説明

チオ(メタ)アクリレート、透明プラスチックを製造するための混合物、透明プラスチック、製造する方法、および使用法

本発明は、化学式(I)および(II)の化合物であって、
式中、各Rは、他とは独立に、水素またはメチル基であり、
各Rは、他とは独立に、直鎖または分岐の脂肪族基または脂環式基、あるいは置換または非置換の芳香族基またはヘテロ芳香族基であり、mおよびnのそれぞれは、他とは独立に、m+n>0として、0以上の整数である化合物と、
少なくとも2つのチオール基を含むチオール化合物との反応を介して得られるチオ(メタ)アクリレートに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チオ(メタ)アクリレート、およびこれらのチオ(メタ)アクリレートを有する透明プラスチックを製造するための混合物に関する。本発明はさらに、混合物から製造することができる透明プラスチック、および製造する方法に関する。本発明はまた、光学レンズ、特に眼科用レンズを作成するための透明プラスチックの使用法にも関する。
【0002】
眼鏡は、日常生活の必須要素になっている。これらの中で、プラスチック・レンズを有する眼鏡は、最近特に重要性を増しているが、その理由は、無機材料からなる眼鏡レンズより軽量で壊れにくく、適切な染料で着色することができるからである。プラスチック眼鏡レンズの作成は、一般的に、例として、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)(DAC)、α,ω−末端複数結合を有するチオウレタン化合物、または含硫黄(メタ)アクリレートから得られる高透明プラスチックを使用する。
【0003】
DACプラスチックは、非常に良好な衝撃強さおよび透明性、ならびに良好な処理性を有する。しかし、欠点は、屈折率nDが約1.50と比較的低いことにより、これらのプラスチック・レンズの中央および縁の両方を強化することが必要であり、対応して眼鏡レンズが厚くかつ重くなることである。これにより、DACプラスチック・レンズを有する眼鏡の装着者の快適さは劇的に低下する。
【0004】
明細書DE4234251は、化学式(1)および(2)の化合物からなるモノマー混合物のラジカル共重合により得られる含硫黄ポリメタクリレートを開示している。
【化1】

この場合、Yは、2から12の炭素原子を有する非分岐または分岐で非環式または環式のアルキル基、あるいは6から14の炭素原子を有するアリール基、あるいは7から20の炭素原子を有するアルカリル基であり、炭素鎖は、この場合、1つまたは複数のエーテル基あるいはチオエーテル基による断絶を有する可能性がある。Rは、水素またはメチルであり、nは、1から6の範囲の整数である。
【0005】
DE4234251によれば、化学式(1)および(2)のモノマーは、一般に、1:0.5から0.5:1のモル比を有する。モノマー混合物は、不活性有機溶媒の(メタ)アクリロイル塩化物または(メタ)アクリル無水物とアルカリ性水溶液溶液のジチオールとが反応することによって、少なくとも2モルの(メタ)アクリロイル塩化物または(メタ)アクリル無水物と1モルのジチオールとが反応することにより製造される。挙げられる適切な溶媒は、メチルテルト−ブチルエーテル、トルエン、およびキシレンであり、20℃におけるこれらの誘電定数は、2.6、2.4、およびそれぞれ2.3から2.6である。
【0006】
DE4234251に記載されたプラスチックは、無色、剛性、およびわずかにもろく、1.602から1.608の範囲の高い屈折率nを有する。アッベ数は、35から38である。したがって、これらのプラスチックも、眼鏡レンズについて限定された適性のみを有する。再び、この明細書は、プラスチックのガラス転移温度に関する情報を与えていない。
【0007】
明細書WO03/011925は、チオメタクリレートとポリエチレングリコール誘導体との重合を記載している。結果として得られるプラスチックは、とりわけ、光学レンズを作成するために使用することが可能である。これらのレンズの欠点は、その機械的特性である。具体的には、たとえば、多くの要件について衝撃強さが不十分である。
【0008】
従来の技術を考慮して、本発明の目的は、プラスチックが、理想的な機械的特性、具体的には高い衝撃強さ、ならびに好ましくは1.59より高い屈折率、および好ましくは36より大きい最大アッベ数を有する、光学レンズを作成するための混合物の成分として適切な化合物を提供することであった。具体的には、縁における低レベルの分散および無着色を有するプラスチック眼鏡レンズを作成することが可能であるべきである。
【0009】
さらに、化合物の良好な取扱いが可能であるべきである。したがって具体的には、化合物は、低い粘度、ならびに非常に低い揮発性を有するべきである。さらに、プラスチックを製造するための混合物に大量の化合物を追加することが可能であるべきである。
【0010】
本発明が基づく他の目的は、室温より高い温度においてさえ向上した機械的特性を有する高透明プラスチックを作成するための化合物へのアクセスを提供することであった。具体的には、化合物を使用して得られるプラスチックは、好ましくは80.0℃より高い最高ガラス転移温度を有するべきである。
【0011】
したがって、本発明の目的は、簡単な方式で、産業的規模において、かつ低コストで、開始材料組成物から製造することができる高透明プラスチックを提供することであった。具体的には、高透明プラスチックは、大気圧力および20.0℃から80.0℃の範囲の温度において流動性である混合物からラジカル重合することにより得ることが可能であるべきである。
【0012】
本発明が基づく他の目的は、新しい化合物の応用セクタおよび可能な使用法を提供することであった。
【0013】
本発明の他の目的は、高い屈折率を有する合成繊維のコーティング材料を提供することであった。これらのコーティング材料は、最大の接着性および良好な処理性を有するべきである。
【0014】
特許請求項1のすべての特徴を有するチオ(メタ)アクリレートが、これらの目的を達成し、また、明示的には述べられていないが、上記の導入において議論された状況から容易に導出可能または推測可能である他の目的をも達成する。本発明のチオ(メタ)アクリレートの有利な修正が、請求項1に依存する従属請求項において保護される。本発明のチオ(メタ)アクリレートから得られる混合物および透明プラスチックが主張され、透明プラスチックを製造する方法も主張される。使用法の請求項は、本発明の高透明プラスチックの好ましい使用法を保護する。他のプロダクトクレームは、本発明の高透明プラスチックを有する光学レンズ、好ましくは眼科用レンズを記述する。
【0015】
したがって、本発明は、化学式(I)および/または(II)の化合物であって、
【化2】

式中、各Rは、他とは独立に、水素またはメチル基であり、
各Rが、他とは独立に、直鎖または分岐の脂肪族基または脂環式基、あるいは置換または非置換の芳香族基またはヘテロ芳香族基であり、mおよびnのそれぞれが、他とは独立に、m+n>0として、0以上の整数である化合物と、
少なくとも2つのチオール基を含むチオール化合物との反応を介して得られる、チオ(メタ)アクリレートを提供する。これは、プラスチックを製造するための混合物、およびまた優れた特性を有するコーティング組成物へのアクセスを提供する。
【0016】
本発明の他の態様は、
a)化学式(I)および/または(II)の化合物であって、
【化3】

式中、各Rは、他とは独立に、水素またはメチル基であり、
各Rが、他とは独立に、直鎖または分岐の脂肪族基または脂環式基、あるいは置換または非置換の芳香族基またはヘテロ芳香族基であり、mおよびnのそれぞれが、他とは独立に、m+n>0として、0以上の整数である化合物と、アルキルジチオールまたはポリチオール、好ましくは化学式(III)の化合物であって、
HS−R−SH (III)
式中、Rの定義は、Rにおいて与えられた定義と同一とする、または異なるとすることができる化合物とから製造されたポリマーと、
b)ラジカル重合することができ、かつ少なくとも2つのメタクリレート基を有する少なくとも1つのモノマー(A)と、
c)芳香族ビニル化合物とを含む混合物であり、
これらは、透明プラスチックを製造するのに適切であり、かつ優れた機械的特性および光学的特性を有する。混合物は、適切であれば、
d)ラジカル重合することができ、かつ、たとえばメタクリレート末端基およびビニル末端基を有する2官能基モノマーの場合のように、反応性が異なる少なくとも2つの末端オレフィン基を有するモノマー、
および/または、
e)好ましくはメタクリレート、特に好ましくは2−ヒドロキシ−エチルメタクリレートの基からの少なくとも1つのエチレン不飽和モノマー(B)を有することができる。
【0017】
本発明のチオ(メタ)アクリレートから得られる透明プラスチックは、高い屈折率、高いアッベ数、良好な衝撃強さ、およびまた高いガラス転移温度など、例外的な特性の以前は未知の組合わせを有する。対応するプラスチック眼鏡レンズは、低分散を示す。縁における着色は観測されない。
【0018】
本発明のチオ(メタ)アクリレートから得られる透明プラスチックは、他の利点を同時に有する。これらの中では、とりわけ、
・本発明のプラスチックは高い屈折率を有するので、対応するプラスチック眼鏡レンズの中心および縁を強化し、したがって厚くする必要がなく、比較的低質量であることにより、これらの眼鏡によって提供される装着者の快適さが劇的に向上する。
・本発明のプラスチックの非常に良好な衝撃強さが、対応するプラスチック眼鏡レンズを「日常の危険」から保護する。具体的には、薄い眼鏡レンズの場合、機械的な力により破損または修復不可能な損傷が起きる可能性は非常に低い。
・本発明の高透明プラスチックのガラス転移温度は高く、好ましくは約80.0℃より高く、したがって、プラスチックは、この温度まで、その例外的な機械的特性、具体的には高い衝撃強さ、およびその硬さを維持する。
・本発明の高透明プラスチックは、簡単な方式で、産業的規模で、かつ低コストにおいて、大気圧および20.0から80.0℃の範囲の温度において流動性であることが好ましいモノマー混合物をラジカル共重合することにより製造することができる。
・基本となるモノマー混合物は、同様に簡単な方式で、産業的規模で、かつ低コストにおいて製造することができる。
【0019】
さらに、特にファイバについてチオ(メタ)アクリレートから得られるコーティング組成物は、優れた接着性、ならびにまた優れた機械的特性、および光学的特性をも示す。
【0020】
本発明のチオ(メタ)アクリレートは、化学式(I)および(II)の化合物の反応により得ることが可能であり、
【化4】

式中、各Rは、他とは独立に、水素またはメチル基であり、
各Rが、他とは独立に、直鎖または分岐の脂肪族基または脂環式基、あるいは置換または非置換の芳香族基またはヘテロ芳香族基であり、基Rは、1から100、特に1から20の炭素原子を含むことが可能であることが好ましく、mおよびnのそれぞれが、他とは独立に、m+n>0として、0以上の整数である。
【0021】
好適な直鎖または分岐の脂肪族基または脂環式基には、例として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、N−ブチレン基、イソブチレン基、テルト−ブチレン基、またはシクロヘキシレン基がある。
【0022】
好ましい2価芳香族基またはヘテロ芳香族基には、特に、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチル−メタン、ビスフェノン、ジフェニルスルフォン、キノリン、ピリジン、アントラセン、フェナントレンから導出される基がある。本発明の目的では、この場合、脂環式基は、2環式、3環式、および多環式の脂肪族基をも含む。
【0023】
基Rはまた、以下の化学式の基をも含み、
【化5】

式中、各Rは、他とは独立に、直鎖または分岐の脂肪族基または脂環式基であり、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、N−ブチレン基、イソブチレン基、テルト−ブチレン基、またはシクロヘキシレン基である。各基Xは、他とは独立に、酸素または硫黄であり、基Rは、直鎖または分岐の脂肪族基または脂環式基であり、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、N−ブチレン基、イソブチレン基、テルト−ブチレン基、またはシクロヘキシレン基である。本発明の目的では、脂環式基は、この場合、2環式、3環式、および多環式の脂肪族基をも含む。yは1から10の整数、特に1、2、3、または4である。
【0024】
化学式(I−a)の好ましい基は、以下を含む。
【化6】

【0025】
基Rは、好ましくは1から10の炭素原子を有する脂肪族基であり、好ましくは2から8の炭素原子を有する直鎖脂肪族基である。
【0026】
指標mおよびnのそれぞれは、他とは独立に、0、1、2、3、4、5、または6など、0以上の整数である。この場合、mとnの和は0より大きく、好ましくは1から6の範囲にあり、有利には1から4の範囲にあり、特に1、2、または3である。
【0027】
化学式(I)および(II)の化合物のそれぞれ、ならびにまた化学式(III)の化合物は、チオ(メタ)アクリレートを製造するために、個々に、またはそれぞれ化学式(I)および化学式(II)の2つ以上の化合物の混合物の形態で使用することができる。
【0028】
本発明のチオ(メタ)アクリレートを製造するための化学式(I)および(II)の化合物の相対的な割合は、原則として所望通りであり、応用分野のニーズに従って本発明のプラスチックの特性プロファイルを「調整」するために使用することができる。例として、モノマー混合物は、化学式(I)および(II)の化合物の全量に基づいた場合、化学式(I)の顕著に過剰な化合物または化学式(II)の化合物を有することが高度に有利であることがある。
【0029】
しかし、本発明の目的では、m+n=2として、混合物は、各場合に化学式(I)の化合物および(II)の化合物の全量に基づいて、10モル%を超える、好ましくは12モル%を超える、特に14モル%を超える化学式(II)の化合物を有することが特に有利である。Rがエチレン基である場合、m+n=2として、混合物における(II)の質量割合は、10%を超え、特に15%を超える。
【0030】
さらに、本発明によれば、m+n=3として、化学式(I)の化合物および化学式(II)の化合物の全量に基づいて、5.8モル%を超える、有利には6.5モル%を超える、特に7.5モル%を超える化学式(II)の混合物を使用することが特に有利である。これは、m+n=3として、Rがエチレン基である場合、少なくとも6%の(II)の質量割合に対応する。
【0031】
化合物(I)の割合は、Rがエチレン基である場合、15から40%の化合物(I)の質量割合について好適な範囲に対応して、化学式(I)の化合物および化学式(II)の化合物の全量に基づいて、好ましくは0.1から50.0モル%、有利には10.0から45.0モル%、特に20.0から35.0モル%である。化合物(II)の割合は、m+n=1として、化学式(I)の化合物および化学式(II)の化合物の全量に基づいて、好ましくは1から40.0モル%、有利には5から35.0モル%、特に10から30モル%である。これは、Rがエチレン基である場合、m+n=1として、10から45%の化合物(II)の好適な質量割合に対応する。化合物(II)の割合は、m+n>3として、化学式(I)の化合物および化学式(II)の化合物の全量に基づいて、好ましくは0モル%より大きく、有利には1モル%より大きく、特に2モル%より大きい。Rがエチレン基である場合、混合物における化合物(II)の質量割合は、m+n>3として、2%より大きく、特に5%より大きい。
【0032】
化学式(I)および(II)の化合物を製造する方法は、DE4234251の例によって当業者には既知であり、その開示は、参照によって明らかに本明細書に組み込まれている。しかし、本発明の目的では、1.0から<2.0モル、好ましくは1.1から1.8モル、有利には1.2から1.6モル、特に1.2から1.5モルの化学式(IX−a)
【化7】

の少なくとも1つの化合物が、1モルの化学式(IX−b)
【化8】

の少なくとも1つのポリチオールと反応する方法を介して、化学式(I)および(II)の化合物の混合物を製造することが特に有利であることが判明している。
【0033】
基Xは、ハロゲン、特に塩素または塩素、あるいは基であり、
【化9】

これは、化学式(IX−a)の化合物が、とりわけ、アクリロイル塩化物、メタクリロイル塩化物、アクリル無水物、およびメタクリル酸無水物を含むことを意味し、アクリル無水物、メタクリル酸無水物、または両方の混合物を使用することが特に好ましい。
【0034】
各Mは、他とは独立に、水素または金属陽イオンである。好ましい金属陽イオンは、電気陰性度が2.0より小さい、有利には1.5より小さい元素から導出され、アルカリ金属陽イオン、特にNa、K、Rb、CS、およびアルカリ土類金属陽イオン、特にMg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+がとりわけ好ましい。金属陽イオンNaおよびKを使用して、特に非常に有利な結果を得ることが可能である。
【0035】
この文脈において特に適切な化学式(IX−b)のポリチオールは、4−エテニルシクロヘキサンと、硫化水素、オルソ−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、メタ−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、パラ−ビス(メルカプトメチル)−ベンゼン、化学式(IX−b)の以下の化合物:
【化10】

およびまた以下の化学式の化合物
【化11】

との反応を介して得られる1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,2−ブタン−ジチオール、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2−メチルプロパン−1,2−ジチオール、2−メチルプロパン−1,3−ジ−チオール、3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオール(ジメルカプトジオキサジオキサ−オクタン=DMDO)、エチルシクロヘキシルジメルカプタンであり、
式中、各Rは、他とは独立に、直鎖または分岐の脂肪族基または脂環式基であり、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、N−ブチレン基、イソブチレン基、テルト−ブチレン基、またはシクロヘキシレン基である。本発明の目的では、この場合、脂環式基は、2環式、3環式、および多環式の脂肪族基をも含む。各基Xは、他とは独立に、酸素または硫黄であり、基Rは、直鎖または分岐の脂肪族基または脂環式基であり、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、N−ブチレン基、イソブチレン基、テルト−ブチレン基、またはシクロヘキシレン基である。本発明の目的では、脂環式基は、この場合、2環式、3環式、および多環式の脂肪族基をも含む。yは、1から10の整数、特に1、2、3、または4である。
【0036】
化学式(IX−c)の好ましい化合物は、以下を含む。
【化12】

【0037】
この方法の1つの特に好ましい実施形態の目的について、化学式(IX−b)の使用される化合物は、1,2−エタンジチオールを有する。
【0038】
この方法によれば、少なくとも1つの不活性有機溶媒Sにおける化学式(I−a)の(メタ)アクリレート、および化学式(IX−b)におけるポリチオールは、アルカリ性水溶液溶液において反応し、「不活性有機溶媒」という用語は、それぞれの反応条件下において反応システムに存在する化合物と反応しない有機溶媒を意味する。
【0039】
少なくとも1つの溶媒Sは、各場合に20℃において測定して、>2.6、好ましくは>3.0,有利には>4.0、特に>5.0の相対誘電定数を有することが好ましい。この文脈では、相対誘電定数は、誘電体として知られる誘電特性を有する物質がプレート間に導入されているとき、真空内に配置された(理論的)キャパシタのキャパシタンスCが増大する因子を表す無次元値を示す。この値は、20℃において測定され、低周波数に外挿される(ω→0)。さらなる詳細について、周知の技術文献、特にUllmann Encyklopadie der technischen Chemie、[Ullmann’S Encyclopaedia of Industrial Chemistry]Volume 2/1 Anwendung physikaliScher und physikalisch−chemischer Methoden im Laboratorium[Application of physical and physico−chemical methods in the laboratory]、headword:Dielektrizitaetskonstante[Dielectric constant]、455〜479ページを参照されたい。とりわけ、溶媒の誘電値が、Chemistry and Physics、第71版、CRC Press、Baco Raton、Ann Arbor、ボストン、1990〜1991年、8〜44ページ、8〜46ページ、および9〜9から9〜12のハンドブックにおいて与えられる。
【0040】
この方法の目的では、溶媒および水溶液が反応中に2つの相を形成し、かつ均一に混合することができないことがさらに特に有利である。このために、20℃において測定された溶媒の水溶解度の値は、100gの溶媒に基づいて、10gの水より小さいことが好ましい。
【0041】
本発明による好ましい溶媒Sは、
ジエチルエーテル(4.335)、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどの脂肪族エーテル、
テトラヒドロフラン(7.6)などの脂環式エーテル、
メチルホルメート(8.5)、エチルホルメート、プロピルホルメート、酢酸メチル、酢酸エチル、N−酢酸ブチル(5.01)、メチルプロピオネート、メチルブチレート(5.6)、エチルブチレート、2−メトキシ酢酸エチルなどの脂肪族エステル、
酢酸ベンジル、ジメチルフタレート、安息香酸メチル(6.59)、エチルベンゾエート(6.02)、メチルサリチル酸、サリチル酸エチル、酢酸フェニル(5.23)などの芳香族エステル、
アセトン、メチルエチルケトン(18.5)、2−ペンタノン(15.4)、3−ペンタノン(17.0)、メチルイソアミルケトン、メチルイソブチルケトン(13.1)などの脂肪族ケトン、
アセトフェノンなどの芳香族ケトン、
ニトロベンゼン、o−ニトロトルエン(27.4)、m−ニトロトルエン(23)、p−ニトロトルエンなどのニトロ芳香族、
クロロベンゼン(5.708)、o−クロロトルエン(4.45)、m−クロロトルエン(5.55)、p−クロロトルエン(6.08)、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロ−ベンゼンなどのハロゲン化芳香族、
ピリジン、2−メチルピリジン(9.8)、キノリン、イソキノリンなどのヘテロ芳香族、およびこれらの化合物の混合物を含み、括弧内のデータは、20℃におけるそれぞれの関連する相対誘電定数である。
【0042】
この場合に本発明の方法の目的について特に非常に適した化合物は、脂肪族エステルおよび脂環式エーテル、特に酢酸エチルおよびテトラヒドロフランである。
【0043】
本発明の目的では、溶媒Sのみを使用する、または溶媒混合物を使用することが可能であり、この場合、混合物に存在するすべての溶媒が上述された誘電体基準に準拠する必要はない。例として、本発明によれば、テトラヒドロフラン/シクロヘキサン混合物を使用することも可能である。しかし、溶媒混合物は、各場合に20℃において測定して、>2.6、好ましくは>3.0、有利には>4.0、特に>5.0の相対誘電定数を有することが有利であることが判明している。各場合に20℃において測定して、相対誘電定数が>2.6、好ましくは>3.0、有利には>4.0、特に>5.0である溶媒のみを有する溶媒混合物を使用して、特に有利な結果を達成することができる。
【0044】
化学式(IX−b)の化合物のアルカリ性水溶液溶液は、化学式(IX−b)の化合物の全量に基づいて、1.1から1.5val(当量)の少なくとも1つのブレンステッド塩基を有することが好ましい。本発明の目的について好ましいブレンステッド塩基は、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物、特に、ナトリウム水酸化物およびカリウム水酸化物を含む。
【0045】
原則として、反応を実施するために、任意の考慮可能な方法を使用することが可能である。例として、化学式(IX−a)の化合物は、溶媒(混合物)Sにおける初期装填を形成することが可能であり、化学式(IX−b)の化合物のアルカリ性水溶液溶液は、段階的または連続的に追加することが可能である。しかし、本方法の目的では、少なくとも1つの不活性有機溶Sにおける化学式(IX−a)の化合物、およびアルカリ性水溶液溶液における化学式(IX−b)の化合物を並行して反応ベセルに計量することが特に非常に有利であることが判明している。
【0046】
反応温度は、大きく変化させることが可能であるが、温度は、しばしば、20.0から120.0℃の範囲、好ましくは20.0から80.0℃の範囲にある。反応が完了する圧力について、同様に考慮される。したがって、反応は、準大気圧力または超大気圧力において行うことが可能である。しかし、大気圧力において実施することが好ましい。反応は、大気において行うこともできるが、本方法の目的では、好ましくは非常に小さい割合の酸素が存在する状態で、不活性ガスの下、好ましくは窒素および/またはアルゴンの下で反応を実施することが特に非常に有利であることが判明している。
【0047】
反応混合物は、好ましくは20℃における水溶液のpHが7.0より小さく、有利には6.0より小さく、特に5.0より小さくなるまで、ブロンステッド酸と他のステップにおいて反応することが有利である。この文脈において使用することが可能である酸は、塩酸、硫酸、リン酸などの無機金属酸、酢酸、プロピオン酸などの有機酸、酸イオン交換体、具体的には(登録商標)Dowex M−31(H)などの酸合成樹脂イオン交換体を含むことが可能である。この場合に特に非常に成功であることが判明している方法は、1gの乾燥イオン交換体に基づいて、少なくとも1.0meq、好ましくは少なくとも2.0meq、特に少なくとも4.0meqのHイオン、および10から50メッシュの粒サイズ、ならびにイオン交換体の全容積に基づいて10から50%の範囲の多孔性で装填されている酸合成樹脂イオン交換体の使用である。
【0048】
化学式(I)および(II)の化合物を分離する有利な方法において、溶媒Sからなる有機相は分離され、適切であれば、洗浄および乾燥され、溶媒は蒸発される。
【0049】
化学式(IX−a)の化合物と化学式(IX−b)の化合物との反応中、反応中の(メタ)アクリル基のラジカル重合を阻害する阻害剤を追加することが可能である。これらの阻害剤は、当業者には周知である。
【0050】
主に1,4−ジヒドロキシベンゼンが使用される。しかし、他の置換基を有するジヒドロキシベンゼンを使用することも可能である。これらの阻害剤は、一般に、一般的な化学式(X)によって表すことができ、
【化13】

式中、Rは、1から8の炭素原子、ハロゲン、またはアリルを有する直鎖または分岐アルキル基、好ましくは1から4の炭素原子を有するアルキル基、特に好ましくはメチル、エチル、N−プロピル、イソプロピル、N−ブチル、イソブチル、セク−ブチル、テルト−ブチル、Cl,F、またはBrであり、
oは、1から4の範囲の整数、好ましくは1または2であり、
は、水素、1から8の炭素原子またはアリルを有する直鎖または分岐アルキル基、好ましくは1から4の炭素原子を有するアルキル基、特に好ましくはメチル、エチル、N−プロピル、イソプロピル、N−ブチル、イソブチル、セク−ブチル、またはテルト−ブチルである。
【0051】
しかし、また、親化合物が1,4−ベンゾキノンである化合物を使用することも可能である。これらは、化学式(XI)によって記述することが可能であり、
【化14】

式中、
およびoは、上記で確定されている。
【0052】
一般的な構造(XII)のフェノールも使用され、
【化15】

式中
は、1から8の炭素原子、アリル、またはアラルキルを有する直鎖または分岐アルキル基、S、O、およびNなどのヘテロ原子を含むことも可能であるモノ−からテトラヒドロアルコールを有するプロピオン酸エステル、好ましくは1から4の炭素原子を有するアルキル基、特に好ましくはメチル、エチル、N−プロピル、イソプロピル、N−ブチル、イソブチル、セク−ブチル、テルト−ブチルである。
【0053】
他の有利なクラスの物質が、化学式(XIII)のトリアジン誘導体に基づくヒンダード・フェノールによって提供され、
【化16】

式中、R=化学式(XIV)の化合物であり、
【化17】

式中、p=1または2として、以下である。
10=C2p+1
【0054】
特に成功して使用される化合物は、1,4−ジヒドロキシベンゼン、4−メトキシフェノール、2,5−ジクロロ−3,6−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−テルト−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,6−ジ−テルト−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−テルト−ブチル−フェノール、2,2−ビス[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−フェニル−1−オキソプロポキシメチル)]1,3−プロパンジイルエステル、2,2’−チオジエチルビス[3−(3,5−ジ−テルト−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート、オクタデシル3−(3,5−ジ−テルト−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル−2,2−メチレンビス(4−メチル−6−テルト−ブチル)フェノール、トリス(4−テルト−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トリス(3,5−ジ−テルト−ブチル−4−ヒドロキシ)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、またはテルト−ブチル−3,5−ジヒドロキシベンゼンである。
【0055】
全反応混合物の質量に基づいて、阻害剤の割合は、個々に、または混合物の形態において、一般に0.01から0.50(質量)%であり、阻害剤の濃度は、DIN55945色番号を損なわないような方式で選択されることが好ましい。これらの阻害剤の多くは、市販されている。
【0056】
化学式(I)および/または(II)の化学式による化合物を製造する際に得られる混合物は、従来の技術の方法によりワーク・アップすることができる。たとえば、化学式(I)および/または(II)の異なる化合物は、分離することができる。さらに、残留物および/または不純物は、除去することができる。
【0057】
次いで、結果として得られる化学式(I)および/または(II)の化合物は、本発明のチオ(メタ)アクリレートを与えるように、少なくとも2つのチオール基を含むチオール化合物と反応させることができる。
【0058】
さらに、反応において得られた反応混合物は、本発明のチオ(メタ)アクリレートを製造するためにワーク・アップせずに使用することができる。
【0059】
これについて、少なくとも2つのチオール基を含むチオール化合物を反応混合物に追加することができる。追加は、化学式(I−a)の化合物の主要部分が、化学式(I)および/または(II)の化学式の化合物を与えるように、化学式(IX)の化合物と反応した後に行われることが好ましい。少なくとも2つのチオール基を含むチオール化合物を追加する際の化学式(I−a)の化合物の変換は、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも80%、特に非常に好ましくは少なくとも95%である。この場合、変換は、少なくとも2つのチオール基を含む他のチオール化合物を追加する際、反応混合物に存在する化学式(I−a)の化合物から、使用されるこれらの初期含有量に基づいて計算されることが好ましい。この含有量は、例として、クロマトグラフィ法、特にGCMSにより決定することができ、基準がこの場合に存在することが可能である。
【0060】
本発明のチオ(メタ)アクリレートを製造するために使用され、かつ少なくとも2つのチオール基を含むチオール化合物は、本質的に既知である。これらには、特にアルキルジチオールおよびまたポリチオールがある。これらのチオール化合物には、塩基とS−H基を含む化合物の間の反応によって生成されるチオールもある。
【0061】
少なくとも2つのチオール基を含む好ましいチオール化合物は、化学式(III−a)の化合物であり、
MS−R−SM (III−a)
式中、Rは、直鎖または分岐の脂肪族基または脂環式基、あるいは置換または非置換の芳香族基またはヘテロ芳香族基であり、各Mは、他とは独立に、水素、アンモニウム・イオン、または金属陽イオンである。
【0062】
好ましい金属陽イオンは、電気陰性度が2.0より小さい、有利には1.5より小さい元素から導出され、アルカリ金属陽イオン、特にNa、K、Rb、CS、およびアルカリ土類金属陽イオン、特にMg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+がとりわけ好ましい。金属陽イオンNaおよびKを使用して、特に非常に有利な結果を得ることが可能である。
【0063】
基Rはまた、以下の化学式の基をも含み、
【化18】

式中、各Rは、他とは独立に、直鎖または分岐の脂肪族基または脂環式基であり、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、N−ブチレン基、イソブチレン基、テルト−ブチレン基、またはシクロヘキシレン基などである。各基Xは、他とは独立に、酸素または硫黄であり、基Rは直鎖または分岐の脂肪族基または脂環式基であり、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、N−ブチレン基、イソブチレン基、テルト−ブチレン基、またはシクロヘキシレン基である。本発明の目的では、脂環式基は、この場合、2環式、3環式、および多環式の脂肪族基である。yは、1から10の整数であり、特に1、2、3、または4である。
【0064】
化学式(III−b)の好ましい基は、以下を含む。
【化19】

【0065】
基Rは、1から10の炭素原子を有する脂肪族基、好ましくは2から8の炭素原子を有する直鎖脂肪族基である。
【0066】
指標mおよびnのそれぞれは、他とは独立に、0、1、2、3、4、5、または6など、0以上の整数である。この場合、mとnの和は0以上であり、好ましくは1から6の範囲、有利には1から4の範囲、特に1、2、または3である。
【0067】
この文脈において特に適切なそれぞれ化学式(III)および(III−a)のポリチオールは、4−エテニルシクロヘキサンと硫化水素、オルソ−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、メタ−ビス(メルカプトメチル)−ベンゼン、パラ−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、化学式(III)の以下の化合物:
【化20】

およびまた以下の化学式の化合物であって、
【化21】

式中、各Rは、他とは独立に、直鎖または分岐の脂肪族基あるいは脂環式基であり、たとえばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、N−ブチレン基、イソブチレン基、テルト−ブチレン基、またはシクロヘキシレン基である化合物との反応を介して得られる、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパン−ジチオール、1,2−ブタンジチオール、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2−メチルプロパン−1,2−ジチオール、2−メチルプロパン−1,3−ジチオール、3,6−ジオキサ−1,8−オクタン−ジチオール(ジメルカプトジオキサオクタン=DMDO)、エチルシクロヘキシルジメルカプタンを含む。本発明の目的では、脂環式基はまた、この場合、2環式、3環式、および多環式の脂肪族基をも含む。各基Xは、他とは独立に、酸素または硫黄であり、基Rは、直鎖または分岐の脂肪族基または脂環式基であり、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、N−ブチレン基、イソブチレン基、テルト−ブチレン基、またはシクロヘキシレン基である。本発明の目的では、脂環式基はまた、この場合、2環式、3環式、および多環式の脂肪族基をも含む。yは、1から10の整数であり、特に1、2、3、または4である。
【0068】
化学式(Ill−c)の好ましい化合物は、以下を含む。
【化22】

【0069】
この方法の1つの特に非常に好ましい実施形態の目的では、使用されるそれぞれ化学式(III)および(III−a)の化合物は、1,2−エタンジチオールを有する。
【0070】
化学式(I)および/または(II)による化合物と、少なくとも2つのチオール基を含むチオール化合物との反応は、特に化学式(IX−a)および(IX−b)の化合物から、化学式(I)および/または(II)による化合物を製造するための上述された条件下において行うことができる。
【0071】
したがって、少なくとも1つの不活性有機溶媒Sにおける化学式(I)および/または(II)の化合物ならびに少なくとも2つのチオール基を含むチオール化合物は、特にそれぞれ化学式(III)および(III−a)の化合物は、アルカリ性水溶液溶液において反応させることができる。この場合、「不活性有機溶媒」という用語は、それぞれの反応条件下において反応システムに存在する化合物と反応しない有機溶媒を意味する。
【0072】
各場合に20℃で測定して、少なくとも1つの溶媒Sが、>2.6、好ましくは>3.0、有利には>4.0、特に>5.0の相対誘電定数を有することが好ましい。
【0073】
この方法の目的では、溶媒と水溶液が反応中に2つの相を形成し、均一に混合することができないことがさらに特に有利である。このために、20℃において測定した溶媒の水溶解度の値は、100gの溶媒に基づいて、10gの水より小さいことが好ましい。
【0074】
本方法の目的では、溶媒Sのみを使用する、または溶媒混合物を使用することが可能であり、この場合、混合物に存在するすべての溶媒が上述された誘電基準に準拠する必要はない。例として、本発明によれば、テトラヒドロフラン/シクロヘキサン混合物を使用することも可能である。しかし、各場合に20℃で測定して、溶媒混合物が>2.6、好ましくは>3.0、有利には>4.0、特に>5.0の相対誘電定数を有することが有利であることが判明している。各場合に20℃において測定して、相対誘電定数が>2.6、好ましくは>3.0、有利には>4.0、特に>5.0である溶媒のみを有する溶媒混合物を使用して、特に有利な結果を達成することができる。
【0075】
チオール化合物、特に化合物(S)のそれぞれ化学式(III)および(III−a)の化合物のアルカリ水溶液は、チオール化合物の全量に基づいて、1.1から1.5eq(当量)の少なくとも1つのブロンステッド塩基を有することが好ましい。本発明の目的では、好ましいブロンステッド塩基は、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物、特にナトリウム水酸化物およびカリウム水酸化物を含む。
【0076】
本発明の1つの特定の態様によれば、化学式(I)および/または(II)の化合物の少なくとも2つのチオール基を含むチオール化合物に対するモル比は、50:1から1.2、好ましくは30:1から2:1である。
【0077】
原則として、反応は、任意の考慮可能な方式で実施することができ、例として、溶媒(混合物)Sにおいて化学式(I)の化合物および/または(II)が初期装填を形成し、チオール化合物、特にそれぞれ化学式(III)および化学式(III−a)の化合物のアルカリ性水溶液溶液が、段階的または連続的に追加されることが可能である。しかし、本方法の目的では、少なくとも1つの不活性有機溶媒Sにおける化学式(I)および/または(II)の化合物、ならびにチオール化合物、特にそれぞれ化学式(III)および定量される水溶性アルカリ溶液(III−a)の化合物が、並行して反応ベセルに計量されること特に非常に有利であることが判明している。
【0078】
反応温度は、大きく変化させることが可能であるが、温度は、しばしば、20.0から120.0℃の範囲、好ましくは20.0から80.0℃の範囲にある。反応が完了する温度について、同様に考慮される。したがって、反応は、準大気圧力においてまたは超大気圧力において行われることが可能である。しかし、大気圧力において実施されることが好ましい。反応は、大気において行うこともできるが、本方法の目的では、好ましくは非常に小さい割合の酸素が存在する状態で、不活性ガスの下、好ましくは窒素および/またはアルゴンの下において反応を実施することが特に非常に有利であることが判明している。
【0079】
反応混合物は、好ましくは20℃における水溶液のpHが7.0より小さく、有利には6.0より小さく、特に5.0より小さくなるまで、ブロンステッド酸と他のステップにおいて反応することが有利である。この文脈において使用することが可能である酸は、塩酸、硫酸、リン酸などの無機金属酸、酢酸、プロピオン酸などの有機酸、酸イオン交換体、具体的には(登録商標)Dowex M−31(H)などの酸合成樹脂イオン交換体を含むことが可能である。この場合に特に非常に成功であることが判明している方法は、1gの乾燥イオン交換体に基づいて、少なくとも1.0meq、好ましくは少なくとも2.0meq、特に少なくとも4.0meqのHイオン、および10から50メッシュの粒サイズ、ならびにイオン交換体の全容積に基づいて10から50%の範囲の多孔性で装填されている酸合成樹脂イオン交換体の使用である。
【0080】
本発明のチオ(メタ)アクリレートを分離するために、溶媒Sからなる有機相を分離し去り、適切であれば、洗浄および乾燥し、溶媒を蒸発させることができることが有利である。
【0081】
他の反応条件は上述されており、特にこの場合、阻害剤を使用することができる。
【0082】
反応は、以下の化学式の化合物を含むチオ(メタ)アクリレートを形成すると想定することができ、
A−Y−A (IV−a)
および/または
A−Y−Z−B (IV−b)
および/または
A−(Y−Z)−Y−A (IV−c)
および/または
B−(Z−Y)−Z−B (IV−d)
および/または
A−(Y−Z)−B( IV−e)
式中、q、r、またはsは、1から100、好ましくは2から30、より好ましくは3から10の整数であり、
Aは、以下の化学式の末端基であり、
【化23】

Bは、以下の化学式の末端基であり、
【化24】

Zは、以下の化学式の接続基であり、
【化25】

Yは、以下の化学式の接続基であり、
【化26】

各Rは、他とは独立に、水素またはメチル基であり、
各Rは、他とは独立に、直鎖または分岐の脂肪族基または脂環式基、あるいは置換または非置換の芳香族基またはヘテロ芳香族基であり、mおよびnのそれぞれは、他とは独立に、m+n>0として、0以上の整数であり、
は、直鎖または分岐の脂肪族基または脂環式基、あるいは置換または非置換の芳香族基またはヘテロ芳香族基である。
【0083】
本発明のチオ(メタ)アクリレートの質量平均分子量は、300から5000Daの範囲、特に500から2000Daの範囲とすることができることが好ましい。質量平均分子量は、GPCまたはHPLCによって決定することができる。
【0084】
25℃において決定されたチオ(メタ)アクリレートの粘度(非希釈、DIN53019に対して決定)は、100から1000mPa.sの範囲、特に好ましくは200から600mPa.sの範囲とすることができる。
【0085】
分子量およびまた粘度は、基RおよびRを、選択することにより調節することもできる。さらに、これらの変数は、化学式(I)および/または(II)の化合物の特にそれぞれ化学式(III)および(III−a)によるチオール化合物に対するモル比の結果とすることができる。
【0086】
本発明の1つの特定の態様によれば、化学式(IV−b)、(IV−d)、および(IV−e)の化合物の化学式(IV−a)および(IV−c)の化合物に対する比は、非常に小さいが、その理由は、チオールをメタクリル2重結合に追加する反応における変換が完了しているからである。チオール基を有する化合物の含有量は、好ましくは<5%、特に好ましくは<1%である。チオール基の変換に、IR分光法が続くことができる。
【0087】
本発明の好ましいチオメタクリレートには、とりわけ、以下の化学式の化合物がある。
【化27】

式中、基R、R、およびRは上記で確定されており、mおよびnのそれぞれは、他とは独立に0以上の整数である。
【0088】
本発明の特に好ましいチオ(メタ)アクリレートは、プレポリマーとみなすことができる。
【0089】
本発明のプレポリマーは、化学式(I)および/または(II)ならびに(III)の化合物を含むことができる。
【化28】

式中、各Rは、他とは独立に、水素またはメチル基、好ましくはメチル基であり、
各Rは、他とは独立に、直鎖または分岐の脂肪族基または脂環式基、あるいは置換または非置換の芳香族基またはヘテロ芳香族基であり、基Rは、好ましくは1から100、特に1から20の炭素原子を含むことが可能であり、
また、
各Rは、Rに関係なく、直鎖または分岐の脂肪族基または脂環式基、あるいは置換または非置換の芳香族基またはヘテロ芳香族基であり、基Rは、好ましくは1から100、特に1から20の炭素原子を含むことができる。
【0090】
化学式(I)および(II)の化合物のそれぞれ、ならびにまた化学式(III)の化合物は、プレポリマーを製造するために、個々に、またはそれぞれ化学式(I)、(II)、および(III)の2つ以上の化合物の混合物の形態で使用することができる。本発明のモノマー混合物における化学式(I)、(II)、および(III)の化合物の相対含有量は、原則として所望通りであり、本発明のプラスチックの特性プロファイルを必要に応じて「調整」するために使用することができる。例として、モノマー混合物は、各場合にプレポリマーの化学式(I)、(II)、および(III)の化合物の全量に基づいて、顕著に過剰な量の化学式(I)の化合物または化学式(II)の化合物または化学式(III)の化合物を有することが高度に有利なことがある。
【0091】
プレポリマーの化合物(III)の含有量は、化学式(I)、(II)、および(III)の化合物の全量に基づいて、好ましくは1から55.0モル%、特に10.0から50.0モル%である。特定の事象においてRがジメルカプトジオキサオクタン基である場合、プレポリマーにおける(III)の質量割合は、化合物(I)、(II)、および(III)の全量に基づいて、0.5%を超える、好ましくは5%を超える。
【0092】
本発明のチオ(メタ)アクリレートは、特にレンズを作成するために作用することができるプラスチックを与えるように重合させることができる。性質を変更するために、本発明のチオ(メタ)アクリレートは、他のモノマーと混合することができる。
【0093】
本発明の目的では、プラスチックを製造するための好ましい混合物は、化学式(I)、(II)、および(III)の化合物から製造した好ましくはプレポリマーの形態にあるチオ(メタ)アクリレートだけでなく、ラジカル重合することができ、かつ少なくとも2つの末端メタクリレート基を有する少なくとも1つのモノマー(A)をも有することができる。
【0094】
これらのジ(メタ)アクリレートの例は、以下の通りである。ポリオキシメチレン(メタ)アクリル酸誘導体およびポリオキシプロピレン(メタ)アクリル酸誘導体、たとえば、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコール(メタ)アクリレート、およびまた1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(200から5000000g/モルの範囲、有利には200から25000g/モルの範囲、特に200から1000g/モルの範囲にある質量平均モル質量を有することが好ましい)、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(200から5000000g/モルの範囲、有利には250から4000g/モルの範囲、特に250から1000g/モルの範囲の質量平均モル質量を有することが好ましい)、2,2’−チオジエタノールジ(メタ)アクリレート(チオジグリコールジ(メタ)アクリレート)、
3,9−ジ(メタ)アクリロイルオキシメチルトリシクロ[5.2.1.0(2.6)]−デカン、特に、
【化29】

3,8−ジ(メタ)アクリロイルオキシメチルトリシクロ[5.2.1.0(2.6)]−デカン、
4,8−ジ(メタ)アクリロイルオキシメチルトリシクロ[5.2.1.0(2.6)]−デカン、
4,9−ジ(メタ)アクリロイルオキシメチルトリシクロ[5.2.1.0(2.6)]−デカン、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、特に、
【化30】

式中、sおよびtは0以上であり、sとtの和は好ましくは1から30の範囲、特に2から10の範囲にあり、ならびに、ジイソシアネートと、2当量のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、特に以下とが反応することにより得ることが可能であるジ(メタ)アクリレートであり、
【化31】

式中、各R11は、他とは独立に、水素またはメチル基であり、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートおよびグリセロールトリ(メタ)アクリレートなどのトリ(メタ)アクリレート、あるいはエトキシ化またはプロピオキシ化グリセロールの、トリメチロールプロパンの、または2つ以上のヒドロキシ基を有する他のアルコールの(メタ)アクリレート。
【0095】
化学式(XV)のジ(メタ)アクリレートは、モノマー(A)として特に成功していることが判明している。
【化32】

各R12は、この場合、他とは独立に、水素またはメチルである。R13は、直鎖または分岐のアルキル基またはシクロアルキル基、あるいは好ましくは1から100、好ましくは1から40、好ましくは1から20、有利には1から8、特に1から6の炭素原子を有する芳香族基であり、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、N−ブチル基、イソブチル基、テルト−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、またはフェニル基を示す。本発明の目的では、脂環式基はまた、この場合、2環式、3環式、および多環式の脂肪族基をも含む。1から6の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキル基またはシクロアルキル基が、R18として特に非常に好ましい。
【0096】
基R13は、好ましくは直鎖または分岐の脂肪族基または脂環式基であり、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、N−ブチレン基、イソブチレン基、テルト−ブチレン基、またはシクロヘキシレン基、あるいは一般的な化学式の基であり、
【化33】

式中、R15は、直鎖または分岐の脂肪族基または脂環式基、あるいは置換または非置換の芳香族基またはヘテロ芳香族基であり、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、N−ブチレン基、イソブチレン基、テルト−ブチレン基、またはシクロヘキシレン基、あるいはベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ビスフェノン、ジフェニルスルフォン、キノリン、ピリジン、アントラセン、またはフェナントレンから導出される2価芳香族基またはヘテロ芳香族基である。本発明の目的では、脂環式基はまた、この場合、2環式、3環式、および多環式の脂肪族基をも含む。各基R14は、他とは独立に、直鎖または分岐の脂肪族基または脂環式基、あるいは置換または非置換の芳香族基またはヘテロ芳香族基であり、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、N−ブチレン基、イソブチレン基、テルト−ブチレン基、またはシクロヘキシレン基、あるいはベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ビスフェノン、ジフェニルスルフォン、キノリン、ピリジン、アントラセン、またはフェナントレンから導出される2価芳香族基またはヘテロ芳香族基である。本発明の目的では、脂環式基はまた、この場合、2環式、3環式、および多環式の脂肪族基をも含む。各基Xは、他とは独立に、酸素または硫黄、一般的な化学式(XVb)、(XVc)のエステル基、
【化34】

一般的な化学式(XVd)、(XVe)、(XVf)、または(XVg)のウレタン基、
【化35】

一般的な化学式(XVh)、(XVi)、(XVj)、または(XVk)のチオウレタン基、
【化36】

一般的な化学式(XVl)、(XVm)、(XVn)、または(XVo)のジチオウレタン基、
【化37】

または一般的な化学式(XVp)、(XV1)、(XVr)、または(XVs)のチトカルバメート基、
【化38】

好ましくは酸素であり、式中、基R16は、直鎖または分岐の脂肪族基または脂環式基、あるいは置換または非置換の芳香族基またはヘテロ芳香族基であり、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、N−ブチレン基、イソブチレン基、テルト−ブチレン基、またはシクロヘキシレン基、あるいはベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ビスフェノン、ジフェニルスルフォン、キノリン、ピリジン、アントラセン、またはフェナントレンから導出される1価芳香族基またはヘテロ芳香族基である。本発明の目的では、脂環式基はまた、この場合、2環式、3環式、および多環式の脂肪族基をも含む。zは、1から1000、有利には1から100、特に1から25の整数である。
【0097】
化学式(XV)の特に好ましいジ(メタ)アクリレートは、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、特に以下を含み、
【化39】

式中、sおよびtは0以上であり、sとtの和は、1から30の範囲、特に2から10の範囲にあり、ならびに、ジイソシアネートと、2当量のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、特に以下との反応を介して得られるジ(メタ)アクリレートを含み、
【化40】

式中、各基R17は、他とは独立に、水素またはメチル基、
3,8−ジ(メタ)アクリロイルオキシメチルトリシクロ[5.2.1.0(2.6)]−デカン、
3,9−ジ(メタ)アクリロイルオキシメチルトリシクロ[5.2.1.0(2.6)]−デカン、
4,8−ジ(メタ)アクリロイルオキシメチルトリシクロ[5.2.1.0(2.6)]−デカン、
4,9−ジ(メタ)アクリロイルオキシメチルトリシクロ[5.2.1.0(2.6)]−デカン、
好ましくは200から1000g/モルの範囲の質量平均モル質量を有するチオジグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、および/または好ましくは200から1000g/モルの範囲の質量平均モル質量を有するポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートである。この場合、挙げられた化合物のジメタクリレートが特に好ましい。好ましくは200から1000g/モルの範囲の質量平均モル質量を有するポリエチレングリコールジメタクリレートを使用して、特に非常に有利な結果が達成される。モノマー(A)の割合は、混合物において使用されるすべてのモノマーに基づいて、2から50質量%、特に10から30質量%である。
【0098】
本発明の目的では、混合物は、芳香族ビニル化合物を有することができる。
【0099】
芳香族ビニル化合物の中で、スチレン、α−メチルスチレンおよびα−エチルスチレンなどのアルキル置換基を側鎖に有する置換スチレン、ビニルトルエンおよびp−メチルスチレンなどのアルキル置換基を環上に有する置換スチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロモスチレン、およびテトラブロモスチレンなどのハロゲン化スチレン、
ならびにまた1,2−ジビニルベンゼン、1,3−ジビニルベンゼン、1,4−ジビニルベンゼン、1,2−ジイソプロペニルベンゼン、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、および1,4−ジイソプロペニルベンゼンなどのジエンの使用が好ましい。
【0100】
芳香族ビニル化合物の割合は、プレポリマー、ラジカル重合することができるモノマー(A)、ならびに芳香族ビニル化合物および随意選択で使用される他のモノマーにおいて使用される化学式(I)、(II)、および(III)の化合物の含有量の全量に基づいて、好ましくは5から40質量%、好ましくは10から30質量%、特に好ましくは15から25質量%である。
【0101】
驚くべきことに、モノマー(A)および芳香族ビニル化合物を追加することにより、本発明の光学特性に悪影響を与えずに、本発明のプラスチック材料の機械的特性が向上する。多くの場合、光学特性に対する有益な効果が見られる。
【0102】
本発明の1つの特定の態様は、化合物として、直鎖構造を有し、かつ一般的な化学式(XVI)の鎖の長さが変化する分子(不斉架橋剤)を使用することが可能であることが好ましく、
【化41】

式中、基R19は、独立に、水素原子、フッ素原子、および/またはメチル基であり、基R18は、好ましくは1から1000、特に2から100の炭素原子を含む接続基であり、基Yは、0から1000の炭素原子、特に1から1000の炭素原子、好ましくは1から100の炭素原子を有する結合または接続基である。分子の長さは、分子の構成要素R18によって変化させることができる。化学式(XVI)の化合物は、分子の一端において末端(メタ)アクリレート機能を有し、他端においてメタクリレート機能以外の末端基を有する。好ましい基Yには、具体的には、結合(ビニル基)、CH基(アリル基)、およびまたベンゼン誘導基などの1から20の炭素原子を有する脂肪族基または芳香族基、特に好ましくはウレタン基を含む脂肪族基または芳香族基がある。
【0103】
基R18は、好ましくは直鎖または分岐の脂肪族基または脂環式基であり、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、N−ブチル基、イソブチル基、テルト−ブチル基、またはシクロヘキシル基、あるいは一般的な化学式の基であり、
【化42】

式中、基R21は、直鎖または分岐の脂肪族基または脂環式基、あるいは置換または非置換の芳香族基またはヘテロ芳香族基であり、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、N−ブチレン基、イソブチレン基、テルト−ブチレン基、またはシクロヘキシレン基、あるいはベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ビスフェノン、ジフェニルスルフォン、キノリン、ピリジン、アントラセン、またはフェナントレンから導出される2価芳香族基またはヘテロ芳香族基である。本発明の目的では、脂環式基はまた、この場合、2環式、3環式、および多環式の脂肪族基をも含む。各基R20は、他とは独立に、直鎖または分岐の脂肪族基または脂環式基、あるいは置換または非置換の芳香族基またはヘテロ芳香族基であり、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、N−ブチレン基、イソブチレン基、テルト−ブチレン基、またはシクロヘキシレン基、あるいはベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ビスフェノン、ジフェニルスルフォン、キノリン、ピリジン、アントラセン、またはフェナントレンから導出される2価芳香族基またはヘテロ芳香族基である。本発明の目的では、脂環式基はまた、この場合、2環式、3環式、および多環式の脂肪族基をも含む。各基Xは、他とは独立に、酸素または硫黄、一般的な化学式(XVIb)、(XVIc)のエステル基、
【化43】

一般的な化学式(XVId)、(XVIe)、(XVIf)、または(XVIg)のウレタン基、
【化44】

一般的な化学式(XVIh)、(XVIi)、(XVIj)、または(XVIk)のチオウレタン基、
【化45】

一般的な化学式(XVIl)、(XVIm)、(XVIn)、または(XVIo)のジチオウレタン基、
【化46】

または一般的な化学式(XVIp)、(XVIq)、(XVIr)、または(XVIs)のチトカルバメート基、
【化47】

好ましくは酸素であり、式中、基R22は、直鎖または分岐の脂肪族基または脂環式基、あるいは置換または非置換の芳香族基またはヘテロ芳香族基であり、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、N−ブチレン基、イソブチレン基、テルト−ブチレン基、またはシクロヘキシレン基、あるいはベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ビスフェノン、ジフェニルスルフォン、キノリン、ピリジン、アントラセン、またはフェナントレンから導出される1価芳香族基またはヘテロ芳香族基である。本発明の目的では、脂環式基はまた、この場合、2環式、3環式、および多環式の脂肪族基をも含む。zは、1から1000、有利には1から100、特に1から25の整数である。
【0104】
化学式(XVI)の1つの特定の実施形態では、化合物は、化学式(XVII)の化合物
【化48】

および/または化学式(XVIII)の化合物を有す、
【化49】

式中、基R23およびR24のそれぞれは、他とは独立に、水素またはメチル基であり、基R25は、直鎖または分岐の脂肪族2価基または脂環式2価基、あるいは置換または非置換の芳香族2価基またはヘテロ芳香族2価基である。好ましい基は、上述されている。
【0105】
鎖の長さは、ポリアルキレンオキシド単位、好ましくはポリエチレングリコール単位の数の変化により影響を受ける可能性がある。目的を達成するためにこの場合に記述された方法に特に適していることが判明している化学式(XVII)および(XVIII)の化合物は、他とは独立に、1から40好ましくは5から20、特に7から15、特に好ましくは8から12であるポリアルキレンオキシド単位の数r、p、およびqを有する。
【0106】
本発明によれば、化学式(XVIII)の化合物、特に以下を含み、
【化50】

式中、sおよびtは0以上であり、sとtの和は、好ましくは1から20の範囲、特に2から10の範囲にあり、また化学式(XVII)の化合物、特に以下を含み、
【化51】

式中sおよびtは0以上であり、sとtの和は、好ましくは1から20の範囲、特に2から10の範囲にある、不斉架橋剤が特に非常に好ましい。
【0107】
1つの特定の態様によれば、混合物は、モノマー混合物の全質量に基づいて、好ましくは0.5から40質量%、特に5から15質量%の化学式(XVI)および/または(XVII)の化合物を有する。
【0108】
本発明の1つの特に好ましい実施形態の目的では、本発明の混合物はまた、少なくとも1つのエチレン不飽和モノマー(B)をも有する。これらのモノマー(B)は、化学式(XVII)および(XVIII)の不斉化合物、またモノマー(A)ならびに化学式(I)および/または(II)のチオ(メタ)アクリレートとは異なる。モノマー(B)は、当業者には既知であり、モノマー(A)ならびに化学式(I)および/または(II)のチオ(メタ)アクリレートと共重合可能であることが好ましい。これらのモノマー(B)には、特に、以下がある。
メタクリロイルアミド−アセトニトリル、2−メタクリロイルオキシエチルメチルシアンアミド、シアノメチルメタクリレートなど、(メタ)アクリル酸および他の窒素包含メタクリレートのニトリル、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、N−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、N−ブチル(メタ)アクリレート、セク−ブチル(メタ)アクリレート、テルト−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、2−テルト−ブチルヘプチル(メタ)アクリレート、3−イオスプロピルヘプチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、5−メチルウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−メチルドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、5−メチルトリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、2−メチル−ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、5−イソプロピルヘプタデシル(メタ)アクリレート、4−テルト−ブチルオクタデシル(メタ)アクリレート、5−エチルオクタデシル(メタ)アクリレート、3−イソプロピルオクタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、セチルエイコシル(メタ)アクリレート、ステアリルエイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、および/またはエイコシルテトラトリアコンチル(メタ)アクリレートなど、飽和アルコールから導出される(メタ)アクリレート

シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、3−ビニル−2−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、およびボルニル(メタ)アクリレートなど、シクロアルキル(メタ)アクリレート、
2−プロピニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、およびオレイル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレートなど、不飽和アルコールから導出される(メタ)アクリレート、
アリール基が、それぞれ、非置換である、または最高で4つの置換基によって置換することが可能である、ベンジル(メタ)アクリレートまたはフェニル(メタ)アクリレートなどのアリル(メタ)アクリレート、
3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3、4−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオール(メタ)アクリレート、1,2−プロパンジオール(メタ)アクリレートなど、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、
トリス(2−メタクリルオキシエチル)アミン、N−メチルホルムアミドエチル(メタ)アクリレート、2−ウレイドエチル(メタ)アクリレートなど、アミノアルキル(メタ)アクリレート、
2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシメチル(メタ)アクリレート、オキサゾリジニルエチル(メタ)アクリレート、N−(メタクリロイルオキシ)ホルムアミド、アセトニル(メタ)アクリレート、N−メタクリロイルモルホリン、N−メタクリロイル−2−ピロリジノンなど、カルボニル含有(メタ)アクリレート、
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ビニルオキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、1−ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、1−メチル−(2−ビニルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシメトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジルオキシメチル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシメチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、アリルオキシメチル(メタ)アクリレート、1−エトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシメチル(メタ)アクリレート、1−エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレートなど、エーテルアルコールの(メタ)アクリレート、
2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、4−ブロモフェニル(メタ)アクリレート、1,3−ジクロロ−2−プロピル(メタ)アクリレート、2−ブロモエチル(メタ)アクリレート、2−ヨードエチル(メタ)アクリレート、クロロメチル(メタ)アクリレートなど、ハロゲン化アルコールの(メタ)アクリレート、
2,3−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなど、オキシラニル(メタ)アクリレート、
N−(3−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(ジエチルホスホノ)(メタ)アクリルアミド、1−(メタ)アクリロイルアミド−2−メチル−2−プロパノール、N−(3−ジブチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−テルト−ブチル−N−(ジエチルホスホノ)(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(2−ジエチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、4−(メタ)アクリロイルアミド−4−メチル−2−ペンタノール、N−(メトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−アセチル(メタ)アクリルアミド、N−(ジメチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドなど、(メタ)アクリル酸のアミド、
2−(1−イミダゾリル)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−モルホリニル)エチル(メタ)アクリレート、および1−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ピロリドンなど、ヘテロシクロ(メタ)アクリレート、
2−(ジメチルホスフェート)プロピル(メタ)アクリレート、2−(エチレンホスファイト)プロピル(メタ)アクリレート、ジメチルホスフィノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルホスホノエチル(メタ)アクリレート、ジエチル(メタ)アクリロイルホスホネート、ジプロピル(メタ)アクリロイルホルフェートなど、リン、ホウ素、および/またはシリコン含有(メタ)アクリレート、
エチルスルフィニルエチル(メタ)アクリレート、4−チオシアネートブチル(メタ)アクリレート、エチルスルホニルエチル(メタ)アクリレート、チオシアネートメチル(メタ)アクリレート、メチルスルフィニルメチル(メタ)アクリレート、ビス((メタ)アクリロイルオキシエチル)硫化物など、硫黄含有(メタ)アクリレート、
エチレングリコールビス(アリルカーボネート)、1,4−ブタンジオールビス(アリルカーボネート)、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)など、ビス(アリルカーボネート)、
ビニル塩化物、ビニルフッ化物、ビニリデン塩化物、およびビニリデンフッ化物など、ビニルハロゲン化物、
ビニルアセテートなどのビニルエステル、
2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−エチル−4−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルピペリジン、9−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、4−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリジン、3−ビニルピロリジン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルブチロラクタム、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルチオフェン、ビニルチオラン、ビニルチアゾール、ならびに水素化ビニルチアゾール、ビニルオキサゾール、および水素化ビニルオキサゾールなど、ヘテロシクロビニル化合物、
ビニルエーテルおよびイソプレニルエーテル、
マレイン酸のモノエステルおよびジエステル、1から9の炭素原子を有するアルコール基など、マレイン酸およびマレイン酸誘導体、
無水マレイン酸、メチルマレイン酸無水物、マレイミド、メチルマレイミド、
フマル酸のモノエステルおよびジエステルなど、フマル酸およびフマル酸誘導体、1から9の炭素原子を有するアルコール基。
【0109】
完全であるために、モノマー(A)の下で列挙されたジ(メタ)アクリレートも、モノマー(B)として使用することが可能である。
【0110】
アクリレートという用語は、メタクリレートおよびアクリレート、ならびにまたこの2つの混合物を含む。対応して、(メタ)アクリル酸という用語は、メタクリル酸およびアクリル酸、ならびにまたこの2つの混合物を包む。
【0111】
エチレン不飽和モノマーは、個々に、または混合物の形態で使用することが可能である。
【0112】
原則として、本発明のモノマー混合物の組成は、所望通りとすることが可能である。本発明のプラスチックの特性プロファイルを応用分野の要求に整合させるために使用することができる。
【0113】
しかし、本発明のチオ(メタ)アクリレート、好ましくは化学式(I)、(II)、および(III)の化合物から製造されたプレポリマー、ならびに好ましくは少なくとも1つのモノマー(A)、また適切であればスチレンが、所望の重合温度において均一に混合されるように、モノマー混合物の組成を選択することが高度に有利であることが判明しているが、その理由は、このタイプの混合物の取扱いは、一般に低粘性である結果として容易であり、さらに、向上した特性を有する均一なプラスチックを与えるように重合させることができるからである。
【0114】
本発明の1つの特に好ましい実施形態によれば、モノマー混合物は、各場合にモノマー混合物の全質量に基づいて、少なくとも5.0質量%、好ましくは少なくとも20.0%、特に好ましくは少なくとも50.0質量%の化学式(I)、(II)、および(III)化合物から製造されたプレポリマーを有する。モノマー(A)の質量含有率は、各場合にモノマー混合物の全質量に基づいて、好ましくは少なくとも2.0質量%、好ましくは少なくとも10.0質量%、特に好ましくは少なくとも20.0%である。芳香族ビニル化合物、特にスチレンの質量含有率は、各場合にモノマー混合物の全質量に基づいて、好ましくは少なくとも2.0質量%、好ましくは少なくとも10.0質量%、特に好ましくは少なくとも20.0質量%である。
【0115】
本発明の1つの特定の態様によれば、混合物は、各場合にモノマー混合物の全質量に基づいて、
具体的には化学式(I)および/または(II)、ならびにまた(III)のモノマーの化合物から得ることが可能である、40から100質量%、好ましくは50から90質量%、特に60から85質量%の本発明のチオ(メタ)アクリレートと、
0から60質量%、好ましくは2から50質量%、特に10から30質量%のモノマー(A)と、
0から60質量%、好ましくは2から50質量%、特に10から30質量%の芳香族ビニル化合物、特にスチレンと、
0から45質量%、特に1から10質量%の化学式(XVI)および(XVII)のモノマーならびに/またはモノマー(B)とを有する。
【0116】
使用されるのが好ましいモノマー混合物の製造は、当業者には既知である。例として、化学式(I)および/または(II)の化合物と化合物(III)とが反応することから得られる本発明のチオ(メタ)アクリレート、好ましくはプレポリマーと、芳香族ビニル化合物と、またモノマー(A)および(B)とを本質的に既知の方式で混合することにより、製造することができる。
【0117】
本発明の目的では、モノマー混合物は、大気圧力および20.0から80.0℃の範囲の温度において流動性であることが好ましい。「流動性」という用語は、当業者には既知である。これは、様々な形状に鋳造し、適切な補助剤を使用して撹拌および均一化することができることが好ましい液体を特徴付ける。本発明の目的では、特定の流動性材料が、特に25℃および大気圧力(101325Pa)において、0.1mPa.sから10Pa.sの大きさの動的粘度、有利には0.65mPa.sから1Pa.sの範囲の動的粘度を有する。本発明の1つの特に好ましい実施形態では、鋳造されたモノマー混合物は、泡、特に気泡を有さない。同様に、温度の上昇および/または真空の適用など、適切な方法を介して、泡、特に気泡を除去することができるモノマー混合物が好ましい。
【0118】
本発明の高透明プラスチックは、上述された低粘性(η<200mPa.s)モノマー混合物のラジカル共重合を介して得ることが可能である。ラジカル共重合は、基により開始される周知の方法であり、低分子モノマーの混合物をポリマーとして知られる高分子量化合物に変換する。さらなる詳細について、H.G. Elias、Makromolekuele[Macromolecules]、Volume1および2、Basle、ハイデルベルグ、ニュー・ヨーク Huethig und Wepf. 1990年、ならびにUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版、headword「Polymerization Processes」を参照されたい。
【0119】
本発明の1つの好ましい実施形態では、本発明のプラスチックは、モノマー混合物の大量またはバルク重合により得ることが可能である。大量またはバルク重合は、この場合、モノマーが溶媒を必要とせずに重合される重合方法を意味し、したがって、重合反応は、非希釈材料について、またはバルクにおいて実施される。これと対照的な方法は、エマルジョン(エマルジョン重合として知られる)および分散における重合(懸濁重合として知られる)であり、有機モノマーが保護コロイドおよび/または安定剤と共に水性相において懸濁され、比較的粗いポリマー粒子が形成される。不均一相重合の特定の形態はパール重合であり、これは、本質的に懸濁重合のタイプである。
【0120】
原則として、重合反応は、たとえばラジカル開始剤(たとえば、過酸化物、アゾ化合物)を使用して、またはUV線、可視光、α放射、β放射、もしくはγ放射で照射することにより、あるいはこれらの組合わせで、当業者には周知の任意の方式で開始することが可能である。
【0121】
本発明の1つの好ましい実施形態では、親油性ラジカル重合開始剤が、重合を開始するために使用される。ラジカル重合開始剤は、バルク重合混合物において溶解するように特に親油性である。アゾイソブチロニトリル(AIBN)または1,1−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリルなどの従来のアゾ開始剤の他に、使用することが可能である化合物には、とりわけ、脂肪族ペルオキシ化合物があり、たとえば、テルト−アミルペルオキシネオデカノエート、テルト−アミルペルオキシピバレート、テルト−ブチルペルオキシピバレート、テルト−アミル2−エチルペルオキシヘキサノエート、テルト−ブチル2−エチルペルオキシヘキサノエート、テルト−アミル3,5,5,−トリメチルペルオキシヘキサノエート、エチル3,3−ジ(テルト−アミルペルオキシ)ブチレート、テルト−ブチルペルベンゾエート、テルト−ブチルヒドロペルオキシド、デカノイル過酸化物、ラウリル過酸化物、ベンゾイル過酸化物、および述べられた化合物の任意の所望の混合物である。上述された化合物の中で、AIBNが特に非常に好ましい。
【0122】
本発明の他の好ましい実施形態では、重合は、既知の光開始剤を使用することによって、UV線などで照射することにより、開始される。この場合、周知の市販の化合物を使用することが可能であり、たとえば、ベンゾフェノン、α,α−ジエトキシアセトフェノン、4,4−ジエチルアミノベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、4−イソプロピルフェニル2−ヒドロキシ−2−プロピルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソアミルp−ジメチルアミノベンゾエート、メチル4−ジメチルアミノベンゾエート、メチルo−ベンゾイルベンゾエート、ベンジイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾ−スベロン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィン
酸化物、ビスアシルホスフィン酸化物、および他の化合物であり、述べられた光開始剤は、この場合、単独で、あるいは上記の重合開始剤の2つ以上の組合わせにおいて、または上記の重合開始剤の1つと組み合わせて使用することが可能である。
【0123】
遊離基生成剤の量は、大きく変化させることが可能である。例として、好ましい使用量は、全組成物の質量に基づいて、0.1から5.0質量%の範囲にある。各場合に全組成物の質量に基づいて、0.1から2.0質量%の範囲の量、特に0.1から0.5質量%の範囲の量を使用することが特に好ましい。
【0124】
重合で選択される重合温度は、当業者には明らかである。重合温度は、選択された開始剤および開始方式(熱、照射によるなど)により主に決定される。重合温度は、ポリマー生成物の特性に影響を与えることが既知である。したがって、本発明の目的では、20.0から100.0℃の範囲、有利には20.0から80.0℃の範囲、特に20.0から60.0℃の範囲の重合温度が好ましい。本発明の1つの特に好ましい実施形態では、反応温度は、好ましくは段階的に、反応中に上昇する。
【0125】
高温における熱調整はまた、たとえば100から150℃において、反応の終了に向かうことが有利であることも判明している。
【0126】
反応は、準圧力または超圧力において行うことが可能である。しかし、大気圧において実施することが好ましい。反応は、最小含有量の酸素が存在する状態で、大気においてまたは不活性ガスの下において実施することが好ましいが、その理由は、この含有量は、あらゆる重合に対して抑制効果を有するからである。
【0127】
本発明の1つの特に好ましい実施形態では、本発明の高透明プラスチックを製造する手続きは、混合物から均一混合物を製造し、これらは、モノマー混合物、開始剤、および潤滑剤などの他の添加剤であり、また、眼鏡レンズまたは他のレンズ、プリズム、あるいは他の光学構成要素の形態など、形状がその後の応用分野により事前に決定されているガラス板の間にこれらを装填する。バルク重合は、有利には水浴において2時間以上、たとえば高エネルギー放射により、特にUV光を使用することにより、または加熱することにより、エネルギーの導入を介することで始される。これにより、澄んで透明な無色の硬いプラスチックとして所望の形態の光学材料が与えられる。
【0128】
本発明の目的では、潤滑剤は、圧縮成形材料および射出成形材料など、プラスチック材料を装填するための添加剤であり、その機能は、装填された材料の滑り能力を向上させ、したがって圧縮成形材料の成形を容易にすることである。この目的に適切な物質の例は、金属石鹸およびシロキサンの組合わせである。プラスチックにおいて潤滑剤が不溶性であることにより、潤滑剤のいくらかは、処理中に表面に泳動し、そこで離型剤として作用する。表面活性を有する非イオンフッ化剤、表面活性を有する非イオンシリコン剤、4級アルキルアンモニウム塩、および酸性リン酸エステルなど、特に適切な潤滑剤が、EP271839Aにおいて開示されており、この開示は、本発明の目的について参照によって明らかに組み込まれている。
【0129】
本発明は、非常に良好な光学的特性および機械的特性を有する高透明プラスチックを提供する。たとえば、DIN5036による透過性は、好ましくは88.0%より大きく、有利には89.0%より大きい。
【0130】
本発明のプラスチックの屈折率Nは、1.59以上であることが好ましい。媒質の屈折率は、一般に、入射光の波長および温度に依存する。したがって、本発明の屈折率のデータは、DIN53491において規定された標準的なデータに基づく(ナトリウムの(黄色)D線の標準的な波長(約589nm))。
【0131】
本発明によれば、プラスチックのアッベ数は、DIN53491に対して>36.0であることが好ましい。アッベ数に関する情報は、Lexikon der Physik[Dictionary of Physics](Walter Greulich(ed.)、Lexikon der Physik[Dictionary of Physics]、ハイデルベルグ、Spektrum、Akademischer Verlag、Volume1、1998年)においてなど、当業者なら文献において見ることができる。
【0132】
本発明の1つの特に好ましい実施形態によれば、プラスチックは、>36.0、有利には>37.0、特に>38.0のアッベ数を有する。
【0133】
FDA落球試験(ANSI Z 80.1)は、機械的特性を試験するために使用される。試験片が直径16mmのボールによって損傷されない場合、試験は合格である。試験片を損傷せずに試験に使用するボールの直径が大きくなると、機械的特性は良好になる。
【0134】
本発明のプラスチックはまた、高いガラス転移温度を有し、したがって、室温より高い温度においても、顕著な機械的特性、特に衝撃強さおよび硬さを有することが有利である。本発明のプラスチックのガラス転移温度は、好ましくは80℃より高い、有利には90℃より高い、特に95℃より高い。
【0135】
本発明のチオ(メタ)アクリレートおよびそれから得られる透明プラスチックの可能な使用分野は、当業者には明らかである。プラスチックは、透明プラスチックを想定した任意の応用分野に特に適している。その特徴的な特性により、光学レンズ、特に眼科用レンズに特に適している。さらに、チオ(メタ)アクリレートは、合成繊維の組成物をコーティングするのに使用することができる価値のある物質である。
【0136】
本発明はまた、少なくとも1つのフォトクロミック色素を有する混合物をも提供する。この場合、当業者に既知のフォトクロミック色素のいずれかおよびその混合物を使用することが可能である。好ましいフォトクロミック色素の例は、スピロ(インドリン)ナフトキサジン、スピロ(インドリン)ベンゾキサジン、スピロピラン、アセトアニリド、アルデヒドヒドラゾン、チオインジゴ、スチルベン誘導体、ローダミン誘導体およびアントラキノン誘導体、ベンゾフロキサン、ベンゾピラン、ナフトピラン、有機金属ジチオゾネート、フルギド、およびフルギミドである。
【0137】
これらの混合物から、例としてレンズ、好ましくは光学レンズ、ガラス枠、またははめ込みガラスとして使用されるフォトクロミック材料を製造することが可能である。
【0138】
以下の本発明の実施例および比較例は、結果として制約することを意図せずに、本発明を例示するように作用する。
【実施例】
【0139】
チオメタクリレート混合物の合成
75.36gの1,2−エタンジチオールを、不活性ガスを供給して三角フラスコに計量し、撹拌し、416.43gの13%強度のNaOH溶液を25から30℃において30分の期間内に計量し、水で冷却する。茶色の澄んだ溶液が形成される。
【0140】
次いで、178.64gのメタクリル酸無水物およびNaチオール溶液を、反応フラスコの撹拌酢酸エチル/水の初期装填の中に、45分の期間内に所望の計量温度において並行して計量する。この場合適切であれば、不活性ガスが混合物の上にわたって通過する。フラスコの含有量は、一般に、供給の開始時に約2℃だけ下がり、わずかに発熱性の反応が約5〜10分後に開始し、これは、適切な冷却が、所望の反応温度(35℃)を維持するために適用されることを意味する。供給が終了した後、混合物を35℃においてさらに5分撹拌し、次いで、撹拌しながら約25℃まで冷却する。
【0141】
混合物を分離漏斗に移送して分離し、低級水相を放出する。ワーク・アップのために、有機相を三角フラスコに移送し、(登録商標)Dowex M−31で約15分撹拌し、次いで、イオン交換体をろ過し去る。
【0142】
次いで、いくらか濁っているものからほぼ澄んだ粗エステル溶液を100ppmのHQMEで安定させ、回転蒸発器の上で50℃を超えない温度で濃縮する。無色の最終生成物を室温(20〜25℃)においてろ過する。これは、約140gの無色で澄んだエステルを与える。
【0143】
プレポリマーの製造:触媒としてアミンが存在する状態での6.84gのチオジ(メタ)アクリレートと0.36gの反応、方法は、EP284374に基づく。
【0144】
オリゴマーチオジメタクリレートに基づくポリマーの製造の例では、7.2gのプレポリマー、2.4gのスチレン、2.4gのデカエトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、0.1gのヒドロキシエチルメタクリレート、Irgacur819などの36mgのUV開始剤、および24mgのテルト−ブチルペルオクトエートまたは同様の開始剤(本発明の実施例1参照)を混合する。均一な注型用樹脂混合物を適切な型に配置し、1200W高圧水銀源を使用するUV硬化システムにおいて10分の期間内に硬化させる。次いで、材料をオーブンにおいて約120℃でさらに約2時間の期間、熱調整する。
【表1】

Plex6931 O:DE316671からのメタクリル酸無水物とエタンジチオールの反応生成物
E10BADMA:エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、エトキシ化の程度約10
DMDO:ジメルカプトジオキサオクタン
HEMA:ヒドロキシエチルメタクリレート
(#):匂いの問題のために、他の分析は行わなかった。
【0145】
本発明の混合物(B1)は、無臭である。比較例VB Iは、この試験を合格せず、したがって、さらに調査しなかった。
【0146】
それにもかかわらず、比較屈折率(VB IIおよびVB IIIを有するB1の)について、アッベ数は、本発明の混合物についてより良好であった。本発明の混合物はまた、落球試験について大いにより良好に機能した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式(I)および/または(II)
【化1】

[式中、各Rは、他とは独立に、水素またはメチル基であり、
各Rが、他とは独立に、直鎖または分岐の脂肪族基または脂環式基、あるいは置換または非置換の芳香族基またはヘテロ芳香族基であり、mおよびnのそれぞれが、他とは独立に、m+n>0として、0以上の整数である]で示される化合物と、少なくとも2つのチオール基を含むチオール化合物との反応を介して得られる、チオ(メタ)アクリレート。
【請求項2】
チオール化合物が、アルキルジチオールまたはポリチオールであることを特徴とする、請求項1に記載のチオ(メタ)アクリレート。
【請求項3】
チオール化合物は、化学式(III)
HS−R−SH (III)
[式中、Rが、直鎖または分岐の脂肪族基または脂環式基、あるいは置換または非置換の芳香族基またはヘテロ芳香族基である]で示される化合物であることを特徴とする、請求項1または2に記載のチオ(メタ)アクリレート。
【請求項4】
化学式(I)の化合物および/または(II)対チオール基を含む少なくとも2つのチオール化合物のモル比が、50:1から1:2、特に30:1から2:1の範囲にあることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載のチオ(メタ)アクリレート。
【請求項5】
チオ(メタ)アクリレートを製造するための混合物が、m+n=3として、化学式(I)、(II)、および(III)の化合物の全量に基づいて、5.8モル%を超える化学式(II)の化合物を含有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載のチオ(メタ)アクリレート。
【請求項6】
チオ(メタ)アクリレートを製造するための混合物が、化学式(I)、(II)、および(III)の化合物の全量に基づいて、1から50モル%の化学式(I)の化合物を含有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載のチオ(メタ)アクリレート。
【請求項7】
チオ(メタ)アクリレートを製造するための混合物が、m+n=1として、化学式(I)、(II)、および(III)の化合物の全量に基づいて、1から40モル%の化学式(II)の化合物を含有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載のチオ(メタ)アクリレート。
【請求項8】
チオ(メタ)アクリレートを製造するための混合物が、m+n>3として、化学式(II)の化合物を含有することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載のチオ(メタ)アクリレート。
【請求項9】
化学式(I)、(II)、および(III)の化合物の全含有率が、チオ(メタ)アクリレートを製造するための混合物の全質量に基づいて、少なくとも5.0質量%であることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載のチオ(メタ)アクリレート。
【請求項10】
チオ(メタ)アクリレートを製造するための混合物が、m+n=2として、化学式(I)、(II)、および(III)の化合物の全量に基づいて、10モル%を超える化学式(II)の化合物を含有することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載のチオ(メタ)アクリレート。
【請求項11】
以下の化学式
A−Y−A (IV−a)
および/または
A−Y−Z−B (IV−b)
および/または
A−(Y−Z)−Y−A (IV−c)
および/または
B−(Z−Y)−Z−B (IV−d)
および/または
A−(Y−Z)−B (IV−e)
[式中、q、r、およびsが、1から100の範囲の整数であり、
Aが、以下の化学式
【化2】

の末端基であり、
Bが、以下の化学式
【化3】

の末端基であり、
Zが、以下の化学式
【化4】

の接続基であり、
Yが、以下の化学式
【化5】

の接続基であり、
式中、Rが、他とは独立に、水素またはメチル基であり、
各Rが、他とは独立に、直鎖または分岐の脂肪族基または脂環式基、あるいは置換または非置換の芳香族基またはヘテロ芳香族基であり、mおよびnのそれぞれが、他とは独立に、m+n>0として、0以上の整数であり、
が、直鎖または分岐の脂肪族基または脂環式基、あるいは置換または非置換の芳香族基またはヘテロ芳香族基である]で示される化合物を含む、チオ(メタ)アクリレート。
【請求項12】
チオ(メタ)アクリレートの質量平均分子量が、300から5000Daの範囲にあることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載のチオ(メタ)アクリレート。
【請求項13】
25℃において決定されたチオ(メタ)アクリレートの粘度が、100から1000mPa.sであることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項に記載のチオ(メタ)アクリレート。
【請求項14】
化学式(I)、(II)、(IV)、(V)、および/または(VII)の基Rが、1から10の炭素原子を有する脂肪族基であることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載のチオ(メタ)アクリレート。
【請求項15】
透明プラスチックを製造するための混合物であって、
a)請求項1から14までのいずれか1項に記載の少なくとも1つのチオ(メタ)アクリレートと、
b)ラジカル重合することができ、かつ少なくとも2つのメタクリレート基を有する少なくとも1つのモノマー(A)と、
c)少なくとも1つの芳香族ビニル化合物とを含む、混合物。
【請求項16】
d)ラジカル重合することができ、かつ反応性が異なる少なくとも2つの末端オレフィン基、および/または、
e)少なくとも1つのエチレン不飽和モノマー(B)を含む、請求項15に記載の混合物。
【請求項17】
混合物が、請求項1から14までのいずれか1項に記載のチオ(メタ)アクリレートと共重合可能である少なくとも1つのモノマー(A)を含有することを特徴とする、請求項15または16に記載の混合物。
【請求項18】
混合物が、ジ(メタ)アクリレートを含むことを特徴とする、請求項17に記載の混合物。
【請求項19】
混合物が、芳香族ビニル化合物として、好ましくはスチレンを含有することを特徴とする、請求項15から18までのいずれか1項に記載の混合物。
【請求項20】
ラジカル重合することができ、かつ反応性が異なる、一般的な以下の化学式
【化6】

[式中、
基R19が、独立に、水素原子、フッ素原子、および/またはメチル基であり、
基R18が、好ましくは1から1000、特に2から100の炭素原子を含む接続基であり、
基Yが、0から1000の炭素原子、特に1から1000の炭素原子、好ましくは1から100の炭素原子を有する結合または接続基である]で示される少なくとも2つの末端オレフィン基を有するモノマーが含まれていることを特徴とする、請求項15から19までのいずれか1項に記載の混合物。
【請求項21】
アリルポリエチレングリコールメタクリレートが含まれていることを特徴とする、請求項20に記載の混合物。
【請求項22】
混合物中に、少なくとも1つの(メタ)アクリレートが含まれていることを特徴とする、請求項15から21までのいずれか1項に記載の混合物。
【請求項23】
2−ヒドロキシエチルメタクリレートが含まれていることを特徴とする、請求項22に記載の混合物。
【請求項24】
混合物が、少なくとも1つのフォトクロミック色素が含まれていることを特徴とする、請求項15から23までのいずれか1項に記載の混合物。
【請求項25】
請求項15から24までのいずれか1項に記載の混合物を重合させることを特徴とする、透明プラスチックを製造するための方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法により得られる透明プラスチック。
【請求項27】
DIN53491によるプラスチックの屈折率が、1.59より大きいことを特徴とする、請求項26に記載のプラスチック。
【請求項28】
DIN53491によるプラスチックのアッベ数が、36より大きいことを特徴とする、請求項26または27に記載のプラスチック。
【請求項29】
落球試験において試験片を損傷しないボールの平均直径が、≧18であることを特徴とする、請求項26から28までのいずれか1項に記載のプラスチック。
【請求項30】
DIN5036によるプラスチックの透過率が、≧89%であることを特徴とする、請求項26から29までのいずれか1項に記載のプラスチック。
【請求項31】
ガラス転移温度が、80.0℃より高いことを特徴とする、請求項26から30までのいずれか1項に記載のプラスチック。
【請求項32】
プラスチックが、フォトクロミックの特性を有することを特徴とする、請求項26から31までのいずれか1項に記載のプラスチック。
【請求項33】
レンズまたはガラス枠またははめ込みガラスとしての請求項32に記載のプラスチックの使用。
【請求項34】
光学レンズとしての請求項26から31までのいずれか1項に記載の透明プラスチックの使用。
【請求項35】
請求項26から32までのいずれか1項に記載の透明プラスチックを有する、光学レンズ、特に眼科用レンズ。

【公表番号】特表2008−528711(P2008−528711A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−551554(P2007−551554)
【出願日】平成17年12月3日(2005.12.3)
【国際出願番号】PCT/EP2005/012963
【国際公開番号】WO2006/079387
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】