説明

ディスプレイ用粘着光学フィルタの切断方法及びこれを用いた製造方法

【課題】 互いに独立した2層以上の粘着剤層を有する光学フィルタを、所定サイズに打抜きによって切断するときの、糊玉、バリ、欠損等の糊汚れに起因する問題を解消できるディスプレイ用粘着光学フィルタの切断方法と製造方法を提供する。
【解決手段】フィルタ本体1と粘着剤層2とからなる粘着フィルタ3が複数積層され、フィルタ本体を介して互いに隔離されることによって独立した複数の粘着剤層を有するディスプレイ用粘着光学フィルタ10を、所定サイズに打ち抜いて切断する際に、刃先が先端角度θ30°以下で且つ表面にシリコーン処理sが施されている打抜き刃Bを用いた切断方法とする。ディスプレイ用粘着光学フィルタの製造方法は、ディスプレイ用粘着光学フィルタを準備した後、この切断方法による切断方法で切断して製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイの前面に配置する粘着剤層付きの光学フィルタの切断方法と製造方法に関する。特に、所定の大きさの枚葉シートに切断するときに、粘着剤層を綺麗に切断でき、粘着剤による糊汚れや、切断面にバリや欠損が発生し難い切断方法と製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、プラズマディスプレイなどのディスプレイの前面(画像観察者側面)には、電磁波遮蔽フィルタ、近赤外線吸収フィルタ、反射防止フィルタ等の、通常は複数のフィルタを積層した光学フィルタが配置されている。また、各フィルタはフィルタ本体と粘着剤層とから構成し、必要とされる複数のフィルタを夫々が有する粘着剤層で複数枚積層した構成の光学フィルタが知られている(特許文献1)。
【0003】
そして、この様な光学フィルタは、帯状シートの形態で製造してから、適用するディスプレイ形状に合わせた所定の大きさの枚葉シートに、打抜き等によって切断して製造している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−126024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図5の断面図で示す様に、粘着剤層付きの光学フィルタ10を、打抜き刃Bによって、所定形状且つ所定サイズの枚葉シートに打抜く際に、或いは枚葉シートから所定形状且つ所定サイズに打抜く際に、不具合が生じ易い。それは、粘着剤層2の切断面から粘着剤が打抜き刃Bに移行して付着し糊玉Pなどの糊汚れが生じ、更にまた、打抜き刃Bに付着した粘着剤が光学フィルタ10に移行して付着し切断面に糊玉Pとなる糊汚れが生じ易い。
また、粘着剤が付着したままの打抜き刃Bで切断して切れ味が悪くなる為か、光学フィルタ10の切断面にバリQや欠損Rが生じる端面荒れが生じることがある。但し、これらの問題が生じる箇所は切断面であり、枚葉シートとなった光学フィルタの外周部で生じるものであり、内部の画像表示に関係する部分ではない。
また、これら糊玉、バリ、欠損等の切断時に発生する諸問題は、粘着剤層2が1層のみの光学フィルタの場合は生じ難いが、複数の機能を一枚の光学フィルタで実現する為に、粘着剤層2が互いに独立して2層以上有する構成の光学フィルタ10の場合に顕著であった。
【0006】
しかも、図6で示す様に、枚葉に切断した後の光学フィルタ10を保管・搬送できる様に積み重ねるときに、その端部に付着した糊玉Pが、既に積み重ねてある他の光学フィルタ10の表面に、移行し付着してしまう。通常、光学フィルタ10はその表面を傷付きや汚れから保護するために、使用時まで、剥離可能な保護フィルムを一時的に貼り付けておくので、糊玉Pの付着面は保護フィルム面となる。従って、最終的な使用時には、光学フィルタ表面に付着した糊玉Pは保護フィルムと共に除去されてしまうから、光学フィルタとしては問題がない様に思える。しかし、光学フィルタが積み重なった状態で保管・搬送されるときに、糊玉Pの部分で光学フィルタ自体に凹みを生じさせ打痕が生じてしまう。また、光学フイルムの外観検査は、通常、保護フィルムが付いた状態で行う為に、この点でも、糊玉Pが検査の邪魔になるという問題もある。
【0007】
また、バリQや欠損Rは、図5でも示す様に、特に粘着光学フィルタ10が後述する微小ルーバー層8を有するときに顕著であった。微小ルーバー層8では、その切断面に露出した部分で、糊玉Pなど粘着剤で汚れた打抜き刃Bに引きつられてしまう為か、一応は止まっているが変形してはみ出した破損片となるバリQが発生し、更には、元の位置に止まらずに脱落してしまった部分では層断面に欠損Rが生じるという問題が、断面荒れが発生し易かった。
【0008】
すなわち、本発明の課題は、フィルタ本体を介して互いに隔離された粘着剤層を有する光学フィルタを所定形状且つ所定サイズに打抜きによって切断するときの、糊玉、バリ、欠損等の切断時の諸問題の発生を解消できる、ディスプレイ用粘着光学フィルタの切断方法とこれを用いた製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明では、次の様な構成とした。
(1)フィルタ本体と粘着剤層とからなる粘着フィルタが複数積層され、前記フィルタ本体を介して互いに隔離された複数の前記粘着剤層を有する、ディスプレイ用粘着光学フィルタを、打抜き刃によって所定形状且つ所定サイズに切断する際に、該打抜き刃として刃先の先端角度θが30°以下で且つ刃先の表面にシリコーン処理が施されている打抜き刃を用いて打抜く、ディスプレイ用粘着光学フィルタの切断方法。
(2)少なくとも次の(a)及び(b)の各工程をこの順に含むディスプレイ用粘着光学フィルタの製造方法。
(a)フィルタ本体と粘着剤層とからなる粘着フィルタが複数積層され、前記フィルタ本体を介して互いに隔離された複数の前記粘着剤層を有する、ディスプレイ用粘着光学フィルタを準備する準備工程。
(b)上記準備工程で準備したディスプレイ用粘着光学フィルタを、前記(1)のディスプレイ用粘着光学フィルタの切断方法によって所定形状且つ所定サイズに切断する切断工程。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、切断時に打抜き刃に粘着剤層から粘着剤が移行し付着し難くなるので、糊玉などの糊汚れ、切断面でのバリや欠損という断面荒れ等の切断時に発生する諸問題が生じない。この為、品質の良い粘着剤層付きの粘着光学フィルタが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明によるディスプレイ用粘着光学フィルタの切断方法及び製造方法を概念的に説明すると共に、ディスプレイ用粘着光学フィルタの一例を示す断面図。
【図2】打抜き刃の各種形態を例示する刃先部分の断面図。
【図3】粘着光学フィルタの別の一例(微小ルーバー層あり)を示す断面図(a)と、微小ルーバー層自体の拡大断面図(b)。
【図4】評価した打抜き刃の形状を示す段面図で、(a)は従来の打抜き刃、(b)及び(c)が効果が得られた打抜き刃。
【図5】糊汚れに起因する、糊玉、バリ、欠損を説明する説明図。
【図6】粘着光学フィルタを積み重ねる時に生じる糊玉の移行拡散を説明する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。尚、図1以下の各図は概念図であり、その各部分の寸法比は、図示の便宜上、適宜、実寸とは変えて誇張して図示してある。
【0013】
《概要》
先ず、図1を参照して、本発明によるディスプレイ用粘着光学フィルタの切断方法及び製造方法について、その概要を説明する。
【0014】
本発明が対象とするディスプレイ用の粘着光学フィルタは、図1に例示する粘着光学フィルタ10(以下、ディスプレイ用粘着光学フィルタを単に粘着光学フィルタとも言う)の様に、粘着剤層が、粘着剤層2a及び粘着剤層2bなどの如く、フィルタ本体1a或は1bを介して互いに隔離されることによって、互いに分離し独立した層となっている。該粘着光学フィルタ10は、この様な粘着剤層を2層以上の複数層有する、粘着剤層付きの光学フィルタである。また、同図で示す実施形態では、粘着剤層が本発明で対象とする最小数の2層の構成例でもある。そして、フィルタ本体1aと粘着剤層2aとからなる粘着フィルタ3aと、フィルタ本体1bと粘着剤層2bとからなる粘着フィルタ3bとが、粘着剤層(同図の例では粘着剤層2a)によって積層されている。
更に、必須ではないが、通常は、同図では図面下方の粘着剤層2bの面には粘着面を一時的に保護する為のセパレータフィルム4(輪郭線を破線で示す)が剥離可能に積層され、図面上方のフィルタ本体1aの面には保護フィル5(輪郭線を破線で示す)が剥離可能に積層された構成となる。
【0015】
そして、本発明によるディスプレイ用粘着光学フィルタの切断方法では、打抜き刃Bとして刃先の先端角度θが30°以下で、しかも刃先の表面にシリコーン処理sが施されているものを用いる。
また、本発明によるディスプレイ用粘着光学フィルタの製造方法では、上記の様な粘着光学フィルタ10を準備し、次いで、この粘着光学フィルタ10に対して、上記の様な切断方法によって切断する。
この様な切断方法或いはこれを用いた製造方法とすることによって、打抜きによって所定形状且つ所定サイズに切断時に、糊玉等の糊汚れ、或いは、バリや欠損等の断面荒れという切断時の諸問題を解消でき、高品質のディスプレイ用粘着光学フィルタを得ることが可能となる。
【0016】
《ディスプレイ用粘着光学フィルタの切断方法》
実施の形態を、ディスプレイ用粘着光学フィルタの切断方法から説明する。
【0017】
〔1.打抜き刃〕
打抜き刃Bは、帯状板材の幅方向一方の端を先細り形状の刃先とし他方の側は固定用の本体部とした、トムソン刃等と呼ばれている刃物である。本発明では、図1の様に、この打抜き刃Bの刃先の先端角度θを20〜40°とし、更に、刃先の表面にシリコーン処理sを施したものを用いる。先端角度θとシリコーン処理sのうちの何れかが欠けていても、糊玉等の糊汚れ、バリや欠損等の断面荒れを全て解消することはできない。
刃先の先端角度θが大きくなると、糊玉Pも、バリQ及び欠損Rも増えてしまう。一方、先端角度θが小さいほど、切断対象物(粘着光学フィルタ10)を押し開く度合い(即ち、刃がフィルタ本体や粘着剤層の切断端面を垂直に押す力)が小さくなり糊汚れは少なくなる傾向になるが、打抜き刃B自体の機械的強度が弱くなり刃先が欠け易くなるので、自ずと限度がある。この為、より好ましくは、先端角度θは25〜30°とし、更に上限はこの範囲内であっても、29°、28°、27°となるべく小さくするのが良い。
なお、打抜き刃Bの板厚(本体部の厚み)は、0.5〜1.0mm程度のものを用いる。薄い方が糊汚れや断面荒れの点では好ましいが、機械的強度がその分低下する。従って、例えば板厚0.71mmのものを用いる。
打抜き刃Bは、通常、合板等に設けた所定形状の溝に嵌合して、刃先の平面視形状を、切り抜くべき所定形状(枚葉形状)の輪郭線に沿って配置し固定して光学シート10を切断する。
【0018】
ここで、図2は、打抜き刃Bの各種形状を例示する刃先部分の断面図であり、刃先の先端角度θが所定範囲内であっても、刃先の形状には各種の形状があり得る。なお、図2では、図1及び図3で明示したシリコーン処理については明示していない。
先ず、図2(a)は、刃先が左右非対称形状の例であり、図面右側が垂直面で左側が傾斜面の(一段)片刃の例である。また、図2(b)は、刃先が左右対称形状の傾斜面の(一段)両刃の例である。また、図2(c)は、刃先が左右対称形状で且つ多段(同図では2段)の傾斜面の両刃の例である。これに対して、図2(a)及び図2(b)の刃は左右斜面とも傾斜が一定の1種の面のみから成る1段刃である。
図2(a)の様な左右非対称形状の片刃に比べて、両刃、それも図2(b)や図2(c)の様な左右対称形状の両刃の方が、切断時に切断対象物から打抜き刃Bが受ける力が、左右で均等に加わるので刃先が曲がり難く、打抜き刃Bの耐久性の点では好ましい。
【0019】
なお、図2(c)或は図4(c)の打抜き刃Bの様に、二段刃の場合の刃先の先端角度θとは、あくまでも先端の一段目の角度であり、二段面の角度γ((図4(c)参照)ではない。二段刃のときは、先端角度θよりも二段目の角度γが小さくなる角度とする。従って、該二段目角度γは、自ずと先端角度θよりも小さくなり、最大でも30°以下となる。
シリコーン処理sが施された打抜き刃Bの刃先形状を、この様な二段両刃とすることで、刃先の角度を二段目角度γで小さくしつつ、先端の先端角度θが二段目角度γよりも大きく出来るので、先端の機械的強度を強くして、刃先を欠け難くでき、耐久性を向上できる。また、バリQ、欠損Rを一段両刃に比べて更に減らすことができる。
【0020】
(シリコーン処理)
また、打抜き刃Bは、刃先の少なくとも切断対象物が接触する部分は、シリコーン処理sが施されている。単に刃先がフッ素処理されただけの打抜き刃では、バリQや欠損Rの断面荒れの解消には効果があるが、糊玉Pなどの糊汚れの解消には不十分である。しかし、シリコーン処理sを施した打抜き刃Bでは、バリQや欠損Rの断面荒れの解消に効果がある上、糊玉P等の糊汚れの解消にも効果があり、これら全ての切断時の諸問題を解消できる。その理由は、シリコーン処理sによって、打抜き刃Bで打抜いて引き抜くときに、打抜き刃Bの刃先自体に糊玉Pが付着するなど糊汚れの発生が解消し、これが断面荒れの発生に好影響しているのではと思われる。
【0021】
シリコーン処理sとしては、シリコーンを塗布してから焼き付ける。尚、ここで、「焼き付ける」とは硬化させると言う意味であり、加熱で硬化する以外に電離放射線照射等により非加熱で硬化させる場合も含む。硬化型シリコーンによる処理が、シリコーン処理sで形成された非粘着性皮膜が、剥離や磨耗に対する耐久性を有効に発現する点で好ましい。この様な、シリコーンとしては、例えば、剥離用等のシリコーンオイルを挙げることができる。シリコーンオイルの中でも、シリコーン骨格の片末端、両末端、側鎖、片末端及び側鎖、両末端及び側鎖のいずれかの部位を変性した、変性シリコーンオイルが打抜き刃本体への密着性の点で好ましい。更に好ましくは、アミノ基、エポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、水酸基等の反応性基で変性した変性シリコーンオイルが好ましい。この様な、反応性の変性シリコーンオイルとしては、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、アクリレート変性シリコーンオイル等が挙げられる。これらに、イソシアネート、アミン等の硬化剤を適宜添加して、加熱、紫外線や電子線等の電離放射線によって、塗布膜を硬化させて、非粘着性の皮膜を刃先表面に形成する。
なお、シリコーンオイル本体の骨格構造においては、通常はケイ素原子に2個のメチル基が結合しているが、この内の1個以上を、炭素数2以上のアルキル基、フェニル基、フッ素含有アルキル基等の置換基に置き換えたものでも良い。
【0022】
なお、シリコーン処理sは、少なくとも切断対象物が接触する刃先部分に施されていれば良く、打抜き刃Bの該刃先部分を除く本体部分は、その必要はない。しかし、本体部分も処理しても良い。なお、シリコーン処理sによる非粘着性皮膜の厚みは、耐久性、耐摩耗性等の考慮して適宜なものとすれば良く、例えば1〜15μmである。
また、上記シリコーン処理sの際に、処理面をシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等の各種カップリング剤処理や粗面化処理等による公知の易接着処理を予め施しておいても良い。
【0023】
なお、先の先端角度θ及びシリコーン処理s以外の点においては、従来公知の打抜き刃と同様であって良い。例えば、打抜き刃Bの材質は、金属、セラミックス等である。なかでも、鉄、それも炭素鋼は代表的である。例えば、炭素鋼では、中炭素鋼や高炭素鋼を用い、具体例を挙げれば、炭素含有量が0.5%であるS50Cの中炭素鋼を用いることができる。
【0024】
〔2.ディスプレイ用の粘着光学フィルタ〕
本発明が対象とするディスプレイ用の粘着光学フィルタは、図1で説明した粘着光学フィルタ10の様に、少なくとも、フィルタ本体を介して互いに隔離されることによって分離独立した粘着剤層2を2以上複数層有すると共に、フィルタ本体も2層以上複数層有する構成の粘着剤層付きの光学フィルタである。フィルタ本体と粘着剤層とを有する粘着フィルタを2枚以上積層した粘着光学フィルタ10であるとも言える。そして、この様な構成の粘着光学フィルタ、乃至はそれを構成するフィルタ本体、粘着剤層などは、従来公知のものでよい。そこで、ここでは、図1乃至は図3を参照して、各構成層について説明しておく。
【0025】
[粘着フィルタ]
粘着フィルタ3は、粘着剤層を有するフィルタのことであり、フィルタ本体1と粘着剤層2とからなる。なお、図1では、粘着フィルタ3aがフィルタ本体1aと粘着剤層2aとから構成され、粘着フィルタ3bがフィルタ本体1bと粘着剤層2bとから構成さている例である。
【0026】
なお、通常、粘着フィルタ3は、1層のフィルタ本体1とその片面に形成された1層の粘着剤層2との組合せから成る1つの積層単位である。この様な積層単位を2単位以上積層して、粘着光学フィルタ10を得る。その際、図1では、同一の積層単位に属する粘着フィルタ3の符号に添え字a乃至はbを付けて区別して表してある。しかし、粘着フィルタ3とそれに属するフィルタ本体1及び粘着剤層2を、粘着フィルタ3毎に(積層単位毎に)区別して述べる必要がない時は、符号には添え字は付さないことにする。
また、粘着フィルタ3が複数積層されたものを、これと区別できる様に、粘着光学フィルタ10と呼ぶことにする。
【0027】
(フィルタ本体)
フィルタ本体1としては、近赤外線吸収フィルタ、電磁波遮蔽フィルタ、紫外線吸収フィルタ、或いは、視覚上の効果が得られる、PDPのネオン光を吸収するネオン光吸収フィルタ、表示画像を好みの色調に補正する色補正フィルタ、或いは、反射防止フィルタ、微小ルーバー層による光線制御フィルタ(例えば特開2007−272161号公報などに記載の、コントラスト向上フィルタであり、正面方向に出射するディスプレイ光は透過し、斜め上方向から入射する外来光は吸収するフィルタ)などのフィルタを1種以上有する。これらは、いずれも光乃至は電磁波の透過・進行を制御するフィルタである。また、ディスプレイ用粘着光学フィルタ10としては、通常は、フィルタ機能を持つとは言えないハードコート層等も付加されることが多い為、本明細書では、ハードコート層などフィルタ機能以外の機能を付与する「非フィルタ」も、フィルタ本体1に含まれるものとして取り扱う。
【0028】
上記の非フィルタとしては、例えば、ハードコート層、帯電防止層、汚染防止層、耐衝撃層、2層間の物質移動を防ぐバリア層などである。これらの層は、ディスプレイ用途において公知の層を適宜採用できる。
【0029】
(機能実現層)
また、フィルタ本体は、近赤外線吸収機能等のフィルタ機能や帯電防止機能等の非フィルタ機能といった目的とする各種機能を専ら実現する機能実現層と、それの形成対象として或いはそれを機械的に支持する基材としての透明基材シートと、から構成されることがある。
例えば、図3(a)に例示の粘着光学フィルタ10では、粘着フィルタ3aにてフィルタ本体1aが機能実現層としての反射防止層6と透明基材シート7とから構成され、粘着フィルタ3bにてフィルタ本体1bが機能実現層としての微小ルーバー層8と透明基材シート7とから構成される。そして、フィルタ本体1aと粘着剤層2aとからなる粘着フィルタ3aと、フィルタ本体1bと粘着剤層2bとからなる粘着フィルタ3bとが各々積層(すべき)単位となり、該2つの積層単位が該粘着剤層2aとフィルタ本体1bとが接する様な向きで積層されている。
【0030】
各種機能実現層は、フィルタ本体1として付与する各種機能に応じた層であり、例えば、近赤外線吸収層であれば透明樹脂中に近赤外線吸収剤を含有させた層として形成され、ハードコート層であれば電離放射線硬化性樹脂の硬化物層として形成される。なお、機能実現層は上記各種機能の1又は2以上を単層で又は多層構成で実現することもある。
なお、例えば、透明基材シート7中に紫外線吸収剤を含有させる等、透明基材シート7自体が機能実現層となることもある。
また、粘着剤層2中に紫外線吸収剤を含有させる等、粘着剤層2が機能実現層を兼用することもある。
【0031】
(微小ルーバー層)
ここでは更に、図3で例示した微小ルーバー層8について説明しておく。本発明は、この微小ルーバー層8を有する粘着光学フィルタ10の切断乃至は製造において、図5で示した様に、微小ルーバー層8が存在する部分の切断面で生じ易い、微小ルーバ層8のバリQや欠損Rの断面荒れの発生の抑制にも効果的だからである。
【0032】
微小ルーバー層8自体は、公知のものであり、図3(b)の断面図で示す様に、暗色線条部8aと透明樹脂層8bとからなり、暗色線条部8aは平面視が直線状形状をしており、この暗色線条部8a、がその延在方向を互いに平行に、フィルタ面に平行な方向に所定の間隔で、多数配列しており、暗色線条部8aの少なくとも間に該暗色線条部8aを支持する様に透明樹脂層8bを有する。なお、同図の透明樹脂層8bは、暗色線条部8aの図面上方側の部分にも存在し、図面上方の側からも該暗色線条部8aを支持する。
暗色線条部8aはカーボンブラック等の暗色の着色剤を樹脂中に含ませた暗色材料から形成し、透明樹脂層8bは透明な樹脂から形成する。また、これらの樹脂には、代表的には紫外線や電子線で硬化させるアクリレート系電離放射線硬化性樹脂が用いられ、その硬化物層として形成される。そして、通常は、透明基材シート7上に、暗色線条部8aとは逆凹凸形状の溝状凹部が形成された透明樹脂層8bを、賦形等の成形法で先に形成した後に、前記溝状凹部の内部のみに暗色樹脂材料を公知のワイビング法などで充填して、微小ルーバー層8が形成される。
尚、微小ルーバー層8の暗色線条部8aの底部(図3(b)に於いては、下方の透明樹脂層8b表面に露出する部分の幅)は10〜300μm程度とする。又、隣接する暗色線条部8a同士の間隔(配列周期)は10〜1000μm程度である。
【0033】
また、微小ルーバー層8は、その光線制御の目的からして、暗色線条部8aは厚み方向の距離が必要である関係上、粘着剤層2等に比べて厚くなるのが普通である。例えば、微小ルーバー層8の厚みは50〜300μm程度である。従って、厚みの厚い樹脂層となると可撓性が低下し、保管や運搬などの取扱に便利なロール形態に巻き取ることが難くなる。この為には、微小ルーバー層8中で暗色線条部8aを支持し、また光透過部にもなる透明樹脂層8bには可撓性のある樹脂を用いれば取扱性が向上する。ところが、弾性が低く可撓性を備えた透明樹脂層8bとすると、バリQ、欠損R等の断面荒れが生じ易くなる。特に、図3の様な向きで打抜く場合、即ち、、透明樹脂層8bに接し且つ暗色線条部8aには接していない様にして微小ルーバー層8に接している透明基材シート7の側から打抜くと、何故か、バリQ、欠損R等の断面荒れが生じ易くなる。一方、この反対に、微小ルーバー層8と透明基材シート7との上下関係を逆転させた層構成にして、粘着剤層2b側から刃を押入れて、透明基材シート7が微小ルーバー層8の後から切断れる様に打抜く場合は、何故か、バリQ、欠損R等の断面荒れが生じ難くなる。しかし、上記特定の打抜き刃Bを用いることで、これらのバリや欠損という断面荒れの問題を解消できる。
この様に微小ルーバー層8と透明基材シート7と上下関係が影響するのは、軟らかい微小ルーバー層8がそれよりも硬い透明基材シート7よりも切断時に下に位置し、更に軟らかい微小ルーバー層8の下に柔らかい粘着剤層2が位置して、これらが透明基材シート7の後から切断されるときは、打抜き時の層の変形がより大きくなり、これが影響しているとも想像される。
【0034】
(透明基材シート)
なお、上記微小ルーバー層8及びこれ以外の機能実現層に付随させる場合の透明基材シート7は、透明な樹脂シート(乃至フィルム)が使用される。該樹脂シートの樹脂は、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、或いは、シクロオレフィン重合体などのポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂等である。なかでも、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは好適な材料である。なお、透明基材シート2の厚みは、取扱性、コスト等の点で通常は12〜500μm、好ましくは25〜200μmだが、特に制限はない。
なお、前記した様に、例えば、透明基材シート7中に紫外線吸収剤を含有させて紫外線吸収フィルタとするなど、透明基材シート7自体が機能実現層となることもある。
また、透明基材シート7の両面に機能実現層を設けるなど、複数の機能実現層で透明基材シート7を共用することもある。
【0035】
なお、「シート」は「フィルム」に対して一般に厚い物を意味することがあるが、本発明では単に呼称上の違いのみであり、その意味の区別は特にない。これは、透明基材シート以外に、セバレータフィルム、保護フィルムも同様である。
【0036】
(粘着剤層)
粘着剤層2としては、公知のものを適宜採用できる。例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の透明な粘着剤によって形成される。
なお、粘着剤層2の厚みは通常15〜50μm程度であるが、薄すぎると粘着力(接着力)が弱くなり、厚過ぎるとコスト高となる上、糊汚れが発生し易くなるので、より好ましくは20〜30μm程度である。
【0037】
なお、図1及び図3(a)を参照した上記説明では、粘着剤層2aは粘着フィルタ3aに属し、粘着剤層2bは粘着フィルタ3bに属するものとした。これは、粘着フィルタ3aと粘着フィルタ3bとを各々積層単位とし、両積層単位を、粘着剤層2aによって積層するという各層の積層順に基づく説明である。
しかし、図面下側の粘着フィルタ3bからなる積層単位と図面上側のフィルタ本体1aからなる積層単位とを、これら何れにも属さない独立の粘着剤層2aを、積層時にこれらの間に供給して、この粘着剤層2aによって、結果として、粘着フィルタ3aと粘着フィルタ3bとが積層された層構成を形成することもできる。つまり、物としての粘着光学フィルタ10の層構成においては、製造過程でこの様な積層単位及び積層順で得られた粘着光学フィルタ10も含む。この様な積層順も含めて、粘着光学フィルタ10を製造することにより、多様な構成の原材料シートに応じて目的とする粘着光学フィルタ10を製造できる利点が得られる。
【0038】
[セパレータフィルム]
なお、セパレータフィルム4としては、公知のものを適宜使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル樹脂、或いはポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂等からなる樹脂フィルムの表面をシリコーン処理等で剥離処理した、透明なフィルムを用いることができる。なお、セパレータフィルムの厚さは、通常10〜250μm、好ましくは25〜100μm程度である。
【0039】
[保護フィルム]
また、保護フィルム5としも、同様に公知のものを適宜採用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル樹脂、或いはポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂等からなる樹脂フィルムの接着面に弱粘着性の粘着剤層を形成した、透明な粘着フィルムを用いることができる。なお、保護フィルムの厚みは、通常10〜250μm、好ましくは25〜100μm程度である。
【0040】
〔3.打抜きによる切断〕
上記した様な構成のディスプレイ用の粘着光学フィルタ10を、前記した打抜き刃Bによって所定形状で且つ所定サイズに切断する。なお、所定サイズとは、適用するディスプレイのサイズに応じたものとなり、通常有効画面サイズより一回り大きいサイズとなる。又、所定形状としては、適用するディスプレイ形状に応じたものとなり、通常は、長方形である。
打ち抜きは、打抜き刃Bをフィルタ面に垂直に押込んで切断するが、押込み方向は、基本的に表裏どちらからでも良い。ただ、打抜く際は、セパレータフィルム4が積層されている裏面側からではなく、図1や図3で示す様に、その反対側のセパレータフィルム4が最外面に存在しない表面側から打抜く方が、より好ましい。これにより、セパレータフィルム4を剥離時に直下の粘着剤層2bの一部が同時に剥離されてしまう所謂泣き別れを抑制できる。なお、上記粘着剤層2bとは、粘着光学フィルタ10が有する複数の粘着剤層のうち最外層に位置する1層であり、且つ該粘着光学フィルタ10を被着体に貼り付ける為の粘着剤層である。そして、その粘着面を一時的に保護する為のセパレータフィルム4を必須の要素として含むことを前提とする。
【0041】
そして、この様にして、粘着光学フィルタ10を上記した打抜き刃Bを用いて切断することで、打抜き刃Bの刃先に粘着剤が付着して汚れることが抑制されて、糊汚れに起因する糊玉Pを解消できる。また、切断面でのバリQや欠損R等の断面荒れも解消できる。
なお、打抜き刃Bは、前記の如く、通常、合板等に設けた所定形状の溝に勘合して抜き型にして使用される。
【0042】
《ディスプレイ用粘着光学フィルタの製造方法》
本発明によるディスプレイ用粘着光学フィルタの製造方法は、上記したディスプレイ用粘着光学フィルタの切断方法を利用して、該粘着光学フィルタ10を製造する方法である。なお、切断対象とする粘着光学フィルタ10は、帯状シートでも良く、枚葉シートでも良い。
従って、ディスプレイ用粘着光学フィルタの製造方法としては、少なくとも、次の(a)及び(b)の各工程をこの順に含む。
(a)フィルタ本体と粘着剤層とからなる粘着フィルタが複数積層され、フィルタ本体を介して互いに隔離された複数の前記粘着剤層を有する、ディスプレイ用粘着光学フィルタを準備する準備工程、及び、
(b)上記(a)準備工程で準備したディスプレイ用粘着光学フィルタを、前記したディスプレイ用粘着光学フィルタの切断方法によって所定形状且つ所定サイズに切断する切断工程、すなわち、刃先の先端角度θが30°以下で且つ刃先の表面にシリコーン処理が施されている打抜き刃を用いて打抜いて所定形状且つ所定サイズの粘着光学フィルタに切断する切断工程、
の2工程である。
【0043】
準備工程(a)では、粘着光学フィルタ10を構成するフィルタ本体1の各層を個別にで製造し、次いで各フィルタ本体1の各層を、間に粘着剤層2を介して積層して切断対象とする粘着光学フィルタ10を製造することで準備しても良いし、市場から既に所望のフィルタ本体1と粘着剤層2の各層が全て積層されている粘着光学フィルタ10を入手することで準備しても良い。或いは、フィルタ本体1の1層に粘着剤層2が1層形成された各粘着フィルタを個別に市場から入手し、これらを積層することで粘着光学フィルタ10を製造しても良い。各層を形成し積層する場合は、上記した様な層を公知の方法で形成し積層し、製造すれば良い。
尚、(a)工程で準備する粘着光学フィルタ10は、工程(b)で所望の形状及びサイズの枚葉形状が打抜き可能な形状及びサイズであれば、帯状、枚葉の何れの形態でも良い。但し、高速度での連続量産に対応できる点で、所望の打抜き形状を複数個打抜き可能な帯状の形態が好ましい。
【0044】
切断工程(b)では、準備工程(a)で準備した粘着光学フィルタ10を切断対象として、上記したディスプレイ用粘着光学フィルタの切断方法、つまり、刃先の先端角度θが30°以下で且つ刃先の表面にシリコーン処理が施されている打抜き刃を用いて打抜く切断方法によって、所定形状且つ所定サイズに切断することで、粘着光学フィルタ10を製造する。
【0045】
この様な、ディスプレイ用粘着光学フィルタの製造方法とすることで、打抜き時の糊玉P等の糊汚れ、バリQや欠損R等の断面荒れの発生を解消し、これら欠点を解消した高品質の粘着光学フィルタ10を製造できる。
【実施例】
【0046】
以下、本発明を実施例及び比較例によって更に詳述する
【0047】
〔比較例1〕
先ず、改善前の打抜き刃を用いた比較例1では、打抜き刃として、図4(a)の断面図に示す、刃先の先端角度θが43°、刃先の傾斜部の長さ0.9mm、板厚0.71mmで、刃先表面はシリコーン処理されていない通常の炭素鋼製の両刃を、平面視形状が縦360mm、横290mm長方形の打抜き形状の輪郭に沿って配置してなる打抜き刃を用いた。そして、この打抜き刃で、図3の断面図で示すディスプレイ用粘着光学フィルタ10を、保護フィルム5側から打抜いてディスプレイ画面に対応させた長方形の所定形状で且つ所定サイズに切断した。
その結果は、表1に纏めて示す様に、糊玉が発生し、またバリと欠損が微小ルーバー層8の断面部分に発生した。
【0048】
なお、上記光学粘着フィルタ10の構成は、反射防止層6や微小ルーバー層8を有するフィルタである。具体的には、各層を全て観察者側となる表側から順に言うと、保護フィルム5、粘着フィルタ3a、粘着フィルタ3b、セパレータフィルム4が積層され、該粘着フィルタ3aは、反射防止層6及び透明基材シート7からなるフィルタ本体1aに粘着剤層2aが積層され、該粘着フィルタ3bは、透明基材シート7及び微小ルーバー層8からなるフィルタ本体1bに粘着剤層2bが積層されている構成である。
各層の厚みは、保護フィルム5は50μm、反射防止層6は5μm、透明基材シート7は100μm、粘着剤層2a及び粘着剤層2bは25μm、微小ルーバー層8は80μm、セパレータフィルム4は38μmである。また、保護フィルム5、透明基材シート7、及びセパレータフィルム4には、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いてある。反射防止層4は中空シリカ粒子を分散させた弗素樹脂から成る反射防止塗料で塗工形成し、粘着剤層2a及び粘着剤層2bにはアクリル系粘着剤を用い、微小ルーバー層8には、アクリル系の紫外線硬化性樹脂を用いてある。
【0049】
〔実施例1〕
打抜き刃Bとして、図4(b)の断面図に示す、刃先の先端角度θが30°、刃先の傾斜部の長さ1.3mm、板厚0.71mmで、刃先及び本体部の表面がシリコーン処理されている炭素鋼製の両刃の刃を平面視形状が縦360mm、横290mm長方形の打抜くべき所定形状の輪郭に沿って配置してなる打抜き刃Bを用いた。その他は、比較例1と同様にして、図3に示す光学粘着フィルム10を、保護フィルム5側から打抜いて所定サイズに切断した。
その結果、表1に示す様に、糊玉が発生しなくなり、微小ルーバー層8の断面部分で発生したバリと欠損の断面荒れが共に、比較例1と比べて、減少し改善した。
【0050】
〔実施例2〕
打抜き刃Bとして、図4(c)の断面図に示す、刃先の先端角度θが28°、刃先の先端角度θとなる傾斜部の長さ0.2mm、二段目の刃先の二段目角度γが13°、刃先の一段目刃先と二段目刃先の傾斜部の合計長さ2.8mm、板厚0.71mmで、一段目及び二段目の刃先及び本体部の表面がシリコーン処理されている二段両刃の打抜き刃Bを用いた。その他は、比較例1と同様にして、図3に示す光学粘着フィルム10を、保護フィルム5側から打抜いて所定形状且つ所定サイズに切断した。
その結果、表1に示す様に、糊玉が発生しなくなり、微小ルーバー層8の断面部分で発生したバリと欠損の断面荒れも共に発生しなくなった。
【0051】
〔比較例2〕
打抜き刃Bとして、図4(a)の断面図に示す、比較例1と同一形状だが、刃先及び本体部の表面をシリコーン処理した両刃の打抜き刃を用いた。その他は、比較例1と同様にして、図3に示す光学粘着フィルム10を、保護フィルム5側から打抜いて所定形状且つ所定サイズに切断した。
その結果、表1に示す様に、糊玉が発生しなくなったが、微小ルーバー層8の断面部分で発生したバリと欠損との断面荒れは、比較例1同様に発生しており、バリ及び欠損の断面荒れに対しては、シリコーン処理の改善効果は認められなかった。
【0052】
【表1】

【0053】
《用途》
本発明によるディスプレイ用粘着光学フィルタの切断方法及びこれを用いた製造方法が対象とする粘着剤層付きの粘着光学フィルタは、ディスプレイ用途して、例えば、テレビジョン受像器、測定機器や計器類、事務用機器、医療機器、電算機器、電話機、電子看板、遊戯機器等の表示部等に用いられるPDP(プラズマディスプレイ)、CRT(ブラウン管)、LCD(液晶ディスプレイ)、電界発光(EL)ディスプレイなどの各種画像表示装置の前面フィルタ用として好適である。この他、住宅、事務所、店舗、病院等の建築物の窓、扉等に貼着する赤外線遮断、紫外線遮断等の目的に使う光学フィルムとしても好適である。
【符号の説明】
【0054】
1、1a、1b フィルタ本体
2、2a、2b 粘着剤層
3、3a、3b 粘着フィルタ
4 セパレータフィルム
5 保護フィルム
6 反射防止層
7 透明基材シート
8 微小ルーバー層
8a 暗色線条部
8b 透明樹脂層
10 ディスプレイ用粘着光学フィルタ
B 打抜き刃
P 糊玉
Q バリ
R 欠損
s シリコーン処理
θ 先端角度
γ (2段刃での)2段目の角度


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタ本体と粘着剤層とからなる粘着フィルタが複数積層され、前記フィルタ本体を介して互いに隔離された複数の前記粘着剤層を有する、ディスプレイ用粘着光学フィルタを、打抜き刃によって所定形状且つ所定サイズに切断する際に、該打抜き刃として刃先の先端角度θが30°以下で且つ刃先の表面にシリコーン処理が施されている打抜き刃を用いて打抜く、ディスプレイ用粘着光学フィルタの切断方法。
【請求項2】
少なくとも次の(a)及び(b)の各工程をこの順に含むディスプレイ用粘着光学フィルタの製造方法。
(a)フィルタ本体と粘着剤層とからなる粘着フィルタが複数積層され、前記フィルタ本体を介して互いに隔離された複数の前記粘着剤層を有する、ディスプレイ用粘着光学フィルタを準備する準備工程。
(b)上記準備工程で準備したディスプレイ用粘着光学フィルタを、前記請求項1記載のディスプレイ用粘着光学フィルタの切断方法によって所定形状且つ所定サイズに切断する切断工程。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−56041(P2012−56041A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202912(P2010−202912)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】