説明

テレフタル酸に基づくポリエステルポリオール

a)以下の、
a1)テレフタル酸に対して、50〜100モル%の、テレフタル酸、ジメチルテレフタレート、ポリアルキレンテレフタレート、及びこれらの混合物から選ばれる材料、
a2)0〜50モル%の、フタル酸、無水フタル酸、又はイソフタル酸、
a3)0〜50モル%の、1種以上のジカルボン酸、
を含む、10〜70モル%のジカルボン酸、
b)2〜30モル%の、1種以上の脂肪酸、及び/又は脂肪酸誘導体、及び/又は安息香酸、
c)10〜70モル%の、2〜18個の炭素原子を有する、1種以上の脂肪族ジオール、又は脂環式ジオール、又はこれらのアルコキシレート、
d)グリセロール、アルコキシル化されたグレセロール、トリメチロールプロパン、アルコキシル化されたトリメチロールプロパン、ペンタエリチリトール、及びアルコキシル化されたペンタエリチリトールから選ばれる、2〜50モル%の高−官能性ポリオール、
のエステル化生成物を含むポリエステルポリオールであって、
ポリエステルポリオール1kg当たり、少なくとも200ミリモル、好ましくは少なくとも500ミリモル、及び特に好ましくは少なくとも800ミリモルの、OH官能価が≧2.9のポリオールd)が反応するものであるポリエステルポリオール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレフタル酸に基くポリエステルポリオール、及び該ポリエステルポリオールを、硬質ポリウレタンフォームを製造するために使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機又は変性有機ジイソシアネートと、少なくとも2個の反応性水素原子を有する分子量が比較的高い化合物、特にアルキレンオキシド重合からのポリエーテルポリオール、又はアルコールとジカルボン酸の重縮合からのポリエステルポリオールを、ポリウレタン触媒、鎖延長剤、及び/又は架橋剤、発泡剤、及び更なる補助剤及び添加剤の存在下に反応させることによって、硬質ポリウレタンフォームを製造することは、公知であり、そして種々の特許公報及び文献に記載されている。
【0003】
例えば、非特許文献1(Kunststoffhandbuch,Volume VII,Polyurethane,Carl−Hanser−Verlag,Munich,1st Edition 1966,edited by Dr.R.Vieweg and Dr.A.Hochtlen,and 2nd Edition 1983 and 3rd Edition 1993,editd by Dr.G.Oertel)が記載されて良い。形成成分とその割合を適切に選択することによって、機械的特性が良好なポリウレタンフォームを製造することが可能になる。
【0004】
ポリエステルポリオールが使用される場合、芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸、及びアルカンジオール、及び/又はアルカントリオール、又はそのジオールが通常使用される。しかしながら、ポリエステルスクラップ、特にポリエチレンテレフタレート(PET)、又はポリブチレンテレフタレート(PBT)スクラップを使用することも可能である。方法の全ての系(シリーズ)が公知であり、そしてこの目的のために記載されている。ある方法は、ポリエステルをテレフタル酸のジエステル、例えばジメチルテレフタレートに変換することに基づいている。特許文献1(DE−A1003714)及び特許文献2(US−A50515128)には、メタノール及びトランスエステル化触媒を使用した、このようなトランスエステルが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE−A1003714
【特許文献2】US−A50515128
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Kunststoffhandbuch,Volume VII,Polyurethane,Carl−Hanser−Verlag,Munich,1st Edition 1966,edited by Dr.R.Vieweg and Dr.A.Hochtlen,and 2nd Edition 1983 and 3rd Edition 1993,editd by Dr.G.Oertel
【発明の概要】
【0007】
テレフタル酸に基づくエステルは、燃焼挙動という点で、テレフタル酸に基づくエステルよりも優れていることが公知である。しかしながら、結晶化の傾向が高いこと、及び従ってテレフタル酸に基づくエステルの保管安定性が低いことが不利な点である。
【0008】
急速に結晶化する傾向が有る、テレフタル酸に基づくポリエステルポリオールの保管安定性を増すために、脂肪族ジカルボン酸を加えることが通常である。しかしながら、これらは、これにより製造されたポリウレタンの燃焼挙動(難燃性)に悪影響を及ぼす。
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、テレフタル酸又はテレフタル酸誘導体に基づき、及び保管安定性が改良されたポリエステルポリオールを提供することにある。本発明の更なる目的は、燃焼挙動が改良されたポリウレタンフォームを与える、保管安定性が改良されたポリエステルポリオールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、
a)以下の、
a1)テレフタル酸に対して、50〜100モル%の、テレフタル酸、ジメチルテレフタレート、ポリアルキレンテレフタレート、及びこれらの混合物から選ばれる材料、
a2)0〜50モル%の、フタル酸、無水フタル酸、又はイソフタル酸、
a3)0〜50モル%の、1種以上のジカルボン酸、
を含む、10〜70モル%、好ましくは20〜70モル%、及び特に好ましくは25〜50モル%のジカルボン酸組成物、
b)2〜30モル%、好ましくは3〜20モル%、特に好ましくは4〜15モル%の、脂肪酸、及び/又は1種以上の脂肪酸誘導体、及び/又は安息香酸、
c)10〜70モル%、好ましくは20〜60モル%、特に好ましくは25〜55モル%の、2〜18個の炭素原子を有する、1種以上の脂肪族ジオール、又は脂環式ジオール、又はこれらのアルコキシレート、
d)グリセロール、アルコキシル化されたグレセロール、トリメチロールプロパン、アルコキシル化されたトリメチロールプロパン、ペンタエリチリトール、及びアルコキシル化されたペンタエリチリトールから選ばれる、2〜50モル%、好ましくは2〜40のモル%、特に好ましくは2〜35モル%の高−官能性ポリオール、
のエステル化生成物を含むポリエステルポリオールであって、
ポリエステルポリオール1kg当たり、少なくとも200ミリモル、好ましくは少なくとも500ミリモル、及び特に好ましくは少なくとも800ミリモルの、OH官能価が≧2.9のポリオールd)が反応するものであるポリエステルポリオールによって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ジカルボン酸組成物a)は、テレフタル酸に対して、50モル%を超える材料a1)、好ましくは75モル%を超える、及び特に好ましくはテレフタル酸に対して100モル%の材料a1)を含むことが好ましい。
【0012】
脂肪族ジオールは、好ましくは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、及びこれらのアルコキシレート、特にこれらのエトキシレートから成る群から選ばれる。特に脂肪族ジオールがジエチレングリコールである。
【0013】
脂肪酸又は脂肪酸誘導体b)は、好ましくは、再生可能な原料に基づく脂肪酸又は脂肪酸誘導体であり、及びヒマシ油、ポリヒドロキシ脂肪酸、リシノール酸、ヒドロキシ−変性油、ブドウ種油、ブラッククミン油、カボチャ核種油、ルリヂサ種油、大豆油、麦芽油、菜種油、向日葵油、ピーナッツ油、アプリコット核種油、ピスタチオ油、アーモンド油、オリーブオイル、マカダミアナッツ油、アボカド油、シーバックスロン油、セサミ油、大麻油、ヘーゼルナッツ油、サクラソウ油、野バラ油、ベニバナ油、くるみ油、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、ペトロセリン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、α−及びγ−リノール酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、ティムノドン酸、クルパノドン酸、及びセルボン酸に基づくヒドロキシ−変性脂肪酸及び脂肪酸エステルから成る群から選ばれる。
【0014】
エステル化、又はトランスエステル化は、通常のエステル化又はトランスエステル化の条件下に行なわれる。ここで、芳香族及び脂肪族ジカルボン酸、又はジカルボン酸エステル、及び多価アルコールは、触媒の不存在下に反応されるか、又は好ましくはエステル化触媒の存在下に、有利なことには、大気又は不活性ガス、例えば窒素、一酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等中で、溶融物中、150〜260℃の温度で、好ましくは180〜250℃で、適切であれば、減圧下に、トランスエステル化によって遊離(liberate)された、蒸留された低分子アルコール(例えばメタノール)と、好ましくは減圧下に反応される。可能なエステル化触媒は、例えば、金属、金属酸化物、又は金属塩の状態の、鉄、カドミウム、コバルト、鉛、亜鉛、アンチモン、マグネシウム、チタニウム、及びスズ触媒である。トランスエステル化は、共沸混合物としての凝縮物から水を蒸留除去するために、希釈剤、及び/又は添加溶剤、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、又はクロロベンゼンの存在下で行っても良い。
【0015】
本発明は、
A)有機、及び/又は変性有機ジイソシアネート、及び/又はポリイソシアネートと、
B)成分B)が50質量%以下の更なるポオリエステルポリオールを含むことができる、本発明に記載された特定のポリエステルポリオール、
C)適切であれば、イソシアネートに対して反応性の基を少なくとも2個有する、ポリエーテルオール及び/又は更なる化合物、及び適切であれば、鎖延長剤、及び/又は架橋剤、
D)発泡剤、
E)触媒、及び適切であれば、
F)更なる補助剤、及び/又は添加剤、
G)難燃剤、
を反応させることにより、硬質ポリウレタンフォームを製造する方法をも提供する。
【0016】
本発明の方法によって硬質ポリウレタンフォームを製造するために、上述した特定のポリエステルポリオールに加え、それ自体項公知の形成成分(合成成分)を使用して良く、これについては以下に詳細に記載される。
【0017】
可能な有機及び/又は変性有機ポリイソシアネートA)は、それ自体公知の脂肪族、脂環式、アラリファティック、及び好ましくは芳香族多官能性イソシアネートである。
【0018】
特定の例は:アルキレン基の中に4〜12個の炭素原子を有するアルキレンジイソシアネート、例えばドデカン、1,12−ジイソシアネート、2−エチルテトラメチレン 1,4−ジイソシアネート、2−メチルペンタメチレン 1,5−ジイソシアネート、テトラメチレン 1,4−ジイソシアネート、及び好ましくはヘキサメチレン 1,6−ジイソシアネート;脂環式ジイソシアネート、例えばシクロヘキサン1,3−、及び1,4−ジイソシアネート、及びこれらの異性体の任意の混合物、1−イソシアナート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナートメチルシクロヘキサン(IPDI)、ヘキサヒドロトリレン2,4−、及び2,6−ジイソシアネート、及び対応する異性体混合物、ジシクロヘキサメチレン4,4’−、2,2’−及び2,4’−ジイソシアネート、及び対応する異性体混合物、及び好ましくは芳香族ジイソシアネート、及びポリイソシアネート、例えば、トルエン2,4−、及び2,6−ジイソシアネート、及び対応する異性体混合物、ジフェニルメタン4,4’−、2,4’−、及び2,2’−ジイソシアネート、及び対応する異性体混合物、及び以下のジフェニルメタン4,4’−及び2,2’−ジイソシアネート、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートの混合物、以下のジフェニルメタン2,4’−、2,4’−及び2,2’−ジイソシアネート、及びポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネートの混合物(粗製MDI)、及び粗製MDIとトリレンジイソシアネートの混合物である。有機ジイソシアネート及びポリイソシアネートは、個々に、又はこれらの混合物の状態で使用することができる。
【0019】
好ましいジイソシアネート及びポリイソシアネートは、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、及び特に、以下のジフェニルメタンジイソシアネートとポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネートの混合物(ポリマー性MDI又はPMDI)である。
【0020】
変性多官能性イソシアネート、すなわち、有機ジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートの化学反応によって得られる生成物もしばしば使用される。記載して良い例は、エステル、ウレア、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、イソシアヌレート、ウレットジオン(uretdione)、カルバメート、及び/又はウレタン基を含む、ジイソシアネート、及び/又はポリイソシアネート
である。
【0021】
硬質ポリウレタンフォームを製造するために、ポリマー性MDIを使用することが極めて好ましい。
【0022】
従来技術では、イソシアヌレート基をポリイソシアネートに導入することが、しばしば通常に行われる。イソシアヌレート基を形成する触媒、例えばアルカリ金属塩を、単独で又は3級アミンと組み合わせて使用することが好ましい。イソシアヌレートの形成は、難燃性ポリイソシアヌレートフォーム(PIRフォーム)をもたらし、該難燃性ポリイソシアヌレートフォームは、例えば建物の中、及び絶縁ボード又はサンドイッチ要素に使用される、工業的な硬質フォームに好ましく使用される。
【0023】
適切な更なるポリエステルポリオールは、例えば、2〜12個の炭素原子を有する有機ジカルボン酸、好ましくは4〜6個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸、及び多価アルコール、好ましくは(2〜12個の炭素原子、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する)ジオールから製造することができる。可能なジカルボン酸は、例えば:コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、及びテレフタル酸である。ジカルボン酸は、個々にでも、相互に混合してでも使用することができる。対応するジカルボン酸誘導体、例えば、1〜4個の炭素原子を有するアルコールのジカルボン酸エステル、又はジカルボン酸無水物を、遊離(free)ジカルボン酸の替わりに使用することができる。コハク酸、グルタル酸、及びアジピン酸の(質量割合が、例えば20〜35:35〜50:20〜32の)ジカルボン酸混合物、及び特にアジピン酸を使用することが好ましい。2価、及び多価アルコール、特にジオールの例は:エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2−又は1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、及びペンタエリチリトールである。好ましくは、エタンジオール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、又は上述したジオールの少なくとも2種の混合物、特に1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオールの混合物が使用される。ラクトン、例えばε−カプロラクトン、又はヒドロキシカルボン酸、例えばω−ヒドロキシカプロン酸から誘導されたポリエステルポリオールを使用することも可能である。
【0024】
ポリエステルポリオールを製造するために、有機、例えば芳香族、及び好ましくは脂肪族の、ポリカルボン酸、及び/又は誘導体、及び多価アルコールを重縮合することができ、該重縮合は、触媒の不存在下、又は好ましくはエステル化触媒の存在下に、有利なことには、不活性ガス、例えば窒素、一酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等の雰囲気内で、溶融物中で、150〜260℃の温度で、好ましくは180〜250℃の温度で、適切であれば減圧下で、所望の酸価(該酸価は、10未満であることが有利であり、2未満であることが好ましい)に行われる。好ましい実施の形態では、エステル化混合物は、上述した温度で、80〜20の酸価に、好ましくは40〜20の酸価に、減圧下で、そして次に500ミリバールの圧力下に、好ましくは40〜200ミリバールの圧力下に、重縮合される。可能なエステル化触媒は、例えば、金属、金属酸化物、又は金属塩の、鉄、カドミウム、コバルト、鉛、亜鉛、アンチモン、マグネシウム、チタン、及びスズ触媒である。しかしながら、重縮合は、希釈剤、及び/又は添加溶剤、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、又はクロロベンゼンの存在下に液相中で行い、共沸点混合物として凝縮物の水を蒸留除去することも可能である。
【0025】
ポリエステルポリオールを製造するために、有機ポリカルボン酸、及び/又は誘導体、及び多価アルコールを、1:1〜2.1、好ましくは1:1.05〜1.9のモル割合で重縮合することが有利である。
【0026】
得られるポリエステルポリオールは、官能価(functionality)が2〜4、特に2〜3であり、及び分子量が300〜3000、好ましくは400〜1000、及び特に450〜800であることが好ましい。
【0027】
公知の方法で製造されたポリエーテルポリオールを付随して使用することも可能であり、例えば、アルキレン基に2〜4個の炭素原子を有する1種以上のアルキレンオキシドから、アルカリ金属ヒドロキシド、例えばナトリウム、又はカリウムヒドロキシド、又はアルカリ金属アルコキシド、例えばナトリウムメトキシド、ナトリウム又はカリウムエトキシド又はカリウムイソプロポキシドを触媒として使用して、2〜8個、好ましくは2〜6個の反応性水素原子を含む、少なくとも1種の開始分子(starter molecule)を加えた、アニオン重合によって、又は、触媒として、ルイス酸、例えばアンチモンペンタクロリド、ボロンフルオリドエテレート等、又は漂白土を使用した、カチオン性重合によって製造されたポリエーテルポリオールを付随して使用することも可能である。
【0028】
適切なアルキレンオキシドは、例えば、テトラヒドロフラン、1,3−プロピレンオキシド、1,2−又は2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシド、及び好ましくはエチレンオキシド、及び1,2−プロピレンオキシドである。アルキレンオキシドは、個々に、替わりに次々に、又は混合物として使用することができる。好ましいアルキレンオキシドは、プロピレンオキシド、及びエチレンオキシドで、エチレンオキシドが特に好ましい。
【0029】
可能な開始分子は、例えば:水、有機ジカルボン酸、例えばコハク酸、アジピン酸、フタル酸、及びテレフタル酸、脂肪族、及び芳香族の、不飽和の、又はN−モノアルキル−、N,N−ジアルキル−及びN,N’−ジアルキル−置換の(アルキル基に1〜4個の炭素原子を有する)ジアミン、例えば、無置換の、又はモノアルキル−及びジアルキル置換の、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,3−又は1,4−ブチレンジアミン、1,2−、1,3−、1,4−、1,5−及び1,6−ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン、2,3−、2,4−、及び2,6−トルエンジアミン、及び4,4’−、2,4’及び2,2’−ジアミノジフェニルメタンである。
【0030】
更なる可能な開始分子は:アルカノールアミン、例えば、アルカノールアミン、例えば、エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、及びN−エチルエタノールアミン、ジアルカノールアミン、例えばジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、及びN−エチルジエタノールアミン、及びトリアルカノールアミン、例えば、トリエタノールアミン、及びアンモニアである。好ましくは、2価、又は多価アルコール、例えばエタンジオール、1,2−及び1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリチリトール、エチレンジアミン、ソルビトール及びスクロースが使用される。
【0031】
ポリエーテルポリオール、好ましくはポリオキシプロピレン、及びポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンポリオールは、官能価が好ましくは2〜6、及び特に2〜5であり、及び分子量が、300〜3000、好ましくは300〜2000、及び特に400〜1000である。
【0032】
更なる適切なポリエーテルポリオールは、ポリマー−変性のポリエーテルポリオール、好ましくはグラフトポリエーテルポリオール、特に、アクリロニトリル、スチレン、又は好ましくはスチレンとアクリロニトリルの、質量割合が90:10〜10:90、好ましくは70:30〜30:70の混合物の現場重合(in-situ polymerization)によって製造された、スチレン及び/又はアクリロニトリルに基づくもので、有利なことには、上述したポリエーテルポリオールに、German patent texts 11 11 394,12 22 669(US3,304,273、3,383,351、3,523,093)、11 52 536(GB 10 40 452)及び11 52 537(GB 987,618)に記載されたものに類似する方法が使用され、及び例えば、(例えばEP−B011 752(US4,304,708)、US−A,4,374,209及びDE−A32 31 497に記載された)結合tert−アミノ基、及び/又はメラミンを含むポリウレア、ポリヒドラジド、ポリウレタンを分散相として、通常1〜50質量%、好ましくは2〜25質量%含むポリエーテルポリオール分散物を使用することが有利である。
【0033】
ポリエステルポリールと同様に、ポリエーテルポリオールを、個々に、又は混合物の状態で使用することが可能である。これらは、グラフトポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールと、及びヒドロキシル−含有ポリエステルアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート及び/又はポリエーテルポリアミドと混合することも可能である。
【0034】
可能なヒドロキシ−含有ポリカーボネートは、それ自体公知のもので、例えば、ジオール、例えば1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、及び/又は1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、又はテトラエチレングリコールを、ジアリールカーボネート、例えばジフェニルカーボネート、又はホスゲンと反応させることによって得ることができるものである。
【0035】
ポリエステルアミドは、例えば、主に、多塩基の、飽和、及び/又は不飽和のカルボン酸、又はこれらの無水物、及び多価の飽和、及び/又は不飽和のアミノアルコール、又は多アルコールとアミノアルコール、及び/又はポリアミンの混合物から得られる直鎖状の凝縮物を含む。
【0036】
適切なポリエーテルポリアミンは、上述したポリエーテルポリオールから、公知の方法によって製造することができる。例えば、ポリオキシアルキレンをシアノアルキル化し、そして次に形成されたニトリルを水素化する(US3 267 050)か、又はポリオキシアルキレンポリオールを(水素と触媒の存在下にアミン又はアンモニアで)部分的に、又は完全にアミノ化する(DE12 15 373)ことが記載されても良い。
【0037】
硬質ポリウレタンフォームは、鎖延長剤、及び/又は架橋剤C)を使用して製造することができる。しかしながら、鎖延長剤、架橋剤、又は適切であれば、これらの混合物の添加は、機械的特性、例えば硬度を改質するのに有利であることができる。鎖延長剤、及び/又は架橋剤として、分子量が400未満、好ましくは60〜300のジオール、及び/又はトリオールが使用される。可能なものは、例えば、2〜14個、好ましくは4〜10個の炭素原子を有する、脂肪族、脂環式、及び/又はアラリファティックジオール、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,10−デカンジオール、o−、m−、p−ジヒドロキシシクロヘキサン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、及び好ましくは1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、及びビス(2−ヒドロキシエチル)ヒドロキノン、チオール、例えば、1,2,4−、1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサン、グリセロール、及びトリメチロールプロパン、及びエチレンオキシド及び/又は1,2−プロピレンオキシドに基づく、低分子量のヒドロキシ含有ポリアルキレンオキシド、及び上述したジオール、及び/又はトリオールである(開始分子として)。
【0038】
イソシアネートに対して反応性の基を少なくとも2個有する、すなわち、イソシアネート基に対して反応性の水素を少なくとも2個有する、可能な更なる化合物C)は、特に、OH基、SH基、NH基、NH基、及びCH−酸基、例えばβ−ジケト基から選ばれる2つ以上の反応性基を有するものである。
【0039】
鎖延長剤、架橋剤、又はこれらの混合物が硬質ポリウレタンフォームを製造するために使用された場合、これらは、成分B)に対して、0〜20質量%の量で使用されることが有利であり、0.5〜5質量%の量で使用されることが好ましい。
【0040】
硬質ポリウレタンフォームを製造するために使用される発泡剤D)は、水、ギ酸、及びこれらの混合物である。これらはイソシアネート基と反応し、二酸化炭素を形成し、及びギ酸の場合、二酸化炭素と一酸化炭素を形成する。更に、物理的発泡剤、例えば低沸点炭化水素を使用することが可能である。適切な発泡剤は、有機、変性又は無変性のポリイソシアネートに対して不活性で、及び沸点が大気圧で、100℃未満、好ましくは50℃未満(これにより、これらは、発熱重付加反応の条件下で蒸発する)の液体である。使用することが好ましい、このような液体の例は、アルカン、例えば、ヘプタン、ヘキサン、n−ペンタン、及びイソペンタン、好ましくはn−ペンタンとイソペンタンの工業的な混合物、n−ブタン及びイソブタン、及びプロパン、シクロアルカン、例えばシクロペンタン、及び/又はシクロヘキサン、エーテル、例えばフラン、ジメチルエーテル、及びジエチルエーテル、ケトン、例えばアセトン、及びメチルエチルケトン、アルキルカルボキシレート、例えばメチルフォルメート、ジメチルオキサレート、及びエチルアセテート、及びハロゲン化炭化水素、例えば、メチレンクロリド、ジクロロモノフルオロメタン、ジフルオロエタン、トリフルオロエタン、ジフルオロエタン、テトラフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、1,1−ジクロロ−2,2,−トリフルオロエタン、2,2−ジクロロ−2−フルオロエタン及びヘプタフルオロプロパンである。これらの低沸点液体の相互の混合物、及び/又はこれらの低沸点液体と他の置換された、又は無置換の炭化水素の混合物も使用することができる。有機カルボン酸、例えばギ酸、酢酸、シュウ酸、リシノール酸、及びカルボキシ−含有化合物も適切である。
【0041】
好ましくは、水、ギ酸、クロロジフルオロメタン、クロロジフルオロエタン、ジクロロエタン、ペンタン混合物、シクロヘキサン、及びこれらの発泡剤の少なくとも2種の混合物、例えば水とシクロヘキサンの混合物、クロロジルオロメタンと1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン及び任意に水の混合物が使用される。
【0042】
発泡剤は、ポリオール成分を発泡させる直前に、完全に、又は部分的にポリオール成分(すなわちB+C+E+F+G)に溶解するか、又は静的ミキサーを介して導入される。通常、水又はギ酸がポリオール成分に完全に、又は部分的に溶解され、そして物理的発泡剤(例えばペンタン)及び、適切であれば、残りの化学的発泡剤が「オン−ライン」で導入される。
【0043】
使用する発泡剤、又は発泡剤混合物の量は、成分B)〜G)の合計に対して、1〜45質量%。好ましくは1〜30質量%、特に好ましくは1.5〜20質量%である。
【0044】
水が発泡剤として作用する場合、形成成分(B)(formative component B))を、形成成分B)に対して0.2〜5質量%の量で加えることが好ましい。水の添加は、上述した他の発泡剤の使用と組み合わせることができる。
【0045】
硬質ポリウレタンフォームを製造するために使用される触媒E)は、特に、化合物B)及び使用される場合にはC)の、反応性水素原子、特にヒドロキシ基を含む化合物と、有機、変性、又は無変性のポリイソシアネートA)の反応を強く加速する化合物である。
【0046】
有利なことには、塩基性ポリウレタン触媒、例えば3級アミン、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ビス(N,N−ジメチルエチルアミノエチル)エーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)ウレア、N−メチルモルホリン、又はN−エチルモリホリン、N−シクロヘキシルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルブタンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルピペリジン、N−ジメチルアミノエチルピペリジン、1,2−ジメチルイミダゾール、1−アザビシクロ[2.2.0]オクタン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(Dabco)及びアルカノールアミン化合物、例えばトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、及びN−エチルジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、2−(N,N−ジメチルアミノエトキシ)エタノール、N,N’,N”−トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロトリアジン、例えばN,N’,N”−トリス(ジメチルアミノプロピル)−s−ヘキサヒドロトリアジン、及びトリエチレンジアミンが使用される。しかしながら、金属塩、例えば、鉄(II)クロリド、亜鉛クロリド、鉛オクトエート、及び好ましくはスズ塩、例えばスズジオクトエート、スズジエチルヘキソエート、及びジブチルチンジラウレート、及び特に、3級アミンと有機スズ塩の混合物が適切である。
【0047】
更なる可能な触媒は:アミジン、例えば2,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラ−ヒドロピリジン、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、アルカリ金属ヒドロキシド、例えばナトリウムヒドロキシド、及びアルカリ金属アルコキシド、例えばナトリウムメトキシド、及びカリウムイソプロポキシド、及び10〜20個の炭素原子、及び適切であれば側部OH基を有する長鎖脂肪酸のアルカリ金属塩である。好ましくは、成分B)の質量に対して、0.001〜5質量%、特に0.05〜2質量%の触媒、又は触媒の組み合わせが使用される。反応を、触媒を使用することなく行なうことも可能である。この場合、アミン−開始のポリオールの触媒活性が活用される。従来技術では、イソシアヌレート基をポリイソシアネートに導入することがしばしば通常である。これは、イソシアヌレート基を形成する触媒、例えばアンモニウム塩、又はアルカリ金属塩(それぞれ単独であっても、3級アミンと組み合わせて使用しても良い)を使用して行なうことが好ましい。イソシアヌレートの形成は、難燃性PIRフォームをもたらし、該難燃性PIRフォームは、工業的な硬質フォーム、例えば建物、及び絶縁材又はサンドイッチ要素としての構造に使用されることが好ましい。
【0048】
上述した出発材料(starting material)及び更なる出発材料は、技術文献、例えばKunststoffhandbuch,Volume VII,Polyurethane,Carl Hanser Verlag Munich,Vienna,1st,2nd and 3rd Editions 1966,1983 and 1933に見出される。
【0049】
適切であれば、更なる補助剤、及び/又は添加剤F)を(硬質ポリウレタンフォームを製造するための)反応混合物に加えることができる。例えば、表面活性物質、フォーム安定剤、セル調整剤、充填剤、染料、顔料、難燃剤、加水分解防止剤、静真菌性の、及び静菌性の物質が記載されても良い。
【0050】
可能な表面活性物質は、例えば、出発材料の均一化を補助するように作用し、及びポリマーのセル(気泡)構造を調整するのに適切な化合物である。例えば、乳化剤、例えばヒマシ油の、又は脂肪酸のナトリウム塩、及び脂肪酸とアミンの塩、例えばジエチルアミンオーレイト、ジエタノールアミンステアレート、ジエタノールアミンリシノリエート、スルホン酸の塩、例えばドデシルベンゼンスルホン酸、又はジナフチルメタンジスルホン酸及びリシノール酸のアルカリ金属又はアンモニウム塩;フォーム安定剤、例えばシロキサン−オキシアルキレンコポリマー及び他の有機ポリシロキサン、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化脂肪アルコール、パラフィン油、ヒマシ油エステル、又はリシノール酸エステル、Turkey red油、及びピーナッツ油、及びセル調製剤、例えばパラフィン、脂肪アルコール、及びジメチルポリシロキサンが記載されて良い。側基としてポリオキシアルキレン及びフルオロアルカン基を有する、上述したオリゴマー性のアクリレートも乳化作用、セル(気泡)構造、及び/又はフォームの安定化を改良するために適切である。表面−活性(界面−活性)物質は、成分B)の100質量%に対して、通常、0.01〜10質量%の量で使用される。
【0051】
本発明の目的のために、充填剤、特に強化充填剤が、(それ自体は公知の)通常の有機及び無機充填剤、強化材料、増量剤、塗料、被覆組成物中の磨耗挙動を改良するための物質等である。特定の例は:無機充填剤、例えばシリカ含有無機物、例えば層状ケイ酸塩、例えばアンチゴライト、蛇紋岩、ホルンブレンド、角閃石、クリソタイル、及びタルク、金属酸化物、例えばカオリン、アルミニウムオキシド、チタニウムオキシド、及び鉄酸化物、金属塩、例えばチョーク、バライト、及び無機顔料、例えばカドミウムスルフィド、及び亜鉛スルフィド、及びガラス等である。好ましくは、カオリン(陶土)、アルミニウムシリケート、及びバリウムサルフェートとアルミニウムシリケートの共沈物、及び天然及び合成の繊維性の無機物、例えば珪灰石、金属ファイバー、及び特に種々の長さのガラスファイバーで、これらは陶砂(size)で被覆されていても良い。可能な有機充填剤は、例えば:カーボン、メラミン、ロジン、シクロペンタジエニル樹脂、及びグラフトポリマー、及びセルロースファイバー、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸エステルに基づくポリエステルファイバー、及び特にカーボンファイバーである。
【0052】
無機及び有機充填剤は、個々に、又は混合物として使用可能であり、及び成分A)〜C)に対して0.5〜50質量%、好ましくは1〜40質量%の量で反応混合物中に加えられ、天然及び合成ファイバーのマット、不織布、及び織物は、80質量%以下の値が可能である。
【0053】
難燃剤G)として、従来技術から公知の難燃剤を使用するこが通常可能である。適切な難燃剤は、例えば、組み込まれない(unincorporatable)臭素化物質、臭素化エステル、臭素化エーテル(Ixol)又は臭素化アルコール、例えばジブロモネオペンチルアルコール、トリブロモネオペンチルアルコール、及びPHT−4−ジオール、及び塩素処理されたフォスフェイト、例えばトリス(2−クロロエチル)フォスフェート、トリス(2−クロロプロピル)フォスフェート、トリス(1,3−ジクロロプロピル)フォスフェート、リン酸トリクレジル、トリス(2,3−ジブロモプロピル)フォスフェート、テトラキス(2−クロロエチル)エチレンジフォスフェート、ジメチルメタンフォスフェート、ジエチルジエタノールアミノメチルホスホネート、及び商業用のハロゲン含有難燃性ポリオールである。更なる液体難燃剤として、フォスフェイト又はホスホン酸塩、例えばジエチルエタンホスホネート(DEEP)、トリエチルフォスフェイト(TEP)、ジメチルプロピルホスホネート(DMPP)、ジフェニルクレシルフォスフェイト(DPK)等を使用することが可能である。
【0054】
上述した難燃剤とは別に、無機、又は有機難燃剤、例えばレッドホスフォラス、レッドホスフォラスを含む調合物、アルミニウムオキシドハイドレート、三酸化アンチモン、酸化ヒ素、アンモニウムポリフォスフェイト、及びカルシウムサルフェート、膨張性黒鉛、又はシアヌル酸誘導体、例えばメラミン、又は少なくとも2種の難燃剤の混合物(例えば、アンモニムポリフォスフェート及びメラミン、及び適切であれば、トウモロコシでんぷん、又はアンモニウムポリフォスフェイト、メラミン及び膨張性黒鉛、及び/又は芳香族、又は非芳香族ポリエステルの混合物)を、難燃性の硬質ポリウレタンフォームを製造するために使用することができる。
【0055】
通常、成分B)に対して、5〜150質量%、好ましくは10〜100質量%の、上述した難燃剤を使用することが有利であることがわかった。
【0056】
他の通常の補助剤及び添加剤についての更なる情報は、技術文献、例えばJ.H.Saunders and K.C. Frisch“High Polymers”Volume XVI,Polyurethanes,Parts 1 and 2,Interscience Publishers 1962 and 1964、又はKunststoff−Handbuch,Polyurethane,Volume VII,Hanser−Verlag,Munich,Vienna,1st and 2nd Editions,1966 and 1983による研究論文に見出されて良い。
【0057】
本発明の硬質ポリウレタンフォームを製造するために、有機、及び/又は変性有機ポリイソシアネートA)、特定のポリエステルポリオールB)及び、適切であればポリエーテルオール、及び/又はイソシアネートに対して反応性の基を少なくとも2個有する更なる化合物、及び適切であれば、鎖延長剤、及び/又は架橋剤C)が、ポリイソシアネートA)のNCO基の、成分B)、及び使用される場合C)及びD)〜G)の合計に対する等量比が1〜6:1、好ましくは1.1〜5:1、及び特に1.2〜3.5:1である量で反応される。
【0058】
硬質ポリウレタンフォームは、ワンショット法によって、例えば高圧又は低圧技術を使用して、開放した、又は閉鎖した型(例えば金属型)内で製造されることが有利である。反応混合物を、パネルを製造するために適切なコンベアベルトに連続的に供給することも、通常行なわれる。
【0059】
出発成分(starting component)は、15〜90℃、好ましくは20〜60℃の温度で、及び特に20〜35℃の温度で混合され、そして開放された型に、又は適切であれば圧力を上昇させて、閉鎖した型に導入され、又は連続的なワークステーションの場合には、反応混合物に適合するベルトに施される。上述したように、混合は攪拌器又は攪拌スクリューを使用して機械的に行なうことができる。型の温度は、有利にことには20〜110℃であり、好ましくは30〜70℃であり、及び特に40〜60℃である。
【0060】
本発明の方法によって製造された硬質ポリウレタンフォームは、密度が、15〜300g/l、好ましくは20〜100g/l、及び特に25〜60g/lである。
【0061】
以下に実施例を使用して本発明を説明する。
【0062】
実施例
種々のポリエステルオールが製造された:
一般的な方法
ジカルボン酸、脂肪族又は脂環式ジオール、又はこれらのアルコキシレート、及び高官能性ポリオールが、(機械的攪拌器、温度計、及び蒸留カラム、及び窒素注入チューブが備えられた)4リットルの丸底フラスコに導入された。触媒として40ppmのチタニウムテトラブチレートを加えた後、混合物を攪拌し、そして(解放された水を蒸留除去しつつ)240℃に加熱した。反応を200ミリバールで行った。これにより、酸価が≦1mgKOH/gのポリエステルオールが得られた。
【0063】
比較例1
894.8gの無水フタル酸、597.35gのオレイン酸、865.51gのジエチレングリコール、及び289.31gのグリセロールを、一般的な方法を使用して反応させた。これにより、OH官能価が2.2、及びヒドロキシル価が259mgKOH/gのポリエステルオールが得られた。
【0064】
比較例2
953.58gの無水フタル酸、545.65gのオレイン酸、884.79gのジエチレングリコール、及び266.81gのグリセロールを、一般的な方法を使用して反応させた。これにより、OH官能価が2.2、及びヒドロキシル価が237mgKOH/gのポリエステルオールが得られた。
【0065】
比較例3
ジメチルテレフタレートに基づき、及びヒドロキシル価が192mgKOH/gの、Invistaから市販されているポリエステルオール(Terate7541 LO)を使用した。
【0066】
比較例4
1428.51gのテレフタル酸、121.46gのオレイン酸、1460gのジエチレングリコール、及び57.69gのトリメチロールプロパンを、一般的な方法を使用して反応させた。これにより、OH官能価が2.0、及びヒドロキシル価が228mgKOH/gのポリエステルオールが得られた。
【0067】
比較例5
1468.53gのテレフタル酸、62.43gのオレイン酸、1500.9gのジエチレングリコール、及び40.7gのグリセロールを、一般的な方法を使用して反応させた。これにより、OH官能価が2.05、及びヒドロキシル価が238mgKOH/gのポリエステルオールが得られた。
【0068】
実施例1
1188.95gのテレフタル酸、404.36gのオレイン酸、1006.3gのジエチレングリコール、及び384.12gのトリメチロールプロパンを、一般的な方法を使用して反応させた。これにより、OH官能価が2.3、及びヒドロキシル価が246mgKOH/gのポリエステルオールが得られた。
【0069】
実施例2
1307.33gのテレフタル酸、444.57gのオレイン酸、897.73gのジエチレングリコール、及び362.34gのグリセロールを、一般的な方法を使用して反応させた。これにより、OH官能価が2.5、及びヒドロキシル価が239mgKOH/gのポリエステルオールが得られた。
【0070】
保存安定性の測定の結果を表1にまとめて示す。
【0071】
【表1】

【0072】
表1は、本発明に従い製造されたポリエステルオールが、3ヶ月以上に亘って保存安定性が良好であることを示している。
【0073】
比較例6及び7及び実施例3及び4
硬質ポリウレタンフォームの製造(変形例1):
イソシアネート及びイソシアネートに対して反応性の化合物を、(ポリオール成分のイソシアネート成分に対する割合を100:190の一定の混合割合として、)発泡剤、触媒、及び他の全ての添加剤と一緒に、発泡した。各場合において、一定のファイバー時間(fiber time)を49+/−1秒、及び総合フォーム密度(overall form density)を33+/−0.5g/lに設定した。
【0074】
ポリオール成分
79質量部の、実施例1及び2、又は比較例1及び2によるポリエステルオール、
6質量部の、ヒドロキシル官能価が2及びヒドロキシル価が200mgKOH/gの、エチレングリコール及びエチレンオキシドのエーテルからなるポリエーテルオール、
13質量部の、難燃性トリスクロロイソプロピルフォスフェイト(TCPP)、
2質量部の、安定剤Tegostab B8443(シリコーン−含有安定剤)、
15質量部の、ペンタンS80:20、
1.5質量部の水、
1.6質量部のカリウムアセテート(エチレングリコール中、47%質量濃度(strength by weight))、
1.2質量部の70%ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル。
【0075】
イソシアネート成分:
190質量部のポリマー性MDI(Lupranat(登録商標)M50,BASF SE,Ludwigshafen,DEより)。
【0076】
水の含有量によって、フォーム密度を33+/−1g/lに設定し、及びビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル含有量を変化させて、ファイバー時間(fiber time)を、49+/−1秒に設定した。
【0077】
成分を上述のように発泡させた。以下に記載するように、得られた硬質ポリウレタンフォームで、圧痕試験を使用して硬化を測定し、及び難燃性を、炎の高さを測定することにより測定した。
【0078】
硬化(curing)の測定:
圧痕試験を使用して硬化を測定した。この目的のために、(ポリスチレンカップ内で成分を混合した後、)半径が10mmの半球状の間端部を有する鋼製の圧子を、(万能試験機を使用して)フォームに10mmの深さに、2.5、3、4、5、6及び7分間、押し付けた。このために必要とされたNでの最大力が、フォームの硬化の測定(値)である。硬質ポリウレタンフォームの脆性の測定として、圧痕試験で、硬質フォームの表面が目視可能な割れ目領域を有する時点を測定した。
【0079】
難燃性の測定:
炎の高さをEN ISO 11925−2に従い測定した。結果を表2に示す。
【0080】
【表2】

【0081】
表2から判るように、本発明の方法に従い製造された硬質ポリウレタンフォームは、硬化特性(硬化挙動)が改良されており、及び燃焼特性が改良されている。
【0082】
比較例8及び実施例5及び6
硬質ポリウレタンフォームの製造(変形例2):
イソシアナート及びイソシアネートに対して反応性の成分を、発泡剤、触媒、及び全ての他の添加剤と一緒に、(ポリオール成分のイソシアネート成分に対する混合割合を一定の100:190として、)発泡させた。各場合において、一定のファイバー時間(fiber time)、49+/−1秒、及び総合フォーム密度、41+/−1g/lを設定した。
【0083】
ポリオール成分:
41.5質量部の、実施例1及び2、又は比較例2によるポリエステルオール、
20質量部の、(OHNが〜490mgKOH/gであり、及びポロピレンオキシドを開始分子としてスクロース/グリセロール混合物上に重付加させることによって製造された)ポリエーテルオール、
6質量部の、(OHNが〜160mgKOH/gであり、及びプロピレンをトリメチロールプロパン上に重付加させることにより製造された)ポリエーテルオール、
5質量部の、ヒドロキシル官能価が2及びヒドロキシル価が200mgKOH/gの、エチレングリコール及びエチレンオキシドのエーテルからなるポリエーテルオール、
25質量部の、難燃性トリスクロロイソプロピルフォスフェイト(TCPP)、
2.5質量部の、安定剤Niax Silicone L6635(シリコーン−含有安定剤)、
7.5質量部の、ペンタンS80:20、
2.0質量部の水、
1.5質量部のカリウムアセテート(エチレングリコール中、47%質量濃度(strength by weight))、
0.6質量部の、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル及びテトラメチルヘキサンジアミンの1:1混合物。
【0084】
イソシアネート成分:
190質量部のポリマー性MDI(Lupranat(登録商標)M50,BASF SE,Ludwigshafen,DEより)。
【0085】
ペンタンの含有量によって、フォーム密度を41+/−1g/lに設定し、及びビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテルとテトラメチルヘキサンジアミンの1:1混合物の割合を変化させて、ファイバー時間(fiber time)を、49+/−1秒に設定した。
【0086】
成分A及びBを、上述したように相互に反応させた。圧痕試験及び炎の高さの結果を表3に示す。
【0087】
【表3】

【0088】
表3から判るように、本発明の方法に従い製造された硬質ポリウレタンフォームは、硬化特性(硬化挙動)が改良されており、及び燃焼特性が改良されている。
【0089】
比較例9及び実施例7
更に、サンドイッチ要素を二重ベルト法を使用して製造した。水の含有量を、2質量部ではなく、2.6質量部に増加させ、及び7.5質量部ではなく、11質量部のペンタンを使用して、フォーム密度を30+/−1g/lに設定した。更に、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル及びテトラメチルヘキサンジアミンの1:1混合物の割合を変化させて、ファイバー時間(fiber time)を、49+/−1秒に設定した。
【0090】
比較例3からの、ジメチルテレフタレートに基づく比較エステル、及び実施例1からのエステルを使用して、二重ベルト試験を行った。表面及び加工性(処理性)の評価を以下に記載するように行った。
【0091】
表面欠陥の測定:
表面欠陥の頻度を評価するための試料を、二重ベルト法を使用して製造した。
【0092】
上述した方法を使用して、表面欠陥を測定した。この目的のために、20cm×30cmのフォーム試料を上述のように予備処理し、そして照明し、そして次に写真撮影した。次にフォームの画像(イメージ)をデジタル化し、及び重ね合わせた。デジタル画像の黒色領域の統合領域(integrated area)を、画像の合計領域で分割し、表面欠陥の頻度を測定した。
【0093】
更に、硬質ポリイソシアネートフォームの表面の特性の、追加的な質的な評価(該評価でが、1m×2mフォーム試料の表面層が除去され、そして表面が表面欠陥について目視的に評価される)が行われた。
【0094】
処理性(加工性)の測定:
処理の間、フォーム形成を試験することによって処理性を測定した。発泡剤の大きな泡(該泡は、フォーム表面を破裂させ、そして従ってこの開口部を裂くものである)が発生した場合、これらは「破裂」と称され、そして系(システム)は、問題のない方法で処理することができない。この不満足な挙動が観察されない場合、処理は「問題が無い」状態である。
【0095】
表4に結果を示した。
【0096】
【表4】

【0097】
表4は、本発明の方法によって製造された硬質ポリウレタンフォームが、問題の無い方法で、より容易に製造できることを示している。
【0098】
比較例10及び11及び実施例8
実施例
硬質ポリウレタンフォームの製造(変形例3):
更に、硬質ポリウレタンの以下の製造に従う、二重ベルト法によって、テストプレートが製造された(変形例3)。
【0099】
イソシアネート及びイソシアネートに対して反応性の成分が、発泡剤、触媒、及び他の全ての添加剤と一緒に、(ポリオール成分のイソシアネート成分に対する一定の混合割合が100:170で)発泡された。各場合において、28+/−1秒の、一定のファイバー時間、及び37+/−1g/lの、総合フォーム密度(overall form density)を設定した。
【0100】
ポリオール成分:
58質量部の、実施例、又は比較例によるポリエステルオール、
10質量部の、(ヒドロキシル官能価が2、及びヒドロキシル価が200mgKOH/gであり、及びエチレングリコール及びエチレンオキシドのエーテルから成る)ポリエーテルオール、
30質量部の、難燃性トリスクロロイソプロピルフォスフェイト(TCPP)、
2質量部の、安定剤Tegostab B 8443(シリコーン−含有安定剤)、
10質量部のn−ペンタン、
1.6質量部のギ酸(85%)、
2.0質量部のカリウムフィルメート(エチレングリコール中、36質量%濃度(strength))、
0.6質量部のビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(ジプロピレングリコール中70質量%)。
【0101】
イソシアネート成分:
170質量部のポリマー性MDI(Lupranat(登録商標)M50)。
【0102】
ペンタンの含有量によって、フォーム密度を37+/−1g/lに設定し、及びビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル含有量を変化させて、ファイバー時間(fiber time)を、28+/−1秒に設定した。
【0103】
成分A及びBを、上述したように相互に反応させた。表面評価及び処理性の結果を表5に示す。
【0104】
【表5】

【0105】
表5は、本発明に従い製造された硬質ポリイソシアヌレートフォームは、問題の無い方法で、より容易に製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)以下の、
a1)テレフタル酸に対して、50〜100モル%の、テレフタル酸、ジメチルテレフタレート、ポリアルキレンテレフタレート、及びこれらの混合物から選ばれる材料、
a2)0〜50モル%の、フタル酸、無水フタル酸、又はイソフタル酸、
a3)0〜50モル%の、1種以上のジカルボン酸、
を含む、10〜70モル%のジカルボン酸組成物、
b)2〜30モル%の、1種以上の脂肪酸、及び/又は脂肪酸誘導体、及び/又は安息香酸、
c)10〜70モル%の、2〜18個の炭素原子を有する、1種以上の脂肪族ジオール、又は脂環式ジオール、又はこれらのアルコキシレート、
d)グリセロール、アルコキシル化されたグレセロール、トリメチロールプロパン、アルコキシル化されたトリメチロールプロパン、ペンタエリチリトール、及びアルコキシル化されたペンタエリチリトールから選ばれる、2〜50モル%の高−官能性ポリオール、
のエステル化生成物を含むポリエステルポリオールであって、
ポリエステルポリオール1kg当たり、少なくとも200ミリモル、好ましくは少なくとも500ミリモル、及び特に好ましくは少なくとも800ミリモルの、OH官能価が≧2.9のポリオールd)が反応するものであるポリエステルポリオール。
【請求項2】
ジカルボン酸組成物a)が、75モル%を超える、テレフタル酸a1)に基づく材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のポリエステルポリオール。
【請求項3】
脂肪族、又は脂環式ジオールc)が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、及び3−メチル−1,5−ペンタンジオール、及びこれらのアルコキシレートから成る群から選ばれることを特徴とする請求項2に記載のポリエステルオール。
【請求項4】
脂肪酸族ジオールが、ジエチレングリコールであることを特徴とする請求項3に記載のポリエステルオール。
【請求項5】
脂肪酸、又は脂肪酸誘導体b2)が、再生可能な原料に基づく脂肪酸又は脂肪酸誘導体であり、及びヒマシ油、ポリヒドロキシ脂肪酸、リシノール酸、ヒドロキシ−変性油、ブドウ種油、ブラッククミン油、カボチャ核種油、ルリヂサ種油、大豆油、麦芽油、菜種油、向日葵油、ピーナッツ油、アプリコット核種油、ピスタチオ油、アーモンド油、オリーブオイル、マカダミアナッツ油、アボカド油、シーバックスロン油、セサミ油、大麻油、ヘーゼルナッツ油、サクラソウ油、野バラ油、ベニバナ油、くるみ油、
ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、ペトロセリン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、α−及びγ−リノール酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、ティムノドン酸、クルパノドン酸、及びセルボン酸に基づくヒドロキシ−変性脂肪酸及び脂肪酸エステルから成る群から選ばれることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のポリエステルオール。
【請求項6】
A)有機、及び/又は変性有機ジイソシアネート、及び/又はポリイソシアネートと、
B)成分B)が50質量%以下の更なるポオリエステルポリオールを含むことができる、請求項1に記載されたポリエステルポリオール、
C)適切であれば、ポリエーテルオール、及び/又はイソシアネートに対して反応性の基を少なくとも2個有する更なる化合物、及び適切であれば、鎖延長剤、及び/又は架橋剤、
D)発泡剤、
E)触媒、及び適切であれば、
F)更なる補助剤、及び/又は添加剤、
G)難燃剤、
を反応させることにより、硬質ポリウレタンフォームを製造する方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法によって得ることができる硬質ポリウレタンフォーム。
【請求項8】
硬質ポリウレタンフォームを製造するために、請求項1〜5の何れか1項に記載のポリエーテルポリオールを使用する方法。

【公表番号】特表2012−505941(P2012−505941A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531473(P2011−531473)
【出願日】平成21年10月13日(2009.10.13)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063358
【国際公開番号】WO2010/043624
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】