説明

ディスプレイ用ガラス基板の製造方法

【課題】 未研磨であっても、断線やショートが起こりにくい表面品位の高いガラス基板と製造方法を提供することである。
【解決手段】 本発明のディスプレイ用ガラス基板は、未研磨で、表面突起が2ヶ/m以下であることを特徴とする。このガラス基板は、質量百分率で、SiO 40〜70%、Al 2〜25%、B 0〜20%、MgO 0〜10%、CaO 0〜15%、SrO 0〜10%、BaO 0〜30%、ZnO 0〜10%、RO(RはLi、Na、Kを表わす) 0〜25%、As 0〜0.4%、Sb 0〜3%、SnO 0.01〜1%を含有するガラスとなるように調合されたガラス原料を用意して、これを製造工程の少なくとも一部に白金族元素又は白金族元素合金を用いた連続溶融炉で溶融し、成形することにより得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等に用いられるディスプレイ用ガラス基板及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等に用いられるディスプレイ基板としては、矩形状のガラス基板が広く使用されている。
【0003】
一般に、ディスプレイ用ガラス基板は、原料を調合し、調合した原料を、溶融設備を用いて溶融する。続いて、スロットダウンドロー法、オーバーフローダウンドロー法、フロート法、ロールアウト法等の方法で板状に成形し、切断することで得られる。(例えば、引用文献1)
尚、ガラスの汚染防止等の目的で、設備の多くは白金族元素又は白金族元素合金からなる、或いは、白金族元素又は白金族元素合金で被覆されている。
【0004】
得られたガラス基板について、従来は、ガラス基板表面に存在するうねりや異質なガラス相を除去するために研磨が行われていた。しかし、研磨を行うと、製造コストが上昇する問題が生じる。また、近年、ディスプレイの高精細化が進み、研磨によるガラス表面の微小傷が問題視されるようになってきた。
【0005】
そこで、うねりや異質なガラス相の発生を抑えるべく、溶融技術や成形技術の一層の改善がなされた結果、現在では表面研磨を行わなくとも、平坦なガラス基板を得ることができるようになってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−122637
【特許文献2】特開2003−192377
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、未研磨のガラス基板は後の成膜工程でパターンが断線したり、ショートするという不具合が生じることがある。
【0008】
本発明の目的は、未研磨であっても、断線やショートが起こりにくい表面品位の高いガラス基板とその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は種々検討した結果、白金族元素ブツに起因する突起がパターンの断線等を引き起こすことを見いだし本発明を提案するに至った。
【0010】
即ち、本発明のディスプレイ用ガラス基板は、ガラス基板の面積が0.1m以上、ガラス基板の肉厚が2.5mm以下のディスプレイ用途に使用されるガラス基板において、表面突起が2ヶ/m以下であり、且つ未研磨であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のディスプレイ用ガラス基板の製造方法は、製造工程の少なくとも一部でガラスが白金族元素又は白金族元素合金と接触するディスプレイ用ガラス基板の製造方法において、ガラスと白金族元素又は白金族元素合金の接触により生じる起電力を打ち消すように、外部から逆電位を掛けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のディスプレイ用ガラス基板は、白金族元素ブツが少ないため、未研磨であっても突起が少なく表面品位の高いガラス基板が得られる。そのため、ディスプレイ用ガラス基板として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】連続溶融炉の概略図を示す説明図である。
【図2】連続溶融炉の断面図を示す説明図である。
【図3】スターラー管に逆電位を掛ける説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
ガラス基板に突起が生じる原因は、次の様に考えられる。
【0015】
溶融炉や成形体に白金族元素又は白金族元素合金が使用されていると、これらが溶融ガラス中に取り込まれ、白金族元素ブツとなる。この溶融ガラスをガラス基板に成形する際、溶融ガラスは所定の厚みに延伸されるが、ガラス中に存在する白金族元素ブツは固体であり、ほとんど延伸されない。そのため、白金族元素ブツが存在する部分は、白金族元素ブツの厚みが減少しない分だけ板厚が増大する。この板厚の増大は、白金族元素ブツ周囲のガラスの粘性流動及び延伸によりやがて緩和される。しかし、白金族元素ブツがガラス基板表面近傍に存在する場合、白金族元素ブツ周囲のガラス量が少ないため、板厚増加が緩和されないうちにガラスが固まり、ガラス基板表面に突起として現れやすくなる。しかも、ディスプレイ用ガラス基板に用いられるような高粘性(プラズマディスプレイ用ガラスでは10dPa・sの粘度に相当するガラス融液の温度が1120℃以上、液晶ディスプレイ用ガラスでは10dPa・sの粘度に相当するガラス融液の温度が1200℃以上)のガラスは延伸されにくいので、上記現象が起こりやすい。このようにして生じたガラス基板表面の突起は、成膜工程でのパターンの断線やショートにつながり、表示欠陥の原因となる。
【0016】
ところで、ガラス基板は、大型化、薄肉化の傾向にあるが、ガラス基板の面積が大きくなったり、肉厚が薄くなると、ガラス基板表面に突起が現れる確率が高くなり、良品率が急激に低下する。従って、突起を減少させることは、大型のガラス基板を作製する上で大きなメリットがある。例えば、ガラス基板の面積が0.1m以上(具体的には、320mm×420mm以上のガラス基板のサイズ)、特に、0.5m以上(具体的には、630mm×830mm以上のサイズ)、1.1m以上(具体的には、950mm×1150mm以上のサイズ)更には、2.3m以上(具体的には、1400mm×1700mm以上のサイズ)、3.5m以上(具体的には、1750mm×2050mm以上のサイズ)4.8m以上(具体的には、2100mm×2300mm以上のサイズ)とガラス基板が大型化するほど好適である。また、ガラス基板の肉厚が2.5mm以下、特に、1.2mm以下、更には、0.8mm以下、0.5mm以下とガラス基板の肉厚が薄くなるほど好適である。
【0017】
本発明者等の知見によると、本発明のディスプレイ用ガラス基板は、ガラス基板表面の突起が2ヶ/m以下であるため、成膜工程でのパターンの断線やショートが少なくなり、これらによる表示欠陥を抑えることができる。また、突起を少なくすることで、研磨が不要となるため、表面品位の高いガラス基板を得ることができる。ガラス基板表面の突起の好ましい値は1ヶ/m以下であり、更に好ましい値は0.4ヶ/m以下、より好ましい値は0.25ヶ/m以下、更により好ましい値は0.2ヶ/m以下である。
【0018】
ガラス基板表面の突起を2ヶ/m以下にするには、突起の原因となる白金族元素ブツを40ヶ/kg以下、好ましくは30ヶ/kg以下、更に好ましくは20ヶ/m以下、より好ましくは10ヶ/kg以下、更により好ましくは5ヶ/m以下にすることが望ましい。
【0019】
尚、ここで言う突起とは、表面粗さ計にて1000μmの距離を検査したときに、突部の先端とガラス基板表面との高低差(突部の高さ)が1μm以上となる部位を指す。また、白金族元素ブツとは、最長径が3μm以上のものとする。
【0020】
白金族元素ブツが発生する原因のひとつとして次のようなことが考えられる。溶融炉や成形体或いは攪拌装置等に用いられている白金族元素或いは白金族元素合金が電気化学的に酸化され、白金族元素イオンや白金族元素酸化物となる。生成した白金族元素イオンや白金族元素酸化物はガラス中に取り込まれる。ガラス中に取り込まれた白金族元素イオンや白金族元素酸化物は不安定であるため、再び金属に戻り、白金族元素ブツとなってガラス中に析出する。そのため、ガラス基板中の白金族元素ブツを少なくするには、白金族元素や白金族元素合金の酸化反応を抑えることが必要である。
【0021】
白金族元素や白金族元素合金の酸化反応は、組成や温度の異なる溶融ガラスが白金族元素又は白金族元素合金と接触することで生じる起電力によって起こる。また、酸化反応と還元反応は同時に起こるため、白金族元素や白金族元素合金の酸化反応が起こると、ガラス中では還元反応が起こる。そのため、ガラス中での還元反応を抑えれば、白金族元素の酸化反応を抑制できると考えられる。
【0022】
ガラスの白金族元素や白金族元素合金の酸化反応を抑えるには、例えば、起電力が発生する個所に逆電位を掛けて起電力の発生を抑制したり、ガラス中で白金族元素より酸化されやすいSnOに一部変化するSnOを0.01質量%以上含有させて溶融したり、ガラス成分中で還元されやすいAs或いはSbを所定量以下、具体的には、Asを0.4質量%以下、Sbを3質量%以下にして溶融すれば良い。尚、白金族元素や白金族元素合金の酸化反応をより抑制するには、これらの方法を併用することが望ましい。
【0023】
また、本発明のディスプレイ用ガラス基板の具体的な組成は、耐薬品性、熱収縮性、溶融性、成形性、熱膨張係数等を考慮して、用途に応じて適宜決定すればよい。好適な組成範囲は、質量百分率で、SiO 40〜70%、Al 2〜25%、B 0〜20%、MgO 0〜10%、CaO 0〜15%、SrO 0〜10%、BaO 0〜30%、ZnO 0〜10%、RO(RはLi、Na、Kを表わす) 0〜25%、As 0〜0.4%、Sb 0〜3%、SnO 0.01〜1%である。
【0024】
本発明においてガラスの組成を上記のように限定した理由は、次のとおりである。
【0025】
SiOは、ガラスのネットワークフォーマーとなる成分であり、ガラスの耐酸性を向上させたり、ガラスの歪点を上昇させてガラス基板の熱収縮を小さくする効果がある。含有量が多くなると、ガラスの高温粘度が高くなり、溶融性が悪化すると共にクリストバライトの失透ブツが析出しやすくなる傾向にある。また、含有量が少なくなると、ガラスの耐酸性や歪点が低下する傾向にある。SiOの含有量が40〜70%であれば、耐酸性が高く、熱収縮の小さいガラス基板を得やすくなる。好ましい範囲は、50〜67%であり、より好ましい範囲は、57〜64%である。
【0026】
Alは、ガラスの歪点を上昇させたり、クリストバライトの失透ブツの析出を抑える成分である。含有量が多くなると、ガラスの耐バッファードフッ酸性が悪化したり、液相温度が上昇して成形しにくくなる傾向にある。また、含有量が少なくなると、ガラスの歪点が低下する傾向にある。Alの含有量が2〜25%であれば、液相温度が低いガラス基板を得やすくなる。好ましい範囲は、10〜20%であり、より好ましい範囲は、14〜17%である。
【0027】
は、融剤として作用し、ガラスの粘性を下げ、溶融性を改善する成分である。含有量が多くなると、ガラスの歪点が低下したり、耐酸性が悪化する傾向にある。また、含有量が少なくなると、融剤として十分に作用せず溶融性が低下する傾向にある。Bの含有量が0〜20%であれば、上記効果が得やすくなる。好ましい範囲は、5〜15%であり、より好ましい範囲は、7.5〜11%である。
【0028】
MgOは、ガラスの歪点を低下させずに高温粘性のみを低下させて、ガラスの溶融性を改善する成分である。含有量が多くなると、エンステタイトの失透ブツが析出しやすくなる。また、耐バッファードフッ酸性が低下し、ガラス基板表面が侵食されて、反応性生物がガラス基板表面に付着し、ガラス基板が白濁し易くなる。MgOの含有量が10%以下であれば、耐バッファードフッ酸性を低下させることなく、ガラスの溶融性を改善することができる。好ましい範囲は0〜5%であり、より好ましい範囲は、0〜3.5%である。
【0029】
CaOは、ガラスの歪点を低下させずに高温粘性のみを低下させて、ガラスの溶融性を著しく改善する成分である。含有量が多くなると、耐バッファードフッ酸性が悪化する傾向にある。CaOの含有量が15%以下であれば、耐バッファードフッ酸性を低下させることなく、ガラスの溶融性を改善することができる。好ましい範囲は0〜12%であり、より好ましい範囲は、3.5〜8%である。
【0030】
SrOは、ガラスの耐薬品性と耐失透性を向上させる成分である。含有量が多くなると、ガラスの密度や熱膨張係数が大きくなったり、溶融性が悪化する傾向にある。SrOの含有量が10%以下であれば、上記効果が得やすくなる。好ましい範囲は0〜8%であり、より好ましい範囲は、0.5超〜8%である。
【0031】
BaOは、SrOと同様にガラスの耐薬品性と耐失透性を向上させる成分である。含有量が多くなると、ガラスの密度や熱膨張係数が大きくなったり、溶融性が著しく悪化する傾向にある。BaOの含有量が30%以下であれば、上記効果が得やすくなる。好ましい範囲は0〜20%であり、より好ましい範囲は、0〜10%である。
【0032】
ZnOは、ガラスの耐バッファードフッ酸性や溶融性を改善する成分である。含有量が多くなると、ガラスの耐失透性や歪点が低下する傾向にある。ZnOの含有量が10%以下であれば、上記効果を得ることができる。好ましい範囲は、0〜5%であり、より好ましい範囲は、0〜1%である。
【0033】
O(RはLi、Na、Kを表わす)は、ガラスの粘度を低下させて溶融性を改善する成分である。含有量が多くなると、ガラスの歪点が低下する傾向にある。アルカリ金属酸化物の含有量が合量で25%以下であれば、上記効果が得やすくなる。好ましい範囲は、0〜20%である。
【0034】
尚、本発明のディスプレイ用ガラス基板を液晶ディスプレイ用途に使用する場合、使用するガラスは無アルカリガラスにすべきである。その理由は、ガラス中にアルカリ金属酸化物を含有すると、ガラス中のアルカリ成分が、ガラス基板上に形成された各種の膜やTFT素子の特性を劣化させる虞があるからである。尚、無アルカリとは、ROが0.1%以下を意味する。
【0035】
Asは、清澄剤成分であるが、著しく還元されやすい成分である。含有量が多くなると、白金族元素の酸化反応が著しく促進される傾向にあり、ガラス中に白金族元素ブツが析出しやすくなる。Asの含有量が0.4%以下であれば、白金族元素の酸化反応を促進させることなく、清澄作用のみ得やすくなる。好ましくは、0.2%以下、より好ましくは、0.05%以下である。
【0036】
Sbは、清澄剤成分であるが、還元されやすい成分である。含有量が多くなると、ガラスが還元され、白金族元素の酸化反応が促進される傾向にあり、ガラス中にPtブツが析出しやすくなる。Sbの含有量が3%以下であれば、白金族元素の酸化反応を促進させることなく、清澄作用のみ得やすくなる。好ましくは、2%以下、より好ましくは、1.5%以下である。
【0037】
SnOは、ガラス中で一部SnOとなり、白金族元素の代わりに酸化され、白金族元素の酸化反応を抑制し、ガラス中にPtブツを析出させにくくする成分である。また、清澄剤成分でもあるため、As23、Sb23の含有量を減らし泡のないガラスを得ることが難しいガラスに対しても、泡のないガラスを得ることができる。但し、SnOの含有量が多くなると失透する傾向にある。含有量が0.01〜1%であれば、上記効果が得やすくなる。好ましくは、0.01〜0.5%であり、より好ましくは、0.1超〜0.5%未満である。
【0038】
尚、本発明において、上記成分以外にも、清澄剤として、ClやSOをそれぞれ0.5%まで加えることができる。
【0039】
次に、本発明のディスプレイ用ガラス基板の製造方法について説明する。
【0040】
まず、ガラス原料を上記のガラス組成範囲となるように調合する。続いて、調合したガラス原料を図1及び図2に示す連続溶融炉に投入し、溶解槽10でガラス原料を溶融し、清澄槽20で脱泡した後、攪拌槽30でスターラー31を回転させながら溶融ガラスを均質にし、成形装置40に供給し、溶融ガラスを板状に成形した後、徐冷し、切断することでガラス基板50を得ることができる。
【0041】
尚、白金族元素や白金族元素合金と溶融ガラスとの接触により、起電力が発生している個所がある場合、その個所に逆電位を掛けておくと(例えば、図3に示すように、攪拌槽において、スターラー31とスターラー管30との隙間の高温溶融物に生成する起電力を抑制するように、前記スターラー管30に逆電位を掛ける)、白金族元素ブツの発生を効果的に抑えることができる。
【0042】
また、ガラス基板の成形方法としては、スロットダウンドロー法、オーバーフローダウンドロー法、フロート法、リドロー法等の様々な成形方法があるが、ダウンドロー法、特に、オーバーフローダウンドロー法で板状に成形することが好ましい。その理由は、オーバーフローダウンドロー法の場合、他の成形方法と異なり、ガラス基板の表面は、成形体と接することがないため、汚染部のないガラス表面を有するガラス基板を得ることができる。そのため、未研磨のガラス基板を得る上で有利となり、研磨による微小傷の発生をなくすことができるからである。
【0043】
このようにすることで、未研磨であっても、表面品位の高いディスプレイ用ガラス基板を得ることができる。
【実施例】
【0044】
以下、本発明のディスプレイ用ガラス基板を実施例に基づいて詳細に説明する。
【0045】
表1及び2は本発明の実施例(試料No.1〜13)を、表3は、比較例(試料No.14〜16)をそれぞれ示している。
【0046】
尚、本発明は、本実施例に記載したガラス組成に限定されるものではなく、上記の組成範囲であれば、他のガラス組成であっても良い。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
【表3】

【0050】
表中の各試料は、次のようにして調製した。
【0051】
まず、表中のガラス組成となるように調合した原料バッチを、白金合金を用いたスターラー及びスターラー管を備えた連続溶融炉で溶融する。続いて、オーバーフローダウンドロー法で肉厚0.7mmのガラス基板に成形し、360mm×460mmのサイズに切断した。
【0052】
尚、試料No.8〜10については、攪拌槽において、前記スターラー管に逆電位を掛けた。
【0053】
こうして得られた各試料について、突起とPtブツの数を測定した。
【0054】
表から明らかなように、実施例である試料No.1〜13は、ガラス基板中のPtブツが30.0ヶ/kg以下と少なく、また、ガラス基板表面の突起も0.32ヶ/m以下と少なかった。
【0055】
これに対し、比較例である試料No.14〜16は、ガラス基板中のPtブツが86.0ヶ/kg以上と多く、また、ガラス基板表面の突起も2.51ヶ/m以上と多かった。
【0056】
尚、ガラス基板表面の突起の数は、暗室内でガラス基板に蛍光灯の光をあて、反射光を利用して、目視で粗検査を行い、その後、接触式粗さ計を用いて突起の高さを測定し、1000μmの距離を検査したときに、突部の先端とガラス基板表面との高低差(突部の高さ)1μm以上の突起をカウントし、その個数を1mに換算して求めた。
【0057】
Ptブツの数は、暗室内でガラス基板の側面からナトリウムランプの光をあて、目視で粗検査を行い、その後、顕微鏡を用いて、最長径が3μm以上のPtブツをカウントし、その個数を1kgに換算して求めた。
【符号の説明】
【0058】
10 溶解槽
20 清澄槽
30 攪拌槽(スターラー管)
31 スターラー
32 直流電源
40 成形装置
50 ガラス基板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板の面積が0.1m以上、ガラス基板の肉厚が2.5mm以下のディスプレイ用途に使用されるガラス基板において、表面突起が2ヶ/m以下であり、且つ未研磨であることを特徴とするディスプレイ用ガラス基板。
【請求項2】
白金族元素及び白金族元素合金のブツが40ヶ/kg以下であることを特徴とする請求項1記載のディスプレイ用ガラス基板。
【請求項3】
Asが0.4質量%以下であることを特徴とする請求項1または2記載のディスプレイ用ガラス基板。
【請求項4】
Sbが3質量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のディスプレイ用ガラス基板。
【請求項5】
質量百分率で、SnO 0.01〜1%を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のディスプレイ用ガラス基板。
【請求項6】
ダウンドロー成形法により成形されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のディスプレイ用ガラス基板。
【請求項7】
質量百分率で、SiO 40〜70%、Al 2〜25%、B 0〜20%、MgO 0〜10%、CaO 0〜15%、SrO 0〜10%、BaO 0〜30%、ZnO 0〜10%、RO(RはLi、Na、Kを表わす) 0〜25%、As 0〜0.4%、Sb 0〜3%、SnO 0.01〜1%を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のディスプレイ用ガラス基板。
【請求項8】
製造工程の少なくとも一部でガラスが白金族元素又は白金族元素合金と接触するディスプレイ用ガラス基板の製造方法において、ガラスと白金族元素又は白金族元素合金の接触により生じる起電力を打ち消すように、外部から逆電位を掛けることを特徴とするディスプレイ用ガラス基板の製造方法。
【請求項9】
面積が0.1m以上、ガラス基板の肉厚が2.5mm以下のガラス基板となるように、成形することを特徴とする請求項8記載のディスプレイ用ガラス基板の製造方法。
【請求項10】
ダウンドロー成形法にて成形することを特徴とする請求項8または9記載のディスプレイ用ガラス基板。
【請求項11】
Asが0.4質量%以下であるガラスとなるように調合されたガラス原料を使用することを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載のディスプレイ用ガラス基板の製造方法。
【請求項12】
Sbが3質量%以下であるガラスとなるように調合されたガラス原料を使用することを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載のディスプレイ用ガラス基板の製造方法。
【請求項13】
質量百分率で、SnO 0.01〜1%を含有するガラスとなるように、調合されたガラス原料を使用することを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載のディスプレイ用ガラス基板の製造方法。
【請求項14】
質量百分率で、SiO 40〜70%、Al 2〜25%、B 0〜20%、MgO 0〜10%、CaO 0〜15%、SrO 0〜10%、BaO 0〜30%、ZnO 0〜10%、RO(RはLi、Na、Kを表わす) 0〜25%、As 0〜0.4%、Sb 0〜3%、SnO 0.01〜1%を含有するガラスとなるように、調合されたガラス原料を使用することを特徴とする請求項8〜13のいずれかに記載のディスプレイ用ガラス基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−280563(P2010−280563A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176932(P2010−176932)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【分割の表示】特願2004−184344(P2004−184344)の分割
【原出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】