説明

テレビ画像処理装置

【課題】 CTI,LTI処理及びEE処理を含むテレビ画像処理において、特に、高周波成分の低減を防ぐことができるテレビ画像処理装置を提供する。
【解決手段】 クロマ信号(Cb/Cr)を入力してクロマの過渡特性を改善する処理であるCTI手段と、輝度信号を入力し、LTI処理またはPreEE処理を行うLTI/PreEE処理手段と、上記処理したCb,Cr及びY信号の処理結果をスケーリングするスケーラと、Y信号の強調処理を行うEE処理手段と、を備えて構成される。
この構成により、CTI処理をスケーリング処理の前に置くことで、高域信号を低減させなく、クロマの過渡エリア特性を効果的に行うことができる。また、LTI処理をスケーリング処理の前段におくことで、緩やかなエッジでもスケーリングの後段よりも効果的に強調することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナログテレビ信号を液晶、PDPなどのマトリックス型パネルに表示するテレビ画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶などのマトリックパネル型テレビでは、画像はピクセル単位で表示される。そのため、デジタル放送以外のアナログ放送に対しては、まず、テレビ信号をサンプリングして、表示パネルサイズに合わせてスケーリング処理を行う必要がある。
【0003】
通常の地上波放送やアナログBS放送のSD(Standard Definition)信号はPAL、SECAM、NTSCによってライン数が異なるが、サンプリングにあたり1ラインにある有効画素数は720となっている(ITU−R BT. 601勧告参照)。HD(High Definition)信号は1080ラインで、1ラインの有効画素は1920となっている(ITU−R BT. 709勧告参照)。テレビ信号処理に特有なY/C分離、IP変換などがあるが、本発明と直接に関連性がないため、ここでは、その説明を省略する。
【0004】
サンプリングした画像のサイズは、NTSCでは720×480,PAL/SECAMでは720×576,HDでは1080×1920となる。また、サンプリングで得た画像はIP変換を経てYCbCr444のデータフォーマットとする。
【0005】
サンプリングした画像サイズは、上記示したようにテレビ信号によって異なり、また液晶パネルにも様々なサイズがあるため、パネルサイズと各サンプリング画像サイズとを併せて、適切なスケーリング率で画像をスケーリングして所定のパネルに表示する。
【0006】
ちなみに、普通使われるパネルのサイズはXGA(1024×768),WXGA(1280x768),720P(1280×720),HD(1366×768),fullHD(1920×1080)の5種類がある。
【0007】
テレビ信号は、元々クロマの帯域が輝度信号の帯域より狭く、クロマの過渡エリア特性を改善する処理であるCTI(Chroma Transient Improvement)処理を行う必要がある。
【0008】
また、輝度信号において、幅が広く緩やかなエッジに対してエッジの傾きを改善する処理であるLTI(Luma Transient Improvement)処理を行う。このLTI処理においては、CRTの速度変調(黒領域を広く、白領域を狭くする)機能を有することが多い。
【0009】
また、元画像の細部を強調したり、スケーリングによりボケを解消したりするために、輝度信号にエッジ強調を行う。このエッジ強調はEE(Edge Enhancement)またはシャープネスと呼ばれている。
【0010】
DVDのSqueezeフォーマットはアスペクト比16:9の画像をアスペクト比4:3の画像に水平方向で圧縮するので、水平方向の高周波成分はかなり低減される。このため、EE処理による強調は、特に重要となる。
【0011】
CTI処理、速度変調LTI処理およびEE処理は、通常、一つのブロック内の画像処理手段で処理される。特許文献1に記載の「テレビジョン受信装置」に開示されているように、CTI、LTI、EEのsharpness処理は、スケーリング処理(スキャンコンバータ)の後に1箇所で行っている。
【0012】
また、特許文献2に記載の「SHARPNESS CONTROL」においても太い輝度エッジ特性改良するLTI処理と画像の細部エッジ強調を行うEE処理を同時に行う方法が開示されている。
【特許文献1】特開2002−281509号公報
【特許文献2】米国特許6094205号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記背景技術で述べたスケーリング処理後のCTI処理方法にあっては、クロマ信号は元々小さいため、CTI処理をスケーリング後に行うと、高域成分は更に低減されるため、CTI効果が薄くなる。CTI処理のフィルタ係数をスケーリング率によって変える必要も生じるので、設計が煩雑となる問題点がある。
【0014】
一方、輝度信号に対しては、LTI処理の後でEE処理を行うことが望ましい。図7はその理由を示している。図7(a)は原画像のエッジを示す図で、図7(b)はLTI/EE処理を同時に行った結果を示す図である。LTI処理によりエッジの特性が改善されているが、EE処理の入力は原画像そのままで処理あるから、補正overshootとundershootは望ましい位置とはならない。図7(c)は、LTI処理の後でEE処理を行った結果を示す図であるが、該図に示すように、overshootとundershootの位置は新しいエッジに合っていることが解る。このように、LTIを単純にEEの前に置く方法がある。また、EEはスケーリングボケ解消のために、スケーリング処理の後に置く必要がある。しかし、LTIの処理対象は緩やかなエッジなので、周波数が低い。そのため、スケーリング処理を経ると、高域成分は更に低減されてしまう。
【0015】
従って、LTI処理をスケーリング処理の後に置くと強調し難くなるという問題があると同時に、LTI処理のパラメータはスケーリング率に依存し、LTI処理の構成・設計が複雑となるという問題点がある。
【0016】
また、DVDのSqueeze画像において、スケーリング処理の後でEE処理を行うと高周波数成分は更に弱くなるので、エッジ強調できなくなるという問題点がある。
【0017】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、CTI,LTI処理及びEE処理等を含むテレビ画像処理において、特に、高周波成分の低減を防ぐことができるテレビ画像処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために、本発明に係るテレビ画像処理装置は、以下の特徴を備えている。
【0019】
本発明に係るテレビ画像処理装置は、クロマ信号のエッジ特性の改善処理を行うCTI処理手段と、輝度信号のエッジ特性の改善処理を行うLTI処理手段と、テレビ信号に応じてサンプリングした画像データをパネルサイズに合わせて適切にスケーリングするスケーリング手段と、輝度信号のエッジ強調処理を行うEE処理手段と、を備え、前記CTI処理手段および前記LTI処理手段を前記スケーリング手段の前段に設け、前記EE処理手段を前記スケーリング手段の後段に設けるように構成されていることを特徴する。
【0020】
また、本発明に係るテレビ画像処理装置は、さらに、前記輝度信号のエッジ特性の改善処理を有効に行うための前記EE処理手段の前処理であるPreEE処理手段を備え、前記PreEE処理手段は、前記スケーリング手段の前段に設け、前記LTI処理手段と前記PreEE処理手段は、映像信号の種別によって切り換え可能なように構成されていることを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係るテレビ画像処理装置は、前記LTI処理手段は、太い輝度信号のエッジ特性の改善処理を行うための速度変調処理手段を備え、前記速度変調処理手段を有効・無効に切り換え可能なように構成されていることを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係るテレビ画像処理装置は、クロマ信号のエッジ特性の改善処理を行うCTI処理手段と、テレビ信号に応じてサンプリングした画像データをパネルサイズに合わせて適切にスケーリングするスケーリング手段と、輝度信号のエッジ強調処理を行うEE処理手段と、を備え、前記CTI処理手段を前記スケーリング手段の前段に設け、前記EE処理手段を前記スケーリング手段の後段に設けるように構成されていることを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係るテレビ画像処理装置は、クロマ信号のエッジ特性の改善処理を行うCTI処理手段と、テレビ信号に応じてサンプリングした画像データをパネルサイズに合わせて適切にスケーリングするスケーリング手段と、を備え、前記CTI処理手段を前記スケーリング手段の前段に設けるように構成されていることを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係るテレビ画像処理装置は、クロマ信号のエッジ特性の改善処理を行うCTI処理手段と、輝度信号のエッジ特性の改善処理を行うLTI処理手段と、テレビ信号に応じてサンプリングした画像データをパネルサイズに合わせて適切にスケーリングするスケーリング手段と、を備え、前記CTI処理手段および前記LTI処理手段を前記スケーリング手段の前段に設けるように構成されていることを特徴とする。
【0025】
また、本発明に係るテレビ画像処理装置は、クロマ信号のエッジ特性の改善処理を行うCTI処理手段と、輝度信号のエッジ強調処理を行うEE処理手段と、前記輝度信号のエッジ特性の改善処理を有効に行うための前記EE処理手段の前処理であるPreEE処理手段と、テレビ信号に応じてサンプリングした画像データをパネルサイズに合わせて適切にスケーリングするスケーリング手段と、を備え、前記CTI処理手段および前記PreEE処理手段を前記スケーリング手段の前段に設け、前記EE処理手段を前記スケーリング手段の後段に設けるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明に係るテレビ画像処理装置によれば、CTI処理をスケーリング処理の前に置くことで、高域信号を低減させなく、クロマの過渡エリア特性を効果的に行うことができる。この構成でCTIのパラメータはスケーリング率に関係なくなるため、設計しやすくなる。SD信号(水平720ピクセル)から最大パネルサイズFull HD(水平1920ピクセル)への拡大の倍率は2.67である。輝度と色差信号フォーマットではYCrCb422とYCrCb420の2種類が良く使われる。2.67倍で画像を拡大してもその色差情報はYCrCb422とYCrCb420の間にあるので、スケーリングより色エッジのボケは視覚的に感じないことになる。
【0027】
LTI処理をスケーリング処理の前段におくことで、緩やかなエッジでもスケーリングの後段よりも効果的に強調することができる。LTIのパラメータはスケーリング率に関係なく設計しやすくなる。スケーリングによりLTI効果は低減された部分は、EE処理で補うことができる。
【0028】
DVD画像に対してLTIの代わりにPreEEをスケーリングの前に設置することで、微弱の高周波数成分をスケーリングの前に前処理(予備処理)をしておいて、スケーリング後のEEはより効果的にエッジ強調ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係るテレビ画像処理装置の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明に係るテレビ画像処理装置の構成を示すシステムブロック図である。
【0031】
クロマ信号(Cb)を入力してクロマの過渡特性を改善する処理であるCTI手段10と、クロマ信号(Cr)を入力してクロマの過渡特性を改善する処理であるCTI手段11と、輝度信号を入力し、LTI処理またはPreEE処理を行うLTI/PreEE処理手段12と、上記処理したCb,Cr及びY信号の処理結果をスケーリングするスケーラ13と、Y信号の強調処理を行うEE処理手段14と、を備えて構成される。
【0032】
以下に、図1に示した各手段の構成について説明する。
【0033】
SD信号では1走査時間は63.4μsで、有効走査は52.7μs(63.5×0.83;0.83はケル係数)である。SD信号における輝度成分の帯域は4.2MHzで、52.7μsの間で信号は最大221(4.2×52.7)個サイクルしか存在しない。水平方向でサンプリングして得た720ピクセルで表示できる周波数を1として、水平方向で輝度信号の周波数は0.3(221/720)となる。クロマ信号の帯域はPAL/SECAMには1.3MHzで、NTSCには0.5MHz(I軸)と1.5MHz(Q軸)である。1.3MHzを典型的な周波数として考えて、クロマ信号の正規化周波数は0.1(52.7×1.3/720)となる。
【0034】
また、HD信号では1走査時間は15.432μsである。HD信号における輝度信号の帯域は30MHzで、1ラインに384(15.432×30×0.83)個サイクルがある。1920ピクセルで表現できる周波数を1としたら、輝度信号の正規化周波数は0.2になる。クロマ信号の帯域は輝度の半分の15MHzであるので、クロマ信号の正規化周波数は0.1となる。
【0035】
図2は、クロマ信号エッジ特性の改善を行うCTI処理手段のブロック図である。
【0036】
SDとHDのクロマ信号の正規化周波数は、上述したように0.1である。従って、正規化周波数0.1を中心とするFIR型のpeaking filterを使用した水平方向フィルタ処理手段20によりエッジ強調を抽出する。
【0037】
水平コアリング処理手段21は、上記抽出したエッジ情報に対して水平コアリング処理を行う。水平コアリング処理されたエッジ情報は、水平ゲイン手段22によりゲインが掛けられ、加算器23によって、クロマの入力信号Cb/Crと足し合わされる。そして、クリップ処理手段24によりクリップ処理して水平方向のCTI処理結果が得られる。
【0038】
ここで、クリップ処理は、近傍の入力信号(例えば左右の5ピクセル)から最大値と最小値を検出して、その最大値と最小値で出力信号を制限する処理を行う。
【0039】
図3は、LTI処理またはPreEE処理を実行するLTI処理/PreEE処理手段12の詳細ブロック図である。
【0040】
LTI処理/PreEE処理手段12は、大きく、LTI処理手段30とPreEE処理手段40との2つの処理手段により構成される。
【0041】
LTI処理手段30は、水平方向フィルタ処理31と、水平方向のコアリングを行う水平コアリング処理手段33と、水平暗/明ゲイン手段と、垂直方向フィルタ処理32と、垂直コアリング処理を行う垂直コアリング処理手段34と、垂直暗/明ゲイン手段36と、水平暗/明ゲイン手段35と垂直暗/明ゲイン手段36の処理結果と入力輝度信号Yとを合成する加算器37と、を備えて構成される。
【0042】
さらに、PreEE処理手段40は、水平方向バンドパスフィルタ41と、水平コアリング処理手段43と、水平ゲイン手段45と、垂直方向バンドパスフィルタ42と、垂直コアリング手段44と、垂直ゲイン手段46と、水平ゲイン手段45及び垂直ゲイン手段46の処理結果を合成する加算器47と、を備えて構成される。
【0043】
SD信号の輝度信号の正規化周波数は0.3であるので、その半分の0.15に相当するエッジをLTI処理手段30の処理対象とする。一方、HD信号の輝度信号の正規化周波数は0.2である。従って、処理対象の正規化周波数0.15は、0.2より低いので、HDのLTI対象エッジの周波数も0.15に統一することができる。
【0044】
ここで、図2で示したCTI処理手段に含まれるクリップ処理手段24は、1次元処理で行っていたが、LTI処理手段30に含まれるクリップ処理手段48は、2次元処理を行う。例えば、3×3の2次元のマスクの中で、最大値と最小値を求めて、求めた最大値と最小値により出力を制限する。
【0045】
次に、LTI処理手段30の速度変調の機能について説明する。
【0046】
図5は、LTI処理手段における速度変調を説明する図である。
【0047】
図5(a)は、原画像のエッジY1を示す図であり、図5(b)は、Peaking Filterで生成した補正信号Ycを示す図である。
【0048】
図5(b)に示した補正信号Ycにおいて、負の補正信号領域に暗ゲインを、正の補正信号領域に明ゲインを掛ける。この場合、暗ゲインを明ゲインより強くした時に、図5(c)示すように、暗領域において低レベルの領域が広がり、明領域では、ほぼ同一の傾きで、レベルが上昇する領域となっている。このように、暗ゲイン及び明ゲインを変えることによって、速度変調効果を有する輝度信号Y2が得られる。勿論、暗ゲインと明ゲインを同じ値にして補正を行うことができる。この場合、暗領域と明領域との境に傾斜の変調、すなわち速度変調がないエッジ特性の改善となる。
【0049】
次に、DVD信号の場合における場合の過渡特性を改善する処理について説明する。
【0050】
DVD信号には様々な種類があるので、正確な周波数範囲は定められない。そこで、CTI処理は、SD/HD信号に使用した図2に示すCTI処理手段10,11を使えば良い。
【0051】
一方、輝度信号に対しては、LTI処理手段30の代わりに色々な周波数に対応できるように、広域のバンドパスフィルタを用いたPreEE(EEの前処理)に切り替える。
【0052】
阻止域周波数は、最小の0で、カットオフ周波数は最大の0.5とする。
【0053】
上記PreEE処理手段40の構成は、図3に示す。基本構成は、LTI処理手段30とほぼ同じである。フィルタタイプの違いの他、速度変調の必要性がないという違いだけである。SD/HDとDVDの切り替えはスイッチSW1とSW2で行い、SW1とSW2は連動する。
【0054】
次に、SCALER13の処理内容及び構成について簡単に説明する。
【0055】
SCALER13(図1に図示)(スケーリング処理)は色々な構成方法がある。よく使われる方法はバイリニア法とバイキュービック法の2つがある。バイリニア法は、周辺4つのピクセルを用いて補間計算を行う。バイキュービック法は、近傍の16つのピクセルを用いて補間処理を行う。バイキュービック法はバイリニア法より計算量が多いが、補間処理の性能はバイリニアより良い。このような2次元処理をハード構成で実現する場合、1次元処理を2回行うことで実現することが多く、しかも、垂直処理を先に、水平処理を後で行うのが一般的な方法である(図6に図示)。この手順は、ラインメモリの節約に有効である。水平方向処理を先に行うと、画像拡大でラインメモリが大きくなる。
【0056】
次に、EE処理手段14について説明する。
【0057】
図4は、輝度信号のエッジ強調を行うEE処理手段のブロック図である。
【0058】
EE処理手段14は、SD/HD用EE処理手段50と、DVD用EE処理手段51とを備えて構成される。
【0059】
SD/HD用EE処理手段50(図4の上半部に図示)において、対象輝度信号のスケーリング後の正規化周波数はスケーリング率に依存する。Full HD(1920×1080)サイズのパネルを例として考える。
【0060】
このときに、HD信号はスケーリングする必要がないので、正規化周波数は、0.2のままである。SD信号においては、水平方向のみ考えた場合に、Full HD(1920×1080)にするスケーリング率は2.67でスケーリング後の正規化周波数は0.11になる。SD信号の時に、0.11のPeaking Filterを選択し、HD信号の時に0.2のPeaking Filterを選択して処理を行う。
【0061】
一方、DVD用EE処理手段51(図4の下半部に図示)において、DVD信号にスケーリング前のPreEE処理で得た画像の正規化周波数は、最大の0.5まであると仮定すると、スケーリング後の正規化周波数は0.5/2.67=0.19となる。従って、阻止域周波数が最小の0で、カットオフ周波数が0.19とするband passフィルタを採用する。
【0062】
SD/HDとDVDの切り替えはスイッチSW3とSW4で行う。SW3とSW4は連動する。
【0063】
Over/Undershoot処理手段52の動作は、クリップ処理と似ている。検出した最大値と最小値の差を求めて、その差を持ってovershootとundershootを制御する。具体的に言うと、差のパーセンテージを指定し、そのプラスマイナス値で出力をクリップする。
【0064】
ここでは、Full HDパネルサイズを例として述べたが、他のパネルサイズにも同様に計算することができる。
【0065】
また、本実施形態では、上記示した各処理手段に用いたフィルタ特性は、垂直方向と水平方向で同じ強調効果を得るために同じフィルタ特性を有しているフィルタを使っているが、異なるフィルタ特性を有するフィルタを用いてもよい。
【0066】
尚、本発明の液晶表示装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係るテレビ画像処理装置の構成を示すシステムブロック図である。
【図2】クロマ信号エッジ特性の改善を行うCTI処理手段のブロック図である。
【図3】LTI処理またはPreEE処理を実行するLTI処理/PreEE処理手段12の詳細ブロック図である。
【図4】輝度信号のエッジ強調を行うEE処理手段のブロック図である。
【図5】LTI処理手段における速度変調を説明する図である。
【図6】スケーリング処理の手順の構成を示す図である。
【図7】LTI処理とEE処理の位置関係によって処理効果の異同を説明する図である。(a)は、原画像のエッジを示す図である。(b)は、はLTI/EE処理を同時に行った結果を示す図である。(c)は、LTI処理の後でEE処理を行った結果を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
10、11 CTI処理手段
12 LTI/PreEE処理手段
13 SCALER
14 EE処理手段
20 水平方向フィルタ処理
21 水平コアリング手段
22 水平ゲイン手段
23、37、47 加算器
24、48 クリップ処理手段
30 LTI処理手段
31 水平方向フィルタ処理手段
32 垂直方向フィルタ処理手段
33、43 水平コアリング手段
34、44 垂直コアリング手段
35 水平暗明ゲイン
36 垂直暗明ゲイン
40 PreEE処理手段
41 水平方向バンドパスフィルタ
42 垂直方向バンドパスフィルタ
45 水平ゲイン手段
46 垂直ゲイン手段
50 SD/HD用EE処理手段
51 DVD用EE処理手段
52 Over/Undershoot制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロマ信号のエッジ特性の改善処理を行うCTI処理手段と、
輝度信号のエッジ特性の改善処理を行うLTI処理手段と、
テレビ信号に応じてサンプリングした画像データをパネルサイズに合わせて適切にスケーリングするスケーリング手段と、
輝度信号のエッジ強調処理を行うEE処理手段と、
を備え、
前記CTI処理手段および前記LTI処理手段を前記スケーリング手段の前段に設け、前記EE処理手段を前記スケーリング手段の後段に設けたことを特徴とするテレビ画像処理装置。
【請求項2】
さらに、前記輝度信号のエッジ特性の改善処理を有効に行うための前記EE処理手段の前処理であるPreEE処理手段を備え、
前記PreEE処理手段は、前記スケーリング手段の前段に設け、前記LTI処理手段と前記PreEE処理手段は、映像信号の種別によって切り換え可能であることを特徴とする請求項1に記載のテレビ画像処理装置。
【請求項3】
前記LTI処理手段は、太い輝度信号のエッジ特性の改善処理を行うための速度変調処理手段を備え、
前記速度変調処理手段を有効・無効に切り換え可能とすることを特徴とする請求項2に記載のテレビ画像処理装置。
【請求項4】
クロマ信号のエッジ特性の改善処理を行うCTI処理手段と、
テレビ信号に応じてサンプリングした画像データをパネルサイズに合わせて適切にスケーリングするスケーリング手段と、
輝度信号のエッジ強調処理を行うEE処理手段と、
を備え、
前記CTI処理手段を前記スケーリング手段の前段に設け、前記EE処理手段を前記スケーリング手段の後段に設けたことを特徴とするテレビ画像処理装置。
【請求項5】
クロマ信号のエッジ特性の改善処理を行うCTI処理手段と、
テレビ信号に応じてサンプリングした画像データをパネルサイズに合わせて適切にスケーリングするスケーリング手段と、
を備え、
前記CTI処理手段を前記スケーリング手段の前段に設けたことを特徴とするテレビ画像処理装置。
【請求項6】
クロマ信号のエッジ特性の改善処理を行うCTI処理手段と、
輝度信号のエッジ特性の改善処理を行うLTI処理手段と、
テレビ信号に応じてサンプリングした画像データをパネルサイズに合わせて適切にスケーリングするスケーリング手段と、
を備え、
前記CTI処理手段および前記LTI処理手段を前記スケーリング手段の前段に設けたことを特徴とするテレビ画像処理装置。
【請求項7】
クロマ信号のエッジ特性の改善処理を行うCTI処理手段と、
輝度信号のエッジ強調処理を行うEE処理手段と、
前記輝度信号のエッジ特性の改善処理を有効に行うための前記EE処理手段の前処理であるPreEE処理手段と、
テレビ信号に応じてサンプリングした画像データをパネルサイズに合わせて適切にスケーリングするスケーリング手段と、
を備え、
前記CTI処理手段および前記PreEE処理手段を前記スケーリング手段の前段に設け、前記EE処理手段を前記スケーリング手段の後段に設けたことを特徴とするテレビ画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−217385(P2006−217385A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−29335(P2005−29335)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】