説明

ディスク装置および信号形成方法

【課題】結露発生時において、処理を停止させることなく、データの再生や記録を正常に続行することが可能なディスク装置を提供する。
【解決手段】結露センサ11が結露の発生を検出していない場合には、光検出機14、信号処理回路15、RFIC5、DSP6を通じてドライブ制御部9により通常時反射光量を測定し、また、結露センサ11により結露の発生を検出した場合には、光検出機14、信号処理回路15、RFIC5、DSP6を通じてドライブ制御部9により結露時反射光量を測定する。通常時反射光量と結露時反射光量とに基づいて、ドライブ制御部9により、ドライバ7、RFIC5の一方または両方が制御され、レーザパワーとサーボゲインとの一方または両方を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、DVD(Digital Versatile Disc)やCD(Compact Disc)などの光ディスク記録媒体やMD(Mini Disc(登録商標))などの光磁気ディスク記録媒体などのいわゆるディスク記録媒体を用いるディスク装置、このディスク装置で用いる動作制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DVD、CD、MDなどのディスク記録媒体を用いる再生装置、記録再生装置、撮像装置などが広く利用されるようになってきている。ディスク記録媒体を用いる各種の電子機器においては、使用環境における温度変化により、電子機器内部に結露が発生してしまう場合がある。
【0003】
ディスク記録媒体を用いる電子機器の内部に結露が発生すると、ディスク記録媒体にレーザ光を照射してその反射光を受光するいわゆるピックアップ部の対物レンズや、ディスク記録媒体の表面が曇ることになり、サーボが正常にかからなかったり、記録に十分なパワーのレーザ光をディスク記録媒体に照射できなかったりするために、正常にデータを再生したり記録したりすることができなくなる場合が発生する可能性がある。
【0004】
このような結露が発生した場合に対応するため、後に記す特許文献1には、結露の発生を検出した場合には、その時点において行っていた再生や記録などの処理を禁止(停止)するとともに、ディスクを空回しして加熱し、結露解消後において、停止した再生や記録などの処理を続行させるようにする技術が開示されている。
【特許文献1】特開2003−168259号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した特許文献1に記載の技術の場合には、結露発生時に再生や記録が正常に行えなくなることを確実に防止することができる。しかしながら、結露が発生するたびに、再生や記録を停止させていたのでは、処理が遅延してしまい好ましくない。例えば、ディスク記録媒体へのデータの記録を行おうとしたところ、結露が発生していた場合には、記録を行うことができない状態となってしまう。
【0006】
このため、例えば、記録時において結露が発生したために記録処理を停止させる場合には、記録対象のデータを所定のメモリに記憶保持しておき、記録処理の再開時に、当該メモリ内のデータから記録処理を行うようにすることが考えられる。しかし、記録対象となるデータは動画像データなどの大容量のものが多い。このため、結露発生時に処理を停止させた場合に処理対象の大量のデータを記憶保持することが可能なメモリを用いることが必要になる。
【0007】
しかし、結露の発生時において処理を停止させないようにするためだけに大容量のメモリを電子機器に搭載することは、コストアップにつながり、コストアップに見合う十分な効果を得ることは難しいと考えられる。
【0008】
以上のことにかんがみ、この発明は、上記問題点を一掃し、結露発生時において、処理を停止させることなく、データの再生や記録を正常に続行することが可能なディスク装置、このディスク装置で用いる結露時の動作制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明のディスク装置は、
ディスク記録媒体に照射するレーザ光を発生させるレーザ光源と、
前記レーザ光源を駆動させるための駆動手段と、
前記レーザ光源から照射されたレーザ光の前記ディスク記録媒体からの反射光を受光する受光手段と、
前記受光手段により受光された前記反射光の受光量に基づいて、1つ以上のサーボエラー信号を形成するサーボエラー信号処理手段と、
装置内の結露の発生を検出する結露検出手段と、
前記結露検出手段により結露の発生が検出されていない場合において、前記受光手段においての通常時反射光量を測定する第1の測定手段と、
前記結露検出手段により結露の発生が検出された場合において、前記受光手段においての結露時反射光量を測定する第2の測定手段と、
前記結露検出手段により結露の発生が検出された場合において、前記第1の測定手段からの前記通常時反射光量と前記第2の測定手段からの前記結露時反射光量とに基づいて、前記駆動手段と前記サーボエラー信号処理手段との一方または両方を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする。
【0010】
この請求項1に記載の発明のディスク装置によれば、駆動手段によって駆動されるレーザ光源からディスク記録媒体にレーザ光が照射され、当該ディスク記録媒体からのレーザ光の反射光が受光手段によって受光されて、その受光量に応じてサーボエラー信号処理手段によりフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号などのサーボエラー信号が形成される。
【0011】
また、結露検出手段により結露の発生が検出するようにされるが、結露の発生が検出されていない場合には、第1の測定手段により通常時における反射光量(通常時反射光量)が測定され、また、結露の発生が検出された場合には、第2の測定手段により結露時における反射光量(結露時反射光量)が測定される。
【0012】
そして、結露の発生が検出された場合には、第1の測定手段により測定された通常時反射光量と、第2の測定手段により測定された結露時反射光量とに基づいて、制御手段により、レーザ光源を駆動させる駆動手段と、サーボエラー信号などを形成するサーボエラー信号処理手段との一方または両方が制御するようにされる。
【0013】
これにより、結露発生時においても、適正なパワーのレーザ光によってディスク記録媒体をトレース(走査)したり、サーボエラー信号処理手段において形成するサーボエラー信号の利得を制御して結露が発生していない場合と同様に適切にディスク記録媒体上をトレースしたりすることができるようにされる。したがって、結露発生時においても、記録処理や再生処理を停止させることなく、適正に行うようにすることができるようにされる。
【0014】
また、請求項2に記載の発明のディスク装置は、請求項1に記載のディスク装置であって、
前記制御手段は、前記ディスク記録媒体へのデータの記録時において、前記駆動手段を制御することにより、前記レーザ光源から前記ディスク記録媒体に照射される前記レーザ光のピット形成時とピット非形成時とにおけるレーザパワーを調整することを特徴とする。
【0015】
この請求項2に記載の発明のディスク装置によれば、データ記録時においては、記録に用いられるレーザ光のパワーが制御される。この場合、ピット形成時とピット非形成時との両方において用いるレーザ光のパワーが上げられるように制御されるので、結果として受光手段で受光される反射光の受光量も上げられる。
【0016】
これにより、サーボエラー信号も適正に形成され、トラック上を適正なレーザパワーのレーザ光によって正確に走査し、結露発生時においてもデータの記録を正確に行うことができるようにされる。
【0017】
また、請求項3に記載の発明のディスク装置は、請求項1に記載のディスク装置であって、
前記制御手段は、前記ディスク記録媒体へのデータの記録時において、前記駆動手段と前記サーボエラー信号処理手段とを制御することにより、前記レーザ光源から前記ディスク記録媒体に照射する前記レーザ光のピット形成時のレーザパワーを調整するとともに、前記サーボエラー信号処理手段において形成されるサーボエラー信号の利得を制御することを特徴とする。
【0018】
この請求項3に記載の発明のディスク装置によれば、データ記録時においてピット形成時において用いるレーザ光のレーザパワーが制御されるとともに、受光手段で受光された反射光の受光量に基づいて形成されるサーボエラー信号の利得が制御される。
【0019】
これにより、サーボエラー信号も適正に形成され、トラック上を適正なレーザパワーのレーザ光によって正確に走査して、データに応じたピットを形成することができるようにされる。すなわち、結露発生時においてもデータの記録を正確に行うことができるようにされる。
【0020】
また、請求項4に記載の発明のディスク装置は、請求項1に記載のディスク装置であって、
前記制御手段は、前記ディスク記録媒体からのデータの再生時において、前記駆動手段を制御することにより、前記レーザ光源から前記ディスク記録媒体に照射する前記レーザ光のレーザパワーを調整することを特徴とする。
【0021】
この請求項4に記載の発明のディスク装置によれば、データ再生時においてディスク記録媒体からデータを読み出すために用いる再生用レーザ光のパワーが制御するようにされる。これにより、サーボエラー信号も適正に形成され、トラック上を適正なレーザパワーのレーザ光によって正確に走査して、ディスク記録媒体に記録されているデータを読み出すことができるようにされる。すなわち、結露発生時においてもディスク記録媒体からのデータの読み出しを正確に行うことができるようにされる。
【0022】
また、請求項5に記載の発明のディスク装置は、請求項1に記載のディスク装置であって、
前記制御手段は、前記ディスク記録媒体からのデータの再生時において、前記サーボエラー信号処理手段において形成されるサーボエラー信号の利得を制御することを特徴とする。
【0023】
この請求項5に記載の発明のディスク装置によれば、データ再生時においては、受光手段で受光された反射光の受光量に基づいて形成されるサーボエラー信号の利得が制御される。これにより、サーボエラー信号が適正に形成され、レーザ光がトラック上を正確にトレースして、ディスク記録媒体に記録されているデータを読み出すことができるようにされる。すなわち、結露発生時においてもディスク記録媒体からのデータの読み出しを正確に行うことができるようにされる。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、結露時のディスク記録媒体(記録メディア)や光ピックアップの対物レンズの曇りによる、サーボ用戻り光量(反射光量)の不足や記録に必要なレーザパワーの不足を補うことで、従来のハードウェア構成に変更追加を行うことなく、結露している状態での記録処理や再生処理の信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図を参照しながら、この発明による装置、方法の一実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態においては、小型の記録可能なDVDを記録媒体して用い、動画像や静止画像の撮影が可能な撮像装置(デジタルビデオカメラ)のディスクドライブにこの発明を適用した場合を例にして説明する。
【0026】
[撮像装置の構成と基本動作について]
図1は、この実施の形態の撮像装置100を説明するためのブロック図である。この実施の形態の撮像装置100は、図1に示すように、大きく分けると、カメラ部101と、カメラDSP(Digital Signal Processor)102と、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)103と、ホストインターフェース(以下、ホストI/Fという。)104と、制御部105と、操作部106と、LCD(Liquid Crystal Display)コントローラ107と、LCD108と、外部インターフェース(以下、外部I/Fという。)109を備えるとともに、ホストI/F104を通じてディスクドライブ110が接続されている。
【0027】
ディスクドライブ110は、上述もしたように、小型の記録可能なDVDを記録媒体として用い、当該DVDにデータを記録したり、また、当該DVDに記録されているデータを読み出して再生したりする処理を行う部分である。なお、ディスクドライブ110については、後に詳述する。
【0028】
そして、カメラ部101は、図1に示すように、光学ブロック111、CCD(Charge Coupled Device)112、前処理回路113、光学ブロック用ドライバ114、CCD用ドライバ115、タイミング生成回路116とを備えたものである。ここで、光学ブロック111は、レンズ、フォーカス機構、シャッター機構、絞り(アイリス)機構などを備えたものである。
【0029】
また、制御部105は、CPU(Central Processing Unit)151、RAM(Random Access Memory)152、フラッシュROM(Read Only Memory)153、時計回路154が、システムバス155を通じて接続されて構成されたマイクロコンピュータであり、この実施の形態の撮像装置の各部を制御することができるものである。
【0030】
ここで、RAM152は、処理の途中結果を一時記憶するなど主に作業領域として用いられるものである。また、フラッシュROM153は、CPU151において実行する種々のプログラムや、処理に必要になるデータなどが記憶されたものである。また、時計回路154は、現在年月日、現在曜日、現在時刻を提供することができるとともに、撮影日時などを提供するなどのことができるものである。
【0031】
そして、画像の撮影時においては、光学ブロック用ドライバ114は、制御部105からの制御に応じて、光学ブロック111を動作させるようにする駆動信号を形成し、これを光学ブロック111に供給して、光学ブロック111を動作させるようにする。光学ブロック111は、ドライバ114からの駆動信号に応じて、フォーカス機構、シャッター機構、絞り機構が制御され、被写体の画像を取り込んで、これをCCD112に対して提供する。
【0032】
CCD112は、光学ブロック111からの画像を光電変換して出力するものであり、CCDドライバ115からの駆動信号に応じて動作し、光学ブロック111からの被写体の画像を取り込むとともに、制御部105によって制御されるタイミング生成回路116からのタイミング信号に基づいて、取り込んだ被写体の画像(画像情報)を電気信号として前処理回路113に供給する。
【0033】
なお、上述のように、タイミング生成回路116は、制御部105からの制御に応じて、所定のタイミングを提供するタイミング信号を形成するものである。また、CCDドライバ115は、タイミング生成回路116からのタイミング信号に基づいて、CCD112に供給する駆動信号を形成するものである。
【0034】
前処理回路113は、これに供給された電気信号の画像情報に対して、CDS(Correlated Double Sampling)処理を行って、S/N比を良好に保つようにするとともに、AGC(Automatic Gain Control)処理を行って、利得を制御し、そして、A/D(Analog/Digital)変換を行って、デジタル信号とされた画像データを形成する。
【0035】
前処理回路113からのデジタル信号とされた画像データは、DSP102に供給される。DSP102は、これに供給された画像データに対して、AF(Auto Focus)、AE(Auto Exposure)、AWB(Auto White Balance)などのカメラ信号処理を施す。このようにして種々の調整がされた画像データは、所定の圧縮方式でデータ圧縮され、システムバス155、ホストI/F104を通じて、この実施の形態の撮像装置100のディスクドライブ110に装填された小型のDVDに記録される。
【0036】
また、ディスクドライブ110に装填されたDVDに記録された画像データは、タッチパネルやコントロールキーなどからなる操作部106を通じて受け付けたユーザーからの操作入力に応じて、目的とする画像データがホストI/F104を通じてディスクドライブに装填されたDVDから読み出され、これがDSP102に供給される。
【0037】
DSP102は、ディスクドライブ110に装填されらDVDから読み出され、ホストI/F104を通じて供給されたデータ圧縮されている画像データについて、そのデータ圧縮の解凍処理(伸張処理)を行い、解凍後の画像データをシステムバス155を通じて、LCDコントローラ107に供給する。LCDコントローラ107は、これに供給された画像データからLCD108に供給する画像信号を形成し、これをLCD108に供給する。これにより、ディスクドライブ110に装填されたDVDに記録されている画像データに応じた画像が、LCD108の表示画面に表示される。
【0038】
なお、画像の表示の形態は、ROMに記録された表示処理プログラムに従う。つまり、この表示処理プログラムはファイルシステムがどのような仕組みで記録されているのか、どのように画像を再生するのかというプログラムである。
【0039】
また、この実施の形態の撮像装置100には、外部I/F109が設けられている。この外部I/F109を通じて、例えば外部のパーソナルコンピュータと接続して、パーソナルコンピュータから画像データの供給を受けて、これをディスクドライブ110に装填されたDVDに記録したり、また、ディスクドライブ110に装填されたDVDに記録されている画像データを外部のパーソナルコンピュータ等に供給したりすることもできるものである。
【0040】
また、外部I/F109に通信モジュールを接続することにより、例えば、インターネットなどのネットワークに接続して、ネットワークを通じて種々の画像データやその他の情報を取得し、ディスクドライブ110に装填されたDVDに記録したり、あるいは、ディスクドライブ110に装填されたDVDに記録されているデータを、ネットワークを通じて目的とする相手先に送信したりすることもできるものである。
【0041】
また、外部のパーソナルコンピュータやネットワークを通じて取得し、ディスクドライブ110に装填されたDVDに記録した画像データなどの情報についても、上述したように、この実施の形態の撮像装置100において読み出して再生し、LCD108に表示してユーザーが利用することももちろんできるようにされている。
【0042】
なお、外部I/F109は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)1394、USB(Universal Serial Bus)などの有線用インターフェースとして設けることも可能であるし、光や電波による無線インターフェースとして設けることも可能である。すなわち、外部I/F109は、有線、無線のいずれのインターフェースであってもよい。
【0043】
このように、この実施の形態の撮像装置100は、被写体の画像を撮影して、当該撮像装置100のディスクドライブ110に装填された記録媒体であるDVDに記録することができるとともに、DVDに記録された画像データを読み出して、これを再生し、利用することができるものである。また、外部のパーソナルコンピュータやネットワークを通じて、画像データの提供を受けて、これをディスクドライブ110に装填されたDVDに記録したり、また、読み出して再生したりすることもできるものである。
【0044】
そして、撮像装置100は持ち運ばれて使用される。このため、使用環境が急激に変化し、ディスクドライブ110内に結露が生じてしまう可能性がある。例えば、真夏の暑い屋外で使用していた撮像装置100を冷房の効いた屋内に急に持ってきて使用する場合や逆に冷房の効いた屋内で使用していた撮像装置100を真夏の暑い屋外に急に持ち出して使用する場合などにおいては、ディスクドライブ110内に結露が発生し、正常な動作ができなくなる場合があると考えられる。
【0045】
また、暖房の効いた屋内から寒中の屋外に撮像装置100を持ち出して使用する場合や寒中の野外から暖房の効いた屋内に撮像装置を持ち込んで使用する場合にも同様のことが言える。つまり、撮像装置100に対してある程度急激な温度変化が生じた場合には、ディスクドライブ110内に結露が発生する可能性がある。
【0046】
そこで、この実施の形態の撮像装置100のディスクドライブ110においては、結露の発生を検出できるようにし、結露が発生していない場合の通常時の再生用レーザ光(再生パワーのレーザ光)の反射光量を測定し、結露が発生した場合の結露発生時の再生用レーザ光の反射光量を測定するようにして、これに基づいて、記録処理時に用いるレーザ光や再生処理時に用いるレーザ光のレーザパワーを制御したり、ディスク記録媒体であるDVDからのレーザ光の反射光に応じて形成するサーボエラー信号の利得を制御したりすることにより、データの記録やデータの再生を常時適正に行うことができるようにしている。
【0047】
[ディスクドライブ110の構成と動作について]
図2は、この実施の形態の撮像装置100のディスクドライブ110を説明するためのブロック図である。図2において、符号1は、ディスクドライブ110に装填されたディスク記録媒体であるDVDである。なお、以下においては、ディスクドライブ110に装填されたDVDをディスク1と記載する。
【0048】
そして、図2に示すように、ディスクドライブ110は、光ピックアップ2、スレッドモータ3、スピンドルモータ4、RFIC(高周波信号処理回路)5、DSP6、ドライバ(駆動回路)7、DRAM(Dynamic Random Access Memory)8、ドライブ制御部9を備えたものである。
【0049】
光ピックアップ2は、後述もするが、ディスクに照射するレーザ光の光源であるレーザダイオード、対物レンズ、ディスクからのレーザ光を受光するフォトディテクタ等の光検出器、2軸アクチュエータを構成するフォーカスコイル、トラッキングコイルなどを備え、再生パワーのレーザ光をディスクに照射し、その反射光を受光することによりディスクに記録されているデータを読み出したり、また、記録データに応じて記録パワーのレーザ光をディスクに照射することによりディスクにデータを記録したりするものである。
【0050】
スレッドモータ3は、光ピックアップ2のディスクの半径方向への移動を行うようにするためのものであり、スピンドルモータ4は、ディスクを回転駆動させるためのものである。また、RFIC5は、ディスクに照射されたレーザ光の当該ディスクからの反射光に応じて再生信号(Pull−in信号)、フォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEを生成するとともに、レーザ光源を駆動する駆動信号をレーザ光源に供給するものである。
【0051】
DSP6は、フォーカスエラー信号FEやトラッキングエラー信号TEに応じて、ドライバに供給するドライブ信号を形成したり、再生時には、RFIC5からの再生信号から撮像装置100の制御部105側に供給する再生信号を形成したり、また、記録時には記録データに応じたレーザ駆動信号を形成するなど、各種の信号処理を行うものである。
【0052】
ドライバ7は、光ピックアップ2、スレッドモータ3、スピンドルモータ4のそれぞれに、そのそれぞれに応じた駆動信号を形成して供給するものである。また、DRAM8は、再生時、記録時において、処理対象のデータを一時記憶するためのものである。また、ドライブ制御部9は、図2に示したように、CPU91、ROM92、RAM93がバス94を通じて接続されて形成されたマイクロコンピュータであり、ディスクドライブ110の各部を制御するものである。
【0053】
そして、ディスクドライブ110は、ホストI/F104を通じて撮像装置100の制御部105から発行されたコマンドに従って動作を行う。撮像装置100の制御部105はディスクドライブ110のホスト装置に位置付けられるものであり、以下においては、撮像装置100の制御部105を単にホストと呼ぶ。
【0054】
そして、ホストからのコマンドはDSP6のレジスタを経由してドライブ制御部9に認識される。例えば再生の場合には、ホストからのリードコマンド(Read Command)をトリガとし、ドライブ制御部9はDSP6およびDSP6を経由してRFIC5に適切なコマンドを送り光ピックアップ2、スレッドモータ3、スピンドルモータ4を制御する。
【0055】
この場合、レーザを再生パワーで点灯しホストから指定されたアドレスに光ピックアップ2を移動してデータの取り込み(読み取り)を行う。取り込まれたデータはRFIC5からDSP6を経由してDRAM8に一旦転送され、逐次DSP6からホストI/F104を通じてホストに転送される。
【0056】
また、記録の場合には逆にホストから転送されたデータは一旦DRAM8に入力され、一時記憶される。ドライブ制御部9は、DSP6を通じて光ピックアップ2に指示を出し、ホストから指定されたディスク上のアドレスに光ピックアップ2を移動させる。そして、ドライブ制御部9は、DSP6に転送開始のコマンドを発行する。
【0057】
これに応じて、DSP6は、DRAM8から記録データを読み出し、これをレーザ駆動信号に変換する。DSP6は、RFIC5を通じて適正なタイミングでレーザ光源から照射するレーザを記録パワーに切り替えると同時に記録データに応じて形成された先のレーザ駆動信号でレーザ光源を駆動しディスク1に記録データの記録を行う。
【0058】
結露センサ11は、結露の発生を検出する。結露センサ11は、これに水分がつくとインピーダンスが変化する性質を持ち、インピーダンスを電圧に変換してドライブ制御部9に供給する。ドライブ制御部9は、結露センサ11からの検出出力を内蔵するADコンバータ(図示せず)で数値化して所定値との比較によって結露が発生したか否かを判断する。なお、結露センサ11で結露が検出されず、かつ、最後に結露の発生が検出されてから所定時間が経過している場合に結露解除と判断される。
【0059】
[レーザ駆動系、サーボ系について]
次に、図3を用いてディスクドライブ110レーザ駆動系およびサーボ系について説明する。上述もし、また、図3に示すように、光ピックアップ2は、レーザ光源12、光検出器13、14、信号処理回路15、トラッキングコイル16、フォーカスコイル17を備えたものである。
【0060】
この実施の形態の光ピックアップ2は、メイン光ビームと、メイン光ビームに対して先行する位置をトレースする先行光ビームと、メインの光ビームに対して後の位置を走査する後行光ビームとの3つの光ビームでディスク上の溝(トラック)をトレース(走査)するいわゆる3ビーム法を用いるものである。このため、光検出器14は、図3の右上側に点線で囲って示したように、3つのフォトディテクタPD1、PD2、PD3を備えている。
【0061】
ここで、フォトディテクタPD1は、先行光ビームのディスクからの反射光を受光するものであり、領域Eと領域Fとに分割された2分割ディテクタである。フォトディテクタPD2は、メイン光ビームのディスクからの反射光を受光するものであり、領域A、B、C、Dに分割された4分割ディテクタである。また、フォトディテクタPD3は、後行光ビームのディスクからの反射光を受光するものであり、領域Gと領域Hとに分割された2分割ディテクタである。
【0062】
そして、ディスク1からのデータの読み取り若しくはディスクへのデータの書き込みのためには、ディスクを所定の速度で回転させ、光ピックアップ2の対物レンズをメディアに合焦点させ、所定の位置に光ピックアップを移動し、記録によって作られたマークもしくはディスクにあらかじめ成形されているトラックを適正なレーザパワーのレーザ光でトレースする必要がある。
【0063】
正しくドライブを制御するためのサーボ(自動制御系)には、ディスク表面にレーザ光を合焦点させるフォーカスサーボ、レーザ光をディスクのトラックをトレースさせるトラッキングサーボ、スピンドルモータを制御してディスクを所定の速度で回転させるスピンドルサーボ、スレッドモータ3を制御して光ピックアップ2をディスクの半径方向に移動させるスレッドサーボがある。フォーカスサーボとトラッキングサーボは光ピックアップ2内にあるフォーカスコイル17およびトラッキングコイル16を駆動することで制御する。
【0064】
まず、フォーカスサーボを例にサーボ動作を説明する。フォーカスサーボにおいては、対物レンズ18が合焦点よりも遠い場合には対物レンズ18をディスクに近づける方向に駆動し、対物レンズ18が合焦点よりも近い場合には対物レンズ18をディスクから遠ざける方向に駆動させる必要がある。
【0065】
そこで、RFIC5は、光検出機4から出力された信号を用い、以下に示す(1)式に従って、対物レンズ18が合焦点よりもディスクに近い場合には正の値となり、対物レンズ18が合焦点よりもディスクに遠い場合には負の値となるフォーカスエラー信号FEを形成する。
FE=(B+D)−(A+C) …(1)。
【0066】
このフォーカスエラー信号FEがDSP6に供給され、ここで所定のゲイン(利得)で増幅され、これが信号FOOとしてドライバ7に供給される。ドライバ7は、信号FOOからフォーカスコイル17を駆動するためのドライブ信号FCS+/−を形成し、これをフォーカスコイル17に供給する。これにより、ドライバ7からの出力(フォーカスコイル18に対するドライブ信号)が負の場合には対物レンズ18はディスク1へ近づく方向に駆動され、正の場合にはディスク1から離れる方向に駆動される。この結果、フォーカスエラー信号FEが0となるようなサーボがかけられることになり合焦点を維持することができる。
【0067】
なお、ゲインは適正な値よりも小さいと合焦点を維持することができず、高すぎると発振状態となり合焦点に収束できなくなる。このため通常、適正なゲインの設定はディスクがディスクドライブ110に装填されたときに行われ、ラフにゲインを設定しサーボをかけた状態でDSP6から出力した正弦波信号が所定の振幅のエラー信号として戻ってくるように調整される。サーボのゲインの設定はドライブ制御部9がDSP6の内部レジスタに値を設定することで行われる。
【0068】
トラッキングサーボに関しても同様に、RDIC5は、光検出機4から出力された信号を用い、次の(2)式にしたがって、トラッキングエラー信号TEを形成する。
TE=(A+D)−(B+C)−α*((E−F)+(G−H)) …(2)
このトラッキングエラー信号が「0(零)」となるようなサーボがかけられることで正確にディスク1上のトラックの中心をメインのレーザ光がトレースすることができるようにされる。なお、ここでαは調整により決定される係数である。また、記号「*」は乗算記号を意味している。
【0069】
すなわち、RFIC5で形成されたトラッキングエラー信号TEがDSP6に供給され、ここで所定のゲイン(利得)で増幅され、これが信号TROとしてドライバ7に供給される。ドライバ7は、信号TROからトラッキングコイル16を駆動するためのドライブ信号TRK+/−を形成し、これをトラッキングコイル16に供給する。これにより、レーザ光がディスク1のトラック上を正確にトレースすることが出来るようにされる。
【0070】
一方、レーザパワーの設定は、ドライブ制御部9がDSP6を経由してRFIC5の内部レジスタに値を設定することで行う。RFIC5には、図3に示すように、再生用、記録用のレーザパワーの設定用のレジスタ51が独立してあり、DSP6からの記録再生モードの設定に応じてレーザパワーを切り替えることができるようにしている。
【0071】
レーザパワーを示す設定された値に基づいてRFIC5からレーザ光源12へ駆動信号LDDRVが出力される。レーザパワーは周囲の温度状況に応じて変動する。このため、光検出器13でレーザ光のディスク1からの反射光を受光し、その受光量FPDをRFIC5に供給するようにしている。これによりRFIC5は、レーザ光のディスク1からの反射光FPDの受光量が一定となるように(光検出機13からの出力が一定となるように)、レーザ光源12に供給する駆動信号LDDRVを制御する。
【0072】
そして、例えば、再生レーザパワーが適正値よりも小さいとRF信号が小さくなるため読み取りデータの信頼性が低くなると同時にサーボエラー信号も小さくなるためサーボが不安定になる。また、記録時のレーザパワーが適正値よりも小さいと再生時と同様にサーボが不安定になるとともに、記録に必要なエネルギーをディスクに充分供給できなくなるため正常に記録できなくなる。
【0073】
そこで、この実施の形態の撮像装置のディスクドライブ110においては、再生レーザパワーの最適値は、予め決められたものをRFIC5のレジスタ51に設定しておくようにし、記録レーザパワーの最適値は、記録開始直前にいわゆる試し書きを行うことによって決定したものをRFIC5のレジスタ51に設定するようにしている。
【0074】
ところで、レーザ光の再生レーザパワー、記録レーザパワーについて、通常時における適正値を正確に定めるようにしていても、上述もしたように、撮像装置100のディスクドライブ110内に結露が発生してしまった場合には、装填されたディスクの表面が曇ったり、対物レンズが曇ったりするために、読み取りデータの信頼性の低下、サーボ制御の不安定化、記録データの信頼性の低下などの問題を引き起こす可能性がある。
【0075】
このため、この実施の形態の撮像装置100のディスクドライブ110においては、結露センサ11が結露の発生を検出していない場合(結露が発生していない場合)の通常時におけるレーザ光のディスクからの反射光の光量(通常時反射光量)を測定しておくようにする。
【0076】
そして、結露センサ11が結露の発生を検出した場合(結露が発生した場合)には、結露時におけるレーザ光のディスクからの反射光の光量(結露時反射光量)を測定し、この結露時反射光量と通常時に測定しておいた通常時反射光量とに基づいて、レーザパワーやサーボのゲイン(サーボエラー信号のゲイン)を調整し、信頼性高く、安定してデータの再生や記録を行うことができるようにしている。
【0077】
なお、この実施の形態の撮像装置100において、通常時および結露時の反射光量の検出は光検出器14の出力のうち領域A〜Dの和信号(Pull-in)を用いる。この信号はRFIC5において演算されDSP6を通してドライブ制御部9がその値を読み取ることができる。
【0078】
[結露時におけるレーザパワーおよびサーボのゲインの調整処理について]
図4は、この実施の形態の撮像装置100のディスクドライブ110のドライブ制御部9において行われるレーザパワーおよびサーボのゲインの調整処理について説明するためのフローチャートである。この図4に示す処理(タスク)は、レーザパワーおよびサーボのゲインの調整処理部分のみを予め決められるタイミング毎に定期的に実行するものとして示したものである。したがって、通常のドライブ動作の制御は別タスクで行われる。
【0079】
図4に示す処理が、ドライブ制御部9において実行されると、ドライブ制御部9は、まず、再生トレース中か否かを判断する(ステップS1)。ディスクドライブ110は、ホスト側からの要求に応じて動作するので、ドライブ制御部9は、ディスクドライブ110がどのような動作状態であるかを認識している。
【0080】
ステップS1の判断処理において、記録中およびトラックジャンプ中であると判断したときには、反射光量が安定して測定できないため測定を行わず処理を終了する。ステップS1の判断処理において、再生トレース中であると判断したときには、ドライブ制御部9は、結露センサ11からの出力に基づいて、結露が発生しているか否かを判断する(ステップS2)。
【0081】
ステップS2の判断処理において、結露が発生していないと判断したときには、ドライブ制御部9は、結露フラグを確認する(ステップS3)。ステップS3の確認処理において、結露フラグがオフの場合、すなわち、結露が発生している状態から結露が発生していない状態に変化したのではなく、結露が引き続き発生していない場合には、通常時反射光量aの測定を行う(ステップS4)。そして、この図4に示す処理を終了する。
【0082】
なお、ステップS4においての通常時反射光量aの測定は、一定の時間をおいて数回行い平均化してもよし、また、数回程度以前の測定結果を用いて平均化してもよい。このように、平均化した通常時反射光量aを用いるようにした場合には、例えば、何らかの原因によって、通常時反射光量aがたまたま高かったり低かったりした場合に、そのような異常値をそのまま通常時反射光量aとして用いることを防止することができる。
【0083】
また、ステップS2判断処理において、結露が発生していると判断したときには、ドライブ制御部9は、結露フラグを確認する(ステップS5)。ステップS5の確認処理において、結露フラグがオンである場合には、前回の検出に引き続き結露が発生しているので、結露発生時の処理を繰り返し行うことなく、この図4に示す処理を終了する。
【0084】
ステップS5の確認処理において、結露フラグがオフであるときには、結露が発生していない状態から結露が発生した状態に変化したので(結露が検出されて初めての処理であるので)、ドライブ制御部9は結露時反射光量bを測定する(ステップS6)。そして、ドライブ制御部9は、ステップS6において測定した結露時反射光量bと、ステップS4において測定した通常時反射光量aとに基づいて、レーザパワーとサーボゲインとの一方または両方を設定(調整)する処理を実行し(ステップS7)、この後、結露フラグをオンにして、この図4に示す処理を終了する。
【0085】
また、ステップS3の確認処理において結露検出フラグがオンであれば、結露が発生している状態から結露が発生していない状態に変化したので(結露が解除されて初めての処理であるので)、ステップS7の処理に応じて、レーザパワーとサーボゲインとの一方または両方を通常時の設定に戻し(ステップS9)、結露フラグをオフにして(ステップS10)、この図4に示す処理を終了する。
【0086】
[ステップS7の結露時設定処理について]
上述もしたように、ステップS7においては、レーザパワーとサーボゲインとの一方または両方を設定(調整)する処理を実行するが、具体的には、以下のように行うことになる。
【0087】
すなわち、記録処理については、次の(A)または(B)のいずれかの処理を行う。
(A)記録レーザパワーを上げるとともに、再生レーザパワーを上げる。
(B)記録レーザパワーを上げるとともに、サーボゲインを上げる。
また、再生処理については、次の(C)または(D)のいずれかの処理を行う。
(C)再生レーザパワーを上げる。
(D)サーボゲインを上げる。
【0088】
したがって、ステップS7の結露時設定処理においては、記録処理については、上記の(A)と(B)のいずれを用いるか、また、再生処理については、上記の(C)と(D)のいずれを用いるのかを決めておく必要がある。組み合わせとしては、「(A)と(C)」、「(A)と(D)」、「(B)と(C)」、「(B)と(D)」の4つの内のいずれかの組み合わせで処理を行うようにすればよい。
【0089】
「(A)と(C)」の処理を行うようにした場合には、サーボゲインについての調整を行わなくても済む。それ以外の場合には、レーザパワーとサーボゲインとの両方を調整することになる。上記の(A)において、記録処理時において、記録レーザパワーだけでなく、再生レーザパワーも上げるように調整するのは、後述もするが、記録レーザパワーがピット形成時のレーザパワーであり、再生レーザパワーがピット非形成時のレーザパワーであるので、そのそれぞれを結露発生時の記録処理時において適正に調整しなければ、フォーカスサーボ、トラッキングサーボを適正に行うことができなくなるためである。
【0090】
そして、レーザパワー、サーボゲインは具体的には以下のようにして決定する。まず、サーボゲインについては、通常時サーボゲインG1、通常時反射光量a、結露時反射光量bとして、結露時サーボゲインG2を求めるには、以下の(3)式に従う。
結露時サーボゲインG2=M*(a/b)*G1 …(3)
なお、(3)式において文字Mは、1以下の適当な係数であり、記号「*」は乗算記号として、また、記号「/」は除算記号として用いている。また、結露時サーボゲインG2は、ある程度以上の値をとらないように予め上限を決めてもよい。
【0091】
また、レーザパワーについては、通常時記録レーザパワーPw、通常時再生レーザパワーPr、通常時消去レーザパワーPe、通常時反射光量a、結露時反射光量bを用いて、結露時記録レーザパワーPwd、結露時再生レーザパワーPrd、結露時消去レーザパワーPedを求めるには、以下の(4)式、(5)式、(6)式に従う。
【0092】
結露時記録レーザパワーPwd=N*(a/b)*Pw …(4)
結露時再生レーザパワーPrd=N*(a/b)*Pr …(5)
結露時消去レーザパワーPed=N*(a/b)*Pe …(6)
なお、(4)式、(5)式、(6)式において、文字Nは、1以下の適当な係数であり、記号「*」は乗算記号として、記号「/」は除算記号として用いている。
【0093】
また、(4)式、(5)式、(6)式により求める記録処理時に用いる結露時記録レーザパワーPwd、結露時再生レーザパワーPrd、結露時消去レーザパワーPedのそれぞれについて、ある程度以上の値を取らないように上限を決めてもよい。
【0094】
図5は、記録処理時に用いるレーザ波形(記録レーザ波形)を説明するための図である。図5Aは、用いるディスク記録媒体が追記型DVD(DVD−R)の場合を、図5Bは、用いるディスク記録媒体が書き換え型(DVD−RW)の場合を示している。
【0095】
図5Aに示したように、追記型のディスク記録媒体(DVD−R)場合には記録レーザパワーPwと再生レーザパワーPrの繰り返しパルスでデータの記録を行う。そして、上述もしたように、結露時の記録処理時においてレーザパワーのみを調整する場合には、結露時記録レーザパワー(Pwd)と結露時再生レーザパワー(Prd)というように、記録レーザパワーと再生レーザパワーの両方を調整することによって、適正にデータの記録を行うともに、適正にサーボをかけることもできるようにされる。
【0096】
また、図5Bに示したように、書き換え型のディスク記録媒体(DVD−RW)の場合には、データを記録するためにマークを形成する部分は記録パワー(Pw)と再生パワー(Pr)の繰り返しパルスで記録を行い、マークを形成しない部分は消去パワー(Pe)で記録を行う。
【0097】
そして、結露時の記録処理時においてレーザパワーのみを調整する場合には、結露時記録レーザパワー(Pwd)と結露時再生レーザパワー(Prd)とに加えて、結露時消去レーザパワー(Ped)をも調整することによって、適正にデータの記録を行うともに、適正にサーボをかけることもできるようにされる。書き換え型のディスク記録媒体を用いる場合には、消去レーザパワーについても調整する。
【0098】
このように、記録処理時において、サーボゲインについて調整することなく、レーザパワーのみを調整することにより、データの記録も各種サーボも適正に行うようにする場合には、用いる全てのレーザパワーを通常時反射光量aと結露時反射光量bとに基づいて調整することになる。
【0099】
また、再生処理時において、サーボゲインについて調整することなく、レーザパワーのみを調整することにより、データの読み取りも各種サーボも適正に行うようにする場合には、再生レーザパワーのみを通常時反射光量aと結露時反射光量bとに基づいて調整すればよいことになる。
【0100】
また、サーボゲインを調整することにより各種サーボを適正に行おうとする場合には、記録処理時においても、再生処理時においても、再生レーザパワーを上げるようにする必要はない。
【0101】
このように、結露発生時において、通常時反射光量と結露時反射光量とに基づいて、レーザパワーとサーボゲインとの一方または両方を制御することにより、結露発生時においても、ディスク1へのデータの記録や、ディスク1からのデータの再生を適切に行うことができるようにされる。
【0102】
また、レーザパワーを上げるように調整する場合であっても、係数M、Nの値や上限値を設定しておくことにより、必要以上の高レベルのレーザパワーをディスクに照射することもなく、ディスクを傷めることもない。
【0103】
なお、上述の実施の形態においては、3ビーム法を用いた光ピックアップを有するディスクドライブにこの発明を適用した場合を例にして説明したが、これに限るものではない。1ビーム法の光ピックアップを用いた場合であってもこの発明を適用することができる。このような場合は、単にサーボエラー信号の算出の仕方が異なるだけである。
【0104】
また、上述の実施の形態においては、撮像装置のディスクドライブの場合を例にして説明したが、これに限るものではない。ディスク記録媒体を用いる再生装置、記録装置、記録再生装置など、記録媒体としてディスク記録媒体を用いるディスクドライバが搭載された各種の電子機器にこの発明を適用することができる。
【0105】
また、携帯型、据え置き型、車載型など、周囲の環境などに応じて搭載されたディスクドライブ内に結露の発生する可能性のあるディスクドライバが搭載された各種の電子機器にこの発明を適用することができる。
【0106】
また、ディスク記録媒体を用いる再生装置にこの発明を適用する場合には、記録処理は考慮しなくてもよいので、結露発生時においては、再生レーザパワーを上げるか、あるいは、サーボゲインを上げるか、することにより、結露時においても適正に再生処理を続行することができる。もちろん、両方を行うようにすることもできる。
【0107】
したがって、ディスクドライブを備えた各種の電子機器においては、自己の機能に応じて、レーザパワーとサーボゲインとの一方を調整すればよいか、または、両方を調整すればよいかを決めるようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】この発明の一実施の形態が適用されや撮像装置を説明するためのブロック図である。
【図2】図1に示した撮像装置のディスクドライブを説明するためのブロック図である。
【図3】図2に示したディスクドライブの主に光ピックアップ部分を説明するためのブロック図である。
【図4】図2に示したディスクドライブにおいての動作について説明するためのフローチャートである。
【図5】記録処理時のレーザパワーについて説明するための図である。
【符号の説明】
【0109】
100…撮像装置、101…カメラ部、111…光学ブロック、112…CCD、113…前処理回路、114…光学ブロック用ドライバ、115…CCD用ドライバ、116…タイミング生成回路、102…カメラDSP、103…SDRAM、104…ホストインターフェース、105…制御部、151…CPU、152…RAM、153…フラッシュROM、154…時計回路、155…システムバス、106…操作部、107…LCDコントローラ、108…LCD、109外部インターフェース、110…ディスクドライブ110、1…ディスク、2…光ピックアップ、3…スレッドモータ、4…スピンドルモータ、5…RFIC(高周波信号処理回路)、6…DSP、7…ドライバ(駆動回路)、8…DRAM、9…ドライブ制御部、11…結露センサ、12…レーザ光源、13、14…光検出器、15…信号処理回路、16…トラッキングコイル、17…フォーカスコイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク記録媒体に照射するレーザ光を発生させるレーザ光源と、
前記レーザ光源を駆動させるための駆動手段と、
前記レーザ光源から照射されたレーザ光の前記ディスク記録媒体からの反射光を受光する受光手段と、
前記受光手段により受光された前記反射光の受光量に基づいて、1つ以上のサーボエラー信号を形成するサーボエラー信号処理手段と、
装置内の結露の発生を検出する結露検出手段と、
前記結露検出手段により結露の発生が検出されていない場合において、前記受光手段においての通常時反射光量を測定する第1の測定手段と、
前記結露検出手段により結露の発生が検出された場合において、前記受光手段においての結露時反射光量を測定する第2の測定手段と、
前記結露検出手段により結露の発生が検出された場合において、前記第1の測定手段からの前記通常時反射光量と前記第2の測定手段からの前記結露時反射光量とに基づいて、前記駆動手段と前記サーボエラー信号処理手段との一方または両方を制御する制御手段と
を備えることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
請求項1に記載のディスク装置であって、
前記制御手段は、前記ディスク記録媒体へのデータの記録時において、前記駆動手段を制御することにより、前記レーザ光源から前記ディスク記録媒体に照射される前記レーザ光のピット形成時とピット非形成時とにおけるレーザパワーを調整することを特徴とするディスク装置。
【請求項3】
請求項1に記載のディスク装置であって、
前記制御手段は、前記ディスク記録媒体へのデータの記録時において、前記駆動手段と前記サーボエラー信号処理手段とを制御することにより、前記レーザ光源から前記ディスク記録媒体に照射する前記レーザ光のピット形成時のレーザパワーを調整するとともに、前記サーボエラー信号処理手段において形成されるサーボエラー信号の利得を制御することを特徴とするディスク装置。
【請求項4】
請求項1に記載のディスク装置であって、
前記制御手段は、前記ディスク記録媒体からのデータの再生時において、前記駆動手段を制御することにより、前記レーザ光源から前記ディスク記録媒体に照射する前記レーザ光のレーザパワーを調整することを特徴とするディスク装置。
【請求項5】
請求項1に記載のディスク装置であって、
前記制御手段は、前記ディスク記録媒体からのデータの再生時において、前記サーボエラー信号処理手段において形成されるサーボエラー信号の利得を制御することを特徴とするディスク装置。
【請求項6】
ディスク記録媒体にレーザ光を照射し、その反射光を受光して、再生信号と1種類以上のサーボエラー信号を形成するディスク装置においての動作制御方法であって、
装置内の結露の発生を検出する結露検出工程と、
前記結露検出工程において結露の発生が検出されていない場合の前記ディスク記録媒体からの前記反射光の受光量である通常時反射光量を測定する第1の測定工程と、
前記結露検出工程において結露の発生が検出された場合の前記ディスク記録媒体からの前記反射光の受光量である結露時反射光量を測定する第2の測定工程と、
前記結露検出手段により結露の発生が検出された場合において、前記第1の測定工程において測定した前記通常時反射光量と前記第2の測定工程において測定した前記結露時反射光量とに基づいて、前記ディスクに照射するレーザ光のレーザパワーと、前記ディスク記録媒体からの反射光に基づいて形成する1種類以上の前記サーボエラー信号の利得との一方または両方を制御するようにする制御工程と
を備えることを特徴とするディスク装置の動作制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載のディスク装置の動作制御方法であって、
前記制御工程においては、前記ディスク記録媒体へのデータの記録時に用いる前記ディスク記録媒体に照射する前記レーザ光のピット形成時とピット非形成時とにおけるレーザパワーを調整するように制御することを特徴とするディスク装置の動作制御方法。
【請求項8】
請求項6に記載のディスク装置の動作制御方法であって、
前記制御工程においては、前記ディスク記録媒体へのデータの記録時に用いる前記ディスク記録媒体に照射する前記レーザ光のピット形成時のレーザパワーを制御するとともに、前記レーザ光の前記ディスク媒体からの反射光に応じて形成するサーボエラー信号の利得を制御することを特徴とするディスク装置の動作制御方法。
【請求項9】
請求項6に記載のディスク装置の動作制御方法であって、
前記制御工程においては、前記ディスク記録媒体からのデータの再生時に用いる前記ディスク記録媒体に照射する再生用の前記レーザ光のレーザパワーを制御することを特徴とするディスク装置。
【請求項10】
請求項6に記載のディスク装置の動作制御方法であって、
前記制御工程においては、前記ディスク記録媒体からのデータの再生時に用いる前記レーザ光の前記ディスク媒体からの反射光に応じて形成するサーボエラー信号の利得を制御することを特徴とするディスク装置の動作制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−24300(P2006−24300A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−202629(P2004−202629)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】