ダメージを低減した物理力アシスト洗浄方法
【課題】パターニングされた基板(パターン基板)の物理力アシスト洗浄で誘起されるダメージを低減する。
【解決手段】洗浄プロセスは、a)少なくとも1つのパターン表面を有する基板を準備する工程と、b)洗浄液3をパターン表面に供給する工程と、c)パターン表面に接触した洗浄液に物理力を供給し、これにより物理力が洗浄液中に気泡を形成する工程と、を含み、物理力を供給する前に、添加剤が表面に供給され、所定の時間、添加剤は表面に接触するように保持され、添加剤と時間は、洗浄液により表面の実質的に完全な濡れが達成されるように選択する。
【解決手段】洗浄プロセスは、a)少なくとも1つのパターン表面を有する基板を準備する工程と、b)洗浄液3をパターン表面に供給する工程と、c)パターン表面に接触した洗浄液に物理力を供給し、これにより物理力が洗浄液中に気泡を形成する工程と、を含み、物理力を供給する前に、添加剤が表面に供給され、所定の時間、添加剤は表面に接触するように保持され、添加剤と時間は、洗浄液により表面の実質的に完全な濡れが達成されるように選択する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に半導体産業で適用可能な、メガソニックエネルギを用いて基板を液体ベースで洗浄するための方法に関する。また、本発明は、メガソニックアシスト洗浄、または一般にはパターニングされた基板(パターン基板)の物理力アシスト洗浄で誘起されるダメージを低減する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスは、様々なシステムにおいて、幅広い応用に用いられる。それらのデバイスは、一連の処理工程で作製される。工程は、半導体ウエハの上に材料を堆積させ、材料をパターニングし、材料の選択された部分をエッチングし、ドーピングし、半導体ウエハを洗浄し、およびこれらの工程の1またはそれ以上を繰り返すものでも良い。一般には、全ての工程の5分の1までは、何らかの洗浄の形態を含む。ここで用いるように、「半導体ウエハ」の用語は、製造のいずれかのステージで、集積回路または他の電子回路を形成するのに用いられる、基板、マイクロエレクトロニクスデバイス、チップ等(例えば、マイクロまたはナノ構造の表面、マイクロ電気機械システム、またはナノ電気機械システム)を含む。
【0003】
洗浄は、半導体ウエハの表面から、望まない粒子を除去する。ここで用いたように、「粒子」は、不純物、異質の粒子、または半導体の表面上で望まれない他の粒子を意味する。例えば、粒子は、先のウエハ処理工程により生じる有機物および無機物の残渣を含む。除去できない場合、粒子は、デバイスの製造または性能に有害な影響を与える。このように、それらの粒子の直接的な衝突は、製造するチップの歩留まりを低下させる。チップの歩留まりは、形成されたチップの総数に対する、動作するチップの部分の量として定義される。
【0004】
洗浄プロセスは、一般には、半導体ウエハの表面に洗浄溶液を供給する工程を含む。様々な洗浄溶液が使用できる。例として、1つのそのような溶液は、「スタンダードクリーン1(SC1)」と呼ばれ、例えば、脱イオン水(純水)中に過酸化水素(H2O2)および水酸化アンモニウム(NH4OH)のようなアルカリ溶液を含む。
【0005】
音響エネルギ(音波)が、洗浄プロセスを強化するために、洗浄溶液に適用されても良い。音波は、一般にはウエハ洗浄タンクの外側にある振動子により形成される。典型的には、波は、数10から数100キロヘルツ(KHz)のオーダー(「超音波」)から、数100万ヘルツ(MHz)(「メガソニック」)のオーダーの範囲の周波数が用いられる。そのような音波は、音響キャビテーションを形成する。キャビテーションは、小さな気泡の生成である。そのようなプロセス中に、気泡は崩壊する。気泡が振動または崩壊する場合、エネルギが粒子や基板上の望まない汚染物の存在に与えられる。エネルギは、一般には、洗浄される基板と、その上に接着する粒子/汚染物との間の接着力を克服するのに十分である。
【0006】
メガソニック洗浄の1つの欠点は、気泡が崩壊する時に開放されるエネルギが半導体デバイスにダメージを与えることである。この懸念は、例えば45nmテクノロジノードやそれを越えるようなデバイススケーリングでは非常に重要になってくる。
【0007】
メガソニックアシスト洗浄により形成されるダメージを低減する直接的な方法は、メガソニックパワーを低減することである。残念ながら、より低いメガソニックパワーレベルは、より低い洗浄効率を意味する。同様に、より低い洗浄効率は、例えば液体洗浄溶液の組成や化学的性質の調整による、更なる取り組みが必要となる。しかしながら、洗浄溶液を調整した場合、パターニングされた構造、基板、それらのメガソニックプロセスへの適応性等のような他の制約を考慮に入れなければならない。
【発明の目的】
【0008】
本発明の目的は、メガソニックパワーレベルを変化させずに、メガソニックアシスト洗浄で導入されるダメージを低減する方法を提供することである。ダメージの低減は、洗浄効率または製造フローとの洗浄プロセスの互換性に有害に影響を与えてはいけない。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、添付の請求項に記載された方法に関する。本発明は、このように、基板のパターニングされた表面の上で、物理力アシスト洗浄プロセスを行う方法に関し、この方法は、
a)少なくとの1つのパターニングされた表面を有する基板を準備する工程と、
b)洗浄液(3)をパターニングされた表面に供給する工程と、
c)パターニングされた表面に接触した洗浄液に物理力を供給し、これにより物理力が洗浄液中に気泡を形成する工程と、を含み、
物理力を供給する前に、添加剤が表面に供給され、所定の時間、添加剤は表面に接触するように保持され、添加剤と時間は、洗浄液により表面の実質的に完全な濡れが達成されるように選択される。
【0010】
好適に具体例では、添加剤と時間は、パターニングされた表面上で、洗浄液の接触角が30°より小さくなるように選択される。
【0011】
物理力は、メガソニックエネルギ源により供給された音響振動でも良い。代わりに、物理力は、噴霧器スプレーで供給された機械的振動でも良い。
【0012】
本発明の具体例では、工程(b)の前に、パターニングされた表面を添加剤に接触させることで、添加剤が供給されても良い。他の具体例では、添加剤と洗浄溶液とを混合することで、工程(b)中に添加剤が供給される。
【0013】
後者の場合、添加剤が洗浄液と混ぜられて混合液を形成し、この混合液が、パターニングされた表面に供給される洗浄液として使用される。代わりに、工程(b)中に添加剤が供給されるこの場合において、洗浄液と添加剤は、パターニングされた表面に同時に供給されても良い。
【0014】
添加剤は、酸化物質でも良い。また、それは、イソプロピールアルコール(IPA)またはアセトンでも良く、または表面活性剤でも良い。
【0015】
酸化物質は、過酸化水素を含む水性混合物でも良い。また、酸化物質は、オゾン(O3)を含む水性混合物でも良い。
【0016】
洗浄液は、脱イオン水(純水)でも良い。また、これは溶剤型溶液(溶剤ベースの溶液)でも良い。
【0017】
本発明の方法では、パターニングされた基板は、疎水性のパターニングされたシリコン基板でも良い。
【0018】
具体例では、パターニングされた基板は、45nm以下の線幅を有する特徴を含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
全ての図面は、本発明の幾つかの形態と具体例を示すことを意図する。記載された図面は模式的であり、限定するものではない。
【0020】
【図1】洗浄溶液と接触するパターニングされた基板の模式図であり、(a)は完全に濡れた場合、(b)は部分的に濡れた場合を示す。
【図2】過酸化アンモニウム混合物(APM)を用いて前処理したSiの疎水性基板上の、純水(DIW)の接触角のバラツキであり、NH4:H2O2:H2O=1:4:20であり、APM浸責時間の関数として示す。
【図3】テストパターン基板(ウエハ)の模式的な断面を示す。
【図4】脱イオン水DIW(d04とd12)と、IPA添加剤を加えたDIW(d06とd14)とのそれぞれで、メガソニックアシスト洗浄(400KHz−3MHz、30W)を適用した後の、疎水性(d04とd06)と親水性(d12とd14)のパターンウエハのダメージサイトの数を示す。
【図5】疎水性(d04)と親水性(d12)の基板の、DIW中でのメガソニックアシスト洗浄後の、欠陥サイズ分布を示す。
【図6】疎水性(d06)と親水性(d14)の基板の、IPA添加剤を加えたDIW中でのメガソニックアシスト洗浄後の、欠陥サイズ分布を示す。
【図7】メガソニック洗浄後に加えられた欠陥の欠陥マップを示す。:I(A)はDIW中の親水性基板、I(B)はDIW+IPA中の親水性基板;II(A)はDIW中の疎水性基板、II(B)はDIW+IPA中の疎水性基板。
【図8】DIW中で、異なるパワー設定:50W、15W、10Wでメガソニックアシスト洗浄(400KHz−3MHz)を適用した後の、疎水性と親水性のパターン基板のダメージサイトの数を示す。
【図9】DIW中(d04、d08、d12)およびIPA添加剤を有するDIW中(d06、d10、d14)で、メガソニックアシスト洗浄(400KHz−3MHz、30W)を適用した後の、疎水性と親水性のパターンウエハのダメージサイトの数を示す。
【図10a】バッチプロセスツール中で、DIW中で、100Wと1200Wのメガソニックアシスト洗浄(400KHz−3MHz)を適用した後の、疎水性および親水性のパターンウエハのダメージサイトの数を示す。
【図10b】DIW中で1200Wの親水性ウエハの欠陥サイズ分布を示す。
【図10c】DIW中で1200Wの疎水性ウエハの欠陥サイズ分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この明細書を通じて、「一の具体例(one embodiment)」または「ある具体例(an embodiment)」は、この具体例に関連して記載された特定の特性、構造、または特徴は、本発明の少なくとも1つの具体例中に含まれることを意味する。このように、この明細書中の様々な場所における「一の具体例中(in one embodiment)」または「ある具体例中(in an embodiment)」の表現は、同じ具体例を全て参照する必要は無く、またはしても良い。更に、特定の特性、構造、または特徴は、この記載から当業者にとって明らかなように、1またはそれ以上の具体例中で、適当な方法で組み合わされても良い。
【0022】
同様に、本発明の例示の具体例の記載で、本発明の様々な特徴は、時々、記載を簡略化して、様々な発明の形態の1またはそれ以上の理解を助ける目的で、その1つの具体例、特徴、または記載に互いに集められる。この記載の方法は、しかしながら、それぞれの請求項に明示的に列挙されたより多くの特徴を、請求された発明が必要することを意図するものであると解釈すべきでない。むしろ、以下の請求項が示すように、発明の形態は、本発明の1つの先の具体例の、全ての特徴より少なくなる。このように、詳細な説明に続く請求項は、これにより、明確にこの詳細な説明に取り込まれる、この発明の分離した具体例として、それ自身の上にそれぞれの請求項は立つ。
【0023】
更に、ここで記載された幾つかの具体例は、他の具体例に含まれた、他の特徴ではない幾つかの特徴を含むが、異なる具体例の特徴の組み合わせは、本発明の範囲内にあることを意味し、当業者に理解されるような、異なる具体例を形成する。例えば、以下の請求項では、請求された具体例に幾つかは、組み合わせとして使用できる。
【0024】
ここに提供される記載では、多くの特定の細部が説明される。しかしながら、本発明の具体例は、それらの特定の細部無しに実施できることが理解される。他の例では、公知の方法、構造、および技術は、この記載の理解を不明瞭にしないために、詳細には示されない。
【0025】
多くの洗浄の適用において、音響的または機械的な振動が適用され、洗浄性能、即ち望まない汚染物の除去を向上させる。残念ながら、それらのタイプの振動の適用は、基板表面にダメージを与えることがしばしば見出されている。例えば、メガソニックアシスト洗浄では、気泡が崩壊した時に開放されるエネルギが、小型デバイスの微細構造にダメージを与えるのに十分に大きい。
【0026】
本発明は、驚くべきことに、液体により基板が濡れる程度としても表現できる基板の表面状態(所定の液体に対する疎水性/親水性)と、その液中での物理力アシスト洗浄により基板に導入されるダメージとの関連付けを形成する。
【0027】
例えば、もし、更には「洗浄溶液(cleaning solution)」または「洗浄液(cleaning liquid)」との呼ばれるメガソニック洗浄で使用された液体が、基板表面を部分的にのみ濡らす場合、例えば、パターン基板の微細構造のダメージを増加させることになる。
【0028】
本発明の方法は、機械的または音響的な振動の開始前に、表面の完全な濡れを最初に達成することにより、基板のパターン表面上の構造へのダメージを避ける。完全な濡れは、洗浄溶液を供給する前の、または洗浄溶液の供給と同時の、基板の前処理により達成できる。特定の具体例では、前処理は、洗浄液と添加剤の同時供給と組み合わせても良い(以下参照)。
【0029】
特に、洗浄溶液が水、または水と同様の濡れ特性を示す場合、表面は親水性に形成される必要がある。前処理の継続時間は、基板の濡れを改良するのに、好適には基板の完全な濡れを達成するために、十分に長い必要がある。一般に、添加剤を用いた前処理を行なおうと、または添加剤は洗浄溶液と共に供給されようと、基板と添加剤との間の接触時間は、上述の基板のパターン表面の実質的に完全な濡れを得るように選択されなければならない。接触時間は、基板のタイプ、その形状、または使用される添加剤により異なり、それらのパラメータの特定に組み合わせに基づいて、当業者は容易に設定できる。
【0030】
本発明の方法は、例えばパターン基板の微細構造のような、パターン基板の上に形成または核生成される気泡のキャビテーションを防止することにより、パターン基板へのダメージを避ける。キャビテーションプロセスは、適用される音響エネルギ中での、核生成、気泡成長、および気泡の崩壊を含む。適用される音響エネルギ中での、気泡のキャビテーションを伴う振動、液体噴霧器スプレー中で機械的振動により形成されたガスポケット/気泡は、それらがパターン基板上で形成または核生成した場合、パターン基板の微細構造にダメージを与える。
【0031】
空洞の気泡の非対称な崩壊は、例えば基板を破壊することで、構造にダメージを与える圧力衝撃を形成する。空洞の気泡は、もし洗浄溶液が完全にそれらの外観を濡らす場合には、3次元の形状の外観を含むパターン基板上での核生成が防止される。物理力アシスト洗浄で現在用いられる全ての化学薬品が、密度の高いパターンの外観を完全に濡らすわけではない。本発明の方法を適用することにより、洗浄溶液によるパターン基板の完全な濡れを達成できる。
【0032】
更に詳細に記載するように、本発明は、洗浄溶液によりパターン基板の完全な濡れを達成するために以下の2つの選択肢を列挙する:(1)洗浄溶液を供給する前に、表面を洗浄するための添加剤を供給する、(2)洗浄溶液と同時に、表面に添加剤を供給する。双方の場合、物理力(例えば、メガソニック、噴霧器スプレー)が加えられる前に完全な濡れが達成される。
【0033】
本発明の多くの具体例は、パターン基板上で物理力アシスト洗浄プロセスにより誘起されるダメージを低減する方法を開示する。この方法は、
(a)パターン基板を準備する工程と、
(b)パターン基板上に洗浄溶液を供給し、(添加剤や前処理なしに洗浄溶液が供給された場合に)これによりパターン基板の部分的な濡れを達成する工程と、
(c)パターン基板と接触した洗浄溶液に物理力を与え、これにより物理力が洗浄溶液中で気泡を形成する工程とを含み、
物理力を与える前に、添加剤を供給し、これにより洗浄溶液によるパターン基板の完全な濡れを達成する。
【0034】
換言すれば、本発明は、基板のパターン表面上で、物理力アシスト洗浄プロセスを行い、これにより物理力で誘起されるダメージを低減する方法を開示し、この方法は、
a)少なくとも1つのパターン表面を有する基板を準備する工程と、
b)パターン表面に洗浄溶液を供給する工程と、
c)パターン表面と接触した洗浄溶液に物理力を与え、これにより物理力が洗浄溶液中で気泡を形成する工程とを含み、
物理力を与える前に、表面に添加剤を供給し、これにより洗浄溶液によるパターン表面の完全な濡れを達成する。
【0035】
液体による表面の濡れの程度は、(液体が表面に分配された場合)液体で覆われる表面の拡がりにより定義される。液体による表面の完全な濡れは、表面の全ての部分(面積)が、液体と直接接触することを意味する。表面は、形状的特徴を有し、または有さなくても良く(平坦/または非平坦)、均一のまたは不均一の表面組成でも良い。
【0036】
界面の固体(基板)−液体に関する全ギブス自由エネルギGinterfaceが低い場合(図1(a)に示すような、完全な濡れの配置)に、高い程度の濡れが得られる。ギブス自由エネルギは、全体の固体−液体界面のそれぞれの異なる部分に対して、固体−液体表面張力(γSLi)に、表面積(Ai)を掛け合わせて、足し合わせることにより、以下の式のように得られる。
【0037】
Ginterface=ΣγSLiAi
【0038】
表面上に、液体が表面と直接接触しない少なくとも1つの場所/領域/形状が有る場合、濡れは部分的である。この場合、表面の場所/領域/形状の上で、気泡が容易に形成または核生成し、物理力アシスト洗浄により誘起されるダメージを増加させる。
【0039】
この結果、パターン基板を部分的に濡らす洗浄溶液は、パターン基板1の一部(領域、形状)を示し(例えば、形状的な特徴2)、この一部は、図1(b)に示すように、洗浄基板3と直接接触していない(または、覆われていない)。パターン基板を完全に濡らす洗浄溶液は、図1(a)に示すように、(例えば、形状的な特徴を含む)パターン基板1の全ての部分(領域)と直接接触する。
【0040】
平坦な表面(地形の無い表面)の場合、接触角の測定を、液体による表面の濡れの程度の評価に用いることができる。接触角は、液体/気体界面が、固体表面に出会う位置での角度であり、液体気体界面の気体側で測定される。接触角は、所定のシステムに固有であり、3つの界面を横切る相互作用により決まる。殆どの場合、この概念は、平坦な水平の固体表面上の小さな液滴を用いて示される。液体が非常に強く固体表面に引っ張られる場合(例えば、非常に親水性の基板の上の水)、液滴は固体表面上で完全に拡がり、(液体を通って測定される)接触角度は0°に近いであろう。より強力でない親水性の固体は、一般には50°の値までの接触角を有する。高い親水性の基板上では、液滴は、0°から30°の接触角を示す。もし、固体基板が疎水性であれば、接触角は一般には60°または70°より大きくなる。(「超疎水性(super-hydrophobic)」と呼ばれる)高度に疎水性の基板は、150°または180°に近いような大きな接触角を有する。それらの表面上では、水滴は単に基板上に横たわり(一般的には非常に移動しやすく)、意味のある程度には実際に濡れない。
【0041】
一般には、高い程度の液体による濡れは、以下で使用される完全な濡れに対応し、接触角が30°以下、好適には10°より小さい、更に好適には0°に近い場合に達成される。低い程度の液体による濡れは、以下で使用される部分的な濡れに対応し、接触角が50°以上、好適には70°より大きい場合に達成される。
【0042】
接触角は、また、不均一な表面分布を有する形状的特性や基板を含む基板の場合にも測定できる。この場合、濡れの程度は、接触角の実験的測定により、または異なる理論モデルを用いた接触角の見積もりにより決定できる。
【0043】
接触角を決める実験的な方法の中で、最も知られたものは、静的液適法(static sessile drop method)および動的液適法(dynamic sessile drop method)(接触角ヒステリシス)であり、高解像度カメラおよび接触角を検出し解析するソフトウエアを用いる。平坦な基板上の所定の洗浄溶液の接触角が分かった場合、同じ材料から形成されるパターン基板の濡れ特性の見積もりが可能である。もし、高い接触角(>70°)が、平坦な表面上で測定された場合、同様に、洗浄溶液はパターン基板を部分的に濡らすのみである。
【0044】
しかしながら、接触角が低く(<30°)、完全な濡れが平坦な基板上で達成される場合、同じ材料から形成されるパターン基板の濡れについて意見を寄せることできない。特にパターンが高密度の構造、即ち小なピッチ(即ち、構造のライン幅と2つの隣接する構造の間隔との和)の構造を含む場合、洗浄溶液はパターン基板の部分的な濡れを示すかも知れない。実験的な測定または理論的な計算が、この場合のパター基板の濡れの予想に用いられても良い。本発明の好適な具体例では、洗浄される基板のパターン表面の洗浄溶液による「実質的に完全な濡れ」は、パターン表面上で直接測定され、または理論的なモデルから推理されたように、30°より小さな接触角に対応する。例えば、そのようなモデルは、一方においては、平坦な基板上の接触角と接触時間の間の関係を与え、一方において、同じ材料のパターン基板上の接触角と接触時間との間の関係を与える。
【0045】
本発明の多くの具体例は、パターン基板上の物理力アシスト洗浄プロセスにより誘起されたダメージを低減する方法を開示し、この方法は、
(a)パターン基板を準備する工程と、
(b)パターン基板上に洗浄溶液を供給し、これにより、(洗浄溶液が、添加剤または前処理無しに提供された場合に)パターン基板の低い程度の濡れを達成する工程と、
(c)パターン基板と接触した洗浄溶液に物理力を与え、これにより物理力が洗浄溶液中で気泡を形成する工程とを含み、
物理力を与える前に、表面に添加剤を供給し、これにより洗浄溶液によるパターン基板の高い程度の濡れを達成する。
【0046】
高い程度の濡れの達成、好適には基板の完全な濡れは、気泡が基板上で形成または核生成するのに大きな抵抗となる。これは、特に、基板の小さな形状的特徴、例えば45nmより小さな幅のラインにとって重要である。なぜなら、気泡がそのような小さな特徴の上で核生成せず、より少ないダメージが洗浄プロセス中に誘起されるからである。
【0047】
本発明の異なる具体例では、物理力は音響的な振動であり、超音波(ウルトラソニック)またはメガソニックエネルギのいずれかの形態で、パターン基板に接触した洗浄溶液に供給される。
【0048】
本発明の代わりの具体例では、物理力は機械的振動であり、これにより、例えば噴霧器により、パターン基板に接触する洗浄溶液中で、気泡またはガスポケットが形成される。噴霧器を用いて基板を処置した場合、多くの液体(洗浄溶液)の微細な液滴が、同時に基板に供給される。微細な液滴の間で、更にメガソニック洗浄中の液体中で空洞を作る気泡と同様の挙動を示す「ガスポケット」または気泡が形成される。
【0049】
本発明の第1のセットでは、工程(b)に先立って添加剤が供給され、基板のパターン表面を添加剤に接触させる。一の具体例では、添加剤は液体物質である。代わりの具体例では、添加剤は、蒸気または気体での良い。洗浄溶液によりパターン基板の濡れの程度(部分的な濡れから完全な濡れに)を改良するのに十分な、所定の接触時間の後、洗浄溶液の特徴に応じて添加剤が除去されても、除去されなくても良く、洗浄溶液はパターン基板と接触する。換言すれば、この第1の具体例のセットでは、表面は添加剤により前処理される。
【0050】
図2は、APM浸責時間の関数として、過酸化アンモニウム混合液(APM、NH4:H2O2:H2O=1:4:20)で前処理したSi疎水性基板上の、脱イオン水(DIW)の接触角のばらつきを示す。接触角の低減およぶ疎水性−親水性の遷移は、APM浸責時間の増加とともに顕著になる。代わりの、接触角の同様の低減が、溶解したO3を有する水を与えることで得られる。最初の高い接触角は、有機汚染物による。有機汚染物は、クリーンルーム雰囲気との長い接触中に形成される。疎水性−親水性遷移に必要とされる接触時間は、基板、基板上に存在するパターン、および基板状態を変えるのに用いられる添加剤の濃度に依存し、非常に短くできる。例えば、接触時間は、シングルウエハツール上で基板上の添加剤をスピンするのに必要な時間間隔に等しい接触時間、例えば5〜10秒で、幾つかの具体例では十分である。
【0051】
室温環境に保存されたウエハ上の有機汚染物の存在は、続くメガソニック洗浄/リンスプロセス中の、ウエハ上のダメージを増加させる。この増加したダメージのリスクは、本発明の方法を用いることにより防止できる。
【0052】
本発明の具体例の第1のセットでは、添加剤は、洗浄溶液での完全な濡れを達成するのに十分に長い接触時間の間、シングルウエハツールでパターン基板の表面上でスピンされた液体物質である。また、添加剤は、パターン基板と接触するように運ばれた蒸気または気体でも良い。代わりに、添加剤は、液体物質であり、パターン基板が、所定の時間、バッチ処理ツール中のこの液体物質に、洗浄溶液により完全な濡れが(その後に)達成できるのに十分な長さだけ浸責されても良い。この後、添加剤は基板から除去され、シングルウエハツールの上で洗浄溶液をスピンすることにより洗浄溶液が基板上に供給され、または基板洗浄溶液を含む容器中に沈められ、そして、(圧電素子やロッドを含み、これにより基板と振動ロッドとの間に液体メニスカスを形成し、または容器に接触した圧電素子を含むような技術的に公知な)例えばメガソニックまたは噴霧器アシスト洗浄プロセスにより、物理力が与えられ、これにより基板が洗浄されるとともに混合液と接触する。
【0053】
本発明の具体例の第2のセットでは、工程(b)中に添加剤が供給され、洗浄溶液に添加剤を混ぜられ、これにより(部分的な濡れから完全な濡れに)洗浄溶液によるパターン基板の濡れの程度を改良する。これは、洗浄溶液と添加剤の混合液(例えば10体積%のIPAと混合したDIW)を準備して行われ、混合液により表面の実質的に完全な濡れが達成できるのに十分な時間、洗浄する表面を混合液に接触させる。シングルウエハツールでこの具体例を実施するために、例えば回転チャックのような支持表面の上に基板が搭載され、所定の時間、混合液(洗浄溶液+添加剤)が表面上でスピンされる。この後、物理力が加えられ、例えば、(圧電素子やロッドを含み、これにより基板と振動ロッドとの間に液体メニスカスを形成するような技術的に公知な)メガソニックや噴霧器アシスト洗浄プロセスで、混合液に接触させながら基板が洗浄される。バッチ洗浄ツールでは、1またはそれ以上の基板が、混合液(洗浄溶液+添加剤)を含む容器に沈められ、混合液により、洗浄される表面の完全な濡れが得られるのに十分に長い間、容器中に保持される。続いて、例えば、容器に接触して搭載された圧電変換器を含む、公知の方法で、物理力が供給される。
【0054】
具体例の第2のセット(即ち、工程(b)中に添加剤が供給される)は、また、洗浄溶液が供給されるのと同時に、洗浄される表面に添加剤が供給される具体例を含む。シングルウエハツールでは、洗浄溶液と液体添加剤を、セパレータノズルを介して、表面で同時にスピンして行われる。洗浄溶液と添加剤のこの供給は、2つの液体を互いに混合し、混合液により表面の完全な濡れが得られるのに十分な、所定の時間続けられる。この後、物理力が与えられ、例えば、(圧電素子やロッドを含み、これにより基板と振動ロッドとの間に液体メニスカスを形成するような技術的に公知な)メガソニックや噴霧器アシスト洗浄プロセスを用いて、基板は、混合液に接触させながら洗浄される。液体の添加剤の代わりに、気体の添加剤を供給しても良い。可能なら、添加剤の供給は、物理力の間、連続し、洗浄工程中に、完全な濡れ状態を確実に保持する。バッチツールでは、洗浄液のバスに基板が沈められ、一方添加剤はバスに供給され、または表面に向かうノズルで、直接、洗浄される基板の表面に直接供給される。基板は、完全な濡れが起きるたまに十分な長さ、その方法で保持される、続いて、例えば容器に接触して搭載された圧電変換器を含むような、公知の技術で、物理力が与えられる。また、ここでは、物理力を与えながら、添加剤の供給を続けることも可能である。
【0055】
具体例の第3のセットでは、具体例の第1のセットのいずれかにかかる上述の前処理が、具体例の第2のセットにかかる、洗浄溶液と添加剤の混合供給(前混合または同時供給)と組み合わせて行われる。これは、前処理のみが行われた場合、または混合供給のみが行われた場合に比較して、物理力アシスト洗浄中基板ダメージを更に低減できる。
【0056】
本発明の幾つかの具体例では、表面と使用される洗浄溶液との間の、固体−液体表面張力(γSL)を低減するために、パターン表面が添加剤で処理される。洗浄液自身は、前処理には必要でない。具体例の第1のセットでは、表面が前処理され、標準の洗浄液が用いられる。
【0057】
幾つかの具体例では、添加剤は、洗浄溶液に加えられた液体物質である。代わりに、蒸気または気体が洗浄溶液に加えられてもよい。
【0058】
水ベースの洗浄液を含む、本発明の異なる具体例では、添加剤は酸化する物質である。特別な具体例では、酸化する物質は、ペルオキシ硫酸混合液(略してSPM)またはアンモニアペルオキサイド(略してAPMまたはSC1TM洗浄)のような、過酸化水素を含む水の混合液である。
【0059】
他の具体例では、酸化する物質は、オゾン(O3)を含む水の混合液である。
【0060】
本発明では、添加剤は、基板と洗浄溶液との間の固体−液体界面において、表面張力を低下/減少させる物質である。これは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、またはそれらの混合物からなるグループから選択されるアルコールでも良い。好適には、固体−液体界面での表面張力を下げることができる物質はイソプロパノール(即ち、イソプロピルアルコールまたはIPA)である。洗浄溶液への添加剤として、工程(b)中に用いられるIPAの濃度は、10〜20体積%の範囲で変化する。工程(b)の前に添加剤として用いる場合、より高い濃度(>20体積%)または純IPAが好ましい。代わりに、表面張力を下げることができる物質はアセトンである。
【0061】
代わりの具体例では、基板と洗浄溶液の間の固体−液体界面において表面張力を下げることができる物質は、界面活性剤である。界面活性剤は、デシル−、n−オクチル−、ドデシル−トリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルベンゼンスルフォニック酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、オクトキシノル−5、オクトキシノル−9、オクトキシノル−30、セチルプリリディニウムブロマイド、トリトンTMCF−10(変形アルキルアリルポリエーテル)、トリトンTMCF−76(変形アリルアルコキシレート:4−ノニルフェノキシポリエソキシポリプロポキシエチルアセタール)、アルキルオキシポリエチレンオキシエタノール、およびその混合物や均等物からなるグループから選択される。好適には、界面活性剤の濃度は、10−5Mから10−2Mの間である。更に好適には、界面活性剤の濃度は、10−5Mから10−3Mの間である。
【0062】
パターン基板は、Si、Ge、SixGey、GaAs、InP、InSb、AlGaAs、InGaAs等のようなIII−V化合物のような、半導体材料または半導体材料の混合物を含む。パターン基板は、バルクシリコンやSOI(シリコン−オン−インシュレータ)、sSOI(応力SOI)、またはGOI(ゲルマニウム−オン−インシュレータ)基板でも良い。
【0063】
本発明の特別な具体例では、パターン基板は、疎水性のパターンシリコン基板である。疎水性シリコン基板の典型例は、「HF−ラスト(HF−last)」基板、即ち、シーケンスの最終工程として沸酸(HF)添加を用いた水処理を有する洗浄シーケンスが施されたシリコン基板である(実験セクションを参照)。
【0064】
本発明の異なる具体例では、洗浄溶液は水ベースの溶液である。
【0065】
本発明の代わりの具体例では、洗浄溶液は、溶剤ベースの溶液である。溶剤は、ジメチルスフホキシド(DMSO)、n−エチルピロリドン(NEP)、1−メトキシ−2−プロピル−アセテート(PGMEA)、n−メチルピロリドン(NMP)、プロピレン−カーボネート(PC)、およびそれらの組み合わせを含む。上で言及されたHF−ラスト処理は、所定の溶剤ベースの洗浄溶液に対して、実際にシリコン基板を「親水性(philic)」状態にする。このように、溶剤ベースの洗浄溶液と組み合わせて用いた場合、HF−ラスト処理は、実際に本発明にかかる前処理である。弗化水素酸(HF)またはHFを含む溶液は、このように本発明の方法に使用される添加剤である。
【0066】
特別な具体例では、洗浄溶液はリンス溶液でも良い。更に特に、リンス溶液は、脱イオン水でも良い。
【0067】
本発明の異なる具体例は、パターン基板上で、メガソニックアシスト洗浄プロセスにより誘起されるダメージを低減する方法を開示し、この方法は、
(a)パターン基板を準備する工程と、
(b)パターン基板上に洗浄溶液を供給し、これにより、(洗浄溶液が、添加剤または前処理無しに提供された場合に)パターン基板の部分的な濡れを達成する工程と、
(c)パターン基板と接触した洗浄溶液にメガソニックパワーを与え、これによりメガニックパワーが、洗浄溶液中で気泡の形成とキャビテーションを行う工程とを含み、
メガソニックパワーを与える前に、添加剤を供給し、これにより洗浄溶液によるパターン基板の完全な濡れを達成することを特徴とする。
【0068】
「メガソニックパワーを与える前に」添加剤が提供されるとは、洗浄溶液中で気泡キャビテーションが始まる所定のレベル(キャビテーション閾値)にメガソニックパワーが達する前に、と訳されるべきである。キャビテーション閾値より十分に低い非常に柔らかいメガソニック振動は、洗浄溶液におよりパターン基板の完全な濡れをより速く達成するのを助ける。
【0069】
本発明の具体例では、洗浄溶液に接触しながらパターン基板に物理力を与える間に、追加の化学薬品が洗浄溶液に与えられても良い。
【0070】
例
図3に断面が模式的に表されたパターンシリコンウエハ上で、異なるテストが行われた。
【0071】
エッチング前の線幅が45nmで約1ミクロンの間隔を有するゲート電極としてデバイス中で用いられるポリシリコン構造(3)が、ポリシリコン構造と基板との間にゲート酸化物として一般に存在する薄い酸化物層(2)を有するバルクシリコン基板(1)の上に形成された。
【0072】
メガソニックアシスト洗浄実験が、シングルウエハ(SW)洗浄ツール(ゴールドフィンガーアクリオン(登録商標))とバッチ洗浄(WB)ツールの中で、疎水性および親水性の基板(ウエハ)の双方の上で行なわれる。シングルウエハシステムは、ウエハが水平に保持された回転チャックからなる。音響エネルギは、圧電性材料から、石英ロッドと液体メニスカスを通ってウエハに伝えられる。洗浄溶液は、脱イオン水(DIW)または10体積%のイソプロピルアルコール(IPA)を含むDIWである。メガソニックパワーの設定は、シングルウエハツールに対しては10Wと30Wの間、バッチツールに対しては100Wと1200Wの間である。基板は、30〜120秒間洗浄される。それぞれの試料の条件は、表1に要約する。
【0073】
【0074】
以下において「HF−ラスト」または「疎水」試料として言及される疎水性ウエハは、メガソニックアシスト洗浄前に、パターンウエハを「HF−ラスト洗浄」することで準備した。「HF−ラスト洗浄」は、オゾンと脱イオン水(O3/DIW)を用いた最初の酸化工程と、それに続く、HF/HClを用いた酸化物除去工程と、脱イオン水とHCl添加によるリンス工程とを含む洗浄シーケンスである。
【0075】
他の型の疎水性ウエハは、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)のスピンにより準備される。それらの試料は、HMDS−被覆ウエハと以下で言及する。
【0076】
「化学酸化物(chemical oxide)」または「親水性(philic)」試料と以下で呼ばれる親水性ウエハは、メガソニックアシスト洗浄前に、パターンウエハを最初に「O3−ラスト洗浄」することで準備された。「O3−ラスト」洗浄は、オゾンと脱イオン水(O3/DIW)を用いた最初の酸化工程と、それに続く、HF/HClを用いた酸化物除去工程と、オゾン化脱イオン水(O3/DIW)によるリンス工程とを含む洗浄シーケンスである。厚さが約0.7nmのSiO2化学酸化物が、一般には基板上に形成される。「親水性」試料は、このように本発明の方法にかかる前処理を受けた「疎水性」試料である。
【0077】
明視野パターン観察ツール(KLA Tencor 2800(登録商標))を用いて、メガソニックアシスト洗浄の前後において欠陥サイトが評価された。
【0078】
メガソニックアシスト洗浄により加えられた欠陥サイトの数は、それぞれのサイズビン(即ち、粒子サイズ分散中のウインドウ)に対して、(メガソニックアシスト洗浄後の)最終欠陥数から、(メガソニックアシスト洗浄前の)初期欠陥数を引くことで、計算される。
【0079】
パターンダメージ観察を行う典型的な方法を、以下に述べる。半導体デバイスの製造中の全ての工程は、欠陥形成に結びつく。欠陥は、パターンダメージ/壊れた線/残渣/粒子等を意味する。特定のプロセス工程中に形成される欠陥の数を評価するために、プロセスが行われた後に、明視野ツールを用いて、ウエハの重要な領域について観察が行われる。一旦プロセスが行われれば、それは、明視野ツールを用いて2度目の観察が行われる。明視野ツールは、同じ関心領域(ROI)をいつも観察するような方法でプログラムされる。最初の欠陥観察結果は、次に、第2の結果から引かれ、欠陥の増加分に到達する。それらの欠陥の増加分は、更に、必要であれば検査SEMを用いて証明できる。
【0080】
図4は、脱イオン水DIW中(d04とd12)と、IPAを添加したDIW中(d06とd14)中で、それぞれ、メガソニックアシスト洗浄(400kHz〜3MHz、30W)を行った後の、疎水性(d04とd06)および親水性(d12およびd14)のパターンウエハの、ダメージサイトの数を表す。
【0081】
図4のヒストグラムは、DIW中でメガソニックアシスト洗浄後のダメージサイトの数が、基板状態に強く依存していることを示す。疎水性試料(D04)では、3562の増加分(増えた欠陥)が数えられ、一方、親水性基板(d12)では、1551の増加分が見られた。IPA(10体積%)をDIWに加え、メガソニックアシスト洗浄を同じ設定で行うと、疎水性(d06)と親水性(d14)の双方のウエハで、それぞれ、1616と1168まで増加分の数の減少が見られた。疎水性基板では、この減少はより重要である(最初の増加分の45%)。特に、本発明の方法にかかる基板の前処理に加えて、洗浄液中にIPAを用いると、欠陥サイトの数を更に減少できることに留意すべきである。これは、試料d12およびd14の結果により示される。
【0082】
図5および図6は、DIW中のメガソニックアシスト洗浄と、IPAを加えたDIW中での同様のメガソニックアシスト洗浄との間の、欠陥サイズ分布の重要な違いを示す。違いは、疎水性ウエハでより明白である。
【0083】
例えば、図5は、特に、DIW中でメガソニック洗浄された疎水性ウエハ(d04)上の、非常に大量の、大きなサイズの欠陥(2〜3ミクロンおよび3〜4ミクロン)を示す。図6は、IPAを加えたDIW中でメガソニック洗浄された疎水性(d06)および親水性(d14)の試料の双方の、上述の大きなサイズの欠陥の重要な減少を示す。観察された重要な減少は、基板を濡らす洗浄溶液を用いたメガソニック洗浄の、減少されたダメージ(より壊れていない構造)を確認する。
【0084】
図7は、メガソニック洗浄後に増加した欠陥(2.5〜3ミクロン)の異なる欠陥マップであり、I(A)はDIW中の親水性基板;I(B)はDIW+IPA中の親水性基板;II(A)はDIW中の疎水性基板;II(B)はDIW+IPA中の疎水性基板を表す。疎水性基板の場合、影響を受けたダイの数が、親水性基板の場合より、非常に多いことは留意に値する。メガソニック洗浄を行う前に、完全な濡れを達成するためにIPAを加えることは、図5〜7に示すように欠陥の数を減らすのみならず、影響を受けるダイの数も減らすことができる。
【0085】
図8は、異なるメガソニックパワー設定:30W、15Wおよび10Wで、DIW中でメガソニックアシスト洗浄を行った後の、疎水性および親水性のパターンウエハの、欠陥サイトの数を表す。より高いパワー設定では、疎水性と親水性の間の欠陥サイトの数の違いは、より顕著になる。メガソニックを与える場合に、洗浄溶液により基板を完全に濡らすことが、より高いパワーレベルで更に必要とされる。
【0086】
低いパワーレベルでさえも、疎水性基板上の欠陥は重大であり、形状のサイズが小さくなった場合、または例えばFinFETデバイスのフィン構造のように高いアスペクト比の形状を形成する場合に、より重要となるであろう。
【0087】
図9は、DIW中(d04、d08、d12)と、IPAを加えたDIW中(d06、d10、d14)で、メガソニッ洗浄(400KHz〜3MHz、30W)を行った後の、親水性および疎水性パターンウエハの、欠陥サイトの数を示す。
【0088】
HF−ラスト(d04、d06)基板および化学酸化物(d12、d14)試料は、図4と同様にプロットされ、一方、HMDS−被覆基板(d08、d10)が、疎水性基板の2つの他の例である。HMDSは、フォトリソグラフィで使用される公知のプライマ材料であり、疎水性の性質を有する。HMDS−被覆基板(DIW中のメガソニック洗浄後)の場合の、比較的少ない欠陥サイトの数は、HMDSによる不完全な被覆により説明できる。しかしながら、HMDS−被覆基板の場合、IPAを添加したDIW中でメガソニックを与えた場合にも、欠陥サイトの数の減少が観察される。
【0089】
図10(a)は、バッチ処理ツールで、DIW中で1000Wおよび1200Wでメガソニック洗浄(400KHz〜30MHz)を行った後の、疎水性および親水性のパターンウエハの、ダメージサイトの数を示す。図10(b)は、DIW中、1200Wの親水性ウエハの欠陥サイズ分布を示し、図10(c)は、DIW中、1200Wの疎水性ウエハの欠陥サイズ分布を示す。
【0090】
図10(a)に示すように、疎水性基板上で高パワー(1200W)のメガソニックリンス(2分)を行った後のダメージレベルは、親水性基板上の同条件に比較して、約7倍高くなる。ヒストグラムの黒い柱は、O3−ラストまたはHF−ラストの前洗浄後の、ダメージサイトの数を示し、一方、ヒストグラムの白い柱は、DIW中のメガソニック洗浄後のダメージサイトの数を示す。疎水性基板の高レベルのダメージが、バッチプロセスに対して、25658の測定された増加分として確認された。
【0091】
図11(b)および(c)に示すように、疎水性基板の場合、欠陥の80%より多くが、0.7ミクロンより大きく、一方、親水性基板では、欠陥の90%より多くが、0.7ミクロンより小さい。測定された欠陥のサイズ分布は、疎水性基板上での、高いレベルのダメージ(壊れた線から最も発生するであろう)を確認する。
【0092】
先の具体例は、半導体デバイスの製造の、異なる領域にも適用可能である。それらの具体例は、疎水性Si基板と水ベースの洗浄溶液について記載されたが、これらの具体例の利益は、他の基板や他の洗浄溶液に対しても適用されることは、当業者にとって明らかであろう。特に、当業者は、物理力アシスト洗浄中にダメージの低減が望まれる、他の状況も想像できるであろう。
【0093】
先の記載は、本発明の所定の具体例を詳説する。しかしながら、テキスト中にいかに詳細に表されようと、本発明は多くの方法で実施できる。本発明の所定の特徴や形態を記載する場合の、特定の用語の使用は、その用語が関係する本発明の形状や形態の特定の特徴を含むように限定されて、その用語がここで再定義されることを意味すると取るべきではないことに留意すべきである。
【0094】
上述の説明は、多くの具体例に適用されるように本発明の新規な特徴を示し、記載し、指摘したが、示された方法やプロセスの形態や細部において、多くの省略、代替え、および変形が、本発明の範囲から離れること無しに、当業者に可能であることが理解されるであろう。
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に半導体産業で適用可能な、メガソニックエネルギを用いて基板を液体ベースで洗浄するための方法に関する。また、本発明は、メガソニックアシスト洗浄、または一般にはパターニングされた基板(パターン基板)の物理力アシスト洗浄で誘起されるダメージを低減する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスは、様々なシステムにおいて、幅広い応用に用いられる。それらのデバイスは、一連の処理工程で作製される。工程は、半導体ウエハの上に材料を堆積させ、材料をパターニングし、材料の選択された部分をエッチングし、ドーピングし、半導体ウエハを洗浄し、およびこれらの工程の1またはそれ以上を繰り返すものでも良い。一般には、全ての工程の5分の1までは、何らかの洗浄の形態を含む。ここで用いるように、「半導体ウエハ」の用語は、製造のいずれかのステージで、集積回路または他の電子回路を形成するのに用いられる、基板、マイクロエレクトロニクスデバイス、チップ等(例えば、マイクロまたはナノ構造の表面、マイクロ電気機械システム、またはナノ電気機械システム)を含む。
【0003】
洗浄は、半導体ウエハの表面から、望まない粒子を除去する。ここで用いたように、「粒子」は、不純物、異質の粒子、または半導体の表面上で望まれない他の粒子を意味する。例えば、粒子は、先のウエハ処理工程により生じる有機物および無機物の残渣を含む。除去できない場合、粒子は、デバイスの製造または性能に有害な影響を与える。このように、それらの粒子の直接的な衝突は、製造するチップの歩留まりを低下させる。チップの歩留まりは、形成されたチップの総数に対する、動作するチップの部分の量として定義される。
【0004】
洗浄プロセスは、一般には、半導体ウエハの表面に洗浄溶液を供給する工程を含む。様々な洗浄溶液が使用できる。例として、1つのそのような溶液は、「スタンダードクリーン1(SC1)」と呼ばれ、例えば、脱イオン水(純水)中に過酸化水素(H2O2)および水酸化アンモニウム(NH4OH)のようなアルカリ溶液を含む。
【0005】
音響エネルギ(音波)が、洗浄プロセスを強化するために、洗浄溶液に適用されても良い。音波は、一般にはウエハ洗浄タンクの外側にある振動子により形成される。典型的には、波は、数10から数100キロヘルツ(KHz)のオーダー(「超音波」)から、数100万ヘルツ(MHz)(「メガソニック」)のオーダーの範囲の周波数が用いられる。そのような音波は、音響キャビテーションを形成する。キャビテーションは、小さな気泡の生成である。そのようなプロセス中に、気泡は崩壊する。気泡が振動または崩壊する場合、エネルギが粒子や基板上の望まない汚染物の存在に与えられる。エネルギは、一般には、洗浄される基板と、その上に接着する粒子/汚染物との間の接着力を克服するのに十分である。
【0006】
メガソニック洗浄の1つの欠点は、気泡が崩壊する時に開放されるエネルギが半導体デバイスにダメージを与えることである。この懸念は、例えば45nmテクノロジノードやそれを越えるようなデバイススケーリングでは非常に重要になってくる。
【0007】
メガソニックアシスト洗浄により形成されるダメージを低減する直接的な方法は、メガソニックパワーを低減することである。残念ながら、より低いメガソニックパワーレベルは、より低い洗浄効率を意味する。同様に、より低い洗浄効率は、例えば液体洗浄溶液の組成や化学的性質の調整による、更なる取り組みが必要となる。しかしながら、洗浄溶液を調整した場合、パターニングされた構造、基板、それらのメガソニックプロセスへの適応性等のような他の制約を考慮に入れなければならない。
【発明の目的】
【0008】
本発明の目的は、メガソニックパワーレベルを変化させずに、メガソニックアシスト洗浄で導入されるダメージを低減する方法を提供することである。ダメージの低減は、洗浄効率または製造フローとの洗浄プロセスの互換性に有害に影響を与えてはいけない。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、添付の請求項に記載された方法に関する。本発明は、このように、基板のパターニングされた表面の上で、物理力アシスト洗浄プロセスを行う方法に関し、この方法は、
a)少なくとの1つのパターニングされた表面を有する基板を準備する工程と、
b)洗浄液(3)をパターニングされた表面に供給する工程と、
c)パターニングされた表面に接触した洗浄液に物理力を供給し、これにより物理力が洗浄液中に気泡を形成する工程と、を含み、
物理力を供給する前に、添加剤が表面に供給され、所定の時間、添加剤は表面に接触するように保持され、添加剤と時間は、洗浄液により表面の実質的に完全な濡れが達成されるように選択される。
【0010】
好適に具体例では、添加剤と時間は、パターニングされた表面上で、洗浄液の接触角が30°より小さくなるように選択される。
【0011】
物理力は、メガソニックエネルギ源により供給された音響振動でも良い。代わりに、物理力は、噴霧器スプレーで供給された機械的振動でも良い。
【0012】
本発明の具体例では、工程(b)の前に、パターニングされた表面を添加剤に接触させることで、添加剤が供給されても良い。他の具体例では、添加剤と洗浄溶液とを混合することで、工程(b)中に添加剤が供給される。
【0013】
後者の場合、添加剤が洗浄液と混ぜられて混合液を形成し、この混合液が、パターニングされた表面に供給される洗浄液として使用される。代わりに、工程(b)中に添加剤が供給されるこの場合において、洗浄液と添加剤は、パターニングされた表面に同時に供給されても良い。
【0014】
添加剤は、酸化物質でも良い。また、それは、イソプロピールアルコール(IPA)またはアセトンでも良く、または表面活性剤でも良い。
【0015】
酸化物質は、過酸化水素を含む水性混合物でも良い。また、酸化物質は、オゾン(O3)を含む水性混合物でも良い。
【0016】
洗浄液は、脱イオン水(純水)でも良い。また、これは溶剤型溶液(溶剤ベースの溶液)でも良い。
【0017】
本発明の方法では、パターニングされた基板は、疎水性のパターニングされたシリコン基板でも良い。
【0018】
具体例では、パターニングされた基板は、45nm以下の線幅を有する特徴を含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
全ての図面は、本発明の幾つかの形態と具体例を示すことを意図する。記載された図面は模式的であり、限定するものではない。
【0020】
【図1】洗浄溶液と接触するパターニングされた基板の模式図であり、(a)は完全に濡れた場合、(b)は部分的に濡れた場合を示す。
【図2】過酸化アンモニウム混合物(APM)を用いて前処理したSiの疎水性基板上の、純水(DIW)の接触角のバラツキであり、NH4:H2O2:H2O=1:4:20であり、APM浸責時間の関数として示す。
【図3】テストパターン基板(ウエハ)の模式的な断面を示す。
【図4】脱イオン水DIW(d04とd12)と、IPA添加剤を加えたDIW(d06とd14)とのそれぞれで、メガソニックアシスト洗浄(400KHz−3MHz、30W)を適用した後の、疎水性(d04とd06)と親水性(d12とd14)のパターンウエハのダメージサイトの数を示す。
【図5】疎水性(d04)と親水性(d12)の基板の、DIW中でのメガソニックアシスト洗浄後の、欠陥サイズ分布を示す。
【図6】疎水性(d06)と親水性(d14)の基板の、IPA添加剤を加えたDIW中でのメガソニックアシスト洗浄後の、欠陥サイズ分布を示す。
【図7】メガソニック洗浄後に加えられた欠陥の欠陥マップを示す。:I(A)はDIW中の親水性基板、I(B)はDIW+IPA中の親水性基板;II(A)はDIW中の疎水性基板、II(B)はDIW+IPA中の疎水性基板。
【図8】DIW中で、異なるパワー設定:50W、15W、10Wでメガソニックアシスト洗浄(400KHz−3MHz)を適用した後の、疎水性と親水性のパターン基板のダメージサイトの数を示す。
【図9】DIW中(d04、d08、d12)およびIPA添加剤を有するDIW中(d06、d10、d14)で、メガソニックアシスト洗浄(400KHz−3MHz、30W)を適用した後の、疎水性と親水性のパターンウエハのダメージサイトの数を示す。
【図10a】バッチプロセスツール中で、DIW中で、100Wと1200Wのメガソニックアシスト洗浄(400KHz−3MHz)を適用した後の、疎水性および親水性のパターンウエハのダメージサイトの数を示す。
【図10b】DIW中で1200Wの親水性ウエハの欠陥サイズ分布を示す。
【図10c】DIW中で1200Wの疎水性ウエハの欠陥サイズ分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この明細書を通じて、「一の具体例(one embodiment)」または「ある具体例(an embodiment)」は、この具体例に関連して記載された特定の特性、構造、または特徴は、本発明の少なくとも1つの具体例中に含まれることを意味する。このように、この明細書中の様々な場所における「一の具体例中(in one embodiment)」または「ある具体例中(in an embodiment)」の表現は、同じ具体例を全て参照する必要は無く、またはしても良い。更に、特定の特性、構造、または特徴は、この記載から当業者にとって明らかなように、1またはそれ以上の具体例中で、適当な方法で組み合わされても良い。
【0022】
同様に、本発明の例示の具体例の記載で、本発明の様々な特徴は、時々、記載を簡略化して、様々な発明の形態の1またはそれ以上の理解を助ける目的で、その1つの具体例、特徴、または記載に互いに集められる。この記載の方法は、しかしながら、それぞれの請求項に明示的に列挙されたより多くの特徴を、請求された発明が必要することを意図するものであると解釈すべきでない。むしろ、以下の請求項が示すように、発明の形態は、本発明の1つの先の具体例の、全ての特徴より少なくなる。このように、詳細な説明に続く請求項は、これにより、明確にこの詳細な説明に取り込まれる、この発明の分離した具体例として、それ自身の上にそれぞれの請求項は立つ。
【0023】
更に、ここで記載された幾つかの具体例は、他の具体例に含まれた、他の特徴ではない幾つかの特徴を含むが、異なる具体例の特徴の組み合わせは、本発明の範囲内にあることを意味し、当業者に理解されるような、異なる具体例を形成する。例えば、以下の請求項では、請求された具体例に幾つかは、組み合わせとして使用できる。
【0024】
ここに提供される記載では、多くの特定の細部が説明される。しかしながら、本発明の具体例は、それらの特定の細部無しに実施できることが理解される。他の例では、公知の方法、構造、および技術は、この記載の理解を不明瞭にしないために、詳細には示されない。
【0025】
多くの洗浄の適用において、音響的または機械的な振動が適用され、洗浄性能、即ち望まない汚染物の除去を向上させる。残念ながら、それらのタイプの振動の適用は、基板表面にダメージを与えることがしばしば見出されている。例えば、メガソニックアシスト洗浄では、気泡が崩壊した時に開放されるエネルギが、小型デバイスの微細構造にダメージを与えるのに十分に大きい。
【0026】
本発明は、驚くべきことに、液体により基板が濡れる程度としても表現できる基板の表面状態(所定の液体に対する疎水性/親水性)と、その液中での物理力アシスト洗浄により基板に導入されるダメージとの関連付けを形成する。
【0027】
例えば、もし、更には「洗浄溶液(cleaning solution)」または「洗浄液(cleaning liquid)」との呼ばれるメガソニック洗浄で使用された液体が、基板表面を部分的にのみ濡らす場合、例えば、パターン基板の微細構造のダメージを増加させることになる。
【0028】
本発明の方法は、機械的または音響的な振動の開始前に、表面の完全な濡れを最初に達成することにより、基板のパターン表面上の構造へのダメージを避ける。完全な濡れは、洗浄溶液を供給する前の、または洗浄溶液の供給と同時の、基板の前処理により達成できる。特定の具体例では、前処理は、洗浄液と添加剤の同時供給と組み合わせても良い(以下参照)。
【0029】
特に、洗浄溶液が水、または水と同様の濡れ特性を示す場合、表面は親水性に形成される必要がある。前処理の継続時間は、基板の濡れを改良するのに、好適には基板の完全な濡れを達成するために、十分に長い必要がある。一般に、添加剤を用いた前処理を行なおうと、または添加剤は洗浄溶液と共に供給されようと、基板と添加剤との間の接触時間は、上述の基板のパターン表面の実質的に完全な濡れを得るように選択されなければならない。接触時間は、基板のタイプ、その形状、または使用される添加剤により異なり、それらのパラメータの特定に組み合わせに基づいて、当業者は容易に設定できる。
【0030】
本発明の方法は、例えばパターン基板の微細構造のような、パターン基板の上に形成または核生成される気泡のキャビテーションを防止することにより、パターン基板へのダメージを避ける。キャビテーションプロセスは、適用される音響エネルギ中での、核生成、気泡成長、および気泡の崩壊を含む。適用される音響エネルギ中での、気泡のキャビテーションを伴う振動、液体噴霧器スプレー中で機械的振動により形成されたガスポケット/気泡は、それらがパターン基板上で形成または核生成した場合、パターン基板の微細構造にダメージを与える。
【0031】
空洞の気泡の非対称な崩壊は、例えば基板を破壊することで、構造にダメージを与える圧力衝撃を形成する。空洞の気泡は、もし洗浄溶液が完全にそれらの外観を濡らす場合には、3次元の形状の外観を含むパターン基板上での核生成が防止される。物理力アシスト洗浄で現在用いられる全ての化学薬品が、密度の高いパターンの外観を完全に濡らすわけではない。本発明の方法を適用することにより、洗浄溶液によるパターン基板の完全な濡れを達成できる。
【0032】
更に詳細に記載するように、本発明は、洗浄溶液によりパターン基板の完全な濡れを達成するために以下の2つの選択肢を列挙する:(1)洗浄溶液を供給する前に、表面を洗浄するための添加剤を供給する、(2)洗浄溶液と同時に、表面に添加剤を供給する。双方の場合、物理力(例えば、メガソニック、噴霧器スプレー)が加えられる前に完全な濡れが達成される。
【0033】
本発明の多くの具体例は、パターン基板上で物理力アシスト洗浄プロセスにより誘起されるダメージを低減する方法を開示する。この方法は、
(a)パターン基板を準備する工程と、
(b)パターン基板上に洗浄溶液を供給し、(添加剤や前処理なしに洗浄溶液が供給された場合に)これによりパターン基板の部分的な濡れを達成する工程と、
(c)パターン基板と接触した洗浄溶液に物理力を与え、これにより物理力が洗浄溶液中で気泡を形成する工程とを含み、
物理力を与える前に、添加剤を供給し、これにより洗浄溶液によるパターン基板の完全な濡れを達成する。
【0034】
換言すれば、本発明は、基板のパターン表面上で、物理力アシスト洗浄プロセスを行い、これにより物理力で誘起されるダメージを低減する方法を開示し、この方法は、
a)少なくとも1つのパターン表面を有する基板を準備する工程と、
b)パターン表面に洗浄溶液を供給する工程と、
c)パターン表面と接触した洗浄溶液に物理力を与え、これにより物理力が洗浄溶液中で気泡を形成する工程とを含み、
物理力を与える前に、表面に添加剤を供給し、これにより洗浄溶液によるパターン表面の完全な濡れを達成する。
【0035】
液体による表面の濡れの程度は、(液体が表面に分配された場合)液体で覆われる表面の拡がりにより定義される。液体による表面の完全な濡れは、表面の全ての部分(面積)が、液体と直接接触することを意味する。表面は、形状的特徴を有し、または有さなくても良く(平坦/または非平坦)、均一のまたは不均一の表面組成でも良い。
【0036】
界面の固体(基板)−液体に関する全ギブス自由エネルギGinterfaceが低い場合(図1(a)に示すような、完全な濡れの配置)に、高い程度の濡れが得られる。ギブス自由エネルギは、全体の固体−液体界面のそれぞれの異なる部分に対して、固体−液体表面張力(γSLi)に、表面積(Ai)を掛け合わせて、足し合わせることにより、以下の式のように得られる。
【0037】
Ginterface=ΣγSLiAi
【0038】
表面上に、液体が表面と直接接触しない少なくとも1つの場所/領域/形状が有る場合、濡れは部分的である。この場合、表面の場所/領域/形状の上で、気泡が容易に形成または核生成し、物理力アシスト洗浄により誘起されるダメージを増加させる。
【0039】
この結果、パターン基板を部分的に濡らす洗浄溶液は、パターン基板1の一部(領域、形状)を示し(例えば、形状的な特徴2)、この一部は、図1(b)に示すように、洗浄基板3と直接接触していない(または、覆われていない)。パターン基板を完全に濡らす洗浄溶液は、図1(a)に示すように、(例えば、形状的な特徴を含む)パターン基板1の全ての部分(領域)と直接接触する。
【0040】
平坦な表面(地形の無い表面)の場合、接触角の測定を、液体による表面の濡れの程度の評価に用いることができる。接触角は、液体/気体界面が、固体表面に出会う位置での角度であり、液体気体界面の気体側で測定される。接触角は、所定のシステムに固有であり、3つの界面を横切る相互作用により決まる。殆どの場合、この概念は、平坦な水平の固体表面上の小さな液滴を用いて示される。液体が非常に強く固体表面に引っ張られる場合(例えば、非常に親水性の基板の上の水)、液滴は固体表面上で完全に拡がり、(液体を通って測定される)接触角度は0°に近いであろう。より強力でない親水性の固体は、一般には50°の値までの接触角を有する。高い親水性の基板上では、液滴は、0°から30°の接触角を示す。もし、固体基板が疎水性であれば、接触角は一般には60°または70°より大きくなる。(「超疎水性(super-hydrophobic)」と呼ばれる)高度に疎水性の基板は、150°または180°に近いような大きな接触角を有する。それらの表面上では、水滴は単に基板上に横たわり(一般的には非常に移動しやすく)、意味のある程度には実際に濡れない。
【0041】
一般には、高い程度の液体による濡れは、以下で使用される完全な濡れに対応し、接触角が30°以下、好適には10°より小さい、更に好適には0°に近い場合に達成される。低い程度の液体による濡れは、以下で使用される部分的な濡れに対応し、接触角が50°以上、好適には70°より大きい場合に達成される。
【0042】
接触角は、また、不均一な表面分布を有する形状的特性や基板を含む基板の場合にも測定できる。この場合、濡れの程度は、接触角の実験的測定により、または異なる理論モデルを用いた接触角の見積もりにより決定できる。
【0043】
接触角を決める実験的な方法の中で、最も知られたものは、静的液適法(static sessile drop method)および動的液適法(dynamic sessile drop method)(接触角ヒステリシス)であり、高解像度カメラおよび接触角を検出し解析するソフトウエアを用いる。平坦な基板上の所定の洗浄溶液の接触角が分かった場合、同じ材料から形成されるパターン基板の濡れ特性の見積もりが可能である。もし、高い接触角(>70°)が、平坦な表面上で測定された場合、同様に、洗浄溶液はパターン基板を部分的に濡らすのみである。
【0044】
しかしながら、接触角が低く(<30°)、完全な濡れが平坦な基板上で達成される場合、同じ材料から形成されるパターン基板の濡れについて意見を寄せることできない。特にパターンが高密度の構造、即ち小なピッチ(即ち、構造のライン幅と2つの隣接する構造の間隔との和)の構造を含む場合、洗浄溶液はパターン基板の部分的な濡れを示すかも知れない。実験的な測定または理論的な計算が、この場合のパター基板の濡れの予想に用いられても良い。本発明の好適な具体例では、洗浄される基板のパターン表面の洗浄溶液による「実質的に完全な濡れ」は、パターン表面上で直接測定され、または理論的なモデルから推理されたように、30°より小さな接触角に対応する。例えば、そのようなモデルは、一方においては、平坦な基板上の接触角と接触時間の間の関係を与え、一方において、同じ材料のパターン基板上の接触角と接触時間との間の関係を与える。
【0045】
本発明の多くの具体例は、パターン基板上の物理力アシスト洗浄プロセスにより誘起されたダメージを低減する方法を開示し、この方法は、
(a)パターン基板を準備する工程と、
(b)パターン基板上に洗浄溶液を供給し、これにより、(洗浄溶液が、添加剤または前処理無しに提供された場合に)パターン基板の低い程度の濡れを達成する工程と、
(c)パターン基板と接触した洗浄溶液に物理力を与え、これにより物理力が洗浄溶液中で気泡を形成する工程とを含み、
物理力を与える前に、表面に添加剤を供給し、これにより洗浄溶液によるパターン基板の高い程度の濡れを達成する。
【0046】
高い程度の濡れの達成、好適には基板の完全な濡れは、気泡が基板上で形成または核生成するのに大きな抵抗となる。これは、特に、基板の小さな形状的特徴、例えば45nmより小さな幅のラインにとって重要である。なぜなら、気泡がそのような小さな特徴の上で核生成せず、より少ないダメージが洗浄プロセス中に誘起されるからである。
【0047】
本発明の異なる具体例では、物理力は音響的な振動であり、超音波(ウルトラソニック)またはメガソニックエネルギのいずれかの形態で、パターン基板に接触した洗浄溶液に供給される。
【0048】
本発明の代わりの具体例では、物理力は機械的振動であり、これにより、例えば噴霧器により、パターン基板に接触する洗浄溶液中で、気泡またはガスポケットが形成される。噴霧器を用いて基板を処置した場合、多くの液体(洗浄溶液)の微細な液滴が、同時に基板に供給される。微細な液滴の間で、更にメガソニック洗浄中の液体中で空洞を作る気泡と同様の挙動を示す「ガスポケット」または気泡が形成される。
【0049】
本発明の第1のセットでは、工程(b)に先立って添加剤が供給され、基板のパターン表面を添加剤に接触させる。一の具体例では、添加剤は液体物質である。代わりの具体例では、添加剤は、蒸気または気体での良い。洗浄溶液によりパターン基板の濡れの程度(部分的な濡れから完全な濡れに)を改良するのに十分な、所定の接触時間の後、洗浄溶液の特徴に応じて添加剤が除去されても、除去されなくても良く、洗浄溶液はパターン基板と接触する。換言すれば、この第1の具体例のセットでは、表面は添加剤により前処理される。
【0050】
図2は、APM浸責時間の関数として、過酸化アンモニウム混合液(APM、NH4:H2O2:H2O=1:4:20)で前処理したSi疎水性基板上の、脱イオン水(DIW)の接触角のばらつきを示す。接触角の低減およぶ疎水性−親水性の遷移は、APM浸責時間の増加とともに顕著になる。代わりの、接触角の同様の低減が、溶解したO3を有する水を与えることで得られる。最初の高い接触角は、有機汚染物による。有機汚染物は、クリーンルーム雰囲気との長い接触中に形成される。疎水性−親水性遷移に必要とされる接触時間は、基板、基板上に存在するパターン、および基板状態を変えるのに用いられる添加剤の濃度に依存し、非常に短くできる。例えば、接触時間は、シングルウエハツール上で基板上の添加剤をスピンするのに必要な時間間隔に等しい接触時間、例えば5〜10秒で、幾つかの具体例では十分である。
【0051】
室温環境に保存されたウエハ上の有機汚染物の存在は、続くメガソニック洗浄/リンスプロセス中の、ウエハ上のダメージを増加させる。この増加したダメージのリスクは、本発明の方法を用いることにより防止できる。
【0052】
本発明の具体例の第1のセットでは、添加剤は、洗浄溶液での完全な濡れを達成するのに十分に長い接触時間の間、シングルウエハツールでパターン基板の表面上でスピンされた液体物質である。また、添加剤は、パターン基板と接触するように運ばれた蒸気または気体でも良い。代わりに、添加剤は、液体物質であり、パターン基板が、所定の時間、バッチ処理ツール中のこの液体物質に、洗浄溶液により完全な濡れが(その後に)達成できるのに十分な長さだけ浸責されても良い。この後、添加剤は基板から除去され、シングルウエハツールの上で洗浄溶液をスピンすることにより洗浄溶液が基板上に供給され、または基板洗浄溶液を含む容器中に沈められ、そして、(圧電素子やロッドを含み、これにより基板と振動ロッドとの間に液体メニスカスを形成し、または容器に接触した圧電素子を含むような技術的に公知な)例えばメガソニックまたは噴霧器アシスト洗浄プロセスにより、物理力が与えられ、これにより基板が洗浄されるとともに混合液と接触する。
【0053】
本発明の具体例の第2のセットでは、工程(b)中に添加剤が供給され、洗浄溶液に添加剤を混ぜられ、これにより(部分的な濡れから完全な濡れに)洗浄溶液によるパターン基板の濡れの程度を改良する。これは、洗浄溶液と添加剤の混合液(例えば10体積%のIPAと混合したDIW)を準備して行われ、混合液により表面の実質的に完全な濡れが達成できるのに十分な時間、洗浄する表面を混合液に接触させる。シングルウエハツールでこの具体例を実施するために、例えば回転チャックのような支持表面の上に基板が搭載され、所定の時間、混合液(洗浄溶液+添加剤)が表面上でスピンされる。この後、物理力が加えられ、例えば、(圧電素子やロッドを含み、これにより基板と振動ロッドとの間に液体メニスカスを形成するような技術的に公知な)メガソニックや噴霧器アシスト洗浄プロセスで、混合液に接触させながら基板が洗浄される。バッチ洗浄ツールでは、1またはそれ以上の基板が、混合液(洗浄溶液+添加剤)を含む容器に沈められ、混合液により、洗浄される表面の完全な濡れが得られるのに十分に長い間、容器中に保持される。続いて、例えば、容器に接触して搭載された圧電変換器を含む、公知の方法で、物理力が供給される。
【0054】
具体例の第2のセット(即ち、工程(b)中に添加剤が供給される)は、また、洗浄溶液が供給されるのと同時に、洗浄される表面に添加剤が供給される具体例を含む。シングルウエハツールでは、洗浄溶液と液体添加剤を、セパレータノズルを介して、表面で同時にスピンして行われる。洗浄溶液と添加剤のこの供給は、2つの液体を互いに混合し、混合液により表面の完全な濡れが得られるのに十分な、所定の時間続けられる。この後、物理力が与えられ、例えば、(圧電素子やロッドを含み、これにより基板と振動ロッドとの間に液体メニスカスを形成するような技術的に公知な)メガソニックや噴霧器アシスト洗浄プロセスを用いて、基板は、混合液に接触させながら洗浄される。液体の添加剤の代わりに、気体の添加剤を供給しても良い。可能なら、添加剤の供給は、物理力の間、連続し、洗浄工程中に、完全な濡れ状態を確実に保持する。バッチツールでは、洗浄液のバスに基板が沈められ、一方添加剤はバスに供給され、または表面に向かうノズルで、直接、洗浄される基板の表面に直接供給される。基板は、完全な濡れが起きるたまに十分な長さ、その方法で保持される、続いて、例えば容器に接触して搭載された圧電変換器を含むような、公知の技術で、物理力が与えられる。また、ここでは、物理力を与えながら、添加剤の供給を続けることも可能である。
【0055】
具体例の第3のセットでは、具体例の第1のセットのいずれかにかかる上述の前処理が、具体例の第2のセットにかかる、洗浄溶液と添加剤の混合供給(前混合または同時供給)と組み合わせて行われる。これは、前処理のみが行われた場合、または混合供給のみが行われた場合に比較して、物理力アシスト洗浄中基板ダメージを更に低減できる。
【0056】
本発明の幾つかの具体例では、表面と使用される洗浄溶液との間の、固体−液体表面張力(γSL)を低減するために、パターン表面が添加剤で処理される。洗浄液自身は、前処理には必要でない。具体例の第1のセットでは、表面が前処理され、標準の洗浄液が用いられる。
【0057】
幾つかの具体例では、添加剤は、洗浄溶液に加えられた液体物質である。代わりに、蒸気または気体が洗浄溶液に加えられてもよい。
【0058】
水ベースの洗浄液を含む、本発明の異なる具体例では、添加剤は酸化する物質である。特別な具体例では、酸化する物質は、ペルオキシ硫酸混合液(略してSPM)またはアンモニアペルオキサイド(略してAPMまたはSC1TM洗浄)のような、過酸化水素を含む水の混合液である。
【0059】
他の具体例では、酸化する物質は、オゾン(O3)を含む水の混合液である。
【0060】
本発明では、添加剤は、基板と洗浄溶液との間の固体−液体界面において、表面張力を低下/減少させる物質である。これは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、またはそれらの混合物からなるグループから選択されるアルコールでも良い。好適には、固体−液体界面での表面張力を下げることができる物質はイソプロパノール(即ち、イソプロピルアルコールまたはIPA)である。洗浄溶液への添加剤として、工程(b)中に用いられるIPAの濃度は、10〜20体積%の範囲で変化する。工程(b)の前に添加剤として用いる場合、より高い濃度(>20体積%)または純IPAが好ましい。代わりに、表面張力を下げることができる物質はアセトンである。
【0061】
代わりの具体例では、基板と洗浄溶液の間の固体−液体界面において表面張力を下げることができる物質は、界面活性剤である。界面活性剤は、デシル−、n−オクチル−、ドデシル−トリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルベンゼンスルフォニック酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、オクトキシノル−5、オクトキシノル−9、オクトキシノル−30、セチルプリリディニウムブロマイド、トリトンTMCF−10(変形アルキルアリルポリエーテル)、トリトンTMCF−76(変形アリルアルコキシレート:4−ノニルフェノキシポリエソキシポリプロポキシエチルアセタール)、アルキルオキシポリエチレンオキシエタノール、およびその混合物や均等物からなるグループから選択される。好適には、界面活性剤の濃度は、10−5Mから10−2Mの間である。更に好適には、界面活性剤の濃度は、10−5Mから10−3Mの間である。
【0062】
パターン基板は、Si、Ge、SixGey、GaAs、InP、InSb、AlGaAs、InGaAs等のようなIII−V化合物のような、半導体材料または半導体材料の混合物を含む。パターン基板は、バルクシリコンやSOI(シリコン−オン−インシュレータ)、sSOI(応力SOI)、またはGOI(ゲルマニウム−オン−インシュレータ)基板でも良い。
【0063】
本発明の特別な具体例では、パターン基板は、疎水性のパターンシリコン基板である。疎水性シリコン基板の典型例は、「HF−ラスト(HF−last)」基板、即ち、シーケンスの最終工程として沸酸(HF)添加を用いた水処理を有する洗浄シーケンスが施されたシリコン基板である(実験セクションを参照)。
【0064】
本発明の異なる具体例では、洗浄溶液は水ベースの溶液である。
【0065】
本発明の代わりの具体例では、洗浄溶液は、溶剤ベースの溶液である。溶剤は、ジメチルスフホキシド(DMSO)、n−エチルピロリドン(NEP)、1−メトキシ−2−プロピル−アセテート(PGMEA)、n−メチルピロリドン(NMP)、プロピレン−カーボネート(PC)、およびそれらの組み合わせを含む。上で言及されたHF−ラスト処理は、所定の溶剤ベースの洗浄溶液に対して、実際にシリコン基板を「親水性(philic)」状態にする。このように、溶剤ベースの洗浄溶液と組み合わせて用いた場合、HF−ラスト処理は、実際に本発明にかかる前処理である。弗化水素酸(HF)またはHFを含む溶液は、このように本発明の方法に使用される添加剤である。
【0066】
特別な具体例では、洗浄溶液はリンス溶液でも良い。更に特に、リンス溶液は、脱イオン水でも良い。
【0067】
本発明の異なる具体例は、パターン基板上で、メガソニックアシスト洗浄プロセスにより誘起されるダメージを低減する方法を開示し、この方法は、
(a)パターン基板を準備する工程と、
(b)パターン基板上に洗浄溶液を供給し、これにより、(洗浄溶液が、添加剤または前処理無しに提供された場合に)パターン基板の部分的な濡れを達成する工程と、
(c)パターン基板と接触した洗浄溶液にメガソニックパワーを与え、これによりメガニックパワーが、洗浄溶液中で気泡の形成とキャビテーションを行う工程とを含み、
メガソニックパワーを与える前に、添加剤を供給し、これにより洗浄溶液によるパターン基板の完全な濡れを達成することを特徴とする。
【0068】
「メガソニックパワーを与える前に」添加剤が提供されるとは、洗浄溶液中で気泡キャビテーションが始まる所定のレベル(キャビテーション閾値)にメガソニックパワーが達する前に、と訳されるべきである。キャビテーション閾値より十分に低い非常に柔らかいメガソニック振動は、洗浄溶液におよりパターン基板の完全な濡れをより速く達成するのを助ける。
【0069】
本発明の具体例では、洗浄溶液に接触しながらパターン基板に物理力を与える間に、追加の化学薬品が洗浄溶液に与えられても良い。
【0070】
例
図3に断面が模式的に表されたパターンシリコンウエハ上で、異なるテストが行われた。
【0071】
エッチング前の線幅が45nmで約1ミクロンの間隔を有するゲート電極としてデバイス中で用いられるポリシリコン構造(3)が、ポリシリコン構造と基板との間にゲート酸化物として一般に存在する薄い酸化物層(2)を有するバルクシリコン基板(1)の上に形成された。
【0072】
メガソニックアシスト洗浄実験が、シングルウエハ(SW)洗浄ツール(ゴールドフィンガーアクリオン(登録商標))とバッチ洗浄(WB)ツールの中で、疎水性および親水性の基板(ウエハ)の双方の上で行なわれる。シングルウエハシステムは、ウエハが水平に保持された回転チャックからなる。音響エネルギは、圧電性材料から、石英ロッドと液体メニスカスを通ってウエハに伝えられる。洗浄溶液は、脱イオン水(DIW)または10体積%のイソプロピルアルコール(IPA)を含むDIWである。メガソニックパワーの設定は、シングルウエハツールに対しては10Wと30Wの間、バッチツールに対しては100Wと1200Wの間である。基板は、30〜120秒間洗浄される。それぞれの試料の条件は、表1に要約する。
【0073】
【0074】
以下において「HF−ラスト」または「疎水」試料として言及される疎水性ウエハは、メガソニックアシスト洗浄前に、パターンウエハを「HF−ラスト洗浄」することで準備した。「HF−ラスト洗浄」は、オゾンと脱イオン水(O3/DIW)を用いた最初の酸化工程と、それに続く、HF/HClを用いた酸化物除去工程と、脱イオン水とHCl添加によるリンス工程とを含む洗浄シーケンスである。
【0075】
他の型の疎水性ウエハは、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)のスピンにより準備される。それらの試料は、HMDS−被覆ウエハと以下で言及する。
【0076】
「化学酸化物(chemical oxide)」または「親水性(philic)」試料と以下で呼ばれる親水性ウエハは、メガソニックアシスト洗浄前に、パターンウエハを最初に「O3−ラスト洗浄」することで準備された。「O3−ラスト」洗浄は、オゾンと脱イオン水(O3/DIW)を用いた最初の酸化工程と、それに続く、HF/HClを用いた酸化物除去工程と、オゾン化脱イオン水(O3/DIW)によるリンス工程とを含む洗浄シーケンスである。厚さが約0.7nmのSiO2化学酸化物が、一般には基板上に形成される。「親水性」試料は、このように本発明の方法にかかる前処理を受けた「疎水性」試料である。
【0077】
明視野パターン観察ツール(KLA Tencor 2800(登録商標))を用いて、メガソニックアシスト洗浄の前後において欠陥サイトが評価された。
【0078】
メガソニックアシスト洗浄により加えられた欠陥サイトの数は、それぞれのサイズビン(即ち、粒子サイズ分散中のウインドウ)に対して、(メガソニックアシスト洗浄後の)最終欠陥数から、(メガソニックアシスト洗浄前の)初期欠陥数を引くことで、計算される。
【0079】
パターンダメージ観察を行う典型的な方法を、以下に述べる。半導体デバイスの製造中の全ての工程は、欠陥形成に結びつく。欠陥は、パターンダメージ/壊れた線/残渣/粒子等を意味する。特定のプロセス工程中に形成される欠陥の数を評価するために、プロセスが行われた後に、明視野ツールを用いて、ウエハの重要な領域について観察が行われる。一旦プロセスが行われれば、それは、明視野ツールを用いて2度目の観察が行われる。明視野ツールは、同じ関心領域(ROI)をいつも観察するような方法でプログラムされる。最初の欠陥観察結果は、次に、第2の結果から引かれ、欠陥の増加分に到達する。それらの欠陥の増加分は、更に、必要であれば検査SEMを用いて証明できる。
【0080】
図4は、脱イオン水DIW中(d04とd12)と、IPAを添加したDIW中(d06とd14)中で、それぞれ、メガソニックアシスト洗浄(400kHz〜3MHz、30W)を行った後の、疎水性(d04とd06)および親水性(d12およびd14)のパターンウエハの、ダメージサイトの数を表す。
【0081】
図4のヒストグラムは、DIW中でメガソニックアシスト洗浄後のダメージサイトの数が、基板状態に強く依存していることを示す。疎水性試料(D04)では、3562の増加分(増えた欠陥)が数えられ、一方、親水性基板(d12)では、1551の増加分が見られた。IPA(10体積%)をDIWに加え、メガソニックアシスト洗浄を同じ設定で行うと、疎水性(d06)と親水性(d14)の双方のウエハで、それぞれ、1616と1168まで増加分の数の減少が見られた。疎水性基板では、この減少はより重要である(最初の増加分の45%)。特に、本発明の方法にかかる基板の前処理に加えて、洗浄液中にIPAを用いると、欠陥サイトの数を更に減少できることに留意すべきである。これは、試料d12およびd14の結果により示される。
【0082】
図5および図6は、DIW中のメガソニックアシスト洗浄と、IPAを加えたDIW中での同様のメガソニックアシスト洗浄との間の、欠陥サイズ分布の重要な違いを示す。違いは、疎水性ウエハでより明白である。
【0083】
例えば、図5は、特に、DIW中でメガソニック洗浄された疎水性ウエハ(d04)上の、非常に大量の、大きなサイズの欠陥(2〜3ミクロンおよび3〜4ミクロン)を示す。図6は、IPAを加えたDIW中でメガソニック洗浄された疎水性(d06)および親水性(d14)の試料の双方の、上述の大きなサイズの欠陥の重要な減少を示す。観察された重要な減少は、基板を濡らす洗浄溶液を用いたメガソニック洗浄の、減少されたダメージ(より壊れていない構造)を確認する。
【0084】
図7は、メガソニック洗浄後に増加した欠陥(2.5〜3ミクロン)の異なる欠陥マップであり、I(A)はDIW中の親水性基板;I(B)はDIW+IPA中の親水性基板;II(A)はDIW中の疎水性基板;II(B)はDIW+IPA中の疎水性基板を表す。疎水性基板の場合、影響を受けたダイの数が、親水性基板の場合より、非常に多いことは留意に値する。メガソニック洗浄を行う前に、完全な濡れを達成するためにIPAを加えることは、図5〜7に示すように欠陥の数を減らすのみならず、影響を受けるダイの数も減らすことができる。
【0085】
図8は、異なるメガソニックパワー設定:30W、15Wおよび10Wで、DIW中でメガソニックアシスト洗浄を行った後の、疎水性および親水性のパターンウエハの、欠陥サイトの数を表す。より高いパワー設定では、疎水性と親水性の間の欠陥サイトの数の違いは、より顕著になる。メガソニックを与える場合に、洗浄溶液により基板を完全に濡らすことが、より高いパワーレベルで更に必要とされる。
【0086】
低いパワーレベルでさえも、疎水性基板上の欠陥は重大であり、形状のサイズが小さくなった場合、または例えばFinFETデバイスのフィン構造のように高いアスペクト比の形状を形成する場合に、より重要となるであろう。
【0087】
図9は、DIW中(d04、d08、d12)と、IPAを加えたDIW中(d06、d10、d14)で、メガソニッ洗浄(400KHz〜3MHz、30W)を行った後の、親水性および疎水性パターンウエハの、欠陥サイトの数を示す。
【0088】
HF−ラスト(d04、d06)基板および化学酸化物(d12、d14)試料は、図4と同様にプロットされ、一方、HMDS−被覆基板(d08、d10)が、疎水性基板の2つの他の例である。HMDSは、フォトリソグラフィで使用される公知のプライマ材料であり、疎水性の性質を有する。HMDS−被覆基板(DIW中のメガソニック洗浄後)の場合の、比較的少ない欠陥サイトの数は、HMDSによる不完全な被覆により説明できる。しかしながら、HMDS−被覆基板の場合、IPAを添加したDIW中でメガソニックを与えた場合にも、欠陥サイトの数の減少が観察される。
【0089】
図10(a)は、バッチ処理ツールで、DIW中で1000Wおよび1200Wでメガソニック洗浄(400KHz〜30MHz)を行った後の、疎水性および親水性のパターンウエハの、ダメージサイトの数を示す。図10(b)は、DIW中、1200Wの親水性ウエハの欠陥サイズ分布を示し、図10(c)は、DIW中、1200Wの疎水性ウエハの欠陥サイズ分布を示す。
【0090】
図10(a)に示すように、疎水性基板上で高パワー(1200W)のメガソニックリンス(2分)を行った後のダメージレベルは、親水性基板上の同条件に比較して、約7倍高くなる。ヒストグラムの黒い柱は、O3−ラストまたはHF−ラストの前洗浄後の、ダメージサイトの数を示し、一方、ヒストグラムの白い柱は、DIW中のメガソニック洗浄後のダメージサイトの数を示す。疎水性基板の高レベルのダメージが、バッチプロセスに対して、25658の測定された増加分として確認された。
【0091】
図11(b)および(c)に示すように、疎水性基板の場合、欠陥の80%より多くが、0.7ミクロンより大きく、一方、親水性基板では、欠陥の90%より多くが、0.7ミクロンより小さい。測定された欠陥のサイズ分布は、疎水性基板上での、高いレベルのダメージ(壊れた線から最も発生するであろう)を確認する。
【0092】
先の具体例は、半導体デバイスの製造の、異なる領域にも適用可能である。それらの具体例は、疎水性Si基板と水ベースの洗浄溶液について記載されたが、これらの具体例の利益は、他の基板や他の洗浄溶液に対しても適用されることは、当業者にとって明らかであろう。特に、当業者は、物理力アシスト洗浄中にダメージの低減が望まれる、他の状況も想像できるであろう。
【0093】
先の記載は、本発明の所定の具体例を詳説する。しかしながら、テキスト中にいかに詳細に表されようと、本発明は多くの方法で実施できる。本発明の所定の特徴や形態を記載する場合の、特定の用語の使用は、その用語が関係する本発明の形状や形態の特定の特徴を含むように限定されて、その用語がここで再定義されることを意味すると取るべきではないことに留意すべきである。
【0094】
上述の説明は、多くの具体例に適用されるように本発明の新規な特徴を示し、記載し、指摘したが、示された方法やプロセスの形態や細部において、多くの省略、代替え、および変形が、本発明の範囲から離れること無しに、当業者に可能であることが理解されるであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(1)のパターン表面上で物理力アシスト洗浄プロセスを行う方法であって、
a)少なくとの1つのパターン表面を有する基板を準備する工程と、
b)洗浄液(3)をパターン表面に供給する工程と、
c)パターン表面に接触した洗浄液に物理力を供給し、これにより物理力が洗浄液中に気泡を形成する工程と、を含み、
物理力を供給する前に、添加剤が表面に供給され、所定の時間、添加剤は表面に接触するように保持され、添加剤と時間は、洗浄液により表面の実質的に完全な濡れが達成されるように選択されることを特徴とする方法。
【請求項2】
添加剤と時間は、パターン表面上で洗浄液の接触角が30°より小さくなるように選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
物理力は、メガソニックエネルギ源により供給された音響的振動である請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
物理力は、噴霧器スプレーで供給された機械的振動である請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
工程(b)の前に、パターン基板を添加剤に接触させることで、添加剤が供給される請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
工程(b)中に、添加剤と洗浄液とを混合することで、添加剤が供給される請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
添加剤は、酸化物質である請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
添加剤は、イソプロピールアルコール(IPA)である請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
添加剤は、アセトンである請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
添加剤は、表面活性剤である請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
酸化物質は、過酸化水素を含む水性混合物である請求項7に記載の方法。
【請求項12】
酸化物質は、オゾン(O3)を含む水性混合物である請求項7に記載の方法。
【請求項13】
洗浄液は、脱イオン水である請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
洗浄液は、溶剤型溶液である請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
基板は、疎水性のパターニングされたシリコン基板である請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
基板は、45nm以下の線幅を有する特徴を含む請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項1】
基板(1)のパターン表面上で物理力アシスト洗浄プロセスを行う方法であって、
a)少なくとの1つのパターン表面を有する基板を準備する工程と、
b)洗浄液(3)をパターン表面に供給する工程と、
c)パターン表面に接触した洗浄液に物理力を供給し、これにより物理力が洗浄液中に気泡を形成する工程と、を含み、
物理力を供給する前に、添加剤が表面に供給され、所定の時間、添加剤は表面に接触するように保持され、添加剤と時間は、洗浄液により表面の実質的に完全な濡れが達成されるように選択されることを特徴とする方法。
【請求項2】
添加剤と時間は、パターン表面上で洗浄液の接触角が30°より小さくなるように選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
物理力は、メガソニックエネルギ源により供給された音響的振動である請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
物理力は、噴霧器スプレーで供給された機械的振動である請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
工程(b)の前に、パターン基板を添加剤に接触させることで、添加剤が供給される請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
工程(b)中に、添加剤と洗浄液とを混合することで、添加剤が供給される請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
添加剤は、酸化物質である請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
添加剤は、イソプロピールアルコール(IPA)である請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
添加剤は、アセトンである請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
添加剤は、表面活性剤である請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
酸化物質は、過酸化水素を含む水性混合物である請求項7に記載の方法。
【請求項12】
酸化物質は、オゾン(O3)を含む水性混合物である請求項7に記載の方法。
【請求項13】
洗浄液は、脱イオン水である請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
洗浄液は、溶剤型溶液である請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
基板は、疎水性のパターニングされたシリコン基板である請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
基板は、45nm以下の線幅を有する特徴を含む請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【公開番号】特開2010−212690(P2010−212690A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−50864(P2010−50864)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(591060898)アイメック (302)
【氏名又は名称原語表記】IMEC
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50864(P2010−50864)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(591060898)アイメック (302)
【氏名又は名称原語表記】IMEC
【Fターム(参考)】
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