説明

デジタル画像読み取り装置、デジタル画像読み取り方法およびデジタル画像読み取りプログラム

【課題】走査線上のゴミや汚れなどの状態を的確に判断し、メンテナンス性の向上やユーザの作業の効率化を図ること。
【解決手段】基準色部材を読み取り素子で読み取った画像データに濃淡補正を行うシェーディング補正処理部202と、シェーディング補正処理部202により濃淡補正を施された画像データをユーザからの指示に基づいて画像処理する画像処理部205と、画像処理部205により画像処理を施された画像データを記憶し、装置に対して着脱可能なSD−CARDメモリ220と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像を読み取るデジタル画像読み取り装置、デジタル画像読み取り方法およびデジタル画像読み取りプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスでの取り扱い文書は増加の一途をたどっており、それら文書管理の効率化を図るため、イメージスキャナを用いて、紙文書を電子イメージデータに落とし込む電子ファイリングシステムのニーズが高まっている。
【0003】
オートドキュメントフィーダーを具備するカラーイメージスキャナなどにおいては、通紙時の摩擦などにより通紙経路に紙粉などが発生し、大量に通紙を重ねていくと紙粉などのゴミや汚れが通紙経路に蓄積する。紙文書を電子イメージに落とし込む際、この読み取り走査線上のゴミや汚れが原因となって、スジ状の模様を形成し、電子イメージに異常画像が発生してしまう。
【0004】
ゴミや汚れなどが読み取り走査線上に付着することに起因する異常画像を防止するため、通紙枚数に基づいて通紙経路のクリーニングをサービスマンやユーザが行い、ゴミや汚れなどを取り除く作業をすることがしばしばある。しかしながら、紙粉の発生頻度は、「紙質/紙厚」や「温湿度などの使用環境」にも影響されるため、通紙枚数に基づいたゴミや汚れなどを取り除く作業は、適当ではない。例えば、ゴミや汚れなどが付着していないにも関わらず取り除く作業を実施したり、ゴミや汚れが付着しているにも関わらず取り除く作業を実施しなかったりしてしまう。
【0005】
また、ゴミや汚れなどは、シェーディング補正の基準データに入り込んだ場合に、特にスジ状の異常画像が発生しやすいことが知られている。これまで、シェーディング補正の基準データにゴミや汚れなどが入り込んだ場合、ゴミや汚れなどの影響がある画素の白基準データを隣接画素で補間して補正する方法が提案されている(例えば、下記特許文献1、2参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開2000−115488号公報
【特許文献2】特開2001−086333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記補正では近傍画素から補間演算によりデータ算出をするため、ゴミや汚れなどの状況に依存している。例えばゴミや汚れなどの状況は、ゴミの大きさや汚れの濃度変化量などである。そのため、補間演算による白基準データの補正には、対応できる限界がある。例えば、通紙経路のゴミや汚れなどを取り除いているわけではないので、ゴミや汚れなどが蓄積されて補正できない程度となってしまい、根本的な解決とはいえない。したがって、サービスマンやユーザがクリーニングを行い、ゴミや汚れなどを取り除くことが必要不可欠である。
【0008】
通紙経路のクリーニングは、ユーザが清掃する場合、逆にゴミや汚れを固着させてしまう可能性や、他の部分に新たな汚れを発生させてしまう場合がある。また、安全性の面から機械内部に入り込んだゴミをユーザが機械を分解して取り除くことはない。したがって、サービスマンが定期メンテナンスの時に清掃し、あるいは、ユーザからのクレームに応じて、サービスマンが対応し、清掃していた。
【0009】
通常サービスマンは、メンテナンス時に、機械外部から届く範囲で通紙経路のクリーニングを実施する。その後、まだ機械内部に入り込んでいるゴミの有無が正確に判断できないと、そのままメンテナンス終了とし、後日ユーザからクレームにより機械内部に入り込んだゴミの存在が発覚することもあった。メンテナンス終了後、機械の正常な動作を期待していたユーザにとっての使い勝手の面と、複数回メンテナンスを実施しなければならないサービスマンにおけるメンテナンス性の面の両面で効率が悪いものとなることがあった。
【0010】
また、サービスマンが機械内部に入り込んだゴミを取り除く場合、機械の分解などが必要になるため必然的にメンテナンスに要する時間が長くなる。サービスマンが機械を分解して復旧するまでの間、機械は使えなくなるためユーザの作業効率を著しく劣化させる。したがって、機械の分解を伴うメンテナンスは必要最小限の範囲および回数とするべきである。
【0011】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、画像読み取りにおける走査線上のゴミや汚れなどの状態を的確に判断し、メンテナンスを実施することによって、メンテナンス性の向上やユーザの作業の効率化を図ることができるデジタル画像読み取り装置、デジタル画像読み取り方法およびデジタル画像読み取りプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかるデジタル画像読み取り装置は、基準色部材を読み取り素子で読み取った画像データに濃淡補正を行うシェーディング手段と、前記シェーディング手段により濃淡補正を施された前記画像データをユーザからの指示に基づいて鮮鋭化する鮮鋭化手段と、前記鮮鋭化手段により鮮鋭化された前記画像データを記憶し、装置に対して着脱可能な記憶手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
この請求項1の発明によれば、サービスマンからの指示にしたがって、読み取った基準白板の画像データを鮮鋭化しながら記憶する。紙紛や埃などは非常に微細なので、画像データにおいて小さな変化量であるが、鮮鋭化することにより、ハッキリとした値になる。その後、画像データをデジタル画像読み取り装置外のPCなどでチェックすることで、サービスマンが基準白板の画像データを直接確認可能となる。つまり、サービスマンは、基準白板走査線上に付着したゴミや汚れの影響を一目瞭然に判別可能とし、そのことによる異常画像を発生してしまうという装置の状態を正確に把握することが可能となる。したがって、サービスマンなどによるメンテナンス(通紙経路のクリーニング)が、装置外部から届く範囲のみの実施か、あるいは必要に応じて装置内部までの実施かを正確に判断でき、不必要なメンテナンス時間の長時間化や、再クレームによるユーザの使い勝手とサービスマンのメンテナンス性の効率劣化を著しく解決することができる。また、外部のPCでチェックしている間は、ユーザはデジタル画像読み取り装置を使用できることになるため、ユーザの使い勝手の向上を図ることができる。
【0014】
また、請求項2の発明にかかるデジタル画像読み取り装置は、請求項1に記載の発明において、前記記憶手段は、前記鮮鋭化手段により鮮鋭化された前記画像データを記憶する際に、当該画像データとともに当該画像データの付属情報をあわせて記憶するものであることを特徴とする。
【0015】
この請求項2の発明によれば、画像データの付属情報をあわせて記憶できる。つまり、画像データのサイズやビット深度、解像度などの付属情報を汎用の画像フォーマットのヘッダファイルの形態で追加することにより、PCなどでチェック際に、汎用のイメージビューアが使用できる。したがって、サービスマンのメンテナンス用ツールの開発コストを低く押さえ、デジタル画像読み取り装置を低コストに提供することができる。
【0016】
また、請求項3の発明にかかるデジタル画像読み取り装置は、請求項1に記載の発明において、前記鮮鋭化手段は、前記画像データを鮮鋭化する度合いを複数備え、当該鮮鋭化する度合いに応じて鮮鋭化した前記画像データを前記記憶手段に記憶することを特徴とする。
【0017】
この請求項3の発明によれば、鮮鋭化する度合いを複数持ち、サービスマンからの指示にしたがってその度合いを調整可能とすることによって、ユーザの使用状況(紙種や環境によって、紙紛や埃の大きさなどの発生状況が異なる)に対する対応力の向上を図ることができる。
【0018】
また、請求項4の発明にかかるデジタル画像読み取り装置は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、前記記憶手段は、前記鮮鋭化手段により鮮鋭化された前記画像データを記憶する際に、前記画像データに縮小処理を施すことを特徴とする。
【0019】
この請求項4の発明によれば、画像処理に搭載している機能(縮小処理)を効率的に活用しながら、記憶する画像データのサイズを小さくすることができる。
【0020】
また、請求項5の発明にかかるデジタル画像読み取り方法は、基準色部材を読み取り素子で読み取った画像データに濃淡補正を行うシェーディング工程と、前記シェーディング工程により濃淡補正を施された前記画像データをユーザからの指示に基づいて鮮鋭化する鮮鋭化工程と、前記鮮鋭化工程により鮮鋭化された前記画像データを記憶し、装置に対して着脱可能な記憶工程と、を含むことを特徴とする。
【0021】
この請求項5の発明によれば、サービスマンからの指示にしたがって、読み取った基準白板の画像データを鮮鋭化しながら記憶する。紙紛や埃などは非常に微細なので、画像データにおいて小さな変化量であるが、鮮鋭化することにより、ハッキリとした値になる。その後、画像データをデジタル画像読み取り装置外のPCなどでチェックすることで、サービスマンが基準白板の画像データを直接確認可能となる。つまり、サービスマンは、基準白板走査線上に付着したゴミや汚れの影響を一目瞭然に判別可能とし、そのことによる異常画像を発生してしまうという装置の状態を正確に把握することが可能となる。したがって、サービスマンなどによるメンテナンス(通紙経路のクリーニング)が、装置外部から届く範囲のみの実施か、あるいは必要に応じて装置内部までの実施かを正確に判断でき、不必要なメンテナンス時間の長時間化や、再クレームによるユーザの使い勝手とサービスマンのメンテナンス性の効率劣化を著しく解決することができる。また、外部のPCでチェックしている間は、ユーザはデジタル画像読み取り装置を使用できることになるため、ユーザの使い勝手の向上を図ることができる。
【0022】
また、請求項6の発明にかかるデジタル画像読み取りプログラムは、請求項5に記載のデジタル画像読み取り方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0023】
この請求項6の発明によれば、請求項5に記載のデジタル画像読み取り方法をコンピュータに実行させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明にかかるデジタル画像読み取り装置、デジタル画像読み取り方法およびデジタル画像読み取りプログラムによれば、走査線上のゴミや汚れなどの状態を的確に判断し、メンテナンスを実施することができるため、メンテナンス性の向上や、ユーザの作業の効率化を図ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるデジタル画像読み取り装置、デジタル画像読み取り方法およびデジタル画像読み取りプログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0026】
(実施の形態)
(デジタル画像読み取り装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるデジタル画像読み取り装置の全体構成を示す側断面図である。本発明の実施の形態にかかるデジタル画像読み取り装置100は、原稿台ガラス101と、第1ミラー102と、照明ランプ103と、第2ミラー104と、第3ミラー105と、CCD(Charge Coupled Device)106と、走行体モーター107と、原稿トレイ108と、ピックアップローラー109と、レジストローラー対110と、搬送ドラム111と、搬送ローラー112と、排紙ローラー対113、114と、排紙トレイ115と、搬送モーター116と、レンズ117と、基準白板118と、を含み構成されている。
【0027】
原稿台ガラス101は、原稿を原稿台ガラス101上に設置できる。第1ミラー102と一体に構成された照明ランプ103は、原稿台ガラス101上に置かれた原稿を照射する。第1ミラー102および一体に構成された第2ミラー104と第3ミラー105は、照明ランプ103により照射された反射光を走査する。レンズ117は、第1ミラー102および一体に構成された第2ミラー104と第3ミラー105により走査された反射光を集束し、CCD106に照射する。CCD106は、レンズ117により集束され照射された反射光を光電変換する。
【0028】
第1ミラー102、照明ランプ103、第2ミラー104、第3ミラー105は、走行体モーター107を駆動源として、図示のA方向に移動可能となっている。例えば第1ミラー102は移動して第1ミラー102aに、照明ランプ103は移動して103aに、第2ミラー104は移動して第2ミラー104aに、第3ミラー105は移動して第3ミラー105aに、それぞれ位置することができる。
【0029】
また、原稿トレイ108は、原稿を積載することができる。ピックアップローラー109、レジストローラー対110、搬送ドラム111、搬送ローラー112により読み取り位置Bを経て、排紙ローラー対113、114へ送り込む。排紙ローラー対113、114は、ピックアップローラー109、レジストローラー対110、搬送ドラム111、搬送ローラー112により読み取り位置Bを経て送り込まれた原稿を排紙トレイ115上に排出する。
【0030】
照明ランプ103は、原稿が読み取り位置Bを通過する際に、読み取り位置B近傍に移動して原稿を照射する。レンズ117は、照明ランプ103により原稿に照射された反射光を、第1ミラー102および一体に構成された第2ミラー104と第3ミラー105を介して集束し、CCD106に照射する。CCD106は、レンズ117により集束され、照射された反射光を光電変換する。上記処理におけるピックアップローラー109、レジストローラー対110は、不図示の給紙モーターにより駆動され、搬送ドラム111、搬送ローラー112、排紙ローラー対113、114は、搬送モーター116により駆動される。
【0031】
(デジタル画像読み取り装置におけるビデオ処理)
図2は、本発明の実施の形態にかかるデジタル画像読み取り装置におけるビデオ処理の機能を示すブロック図である。本発明の実施の形態にかかるデジタル画像読み取り装置100は、センサ部201と、シェーディング補正処理部202と、メモリ(1)203と、変倍処理部204と、画像処理部205と、メモリコントローラ206と、メモリ(2)207と、I/F(インターフェイス)コントローラ208とSD(Secure Digital)−CARDコネクタ209と、CPU(セントラルプロセッシングユニット)210と、を含み構成されている。また、画像処理部205は、フィルタ処理部211と、固定閾値2値化部212と、ディザ処理部213と、画像信号選択部214と、を含み構成されている。また、本発明の実施の形態にかかるデジタル画像読み取り装置100は、SD−CARDメモリ220と、ホスト221と、に接続されており、ホスト221はCRT(Cathode Ray Tube)222を有している。
【0032】
センサ部201は、CCD光電変換素子を用いたラインセンサとA/Dコンバータとそれらの駆動回路で構成されている。ラインセンサは原稿をスキャンすることで濃淡の電気信号を持ったビデオデータを出力し、A/Dコンバータはライセンサから出力された濃淡電気信号を持ったビデオデータを8ビットのデジタル信号に変換し、シェーディング補正処理部202に出力する。
【0033】
センサ部201からの出力されたデジタル信号に変換されたビデオデータは、CCD106の画素ごとの感度ムラや、照明ランプ103からの光量が走査線上の中央部で一番高くなることによる照度歪みなどが原因で、一様な濃度の原稿を読み取ったにもかかわらずバラツキや歪みを持っている。この「バラツキ、歪み」を補正するために、シェーディング補正処理部202は均一白となる基準白板118のデータを取得し、「白基準データ」としてメモリ(1)203に保存する(図4参照)。すなわち主走査方向の「バラツキ、歪み」の具合を示すデータがメモリ(1)203に取り込まれる。
【0034】
シェーディング補正処理部202は、センサ部201から出力される原稿を読み取ったビデオデータに対して、画素ごとに対応する「白基準データ」からその「バラツキ、歪み」を補正し、次段の変倍処理部204に出力する。この「白基準データ」の取り込みは、電源ON後に、原稿をスキャンするごとに基準白板118のデータを読み取ることで行っている。
【0035】
変倍処理部204はユーザから指定される変倍率にしたがって、シェーディング補正処理部202から出力されたビデオデータに拡大あるいは縮小処理を施す。本実施の形態では主副独立の変倍処理を行っている。主走査方向の読み取り密度変換は電気変倍により行う。レンズ117の絞り(集束率)およびCCD106上の読み取り画素数は固定であるため、主走査方向の読み取り密度は一定値となる。本実施の形態ではこの主走査方向の読み取り密度が600dpi(dot per inch)になるように構成している。
【0036】
変倍処理部204は、上記600dpiの読み取りデータに対して、不図示のラインメモリを使用した補間処理を行いながら間引き処理や2度書きを行うことで、任意のdpiに密度変換する。例えば、300dpiに縮小(50%)するには、600dpi読み取りデータの隣り合う画素を補間処理しながら間引き処理し、2画素から1画素に変換する。
【0037】
また、1200dpiに拡大(200%)するには、1画素を補間処理しながら2度書きすることで2画素に変換する。副走査方向の読み取り密度変換は機械変倍により行う。例えば、走行体モーター107および搬送モーター116にステッピングモーターを使用し、CPU210の制御にしたがい、これらモーターの駆動スピードを変えることによって、原稿の副走査方向の走査スピードを変化させ、副走査方向の読み取り密度を変えることによって密度変換する。例えば、600dpiでの走査スピード:λに対して、300dpi(50%縮小)で読み取るには、走査スピード:2×λで走査するようにモーターを駆動し、1200dpi(200%拡大)で読み取るには、走査スピード:λ/2で走査するようにモーターを駆動する。
【0038】
変倍処理部204は、変倍処理部204で上記変倍処理を施されたビデオデータを画像処理部205へ出力する。画像処理部205は、フィルタ処理部211、固定閾値2値化部212、ディザ処理部213などで各種画像処理を行い、メモリコントローラ206へビデオデータを出力する。
【0039】
フィルタ処理部211は、変倍処理部204から出力されたビデオデータを鮮鋭化するためのMTF(Modulation Transfer Function)補正処理や、滑らかさを向上するための平滑化処理を行う。また、固定閾値2値化部212は、フィルタ処理部211で処理されたビデオデータを所定の閾値で2値化することによって「クッキリ」とした2値画像を形成することができる。また、ディザ処理部213は、フィルタ処理部211で処理されたビデオデータを擬似中間調処理を用いた2値化処理で、階調性豊かで滑らかな2値画像を生成することができる。
【0040】
そして、画像信号選択部214は、ユーザが設定する読み取りモード情報にしたがって、固定閾値2値化部212で固定閾値2値化された「クッキリ」した2値画像か、ディザ処理部213でディザ処理された階調性豊かで滑らかな2値画像か、フィルタ処理部211でフィルタ処理のみされたデータサイズは大きいが再現品質が良い多値画像か、を選択し、メモリコントローラ206へ出力する。このときの読み取りモード情報は、操作表示装置(図3参照)やホスト221などを介してユーザにより設定できる構成であり、制御全体を司るCPU210が画像信号選択部214に通知する。
【0041】
例えばユーザは、文字部の視読性や再現性を良くするためハッキリ・クッキリなるような画像を得たい場合は、フィルタ処理部211でMTF補正処理を行い固定閾値2値化した2値化画像を選択する。また、絵柄を階調性豊かで滑らかに再現した画像を得たい場合は、フィルタ処理部211で平滑化処理を行いディザ処理した2値画像を選択する。また、データサイズが大きくなることを気にすることなく、原稿の情報をより詳細に再現した画像を得たい場合は、多値画像を選択する。
【0042】
メモリコントローラ206は、画像処理部205で画像処理が施されたビデオデータをメモリ(2)207に蓄積する。あわせて、I/Fコントローラ208からの要求にしたがい、メモリ(2)207に蓄積したビデオデータを外部に接続されたホスト221や、SD−CARDコネクタ209を介した、着脱できる外部メモリであるSD−CARDメモリ220に転送する際のメモリ制御を行う。また、制御全体を司るCPU210は、このメモリコントローラ206を経由してメモリ(2)207を読み書きすることができる。
【0043】
メモリ(2)207は、読み取りスピードと外部に接続されたホスト221などへビデオデータ転送スピード間に発生する速度差を吸収するために設けた、ビデオデータを複数ページ記憶可能なメモリである。
【0044】
I/Fコントローラ208は、本デジタル画像読み取り装置と外部装置との接続I/Fに準拠したデータ転送を行うコントローラで、バスのアービトレーション、データの転送、本読み取り装置制御全体を司るCPU210との制御コマンド(各種モード設定)のやりとりなどを行う。本実施の形態での外部接続I/Fとは、SCSIのI/Fを使用したホスト221とSD−CARDメモリ220である。
【0045】
ホスト221、CRT222は、いわゆるパーソナルコンピュータである。本デジタル画像読み取り装置100のユーザは、パーソナルコンピュータにインストールされたアプリケーションソフトを介して、各種モードを設定して所望のスキャン動作を実行し、コンピュータにデジタル画像イメージを取り込むことができる構成となっている。
【0046】
SD−CARDコネクタ209、SD−CARDメモリ220は、フラッシュメモリを内蔵した小型メモリ装置で、簡易に装置着脱可能で携帯性に優れていることから近年普及したメモリ装置である。スマートメディア、コンパクトフラッシュ(登録商標)、メモリスティック、SDカードなどでもよい。
【0047】
CPU210は、本デジタル画像読み取り装置100全体の制御を司るCPUで、各回路/コントローラ/メモリ部の設定やステータスチェックを行う。
【0048】
図3は、本発明の実施の形態にかかるデジタル画像読み取り装置における操作表示装置を示すブロック図である。操作表示装置300はユーザとのインターフェースを行う部分で、操作表示を制御する操作表示制御部301と、マシンの状態や操作方法を促す表示を行うLCD(液晶表示装置)302と、ユーザからの入力を検知するスイッチ部303から構成されている。LCD302はLCD302を駆動する回路を有しており、操作表示制御部301からの指示にしたがって、ユーザに対する各種情報を表示する。
【0049】
スイッチ部303はスイッチ郡とその駆動回路から構成され、ユーザによってスイッチが操作されるとその情報を操作表示制御部301に出力する。操作表示制御部301は、本実施の形態にかかるデジタル画像読み取り装置100全体の制御を司るCPU210とLCD302とスイッチ部303とのやりとりを制御する回路である。すなわちCPU210から指示される表示コマンドにしたがい、LCD302に指示された内容を表示するようにLCD回路を駆動させるとともに、スイッチ部303からの入力を検知すると、どのスイッチがどのように操作されたかの情報をCPU210に知らせる。
【0050】
(デジタル画像読み取り装置におけるゴミや汚れの確認)
次に、基準白板118の走査線上に付着したゴミや汚れの影響を確認する方法を説明する。
【0051】
図4は、本発明の実施の形態にかかるシェーディング補正処理部202の詳細な機能を示すブロック図である。本発明の実施の形態にかかるシェーディング補正処理部202は、白基準生成部401と、シェーディング補正演算部402と、セレクタ403と、を含む構成されている。
【0052】
基準白板118の読み取り動作時には、センサ部201は基準白板118の読み取りビデオデータを、白基準生成部401に出力する。白基準生成部401は、最初の1ライン目のビデオデータを、そのままメモリ(1)203に蓄積し、続いて2ライン目からのビデオデータを、画素ごとにメモリ(1)203に蓄積したデータを読み出し、その加重平均処理を行いながらメモリ(1)203に書き戻す。加重平均処理は、次式により行う。
【0053】
SDn(l)={Dn(l)+SDn(l−1)}/2
・Dn(l):センサから入力される基準白板118の読み取りビデオデータ
・SDn(l−1):メモリ(1)に蓄積された前ラインの白基準データ
・SDn(l):新しく生成した白基準データ
・n:1ライン中の画素位置を示し、n=1〜7200の値をとる。
・l:ライン数を示す。
※ l=1のときは、
SDn(1)= Dn(1)
【0054】
この基準白板118の読み取りにより、メモリ(1)203には白基準データが生成蓄積される。なお、この時にはシェーディング補正演算部402は停止している。
【0055】
続いて、通常の原稿読み取り動作時には、センサ部201は原稿読み取りビデオデータを、シェーディング補正演算部402に出力する。そして、シェーディング補正演算部402は、メモリ(1)203に蓄積された白基準データを参照して、入力されたビデオデータにシェーディング補正を施す。その後、シェーディング補正演算部402は、シェーディング補正を施したビデオデータをセレクタ403に出力する。なお、この時は白基準生成部401は停止している。セレクタ403はシェーディング補正演算部402から入力されたデータを選択し、変倍処理部204に出力する。
【0056】
次に、基準白板118のデータのチェック動作に関して説明する。基準白板118のデータをチェックする際には、サービスマンはSD−CARDメモリ220をSD−CARDコネクタ209に装着する。次に操作表示装置300を操作し、不図示の「基準白板118データチェック」のスイッチを押下する。CPU210は操作表示装置300から「基準白板118データチェック」のスイッチ入力を検知すると、基準白板118の読み取り動作を行う。
【0057】
基準白板118の読み取り動作により、センサ部201は基準白板118を読み取った画像データをシェーディング補正処理部202に出力する。このときにセレクタ403は、シェーディング補正演算部402ではなく、センサ部201から入力された基準白板118を読み取った画像データを選択し、変倍処理部204に出力する。
【0058】
変倍処理部204は、特に変倍処理を行ず、センサ部201から入力された基準白板118を読み取った画像データを画像処理部205に出力する。続いて、画像処理部205のフィルタ処理部211は、変倍処理部204から入力された画像データに対し鮮鋭化するためのMTF補正処理を施して画像信号選択部214へ出力する。画像信号選択部214は、フィルタ処理部211から入力された多値ビデオデータを選択しメモリコントローラ206に出力する。
【0059】
メモリコントローラ206は、画像信号選択部214から入力された基準白板118を読み取った画像データをメモリ(2)207に蓄積する。I/Fコントローラ208はメモリコントローラ206を介してメモリ(2)207内の画像データを、SD−CARDコネクタ209を介してSD−CARDメモリ220に出力する。CPU210はメモリ(2)207内の画像データがSD−CARDメモリ220に出力し終わるとその旨を操作表示装置300に出力表示する。
【0060】
サービスマンは、操作表示装置300の出力表示を確認して、画像データの出力が終了したことを確認すると、SD−CARDメモリ220をデジタル画像読み取り装置100から外す。次にSD−CARDメモリ220をノートPC(パーソナルコンピュータ)などに接続し、SD−CARDメモリ220内の基準白板118を読み取った画像データを、HEX(Hexadecimal Numbre)ダンプさせてチェックする。
【0061】
図5は、本発明の実施の形態にかかる基準白板を読み取った画像データのHEXダンプによる表示例を示す図である。サービスマンは、ノートPC500に接続されたノートPC用のSD−CARDのI/F装置501にSD−CARDメモリ220を接続して、基準白板118を読み取った画像データを表示させる。例えば表示は、HEXダンプさせて表示してもよく、HEXダンプによる表示例502では、アドレス503とアドレス503に対応するデータ504が表示される構成となっている。本図では、正常なデータ506の中に、周りとは異なっている異常なデータ505が確認できる。
【0062】
サービスマンは、このHEXダンプによる表示例502のデータ504の数字を確認することにより、基準白板118の走査線上に付着したゴミや汚れの影響が一目瞭然に確認可能となる。例えば、サービスマンなどがメンテナンス(通紙経路のクリーニング)を行ったあとにチェックすることにより、基準白板118の走査線上に付着したゴミや汚れがうまく除去できたかを確認することができる。また、クリーニング後においても汚れなどが認められる場合は、クリーニングした範囲外にまだゴミなどが入り込んでいるものとして、装置内部のクリーニングまで実施することができる。
【0063】
基準白板118のデータのチェックに関しては、HEXダンプによるチェックではなく、画像データのイメージビューアでの表示によるチェックができる構成としてもよい。以下に基準白板118のデータを汎用のイメージビューアで表示してチェックする動作に関して説明する。
【0064】
基準白板118のデータをチェックする際には、サービスマンはSD−CARDメモリ220をSD−CARDコネクタ209に装着する。次に操作表示装置300を操作し、不図示の「基準白板118データチェック」のスイッチを押下する。CPU210は操作表示装置300から「基準白板118データチェック」のスイッチ入力を検知すると、基準白板118の読み取り動作を行う。
【0065】
基準白板118の読み取り動作により、センサ部201は基準白板118を読み取った画像データをシェーディング補正処理部202に出力する。このときにセレクタ403は、シェーディング補正演算部402ではなく、センサ部201から入力された基準白板118を読み取った画像データを選択し、変倍処理部204に出力する。
【0066】
変倍処理部204は、特に変倍処理を行ずセンサ部201から入力された基準白板118を読み取った画像データを画像処理部205に出力する。続いて、画像処理部205のフィルタ処理部211は、変倍処理部204から入力された画像データに対し鮮鋭化するためMTF補正処理を施して画像信号選択部214へ出力する。画像信号選択部214は、フィルタ処理部211から入力された多値ビデオデータを選択しメモリコントローラ206に出力する。
【0067】
メモリコントローラ206は、画像信号選択部214から入力された基準白板118を読み取った画像データをメモリ(2)207に蓄積する。そして、CPU210はメモリ(2)207に蓄積された画像データに対し、サイズやビット深度、解像度などの付属情報を、汎用画像フォーマットのヘッダデータの形態で追記する。本実施の形態ではTIFF(Tagged Image File Format)ファイルフォーマットを使用した。なお、JPEG(Joint Photographic Experts Group)やBMP(Bitmap)ファイルフォーマットなどでもよい。
【0068】
I/Fコントローラ208はメモリコントローラ206を介してメモリ(2)207内のTIFFファイルフォーマットのイメージデータ化された基準白板118を読み取った画像データを、SD−CARDコネクタ209を介してSD−CARDメモリ220に出力する。CPU210はメモリ(2)207内の画像データがSD−CARDメモリ220に出力し終わるとその旨を操作表示装置300に出力表示する。
【0069】
サービスマンは、操作表示装置300の出力表示を確認して、画像データの出力が終了したことを確認すると、SD−CARDメモリ220をデジタル画像読み取り装置100から外す。次にSD−CARDメモリ220をノートPC500などに接続し、SD−CARDメモリ220内の基準白板118を読み取った画像データを、汎用のイメージビューアに表示させてチェックする。
【0070】
図6は、本発明の実施の形態にかかる基準白板を読み取った画像データのイメージビューアによる表示例を示す図である。サービスマンは、ノートPC500に接続されたノートPC用のSD−CARDのI/F装置501にSD−CARDメモリ220を接続して、TIFFファイルフォーマットのイメージデータ化された基準白板118を読み取った画像データ汎用のイメージビューアで表示させる。TIFFファイルフォーマットのイメージビューアによる表示例600では、周りとは異なっているスジ状の画像601が確認できる。
【0071】
サービスマンは、このイメージビューアによる表示例600の画像を確認することにより、基準白板118の走査線上に付着したゴミや汚れの影響が一目瞭然に確認可能となる。例えば、サービスマンなどがメンテナンス(通紙経路のクリーニング)を行ったあとにチェックすることにより、基準白板118の走査線上に付着したゴミや汚れがうまく除去できたかを確認することができる。また、クリーニング後においても汚れなどが認められる場合は、クリーニングした範囲外にまだゴミなどが入り込んでいるものとして、装置内部のクリーニングまで実施することができる。
【0072】
基準白板118のデータのチェックに関しては、ゴミや汚れなどを鮮鋭化する程度を選択できる構成としてもよい。以下に基準白板118のデータを鮮鋭化するためのMTF補正処理の程度を選択して表示し、チェックする動作に関して説明する。
【0073】
基準白板118のデータをチェックする際には、サービスマンはSD−CARDメモリ220をSD−CARDコネクタ209に装着する。次に操作表示装置300を操作し、不図示の「基準白板118データチェック:強」、「基準白板118データチェック:中」、「基準白板118データチェック:弱」のいずれか1つのスイッチを押下する。CPU210は操作表示装置300から「基準白板118データチェック:強」、「基準白板118データチェック:中」、「基準白板118データチェック:弱」のいずれかのスイッチ入力を検知すると、基準白板118の読み取り動作を行う。
【0074】
基準白板118の読み取り動作により、センサ部201は基準白板118を読み取った画像データをシェーディング補正処理部202に出力する。このときにセレクタ403は、シェーディング補正演算部402ではなく、センサ部201から入力された基準白板118を読み取った画像データを選択し、変倍処理部204に出力する。
【0075】
変倍処理部204は、特に変倍処理を行ず、センサ部201から入力された基準白板118を読み取った画像データを画像処理部205に出力する。続いて、画像処理部205のフィルタ処理部211は、変倍処理部204から入力された画像データに対し、押下された「基準白板118データチェック:強」、「基準白板118データチェック:中」、「基準白板118データチェック:弱」のいずれかのスイッチ入力の「強/中/弱」に基づいて、MTF補正処理の強度を切り替えた処理を施し、処理した画像データを画像信号選択部214へ出力する。
【0076】
MTF補正処理の強度を切り替えることにより、基準白板118の走査線上に付着したゴミや汚れの影響の視覚認識性能が変化することになる。例えば、ゴミや汚れの原因となる紙粉は、ユーザが使う紙種や周囲の環境(温度や湿度)によって大きさ・形状・色などが異なる。これらの発生環境によるバラツキは画像データに如実に現れる。サービスマンはこういったユーザの使用環境によって、ゴミや汚れが視覚的認識しにくい場合においても、このフィルタの強度を切り替えることにより、抜けや漏れなく対応できる(図7参照)。
【0077】
その後、画像信号選択部214は、フィルタ処理部211から入力されたMTF補正強度を切り替えた処理をした多値ビデオデータを選択しメモリコントローラ206に出力する。
【0078】
メモリコントローラ206は、画像信号選択部214から入力された基準白板118を読み取った画像データをメモリ(2)207に蓄積する。そして、CPU210はメモリ(2)207に蓄積された画像データに対し、サイズやビット深度、解像度などの付属情報を、汎用の画像フォーマットのヘッダデータの形態で追記する。本実施の形態ではTIFFファイルフォーマットを使用した。なお、JPEGやBMPファイルフォーマットなどでもよい。
【0079】
I/Fコントローラ208はメモリコントローラ206を介してメモリ(2)207内のTIFFファイルフォーマットのイメージデータ化された基準白板118を読み取った画像データを、SC−CARDコネクタ209を介してSD−CARDメモリ220に出力する。CPU210はメモリ(2)207内の画像データがSD−CARDメモリ220に出力し終わるとその旨を操作表示装置300に出力表示する。
【0080】
サービスマンは、操作表示装置300の出力表示を確認して、画像データの出力が終了したことを確認すると、SD−CARDメモリ220をデジタル画像読み取り装置100から外す。次にSD−CARDメモリ220をノートPC500などに接続し、SD−CARDメモリ220内の基準白板118を読み取った画像データを、汎用のイメージビューアに表示させてチェックする。
【0081】
ここで表示するイメージビューアは、図6の説明とほぼ同様にしてノートPC500に表示する構成でよい。また、ここで表示するイメージビューアは、前述のようにMTF補正処理の強度を切り替えたものである。図7は、同じゴミに対してMTF補正強度を「強/中/弱」とした場合の視覚認識性の違いの参考例を示す図である。「基準白板118データチェック:弱」を押下し、MTF補正処理の強度を「弱」とした画像データ701と、「基準白板118データチェック:中」を押下し、MTF補正処理の強度を「中」とした画像データ702と、「基準白板118データチェック:強」を押下し、MTF補正処理の強度を「強」とした画像データ703は、それぞれスジ状画像704〜706を含んでいる。本図より、MTF補正処理の強度が「強」であればスジ状画像706が太く確認でき、MTF補正処理の強度が「弱」であればスジ状画像704は、細く確認できる。なお、本図では、スジ状模様の太さが変化させているが、実際のMTF補正処理ではスジ状模様の濃淡に変化が現れる構成である。
【0082】
この画像データ701〜703を確認することにより、ユーザごとに様々に発生状況が異なる基準白板118の走査線上に付着したゴミや汚れの影響に対しても、サービスマンは安定して確認可能となった。
【0083】
また、基準白板118のデータのチェックに関しては、変倍処理部204で画像データを縮小できる構成としてもよい。以下に、変倍処理部204で画像データを縮小する構成について説明する。
【0084】
基準白板118のデータをチェックする際には、サービスマンはSD−CARDメモリ220をSD−CARDコネクタ209に装着する。次に操作表示装置300を操作し、不図示の「基準白板118データチェック」のスイッチを押下する。CPU210は操作表示装置300から「基準白板118データチェック」のスイッチ入力を検知すると、基準白板118の読み取り動作を行う。
【0085】
基準白板118の読み取り動作により、センサ部201は基準白板118を読み取った画像データをシェーディング補正処理部202に出力する。このときにセレクタ403は、シェーディング補正演算部402ではなく、センサ部201から入力された基準白板118を読み取った画像データを選択し、変倍処理部204に出力する。
【0086】
ここで、変倍処理部204は、センサ部201から入力された画像データに対し縮小処理を施し、画像処理部205に出力する。例えば、その縮小率は50%などでよい。なお、縮小率は、ユーザが設定できる構成でも、あらかじめ設定されている構成でもよい。以降は、図5あるいは図6あるいは図7の説明と同様の処理を行うことにより、基準白板118上に不直下ゴミや汚れがうまく除去できたかを確認することができる。また、クリーニング後においても汚れなどが認められる場合は、クリーニングした範囲外にまだゴミなどが入り込んでいるものとして、装置内部のクリーニングまで実施することができる。また、画像データを縮小できるため、SD−CARDメモリ220内の必要なメモリサイズを小さくすることが可能となり、データ処理にかかる時間およびコストが低減され、効率的に上述の処理が実施できる。
【0087】
以上説明したように、デジタル画像読み取り装置、デジタル画像読み取り方法およびデジタル画像読み取りプログラムによれば、基準白板走査線上に付着した汚れの状況を的確に把握することができる。したがって、サービスマンによるメンテナンスおよびクリーニングは、装置外部から届く範囲の実施となるか、あるいは必要に応じて装置内部までの実施かを正確に判断でき、不必要なメンテナンスやユーザの再クレームを無くすため、メンテナンス性の向上とユーザの作業効率の向上を図ることができる。
【0088】
また、サービスマンは、ノートPCで画像データをチェックするため、ユーザはチェックの時間にデジタル画像読み取り装置を使用することができることとなり、ユーザの作業効率が向上する。
【0089】
また、画像データを汎用のイメージビューアで処理できるものとしているため、サービスマンのメンテナンス用ツールの開発にかかるコストを抑えることができる。また、画像データをユーザの使用状況に応じて鮮鋭化処理ができるため、様々な使用状況に対しても的確にメンテナンスの実施ができる。また、画像データを縮小して扱うことができるため、画像データの処理にかかる時間やコストの低減ができる。
【0090】
なお、本実施の形態で説明したデジタル画像読み取り方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0091】
以上のように、本発明にかかるデジタル画像読み取り装置、デジタル画像読み取り方法およびデジタル画像読み取りプログラムは、デジタル複写機やファクシミリやスキャナなどに有用であり、特に、コピーやファクシミリやスキャナ機能を備えたマルチファンクション機に適している。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施の形態にかかるデジタル画像読み取り装置の全体構成を示す側断面図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかるデジタル画像読み取り装置におけるビデオ処理の機能を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかるデジタル画像読み取り装置における操作表示装置を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかるシェーディング補正処理部202の詳細な機能を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかる基準白板を読み取った画像データのHEXダンプによる表示例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態にかかる基準白板を読み取った画像データのイメージビューアによる表示例を示す図である。
【図7】同じゴミに対してMTF補正強度を「強/中/弱」とした場合の視覚認識性の違いの参考例を示す図である。
【符号の説明】
【0093】
100 デジタル画像読み取り装置
101 原稿台ガラス
102、102a 第1ミラー
103、103a 照明ランプ
104、104a 第2ミラー
105、105a 第3ミラー
106 CCD
107 走行体モーター
108 原稿トレイ
109 ピックアップローラー
110 レジストローラー対
111 搬送ドラム
112 搬送ローラー
113、114 排紙ローラー対
115 排紙トレイ
116 搬送モーター
117 レンズ
118 基準白板
201 センサ部
202 シェーディング補正処理部
203 メモリ(1)
204 変倍処理部
205 画像処理部
206 メモリコントローラ
207 メモリ(2)
208 I/Fコントローラ
209 SD−CARDコネクタ
210 CPU
220 SD−CARDメモリ
221 ホスト
222 CRT

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準色部材を読み取り素子で読み取った画像データに濃淡補正を行うシェーディング手段と、
前記シェーディング手段により濃淡補正を施された前記画像データをユーザからの指示に基づいて鮮鋭化する鮮鋭化手段と、
前記鮮鋭化手段により鮮鋭化された前記画像データを記憶し、装置に対して着脱可能な記憶手段と、
を備えることを特徴とするデジタル画像読み取り装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、
前記鮮鋭化手段により鮮鋭化された前記画像データを記憶する際に、当該画像データとともに当該画像データの付属情報をあわせて記憶するものであることを特徴とする請求項1に記載のデジタル画像読み取り装置。
【請求項3】
前記鮮鋭化手段は、
前記画像データを鮮鋭化する度合いを複数備え、当該鮮鋭化する度合いに応じて鮮鋭化した前記画像データを前記記憶手段に記憶することを特徴とする請求項1に記載のデジタル画像読み取り装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、
前記鮮鋭化手段により鮮鋭化された前記画像データを記憶する際に、前記画像データに縮小処理を施すことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のデジタル画像読み取り装置。
【請求項5】
基準色部材を読み取り素子で読み取った画像データに濃淡補正を行うシェーディング工程と、
前記シェーディング工程により濃淡補正を施された前記画像データをユーザからの指示に基づいて鮮鋭化する鮮鋭化工程と、
前記鮮鋭化工程により鮮鋭化された前記画像データを記憶し、装置に対して着脱可能な記憶工程と、
を含むことを特徴とするデジタル画像読み取り方法。
【請求項6】
請求項5に記載のデジタル画像読み取り方法をコンピュータに実行させることを特徴とするデジタル画像読み取りプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−279571(P2006−279571A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−96187(P2005−96187)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】