説明

デジタル信号処理基板

【課題】デジタルノイズ対策により小型薄型化と低価格化が困難という課題を解決し、デジタルノイズ低減により小型薄型化と低価格化を実現するデジタル信号処理基板を提供することを目的とする。
【解決手段】LSI16と、これに電力を供給する電源入力ライン18と、電源入力ライン18とアース間に接続されたデカップリングコンデンサを有し、このデカップリングコンデンサとして、ESRが25mΩ(100kHz)以下、ESLが800pH(500MHz)以下の面実装型の固体電解コンデンサ19を用い、この固体電解コンデンサ19のアースをLSI16のアースと同一面に接続した構成により、デジタルノイズの発生を大きく低減し、小型薄型化と低価格化を同時に実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種電子機器に使用されるデジタル信号処理基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、家電製品のデジタル化が急速に進み、特に、音響・映像分野においてはこの傾向が顕著に現れている。このようなデジタル家電を支える技術の一つに、アナログ信号をデジタル信号に変換して圧縮処理するデジタル信号処理技術があり、この技術を用いて大量の信号を高速処理するようにしているものである。
【0003】
図9はこの種の従来のデジタル信号処理基板の基本的な構成を示した回路図であり、図9において、25はLSI、26は電源、27はこの電源26とLSI25を繋ぐ電源入力ライン、28はこの電源入力ライン27とアース間に接続されたデカップリングコンデンサとしての固体電解コンデンサ、29は電源入力ライン27に接続されたDC/DCコンバータ、30と31はこのDC/DCコンバータ29の入力側と出力側の各電源入力ライン27とアース間に接続された平滑コンデンサ、32は後述するノイズ除去用のコンデンサである。
【0004】
このように構成された従来のデジタル信号処理基板は、LSI25が使用される機器の高速処理化に伴い、LSI25の動作周波数であるクロックも高速化されている。LSI25を高速化すると消費電力が増えるため、消費電力を抑え、発熱を最小にするように電源26の電圧を下げて低電圧駆動することが多い。
【0005】
従って、低電圧駆動されるLSI25は負荷の変動に影響を受け易く、このために、負荷の変動によりLSI25に急峻な電力消費が発生した時に、固体電解コンデンサ28からLSI25に電流を供給し、LSI25への給電電圧を安定に保つことができるように構成されたものであった。
【0006】
なお、上記固体電解コンデンサ28のESRの値をR、ESLの値をL、固体電解コンデンサ28からLSI25への給電電流をiとすれば、固体電解コンデンサ28の内部で、
V=R×i+L×di/dt
で示されるVだけ電圧降下が生じる。即ち、ESR、ESLが大きくなると、LSI25への給電電圧を十分に保証することはできないというものであった。
【0007】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2003−133177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら上記従来のデジタル信号処理基板では、大量の信号を圧縮して高速処理するために図10の周波数特性図に示すようにデジタルノイズが発生し、特にデジタルテレビ用においてはこのデジタルノイズが映像の乱れとなって顕著に現れるため、このデジタルノイズ低減のために、図9の回路図に示すようにLSI25とアース間に大量のノイズ除去用のコンデンサ32(一般に、積層セラミックコンデンサが用いられている)を接続しなければならず、しかも、このデジタルノイズ低減のためのコンデンサ32は1つのLSI25に対して30個以上のコンデンサ32を使用しなければならないため、この大量のコンデンサ32をLSI25が実装されている基板の近傍に実装しなければならず、結果的にデジタル信号処理基板を多層化して大型化しなければならないことからコストアップが避けられないという課題があった。
【0009】
また、上記デジタルノイズはデジタル信号処理基板を完成してからでないと評価できないことから、デジタルノイズ低減のためのコンデンサ32の選定はカットアンドトライで行うことしかできないため、対策の時間が読めないばかりでなく、開発日程やコストに大きな負担を掛けてしまうという問題もあった。
【0010】
さらに、上記デカップリングコンデンサとして用いられる固体電解コンデンサ28のESR、ESL特性では、低電圧駆動されるLSI25の急峻な電力消費に対してLSI25を駆動させるために必要な給電電圧を保証することには自ずと限界があり、固体電解コンデンサ28の更なる低ESR化、低ESL化が必要であるという課題があった。
【0011】
本発明はこのような従来の課題を解決し、デジタルノイズの発生を未然に防止することによって小型薄型化と低価格化を図り、かつ、低電圧駆動されるLSIの急峻な電力消費に対しても十分な給電電圧を保証することができるデジタル信号処理基板を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために本発明は、クロック動作用の素子が接続されたLSIと、このLSIに電力を供給する電源入力ラインと、この電源入力ラインとアース間に接続されたデカップリングコンデンサとを少なくとも有したデジタル信号処理基板において、上記デカップリングコンデンサとして、ESRが25mΩ(100kHz)以下、ESLが800pH(500MHz)以下の面実装型の固体電解コンデンサを用い、この固体電解コンデンサのアースを上記LSIのアースと同一面上のアースに接続した構成のものである。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本発明によるデジタル信号処理基板は、低ESR、低ESLの固体電解コンデンサをデカップリングコンデンサとして用い、かつ、この固体電解コンデンサのアースをLSIのアースと同一面上のアースに接続した構成により、デジタルノイズの発生を大きく低減することができるため、従来のようにデジタルノイズ低減のためのコンデンサを大量に接続する必要がなくなり、小型薄型化と低価格化を同時に実現することができるようになるという効果が得られるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1、2に記載の発明について説明する。
【0015】
図1は本発明の実施の形態1によるデジタル信号処理基板の構成を示した回路図、図2
(a)、(b)は同回路が形成された多層基板の要部断面図であり、図1と図2において、16はLSI、17は電源、18(図2におけるVcc)はこの電源17とLSI16を繋ぐ電源入力ライン、19はこの電源入力ライン18とアース間に接続されたデカップリングコンデンサとしての固体電解コンデンサであり、この固体電解コンデンサ19のアースは上記LSI16のアースが接続された面(図2(a)におけるG1)と同一面に接続することにより、最短距離で同一のアースに接続して不要なインピーダンスの発生を抑制するようにしているものである。
【0016】
20は上記デカップリングコンデンサとしての固体電解コンデンサ19の入力側の電源入力ライン18に接続されたDC/DCコンバータ、21と22はこのDC/DCコンバータ20の入力側と出力側の各電源入力ライン18とアース間に夫々接続された入力コンデンサと出力平滑コンデンサであり、この入力コンデンサ21のアースは上記DC/DCコンバータ20のアースが接続された面(図2(b)におけるG1)と同一面に接続することにより、最短距離で同一のアースに接続して不要なインピーダンスの発生を抑制するようにしているものである。23はノイズ除去用のコンデンサである。
【0017】
また、上記デカップリングコンデンサとしての固体電解コンデンサ19と出力平滑コンデンサ22は、導電性高分子を固体電解質として用いた面実装型の固体電解コンデンサを使用し、その特性は、ESRが25mΩ(100kHz)以下、かつ、ESLが800pH(500MHz)以下で、定格6.3V47μFのものを用いているものである。
【0018】
このように、低ESRかつ低ESLの固体電解コンデンサ19、22を用い、かつ、固体電解コンデンサ19のアースをLSI16のアースと同一面に、また入力コンデンサ21のアースをDC/DCコンバータ20のアースと同一面に接続した構成により、LSI16を駆動させるために必要な供給電圧を十分に保証することができるばかりでなく、電源入力ライン18を伝達するLSI16を同期させるために必要なクロックにより発生する高周波輻射ノイズおよびDC/DCコンバータ20を構成するスイッチング素子から発生するスイッチングノイズを固体電解コンデンサ19、22、入力コンデンサ21を介して基板のアース層に効率良く引き込むことができるようになるため、電源入力ライン18を伝達する高周波輻射ノイズおよびスイッチングノイズを電源入力ライン18から大きく低減することができるようになるものである。
【0019】
図3は本実施の形態によるデジタル信号処理基板のデジタルノイズを示した周波数特性図であり、上記背景技術の項で説明した図10に示す周波数特性図と比較すると明確なように、デジタルノイズを大きく低減することが可能になるばかりでなく、LSI16とアース間に接続するノイズ除去用のコンデンサ23の数量を1/2〜1/3程度にまで削減することができるようになるものである。
【0020】
以上のように、本実施の形態によるデジタル信号処理基板は、低ESRかつ低ESLの固体電解コンデンサをデカップリングコンデンサ、出力平滑コンデンサとして用いることにより、デジタルノイズを大きく低減することができるばかりでなく、デジタルノイズ除去用のコンデンサを大幅に削減して小型薄型化と低価格化に大きく貢献することができるようになるものである。
【0021】
また、図4はデカップリングコンデンサとしての固体電解コンデンサ19のアースをLSI16のアースと同一面に接続しない場合の例を示したものであり、LSI16のアースはG1で示すアース層に、固体電解コンデンサ19のアースはG2で示すアース層に接続したものであるが、このように異なるアース層に接続した場合には、回路長が長くなってインピーダンスが高くなり、上記デジタルノイズを低減する効果が減少するために好ましくないものである。
【0022】
なお、本実施の形態においては、デカップリングコンデンサとしての固体電解コンデンサ19と出力平滑コンデンサ22のみに低ESRかつ低ESLの固体電解コンデンサを用いた構成で説明したが、入力コンデンサ21にも同様の低ESRかつ低ESLの固体電解コンデンサを用いても構わないものである。
【0023】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2を用いて、本発明の特に請求項3、4に記載の発明について説明する。
【0024】
図5(a)〜(d)は本発明の実施の形態2によるデジタル信号処理基板に使用される固体電解コンデンサの構成を示した平面断面図と正面断面図と底面断面図と側面断面図、図6は同固体電解コンデンサに使用されるコンデンサ素子の構成を示した一部切り欠き斜視図、図7は同固体電解コンデンサに使用される陽極コム端子と陰極コム端子の構成を示した要部斜視図、図8(a)〜(c)は図7における断面A−A、断面B−B、断面C−Cを夫々示したものである。
【0025】
図5〜図8において、1はコンデンサ素子を示し、このコンデンサ素子1は弁作用金属であるアルミニウム箔からなる陽極体2の表面を粗面化して陽極酸化皮膜層を形成した後に絶縁性のレジスト部3を設けることによって陽極部4と陰極形成部5に分離し、この陰極形成部5の表面に固体電解質層6、カーボンと銀ペーストからなる陰極層7を順次積層形成することにより陰極部を形成して構成されたものである。
【0026】
8は陽極コムフレームであり、この陽極コムフレーム8上に上記コンデンサ素子1を複数枚(本実施の形態においては5枚)積層した状態で陽極部4を載置し、両端のガイド部8aを折り曲げて陽極部4を包み込み、接合部8bでレーザー溶接を行うことによって一体に接合しているものである。
【0027】
9は陰極コムフレームであり、この陰極コムフレーム9上に上記コンデンサ素子1を複数枚積層した状態で図示しない導電性接着剤を介して陰極部を載置し、両端のガイド部9aならびに終端のガイド部9bにより位置決め固定をして一体に接合しているものであり、このようにコンデンサ素子1を複数枚積層して陽極コムフレーム8ならびに陰極コムフレーム9により一体化したものを、以下コンデンサ素子ユニットと呼ぶ。
【0028】
10は陽極コム端子であり、この陽極コム端子10は後述する陰極コム端子11とを結ぶ方向と交差する方向の両端に、実装面となる下面から斜め上方に延びるように設けられたテーパ部10eを介して上記陽極コムフレーム8と接合される平面状の接合面10aが階段状の段差を形成するように設けられ(図8(a))、また陰極コム端子11の方向に向かって実装面となる下面から斜め上方に延びるように設けられたテーパ部10fを介して平面部10gが形成された遮蔽部10bが階段状の段差を形成するように設けられており(図8(c))、これらは1枚の基材を打ち抜いて折り曲げることにより一体に形成されており、上記接合面10a上に上記コンデンサ素子ユニットの陽極コムフレーム8を載置し、接合部10cでレーザー溶接を行うことによって接合したものである。また、10dは陽極コム端子10の下面の一端を上面視、後述する外装樹脂12から突出するように延長した突出部であり、この突出部10dは外装樹脂12の側面に沿って上方へ折り曲げられているものである。
【0029】
11は陰極コム端子であり、この陰極コム端子11は実装面となる下面が上記コンデンサ素子1の陰極部と略同形状に形成されることにより、上記陽極コム端子10に可能な限り接近するように構成され、かつ、上記陽極コム端子10とを結ぶ方向と交差する方向の両端の一部に、実装面となる下面から斜め上方に延びるように設けられたテーパ部11fを介して上記陰極コムフレーム9と接合される平面状の接合面11aが階段状の段差を形成するように設けられ(図8(b))、また陽極コム端子10の方向に向かって実装面となる下面から斜め上方へ延びるように設けられたテーパ部11gを介して平面部11hが形成された遮蔽部11bが階段状の段差を形成するように設けられており、これらは1枚の基材を打ち抜いて折り曲げることにより一体に形成されており、上記接合面11a上に上記コンデンサ素子ユニットの陰極コムフレーム9を載置し、接合部11cでレーザー溶接を行うことにより接合したものである。また、11dと11eは陰極コム端子11の下面の一端を上面視、後述する外装樹脂12から突出するように延長した突出部であり、この突出部11dと11eは外装樹脂12の側面に沿って上方へ折り曲げられているものである。
【0030】
12は上記陽極コム端子10と陰極コム端子11の実装面となる下面を露呈させた状態で上記コンデンサ素子ユニットを一体に被覆した絶縁性の外装樹脂であり、本実施の形態ではエポキシ樹脂を用いたものである。
【0031】
13は陰極コム端子11に設けた接合面11aに接合されたコンデンサ素子ユニットの陰極コムフレーム9と陰極コム端子11の間に形成された空隙部に介在させた導電性銀ペーストであり、両者の接続の信頼性を高めると共に接続抵抗の低減を図ることを目的としたものである。
【0032】
また、このように構成された陽極コム端子10と陰極コム端子11は、銅合金からなるフープ状の基材に所定の間隔で複数が連続して設けられ、このような陽極コム端子10と陰極コム端子11上にコンデンサ素子ユニットを搭載して接合し、外層樹脂12で一体に被覆した後に基材から分断して個片にするものである。
【0033】
なお、上記陽極コム端子10に設けたテーパ部10eと接合面10a、テーパ部10fと平面部10gからなる遮蔽部10b、ならびに陰極コム端子11に設けたテーパ部11fと接合面11a、テーパ部11gと平面部11hからなる遮蔽部11bは上記外装樹脂12に被覆されて、外観には露呈しないように構成されているものであり、このようにテーパ部を介して階段状に平面部を設ける構成にすることにより、各コム端子の実装面となる下面との境界部にRが形成され難くなるために、各コム端子の実装面となる下面に外装樹脂12が回り込むのを防止することができるようになるものである。
【0034】
このように構成された本実施の形態による固体電解コンデンサは、略平板状の陽極コム端子10と陰極コム端子11によりコンデンサ素子1の陽極部4と陰極部の外部取り出しを行うようにしたことにより、コンデンサ素子1から各端子までの引き出し距離を可能な限り短くし、さらに、陰極コム端子11の下面を陽極コム端子10の下面に可能な限り近づけて陽極コム端子10と陰極コム端子11間のパスを最短距離にした構成としたことにより、ESR特性に優れ、かつ低ESL化を実現することができるようになるものであり、特にESL特性に関しては、本実施の形態による固体電解コンデンサは500pHと低く、従来例の1500pHと比べると1/3となる好結果を得ることができるものである。
【0035】
また、陽極コム端子10と陰極コム端子11に接合面10a、11aを夫々設け、この接合面10a、11aで陽極コムフレーム8ならびに陰極コムフレーム9を夫々レーザー溶接により接合し、かつ、この接合面10a、11aを夫々外装樹脂12で被覆した構成により、接合による溶接痕が外装樹脂12により被覆されてしまうために外観が綺麗になるばかりでなく、溶接痕により実装時に浮きが発生して実装不良を引き起こすという恐れが皆無になり、信頼性の向上に大きく貢献することができるものである。
【0036】
また、陽極コム端子10ならびに陰極コム端子11の下面端面から相手側のコム端子方向に向かって斜め上方へ延びる遮蔽部10b、11bを陽極コム端子10ならびに陰極コム端子11に夫々設け、かつ、この遮蔽部10b、11bを夫々外装樹脂12で被覆した構成により、外装樹脂12から浸入する酸素に含まれる水分がコンデンサ素子1に到達して悪影響を及ぼすことを大きく低減することができるようになり、信頼性の向上に貢献することができるようになるものである。
【0037】
なお、本実施の形態においては、コンデンサ素子1を構成する陽極体2はアルミニウム箔からなる構成を例にして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、タンタルやニオブの箔、あるいは焼結体、更にはこれらの材料の組み合わせでも良いものである。
【0038】
また、このように構成された本実施の形態による固体電解コンデンサについて、以下にその特性等について説明する。
【0039】
本実施の形態で作製した固体電解コンデンサを用いて、等価直列抵抗値(ESR)を変化させ、静電容量、損失角の正接、等価直列インダクタンス(ESL)、漏れ電流(10V印加、2分値)の初期特性を測定した結果を(表1)に示す。なお、固体電解コンデンサとしては、定格6.3V47μFのものを用いた。
【0040】
【表1】

【0041】
(表1)から明らかなように、ESRを25mΩ以下にすることにより、デジタルノイズを除去するコンデンサ23を効率的に削減できることが分かる。
【0042】
また、本実施の形態で作製した固体電解コンデンサを用いて、陽極コム端子と陰極コム端子間の距離(図3において符号Lで示す部分)を変化させ、静電容量、損失角の正接、等価直列抵抗値(ESR)、等価直列インダクタンス(ESL)、漏れ電流(10V印加、2分値)の初期特性を測定した結果を(表2)に示す。
【0043】
【表2】

【0044】
(表2)から明らかなように、陽極コム端子と陰極コム端子間の距離を短くすることによりESLの値が低くなり、両端子間の距離を2mm以下にすることによってESLが800pH以下になり、これにより上記(表1)と同様にデジタルノイズを除去するコンデンサ23を効率的に削減することができるものである。
【0045】
以上のように、デカップリングコンデンサおよび出力平滑コンデンサに本発明の固体電解コンデンサを用いることにより、デジタルノイズの発生を大きく低減することができるため、従来のデジタルノイズ除去用のコンデンサを削減して小型薄型化と低価格化を同時に実現することができるようになるものである。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明によるデジタル信号処理基板は、デジタルノイズを大きく低減することができるばかりでなく、デジタルノイズ除去用のコンデンサを大幅に削減して小型薄型化と低価格化に大きく貢献することができるという効果を有し、デジタル信号処理を行う家電製品全てに、特にテレビ用として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態1によるデジタル信号処理基板の構成を示した回路図
【図2】(a)、(b)同回路が形成された多層基板の要部断面図
【図3】同デジタル信号処理基板のデジタルノイズ特性を示した周波数特性図
【図4】同アースを同一面に接続しない場合の例を示した要部断面図
【図5】(a)本発明の実施の形態2によるデジタル信号処理基板に使用される固体電解コンデンサの構成を示した平面断面図、(b)同正面断面図、(c)同底面断面図、(d)同側面断面図
【図6】同固体電解コンデンサに使用されるコンデンサ素子の構成を示した一部切り欠き斜視図
【図7】同固体電解コンデンサに使用される陽極コム端子と陰極コム端子の構成を示した要部斜視図
【図8】(a)図7におけるA−A断面図、(b)同B−B断面図、(c)同C−C断面図
【図9】従来のデジタル信号処理基板の構成を示した回路図
【図10】従来のデジタル信号処理基板のデジタルノイズ特性を示した周波数特性図
【符号の説明】
【0048】
1 コンデンサ素子
2 陽極体
3 レジスト部
4 陽極部
5 陰極形成部
6 固体電解質層
7 陰極層
8 陽極コムフレーム
8a、9a、9b ガイド部
8b、10c、11c 接合部
9 陰極コムフレーム
10 陽極コム端子
10a、11a 接合面
10b、11b 遮蔽部
10d、11d、11e 突出部
10e、10f、11f、11g テーパ部
10g、11h 平面部
11 陰極コム端子
12 外装樹脂
13 導電性銀ペースト
16 LSI
17 電源
18 電源入力ライン
19 固体電解コンデンサ
20 DC/DCコンバータ
21 入力コンデンサ
22 出力平滑コンデンサ
23 ノイズ除去用のコンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロック動作用の素子が接続されたLSIと、このLSIに電力を供給する電源入力ラインと、この電源入力ラインとアース間に接続されたデカップリングコンデンサとを少なくとも有したデジタル信号処理基板において、上記デカップリングコンデンサとして、ESRが25mΩ(100kHz)以下、ESLが800pH(500MHz)以下の面実装型の固体電解コンデンサを用い、この固体電解コンデンサのアースを上記LSIのアースが接続された面と同一面に接続したデジタル信号処理基板。
【請求項2】
クロック動作用の素子が接続されたDC/DCコンバータをデカップリングコンデンサの入力側の電源入力ラインに接続すると共に、このDC/DCコンバータの入力側と出力側の各電源入力ラインとアース間に入力コンデンサと出力平滑コンデンサを夫々接続し、この出力平滑コンデンサとして、ESRが25mΩ(100kHz)以下、ESLが800pH(500MHz)以下の面実装型の固体電解コンデンサを用いると共に、上記入力コンデンサのアースをDC/DCコンバータのアースが接続された面と同一面に接続した請求項1に記載のデジタル信号処理基板。
【請求項3】
デカップリングコンデンサならびに出力平滑コンデンサとして用いる面実装型の固体電解コンデンサが、導電性高分子を固体電解質に用いたコンデンサ素子と、このコンデンサ素子の陽極部ならびに陰極部に夫々接合された陽極コム端子ならびに陰極コム端子と、この陽極コム端子ならびに陰極コム端子の実装面となる下面が夫々露呈した状態で上記コンデンサ素子を被覆した絶縁性の外装樹脂からなり、上記下面に露呈した陽極コム端子と陰極コム端子間の距離を2mm以下としたものである請求項1または2に記載のデジタル信号処理基板。
【請求項4】
コンデンサ素子を複数枚積層して陽極部と陰極部に夫々陽極コムフレームと陰極コムフレームを接合してコンデンサ素子ユニットを形成し、このコンデンサ素子ユニットの陽極コムフレームと陰極コムフレームを夫々陽極コム端子と陰極コム端子上に接合した構成の固体電解コンデンサとし、かつ、上記陽極コム端子と陰極コム端子を結ぶ方向と交差する方向の陽極コム端子と陰極コム端子の両端の少なくとも一部に夫々上方へ向かう階段状の段差を形成して陽極コムフレームと陰極コムフレームに接合される平面状の接合面を設け、さらに、陰極コム端子の下面をコンデンサ素子の陰極部と略同形状に形成し、陽極コム端子ならびに陰極コム端子の下面端部から夫々相手側のコム端子に向かって斜め上方へ延びる遮蔽部を陽極コム端子と陰極コム端子に一体で設け、上記接合面ならびに遮蔽部が外装樹脂に被覆されるようにした請求項3に記載のデジタル信号処理基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−123309(P2007−123309A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−309361(P2005−309361)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】