チョッパ型コンパレータ
【課題】動作時の貫通電流を低減させ、かつ動作スピードをあまり損なわないチョッパ型コンパレータを得る。
【解決手段】インバータと接地電圧端子間にNチャネル型MOSトランジスタ8を接続し、そのゲート端子に可変電圧源9を接続する。インバータと電源電圧端子間にPチャネル型MOSトランジスタ7を接続し、そのゲート端子に可変電圧源10を接続する。
【解決手段】インバータと接地電圧端子間にNチャネル型MOSトランジスタ8を接続し、そのゲート端子に可変電圧源9を接続する。インバータと電源電圧端子間にPチャネル型MOSトランジスタ7を接続し、そのゲート端子に可変電圧源10を接続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、集積化されたICに使用され、相補型MOSトランジスタ(以下、CMOSという)構成のインバータを用いたチョッパ型コンパレータに関し、特に、スタンバイモード時の低消費電力化と、判定動作スピードの高速化を共に実現するチョッパ型コンパレータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、CMOSトランジスタ構成のインバータを用いたチョッパ型コンパレータが用いられている。図10は従来のチョッパ型コンパレータの回路図である。このチョッパ型コンパレータは、Pチャネル型MOSトランジスタ1、Nチャネル型MOSトランジスタ2からなるCMOSトランジスタ構成のインバータと、入出力を短絡する短絡スイッチ4と、入力端子5とインバータ入力間に接続された入力スイッチ3と出力端子6とからなる。
【0003】
このチョッパ型コンパレータの入出力特性を表すグラフを図11に示す。チョッパ型コンパレータは、入力端子5から入力される電圧VINと、チョッパ型コンパレータの持つ閾値電圧Vmとの比較を行うためにまず初期化を行う。短絡スイッチ4をオンし、入力スイッチ3をオフすることにより、チョッパ型コンパレータの入力と出力が短絡されるため、入力電圧・出力電圧が等しくなるVmで安定する。続いて、短絡スイッチ4をオフし、入力スイッチ3をオンすることで動作モードに移行する。動作モード時には、入力電圧VINとVmの比較動作を行う。VINがVmより高い場合、接地電圧端子を出力し、VINがVmより低い場合、電源電圧を出力する。このように,インバータの持つVmと入力電圧VINとの比較動作を行うことができる。また、例えば、特許文献1に記載されているように、直列に電流遮断スイッチを設け、比較動作を行わないスタンバイモード時に電流を遮断するようにしたものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−85013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のチョッパ型コンパレータは、初期化を行うと図11に示すようにその入力電圧と出力電圧とが等しくなるところで安定するため、貫通電流Iが流れる。比較時動作において、入力がなく、入力電圧VINが変化しない場合、貫通電流が流れ続ける。これにより、動作モード時に消費電力の低減を図ろうとしても阻害されるという問題があった。一方、特許文献1に記載されているように、直列に電流遮断スイッチを設け、比較動作を行わないスタンバイモード時に電流を遮断することで、スタンバイモードの電流を低減することが可能となる。しかしながら、このような方法でも、動作モード時の貫通電流を低減できるものではないため、動作モードの時間が長い場合、低消費電力化を図ることは難しいという問題があった。
【0006】
本発明は,以上のような問題を解決するためになされたもので、動作時の貫通電流を低減させ、かつ動作スピードをさほど損なわないチョッパ型コンパレータを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るチョッパ型コンパレータは、電源電圧端子と接地電圧端子との間に直列接続されたPチャネル型MOSトランジスタとNチャネル型MOSトランジスタからなる相補型MOSトランジスタ構成のインバータ、インバータの入出力間を短絡するための短絡スイッチ、入力端子とインバータ間に設けられた入力スイッチを備えたチョッパ型コンパレータにおいて、インバータと接地電圧端子間にNチャネル型MOSトランジスタを接続するか、またはインバータと電源電圧端子間にPチャネル型MOSトランジスタを接続し、かつ、Nチャネル型MOSトランジスタまたはPチャネル型MOSトランジスタのゲート端子に可変電圧源を接続したものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明のチョッパ型コンパレータは、インバータと接地電圧端子間にNチャネル型MOSトランジスタを接続するか、またはインバータと電源電圧端子間にPチャネル型MOSトランジスタを接続し、Nチャネル型MOSトランジスタまたはPチャネル型MOSトランジスタのゲート端子に可変電圧源を接続したので、動作時の貫通電流を低減させることができると共に、動作スピードをさほど損なわないチョッパ型コンパレータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1によるチョッパ型コンパレータを示す回路図である。
【図2】この発明の実施の形態1によるチョッパ型コンパレータにおける入出力特性と定常電流特性を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態2によるチョッパ型コンパレータの回路図である。
【図4】この発明の実施の形態3によるチョッパ型コンパレータの回路図である。
【図5】この発明の実施の形態3によるチョッパ型コンパレータの他の例の回路図である。
【図6】この発明の実施の形態4によるチョッパ型コンパレータの回路図である。
【図7】この発明の実施の形態4によるチョッパ型コンパレータにおける入出力特性と定常電流特性を示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態5によるチョッパ型コンパレータの回路図である。
【図9】この発明の実施の形態5によるチョッパ型コンパレータの他の例の回路図である。
【図10】従来のチョッパ型コンパレータの回路図である。
【図11】従来のチョッパ型コンパレータの入出力特性を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるチョッパ型コンパレータを示す回路図である。
図1に示すチョッパ型コンパレータは、図10に示したチョッパ型コンパレータに、Pチャネル型MOSトランジスタ7と、Nチャネル型MOSトランジスタ8と、可変電圧源9、10を追加したものである。Pチャネル型MOSトランジスタ1〜出力端子6については、図10と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0011】
Pチャネル型MOSトランジスタ7は、Pチャネル型MOSトランジスタ1と電源電圧端子間に設置され、Nチャネル型MOSトランジスタ8は、Nチャネル型MOSトランジスタ2と接地電圧端子間に設置される。Pチャネル型MOSトランジスタ7のゲート端子には、可変電圧源(第2の可変電圧源)10が接続され、Nチャネル型MOSトランジスタ8のゲート端子には可変電圧源(第1の可変電圧源)9が接続される。
【0012】
次に、図1に示すチョッパ型コンパレータの動作について説明する。本コンパレータは、Pチャネル型MOSトランジスタ7と可変電圧源10、およびNチャネル型MOSトランジスタ8と可変電圧源9によって、入出力特性と貫通電流値を制御する。可変電圧源9、10の出力電圧は共にVbとする。また、Vbは、MOSトランジスタ7、8が共にId=β(Vb−Vth)2/2の式を満たす飽和動作を行う範囲で制御するものとする。ここで、βはMOSトランジスタサイズで決まる比例乗数、VthはMOSトランジスタの閾値電圧。Idはドレイン電流である。
【0013】
説明を簡単にするため、VbはVHIGHとVMEDIUM、VLOWの3つの電圧で制御するものとする。なお、VHIGH>VMEDIUM>VLOWである。よって、それぞれに設定した時のコンパレータの貫通電流は、Id_HIGH>Id_MEDIUM>Id_LOWとなる。図2に、図1に示すチョッパ型コンパレータの入出力特性と定常電流特性を示す。本コンパレータはVbの設定電圧によって、入力電圧VINに対する出力電圧VOUTの特性が変化する。これは設定電圧によってコンパレータの利得が変化すること意味し、コンパレータの比較速度が変化することを意味する。Vbを高く設定することで、コンパレータの比較スピードが上がり、貫通電流Iが大きくなる。また、Vbを低くすることで、コンパレータの比較スピードが下がるが、貫通電流Iを小さくすることができる。このように、必要となるコンパレータの動作スピードに応じて、Vbを制御することで、コンパレータの貫通電流Iを制御することが可能となる。
【0014】
本実施の形態のように、チョッパ型の動作時の貫通電流を電流制御素子によって制御し、高速動作が必要な場合と、低消費電力動作が必要な場合に応じてVbを制御することで、動作時の貫通電流を低減させ、かつ動作スピードを損なわないチョッパ型コンパレータを提供することが可能となる。
【0015】
以上説明したように、実施の形態1のチョッパ型コンパレータによれば、電源電圧端子と接地電圧端子との間に直列接続されたPチャネル型MOSトランジスタとNチャネル型MOSトランジスタからなる相補型MOSトランジスタ構成のインバータ、インバータの入出力間を短絡するための短絡スイッチ、入力端子とインバータ間に設けられた入力スイッチを備えたチョッパ型コンパレータにおいて、インバータと接地電圧端子間に接続されたNチャネル型MOSトランジスタと、Nチャネル型MOSトランジスタのゲート端子に接続した第1の可変電圧源と、インバータと電源電圧端子間に接続されたPチャネル型MOSトランジスタと、Pチャネル型MOSトランジスタのゲート端子に接続された第2の可変電圧源とを備えたので、動作モードの入力待ち状態において、貫通電流を低減させることができると共に、動作スピードをさほど損なわないチョッパ型コンパレータを得ることができる。
【0016】
実施の形態2.
図3は、この発明に係るチョッパ型コンパレータの実施の形態2を示す回路図である。
実施の形態2のチョッパ型コンパレータは、図1に示すチョッパ型コンパレータにおける入力スイッチ3及び短絡スイッチ4をMOSトランジスタスイッチ3aとMOSトランジスタスイッチ4aに置き換え、インバータ素子11を設けたものである。即ち、MOSトランジスタスイッチ3aのゲート端子にインバータ素子11の入力側を、MOSトランジスタスイッチ4aのゲート端子にインバータ素子11の出力側を接続し、制御信号CNTでこれらMOSトランジスタスイッチ3aとMOSトランジスタスイッチ4aの制御を行うようにしたものである。その他の構成および基本動作は図1に示した実施の形態1のチョッパ型コンパレータと同様である。同一の構成部分については同一の符号を付し重複する説明を省略する。
【0017】
以上説明したように、実施の形態2のチョッパ型コンパレータによれば、実施の形態1のチョッパ型コンパレータにおいて、入力スイッチと短絡スイッチとを、MOSトランジスタスイッチとインバータ素子で構成するようにしたので、入力スイッチと短絡スイッチの制御を容易に行うことができる。
【0018】
実施の形態3.
図4は、この発明に係るチョッパ型コンパレータの実施の形態3を示す回路図である。実施の形態3のチョッパ型コンパレータは、図1に示したチョッパ型コンパレータの、Pチャネル型MOSトランジスタ7と可変電圧源10を削除したものである。即ち、インバータと接地電圧端子間にNチャネル型MOSトランジスタ8を接続し、Nチャネル型MOSトランジスタ8のゲート端子に可変電圧源9を接続したものであり、実施の形態1のチョッパ型コンパレータと同一の構成部分については同一の符号を付し重複する説明を省略する。
【0019】
図4に示すチョッパ型コンパレータの場合、比較動作が立ち上がり動作のみで良い場合、比較スピードは維持したまま、貫通電流Iのみを削減することが可能となる。図4に示すチョッパ型コンパレータの場合、電源電圧端子からVOUTへの電流経路は制限されていない。よって、VINがVmより低い電圧が入力され、VOUT電圧が上昇する場合、電流経路が制限していないため、比較スピードは図10に示すチョッパ型コンパレータと同等となる。一方、Nチャネル型MOSトランジスタ8で接地電圧端子への電流経路を制限しているため、貫通電流Iは削減することが可能となる。
【0020】
図5に示すチョッパ型コンパレータは、図1に示したチョッパ型コンパレータの、Nチャネル型MOSトランジスタ8と可変電圧源9を削除し、Pチャネル型MOSトランジスタ7と可変電圧源10のみとしたものである。この場合、VOUTから接地電圧端子への電流経路は制限されていない。よって、VINがVmより高い電圧が入力され、VOUT電圧が減少する場合、電流経路が制限していないため、比較スピードは図10に示すチョッパ型コンパレータと同等となる。一方、Pチャネル型MOSトランジスタ7で電源電圧端子への電流経路を制限しているため、貫通電流Iを削減することが可能となる。
【0021】
以上説明したように、実施の形態3のチョッパ型コンパレータによれば、電源電圧端子と接地電圧端子との間に直列接続されたPチャネル型MOSトランジスタとNチャネル型MOSトランジスタからなる相補型MOSトランジスタ構成のインバータ、インバータの入出力間を短絡するための短絡スイッチ、入力端子とインバータ間に設けられた入力スイッチを備えたチョッパ型コンパレータにおいて、インバータと接地電圧端子間にNチャネル型MOSトランジスタを接続するか、またはインバータと電源電圧端子間にPチャネル型MOSトランジスタを接続し、かつ、Nチャネル型MOSトランジスタまたはPチャネル型MOSトランジスタのゲート端子に可変電圧源を接続したので、動作時の貫通電流を低減させることができると共に、動作スピードをさほど損なわないチョッパ型コンパレータを得ることができる。
【0022】
実施の形態4.
図6は、この発明に係るチョッパ型コンパレータの実施の形態4を示す回路図である。実施の形態4のチョッパ型コンパレータは、図10に示したチョッパ型コンパレータに、Pチャネル型MOSトランジスタ7とNチャネル型MOSトランジスタ8及び反転増幅器12を追加したものである。即ち、Pチャネル型MOSトランジスタ7をPチャネル型MOSトランジスタ1と電源電圧端子間に、また、Nチャネル型MOSトランジスタ8をNチャネル型MOSトランジスタ2と接地電圧端子間にそれぞれ挿入し、Pチャネル型MOSトランジスタ7及びNチャネル型MOSトランジスタ8のゲート端子には、出力電圧VOUTを反転増幅器12を介して接続するようにしたものである。入力スイッチ3や短絡スイッチ4、入力端子5及び出力端子6の構成は実施の形態1と同様である。
【0023】
次に、図6に示すチョッパ型コンパレータの動作について説明する。図7に、図6に示すチョッパ型コンパレータの入出力特性と定常電流特性を示す。Pチャネル型MOSトランジスタ7は、Pチャネル型MOSトランジスタ1と比較し、入力電圧Vmの時のドレイン電流が小さくなるものとする。同様に、Nチャネル型MOSトランジスタ8は、Nチャネル型MOSトランジスタ2と比較し、入力電圧Vmの時の出力電流が小さくなるものとする。このチョッパ型コンパレータにおいて、初期化を行うと入力電圧・出力電圧が等しくなるVmで安定する。このとき、Pチャネル型MOSトランジスタ7と、Nチャネル型MOSトランジスタ8によって、貫通電流I′が制限されるため、従来のチョッパ型コンパレータと比較して、動作モード時の消費電流を低減することが可能となる。初期化後に、入力スイッチ3をオンし、短絡スイッチ4をオフすることで、本コンパレータは動作を開始する。
【0024】
次に、入力電圧VINがVmより大きい電圧が入力された場合を考える。VINはVmより大きいため、Pチャネル型MOSトランジスタ1は、ドレイン電流を遮断する方向に動作する。また、Nチャネル型MOSトランジスタ2はドレイン電流を増加する方向に動作する。よって、VOUTはVmから時間の経過と共に電圧が下がる。一方、VOUTが低下するため、反転増幅器12の出力は増加する。よって、Nチャネル型MOSトランジスタ8はドレイン電流を増加させる方向に動作する。また、Pチャネル型MOSトランジスタ7はドレイン電流を遮断する方向に動作する。Pチャネル型MOSトランジスタ7が電流を制限しているため、Nチャネル型MOSトランジスタ8はドレイン電流を増加させる方向に動作することで、VOUT端子から接地電圧端子へ流れる電流は増加する。本動作により、電流制限を行っていた場合よりも高速にVOUTは接地電圧へと変化する。
【0025】
次に、入力電圧VINがVmより小さい電圧が入力された場合を考える。VINはVmより小さいため、Pチャネル型MOSトランジスタ1は、ドレイン電流を増加させる方向に動作する。また、Nチャネル型MOSトランジスタ2はドレイン電流を遮断する方向に動作する。よって、VOUTはVmから時間の経過と共に電圧が上がる。一方、VOUTが上昇するため、反転増幅器12の出力は低下する。よって、Nチャネル型MOSトランジスタ8はドレイン電流を遮断する方向に動作する。また、Pチャネル型MOSトランジスタ7はドレイン電流を増加させる方向に動作する。Nチャネル型MOSトランジスタ8が充電電流を制限しているため、Pチャネル型MOSトランジスタ7がドレイン電流を増加させる方向に動作することで、電源電圧端子からVOUT端子へ流れる電流は増加する。本動作により、電流制限を行っていた場合よりも高速にVOUTは電源電圧へと変化する。
【0026】
本実施の形態のように、チョッパ型の動作時の貫通電流を電流制御素子によって、制御し、高速動作が必要な場合と、低消費電力動作が必要な場合に応じて制御を行うことで、動作時の貫通電流を低減させ、かつ動作スピードを損なわないチョッパ型コンパレータを提供することが可能となる。
【0027】
以上説明したように、実施の形態4のチョッパ型コンパレータによれば、電源電圧端子と接地電圧端子との間に直列接続されたPチャネル型MOSトランジスタとNチャネル型MOSトランジスタからなる相補型MOSトランジスタ構成のインバータ、インバータの入出力間を短絡するための短絡スイッチ、入力端子とインバータ間に設けられた入力スイッチを備えたチョッパ型コンパレータにおいて、インバータと接地電圧端子間に接続されたNチャネル型MOSトランジスタと、インバータと電源電圧端子間に接続されたPチャネル型MOSトランジスタと、インバータの出力を入力とし、その出力をPチャネル型MOSトランジスタ及びNチャネル型MOSトランジスタのゲート端子に接続した反転増幅器とを備えたので、動作時の貫通電流を低減させ、かつ動作スピードをさほど損なわないチョッパ型コンパレータを得ることができる。
【0028】
実施の形態5.
図8はこの発明に係るチョッパ型コンパレータの実施の形態5を示す回路図である。実施の形態5のチョッパ型コンパレータは、図6に示したチョッパ型コンパレータの、Pチャネル型MOSトランジスタ7の構成を削除したものである。即ち、インバータと接地電圧端子間にNチャネル型MOSトランジスタ8を接続し、Nチャネル型MOSトランジスタ8のゲート端子に、インバータの出力を入力とする反転増幅器12の出力を接続したものである。その他の構成部分および基本動作は図6に示した実施の形態4と同様である。同一の構成部分については同一の符号を付し重複する説明を省略する。
【0029】
比較動作が立ち上がり動作、立下り動作どちらかのみで良い場合、図8に示すようにNチャネル型MOSトランジスタ8のみを使うことで、比較スピードは維持したまま、貫通電流のみを削減することが可能となる。図8の場合、電源電圧端子からVOUTへの電流経路は制限されていない。よって、VINがVmより低い電圧が入力され、VOUT電圧が上昇する場合、電流経路が制限していないため、比較スピードは図10に示すチョッパ型コンパレータと同等となる。一方、Nチャネル型MOSトランジスタ8で接地電圧端子への電流経路を制限しているため、貫通電流I′は削減することが可能となる。
【0030】
図9は、図6に示したチョッパ型コンパレータの、Nチャネル型MOSトランジスタ8の構成を削除したものである。即ち、インバータと電源電圧端子間にPチャネル型MOSトランジスタ7を接続し、Pチャネル型MOSトランジスタ7のゲート端子に、インバータの出力を入力とする反転増幅器12の出力を接続したものである。このような構成の場合、VOUTから接地電圧端子への電流経路は制限されていない。よって、VINがVmより高い電圧が入力され、VOUT電圧が減少する場合、電流経路が制限していないため、比較スピードは図10に示すチョッパ型コンパレータと同等となる。一方、Pチャネル型MOSトランジスタ7で電源電圧端子への電流経路を制限しているため、貫通電流I′は削減することが可能となる。
【0031】
以上説明したように、実施の形態5のチョッパ型コンパレータによれば、電源電圧端子と接地電圧端子との間に直列接続されたPチャネル型MOSトランジスタとNチャネル型MOSトランジスタからなる相補型MOSトランジスタ構成のインバータ、インバータの入出力間を短絡するための短絡スイッチ、入力端子とインバータ間に設けられた入力スイッチを備えたチョッパ型コンパレータにおいて、インバータと接地電圧端子間にNチャネル型MOSトランジスタを接続するか、またはインバータと電源電圧端子間にPチャネル型MOSトランジスタを接続し、かつ、Nチャネル型MOSトランジスタまたはPチャネル型MOSトランジスタのゲート端子にインバータの出力を入力とする反転増幅器の出力を接続したので、動作時の貫通電流を低減させ、かつ動作スピードをさほど損なわないチョッパ型コンパレータを得ることができる。
【0032】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0033】
1,7 Pチャネル型MOSトランジスタ、2,8 Nチャネル型MOSトランジスタ、3 入力スイッチ、4 短絡スイッチ、5 入力端子、6 出力端子、9 可変電圧源(第1の可変電圧源)、10 可変電圧源(第2の可変電圧源)、11 インバータ素子、12 反転増幅器。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、集積化されたICに使用され、相補型MOSトランジスタ(以下、CMOSという)構成のインバータを用いたチョッパ型コンパレータに関し、特に、スタンバイモード時の低消費電力化と、判定動作スピードの高速化を共に実現するチョッパ型コンパレータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、CMOSトランジスタ構成のインバータを用いたチョッパ型コンパレータが用いられている。図10は従来のチョッパ型コンパレータの回路図である。このチョッパ型コンパレータは、Pチャネル型MOSトランジスタ1、Nチャネル型MOSトランジスタ2からなるCMOSトランジスタ構成のインバータと、入出力を短絡する短絡スイッチ4と、入力端子5とインバータ入力間に接続された入力スイッチ3と出力端子6とからなる。
【0003】
このチョッパ型コンパレータの入出力特性を表すグラフを図11に示す。チョッパ型コンパレータは、入力端子5から入力される電圧VINと、チョッパ型コンパレータの持つ閾値電圧Vmとの比較を行うためにまず初期化を行う。短絡スイッチ4をオンし、入力スイッチ3をオフすることにより、チョッパ型コンパレータの入力と出力が短絡されるため、入力電圧・出力電圧が等しくなるVmで安定する。続いて、短絡スイッチ4をオフし、入力スイッチ3をオンすることで動作モードに移行する。動作モード時には、入力電圧VINとVmの比較動作を行う。VINがVmより高い場合、接地電圧端子を出力し、VINがVmより低い場合、電源電圧を出力する。このように,インバータの持つVmと入力電圧VINとの比較動作を行うことができる。また、例えば、特許文献1に記載されているように、直列に電流遮断スイッチを設け、比較動作を行わないスタンバイモード時に電流を遮断するようにしたものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−85013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のチョッパ型コンパレータは、初期化を行うと図11に示すようにその入力電圧と出力電圧とが等しくなるところで安定するため、貫通電流Iが流れる。比較時動作において、入力がなく、入力電圧VINが変化しない場合、貫通電流が流れ続ける。これにより、動作モード時に消費電力の低減を図ろうとしても阻害されるという問題があった。一方、特許文献1に記載されているように、直列に電流遮断スイッチを設け、比較動作を行わないスタンバイモード時に電流を遮断することで、スタンバイモードの電流を低減することが可能となる。しかしながら、このような方法でも、動作モード時の貫通電流を低減できるものではないため、動作モードの時間が長い場合、低消費電力化を図ることは難しいという問題があった。
【0006】
本発明は,以上のような問題を解決するためになされたもので、動作時の貫通電流を低減させ、かつ動作スピードをさほど損なわないチョッパ型コンパレータを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るチョッパ型コンパレータは、電源電圧端子と接地電圧端子との間に直列接続されたPチャネル型MOSトランジスタとNチャネル型MOSトランジスタからなる相補型MOSトランジスタ構成のインバータ、インバータの入出力間を短絡するための短絡スイッチ、入力端子とインバータ間に設けられた入力スイッチを備えたチョッパ型コンパレータにおいて、インバータと接地電圧端子間にNチャネル型MOSトランジスタを接続するか、またはインバータと電源電圧端子間にPチャネル型MOSトランジスタを接続し、かつ、Nチャネル型MOSトランジスタまたはPチャネル型MOSトランジスタのゲート端子に可変電圧源を接続したものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明のチョッパ型コンパレータは、インバータと接地電圧端子間にNチャネル型MOSトランジスタを接続するか、またはインバータと電源電圧端子間にPチャネル型MOSトランジスタを接続し、Nチャネル型MOSトランジスタまたはPチャネル型MOSトランジスタのゲート端子に可変電圧源を接続したので、動作時の貫通電流を低減させることができると共に、動作スピードをさほど損なわないチョッパ型コンパレータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1によるチョッパ型コンパレータを示す回路図である。
【図2】この発明の実施の形態1によるチョッパ型コンパレータにおける入出力特性と定常電流特性を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態2によるチョッパ型コンパレータの回路図である。
【図4】この発明の実施の形態3によるチョッパ型コンパレータの回路図である。
【図5】この発明の実施の形態3によるチョッパ型コンパレータの他の例の回路図である。
【図6】この発明の実施の形態4によるチョッパ型コンパレータの回路図である。
【図7】この発明の実施の形態4によるチョッパ型コンパレータにおける入出力特性と定常電流特性を示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態5によるチョッパ型コンパレータの回路図である。
【図9】この発明の実施の形態5によるチョッパ型コンパレータの他の例の回路図である。
【図10】従来のチョッパ型コンパレータの回路図である。
【図11】従来のチョッパ型コンパレータの入出力特性を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるチョッパ型コンパレータを示す回路図である。
図1に示すチョッパ型コンパレータは、図10に示したチョッパ型コンパレータに、Pチャネル型MOSトランジスタ7と、Nチャネル型MOSトランジスタ8と、可変電圧源9、10を追加したものである。Pチャネル型MOSトランジスタ1〜出力端子6については、図10と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0011】
Pチャネル型MOSトランジスタ7は、Pチャネル型MOSトランジスタ1と電源電圧端子間に設置され、Nチャネル型MOSトランジスタ8は、Nチャネル型MOSトランジスタ2と接地電圧端子間に設置される。Pチャネル型MOSトランジスタ7のゲート端子には、可変電圧源(第2の可変電圧源)10が接続され、Nチャネル型MOSトランジスタ8のゲート端子には可変電圧源(第1の可変電圧源)9が接続される。
【0012】
次に、図1に示すチョッパ型コンパレータの動作について説明する。本コンパレータは、Pチャネル型MOSトランジスタ7と可変電圧源10、およびNチャネル型MOSトランジスタ8と可変電圧源9によって、入出力特性と貫通電流値を制御する。可変電圧源9、10の出力電圧は共にVbとする。また、Vbは、MOSトランジスタ7、8が共にId=β(Vb−Vth)2/2の式を満たす飽和動作を行う範囲で制御するものとする。ここで、βはMOSトランジスタサイズで決まる比例乗数、VthはMOSトランジスタの閾値電圧。Idはドレイン電流である。
【0013】
説明を簡単にするため、VbはVHIGHとVMEDIUM、VLOWの3つの電圧で制御するものとする。なお、VHIGH>VMEDIUM>VLOWである。よって、それぞれに設定した時のコンパレータの貫通電流は、Id_HIGH>Id_MEDIUM>Id_LOWとなる。図2に、図1に示すチョッパ型コンパレータの入出力特性と定常電流特性を示す。本コンパレータはVbの設定電圧によって、入力電圧VINに対する出力電圧VOUTの特性が変化する。これは設定電圧によってコンパレータの利得が変化すること意味し、コンパレータの比較速度が変化することを意味する。Vbを高く設定することで、コンパレータの比較スピードが上がり、貫通電流Iが大きくなる。また、Vbを低くすることで、コンパレータの比較スピードが下がるが、貫通電流Iを小さくすることができる。このように、必要となるコンパレータの動作スピードに応じて、Vbを制御することで、コンパレータの貫通電流Iを制御することが可能となる。
【0014】
本実施の形態のように、チョッパ型の動作時の貫通電流を電流制御素子によって制御し、高速動作が必要な場合と、低消費電力動作が必要な場合に応じてVbを制御することで、動作時の貫通電流を低減させ、かつ動作スピードを損なわないチョッパ型コンパレータを提供することが可能となる。
【0015】
以上説明したように、実施の形態1のチョッパ型コンパレータによれば、電源電圧端子と接地電圧端子との間に直列接続されたPチャネル型MOSトランジスタとNチャネル型MOSトランジスタからなる相補型MOSトランジスタ構成のインバータ、インバータの入出力間を短絡するための短絡スイッチ、入力端子とインバータ間に設けられた入力スイッチを備えたチョッパ型コンパレータにおいて、インバータと接地電圧端子間に接続されたNチャネル型MOSトランジスタと、Nチャネル型MOSトランジスタのゲート端子に接続した第1の可変電圧源と、インバータと電源電圧端子間に接続されたPチャネル型MOSトランジスタと、Pチャネル型MOSトランジスタのゲート端子に接続された第2の可変電圧源とを備えたので、動作モードの入力待ち状態において、貫通電流を低減させることができると共に、動作スピードをさほど損なわないチョッパ型コンパレータを得ることができる。
【0016】
実施の形態2.
図3は、この発明に係るチョッパ型コンパレータの実施の形態2を示す回路図である。
実施の形態2のチョッパ型コンパレータは、図1に示すチョッパ型コンパレータにおける入力スイッチ3及び短絡スイッチ4をMOSトランジスタスイッチ3aとMOSトランジスタスイッチ4aに置き換え、インバータ素子11を設けたものである。即ち、MOSトランジスタスイッチ3aのゲート端子にインバータ素子11の入力側を、MOSトランジスタスイッチ4aのゲート端子にインバータ素子11の出力側を接続し、制御信号CNTでこれらMOSトランジスタスイッチ3aとMOSトランジスタスイッチ4aの制御を行うようにしたものである。その他の構成および基本動作は図1に示した実施の形態1のチョッパ型コンパレータと同様である。同一の構成部分については同一の符号を付し重複する説明を省略する。
【0017】
以上説明したように、実施の形態2のチョッパ型コンパレータによれば、実施の形態1のチョッパ型コンパレータにおいて、入力スイッチと短絡スイッチとを、MOSトランジスタスイッチとインバータ素子で構成するようにしたので、入力スイッチと短絡スイッチの制御を容易に行うことができる。
【0018】
実施の形態3.
図4は、この発明に係るチョッパ型コンパレータの実施の形態3を示す回路図である。実施の形態3のチョッパ型コンパレータは、図1に示したチョッパ型コンパレータの、Pチャネル型MOSトランジスタ7と可変電圧源10を削除したものである。即ち、インバータと接地電圧端子間にNチャネル型MOSトランジスタ8を接続し、Nチャネル型MOSトランジスタ8のゲート端子に可変電圧源9を接続したものであり、実施の形態1のチョッパ型コンパレータと同一の構成部分については同一の符号を付し重複する説明を省略する。
【0019】
図4に示すチョッパ型コンパレータの場合、比較動作が立ち上がり動作のみで良い場合、比較スピードは維持したまま、貫通電流Iのみを削減することが可能となる。図4に示すチョッパ型コンパレータの場合、電源電圧端子からVOUTへの電流経路は制限されていない。よって、VINがVmより低い電圧が入力され、VOUT電圧が上昇する場合、電流経路が制限していないため、比較スピードは図10に示すチョッパ型コンパレータと同等となる。一方、Nチャネル型MOSトランジスタ8で接地電圧端子への電流経路を制限しているため、貫通電流Iは削減することが可能となる。
【0020】
図5に示すチョッパ型コンパレータは、図1に示したチョッパ型コンパレータの、Nチャネル型MOSトランジスタ8と可変電圧源9を削除し、Pチャネル型MOSトランジスタ7と可変電圧源10のみとしたものである。この場合、VOUTから接地電圧端子への電流経路は制限されていない。よって、VINがVmより高い電圧が入力され、VOUT電圧が減少する場合、電流経路が制限していないため、比較スピードは図10に示すチョッパ型コンパレータと同等となる。一方、Pチャネル型MOSトランジスタ7で電源電圧端子への電流経路を制限しているため、貫通電流Iを削減することが可能となる。
【0021】
以上説明したように、実施の形態3のチョッパ型コンパレータによれば、電源電圧端子と接地電圧端子との間に直列接続されたPチャネル型MOSトランジスタとNチャネル型MOSトランジスタからなる相補型MOSトランジスタ構成のインバータ、インバータの入出力間を短絡するための短絡スイッチ、入力端子とインバータ間に設けられた入力スイッチを備えたチョッパ型コンパレータにおいて、インバータと接地電圧端子間にNチャネル型MOSトランジスタを接続するか、またはインバータと電源電圧端子間にPチャネル型MOSトランジスタを接続し、かつ、Nチャネル型MOSトランジスタまたはPチャネル型MOSトランジスタのゲート端子に可変電圧源を接続したので、動作時の貫通電流を低減させることができると共に、動作スピードをさほど損なわないチョッパ型コンパレータを得ることができる。
【0022】
実施の形態4.
図6は、この発明に係るチョッパ型コンパレータの実施の形態4を示す回路図である。実施の形態4のチョッパ型コンパレータは、図10に示したチョッパ型コンパレータに、Pチャネル型MOSトランジスタ7とNチャネル型MOSトランジスタ8及び反転増幅器12を追加したものである。即ち、Pチャネル型MOSトランジスタ7をPチャネル型MOSトランジスタ1と電源電圧端子間に、また、Nチャネル型MOSトランジスタ8をNチャネル型MOSトランジスタ2と接地電圧端子間にそれぞれ挿入し、Pチャネル型MOSトランジスタ7及びNチャネル型MOSトランジスタ8のゲート端子には、出力電圧VOUTを反転増幅器12を介して接続するようにしたものである。入力スイッチ3や短絡スイッチ4、入力端子5及び出力端子6の構成は実施の形態1と同様である。
【0023】
次に、図6に示すチョッパ型コンパレータの動作について説明する。図7に、図6に示すチョッパ型コンパレータの入出力特性と定常電流特性を示す。Pチャネル型MOSトランジスタ7は、Pチャネル型MOSトランジスタ1と比較し、入力電圧Vmの時のドレイン電流が小さくなるものとする。同様に、Nチャネル型MOSトランジスタ8は、Nチャネル型MOSトランジスタ2と比較し、入力電圧Vmの時の出力電流が小さくなるものとする。このチョッパ型コンパレータにおいて、初期化を行うと入力電圧・出力電圧が等しくなるVmで安定する。このとき、Pチャネル型MOSトランジスタ7と、Nチャネル型MOSトランジスタ8によって、貫通電流I′が制限されるため、従来のチョッパ型コンパレータと比較して、動作モード時の消費電流を低減することが可能となる。初期化後に、入力スイッチ3をオンし、短絡スイッチ4をオフすることで、本コンパレータは動作を開始する。
【0024】
次に、入力電圧VINがVmより大きい電圧が入力された場合を考える。VINはVmより大きいため、Pチャネル型MOSトランジスタ1は、ドレイン電流を遮断する方向に動作する。また、Nチャネル型MOSトランジスタ2はドレイン電流を増加する方向に動作する。よって、VOUTはVmから時間の経過と共に電圧が下がる。一方、VOUTが低下するため、反転増幅器12の出力は増加する。よって、Nチャネル型MOSトランジスタ8はドレイン電流を増加させる方向に動作する。また、Pチャネル型MOSトランジスタ7はドレイン電流を遮断する方向に動作する。Pチャネル型MOSトランジスタ7が電流を制限しているため、Nチャネル型MOSトランジスタ8はドレイン電流を増加させる方向に動作することで、VOUT端子から接地電圧端子へ流れる電流は増加する。本動作により、電流制限を行っていた場合よりも高速にVOUTは接地電圧へと変化する。
【0025】
次に、入力電圧VINがVmより小さい電圧が入力された場合を考える。VINはVmより小さいため、Pチャネル型MOSトランジスタ1は、ドレイン電流を増加させる方向に動作する。また、Nチャネル型MOSトランジスタ2はドレイン電流を遮断する方向に動作する。よって、VOUTはVmから時間の経過と共に電圧が上がる。一方、VOUTが上昇するため、反転増幅器12の出力は低下する。よって、Nチャネル型MOSトランジスタ8はドレイン電流を遮断する方向に動作する。また、Pチャネル型MOSトランジスタ7はドレイン電流を増加させる方向に動作する。Nチャネル型MOSトランジスタ8が充電電流を制限しているため、Pチャネル型MOSトランジスタ7がドレイン電流を増加させる方向に動作することで、電源電圧端子からVOUT端子へ流れる電流は増加する。本動作により、電流制限を行っていた場合よりも高速にVOUTは電源電圧へと変化する。
【0026】
本実施の形態のように、チョッパ型の動作時の貫通電流を電流制御素子によって、制御し、高速動作が必要な場合と、低消費電力動作が必要な場合に応じて制御を行うことで、動作時の貫通電流を低減させ、かつ動作スピードを損なわないチョッパ型コンパレータを提供することが可能となる。
【0027】
以上説明したように、実施の形態4のチョッパ型コンパレータによれば、電源電圧端子と接地電圧端子との間に直列接続されたPチャネル型MOSトランジスタとNチャネル型MOSトランジスタからなる相補型MOSトランジスタ構成のインバータ、インバータの入出力間を短絡するための短絡スイッチ、入力端子とインバータ間に設けられた入力スイッチを備えたチョッパ型コンパレータにおいて、インバータと接地電圧端子間に接続されたNチャネル型MOSトランジスタと、インバータと電源電圧端子間に接続されたPチャネル型MOSトランジスタと、インバータの出力を入力とし、その出力をPチャネル型MOSトランジスタ及びNチャネル型MOSトランジスタのゲート端子に接続した反転増幅器とを備えたので、動作時の貫通電流を低減させ、かつ動作スピードをさほど損なわないチョッパ型コンパレータを得ることができる。
【0028】
実施の形態5.
図8はこの発明に係るチョッパ型コンパレータの実施の形態5を示す回路図である。実施の形態5のチョッパ型コンパレータは、図6に示したチョッパ型コンパレータの、Pチャネル型MOSトランジスタ7の構成を削除したものである。即ち、インバータと接地電圧端子間にNチャネル型MOSトランジスタ8を接続し、Nチャネル型MOSトランジスタ8のゲート端子に、インバータの出力を入力とする反転増幅器12の出力を接続したものである。その他の構成部分および基本動作は図6に示した実施の形態4と同様である。同一の構成部分については同一の符号を付し重複する説明を省略する。
【0029】
比較動作が立ち上がり動作、立下り動作どちらかのみで良い場合、図8に示すようにNチャネル型MOSトランジスタ8のみを使うことで、比較スピードは維持したまま、貫通電流のみを削減することが可能となる。図8の場合、電源電圧端子からVOUTへの電流経路は制限されていない。よって、VINがVmより低い電圧が入力され、VOUT電圧が上昇する場合、電流経路が制限していないため、比較スピードは図10に示すチョッパ型コンパレータと同等となる。一方、Nチャネル型MOSトランジスタ8で接地電圧端子への電流経路を制限しているため、貫通電流I′は削減することが可能となる。
【0030】
図9は、図6に示したチョッパ型コンパレータの、Nチャネル型MOSトランジスタ8の構成を削除したものである。即ち、インバータと電源電圧端子間にPチャネル型MOSトランジスタ7を接続し、Pチャネル型MOSトランジスタ7のゲート端子に、インバータの出力を入力とする反転増幅器12の出力を接続したものである。このような構成の場合、VOUTから接地電圧端子への電流経路は制限されていない。よって、VINがVmより高い電圧が入力され、VOUT電圧が減少する場合、電流経路が制限していないため、比較スピードは図10に示すチョッパ型コンパレータと同等となる。一方、Pチャネル型MOSトランジスタ7で電源電圧端子への電流経路を制限しているため、貫通電流I′は削減することが可能となる。
【0031】
以上説明したように、実施の形態5のチョッパ型コンパレータによれば、電源電圧端子と接地電圧端子との間に直列接続されたPチャネル型MOSトランジスタとNチャネル型MOSトランジスタからなる相補型MOSトランジスタ構成のインバータ、インバータの入出力間を短絡するための短絡スイッチ、入力端子とインバータ間に設けられた入力スイッチを備えたチョッパ型コンパレータにおいて、インバータと接地電圧端子間にNチャネル型MOSトランジスタを接続するか、またはインバータと電源電圧端子間にPチャネル型MOSトランジスタを接続し、かつ、Nチャネル型MOSトランジスタまたはPチャネル型MOSトランジスタのゲート端子にインバータの出力を入力とする反転増幅器の出力を接続したので、動作時の貫通電流を低減させ、かつ動作スピードをさほど損なわないチョッパ型コンパレータを得ることができる。
【0032】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0033】
1,7 Pチャネル型MOSトランジスタ、2,8 Nチャネル型MOSトランジスタ、3 入力スイッチ、4 短絡スイッチ、5 入力端子、6 出力端子、9 可変電圧源(第1の可変電圧源)、10 可変電圧源(第2の可変電圧源)、11 インバータ素子、12 反転増幅器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧端子と接地電圧端子との間に直列接続されたPチャネル型MOSトランジスタとNチャネル型MOSトランジスタからなる相補型MOSトランジスタ構成のインバータ、当該インバータの入出力間を短絡するための短絡スイッチ、入力端子と前記インバータ間に設けられた入力スイッチを備えたチョッパ型コンパレータにおいて、
前記インバータと前記接地電圧端子間にNチャネル型MOSトランジスタを接続するか、または前記インバータと前記電源電圧端子間にPチャネル型MOSトランジスタを接続し、
かつ、前記Nチャネル型MOSトランジスタまたは前記Pチャネル型MOSトランジスタのゲート端子に可変電圧源を接続したことを特徴とするチョッパ型コンパレータ。
【請求項2】
電源電圧端子と接地電圧端子との間に直列接続されたPチャネル型MOSトランジスタとNチャネル型MOSトランジスタからなる相補型MOSトランジスタ構成のインバータ、当該インバータの入出力間を短絡するための短絡スイッチ、入力端子と前記インバータ間に設けられた入力スイッチを備えたチョッパ型コンパレータにおいて、
前記インバータと前記接地電圧端子間に接続されたNチャネル型MOSトランジスタと、
前記Nチャネル型MOSトランジスタのゲート端子に接続した第1の可変電圧源と、
前記インバータと前記電源電圧端子間に接続されたPチャネル型MOSトランジスタと、
前記Pチャネル型MOSトランジスタのゲート端子に接続された第2の可変電圧源とを備えたことを特徴とするチョッパ型コンパレータ。
【請求項3】
電源電圧端子と接地電圧端子との間に直列接続されたPチャネル型MOSトランジスタとNチャネル型MOSトランジスタからなる相補型MOSトランジスタ構成のインバータ、当該インバータの入出力間を短絡するための短絡スイッチ、入力端子と前記インバータ間に設けられた入力スイッチを備えたチョッパ型コンパレータにおいて、
前記インバータと前記接地電圧端子間にNチャネル型MOSトランジスタを接続するか、または前記インバータと前記電源電圧端子間にPチャネル型MOSトランジスタを接続し、
かつ、前記Nチャネル型MOSトランジスタまたは前記Pチャネル型MOSトランジスタのゲート端子に前記インバータの出力を入力とする反転増幅器の出力を接続したことを特徴とするチョッパ型コンパレータ。
【請求項4】
電源電圧端子と接地電圧端子との間に直列接続されたPチャネル型MOSトランジスタとNチャネル型MOSトランジスタからなる相補型MOSトランジスタ構成のインバータ、当該インバータの入出力間を短絡するための短絡スイッチ、入力端子と前記インバータ間に設けられた入力スイッチを備えたチョッパ型コンパレータにおいて、
前記インバータと前記接地電圧端子間に接続されたNチャネル型MOSトランジスタと、
前記インバータと前記電源電圧端子間に接続されたPチャネル型MOSトランジスタと、
前記インバータの出力を入力とし、その出力を前記Pチャネル型MOSトランジスタ及びNチャネル型MOSトランジスタのゲート端子に接続した反転増幅器とを備えたことを特徴とするチョッパ型コンパレータ。
【請求項1】
電源電圧端子と接地電圧端子との間に直列接続されたPチャネル型MOSトランジスタとNチャネル型MOSトランジスタからなる相補型MOSトランジスタ構成のインバータ、当該インバータの入出力間を短絡するための短絡スイッチ、入力端子と前記インバータ間に設けられた入力スイッチを備えたチョッパ型コンパレータにおいて、
前記インバータと前記接地電圧端子間にNチャネル型MOSトランジスタを接続するか、または前記インバータと前記電源電圧端子間にPチャネル型MOSトランジスタを接続し、
かつ、前記Nチャネル型MOSトランジスタまたは前記Pチャネル型MOSトランジスタのゲート端子に可変電圧源を接続したことを特徴とするチョッパ型コンパレータ。
【請求項2】
電源電圧端子と接地電圧端子との間に直列接続されたPチャネル型MOSトランジスタとNチャネル型MOSトランジスタからなる相補型MOSトランジスタ構成のインバータ、当該インバータの入出力間を短絡するための短絡スイッチ、入力端子と前記インバータ間に設けられた入力スイッチを備えたチョッパ型コンパレータにおいて、
前記インバータと前記接地電圧端子間に接続されたNチャネル型MOSトランジスタと、
前記Nチャネル型MOSトランジスタのゲート端子に接続した第1の可変電圧源と、
前記インバータと前記電源電圧端子間に接続されたPチャネル型MOSトランジスタと、
前記Pチャネル型MOSトランジスタのゲート端子に接続された第2の可変電圧源とを備えたことを特徴とするチョッパ型コンパレータ。
【請求項3】
電源電圧端子と接地電圧端子との間に直列接続されたPチャネル型MOSトランジスタとNチャネル型MOSトランジスタからなる相補型MOSトランジスタ構成のインバータ、当該インバータの入出力間を短絡するための短絡スイッチ、入力端子と前記インバータ間に設けられた入力スイッチを備えたチョッパ型コンパレータにおいて、
前記インバータと前記接地電圧端子間にNチャネル型MOSトランジスタを接続するか、または前記インバータと前記電源電圧端子間にPチャネル型MOSトランジスタを接続し、
かつ、前記Nチャネル型MOSトランジスタまたは前記Pチャネル型MOSトランジスタのゲート端子に前記インバータの出力を入力とする反転増幅器の出力を接続したことを特徴とするチョッパ型コンパレータ。
【請求項4】
電源電圧端子と接地電圧端子との間に直列接続されたPチャネル型MOSトランジスタとNチャネル型MOSトランジスタからなる相補型MOSトランジスタ構成のインバータ、当該インバータの入出力間を短絡するための短絡スイッチ、入力端子と前記インバータ間に設けられた入力スイッチを備えたチョッパ型コンパレータにおいて、
前記インバータと前記接地電圧端子間に接続されたNチャネル型MOSトランジスタと、
前記インバータと前記電源電圧端子間に接続されたPチャネル型MOSトランジスタと、
前記インバータの出力を入力とし、その出力を前記Pチャネル型MOSトランジスタ及びNチャネル型MOSトランジスタのゲート端子に接続した反転増幅器とを備えたことを特徴とするチョッパ型コンパレータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−93709(P2013−93709A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233987(P2011−233987)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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