説明

デジタル光プロジェクションシステムにおけるレインボーアーチファクトの低減

【課題】知覚できるビジュアルアーチファクト、特にレインボーアーチファクトを低減するDMD技術を使用した投影システムを提供する。
【解決手段】投影システムは、カラーホイールと少なくとも1つのデジタルマイクロミラー装置を含む。カラーホイールは、光源からの異なる色の光を生成する。それぞれの色は、予め決定されたカラーフェーズについてシーケンシャルな順序で生成される。デジタルマイクロミラー装置のそれぞれは、複数のマイクロミラーを有する。少なくとも1つの複数のマイクロミラーは、制御信号に応答して2つの連続するカラーフェーズのそれぞれの異なる部分でアクチベートされる。また、投影システムは、少なくとも1つのデジタルマイクロミラー装置から反射された光を投影表面に投影するために構成されるレンズを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクションシステム全般に関し、より詳細には、かかるシステムでビジュアルアーチファクトを低減することに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル光処理(登録商標)技術は、光源を操作する光周期回路の使用を示す。光半導体は、デジタルマイクロミラー装置(DMD)と呼ばれ、大型の投影システムに組み込むことができる。DMD技術を組み込んだ製品は、家庭用及び商業のシアターの使用を含めて様々な異なるアプリケーションについて製造される。
【0003】
DMDは、マイクロミラーと呼ばれる約1.3百万の顕微鏡ミラーの矩形のアレイを含む。それぞれのマイクロミラーは、極端に小さく、人間の髪の約5分の1に幅よりも狭い幅を測定する。それぞれのマイクロミラーは、ヒンジに搭載され、このヒンジにより、マイクロミラーは、ドライバ回路の制御下で光源に向かって傾斜するか、光源から離れるのを可能にする。光源に向かって傾斜したとき、光源からの光が反射するので、ミラーは「オン」ポジションにあると呼ばれる。光源から離れて傾斜するとき、光源からの光が反射しないので、ミラーがオフポジションにあると呼ばれる。
【0004】
ドライバ回路からDMDに供給される制御信号は、それぞれのマイクロミラーに指示して毎秒当たり数千回にまでオンとオフをスイッチさせる。マイクロミラーがオフよりも頻繁にオンにスイッチされるとき、マイクロミラーは、明るいグレイピクセルを反射する。逆に、オンよりも頻繁にオフにスイッチされるマイクロミラーは、暗いプレイピクセルを反射する。したがって、白色光を放出する光源がDMDとレンズを結合するとき、グレイスケール投影システムが形成される。
【0005】
カラープロジェクションシステムは、DMDと光源の間の光路にカラーホイールを挿入するか、又はDMDと投影レンズとの間の光路にカラーホイールを挿入することで構築することができる。カラーホイールのエッジにあるのは、赤、緑及び青色を生成する光フィルタである。光源から放出する白色光は、カラーホイールが回転するとき、これらのフィルタを通過する。結果的に得られるカラー光は、スクリーンでの表示のために投影レンズに入力する。
【0006】
カラーホイールの回転は、DMDに供給される制御信号で調整される。したがって、それぞれのマイクロミラーは、特定のレートでオン及びオフにスイッチされるか、選択された時間でスイッチされ、この選択された時間は、カラーホイールのどの光フィルタが所与の時間で光源をフィルタリングするために使用されているかに従って変化することができる。言い換えれば、それぞれのマイクロミラーのオン及びオフ状態は、カラーホイールの3色の光フィルタの回転で調整される。
【0007】
例示において、パープルピクセルを生成することが意図されるマイクロミラーは、赤及び青の光の反射を引き起こすためにオンにされる。すなわち、マイクロミラーは、赤及び青フィルタは光をフィルタリングするために使用されるときにオフよりも頻繁にオンにスイッチされる。赤及び青の反射された光は、同じ投影空間で迅速に連続して表示されたとき、パープルの特定の影として知覚される。このように、それぞれのマイクロミラーは、画像のカラーピクセルであると知覚されたものを投影することができる。説明したように、マイクロミラーのスイッチング、それぞれのマイクロミラーがオン又はオフにある時間の割合は、光源をフィルタリングするために使用されるカラーの光フィルタに従って調整される。人間の視覚系は、連続的なカラー画像を統合し、マルチカラー画像を見る。
【0008】
カラーホイールは、ホイールに入射する光と揃えられるフィルタのうちの特定の1つに対応して光の単一の色のみを通過させる。これは、赤、緑及び青の画像が投影表面に同時に起こらない状況を招く。連続するカラー画像間の時間遅延は、結果的に得られる画像において知覚できる視覚的なアーチファクトを生じさせる。視聴者の目が余りに迅速に動く場合、視聴者は個々の赤、緑、及び青の画像を知覚する場合がある。かかる点は、オブジェクトが白色であると想定されるときでさえ当てはまる。これは、レインボーアーチファクトとして知覚され、異なるカラー画像が単一のブレンドされた画像として知覚されないことを意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
知覚できるビジュアルアーチファクト、特にレインボーアーチファクトを低減するDMD技術を使用した投影システムを提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1態様は、プロジェクションシステムを含む。プロジェクションシステムは、光源からのカラー光を順次に生成する手段を含む。それぞれのカラー光は、予め決定されたカラーフェーズについて、又は期間について生成される。1以上のデジタルマイクロミラー装置は、カラー光生成手段及び光源の光路内に含まれる。それぞれのデジタルマイクロミラー装置は、複数のマイクロミラーを含む。少なくとも1つの複数のマイクロミラーは、2つの連続するカラーフェーズのそれぞれ内での異なるそれぞれの部分の間に開始する制御信号に応答してアクチベートされ、カラー光を順次に生成する手段からのカラー光の反射を引き起こす。また、投影システムは、1以上のデジタルマイクロミラー装置から反射されたカラー光を投影表面に投影させるために構成されるレンズを含む。
【0011】
1以上の複数のマイクロミラーは、少なくとも1つの複合のカラーピクセルを生成する。複合のカラーピクセルは、カラーホイールからの1を超えるカラーフィルタを使用して生成される色を有する画素である。同様に、複合のピクセル又は画像は、複合の色を含むピクチャ又は画像である。
【0012】
1実施の形態では、制御信号は、2つのカラーフェーズのうちの第一のカラーフェーズ内での中間部分又は終了部分で、1以上の複数のマイクロミラーをアクチベートすることができる。別の実施の形態では、制御信号は、2つのカラーフェーズのうちの第二のカラーフェーズ内での開始部分又は中間部分で、1以上の複数のマイクロミラーをアクチベートすることができる。特に、制御信号は、1以上の複数のマイクロミラーに、2つのカラーフェーズのうちの第一のカラーフェーズ内の中間部分から2つのカラーフェーズのうちの第二のカラーフェーズの少なくとも1部にオンのままにさせる。
【0013】
カラー光を順次に生成する手段は、青、緑、及び赤い光のフィルタを有するカラーホイールを含む。これに応じて、複数のマイクロミラーのうちの1以上は、順次に整序された青、緑及び赤の画像から1以上の複合画像を生成する。また、カラーホイールは、白色光を生成するためのクリアフィルタを含む。クリアフィルタを使用して生成される白色画像は、青色画像の後であって赤色画像の前に生成される。クリアフィルタを使用して生成される白色のカラーフェーズは、他のカラーフェーズよりも時間的に短い。
【0014】
本発明の別の態様は、光源から青、緑、白、及び赤の光を生成する手段を有する投影システムを含む。それぞれの色は、予め決定されたカラーフェーズについて順次的なオーダーで生成される。また、投影システムは、光の異なる色の反射を引き起こすための少なくとも1つのデジタルマイクロミラー装置、光の異なる色を投影表面に投影するために構成されるレンズを含む。特に、白色光のカラーフェーズは、他の色のカラーフェーズよりも短い。さらに、白色光のカラーフェーズは、青色及び赤色の光についてカラーフェーズの間に配置される。
【0015】
本発明の別の態様は、投影システム内の複合色を生成する手段を含む。本方法は、(a)それぞれ予め決定されたカラーフェーズについて、異なる光の色を順次に生成するステップ、及び(b)2つの連続するカラーフェーズのそれぞれの異なるそれぞれの部分で開始する少なくとも1つのマイクロミラーをアクチベートするステップを含む。それぞれのカラーフェーズは、異なる色に対応させることができ、これにより、複合のカラーピクチャの少なくとも1部を生成する。
【0016】
1実施の形態では、少なくとも1つのマイクロミラーをアクチベートするステップは、(c)2つの連続するカラーフェーズのうちの第一のカラーフェーズの中間部分で、第一のカラーにおける画像の少なくとも1部を生成するために少なくとも1つのマイクロミラーをアクチベートするステップを含む。特に、中間部分は、第一のカラーフェーズの中間又は終了のうちの少なくとも1つである。別の実施の形態では、アクチベートするステップは、(d)第二の色について次のカラーフェーズの近似的に開始部分で、第二の色における画像の一部を生成するために少なくとも1つのマイクロミラーをアクチベートするステップを含む。
【0017】
ステップ(b)は、マイクロミラーのうちの異なるミラーについて繰り返される。また、本方法は、青、緑、及び赤として順序付けされる構成要素となるカラー画像を生成することで複合画像を生成するステップを含む。白色画像は、光に対して特定の色相を与えないクリアフィルタを使用して生成される。白色画像は、青及び赤色画像の間で生成される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本明細書で開示される本発明の構成に係る、投影システムの1実施の形態を例示する概念図である。
【図2】本発明の別の実施の形態に従って構成されるカラーホイールを説明する概念図である。
【図3】投影システム内で複合色を生成する従来の方法を説明するシグナルフロー図である。
【図4】本発明の1実施の形態に係る複合色を生成する方法を説明するシグナルフロー図である。
【図5】図5A〜図5Eは本発明の他の実施の形態に係る、様々な複合色を生成する方法を説明するシグナルフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の好適な実施の形態は、添付図面を参照して、以下に更に詳細に記載される。
本発明は、本発明に関連するプロジェクションシステム及び方法に関する。本発明のアレンジメントによれば、たとえばレインボーアーチファクトといった目に見えるアーチファクトを低減することができるプロジェクションシステムが開示される。今日のプロジェクションシステムでは、連続で要素となるカラー画像を表示することで、マルチカラー画像が生成される。すなわち、緑の画像が表示され、赤の画像、次いで青の画像が表示される。連続して次々と表示されるとき、人間の視覚は、単一のマルチカラー画像を知覚する。
【0020】
要素となる画像間の時間量が増加されるとき、レインボーアーチファクトが見る人により知覚される。見る人は、マルチカラー画像を形成する個々の、又は要素となるカラー画像を視覚的に感知し始める。これは、たとえば食事によるか、又は頭を動かすことで単に引き起こされる振動から、見る人が焦点を瞬間的に失うときに悪化される可能性がある。
【0021】
本明細書で開示される本発明のアレンジメントによれば、レインボーアーチファクトを含むビジュアルアーチファクトは、それぞれの色の光度に依存する特定の順序でマルチカラー画像の要素の画像を表示することで低減することができる。また、マルチカラー画像を形成する、要素となるカラー画像又はその一部の間の時間は、低減されるか、及び/又は最小にすることができる。
【0022】
図1は、本明細書に開示される本発明のアレンジメントに係る投影システム100の1実施の形態を説明する概念図である。図示されるように、システム100は、光源105、カラーホイール110、デジタルマイクロミラー装置(DMD)115及び投影レンズ120を含む。光源105は、カラーホイール110に向けられる白色光のソースを提供する。1以上の制御プロセッサ(図示せず)は、制御信号を発生してDMD115に供給すること、カラーホイール110の回転をDMD115の動作と調整するために含まれる。
【0023】
1実施の形態によれば、カラーホイール110は、3つの異なる光フィルタを含む。カラーホイール110は、青色の光フィルタ125、緑色の光フィルタ130、及び赤色の光フィルタ135を含む。カラーホイール110は、それぞれのカラーフィルタ125−135がカラーフェーズと呼ばれる予め決定された期間について光源105にさらされるように回転する。カラーホイール110は、たとえば、矢印155により示される、時計回り方向で回転する。これに応じて、DMD115に通過されるカラー光のシーケンスは、青、緑、及び赤であり、カラーホイール110が回転し続けるときに繰り返す。しかし、カラーホイール110は、反時計回り方向で回転することができることを理解されたい。そのケースでは、カラーフィルタ125〜135は、カラーシーケンスが青、緑、赤であるように構成される。
【0024】
また、他のカラーシーケンスも使用することができる。青、緑及び赤がシーケンスを形成する実施の形態を参照して、高品質のピクチャを保持することができる。緑色は、青及び赤の両者よりも高い光度を有する。赤及び青のような低い光度の色の間に緑のような高い光度の色を配置することで、ビジュアルアーチファクトを低減することができ、これにより高品質のピクチャにつながる。
【0025】
本発明は、カラーホイールを参照して大部分で記載されるが、異なる色の光を発生する他のメカニズムを使用できることを理解されたい。したがって、本発明は、カラーホイールの使用のみに限定されるべきではない。むしろ、本明細書で記載されるような順次に順序付けされるカラー光を発生可能なメカニズムを使用することができる。さらに、例示的な実施の形態は光源105とDMD115との間の光経路にあるとしてカラーホイール110を示しているが、カラーホイールは、DMDと投影レンズ150の間に光経路にある。
【0026】
知られているようにDMD115は、マイクロミラーアレイ140を含む。マイクロミラーアレイは、約1.3百万のマイクロミラーを含み、それぞれがヒンジで取り付けられたメカニズムに搭載される。それぞれのマイクロミラーは、光源105に向かって、又は光源105から離れて、ヒンジで取り付けられたメカニズムを使用して傾斜することができる。光源105に向かって傾斜されたとき、マイクロミラーは、「オン」又は「アクチベート」状態にあると呼ばれる。光源105から離れて傾斜されたとき、マイクロミラーは、「オフ」又は「デアクチベート」状態にあると呼ばれる。
【0027】
投影レンズ120は、マイクロミラーアレイ140から反射された光を受ける。この光は、一連のカラー画像を形成するものであり、投影表面150に投影される、知覚されるマルチカラー画像145が得られる。
【0028】
動作において、カラーフェーズと呼ばれる予め決定された期間について、光源105から光のビーム160がそれぞれのカラー光フィルタ125−135を通過するように、カラーホイール110は、幾つかの固定された回転速度で回転するようにされる。カラーホイール110から放出されるカラー光165は、DMD115のマイクロミラーアレイ140に続く。
【0029】
制御信号は、マイクロミラーアレイ140の個々のマイクロミラーを制御するため、DMD115に供給される。マイクロミラーは、連続するカラーフェーズの間にアクチベート及びデアクチベートされ、それぞれのカラーフェーズは、特定の色に対応する。すなわち、青のカラーフェーズの間、青の光がマイクロミラーアレイ140に入射する間に、1以上の選択されたマイクロミラーがアクチベートされる。これにより、レンズ120に送出されている青画像170が得られる。緑のカラーフェーズの間、緑の光がマイクロミラーアレイ140に入射するとき、別のグルーピングの1以上の選択されたマイクロミラーをアクチベートされ、これにより緑の画像175が生成される。同じことが、赤の光がマイクロミラーアレイ140に入射するカラーフェーズの間に実行され、これにより赤の画像180が生成される。
【0030】
それぞれのカラーフェーズの間、それぞれ個々のマイクロミラーは、そのカラーフェーズ内で反射されている色の強度に対応する時間量についてアクチベートされる。述べたように、それぞれのマイクロミラーは、結果的に得られた画像145と同様に、カラー画像170,175及び/又は180内の個々の画素に対応する。したがって、青色の画像170は、変動する時間についてアクチベートされる個々のマイクロミラーに対応する、異なる青の階調の画素を有する。緑の画像175は、変動する緑の階調を有し、赤の画像180は、変動する赤の階調を有する。連続するカラー画像170〜180の表示により、ディスプレイスクリーン150に表示されるマルチカラー画像145が得られる。
【0031】
従来のディスプレイシステムは、マイクロミラーディスプレイの個々のマイクロミラーをアクチベートすることで動作する。すなわち、DMD115がそれぞれのカラーフェーズの開始で個々のマイクロミラーをアクチベートし始めるように、制御信号は、カラーホイール110の回転と同期される。たとえば、青と緑から形成されるシアンの色を生成するため、青の画像が生成され、続いて緑の画像が生成される必要がある。このように、青のカラーフェーズの開始で、従来の投影システムは、青のカラーフェーズの開始で青の画像を生成するために必要なマイクロミラーをアクチベートする。個々のマイクロミラーは、それぞれのマイクロミラーが対応するそれぞれの画素の光度に従って青のカラーフェーズの間にデアクチベートされる。
【0032】
緑のカラーフェーズの開始で、緑の画像を生成することが必要とされる選択されたマイクロミラーがアクチベートされる。個々のマイクロミラーは、それぞれのマイクロミラーが対応する画素の強度に従って、緑のカラーフェーズの間にデアクチベートされる。結果的に得られる画像は、それぞれの青及び緑の画像又はそれらの一部の強度に依存した階調を有するシアン画像である。結果的に得られる画像は、画像がカラーホイール110の2以上のカラーフィルタを使用して生成される色を含む点で、複合画像と呼ばれる。特に、上述された例は、ピクセルレベルに適用可能であり、連続した青のカラーフェーズと緑のカラーフェーズの開始で同じマイクロミラーがアクチベートされる。何れのケースにおいても、本実施の形態で記載されるサイクルは、一連の複合画像を生成して動きをレンダリングするため、必要に応じて繰り返されることを理解されたい。
【0033】
図2は、本発明の別の実施の形態に従って構成されるカラーホイール200を説明する概念図である。カラーホイール200は、4つの光フィルタを含む。青の光フィルタ205、緑の光フィルタ210及び赤の光フィルタ215に加えて、クリアフィルタ220が含まれている。クリアフィルタ220により、光源の白色光は自由に通過することができる。1実施の形態では、クリアフィルタ220は、緑の光フィルタ210と赤の光フィルタ215との間に図示されるように位置される。別の実施の形態では、クリアフィルタ220は、青の光フィルタ205と緑の光フィルタ210の間に位置することができる。
【0034】
クリアフィルタ220の導入は、他の色のカラーフェーズの長さを低減する。このため、完全に飽和された色を投影するために利用可能な明るさが僅かに低減される。これは、完全に飽和した色について利用可能な明るさにおけるロスとしてそれ自身を明らかにする。より一般的な部分的に飽和された色に関して、利用可能な明るさは、クリアフィルタ220が、単一の色成分よりはむしろ青、緑及び赤の光成分を含む白色光を投影するときに増加する。何れのケースにおいても、青の光フィルタ205、緑の光フィルタ210及び赤の光フィルタ215は、必要に応じて画像の階調を調節し、ホイールのクリアフィルタ220の部分の間に供給されるものを超えて必要とされる白色の強度を生成するために使用され続ける。
【0035】
図2では、クリアフィルタ220は、他のカラーの光フィルタ205〜215と近似的に同じサイズであるように示されている。他の実施の形態では、クリアフィルタ220は、他のカラーフィルタ205〜215よりも小さくなるようにつくられる。すなわち、ライン225により表される、クリアフィルタ220により占有されるカラーホイール200の状況の一部は、他のカラーの光フィルタ205−215よりも長さに関して短い。これにより、カラーホイール200により生成される他の色のカラーフェーズよりも期間において短い白色光のカラーフェーズが生成される。
【0036】
図3は、複合色を生成する従来の方法を説明するシグナルフロー図である。このシグナルフロー図は、カラーフェーズシーケンスを繰り返すことに関して、制御信号の状態を説明する。したがって、シグナルフローグラフは、連続するカラーフェーズの間にマイクロミラーアレイ内の所与のマイクロミラーに対応するアクチベーション及びデアクチベーション状態を説明する。図3で生成される色は、赤及び緑からなる完全に飽和した中間の黄色である。図示されるように、カラーフェーズシーケンスは、赤、緑、次いで青である。従来は、マイクロミラーは、赤のカラーフェーズ及び緑のカラーフェーズの両者の開始でアクチベートされ、それぞれのカラーフェーズの一部又は全部についてオンのままである。結果として、このケースではシングルピクセルである、赤及び緑の画像の生成の間の時間は、マイクロミラーが赤及び緑のカラーフェーズの開始でアクチベートされたときに最大にされる。これにより、大きな時間“t”が得られる。
【0037】
図4は、本発明の1実施の形態に係る複合色を生成する方法を説明するシグナルフロー図である。図示されるように、カラーフェーズのシーケンスは、青、緑、次いで赤に変化される。さらに、制御信号は、それぞれのカラーフェーズに開始部分でのみマイクロミラーをもはやアクチベートしない。むしろ、制御信号は、図示されるようにカラーフェーズ内の開始又は中間でマイクロミラーをアクチベートする。中間点は、開始を除くカラーフェーズの部分に対応する。たとえば、中間点は、カラーフェーズの中間、又は終了部分の前にあるカラーフェーズにおける部分に対応する。
【0038】
緑及び赤からなる完全に飽和された中間の黄色を生成するため、制御信号は、マイクロミラーにそれぞれのカラーフェーズの両者の間にアクチベートさせる。特に、マイクロミラーは、緑のカラーフェーズの中間又は終了に向かって、すなわち中間部分でアクチベートされる。マイクロミラーは、赤のカラーフェーズの開始で、アクチベートされるか、又はアクチベートされたままの状態である。
【0039】
緑及び赤のカラーフェーズのためのマイクロミラーの連続したアクチベーション間の時間は、低減され、及び/又は最小にされる。これは、完全に飽和された中間の黄色を形成する緑と赤の画素間の時間を低減する。多数のマイクロミラーについて大型スケールの実現されるとき、このケースでは緑及び赤の画像である、連続するカラー画像間の時間は、低減され、及び/又は最小にされる。これらの画素及び/又は画像間の時間を低減することで、システムから知覚されるレインボーアーチファクトの数及び大きさを低減することができる。
【0040】
図5A〜図5Eは、本発明の他の実施の形態に係る、様々な複合色を生成する方法を説明するシグナルフロー図である。図示されるように、ホワイトの色は、クリアフィルタがカラーホイールに含まれるケースを収容するため、カラーフェーズシーケンスに含まれる。本実施の形態で記載され、図5A〜図5Eに示されるように、白のカラーフェーズの期間は、他のカラーフェーズよりも時間的に短い。何れの場合においても、図4のケースにおけるように、図示される色は、本明細書で開示される実施の形態を使用して生成される可能性のある複合色の完全な一覧となることが意図されない。むしろ、選択された複合色は、本発明の範囲を広くすることが意図される例として与えられる。
【0041】
図5Aは、本発明の1実施の形態に係る暗い濃淡色(ダークグレーカラー)を生成する方法を説明する。制御信号は、マイクロミラーに白のカラーフェーズの間にアクチベートさせる。特に、制御信号は、白のカラーフェーズの間にオン状態にスイッチする。すなわち、制御信号は、白のカラーフェーズの開始でオン状態に進む必要がない。
【0042】
図5Bは、本明細書で開示される本発明のアレンジメントに係る暗い黄色(ダークイエローカラー)を生成する方法を説明する。暗い黄色は、緑、白及び赤の光から生成される。制御信号は、緑のカラーフェーズの間の近似的な中間、すなわち中間点の部分でオン状態にされる。信号は、中間点の部分で白のカラーフェーズの間にオン状態にリターンする。制御信号は、再び、赤のカラーフェーズの開始近く又は開始でオン状態にされる。このように、すなわち時間的に後に緑のカラーフェーズについてパルスを移動させ、白のカラーフェーズの中間近くで白のパルスを保持し、開始に向かって赤のカラーフェーズについてパルスを移動させることで、それぞれのオン状態間の時間“t”を低減し、及び/又は最小にすることができる。
【0043】
図5Cは、本明細書で開示される本発明のアレンジメントに係る完全な白色(フルホワイトカラー)を生成する方法を説明する。完全な白色は、図示されるように、それぞれのカラーフェーズのそれぞれの間にマイクロミラーをアクティブに保持することで生成される。カラーホイールのクリア(透明)セクションは全てのカラーコンポーネントを同時に生成するために使用されるため、このフルホワイトの色は、クリアセグメントのないカラーホイールからのフルホワイトよりも明るい。
【0044】
図5Dは、本明細書で開示される本発明のアレンジメントに係るフルイエローカラーを生成する方法を説明する。フルイエローカラーは、緑、ホワイト及び赤光から形成される。このように、図示されるように、制御信号は、緑、白、及び赤のカラーフェーズのそれぞれの全体の間にオン状態にされる。制御信号は、青のカラーフェーズの間にオフ状態にされる。
【0045】
図5Eは、本明細書に開示される本発明のアレンジメントに係るライトイエローカラーを生成する方法を説明する。ライトイエローカラーは、緑、白、及び赤の光から形成される。制御信号は、中間点の部分で、緑のカラーフェーズを通して中間点でオン状態にされる。制御信号は、そのポイントでオフ状態にされる、白のカラーフェーズを通して中間点までオンのままである。次いで、制御信号は、赤のカラーフェーズの開始で、又はおよそ開始でオン状態に戻る。緑のカラーフェーズのパルスを時間的に戻してシフトし、白及び赤のカラーフェーズの両者をそれぞれのカラーフェーズの開始で又は開始近くで保持することで、異なるカラーフェーズの連続するマイクロミラーのアクチベーションの時間の量は、低減及び/又は最小にされる。説明したように、これにより、投影システム内の知覚できるレインボーアーチファクトが低減される。
【0046】
カラーホイールのクリアセグメントの効果を最大にするため、以下の技術を使用することができる。はじめに、所与の画素の色について、赤、緑及び青の所望の振幅が計算される。つぎに、クリアセグメントは、3つのカラーフェーズの最短のアクチベーション時間に等価な時間について使用される。赤、緑又は青の最短のアクチベーション時間がクリアセグメントのカラーフェーズよりも長い場合、クリアセグメントのカラーフェーズの全体の時間が使用される。赤、緑及び青のそれぞれのアクチベーション時間は、クリアカラーセグメントがアクチベートされた時間により低減される。しかし、カラーホイールのクリアセグメントを使用した他の方法を使用することができ、本発明は上述した技術に限定されないことを理解されたい。
【0047】
上述の内容は本発明の好適な実施の形態に向けられるが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなしに、本発明の他の実施の形態及び更なる実施の形態が考案される場合があり、本発明の範囲は、特許請求の範囲により決定される。
【符号の説明】
【0048】
100:システム
105:光源
110:カラーホイール
115:デジタルマイクロミラー装置(DMD)
120:投影レンズ
125:青色の光フィルタ
130:緑色の光フィルタ
135:赤色の光フィルタ
140:マイクロミラーアレイ
145:マルチカラー画像
150:投影表面
155:矢印
160:光ビーム
165:カラー光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から3色又は4色の光を順次に生成する手段と、それぞれのカラーの光は、カラーフェーズと呼ばれる予め決定された期間について生成され、
複数のマイクロミラーを有する少なくとも1つのデジタルマイクロミラー装置と、前記複数のマイクロミラーのうちの少なくとも1つは、カラーの光を順次に生成する前記手段からのカラーの光を反射するため、制御信号に応答して2つの連続するカラーフェーズのそれぞれにおける、それぞれのカラーフェースの中間の位置でアクチベートされ、前記2つの連続するカラーフェーズは、緑色からなる第一のカラーフェーズと赤色からなる第二のカラーフェーズとから順次に構成され、
前記少なくとも1つのデジタルマイクロミラー装置から反射された光を投影表面に投影するために構成されるレンズと、
を有するビデオプロジェクションシステム。
【請求項2】
前記複数のマイクロミラーのうちの前記少なくとも1つは、少なくとも1つの複合のカラーピクセルを生成する、
請求項1記載のビデオプロジェクションシステム。
【請求項3】
前記制御信号は、前記2つのカラーフェーズのうちの前記第一のカラーフェーズ内の中間の位置で前記複数のマイクロミラーのうちの前記少なくとも1つをアクチベートする、
請求項1記載のビデオプロジェクションシステム。
【請求項4】
前記制御信号は、前記2つのカラーフェーズのうちの前記第一のカラーフェーズ内の終了位置で前記複数のマイクロミラーのうちの前記少なくとも1つをアクチベートする、
請求項1記載のビデオプロジェクションシステム。
【請求項5】
前記制御信号は、前記2つのカラーフェーズのうちの前記第二のカラーフェーズ内の開始位置で前記複数のマイクロミラーのうちの前記少なくとも1つをアクチベートする、
請求項1記載のビデオプロジェクションシステム。
【請求項6】
前記制御信号は、前記2つのカラーフェーズのうちの前記第二のカラーフェーズ内の中間位置で前記複数のマイクロミラーのうちの前記少なくとも1つをアクチベートする、
請求項1記載のビデオプロジェクションシステム。
【請求項7】
前記制御信号は、前記複数のマイクロミラーのうちの前記少なくとも1つに、前記2つのカラーフェーズのうちの第一のカラーフェーズの中間点から、前記2つのカラーフェーズのうちの第二のカラーフェーズの少なくとも1部にオンの状態のままにさせる、
請求項1記載のビデオプロジェクションシステム。
【請求項8】
光源を更に有する、
請求項1記載のビデオプロジェクションシステム。
【請求項9】
カラーの光を順次に生成する前記手段は、青、緑及び赤の光フィルタを有するカラーホイールを含む、
請求項1記載のビデオプロジェクションシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのマイクロミラー装置は、順次に順序付けされた青、緑、及び赤の画像から少なくとも1つの複合画像を生成する、
請求項1記載のビデオプロジェクションシステム。
【請求項11】
前記カラーホイールは、白色光を得るためのクリアフィルタを更に有する、
請求項9記載のビデオプロジェクションシステム。
【請求項12】
前記クリアフィルタを使用して生成された白色画像は、青色画像の後であって赤色画像の前に生成される、
請求項11記載のビデオプロジェクションシステム。
【請求項13】
前記クリアフィルタを使用して生成された白のカラーフェーズは、他のカラーフェーズよりも時間的に短い、
請求項11記載のビデオプロジェクションシステム。
【請求項14】
光源から青、緑、白及び赤の光を生成する手段と、それぞれの色は、カラーフェーズと呼ばれる予め決定された期間について順次的な順序で生成され、
異なる色の光を反射し、2つの連続するカラーフェーズのそれぞれにおける、それぞれのカラーフェースの中間の位置でデジタルマイクロミラー装置をアクチベートする少なくとも1つのデジタルマイクロミラー装置と、前記2つの連続するカラーフェーズは、緑の光からなる第一のカラーフェーズと赤の光からなる第二のカラーフェーズとから順次に構成され、
異なる色の光を投影表面に投影するために構成されるレンズと、
を有するビデオプロジェクションシステム。
【請求項15】
白色光のカラーフェーズは、他の色のカラーフェーズよりも短い、
請求項14記載のビデオプロジェクションシステム。
【請求項16】
白色光のカラーフェーズは、青色光のカラーフェーズと赤色光のカラーフェーズとの間に配置される、
請求項14記載のビデオプロジェクションシステム。
【請求項17】
投影システムで複合色を生成する方法であって、
(a)3色又は4色の異なる色の光を順次に生成するステップと、それぞれの色は、カラーフェーズと呼ばれる予め決定された期間について生成され、
(b)2つの連続するカラーフェーズのそれぞれにおける、それぞれのカラーフェースの中間の位置で少なくとも1つのマイクロミラーをアクチベートするステップとを含み、
前記2つの連続するカラーフェーズは、緑色からなる第一のカラーフェーズと赤色からなる第二のカラーフェーズとから順次に構成され、これにより複合カラーピクチャの少なくとも1部を生成する、方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つのマイクロミラーをアクチベートする前記ステップは、(c)前記2つの連続するカラーフェーズのうちの前記第一のカラーフェーズでの中間点の位置で、前記緑色の画像の少なくとも1部を生成するため、少なくとも1つのマイクロミラーをアクチベートするステップを含む、
請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記中間点の位置は、前記第一のカラーフェーズの中間又は終了に位置される、
請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つのマイクロミラーをアクチベートする前記ステップは、(d)前記赤色の前記第二のカラーフェーズの近似的に開始部分で、前記赤色で画像の一部を生成するために少なくとも1つのマイクロミラーをアクチベートするステップを含む、
請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記マイクロミラーのうちの異なるマイクロミラーについて前記ステップ(b)を繰り返すステップを更に含む、
請求項17記載の方法。
【請求項22】
青、緑及び赤として順序付けされる要素となるカラー画像を生成することで複合画像を生成するステップを更に有する、
請求項17記載の方法。
【請求項23】
クリアフィルタを使用して白色画像を生成するステップを更に含む、
請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記白色画像は、青の画像と赤の画像の間で生成される、
請求項23記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−68649(P2012−68649A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231822(P2011−231822)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【分割の表示】特願2007−550344(P2007−550344)の分割
【原出願日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】1−5, rue Jeanne d’Arc, 92130 ISSY LES MOULINEAUX, France
【Fターム(参考)】