説明

チップパッケージビルドアップのシステム及び方法

【課題】ダイを汚染から保護する安価なチップパッケージの製造方法を提供する。
【解決手段】チップパッケージは、開口部が形成されているベース再配線層16と、接着材料が塗布されていない窓部26が形成された接着剤層24と、接着剤層を介してベース再配線層に固着されたダイ12とを含み、ダイの周囲部のみが接着剤層と接触するように、ダイは窓部と位置合わせされる。シールド要素20はベース再配線層と接着剤層との間に配置され、シールド要素の周囲部のみが接着剤層に装着されるように、シールド要素は、ベース再配線層に形成された開口部及び接着剤層の窓部とほぼ位置合わせされる。シールド要素は、エアギャップによりダイから分離され且つダイの前面52を露出させるように接着剤層から選択的に除去できるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般に集積回路チップパッケージに関し、特にチップパッケージのビルドアップに関する。チップパッケージは、チップパッケージのビルドアップ処理中にダイを汚染から保護する技術を使用して製造される。
【背景技術】
【0002】
集積回路(IC)チップパッケージは、通常、積層再配線層に装着される1つ以上のダイを含むように製造される。積層再配線層はKapton(登録商標)などの誘電体積層材料から形成され且つ接着剤層を介してダイに固着される。ベース再配線層に接着された複数の追加積層再配線層を介して引き回された金属配線部を介して、ダイは入出力システムに電気接続される。
【0003】
標準的なチップパッケージの製造処理、すなわちビルドアップ処理は、通常、ベース積層再配線層を提供すること及びベース積層再配線層の一方の面に接着剤を塗布することから始まる。次に、ダイの前面、すなわち活性面と接着剤層との間にダイの全面にわたって接合が形成されるようにダイの前面を接着剤層に接着させることにより、ベース積層再配線層に対して1つ以上のダイが固着される。次に、ベース積層再配線層及び後にチップパッケージのビルドアップ中に追加される追加積層再配線層を介して金属配線部が形成され且つ引き回される。
【0004】
しかし、このようにしてベース再配線層にダイを接着させる方法には、製造工程並びに製造後のチップパッケージの構造及び機能性に関して固有の制限がある。すなわち、用途によっては、チップパッケージのビルドアップ処理中に起こりうる汚染からダイの活性面を保護することが望ましい。例えば、ウルトラカメラ又はそれに類似する感知装置のような撮影装置にチップパッケージが適用される場合、ビルドアップ処理中にイメージャ領域(すなわちダイ)の汚染を防止することが望ましい。このような用途では、チップパッケージのビルドアップ終了後、イメージャ領域/ダイは露出されたままであるので、ビルドアップ処理中にダイの全面にわたってダイの活性面と接着剤層との間に接合を形成するのは望ましくない。このようなビルドアップ方法を採用した場合、後に撮像領域から接着剤を除去することが必要になり、撮像領域に汚染物質が侵入するおそれがあるので、ウルトラカメラ/感知装置の性能に悪影響が生じるだろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6933813号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、ビルドアップ処理中にダイを汚染から保護するチップパッケージ製造方法が必要とされる。さらに、組み立て処理に容易に組み込むことができ、レーザードリリングに適合し、スケーラブル且つ組み立てに要する費用が安価な製造方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、ダイを覆うように配置され且つエアポケットによりダイから分離される除去可能なシールド要素を使用してチップパッケージを製造するチップ製造方法を提供することにより上記の欠点を克服する。シールド要素はビルドアップ処理中にダイの汚染を防止し、ビルドアップ処理終了後、ダイの清浄な前面を露出させるためにダイからシールド要素を除去できる。
【0008】
本発明の1つの態様によれば、チップパッケージは、中央領域に開口部が形成されているベース再配線層と、ベース再配線層の一方の面に塗布され且つ接着材料が塗布されていない窓部が形成された接着剤層と、接着剤層を介してベース再配線層に固着された前面を有するダイとを含み、ダイの前面の周囲部のみが接着剤層と接触するように、ダイは接着剤層に形成された窓部と位置合わせされる。チップパッケージは、ベース再配線層をダイに電気接続するためにベース再配線層に形成された複数のビア及び複数の金属配線部と、ベース再配線層と接着剤層との間に配置されたシールド要素とをさらに含み、シールド要素の周囲部のみが接着剤層に装着されるように、シールド要素はベース再配線層に形成された開口部及び接着剤層の窓部とほぼ位置合わせされ、シールド要素はエアギャップによりダイから分離される。シールド要素は、ダイの前面を露出させるように接着剤層から選択的に除去できるように構成される。
【0009】
本発明の別の態様によれば、チップパッケージを形成する方法は、初期ポリマー積層構造を提供することと、初期ポリマー積層構造の一方の面の一部分のみを覆うように初期ポリマー積層構造のその面に金属シールド要素を堆積させることと、金属シールド要素を覆うように初期ポリマー積層構造に接着剤層を塗布することとを含み、金属シールド要素の表面積とほぼ等しい面積を有し且つ金属シールド要素と位置合わせが行われた窓部を接着剤層に形成するために接着剤層の一部分が除去される。方法は、接着剤層を介して初期ポリマー積層構造にダイを接着させることをさらに含み、ダイの周囲部が接着剤層と接触し且つダイの中央部分とシールド要素との間にエアポケットが形成されるように、ダイは窓部を覆うように位置決めされる。方法は、初期ポリマー積層構造をダイに電気接続するために複数のビア及び複数の金属配線部を含むように初期ポリマー積層構造をパターニングすることと、接着剤層の窓部に対応する初期ポリマー積層構造の部分を規定することと、ダイの前面を露出させるように、初期ポリマー積層構造のその部分及び金属シールド要素を接着剤層から除去することとをさらに含む。
【0010】
本発明のさらに別の態様によれば、チップモジュールを製造する方法は、ベース再配線層を提供することと、ベース再配線層の一方の面の一部分を覆うようにベース再配線層のその面にシールド要素を堆積させることと、シールド要素を覆うようにベース再配線層に接着剤層を塗布することと、少なくともシールド要素の大部分を露出させるようにシールド要素に隣接する領域で接着剤層の一部分をアブレーションによって除去することと、ダイがシールド要素と位置合わせが行われるようにダイの前面を接着剤層に接着させることとを含み、ダイの周囲部は接着剤層と接触し且つダイとシールド要素との間に形成されるエアギャップによってダイの中央部分はシールド要素から分離される。方法は、ベース再配線層をダイに電気接続するために複数のビア及び複数の金属配線部を形成する後続のベース再配線層のパターニング中にシールド要素を所定の場所に維持することと、シールド要素に隣接するベース再配線層の部分に対してアブレーションを実行することと、ダイの前面を露出させるようにシールド要素及びベース再配線層のその部分を除去することとをさらに含む。
【0011】
上記の利点及び特徴並びに他の利点及び特徴は、添付の図面と関連させた以下の本発明の好適な実施形態の詳細な説明からさらに容易に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図面は、本発明を実施するために現在考えられている実施形態を示す。
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る複数の埋め込みチップパッケージを示す平面図である。
【図2】図2は本発明の一実施形態に係る製造/ビルドアップ処理の種々の段階における埋め込みチップパッケージを示す平面図である。
【図3】図3は本発明の一実施形態に係る製造/ビルドアップ処理の種々の段階における埋め込みチップパッケージを示す横断面側面図である。
【図4】図4は本発明の一実施形態に係る製造/ビルドアップ処理の種々の段階における埋め込みチップパッケージを示す横断面側面図及び平面図である。
【図5】図5は本発明の一実施形態に係る製造/ビルドアップ処理の種々の段階における埋め込みチップパッケージを示す横断面側面図である。
【図6】図6は本発明の一実施形態に係る製造/ビルドアップ処理の種々の段階における埋め込みチップパッケージを示す横断面側面図及び平面図である。
【図7】図7は本発明の一実施形態に係る製造/ビルドアップ処理の種々の段階における埋め込みチップパッケージを示す横断面側面図及び平面図である。
【図8】図8は本発明の一実施形態に係る製造/ビルドアップ処理の種々の段階における埋め込みチップパッケージを示す横断面側面図である。
【図9】図9は本発明の一実施形態に係る製造/ビルドアップ処理の種々の段階における埋め込みチップパッケージを示す横断面側面図である。
【図10】図10は本発明の一実施形態に係る製造/ビルドアップ処理の種々の段階における埋め込みチップパッケージを示す横断面側面図である。
【図11】図11は本発明の一実施形態に係る製造/ビルドアップ処理の種々の段階における埋め込みチップパッケージを示す横断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態は、チップパッケージを形成する方法を提供する。チップパッケージの積層再配線層のビルドアップ中及びパターニング中にダイの表面を保護するために、チップパッケージはシールド要素又は保護層を使用して製造される。
【0014】
図1を参照すると、製造後の複数のチップパッケージ10又はチップモジュールが示される。各チップパッケージ10は、複数の再配線層14(すなわち積層構造)と接続されたダイ12を含む。各ダイ12は、単結晶シリコンインゴット又は多結晶シリコンインゴットから形成され且つ表面上に集積回路(IC)レイアウトが形成されるように準備される。本発明の一実施形態では、ダイ12は、ウルトラカメラ、携帯電話カメラ又はそれに類似する感知装置などの撮影装置において使用されるように構成される。従って、ダイ12は、画像感知のための撮像領域を形成する「カメラダイ」として構成される。チップパッケージ10の複数の再配線層14に関して説明すると、各再配線層14は、ダイ12に対して位置決め可能なプレフォーム積層シート又は積層膜の形態である。再配線層14は、Kapton(登録商標)、Ultem(登録商標)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、あるいは液晶ポリマー(LCP)などの別のポリマー膜又は他のポリイミド材料から形成されてもよい。図1に示されるように、隣接するチップパッケージ10の間の領域で再配線層14を貫通してダイシングを実行することにより、各チップパッケージ10は形成される。
【0015】
図2〜図9を参照して、本発明の一実施形態に係る複数のチップパッケージ10を製造する技術(すなわちチップビルドアップ)のステップを説明する。図2〜図9には、ビルドアップ処理の種々の段階におけるチップパッケージ10の側面横断面図及び平面図が示される。図2を参照すると、初期再配線層又はベース再配線層16のフレームが完全に形成されており、それを基礎としてさらに製造ステップを実行できるように、初期再配線層16はフレーム18に実装される。前述のように、初期再配線層16は、Kapton(登録商標)、Ultem(登録商標)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)その他のポリマー/ポリイミド膜などの可撓性ポリマー積層構造の形態であり且つそこから複数のチップパッケージ10を製造できるような大きさである。
【0016】
1つのチップパッケージ10のビルドアップを例示するように、初期再配線層16の完全フレームの一部、並びにそれに追加される追加層及び要素が図3〜図9に示される。図3に示されるように、初期再配線層16が提供される。ビルドアップ処理によれば、図4A及び図4Bに示されるように、次に初期再配線層16の一方の面に金属層18が堆積される。この金属層18は、その後に塗布される接着剤と適切に接合する材料(例えばTi/Cu/Ti、クロムなど)から形成される。金属層18は初期再配線層16上にスパッタリングにより形成されてもよいが、電気めっきなどの他の任意の適切な方法により追加されてもよい。一実施形態では、以下に詳細に説明されるように後にチップパッケージ10に追加されるダイ12(図1)の面積とほぼ等しい面積を有する保護シールド要素20が形成されるように、金属層18はパターニングされる。あるいは、ダイ12(図1)の面積よりかなり小さい面積を有するように保護シールド要素20が形成されてもよいことは認められる。さらに図4A及び図4Bに示されるように、シールド要素20から後に追加されるダイ12(図1)の領域を超えて延在するベントベース21を形成するように、金属層18はさらにパターニングされる。一実施形態では、初期再配線層16上に複数のベース金属配線部22を形成するように金属層18はさらにパターニングされてもよい。
【0017】
次に図5を参照すると、チップパッケージ10のビルドアップ処理の次のステップにおいて、金属層18を覆うように初期再配線層16に接着剤層24が塗布される。接着剤層24は、アブレーションにより除去可能なエポキシをスピンコーティングで塗布することによって初期再配線層16に塗布されてもよいが、初期再配線層16上に塗布される接着剤膜の形態であってもよい。接着剤層24は部分的に硬化又は焼成される。部分硬化後、図6A及び図6Bに示されるような窓部26を形成するように、紫外線(UV)レーザーなどの方法によって接着剤層24に対してアブレーションが実行される。さらに詳細には、シールド要素20を露出させる窓部26を形成するように、先にシールド要素20に塗布されていた接着剤層24はレーザーアブレーションによって除去される。さらに、ダイ領域の外側に小さなベント28(すなわち窓部26から外へ延在するベント)をさらに形成するように、ベントベース21に塗布されていた接着剤層24はレーザーアブレーションによって除去される。窓部26及びベント28を形成するための接着剤層24のレーザーアブレーション中、シールド要素20及びベントベース21は、レーザーが初期再配線層16まで透過するのを防止する「背面ストッパ」として作用することが認められる。
【0018】
チップパッケージ10をビルドアップするための製造方法の別の実施形態において、予め窓部が切り取られている積層膜を初期再配線層16に接着させてもよいことは認められる。すなわち、図5及び図6A/図6Bに示されるようにスピンコーティングによって連続する接着剤層24を塗布し、その後に窓部26を形成するためにレーザーアブレーションにより接着剤層24を除去するのではなく、予め窓部が形成されている接着剤膜を初期再配線層16に接着させてもよい。従って、接着剤層のレーザーアブレーションは不要である。
【0019】
接着剤層24のレーザーアブレーションの終了後、除去された領域(すなわち、窓部26)を取り囲む接着剤層24の部分30はUV光に暴露される。UV光に暴露することにより部分30の一部は硬化するので、アブレーション後の窓部26の中に接着剤層24が侵入する事態は防止される。
【0020】
次に図7A及び図7Bを参照すると、チップパッケージ10のビルドアップの続くステップにおいて、接着剤層24を介して初期再配線層16上にダイ12(すなわち、IC)が位置合わせされ且つ配置される。ダイ12は窓部26の中心と位置合わせされ且つダイ12は接着剤層24に押し付けられる。この時点で、ダイ12を初期再配線層16に固着するために、真空ラミネーション及び圧力焼成硬化処理などによって接着剤層24は完全に硬化される。図7A及び図7Bに示されるように、ダイ12の大きさは、ダイ12がシールド要素20を超えて延在するように規定される。従って、ダイ12の周囲に沿って形成されたダイパッド32への電気的接続を後のステップで可能にするために、ダイパッド32はシールド要素20により覆われているダイ12の領域の外側に位置決めされるという利点が得られる。さらにダイ12は、シールド要素20を超えて延在しているので、接着剤層24の上に載っており、ダイ12とシールド要素20との間にエアポケット36を形成する。このエアギャップ36は、シールド要素20と関連して、ダイ12の上面への汚染物質の付着を防止するように作用する。先に図5に関して説明したように、アブレーションによって接着剤層24にベントポート28が形成されており、ベントポート28は、エアポケット36からダイ12により覆われている領域の外側にあるチップパッケージ10の領域まで外側へ延在する。このような構造を採用しない場合、チップパッケージ10のビルドアップ処理と関連する温度サイクルの間にエアポケット36の内部圧力が上昇することもあると考えられるが、ベントポート28はエアギャップ36とダイ12により覆われている領域の外側の周囲環境とを流体連通させるので、エアギャップ36内部の圧力を制御可能である。
【0021】
次に図8を参照すると、初期再配線層16にダイ12が固着された後、複数のビア38が形成されるように初期再配線層16はパターニングされる。ビア38は、初期再配線層16を形成するポリマー材料を貫通して形成される。例示的な一実施形態では、ビア38はレーザーアブレーション処理又はレーザードリリング処理によって形成され且つベース金属配線部22及びダイパッド32を露出させるようにベース金属配線部22及びダイパッド32に対応する位置に形成される。あるいは、プラズマエッチング、フォトデフィニション又は機械的穴あけ処理を含む他の方法によってビア38が形成されてもよいことはさらに認められる。
【0022】
さらに図8に示されるように、金属配線部40を形成するために、初期再配線層16のパターニングは、例えばスパッタリング処理又は電気めっき処理を実行することによって再配線層16に金属層/材料(例えばシードメタル及び/又は銅)を塗布することと、それに続いて堆積した金属層/材料をパターニング/エッチングすることとを含む。本発明の一実施形態では、初期再配線層16の上面からビア38を通って延在する金属配線部40が形成されるように金属層/材料はパターニングされ且つエッチングされる。従って、金属配線部40はベース金属配線部22及びダイパッド32との間に電気接続を形成する。
【0023】
次に図9を参照して説明する。製造技術の次のステップにおいて、ダイ12が塗布された面とは反対の側のチップパッケージ10の初期再配線層16の面に1つ以上の追加再配線層42が積層される。追加再配線層42は一連の積層ステップ及びパターニングステップによって初期再配線層16に塗布される。初期再配線層16とそれに塗布された追加再配線層42との間に接着剤層44が塗布される。追加再配線層42に複数のビア38が形成され、且つ各追加再配線層42を電気接続するためにビア38及び追加再配線層42を貫通するように金属配線部40は形成/パターニングされる。チップパッケージ10を形成するために1つの追加再配線層42のみが初期再配線層16に塗布されるものとして示されているが、所望の構成に基づいて2つ以上の再配線層が塗布されてもよいだろうということは認められる。図9に示されるように、ビルドアップ処理の後続するステップにおいて、最も外側に位置する追加再配線層42を保護するために、その追加再配線層42にはんだマスク46を塗布し、続いてパターニングすることができる。また、受動デバイス(図示せず)などの追加素子をチップパッケージ10に追加してもよいと考えられ、そのような受動素子の実装中にダイ12が保護されるように、受動素子の実装は保護シールド要素20が所定の場所にある間に実行される。
【0024】
チップ製造方法の次のステップにおいて、図10に示されるように、初期再配線層16、追加再配線層42及び接着剤層44の一部を規定するか又は切り離すように、保護シールド要素20の周囲に対応する経路48に沿って初期再配線層16、追加再配線層42及び接着剤層44はレーザーアブレーションによって除去される。レーザーアブレーションは、初期再配線層16、追加再配線層42及び接着剤層44を貫通して保護シールド要素20に到達するまで実行され、レーザーは保護シールド要素20により阻止される。アブレーション終了後、レーザーアブレーションが周囲で実行された後に残っている保護シールド要素20の上方の初期再配線層16、追加再配線層42及び接着剤層44の部分50は、保護シールド要素20と共にチップパッケージ10から除去される。すなわち、保護シールド要素20は初期再配線層16に固着しており、接着剤層44から容易に剥離するので、1回の除去ステップで保護シールド要素20を部分50と共にチップパッケージ10から除去できる。本発明の実施形態では、真空ピックアップ又は水洗浄などのいくつかの技術のうち1つを使用して部分50及び保護シールド要素20を除去できる。
【0025】
図11に示されるように、部分50及び保護シールド要素20を除去することにより、完成したチップパッケージ10からダイ12の前面52(すなわちダイの正面)が露出する。ビルドアップ処理の継続中、ダイ前面52の上方に保護シールド要素20が(エアポケット36により分離された状態で)存在しているため、ダイ前面52に汚染物質が付着しないという利点が得られる。
【0026】
図2〜図9に示される技術に従ったチップパッケージ10の構成は、ビルドアップ処理中にダイ12の汚染を防止するようなチップパッケージビルドアップを可能にするという利点を有する。さらに、このビルドアップ技術は薄型のチップパッケージ10の製造を可能にし、チップパッケージの厚さはダイ12及び再配線層16、42に必要とされる最小限の厚さのみに限定される。そのような薄型チップパッケージ10は、ウルトラカメラ、携帯電話カメラ又はそれに類似する感知装置などの撮影装置で使用するのに適するように構成されてもよく、ビルドアップ処理はチップパッケージ10へのカメラレンズ(図示せず)の直接取り付けを可能にする。しかし、マイクロ波装置などの他の種類の装置又は先に説明した製造技術を採用すると有利だろうと考えられる他の装置において使用するように薄型チップパッケージ10を構成してもよい。
【0027】
限られた数の実施形態のみに関連して本発明を詳細に説明したが、開示された実施形態に本発明が限定されないことは容易に理解されるべきである。説明はされていないが、本発明の趣旨及び範囲に適合する任意の数の変形、変更、置き換え又は同等の構成を含むように本発明を変形することは可能である。さらに、本発明の種々の実施形態が説明されたが、説明された実施形態のうちいくつかの実施形態のみを本発明の態様が含んでもよいことは理解されるべきである。従って、本発明は以上の説明により限定されるとみなされてはならず、添付の特許請求の範囲の範囲によってのみ限定される。
【0028】
従って、本発明の一実施形態では、チップパッケージは、中央領域に開口部が形成されているベース再配線層と、ベース再配線層の一方の面に塗布され且つ接着材料が塗布されていない窓部が形成された接着剤層と、接着剤層を介してベース再配線層に固着された前面を有するダイとを含み、ダイの前面の周囲部のみが接着剤層と接触するように、ダイは接着剤層に形成された窓部と位置合わせされる。チップパッケージは、ベース再配線層をダイに電気接続するためにベース再配線層に形成された複数のビア及び複数の金属配線部と、ベース再配線層と接着剤層との間に配置されたシールド要素とをさらに含み、シールド要素の周囲部のみが接着剤層に装着されるように、シールド要素はベース再配線層に形成された開口部及び接着剤層の窓部とほぼ位置合わせされ、シールド要素はエアギャップによりダイから分離される。シールド要素は、ダイの前面を露出させるように接着剤層から選択的に除去できるように構成される。
【0029】
本発明の別の実施形態では、チップパッケージを形成する方法は、初期ポリマー積層構造を提供することと、初期ポリマー積層構造の一方の面の一部分のみを覆うように初期ポリマー積層構造のその面に金属シールド要素を堆積させることと、金属シールド要素を覆うように初期ポリマー積層構造に接着剤層を塗布することとを含み、金属シールド要素の表面積とほぼ等しい面積を有し且つ金属シールド要素と位置合わせが行われた窓部を接着剤層に形成するために接着剤層の一部分が除去される。方法は、接着剤層を介して初期ポリマー積層構造にダイを接着させることをさらに含み、ダイの周囲部が接着剤層と接触し且つダイの中央部分とシールド要素との間にエアポケットが形成されるように、ダイは窓部を覆うように位置決めされる。方法は、初期ポリマー積層構造をダイに電気接続するために複数のビア及び複数の金属配線部を含むように初期ポリマー積層構造をパターニングすることと、接着剤層の窓部に対応する初期ポリマー積層構造の部分を規定することと、ダイの前面を露出させるように、初期ポリマー積層構造のその部分及び金属シールド要素を接着剤層から除去することとをさらに含む。
【0030】
本発明のさらに別の実施形態では、チップモジュールを製造する方法は、ベース再配線層を提供することと、ベース再配線層の一方の面の一部分を覆うようにベース再配線層のその面にシールド要素を堆積させることと、シールド要素を覆うようにベース再配線層に接着剤層を塗布することと、少なくともシールド要素の大部分を露出させるようにシールド要素に隣接する領域で接着剤層の一部分をアブレーションによって除去することと、ダイがシールド要素と位置合わせが行われるようにダイの前面を接着剤層に接着させることとを含み、ダイの周囲部は接着剤層と接触し且つダイとシールド要素との間に形成されるエアギャップによってダイの中央部分はシールド要素から分離される。方法は、ベース再配線層をダイに電気接続するために複数のビア及び複数の金属配線部を形成する後続のベース再配線層のパターニング中にシールド要素を所定の場所に維持することと、シールド要素に隣接するベース再配線層の部分に対してアブレーションを実行することと、ダイの前面を露出させるようにシールド要素及びベース再配線層のその部分を除去することとをさらに含む。
【符号の説明】
【0031】
10 チップパッケージ
12 ダイ
14 再配線層
16 ベース(初期)再配線層
18 金属層
20 保護シールド要素
21 ベントベース
22 ベース金属配線部
24 接着剤層
26 窓部
28 ベントポート
30 接着剤層の一部分
32 ダイパッド
36 エアギャップ
38 ビア
40 金属配線部
42 追加再配線層
44 接着剤層
46 はんだマスク
48 経路
50 接着剤層の一部分
52 ダイ前面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央領域に開口部が形成されているベース再配線層(16)と、
前記ベース再配線層(16)の一方の面に塗布され且つ接着材料が塗布されていない窓部(26)が形成された接着剤層(24)と、
前記接着剤層(24)を介して前記ベース再配線層(16)に固着された前面(52)を有し、且つ前記前面(52)の周囲部のみが前記接着剤層(24)と接触するように前記接着剤層(24)に形成された前記窓部(26)と位置合わせが行われたダイ(12)と、
前記ベース再配線層(16)を前記ダイ(12)に電気接続するために前記ベース再配線層(16)に形成された複数のビア(38)及び複数の金属配線部(40)と、
前記ベース再配線層(16)と前記接着剤層(24)との間に配置され、周囲部のみが前記接着剤層(24)に装着されるように前記ベース再配線層(16)に形成された前記開口部及び前記接着剤層(24)の前記窓部(26)とほぼ位置合わせされ、且つエアギャップ(36)により前記ダイ(12)から分離されるシールド要素(20)と
を備えるチップパッケージ(10)であって、前記シールド要素(20)は、前記ダイ(12)の前記前面(52)を露出させるように前記接着剤層(24)から選択的に除去できるように構成される、チップパッケージ(10)。
【請求項2】
前記接着剤層(24)に形成されたベントポート(28)をさらに備えていて、前記ベントポート(28)は前記エアギャップ(36)から前記ダイ(12)の前記周囲部を超えて延在する、請求項1記載のチップパッケージ(10)。
【請求項3】
前記ベントポート(28)が、前記エアギャップ(36)を周囲環境と流体連通させるように構成される、請求項2記載のチップパッケージ(10)。
【請求項4】
前記ベントポート(28)の形成を可能にするために前記ベントポート(28)の下方に配置された金属ベントベース(21)をさらに備える、請求項2記載のチップパッケージ(10)。
【請求項5】
前記ベース再配線層(16)の前記ダイ(12)とは反対側の面に接着された少なくとも1つの追加再配線層(42)と、前記追加再配線層(42)の各々に形成された複数のビア(38)及び複数の金属配線部(40)とをさらに備える、請求項1記載のチップパッケージ(10)。
【請求項6】
一番上の追加再配線層(42)の上に配置されたはんだマスク(46)をさらに備える、請求項5記載のチップパッケージ(10)。
【請求項7】
前記シールド要素(20)はパターニングされた金属シールドを備える、請求項1記載のチップパッケージ(10)。
【請求項8】
前記ダイ(12)が、画像感知領域を形成するように構成されたカメラダイである、請求項1記載のチップパッケージ(10)。
【請求項9】
前記シールド要素(20)が前記ダイ(12)の面積より狭い面積を有する、請求項1記載のチップパッケージ(10)。
【請求項10】
前記ダイ(12)が、前記ダイ(12)の周囲に沿って形成された複数のダイパッド(32)をさらに備えていて、前記複数のダイパッド(32)は、前記シールド要素(20)により被覆されている前記ダイ(12)の領域の外側に配置される、請求項9記載のチップパッケージ(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−69918(P2012−69918A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−158524(P2011−158524)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】