説明

デジタル制御式モータ及びこれを用いた画像形成装置

【課題】装置内のモータ動作司令部に送るモータ制御ゲイン値が装置のモータ交換の度に自動的に適した値に書き換わり、反映させることができるデジタル制御式モータ及びこれを用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】デジタル制御式モータ及びこれを用いた画像形成装置のモータ101は、外部からアクセス可能な記憶領域が設けられたモータ用記憶媒体(記憶媒体A)102を有し、モータ用記憶媒体(記憶媒体A)102の記憶領域にモータ制御ゲイン値を記憶させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ制御ゲイン値に基づいて駆動制御されるデジタル制御式モータ、及び、このデジタル制御式モータを用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機やプリンターの画像形成機器において、デジカメ等のイメージング機器の普及に伴い、出力の高速化だけでなく、画像のカラー化及び高画質化のニーズが高まっている。このような要求を満たすため、カラー画像形成機器では、駆動源であるモータのスペックや制御仕様によって、画像品質に大きく影響を与えることがわかっている。また省エネルギ化の影響により、より効率的な駆動方法を行うことが必要とされている。また、複写機やプリンターの画像形成機器に限らず、様々な高性能機器にも、より効率的な駆動方法を行うことが求められている。
【0003】
例えば、複写機やプリンターの画像形成機器に限らず、ビデオ信号を記録・再生する磁気記録・再生装置においても、磁気ヘッドに関わるモータのより効率的な駆動を行うことが求められている。このために、磁気記録・再生装置には、磁気ヘッドに関わるモータのモータ仕様変更に備え、書換え可能な外部記憶装置に制御システムのソフトウェアを用いることで、モータ制御システム変更を行う際に、モータ使用の制御システムのハードウェアやソフトウェア変更を容易にし、開発期間の短縮をはかるようにした技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この磁気記録・再生装置では、外部記憶装置分のコストが増大して実使用上では採用しにくいといった点が挙げられる。
【0004】
また、近年のモータ制御仕様として、アナログ制御を用いた駆動モータに対して、より省エネルギ化に最適な制御仕様変更可能なデジタル制御を用いたものが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このデジタル制御を用いたDCモータにおいて、DCブラシレスモータを使用する際に、Hold制御時は一般的なPID制御器に用いられる、Iゲインである積分器をOFFし、位置偏差をキャンセルさせ、振れを抑制することで、消費電力を低減し、高効率駆動を実現させることを目的とする技術が考えられる。
【0006】
この駆動モータのデジタル制御では、モータに指令を送るためのモータ制御ゲイン値に基づいて駆動モータの動作制御を行うようになっている。このため、モータ自体ではなく、指令部側に予めモータ制御ゲイン値を持っている必要がある。言い換えれば、モータを動かす記憶媒体の指令部分に動作モータのモータ制御ゲイン値が動作事前に記憶されてなくてはならない。
【0007】
さらに近年は、市場投入後でも性能が高い製品を顧客に提供する必要があるため、個々のモータ自体の交換ということについて、開発段階はもちろん、市場投入後までもモータの検討を行わなければならない状況にある。
【0008】
また、デジタル制御を用いた駆動モータの場合、モータ自体の交換の度に、モータ動作司令部側に記憶されているモータ制御ゲイン値を適した値に変更しなくてはならない。
【0009】
このため、駆動モータのデジタル制御をするモータ制御システムでは、ソフトウェアの仕様変更をその都度、最初から行わなければならない問題があり、非効率である。また人為的な間違いが発生する可能性がある。
【0010】
このような駆動モータのデジタル制御をするモータ制御システムにおいては、モータ自体の交換によって生じるモータ制御ゲイン値の変更に際し、モータ動作司令部に送るモータ制御ゲイン値がモータ交換の度に自動的に適した値に書き換わり、反映されれば、問題を解決できる。
【0011】
そこで、本発明は、装置内のモータ動作司令部に送るモータ制御ゲイン値が装置のモータ交換の度に自動的に適した値に書き換わり、反映させることができるデジタル制御式モータ及びこれを用いた画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するために、請求項1の発明は、外部からアクセス可能な記憶領域が設けられたモータ用記憶媒体を有するモータであって、前記モータ用記憶媒体の前記記憶領域にモータ制御ゲイン値を記憶させたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のモータを具備する画像形成装置において、書換え可能な可変記憶領域と書換え不可能な不可変記憶領域を備える装置内記憶媒体が設けられ、前記モータ用記憶媒体に記憶された前記モータ制御ゲイン値が前記装置内記憶媒体の書換え可能な可変記憶領域に自動反映されることを特徴とする。
【0014】
更に、請求項3の発明は、請求項2の画像形成装置において、前記モータ用記憶媒体を直接備えたモータは、デジタル制御されると共に前記装置内記憶媒体に反映された前記モータ制御ゲイン値を用いて動作が行われることを特徴とする。
【0015】
また、請求項4の発明は、請求項3の画像形成装置において、前記モータ用記憶媒体に記憶されたモータ制御ゲイン値を前記装置内記憶媒体に自動反映させるタイミングは画像形成装置の電源を入れたときであることを特徴とする。
【0016】
また、請求項5の発明は、請求項4の画像形成装置において、前記装置内記憶媒体の書換え可能な可変記憶領域は画像形成装置の表示画面上から閲覧することができることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明のモータによれば、モータ用記憶媒体に、他の媒体からのアクセスおよび他の媒体への情報を伝達することが可能である。また、モータ固有のモータ制御ゲイン値がモータ用記憶媒体に記憶されていることで、他の媒体へ利用することができる。これにより、市場対応のサポートエンジニアおよび開発エンジニアも、反映結果の確認を確実かつ容易にすることができる。
【0018】
請求項2の発明の画像形成装置によれば、モータ用記憶媒体に記憶されたモータ制御ゲイン値を装置内記憶媒体の書換え可能な可変記憶領域に自動反映させることで、モータ交換を行う場合において、最新のモータ制御ゲイン値を外部からの操作なしで装置内記憶媒体に取り入れることができ、適切なモータ制御を行うことが可能である。これにより、デジタル制御を用いたモータ交換に対しての制御変更による開発期間および市場投入後の対応を効率化できる。
【0019】
請求項3の画像形成装置によれば、モータ用記憶媒体を直接備えたモータは、モータ用記憶媒体から取り出して装置内記憶媒体に記憶されたモータ制御ゲイン値を用いてデジタル制御動作を行うことができるので、予めモータ制御ゲイン値の情報が必要なデジタル制御を用いたモータ制御に対応可能である。
【0020】
請求項4の発明の画像形成装置によれば、装置内記憶媒体にモータ制御ゲイン値を自動反映させるタイミングは画像形成装置の電源を入れたときとすることで、自動反映にかかる時間について、ユーザー観点からは使用中のストレスを与えることがない。また、モータ制御ゲイン値の変更等の操作を行うときにも電気的な観点から、画像形成装置自体の電源を落とす必要が生じる。このため、操作後には電源を入れる動作を必ず行う。これを踏まえて、最も相応しいタイミングとした。
【0021】
請求項5の発明の画像形成装置によれば、装置内記憶媒体の書換え可能な可変記憶領域は画像形成装置の表示画面上から閲覧することができる。この可変記憶領域は不可変記憶領域と異なり、個々の画像形成装置によって値が異なるが、予期せぬマシン固有のトラブルが起きたときには、可変記憶領域の記憶内容を画像形成装置の表示画面上から閲覧する確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】画像形成装置の概略図である。
【図2】図1の画像形成装置とモータとの関係を示す概略図である。
【図3】(a)は図2の画像形成装置とモータとの関係を示す概略説明図、(b)は(a)のモータにモータ用記憶媒体を装着した状態を示す斜視図である。
【図4】一般的なPID制御器の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明に係るデジタル制御式モータ及びこれを用いた画像形成装置を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0024】
図1は画像形成装置の概略図、図2は図1の画像形成装置とモータとの関係を示す概略図、図3(a)は画像形成装置とモータとの関係を示す概略説明図、図3(b)は図3(a)のモータにモータ用記憶媒体を装着した斜視図、図4はモータと記憶媒体の関係の概要図と示す。
【0025】
図1に示した画像形成装置100は、プロセスユニット6Y,6M,6C,6Kを有する。このプロセスユニット6Y,6M,6C,6Kは、画像読取ユニット(図示せず)で読み取った画像信号に基づいて光書込ユニット7により感光体1Y,1M,1C,1Kに静電潜像が形成されると、感光体1Y,1M,1C,1Kに形成された静電潜像をY,M,C,Kトナーにより現像して、感光体1Y,1M,1C,1KにY,M,C,Kトナーによるトナー画像を形成するようになっている。この感光体1Y,1M,1C,1Kに形成されたトナー画像は転写ユニット15の中間転写ベルト8に転写されるようになっている。一方、画像形成装置100では、給紙カセット26から給紙ローラ27により転写紙Pが駆動ローラ12と2次転写バイアスローラ19との間に供給されれるようになっている。そして、転写紙Pが駆動ローラ12と2次転写バイアスローラ19との間に供給されると、中間転写ベルト8に転写された画像が駆動ローラ12と2次転写バイアスローラ19により転写紙Pに転写される。この画像が転写された転写紙Pは、定着装置20の定着ローラ20aと加圧ローラ20b間に供給されて加熱され画像が定着させられた後、排紙される。このような画像形成装置100には、周知の構成が採用できるので、その詳細な説明は省略する。また、画像形成装置100としては、上述した以外の周知の構成であっても良い。
【0026】
このような画像形成装置100は、図2に示したように、装置本体(装置)100a内に着脱可能に取り付けられ、且つ、デジタル制御により動作するデジタル制御式のモータ101を有する。このモータ101は、取り外し可能に取り付けられたモータ用記憶媒体102(記憶媒体A)を有する。
【0027】
また、画像形成装置100は、図2に示したように、装置本体100a内に設けられた記憶媒体Bと、装置本体100aの外に取り付けられた表示画面104と、モータ動作指令をモータ101に与える制御装置(制御手段)としてのモータドライバ集積回路105(LSI)を備えている。
【0028】
尚、モータ101には図3(a),図3(b)に示したようにソケット101aが固定されていて、モータ用記憶媒体102(記憶媒体A)をソケット101aに図3(a)の矢印A1方向に差し込むことで、モータ用記憶媒体102(記憶媒体A)が図3(b)に示したようにソケット101aに取り外し可能に取り付けられるようになっている。
【0029】
したがって、モータ用記憶媒体102(記憶媒体A)は、ソケット101aから取り外して、図示を省略した外部のパソコン等に接続されたソケット(図示せず)に差し込んで取り付けることにより、外部のパソコンによりアクセスして、モータ制御ゲイン値記憶内容を外部から書き換えることができるようになっている。
【0030】
図2の記憶媒体Bとしては、例えば、図3(a)の装置内記憶媒体103の一部が用いられている。この図3(a)の装置内記憶媒体103は、画像形成のための各部の制御のプログラムやデータ等が記憶された不可変記憶領域と、書き換え可能な可変記憶領域(可変記憶部)を備えている。そして、この装置内記憶媒体103の可変記憶領域(可変記憶部)は、モータ用記憶媒体102に記憶されたモータ制御ゲイン値の情報をモータ制御司令のために記憶させる記憶媒体B(記憶部)として用いられている。尚、図2の記憶媒体Bとしては、装置本体100a内に装置内記憶媒体103と別途設けられた記憶媒体であっても良い。
【0031】
デジタル制御方式のモータ101としては、例えば、上述した感光体1Y,1M,1C,1Kを回転駆動させる感光体駆動モータ(図示せず)、中間転写ベルト18の駆動ローラ12を回転駆動するベルト駆動モータ(図示せず)等がある。しかし、このモータ101は、画像形成装置100の感光体駆動モータ(図示せず)やベルト駆動モータ(図示せず)以外の駆動モータにも用いることができる。
【0032】
また、モータ用記憶媒体102(記憶媒体A)にはモータ制御ゲイン値が予め記憶されている。これにより、モータ101を前記画像形成装置100に取り付けるときには、モータ制御ゲイン値が既に前記モータ用記憶媒体102(記憶媒体A)に記憶されている状態となっている。
【0033】
このモータ101のデジタル制御におけるモータ動作は、以下のように行われる。
【0034】
画像形成装置100の装置内記憶媒体103の可変記憶領域(記憶媒体B)からのモータ制御ゲイン値の情報はモータドライバ集積回路105(LSI)に入力される。このモータドライバ集積回路105(LSI)は、装置内記憶媒体103(記憶媒体B)から入力されるモータ制御ゲイン値の情報に基づいてモータ101を動作制御させる。
【0035】
ここで、モータ制御ゲイン値を用いたモータ101の制御の一例について説明する。即ち、モータドライバ集積回路105(LSI)として、例えば図4に示したような代表的なPID制御器を用いた動作を行う場合について説明する。
【0036】
図4の一般的なPID制御器におけるPID制御は、目標位置であるxtと検出位置であるxの差である位置誤差xeの信号を比例微分積分制御処理を行い、モータ電圧Vmにフィードバックするというものである。
【0037】
この制御では、入力値と出力値、目標値が存在し、入力値を変更させることが可能であり、PID制御器は、制御の比例動作P、積分動作I、微分動作Dを含んでおり、それぞれ、Gp(比例ゲイン)、Gi(積分ゲイン)、Gd(微分ゲイン)と呼ばれる制御定数を持っている。各モータ制御ゲイン値を変更することで、入力値を変更させることが可能となる。
【0038】
以上のように、本発明では、各モータ制御ゲイン値を前記モータ用記憶媒体102(記憶媒体A)に記憶させている。
【0039】
図3(a)のモータ用記憶媒体102(記憶媒体A)に記憶されているモータ制御ゲイン値は、直接、前記画像形成装置内に設置されている可変記憶領域と不可変記憶領域とを持つ記憶媒体のうち、装置内記憶媒体103の可変記憶領域(記憶媒体B)に直接自動で読み取られて、書き換えられ、反映される。
【0040】
または、図3(a)の前記モータ用記憶媒体102(記憶媒体A)からの情報を、モータ動作指令を前記モータに与えるモータドライバ集積回路105(LSI)を経由して、自動で読み取られて、前記記装置内憶媒体103の可変記憶領域(記憶媒体B)に書き換えられ、反映される。
【0041】
前記装置内記憶媒体103の可変記憶領域(記憶媒体B)へ前記モータ用記憶媒体102(記憶媒体A)の情報が自動反映されるタイミングは、画像形成装置自体の電源を入れたときとする。これは、自動反映にかかる時間について、ユーザー観点から使用中に、ソフトウェア更新による、ダウンタイムをなくし、ストレスを与えないこととした。モータ制御ゲイン値の変更等の操作を行うときには電気的な観点から、一度、前期画像形成装置100自体の電源を落とす必要が生じる。このため、操作後には電源を入れる動作を必ず行う。これらを踏まえると、電源を入れるタイミングは最も相応しい。
【0042】
以上より、前記装置内記憶媒体103の可変記憶領域(記憶媒体B)に自動反映させることにより、モータ制御ゲイン値を前記装置内記憶媒体103(記憶媒体B)に事前および変更の度に記録させる必要がなくなる。
【0043】
これにより、ソフトウェアの仕様変更をその都度行う必要がなくなり、開発の効率的になる。また人為的な間違いが発生する可能性もなくなる。
【0044】
また、前記記装置内憶媒体103の記憶媒体Bは可変記憶領域であるため、不可変記憶領域と異なり、画像形成装置個々によって、値が異なる箇所が存在する。このため、発生確率が低い、予期せぬソフトウェアによるマシントラブルが起きたときには確認する必要がある。これを踏まえ、前記記装置内憶媒体103の可変記憶領域(記憶媒体B)の中身を前記画像形成装置100の表示画面上から閲覧できることで、反映されているかの確認を行うことができるようにする。
【0045】
市場投入時にモータ制御ゲイン値の変更の必要が生じたときに出動するサポートエンジニアや、開発中にモータ制御ゲイン値の変更の必要が生じたときに変更を行うエンジニアにも、反映結果の確認を確実かつ容易にすることができる。
【0046】
尚、モータ制御ゲイン値が自動反映された書換え可能な可変領域(記憶媒体B)は画像形成装置の表示画面上から特殊モード(開発者や保守点検サービスマンのみが使用するモードで、ユーザーは普段使用しないモード)設定されている。これによって、特殊モードでは、開発者や保守点検サービスマンのみが閲覧することができるようにすることで、開発者や保守点検サービスマンは反映結果を確認して、保守点検を容易に行うことができる。
(その他)
以上説明した発明の実施の形態のモータ101は、外部からアクセス可能な記憶領域が設けられたモータ用記憶媒体(記憶媒体A)102を有する。しかも、モータ101の前記モータ用記憶媒体(記憶媒体A)102の前記記憶領域にモータ制御ゲイン値を記憶させている。
【0047】
この構成によれば、モータ用記憶媒体(記憶媒体A)102に、他の媒体からのアクセスおよび他の媒体への情報を伝達することが可能である。また、モータ固有のモータ制御ゲイン値がモータ用記憶媒体(記憶媒体A)102に記憶されていることで、他の媒体へ利用することができる。これにより、市場対応のサポートエンジニアおよび開発エンジニアも、反映結果の確認を確実かつ容易にすることができる。尚、上述した実施例では、モータ用記憶媒体(記憶媒体A)102をモータ101にソケット101aを用いて着脱可能に設けているが、これに限定されるものではない。例えば、モータ用記憶媒体(記憶媒体A)102をモータ101に固定しておくと共に、このモータ用記憶媒体(記憶媒体A)102に接続されたUSB端子等の外部アクセス用接続端子をモータ101に設けておいて、このUSB端子を用いて外部のパソコン等の媒体に接続することにより、モータ用記憶媒体(記憶媒体A)102に外部のパソコン等の媒体からアクセスすることができるようにしておいても良い。また、デジタル制御を用いた駆動モータの交換時には、新しいモータを交換のみを行うことで、常に自動的に適したモータ制御ゲイン値を機器(画像形成装置やその他の機械器具)の記憶媒体に記憶させることができる。この結果、新しいモータに適した制御を、外部からの操作なし(何もソフトウェアを変更なし)で、行うことができる。これにより、デジタル制御を用いたモータ交換に対しての制御変更による開発期間および市場投入後の対応を効率化できる。
【0048】
また、この発明の実施の形態のモータ101を具備する画像形成装置100において、書換え可能な可変記憶領域(記憶媒体B)と書換え不可能な不可変記憶領域(記憶媒体B)を備える装置内記憶媒体103が設けられ、前記モータ用記憶媒体(記憶媒体A)102に記憶された前記モータ制御ゲイン値が前記装置内記憶媒体の書換え可能な可変記憶領域(記憶媒体B)に自動反映されるようになっている。
【0049】
この構成によれば、モータ用記憶媒体(記憶媒体A)102に記憶されたモータ制御ゲイン値を装置内記憶媒体の書換え可能な可変記憶領域(記憶媒体B)に自動反映させることで、モータ交換を行う場合において、最新のモータ制御ゲイン値を外部からの操作なしで装置内記憶媒体103に取り入れることができ、適切なモータ制御を行うことが可能である。これにより、デジタル制御を用いたモータ交換に対しての制御変更による開発期間および市場投入後の対応を効率化できる。即ち、記憶媒体Bにモータ制御ゲイン値が自動反映されることで、画像形成装置使用開始前の段階にて、画像形成装置内の記憶媒体Bに予め、モータ制御ゲイン値を記録させる必要がなくなり、モータ交換の都度、外部から、モータ制御ゲイン値に関わるソフトウェアを書き換える必要がなくなる。
【0050】
更に、この発明の実施の形態の画像形成装置によれば、前記モータ用記憶媒体(記憶媒体A)102を直接備えたモータ101は、デジタル制御されると共に前記装置内記憶媒体103に反映された前記モータ制御ゲイン値を用いて動作が行われるようになっている。
【0051】
この構成によれば、モータ用記憶媒体(記憶媒体A)102を直接備えたモータは、モータ用記憶媒体(記憶媒体A)102から取り出して装置内記憶媒体103に記憶されたモータ制御ゲイン値を用いてデジタル制御動作を行うことができるので、予めモータ制御ゲイン値の情報が必要なデジタル制御を用いたモータ制御に対応可能である。
【0052】
また、この発明の実施の形態の画像形成装置100において、前記モータ用記憶媒体(記憶媒体A)102に記憶されたモータ制御ゲイン値を前記装置内記憶媒体103に自動反映させるタイミングは画像形成装置の電源を入れたときに設定されている。
【0053】
この構成によれば、装置内記憶媒体103にモータ制御ゲイン値を自動反映させるタイミングは画像形成装置100の電源を入れたときとすることで、自動反映にかかる時間について、ユーザー観点からは使用中のストレスを与えることがない。また、モータ制御ゲイン値の変更等の操作を行うときにも電気的な観点から、画像形成装置自体の電源を落とす必要が生じる。このため、操作後には電源を入れる動作を必ず行う。これを踏まえて、最も相応しいタイミングとした。
【0054】
また、この発明の実施の形態の画像形成装置100において、前記装置内記憶媒体103の書換え可能な可変記憶領域(記憶媒体B)は画像形成装置100の表示画面104上から閲覧することができるようになっている。
【0055】
この構成によれば、装置内記憶媒体103の書換え可能な可変記憶領域(記憶媒体B)は画像形成装置100の表示画面104上から閲覧することができる。この可変記憶領域(記憶媒体B)は不可変記憶領域(記憶媒体B)と異なり、個々の画像形成装置によって値が異なるが、予期せぬマシン固有のトラブルが起きたときには、可変記憶領域(記憶媒体B)の記憶内容を画像形成装置100の表示画面104上から閲覧する確認することができる。この結果、モータ制御のためのマシン固有のトラブルが生じても、その原因を迅速に確認して修正できる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
この発明に係るモータ101は、複写機やプリンターの画像形成機器に限らず、ビデオ信号を記録・再生する磁気記録・再生装置等の機器の磁気ヘッドに関わるデジタル制御式のモータや、他の機械器具のデジタル制御式のモータに使用することもできる。
【符号の説明】
【0057】
100 画像形成装置
100a 装置本体
101 モータ
102 モータ用記憶媒体(記憶媒体A)
103 装置内記憶媒体(記憶媒体B)
104 表示画面
105 モータドライバ集積回路(制御手段、制御装置)
P 転写紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特開2000―251351

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からアクセス可能な記憶領域が設けられたモータ用記憶媒体を有するモータであって、前記モータ用記憶媒体の前記記憶領域にモータ制御ゲイン値を記憶させたことを特徴とするデジタル制御式モータ。
【請求項2】
請求項1に記載のモータを具備する画像形成装置において、書換え可能な可変記憶領域と書換え不可能な不可変記憶領域を備える装置内記憶媒体が設けられ、前記モータ用記憶媒体に記憶された前記モータ制御ゲイン値が前記装置内記憶媒体の書換え可能な可変記憶領域に自動反映されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2の画像形成装置において、前記モータ用記憶媒体を直接備えたモータは、デジタル制御されると共に前記装置内記憶媒体に反映された前記モータ制御ゲイン値を用いて動作が行われることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3の画像形成装置において、前記モータ用記憶媒体に記憶されたモータ制御ゲイン値を前記装置内記憶媒体に自動反映させるタイミングは画像形成装置の電源を入れたときであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4の画像形成装置において、前記装置内記憶媒体の書換え可能な可変記憶領域は画像形成装置の表示画面上から閲覧することができることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−182916(P2012−182916A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44404(P2011−44404)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】