説明

ダンパ軸受装置

【課題】スリット内部のオイルによりスクイーズ効果をなすようにした、ダンパ軸受装置において、外部から常時スリット内部へオイル供給を行わなくても、スリットの側部からのオイルの漏洩を防止して、かかるオイルの漏洩によるスクイーズ効果の減少、及び振動のダンピング作用の減少を防止し、常に正常な振動のダンピング作用をなすことができるとともに、ダンパ軸受装置の簡素化、軽量化を達成することを目的とする。
【解決手段】ダンパ軸受本体2の内周側に支持されるボールベアリングが自己潤滑タイプの軸受構造によって構成され、微細幅のスリット6a、6bの、前記ダンパ軸受本体2の端面を覆うように該スリット6a、6bに沿って円周方向に配置されるととともに弾性体からなるシール部材5、5と、該シール部材を前記ダンパ軸受本体2に固定するシール押え7a、7bとを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸を支持する軸受のダンピング作用(振動減衰作用)を行うダンパ軸受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
円環状に形成され内周側に軸受を支持するダンパ軸受本体を備え、該ダンパ軸受本体の端面に直角な方向に面状に伸びて微細幅に形成され、軸方向には前記ダンパ軸受本体の端面に開口し、且つ周方向には互いに交差することのないように複数個設けられたスリットを備え、該微細幅のスリットの内部にはオイルが充填されて該スリット内のオイルによって該ダンパ軸受本体に掛かる軸受からの振動をダンピング(減衰)して前記軸受をハウジング内に支持するように構成されたダンパ軸受装置が、例えば特許文献1(特開2004−278580号公報)により提案されている。
【0003】
特許文献1のダンパ軸受は、微細幅が数μ程度のスリットを複数個、放電加工やレーザー加工等によって加工し、軸受の外周部に配置されたダンパ軸受本体の内部に、前記微細幅のスリットを、周方向に互いに交差することなく且つ軸方向にはダンパ軸受本体を貫通して設置されている。
【0004】
そして、該ダンパ軸受の上部には前記微細幅のスリット内にオイルを給油するための給油孔が設けられ、かかる給油孔を通して供給されるスリット内のオイルの、スクイーズ効果(絞り出し)により、さらにスリット内のオイルのバネ弾性によって前記軸受からダンパ軸受本体に作用する軸受からの振動をダンピングして支持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−278580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1(特開2004−278580号公報)にて提供されダンパ軸受は、ダンパ軸受本体の内部に、微細幅のスリットを、周方向には互いに交差することなく且つ軸方向にはダンパ軸受本体を貫通するように、面状にして設置している。
そして、ダンパ軸受の上部に設けられた給油孔からオイルが微細幅のスリット内に供給され、このスリット内のオイルの、スクイーズ効果(絞り出し)により、さらにスリット内のオイルのバネ弾性によって前記軸受からダンパ軸受本体に作用する軸受からの振動をダンピング支持している。
【0007】
すなわち、半径方向の軸受振動がスリットに掛かったとき、スリットが軸受振動により微量幅が収縮され、つまりオイルのスクイーズ効果により軸受振動に対するダンピング作用をなすが、かかるスクイーズ効果により、軸方向端部に開口しているスリットの側部から僅かであるがオイルの漏洩がある。
このスリットの側部からのオイルの漏洩により、スリットの幅が小さくなってスリットによるスクイーズ効果の作用が減少し、振動のダンピング作用が減少して、最終的にはダンピング作用が無くなることがあり得る。このため、ダンパ軸受の上部に設けられた給油孔からオイルを微細幅のスリット内に供給している。
しかしながら、支持される軸受自体の構造が潤滑油供給タイプのものであれば、ダンパ軸受への給油システムとの併用や、前記スリット側部からの漏洩オイルをさらに軸受の潤滑油に利用可能であるが、支持される軸受自体の構造がグリース封入タイプのような自己潤滑タイプのものでは、前記スリット側部からの漏洩オイルが封入グリースに混入する等して悪影響を与え、さらに、ダンパ軸受装置への給油システムだけを別途設けることが必要となり、ダンパ軸受装置の簡素化、軽量化の観点からも好ましくない。
【0008】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑みてなされたもので、スリット内部のオイルによりスクイーズ効果をなすようにした、ダンパ軸受装置において、外部から常時スリット内部へオイル供給を行わなくても、スリットの側部からのオイルの漏洩を防止して、かかるオイルの漏洩によるスクイーズ効果の減少、及び振動のダンピング作用の減少を防止し、常に正常な振動のダンピング作用をなすことができるとともに、ダンパ軸受装置の簡素化、軽量化を達成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はかかる目的を達成するもので、本発明の第1発明は、円環状に形成され内周側に軸受を支持するダンパ軸受本体と、該ダンパ軸受本体の端面に直角な方向に面状に伸びて微細幅に形成され、軸方向には前記ダンパ軸受本体の端面に開口し、且つ周方向には互いに交差することのないように複数個設けられたスリットを備え、該微細幅のスリットの内部にはオイルが充填されて該スリット内のオイルによって該ダンパ軸受本体に掛かる前記軸受からの振動をダンピングするように構成されたダンパ軸受装置において、前記ダンパ軸受本体の内周側に支持される軸受が自己潤滑タイプの軸受構造によって構成され、前記ダンパ軸受本体の端面を覆うように該スリットに沿って円周方向に配置されるととともに弾性体を含むシール部材と、該シール部材を前記ダンパ軸受本体に固定する取付け部材とを備えたことを特徴とする。
【0010】
かかる発明によれば、取付け部材によりダンパ軸受本体に固定されたシール部材を、円周方向に配置してスリットの側部開口部を覆ったので、半径方向の軸受振動がスリットに掛かったとき、スリットが軸受振動により微量幅が収縮されオイルのスクイーズ効果により、スリットの側部開口部においてオイルが漏洩しようとするが、前記軸受本体に固定されたシール部材によって、前記スリットの側部開口部におけるオイルの漏洩を阻止できる。
従って、前記オイルの漏洩によるスクイーズ効果の減少を回避することにより振動のダンピング作用の減少を防止でき、常に正常なダンピング作用をなし得るダンパ軸受装置が得られる。その結果、スリットにグリースオイル等を充填しておき、機器の作動中のオイルの補給はしない構造とすることができる。
また、支持される軸受がグリース封入タイプのような自己潤滑タイプの軸受構造であるため、外部からの潤滑油の供給が不要であるため、ダンパ軸受への潤滑油の供給が不要となる構造と相俟って、ダンパ軸受装置の簡素化、軽量化が図られる。
【0011】
また、前記シール部材の具体的な装着手段としては、前記シール部材は、前記ダンパ軸受本体の軸方向の両側部にそれぞれ陥設された前記スリットの開口部をそれぞれ覆うように蛇腹状に形成され、前記取付け部材を前記陥没部内に嵌着することにより、前記シール部材を前記軸受本体に固定するように構成したので、弾性体からなる蛇腹状のシール部材が、スリットの開口部からの洩れのオイル圧力により自由に変形できる柔軟性があり、振動のスクイーズ作用によるオイル圧力の増加にも柔軟に対応できる。
【0012】
また、蛇腹状の凹凸部が周方向に形成される前記スリットの開口部に対応して形成されるとよく、スリットの開口部からの洩れオイルが蛇腹状の凹部内に吸収されることで漏れオイルを保持し、またそこからスリット内へ再度流入可能となる。
【0013】
また、かかる第1発明において、前記ダンパ軸受本体の内部に、前記微細幅のスリットを挟むランド部間に設けられて、前記軸受に支持される回転軸の静的荷重に対して狭まるスリットの幅を広げる方向に付勢力を付与するバネ部材を備えたことを特徴とする。
このように構成することによって、半径方向の軸受振動がスリットに掛かったとき、スリットが軸受振動により微量幅が収縮されるが、ダンパ軸受本体の内部に、微細幅のスリットを挟むランド部間に設けられて、前記軸受に支持される回転軸の静的荷重に対して狭まるスリットの幅を広げる方向に付勢力を付与するバネ部材を備えたことにより、バネによってスリットの幅を広げる方向に張力を付与することによりスリットの幅が広げられ、軸受に支持される回転軸の静的な荷重でスリットの微量幅が収縮されるのを防止できる。
これにより、前記軸受振動によりスリットの幅が小さくなってスリットによるスクイーズ効果の作用が減少するのを防止できるとともに、スリット内部のオイルの漏洩量を低減できる。
【0014】
なお、前記バネ部材の付勢力の付与に加えて、前記微細幅のスリットの、軸方向の両端開口部を覆うように弾性体からなるシール部材を備える構成を組み合わせれば、スリットが前記軸受振動により微量幅が収縮されるのを防止できるという効果とともに、スリットの側部開口部におけるオイルの漏洩を阻止できる効果によって、軸受のダンピング作用を減少させずに前記オイルの漏洩量を減少できる。
【0015】
また、上記第1発明において、前記シール部材によって覆われる前記ダンパ軸受本体の端面は平坦であり、前記シール部材は、前記スリットが設けられた位置の外周側及び内周側において、前記ダンパ軸受本体の平坦な端面に密着するように前記取付け部材によって固定されているとともに、前記外周側及び内周側に挟まれた中央部が前記ダンパ軸受本体の平坦な端面との間に空間を生ずるように湾曲していてもよい。
このように、シール部材の中央部を湾曲させたので、シール部材の中央部が半径方向に伸縮可能であり、軸受振動に起因するダンパ軸受本体の半径方向の動き(スリットの収縮又は拡大)が妨げられることはない。また、シール部材の中央部とダンパ軸受本体の平坦な端面との間の空間は、オイル溜めとして機能し、スリットから漏れ出たオイルを保持できる。
なお、前記シール部材は、湾曲した前記中央部が蛇腹状であってもよい。
【0016】
この場合、前記取付け部材は、前記シール部材の外周側に対応する直径を有する環状の外周側板部材と、前記シール部材の内周側に対応する直径を有する環状の内周側板部材と、前記外周側板部材と前記ダンパ軸受本体の平坦な端面との間に前記シール部材の外周側を挟んだ状態で、前記外周側板部材と前記ダンパ軸受本体の平坦な端面とを締結する第1締結部材と、前記内周側板部材と前記ダンパ軸受本体の平坦な端面との間に前記シール部材の内周側を挟んだ状態で、前記内周側板部材と前記ダンパ軸受本体の平坦な端面とを締結する第2締結部材とを含んでいてもよい。
これにより、外周側板部材および内周側板部材によって、シール部材の外周側および内周側がダンパ軸受本体の平坦な端面に密着した状態で固定され、スリットの側部開口部におけるオイルの漏洩を確実に阻止できる。また、ダンパ軸受本体の平坦な端面にシール部材を添えて、外周側板部材および内周側板部材で固定するようにしたので、ダンパ軸受本体へのシール部材の取付け作業を容易に行うことができる。
【0017】
また、上記第1発明において、前記シール部材は、前記ダンパ軸受本体の端面に沿って設けられる環状の板部材と、前記スリットが設けられた位置の外周側及び内周側において、前記環状の板部材および前記ダンパ軸受本体の端面の間に設けられる環状の弾性体とを含み、前記取付け部材は、外周側及び内周側のいずれか一方において、前記環状の板部材を前記ダンパ軸受本体の端面に締結する締結部材であってもよい。
これにより、締結部材の締結力によって、環状の板部材が弾性体をダンパ軸受本体の端面に押し付けるので、スリットの側部開口部におけるオイルの漏洩を確実に阻止できる。また、環状の板部材の外周側及び内周側のいずれか一方をダンパ軸受本体の端面に締結するようにしたので、軸受振動に起因するダンパ軸受本体の半径方向の動き(スリットの収縮又は拡大)が妨げられることはない。
【0018】
この場合、前記ダンパ軸受本体の端面は、前記スリットが設けられた位置の外周側及び内周側に設けられる前記環状の弾性体の間に設けられ、前記スリットと連通する凹部を有していてもよい。
これにより、ダンパ軸受本体の端面の凹部がオイル溜めとして機能し、スリットから漏れ出たオイルを保持できる。
【0019】
また、本発明の第2発明は、円環状に形成され内周側に軸受を支持するダンパ軸受本体と、該ダンパ軸受本体の端面に直角な方向に面状に伸びて微細幅に形成され、軸方向には前記ダンパ軸受本体の端面に開口し、且つ周方向には互いに交差することのないように複数個設けられたスリットを備え、該微細幅のスリットの内部にはオイルが充填されて該スリット内のオイルによって該ダンパ軸受本体に掛かる前記軸受からの振動をダンピングするように構成されたダンパ軸受装置において、前記ダンパ軸受本体の内周側に支持される軸受が自己潤滑タイプの軸受構造によって構成され、前記軸受本体の内部に、前記微細幅のスリットを挟むランド部間に設けられて、前記軸受に支持される回転軸の静的荷重に対して狭まるスリットの幅を広げる方向に付勢力を付与するバネ部材を備えたことを特徴とする。
【0020】
このように構成することによって、半径方向の軸受振動がスリットに掛かったとき、スリットが軸受振動により微量幅が収縮されるが、ダンパ軸受本体の内部に、微細幅のスリットを挟むランド部間に設けられて、前記軸受に支持される回転軸の静的荷重に対して狭まるスリットの幅を広げる方向に付勢力を付与するバネ部材を備えたことにより、バネによってスリットの幅を広げる方向に張力を付与することによりスリットの幅が広げられ、軸受に支持される回転軸の静的な荷重でスリットの微量幅が収縮されるのを防止できる。
これにより、前記軸受振動によりスリットの幅が小さくなってスリットによるスクイーズ効果の作用が減少するのを防止できるとともに、スリット内部のオイルの漏洩量を低減でき、スリット内部へのグリースオイルの密封タイプ構造とすることが可能となる。
【0021】
また、支持される軸受がグリース封入タイプのような自己潤滑タイプの軸受構造であるため、外部からの潤滑油の供給が不要であるため、ダンパ軸受への潤滑油の供給が不要となる構造と相俟って、ダンパ軸受装置の簡素化、軽量化が図られる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1発明および第2発明によれば、スリット内部のオイルによりスクイーズ効果をなすようにした、ダンパ軸受装置において、外部から常時スリット内部へオイル供給を行わなくても、スリットの側部からのオイルの漏洩を防止して、かかるオイルの漏洩によるスクイーズ効果の減少、及び振動のダンピング作用の減少を防止し、常に正常な振動のダンピング作用をなすことができるとともに、軸受をグリース封入タイプ等の自己潤滑タイプの軸受構造で構成することと相俟って、ダンパ軸受装置の簡素化、軽量化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態における軸受振動のダンパ軸受装置を示し、(A)は正面図、(B)は(A)のA−A断面図、(C)は(B)のZ部拡大図である。
【図2】本発明の第1実施形態(その2)におけるダンパ軸受の正面図である。
【図3】前記第1実施形態のダンパ軸受の取付け部の1例を示すロータ軸線に沿う断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態における軸受振動のダンパ軸受装置を示し、(A)は正面図、(B)は(A)のB−B断面図、(C)は(B)のY部拡大図、(D)は(A)のD−D断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態における軸受振動のダンパ軸受装置を示し、(A)は正面図、(B)は(A)のC−C断面図、(C)は(B)のX部拡大図である。
【図6】本発明の第4実施形態における軸受振動のダンパ軸受装置を示し、(A)は図1のA−A断面相当図、(B)は(A)のU部拡大図である。
【図7】本発明の第5実施形態におけるダンパ軸受装置の構成例を示し、(A)は正面図、(B)は(A)のB−B断面図である。
【図8】本発明の第5実施形態におけるダンパ軸受装置の別の構成例を示し、(A)は正面図、(B)は(A)のB−B断面図である。
【図9】本発明の第6実施形態におけるダンパ軸受装置の構成例を示し、(A)は正面図、(B)は(A)のB−B断面図である。
【図10】本発明の第6実施形態におけるダンパ軸受装置の別の構成例を示し、(A)は正面図、(B)は(A)のB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0025】
(第1実施形態)
図3は、前記第1実施形態のダンパ軸受の取付け部の1例を示すロータ軸線に沿う断面図である。
図3において、この例では過給機の回転軸101の端部を、ボールベアリング(軸受)102で支持し、該ボールベアリング102の外周はダンパ軸受1を介して軸受箱103に支持されている。該軸受箱103の上部には軸受箱基部104が装着されている。なお、ボールベアリング102は、グリース封入タイプのような自己潤滑タイプの軸受構造である。
該ダンパ軸受1が、本発明の要旨となる部材で、円環状に形成されたダンパ軸受本体2と該ダンパ軸受本体2内に設けたスリット6a、6bと、弾性体からなるシール部材5とを備えている。
かかるダンパ軸受1の詳細は、後述する。
【0026】
図1は、本発明の第1実施形態における軸受振動のダンパ軸受装置を示し、(A)は正面図、(B)は(A)のA−A断面図、(C)は(B)のZ部拡大図である。
ダンパ軸受本体2は円環状に形成され、図3に示すように、前記ボールベアリング102の外周と軸受箱103および軸受箱基部104の内周(空間100で示す)との間に固定されている。
6aは第1のスリットで、ダンパ軸受本体2の端面8、9に直角な方向に面状に伸びて、軸方向Vには前記ダンパ軸受本体2の端面8、9側に開口し、円周方向には図1のように、大径側の円形孔12fから小径側の円形孔12gまで略1周して形成され、幅が数μ単位(直径の1/1000〜3/1000程度)の微細幅のスリットである。
6bは、第2のスリットで、ダンパ軸受本体2の端面8、9に直角な方向に面状に伸びて軸方向Vには前記軸受本体2の端面8、9側に開口し、円周方向には図1のように、大径側の円形孔14aから小径側の円形孔14bまで略1周して形成され、幅が数μ単位(直径の1/1000〜3/1000程度)の微細幅のスリットである。
【0027】
前記微細幅のスリット6a、6bの内部には、振動減衰用のグリースオイルが充填されており、本第1実施形態では、作動中には、微細幅のスリット6a、6bにはグリースオイルの供給は行わず、該スリット6a、6bは密閉式である。
【0028】
前記第1のスリット6a及び第2のスリット6bの形状は、前記特許文献1(特開2004−278580号公報)と同様である。
【0029】
図1において、前記微細幅の第1のスリット6a及び第2のスリット6bの前記軸受本体2の端面8、9には、シール部材5、5が装着されている。
該シール部材5、5は、ダンパ軸受本体2の軸方向の両側部にそれぞれ陥設された陥没部16に前記スリット6a、6bの開口部6sをそれぞれ覆うように蛇腹状5cに形成されている。該スリット6a、6bの開口部6sと蛇腹状部5cとの間には、空間状のオイル溜め10が形成されている。
【0030】
前記陥没部16は、奥部16sの幅が広くなっており、該奥部16sに前記シール部材5、5が、環状に形成されたシール押え7a、7bにより押し込まれている。
前記シール押え7aは、上側が上方に張るように押し込まれてシール部材5を奥部16sの上方に押し付け、前記シール押え7bは、下側が下方に張るように押し込まれてシール部材5を奥部16sの下方に押し付けている。なお、環状に形成されたシール押え7a、7bは別々の部品であっても一体的に形成されていてもよい。さらに、シール押え7a、7bの形態は、本第1実施形態のように押し込むタイプでなくシール押え7a、7bにネジを形成してネジ止め構造によってシール部材5、5を押さえてもよい。
【0031】
この第1実施形態では、原則として、作動中には、微細幅のスリット6a、6bには振動減衰用のグリースオイルの供給は行わず、該スリット6a、6bは最初にオイルを充填したままの密閉式である。図2に示すように、最初に微細幅のスリット6a、6b内にグリースオイルを供給するために供給孔11が設けられ、該供給孔11から供給しておくようになっている。
その他の構成は、図1と同様であり、これと同一の部材は同一の符号で示す。
【0032】
前記第1実施形態による作用、効果について説明する。
【0033】
図1、図3において、この例では過給機の回転軸101の端部を、ボールベアリング102で支持し、該ボールベアリング102の外周はダンパ軸受1を介して軸受箱103および軸受箱基部104に支持されている。
前記過給機の運転中において、半径方向の軸受振動がスリット6a、6bに掛かったとき、該スリット6a、6bが軸受振動により微量幅が収縮されて、該スリット6a、6b中に溜められたオイルが、前記軸受振動によりスリット6a、6bの幅が縮小し、これに伴いスリット6a、6b内部のオイルがスクイーズ効果により、スリットの側部開口部6sから漏洩しようとする。
【0034】
しかしながら、前記微細幅の第1のスリット6a及び第2のスリット6bの前記ダンパ軸受本体2の端面8、9には、シール部材5、5が装着されている。従って、前記シール部材5、5は、ダンパ軸受本体2の軸方向Vの両側部にそれぞれ陥設された陥没部16に、前記スリット6a、6bの開口部6sをそれぞれ覆うように蛇腹状部5cに形成されているので、該軸受本体2に固定されたシール部材5、5によって、前記スリット6a、6bの側部開口部6sにおけるオイルの漏洩を阻止できる。
【0035】
従って、前記オイルの漏洩が阻止され、オイルの漏洩によるスクイーズ効果の減少を回避することが出来、これにより振動のダンピング作用の減少を防止でき、常に正常なダンピング作用をなし得るダンパ軸受1が得られる。
その結果、スリット6a、6bにグリースオイル等を充填しておき、機器の作動中のオイルの補給はしない構造とすることができる。
また、支持されるボールベアリング102がグリース封入タイプのような自己潤滑タイプの軸受構造であるため、外部からの潤滑油の供給が不要であるため、ダンパ軸受1への潤滑油の供給が不要となる構造と合わせて、ダンパ軸受装置の簡素化、軽量化が図られる。
【0036】
(第2実施形態)
図4は本発明の第2実施形態における軸受振動のダンパ軸受装置を示し、(A)は正面図、(B)は(A)のB−B断面図、(C)は(B)のY部拡大図、(D)は(A)のD−D断面図である。
この第2実施形態においては、前記スリット6a、6bの開口部6sをそれぞれ覆うように蛇腹状部を2個の山部5a、5bに形成している。
その他の構成は、前記第1実施形態(図1)と同様であり、これと同一の部材は同一の符号で示す。
【0037】
かかる第2実施形態によれば、シール部材5を、スリット6a、6bの開口部6sをそれぞれ覆う弾性体からなる2個の山部5a、5bの蛇腹状に形成したことから、弾性体からなる蛇腹状部5a、5bのシール部材5が、スリット6a、6bの開口部6sからの洩れのオイル圧力により自由に変形できるという柔軟性があり、スクイーズ作用によるオイル圧力の増加にも柔軟に対応できる。
【0038】
また、蛇腹状の凹凸部の2個の山部5a、5bが周方向に形成される前記スリット6a、6bの開口部6sに対応して形成されるため、それぞれのスリットの開口部からの洩れオイルが2個の山部5a、5bによって形成されるオイル溜め10a、10b内に吸収され、そこで漏れオイルを保持し、またそこからスリット6a、6b内へ再度流入可能となる。
【0039】
(第3実施形態)
図5は本発明の第3実施形態における軸受振動のダンパ軸受装置を示し、(A)は正面図、(B)は(A)のC−C断面図、(C)は(B)のX部拡大図である。
この第3実施形態においては、図5において、前記ダンパ軸受本体2の中央内部に、バネ部材20を設ける。
かかるバネ部材20は、図5(C)のように、前記微細幅のスリット6a、6bの内の1つのスリット6bを半径方向Tに、該スリット6bを挟むランド部2s、2t間に設けられて、スリット6bの幅を広げる方向に付勢力を付与するバネ21を有する。22はバネ21の取付け荷重を調整するプラグである。また、バネ21の付勢力は、前記ボールベアリング102に支持される回転軸の静的荷重に対して狭まるスリットの幅を広げる方向に付勢力を付与する。
尚、図5において、スリット6a、6bの形態等は前記第1実施形態と同一で、これと同一の部材は同一の符号で示す。
【0040】
かかる第3実施形態によれば、半径方向Tの軸受振動がスリット6bに掛かったとき、スリット6bが軸受振動により微量幅が収縮されるが、ダンパ軸受本体2の中央内部に、微細幅のスリット6a、6bの内の1つのスリット6bを半径方向Tに、該スリット6bを挟むランド部2s、2t間に、ボールベアリング102に支持される回転軸の静的荷重に対して狭まるスリットの幅を広げる方向に付勢力を付与するバネ21を有するバネ部材20を設けたことにより、バネ21によってスリット6bの幅を広げる方向に付与することにより、スリット6bの幅が広げられ、ボールベアリング102に支持される回転軸の静的な荷重でスリット6bの微量幅が収縮されるのを防止できる。
これにより、前記軸受振動によりスリット6bの幅が小さくなって、スリット6bの幅縮小によるスクイーズ効果の作用が減少するのを防止できるとともに、スリット内部のオイルの漏洩量を低減でき、スリット6a、6bにグリースオイル等を充填しておき、機器の作動中のオイルの補給を不要にすることが可能となる。
尚、前記バネ21の取付け荷重は、プラグ22の出代により調整できる。
【0041】
(第4実施形態)
図6は、本発明の第4実施形態における軸受振動のダンパ軸受装置を示し、(A)は図1のA−A断面相当図、(B)は(A)のU部拡大図である。
この第4実施形態は、前記第1実施形態(図1)と第3実施形態(図5)とを組み合わせたものである。
【0042】
即ち、図6(A)、(B)に示すように、前記第1実施形態(図1)においては、前記微細幅の第1のスリット6a及び第2のスリット6bの前記ダンパ軸受本体2の端面8、9には、シール部材5、5が装着されている。
該シール部材5、5は、ダンパ軸受本体2の軸方向の両側部にそれぞれ陥設された陥没部16に前記スリット6a、6bの開口部6sをそれぞれ覆うように蛇腹状5cに形成されている。該スリット6a、6bの開口部6sと蛇腹状部5cとの間には、空間状のオイル溜め10が形成されている。
前記陥没部16は、奥部16sの幅が広くなっており、該奥部16sに前記シール部材5,5が、環状のシール押え7a、7bにより押し込まれている。
前記シール押え7aは、上側が上方に張るように押し込まれてシール部材5を奥部16sの上方に押し付け、前記シール押え7bは、下側が下方に張るように押し込まれてシール部材5を奥部16sの下方に押し付けている。
【0043】
また、バネ部材20は、図6(B)のように、前記微細幅のスリット6a、6bの内の1つのスリット6bを半径方向Tに、該スリット6bを挟むランド部2s、2t間に、ボールベアリング102に支持される回転軸の静的荷重に対して狭まるスリットの幅を広げる方向に付勢力を付与するバネ21を有する。22はバネ21の取付け荷重を調整するプラグである。
【0044】
かかる第4実施形態によれば、前記第1実施形態(図1)と第3実施形態(図5)とを組み合わせた作用、効果を奏する。
即ち、第1実施形態(図1)の効果は、シール押え7a、7bによりダンパ軸受本体2に固定されたシール部材5を、円周方向に配置してスリット6a、6bの側部開口部6sを覆ったので、半径方向の軸受振動がスリット6a、6bに掛かったとき、スリット6a、6bが軸受振動により微量幅が収縮されオイルのスクイーズ効果によりスリット6a、6bの側部開口部6sにおけるオイルが漏洩しようとするが、前記軸受本体2に固定されたシール部材5によって、前記スリット6a、6bの側部開口部6sにおけるオイルの漏洩を阻止でき、前記オイルの漏洩によるスクイーズ効果の減少を回避することにより、振動のダンピング作用の減少を防止できる。
【0045】
また、第3実施形態(図5)の効果は、半径方向の軸受振動がスリット6a、6bに掛かったとき、スリット6a、6bの微量幅が軸受振動により収縮されるが、ダンパ軸受本体2の内部に、微細幅のスリット6a、6bの内の1つのスリット6bを半径方向Tに、スリット6bを挟むランド部2s、2t間に、ボールベアリング102に支持される回転軸の静的荷重に対して狭まるスリットの幅を広げる方向に付勢力を付与するバネ21を有するバネ部材20を設けたことにより、スリット6bの幅が広げられ、ボールベアリング102に支持される回転軸の静的な荷重でスリット6bの微量幅が収縮されるのを防止できる。
これにより、前記軸受振動によりスリット6bの幅が小さくなって、スリット6bの幅縮小によるスクイーズ効果の作用が減少するのを防止できるとともに、スリット内部のオイルの漏洩量を低減でき、スリット6bが前記軸受振動により微量幅が収縮されるのを防止できる。
という、2つの効果を合わせて発揮できる。その結果、スリット6a、6bにグリースオイル等を充填しておき、機器の作動中のオイルの補給はしない構造をより効果的に達成可能となる。
前記以外の要素は、前記第1実施形態および第3実施形態と同一であり、これと同一の部材は同一の符号で示す。
【0046】
(第5実施形態)
図7は、本発明の第5実施形態おけるダンパ軸受装置の構成例を示し、(A)は正面図、(B)は(A)のB−B断面図である。図8は、第5実施形態におけるダンパ軸受装置の別の構成例を示す断面図である。
【0047】
本実施形態では、図7(B)に示すように、シール部材5によって覆われるダンパ軸受本体2の端面8、9は平坦である。このダンパ軸受本体2の平坦な端面8、9には、図7(A)及び(B)に示すように、環状の外周側シール押え板30(「外周側板部材」に相当)と環状の内周側シール押え板32(「内周側板部材」に相当)が、ボルト33(「第1締結部材」に相当)とボルト34(「第2締結部材」に相当)によって取り付けられている。
【0048】
シール部材5の外周端部36は、外周側シール押え板30とダンパ軸受本体2の平坦な端面8、9との間に挟圧保持されており、ダンパ軸受本体2の平坦な端面8、9と密着している。同様に、シール部材5の内周端部38は、内周側シール押え板32とダンパ軸受本体2の平坦な端面8、9との間に挟圧保持されており、ダンパ軸受本体2の平坦な端面8、9と密着している。
したがって、スリット6a、6bの側部開口部におけるオイルの漏洩を確実に阻止できる。また、ダンパ軸受本体2の平坦な端面8、9にシール部材を添えて、シール押え板30及び32で固定するようにしたので、ダンパ軸受本体2へのシール部材5の取付け作業を容易に行うことができる。
【0049】
また、シール部材5は、外周端部36と内周端部38とに挟まれた中央部が、ダンパ軸受本体2の平坦な端面8、9との間に空間39を生ずるように湾曲しており、半径方向に伸縮可能である。このため、軸受振動に起因するダンパ軸受本体2の半径方向の動き(スリット5a、5bの収縮又は拡大)が妨げられることはない。また、シール部材5の中央部とダンパ軸受本体2の平坦な端面8、9との間の空間39は、オイル溜めとして機能し、スリット6a、6bから漏れ出たオイルを保持できる。
【0050】
なお、図7(B)には中央部が一山分だけ膨らむように湾曲したシール部材5の例を示したが、シール部材5は、外周端部36と内周端部38との間の中央部が湾曲してダンパ軸受本体2の平坦な端面8、9との間に空間39を形成しうるものであれば、この例に限定されない。例えば、図8に示すように、シール部材5は、外周端部36と内周端部38との間の中央部が蛇腹状であってもよい。
【0051】
(第6実施形態)
図9は、本発明の第6実施形態におけるダンパ軸受装置の構成例を示し、(A)は正面図、(B)は(A)のB−B断面図である。図10は、第6実施形態におけるダンパ軸受装置の別の構成例を示し、(A)は正面図、(B)は(A)のB−B断面図である。
【0052】
本実施形態では、図9(A)及び(B)に示すように、シール部材5は、環状のシール押え板40(「環状の板部材」に相当)と、環状のOリング42(「環状の弾性体」に相当)とを有する。環状のシール押え板40は、ダンパ軸受本体2の端面8、9に沿って設けられる。このシール押え板40は、Oリング42をダンパ軸受本体2の端面8、9に押し付けてOリング42のシール性を確保するだけでなく、自らがスリット6a、6bを覆ってオイル漏洩を防止する役割を担う。Oリング42は、スリット6a、6bが設けられた位置の外周側及び内周側において、シール押え板40とダンパ軸受本体2の端面8、9との間(具体的には、端面8、9に設けられた溝内)に設けられる。
【0053】
シール押え板40の外周側は、ボルト44によって、ダンパ軸受本体2の端面8、9に固定されている。したがって、ボルト44の締結力により、シール押え板40がOリング42をダンパ軸受本体2の端面8、9側に押し付けるので、スリット6a、6bの側部開口部におけるオイルの漏洩を確実に阻止できる。
また、シール押え板40の外周側のみがボルト44によってダンパ軸受本体2の端面8、9に締結されているので、軸受振動に起因するダンパ軸受本体2の半径方向の動き(スリット6a、6bの収縮又は拡大)が妨げられることはない。
【0054】
また、ダンパ軸受本体2の端面8、9は、スリット6a、6bの外周側及び内周側のOリング42の間に、スリット6a、6bと連通する凹部46を有していてもよい。これにより、ダンパ軸受本体2の端面8、9の凹部46がオイル溜めとして機能し、スリット6a、6bから漏れ出たオイルを保持できる。
【0055】
なお、図9(A)及び(B)にはシール押え板40の外周側をダンパ軸受本体2の端面8、9に固定する例を示したが、図10(A)及び(B)に示すように、シール押え板40の内周側をボルト44によってダンパ軸受本体2の端面8、9に固定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明によれば、スリット内部のオイルによりスクイーズ効果をなすようにした、ダンパ軸受装置において、外部から常時スリット内部へオイル供給を行わなくても、スリットの側部からのオイルの漏洩を防止して、かかるオイルの漏洩によるスクイーズ効果の減少、及び振動のダンピング作用の減少を防止し、常に正常な振動のダンピング作用をなすことができるとともに、ダンパ軸受装置の簡素化、軽量化を達成し得るダンパ軸受装置を提供できる。
【符号の説明】
【0057】
1 ダンパ軸受
2 ダンパ軸受本体
2s、2t ランド部
5 シール部材
5a、5b 蛇腹状部の山部
5c 蛇腹状部
6a、6b スリット
6s スリットの開口部
7a、7b シール押え
8、9 端面
10 オイル溜め
11 給油孔
16 陥没部
16s 奥部
20 バネ部材
21 バネ
22 プラグ
30 外周側シール押え板
32 内周側シール押え板
33、34 ボルト
36 外周端部
38 内周端部
39 空間
40 シール押え板
42 Oリング
44 ボルト
46 凹部
12g、12f、14a、14b 円形孔
101 回転軸
102 ボールベアリング
103 軸受箱
V 軸方向
T 半径方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円環状に形成され内周側に軸受を支持するダンパ軸受本体と、該ダンパ軸受本体の端面に直角な方向に面状に伸びて微細幅に形成され、軸方向には前記ダンパ軸受本体の端面に開口し、且つ周方向には互いに交差することのないように複数個設けられたスリットを備え、該微細幅のスリットの内部にはオイルが充填されて該スリット内のオイルによって該ダンパ軸受本体に掛かる前記軸受からの振動をダンピングするように構成されたダンパ軸受装置において、
前記ダンパ軸受本体の内周側に支持される軸受が自己潤滑タイプの軸受構造によって構成され、前記ダンパ軸受本体の端面を覆うように該スリットに沿って円周方向に配置されるととともに弾性体を含むシール部材と、該シール部材を前記ダンパ軸受本体に固定する取付け部材とを備えたことを特徴とするダンパ軸受装置。
【請求項2】
前記シール部材は、前記軸受本体の軸方向の両側部にそれぞれ陥設された前記スリットの開口部をそれぞれ覆うように蛇腹状に形成され、前記取付け部材を前記陥没部内に嵌着することにより前記シール部材を前記軸受本体に固定するように構成されたことを特徴とする請求項1記載のダンパ軸受装置。
【請求項3】
前記蛇腹状の凹凸部が周方向に形成される前記スリットの開口部に対応して形成されることを特徴とする請求項2記載のダンパ軸受装置。
【請求項4】
前記軸受本体の内部に、前記微細幅のスリットを挟むランド部間に設けられて、前記軸受に支持される回転軸の静的荷重に対して狭まるスリットの幅を広げる方向に付勢力を付与するバネ部材を備えたことを特徴とする請求項1記載のダンパ軸受装置。
【請求項5】
前記シール部材によって覆われる前記ダンパ軸受本体の端面は平坦であり、
前記シール部材は、前記スリットが設けられた位置の外周側及び内周側において、前記ダンパ軸受本体の平坦な端面に密着するように前記取付け部材によって固定されているとともに、前記外周側及び内周側に挟まれた中央部が前記ダンパ軸受本体の平坦な端面との間に空間を生ずるように湾曲していることを特徴とする請求項1記載のダンパ軸受装置。
【請求項6】
前記取付け部材は、
前記シール部材の外周側に対応する直径を有する環状の外周側板部材と、
前記シール部材の内周側に対応する直径を有する環状の内周側板部材と、
前記外周側板部材と前記ダンパ軸受本体の平坦な端面との間に前記シール部材の外周側を挟んだ状態で、前記外周側板部材と前記ダンパ軸受本体の平坦な端面とを締結する第1締結部材と、
前記内周側板部材と前記ダンパ軸受本体の平坦な端面との間に前記シール部材の内周側を挟んだ状態で、前記内周側板部材と前記ダンパ軸受本体の平坦な端面とを締結する第2締結部材とを含むことを特徴とする請求項5記載のダンパ軸受装置。
【請求項7】
前記シール部材は、湾曲した前記中央部が蛇腹状であることを特徴とする請求項5又は6記載のダンパ軸受装置。
【請求項8】
前記シール部材は、前記ダンパ軸受本体の端面に沿って設けられる環状の板部材と、前記スリットが設けられた位置の外周側及び内周側において、前記環状の板部材および前記ダンパ軸受本体の端面の間に設けられる環状の弾性体とを含み、
前記取付け部材は、外周側及び内周側のいずれか一方において、前記環状の板部材を前記ダンパ軸受本体の端面に締結する締結部材であることを特徴とする請求項1記載のダンパ軸受装置。
【請求項9】
前記ダンパ軸受本体の端面は、前記スリットが設けられた位置の外周側及び内周側に設けられる前記環状の弾性体の間に設けられ、前記スリットと連通する凹部を有することを特徴とする請求項8記載のダンパ軸受装置。
【請求項10】
円環状に形成され内周側に軸受を支持するダンパ軸受本体と、該ダンパ軸受本体の端面に直角な方向に面状に伸びて微細幅に形成され、軸方向には前記ダンパ軸受本体の端面に開口し、且つ周方向には互いに交差することのないように複数個設けられたスリットを備え、該微細幅のスリットの内部にはオイルが充填されて該スリット内のオイルによって該ダンパ軸受本体に掛かる前記軸受からの振動をダンピングするように構成されたダンパ軸受装置において、
前記ダンパ軸受本体の内周側に支持される軸受が自己潤滑タイプの軸受構造によって構成され、前記軸受本体の内部に、前記微細幅のスリットを挟むランド部間に設けられて、前記軸受に支持される回転軸の静的荷重に対して狭まるスリットの幅を広げる方向に付勢力を付与するバネ部材を備えたことを特徴とするダンパ軸受装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−144924(P2011−144924A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279923(P2010−279923)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】