デジタル放送送受信システム、デジタル放送受信装置及びデジタル放送送受信方法
【課題】視聴可能な放送局を容易に選局することができるデジタル放送受信装置を提供する。
【解決手段】放送用受信部11は、各放送局の位置を示す放送局位置情報を含む放送局リストを受信する。現在位置情報取得部12は、現在位置情報を取得する。距離算出部32は、放送用受信部11が取得した放送局リストに含まれる放送局位置情報と現在位置情報取得部12が取得した現在位置情報とから、現在位置から各放送局までの距離をそれぞれ算出する。プリセット処理部33は、距離算出部32が算出した現在位置から各放送局までの距離に基づいて、前記各放送局のチャンネル情報にプリセット番号をそれぞれ関連付けたプリセット情報42を記憶部4に記憶させる。
【解決手段】放送用受信部11は、各放送局の位置を示す放送局位置情報を含む放送局リストを受信する。現在位置情報取得部12は、現在位置情報を取得する。距離算出部32は、放送用受信部11が取得した放送局リストに含まれる放送局位置情報と現在位置情報取得部12が取得した現在位置情報とから、現在位置から各放送局までの距離をそれぞれ算出する。プリセット処理部33は、距離算出部32が算出した現在位置から各放送局までの距離に基づいて、前記各放送局のチャンネル情報にプリセット番号をそれぞれ関連付けたプリセット情報42を記憶部4に記憶させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視聴可能な放送局の選局が容易なデジタル放送送受信システム、デジタル放送受信装置及びデジタル放送送受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
日本国内で運用されている地上デジタル放送では、通常の広帯域放送に加えて、ワンセグ放送(ワンセグメント・ローカルサービス)と呼ばれる携帯受信端末向けを主目的とした狭帯域放送も放送されている。一般にワンセグ放送は、広帯域放送と同じ放送周波数でサイマル放送される。このワンセグ放送の放送エリアを極めて狭い範囲に限定し、広帯域放送とは別のコンテンツの放送に用いるための実証試験が現在行なわれている。この、放送エリアを極めて狭い範囲に限定したワンセグ放送を、以下、「エリアワンセグ放送」と呼ぶ。
【0003】
エリアワンセグ放送は、微弱電力あるいは小電力と呼ばれる極めて小さい送出電力で運用される。微弱電力での放送は、その受信可能エリアは例えば半径3m程度、小電力での放送は、その受信可能エリアは例えば半径100m程度である。エリアワンセグ放送は、例えば、店舗周辺、あるいはイベント会場周辺等、その受信可能エリア(放送対象エリア)における限定的な情報を、動画、音声あるいはデータ放送等のコンテンツによって、その受信可能エリア内にいるユーザのみに的確に提供できる。エリアワンセグ放送の放送局は、地域、時期によって、頻繁に開局、閉局、変更等がなされる。
【0004】
テレビやラジオなどの受信装置において、選局を容易にするための機能として、例えば、入力のための複数のボタンと、視聴する頻度の高い放送局の周波数とを関連付けて記憶させるプリセット機能が知られている。特許文献1では、電話の市外局番等の地域を特定する地域記号を入力すると、その地域に対応する周波数データ(放送局)群を、チューナに自動的にプリセットさせることが提案されている。
【0005】
一方、地上デジタル放送では、デジタル放送に重畳されて送られるSDTT(Software Download Trigger Table)と呼ばれる信号を用いて、新規放送局の運用の開始や、既存放送局の周波数等の変更を受信装置に告知することができる(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−206784号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】地上デジタルテレビジョン放送運用規定 技術資料 ARIB TR−B14 4.3版 社団法人 電波産業会
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
視聴可能なエリアワンセグ放送の放送局をプリセットする場合、特許文献1の方法では、地域記号と放送局を関連付けた書き換え不可能なテーブルを使うため、エリアワンセグ放送の放送局のように地域、時期等によって頻繁に変化するものには対応できない。全放送局の周波数をスキャンすることによって受信可能な放送局を調べ、プリセットすることは可能である。しかし、スキャンに時間がかかること、移動するたびスキャンが必要という問題がある。
【0009】
外部から取得されるエリアワンセグ放送局の情報によって、視聴可能な放送局の周波数を取得することが考えられる。非特許文献1に記載された周波数リスト・変更情報等のSDTTによって新規放送局の情報を得る場合、受信可能エリアが非常に狭く、放送局の詳細な位置情報がSDTTに含まれていないため、受信装置の位置においてエリアワンセグ放送を受信可能か判断することが困難である。
【0010】
本発明は、上記問題を鑑み、視聴可能な放送局を容易に選局することができるデジタル放送送受信システム、デジタル放送受信装置及びデジタル放送送受信方法することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、各放送局の位置を示す放送局位置情報と前記各放送局のチャンネル情報とを含む放送局リスト(51)を、デジタル放送に含めて放送する送信部(52)を備えるデジタル放送送信装置(5)と、前記デジタル放送を受信して、このデジタル放送に含まれる前記放送局リスト(51)を取得する放送用受信部(11)、現在位置情報を取得する現在位置情報取得部(12)、前記放送用受信部(11)が取得した前記放送局リストに含まれる前記放送局位置情報と前記現在位置情報取得部(12)が取得した前記現在位置情報とから、現在位置から各放送局までの距離をそれぞれ算出する距離算出部(32)、前記距離算出部(32)が算出した前記現在位置から各放送局までの距離に基づいて、前記各放送局のチャンネル情報にプリセット番号をそれぞれ関連付けたプリセット情報(42)を記憶部(4)に記憶させるプリセット処理部(33)を備えるデジタル放送受信装置とを備えるデジタル放送送受信システムであることを要旨とする。
【0012】
本発明の第2の態様は、各放送局の位置を示す放送局位置情報と前記各放送局のチャンネル情報とを含む放送局リスト(51)を含んで放送されるデジタル放送を受信して、前記放送局リストを取得する放送用受信部(11)と、現在位置情報を取得する現在位置情報取得部(12)と、前記放送用受信部(11)が取得した前記放送局リストに含まれる前記放送局位置情報と前記現在位置情報取得部(12)が取得した前記現在位置情報とから、現在位置から各放送局までの距離をそれぞれ算出する距離算出部(32)と、前記距離算出部(32)が算出した前記現在位置から各放送局までの距離に基づいて、前記各放送局のチャンネル情報にプリセット番号をそれぞれ関連付けたプリセット情報を記憶部(4)に記憶させるプリセット処理部(33)とを備えるデジタル放送受信装置(1)であることを要旨とする。
【0013】
本発明の第3の態様は、デジタル放送送信装置(5)が、各放送局の位置を示す放送局位置情報と前記各放送局のチャンネル情報とを含む放送局リスト(51)を、デジタル放送に含めて放送する送信ステップと、デジタル放送受信装置(1)が、前記デジタル放送を受信して、このデジタル放送に含まれる前記放送局リストを取得する受信ステップと、
現在位置情報を取得する現在位置情報取得ステップと、前記放送用受信ステップにおいて取得した前記放送局リストに含まれる前記放送局位置情報と前記現在位置情報取得ステップにおいて取得した前記現在位置情報とから、現在位置から各放送局までの距離をそれぞれ算出する距離算出ステップと、前記距離算出ステップにおいて算出した前記現在位置から各放送局までの距離に基づいて、前記各放送局のチャンネル情報にプリセット番号をそれぞれ関連付けたプリセット情報を記憶するプリセット処理ステップとを含むデジタル放送送受信方法であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、視聴可能な放送局を容易に選局することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るデジタル放送送受信システムの基本的な構成を説明する模式的なブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るデジタル放送送受信システムにおいて、デジタル放送受信装置のプリセット方法を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るデジタル放送送受信システムにおいて、特定放送局が送信する放送局リストのデータフォーマットの一例である。
【図4】図3に示すデータフォーマットの内、拡張要素のデータ構造の一例である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るデジタル放送送受信システムに用いる放送局リストを図示した一例である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係るデジタル放送送受信システムにおいて、デジタル放送受信装置のプリセット方法を説明する図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係るデジタル放送送受信システムにおいて、デジタル放送受信装置のプリセット情報を説明する図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態の応用例に係るデジタル放送送受信システムにおいて、デジタル放送受信装置を図示した一例である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るデジタル放送送受信システムにおいて、デジタル放送受信装置の放送局情報リストのデータフォーマットの一例である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係るデジタル放送送受信システムにおいて、デジタル放送受信装置の放送局情報リスト更新方法を説明するフローチャートである。
【図11】(a)〜(f)は、図9に示すデータフォーマットの内、拡張要素のデータ構造の一例である。
【図12】図9に示すデータフォーマットの種別コードの一例である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係るデジタル放送送受信システムにおいて、デジタル放送受信装置の自動選局方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、図面を参照して、本発明の第1及び第2の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、以下に示す第1及び第2の実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法、及びこれらの装置に用いられるプログラムを例示するものであって、本発明の技術的思想は、下記の実施の形態に例示した装置や方法、及びこれらの装置に用いられるプログラムに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0017】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係るデジタル放送送受信システムは、図1に示すように、各放送局の物理チャンネル(周波数)を示すチャンネル情報、及び各放送局の位置を示す放送局位置情報を含む放送局リスト51をデジタル放送に含めて放送する特定放送局5と、特定放送局5を含む種々の放送局のデジタル放送を受信するデジタル放送受信装置1とを備える。
【0018】
デジタル放送受信装置1は、各放送局からの放送を受信する放送用受信部11と、GPS(Global Positioning System)衛星からの送信される信号に基づいて現在位置を示す現在位置情報を取得する現在位置情報取得部12と、音声出力部15と、操作入力部21と、表示部22と、デジタル放送受信装置1が行う種々の演算を処理し、デジタル放送受信装置1を制御する処理部3と、各種データや、プログラム等を記憶する記憶部4とを備える。デジタル放送受信装置1は、各放送局からのデジタル放送を受信する可搬型の受信装置であり、例えば、車両(図示省略)に設置され、カーナビゲーションシステム、カーオーディオ、ビデオ装置等と一体に構成されることが可能である。
【0019】
放送用受信部11は、各放送局から放送される信号を受信する放送用アンテナ111と、処理部3の制御により、放送用アンテナ111が受信した信号の各周波数に同調するチューナ部112とを備える。放送局リスト51は、デジタル放送を介して送信される以外に、路側に設置された機器と車両との通信に使用されるDSRC(Dedicated Short Range Communication)や、無線インターネット通信、携帯電話回線等を介してデジタル放送受信装置1に送信されても良い。
【0020】
チューナ部112は、設定される所定周波数の放送波の電波強度やC/N比を測定し受信可能か否かを検出する機能や、受信した放送波のセグメント構成やセグメント毎の変調方式や符号化率などの伝送パラメータを示すTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)情報を読み出す機能を備えている。
【0021】
チューナ部112は、デジタル放送波のうちワンセグ放送の放送波のみ受信できるものであっても良いし、広帯域放送(フルセグ放送または12セグ放送とも呼ぶ)とワンセグ放送の両方の放送波を受信可能なものであっても良い。
【0022】
現在位置情報取得部12は、例えば、GPS衛星から送信される信号を受信するGPS用アンテナ121と、GPS用アンテナ121が受信した信号に基づいて、デジタル放送受信装置1の現在位置を示す現在位置情報を算出する現在位置情報算出部122とを備える。現在位置情報を取得する方式は、GPSに限るものでなく、他の方式により現在位置情報を取得しても良い。
【0023】
音声出力部15は、放送用受信部11が受信したデジタル放送のオーディオデータをデコードし、スピーカ等の出力装置から音声を出力する。
【0024】
操作入力部21は、各種スイッチ等の操作入力装置で構成され、ユーザの操作に応じて異なる信号を処理部3に出力する。表示部22は、LCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイ装置で構成される。操作入力部21及び表示部22は、操作入力装置とディスプレイ装置を応用した構成として、タッチパネル2を採用しても良い。操作入力部21は、タッチパネル2に加え、押しボタン(図8、210,211参照)を備えるようにしても良い。
【0025】
記憶部4は、デジタル放送受信装置1が行う処理に必要な一連のプログラム等を格納する他、SDTT等の、処理に必要な一時記憶域として用いることができる。記憶部4は、例えば、SRAM、DRAM等の揮発性の記憶装置からなる主記憶装置や、ハードディスク(HD)等の磁気ディスク、磁気テープ、光ディスク、光磁気ディスク等の不揮発性の記憶装置からなる補助記憶装置である。補助記憶装置としては、その他、RAMディスク、ICカード、フラッシュメモリカード、USBフラッシュメモリ、フラッシュディスク(SSD)等が使用可能である。
【0026】
処理部3は、放送局リスト処理部31と、距離算出部32と、プリセット処理部33と、放送局情報リスト処理部34と、自動選局処理部35とを論理構造として有する。なお、図1に示す処理部3、記憶部4を構成する各要素は、論理構造としての表示であり、それぞれ別個のハードウェアにより構成されても良い。
【0027】
特定放送局5は、エリアワンセグ放送等のデジタル放送をする各放送局の位置を示す放送局位置情報を含む放送局リスト51を、デジタル放送に含めて放送する送信部52を備えるデジタル放送送信装置である。特定放送局5は、ワンセグ放送局でない通常の広帯域デジタル放送(フルセグ放送、12セグ放送とも呼ぶ)を行う放送局であっても良い。
【0028】
−プリセット−
図2のフローチャートを用いて、第1の実施の形態に係るデジタル放送受信装置1において、視聴可能な放送局をプリセットする方法を説明する。
【0029】
先ず、ステップS101において、現在位置情報取得部12は、GPS用アンテナ121が受信した信号に基づいて現在位置情報算出部122が算出したデジタル放送受信装置1の現在位置情報を取得する。例えば、現在位置情報を、北緯35度41分26.89秒(以下、緯度は35°41’ 26.89Nという書式で記述する)、東経139度42分36.22度(以下、経度は139°42’ 26.22Eという書式で記述する)とする。
【0030】
ステップS102において、処理部3の放送局リスト処理部31は、チューナ部112に、放送局リスト51を含む信号を放送する特定放送局5の周波数に同調させ、特定放送局5に選局させる。
【0031】
ステップS103において、放送局リスト処理部31は、特定放送局5が放送し、放送用受信部11が受信して得た放送局リスト51を放送用受信部11から取得し、記憶部4に、放送局リスト41として記憶させる。
【0032】
本発明の第1の実施の形態において、特定放送局5が放送する、放送局リスト51を記述するデータフォーマットは、例えば、図3に示すように、非特許文献1の表5−13「周波数リスト・変更情報のシンタックス」を拡張した書式によって記述される。図3に示すデータ構造の項の内、斜体で示す「new_location_latitude」、「new_location_longitude」、「location_latitude」、「location_longitude」の4つの項が、拡張により新たに追加した項である。
【0033】
「new_location_latitude」は、周波数、出力等の放送局の仕様変更後、または新規に稼働開始した放送局の緯度を示す。「new_location_longitude」は、仕様変更後または新規に稼働開始した放送局の経度を示す。「location_latitude」は、仕様変更のない放送局の緯度を示す。「location_longitude」は、仕様変更のない放送局の経度を示す。図3のビット数の項「32」は、データ幅が32ビット、ビット列表記「simsbf」は、最上位ビットが先頭であり符号付整数であることを表す。
【0034】
放送局の緯度を示す「new_location_latitude」、及び「location_latitude」の項のデータは、図4に示すように、放送局の緯度が北緯の場合、上位8ビットを全て0とし、上位9ビット目から32ビット目は緯度を度単位に変換し、10万倍した値の整数部分を記述される。放送局の緯度が南緯の場合は、上位8ビットは1とし、上位9ビット目から32ビット目までは緯度を度単位に変換し、10万倍した値の整数部分の2の補数を記述される。例えば、仕様変更後または新規に稼働開始した放送局の緯度35°41’ 26.89Nを度単位にすると、35.69080278度となる。10万倍すると3569080.278、小数点以下を四捨五入すると3569080となる。これを16進数表記(Hex値)に変換すると、0x00367568となる。北緯を正、南緯を負として表すので、35°41’ 26.89Nの場合、「new_location_latitude」は、0x00367568となる。
【0035】
放送局の経度を示す「new_location_longitude」、及び「location_longitude」の項のデータは、図4に示すように、放送局の経度が東経の場合、上位7ビットを全て0とし、上位8ビット目から32ビット目は経度を度単位に変換し、10万倍した値の整数部分を記述される。放送局の経度が成形の場合は、上位7ビットを全て1とし、上位8ビット目から32ビット目は経度を度単位に変換し、10万倍した値の整数部分の2の補数を記述される。例えば、仕様変更後または新規に稼働開始した放送局の経度139°42’ 26.22Eを度単位にすると、139.7072833度となる。10万倍すると13970728.33、小数点以下を四捨五入すると13970728となる。これを16進数表記(Hex値)に変換すると、0xd52d28となる。東経を正、西経を負として表すので、139°42’ 26.22Eの場合、「new_location_longitude」は、0x00d52d28となる。
【0036】
放送局リスト41は、例えば、図5に示すように、各放送局の物理チャンネルと、各放送局の位置を示す放送局位置情報として、各放送局の緯度、経度とを含む。放送局リスト41は、その他、図3に示すデータフォーマットの様に、種々のパラメータを含むことができる。
【0037】
ステップS104において、距離算出部32は、ステップS103において記憶部4に記憶させた、放送局リスト41に記述される放送局の内、1つの放送局にポインタを設定する。
【0038】
ステップS105において、距離算出部32は、ポインタを設定された放送局について、放送局リスト41の放送局位置情報と、ステップS101において現在位置情報取得部12が取得した現在位置情報とから、現在位置から放送局までの距離を算出する。例えば、デジタル放送受信装置1の現在位置35°41’ 26.89E、139°42’ 26.22E、と放送局の位置35°41’ 21.71E、139°42’ 27.91Eの場合、その間の距離は244.8mとなる。距離算出部32により算出された距離は、ステップS106において、放送局リスト41の各放送局の欄に付加される。
【0039】
ステップS107において、距離算出部32は、直前のステップS106において距離を算出された放送局が、放送局リスト41内の最終放送局か否かを判定する。最終放送局と判定する場合は、ポインタを解除し、ステップS109に進む。最終放送局と判定しない場合はステップS108に進み、放送局リスト41の内、未だ距離が算出されない次の放送局にポインタを設定し、ステップS105に戻る。
【0040】
ステップS109において、プリセット処理部33は、各放送局までの距離がそれぞれ付加された放送局リスト41を、図6に示すように、距離の近い放送局順にソーティングする。
【0041】
ステップS110において、プリセット処理部33は、プリセット番号の1つを設定する。例えば、プリセット番号が「1」〜「5」(図7、図8参照)まで準備されるとすると、未だプリセットされていないプリセット番号の内、最も小さい番号を設定すれば良い。
【0042】
ステップS111において、プリセット処理部33は、例えば、距離の近い放送局順にソーティングされた放送局リスト41のうち、最も距離の近い放送局にポインタを設定する。ステップS112において、プリセット処理部33は、放送局リスト41の、ポインタが設定された放送局までの距離が、所定の閾値より小さいか否かを判定する。所定の閾値より小さいと判定する場合は、ステップS113に進み、設定されているプリセット番号と、ポインタが設定されている放送局の物理チャンネルとを関連付け、図7に示すように、プリセット情報42として記憶部4に記憶することでプリセットする。ステップS112において所定の閾値以上と判定する場合は終了する。例えば、閾値を150mとすると、図6において、35ch、29chの放送局は、図7に示すプリセット情報のようにプリセットされないことになる。
【0043】
ステップS114において、プリセット処理部33は、直前のステップS113においてプリセットされた放送局が、放送局リスト41内の最終放送局か否かを判定する。最終放送局と判定する場合は、ポインタを解除し、終了する。最終放送局と判定しない場合はステップS115に進み、直前のステップS113においてプリセットされたプリセット番号が、準備されるプリセット番号の内、最終プリセット番号か否かを判定する。最終プリセット番号と判定する場合は、終了する。最終プリセット番号と判定しない場合は、ステップS116に進み、未だプリセットされない次のプリセット番号を設定し、ステップS117において、未だプリセットされない放送局リスト41内の次の放送局にポインタを設定し、ステップS112に戻る。
【0044】
なお、上記の例では、プリセット番号は小さい順(昇順)に各放送局の物理チャンネルと関連付けたが、ユーザの使用状況によっては、大きい順(降順)に関連付けても良いし、その他の規則に則って関連付けてもかまわない。
【0045】
以上のように、プリセット処理が完了すると、ユーザが、例えば図8に示すプリセット番号「1」〜「4」にそれぞれ対応するプリセットボタン211a〜211dを押下することにより、処理部3は、プリセット情報42を参照して、プリセット番号に対応する物理チャンネル(周波数)をチューナ部112に選局させることができる。
【0046】
デジタル放送受信装置1によれば、放送局リストが、各放送局の放送局位置情報を含むので、放送局リストから各放送局までの距離を算出できる。よって、各放送局までの距離に基づいてプリセット処理を行うことにより、放送エリアの狭いエリアワンセグにおいて、視聴可能な放送局を確実に選択することができる。
【0047】
−応用例−
本発明の第1の実施の形態に係るデジタル放送送受信システムに用いるデジタル放送受信装置1を、既存のナビゲーションシステムに応用することにより、図8に示すように、プリセット情報42のプリセット番号と、各放送局とをタッチパネル2上に表示させることができる。
【0048】
記憶部4に記憶されるプリセット情報42の各放送局の位置情報は既知であるので、カーナビゲーションシステムにおいて、プリセット情報42の各放送局を、地図と共に表示部22に表示させることができる。更に、現在位置情報から、地図上に車両位置をアイコン223のように表示させることが可能である。タッチパネル2に送信所とそのプリセット番号、車両位置を表示させることにより、ユーザは、どこのエリアの送信所、例えば遊園地の送信所なのか、ショッピングセンターの送信所なのかを、それぞれの送信所のプリセット番号と共に、地図上で確認できる。
【0049】
また、タッチパネル2上に表示される各放送局の領域221、プリセット番号の領域222を操作することにより、操作された領域に対応する放送局を選局することができる。これにより、視聴可能な放送局をより容易に選局したり、進行方向にある放送局の放送を容易に選局したりすることができる。
【0050】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係るデジタル放送受信装置1は、第1の実施の形態において説明した放送局リストと、カーナビゲーションシステムなどに代表される移動体道路案内システムの地点情報とを応用した放送局情報リストを用いて、自動的に選局を行うことができる。第2の実施の形態において、第1の実施の形態と実質的に同様の構成については重複する説明を省略する。
【0051】
第2の実施の形態において説明する移動体道路案内システム用放送局情報リスト43は、移動体道路案内システムのデータベースの一部として、予め記憶部4に記憶されている。移動体道路案内システム用放送局情報リスト43は、例えば、図9に示すように、カーナビゲーションシステムのデータベースに用いられるフォーマットのひとつであるKIWIフォーマット(JISD0810「カーナビゲーションシステム用地図データ格納フォーマット」等参照)の、車両の周辺の施設を検索するための地点情報であるPOI(Point Of Interest)情報を拡張した書式で記述される。移動体道路案内システム用放送局情報リスト43は、1つの放送局に対して図9に示すような放送局情報を1つ有する。
【0052】
例えば、項番「1」、用途「RLXY」には、放送局位置情報として、放送局の経度、緯度座標が記述される。項番「14」の種別コードには、放送局が存在する施設の種別コードが記述される。種別コードは、例えば図12に示すように、放送局がガソリンスタンドに存在する場合、0x4080と記述される。なお、種別コードは、系列店を識別することも可能なように複数の種別コードが割り振られている。項番「15」の付帯施設/種別コードには、放送局であることを示す種別コードを記述する。例えば、電波等を表すのに使用されている0x0405を使用しても良い。なお、図9の記述タイプと記述宣言に使用されている略号は、JISD0810等に説明される通りである。
【0053】
図9に示す項番の内、「27」〜「32」の6つの項が、拡張により新たに追加した項である。これら6つの項は、非特許文献1において定義された内容を用いることができる。
【0054】
項番「27」、用途「BAID」は、放送局の存在する地域を識別する地域識別(area_code)を示す。地域識別は、例えば、図11(a)に示すように、8ビットのデータ幅を有し、下位6ビットに記述される。例えば関東広域圏の地域識別は1である。
【0055】
項番「28」、用途「BPCH」は、放送局の物理チャンネル(physical_ch)を示す。物理チャンネルは、図11(b)に示すように、8ビットのデータ幅を有し、下位6ビットに記述される。例えば関東広域圏のNHK総合の物理チャンネルは27である。
【0056】
項番「29」、用途「BCNM」は、放送局の放送事業者名(terrestrial_broadcaster_id)を示す。放送事業者名は、例えば、図11(c)に示すように、n文字の名称に対して16×nビットで記述される。
【0057】
項番「30」、用途「BSID」は、放送サービスID(service_id)を記述する。放送サービスIDは、例えば、図11(d)に示すように16ビットで記述される。例えば、関東広域圏のNHK総合のワンセグの放送サービスIDは0x0580〜0x0587である。
【0058】
項番「31」、用途「BRID」を、放送局のリモコンID(remote_control_key_id)を示す。リモコンIDは、例えば、図11(e)に示すように、8ビットのデータ幅を有し、下位4ビットに記述される。例えば、関東広域圏のNHK総合のリモコンIDは1である。
【0059】
項番「32」、用途「BNUM」は、放送局の枝番を示す。枝番は、例えば図11(e)に示すように、8ビットのデータ幅を有し、下位4ビットに記述される。例えば、関東広域圏のNHK総合の枝番は0である。
【0060】
−放送局情報リスト更新−
図10のフローチャートを用いて、記憶部4に記憶された移動体道路案内システム用放送局情報リスト43を更新する方法を説明する。
【0061】
先ず、ステップS21において、処理部3の放送局リスト処理部31は、チューナ部112に、放送局リスト51を含む信号を放送する特定放送局5の周波数に同調させ、特定放送局5に選局させる。
【0062】
ステップS22において、放送局リスト処理部31は、特定放送局5が放送し、放送用受信部11が受信して得た放送局リスト51を放送用受信部11から取得し、記憶部4に、放送局リスト41として記憶させる。
【0063】
ステップS23において、移動体道路案内システム用放送局情報リスト処理部34は、ステップS22において記憶部4に記憶させた、放送局リスト41に記述される放送局の内、1つの放送局にポインタを設定する。
【0064】
ステップS24において、移動体道路案内システム用放送局情報リスト処理部34は、ポインタを設定された放送局について、放送局リスト41に基づいて、仕様変更後または新規に稼働開始した放送局か否かを判定する。仕様変更後または新規に稼働開始した放送局と判定する場合は、ステップS25に進み、放送局リストのパラメータ変更があるか否かを判定する。パラメータ変更があると判定しない場合は、新規に稼働開始した放送局として、ステップS26において、その稼動開始された放送局の放送局情報を移動体道路案内システム用放送局情報リスト43に追加し、ステップS28に進む。パラメータ変更があると判定する場合は、ステップS27において、仕様変更後の放送局として、移動体道路案内システム用放送局情報リスト43におけるその仕様変更された放送局の放送局情報を更新し、ステップS28に進む。ステップS24において仕様変更後または新規に稼働開始した放送局と判定しない場合は、ステップS28に進む。
【0065】
ステップS28において、移動体道路案内システム用放送局情報リスト処理部34は、ポインタを設定された放送局について、放送局リスト41内の最終放送局か否かを判定する。最終放送局と判定しない場合は、ステップS29に進み、放送局リスト内の次の放送局にポインタを設定し、ステップS24に戻る。最終放送局と判定する場合は、終了する。
【0066】
−自動選局−
図13のフローチャートを用いて、第2の実施の形態に係るデジタル放送送受信システムにおいて、デジタル放送受信装置1が、視聴可能な放送局を自動的に選局する方法を説明する。
【0067】
先ず、ステップS301において、現在位置情報取得部12は、GPS用アンテナ121が受信した信号に基づいて現在位置情報算出部122が算出した現在位置情報を取得する。
【0068】
ステップS302において、処理部3の自動選局処理部35は、移動体道路案内システム用放送局情報リスト43の項番「27」、放送地域識別を参照し、ステップS301において現在位置情報取得部12が取得した現在位置情報の放送地域識別(area_code)と合致する放送地域識別を有する放送局情報の放送局を全て読み出す。
【0069】
ステップS303において、処理部3の距離算出部32は、ステップS302において読み出した放送局の内、1つの放送局にポインタを設定する。
【0070】
ステップS304において、距離算出部32は、ポインタを設定された放送局について、放送局情報の項番「1」の放送局位置情報と、ステップS301において現在位置情報取得部12が取得した現在位置情報とから、現在位置から放送局までの距離を算出する。
【0071】
ステップS305において、距離算出部32は、直前のステップS304において距離を算出された放送局が、ステップS302において読み出した放送局の内の最終放送局か否かを判定する。最終放送局と判定する場合は、ポインタを解除し、ステップS307に進む。最終放送局と判定しない場合はステップS306に進み、ステップS302において読み出した放送局の内、未だ距離が算出されない次の放送局にポインタを設定し、ステップS304に戻る。
【0072】
ステップS307において、自動選局処理部35は、ステップS304において現在位置からの距離を算出された放送局の内、最も現在位置からの距離が近い放送局を選択する。ステップS308において、自動選局処理部35は、ステップS307において選択した放送局の、現在位置からの距離が、所定の閾値より近いか否かを判定する。ステップS308における判定処理は、放送エリアが狭いエリアワンセグ放送が受信できることを確認するために行われる。
【0073】
ステップS308において所定の閾値より近いと判定しない場合、ステップS301に戻る。所定の閾値より近いと判定する場合、ステップS309において、自動選局処理部35は、放送用受信部11に、ステップS307において選択した放送局を選局させる。ステップS310において、ステップS309において選局した放送局を視聴可能か否かを判定し、視聴できない場合、ステップS301に戻る。
【0074】
以上のように、POI情報を利用した移動体道路案内システム用放送局情報リストを用いることにより、例えば車両に搭載されたデジタル放送受信装置1の現在位置により、視聴可能な放送局を自動的に選局することができる。移動体道路案内システム用放送局情報リストは、各放送局の放送局位置情報を含む放送局リストに基づいて生成されるため、放送局までの距離が分かり、放送エリアの狭いエリアワンセグ放送において、視聴可能な放送局を確実に選択することができる。
【0075】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1及び第2の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0076】
例えば、説明を簡単にするために、放送波を示す情報として周波数情報のみを記述する例を挙げた。しかし、実際には、TMCC情報に記載されている各種情報が放送波を示す情報として記述される。また、選局のために処理部3がチューナ部112に設定する情報も、チャンネル(周波数)情報のみを設定する説明にしているが、実際には、TMCC情報に記載されている各種情報を設定することになる。
【0077】
また、第1の実施の形態において説明したステップS112の判定処理は、放送局までの距離に加え、放送出力等を用いて判定しても良い。
【0078】
また、異なる位置に設置された複数の放送局が同一の放送を同時にする場合、移動体道路案内システム用放送局情報リスト43の項番「14」の種別コードが同じものを優先的に選局するようにしてもよい。これにより、同一の放送をしている送信局が近距離にある場合は、移動体が移動しても継続して視聴することが可能になる。
【0079】
上記の他、第1及び第2の実施の形態を応用した構成等、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0080】
1…デジタル放送受信装置
2…タッチパネル
3…処理部
4…記憶部
5…特定放送局
11…放送用受信部
12…現在位置情報取得部
15…音声出力部
21…操作入力部
22…表示部
31…放送局リスト処理部
32…距離算出部
33…プリセット処理部
34…移動体道路案内システム用放送局情報リスト処理部
35…自動選局処理部
41…放送局リスト
42…プリセット情報
43…移動体道路案内システム用放送局情報リスト
51…放送局リスト
111…放送用アンテナ
112…チューナ部
121…GPS用アンテナ
122…現在位置情報算出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、視聴可能な放送局の選局が容易なデジタル放送送受信システム、デジタル放送受信装置及びデジタル放送送受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
日本国内で運用されている地上デジタル放送では、通常の広帯域放送に加えて、ワンセグ放送(ワンセグメント・ローカルサービス)と呼ばれる携帯受信端末向けを主目的とした狭帯域放送も放送されている。一般にワンセグ放送は、広帯域放送と同じ放送周波数でサイマル放送される。このワンセグ放送の放送エリアを極めて狭い範囲に限定し、広帯域放送とは別のコンテンツの放送に用いるための実証試験が現在行なわれている。この、放送エリアを極めて狭い範囲に限定したワンセグ放送を、以下、「エリアワンセグ放送」と呼ぶ。
【0003】
エリアワンセグ放送は、微弱電力あるいは小電力と呼ばれる極めて小さい送出電力で運用される。微弱電力での放送は、その受信可能エリアは例えば半径3m程度、小電力での放送は、その受信可能エリアは例えば半径100m程度である。エリアワンセグ放送は、例えば、店舗周辺、あるいはイベント会場周辺等、その受信可能エリア(放送対象エリア)における限定的な情報を、動画、音声あるいはデータ放送等のコンテンツによって、その受信可能エリア内にいるユーザのみに的確に提供できる。エリアワンセグ放送の放送局は、地域、時期によって、頻繁に開局、閉局、変更等がなされる。
【0004】
テレビやラジオなどの受信装置において、選局を容易にするための機能として、例えば、入力のための複数のボタンと、視聴する頻度の高い放送局の周波数とを関連付けて記憶させるプリセット機能が知られている。特許文献1では、電話の市外局番等の地域を特定する地域記号を入力すると、その地域に対応する周波数データ(放送局)群を、チューナに自動的にプリセットさせることが提案されている。
【0005】
一方、地上デジタル放送では、デジタル放送に重畳されて送られるSDTT(Software Download Trigger Table)と呼ばれる信号を用いて、新規放送局の運用の開始や、既存放送局の周波数等の変更を受信装置に告知することができる(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−206784号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】地上デジタルテレビジョン放送運用規定 技術資料 ARIB TR−B14 4.3版 社団法人 電波産業会
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
視聴可能なエリアワンセグ放送の放送局をプリセットする場合、特許文献1の方法では、地域記号と放送局を関連付けた書き換え不可能なテーブルを使うため、エリアワンセグ放送の放送局のように地域、時期等によって頻繁に変化するものには対応できない。全放送局の周波数をスキャンすることによって受信可能な放送局を調べ、プリセットすることは可能である。しかし、スキャンに時間がかかること、移動するたびスキャンが必要という問題がある。
【0009】
外部から取得されるエリアワンセグ放送局の情報によって、視聴可能な放送局の周波数を取得することが考えられる。非特許文献1に記載された周波数リスト・変更情報等のSDTTによって新規放送局の情報を得る場合、受信可能エリアが非常に狭く、放送局の詳細な位置情報がSDTTに含まれていないため、受信装置の位置においてエリアワンセグ放送を受信可能か判断することが困難である。
【0010】
本発明は、上記問題を鑑み、視聴可能な放送局を容易に選局することができるデジタル放送送受信システム、デジタル放送受信装置及びデジタル放送送受信方法することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、各放送局の位置を示す放送局位置情報と前記各放送局のチャンネル情報とを含む放送局リスト(51)を、デジタル放送に含めて放送する送信部(52)を備えるデジタル放送送信装置(5)と、前記デジタル放送を受信して、このデジタル放送に含まれる前記放送局リスト(51)を取得する放送用受信部(11)、現在位置情報を取得する現在位置情報取得部(12)、前記放送用受信部(11)が取得した前記放送局リストに含まれる前記放送局位置情報と前記現在位置情報取得部(12)が取得した前記現在位置情報とから、現在位置から各放送局までの距離をそれぞれ算出する距離算出部(32)、前記距離算出部(32)が算出した前記現在位置から各放送局までの距離に基づいて、前記各放送局のチャンネル情報にプリセット番号をそれぞれ関連付けたプリセット情報(42)を記憶部(4)に記憶させるプリセット処理部(33)を備えるデジタル放送受信装置とを備えるデジタル放送送受信システムであることを要旨とする。
【0012】
本発明の第2の態様は、各放送局の位置を示す放送局位置情報と前記各放送局のチャンネル情報とを含む放送局リスト(51)を含んで放送されるデジタル放送を受信して、前記放送局リストを取得する放送用受信部(11)と、現在位置情報を取得する現在位置情報取得部(12)と、前記放送用受信部(11)が取得した前記放送局リストに含まれる前記放送局位置情報と前記現在位置情報取得部(12)が取得した前記現在位置情報とから、現在位置から各放送局までの距離をそれぞれ算出する距離算出部(32)と、前記距離算出部(32)が算出した前記現在位置から各放送局までの距離に基づいて、前記各放送局のチャンネル情報にプリセット番号をそれぞれ関連付けたプリセット情報を記憶部(4)に記憶させるプリセット処理部(33)とを備えるデジタル放送受信装置(1)であることを要旨とする。
【0013】
本発明の第3の態様は、デジタル放送送信装置(5)が、各放送局の位置を示す放送局位置情報と前記各放送局のチャンネル情報とを含む放送局リスト(51)を、デジタル放送に含めて放送する送信ステップと、デジタル放送受信装置(1)が、前記デジタル放送を受信して、このデジタル放送に含まれる前記放送局リストを取得する受信ステップと、
現在位置情報を取得する現在位置情報取得ステップと、前記放送用受信ステップにおいて取得した前記放送局リストに含まれる前記放送局位置情報と前記現在位置情報取得ステップにおいて取得した前記現在位置情報とから、現在位置から各放送局までの距離をそれぞれ算出する距離算出ステップと、前記距離算出ステップにおいて算出した前記現在位置から各放送局までの距離に基づいて、前記各放送局のチャンネル情報にプリセット番号をそれぞれ関連付けたプリセット情報を記憶するプリセット処理ステップとを含むデジタル放送送受信方法であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、視聴可能な放送局を容易に選局することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るデジタル放送送受信システムの基本的な構成を説明する模式的なブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るデジタル放送送受信システムにおいて、デジタル放送受信装置のプリセット方法を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るデジタル放送送受信システムにおいて、特定放送局が送信する放送局リストのデータフォーマットの一例である。
【図4】図3に示すデータフォーマットの内、拡張要素のデータ構造の一例である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るデジタル放送送受信システムに用いる放送局リストを図示した一例である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係るデジタル放送送受信システムにおいて、デジタル放送受信装置のプリセット方法を説明する図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係るデジタル放送送受信システムにおいて、デジタル放送受信装置のプリセット情報を説明する図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態の応用例に係るデジタル放送送受信システムにおいて、デジタル放送受信装置を図示した一例である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るデジタル放送送受信システムにおいて、デジタル放送受信装置の放送局情報リストのデータフォーマットの一例である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係るデジタル放送送受信システムにおいて、デジタル放送受信装置の放送局情報リスト更新方法を説明するフローチャートである。
【図11】(a)〜(f)は、図9に示すデータフォーマットの内、拡張要素のデータ構造の一例である。
【図12】図9に示すデータフォーマットの種別コードの一例である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係るデジタル放送送受信システムにおいて、デジタル放送受信装置の自動選局方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、図面を参照して、本発明の第1及び第2の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、以下に示す第1及び第2の実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法、及びこれらの装置に用いられるプログラムを例示するものであって、本発明の技術的思想は、下記の実施の形態に例示した装置や方法、及びこれらの装置に用いられるプログラムに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0017】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係るデジタル放送送受信システムは、図1に示すように、各放送局の物理チャンネル(周波数)を示すチャンネル情報、及び各放送局の位置を示す放送局位置情報を含む放送局リスト51をデジタル放送に含めて放送する特定放送局5と、特定放送局5を含む種々の放送局のデジタル放送を受信するデジタル放送受信装置1とを備える。
【0018】
デジタル放送受信装置1は、各放送局からの放送を受信する放送用受信部11と、GPS(Global Positioning System)衛星からの送信される信号に基づいて現在位置を示す現在位置情報を取得する現在位置情報取得部12と、音声出力部15と、操作入力部21と、表示部22と、デジタル放送受信装置1が行う種々の演算を処理し、デジタル放送受信装置1を制御する処理部3と、各種データや、プログラム等を記憶する記憶部4とを備える。デジタル放送受信装置1は、各放送局からのデジタル放送を受信する可搬型の受信装置であり、例えば、車両(図示省略)に設置され、カーナビゲーションシステム、カーオーディオ、ビデオ装置等と一体に構成されることが可能である。
【0019】
放送用受信部11は、各放送局から放送される信号を受信する放送用アンテナ111と、処理部3の制御により、放送用アンテナ111が受信した信号の各周波数に同調するチューナ部112とを備える。放送局リスト51は、デジタル放送を介して送信される以外に、路側に設置された機器と車両との通信に使用されるDSRC(Dedicated Short Range Communication)や、無線インターネット通信、携帯電話回線等を介してデジタル放送受信装置1に送信されても良い。
【0020】
チューナ部112は、設定される所定周波数の放送波の電波強度やC/N比を測定し受信可能か否かを検出する機能や、受信した放送波のセグメント構成やセグメント毎の変調方式や符号化率などの伝送パラメータを示すTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)情報を読み出す機能を備えている。
【0021】
チューナ部112は、デジタル放送波のうちワンセグ放送の放送波のみ受信できるものであっても良いし、広帯域放送(フルセグ放送または12セグ放送とも呼ぶ)とワンセグ放送の両方の放送波を受信可能なものであっても良い。
【0022】
現在位置情報取得部12は、例えば、GPS衛星から送信される信号を受信するGPS用アンテナ121と、GPS用アンテナ121が受信した信号に基づいて、デジタル放送受信装置1の現在位置を示す現在位置情報を算出する現在位置情報算出部122とを備える。現在位置情報を取得する方式は、GPSに限るものでなく、他の方式により現在位置情報を取得しても良い。
【0023】
音声出力部15は、放送用受信部11が受信したデジタル放送のオーディオデータをデコードし、スピーカ等の出力装置から音声を出力する。
【0024】
操作入力部21は、各種スイッチ等の操作入力装置で構成され、ユーザの操作に応じて異なる信号を処理部3に出力する。表示部22は、LCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイ装置で構成される。操作入力部21及び表示部22は、操作入力装置とディスプレイ装置を応用した構成として、タッチパネル2を採用しても良い。操作入力部21は、タッチパネル2に加え、押しボタン(図8、210,211参照)を備えるようにしても良い。
【0025】
記憶部4は、デジタル放送受信装置1が行う処理に必要な一連のプログラム等を格納する他、SDTT等の、処理に必要な一時記憶域として用いることができる。記憶部4は、例えば、SRAM、DRAM等の揮発性の記憶装置からなる主記憶装置や、ハードディスク(HD)等の磁気ディスク、磁気テープ、光ディスク、光磁気ディスク等の不揮発性の記憶装置からなる補助記憶装置である。補助記憶装置としては、その他、RAMディスク、ICカード、フラッシュメモリカード、USBフラッシュメモリ、フラッシュディスク(SSD)等が使用可能である。
【0026】
処理部3は、放送局リスト処理部31と、距離算出部32と、プリセット処理部33と、放送局情報リスト処理部34と、自動選局処理部35とを論理構造として有する。なお、図1に示す処理部3、記憶部4を構成する各要素は、論理構造としての表示であり、それぞれ別個のハードウェアにより構成されても良い。
【0027】
特定放送局5は、エリアワンセグ放送等のデジタル放送をする各放送局の位置を示す放送局位置情報を含む放送局リスト51を、デジタル放送に含めて放送する送信部52を備えるデジタル放送送信装置である。特定放送局5は、ワンセグ放送局でない通常の広帯域デジタル放送(フルセグ放送、12セグ放送とも呼ぶ)を行う放送局であっても良い。
【0028】
−プリセット−
図2のフローチャートを用いて、第1の実施の形態に係るデジタル放送受信装置1において、視聴可能な放送局をプリセットする方法を説明する。
【0029】
先ず、ステップS101において、現在位置情報取得部12は、GPS用アンテナ121が受信した信号に基づいて現在位置情報算出部122が算出したデジタル放送受信装置1の現在位置情報を取得する。例えば、現在位置情報を、北緯35度41分26.89秒(以下、緯度は35°41’ 26.89Nという書式で記述する)、東経139度42分36.22度(以下、経度は139°42’ 26.22Eという書式で記述する)とする。
【0030】
ステップS102において、処理部3の放送局リスト処理部31は、チューナ部112に、放送局リスト51を含む信号を放送する特定放送局5の周波数に同調させ、特定放送局5に選局させる。
【0031】
ステップS103において、放送局リスト処理部31は、特定放送局5が放送し、放送用受信部11が受信して得た放送局リスト51を放送用受信部11から取得し、記憶部4に、放送局リスト41として記憶させる。
【0032】
本発明の第1の実施の形態において、特定放送局5が放送する、放送局リスト51を記述するデータフォーマットは、例えば、図3に示すように、非特許文献1の表5−13「周波数リスト・変更情報のシンタックス」を拡張した書式によって記述される。図3に示すデータ構造の項の内、斜体で示す「new_location_latitude」、「new_location_longitude」、「location_latitude」、「location_longitude」の4つの項が、拡張により新たに追加した項である。
【0033】
「new_location_latitude」は、周波数、出力等の放送局の仕様変更後、または新規に稼働開始した放送局の緯度を示す。「new_location_longitude」は、仕様変更後または新規に稼働開始した放送局の経度を示す。「location_latitude」は、仕様変更のない放送局の緯度を示す。「location_longitude」は、仕様変更のない放送局の経度を示す。図3のビット数の項「32」は、データ幅が32ビット、ビット列表記「simsbf」は、最上位ビットが先頭であり符号付整数であることを表す。
【0034】
放送局の緯度を示す「new_location_latitude」、及び「location_latitude」の項のデータは、図4に示すように、放送局の緯度が北緯の場合、上位8ビットを全て0とし、上位9ビット目から32ビット目は緯度を度単位に変換し、10万倍した値の整数部分を記述される。放送局の緯度が南緯の場合は、上位8ビットは1とし、上位9ビット目から32ビット目までは緯度を度単位に変換し、10万倍した値の整数部分の2の補数を記述される。例えば、仕様変更後または新規に稼働開始した放送局の緯度35°41’ 26.89Nを度単位にすると、35.69080278度となる。10万倍すると3569080.278、小数点以下を四捨五入すると3569080となる。これを16進数表記(Hex値)に変換すると、0x00367568となる。北緯を正、南緯を負として表すので、35°41’ 26.89Nの場合、「new_location_latitude」は、0x00367568となる。
【0035】
放送局の経度を示す「new_location_longitude」、及び「location_longitude」の項のデータは、図4に示すように、放送局の経度が東経の場合、上位7ビットを全て0とし、上位8ビット目から32ビット目は経度を度単位に変換し、10万倍した値の整数部分を記述される。放送局の経度が成形の場合は、上位7ビットを全て1とし、上位8ビット目から32ビット目は経度を度単位に変換し、10万倍した値の整数部分の2の補数を記述される。例えば、仕様変更後または新規に稼働開始した放送局の経度139°42’ 26.22Eを度単位にすると、139.7072833度となる。10万倍すると13970728.33、小数点以下を四捨五入すると13970728となる。これを16進数表記(Hex値)に変換すると、0xd52d28となる。東経を正、西経を負として表すので、139°42’ 26.22Eの場合、「new_location_longitude」は、0x00d52d28となる。
【0036】
放送局リスト41は、例えば、図5に示すように、各放送局の物理チャンネルと、各放送局の位置を示す放送局位置情報として、各放送局の緯度、経度とを含む。放送局リスト41は、その他、図3に示すデータフォーマットの様に、種々のパラメータを含むことができる。
【0037】
ステップS104において、距離算出部32は、ステップS103において記憶部4に記憶させた、放送局リスト41に記述される放送局の内、1つの放送局にポインタを設定する。
【0038】
ステップS105において、距離算出部32は、ポインタを設定された放送局について、放送局リスト41の放送局位置情報と、ステップS101において現在位置情報取得部12が取得した現在位置情報とから、現在位置から放送局までの距離を算出する。例えば、デジタル放送受信装置1の現在位置35°41’ 26.89E、139°42’ 26.22E、と放送局の位置35°41’ 21.71E、139°42’ 27.91Eの場合、その間の距離は244.8mとなる。距離算出部32により算出された距離は、ステップS106において、放送局リスト41の各放送局の欄に付加される。
【0039】
ステップS107において、距離算出部32は、直前のステップS106において距離を算出された放送局が、放送局リスト41内の最終放送局か否かを判定する。最終放送局と判定する場合は、ポインタを解除し、ステップS109に進む。最終放送局と判定しない場合はステップS108に進み、放送局リスト41の内、未だ距離が算出されない次の放送局にポインタを設定し、ステップS105に戻る。
【0040】
ステップS109において、プリセット処理部33は、各放送局までの距離がそれぞれ付加された放送局リスト41を、図6に示すように、距離の近い放送局順にソーティングする。
【0041】
ステップS110において、プリセット処理部33は、プリセット番号の1つを設定する。例えば、プリセット番号が「1」〜「5」(図7、図8参照)まで準備されるとすると、未だプリセットされていないプリセット番号の内、最も小さい番号を設定すれば良い。
【0042】
ステップS111において、プリセット処理部33は、例えば、距離の近い放送局順にソーティングされた放送局リスト41のうち、最も距離の近い放送局にポインタを設定する。ステップS112において、プリセット処理部33は、放送局リスト41の、ポインタが設定された放送局までの距離が、所定の閾値より小さいか否かを判定する。所定の閾値より小さいと判定する場合は、ステップS113に進み、設定されているプリセット番号と、ポインタが設定されている放送局の物理チャンネルとを関連付け、図7に示すように、プリセット情報42として記憶部4に記憶することでプリセットする。ステップS112において所定の閾値以上と判定する場合は終了する。例えば、閾値を150mとすると、図6において、35ch、29chの放送局は、図7に示すプリセット情報のようにプリセットされないことになる。
【0043】
ステップS114において、プリセット処理部33は、直前のステップS113においてプリセットされた放送局が、放送局リスト41内の最終放送局か否かを判定する。最終放送局と判定する場合は、ポインタを解除し、終了する。最終放送局と判定しない場合はステップS115に進み、直前のステップS113においてプリセットされたプリセット番号が、準備されるプリセット番号の内、最終プリセット番号か否かを判定する。最終プリセット番号と判定する場合は、終了する。最終プリセット番号と判定しない場合は、ステップS116に進み、未だプリセットされない次のプリセット番号を設定し、ステップS117において、未だプリセットされない放送局リスト41内の次の放送局にポインタを設定し、ステップS112に戻る。
【0044】
なお、上記の例では、プリセット番号は小さい順(昇順)に各放送局の物理チャンネルと関連付けたが、ユーザの使用状況によっては、大きい順(降順)に関連付けても良いし、その他の規則に則って関連付けてもかまわない。
【0045】
以上のように、プリセット処理が完了すると、ユーザが、例えば図8に示すプリセット番号「1」〜「4」にそれぞれ対応するプリセットボタン211a〜211dを押下することにより、処理部3は、プリセット情報42を参照して、プリセット番号に対応する物理チャンネル(周波数)をチューナ部112に選局させることができる。
【0046】
デジタル放送受信装置1によれば、放送局リストが、各放送局の放送局位置情報を含むので、放送局リストから各放送局までの距離を算出できる。よって、各放送局までの距離に基づいてプリセット処理を行うことにより、放送エリアの狭いエリアワンセグにおいて、視聴可能な放送局を確実に選択することができる。
【0047】
−応用例−
本発明の第1の実施の形態に係るデジタル放送送受信システムに用いるデジタル放送受信装置1を、既存のナビゲーションシステムに応用することにより、図8に示すように、プリセット情報42のプリセット番号と、各放送局とをタッチパネル2上に表示させることができる。
【0048】
記憶部4に記憶されるプリセット情報42の各放送局の位置情報は既知であるので、カーナビゲーションシステムにおいて、プリセット情報42の各放送局を、地図と共に表示部22に表示させることができる。更に、現在位置情報から、地図上に車両位置をアイコン223のように表示させることが可能である。タッチパネル2に送信所とそのプリセット番号、車両位置を表示させることにより、ユーザは、どこのエリアの送信所、例えば遊園地の送信所なのか、ショッピングセンターの送信所なのかを、それぞれの送信所のプリセット番号と共に、地図上で確認できる。
【0049】
また、タッチパネル2上に表示される各放送局の領域221、プリセット番号の領域222を操作することにより、操作された領域に対応する放送局を選局することができる。これにより、視聴可能な放送局をより容易に選局したり、進行方向にある放送局の放送を容易に選局したりすることができる。
【0050】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係るデジタル放送受信装置1は、第1の実施の形態において説明した放送局リストと、カーナビゲーションシステムなどに代表される移動体道路案内システムの地点情報とを応用した放送局情報リストを用いて、自動的に選局を行うことができる。第2の実施の形態において、第1の実施の形態と実質的に同様の構成については重複する説明を省略する。
【0051】
第2の実施の形態において説明する移動体道路案内システム用放送局情報リスト43は、移動体道路案内システムのデータベースの一部として、予め記憶部4に記憶されている。移動体道路案内システム用放送局情報リスト43は、例えば、図9に示すように、カーナビゲーションシステムのデータベースに用いられるフォーマットのひとつであるKIWIフォーマット(JISD0810「カーナビゲーションシステム用地図データ格納フォーマット」等参照)の、車両の周辺の施設を検索するための地点情報であるPOI(Point Of Interest)情報を拡張した書式で記述される。移動体道路案内システム用放送局情報リスト43は、1つの放送局に対して図9に示すような放送局情報を1つ有する。
【0052】
例えば、項番「1」、用途「RLXY」には、放送局位置情報として、放送局の経度、緯度座標が記述される。項番「14」の種別コードには、放送局が存在する施設の種別コードが記述される。種別コードは、例えば図12に示すように、放送局がガソリンスタンドに存在する場合、0x4080と記述される。なお、種別コードは、系列店を識別することも可能なように複数の種別コードが割り振られている。項番「15」の付帯施設/種別コードには、放送局であることを示す種別コードを記述する。例えば、電波等を表すのに使用されている0x0405を使用しても良い。なお、図9の記述タイプと記述宣言に使用されている略号は、JISD0810等に説明される通りである。
【0053】
図9に示す項番の内、「27」〜「32」の6つの項が、拡張により新たに追加した項である。これら6つの項は、非特許文献1において定義された内容を用いることができる。
【0054】
項番「27」、用途「BAID」は、放送局の存在する地域を識別する地域識別(area_code)を示す。地域識別は、例えば、図11(a)に示すように、8ビットのデータ幅を有し、下位6ビットに記述される。例えば関東広域圏の地域識別は1である。
【0055】
項番「28」、用途「BPCH」は、放送局の物理チャンネル(physical_ch)を示す。物理チャンネルは、図11(b)に示すように、8ビットのデータ幅を有し、下位6ビットに記述される。例えば関東広域圏のNHK総合の物理チャンネルは27である。
【0056】
項番「29」、用途「BCNM」は、放送局の放送事業者名(terrestrial_broadcaster_id)を示す。放送事業者名は、例えば、図11(c)に示すように、n文字の名称に対して16×nビットで記述される。
【0057】
項番「30」、用途「BSID」は、放送サービスID(service_id)を記述する。放送サービスIDは、例えば、図11(d)に示すように16ビットで記述される。例えば、関東広域圏のNHK総合のワンセグの放送サービスIDは0x0580〜0x0587である。
【0058】
項番「31」、用途「BRID」を、放送局のリモコンID(remote_control_key_id)を示す。リモコンIDは、例えば、図11(e)に示すように、8ビットのデータ幅を有し、下位4ビットに記述される。例えば、関東広域圏のNHK総合のリモコンIDは1である。
【0059】
項番「32」、用途「BNUM」は、放送局の枝番を示す。枝番は、例えば図11(e)に示すように、8ビットのデータ幅を有し、下位4ビットに記述される。例えば、関東広域圏のNHK総合の枝番は0である。
【0060】
−放送局情報リスト更新−
図10のフローチャートを用いて、記憶部4に記憶された移動体道路案内システム用放送局情報リスト43を更新する方法を説明する。
【0061】
先ず、ステップS21において、処理部3の放送局リスト処理部31は、チューナ部112に、放送局リスト51を含む信号を放送する特定放送局5の周波数に同調させ、特定放送局5に選局させる。
【0062】
ステップS22において、放送局リスト処理部31は、特定放送局5が放送し、放送用受信部11が受信して得た放送局リスト51を放送用受信部11から取得し、記憶部4に、放送局リスト41として記憶させる。
【0063】
ステップS23において、移動体道路案内システム用放送局情報リスト処理部34は、ステップS22において記憶部4に記憶させた、放送局リスト41に記述される放送局の内、1つの放送局にポインタを設定する。
【0064】
ステップS24において、移動体道路案内システム用放送局情報リスト処理部34は、ポインタを設定された放送局について、放送局リスト41に基づいて、仕様変更後または新規に稼働開始した放送局か否かを判定する。仕様変更後または新規に稼働開始した放送局と判定する場合は、ステップS25に進み、放送局リストのパラメータ変更があるか否かを判定する。パラメータ変更があると判定しない場合は、新規に稼働開始した放送局として、ステップS26において、その稼動開始された放送局の放送局情報を移動体道路案内システム用放送局情報リスト43に追加し、ステップS28に進む。パラメータ変更があると判定する場合は、ステップS27において、仕様変更後の放送局として、移動体道路案内システム用放送局情報リスト43におけるその仕様変更された放送局の放送局情報を更新し、ステップS28に進む。ステップS24において仕様変更後または新規に稼働開始した放送局と判定しない場合は、ステップS28に進む。
【0065】
ステップS28において、移動体道路案内システム用放送局情報リスト処理部34は、ポインタを設定された放送局について、放送局リスト41内の最終放送局か否かを判定する。最終放送局と判定しない場合は、ステップS29に進み、放送局リスト内の次の放送局にポインタを設定し、ステップS24に戻る。最終放送局と判定する場合は、終了する。
【0066】
−自動選局−
図13のフローチャートを用いて、第2の実施の形態に係るデジタル放送送受信システムにおいて、デジタル放送受信装置1が、視聴可能な放送局を自動的に選局する方法を説明する。
【0067】
先ず、ステップS301において、現在位置情報取得部12は、GPS用アンテナ121が受信した信号に基づいて現在位置情報算出部122が算出した現在位置情報を取得する。
【0068】
ステップS302において、処理部3の自動選局処理部35は、移動体道路案内システム用放送局情報リスト43の項番「27」、放送地域識別を参照し、ステップS301において現在位置情報取得部12が取得した現在位置情報の放送地域識別(area_code)と合致する放送地域識別を有する放送局情報の放送局を全て読み出す。
【0069】
ステップS303において、処理部3の距離算出部32は、ステップS302において読み出した放送局の内、1つの放送局にポインタを設定する。
【0070】
ステップS304において、距離算出部32は、ポインタを設定された放送局について、放送局情報の項番「1」の放送局位置情報と、ステップS301において現在位置情報取得部12が取得した現在位置情報とから、現在位置から放送局までの距離を算出する。
【0071】
ステップS305において、距離算出部32は、直前のステップS304において距離を算出された放送局が、ステップS302において読み出した放送局の内の最終放送局か否かを判定する。最終放送局と判定する場合は、ポインタを解除し、ステップS307に進む。最終放送局と判定しない場合はステップS306に進み、ステップS302において読み出した放送局の内、未だ距離が算出されない次の放送局にポインタを設定し、ステップS304に戻る。
【0072】
ステップS307において、自動選局処理部35は、ステップS304において現在位置からの距離を算出された放送局の内、最も現在位置からの距離が近い放送局を選択する。ステップS308において、自動選局処理部35は、ステップS307において選択した放送局の、現在位置からの距離が、所定の閾値より近いか否かを判定する。ステップS308における判定処理は、放送エリアが狭いエリアワンセグ放送が受信できることを確認するために行われる。
【0073】
ステップS308において所定の閾値より近いと判定しない場合、ステップS301に戻る。所定の閾値より近いと判定する場合、ステップS309において、自動選局処理部35は、放送用受信部11に、ステップS307において選択した放送局を選局させる。ステップS310において、ステップS309において選局した放送局を視聴可能か否かを判定し、視聴できない場合、ステップS301に戻る。
【0074】
以上のように、POI情報を利用した移動体道路案内システム用放送局情報リストを用いることにより、例えば車両に搭載されたデジタル放送受信装置1の現在位置により、視聴可能な放送局を自動的に選局することができる。移動体道路案内システム用放送局情報リストは、各放送局の放送局位置情報を含む放送局リストに基づいて生成されるため、放送局までの距離が分かり、放送エリアの狭いエリアワンセグ放送において、視聴可能な放送局を確実に選択することができる。
【0075】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1及び第2の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0076】
例えば、説明を簡単にするために、放送波を示す情報として周波数情報のみを記述する例を挙げた。しかし、実際には、TMCC情報に記載されている各種情報が放送波を示す情報として記述される。また、選局のために処理部3がチューナ部112に設定する情報も、チャンネル(周波数)情報のみを設定する説明にしているが、実際には、TMCC情報に記載されている各種情報を設定することになる。
【0077】
また、第1の実施の形態において説明したステップS112の判定処理は、放送局までの距離に加え、放送出力等を用いて判定しても良い。
【0078】
また、異なる位置に設置された複数の放送局が同一の放送を同時にする場合、移動体道路案内システム用放送局情報リスト43の項番「14」の種別コードが同じものを優先的に選局するようにしてもよい。これにより、同一の放送をしている送信局が近距離にある場合は、移動体が移動しても継続して視聴することが可能になる。
【0079】
上記の他、第1及び第2の実施の形態を応用した構成等、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0080】
1…デジタル放送受信装置
2…タッチパネル
3…処理部
4…記憶部
5…特定放送局
11…放送用受信部
12…現在位置情報取得部
15…音声出力部
21…操作入力部
22…表示部
31…放送局リスト処理部
32…距離算出部
33…プリセット処理部
34…移動体道路案内システム用放送局情報リスト処理部
35…自動選局処理部
41…放送局リスト
42…プリセット情報
43…移動体道路案内システム用放送局情報リスト
51…放送局リスト
111…放送用アンテナ
112…チューナ部
121…GPS用アンテナ
122…現在位置情報算出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各放送局の位置を示す放送局位置情報と前記各放送局のチャンネル情報とを含む放送局リストを、デジタル放送に含めて放送する送信部を備えるデジタル放送送信装置と、
前記デジタル放送を受信して、このデジタル放送に含まれる前記放送局リストを取得する放送用受信部、
現在位置情報を取得する現在位置情報取得部、
前記放送用受信部が取得した前記放送局リストに含まれる前記放送局位置情報と前記現在位置情報取得部が取得した前記現在位置情報とから、現在位置から各放送局までの距離をそれぞれ算出する距離算出部、
前記距離算出部が算出した前記現在位置から各放送局までの距離に基づいて、前記各放送局のチャンネル情報にプリセット番号をそれぞれ関連付けたプリセット情報を記憶部に記憶させるプリセット処理部を備えるデジタル放送受信装置と
を備えることを特徴とするデジタル放送送受信システム。
【請求項2】
各放送局の位置を示す放送局位置情報と前記各放送局のチャンネル情報とを含む放送局リストを含んで放送されるデジタル放送を受信して、前記放送局リストを取得する放送用受信部と、
現在位置情報を取得する現在位置情報取得部と、
前記放送用受信部が取得した前記放送局リストに含まれる前記放送局位置情報と前記現在位置情報取得部が取得した前記現在位置情報とから、現在位置から各放送局までの距離をそれぞれ算出する距離算出部と、
前記距離算出部が算出した前記現在位置から各放送局までの距離に基づいて、前記各放送局のチャンネル情報にプリセット番号をそれぞれ関連付けたプリセット情報を記憶部に記憶させるプリセット処理部と
を備えることを特徴とするデジタル放送受信装置。
【請求項3】
デジタル放送送信装置が、各放送局の位置を示す放送局位置情報と前記各放送局のチャンネル情報とを含む放送局リストを、デジタル放送に含めて放送する送信ステップと、
デジタル放送受信装置が、
前記デジタル放送を受信して、このデジタル放送に含まれる前記放送局リストを取得する受信ステップと、
現在位置情報を取得する現在位置情報取得ステップと、
前記放送用受信ステップにおいて取得した前記放送局リストに含まれる前記放送局位置情報と前記現在位置情報取得ステップにおいて取得した前記現在位置情報とから、現在位置から各放送局までの距離をそれぞれ算出する距離算出ステップと、
前記距離算出ステップにおいて算出した前記現在位置から各放送局までの距離に基づいて、前記各放送局のチャンネル情報にプリセット番号をそれぞれ関連付けたプリセット情報を記憶するプリセット処理ステップと
を含むことを特徴とするデジタル放送送受信方法。
【請求項1】
各放送局の位置を示す放送局位置情報と前記各放送局のチャンネル情報とを含む放送局リストを、デジタル放送に含めて放送する送信部を備えるデジタル放送送信装置と、
前記デジタル放送を受信して、このデジタル放送に含まれる前記放送局リストを取得する放送用受信部、
現在位置情報を取得する現在位置情報取得部、
前記放送用受信部が取得した前記放送局リストに含まれる前記放送局位置情報と前記現在位置情報取得部が取得した前記現在位置情報とから、現在位置から各放送局までの距離をそれぞれ算出する距離算出部、
前記距離算出部が算出した前記現在位置から各放送局までの距離に基づいて、前記各放送局のチャンネル情報にプリセット番号をそれぞれ関連付けたプリセット情報を記憶部に記憶させるプリセット処理部を備えるデジタル放送受信装置と
を備えることを特徴とするデジタル放送送受信システム。
【請求項2】
各放送局の位置を示す放送局位置情報と前記各放送局のチャンネル情報とを含む放送局リストを含んで放送されるデジタル放送を受信して、前記放送局リストを取得する放送用受信部と、
現在位置情報を取得する現在位置情報取得部と、
前記放送用受信部が取得した前記放送局リストに含まれる前記放送局位置情報と前記現在位置情報取得部が取得した前記現在位置情報とから、現在位置から各放送局までの距離をそれぞれ算出する距離算出部と、
前記距離算出部が算出した前記現在位置から各放送局までの距離に基づいて、前記各放送局のチャンネル情報にプリセット番号をそれぞれ関連付けたプリセット情報を記憶部に記憶させるプリセット処理部と
を備えることを特徴とするデジタル放送受信装置。
【請求項3】
デジタル放送送信装置が、各放送局の位置を示す放送局位置情報と前記各放送局のチャンネル情報とを含む放送局リストを、デジタル放送に含めて放送する送信ステップと、
デジタル放送受信装置が、
前記デジタル放送を受信して、このデジタル放送に含まれる前記放送局リストを取得する受信ステップと、
現在位置情報を取得する現在位置情報取得ステップと、
前記放送用受信ステップにおいて取得した前記放送局リストに含まれる前記放送局位置情報と前記現在位置情報取得ステップにおいて取得した前記現在位置情報とから、現在位置から各放送局までの距離をそれぞれ算出する距離算出ステップと、
前記距離算出ステップにおいて算出した前記現在位置から各放送局までの距離に基づいて、前記各放送局のチャンネル情報にプリセット番号をそれぞれ関連付けたプリセット情報を記憶するプリセット処理ステップと
を含むことを特徴とするデジタル放送送受信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−191345(P2012−191345A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51920(P2011−51920)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】
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