説明

テトラヒドロキノリン誘導体の製造方法

本発明は動脈硬化性疾患、高脂血症若しくは異脂質血症などの疾患の予防および/または治療に有効な光学活性テトラヒドロキノリン誘導体の製造方法、およびその合成中間体の製造方法を提供する。具体的には、光学分割も不要でかつより少ない工程数で(2R,4S)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イルアミンまたはその塩が調製され、そのアミン体から光学活性テトラヒドロキノリン誘導体が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コレステリルエステル輸送タンパク(CETP)阻害活性を有し、HDLコレステロール増加作用およびLDLコレステロール低下作用を示す、動脈硬化性疾患、高脂血症若しくは異脂質血症などの疾患の予防および/または治療のためのテトラヒドロキノリン誘導体およびその中間体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CETP活性を阻害する化合物は、HDLからLDLあるいはVLDLへのコレステロール転送を阻害し、動脈硬化抑制性のHDLコレステロールを増加させると同時に動脈硬化惹起性のLDLコレステロールを減少させることにより、動脈硬化性疾患、高脂血症若しくは異脂質血症に対する予防または治療薬としてこれまでにない有用な医療手段を提供する事が期待されている。
【0003】
CETP阻害活性を有する化合物は、例えば、光学活性なテトラヒドロキノリン誘導体が知られている(WO00/17164、WO00/17165、WO00/17166、WO2006/012093およびWO2005/095409参照)。
【0004】
前記特許文献記載の光学活性なテトラヒドロキノリン誘導体の多くは、化学式I−a:
【化1】

【0005】
で示される(2R,4S)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イルアミンを骨格構造として共有しており、化合物I−aは前記光学活性なテトラヒドロキノリン誘導体の合成中間体として有用である。
【0006】
テトラヒドロキノリン誘導体の一般的製造方法は、例えば、前述の特許文献に記載がされている。また、光学活性なテトラヒドロキノリン誘導体の製造方法は、例えば、光学分割を用いた製造方法(特開2001-163859号公報)、不斉合成法(WO02/08869号公報)およびルテニウム触媒を用いる不斉合成法(WO2004/074255号公報)が知られている。
【0007】
従来知られている光学活性なテトラヒドロキノリン誘導体の製造方法では、例えば、光学分割および/または補助基の着脱が必要となる等の難点があった。具体的には、特開2001-163859号公報6においては、反応工程式に記載の通り、2−エチル−4−アミノ−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−1−カルボン酸エチルエステルから目的物を製造する過程において光学分割が必要となる。
また、WO02/088069号公報においては、スキームBに記載の通り、(R)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニルアミノ)−ペンタン酸アミドから4−[アセチル(3,5−ジメチルベンジル)アミノ]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボン酸イソプロピルエステルを不斉合成する工程において、補助基の着脱が必要である。
【0008】
更に、WO2004/074255号公報においては、化合物(4):
【化2】

【0009】
(式中、記号はWO2004/074255の定義と同一)を不斉還元して化合物(5):
【化3】

【0010】
(式中、記号はWO2004/074255の定義と同一)を製造する工程において、高価なルテニウム触媒を用いる必要があり、より安価な製造方法が求められている。
【0011】
化合物I−aと同様の骨格を有するテトラヒドロキノリン−4−オン誘導体は、3−(2−ヨウドフェニルアミノ)−プロピオン酸の閉環反応により得られるが、該閉環反応はポリリン酸を用いた方法では進まないものの五酸化リンを用いることで進行することが知られている(J. Med. Chem., 47(22), 5467-5481(2004))。一方で、フェニル基のパラ位上に、トリフルオロメチル基がある4−(4−トリフルオロメチルフェニル)酪酸の場合、同様の環化反応が進行しないことが知られている(Tetrahedron Lett., 44, 4007-4010(2003))。
【0012】
ラセミの化合物I−aの製造法としては、WO00/17164において、スキームIIに記載の通り、オキシム化合物XIII:
【化4】

【0013】
(式中、記号はWO00/17164の定義と同一)をニッケル−アルミ合金を用いて還元して化合物V:
【化5】

【0014】
(式中、記号はWO00/17164の定義と同一)を製造することが記載されている。しかしながら、立体選択的に還元反応が進む条件は示されていない。
【0015】
さらに、特許文献(WO 00/17164、実施例7B)および文献(Organic Process Research & Development 2006, 10, 464-471, スキーム2)の記載のとおり、化合物I-aと同様の化学構造を有するテトラヒドロキノリン誘導体がプロピリデン−(4−トリフルオロメチルフェニル)-アミンの環化反応により製造できることが知られている。しかしながら、その環化反応はラセミ体を与えるので光学活性なテトラヒドロキノリン誘導体を得る最初の工程で分割操作が必要であり、またその光学活性テトラヒドロキノリン誘導体の収率は満足できるものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、動脈硬化性疾患、高脂血症若しくは異脂質血症などの疾患の予防および/または治療に有効な光学活性なテトラヒドロキノリン誘導体およびその中間体の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0017】
発明者らは、鋭意研究の結果、光学分割および/または補助基の着脱を経ず少ない工程で化合物I−aおよび光学活性なテトラヒドロキノリン誘導体を製造できる方法を見出した。
【0018】
また、発明者らは、トリフルオロメチル基を有し、バルキーな置換基がない(R)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニルアミノ)−吉草酸の環化を鋭意研究した。その結果、当該環化反応はブチルリチウムを用いる塩基性条件下またはトリフルオロメタンスルホン酸やメタンスルホン酸を用いる酸性条件下では進行しないが五酸化リンとメタンスルホン酸を用いる条件下で進行することを見出した。
【0019】
発明者らは更に、(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オンオキシムまたは(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オン・O-メチルオキシムの立体選択的還元を鋭意研究した。その結果、当該立体選択的反応は白金、ロジウム、ルテニウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム等を用いる条件下では進行しないが、パラジウム触媒を用いる条件下で進行することを見出した。この方法は化合物I−aの工業的製造において有利である。
発明者らは更に、鋭意研究をした結果、プロピリデン−(4−トリフルオロメチルフェニル)-アミン若しくはその等価体と光学活性ビニルアミンとの不斉環化反応が光学活性酸触媒の存在下で進行することを見出した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
【0020】
1.(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オン・オキシムまたは(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オン・O−アルキルオキシムを、パラジウム触媒の存在下接触還元し、所望により造塩操作をすることによる式I−a:
【化6】

で示される(2R,4S)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イルアミンまたはその塩の製造方法。
【0021】
2.(a)(R)−3−アミノ吉草酸またはそのアルキルエステルと一般式I−f:
【化7】

(式中、Lは脱離基を意味する)
で示される化合物を反応させ、(R)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニルアミノ)−吉草酸を調製し、
(b)次いで、(R)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニルアミノ)−吉草酸に五酸化リンを反応させることにより(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オンを調製し、
(c)次いで、(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オンを(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オン・オキシムまたは(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オン・O−アルキルオキシムに変換し、
(d)次いで、(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オン・オキシムまたは(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オン・O−アルキルオキシムをパラジウム触媒の存在下接触還元し、所望により造塩操作をすることによる(2R,4S)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イルアミンまたはその塩の製造方法。
【0022】
3.プロピリデン−(4−トリフルオロメチルフェニル)アミン若しくはその等価体と一般式I−g:
【化8】

(式中、R′およびR″は同一または異なって、水素またはアミノ保護基であり、またはR′およびR″は一緒になってアミノ保護基を形成する。)
で示される保護されていてもよいビニルアミンとの光学活性酸触媒存在下における不斉環化反応により、一般式I−h:
【化9】

(式中、記号は上記と同じ)
で示される化合物を調製し、所望により生成物を脱保護し、そして所望により生成物を塩に変換することを含む、(2R,4S)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イルアミンまたはその塩の製造方法。
【0023】
4.1、2または3記載の製造方法で(2R,4S)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イルアミンまたはその塩を調製し、次いで−RA5、−RA1および−RA4−RA10をそれぞれ導入し、所望によりその生成物を薬学的に許容される塩に変換することによる、一般式I:
【化10】

〔式中、RA1は、水素原子、置換されていてもよいアルコキシカルボニル基、置換されていてもよいカルバモイル基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルカノイル基、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する飽和または不飽和の単環または二環式の複素環基(該複素環基は置換されていてもよい)、または酸素原子、硫黄原子および窒素原子から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する飽和または不飽和の単環または二環式の複素環カルボニル基(該複素環基は置換されていてもよい)であり;
A4は、置換されていてもよいアルキレン基であり;
【0024】
A5は、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する飽和または不飽和の単環または二環式の複素環基であり;ここにおいて該複素環基は、以下に記載する基から選ばれる1〜5の置換基で置換されているか、あるいは、該複素環基は以下に記載する基から選ばれる1〜5の置換基に加えてさらにハロゲン原子、オキソ基および/またはヒドロキシ基で置換されており:
シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、炭素数3〜10のアルキル基、置換されたアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、炭素数3〜10のアルコキシ基、置換されたアルコキシ基、置換されていてもよいシクロアルコキシ基、置換されていてもよいアルコキシカルボニル基、置換されていてもよいカルバモイル基、置換されていてもよいカルバミミドイル基、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されていてもよいアルキルスルフィニル基、置換されていてもよいアルキルスルホニル基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいスルファモイル基、置換されていてもよいアルカノイル基、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する飽和または不飽和の単環または二環式の複素環基(該複素環基は置換されていてもよい)、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する飽和または不飽和の単環または二環式の複素環オキシ基(該複素環オキシ基は置換されていてもよい)、および酸素原子、硫黄原子および窒素原子から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する飽和または不飽和の単環または二環式の複素環カルボニル基(該複素環カルボニル基は置換されていてもよい);
A10は、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から独立して選ばれる1〜3個のヘテロ原子を有していてもよい芳香環基(該芳香環基は置換されていてもよい)を表す。〕
で示される化合物もしくはその薬理的に許容しうる塩の製造方法。
【0025】
5.1または2記載の製造方法で(2R,4S)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イルアミンまたはその塩を調製し、最初に−RA5を導入して、次いで−RA1および−RA4−RA10をそれぞれ導入し、所望によりその生成物を薬学的に許容される塩に変換することによる一般式I:
【化11】

〔式中、RA1は、水素原子、置換されていてもよいアルコキシカルボニル基、置換されていてもよいカルバモイル基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルカノイル基、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する飽和または不飽和の単環または二環式の複素環基(該複素環基は置換されていてもよい)、または酸素原子、硫黄原子および窒素原子から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する飽和または不飽和の単環または二環式の複素環カルボニル基(該複素環基は置換されていてもよい)であり;
A4は、置換されていてもよいアルキレン基であり;
【0026】
A5は、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する飽和または不飽和の単環または二環式の複素環基であり;ここにおいて該複素環基は、以下に記載する基から選ばれる1〜5の置換基で置換されているか、あるいは、該複素環基は以下に記載する基から選ばれる1〜5の置換基に加えてさらにハロゲン原子、オキソ基および/またはヒドロキシ基で置換されており:
シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、炭素数3〜10のアルキル基、置換されたアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、炭素数3〜10のアルコキシ基、置換されたアルコキシ基、置換されていてもよいシクロアルコキシ基、置換されていてもよいアルコキシカルボニル基、置換されていてもよいカルバモイル基、置換されていてもよいカルバミミドイル基、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されていてもよいアルキルスルフィニル基、置換されていてもよいアルキルスルホニル基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいスルファモイル基、置換されていてもよいアルカノイル基、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する飽和または不飽和の単環または二環式の複素環基(該複素環基は置換されていてもよい)、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する飽和または不飽和の単環または二環式の複素環オキシ基(該複素環オキシ基は置換されていてもよい)、および酸素原子、硫黄原子および窒素原子から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する飽和または不飽和の単環または二環式の複素環カルボニル基(該複素環カルボニル基は置換されていてもよい);
A10は、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から独立して選ばれる1〜3個のヘテロ原子を有していてもよい芳香環基(該芳香環基は置換されていてもよい)を表す〕
で示される化合物もしくはその薬理的に許容しうる塩の製造方法。
【0027】
6.1、2または3記載の製造方法で(2R,4S)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イルアミンまたはその塩を調製して、−RB1、−COORB4および−RB3をそれぞれ導入し、所望によりその生成物をプロドラッグ、そしてその化合物若しくはプロドラッグの薬学的に許容される塩に変換することによる一般式II:
【化12】

(式中、RB1は水素、Y、W−XまたはW−Yであり;
はカルボニル、チオカルボニル、スルフィニルまたはスルホニルであり;
は−O−Y、−S−Y、−N(H)−Yまたは−N(Yであり;
ここで、各々の場合におけるYは、独立に、Zまたは完全に飽和、部分的に不飽和もしくは完全に不飽和の1ないし10員直鎖もしくは分岐炭素鎖であって、該炭素は、接続炭素以外は、酸素、イオウ及び窒素から独立に選択される1つもしくは2つのヘテロ原子で置き換えられていてもよく、かつ該炭素はハロで一、二、もしくは三置換されていてもよく、該炭素はヒドロキシで一置換されていてもよく、該炭素はオキソで一置換されていてもよく、該イオウはオキソで一もしくは二置換されていてもよく、該窒素はオキソで一もしくは二置換されていてもよく、及び該炭素鎖はZで一置換されていてもよく;
【0028】
は、酸素、イオウ及び窒素から独立に選択される1つないし4つのヘテロ原子を有していてもよい部分的に飽和、完全に飽和もしくは完全に不飽和の3ないし8員環であるか、または窒素、イオウ及び酸素から独立に選択される1つないし4つのヘテロ原子を有していてもよい二環式環であって、ここでこの二環式環は二つの部分的に飽和、完全に飽和もしくは完全に不飽和の3ないし6員環が融合した二環式環であり;
該Z置換基はハロ、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキル、ヒドロキシ、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルチオ、アミノ、ニトロ、シアノ、オキソ、カルボキシ、(C−C)アルキルオキシカルボニル、モノ−N−(C−C)アルキルアミノおよびジ−N,N−(C−C)アルキルアミノから選択される1〜3の置換基で独立に置換されていてもよく、ここで、該(C−C)アルキル置換基はハロ、ヒドロキシ、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルチオ、アミノ、ニトロ、シアノ、オキソ、カルボキシ、(C−C)アルキルオキシカルボニル、モノ−N−(C−C)アルキルアミノおよびジ−N,N−(C−C)アルキルアミノから選択される1〜3の置換基で独立に置換されていてもよく、該(C−C)アルキル置換基は1ないし9個のフッ素で置換されていてもよく;
【0029】
B3は水素またはQであり;
ここで、Qは完全に飽和、部分的に不飽和もしくは完全に不飽和の1ないし6員直鎖もしくは分岐炭素鎖であって、接続炭素以外の該炭素は酸素、イオウ及び窒素から選択される1つのヘテロ原子で置き換えられていてもよく、かつ該炭素はハロで独立に一、二もしくは三置換されていてもよく、該炭素はヒドロキシで一置換されていてもよく、該炭素はオキソで一置換されていてもよく、該イオウはオキソで一もしくは二置換されていてもよく、該窒素はオキソで一もしくは二置換されていてもよく、及び該炭素鎖はVBで一置換されていてもよく;
【0030】
は酸素、イオウ及び窒素から独立に選択される1つないし4つのヘテロ原子を有していてもよい部分的に飽和、完全に飽和もしくは完全に不飽和の3ないし8員環であるか、または窒素、イオウ及び酸素から独立に選択される1つないし4つのヘテロ原子を有していてもよい二環式環であって、ここでこの二環式環は二つの部分的に飽和、完全に飽和もしくは完全に不飽和の3ないし6員環が融合した二環式環であり;
該V置換基はハロ、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、ヒドロキシ、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルチオ、アミノ、ニトロ、シアノ、オキソ、カルボキシ、(C−C)アルキルオキシカルボニル、モノ−N−(C−C)アルキルアミノおよびジ−N,N−(C−C)アルキルアミノから選択される1〜3の置換基で独立に置換されていてもよく、ここで、該(C−C)アルキルまたは(C−C)アルケニル置換基はヒドロキシ、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルチオ、アミノ、ニトロ、シアノ、オキソ、カルボキシ、(C−C)アルキルオキシカルボニル、モノ−N−(C−C)アルキルアミノおよびジ−N,N−(C−C)アルキルアミノから選択される1〜3の置換基で独立に置換されていてもよく、該(C−C)アルキル置換基または(C−C)アルケニル置換基は1ないし9個のフッ素で置換されていてもよく;
【0031】
B4はQB1またはVB1であり;
ここで、QB1は完全に飽和、部分的に不飽和もしくは完全に不飽和の1ないし6員直鎖もしくは分岐炭素鎖であって、該炭素は、接続炭素以外は、酸素、イオウ及び窒素から独立して選択される1つのヘテロ原子で置き換えられていてもよく、かつ該炭素はハロで一、二もしくは三置換されていてもよく、該炭素はヒドロキシで一置換されていてもよく、該炭素はオキソで一置換されていてもよく、該イオウはオキソで一もしくは二置換されていてもよく、該窒素はオキソで一もしくは二置換されていてもよく、及び該炭素鎖はVB1で一置換されていてもよく;
B1は酸素、イオウ及び窒素から独立に選択される1つないし2つのヘテロ原子を有していてもよい部分的に飽和、完全に飽和もしくは完全に不飽和の3ないし6員環であり;
該VB1基はハロ、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、(C−C)アルキルオキシカルボニル、モノ−N−(C−C)アルキルアミノおよびジ−N,N−(C−C)アルキルアミノから選択される1〜4の置換基で置換されていてもよく、ここで、該(C−C)アルキル置換基はオキソで一置換されていてもよく、該(C−C)アルキル置換基は1ないし9個のフッ素で置換されていてもよく;
ここで、いずれかのRB3はVを含まなければならないか、またはRB4がVB1を含まなければならない)で示される化合物、そのプロドラッグ、または該化合物もしくは該プロドラッグの薬理的に許容し得る塩の製造方法。
【0032】
7.1、2または3記載の製造方法で(2R,4S)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イルアミンまたはその塩を調製し、−(CHRC6)n−Y−RC1、−RC4aおよび−RC4bをそれぞれ導入して、所望により該生成物をその薬学的に許容される塩、溶媒和物、エナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオマーまたはジアステレオマー混合物に変換することによる一般式III:
【化13】

〔式中、nは、0、1,2または3であり;
は、単結合、C=Oまたは−S(O)tであり;
tは、0、1または2であり;
【0033】
C1は、ヒドロキシ、(C−C)アルキル、アリール、(C−C)アルケニル、(C−C)ハロアルキル、(C−C)アルキルヘテロサイクリック、(C−C)シクロアルキル、(C−C)アルキルシクロアルキル、(C−C)アルキルアリール、ヘテロサイクリル、(C−C)アルキルアルコール、(C−C)アルコキシ、アリールオキシ、−O(C−C)アルケニル、−O(C−C)ハロアルキル、−O(C−C)アルキルヘテロサイクリック、−O(C−C)シクロアルキル、−O(C−C)アルキルシクロアルキル、−NRC7C8および−O(C−C)アルキルアリール、−O−ヘテロサイクリック、−O(C−C)アルキルヘテロサイクリック、(C−C)アルキル−O−C(O)NRC7C8、(C−C)アルキル−NRC7C(O)NRC7C8、および(C−C)アルキルCOORC11から選ばれる基であり;但し、Yが−S(O)tの場合、RC1はヒドロキシではなく;また、シクロアルキル、アリールおよびヘテロサイクリックは、それぞれオキソ、ヒドロキシ、ハロ、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルキル、(C−C)アルキルアルコール、CONRC11C12、−NRC11SOC12、−NRC11CORC12、(C−C)アルキルNRC11C12、(C−C)アルキルCORC11、(C−C)アルキルCOORC11、シアノ、(C−C)アルキルシクロアルキル、フェニル、−O(C−C)アルキルシクロアルキル、−O(C−C)アルキルアリール、−O(C−C)アルキルヘテロサイクリックおよび(C−C)アルキルアリールから独立して選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく;
【0034】
C4aは、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキル−CN、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルアルコール、(C−C)ハロアルキル、−OC(O)NRC11C12、(C−C)アルキルNRC11C12(ここで(C−C)アルキルは−ORC10または−C(O)ORC10で置換されていてもよい)、(C−C)アルキルNRC11SOC12、(C−C)アルキルC(O)NRC11C12、(C−C)アルキルNRC11C(O)RC12、(C−C)アルキルNRC11C(O)ORC12、(C−C)アルキルNRC11CHRC10CONRC12、(C−C)アルキルCO(O)RC11、(C−C)アルキルSONRC11C12、(C−C)アルキルS(O)tRC11、(C−C)シクロアルキル、(C−C)アルキルシクロアルキルおよび(C−C)アルキルヘテロサイクリック(ここで(C−C)アルキルヘテロサイクリックのヘテロ環はハロ、(C−C)アルキル、オキソ、−COC11または−NRC11C12で置換されていてもよい)から独立して選ばれる1〜3個の基で置換されたヘテロ環基であり;
【0035】
C4bは、(C−C)アルキルアリール、(C−C)アルケニルアリール、(C−C)アルキニルアリール、(C−C)アルキルヘテロサイクリック、(C−C)アルケニルヘテロサイクリック、(C−C)アルキルシクロアルキルおよび(C−C)アルキル−O−(C−C)アルキルアリールから選ばれる基であり、ここでシクロアルキル、アリールおよびヘテロサイクリックは、ヒドロキシ、オキソ、−S(C−C)アルキル、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)ハロアルキル、ハロゲン原子、(C−C)アルコキシ、アリールオキシ、(C−C)アルケニルオキシ、(C−C)ハロアルコキシアルキル、(C−C)アルキルNRC11C12、−O(C−C)アルキルアリール、ニトロ、シアノ、(C−C)ハロアルキルアルコール、および(C−C)アルキルアルコールから独立して選ばれる1〜3の基で置換されていてもよく;
C6は、水素原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、ヒドロキシ、CORC7、(C−C)アルコキシ、アリールオキシ、−O(C−C)アルケニル、−O(C−C)ハロアルキル、(C−C)アルキルNRC7C8、(C−C)シクロアルキル、ヘテロサイクリック、アリール、(C−C)アルキル−O−C(O)NRC7C8、(C−C)アルキルNRC7C(O)NRC7C8および(C−C)アルキルシクロアルキルから独立して選ばれる基であり;
【0036】
C7およびRC8は、水素原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、−O(C−C)アルキル、(C−C)ハロアルキル、−O−アリール、−O(C−C)シクロアルキル、−O−ヘテロサイクリック、−NRC7C8、−(C−C)アルキルシクロアルキル、−O(C−C)アルキルシクロアルキル、−O(C−C)アルキルヘテロサイクリック、(C−C)アルキルヘテロサイクリック、−O(C−C)アルキルアリール、(C−C)シクロアルキル、ヘテロサイクリック、アリールおよび(C−C)アルキルアリールから独立して選ばれる基であり、ここでアルキル、シクロアルキル、ヘテロサイクリックまたはアリールはヒドロキシ、CN、ハロ、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルキルおよびNRC11C12から独立して選ばれる1〜3の基で置換されていてもよく、またRC7およびRC8は結合して、酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選ばれる、0、1または2個のヘテロ原子を更に有する含窒素ヘテロ環を形成してもよく、該含窒素ヘテロ環はオキソまたは(C−C)アルキルで置換されていてもよく;
【0037】
C10、RC11およびRC12は、水素原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル、ヘテロサイクリック、アリールおよびC−C)アルキルアリールから各々独立して選ばれる基であり、ここでアルキル、アリール、シクロアルキルおよびヘテロサイクリックはハロゲン原子、(C−C)アルキルヘテロサイクリックおよび(C−C)ハロアルキルから独立して選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく、またはRC11およびRC12は結合して、酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選ばれる、0、1または2個のヘテロ原子を更に有してもよい含窒素ヘテロ環を形成し、含窒素ヘテロ環はオキソ、(C−C)アルキル、CORC7および−SOC7で置換されていてもよい〕で示される化合物または薬理的に許容しうる塩、溶媒和物、エナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオマーまたはジアステレオマーの混合物の製造方法。
【0038】
8.(R)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニルアミノ)−吉草酸に五酸化リンを反応させることによる(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オンの製造方法。
【0039】
9.(R)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニルアミノ)−吉草酸に五酸化リンを反応させ(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オンを合成する反応が、有機スルホン酸類または有機シロキサン類の存在下で行われる、2、4、5、6、7または8記載の製造方法。
【0040】
10.有機スルホン酸類もしくは有機シロキサン類が、メタンスルホン酸である9記載の製造方法。
【0041】
11.パラジウム触媒が、パラジウム炭素である1、2、4、5、6または7記載の製造方法。
【0042】
12.プロピリデン−(4−トリフルオロメチルフェニル)アミン若しくはその等価体と一般式I−g:
【化14】

(式中、R′およびR″は同一または異なって、水素またはアミノ保護基であり、またはR′およびR″は一緒になってアミノ保護基を形成する。)
で示される保護されていてもよいビニルアミンとの光学活性酸触媒存在下における不斉環化反応により、一般式I−h:
【化15】

(式中、記号は上記と同じ)
で示される化合物を調製することを含む、(2R,4S)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イルアミンまたはその塩の製造方法。
【0043】
13.R′およびR″が同一または異なって、水素、tert-ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、1−ナフタレンメトキシカルボニル基、2−ナフタレンメトキシカルボニル基、トリフルオロアセチル基、p−トルエンスルホニル基またはニトロベンゼンスルホニル基であり、またはR′およびR″が一緒にフタロイル基を形成する、3、4、5、6、7または12記載の製造方法。
【0044】
14.R′およびR″が同一または異なって、水素、ベンジルオキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、1−ナフタレンメトキシカルボニル基、または2−ナフタレンメトキシカルボニル基である、13記載の製造方法。
【0045】
15.光学活性酸触媒が光学活性ルイス酸触媒である、3、4、5、6、7または12記載の製造方法。
【0046】
16.光学活性ルイス酸触媒が、ビフェニル誘導体、1,1’−ビナフトール誘導体および1,1’−オクタヒドロビナフトール誘導体から選択される光学活性配位子とルイス酸原子とを含む化合物である、15記載の製造方法。
【0047】
17.光学活性ルイス酸触媒が、光学活性配位子とルイス酸原子とを含む化合物であって、その光学活性配位子が、3,3″−[オキシビス(メチレン)]ビス−(1R,1″R)−1,1′−ビ−2−ナフトール、(R)−1,1′−ビナフトール、(R)−3,3′−ジブロモ−1,1′−ビ−2−ナフトール、(R)−6,6′−ジブロモ−1,1’−ビ−2−ナフトール、(R)−5,5′,6,6′,7,7′,8,8′−オクタヒドロ−ビ−2−ナフトール、(R)−若しくは(S)−5,5′,6,6′−テトラメチル−3,3′−ジ−tert−ブチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジオール、(R,R)−若しくは(S,S)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジオール、(1R,2R)−若しくは(1S,2S)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン、ジイソプロピル D−若しくはL−酒石酸、TADDOL、(R)−若しくは(S)−2−(ジフェニルヒドロキシメチル)ピロリジン、(R)−若しくは(S)−3−(1H−インドール−3−イル)−2−(トルエン−4−スルホニルアミノ)−プロピオン酸、(R,R)−若しくは(S,S)−2,2′−ビス(4−tert−ブチル−2−オキサゾリン−2−イル)プロパン、(R,R)−若しくは(S,S)−2,2′−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン−2−イル)プロパンまたは(R)−若しくは(S)−2,2′−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1′−ビナフチルである、15記載の製造方法。
【0048】
18.光学活性ルイス酸触媒が、光学活性配位子とルイス酸原子とを含む化合物であって、その光学活性配位子が、3,3″−[オキシビス(メチレン)]ビス−(1R,1″R)−1,1′−ビ−2−ナフトール、(R)−1,1′−ビナフトール、(R)−3,3′−ジブロモ−1,1′−ビ−2−ナフトール、(R)−6,6′−ジブロモ−1,1′−ビ−2−ナフトール、(R)−5,5′,6,6′,7,7′,8,8′−オクタヒドロ−ビ−2−ナフトールまたは(R)−5,5′,6,6′−テトラメチル−3,3′−ジ−tert−ブチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジオールである、15記載の製造方法。
【0049】
19.ルイス酸原子がホウ素、アルミニウム、チタンまたはイッテルビウムである、16、17または18記載の製造方法。
【0050】
20.(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オン。
【0051】
21.(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オン・オキシムまたは(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オン・O−メチルオキシム。
【0052】
22.−RA1および−RA4−RA10の導入において−RA1の導入後に−RA4−RA10を導入する、5記載の製造方法。
【0053】
23.−RA1および−RA4−RA10の導入において−RA4−RA10の導入後に−RA1を導入する、5記載の製造方法。
【0054】
本明細書では、「ハロ」、「ハロゲン原子」または「ハロゲン」の語はフッ素、塩素、愁訴またはヨウ素を意味する。
「アルキル基」または「アルキル」の語は、炭素数1から10の直鎖若しくは分枝鎖を有する飽和炭化水素鎖および炭素数3から10の飽和環状炭化水素鎖を意味する。直鎖若しくは分枝鎖を有する炭化水素鎖としては、炭素数2から10のものが好ましく、炭素数2から6のものがさらに好ましい。他の好ましい例は炭素数1から6の直鎖若しくは分枝鎖を有するアルキル基であり、特に炭素数1から4のものが好ましい。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イシペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、ヘキシル、イソヘキシル等が含まれる。
【0055】
「アルコキシ基」または「アルコキシ」の語は、炭素数1から10の直鎖若しくは分枝鎖を有するアルキルオキシ基および炭素数3から10の環状アルキルオキシ基を意味する。直鎖若しくは分枝鎖を有する炭化水素鎖としては、炭素数2から10のものが好ましく、炭素数2から6のものがさらに好ましい。他の好ましい例は炭素数1から6の直鎖アルキルオキシ基であり、特に炭素数1から4のものが好ましい。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、イシペントキシ、ネオペントキシ、tert-ペントキシ、ヘキソキシ、およびイソヘキソキシ等が含まれる。
本発明では、「アリール」または「アリール基」としてフェニルおよびナフチルが典型的に使用される。
【0056】
反応スキームを次に示すが、記号は前記と同様である。
【化16】

【0057】
(1)化合物I−dの製造方法
化合物I−dは、化合物I−eと化合物I−fを、塩基の存在下または非存在下、所望により金属触媒を添加して、適当な溶媒中で反応させることにより製造することができる。
塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ金属、水酸化バリウムなどの水酸化アルカリ土類金属、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどの炭酸アルカリ金属、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの炭酸水素アルカリ金属、リン酸カリウムなどのリン酸アルカリ金属、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、メチルピペリジン、ジシクロヘキシルメチルアミンなどのアミン類、またはピリジン、4−ジメチルアミノピリジンなどのピリジン類などを好適に用いることができる。
【0058】
さらに本反応は、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、1,10−フェナントロリン、エチレングリコール、フェニルフェノールなどを添加することにより、より好適に反応が進行する。
【0059】
金属触媒としては、例えばパラジウム触媒および銅触媒が挙げられる。パラジウム触媒としては酢酸パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウムまたはビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムアセテートなどを好適に用いることができる。銅触媒としては、ヨウ化銅、臭化銅、塩化銅、酢酸銅、トリフルオロメタンスルホン酸銅などを好適に用いることができる。
【0060】
また、反応に用いる溶媒としては、反応に影響を与えなければいずれのものも好適に用いることができ、例えば、水;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグリム等のエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert−ブタノール等のアルコール系溶媒;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒等およびこれらの混合物が挙げられる。本反応における好ましい溶媒は、エタノール、ジオキサン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドである。
【0061】
脱離基としては、フッ素、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子や、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基などの置換スルホニルオキシ基が用いられる。
【0062】
(2)化合物I−cの合成
化合物I−cは、化合物I−dに五酸化リンを反応させることにより製造でき、好ましくはこの反応は五酸化リンと共に有機スルホン酸類または有機シロキサン類の存在下で行われる。
本反応で用いられる五酸化リンは脱水剤として用いられる。
【0063】
本反応で五酸化リンと共に用いられる有機スルホン酸類としては、常温で液体である脂肪族スルホン酸や芳香族スルホン酸が含まれ、その具体例としては、例えば、アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などが含まれ、なかでも、C1−4アルキル−スルホン酸が好ましく、その例としては、たとえば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸などが含まれる。
【0064】
本反応で五酸化リンとともに用いられる有機シロキサン類の具体例としては常温で液体のもの、例えば、ポリアルキルシロキサン(例、ヘキサメチルジシロキサンなど)などが含まれる。
【0065】
有機スルホン酸類として特に好ましくはメタンスルホン酸が、有機シロキサン類として特に好ましくはヘキサメチルジシロキサンがそれぞれ包含される。
【0066】
本発明においては、五酸化リンおよびメタンスルホン酸からなるイートン試薬(Eaton's reagent)を用いるのが最も好ましい。
【0067】
本反応においては、五酸化リンを用いることが必須である。
【0068】
五酸化リンと共に好適に用いられる有機スルホン酸類または有機シロキサン類は通常液状のものを使用するので、本反応は有機溶媒を用いずに、反応させることができる。本発明方法においては、有機スルホン酸類もしくは有機シロキサン類が液状のものであっても、操作を簡単にし、反応を促進させるためさらに溶媒を用いてもよい。又、有機スルホン酸類もしくは有機シロキサン類が液状でない場合には、溶媒が用いられる。該溶媒としては、例えば、芳香族炭化水素類(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン系炭化水素(例、クロルベンゼン、トリフルオロメチルベンゼンなど)、エーテル類(例、アニソール、ジエチルグリコール、ジエチルエーテル、ジメチルエーテルなど)、ニトリル類(例、ベンズニトリルなど)、エステル類(例、ブチルアセテートなど)などが挙げられる。なかでも、芳香族炭化水素類が好ましく、特に、トルエン、キシレンが好ましい。
【0069】
本反応における脱水剤の使用量は、化合物I−dに対して、約1〜10当量、好ましくは、約2〜4当量用いられる。有機スルホン酸類もしくは有機シロキサン類の使用量は、化合物I−dに対して、約15〜40当量、好ましくは、約20〜30当量用いられる。
【0070】
本反応は、加熱下に行なうと好都合である。加熱温度は、約50〜120℃、好ましくは、約60〜100℃、さらに好ましくは、約65〜75℃で行なわれる。本発明方法の反応時間は、約15分〜7時間、好ましくは約2〜4時間である。本反応は、撹拌下に行うのが好ましい。
【0071】
(3)化合物I−bの合成
化合物I−bは、通常オキシム生成に用いられる方法を用いて製造でき、例えば、化合物I−cに、ヒドロキシルアミンの塩またはフリー体を、適当な溶媒中で作用させることにより製することができる。
ヒドロキシルアミンとの反応は、ヒドロキシルアミンそのものまたはヒドロキシルアミン塩を反応系中で中和して新しく調製したヒドロキシルアミンが用いられる。
ヒドロキシルアミン塩の例としては、鉱酸(例えば塩酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸)や有機酸(例えば酢酸、シヨウ酸、トリクロロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸)との塩が含まれる。
【0072】
ヒドロキシルアミン塩を中和する塩基は、塩基性物質であればいずれを使用してもよいが、無機塩基(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム)や有機塩基〔1級アミン(例えば、メチルアミン、エチルアミン、アニリン)、2級アミン(例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン)、3級アミン(例えば、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアニリン、ジイソブチルメチルアミン)塩基性ヘテロ環(例えば、ピリジン、ピペリジン、モルホリン、2−メチルピリジン、2,6−ルチジン)〕を用いることができる。
【0073】
ヒドロキシルアミン塩は、その入手性から上市されているヒドロキシルアミン塩酸塩、ヒドロキシルアミン硫酸塩を用いることが好ましい。
【0074】
中和に用いる塩基は、ピリジン、酢酸ナトリウムなどが好ましい。
【0075】
又、ヒドロキシルアミンは、フリー体の形で水溶液として入手することができる。本反応にこの水溶液を用いてもよい。
ヒドロキシルアミンが溶解する溶媒であれば、いずれの溶媒を使用してもよい。例えば酢酸エチル、n−ヘプタン、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、ブタノール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、ジオキサン、2−メトキシ−プロパノール、エーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、酢酸、水、ジグリムが挙げられるが、ヒドロキシルアミンと溶媒が反応して不純物を生成しない点で、メタノール、エタノール、酢酸エチル、n-ヘプタン、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、水あるいはこれらの混合溶媒が好ましい。
【0076】
反応温度は、−10℃〜100℃で行うが、好ましくは、0℃〜60℃、更に好ましくは、40℃〜50℃である。
【0077】
反応時の液性は、中性または塩基性が好ましい。その中でもpHが7.0〜14.0が好ましく、8.0〜12.0が更に好ましい。
【0078】
(4)化合物I−aまたはその塩の製造方法
化合物I−aまたはその塩は、化合物I−bを還元し、次いで所望により造塩操作により製造される。
【0079】
還元は、適当な溶媒中、水素雰囲気下にパラジウム触媒を用いて還元することにより行われる。
【0080】
パラジウム触媒としては、パラジウム炭素、塩化パラジウムなどのパラジウムのハロゲン化物、酢酸パラジウムなどのパラジウムの有機酸塩などがあげられ、パラジウム炭素が好ましい。
【0081】
還元は、中圧条件下(1〜50気圧)で行われることが好ましく、2〜30気圧で行われることがより好ましく、5〜25気圧で行われることがもっとも好ましい。
【0082】
還元は、0℃〜80℃で行われることが好ましく、25℃〜50℃で行われることがより好ましい。
【0083】
反応に用いる溶媒としては、反応に影響を与えなければいずれのものも好適に用いることができ、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグリム等のエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert−ブタノール等のアルコール系溶媒;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒等またはこれらの混合物が含まれる。本反応における好ましい溶媒は、エタノール、イソプロピルアルコール、ジオキサン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミドである。
【0084】
所望により行われる造塩操作は、造塩剤を加えることにより簡単に製造することができる。また、得られた塩は濾取するか、溶媒を留去することにより回収することができる。
【0085】
造塩剤は酸性物質であればいずれでもよく、適当な塩の例は文献(ベルゲら、J. Pharm. Sci., 66:1-19(1977))に概説されている。塩として、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、酢酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、グルコン酸塩、コハク酸塩、ピルビン酸塩、蓚酸塩、オキサロ酢酸塩、サッカラート、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩およびp−トルエンスルホン酸塩が含まれる。
【0086】
(5)化合物Iの製造方法
化合物Iまたはその薬学的に許容される塩は化合物I−aまたはその塩に、−RA5、−RA1および−RA4−RA10をそれぞれ導入し、所望により続いて薬学的に許容される塩に変換することにより製造することができる。ここで−RA5、−RA1および−RA4−RA10の導入順序は必ずしも特定されない。
化合物Iはまた、化合物I−aまたはその塩に−RA5を導入し、それから−RA1および−RA4−RA10をそれぞれ導入して製造することもできる。ここで、−RA1および−RA4−RA10の導入順序は必ずしも特定されない。
さらに化合物Iは、化合物I−aまたはその塩に−RA5を導入し、それから−RA1を導入し、そして−RA4−RA10を導入して製造することもできる。
さらに化合物Iは、化合物I−aまたはその塩に−RA5を導入し、それから−RA4−RA10を導入し、そして−RA1を導入して製造することもできる。
【0087】
なお、上述した化合物Iの化合物の製法において、化合物に含まれる官能基の保護・脱保護が必要な場合には、慣用の方法により、適宜保護することができる。保護基およびそれらの使用に関する一般的な説明は、グリーン、「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」、ジョン・ウイレー&サンズ社、ニューヨーク、1991に記載されている。
【0088】
化合物Iにおいて、記号はWO2005/095409記載の定義と同一である。但し、RA1、RA4、RA5およびRA10は各々WO2005/0954095記載のR、R、RおよびR10の定義と同一である。
【0089】
−RA4−RA10、−RA1、−RA5の導入は、WO2005/095409第56頁第16行目〜第89頁第14行目記載の方法によって導入することができる。
【0090】
−RA4−RA10の導入は、下式
A10−RA4−ZA1
(式中、ZA1は脱離基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する。)
で示される化合物を用いて行うことができる。
【0091】
導入は、塩基の存在下、適当な溶媒中で行うことができる。
【0092】
脱離基としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基などの置換スルホニルオキシ基が含まれる。
【0093】
塩基としては、慣用の塩基を用いることができ、例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの水素化アルカリ金属;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ金属;水酸化バリウムなどの水酸化アルカリ土類金属;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどの炭酸アルカリ金属;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの炭酸水素アルカリ金属;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、メチルピペリジン、ジメチルアニリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネンなどのアミン類;ヨウ素化テトラブチルアンモニウム;ピリジン、ジメチルアミノピリジンなどのピリジン類などを好適に用いることができる。
【0094】
溶媒としては、反応に影響を与えなければいずれのものも好適に用いることができ、例えば、ペンタン、ヘキサンなどの炭化水素類;ベンゼン、トルエン、ニトロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オンなどのアミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;メタノール、エタノールなどのアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;アセトニトリルなどのニトリル類;水;またはこれらの混合溶媒などが含まれる。
【0095】
本反応は、冷却下から加熱下、好ましくは−78℃〜200℃、より好ましくは−30℃〜100℃で行うことができる。
【0096】
−RA5の導入は、例えば、下式
A5−ZA4
(式中、ZA4は脱離基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する。)
で示される化合物を用いることにより、行うことができる。
【0097】
脱離基の例としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子や、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基などの置換スルホニルオキシ基が含まれる。
【0098】
本反応は、適当な溶媒中(例えば、トルエン、1,4−ジオキサン、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン等)、塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン等)の存在下、または非存在下、室温から加熱下に行うことができる。
【0099】
また、本反応は所望により、塩基(例えば、ナトリウムtert−ブトキシド)の存在下、パラジウム触媒(例えば、酢酸パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム)およびホスフィン類〔例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、2,2‘−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル〕を添加し、室温または所望により加熱して行うことができる。
【0100】
−RA1の導入は、例えば、下式
A1−ZA5
(式中、ZA5は脱離基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する。)
で示される化合物を用いることにより、行うことができる。
導入は塩基の存在下適切な溶媒中で行うことができる。
脱離基の例としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子や、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基などの置換スルホニルオキシ基およびイミダゾリル基やN−メチルイミダゾリル基等のイミダゾリル基が含まれる。
塩基としては、慣用の塩基を用いることができ、例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの水素化アルカリ金属;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ金属;水酸化バリウムなどの水酸化アルカリ土類金属;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどの炭酸アルカリ金属;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの炭酸水素アルカリ金属;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、メチルピペリジン、ジメチルアニリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネンなどのアミン類;ピリジン、ジメチルアミノピリジンなどのピリジン類などを好適に用いることができる。
【0101】
溶媒としては、反応に影響を与えなければいずれのものも好適に用いることができ、例えば、ペンタン、ヘキサンなどの炭化水素類;クロロベンゼン、ベンゼン、トルエン、ニトロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オンなどのアミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;メタノール、エタノールなどのアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;アセトニトリルなどのニトリル類;水;またはこれらの混合溶媒などが含まれる。
本反応は、冷却下から加熱下、好ましくは−78℃〜200℃、より好ましくは−30℃〜100℃で行うことができる。
【0102】
−RA1が−COXRA11(ここでXは−O−または−NH−)の場合、−RA1は例えばまた、カルボニル化剤をテトラヒドロキノリン構造の1−アミノ基と反応させて活性化誘導体を得た後、その活性化誘導体をRA11-X-Hと反応させて導入することができる。
カルボニル化剤とテトラヒドロキノリン構造の1−アミノ基との反応は塩基の存在下若しくは非存在下に、適切な溶媒中で行うことができる。
カルボニルジイミダゾール、ホスゲン、トリホスゲン、4−ニトロフェニルクロロ蟻酸エステル等の慣用的なカルボニル化剤を使用することができる。
溶媒としては、反応に影響を与えなければいずれのものも好適に用いることができ、例えば、ペンタン、ヘキサンなどの炭化水素類;クロロベンゼン、ベンゼン、トルエン、ニトロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オンなどのアミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;メタノール、エタノールなどのアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;アセトニトリルなどのニトリル類;水;またはこれらの混合溶媒などが含まれる。
【0103】
塩基としては、慣用の塩基を用いることができ、例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの水素化アルカリ金属;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ金属;水酸化バリウムなどの水酸化アルカリ土類金属;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどの炭酸アルカリ金属;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの炭酸水素アルカリ金属;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、メチルピペリジン、ジメチルアニリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネンなどのアミン類;ピリジン、ジメチルアミノピリジンなどのピリジン類などを好適に用いることができる。
本反応は、冷却下から加熱下、好ましくは−78℃〜200℃、より好ましくは−30℃〜100℃で行うことができる。
続く活性化誘導体とRA11-X-Hとの反応は、カルボニル化剤とテトラヒドロキノリン構造の1−アミノ基との反応と同様に行うことができる。
−RA1の導入はまた、例えばWO2005/095409に記載のとおり、適宜、アルカノイル化、アルコキシカルボニル化、アルキル化等を適宜行うことにより可能である。
化合物Iは所望によりその薬学的に許容される塩に変換してもよい。
その薬学的に許容される塩への変換は造塩剤を添加することで容易に行い得る。得られた塩は濾取または溶媒の留去により回収することができる。
【0104】
(6)化合物IIの製造方法
化合物II、そのプロドラッグ、または化合物II若しくはプロドラッグの薬学的に許容される塩は化合物I−aまたはその塩に、−RB1、−COORB4および−RB3を、それぞれ導入し、所望により、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、エナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオマー、またはジアステレオマー混合物に変換することにより製造することができる。
【0105】
なお、上述した化合物IIの化合物の製法において、化合物に含まれる官能基の保護・脱保護が必要な場合には、慣用の方法により、適宜実施することができる。保護基およびそれらの使用に関する一般的な説明は、グリーン、「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」、ジョン・ウイレー&サンズ社、ニューヨーク、1991に記載されている。
【0106】
化合物IIにおいて、記号はWO00/17164に記載の定義と同一である。但し、RB1、Y、W、X、Z、RB3、Q、V、RB4、QB1、VB1およびRB4は各々WO00/17164記載のR、Y、W、X、Z、R、Q、V、R、Q、VおよびRの定義と同一である。
【0107】
−RB1、−COORB4および−RB3の導入は、WO00/17164の第35頁第12行目〜第60頁第22行目記載の方法により実施することができる。
【0108】
−RB1の導入は、例えば、リチャード ラロック著、コンプリヘンシブ オーガニック トランスフォーメーションズ、VCH パブリッシャーズ社、ニューヨーク、1989(Richard Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers Inc., New York, 1989)およびジェリー マーチ著、アドバンスド オーガニック ケミストリー、ジョン・ウイレー&サンズ社、ニューヨーク、1985(Jerry March, Advanced Organic Chemistry, John Wiley & Sons, New York, 1985)に記載されている常法に従って実施できる。
より具体的には、適切なカルボニルクロリド、スルホニルクロリド、スルフィニルクロリド、イソシアネートまたはチオイソシアネートを、非プロトン性極性溶媒(好ましくはジクロロメタン)中に塩基(好ましくはピリジン)存在下で、約−78℃〜約100℃の温度で(好ましくは0℃で開始し室温まで温める)1〜24時間(好ましくは12時間)反応させることにより実施することができる。
【0109】
−COORB4の導入は、例えば、適切な活性炭酸エステル(クロロホルメート、ジカーボネートまたはカルボニルジイミダゾール、次いで適切なアルコール)を、極性溶媒(好ましくはジクロロメタン)中に過剰量のアミン塩基(好ましくはピリジン)存在下で、約−20℃から約40℃(好ましくは室温)の温度下で、1〜24時間(好ましくは12時間)反応させることにより実施することができる。
【0110】
−RB3の導入は、例えば、活性カルボン酸を反応させることによりアミドを形成し、次いでテトラヒドロフランなどのエーテル性溶媒中ボランを反応させることによりアミドを還元することにより実施することができる。
そのプロドラッグ、またはその化合物若しくはプロドラッグの薬学的に許容される塩への変換はWO00/17164中に記載されている。
【0111】
(7)化合物IIIの製造方法
化合物III、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、エナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオマー、またはジアステレオマー混合物は化合物I−aまたはその塩に、−(CHRC6−Y−RC1、−RC4aおよび−RC4bを、それぞれ導入し、所望により、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、エナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオマー、またはジアステレオマー混合物へ変換することにより製造することができる。
【0112】
なお、上述した化合物Iの化合物の製法において、化合物に含まれる官能基の保護・脱保護が必要な場合には、慣用の方法により、適宜保護・脱保護することができる。保護基およびそれらの使用に関する一般的な説明は、グリーン、「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」、ジョン・ウイレー&サンズ社、ニューヨーク、1991に記載されている。
【0113】
化合物IIIにおいて、記号はWO2006/012093記載の定義と同一である。但し、Y、RC1、RC7、RC8、RC11、RC12、RC4a、RC10およびRC4bは各々WO2006/012093記載のY、R、R、R、R11、R12、R4a、R10およびR4bの定義と同一である。
【0114】
−(CHRC6−Y−RC1、−RC4aおよび−RC4bの導入は、WO2006/012093第22頁第1行目〜第35頁第5行目記載の方法により実施することができる。
【0115】
−(CHRC6−Y−RC1の導入は、例えば、適切に置換されたクロロギ酸アリールまたはアルキルを、ピリジンなどの有機塩基の存在下で反応させることにより実施することができる。
【0116】
−RC4aの導入は、例えば、メシレ-ト、トシレートまたはブロミドなどの活性化ヘテロアリール基質を、塩基の存在下で反応させることにより実施することができる。
【0117】
塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属;水酸化バリウム等の水酸化アルカリ土類金属;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸アルカリ金属;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素アルカリ金属;リン酸カリウム等のアルカリ金属リン酸塩;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、メチルピペリジン、ジシクロヘキシルアミン等のアミン類;ピリジン、ジメチルアミノピリジン等のピリジン類等を好適に用いることができる。
−RC4bは、例えば、そのアミノ基をベンズアルデヒドと反応させてシッフ塩基を調製し、次いで該塩基をテトラヒドロフランやメタノール等の適切な溶媒中で水素化ホウ素ナトリウムのような還元剤で還元して導入することができる。
その薬学的に許容される塩、溶媒和物、エナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオマー、またはジアステレオマー混合物への変換はWO2006/012093に記載されている。
【0118】
(8)化合物I−hの製造方法
化合物I−hはプロピリデン−(4−トリフルオロメチルフェニル)アミン若しくはその等価体と、任意で保護された式I−gのビニルアミンとを、光学活性酸触媒の存在下適切な溶媒中で不斉環化反応させることにより製造できる。
溶媒としては、反応に影響を与えなければいずれのものも好適に用いることができ、例えば、水;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類;メタノール、エタノールイソプロピルアルコール、tert-ブタノール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチルなどのエステル類;アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒またはそれらの混合物が含まれる。本反応では、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミドおよびジメチルスルホキシドが好ましい。
一般に反応温度は−100℃から100℃の範囲、好ましくは−100℃から室温の範囲に調節される。高い立体選択性を達成するためには低温が好ましい。
プロピリデン−(4−トリフルオロメチルフェニル)アミンの等価物の例には(1−ベンズトリアゾール−1−イルプロポキシ)-(4−トリフルオロメチルフェニル)-アミンが含まれる。
【0119】
光学活性酸触媒の例としては、光学活性ルイス酸触媒または光学活性ブレンステッド酸触媒が含まれる。
良好な触媒活性と立体選択性を有するいずれの種も光学活性ブレンステッド酸触媒として使用することができ、当該触媒の例としてはTADDOL、(R)または(S)-1,1′−ビ−ナフチル−2,2′-ジイルリン酸水素エステル、およびカンファースルホン酸が含まれる。
【0120】
TADDOLは、下式
【化17】

(式中、XD1とXD2はヒドロキシ基、RD1、RD2、RD3およびRD4は同一または異なって、ハロゲン原子、ニトロ基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、およびハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基から独立して選択される1個または2個の置換基で任意に置換されたアリール基、RD5およびRD6は同一または異なって、アルキル基、フェニル基およびナフチル基から独立して選択される置換基であって、またRD5およびRD6は、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アルコキシ基、アリール基、およびアリールオキシ基から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい。)
で示される化合物の一般語である。
光学活性ブレンステッド酸触媒の中で、(R)−若しくは(S)−1,1′−ビナフチル−2,2′−ジイルリン酸水素エステル、カンファースルホン酸、およびRD5およびRD6がメチル基、XD1およびXD2がヒドロキシ基、RD1、RD2、RD3およびRD4がナフチル基であるTADDOLが好ましい。
【0121】
光学活性ルイス酸触媒の例としては光学活性配位子とルイス酸原子を含む化合物が包含される。
ルイス酸原子としては、例えば、ホウ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、マグネシウム、イッテリビウム、スカンジウム、サマリウム、銅、銀、鉄、パラジウム等が含まれるが、中でもホウ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、イッテリビウム、スカンジウム、銅およびパラジウムが好ましい。ホウ素、アルミニウム、チタンおよびイッテリビウムがさらに好ましく、ホウ素が特に好ましい。
良好な触媒活性と立体選択性を有するいずれの種も光学活性配位子として用い得るが、その配位子の例としてはビフェノール誘導体、1,1′−ビナフトール誘導体、1,1′−オクタヒドロビナフトール誘導体、1,2−エタンジオール誘導体、エチレンジアミン誘導体、酒石酸誘導体、ビスビナフトール誘導体、TADDOL、プロリノール誘導体、α-アミノ酸誘導体、2,2′−ビスオキサゾリニルプロパン誘導体、BINAP誘導体等が含まれる。
【0122】
1,1′−ビナフトール誘導体としては任意の置換1,1′−ビナフトールが用いられる。好ましくは、下記の一般式
【化18】

(式中、RE1およびRE2は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、1〜6個のハロゲン原子で任意に置換されたアルキル基、または1〜6個のハロゲン原子で任意に置換されたアルコキシ基;RE3およびRE4は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、1〜6個のハロゲン原子で任意に置換されたアルキル基、1〜6個のハロゲン原子で任意に置換されたアルコキシ基、または(アルキル基、1〜6個のハロゲン原子で置換されたアルキル基およびヒドロキシ基から独立して選択される1〜5個の置換基で任意に置換された)フェニル基を表す。)
の化合物が1,1′−ビナフトール誘導体として用いられる。さらに好ましくは、(R)−1,1′−ビナフトール、(R)−3,3′−ジブロモ−1,1′−ビ−2−ナフトールおよび(R)−6,6′−ジブロモ−1,1′−ビ−2−ナフトールが使用される。
【0123】
1,1′−オクタヒドロビナフトール誘導体としては任意の置換1,1′−ビナフトール誘導体が用いられる。好ましくは下記の一般式
【化19】

(式中、RE5およびRE6は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、1〜6個のハロゲン原子で任意に置換されたアルキル基、1〜6個のハロゲン原子で任意に置換されたアルコキシ基、または(アルキル基、ヒドロキシ基、および1〜6個のハロゲン原子で置換されたアルキル基から独立して選択される1〜5個の置換基で任意に置換された)フェニル基を表す。)
の化合物が1,1′−オクタヒドロビナフトール誘導体として用いられる。さらに好ましくは、(R)−5,5′,6,6′,7,7′,8,8′−オクタヒドロ−ビ−2−ナフトールが使用される。
【0124】
ビフェノール誘導体としては任意の置換ビフェノール誘導体が用いられる。好ましくは下記の一般式
【化20】

(式中、RE8、RE9、RE10、RE11、RE12およびRE13は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、1〜6個のハロゲン原子で任意に置換されたアルキル基または1〜6個のハロゲン原子で任意に置換されたアルコキシ基;RE7およびRE14は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、1〜6個のハロゲン原子で任意に置換されたアルキル基、1〜6個のハロゲン原子で任意に置換されたアルコキシ基、(アルキル基、ヒドロキシ基、および1〜6個のハロゲン原子で置換されたアルキル基から独立して選択される1〜5個の置換基で任意に置換された)フェニル基を表す。)
の化合物がビフェノール誘導体として用いられる。さらに好ましくは、(R)−若しくは(S)−5,5′,6,6′−テトラメチル−3,3′−ジ−tert−ブチル−1,1′−ビフェニール−2,2′−ジオールが使用される。特に好ましくは、(R)−5,5′,6,6′−テトラメチルl−3,3′−ジ−tert−ブチル−1,1′−ビフェニール−2,2′−ジオールがビフェノール誘導体として使用される。
【0125】
1,2−エタンジオール誘導体としては任意の置換1,2−エタンジオール誘導体が用いられる。好ましくは(R,R)−若しくは(S,S)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジオールが1,2−エタンジオール誘導体として用いられる。
エチレンジアミン誘導体としては任意の置換エチレンジアミン誘導体が用いられる。好ましくは(1R,2R)−若しくは(1S,2S)−1,2−ジフェニルエチレンジアミンがエチレンジアミン誘導体として用いられる。
酒石酸誘導体としては任意の置換酒石酸誘導体が用いられる。好ましくはジイソプロピルD−若しくはL−酒石酸が酒石酸誘導体として用いられる。
【0126】
ビスナフトール誘導体としては例えば、3,3″−[オキシビス(メチレン)]−(1R,1″R)−1,1′−ビ−2−ナフトールが含まれる。″
プロリノール誘導体としては任意の置換プロリノール誘導体が用いられる。好ましくは(R)−若しくは(S)−2−(ジフェニルヒドロキシメチル)ピロリジンがプロリノール誘導体として用いられる。
α-アミノ酸誘導体としては任意の置換α-アミノ酸誘導体が用いられる。好ましくは(R)−若しくは(S)−3−(1H−インドール−3−イル)−2−(トルエン−4−スルホニルアミノ)−プロピオン酸がα-アミノ酸誘導体として用いられる。
【0127】
2,2′−ビスオキサゾリニルプロパン誘導体としては任意の置換2,2′−ビスオキサゾリニルプロパン誘導体が用いられる。好ましくは(R,R)−若しくは(S,S)−2,2′−ビス(4−tert−ブチル−2−オキサゾリン−2−イル)プロパンまたは(R,R)−若しくは(S,S)−2,2′−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン−2−イル)プロパンが2,2′−ビスオキサゾリニルプロパン誘導体として用いられる。
BINAP誘導体としては任意の置換BINAP誘導体が用いられる。好ましくは(R)−若しくは(S)−2,2′−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1′−ビナフチルがBINAP誘導体として用いられる。
【0128】
上記の光学活性配位子のヒドロキシル基、アミノ基およびスルホニルアミノ基は上記のルイス酸原子にそれぞれヒドロキシアニオン、アミノアニオンおよびスルホニルアミノアニオンとして配位することができる。
上記の光学活性配位子は上記のルイス酸原子に対して1:1以外の比率で配位することもできる。
光学活性ルイス酸触媒は光学活性配位子、ルイス酸原子およびを含む化合物を包含することができる。
【0129】
対アニオンの例としては、ハロゲンアニオン、アルコキシアニオン、フェノキシアニオン、酢酸アニオン、トリフルオロ酢酸アニオン、トリフレートアニオン、アルキルアニオン、トリルアニオン、過塩素酸アニオン等が含まれる。中でも、ハロゲンアニオン、アルコキシアニオン、フェノキシアニオン、トリフレートアニオン、アルキルアニオンおよびトリルアニオンが好ましい。ハロゲンアニオン、アルコキシアニオン、フェノキシアニオンおよびトリフレートアニオンがさらに好ましい。
光学活性酸触媒の量は基質1当量に対して0.01〜1当量、好ましくは0.05〜0.5当量である。
【0130】
化合物I−gの任意で保護されたビニルアミンにおけるアミノ保護基はアミノ基の保護に慣用的に使用される保護基から選択することができ、それら保護基はグリーン、「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」、ジョン・ウイレー&サンズ社、ニューヨーク、1991に記載されている。好ましくは、tert−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、1−ナフタレンメトキシカルボニル基、2−ナフタレンメトキシカルボニル基等のカルバメート保護基;トリフルオロアセチル基のようなアミド保護基;フタロイル基のようなイミド保護基;p−トルエンスルホニル基、ニトロベンゼンスルホニル基のようなスルホンアミド保護基等が使用される。より好ましくは、ベンジルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、1−ナフタレンメトキシカルボニル基、2−ナフタレンメトキシカルボニル基およびフタロイル基が使用される。
化合物I−hから化合物I−aを製造する際の脱保護工程はグリーン、「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」、ジョン・ウイレー&サンズ社、ニューヨーク、1991に記載されている慣用的方法で行い得る。
造塩操作は上記(4)に従い、塩形成剤を添加することで容易に達成することができる。生成した塩は濾過または溶媒の留去により回収できる。
【発明の効果】
【0131】
本発明の製造方法はCETP阻害活性を有し、HDLコレステロール増加作用およびLDLコレステロール低下作用を示す光学活性なテトラヒドロキノリン誘導体およびその合成中間体を効率的に製造するのに有用である。
【0132】
即ち、本発明の製造方法によれば、光学分割および/または官能基の保護・脱保護を経ず少ない工程で光学活性なテトラヒドロキノリン誘導体および合成中間体の化合物I−aを製造できる。
また、本発明の製造方法によれば、バルキーな置換基がない(R)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニルアミノ)−吉草酸を立体選択的に環化させることができる。
更に、本発明の製造方法によれば、(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オン・オキシムまたは(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オン・O−アルキルオキシムを立体選択的に還元して所望の化合物I−aを製造することができる。
さらに、光学活性酸触媒存在下でプロピリデン-(4−トリフルオロメチルフェニル)アミン若しくはその等価体と任意で保護されたビニルアミンとの立体選択的環化反応を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0133】
以下に実施例および参考例を挙げて本発明の化合物の製造方法を説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0134】
実施例1
(1)(R)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニルアミノ)−吉草酸
【化21】

1−ブロモ−4−トリフルオロメチルベンゼン(2530g、11.24mol)と(R)−3−アミノ吉草酸(659g、5.63mol)をN,N−ジメチルホルムアミド(12L)に溶解し、ヨウ化銅(210g、1.10mol)と炭酸カリウム(2330g、16.86mol)を加えて、窒素密閉下、100〜120℃で約60時間撹拌した。反応終了後、反応液を外浴60〜70℃で減圧濃縮、水(6.0L)で残渣を溶解し、濃塩酸でpH約5.0に調整した。酢酸エチル(6.0L)を加えて撹拌後、ろ過して酢酸エチル(2.4L)で洗浄した。ろ過液を分液し、水層を酢酸エチル(3.6L)で抽出した。有機層を併せ、25%アンモニア水(3.0L)と水(3.0L)を加えて抽出した。水層を濃塩酸でpH約5.0に調整後、酢酸エチル(6.0L)で抽出した。有機層を硫酸マグネシウム(600g)で脱水後、ろ過して酢酸エチル(2.4L)で洗浄した。ろ過液を外浴45〜55℃で減圧濃縮し、残渣にオイル状の標記化合物を得た。生成物は精製単離することなく、次工程に使用した。
【0135】
(2)(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オン
【化22】

【0136】
五酸化リン(600g)をメタンスルホン酸(6.0L)に40℃以下で溶解し、この溶液を前記実施例1(1)で得た化合物(1200g)に加えて、窒素気流下、65〜75℃で3〜4時間撹拌した。反応終了後、反応液を冷却、40℃以下で12Nの水酸化ナトリウムを滴下し、pH10〜12に調整した。酢酸エチル(6.0L)を加えて撹拌後、ろ過して酢酸エチル(6.0L)で洗浄した。ろ過液を分液し、有機層に25%アンモニア水(1.8L)と水(1.8L)を加えて洗浄した。更に、有機層を水(3.6L)で洗浄後、外浴45〜55℃で減圧濃縮した。残渣に酢酸エチル(1.2L)とn−ヘキサン(4.8L)を加えて50〜70℃で溶解後、同温でn−ヘキサン(4.8L)を滴下した。10℃以下に冷却後、ろ過し、冷却した酢酸エチル/n−ヘキサン=1:20(1.2L)で結晶を洗浄した。湿体を45〜55℃で送風乾燥または減圧乾燥し、標記化合物を得た。収量496g、収率44%。
【0137】
(3)(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オン・オキシム
【化23】

【0138】
前記実施例1(2)で得た化合物(470g)、塩酸ヒドロキシルアミン(671g)、エタノール(7.1L)を順に仕込み、懸濁した。ピリジン(1.4L)を加えて加熱し、2時間還流した。反応終了後、約25℃まで冷却し、溶媒を留去した。残渣にジクロロメタン(14.5L)、1Nの塩酸(7.1L)を加え、分液した。水層のpHが約1であることをpH試験紙で確認した。水層を分離後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(7.1L)を加え分液した。水層のpHが8以上であることをpH試験紙で確認した。水層を分離後、有機層に硫酸マグネシウム(94g)を加えて乾燥した。ろ過後、ろ液を濃縮し、標記化合物の結晶を得た。収量1.32g、収率96%。
【0139】
(4)(2R,4S)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イルアミン・メタンスルホン酸塩
【化24】

【0140】
オートクレーブに前記実施例1(3)で得た化合物(380g)を仕込み、エタノール(2.85L)に溶解後、10%パラジウム炭素(167g)を加え、窒素ガス置換後、水素ガス置換を3回行い40℃、5気圧で16時間の反応を行った。反応終了後、ろ過して、ろ残物をエタノール(1.0L)で2回洗浄し、ろ液を濃縮した。濃縮残渣にイソプロピルアルコール(1.9L)を加えて溶解し、室温下でメタンスルホン酸(141g)を加えて攪拌、結晶が析出後、n−ヘプタン(5.7L)を加えて室温で約3時間攪拌を続けた。析出結晶を濾取し、n−ヘプタン(1.1L)で掛け洗い後、約40℃で減圧乾燥し、標記化合物のメタンスルホン酸塩を得た。収量375g、収率75%。
【0141】
実施例2
(1)(R)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニルアミノ)−吉草酸
【化25】

【0142】
ジメチルスルホキシド(120L)に(R)−3−アミノ吉草酸(12kg)と4−ブロモベンゾトリフルオリド(34.6kg)、ヨウ化銅(3.9kg)、炭酸カリウム(28.3kg)を加えて、窒素密閉下、100〜120℃で48時間撹拌した。反応液を冷却後、水(120L)とトルエン(120L)を加え、濃塩酸でpH3以下に調整後、分液した。水層をトルエン(120L)で抽出し、有機層を併せて水(120L)で洗浄した。有機層に25%アンモニア水(60L)と水(60L)を加えて抽出した。水層を濃塩酸でpH3〜4に調整後、トルエン(120L)で抽出した。ろ過液を外浴30〜70℃で減圧濃縮後、n−ヘプタン(24L)を加えて2回置換濃縮し、残渣にオイル状の標記化合物を得た。生成物は残渣のまま次工程に使用した。MS(APCI)m/z:262[M+H]
【0143】
(2)(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オン
【化26】

【0144】
五酸化リン(13.1kg)をメタンスルホン酸(131L)に加温溶解し、前記実施例2(1)で得た化合物(26.27kg)に加えて、65〜75℃で約3時間撹拌した。反応液を冷却し、10〜50℃を保ちながら水(342L)を滴下後、10℃以下に冷却した。析出結晶をろ過し、水(393L)で洗浄した(洗液のpHが酸性の場合、追加洗浄した)。湿体の結晶に酢酸エチル(26.3L)とn−ヘプタン(105L)を加えて60〜70℃で溶解後、同温でn−ヘプタン(158L)を加えた。45〜50℃で約30分攪拌後、10℃以下に冷却してろ過し、酢酸エチル/n−ヘプタン=1:10(26.3L)で結晶を洗浄した。湿体を50℃以下で減圧乾燥し標記化合物を得た。収量11.5kg、収率47%。MS(APCI)m/z:244[M+H]
【0145】
(3)(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オン・オキシム
【化27】

【0146】
テトラヒドロフラン(111L)に前記実施例2(2)で得た化合物(11.1kg)、硫酸ヒドロキシルアミン(5.62kg)、酢酸ナトリウム(7.49kg)、水(11.1L)を仕込み、45〜50℃で約11時間攪拌した。反応液を冷却し、トルエン(111L)と水(55.5L)を加えて抽出後,有機層に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(55.5L)を加えて分液した。有機層に水(55.5L)を加え洗浄後,飽和食塩水(55.5L)で洗浄した。有機層を減圧濃縮し、残渣にトルエン(22.2L)を加えて2回置換濃縮後,50〜60℃でn−ヘプタン(111L)を加えた。25〜30℃まで冷却して攪拌後、析出結晶をろ過し、n−ヘプタン(22.2L)で結晶を洗浄した。湿体を30℃以下で減圧乾燥して、標記化合物の結晶を得た。収量9.86kg、収率84%。MS(APCI)m/z:259[M+H]
(4)(2R,4S)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イルアミン・メタンスルホン酸塩
【化28】

【0147】
加圧容器に前記実施例2(3)で得た化合物(9.4kg)を仕込み、イソプロピルアルコール(47L)に溶解後、10%パラジウム炭素(57%湿体、2.63kg)を加え、窒素ガス置換後、水素ガス置換を3回行い、約40℃、5気圧で8時間攪拌した。冷却後,パラジウム炭素をろ過し、ろ残物をイソプロピルアルコール(18.8L)で洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、n−ヘプタン(47L)を加えた後、メタンスルホン酸(3.5kg)のイソプロピルアルコール(9.4L)溶液を滴下した。結晶析出を確認後、n−ヘプタン(94L)を加え、20〜30℃で約3時間攪拌した。析出結晶をろ過し、n−ヘプタン(16.5L)とイソプロピルアルコール(2.3L)で洗浄した。湿体を約40℃で減圧乾燥して、標記化合物の結晶を得た(収量:9.45kg、収率:75%)。MS(APCI)m/z:245[M+H],228[M−NH]。
【0148】
実施例3
(1)(R)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニルアミノ)−吉草酸
【化29】

【0149】
(R)−3−アミノ吉草酸・塩酸塩(5.0g)に、4−ブロモベンゾトリフルオリド(10.95g)、ヨウ化銅(1.24g)、炭酸カリウム(13.5g)及びジメチルスルホキシド(50mL)を加えて、窒素置換後、密閉容器にて約110℃で46時間撹拌した。反応液を冷却後、水(50mL)とトルエン(50mL)を加え、濃塩酸(12.5mL)使用し、pH:3〜4に調整後、分液した。水層をトルエン(50mL)で抽出し、有機層を併せて水(50mL)で洗浄した。有機層に28%アンモニア水(50mL)と水(50mL)を加えて転溶した。水層にトルエン(50mL)を加え、濃塩酸(30mL)加え分液した。有機層を外浴約60℃で減圧濃縮後、n−ヘプタン(16.3g)で2回置換濃縮して、残渣にオイル状の標記化合物を得た。目的物は単離精製することなく、次工程に使用した。
【0150】
(2)(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オン
【化30】

【0151】
五酸化リン(4.24g)をメタンスルホン酸(42.35mL)に加温溶解(約40℃)し、前記実施例3(1)で得た化合物(8.47g)に加えて、約70℃で5時間撹拌した。反応液を約10℃に冷却し、冷却しながら10〜50℃で水(110mL)を滴下した。結晶が析出し始めたら30〜50℃で20〜30分を要して残りを滴下し、滴下後10℃以下に冷却した。遠心分離し、結晶を水(127mL)で洗浄した湿体の結晶に酢酸エチル(8.5mL)とn−ヘプタン(34mL)を加えて60〜70℃で溶解後、同温でn−ヘプタン(51mL)を加えた。5〜10℃に冷却した後、固液分離し、冷却した酢酸エチル / n−ヘプタン=1:10(9.3mL)で結晶を洗浄した。湿体を外浴約50℃で減圧乾燥し、標記化合物を得た。収量4.75g、収率60.2%(第1工程よりの通算収率)。
【0152】
実施例4
(1)(2R,4S)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イルアミン
【化31】

(2R,4S)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イルアミン・メタンスルホン酸塩(500mg)をトルエン(2.5ml)に溶解し、水(0.1ml)およびナトリウムtert-ブトキシド(212mg)を加えて、その混合物を80℃で1時間撹拌した。これに水(2.5ml)を加えて混合物を80℃で1.5時間撹拌した。反応液を室温に戻し、有機層を分離した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、標記化合物を得た。
【0153】
(2)(2R,4S)−4−[5−(−4−tert−ブトキシカルボニルブトキシ)ピリミジン−2−イル]−アミノ−2−エチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン
【化32】

5−(2−クロロピリミジン−5−イルオキシ)ペンタン酸 tert−ブチルエステル464mg、酢酸パラジウム26mg、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル81mgをトルエン0.5mlに溶解し、窒素雰囲気下、50℃で1時間撹拌した。反応液を室温に戻した後、反応液に前記実施例4(1)で得た化合物のトルエン溶液9.5mlを加え、室温で15分撹拌した。その後、tert−ブトキシナトリウム310mgを加え、室温で4日間撹拌した。反応液に水と酢酸エチルを加えて分液し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=49:1→17:3→4:1)で精製し、標記化合物537mgを得た。
MS(m/z):495[M+H]
【0154】
実施例5
(2R,4S)−4−[5−(4−tert−ブトキシカルボニルブトキシ)ピリミジン−2−イルアミノ]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボン酸 エチルエステル
【化33】

【0155】
実施例4(2)で得た化合物527mgを、クロロベンゼン3.7mlに溶解し、窒素雰囲気下、クロロ炭酸エチル510μlを10℃で加えた後、ピリジン430μlを内温30℃以下になるように滴下した。室温で1日撹拌した後、クロロ炭酸エチル315μlとピリジン258μlを加え、室温で2時間30分撹拌した。反応液に水と酢酸エチルを加えて分液し、有機層を1N−塩酸と飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=49:1→4:1)で精製し、標記化合物228mgを得た。
MS(m/z):567[M+H]
【0156】
実施例6
(2R,4S)−4−{(3,5−ビス−トリフルオロメチルベンジル)−[5−(4−tert−ブトキシカルボニルブトキシ)ピリミジン−2−イル]アミノ}−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボン酸 エチルエステル
【化34】

【0157】
実施例5で得た化合物228mgを、tert−ブチルメチルエーテル3.4mlに溶解し、窒素雰囲気下、−10℃まで冷却し、テトラブチルアンモニウムヨージド30mg、tert―ブトキシカリウム135mgを加えた後、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルブロマイド184mgのtert−ブチルメチルエーテル溶液1.1mlを内温が−10℃〜−5℃になるように滴下した後、−10℃で2時間撹拌した。反応液に1N−塩酸と酢酸エチルを加えて分液し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=49:1→17:3)で精製し、標記化合物255mgを得た。
MS(m/z):793[M+H]
【0158】
実施例7
(2R,4S)−4−{(3,5−ビス−トリフルオロメチルベンジル)−[5−(4−カルボキシブトキシ)ピリミジン−2−イル]アミノ}−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボン酸 エチルエステル
【化35】

【0159】
実施例6で得た化合物250mgを、酢酸1.5mlに溶解し、5N−塩酸0.5mlを加えて50℃に加熱し、3時間撹拌した。反応液を室温に戻し、水と酢酸エチルを加えて分液し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で3回洗浄した後、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1→1:1)で精製し、標記化合物183mgを得た。MS(m/z):737[M+H]
【0160】
実施例8
(1)(2R,4S)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イルアミン
【化36】

(2R,4S)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イルアミン・メタンスルホン酸塩(3g)をトルエン(15ml)中に溶解し、水(0.6mL)およびナトリウムtert-ブトキシド(1.27g)を加え混合物を80℃で1時間撹拌した後、水(15mL)を加えてその混合物をさらに80℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温に戻し、有機層を分液して飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥、減圧下で濃縮して表記化合物を得た。
【0161】
(2)(2R,4S)−4−(5−モルホリン−4−イルピリジン−2−イルアミノ)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン
【化37】

4−(6−ブロモピリジン−3−イル)−モルホリン(3.16g)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(806mg)および2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(2.2g)をトルエン(60ml)中に溶解し、混合物を窒素雰囲気下50℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温に戻し実施例8(1)で得た化合物をトルエン(10ml)に溶解して加え、混合物を室温で15分間撹拌した。さらにナトリウムtert-ブトキシド(1.86g)を加えてから50℃で終夜撹拌を継続した。反応混合物に水と酢酸エチルを加え、有機層を分液して飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥、減圧下で濃縮して標記化合物を得た。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1→3:2)で精製し、標記化合物(1.1g)を得た。MS (m/z): 407 [M+H]
【0162】
実施例9
(1)(2R,4S)−2−エチル−4−(5−モルホリン−4−イルピリジン−2−イルアミノ)−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボン酸4−ニトロフェニルエステル
【化38】

クロロベンゼン(30ml)に(2R,4S)−4−(5−モルホリン−4−イルピリジン−2−イルアミノ)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン(1.4g)を溶解し、4−ニトロフェニルクロロ蟻酸エステル(3.47g)を加えて、ピリジン(1.4ml)を滴下した。室温で終夜撹拌した後、反応混合物に水とクロロホルムを加えて有機層を分液した。この有機層を1N塩酸と飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し減圧下で濃縮した。得られた残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=17:3→3:2)で精製し、標記化合物(1.08g)を得た。MS (m/z): 572 [M+H]
【0163】
(2)(2R,4S)−2−エチル−4−(5−モルホリン−4−イルピリジン−2−イルアミノ)−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボン酸2−tert−ブトキシカルボニル−2−メチルプロピルエステル
【化39】

実施例9(1)で得られた化合物(300mg)をテトラヒドロフラン(5ml)に溶解し、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピオン酸tert−ブチルエステル(137mg)と水素化ナトリウム(60%;32mg)を加えて50℃で2時間撹拌した。反応混合物を室温に戻し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と酢酸エチルを加えて有機層を分液した。この有機層を飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウム上で乾燥し減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=7:3→2:3)で精製し、標記化合物(227mg)を得た。
MS(m/z):607[M+H]
【0164】
実施例10
(2R,4S)−4−[(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−(5−モルホリン−4−イルピリジン−2−イルアミノ)]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボン酸2−tert−ブトキシカルボニル−2−メチルプロピルエステル
【化40】

上記実施例9(2)で得られた化合物(217mg)をtert−ブチルメチルエーテル(4ml)に溶解し窒素雰囲気下0℃でヨウ化テトラブチルアンモニウム(53mg)を加えた。臭化3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル(164mg)を滴下し、0℃から室温にゆっくりと温度を上げながら溶液を4.5時間撹拌した。反応混合物に1N塩酸と酢酸エチルを加えて有機層を分液し、飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウム上で乾燥し減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=19:1→4:1)で精製し、標記化合物(182mg)を得た。
MS (m/z): 833 [M+H]
【0165】
実施例11
(2R,4S)−4−[(3,5−ビストリフルオロメチルベンジル)−(5−モルホリン−4−イルピリジン−2−イルアミノ)]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボン酸2−カルボキシ−2−メチルプロピルエステル
【化41】

上記実施例10で得られた化合物(178mg)を4N-HCl/ジオキサン(2ml)中に溶解し、室温で2.5時間撹拌した。反応混合物中に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と酢酸エチルを加え、有機層を分液し、飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウム上で乾燥し減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:0→9:1)で精製し、標記化合物(157mg)を得た。
MS (m/z): 777 [M+H]
【0166】
実施例12
(2R,4S)−4−(5−モルホリン−4−イルピリミジン−2−イルアミノ)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン
【化42】

4−(2−クロロピリミジン−5−イル)モルホリン(1.64g)、酢酸パラジウム(150mg)および2,2′−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1′−ビナフチル(460mg)をトルエン(5ml)中に溶解し窒素雰囲気下50℃で30分間撹拌した。混合物を室温に戻し、(2R,4S)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イルアミン(2g)をトルエン(20ml)中に溶解してこれに滴下し、溶液を室温で15分間撹拌した。ナトリウムtert−ブトキシド(1.73g)を加えた後、50℃で終夜撹拌を継続した。反応混合物に水と酢酸エチルを加えて有機層を分液し、飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウム上で乾燥し減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=7:3→2:3)で精製し、標記化合物(1.55g)を得た。
MS (m/z): 408 [M+H]
【0167】
実施例13
(2R,4S)−(2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イル)−カルバミン酸ナフタレン−1−イルメチルエステル
【化43】

4Åモレキュラーシーブ(ペレット状)をいれたソクスレー抽出装置を備えたフラスコにジクロロメタン(35ml)に溶解した(R)−ビナフトール(716mg)を加えた。この溶液にトリメトキシボラン(279μl)を加え、窒素雰囲気下で混合物を2時間加熱還流した。窒素雰囲気下で溶液を濃縮し得られた残渣をジクロロメタンに溶解してキラルホウ素触媒のジクロロメタン溶液(8.0ml)を得た。
ビニルカルバミン酸ナフタレン−1−イルメチルエステル(227mg)をトルエン(2.5ml)とジクロロメタン(1.5ml)との混合物に溶解し、0.4Mのプロピリデン−(4−トリフルオロメチルフェニル)アミン/ジクロロメタン溶液(2.75ml)を加えた。ここへ上記で調製したキラルなホウ素触媒のジクロロメタン溶液(1.6ml)を窒素雰囲気下0℃で30分間かけて滴下した。混合物を同温度で2時間撹拌し、それから室温に戻して終夜撹拌した。反応混合物に0.5NのNaOH水溶液を加えてエーテルで抽出した。有機層を飽和食塩水で二回洗浄し硫酸マグネシウム上で乾燥し減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=19:1→7:3)で精製し、標記化合物(331mg)を得た。
MS (m/z): 429 [M+H]。カラム(CHIRALPAK IB(DAICEL CHEMICAL INDUSTRIES, LTD.)、ヘキサン:エタノール=9:1、流速5ml/MINのHPLCで決定したところ、エナンチオ選択性は96%eeであった。
【0168】
実施例14−16
対応する出発原料から実施例13と同様にして生成物を得た。収率およびエナンチオ選択性は表1に示すとおりであった。
【表1】

【0169】
実施例17
(2R,4S)−(2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イル)−カルバミン酸ナフタレン−1−イルメチルエステル
【化44】

(1−ベンゾトリアゾール−1−イル−プロピル)-(4−トリフルオロメチルフェニル)アミン(352mg)を実施例13と同様に処理して標記化合物(272mg)を得た。MS(m/z):429[M+H]。エナンチオ選択性99%ee。
【0170】
実施例18
(2R,4S)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イル−アミン
【化45】

実施例13で得られた化合物(101mg)をメタノール(2ml)とジクロロメタン(1ml)の混合物に溶解し、10%パラジウム炭素(100mg)を加えてその混合物を水素雰囲気下室温で1時間撹拌した。混合物を濾過して濾液を減圧下で濃縮し残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1→0:1)で精製し、標記化合物(30mg)を得た。MS(m/z):245[M+H]
[α]23:+29.1°(c 1.0,メタノール)。
【0171】
実施例19
(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オン・O−メチルオキシム
【化46】

上記実施例2(2)で得られた化合物(2.43g)、メトキシアミン・塩酸塩(1.25g)、酢酸ナトリウム(1.64g)および水(2.4ml)をテトラヒドロフラン(22ml)に加えて混合物を室温で約48時間撹拌した。トルエン(24ml)と水(12ml)を反応混合物に加えて有機層を分液し水(12ml)と飽和食塩水(12ml)で洗浄した。有機層を減圧下で濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し濃縮して標記化合物を油状残渣(1.92g、収率71%)として得た。
MS(APCI)m/z:273[M+H]
【0172】
(2)(2R,4S)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イル−アミン・メタンスルホン酸塩
【化47】

上記実施例19(1)で得られた化合物(500mg)を耐圧容器に入れ、イソプロピルアルコールに溶解して10%パラジウム炭素(15%湿製品;172mg)を加えた。窒素ガス置換した後、水素ガスで三回置換して5気圧下40℃で4時間その混合物を撹拌した。混合物を冷却し濾過して不溶物をイソプロピルアルコール(1ml)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し残渣にイソプロピルアルコール(1.5ml)を加えて、それからメタンスルホン酸(176mg)をイソプロピルアルコール(0.5ml)に溶解してその溶液に滴下した。沈殿後、混合物にn−ヘプタン(3ml)を加えて20−30℃で約0.5時間撹拌し、さらに氷冷下で0.5時間撹拌した。沈殿した結晶を濾取しn−ヘプタン(0.6ml)とイソプロピルアルコール(0.4ml)で洗浄した。湿生成物を減圧下40℃で乾燥して標記化合物を結晶として得た(532mg、収率85%)。
MS(APCI)m/z:245[M+H]、228[M−NH]。
【0173】
実施例20
(R)−3−(4−トリフルオロメチルフェニルアミノ)−吉草酸
【化48】

(R)−3−アミノ吉草酸エチルエステル(0.5g)、4−ブロモベンゾトリフルオリド(0.62g)、ヨウ化銅(0.053g)、炭酸カリウム(1.14g)および水(0.5ml)をジメチルホルムアミド(5ml)に加え、混合物を窒素雰囲気下に密閉して100℃で3日間撹拌した。混合物を冷却し、水と酢酸エチルを混合物に加え、2N・HClを添加して混合物のpHを3またはそれ以下に調節した。有機層を分液し、硫酸マグネシウム上で乾燥し減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物(0.29g、収率40.3%)を得た。
MS(APCI)m/z:262[M+H]
【0174】
実施例21
(1)(2R,4S)−2−エチル−4−(5−モルホリン−4−イルピリミジン−2−イルアミノ)−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボン酸4−ニトロフェニルエステル
【化49】

上記実施例12で得られた化合物(1.24g)をクロロベンゼン(20ml)に溶解し、4−ニトロフェニルクロロ蟻酸エステル(3.06g)を加えて、これにピリジン(1.03ml)を滴下した。室温で終夜撹拌した後、反応混合物に水とクロロホルムを加え、有機層を分液し、1N・HCl、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し減圧下で濃縮した。得られた残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=17:3→3:2)で精製し、標記化合物(1.35g)を得た。MS (m/z):573[M+H]
【0175】
(2)(2R,4S)−2−エチル−4−(5−モルホリン−4−イルピリミジン−2−イルアミノ)−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボン酸tert−ブトキシカルボニルメチルエステル
【化50】

上記実施例21(1)で得られた化合物(200mg)をテトラヒドロフラン(3ml)に溶解し、ヒドロキシ酢酸tert−ブチルエステル(70mg)と水素化ナトリウム(60%;21mg)を加えて50℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温に戻し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と酢酸エチルを加えて、有機層を分液し、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し減圧下で濃縮した。得られた残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1→3:2)で精製し標記化合物(183mg)を得た。MS (m/z):566[M+H]
【0176】
実施例22
(2R,4S)−4−[(3−シアノ−5−トリフルオロメチルベンジル)−(5−モルホリン−4−イルピリミジン−2−イルアミノ)]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボン酸tert−ブトキシカルボニルメチルエステル
【化51】

上記実施例21(2)で得られた化合物(177mg)を窒素雰囲気下でtert−ブチルメチルエーテル(3ml)に溶解し、溶液を0℃に冷却した。これにヨウ化テトラブチルアンモニウム(46mg)、カリウムtert−ブトキシド(105mg)および3−ブロモメチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリル(124mg)を加え、混合物を2時間撹拌した。1N・HClと酢酸エチルを反応混合物に加えて有機層を分液し、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し減圧下で濃縮した。得られた残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1→3:2)で精製し標記化合物(39mg)を得た。MS (m/z):749[M+H]
【0177】
実施例23
(2R,4S)−4−[(3−シアノ−5−トリフルオロメチルベンジル)−(5−モルホリン−4−イルピリミジン−2−イルアミノ)]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボン酸カルボキシメチルエステル
【化52】

上記実施例22で得られた化合物(37mg)を4N・HCl/ジオキサン(2ml)に溶解し室温で6.5時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と酢酸エチルを反応混合物に加え、有機層を分液し、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=1:0→17:3)で精製し、標記化合物(26mg)を得た。
MS (m/z): 693 [M+H]
【0178】
参考例1
(1)5−ブロモペンタン酸(5g)をテトラヒドロフラン(25ml)に溶解し、窒素雰囲気下、−40℃に冷却した後、トリフルオロ酢酸無水物(7.7ml)を滴下し、−40℃で30分間撹拌した。反応液に−40℃でtert−ブタノール(25ml)を滴下し、徐々に室温まで昇温しながら3時間撹拌した。反応液に水と酢酸エチルを加えて分液し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で3回洗浄した後、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、5−ブロモペンタン酸 tert−ブチルエステル(5.88g)を得た。MS(m/z):237/239[M+H]
【化53】

【0179】
(2)参考例1(1)で得た5−ブロモペンタン酸 tert−ブチルエステル(4.35g)と2−クロロピリミジン−5−オール(2g)をジメチルスルホキシド(8.6ml)に溶解し、炭酸カリウム(2.54g)を加え、40℃で終夜撹拌した。反応液を室温に戻した後、反応液に水と酢酸エチルを加え分液し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=49:1→9:1)で精製し、5−(2−クロロピリミジン−5−イルオキシ)ペンタン酸 tert−ブチルエステル(3.82g)を得た。MS(m/z):287/289[M+H]
【化54】

【0180】
参考例2
4−(6−ブロモピリジン−3−イル)モルホリン
【化55】

モルホリン(2ml)と2−ブロモ−5−ヨードピリジン(7.8g)をトルエン(230ml)に溶解し、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(840mg)、4,5−ビス(ジフェニルホスフィン)−9,9−ジメチルキサンテン(1.6g)およびナトリウムtert−ブトキシド(6.6g)を加えて混合物を窒素雰囲気下室温で終夜撹拌した。水と酢酸エチルを反応混合物に加え有機層を分液し、飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1→7:3)で精製し、標記化合物(5.07g)を得た。MS(m/z):243/245[M+H]
【0181】
参考例3
(1)2,2−ジメチルマロン酸tert−ブチルメチルエステル
【化56】

マロン酸tert−ブチルメチル(1g)をテトラヒドロフラン(50ml)に溶解し水素化ナトリウム(60%;500mg)を加えて混合物を0℃で10分間撹拌した。ヨウ化メチル(0.78ml)を混合物に滴下し3時間撹拌を継続した。飽和食塩水と酢酸エチルを混合物に加えて有機層を分液し、硫酸マグネシウム上で乾燥後、減圧濃縮して標記化合物(1.12g)を得た。MS(m/z):147[M+H]
(2)3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピオン酸tert−ブチルエステル
【化57】

2,2−ジメチルマロン酸tert−ブチルメチル(1.12g)をテトラヒドロフラン(30ml)に溶解し、窒素雰囲気下で1Mのリチウムアルミニウムトリtert−ブトキシド/テトラヒドロフラン溶液(14ml)を15分間かけて滴下し、混合物を2時間還流した。反応混合物を室温に戻し、塩化アンモニウム飽和水溶液と酢酸エチルを加えて有機層を分液し、水と飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウム上で乾燥後、減圧濃縮して標記化合物(800mg)を得た。MS (m/z): 175 [M+H]
【0182】
参考例4
(1)2−ベンジルオキシ−5−ブロモピリミジン
【化58】

5−ブロモ−2−クロロピリミジン(10g)とベンジルアルコール(6.4ml)をN,N−ジメチルホルムアミド(140ml)に溶解し、カリウムtert−ブトキシド(6.96g)を加えて混合物を室温で1.5時間撹拌した。混合物に水を加えて析出した固体を濾取してメタノールで洗浄し乾燥して標記化合物(10.6g)を得た。
MS (m/z): 265/267 [M+H]
【0183】
(2)4−(2−ベンジルオキシ−ピリミジン−5−イル)モルホリン
【化59】

2−ベンジルオキシ−5−ブロモピリミジン(10.3g)とモルホリン(4.1ml)をトルエン(180ml)中に溶解し、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(1.78g)、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル(2.32g)およびナトリウムtert−ブトキシド(4.49g)を加えて混合物を窒素雰囲気下50℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温に戻して水および酢酸エチルを加え、有機層を分液し、飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウム上で乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルとヘキサン中で粉砕し標記化合物(9.12g)を得た。
MS (m/z): 272 [M+H]
【0184】
(3)5−モルホリン−4−イルピリミジン−2−オール・塩酸塩
【化60】

4−(2−ベンジルオキシ−ピリミジン−5−イル)モルホリン(8.4g)に4N・HCl/ジオキサン(100ml)を加えて得られた懸濁液を50℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温に戻し、沈殿した固体を濾取しヘキサンで洗浄し乾燥して標記化合物(7.49g)を得た。MS (m/z): 182 [M+H]
【0185】
(4)4−(2−クロロピリミジン−5−イル)モルホリン
【化61】

5−モルホリン−4−イルピリミジン−2−オール・塩酸塩(7.49g)とジエチルアニリン(11ml)をアセトニトリル(150ml)中に溶解し、塩化ホスホリル(16ml)を10分間で加えて混合物を7.5時間加熱還流した。反応混合物を室温に戻し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液とクロロホルムを加えた。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1→1:1)で精製し、標記化合物(4.6g)を得た。MS(m/z):200/202[M+H]
【0186】
参考例5
ビニルカルバミン酸ナフタレン−1−イルメチルエステル
【化62】

アジ化ナトリウム(5.17g)の水溶液(33ml)に塩化アクリロイル(5.4ml)をトルエン(20ml)に溶解して0℃で滴下し混合物を同温度で45分間撹拌した。混合物を室温まで加温し飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて有機層を飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウム上で乾燥した。得られたトルエン溶液をトルエンで67mlに希釈した。そのトルエン溶液(54ml)をナフタレン−1−イルメタノール(5.67g)、ピリジン(1.45ml)、ヒドロキノン(197mg)およびトルエン(11ml)の混合物に85℃で加え、混合物を同温度で1.5時間撹拌した。反応混合物を室温にまで冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と酢酸エチルを加えて有機層を飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウム上で乾燥して減圧下に濃縮した。イソプロパノールとヘキサンを残渣に加えて不溶物を濾取にて除き濾液を再度減圧下に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1→1:1)で精製し、標記化合物(3.28g)を得た。MS(m/z):245[M+NH
【0187】
参考例6
3−ブロモエチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリル
【化63】

(1)3−ニトロ−5−トリフルオロメチル安息香酸(50g)をテトラヒドロフラン(300ml)に溶解しこれに1.0Mのホウ素-テトラヒドロフラン錯体/テトラヒドロフラン(300ml)を窒素雰囲気下0℃で2時間かけて滴下し、混合物を75℃で1.5時間撹拌する。反応混合物を室温にまで冷却し、減圧下で濃縮してこれに1N塩酸を加え酢酸エチルで抽出する。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥して減圧下に濃縮し、3−ニトロ−5−トリフルオロメチルフェニルメタノールの粗生成物を得る。この生成物をメタノール(500ml)に溶解しこれに10%パラジウム炭素(5g)を添加して混合物を水素雰囲気下室温で終夜撹拌する。触媒を濾過して除き、濾液を減圧下で濃縮して3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェニルメタノールの粗生成物を得る。
臭化銅(II)(53.6g)にアセトニトリル(500ml)を加え、氷冷下に亜硝酸tert−ブチル(35.7ml)を滴下し混合物を窒素雰囲気下で5分間撹拌する。これに対して上記の未精製3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェニルメタノールをアセトニトリル(200ml)に溶解して氷冷下で1時間15分かけて滴下し、混合物を窒素雰囲気下で終夜撹拌する。反応溶液に1N塩酸を加えて混合物を酢酸エチルで抽出する。有機層を1N塩酸、水および飽和食塩水で順次洗浄し硫酸マグネシウム上で乾燥して減圧下に濃縮する。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=7:1→4:1)で精製し、3−ブロモ−5−トリフルオロメチルフェニルメタノール(40.7g)を得る。
NMR (CDCl3): 1.90 (1H,t), 4.76 (2H,d), 7.56 (1H, s), 7.68 (1H, s), 7.72 (1H,s).
【0188】
(2)(3−ブロモ−5−トリフルオロメチルフェニル)メタノール(33.9g)をN,N−ジメチルホルムアミド(400ml)に溶解し、これにシアン化亜鉛(II)(16.39g)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(7.68g)を加えて混合物を窒素雰囲気下120℃で2時間加熱する。反応溶液を室温に戻しセライト(登録商標Celite)で濾過し濾液を減圧下で濃縮する。水を加えてその混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウム上で乾燥して減圧下に濃縮する。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、3−ヒドロキシメチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリル(23.4g)を得る。
NMR (CDCl3): 2.09 (1H,t), 4.85 (2H,d), 7.83 (1H,s), 7.87 (2H,s).
(3)3−ヒドロキシメチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリル(23.4g)を塩化メチレン(230ml)に溶解し、四臭化炭素(42.4g)を加え、続いて氷冷下にトリフェニルホスフィン(32.0g)を加えて混合物を同温度で30分間撹拌する。反応溶液を減圧下で濃縮する。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、3−ブロモメチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリル(25.5g)を得る。
NMR (CDCl3): 4.51 (2H,s), 7.86 (1H,s), 7.88 (2H,s).
【産業上の利用可能性】
【0189】
本発明は、CETPの阻害が奏功する、動脈硬化性疾患、高脂血症若しくは異脂質血症などの疾患の予防および/または治療に有効な光学活性なテトラヒドロキノリン誘導体およびその製造中間体の製造方法として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オン・オキシムまたは(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オン・O−アルキルオキシムを、パラジウム触媒の存在下接触還元し、所望により造塩操作をすることによる式I−a:
【化1】

で示される(2R,4S)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イルアミンまたはその塩の製造方法。
【請求項2】
(a)(R)−3−アミノ吉草酸またはそのアルキルエステルと一般式I−f:
【化2】

(式中、Lは脱離基を意味する)
で示される化合物を反応させ、(R)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニルアミノ)−吉草酸を調製し、
(b)次いで、(R)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニルアミノ)−吉草酸に五酸化リンを反応させることにより(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オンを調製し、
(c)次いで、(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オンを(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オン・オキシムまたは(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オン・O−アルキルオキシムに変換し、
(d)次いで、(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オン・オキシムまたは(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オン・O−アルキルオキシムをパラジウム触媒の存在下接触還元し、所望により造塩操作をすることによる(2R,4S)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イルアミンまたはその塩の製造方法。
【請求項3】
プロピリデン−(4−トリフルオロメチルフェニル)アミン若しくはその等価体と一般式I−g:
【化3】

(式中、R′およびR″は同一または異なって、水素またはアミノ保護基であり、またはR′およびR″は一緒になってアミノ保護基を形成する。)
で示される保護されていてもよいビニルアミンとの光学活性酸触媒存在下における不斉環化反応により、一般式I−h:
【化4】

(式中、記号は上記と同じ)
で示される化合物を調製し、所望により生成物を脱保護し、そして所望により生成物を塩に変換することを含む、(2R,4S)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イルアミンまたはその塩の製造方法。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の方法で(2R,4S)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イルアミンまたはその塩を調製し、次いで−RA5、−RA1および−RA4−RA10をそれぞれ導入し、所望によりその生成物を薬学的に許容される塩に変換することによる、一般式I:
【化5】

〔式中、RA1は、水素原子、置換されていてもよいアルコキシカルボニル基、置換されていてもよいカルバモイル基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルカノイル基、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する飽和または不飽和の単環または二環式の複素環基(該複素環基は置換されていてもよい)、または酸素原子、硫黄原子および窒素原子から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する飽和または不飽和の単環または二環式の複素環カルボニル基(該複素環基は置換されていてもよい)であり;
A4は、置換されていてもよいアルキレン基であり;
A5は、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する飽和または不飽和の単環または二環式の複素環基であり;ここにおいて該複素環基は、以下に記載する基から選ばれる1〜5の置換基で置換されているか、あるいは、該複素環基は以下に記載する基から選ばれる1〜5の置換基に加えてさらにハロゲン原子、オキソ基および/またはヒドロキシ基で置換されており:
シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、炭素数3〜10のアルキル基、置換されたアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、炭素数3〜10のアルコキシ基、置換されたアルコキシ基、置換されていてもよいシクロアルコキシ基、置換されていてもよいアルコキシカルボニル基、置換されていてもよいカルバモイル基、置換されていてもよいカルバミミドイル基、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されていてもよいアルキルスルフィニル基、置換されていてもよいアルキルスルホニル基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいスルファモイル基、置換されていてもよいアルカノイル基、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する飽和または不飽和の単環または二環式の複素環基(該複素環基は置換されていてもよい)、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する飽和または不飽和の単環または二環式の複素環オキシ基(該複素環オキシ基は置換されていてもよい)、および酸素原子、硫黄原子および窒素原子から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する飽和または不飽和の単環または二環式の複素環カルボニル基(該複素環カルボニル基は置換されていてもよい);
A10は、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から独立して選ばれる1〜3個のヘテロ原子を有していてもよい芳香環基(該芳香環基は置換されていてもよい)を表す。〕
で示される化合物もしくはその薬理的に許容しうる塩の製造方法。
【請求項5】
請求項1または2記載の方法で(2R,4S)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イルアミンまたはその塩を調製し、最初に−RA5を導入して、次いで−RA1および−RA4−RA10をそれぞれ導入し、所望によりその生成物を薬学的に許容される塩に変換することによる一般式I:
【化6】

〔式中、RA1は、水素原子、置換されていてもよいアルコキシカルボニル基、置換されていてもよいカルバモイル基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルカノイル基、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する飽和または不飽和の単環または二環式の複素環基(該複素環基は置換されていてもよい)、または酸素原子、硫黄原子および窒素原子から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する飽和または不飽和の単環または二環式の複素環カルボニル基(該複素環基は置換されていてもよい)であり;
A4は、置換されていてもよいアルキレン基であり;
A5は、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する飽和または不飽和の単環または二環式の複素環基であり;ここにおいて該複素環基は、以下に記載する基から選ばれる1〜5の置換基で置換されているか、あるいは、該複素環基は以下に記載する基から選ばれる1〜5の置換基に加えてさらにハロゲン原子、オキソ基および/またはヒドロキシ基で置換されており:
シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、炭素数3〜10のアルキル基、置換されたアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、炭素数3〜10のアルコキシ基、置換されたアルコキシ基、置換されていてもよいシクロアルコキシ基、置換されていてもよいアルコキシカルボニル基、置換されていてもよいカルバモイル基、置換されていてもよいカルバミミドイル基、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されていてもよいアルキルスルフィニル基、置換されていてもよいアルキルスルホニル基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいスルファモイル基、置換されていてもよいアルカノイル基、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する飽和または不飽和の単環または二環式の複素環基(該複素環基は置換されていてもよい)、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する飽和または不飽和の単環または二環式の複素環オキシ基(該複素環オキシ基は置換されていてもよい)、および酸素原子、硫黄原子および窒素原子から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する飽和または不飽和の単環または二環式の複素環カルボニル基(該複素環カルボニル基は置換されていてもよい);
A10は、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から独立して選ばれる1〜3個のヘテロ原子を有していてもよい芳香環基(該芳香環基は置換されていてもよい)を表す〕
で示される化合物もしくはその薬理的に許容しうる塩の製造方法。
【請求項6】
請求項1、2または3記載の方法で(2R,4S)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イルアミンまたはその塩を調製して、−RB1、−COORB4および−RB3をそれぞれ導入し、所望によりその生成物をプロドラッグ、そしてその化合物若しくはプロドラッグの薬学的に許容される塩に変換することによる一般式II:
【化7】

(式中、RB1は水素、Y、W−XまたはW−Yであり;
はカルボニル、チオカルボニル、スルフィニルまたはスルホニルであり;
は−O−Y、−S−Y、−N(H)−Yまたは−N(Yであり;
ここで、各々の場合におけるYは、独立に、Zまたは完全に飽和、部分的に不飽和もしくは完全に不飽和の1ないし10員直鎖もしくは分岐炭素鎖であって、該炭素は、接続炭素以外は、酸素、イオウ及び窒素から独立に選択される1つもしくは2つのヘテロ原子で置き換えられていてもよく、かつ該炭素はハロで一、二、もしくは三置換されていてもよく、該炭素はヒドロキシで一置換されていてもよく、該炭素はオキソで一置換されていてもよく、該イオウはオキソで一もしくは二置換されていてもよく、該窒素はオキソで一もしくは二置換されていてもよく、及び該炭素鎖はZで一置換されていてもよく;
は、酸素、イオウ及び窒素から独立に選択される1つないし4つのヘテロ原子を有していてもよい部分的に飽和、完全に飽和もしくは完全に不飽和の3ないし8員環であるか、または窒素、イオウ及び酸素から独立に選択される1つないし4つのヘテロ原子を有していてもよい二環式環であって、ここでこの二環式環は二つの部分的に飽和、完全に飽和もしくは完全に不飽和の3ないし6員環が融合した二環式環であり;
該Z置換基はハロ、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキル、ヒドロキシ、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルチオ、アミノ、ニトロ、シアノ、オキソ、カルボキシ、(C−C)アルキルオキシカルボニル、モノ−N−(C−C)アルキルアミノおよびジ−N,N−(C−C)アルキルアミノから選択される1〜3の置換基で独立に置換されていてもよく、ここで、該(C−C)アルキル置換基はハロ、ヒドロキシ、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルチオ、アミノ、ニトロ、シアノ、オキソ、カルボキシ、(C−C)アルキルオキシカルボニル、モノ−N−(C−C)アルキルアミノおよびジ−N,N−(C−C)アルキルアミノから選択される1〜3の置換基で独立に置換されていてもよく、該(C−C)アルキル置換基は1ないし9個のフッ素で置換されていてもよく;
B3は水素またはQであり;
ここで、Qは完全に飽和、部分的に不飽和もしくは完全に不飽和の1ないし6員直鎖もしくは分岐炭素鎖であって、接続炭素以外の該炭素は酸素、イオウ及び窒素から選択される1つのヘテロ原子で置き換えられていてもよく、かつ該炭素はハロで独立に一、二もしくは三置換されていてもよく、該炭素はヒドロキシで一置換されていてもよく、該炭素はオキソで一置換されていてもよく、該イオウはオキソで一もしくは二置換されていてもよく、該窒素はオキソで一もしくは二置換されていてもよく、及び該炭素鎖はVBで一置換されていてもよく;
は酸素、イオウ及び窒素から独立に選択される1つないし4つのヘテロ原子を有していてもよい部分的に飽和、完全に飽和もしくは完全に不飽和の3ないし8員環であるか、または窒素、イオウ及び酸素から独立に選択される1つないし4つのヘテロ原子を有していてもよい二環式環であって、ここでこの二環式環は二つの部分的に飽和、完全に飽和もしくは完全に不飽和の3ないし6員環が融合した二環式環であり;
該V置換基はハロ、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、ヒドロキシ、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルチオ、アミノ、ニトロ、シアノ、オキソ、カルボキサモイル、モノ−N−もしくはジ−N,N−(C−C)アルキルカルボキサモイル、カルボキシ、(C−C)アルキルオキシカルボニル、モノ−N−(C−C)アルキルアミノおよびジ−N,N−(C−C)アルキルアミノから選択される1〜3の置換基で置換されていてもよく、ここで、該(C−C)アルキル基または(C−C)アルケニル基はヒドロキシ、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルチオ、アミノ、ニトロ、シアノ、オキソ、カルボキシ、(C−C)アルキルオキシカルボニル、モノ−N−(C−C)アルキルアミノおよびジ−N,N−(C−C)アルキルアミノから選択される1〜3の置換基で置換されていてもよく、該(C−C)アルキル基または(C−C)アルケニル基は1ないし9個のフッ素で置換されていてもよく;
B4はQB1またはVB1であり;
ここで、QB1は完全に飽和、部分的に不飽和もしくは完全に不飽和の1ないし6員直鎖もしくは分岐炭素鎖であって、該炭素は、接続炭素以外は、酸素、イオウ及び窒素から独立して選択される1つのヘテロ原子で置き換えられていてもよく、かつ該炭素はハロで一、二もしくは三置換されていてもよく、該炭素はヒドロキシで一置換されていてもよく、該炭素はオキソで一置換されていてもよく、該イオウはオキソで一もしくは二置換されていてもよく、該窒素はオキソで一もしくは二置換されていてもよく、及び該炭素鎖はVB1で一置換されていてもよく;
B1は酸素、イオウ及び窒素から独立に選択される1つないし2つのヘテロ原子を有していてもよい部分的に飽和、完全に飽和もしくは完全に不飽和の3ないし6員環であり;
該VB1基はハロ、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、(C−C)アルキルオキシカルボニル、モノ−N−(C−C)アルキルアミノおよびジ−N,N−(C−C)アルキルアミノから選択される1〜4の置換基で置換されていてもよく、ここで、該(C−C)アルキル基はオキソで一置換されていてもよく、該(C−C)アルキル基は1ないし9個のフッ素で置換されていてもよく;
ここで、いずれかのRB3はVを含まなければならないか、またはRB4がVB1を含まなければならない)で示される化合物、そのプロドラッグ、または該化合物もしくは該プロドラッグの薬理的に許容し得る塩の製造方法。
【請求項7】
請求項1、2または3記載の方法で(2R,4S)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イルアミンまたはその塩を調製し、−(CHRC6)n−Y−RC1、−RC4aおよび−RC4bをそれぞれ導入して、所望により該生成物をその薬学的に許容される塩、溶媒和物、エナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオマーまたはジアステレオマー混合物に変換することによる一般式III:
【化8】

〔式中、nは、0、1,2または3であり;
は、単結合、C=Oまたは−S(O)tであり;
tは、0、1または2であり;
C1は、ヒドロキシ、(C−C)アルキル、アリール、(C−C)アルケニル、(C−C)ハロアルキル、(C−C)アルキルヘテロサイクリック、(C−C)シクロアルキル、(C−C)アルキルシクロアルキル、(C−C)アルキルアリール、ヘテロサイクリル、(C−C)アルキルアルコール、(C−C)アルコキシ、アリールオキシ、−O(C−C)アルケニル、−O(C−C)ハロアルキル、−O(C−C)アルキルヘテロサイクリック、−O(C−C)シクロアルキル、−O(C−C)アルキルシクロアルキル、−NRC7C8および−O(C−C)アルキルアリール、−O−ヘテロサイクリック、−O(C−C)アルキルヘテロサイクリック、(C−C)アルキル−O−C(O)NRC7C8、(C−C)アルキル−NRC7C(O)NRC7C8、および(C−C)アルキルCOORC11から選ばれる基であり;但し、Yが−S(O)tの場合、RC1はヒドロキシではなく;また、シクロアルキル、アリールおよびヘテロサイクリックは、それぞれオキソ、ヒドロキシ、ハロ、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルキル、(C−C)アルキルアルコール、CONRC11C12、−NRC11SOC12、−NRC11CORC12、(C−C)アルキルNRC11C12、(C−C)アルキルCORC11、(C−C)アルキルCOORC11、シアノ、(C−C)アルキルシクロアルキル、フェニル、−O(C−C)アルキルシクロアルキル、−O(C−C)アルキルアリール、−O(C−C)アルキルヘテロサイクリックおよび(C−C)アルキルアリールから独立して選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく;
C4aは、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキル−CN、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルアルコール、(C−C)ハロアルキル、−OC(O)NRC11C12、(C−C)アルキルNRC11C12(ここでC−C)アルキルは−ORC10または−C(O)ORC10で置換されていてもよい)、(C−C)アルキルNRC11SOC12、(C−C)アルキルC(O)NRC11C12、(C−C)アルキルNRC11C(O)RC12、(C−C)アルキルNRC11C(O)ORC12、(C−C)アルキルNRC11CHRC10CONRC12、(C−C)アルキルCO(O)RC11、(C−C)アルキルSONRC11C12、(C−C)アルキルS(O)tRC11、(C−C)シクロアルキル、(C−C)アルキルシクロアルキルおよび(C−C)アルキルヘテロサイクリック(ここで(C−C)アルキルヘテロサイクリックのヘテロ環はハロ、(C−C)アルキル、オキソ、−COC11または−NRC11C12で置換されていてもよい)から独立して選ばれる1〜3個の基で置換されたヘテロ環基であり;
C4bは、(C−C)アルキルアリール、(C−C)アルケニルアリール、(C−C)アルキニルアリール、(C−C)アルキルヘテロサイクリック、(C−C)アルケニルヘテロサイクリック、(C−C)アルキルシクロアルキルおよび(C−C)アルキル−O−(C−C)アルキルアリールから選ばれる基であり、ここでシクロアルキル、アリールまたはヘテロサイクリックは、ヒドロキシ、オキソ、−S(C−Cアルキル、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)ハロアルキル、ハロゲン原子、(C−C)アルコキシ、アリールオキシ、(C−C)アルケニルオキシ、(C−C)ハロアルコキシアルキル、(C−C)アルキルNRC11C12、−O(C−C)アルキルアリール、ニトロ、シアノ、(C−C)ハロアルキルアルコール、および(C−C)アルキルアルコールから独立して選ばれる1〜3の基で置換されていてもよく;
C6は、水素原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、ヒドロキシ、CORC7、(C−C)アルコキシ、アリールオキシ、−O(C−C)アルケニル、−O(C−C)ハロアルキル、(C−C)アルキルNRC7C8、(C−C)シクロアルキル、ヘテロサイクリック、アリール、(C−C)アルキル−O−C(O)NRC7C8、(C−C)アルキルNRC7C(O)NRC7C8および(C−C)アルキルシクロアルキルから独立して選ばれる基であり;
C7およびRC8は、水素原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、−O(C−C)アルキル、(C−C)ハロアルキル、−O−アリール、−O(C−C)シクロアルキル、−O−ヘテロサイクリック、−NRC7C8、−(C−C)アルキルシクロアルキル、−O(C−C)アルキルシクロアルキル、−O(C−C)アルキルヘテロサイクリック、(C−C)アルキルヘテロサイクリック、−O(C−C)アルキルアリール、(C−C)シクロアルキル、ヘテロサイクリック、アリールおよび(C−C)アルキルアリールから独立して選ばれる基であり、ここでアルキル、シクロアルキル、ヘテロサイクリックまたはアリールはヒドロキシ、CN、ハロ、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルキルおよびNRC11C12から独立して選ばれる1〜3の基で置換されていてもよく、またRC7およびRC8は結合して、酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選ばれる、0、1または2個のヘテロ原子を更に有する含窒素ヘテロ環を形成してもよく、該含窒素ヘテロ環はオキソまたは(C−C)アルキルで置換されていてもよく;
C10、RC11およびRC12は、水素原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル、ヘテロサイクリック、アリールおよび(C−C)アルキルアリールから各々独立して選ばれる基であり、ここでアルキル、アリール、シクロアルキルおよびヘテロサイクリックはハロゲン原子、(C−C)アルキルヘテロサイクリックおよび(C−C)ハロアルキルから独立して選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく、またはRC11およびRC12は結合して、酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選ばれる、0、1または2個のヘテロ原子を更に有してもよい含窒素ヘテロ環を形成し、含窒素ヘテロ環はオキソ、(C−C)アルキル、CORC7および−SOC7で置換されていてもよい〕で示される化合物または薬理的に許容しうる塩、溶媒和物、エナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオマーまたはジアステレオマーの混合物の製造方法。
【請求項8】
(R)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニルアミノ)−吉草酸に五酸化リンを反応させることによる(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オンの製造方法。
【請求項9】
(R)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニルアミノ)−吉草酸に五酸化リンを反応させ(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オンを合成する反応が、有機スルホン酸類または有機シロキサン類の存在下で行われる、請求項2、4、5、6、7または8記載の方法。
【請求項10】
有機スルホン酸類もしくは有機シロキサン類が、メタンスルホン酸である請求項9記載の方法。
【請求項11】
パラジウム触媒が、パラジウム炭素である請求項1、2、4、5、6または7記載の方法。
【請求項12】
プロピリデン−(4−トリフルオロメチルフェニル)アミン若しくはその等価体と一般式I−g:
【化9】

(式中、R′およびR″は同一または異なって、水素またはアミノ保護基であり、またはR′およびR″は一緒になってアミノ保護基を形成する。)
で示される保護されていてもよいビニルアミンとの光学活性酸触媒存在下における不斉環化反応により、一般式I−h:
【化10】

(式中、記号は上記と同じ)
で示される化合物を調製することを含む、(2R,4S)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イルアミンまたはその塩の製造方法。
【請求項13】
R′およびR″が同一または異なって、水素、tert-ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、1−ナフタレンメトキシカルボニル基、2−ナフタレンメトキシカルボニル基、トリフルオロアセチル基、p−トルエンスルホニル基またはニトロベンゼンスルホニル基であり、またはR′およびR″が一緒にフタロイル基を形成する、請求項3、4、5、6、7または12記載の方法。
【請求項14】
R′およびR″が同一または異なって、水素、ベンジルオキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、1−ナフタレンメトキシカルボニル基、または2−ナフタレンメトキシカルボニル基である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
光学活性酸触媒が光学活性ルイス酸触媒である、請求項3、4、5、6、7または12記載の方法。
【請求項16】
光学活性ルイス酸触媒が、ビフェノール誘導体、1,1’−ビナフトール誘導体および1,1’−オクタヒドロビナフトール誘導体から選択される光学活性配位子とルイス酸原子とを含む化合物である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
光学活性ルイス酸触媒が、光学活性配位子とルイス酸原子とを含む化合物であって、その光学活性配位子が、3,3″−[オキシビス(メチレン)]ビス−(1R,1″R)−1,1′−ビ−2−ナフトール、(R)−1,1′−ビナフトール、(R)−3,3′−ジブロモ−1,1′−ビ−2−ナフトール、(R)−6,6′−ジブロモ−1,1′−ビ−2−ナフトール、(R)−5,5′,6,6′,7,7′,8,8′−オクタヒドロ−ビ−2−ナフトール、(R)−若しくは(S)−5,5′,6,6′−テトラメチル−3,3′−ジ−tert−ブチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジオール、(R,R)−若しくは(S,S)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジオール、(1R,2R)−若しくは(1S,2S)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン、ジイソプロピル D−若しくはL−酒石酸、TADDOL、(R)−若しくは(S)−2−(ジフェニルヒドロキシメチル)ピロリジン、(R)−若しくは(S)−3−(1H−インドール−3−イル)−2−(トルエン−4−スルホニルアミノ)−プロピオン酸、(R,R)−若しくは(S,S)−2,2′−ビス(4−tert−ブチル−2−オキサゾリン−2−イル)プロパン、(R,R)−若しくは(S,S)−2,2′−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン−2−イル)プロパンまたは(R)−若しくは(S)−2,2′−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1′−ビナフチルである、請求項15記載の方法。
【請求項18】
光学活性ルイス酸触媒が、光学活性配位子とルイス酸原子とを含む化合物であって、その光学活性配位子が、3,3″−[オキシビス(メチレン)]ビス−(1R,1″R)−1,1′−ビ−2−ナフトール、(R)−1,1′−ビナフトール、(R)−3,3′−ジブロモ−1,1′−ビ−2−ナフトール、(R)−6,6′−ジブロモ−1,1′−ビ−2−ナフトール、(R)−5,5′,6,6′,7,7′,8,8′−オクタヒドロ−ビ−2−ナフトールまたは(R)−5,5′,6,6′−テトラメチル−3,3′−ジ−tert−ブチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジオールである、請求項15記載の方法。
【請求項19】
ルイス酸原子がホウ素、アルミニウム、チタンまたはイッテルビウムである、請求項16、17または18記載の方法。
【請求項20】
(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オン。
【請求項21】
(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オン・オキシムまたは(R)−2−エチル−6−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オン・O−メチルオキシム。

【公表番号】特表2009−532345(P2009−532345A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502420(P2009−502420)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際出願番号】PCT/JP2007/057610
【国際公開番号】WO2007/116922
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(000002956)田辺三菱製薬株式会社 (225)
【Fターム(参考)】