられていることを特徴するダイシング装置。
【請求項2】
ワークを載置したワークテーブルと、該ワークを切断するブレードと、該ワークテーブル上のワークを前記ブレードに対して相対的に移動させるワークテーブル送り機構と、前記ブレードを回転可能に取り付けた2つのスピンドルと、該スピンドルを支持するスピンドル移動機構とを備え、前記2つのスピンドルは同一軸線上にて互いに対向して配設され、前記スピンドル移動機構と前記ワークテーブル送り機構とが互いに直交して配設されたダイシング装置において、
前記スピンドル移動機構と前記ワークテーブル送り機構は、平面視方形に形成されたダイシング装置の方形匡体の対角線上に配置され、且つ、前記ダイシング装置の略中央部にワーク切断加工部が配設されているとともに、前記ダイシング装置の前部にワーク交換部が設けられていることを特徴するダイシング装置。
【請求項3】
上記平面視方形に形成されたダイシング装置の方形匡体は、その前部一側は斜めに切り欠けられ、且つ、該ダイシング装置の前部一側にワーク交換及びメンテナンスを行うための開口部が設けられていることを特徴する請求項1又は2記載のダイシング装置。
【請求項4】
請求項3記載のダイシング装置を2台一組として互いに突き合わせた状態で偶数組設置して成るダイシング装置ユニットであって、各組のダイシング装置の方形匡体の前部一側に設けた切欠個所同士が互いに隣接するように配置されていることを特徴するダイシング装置ユニット。
【請求項5】
請求項1乃至4記載のダイシング装置又はダイシング装置ユニットを用いたダイシング方法であって、ワークを方形匡体の一方の対角線方向に沿って搬送して、方形匡体の略中央部に設けたワーク切断加工部にて停止させた後、上記スピンドルに取り付けた上記ブレードをワーク切断位置まで移動させ、該ブレードの回転によりワークを切断することを特徴とするダイシング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−272842(P2010−272842A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27799(P2010−27799)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000151494)株式会社東京精密 (592)
【Fターム(参考)】