説明

デジタルフロントエンドサーバ、その制御方法、画像形成装置及びプリントシステム

【課題】転送する画像データ量を効率よく低減させる。
【解決手段】印刷するページのページデータ、及び、前記ページ内の印刷不要領域の位置を特定する情報を含む印刷不要領域情報を受信する帳票データ受信手段161と、前記ページデータに基づいて印刷のための画像データを生成する画像データ生成手段162と、生成された画像データから前記印刷不要領域情報に基づいて前記印刷不要領域の画像データを削除して、前記生成された画像データを圧縮し、圧縮した画像データを送信する画像データ圧縮手段163と、を有することを特徴とする、デジタルフロントエンドサーバ160。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルフロントエンドサーバ、その制御方法、画像形成装置及びプリントシステムに関し、特に、デジタルフロントエンドサーバと画像形成装置間のデータ転送に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の顧客宛ての請求書やダイレクトメール、選挙はがきなどの印刷を行う業務用プリントシステムがある。業務用プリントシステムは、上位装置群、DFEサーバ、プリンタエンジンなどの複数の装置で構成されるシステムである。
【0003】
上位装置群は、印刷データを作る帳票設計PC(パーソナルコンピュータ)や、帳票データDB(データベース)、請求データDB、帳票印刷サーバなどからなる。DFE(デジタルフロントエンド)サーバは、上位装置群から送られてくる印刷データをRIP(Raster Image Processor)展開して画像データ化する。プリンタエンジンは、DFEサーバから送られてくる画像データを用紙に印刷する。
【0004】
このようなプリントシステムにおいては、多量な印刷物を高速に印刷することから、DFEサーバからプリンタエンジンへの画像データの転送を高速で行う必要がある。この課題に対応するためには、DFEサーバとプリンタエンジン間の物理インターフェースを、データ転送が高速なものに取り替えるという解決手段が考えられる。しかしながら、高速な物理インターフェースは、高価であり、コスト増につながる。
【0005】
別の解決手段としては、転送する画像データ量を減らすことが考えられる。転送する画像データ量を減らす具体的な方法としては、例えば、転送する画像データの一部を省くという方法が考えられる。
【0006】
特許文献1には、白紙ページを有する原稿を記録し記録媒体からその情報を再生する装置の開示がある。具体的には、1ページ分のデータ転送を開始してから、AND回路によって「黒」を検出し、黒のカウントが一定以下である場合には白紙データであると判断する。そして、白紙データをプリンタに転送しない。つまり、転送する画像データから白紙データを省くことによって画像データ量を減らす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、省く画像データが白紙データのみである。画像データ量を減らすという効果が得られる対象となる画像データが限られている。その結果、十分なデータ転送効率を得ることができない。
また、ページごとに白紙データを検出する処理を行うので負荷がかかり、大量の印刷を行う業務用プリントシステムには適用できない。
【0008】
そこで本発明は、上記実情に鑑みて、転送する画像データ量を効率よく低減させることが可能なデジタルフロントエンドサーバ、その制御方法、画像形成装置及びプリントシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、第1の態様として、印刷するページのページデータ、及び、前記ページ内の印刷不要領域の位置を特定する情報を含む印刷不要領域情報を受信する受信手段と、前記ページデータに基づいて印刷のための画像データを生成する画像データ生成手段と、生成された画像データから前記印刷不要領域情報に基づいて前記印刷不要領域の画像データを削除して、前記生成された画像データを圧縮し、圧縮した画像データを送信する画像データ圧縮手段と、を有することを特徴とする、デジタルフロントエンドサーバを提供するものである。
【0010】
また、本発明は、第2の態様として、印刷するページのページデータ、及び、前記ページ内の印刷不要領域の位置を特定する情報を含む印刷不要領域情報を受信する受信工程と、前記ページデータに基づいて印刷のための画像データを生成する画像データ生成工程と、生成された画像データから前記印刷不要領域情報に基づいて前記印刷不要領域の画像データを削除して、前記生成された画像データを圧縮する画像データ圧縮行程と、圧縮した画像データを送信する送信工程と、を含むことを特徴とする、デジタルフロントエンドサーバの制御方法を提供するものである。
【0011】
また、第3の態様として、メモリバッファと、印刷するページ内の印刷不要領域の位置を特定する情報を含む印刷不要領域情報、及び、前記ページのページデータに基づいて生成された印刷のための画像データから前記印刷不要領域情報に基づいて前記印刷不要領域の画像データを削除する圧縮を行った圧縮した画像データを受信して、前記メモリバッファに前記圧縮した画像データを展開して格納するメモリ制御手段と、前記メモリバッファに格納された展開後の画像データに基づいて画像形成を行う画像形成手段と、を有し、前記メモリ制御手段は、前記圧縮した画像データを前記メモリバッファに格納する際に、受信した前記印刷不要領域情報に基づいて位置が特定される印刷不要領域をメモリ空間上スキップする制御を行い、前記画像データの圧縮を展開することを特徴とする、画像形成装置を提供するものである。
【0012】
また、第4の態様として、デジタルフロントエンドサーバと画像形成装置を有するプリントシステムであって、前記デジタルフロントエンドサーバは、印刷するページのページデータ、及び、前記ページ内の印刷不要領域の位置を特定する情報を含む印刷不要領域情報を受信する受信手段と、前記ページデータに基づいて印刷のための画像データを生成する画像データ生成手段と、生成された画像データから前記印刷不要領域情報に基づいて前記印刷不要領域の画像データを削除して、前記生成された画像データを圧縮し、圧縮した画像データ及び前記印刷不要領域情報を送信する画像データ圧縮手段と、を有し、前記画像形成装置は、メモリバッファと、前記圧縮した画像データを前記メモリバッファに格納する際に、受信した前記印刷不要領域情報に基づいて位置が特定される印刷不要領域をメモリ空間上スキップする制御を行い、前記画像データの圧縮を展開するメモリ制御手段と、前記メモリバッファに格納された展開後の画像データに基づいて画像形成を行う画像形成手段と、を有することを特徴とする、プリントシステムを提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、転送する画像データ量を効率よく低減させることが可能なデジタルフロントエンドサーバ、その制御方法、画像形成装置及びプリントシステムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を好適に実施した一実施形態に係るプリントシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】本実施形態の帳票設計PC110の機能ブロック図である。
【図4】本実施形態の帳票フォーマットの一例を示す図である。
【図5】本実施形態の帳票印刷サーバ130の機能ブロック図である。
【図6】本実施形態のDFEサーバ160の機能ブロック図である。
【図7】本実施形態のプリンタエンジン170の機能ブロック図である。
【図8】本実施形態の処理の流れを示すシーケンス図である。
【図9】本実施形態のDFEサーバ160の処理の流れを示すフローチャート図である。
【図10】本実施形態のプリンタエンジン170の処理の流れを示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に、本実施形態のプリントシステム1の構成を示す。なお、本実施形態は、請求書を大量印刷する業務用プリントシステムに本発明を適用する例を示しているが、本発明がこれに限定されないことは言うまでもない。
【0016】
図1に示すように、プリントシステム1は、帳票設計PC110、帳票印刷サーバ130、帳票データDB140、請求データDB150、DFEサーバ160、プリンタエンジン170、物理インターフェース180を有する。
【0017】
帳票設計PC110は、帳票デザイナが顧客宛てに送付する請求書やダイレクトメール、選挙はがきなどの帳票をデザインして、帳票フォーマットを作成するための端末装置である。
帳票データDB140は、帳票設計PC110によりデザインした帳票フォーマットを格納する。
請求データDB150は、大勢の顧客情報や、各顧客毎に請求額等を紐付けた請求情報を集約して格納する。
【0018】
帳票印刷サーバ130は、印刷時に、帳票データDB140に格納されている帳票フォーマットに基づいて、請求データDB150に格納されている情報を読み込む。そして、各顧客毎に帳票データを生成する。顧客の数が多いと帳票データの量は大量となる。帳票印刷サーバ130は、生成した帳票データをDFEサーバ160に送信する。送信する際に印刷ジョブを起動してもよい。
【0019】
例えば、月に一度顧客に請求書を発行する業務では、オペレータが手動又は図示しない業務用サーバが自動で印刷ジョブを起動する。帳票印刷サーバ130は、印刷ジョブが起動されたことを受けて、先月分の顧客使用料金が格納された請求書DB150の情報と帳票データDB140に格納してある帳票フォーマットから大量の帳票データを生成する。
【0020】
DFE(Digital Front End)サーバ160は、受信した帳票データをRIP(Raster image processor)展開処理で画像データ(印刷イメージ化した帳票データ)に変換する。DFEサーバ160は、変換した画像データを、物理インターフェース180を経由してプリンタエンジン170に送信する。
【0021】
プリンタエンジン170は、受信した画像データを内部のメモリバッファ171(図7)に格納しながら、プリンタ性能が十分に出せるようメモリバッファ171の状態を制御して印刷を行う。
【0022】
次に、帳票設計PC110、帳票印刷サーバ130、帳票データDB140、請求データDB150、DFEサーバ160、プリンタエンジン170のハードウェア構成について説明する。図2は、本実施形態の各装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0023】
なお、プリンタエンジン170は、図2に示すハードウェア構成に加えて、画像形成部を備える。以降、帳票印刷サーバ130のハードウェア構成を例として説明するが、他の装置も同様である。
【0024】
図2に示すように、帳票印刷サーバ130は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等の情報処理端末と同様の構成を有する。即ち、帳票印刷サーバ130は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)40及びI/F50がバス80を介して接続されている。また、I/F50にはLCD(Liquid Crystal Display)60及び操作部70が接続されている。
【0025】
CPU10は演算手段であり、装置全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD40は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納される。
【0026】
I/F50は、バス80と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD60は、ユーザが装置の状態を確認するための視覚的ユーザインターフェースである。操作部70は、キーボードやマウス等、ユーザが装置に情報を入力するためのユーザインターフェースである。なお、図1において説明したように、帳票印刷サーバ130は、サーバとして運用される。したがって、LCD60及び操作部70等のユーザインターフェースは省略可能である。
【0027】
このようなハードウェア構成において、ROM30やHDD40若しくは図示しない光学ディスク等の記憶媒体に格納されたプログラムがRAM20に読み出され、CPU10の制御に従って動作することにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る帳票印刷サーバ130の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0028】
図3に、帳票設計PC110の機能ブロック図を示す。また、図4に、帳票設計PC110により設計される帳票フォーマットの一例を示す。
図示のように、帳票設計PC110は、帳票フォーマット設計手段111、DBリンク手段112、印刷不要領域指定手段113、DB登録手段114を有する。これら各手段は、帳票設計ソフトウェアアプリケーションにより帳票フォーマットのデザイナに提供される。
【0029】
帳票フォーマット設計手段111は、帳票フォーマット内に、文字、数値、表、罫線などを配置して帳票フォーマットを設計する。帳票フォーマット内は他のDB(データベース)とリンクが張れるようになっており、大勢の顧客に請求書を発行する場合、この帳票フォーマット内に他のDBから顧客名、取引情報が関連付けられて帳票データが生成される。DBリンク手段112は、この他のDBへのリンクを設計している帳票フォーマットに張る機能を備える。
【0030】
印刷不要領域指定手段113は、デザイナの指示により、帳票フォーマット内における印刷をしない領域(以下、「印刷不要領域」と呼ぶ)を指定する機能を備える。また、印刷不要領域指定手段113は、指定された印刷不要領域の情報を印刷不要領域情報として生成する。
【0031】
印刷不要領域の例を、図4中の矩形領域510、550に示す。通常、帳票には、印刷不要領域が存在する。しかしながら、この印刷不要領域は、DFEサーバ160がRIP展開処理後、白データとして情報を持っている。そのため、従来の方式では印刷時、DFEサーバ160は、プリンタエンジン170にこの白データもデータ値‘0’として送付している。本実施形態の印刷不要領域指定手段113は、このような意味のない白データを転送しないように、帳票フォーマット設計の段階で印刷不要領域を指定する。
【0032】
図4の例に依拠して具体的に説明する。印刷不要領域指定手段113は、印刷不要領域に該当する矩形領域510を請求書フォーマット210設計時に帳票設計PC110で指定する。さらに、その下部も印刷しないエリアなので、同様に矩形領域550として指定する。すると、印刷不要領域指定手段113は、図4下部に示したように、印刷不要領域情報500を生成する。
【0033】
印刷不要領域情報の内容は、矩形領域毎に、その位置を特定するための情報を有して構成される。図4の例では、印刷不要領域情報500の内容は、矩形領域510について、矩形領域510が存在するページ情報540、矩形の開始座標520、矩形の終了座標530を有する。同様に矩形領域550についても、位置を特定するための情報を有する。位置を特定するための情報の一つとして、ページ情報を持つ理由は、仮に請求書フォーマットが、複数ページで構成されたケースを想定しているためである。
【0034】
DB登録手段114は、帳票設計PC110にて設計された帳票フォーマット及び印刷不要領域情報を関連づけて帳票データDB140に登録する機能を備える。
【0035】
帳票データDB140と請求データDB150は、当業者によく知られているデータベースを用いることができる。請求データDB150には、例えば、顧客毎に顧客情報(住所、名前など)、お取引した日にち情報、商品情報、金額情報などを記憶したテーブルを有していてもよい。帳票データDB140は、複数の帳票フォーマットを記憶している。以下では、図4で示した請求書フォーマット210を記憶していることとする。
【0036】
図5に、帳票印刷サーバ130の機能ブロック図を示す。
図示のように、帳票印刷サーバ130は、印刷ジョブ入力手段131、帳票フォーマット取得手段132、帳票データ作成手段133を有する。
【0037】
印刷ジョブ入力手段131は、オペレータによる手動又は帳票印刷サーバ130の図示しないプログラムによって自動で、帳票印刷実行指示が入力された場合に、印刷ジョブを起動する機能を備える。また、印刷ジョブ入力手段131は、起動した印刷ジョブが利用する帳票フォーマットを帳票フォーマット取得手段132に入力する。本実施形態においては、月次請求書を所定の日に自動的に帳票印刷する例で説明する。
【0038】
帳票フォーマット取得手段132は、入力された帳票フォーマットを、帳票データDB140を参照して、取得する。この際、取得した帳票フォーマットに関連づけられた印刷不要領域情報も取得する。帳票フォーマット取得手段132は、取得した帳票フォーマット及び印刷不要領域情報を帳票データ作成手段133に渡す。
【0039】
帳票データ作成手段133は、渡された帳票フォーマットに基づいて、該帳票フォーマットからリンクが張られているデータ(本例においては請求データ)を請求データDB150から取得する。また、取得したデータと帳票フォーマットに基づいて、帳票データを請求先毎に作成する。さらに、作成した帳票データ及び印刷不要領域情報を関連づけて、DFEサーバ160に送信する。
【0040】
図6に、DFEサーバ160の機能ブロック図を示す。
図示のように、DFEサーバ160は、帳票データ受信手段161、画像データ生成手段162、画像データ圧縮手段163を有する。
【0041】
帳票データ受信手段161は、帳票印刷サーバ130から送信された帳票データ及び印刷不要領域情報を受信する。また、受信した帳票データを画像データ生成手段162に入力し、印刷不要領域情報を画像データ圧縮手段163に入力する。
【0042】
画像データ生成手段162は、帳票印刷サーバ130から送付された帳票データをRIP展開し、ページ毎の画像データを生成する。このページごとの画像データが、生成した描画イメージである。
【0043】
画像データ圧縮手段163は、印刷不要領域情報をプリンタエンジン170に送付する。また、画像データ圧縮手段163は、画像データ生成手段162が生成した画像データから印刷不要領域情報に該当する画像データを除く。次に、画像データ圧縮手段163は、圧縮後の画像データをデータ転送用物理インターフェース180を経由してプリンタエンジン170に送付する。なお、従来から使用しているデータ転送効率を上げるためのデータ圧縮技術を併用してもよい。
【0044】
図7に、プリンタエンジン170の機能ブロック図を示す。
図示のように、プリンタエンジン170は、メモリバッファ171、メモリ制御手段172、画像形成手段173を有する。
【0045】
メモリバッファ171は、DFEサーバ160から送付された圧縮された画像データを格納する。従来から使用しているデータ圧縮技術が併用されている場合は、メモリバッファ171の前段にこの圧縮を展開する処理を行ってもよい。
【0046】
メモリ制御手段172は、メモリバッファ171への情報の入出力を制御する。また、メモリ制御手段172は、DFEサーバ160から送付された印刷不要領域情報に基づいて、メモリバッファ171が圧縮された画像データを格納する際に、印刷不要領域に該当するアドレスをスキップするように、メモリバッファ171を制御する。なぜなら、印刷不要領域の部分はデータが送付されてこないためである。
【0047】
ただし、スキップしたメモリ内のデータを‘0’保証しておく必要があるため、メモリ制御手段172は、メモリバッファ171に対して初期設定で“0”クリア実施する。また、常にリード&クリアを実施する。すなわち、画像形成手段173がメモリバッファ171を読み込んだ際に“0”クリアを実施する。
【0048】
画像形成手段173は、メモリバッファ171に格納されている画像データを読み込んでプリントアウトする。メモリバッファ171に格納されている画像データとは、圧縮された画像データを格納していく際に、メモリ制御手段172が印刷不要領域のアドレスをスキップする制御をしながら格納した画像データである。したがって、展開後の画像データである。
【0049】
以上で説明した本実施形態の動作について、シーケンス図を用いて説明する。
図8に、本実施形態の処理の流れを示すシーケンス図を示す。
図示のように、請求データDB150には、請求書を作成するための請求データが既に格納されている。なお、請求データは、本実施形態の各処理が実行されている途中であっても更新されもかまわない。
【0050】
帳票設計PC110は、本実施形態に係る印刷ジョブが実行される前に、帳票設計処理(S1)を実行する。設計された帳票フォーマットを帳票データDB140が登録する(S2)。このとき、当該帳票フォーマットには、印刷不要領域情報が関連づけられて登録される。
【0051】
帳票印刷サーバ130にて印刷ジョブが起動すると、帳票印刷サーバ130が帳票データ生成処理(S3)を、DFEサーバ160が画像データ生成処理(S4)を、プリンタエンジン170が印刷処理(S5)を実行する。
【0052】
印刷不要領域情報は、帳票データ生成処理(S3)で帳票データDB140から取得されてDFEサーバ160へ送付される。DFEサーバ160は、印刷不要領域情報に基づいて生成した画像データから印刷不要領域を削除して、圧縮した画像データを作成する。その結果、印刷不要な意味のないデータがDFEサーバ160とプリンタエンジン170の間の物理インターフェース180を経由しない。したがって、物理インターフェース180において、十分な転送効率が得られる。
【0053】
圧縮した画像データのみでは所望の帳票印刷がなされないので、DFEサーバ160は、プリンタエンジン170に印刷不要領域情報も送信する。なおかつ、プリンタエンジン170では、受信した印刷不要領域情報に基づいて、圧縮した画像データをメモリバッファに格納する際に、印刷不要領域をメモリ空間上スキップする処理を行う。その結果、プリンタエンジン170の画像形成手段173が印刷処理を実行すると所望の帳票印刷が得られる。
【0054】
図9に、DFEサーバ160の処理の流れを示す。
帳票データ受信手段161は、帳票印刷サーバ130より帳票データ及び印刷不要領域情報を受信する(S101)。この受信処理の時、帳票データ受信手段161は、受信した帳票データを画像データ生成手段162に入力し、印刷不要領域情報を画像データ圧縮手段163に入力する。
【0055】
次に、画像データ生成手段162は、帳票印刷サーバ130から送付された帳票データをRIP展開し、ページ毎の画像データを生成する(S102)。
【0056】
次に、画像データ圧縮手段163は、画像データ生成手段162が生成した画像データから印刷不要領域情報に該当する画像データを除く(S103)。
次に、画像データ圧縮手段163は、圧縮後の画像データをデータ転送用物理インターフェース180を経由してプリンタエンジン170に送付する(S104)。この送信処理の時、画像データ圧縮手段163は、印刷不要領域情報をプリンタエンジン170に送付する。
【0057】
図10に、プリンタエンジン170の処理の流れを示す。
図10の各処理の主体は、メモリ制御手段172である。
メモリ制御手段172は、プリンタエンジン170立ち上げの際に、メモリバッファ171を0クリアする(S201)。
【0058】
DFEサーバ160から画像データを受信してメモリライトが始まる(S202)と、メモリ制御手段172は、受信した印刷不要領域情報に基づいて、1アドレス毎に印刷不要領域であるか否か確認して(S203)、印刷不要領域に該当した場合はスキップする(S204)。この処理をメモリライトが終了するまで実行する(S205)。
【0059】
1ページ分のメモリライトが終了し、画像形成手段173によりメモリリードが行われると(S206)、メモリ制御手段172は、メモリバッファ171を0クリアする(S207)。
【0060】
プリンタエンジン170は、このような処理を行うために、S104にてスキップしたアドレスのデータが常に“0”に保たれる。したがって、印刷不要領域に誤った内容が印刷されることがない。
【0061】
上述した本実施形態によれば、デジタルフロントエンドサーバに印刷するページのページデータとともに印刷不要領域情報が入力される。印刷不要領域情報には印刷不要領域の位置を特定する情報が含まれているため、画像データ圧縮の際この情報を用いて、前記ページデータより生成された画像データから印刷不要領域の画像データを削除する。したがって、削除された分だけデジタルフロントエンドサーバから転送する画像データの量が低減される。また、印刷するページごとに印刷不要領域を検出するのではなく予め指定されている印刷不要領域情報を用いる。したがって、画像データ量低減の効率がよい。
【符号の説明】
【0062】
1 プリントシステム
110 帳票設計PC
113 印刷不要領域指定手段
130 帳票印刷サーバ
131 印刷ジョブ入力手段
132 帳票フォーマット取得手段
133 帳票データ作成手段
140 帳票データDB
150 請求データDB
160 DFEサーバ
161 帳票データ受信手段
162 画像データ生成手段
163 画像データ圧縮手段
170 プリンタサーバ
171 メモリバッファ
172 メモリ制御手段
173 画像形成手段
210 請求書フォーマット
500 印刷不要領域情報
510、550 矩形領域
520 開始座標
530 終了座標
540 ページ情報
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開昭61−156966号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷するページのページデータ、及び、前記ページ内の印刷不要領域の位置を特定する情報を含む印刷不要領域情報を受信する受信手段と、
前記ページデータに基づいて印刷のための画像データを生成する画像データ生成手段と、
生成された画像データから前記印刷不要領域情報に基づいて前記印刷不要領域の画像データを削除して、前記生成された画像データを圧縮し、圧縮した画像データを送信する画像データ圧縮手段と、を有することを特徴とする、デジタルフロントエンドサーバ。
【請求項2】
印刷するページのページデータ、及び、前記ページ内の印刷不要領域の位置を特定する情報を含む印刷不要領域情報を受信する受信工程と、
前記ページデータに基づいて印刷のための画像データを生成する画像データ生成工程と、
生成された画像データから前記印刷不要領域情報に基づいて前記印刷不要領域の画像データを削除して、前記生成された画像データを圧縮する画像データ圧縮行程と、
圧縮した画像データを送信する送信工程と、を含むことを特徴とする、デジタルフロントエンドサーバの制御方法。
【請求項3】
メモリバッファと、
印刷するページ内の印刷不要領域の位置を特定する情報を含む印刷不要領域情報、及び、前記ページのページデータに基づいて生成された印刷のための画像データから前記印刷不要領域情報に基づいて前記印刷不要領域の画像データを削除する圧縮を行った圧縮した画像データを受信して、前記メモリバッファに前記圧縮した画像データを展開して格納するメモリ制御手段と、
前記メモリバッファに格納された展開後の画像データに基づいて画像形成を行う画像形成手段と、を有し、
前記メモリ制御手段は、前記圧縮した画像データを前記メモリバッファに格納する際に、受信した前記印刷不要領域情報に基づいて位置が特定される印刷不要領域をメモリ空間上スキップする制御を行い、前記画像データの圧縮を展開することを特徴とする、画像形成装置。
【請求項4】
デジタルフロントエンドサーバと画像形成装置を有するプリントシステムであって、
前記デジタルフロントエンドサーバは、
印刷するページのページデータ、及び、前記ページ内の印刷不要領域の位置を特定する情報を含む印刷不要領域情報を受信する受信手段と、
前記ページデータに基づいて印刷のための画像データを生成する画像データ生成手段と、
生成された画像データから前記印刷不要領域情報に基づいて前記印刷不要領域の画像データを削除して、前記生成された画像データを圧縮し、圧縮した画像データ及び前記印刷不要領域情報を送信する画像データ圧縮手段と、を有し、
前記画像形成装置は、
メモリバッファと、
前記圧縮した画像データを前記メモリバッファに格納する際に、受信した前記印刷不要領域情報に基づいて位置が特定される印刷不要領域をメモリ空間上スキップする制御を行い、前記画像データの圧縮を展開するメモリ制御手段と、
前記メモリバッファに格納された展開後の画像データに基づいて画像形成を行う画像形成手段と、を有することを特徴とする、プリントシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−239351(P2011−239351A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111410(P2010−111410)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】