説明

ディスプレイ装置

【課題】大幅なコストの増大を招くことなく防水性を確保することで、漏水による故障や誤動作の発生を防止することが可能なディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】ディスプレイ装置は、複数のLED34と、LED34の点灯を制御する制御回路36とが搭載された表示パネル30と、箱状に形成され、前面に設けられた取付孔に表示パネル30が実装された装置本体とを備えている。表示パネル30の表面と裏面には、防水加工として、樹脂層37を形成する樹脂封止加工が施されている。表示パネル30には、防水加工が施された裏面に基端部が接続され、結合時の水密性が確保された防水接続コネクタ33aを先端部に有する接続ケーブル33が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路沿い、駅前、各種施設などに設置される大型のディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(以下、LEDと称す。)の輝度の向上に伴い、LEDを光源としてマトリックス状に配置した表示パネルを用いたディスプレイ装置が、道路沿い、駅前、野球場や競馬場などの各種施設に設置されるようになってきた。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された発光ダイオードを用いた発光表示装置は、ハウジングの前面に表示パネルを表示面として取り付け、この表示パネルの背面に回路基板を配置したものである。このような発光表示装置を表示パネルとしてマトリックス状に実装することで、遠くからでも映像を楽しむことができる大型のディスプレイ装置としている。
【0004】
従来のディスプレイ装置100は、図7に示すように、箱状に形成された筐体である装置本体101の前面に設けられた開口に、表示パネル102がそれぞれ配置されている。従来のディスプレイ装置は、屋外に設置することで雨や雪などに曝されても、故障や誤動作が発生しないように、LEDが配列された表示パネル面102aには樹脂などによる防水加工が施してある。また、装置本体101の開口周囲には、表示パネル102の取り付け面との間から水が侵入しないように防水ゴムが枠状に設けられている。更に、装置本体101もそれぞれの鋼板の接合部分は溶接されると共に、メンテナンスのために出入りする扉部(図示せず)にも防水加工が施され、万が一、水が侵入しても貯まっていかないように、底部に排水口が設けられている。
【特許文献1】特開2000−250437号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のディスプレイ装置100は、上述したような水の侵入に対する対策を施していても、横幅が数mから数十mとなる大型のものでは、装置本体101側で高い防水性を確保するのは困難である。そうであっても、防水性を向上させるための加工を装置本体101側で施すと、大型の装置本体101では加工の必要な箇所が多いため、大幅にコストが増大してしまう。
【0006】
そこで本発明は、大幅なコストの増大を招くことなく防水性を確保することで、漏水による故障や誤動作の発生を防止することが可能なディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のディスプレイ装置は、複数の光源と、前記光源の点灯を制御する制御回路とが搭載された表示パネルと、箱状に形成され、前面に設けられた開口に前記表示パネルが実装された装置本体とを備えたディスプレイ装置において、前記表示パネルの表面と裏面には、防水加工が施されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、表示パネル側で防水加工を施すことで、装置本体側での防水性は緩和されるので、大型のディスプレイ装置であっても、装置本体側で防水加工を施すことによるコストの大幅な増大を抑制することができる。よって、本発明は、大幅なコストの増大を招くことなく防水性を確保することで、漏水による故障や誤動作の発生を防止することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本願の第1の発明は、複数の光源と、光源の点灯を制御する制御回路とが搭載された表示パネルと、箱状に形成され、前面に設けられた開口に表示パネルが実装された装置本体とを備えたディスプレイ装置において、表示パネルの表面と裏面には、防水加工が施されていることを特徴としたものである。
【0010】
本発明のディスプレイ装置は、装置本体に設けられた開口に実装される表示パネルの両面に防水加工が施されている。従って、表示パネル側で防水加工を施すことで、装置本体側での防水性は緩和されるので、大型のディスプレイ装置であっても、装置本体側で防水加工を施すことによるコストの大幅な増大を抑制することができる。
【0011】
本願の第2の発明は、第1の発明において、表示パネルには、防水加工が施された裏面に基端部が接続され、結合時の水密性が確保された接続コネクタを先端部に有する接続ケーブルが設けられていることを特徴としたものである。
【0012】
本願の第2の発明においては、接続ケーブルを表示パネルに設ける場合には、先端部に結合時の水密性が確保された接続コネクタを有するものを用いる。この接続ケーブルは、防水加工が施されている裏面に基端部が接続されているので、表示パネルに接続ケーブルを設けたとしても、防水性が確保できる。従って、装置本体側で防水加工を施すことによる大幅なコストの増大を抑制することができる。
【0013】
本願の第3の発明は、第1の発明または第2の発明において、防水加工は、光源の照明部以外と制御回路を埋没させた樹脂封止加工であることを特徴としたものである。
【0014】
本願の第3の発明においては、防水加工を光源の照明部以外と制御回路を埋没させた樹脂封止加工とすることで、容易に、かつ安価に加工を施すことができる。
【0015】
(実施の形態)
本発明の実施の形態に係るディスプレイ装置を、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るディスプレイ装置を示す斜視図である。図2は、図1に示すディスプレイ装置の分解斜視図である。図3は、図1に示すディスプレイ装置の表示パネルの断面図である。図4は、図1に示すディスプレイ装置の表示パネルの背面図である。図5は、図1に示すディスプレイ装置のLEDの点灯を制御する制御回路の構成を示すブロック図である。図6は、図1に示すディスプレイ装置の表示パネルの接続状態を示す図である。
【0016】
図1に示すように、ディスプレイ装置10は、箱状に形成された装置本体20と、板状の表示パネル30とを備えている。
【0017】
図2に示すように、装置本体20は、それぞれの外側面が塗装加工された鋼板により形成され、前面に表示パネル30を実装するための矩形状の開口である取付孔21がマトリックス状に設けられている。表示パネル30は、角部に設けられたネジ孔31と装置本体20のネジ孔22とに挿通するネジ23により固定されている。
【0018】
装置本体20の背面には、故障した表示パネル30を交換したり、その他のメンテナンスを行うために、作業者が出入りするための扉部(図示せず)が設けられている。また、装置本体20の底部には、装置本体20内に侵入した水が溜まらないように排水口(図示せず)が設けられている。
【0019】
図3および図4に示すように、表示パネル30は、プリント配線基板32と、他の表示パネル30や、後述する制御装置と接続するための4本の接続ケーブル33とを備えている。
【0020】
プリント配線基板32の表面には、赤色、緑色、または青色のそれぞれに発光するLED34を一組としてマトリックス状に配置することで、表示面35が形成されている。表示面35には、LED34の点灯を制御する制御回路36の一部が搭載されている。残りの制御回路36は、プリント配線基板32の裏面に搭載されている。ここで、LED34の点灯を制御する制御回路36の構成を、図5に基づいて説明する。
【0021】
図5に示すように、制御回路36は、インタフェース制御部36aと、フレームバッファメモリ部36bと、表示制御部36cと、LEDドライバ部36dと、コマンド制御部36eと、輝度制御部36fと、ボリューム部36gと、メモリ部36hと、制御レジスタ部36jとを備えている。
【0022】
インタフェース制御部36aには、制御装置40からの信号を入力側の接続コネクタ361から入力して、次段に接続される他の表示パネル30へ出力側の接続コネクタ362へ出力するレシーバやドライバを備えている。ここで入力側の接続コネクタ361から入力され、出力側の接続コネクタ362から出力される信号について詳細に説明する。
【0023】
A[0:3]は、表示パネル30の縦列方向を指定する4ビットの表示アドレス信号である。DTA[0:9]は、表示パネル30に表示させる表示データを示す表示データ信号であり、10ビットで1ドットの階調を指定する。DCLKは、データ取り込みタイミング用のクロック信号であり、後述するシフトレジスタ群へのシフトクロック信号となる。WRPは、表示データの取り込みタイミングを示す信号であり、1ライン分の表示データの送信完了を示すエンド信号となる。AEPは、シフトクロック信号(DCLK)が有効か否かを示すクロック有効信号である。SDは、制御コマンドを示すシリアルデータ線で、シフトクロック信号(DCLK)に同期して送信される。CEは、制御コマンドが有効か否かを示すコマンド有効信号である。このような信号線により表示データと制御信号とを各表示パネル30に伝達している。
【0024】
インタフェース制御部36aは、入力側の接続コネクタ361から入力したDTA[0:9]による表示データをDCLKによるクロック信号で取り込んでシフトするシフトレジスタ群を備えている。このシフトレジスタ群によりシリアルの表示データからパラレルの表示データに変換する。
【0025】
フレームバッファメモリ部36bは、シフトレジスタ群により変換されたパラレルの表示データを記憶する読み書き可能なメモリである。このフレームバッファメモリ部36bは、表示パネル30全体の表示データを記憶する容量を有している。
【0026】
表示制御部36cは、フレームバッファメモリ部36bへ読み取りアドレスを出力して表示データを読み出し、読み出した表示データをLEDドライバ部36dに出力する。LEDドライバ部36dは、表示制御部36cからの表示データをLED34により構成されたLEDアレイへ出力する。
【0027】
コマンド制御部36eは、制御装置40から送信されたコマンドが指定するパネルアドレスが自パネルアドレスであった場合に、そのコマンドを解析して制御するものである。
【0028】
輝度制御部36fは、コマンド制御部36eがコマンドを受信して、そのコマンドを解析した結果、輝度調整のコマンドであった場合に、輝度制御部36fに対して、輝度アップ、または輝度ダウンを指示する。
【0029】
輝度制御部36fは、コマンド制御部36eからの指示により指示された輝度アップ、または輝度ダウンに基づいて段階的に設定された輝度レベルをボリューム部36gへ通知する。
【0030】
ボリューム部36gは、輝度制御部36fから通知された輝度レベルに応じた値をLEDドライバ部36dへ通知する。メモリ部36hは、各種設定情報を記憶している書き換え可能な不揮発性メモリである。例えば、輝度レベル情報や、パネルアドレス設定情報などが格納されている。制御レジスタ部36jは、メモリ部36hから読み込まれた各種の設定情報や、パネルアドレスが格納されているレジスタ群である。
【0031】
このように構成された制御回路36を、図3および図4に示すようにプリント配線基板32の表面と裏面とを含む全体に樹脂封止加工を施して樹脂層37を形成することで埋没状態としている。
【0032】
制御回路36を埋没する樹脂層37は、例えば、シリコーンなどで形成することができる。樹脂層37は、制御回路36を完全に埋没している他、前方から発光が視認できるようLED34の照明部であるレンズ部を露出しつつ、LED34の電極部を埋没する厚みに形成されている。
【0033】
次に、接続ケーブル33について詳細に説明する。接続ケーブル33は、前段から表示データおよび制御信号を入力するための入力信号ケーブル331と電源とグランドを入力するための入力電源ケーブル332、および後段へ表示データおよび制御信号を出力するための出力信号ケーブル333と電源とグランドを出力するための出力電源ケーブル334を備えている。この入力信号ケーブル331と出力信号ケーブル333とは、伝達する信号が異なるだけで、同じケーブルである。また、同様に、入力電源ケーブル332と出力電源ケーブル334とは、同じケーブルである。
【0034】
接続ケーブル33のそれぞれの基端部には、基端側接続コネクタが設けられており、プリント配線基板32の裏面に設けられた接続コネクタ361,362(図6参照)と結合することで、基端部がプリント配線基板32の裏面に接続されている。接続ケーブル33とプリント配線基板32との接続部分が樹脂層37に埋没している。また、それぞれの接続ケーブル33の先端部には、結合時の水密性が確保された防水接続コネクタ33aが設けられている。
【0035】
ここで、表示パネル30同士を接続する接続ケーブル33について、図6に基づいて説明する。
【0036】
先頭となる表示パネル30は、電源を供給すると共に、表示データと制御信号を生成して出力する制御装置40に、出力信号ケーブル333と出力電源ケーブル334とにより接続されている。最後尾の表示パネル30の出力信号ケーブル333には、防水接続コネクタ33aに防水のための防水キャップ33bが設けられている。表示パネル30は、接続ケーブル33の防水接続コネクタ33aと、隣接する他の表示パネル30や制御装置40の防水接続コネクタ33とを、装置本体20(図1または図2参照)内で結合することで接続されている。このようにして、制御装置40と表示パネル30とが接続ケーブル33により縦続接続されている。
【0037】
本実施の形態では、接続ケーブル33として、入力信号ケーブル331と出力信号ケーブル333とが1本ずつ設けられているが、表示データおよび制御信号の本数によっては、複数本ずつ設けるようにしても、それぞれの基端部を樹脂層37に埋没するように接続し、先端部に防水接続コネクタ33aが設けられている接続ケーブルであれば使用することができる。
【0038】
また、本実施の形態では、プリント配線基板32と接続ケーブル33との接続に接続コネクタを用いているが、接続ケーブル33からの信号線を直接プリント配線基板32の接続電極に半田付けしてもよい。接続ケーブル33を直接半田付けしても、樹脂層37により半田付け部分が封止されるので、防水性は十分確保することができる。
【0039】
このように、本発明の実施の形態に係るディスプレイ装置10によれば、装置本体20に設けられた取付孔21に実装される表示パネル30の両面に、LED34の電極部や制御回路36全体を覆う樹脂層37を形成する防水加工が施されているので、装置本体20側では高い防水性が要求されない。また、制御装置40や、隣接する表示パネル30を接続する接続ケーブル33は、先端部に結合時の水密性が確保された防水接続コネクタ33aを有し、基端部にある基端側接続コネクタは防水加工が施されているプリント配線基板32の裏面の樹脂層37に埋没しているので、防水性を確保することができる。従って、大型のディスプレイ装置10であっても、装置本体20側で防水加工を施すことによるコストの大幅な増大を抑制することができる。また、プリント配線基板32に施す防水加工を、樹脂層37を形成する樹脂封止加工とすることで、容易に、かつ安価に加工を施すことができる。
【0040】
また、本実施の形態の表示パネル30は、LED34と制御回路36とが、1枚のプリント配線基板32に搭載されている。例えば、表示パネルを、複数枚のプリント配線基板で構成すると、プリント配線基板同士を対向させて接続するための接続コネクタが必要となってしまう。そうなると、この接続コネクタ同士を接続した状態で防水加工を施す必要があるため防水加工の作業が煩雑である。表示パネル30を1枚のプリント配線基板32で構成することで、上述したような煩雑な作業を省略することができるので、更にコストの増大を抑制することができる。
【0041】
なお、本実施の形態では、光源をLED34としたが、電球のような点光源とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、大幅なコストの増大を招くことなく防水性を確保することで、漏水による故障や誤動作の発生を防止することが可能なので、道路沿いや、駅前、各種施設などに設置される大型のディスプレイ装置に好適である。特に、屋外に設置されるディスプレイ装置に最適である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態に係るディスプレイ装置を示す斜視図
【図2】図1に示すディスプレイ装置の分解斜視図
【図3】図1に示すディスプレイ装置の表示パネルの断面図
【図4】図1に示すディスプレイ装置の表示パネルの背面図
【図5】図1に示すディスプレイ装置のLEDの点灯を制御する回路制御の構成を示すブロック図
【図6】図1に示すディスプレイ装置の表示パネルの接続状態を示す図
【図7】従来のディスプレイ装置全体を示す斜視図
【符号の説明】
【0044】
10 ディスプレイ装置
20 装置本体
21 取付孔
22 ネジ孔
23 ネジ
30 表示パネル
31 ネジ孔
32 プリント配線基板
33 接続ケーブル
331 入力信号ケーブル
332 入力電源ケーブル
333 出力信号ケーブル
334 出力電源ケーブル
33a 防水接続コネクタ
33b 防水キャップ
34 LED
35 表示面
36 制御回路
361,362 接続コネクタ
36a インタフェース制御部
36b フレームバッファメモリ部
36c 表示制御部
36d LEDドライバ部
36e コマンド制御部
36f 輝度制御部
36g ボリューム部
36h メモリ部
36j 制御レジスタ部
37 樹脂層
40 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源と、前記光源の点灯を制御する制御回路とが搭載された表示パネルと、
箱状に形成され、前面に設けられた開口に前記表示パネルが実装された装置本体とを備えたディスプレイ装置において、
前記表示パネルの表面と裏面には、防水加工が施されていることを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項2】
前記表示パネルには、前記防水加工が施された裏面に基端部が接続され、結合時の水密性が確保された接続コネクタを先端部に有する接続ケーブルが設けられていることを特徴とする請求項1記載のディスプレイ装置。
【請求項3】
前記防水加工は、前記光源の照明部以外と前記制御回路を埋没させた樹脂封止加工であることを特徴とする請求項1または2記載のディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−198631(P2009−198631A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−38269(P2008−38269)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】