説明

ディスクドライブ装置及びディスクドライブ装置において再較正のタイミングを決める方法

相互にデータ通信するデータエンジンシステム(20)及びデータ処理システム(30)を有するディスクドライブ装置(1)が記述されている。データエンジンシステム(20)及びデータ処理システム(30)は、再較正のタイミングに関して相互に協議の通信をする。データエンジンシステム(20)は、再較正プロシージャが望ましい時点を決定し(ステップ120;320)、再較正リクエスト信号をデータ処理システム(30)に送信する(ステップ121;321)ように設計されている。データ処理システム(30)は、再較正許可信号をデータエンジンシステム(20)に送信することができ又は送信しなくてもよい(ステップ230;430)。データエンジンシステム(20)は、データ処理システム(30)から再較正許可信号を受け取ったあとにのみ、再較正プロシージャを実施する(ステップ132;332)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、光記憶ディスクのような記憶装置の技術に関する。より具体的には、本発明は、一般に、光記憶ディスクに/から情報を書き込み/読み取るためのディスクドライブ装置に関する。以下、このようなディスクドライブ装置は、「光ディスクドライブ」とも示される。
【背景技術】
【0002】
一般に知られているように、光記憶ディスクは、情報がデータパターンの形で記憶されることができる記憶空間の連続的なうずまき形又は複数の同心円形の少なくとも1つのトラックを有する。光ディスクは、情報が製造中に記録されるリードオンリータイプでありえ、その情報は、ユーザによって読み出されることができるのみである。光記憶ディスクは更に、情報がユーザによって記憶されうる書き込み可能なタイプであってもよい。光記憶ディスクの記憶空間から/に情報を読み取り/書き込むために、光ディスクドライブは、光ディスクを受け取り、回転させる回転手段と、一般にレーザビームのような光学ビームを生成し、前記レーザビームによって記憶トラックを走査する光学手段と、を有する。光ディスクの一般的な技術、すなわち情報が光ディスクに記憶されることができるやり方及び光学データが光ディスクから読み取られることができるやり方は、一般に知られているので、ここでは、この技術を更に詳しく説明する必要はない。
【0003】
ディスクドライブにおいて、いくつかの動作パラメータは、較正される必要があり、すなわち、最適な性能のための最適値にセットされる必要がある。例えば、光学レンズのチルト角が較正され、光学ピックアップユニットのフォーカスオフセットが較正され、半径方向のエラー振幅が較正される、等である。特に、書き込み動作の場合、光学的な書き込みパワーが較正される。前記パラメータは、較正の要求と同様に、当業者に一般に知られている。更に、上述及び他のパラメータに関する較正プロシージャもそれ自体知られており、本発明を実現する際に使用されることができる。従って、較正プロシージャのより詳しい説明は、ここでは必要でない。
【0004】
スタートアッププロシージャ又は開始プロシージャの一部として、すなわち、新しいディスクがディスクドライブに導入されるとき、及び/又は、新しい読み取り/書き込みコマンドが、ドライブに既に存在するディスクに関して与えられるとき、較正プロシージャを実施することは実際に既に知られている。しかしながら、スタートアップ較正中にセットされるパラメータ値は、読み取り/書き込みプロセスの後のほうの段階においてもはや最適値でないことがある。これは、例えば、変化する温度、ディスク上の変化する読み取り/書き込み位置、その他のような、変化する環境によるものでありうる。従って、書き込み又は読み取りプロセスが進行中であるとき、後のほうの段階でも較正プロシージャを実施することが望ましいことがある。このような較正プロシージャは、スタートアップフェーズ段階時の較正から区別されるように、「再較正」という語によって示される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
再較正の重要な見地は、そのタイミングである。一方で、より頻繁な再較正プロシージャは、信号品質を改善することができるが、データスループットの低減を伴う。他方で、再較正プロシージャが十分に頻繁に実施されない場合、エラーが生じることがある。更に、再校正プロシージャは、進行中の書き込み又は読み取りプロセスを中断し、それによって、適当なデータ転送に影響を及ぼすことがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、特に、再較正管理、すなわち、再較正のタイミングに関する意思決定プロセスに関する。
【0007】
本発明の一般的な目的は、最適な信号品質が可能な限り維持されるディスクドライブ装置を提供することである。
【0008】
本発明の他の一般的な目的は、再較正プロシージャが、データ転送に関して最も適している時点で実施されるディスクドライブ装置を提供することである。
【0009】
本発明の特定の目的は、再較正のタイミングが、適当なデータ転送に悪影響を及ぼさないことを確実にするために、再較正管理機能を有するディスクドライブ装置を提供することである。
【0010】
本発明の重要な見地によれば、再較正プロセスのための開始時間を決定する方法は、2ステッププロセスである。まず、再較正プロセスを実行することが望ましくなったか否かが決定される。このようなことが望ましくなると直ちに再較正プロセスを実行する代わりに、読み取り/書き込みプロセスが続けられるべきかどうか、及び再較正プロセスがより適切な時点まで延期されるべきかどうかがチェックされる。再較正許可条件についてのチェックが行われ、すべての再較正許可条件が満たされるときのみ、実際の再較正プロセスが開始する。再較正許可条件のうちの少なくとも1つが満たされないという理由で、実際の再較正プロセスがまったく始まらないことさえある。
【0011】
再較正許可条件の例として、ディスクドライブが、(書き込みモードにおいて)現在データバッファからデータを書き込んでおり、バッファが空になるまで、データのフローが妨害されることができないことがありうる。更に、読み取りモードにおいて、ディスクドライブが、バッファからホストにデータを出力しており、そのバッファがほとんど空であり、ホストへの妨害されないデータフローを確実にするために、まず再び満たされるべきであることがある。
【0012】
好適な実施例において、ディスクドライブ装置は、データエンジンシステム及びデータ処理システムを有する。データエンジンシステムは、それがディスクドライブとディスクとの間のすべての入力又は出力通信を扱うとき、ディスクドライブ装置とディスクとの間のインタフェースを提供する。データ処理システムは、ディスクから入力する信号及びディスクに出力する信号に存在するデータを処理し、PCのようなホストシステムへ及びホストシステムからのそれぞれの通信のためにデータを処理する。再較正のタイミングは、協力するデータエンジンシステム及びデータ処理システムによって決定される。
【0013】
具体的には、データエンジンシステムは、ディスクのインタフェースに関する任意の基準に基づいて、再較正が実施されるべきかどうかを決定する。データエンジンシステムが、再較正が実施されるべきであると決定する場合、データエンジンシステムは、データ処理システムにリクエストを出す。データ処理システムは、データ処理に関する任意の基準に基づいて、リクエストされた再較正を実施することが許されるかどうかを決定する。データ処理システムが、リクエストされた再較正が許されることを決定する場合、データ処理システムは、許可信号をデータエンジンシステムに送信する。データエンジンシステムは、データ処理システムに再較正リクエスト信号を送り、データ処理システムから再較正許可信号を受け取ったあとにのみ、再較正プロシージャを実施する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のこれら及び他の見地、特徴及び利点は、図面を参照して本発明の好適な実施例の以下の記述によって更に説明される。図面において、同じ参照数字は、同じ又は同様の部分を示す。
【0015】
図1は、ディスク2を扱うことができる、ディスクドライブ装置1のいくつかの部分を図式的に示す図を示している。例えば、ディスク2は、例えばCD、DVD、その他のような、光(光磁気を含む)ディスクである。ディスクドライブ1は、ディスク2を回転させるモータ4と、光学ビーム6によってディスク2のトラック(図示せず)を走査する光ピックアップユニット5と、を有する。
【0016】
ディスクドライブ1は更に制御回路10を有する。制御回路10は、モータ4を制御する第1の出力部11と、光ピックアップユニット5を制御する第2の出力部12とを有する。制御回路10は、更に、データ入力ポート13と、データ出力バス14とを有する。読み取りモードにおいて、データ入力ポート13は、光ピックアップユニット5からデータ読み取り信号Sを受け取る。書き込みモードにおいて、制御回路10は、そのデータ出力ポート14にデータ書き込み信号Sを供給する。制御回路10は、更に、Hに概略的に示されるホストシステムとデータ通信するためのデータ通信ポート15を有する。ホストシステムHは、例えばPC等でありうる。ディスクドライブ1は、ホスト1から離れていてもよく、その場合には長距離通信経路を通じて通信し、又は、ホストHに組み込まれていてもよい。
【0017】
図3Aは、読み取り動作の場合、本発明による再較正のタイミングを決定する1つの方法を図式的に示すフロー図である。読み取りコマンドが受け取られると[ステップ100]、スタートアップ[ステップ101]の後、読み取りプロシージャ[ステップ103]が開始する。スタートアップが前もって実施されてもよいことに留意されたい。
【0018】
読み取りプロシージャの間、再較正プロセスを実行することが望ましくなったかどうかがチェックされる[ステップ120]。再較正プロセスが必要とされることを決めるための1又は複数の基準は、いかなる適切な基準でもあってもよい。非制限的な一例として、以前の較正から特定の時間が経過したことであってもよい。
【0019】
再較正プロセスが必要とされることが見つけられると、再較正開始プロシージャが実行される[ステップ121]。
【0020】
この再較正開始プロシージャののち、読み取りプロシージャが続き[ステップ141]、その間、再較正許可条件がチェックされる[ステップ142]。すべての再較正許可条件が満たされる場合にのみ、再較正プロセスが実行される[ステップ132]。このように、再較正プロセスの実際の開始は、再較正プロセスが実施されるべきことになったときより遅い。
【0021】
再較正プロセスの終了後、ステップ103に戻るジャンプとして示されるように、読み取りプロシージャが続き、プロセスが繰り返される。
【0022】
図2は、制御回路10の好適な実施例をいくらかより詳しく示す図を図式的に示している。具体的には、制御回路10は、データエンジンシステム20及びデータ処理システム30を有する。以下に単に「エンジン」として示されるデータエンジンシステム20は、ディスクドライブ1とディスク2との間のすべての入力又は出力通信を扱うので、ディスクドライブ装置とディスクとの間のインタフェースを提供する。
【0023】
以下に単に「プロセッサ」として示されるデータ処理システム30は、ディスクからの入力信号S及びディスクへの出力信号Sに存在するデータを処理し、PCのようなホストシステムへ/からそれぞれ通信するために、そのデータを処理する。
【0024】
具体的には、エンジン20は、ディスク2と通信するためのすべての機能を提供する。読み取りモードにおいて、エンジン20は、データ信号を導き出すために、レーザを制御し、光学的読み取り信号を処理し、データ信号は、プロセッサ30によって更に処理される。書き込みモードにおいて、プロセッサ30は、書き込まれるべきデータ信号を供給する。書き込まれるべきデータ信号は、適当な書き込み信号を生成し、ゆえにレーザを制御するエンジン20によって受け取られる。
【0025】
図3Bは、読み取りモードにおける、エンジン20(ステップ100−132)及びプロセッサ(ステップ201−230)の協力を示すフロー図である。
【0026】
エンジンが、読み取りコマンドを受け取る[ステップ100]場合、エンジンは、まず、例えばチルト較正、フォーカスオフセット較正、半径方向のエラー較正、その他のような1又は複数の較正を含むスタートアッププロシージャ[ステップ101]を実行することができる。
【0027】
スタートアッププロシージャの終了後、制御回路10は、ディスクから情報を読み取るために、ディスクモータ4及び光ピックアップユニット5を駆動する。エンジン20は、読み取り信号Sを受け取り[ステップ110]、読み取り信号Sからデータを得るために、読み取り信号Sを処理し[ステップ111]、このデータをプロセッサ30に伝送する[ステップ112]。
【0028】
更に、エンジン20は、再較正が必要であるかどうかを決定する[ステップ120]。再較正が必要であるかどうかを決定するために可能性として使用されうる1つのファクタは、新しいディスクゾーンへのエントリである。それ自体知られているように、ディスクは、通常、完全には均質ではなく、すなわち、ディスクの物質的特性、及び/又は光学的特性、及び/又は機械的特性は、通常、ディスクの表面全体にわたって一定ではない。実質的にディスクを、内側半径及び外側半径(ゾーンの外側半径xは、ゾーンx+1の内側半径である)によって規定される隣接するディスクゾーンに分割するとともに、読み取りプロセスが新しいゾーンに達するとすぐに、再較正を実施することは既に知られている。従って、本発明の一実施例において、エンジン20は、ステップ120において、新しいゾーンに達したかどうかを決定し、新しいゾーンに達した場合、再較正が必要であると決定する。
【0029】
ステップ120において、エンジン20が、再較正が必要であると決定する場合、エンジン20は、再較正リクエスト信号を、データプロセッサ30に送信する[ステップ121]。
【0030】
ステップ131において、エンジン20は、それがデータプロセッサ30から許可信号を受け取ったかどうかチェックする。エンジン20が、データプロセッサ30から許可信号を受け取っていない場合、エンジン20は、ステップ110へのジャンプによって示されるように、読み取りプロセスを続ける。
【0031】
ステップ120において、エンジン20が、再較正が必要でないと決定する場合、エンジン20は、それが再較正リクエスト信号をプロセッサ30に以前に送信したかどうかチェックする[ステップ130]。そのリクエストは、まだ返答されていない。エンジン20は、再較正リクエスト信号がなおペンディングであることを見つけると、エンジン20は、それがデータプロセッサ30から許可信号を受け取ったかどうかをチェックすることを続け[ステップ131]、許可信号をまだ受け取っていない場合、ステップ110へのジャンプによって示すように、読み取りプロセスを続ける。
【0032】
他方、データプロセッサ30は、エンジン20によって伝送されるデータを受け取り[ステップ201]、なんらかのデータエラーが生じていないか捜すことによって、受け取られた信号の品質を監視する[ステップ202]。データエラーが生じない限り[ステップ210]、プロセッサ30によるデータ処理が、単に、ステップ201へのジャンプによって示されるように続く。このデータ処理は、ホスト2への出力部15にデータを出力することを含むが、これは図3には示されていない。
【0033】
プロセッサ30が、ステップ210において、1又は複数のエラーが、エンジン20から受け取られるデータに生じていることを見つける場合のみ、プロセッサ30は、それが既にエンジン20から再較正リクエスト信号を受け取っているかどうかチェックする[ステップ220]。プロセッサ30は、再較正リクエスト信号を受け取っていない場合、ステップ201へのジャンプによって示されるように、データ処理を続ける。
【0034】
プロセッサ30が、ステップ220において、それがエンジン20から既に再較正リクエスト信号を受け取っていることを見つける場合、データエラーが生じているようであるという事実は、プロセッサ30がエンジン20に許可信号を送る理由となる[ステップ230]。
【0035】
この許可信号の受け取りに応じて、エンジン20は、較正モードに入り[ステップ132]、較正モードにおいて、少なくとも1つのパラメータが較正される。好適な実施例において、エンジン20は、スタートアッププロシージャ中と同じ較正を実施する。
【0036】
較正プロシージャを終了し、ペンディング中の再較正リクエストをキャンセルした後、エンジン20は、較正モードを離れ、ステップ110において読み取りプロセスを続ける。
【0037】
再較正プロシージャは、それほど長く時間をかけることができない。これは、データバッファのアンダーフローを生じさせることがあるからである。こうして、再較正が失敗した場合、エンジン20は、読み取りプロセスを続け、更に、前述したようにプロセッサ30からの許可の後に実行されるべき再較正のために、新しい再較正リクエストを送信する。
【0038】
このように、エンジン20が、再較正プロシージャが実施されるべきであることを見つける場合であって、再較正プロシージャがデータエラーを低減する目的で有用であるように見える場合にのみ、再較正プロシージャが実施されることが確実にされる。データプロセッサ30によって決定されるように、データエラーが生じていない場合、再較正は不要であるとみなされる。他方、エラーが生じているという単なる事実は、即時の再較正の理由にはならない。このように、データプロセッサ30は、再較正を始めることを決定するわけではなく、エンジン20が再較正が実施されるべきであることを見つけた場合、再較正を実施するための許可をエンジン20に与えるにすぎない。
【0039】
図3Cは、図3Bのプロシージャの変更例を示すフロー図である。この場合、制御回路10は、第1のメモリ位置41を有し、第1のメモリ位置41の内容は、ステップ120において、再較正が必要とされる又は実施されるべきであることが見つけられたことを示す。この第1のメモリ位置は、再較正リクエストフラグとして示される。ステップ121(図3A)の再較正開始プロシージャは、再較正リクエストフラグをセットするステップを含む。
【0040】
制御回路10は、更に、第2のメモリ位置42を有し、第2のメモリ位置42の内容は、すべての再較正許可条件が満たされることを示す。この第2のメモリ位置は、再較正許可フラグとして示される。読み取りプロシージャの場合、一旦読み取りエラーが検出されると、このフラグがセットされる。再較正許可をチェックするステップ(図3A、ステップ142)は、再較正許可フラグ42をチェックするステップを含む。
【0041】
両方のフラグがセットされる場合のみ、ステップ132の再較正プロセスが実行される。再較正プロセスの終了後、両方のフラグは、リセットされる[ステップ133]。
【0042】
図4Aは、書き込み動作の場合の、本発明による再較正のタイミングを決定する1つの方法を図式的に示すフロー図である。書き込みコマンドが受け取られると[ステップ300]、スタートアップののち[ステップ301]、書き込みプロシージャ[ステップ303]が開始する。スタートアップは、前もって実施されてもよいことに留意されたい。
【0043】
書き込みプロシージャの間、再較正プロセスを実行することが望ましくなったかどうかチェックされる[ステップ320]。再較正プロセスが必要とされると決定するための1又は複数の基準は、いかなる適切な基準でもあってもよい。非制限的な一例として、前の較正から特定の時間が経過したことであってもよい。
【0044】
再較正プロセスが必要とされることが見つけられる場合、再較正開始プロシージャが実行される[ステップ321]。
【0045】
この再較正開始プロシージャののち、書き込みプロシージャが続き[ステップ341]、書き込みプロシージャの間、再較正許可条件がチェックされる[ステップ342]。すべての再較正許可条件が満たされるときのみ、再較正プロセスが実行される[ステップ332]。このように、再較正プロセスの実際の開始は、再較正プロセスが実施されるべきことになったときより遅くなりうる。
【0046】
再較正プロセスの終了後、ステップ303に戻るジャンプとして示されるように、書き込みプロシージャが続き、プロセスが繰り返される。
【0047】
図4Bは、書き込みモードにおける、エンジン20(ステップ300−332)及びプロセッサ(ステップ400−430)の協力を示すフロー図である。
【0048】
エンジンが、書き込みコマンドを受け取る場合、エンジンは、まず、例えばチルト較正、フォーカスオフセット較正、半径方向のエラー較正、その他のような1又は複数の較正を含むスタートアッププロシージャを実行することができる[ステップ301]。
【0049】
スタートアッププロシージャの終了後、制御回路10は、ディスクに情報を書き込むために、ディスクモータ4及び光ピックアップユニット5を駆動する。エンジン20は、プロセッサ30から、書き込まれるべきデータを受け取り[ステップ310]、書き込み信号Sを供給するために、このデータを処理し[ステップ311]、この書き込み信号Sをディスク2に書き込む[ステップ312]。
【0050】
更に、エンジン20は、なんらかの再較正が必要であるかどうかを決定する[ステップ320]。この決定において、エンジン20は、読み取りのコンテクストにおいて前述したのと同じ考慮を払うことができる。従って、本発明の一実施例において、エンジン20は、ステップ320において、新しいゾーンに達したかどうかを決定し、新しいゾーンに達している場合、再較正が必要であると決定する。
【0051】
ステップ320において、エンジン20が、再較正が必要であると決定する場合、エンジン20は、再較正リクエスト信号をデータプロセッサ30に送信する[ステップ321]。
【0052】
ステップ331において、エンジン20は、それがデータプロセッサ30から許可信号を受け取ったかどうかチェックする。エンジン20は、それが許可信号を受け取っていない場合、ステップ310へのジャンプによって示されるように、書き込みプロセスを続行する。
【0053】
ステップ320において、エンジン20は、再較正が必要でないと決定する場合、それが以前に再較正リクエスト信号をプロセッサ30に送信しているかどうかチェックする[ステップ330]。そのリクエストは、まだ返答されていない。エンジン20は、再較正リクエスト信号がなおペンディングであることを見つける場合、それがデータプロセッサ30から許可信号を受け取ったかどうかチェックすることを続ける[ステップ331]。エンジン20は、それが許可信号を受け取っていない場合、ステップ310へのジャンプによって示されるように、書き込みプロセスを続ける。
【0054】
他方、データプロセッサ30は、データを、例えばホストから受け取られたデータを、エンジン20に伝送する[ステップ401]。
【0055】
データプロセッサ30は、通常、可能性のある書き込みエラーに関する情報を有さず、それゆえ、再較正が有用か否かを決めることができず、従って、データプロセッサ30は、エンジン20からの再較正リクエストを拒絶する能力をもたない。しかしながら、データプロセッサ30は、現在が再較正のために適切な時点でないことを見つけることができ、それゆえ、データプロセッサ30は、より適切な時間まで再較正プロセスを遅延させる能力をもつ。この場合、遅延時間は、過度に大きくなるべきでなく、好適には、1秒未満であるべきである。
【0056】
プロセッサが再較正プロセスを許すべきか又は遅延させるべきかを決めるための考慮の一例は、現在の書き込みステップを終わらせることの望ましさである。例えば、データは、ホストによって満たされるバッファ31から書き込まれることができるが、1つの連続する、すなわち中断されない書き込みプロセスにおいて、バッファの内容全体を書き込むことが望ましいことがある。
【0057】
従って、ステップ420において、プロセッサ30は、それがエンジン20から再較正リクエスト信号を受け取ったかどうかチェックする。プロセッサ30は、それが再較正リクエスト信号を受け取っていない場合、ステップ401へのジャンプによって示されるように、データ処理を続行する。
【0058】
プロセッサ30が、ステップ420において、それがエンジン20からの再較正リクエスト信号を受け取ったことを見つける場合、プロセッサ30は、直ちに又はいくらかの遅延ののち、エンジン20に許可信号を送る[ステップ430]。図4Bの例において、プロセッサ30は、許可信号を送り出す前に、前記バッファ31が空にされることを確実にする[ステップ421及び422]。
【0059】
この許可信号の受け取りに応じて、エンジン20は、較正モードに入り[ステップ332]、較正モードにおいて、少なくとも1つのパラメータが較正される。好適な実施例において、エンジン20は、スタートアッププロシージャ時と同じ較正を実施する。
【0060】
較正プロシージャを終了し、ペンディングの再較正リクエストをキャンセルしたのち、エンジン20は、較正モードを離れ、ステップ310の書き込みプロセスを続ける。プロセッサ30は、図4Bに示されないが、エンジン20が較正モードを去ったというエンジン20からの続行メッセージは受け取った後にのみ、エンジン20にデータを送ることを続ける(ステップ401へジャンプする)。
【0061】
再較正プロシージャは、あまり長く時間をかけることはできない。これは、データバッファのオーバーフローをもたらすからである。従って、再較正が失敗した場合、エンジン20は、その続行メッセージをプロセッサ30に送信するとともに、更に、前述したようにプロセッサ30からの許可ののちに実行されるべき再較正のために、新しい再較正リクエストを送り出す。
【0062】
このように、エンジン20が、再較正プロシージャが実施されるべきであることを見つける場合に、データプロセッサ30によって決定される適切な時点にのみ、再較正プロシージャが実施されることが確実にされる。現時点が適切でない場合、再較正は遅延される。再び、データプロセッサ30は、再較正を始めることを決定するわけではなく、エンジン20が再較正が実施されるべきであることを見つける場合、再較正を実施するための(おそらく遅延)許可をエンジン20に与えるのみである。
【0063】
図4Cは、図4Bのプロシージャの変更例を示すフロー図である。この場合、制御回路10は、前述したように、再較正リクエストフラグ41及び再較正許可フラグ42を含む。ステップ321(図4A)の再較正開始プロシージャは、再較正リクエストフラグ41をセットするステップを含み、再較正許可(図4A、ステップ342)をチェックするステップは、再較正許可フラグ42をチェックするステップを含む。
【0064】
書き込みプロシージャの場合、一旦すべての再較正許可条件が満たされると、例えば書き込みバッファが空にされると、再較正許可フラグ42がセットされる。
【0065】
両方のフラグがセットされる場合にのみ、ステップ332の再較正プロセスが実行される。再較正プロセスの終了後、両方のフラグが、リセットされる[ステップ333]。
【0066】
当業者には、本発明が、上述したような例示の実施例に制限されず、さまざまな変更及び変形が、特許請求の範囲に記載の本発明の保護範囲内で可能であることが明らかであるべきである。
【0067】
例えば、上述した読み取りプロセスの例示の実施例において、一旦エラーが検出されると、再較正許可が与えられる。しかしながら、例えばビデオアプリケーションの場合、データが、バッファ31から、妨害されないデータストリームを期待するホストHに出力されることも可能である。バッファがほとんど空である場合、再較正プロセスの間、バッファ31からの妨害されないデータストリームを確実にするようにバッファが十分に満たされるときまで、再較正プロセスは遅延されるべきであり、再較正許可が付与されるだけである。
【0068】
前述において、本発明は、光記憶ディスクのコンテクストにおいて説明された。しかしながら、本発明の要旨は、光記憶ディスクに制限されず、一般に記憶装置に適用できる。
【0069】
前述において、本発明は、本発明による装置の機能ブロックを示すブロック図を参照して説明された。これらの機能ブロックの1又は複数は、このような機能ブロックの機能が個別のハードウェア素子によって実施されるハードウェアにおいて実現されることができるが、これらの機能ブロックの1又は複数がソフトウェアにおいて実現されることも可能でありえ、それによって、このような機能ブロックの機能は、コンピュータプログラム又はマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ等のプログラマブル装置の1又は複数のプログラムラインによって実施されることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】ディスクドライブ装置の関連する部分を示す概略ブロック図。
【図2】制御回路の関連する部分を示す概略ブロック図。
【図3A】読み取り動作の場合、本発明による再較正のタイミングを決定する1つの方法を図式的に示すフロー図。
【図3B】読み取りモードにおけるデータエンジンシステム及びデータプロセッサの協力を示すフロー図。
【図3C】図3Bのプロシージャの変更例を示すフロー図。
【図4A】書き込み動作の場合の、本発明による再較正タイミングを決定する1つの方法を図式的に示すフロー図。
【図4B】書き込みモードにおけるデータエンジンシステム及びデータプロセッサの協力を示すフロー図。
【図4C】図4Bのプロシージャの変更例を示すフロー図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体に/から情報を書き込み/読み取る場合、記憶装置書き込み/読み取り装置において少なくとも1の再較正プロセスのタイミングを決める方法であって、
再較正プロセスに関する予定時間を決定するステップと、
再較正プロセスが実施されるべきであるとき、予め決められた再較正許可条件が満たされるときまで、前記再較正プロセスの実際の開始を遅延させるステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記再較正プロセスが実施されるべきであるとき、前記再較正許可条件がチェックされ、すべての前記再較正許可条件が満たされるとすぐ、前記再較正プロセスが開始される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
読み取りモードにおいて、読み取りエラーが発生するまで、前記再較正プロセスの実際の開始が延期される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
読み取りモードにおいて、データバッファが十分に満たされるまで、前記再較正プロセスの実際の開始が延期される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
書き込みモードにおいて、データバッファが十分に空にされるまで、前記再較正プロセスの実際の開始が延期される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
書き込み/読み取り動作が、実際の再較正プロセスの開始まで続けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
記憶媒体に/から情報を書き込み/を読み取るための記憶装置書き込み/読み取り装置であって、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法を実施するように設計されている記憶装置書き込み/読み取り装置。
【請求項8】
光記憶ディスクのような光ディスクに/から情報を書き込み/読み取るディスクドライブ装置である、請求項7に記載の記憶装置書き込み/読み取り装置。
【請求項9】
記憶媒体に/から情報を書き込み/読み取ることが可能な記憶装置書き込み/読み取り装置であって、
前記装置は、書き込み又は読み取りプロセスの間、再較正プロシージャを実施するように設計されている制御回路を有し、前記制御回路は、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の方法に従って、少なくとも1の再較正プロセスのタイミングを決めるように設計されている、記憶装置書き込み/読み取り装置。
【請求項10】
前記制御回路は、第1のフラグ及び第2のフラグに関連し、
前記制御回路は、
再較正プロセスに関する予定時間を決定し、
この予定時間に達すると、前記第1のフラグをセットし、
予め決められた再較正許可条件をチェックし、
すべての前記予め決められた再較正許可条件が満たされるとき、前記第2のフラグをセットし、
前記第1のフラグ及び前記第2のフラグの両方がセットされると、再較正プロセスを実行する、
ように設計されている、請求項9に記載の記憶装置書き込み/読み取り装置。
【請求項11】
前記装置は、互いにデータ通信するデータエンジンシステム及びデータ処理システムを有し、
前記データエンジンシステムは、読み取りモードにおいて、読み取り信号を受け取るために、前記読み取り信号からデータ信号を導き出し、前記データ処理システムに前記データ信号を伝送し、書き込みモードにおいて、前記データ処理システムからデータ信号を受け取り、書き込み信号を生成する、ように設計されており、
前記データ処理システムは、読み取りモードにおいて、前記データエンジンシステムからデータ信号を受け取り、ホストシステムに通信するために前記データを処理し、書き込みモードにおいて、前記ホストシステムと通信するために、前記ホストシステムから受け取られた通信信号中のデータ信号を処理し、前記データエンジンシステムにデータ信号を伝送する、ように設計されており、
前記データエンジンシステム及び前記データ処理システムは、更に、再較正のタイミングに関して互いに通信する、請求項9に記載の記憶装置書き込み/読み取り装置。
【請求項12】
前記データエンジンシステムは、再較正プロシージャが望ましいときを決定し、再較正リクエスト信号を前記データ処理システムに送るように設計されており、
前記データ処理システムは、再較正許可信号を前記データエンジンシステムに送ることを決定するように設計されており、
前記データエンジンシステムは、前記データ処理システムから前記再較正許可信号を受け取ったあとにのみ、再較正プロシージャを実施するように設計されている、
請求項11に記載の記憶装置読み取り/書き込み装置。
【請求項13】
読み取りモードにおいて、前記データエンジンシステムは、
ペンディングの再較正リクエストに関して前記データ処理システムから再較正許可信号が受け取られたかどうかチェックし、
前記再較正許可信号が受け取られていない場合、前記読み取り信号を受け取り、処理することを続け、
前記再較正許可信号が受け取られている場合、再較正プロセスを実施し、前記再較正プロセスを終了したあとにのみ、前記読み取り信号を受け取り、処理することを続ける、
ように設計されている、請求項12に記載の記憶装置読み取り/書き込み装置。
【請求項14】
前記データエンジンシステムは、前記再較正プロセスが不成功である場合、前記読み取り信号を受け取り、処理することを続け、新しい再較正リクエスト信号を直ちに送るように設計されている、請求項13に記載の記憶装置読み取り/書き込み装置。
【請求項15】
読み取りモードにおいて、前記データ処理システムは、前記データエンジンシステムから受け取られたデータにデータエラーが生じていることを見つける場合のみ、前記再較正許可信号を送るように設計されている、請求項12に記載の記憶装置読み取り/書き込み装置。
【請求項16】
前記データ処理システムは、
データエラーの発生時、前記データエンジンシステムから受け取られるデータを連続的に監視し、
前記データ処理システムがデータエラーを見つける場合、前記データ処理システムが既に再較正リクエスト信号を受け取っているかどうかチェックし、
前記データ処理システムが前記再較正リクエスト信号を受け取っている場合、前記再較正許可信号を送出し、
前記データ処理システムが前記再較正リクエスト信号を受け取っていない場合、前記データエンジンシステムからデータを受け取り、受け取られたデータを処理することを続ける、
ように設計されている、請求項15に記載の記憶装置読み取り/書き込み装置。
【請求項17】
書き込みモードにおいて、前記データエンジンシステムは、
ペンディングの再較正リクエストに関して前記データ処理システムから再較正許可信号が受け取られたかどうかチェックし、
前記再較正許可信号が受け取られていない場合、データを受け取り、前記書き込み信号を生成することを続け、
前記再較正許可信号が受け取られている場合、前記再較正プロセスを実施し、前記再較正プロセスを終了したあとにのみ、データを受け取り、書き込み信号を生成することを続ける、
ように設計されている、請求項12に記載の記憶装置読み取り/書き込み装置。
【請求項18】
前記データエンジンシステムは、前記再較正プロセスが不成功である場合、データを受け取り、書き込み信号を生成することを続け、新しい再較正リクエスト信号を直ちに送り出すように設計されている、請求項17に記載の記憶装置読み取り/書き込み装置。
【請求項19】
前記データエンジンシステムは、前記再較正プロセスを終了したのち、前記データ処理システムに続行信号を送るように設計されている、請求項17に記載の記憶装置読み取り/書き込み装置。
【請求項20】
書き込みモードにおいて、前記データ処理システムは、例えばホストとのデータトラフィックを妨害しない又はデータ書き込みプロセスを妨害しないような適当なときにのみ、前記再較正許可信号を送るように設計されている、請求項12に記載の記憶装置読み取り/書き込み装置。
【請求項21】
前記データ処理システムは、データバッファが空にされるまで、前記再較正許可信号を送ることを遅延させるように設計されている、請求項20に記載の記憶装置読み取り/書き込み装置。
【請求項22】
前記データ処理システムは、
前記データ処理システムが前記データエンジンシステムから再較正リクエスト信号を受け取っているどうか連続的に監視し、
前記データ処理システムが前記再較正リクエスト信号を受け取っている場合、前記データバッファが空にされるまで、前記データバッファから前記データエンジンシステムにデータを送信することを続け、そののち、前記再較正許可信号を前記データエンジンシステムに送信する、
ように設計されている、請求項21に記載の記憶装置読み取り/書き込み装置。
【請求項23】
前記データ処理システムは、前記再較正許可信号を送出したのち、前記データバッファから前記データエンジンシステムにデータを送信することを続ける前に、前記データエンジンシステムから続行信号を受け取るまで待つように設計されている、請求項22に記載の記憶装置読み取り/書き込み装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate


【公表番号】特表2007−503673(P2007−503673A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530813(P2006−530813)
【出願日】平成16年5月12日(2004.5.12)
【国際出願番号】PCT/IB2004/050652
【国際公開番号】WO2004/102556
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】