説明

デンプン加工法

本発明は、α-アミラーゼ活性を有する触媒モジュールと炭水化物結合性モジュールとを含んでなるポリペプチドならびにこのようなポリペプチドを製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、炭水化物結合性モジュール (「CBM」) とα-アミラーゼ触媒ドメインとを含んでなる酵素に関する。さらに、本発明は、有効なα-アミラーゼ触媒ドメインおよび/またはCBMを含んでなる野生型α-アミラーゼポリペプチド、ならびに触媒ドメイン配列および/またはCBM配列に関する。本発明は、また、デンプンをより小さいオリゴ糖および/または多糖のフラグメントに分解するデンプン液化方法におけるこのようなポリペプチドの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
デンプンを、甘み料としてまたは他の糖類の前駆体、例えば、フルクトースとして使用されるデンプン加水分解物、例えば、マルトース、グルコースまたは特にシロップに転化する、多数の酵素および方法が記載されてきている。また、グルコースを発酵させてエタノールまたは他の発酵生成物、例えば、クエン酸、グルタミン酸一ナトリウム、グルコン酸、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カルシウム、グルコン酸カリウム、グルコノデルタラクトン、エリトルビン酸ナトリウム、イタコン酸、乳酸、グルコン酸; ケトン; アミノ酸、グルタミン酸 (モノグルタミン酸ナトリウム) 、ペニシリン、テトラサイクリン; 酵素; ビタミン、例えば、リボフラビン、B12、β-カロテンまたはホルモンを生成することができる。
【0003】
デンプンはグルコース単位の鎖から成る高分子量ポリマーである。通常、それは約80%のアミロペクチンおよび20%のアミロースから成る。アミロペクチンは、α-1,4 D-グルコース残基の直鎖がα-1,6 グリコシド結合で結合されている、分枝鎖状多糖である。
【0004】
アミロースは、α-1,4 グリコシド結合で一緒に結合されたD-グルコピラノース単位から構築された、直鎖状多糖である。デンプンを可溶性デンプン加水分解物に転化する場合において、デンプンは解重合される。慣用の解重合方法は、糊化工程および2つの連続的方法工程、すなわち、液化方法およびサッカリド化方法から成る。
【0005】
粒状デンプンは、室温において水中に不溶性である微視的粒体から成る。水性デンプンスラリーを加熱するとき、粒体は膨潤し、究極的に破裂して、デンプン分子を溶液中に分散させる。この「糊化」方法間に、粘度が劇的に増加する。典型的な産業的方法において、固形分は30〜40%であるので、デンプンを希釈または 「液化」 して取扱い可能としなくてはならない。この粘度減少は今日主として酵素分解により実施される。液化工程間に、長鎖デンプンはα-アミラーゼにより小さい分枝鎖状単位および直鎖状単位 (マルトデキストリン) に分解される。典型的には、液化方法は約105〜110℃において約5〜10分間、次いで約95℃において約1〜2時間実施される。次いで温度を60℃に低下させて、グルコアミラーゼ(GAまたはAMGとして知られる)またはβ-アミラーゼおよび必要に応じて脱分枝酵素、例えば、イソアミラーゼまたはプルラナーゼを添加し、そしてサッカリド化方法を約24〜72時間進行させる。
【0006】
前述の説明から明らかなように、慣用のデンプン転化方法は、種々の工程間の温度に関する異なる必要条件のために、非常にエネルギーを消費する。こうして、デンプンを糊化しないで全体の方法を実施できるように、この方法において使用する酵素を選択することが望ましい。このような 「生デンプン」 方法は下記の特許の主題である: US 4,591,560、US 4,727,026およびUS 4,009,074およびEP 0171218およびデンマーク国特許出願PA 2003 00949。本発明は、なかでも、このような方法のために設計され、CBMのアミノ酸配列とデンプン分解酵素のアミノ酸配列とを含んでなるポリペプチドに関する。ハイブリッド酵素は、WO 9814601、WO 0077165およびPCT/US 2004/020499の主題である。
【発明の開示】
【0007】
発明の要約
本発明者らは、炭水化物結合性モジュール (CBM) をある種のα-アミラーゼに添加することによって、活性および特異性を変更し、これにより種々のデンプン分解方法、例えば、生デンプン、例えば、非糊化デンプンおよび/または粒状デンプンの分解を含んでなる方法の効率を増加させることができることを驚くべきことには発見した。また、1つのCBMを他のCBMと交換することによって、活性および特異性を変更することができる。
【0008】
酸性α-アミラーゼおよび炭水化物結合性モジュールを有する、主としてデンプンに対するアフィニティーを有するポリペプチドから成るこのようなハイブリッドは、存在するα-アミラーゼを超えた利点を有し、選択により、必要な性質、例えば、pH分布、温度分布、酸化抵抗、カルシウム安定性、基質アフィニティーまたは生成物分布を有する触媒ドメインを、より強いまたはより弱い結合アフィニティー、例えば、アミロースに対する特異的アフィニティー、アミロペクチンに対する特異的アフィニティーまたは炭水化物中の特異的構造に対するアフィニティーを有する炭水化物結合性モジュールと組合わせることができる。
【0009】
こうして、本発明は、CBMをもたないα-アミラーゼに関しておよび/または先行技術アミラーゼに関して変更された性質、例えば、低いpH、例えば、4より低いpH、例えば、pH 3.5において増加した安定性および/または活性、粒状デンプンに対して増加した活性、および/または、グルコアミラーゼの非存在においてさえまたは低いグルコアミラーゼレベルにおいて低いpHにおいて粒状デンプンの増加した分解、および/または変更された生成物分布を有するハイブリッドに関する。
【0010】
これらのポリペプチドの加水分解活性がすぐれるために、デンプンを糊化しないで全デンプン転化方法を実施ことができる、すなわち、ポリペプチドは生デンプン加工粒状デンプンを加水分解し、ならびに伝統的デンプン方法において完全にまたは部分的に糊化されたを加水分解する。
【0011】
したがって、本発明は、第1の面において、α-アミラーゼ活性を有する触媒モジュールを含んでなる第1アミノ酸配列と、炭水化物結合性モジュールを含んでなる第2 アミノ酸配列とを含んでなるポリペプチド: ここで前記第2 アミノ酸配列は配列番号52、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号109、配列番号137、配列番号139、配列番号141および配列番号143から成る群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも60%の相同性を有するポリペプチドに関する。
【0012】
第2の面において、本発明は、下記ポリペプチドおよび変異型から成る群から選択される、α-アミラーゼ活性を有するポリペプチドに関する:
(a) 配列番号14中のアミノ酸1〜441、配列番号18中のアミノ酸1〜471、配列番号20中のアミノ酸、配列番号20中のアミノ酸1〜450、配列番号22中のアミノ酸1〜445、配列番号26中のアミノ酸1〜498、配列番号28中のアミノ酸18〜513、配列番号30中のアミノ酸1〜507、配列番号32中のアミノ酸1〜481、配列番号34中のアミノ酸1〜495、配列番号38中のアミノ酸1〜477、配列番号42中のアミノ酸1〜449、配列番号115中のアミノ酸1〜442、配列番号117中のアミノ酸1〜441、配列番号125中のアミノ酸1〜477、配列番号131中のアミノ酸1〜446、配列番号157中のアミノ酸41〜481、配列番号159中のアミノ酸22〜626、配列番号161中のアミノ酸21〜630、配列番号163中のアミノ酸27〜602、配列番号165中のアミノ酸21〜643、配列番号167中のアミノ酸29〜566、配列番号169中のアミノ酸22〜613、配列番号171中のアミノ酸21〜463、配列番号173中のアミノ酸21〜587、配列番号175中のアミノ酸30〜773、配列番号177中のアミノ酸22〜586および配列番号179中のアミノ酸20〜582から成る群から選択される成熟ポリペプチドのアミノ酸と少なくとも75%の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド;
【0013】
(b) (i) 配列番号13中のヌクレオチド1〜1326、配列番号17中のヌクレオチド1〜1413、配列番号19中のヌクレオチド1〜1350、配列番号21中のヌクレオチド1〜1338、配列番号25中のヌクレオチド1〜1494、配列番号27中のヌクレオチド52〜1539、配列番号29中のヌクレオチド1〜1521、配列番号31中のヌクレオチド1〜1443、配列番号33中のヌクレオチド1〜1485、配列番号37中のヌクレオチド1〜1431、配列番号41中のヌクレオチド1〜1347、配列番号114中のヌクレオチド1〜1326、配列番号116中のヌクレオチド1〜1323、配列番号124中のヌクレオチド1〜1431、配列番号130中のヌクレオチド1〜1338、配列番号156中のヌクレオチド121〜1443、配列番号158中のヌクレオチド64〜1878、配列番号160中のヌクレオチド70〜1890、配列番号162中のヌクレオチド79〜1806、配列番号164中のヌクレオチド61〜1929、配列番号166中のヌクレオチド85〜1701、配列番号168中のヌクレオチド64〜1842、配列番号170中のヌクレオチド61〜1389、配列番号172中のヌクレオチド61〜1764、配列番号174中のヌクレオチド61〜2322、配列番号176中のヌクレオチド64〜1761または配列番号178中のヌクレオチド58〜1749と少なくとも低いストリンジェンシイの条件下にハイブリダイゼーションするヌクレオチド配列、または
【0014】
(ii) 配列番号13中のヌクレオチド1〜1326、配列番号17中のヌクレオチド1〜1413、配列番号19中のヌクレオチド1〜1350、配列番号21中のヌクレオチド1〜1338、配列番号25中のヌクレオチド1〜1494、配列番号27中のヌクレオチド52〜1539、配列番号29中のヌクレオチド1〜1521、配列番号31中のヌクレオチド1〜1443、配列番号33中のヌクレオチド1〜1485、配列番号37中のヌクレオチド1〜1431、配列番号41中のヌクレオチド1〜1347、配列番号114中のヌクレオチド1〜1326、配列番号116中のヌクレオチド1〜1323、配列番号124中のヌクレオチド1〜1431、配列番号130中のヌクレオチド1〜1338、配列番号156中のヌクレオチド121〜1443、配列番号158中のヌクレオチド64〜1878、配列番号160中のヌクレオチド70〜1890、配列番号162中のヌクレオチド79〜1806、配列番号164中のヌクレオチド61〜1929、配列番号166中のヌクレオチド85〜1701、配列番号168中のヌクレオチド64〜1842、配列番号170中のヌクレオチド61〜1389、配列番号172中のヌクレオチド61〜1764、配列番号174中のヌクレオチド61〜2322、配列番号176中のヌクレオチド64〜1761または配列番号178中のヌクレオチド58〜1749として示すポリヌクレオチド中に含有されるcDNA配列と少なくとも中程度のストリンジェンシイ条件下にハイブリダイゼーションするヌクレオチド配列、または
【0015】
(iii) 前記(i) または (ii) 相補的配列によりコードされるポリペプチド; および (c) 配列番号14中のアミノ酸1〜441、配列番号18中のアミノ酸1〜471、配列番号20中のアミノ酸1〜450、配列番号22中のアミノ酸1〜445、配列番号26中のアミノ酸1〜498、配列番号28中のアミノ酸18〜513、配列番号30中のアミノ酸1〜507、配列番号32中のアミノ酸1〜481、配列番号34中のアミノ酸1〜495、配列番号38中のアミノ酸1〜477、配列番号42中のアミノ酸1〜449、配列番号115中のアミノ酸1〜442、配列番号117中のアミノ酸1〜441、配列番号125中のアミノ酸1〜447、配列番号131中のアミノ酸1〜446、配列番号157中のアミノ酸41〜481、配列番号159中のアミノ酸22〜626、配列番号161中のアミノ酸24〜630、配列番号163中のアミノ酸27〜602、配列番号165中のアミノ酸21〜643、配列番号167中のアミノ酸29〜566、配列番号169中のアミノ酸22〜613、配列番号171中のアミノ酸21〜463、配列番号173中のアミノ酸21〜587、配列番号175中のアミノ酸30〜773、配列番号177中のアミノ酸22〜586および配列番号179中のアミノ酸20〜582から成る群から選択される酸性アミノ酸配列中の1または2以上のアミノ酸の保存的置換、欠失および/または挿入を含んでなる変異型。
【0016】
第2の面において、本発明は、下記のポリペプチドおよびフラグメントから成る群から選択される、炭水化物結合性アフィニティーを有するポリペプチドに関する:
【0017】
(a) 配列番号159のアミノ酸配列529〜626、配列番号161のアミノ酸配列533〜630、配列番号163のアミノ酸配列508〜602、配列番号165のアミノ酸配列540〜643、配列番号167のアミノ酸配列502〜566、配列番号169のアミノ酸配列513〜613、配列番号173のアミノ酸配列492〜587、配列番号175のアミノ酸配列30〜287、配列番号177のアミノ酸配列487〜586および配列番号179のアミノ酸配列482〜582から成る群から選択される配列に対して少なくとも60%の相同性を有するアミノ酸配列を含んでなるポリペプチド;
【0018】
(b) 配列番号158中のヌクレオチド1585〜1878、配列番号160中のヌクレオチド1597〜1890、配列番号162中のヌクレオチド1522〜1806、配列番号164中のヌクレオチド1618〜1929、配列番号166中のヌクレオチド1504〜1701、配列番号168中のヌクレオチド1537〜1842、配列番号172中のヌクレオチド1474〜1764、配列番号174中のヌクレオチド61〜861、配列番号176中のヌクレオチド1459〜1761および配列番号178中のヌクレオチド1444〜1749から成る群から選択される相補鎖から成る群から選択されるポリヌクレオチドプローブと低いストリンジェンシイの条件下にハイブリダイゼーションするヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチド; および (c) 炭水化物結合性アフィニティーを有する (a) または (b) のフラグメント。
【0019】
他の面において、本発明は、糖化のための、発酵を含んでなる方法、デンプン転化方法、オリゴ糖を製造する方法、例えば、マルトデキストリンまたはグルコースおよび/またはフルクトースシロップを製造する方法、燃料用または飲用エタノールを製造する、飲料を製造する方法における、および/または有機化合物、例えば、クエン酸、アスコルビン酸、リシンまたはグルタミン酸を製造する方法における、第1、第2および/または第3の面のポリペプチドの使用に関する。
【0020】
それ以上の面において、本発明は、第1、第2および/または第3の面のポリペプチドを含んでなる組成物に関する。
それ以上の面において、本発明は、デンプンを第1、第2および/または第3の面のポリペプチドで処理する、デンプンを糖化する方法に関する。
【0021】
それ以上の面において、本発明は、下記の工程を含んでなる方法に関する:
(a) α-アミラーゼ活性を有する触媒モジュールと炭水化物結合性モジュールとを含んでなるポリペプチド、例えば、第1、第2および/または第3の面のポリペプチドをデンプンと接触させ、
(b) 前記デンプンを前記ポリペプチドとインキュベートし、
(c) 発酵させて発酵生成物を生成し、そして
(d) 必要に応じて発酵生成物を回収し、
ここでグルコアミラーゼ活性を有する酵素は不存在であるか、あるいは0.5 AGU/g DS以下またはより少ないデンプン基質の量で存在し、そして工程a、b、cおよび/またはdを同時にまたは別々に実施する。
【0022】
それ以上の面において、本発明は、下記の工程を含んでなる方法に関する:
(a) α-アミラーゼ活性を有する触媒モジュールと炭水化物結合性モジュールとを含んでなるポリペプチド、例えば、第1、第2および/または第3の面のポリペプチドを発現するように形質転換された酵母とデンプン基質を接触させ、
(b) 前記デンプン基質を前記酵母と保持し、
(c) 発酵させてエタノールを生成させ、そして
(d) 必要に応じてエタノールを回収し、
ここで工程a、b、cおよび/またはdを同時にまたは別々に実施する。好ましい態様において、前記デンプン基質の少なくとも90% w/wを発酵可能な糖に転化するために十分な時間の間および温度において、デンプン基質を前記酵母と保持する。
【0023】
それ以上の面において、本発明は、下記の工程を含んでなる、発酵によりデンプン含有物質からエタノールを製造する方法に関する:
(i) α-アミラーゼ活性を有する触媒モジュールと炭水化物結合性モジュールとを含んでなるポリペプチド、例えば、第1、第2および/または第3の面のポリペプチドでデンプン含有物質を液化し、
(ii) 得られた液化マッシュを糖化し、そして
(iii) 工程 (ii) において得られた物質を発酵生物の存在下に発酵させ、そして必要に応じてエタノールを回収する。
【0024】
それ以上の面において、本発明は、第1、第2および/または第3の面のポリペプチドをコードするDNA配列、前記DNA配列を含んでなるDNA構築物、前記DNA構築物を担持する組換え発現ベクター、前記DNA構築物または前記ベクターで形質転換された宿主細胞、微生物、特に細菌または真菌の細胞、酵母または植物細胞である前記宿主細胞に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
発明の詳細な説明
用語 「粒状デンプン」 は、原料の生デンプン、すなわち、糊化されていないデンプンとして理解される。デンプンは水中に不溶性である小さい粒体として植物中で形成される。これらの粒体は初期糊化温度より低い温度においてデンプン中に保存される。冷水中に入れると、粒体は少量の液体を吸収する。50℃〜70℃まで、膨潤は可逆的であり、可逆性の程度は特定のデンプンに依存する。より高い温度において、糊化と呼ばれる不可逆的膨潤が開始する。
【0026】
用語 「初期糊化温度」 は、デンプンの糊化が開始する最低温度として理解される。水中で加熱されたデンプンは50℃〜75℃において糊化し始める; 糊化の正確な温度は特定のデンプンに依存し、当業者はそれを容易に測定することができる。こうして、初期糊化温度は植物種、植物種の特定の変種、ならびに成長条件に従い変化することがある。本発明の関係において、所定のデンプンの初期糊化温度は、下記の文献に記載されている方法を使用してデンプン粒体の5%において複屈折が喪失する温度である: Gorinstein S. およびLii C. 、Starch/Sterke、Vol. 44 (12) pp. 461-466 (1992) 。
【0027】
用語 「可溶性デンプン加水分解物」 は、本発明の方法の可溶性生成物として理解され、そして単糖、二糖、およびオリゴ糖、例えば、グルコース、マルトース、マルトデキストリン、シクロデキストリンおよびこれらの任意の混合物を含んでなることができる。好ましくは、粒状デンプンの乾燥固形分の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%または98%は可溶性デンプン加水分解物に転化される。
【0028】
ポリペプチドの 「相同性」 は、第1配列が第2配列から偏っていることを示す、2配列間の同一性の程度として理解される。相同性はこの分野において知られているコンピュータプログラム、例えば、下記により適当に決定することができる: GCGプログラムパッケージで提供されるGAP (Program Manual for the Wisconsin Package、Version 8、1994年8月、Genetics Computer Group、575 Science Drive、米国 53711 ウィスコンシン州マディソン) (Needleman S. B. およびWunsch C. D. (1970) 、Journal of Molecular Biology 48、443-453。アミノ酸配列を比較するために下記の設定を使用する: 3.0のGAP生成ペナルティーおよび0.1のGAPエクステンションペナルティー。
【0029】
相同性を決定するアミノ酸配列の関係する部分は成熟ポリペプチド、すなわち、シグナルペプチドを含まないポリペプチドである。ヌクレオチドプローブと相同的DNAまたはRNA配列との間の低い、中程度のまたは高いストリンジェンシイ条件下におけるハイブリダイゼーションを決定するために適当な実験的条件は下記を包含する: ハイブリダイゼーションすべきDNAフラグメントまたはRNAを含有するフィルターを5×SSC (塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム、Sambrook 他、1989) 中の10分間の前ソーキング、5×SSC、5×デンハルト溶液 (Sambrook 他、1989) 、0.5% SDSおよび100 μg/mlの変性超音波処理サケ精子DNA (Sambrook 他、1989) の溶液中のフィルターのプレハイブリダイゼーション、次いで10 ng/mlの濃度のランダムプライムド (Feiberg A. P. およびVogelstein B. (1983) Anal. Biochem. 132: 6-13) 、32P-dCTP標識化 (比活性 >1×109 cpm/μg) プローブを含有する同一溶液中の約45℃における12時間のハイブリダイゼーション。
【0030】
次いでフィルターを2×SSC、0.5% SDS中で約55℃ (低いストリンジェンシイ) 、より好ましくは約60℃ (中程度のストリンジェンシイ) 、なおより好ましくは約65℃ (中程度〜高いストリンジェンシイ) 、さらにより好ましくは約70℃ (高いストリンジェンシイ) 、およびさらにより好ましくは約75℃ (非常に高いストリンジェンシイ) において30分間2回洗浄する。
【0031】
これらの条件下にオリゴヌクレオチドプローブがハイブリダイゼーションする分子は、X線フィルムを使用して検出される。
【0032】
ポリペプチド
本発明のポリペプチドはハイブリッド酵素であることができるか、あるいはポリペプチドは既にα-アミラーゼ活性を有する触媒モジュールと炭水化物結合性モジュールとを含んでなる野生型酵素であることができる。本発明のポリペプチドは、また、このような野生型酵素の変異型であることができる。ハイブリッドは、第1アミノ酸配列をコードする第1 DNA配列および第2 アミノ酸配列をコードする第2 DNA配列の融合により製造することができるか、あるいはハイブリッドは適当なCBM、リンカーおよび触媒ドメインのアミノ酸配列の知識に基づいて完全に合成された遺伝子として製造することができる。
【0033】
用語 「ハイブリッド酵素」 または 「ハイブリッドポリペプチド」 は、α-アミラーゼ活性を有する少なくとも1つの触媒モジュールを含んでなる第1アミノ酸配列と、α-アミラーゼに位置する炭水化物結合性モジュールを含んでなる第2 アミノ酸配列とを含んでなる本発明のポリペプチドのそれを特性決定するために本明細書において使用され、ここで第1アミノ酸配列および第2 アミノ酸配列はに由来する源に由来する。用語 「源」 は、下記として理解されるが、これらに限定されない: 親酵素、例えば、アミラーゼまたはグルコアミラーゼ、または適当な触媒モジュールおよび/または適当なCBMおよび/または適当なリンカーを含んでなる他の触媒活性。
【0034】
酵素分類番号 (EC番号) は下記に従う: Recommendations (1992) of the Nomenclature Committee of the International Union of Biochemistry and Molecular Biology、Academic Press Inc. 1992。
本明細書において言及するポリペプチドは、炭水化物結合性モジュール (CBM) を含んでなるアミノ酸配列に結合した (すなわち、共有結合した) α-アミラーゼ酵素 (EC 3.2.1.1) のアミノ酸配列を含んでなる種を包含する。
【0035】
CBMを含有するハイブリッド酵素、ならびにそれらの製造および精製の詳細な説明はこの分野において知られている [例えば、下記の文献を参照のこと: WO 90/00609、WO 94/24158およびWO 95/16782、ならびにGreenwood 他、Biotechnology and Bioengineering 44 (1994) pp. 1295-1305] 。それらは、例えば、次のようにして製造することができる: 問題の酵素をコードするDNA配列に、リンカーを使用するか、あるいは使用しないで、結合した炭水化物結合性モジュールをコードするDNAフラグメントを少なくとも含んでなるDNA構築物を宿主細胞の中に形質転換し、そして形質転換された宿主細胞を増殖させて融合遺伝子を発現させる。本発明のポリペプチド中のCBMは、ポリペプチドのC-末端、N-末端または内部に位置することができる。ある態様において、ポリペプチドは、2以上のCBM、例えば、2つのCBMを含んでなることができる; 1つはC-末端に位置し、他方はN-末端に位置するか、あるいは2つのCBMはC-末端、N-末端または内部に縦列で位置することができる。しかしながら、3以上のCBMをもつポリペプチドが等しく考えられる。
【0036】
本発明のα-アミラーゼ
本発明は、CBM、リンカーおよび/または触媒モジュールのドナー (親アミラーゼ) として有効なα-アミラーゼポリヌクレオチドプローブに関する。本発明のポリペプチドは、野生型α-アミラーゼ酵素 (EC 3.2.1.1) であることができるか、あるいはポリペプチドは、また、野生型酵素の変異型であることができる。さらに、本発明のポリペプチドはこのような酵素のフラグメント、すなわち、酸性α-アミラーゼを有するが、CBMが野生型酵素中に存在する場合、CBM、例えば、CBMから分離されているフラグメント、すなわち、炭水化物結合性モジュールを有するフラグメントであることができる。また、フラグメントは、このようなα-アミラーゼ酵素のフラグメントを含んでなる、例えば、触媒ドメイン、リンカーおよび/または本発明のα-アミラーゼ酵素に由来するCBMを含んでなる、ハイブリッド酵素であることができる。
【0037】
さらに、本発明のポリペプチドは、このような酵素のフラグメント、例えば、機能的触媒ドメインならびにCBMが野生型酵素中に存在する場合CBMをなお含んでなるフラグメントであることができるか、あるいはCBMを含まない野生型酵素のフラグメントであることができ、ここで後者のフラグメントは機能的触媒ドメインを含んでなる。
【0038】
α-アミラーゼ酵素: 本発明は、炭水化物結合性モジュール (「CBM」) を含んでなり、そして酸性α-アミラーゼを有する新規なポリペプチドに関する。このようなポリペプチドは、任意の生物に由来することができ、好ましくは真菌または細菌に由来する。
【0039】
本発明のα-アミラーゼは、下記から成るリストから選択される遺伝子内の種から得ることができるα-アミラーゼを包含する: アブシディア (Absidia) 、アクレモニウム (Acremonium) 、コニオケタ (Coniochaeta) 、コリオルス (Coriolus) 、クリプトスポリオプシス (Cryptosporiopsis) 、ジコトモクラジウム (Dichotomocladium) 、ジネマスポリウム (Dinemasporium) 、ジプロジア (Diplodia) 、フザリウム (Fusarium) 、グリオクラジウム (Gliocladium) 、マルブランチケア (Malbranchea) 、メリピルス (Meripilus) 、ネクテリア (Necteria) 、ペニシリウム (Penicillium) 、リゾムコル (Rhizomucor) 、ステレウム (Stereum) 、ストレプトマイセス (Streptomyces) 、スブリスポラ (Sublispora) 、シンセファラストルム (Syncephalastrum) 、タミンジウム (Thamindium) 、テルモアスカス (Thermoascus) 、サーモミセス (Thermomyces) 、トラメテス (Trametes) 、トリコフェア (Trichophaea) およびバルサリア (Valsaria) 。α-アミラーゼは、表1に列挙されている任意の属、種または配列に由来することができる。
【0040】
好ましくは、α-アミラーゼは、下記から成る群から選択される任意の種に由来する:
サーモミセス・ラヌギノスス (Thermomyces lanuginosus); 特に配列番号14中のアミノ酸1〜441を有するポリペプチド、
マルブランチケア (Malbranchea) 種; 特に配列番号18中のアミノ酸1〜471を有するポリペプチド、
リゾムコル・プシルス (Rhizomucor pusillus) ; 特に配列番号20中のアミノ酸1〜450を有するポリペプチド、
ジコトモクラジウム・ヘッセルチネイ (Dichotomocladium hesseltinei); 特に配列番号22中のアミノ酸1〜445を有するポリペプチド、
ステレウム (Stereum) 種; 特に配列番号26中のアミノ酸1〜498を有するポリペプチド、
トラメテス (Trametes) 種; 特に配列番号28中のアミノ酸18〜513を有するポリペプチド、
コリオルス・コンソルス (Coriolus consors) ; 特に配列番号30中のアミノ酸1〜507を有するポリペプチド、
【0041】
ジネマスポリウム (Dinemasporium) 種; 特に配列番号32中のアミノ酸1〜481を有するポリペプチド、
クリプトスポリオプシス (Cryptosporiopsis) 種; 特に配列番号34中のアミノ酸1〜495を有するポリペプチド、
ジプロジア (Diplodia) 種; 特に配列番号38中のアミノ酸1〜477を有するポリペプチド、
グリオクラジウム (Gliocladium) 種; 特に配列番号42中のアミノ酸1〜449を有するポリペプチド、
ネクトリア (Nectria) 種; 特に配列番号115中のアミノ酸1〜442を有するポリペプチド、
フザリウム (Fusarium) 種; 特に配列番号117中のアミノ酸1〜441を有するポリペプチド、
テルモアスカス・アウランチカス (Thermoascus auranticus); 特に配列番号125中のアミノ酸1〜477を有するポリペプチド、
タミンジウム・エレガンス (Thamindium elegans); 特に配列番号131中のアミノ酸1〜446を有するポリペプチド、
【0042】
アブシジア・クリスタタ (Absidia cristata); 特に配列番号157中のアミノ酸41〜481を有するポリペプチド、
アクレモニウム (Acremonium) 種; 特に配列番号159中のアミノ酸22〜626を有するポリペプチド、
コニオケタ (Coniochaeta) 種; 特に配列番号161中のアミノ酸24〜630を有するポリペプチド、
メリピルス・ギアンテウス (Meripilus giganteus); 特に配列番号163中のアミノ酸27〜602を有するポリペプチド、
ペニシリウム (Penicillium) 種; 特に配列番号165中のアミノ酸21〜643を有するポリペプチド、
ストレプトマイセス・リモスス (Streptomyces limosus) ; 特に配列番号167中のアミノ酸29〜566を有するポリペプチド、
スブリスポラ・プロクルバタ (Sublispora procurvata); 特に配列番号169中のアミノ酸22〜613を有するポリペプチド、
【0043】
シンセファラストルム・ラセモスム (Syncephalastrum racemosum) ; 特に配列番号171中のアミノ酸21〜463を有するポリペプチド、
トラメテス・クルガタ (Trametes currgata) ; 特に配列番号173中のアミノ酸21〜587を有するポリペプチド、
トリコフェア・サッカタ (Trichophaea saccata); 特に配列番号175中のアミノ酸30〜773を有するポリペプチド、
バルサリア・ルブリコサ (Valsaria rubricosa) ; 特に配列番号177中のアミノ酸22〜586を有するポリペプチドおよびバルサリア・スパルチイ (Valsaria spartii); 特に配列番号179中のアミノ酸20〜582を有するポリペプチド。
【0044】
また、前述のポリペプチドのいずれかの成熟ペプチドに対して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%またはさらに少なくとも98%の相同性を有するアミノ酸配列を有するα-アミラーゼは好ましい。他の好ましい態様において、α-アミラーゼのアミノ酸配列は、前述のポリペプチドのいずれかと10以下の位置、9以下の位置、8以下の位置、7以下の位置、6以下の位置、5以下の位置、4以下の位置、3以下の位置、2以下の位置、またはさらに1以下の位置において異なるアミノ酸配列を有する。
【0045】
また、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号154および配列番号156、配列番号13、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号37、配列番号41、配列番号114、配列番号116、配列番号124、配列番号130、配列番号156、配列番号158、配列番号160、配列番号162、配列番号164、配列番号166、配列番号168、配列番号170、配列番号172、配列番号174、配列番号176および配列番号178として示すポリヌクレオチドから成る群から選択されるいずれかの配列に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%またはさらに少なくとも98%の相同性を有するDNA配列によりコードされるα-アミラーゼのアミノ酸配列は好ましい。
【0046】
低い、中程度の、中程度の/高い、高いおよび/または非常に高いストリンジェンシイ条件下に前述のα-アミラーゼDNA配列のいずれかに対してハイブリダイゼーションするDNA配列によりコードされるα-アミラーゼのアミノ酸配列は好ましい。また、α-アミラーゼのアミノ酸配列をコードし、そして前述のα-アミラーゼDNA配列に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%またはさらに100%の相同性を有するDNA配列は好ましい。
【0047】
α-アミラーゼ触媒ドメイン: 1つの態様において、本発明は、炭水化物結合性モジュール (「CBM」) を含んでなりかつα-アミラーゼ活性を有するポリペプチドに由来する触媒ドメイン、例えば、下記に示すα-アミラーゼから選択されるポリペプチドに由来する触媒ドメインに関する: 配列番号14、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号38、配列番号42、配列番号115、配列番号117、配列番号125、配列番号131、配列番号157、配列番号159、配列番号161、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号173、配列番号175、配列番号177および配列番号179。
【0048】
下記のアミノ酸で示される触媒ドメインは好ましい: 配列番号14中のアミノ酸1〜441、配列番号18中のアミノ酸1〜471、配列番号20中のアミノ酸1〜450、配列番号22中のアミノ酸1〜445、配列番号26中のアミノ酸1〜498、配列番号28中のアミノ酸18〜513、配列番号30中のアミノ酸1〜507、配列番号32中のアミノ酸1〜481、配列番号34中のアミノ酸1〜495、配列番号38中のアミノ酸1〜477、配列番号42中のアミノ酸1〜449、配列番号115中のアミノ酸1〜442、配列番号117中のアミノ酸1〜441、配列番号125中のアミノ酸1〜477、配列番号131中のアミノ酸1〜446、配列番号157中のアミノ酸41〜481、配列番号159中のアミノ酸22〜502、配列番号161中のアミノ酸24〜499、配列番号163中のアミノ酸27〜492、配列番号165中のアミノ酸21〜496、配列番号167中のアミノ酸29〜501、配列番号169中のアミノ酸22〜487、配列番号171中のアミノ酸21〜463、配列番号173中のアミノ酸21〜477、配列番号175中のアミノ酸288〜773、配列番号177中のアミノ酸22〜471および配列番号179中のアミノ酸20〜470。
【0049】
また、前述の触媒ドメインの配列のいずれかに対して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%またはさらに少なくとも95%の相同性を有する触媒ドメインの配列は好ましい。他の好ましい態様において、触媒ドメインの配列は、前述の触媒ドメインの配列のいずれかと10以下の位置、9以下の位置、8以下の位置、7以下の位置、6以下の位置、5以下の位置、4以下の位置、3以下の位置、2以下の位置、またはさらに1以下の位置において異なるアミノ酸配列を有する。
【0050】
また、下記のヌクレオチドとして示すポリヌクレオチドから成る群から選択されるいずれかに対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%またはさらに少なくとも95%の相同性を有するDNA配列によりコードされる触媒ドメインのアミノ酸配列は好ましい: 配列番号13中のヌクレオチド1〜1326、配列番号17中のヌクレオチド1〜1413、配列番号19中のヌクレオチド1〜1350、配列番号21中のヌクレオチド1〜1338、配列番号25中のヌクレオチド1〜1494、配列番号27中のヌクレオチド52〜1539、配列番号29中のヌクレオチド1〜1521、配列番号31中のヌクレオチド1〜1443、
【0051】
配列番号33中のヌクレオチド1〜1485、配列番号37中のヌクレオチド1〜1431、配列番号41中のヌクレオチド1〜1347、配列番号114中のヌクレオチド1〜1326、配列番号116中のヌクレオチド1〜1323、配列番号124中のヌクレオチド1〜1431、配列番号130中のヌクレオチド1〜1338、配列番号156中のヌクレオチド121〜1443、配列番号158中のヌクレオチド64〜1506、配列番号160中のヌクレオチド70〜1497、配列番号162中のヌクレオチド79〜1476、配列番号164中のヌクレオチド61〜1488、配列番号166中のヌクレオチド85〜1503、配列番号168中のヌクレオチド64〜1461、配列番号170中のヌクレオチド61〜1389、配列番号172中のヌクレオチド61〜1431、配列番号174中のヌクレオチド862〜2322、配列番号176中のヌクレオチド64〜1413または配列番号178中のヌクレオチド58〜1410。
【0052】
低い、中程度の、中程度の/高い、高いおよび/または非常に高いストリンジェンシイ条件下に前述のDNA配列のいずれかに対してハイブリダイゼーションするDNA配列によりコードされる触媒ドメインのアミノ酸配列は好ましい。また、触媒ドメインのアミノ酸配列をコードし、そして前述の触媒ドメインのDNA配列に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%またはさらに100%の相同性を有するDNA配列は好ましい。
【0053】
リンカー配列: 1つの態様において、本発明は、炭水化物結合性モジュール (「CBM」) を含んでなりかつα-アミラーゼ活性を有するポリペプチドに由来するリンカー配列に関する。下記に示すアミノ酸から成る群から選択されるリンカーアミノ酸配列は好ましい: 配列番号159のアミノ酸配列503〜528、配列番号161のアミノ酸配列500〜532、配列番号163のアミノ酸配列493〜507、配列番号165のアミノ酸配列497〜539、配列番号169のアミノ酸配列488〜512、配列番号173のアミノ酸配列478〜491、配列番号177のアミノ酸配列472〜486および配列番号179のアミノ酸配列471〜481。また、前述のリンカー配列のいずれかに対して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%またはさらに少なくとも95%の相同性を有するリンカー配列は好ましい。
【0054】
他の好ましい態様において、リンカー配列は、前述のリンカー配列のいずれかと10以下の位置、9以下の位置、8以下の位置、7以下の位置、6以下の位置、5以下の位置、4以下の位置、3以下の位置、2以下の位置、またはさらに1以下の位置において異なるアミノ酸配列を有する。
【0055】
炭水化物結合性モジュール: 1つの態様において、本発明は、炭水化物結合性モジュール (「CBM」) を含んでなり、かつα-アミラーゼ活性を有するポリペプチドに由来するCBMに関し、ここでCBMは下記に示すα-アミラーゼから選択されるポリペプチドに由来する: 配列番号14、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号38、配列番号42、配列番号115、配列番号117、配列番号125、配列番号131、配列番号157、配列番号159、配列番号161、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号173、配列番号175、配列番号177および配列番号179。
【0056】
下記のアミノ酸を有する配列から成る群から選択されるCBMアミノ酸配列は好ましい: 配列番号159のアミノ酸配列529〜626、配列番号161のアミノ酸配列533〜630、配列番号163のアミノ酸配列508〜602、配列番号165のアミノ酸配列540〜643、配列番号167のアミノ酸配列502〜566、配列番号169のアミノ酸配列513〜613、配列番号173のアミノ酸配列492〜587、配列番号175のアミノ酸配列30〜287、配列番号177のアミノ酸配列487〜586および配列番号179のアミノ酸配列482〜582。また、前述のCBMアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%またはさらに少なくとも95%の相同性を有するCBMアミノ酸配列は好ましい。
【0057】
他の好ましい態様において、CBMアミノ酸配列は、前述のCBMアミノ酸配列のいずれかと10以下の位置、9以下の位置、8以下の位置、7以下の位置、6以下の位置、5以下の位置、4以下の位置、3以下の位置、2以下の位置、またはさらに1以下の位置において異なるアミノ酸配列を有する。
【0058】
また、下記のヌクレオチドとして示すポリヌクレオチドから成る群から選択されるいずれかに対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%またはさらに少なくとも95%の相同性を有するDNA配列によりコードされるCBMアミノ酸配列は好ましい: 配列番号158中のヌクレオチド1585〜1878、配列番号160中のヌクレオチド1597〜1890、配列番号162中のヌクレオチド1522〜1806、配列番号164中のヌクレオチド1618〜1929、配列番号166中のヌクレオチド1504〜1701、配列番号168中のヌクレオチド1537〜1842、配列番号172中のヌクレオチド1474〜1764、配列番号174中のヌクレオチド61〜861、配列番号176中のヌクレオチド1459〜1761および配列番号178中のヌクレオチド1444〜1749。
【0059】
配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号154および配列番号156。
【0060】
さらに、低い、中程度の、中程度の/高い、高いおよび/または非常に高いストリンジェンシイ条件下に前述のCBMのDNA配列のいずれかの相補的DNA配列に対してハイブリダイゼーションするDNA配列によりコードされるCBMアミノ酸配列は好ましい。また、CBMアミノ酸配列をコードし、そして前述のCBMのDNA配列に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%またはさらに100%の相同性を有するDNA配列は好ましい。
【0061】
配列番号166中のヌクレオチド1504〜1701および配列番号174中のヌクレオチド61〜861として示すDNA配列は、CBMに加えて、リンカー配列をまた含んでなる。
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】

【0064】
【表3】

【0065】
α-アミラーゼポリペプチドはデンプン分解方法において適用することができ、および/またはハイブリッドポリペプチドのための触媒ドメインおよび/またはCBMのドナーとして使用することができる。
【0066】
本発明の好ましいポリペプチド、例えば、ハイブリッドポリペプチドは、α-アミラーゼ活性を有する触媒モジュールを含んでなる第1アミノ酸配列と、炭水化物結合性モジュールを含んでなる第2 アミノ酸配列とを含んでなり、ここで前記第2 アミノ酸配列は下記のアミノ酸から成る群から選択される任意のアミノ酸に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、例えば、少なくとも95%の相同性を有する: 配列番号159のアミノ酸配列529〜626、配列番号161のアミノ酸配列533〜630、配列番号163のアミノ酸配列508〜602、配列番号165のアミノ酸配列540〜643、配列番号167のアミノ酸配列502〜566、配列番号169のアミノ酸配列513〜613、配列番号173のアミノ酸配列492〜587、配列番号175のアミノ酸配列30〜287、配列番号177のアミノ酸配列487〜586および配列番号179のアミノ酸配列482〜582。
【0067】
さらに、前記第1アミノ酸配列が下記のアミノ酸から成る群から選択される任意のアミノ酸に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、例えば、少なくとも95%の相同性を有するポリペプチド、例えば、ハイブリッドポリペプチドは好ましい: 配列番号14中のアミノ酸1〜441、配列番号18中のアミノ酸1〜471、配列番号20中のアミノ酸1〜450、配列番号22中のアミノ酸1〜445、配列番号26中のアミノ酸1〜498、配列番号28中のアミノ酸18〜513、配列番号30中のアミノ酸1〜507、配列番号32中のアミノ酸1〜481、配列番号34中のアミノ酸1〜495、配列番号38中のアミノ酸1〜477、配列番号42中のアミノ酸1〜449、配列番号115中のアミノ酸1〜442、配列番号117中のアミノ酸1〜441、配列番号125中のアミノ酸1〜477、配列番号131中のアミノ酸1〜446、配列番号157中のアミノ酸41〜481、配列番号159中のアミノ酸22〜502、配列番号161中のアミノ酸24〜499、配列番号163中のアミノ酸27〜492、配列番号165中のアミノ酸21〜496、配列番号167中のアミノ酸29〜501、配列番号169中のアミノ酸22〜487、配列番号171中のアミノ酸21〜463、配列番号173中のアミノ酸21〜477、配列番号175中のアミノ酸288〜773、配列番号177中のアミノ酸22〜471および配列番号179中のアミノ酸20〜470。
【0068】
また、リンカー配列が前記第1アミノ酸配列と前記第2 アミノ酸配列との間に存在し、前記リンカー配列が下記のアミノ酸から成る群から選択される任意のアミノ酸に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、例えば、少なくとも95%の相同性を有するポリペプチド、例えば、ハイブリッドポリペプチドは好ましい: 配列番号159のアミノ酸配列503〜528、配列番号161のアミノ酸配列500〜532、配列番号163のアミノ酸配列493〜507、配列番号165のアミノ酸配列497〜539、配列番号169のアミノ酸配列488〜512、配列番号173のアミノ酸配列478〜491、配列番号177のアミノ酸配列472〜486および配列番号179のアミノ酸配列471〜481。
【0069】
α-アミラーゼ配列
触媒ドメイン、すなわち、α-アミラーゼ触媒ドメイン (特に酸安定性α−アミラーゼ) は、本発明の型のポリペプチドの構築に適当であり、任意の生物に由来することができ、真菌または細菌由来のものは好ましい。
【0070】
好ましくは、α-アミラーゼは野生型酵素である。より好ましくは、α-アミラーゼは、活性の増加、低いpHおよび/または高いpHにおけるタンパク質安定性の増加、カルシウム消耗に対する安定性の増加および/または高温における安定性の増加に導くアミノ酸の修飾を含んでなる変異型α-アミラーゼである。
【0071】
本発明のハイブリッドにおいて使用する関係するα-アミラーゼは、下記から成るリストから選択される種から得ることができるα-アミラーゼを包含する: アブシディア (Absidia) 、アクレモニウム (Acremonium) 、アスペルギルス (Aspergillus) 、コニオケタ (Coniochaeta) 、クリプトスポリオプシス (Cryptosporiopsis) 、ジコトモクラジウム (Dichotomocladium) 、ジネマスポリウム (Dinemasporium) 種、ジプロジア (Diplodia) 、フザリウム (Fusarium) 、グリオクラジウム (Gliocladium) 、マルブランチケア (Malbranchea) 、メリピルス (Meripilus) 、トラメテス (Trametes) 、ネクテリア (Necteria) 、ペニシリウム (Penicillium) 、ファネロカエテ (Phanerochaete) 、リゾムコル (Rhizomucor) 、リゾプス (Rhizopus) 、ストレプトマイセス (Streptomyces) 、スブリスポラ (Sublispora) 、シンセファラストルム (Syncephalastrum) 、タミンジウム (Thamindium) 、テルモアスカス (Thermoascus) 、サーモミセス (Thermomyces) 、トラメテス (Trametes) 、トリコフェア (Trichophaea) およびバルサリア (Valsaria) 。α-アミラーゼ触媒ドメインは、また、細菌、例えば、バシラス (Bacillus) に由来することができる。
【0072】
好ましくは、選択したα-アミラーゼのアミノ酸配列は、下記から成る群から選択される任意の種に由来する: アブシジア・クリスタタ (Absidia cristata) 、アクレモニウム (Acremonium) 種、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) 、アスペルギルス・カワチイ (Aspergillus kawachii) 、アスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) 、コニオケタ (Coniochaeta) 種、クリプトスポリオプシス (Cryptosporiopsis) 種、ジコトモクラジウム・ヘッセルチネイ (Dichotomocladium hesseltinei) 、ジネマスポリウム (Dinemasporium) 種、ジプロジア (Diplodia) 種、フザリウム (Fusarium) 種、グリオクラジウム (Gliocladium) 種、マルブランチケア (Malbranchea) 種、メリピルス・ギアンテウス (Meripilus giganteus) 、ネクトリア (Nectria) 種、ペニシリウム (Penicillium) 種、ファネロカエテ・クリソスポリウム (Phanerochaete chrysosporium) 、リゾムコル・プシルス (Rhizomucor pusillus) 、リゾプス・オリゼ (Rhizopus oryzae) 、
【0073】
ステレウム (Stereum) 種、ストレプトマイセス・サーモシアネオビオラセウス (Streptomyces thermocyaneoviolaceus) 、ストレプトマイセス・リモスス (Streptomyces limosus) 、スブリスポラ・プロクルバタ (Sublispora procurvata) 、シンセファラストルム・ラセモスム (Syncephalastrum racemosum) 、タミンジウム・エレガンス (Thamindium elegans) 、テルモアスカス・アウランチカス (Thermoascus auranticus) 、テルモアスカス (Thermoascus) 種、サーモミセス・ラヌギノスス (Thermomyces lanuginosus) 、トラメテス・コルガタ (Trametes corrugata) 、トラメテス (Trametes) 種、トリコフェレア・サッカタ (Trichopheraea saccata) 、バルサリア・ルブリコサ (Valsaria rubricosa) 、バルサリア・スパルチイ (Valsaria spartii) およびバシラス・フラボテルムス (Bacillus flavothermus) (同義: アノキシバシラス・コンタミナンス (Anoxybacillus contaminans) 。
【0074】
好ましくは、ハイブリッドは表1〜表3または表5〜表12に列挙されているα-アミラーゼ触媒ドメインから成る群から選択されるα-アミラーゼのアミノ酸配列を含んでなる。
【0075】
最も好ましくは、ハイブリッドは下記からのα-アミラーゼから成る群から選択されるα-アミラーゼのアミノ酸配列を含んでなる:
アスペルギルス (Aspergillus) (配列番号2) 、アスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) (配列番号4および配列番号6) 、トリコフェレア・サッカタ (Trichopheraea saccata) (配列番号8) 、スブリスポラ・プロクルバタ (Sublispora procurvata) (配列番号10) 、バルサリア・ルブリコサ (Valsaria rubricosa) (配列番号12) 、サーモミセス・ラヌギノスス (Thermomyces lanuginosus) (配列番号14) 、アクレモニウム (Acremonium) 種 (配列番号16) 、マルブランチケア (Malbranchea) 種 (配列番号18) 、
リゾムコル・プシルス (Rhizomucor pusillus) (配列番号20) 、ジコトモクラジウム・ヘッセルチネイ (Dichotomocladium hesseltinei) (配列番号22) 、メリピルス・ギガンテウス (Meripilus giganteus) (配列番号24) 、ステレウム (Stereum) 種AMY1179 (配列番号26) 、トラメテス (Trametes) 種 (配列番号28) 、コリオルス・センソルス (Coriolus censors) (配列番号30) 、ジネマスポリウム (Dinemasporium) 種 (配列番号32) 、クリプトスポリオプシス (Cryptosporiopsis) 種 (配列番号34) 、コニオケタ (Coniochaeta) 種 (配列番号36) 、ジプロジア (Diplodia) 種 (配列番号38) 、ネクトリア (Nectria) 種 (配列番号40) 、グリオクラジウム (Gliocladium) 種 (配列番号42) 、ストレプトマイセス・サーモシアネオビオラセウス (Streptomyces thermocyaneoviolaceus) (配列番号44) 、テルモアスカス (Thermoascus) 種II (配列番号111) 、コニオケタ (Coniochaeta) 種 (配列番号113) 、ネクトリア (Nectria) 種 (配列番号115) 、
【0076】
フザリウム (Fusarium) 種 (配列番号117) 、トラメテス・コルガタ (Trametes corrugate) (配列番号119) 、ペニシリウム (Penicillium) 種 (配列番号121) 、バルサリア・スパルチイ (Valsaria spartii) (配列番号123) 、テルモアスカス・アウランチカス (Thermoascus auranticus) (配列番号125) 、ファネロカエテ・クリソスポリウム (Phanerochaete chrysosporium) (配列番号127) 、リゾプス・オリゼ (Rhizopus oryzae) (配列番号129) 、タミンジウム・エレガンス (Thamindium elegans) (配列番号131) 、アブシジア・クリスタタ (Absidia cristata) (配列番号133) 、シンセファラストルム・ラセモスム (Syncephalastrum racemosum) (配列番号135) およびストレプトマイセス・リモスス (Streptomyces limosus) (配列番号155) 。
【0077】
また、下記から成る群から選択される任意の配列に対して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%またはさらに少なくとも95%の相同性を有するα-アミラーゼのアミノ酸配列を含んでなるハイブリッドは本発明のために好ましい: 配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号119、配列番号121、配列番号123、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135および配列番号155。
【0078】
他の好ましい態様において、ハイブリッド酵素は、下記から成る群から選択される任意の配列と10以下の位置、9以下の位置、8以下の位置、7以下の位置、6以下の位置、5以下の位置、4以下の位置、3以下の位置、2以下の位置、またはさらに1以下の位置において異なるα-アミラーゼのアミノ酸配列を有する: 配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号119、配列番号121、配列番号123、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135および配列番号155。
【0079】
また、下記から成る群から選択される任意の配列に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%またはさらに少なくとも95%の相同性を有するDNA配列によりコードされるα-アミラーゼのアミノ酸配列を含んでなるハイブリッドは好ましい: 配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134および配列番号154。
【0080】
さらに、低い、中程度の、中程度の/高い、高いおよび/非常に高いストリンジェンシィ条件下に下記からなる群から選択される任意のDNA配列に対してハイブリダイゼーションするDNA配列によりコードされるα-アミラーゼのアミノ酸配列を含んでなるハイブリッドは好ましい:配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134および配列番号154。
【0081】
リンカー配列
リンカー配列は、任意の適当なリンカー配列、例えば、α-アミラーゼまたはグルコアミラーゼに由来するリンカー配列であることができる。リンカーは結合であるか、あるいは約2〜約100炭素原子、特に2〜40炭素原子を含んでなる短い結合基であることができる。しかしながら、リンカーは約2〜約100アミノ酸残基、より好ましくは4〜40アミノ酸残基、例えば、6〜15アミノ酸残基の配列である。
【0082】
好ましくは、ハイブリッドは、下記から成る群から選択される任意の種に由来するリンカー配列を含んでなる: アクレモニウム (Acremonium) 、コニオケタ (Coniochaeta) 、メリピルス (Meripilus) 、パチキトスポラ (Pachykytospora) 、ペニシリウム (Penicillium) 、スブリスポラ (Sublispora) 、トラメテス (Trametes) 、トリコフェア (Trichophaea) 、バルサリア (Valsaria) 、アテリア (Athelia) 、アスペルギルス (Aspergillus) 、トラメテス (Trametes) およびレウコパキシルス (Leucopaxillus) 。リンカーは、また、細菌、例えば、バシラス (Bacillus) 種内の菌株に由来することができる。より好ましくは、リンカーは下記から成る群から選択される種に由来する: アクレモニウム (Acremonium) 種、コニオケタ (Coniochaeta) 種、メリピルス・ギガンテウス (Meripilus giganteus) 、ペニシリウム (Penicillium) 種、スブリスポラ・プロクルバタ (Sublispora procurvata) 、トラメテス・コルガタ (Trametes corrugata) 、トリコフェレア・サッカタ (Trichopheraea saccata) 、バルサリア・ルブリコサ (Valsaria rubricosa) バルサリア・スパルチイ (Valsaria spartii) 、アスペルギルス・カワチイ (Aspergillus kawachii) 、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) 、アテリア・ロルフシイ (Athelia rolfsii) 、レウコパキシルス・ギガンテウス (Leucopaxillus giganteus) 、パチキトスポラ・パピラセア (Pachykytospora papyracea) 、トラメテス・シングラタ (Trametes cingulata) およびバシラス・フラボテルムス (Bacillus flavothermus) 。
【0083】
好ましくは、ハイブリッドは表1〜表3または表5〜表12に列挙されているリンカーから成る群から選択されるリンカーアミノ酸配列を含んでなる。
【0084】
より好ましくは、リンカーは下記のリンカーである: 下記から成る群から選択されるグルコアミラーゼからのリンカー: パチキトスポラ・パピラセア (Pachykytospora papyracea) (配列番号46) 、トラメテス・シングラタ (Trametes cingulata) (配列番号48) 、レウコパキシルス・ギガンテウス (Leucopaxillus giganteus) (配列番号50) 、アテリア・ロルフシイ (Athelia rolfsii) (配列番号68) 、アスペルギルス・カワチイ (Aspergillus kawachii) (配列番号70) 、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) (配列番号72) 、または下記から成る群から選択されるα-アミラーゼからのリンカー: スブリスポラ・プロクルバタ (Sublispora procurvata) (配列番号54) 、
【0085】
バルサリア・ルブリコサ (Valsaria rubricosa) (配列番号56) 、アクレモニウム (Acremonium) 種 (配列番号58) 、メリピルス・ギガンテウス (Meripilus giganteus) (配列番号60) 、バシラス・フラボテルムス (Bacillus flavothermus) (配列番号62、配列番号64または配列番号66) 、コニオケタ (Coniochaeta) 種AM603 (配列番号74) 、コニオケタ (Coniochaeta) 種 (配列番号145) 、トラメテス・コルガタ (Trametes corrugata) (配列番号147) 、バルサリア・スパルチイ (Valsaria spartii) (配列番号149) 、ペニシリウム (Penicillium) 種 (配列番号151) 、トリコフェレア・サッカタ (Trichopheraea saccata) (配列番号52) 。
【0086】
また、下記から成る群から選択される任意の配列に対して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%またはさらに少なくとも95%の相同性を有する、任意のリンカーアミノ酸配列は本発明のために好ましい: 配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号145、配列番号147、配列番号149および配列番号151。
【0087】
他の好ましい態様において、ハイブリッド酵素は、下記から成る群から選択される任意の配列と10以下の位置、9以下の位置、8以下の位置、7以下の位置、6以下の位置、5以下の位置、4以下の位置、3以下の位置、2以下の位置、またはさらに1以下の位置において異なるα-アミラーゼのアミノ酸配列を有する: 配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号145、配列番号147、配列番号149および配列番号151。
【0088】
また、下記から成る群から選択される任意の配列に対して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%またはさらに少なくとも95%の相同性を有するDNA配列によりコードされるαリンカー配列を含んでなるハイブリッドは好ましい: 配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号144、配列番号146、配列番号148および配列配列番号150。
【0089】
さらに、高い、中程度のまたは低いストリンジェンシイ条件下に下記から成る群から選択される任意のDNA配列に対してハイブリダイゼーションするDNA配列によりコードされるリンカー配列を含んでなるハイブリッドは好ましい: 配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号144、配列番号146、配列番号148および配列配列番号150。
【0090】
好ましい態様において、CBM源に由来するリンカーを使用し、例えば、アテリア・ロルフシイ (A. rolfsii) グルコアミラーゼからのCBMを使用する時、アテリア・ロルフシイ (A. rolfsii) グルコアミラーゼからのリンカー配列をハイブリッドにおいてその上使用される。
【0091】
炭水化物結合性モジュール
炭水化物結合性モジュール (CBM) 、またはしばしば言及するように、炭水化物結合性ドメイン (CBD) は、多糖またはオリゴ糖 (炭水化物) に優先的に結合し、頻繁に、しかし必ずしも独占的にではなく、それらの水不溶性 (結晶質を包含する) 形態に結合するポリペプチドアミノ酸配列である。
【0092】
デンプン分解酵素に由来するCBMは、デンプン結合性モジュールまたはSBM (ある種のデンプン加水分解酵素、例えば、ある種のグルコアミラーゼ、またはシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼのような酵素、またはα-アミラーゼ中に存在することがあるCBM) をしばしば意味する。同様に、CBMの他のクラスは、例えば、セルロース結合性モジュール (セルロース分解酵素からのCBM) 、キチン結合性モジュール (典型的にはキチナーゼ中に存在するCBM) 、キシラン結合性モジュール (典型的にはキシラナーゼ中に存在するCBM) 、マンナン結合性モジュール (典型的にはマンナナーゼ中に存在するCBM) を包含するであろう。SBMはしばしばSBD (デンプン結合性ドメイン) と呼ばれる。
【0093】
CBMは、特に典型的には基質加水分解のための活性部位を含有する触媒モジュールと、問題の炭水化物基質に結合するための炭水化物結合性モジュール (CBM) とを含んでなる加水分解酵素 (ヒドロラーゼ) において、2またはそれ以上のポリペプチドアミノ酸配列領域から成る大きいポリペプチドまたはタンパク質の一体的部分として見出される。このような酵素は2以上の触媒モジュールと、1、2または3つのCBMとを含んでなることができ、必要に応じて1または2以上のCBMを1または2以上の触媒モジュールに結合させる1または2以上のポリペプチドアミノ酸配列をさらに含んでなり、後者のタイプの領域は通常「リンカー」と呼ばれる。CBMを含んでなる加水分解酵素の例 (それらのあるものは既に前述した) は、セルラーゼ、キシラナーゼ、マンナナーゼ、アラビノフラノシダーゼ、アセチルエステラーゼおよびキチナーゼである。CBMは、また、藻類、例えば、赤色藻ポルフィラ・プルプレア (Porphyra purpurea) 中に非加水分解性多糖結合性タンパク質の形態で見出された。
【0094】
CBMが存在するタンパク質/ポリペプチド (例えば、酵素、典型的には加水分解酵素) において、CBMはN末端またはC末端にまたは内部に位置することができる。
CBMそれ自体を構成するポリペプチドまたはタンパク質 (例えば、加水分解酵素) の部分は、典型的には約30より多くかつ約250より少ないアミノ酸残基から成る。
【0095】
「ファミリー20の炭水化物結合性モジュール」またはCBM-20モジュールは、本発明の関係において、下記の文献に開示されているポリペプチドの炭水化物結合性モジュール (CBM) に対して少なくとも45%の相同性を有するほぼ100アミノ酸の配列として定義される: 第1図、Joergensen 他 (1997) Biotechnol. Lett. 19: 1027-1031。CBMはポリペプチドの最後の102アミノ酸、すなわち、アミノ酸582〜アミノ酸683のサブ配列を含んでなる。
【0096】
この開示において適用されるグリコシドヒドロラーゼファミリーのナンバリングは下記の概念に従う: Coutinho P. M. およびHenrissat B. (1999) CAZy-Carbohydrate-Active Enzymes server at URL: http://afmb.cnrs-mrs.fr/〜cazy/CAZY/index.htmlまたは選択的にCoutinho P. M. およびHenrissat B. 1999; The modular structure of cellulases and other carbohydrate-active enzymes: an integrated database approach、”Genetics, Biochemistry and Ecology of Cellulose Degradation”、 編者: K. Ohmiya、K. Hayashi、K. Sakka、Y. Kobayashi、S. KaritaおよびT. Kimura、Uni Publishers Co. 東京、pp. 15-23、およびBourne Y. およびHenrissat B. 2001; Glycoside hydrolase and glycosyltransferases: families and functional modules、Current Opinion in Structural Biology 11: 593-600。
【0097】
本発明の関係において使用するために適当なCBMを含んでなる酵素の例は、α-アミラーゼ、マルトジェニックα-アミラーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、マンナナーゼ、アラビノフラノシダーゼ、アセチルエステラーゼおよびキチナーゼである。本発明に関して問題のそれ以上のCBMは、グルコアミラーゼ (EC 3.2.1.3) またはCGTアーゼ (EC 2.4.1.19) に由来するCBMを包含する。
【0098】
一般に、真菌、細菌または植物源は本発明の関係において使用するために適当である。真菌由来のCBMは好ましい。この関係において、関係する遺伝子を単離する技術はこの分野においてよく知られている。
【0099】
炭水化物結合性モジュールファミリー20、21または25のCBMを含んでなるハイブリッドは本発明のために好ましい。本発明に適当な炭水化物結合性モジュールファミリー20のCBMは下記に由来することができる:
アスペルギルス・アワモリ (Aspergillus awamori) (SWISSPROT Q12537) 、アスペルギルス・カワチイ (Aspergillus kawachii) (SWISSPROT P23176) 、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) (SWISSPROT P04064) 、アスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) (SWISSPROT P36914) のグルコアミラーゼ、アスペルギルス・カワチイ (Aspergillus kawachii) (EMBL: #AB008370) およびアスペルギルス・ニヅランス (Aspergillus nidulans) (NCBI AAF17100.1) のα-アミラーゼ、バシラス・セレウス (Bacillus cereus) (SWISSPROT P36924) のβ‐アミラーゼ、またはバシラス・サーキュラン (Bacillus circulans) (SWISSPROT P43379) のCGTアーゼ。
【0100】
アスペルギルス・カワチイ (Aspergillus kawachii) (EMBL: #AB008370) のα-アミラーゼからのCBM、またはアスペルギルス・カワチイ (Aspergillus kawachii) (EMBL: #AB008370) のα-アミラーゼからのCBMに対して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%またはさらに少なくとも95%の相同性を有するCBMは好ましい。それ以上の好ましいCBMは下記に由来するグルコアミラーゼのCBMを包含する: ホルモコニス (Hormoconis) 種、例えば、ホルモコニス・レジネ (Hormoconis resinae) (同義: Creosote真菌またはアモルホテカ・レジネ (Amorphotheca resinae)) 、例えば、SWISSPROT: Q03045のCBM、レンチヌラ (Lentinula) 種、例えば、レンチヌラ・エドデス (Lentinula edodes) (シイタケキノコ) 、例えば、SPTREMBL: Q9P4C5のCBM、ニューロスポラ (Neurospora) 種、例えば、ニューロスポラ・クラッサ (Neurospora crassa)、例えば、SWISSPROT: P14804のCBM、
【0101】
タラロマイセス (Talaromyces) 種、例えば、タラロマイセス・ビッソクラミジオイデス (Talaromyces byssochlamydioides) 、ゲオスミチア (Geosmithia) 種、例えば、ゲオスミチア・シリンドロスポラ (Geosmithia cylindrospora) 、スコリアス (Scorias) 種、例えば、スコリアス・スポンギオサ (Scorias spongiosa) 、エウペニシリウム (Eupenicillium) 種、例えば、エウペニシリウム・ルドウィギイ (Eupenicillium ludwigii) 、アスペルギルス (Aspergillus) 種、例えば、アスペルギルス・ジャポニカス (Aspergillus japonicus) 、ペニシリウム (Penicillium) 種、例えば、ペニシリウムcfミクジンスキイ (Penicillium cf miczynskii) 、チサノホラ (Thysanophora) およびフミコラ (Humicola) 種、例えば、フミコラ・グリセア・ヴァル・テルモデア (Humicola grisea var. thermoidea) 、例えば、SPTREMBL: Q12623のCBM。
【0102】
好ましくは、ハイブリッドは下記から成る群から選択される任意の科または種に由来するCBMを含んでなる: アクレモニウム (Acremonium) 、アスペルギルス (Aspergillus) 、アテリア (Athelia) 、コニオケタ (Coniochaeta) 、クリプトスポリオプシス (Cryptosporiopsis) 、ジコトモクラジウム (Dichotomocladium) 、ジネマスポリウム (Dinemasporium) 、ジプロジア (Diplodia) 、グリオクラジウム (Gliocladium) 、レウコパキシルス (Leucopaxillus) 、マルブランチケア (Malbranchea) 、メリピルス (Meripilus) 、ネクトリア (Nectria) 、パチキトスポラ (Pachykytospora) 、ペニシリウム (Penicillium) 、リゾムコル (Rhizomucor) 、リゾムコル・プシルス (Rhizomucor pusillus) 、ストレプトマイセス (Streptomyces) 、スブリスポラ (Subulispora) 、サーモミセス (Thermomyces) 、トラメテス (Trametes) 、トリコフェレア・サッカタ (Trichopheraea saccata) およびバルサリア (Valsaria) 。
【0103】
また、CBMは植物、例えば、トウモロコシ (例えば、ゼア・メイズ (Zea mays)) または細菌、例えば、バシラス (Bacillus) に由来することができる。より好ましくは、Handbook は下記から成る群から選択される任意の種に由来するCBMを含んでなる: アクレモニウム (Acremonium) 種、アスペルギルス・カワチイ (Aspergillus kawachii) 、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) 、アスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) 、アテリア・ロルフシイ (Athelia rolfsii) 、バシラス・フラボテルムス (Bacillus flavothermus) 、コニオケタ (Coniochaeta) 種、クリプトスポリオプシス (Cryptosporiopsis) 種、ジコトモクラジウム・ヘッセルチネイ (Dichotomocladium hesseltinei) 、ジネマスポリウム (Dinemasporium) 種、ジプロジア (Diplodia) 種、グリオクラジウム (Gliocladium) 種、レウコパキシルス・ギガンテウス (Leucopaxillus giganteus) 、
【0104】
マルブランチケア (Malbranchea) 種、メリピルス・ギガンテウス (Meripilus giganteus) 、ネクトリア (Nectria) 種、パチキトスポラ・パピラセア (Pachykytospora papyracea) 、ペニシリウム (Penicillium) 種、リゾムコル・プシルス (Rhizomucor pusillus) 、ストレプトマイセス・サーモシアネオビオラセウス (Streptomyces thermocyaneoviolaceus)、ストレプトマイセス・リモスス (Streptomyces limosus) 、スブリスポラ・プロクルバタ (Sublispora procurvata) 、サーモミセス・ラヌギノスス (Thermomyces lanuginosus) 、トラメテス・シングラタ (Trametes cingulata) 、トラメテス・コルガタ (Trametes corrugata) 、トリコフェレア・サッカタ (Trichopheraea saccata) 、バルサリア・ルブリコサ (Valsaria rubricosa) 、バルサリア・スパルチイ (Valsaria spartii) およびゼア・メイズ (Zea mays) 。
【0105】
好ましくは、ハイブリッドは、表1〜表3または表5〜表12に列挙されているCBMから成る群から選択されるCBMアミノ酸配列を含んでなる。
【0106】
より好ましくは、ハイブリッドは下記からのCBMを含んでなる: パチキトスポラ・パピラセア (Pachykytospora papyracea) (配列番号76) 、トラメテス・シングラタ (Trametes cingulata) (配列番号78) 、レウコパキシルス・ギガンテウス (Leucopaxillus giganteus) (配列番号80) 、アテリア・ロルフシイ (Athelia rolfsii) (配列番号92) 、アスペルギルス・カワチイ (Aspergillus kawachii) (配列番号94) およびアスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) (配列番号96) から成る群から選択されるグルコアミラーゼ、またはトリコフェレア・サッカタ (Trichopheraea saccata) (配列番号52) 、スブリスポラ・プロクルバタ (Sublispora procurvata) (配列番号82) 、
【0107】
バルサリア・ルブリコサ (Valsaria rubricosa) (配列番号84) 、アクレモニウム (Acremonium) 種 (配列番号86) 、メリピルス・ギアンテウス (Meripilus giganteus) (配列番号88) 、バシラス・フラボテルムス (Bacillus flavothermus) (配列番号90) 、コニオケタ (Coniochaeta) 種 (配列番号98) 、ゼア・メイズ (Zea mays) (配列番号109) 、コニオケタ (Coniochaeta) 種 (配列番号137) 、トラメテス・コルガタ (Trametes corrugata) (配列番号139) 、バルサリア・スパルチイ (Valsaria spartii) (配列番号141) およびペニシリウム (Penicillium) 種 (配列番号143) から成る群から選択されるα-アミラーゼ。
【0108】
好ましい態様において、ハイブリッド酵素は、下記から成る群から選択されるアミノ酸配列と10以下の位置、9以下の位置、8以下の位置、7以下の位置、6以下の位置、5以下の位置、4以下の位置、3以下の位置、2以下の位置、またはさらに1以下の位置において異なるCBM配列を有する: 配列番号52、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号109、配列番号137、配列番号139、配列番号141および配列番号143。
【0109】
また、下記から成る群から選択される任意の配列に対して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%またはさらに少なくとも95%の相同性を有するDNA配列によりコードされるCBMは好ましい: 配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号108、配列番号136、配列番号138、配列番号140および配列番号142。さらに、高い、中程度のまたは低いストリンジェンシイ条件下に下記から成る群から選択される任意のDNA配列に対してハイブリダイゼーションするDNA配列によりコードされるCBMは好ましい: 配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号108、配列番号136、配列番号138、配列番号140および配列番号142。
【0110】
それ以上の適当な炭水化物結合性モジュールファミリー20、21または25は下記のURLにおいて見出される: http://afmb.cnrs-mrs.fr/〜cazy/CAZY/index.html。
【0111】
いったん基質結合性 (炭水化物結合性) 領域をコードするヌクレオチド配列、例えば、cDNAまたは染色体DNAが同定されると、次いで種々の方法で操作して問題のポリペプチドをコードするDNA配列にそれを融合することができる。次いで、リンカーを使用するか、あるいは使用しないで、炭水化物結合性アミノ酸配列をコードするDNAフラグメントおよび問題のポリペプチドをコードするDNAを結合する。次いで、生ずる結合したDNAを種々の方法で操作して発現を達成する。
【0112】
特定の態様
好ましい態様において、ポリペプチドは、アテリア・ロルフシイ (Athelia rolfsii) 、パチキトスポラ・パピラセア (Pachykytospora papyracea) 、バルサリア・ルブリコサ (Valsaria rubricosa) またはメリピルス・ギガンテウス (Meripilus giganteus) に由来するCBMを含んでなる。下記から成る群から選択されるCBMアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドは好ましい: アテリア・ロルフシイ (Athelia rolfsii) グルコアミラーゼ (配列番号92) 、パチキトスポラ・パピラセア (Pachykytospora papyracea) グルコアミラーゼ (配列番号76) 、バルサリア・ルブリコサ (Valsaria rubricosa) α-アミラーゼ (配列番号84) およびメリピルス・ギアンテウス (Meripilus giganteus) α-アミラーゼ (配列番号88) 。
【0113】
なお好ましい態様において、ポリペプチドは、アスペルギルス・オリゼ (A. oryzae) α-アミラーゼ (配列番号4) に由来するα-アミラーゼ配列を含んでなり、好ましくは、ここで前記アスペルギルス・オリゼ (A. oryzae) アミノ酸配列はA128P、K138V、S141N、Q143A、D144S、Y155W、E156D、D157N、N244E、M246L、G446D、D448SおよびN450Dから成る群から選択される1または2以上のアミノ酸置換を含んでなる。最も好ましくは、ポリペプチドは配列番号6に示すアミノ酸配列を有する触媒ドメインを含んでなる。
【0114】
好ましい態様において、ポリペプチドは、さらに、アテリア・ロルフシイ (A. rolfsii) に由来するCBMを含んでなる。好ましくは、ポリペプチドは、さらに、配列番号92に示すアミノ酸配列を有するCBMを含んでなる。最も好ましくは、ポリペプチドは配列番号100に示すアミノ酸配列を有するか、あるいはポリペプチドは前述のアミノ酸に対して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%またはさらに少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列を有する。
【0115】
また、配列番号99に示すDNA配列に対して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%またはさらに少なくとも95%の相同性を有するDNA配列によりコードされるポリペプチドである。
【0116】
他の好ましい態様において、ポリペプチドは、リゾムコル・プシルス (Rhizomucor pussilus) α-アミラーゼに由来する触媒モジュールおよび/またはアテリア・ロルフシイ (A. rolfsii) に由来するCBMを含んでなる。特定の好ましい態様において、ポリペプチドは配列番号101に示すアミノ酸配列を有するか、あるいはポリペプチドは前述のアミノ酸に対して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%またはさらに少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列を有する。
【0117】
なお好ましい態様において、ポリペプチドは、メリピルス・ギガンテウス (Meripilus giganteus) α-アミラーゼに由来する触媒モジュールおよび/またはアテリア・ロルフシイ (A. rolfsii) に由来するCBMを含んでなる。特定の好ましい態様において、ポリペプチドは配列番号102に示すアミノ酸配列を有するか、あるいはポリペプチドは前述のアミノ酸に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%またはさらに少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列を有する。
【0118】
なお好ましい他の態様において、ポリペプチドは、配列番号100、配列番号101および配列番号102に示すいずれかのアミノ酸配列と10以下の位置、9以下の位置、8以下の位置、7以下の位置、6以下の位置、5以下の位置、4以下の位置、3以下の位置、2以下の位置、またはさらに1以下の位置において異なるアミノ酸配列を有する。
【0119】
また、配列番号100、配列番号101および配列番号102に示すいずれかのアミノ酸配列をコードするDNA配列に対して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%またはさらに少なくとも95%の相同性を有するDNA配列によりコードされるポリペプチドは好ましい。
【0120】
さらに、高い、中程度のまたは低いストリンジェンシイ条件下に配列番号100、配列番号101および配列番号102に示すいずれかのアミノ酸配列をコードするDNA配列に対してハイブリダイゼーションするDNA配列によりコードされるCBMは好ましい。
【0121】
本発明のポリペプチドの他の好ましい態様は、実施例の節における表14、15、16および17に示されている。また、表1〜3、表5〜12および表14〜18に示すポリペプチドのアミノ酸配列に対して少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%およびさらにより好ましくは少なくとも90%の相同性を有するポリペプチドは好ましい。さらに、低い、中程度の、または非常に高いストリンジェンシイ条件下に表1〜3、表5〜12および表14〜18に示すポリペプチドのアミノ酸配列をコードするDNA配列に対してハイブリダイゼーションするDNA配列によりコードされるポリペプチドは好ましい。
【0122】
好ましい態様において、ポリペプチドは、アスペルギルス・オリゼ (A. oryzae) 触媒ドメイン (配列番号6) に対して少なくとも75%の相同性を有する触媒ドメイン、および下記から成る群から選択されるCBMに対して少なくとも75%の相同性を有するCBMを含んでなる: 配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号88、配列番号52、配列番号92、配列番号52、配列番号90。より好ましい態様において、ポリペプチドは、アスペルギルス・オリゼ (A. oryzae) 触媒ドメイン (配列番号6) 、および下記から成る群から選択されるCBMを含んでなる: 配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号88、配列番号52、配列番号92、配列番号52、配列番号90および配列番号90。
【0123】
好ましい態様において、ポリペプチドは、アテリア・ロルフシイ (A. rolfsii) グルコアミラーゼCBM (配列番号92) に対して少なくとも75%の相同性を有するCBM、および下記から成る群から選択される触媒ドメインに対して少なくとも75%の相同性を有する触媒ドメインを含んでなる: 配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号155、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号119、配列番号123、配列番号125、配列番号121、配列番号127、配列番号129、配列番号131、配列番号133および配列番号135。
【0124】
より好ましい態様において、ポリペプチドは、アテリア・ロルフシイ (A. rolfsii) グルコアミラーゼCBM (配列番号92) 、および下記から成る群から選択される触媒ドメインを含んでなる: 配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号155、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号119、配列番号123、配列番号125、配列番号121、配列番号127、配列番号129、配列番号131、配列番号133および配列番号135。
【0125】
好ましい態様において、ポリペプチドは、パチキトスポラ・パピラセア (Pachykytospora papyracea) グルコアミラーゼCBM (配列番号145) に対して少なくとも75%の相同性を有するCBM、および下記から成る群から選択されるCBMに対して少なくとも75%の相同性を有する触媒ドメインを含んでなる: アクレモニウム (Acremonium) 種α-アミラーゼCBM (配列番号16) 、リゾムコル・プシルス (Rhizomucor pusillus) α-アミラーゼCBM (配列番号20) およびメリピルス・ギガンテウス (Meripilus giganteus) α-アミラーゼCBM (配列番号24) 。
【0126】
より好ましい態様において、ポリペプチドは、パチキトスポラ・パピラセア (Pachykytospora papyracea) グルコアミラーゼCBM (配列番号145) 、および下記から成る群から選択されるCBMを含んでなる: アクレモニウム (Acremonium) 種α-アミラーゼCBM (配列番号16) 、リゾムコル・プシルス (Rhizomucor pusillus) α-アミラーゼCBM (配列番号20) およびメリピルス・ギガンテウス (Meripilus giganteus) α-アミラーゼCBM (配列番号24) 。
【0127】
好ましい態様において、ポリペプチドは、リゾムコル・プシルス (Rhizomucor pusillus) α-アミラーゼ触媒ドメイン (配列番号20) に対して少なくとも75%の相同性を有する触媒ドメイン、および下記から成る群から選択されるCBMに対して少なくとも75%の相同性を有するCBMを含んでなる: アスペルギルス・カワチイ (Aspergillus kawachii) グルコアミラーゼCBM (配列番号94) およびアスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) グルコアミラーゼCBM (配列番号96) 。より好ましい態様において、ポリペプチドは、リゾムコル・プシルス (Rhizomucor pusillus) α-アミラーゼ触媒ドメイン (配列番号20) 、および下記から成る群から選択されるCBMを含んでなる: アスペルギルス・カワチイ (Aspergillus kawachii) グルコアミラーゼCBM (配列番号94) およびアスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) グルコアミラーゼCBM (配列番号96) 。
【0128】
好ましい態様において、ポリペプチドは、メリピルス・ギガンテウス (Meripilus giganteus) α-アミラーゼ触媒ドメイン (配列番号24) に対して少なくとも75%の相同性を有する触媒ドメイン、および下記から成る群から選択されるCBMに対して少なくとも75%の相同性を有するCBMを含んでなる: パチキトスポラ・パピラセア (Pachykytospora papyracea) グルコアミラーゼCBM (配列番号145) 、バルサリア・ルブリコサ (Valsaria rubricosa) α-アミラーゼCBM (配列番号84) およびゼア・メイズ (Zea mays) CBM (配列番号109) 。
【0129】
より好ましい態様において、ポリペプチドは、メリピルス・ギガンテウス (Meripilus giganteus) α-アミラーゼ触媒ドメイン (配列番号24) 、および下記から成る群から選択されるCBMを含んでなる: パチキトスポラ・パピラセア (Pachykytospora papyracea) グルコアミラーゼCBM (配列番号145) 、バルサリア・ルブリコサ (Valsaria rubricosa) α-アミラーゼCBM (配列番号84) およびゼア・メイズ (Zea mays) CBM (配列番号109) 。
【0130】
好ましい態様において、ポリペプチドは、リゾムコル・プシルス (Rhizomucor pusillus) α-アミラーゼ触媒ドメイン (配列番号20) に対して少なくとも75%の相同性を有する触媒ドメイン、および下記から成る群から選択されるCBMに対して少なくとも75%の相同性を有するCBMを含んでなる: アテリア・ロルフシイ (A. rolfsii) グルコアミラーゼCBM (配列番号92) 、ゼア・メイズ (Zea mays) CBM (配列番号109) 、コニオケタ (Coniochaeta) 種α-アミラーゼCBM (配列番号113) 、トラメテス・コルガタ (Trametes corrugata) α-アミラーゼCBM (配列番号119) 、バルサリア・スパルチイ (Valsaria spartii) α-アミラーゼCBM (配列番号123) 、ペニシリウム (Penicillium) 種α-アミラーゼCBM (配列番号121) およびメリピルス・ギガンテウス (Meripilus giganteus) α-アミラーゼCBM (配列番号88) 。
【0131】
より好ましい態様において、ポリペプチドは、リゾムコル・プシルス (Rhizomucor pusillus) α-アミラーゼ触媒ドメイン (配列番号20) 、および下記から成る群から選択されるCBMを含んでなる: アテリア・ロルフシイ (A. rolfsii) グルコアミラーゼCBM (配列番号92) 、ゼア・メイズ (Zea mays) CBM (配列番号109) 、コニオケタ (Coniochaeta) 種α-アミラーゼCBM (配列番号113) 、トラメテス・コルガタ (Trametes corrugata) α-アミラーゼCBM (配列番号119) 、バルサリア・スパルチイ (Valsaria spartii) α-アミラーゼCBM (配列番号123) 、ペニシリウム (Penicillium) 種α-アミラーゼCBM (配列番号121) およびメリピルス・ギガンテウス (Meripilus giganteus) α-アミラーゼCBM (配列番号88) 。
【0132】
特に好ましい態様において、ポリペプチドは下記から成る群から選択される: V001、V002、V003、V004、V005、V006、 V007、 V008、 V009、V010、 V011、 V012、 V013、 V014、 V015、 V016、 V017、 V018、 V019、 V021、 V022、 V023、 V024、 V025、 V026、 V027、 V028、 V029、V030、 V031、 V032、 V033、 V034、 V035、 V036、 V037、 V038、 V039、V040、 V041、 V042、 V043、 V047、 V048、 V049、V050、 V051、 V052、 V054、 V055、 V057、 V059、V060、 V061、 V063、 V064、 V065、 V066、 V067、 V068およびV069。
【0133】
発現ベクター
本発明は、また、ポリペプチド、例えば、ハイブリッド酵素、野生型酵素または遺伝的に修飾された野生型酵素をコードするDNA配列、シグナルペプチド配列、および転写および翻訳停止シグナルを含んでなることができる組換え発現ベクターに関する。前述の種々のDNA配列および調節配列を一緒に結合して組換え発現ベクターを生成することができ、このような発現ベクターは、ポリペプチドエンコーディングDNA配列の挿入または置換を可能とする、1または2以上の好都合な制限部位を含むことができる。選択的に、本発明のDNA配列は、DNA配列または前記配列を含んでなるDNA構築物を発現に適当なベクター中に挿入することによって発現させることができる。発現ベクターをつくるとき、コーディング配列が発現に、かつ可能ならば分泌に、適当なコントロール配列に作用可能に連鎖されるように、コーディング配列はベクター中に位置する。
【0134】
組換え発現ベクターは、組換えDNA手順に好都合に付すことができ、かつDNA配列の発現を生ずることができる、任意のベクター (例えば、プラスミドまたはウイルス) であることができる。典型的には、ベクターの選択はベクターと導入すべき宿主細胞とのベクターの適合性に依存するであろう。ベクターは線状または閉じた円のプラスミドであることができる。ベクターは自律的に複製するベクター、すなわち、その複製が染色体に対して独立である、染色体外実在物として存在するベクター、例えば、プラスミド、染色体外因子、ミニ染色体、コスミドまたは人工的染色体であることができる。ベクターは自己複製を保証する任意の手段を含有することができる。選択的に、ベクターは、宿主細胞中に挿入したとき、ゲノム中に組込まれ、それが組込まれた1または2以上の染色体と一緒に複製するものであることができる。ベクター系は単一のベクターまたはプラスミドであるか、あるいは宿主細胞のゲノム中に導入すべき全DNAを一緒に含有する2またはそれ以上のベクターまたはプラスミド、またはトランスポゾンであることができる。
【0135】
マーカー
本発明のベクターは、形質転換された細胞の容易な選択を可能とする、1または2以上の選択可能なマーカーを含有することが好ましい。選択可能なマーカーは、その生成物が殺生物剤またはウイルスの耐性、重金属に対する耐性、栄養要求性株に対するプロトトロフィー、およびその他を提供する遺伝子である。
【0136】
フィラメント状真菌の宿主細胞において使用する選択可能なマーカーの例は、下記を包含する群から選択できるが、これらに限定されない: amdS (アセトアミダーゼ) 、argB (オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ) 、bar (ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ) 、hygB (ヒグロマイシンホスホトランスフェラーゼ) 、niaD (硝酸レダクターゼ) 、pyrG (オロチジン-5’-ホスフェートデカルボキシラーゼ) 、sC (硫酸アデニルトランスフェラーゼ) 、trpC (アントラニレートシンターゼ) およびグルフォシネート耐性マーカー、ならびに他の種からの同等のマーカー。アスペルギルス・ニヅランス (Aspergillus nidulans) またはアスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) のamdSおよびpyrGマーカー、およびストレプトマイセス・ヒグロスコピカス (Streptomyces hygroscopicus) のbarマーカーは、アスペルギルス (Aspergillus) 細胞において使用するために好ましい。さらに、例えば、WO 91/17243に記載されているように、選択は共形質転換により達成することができ、ここで選択可能なマーカーは別のベクター上に存在する。
【0137】
本発明のベクターは、宿主細胞ゲノムの中へのベクターの安定な組込みまたは細胞のゲノムに対して独立に細胞中でベクターの自律的複製を可能とする、1または2以上の因子を含有することが好ましい。
【0138】
本発明のベクターは、宿主細胞の中に導入するとき、宿主細胞ゲノム中に組込むことができる。組込みのために、ベクターは問題のポリペプチドをコードするDNA配列に頼るか、あるいはまたは相同的組換えまたは非相同的組換えによりゲノム中にベクターを安定に組込む、ベクターの他の因子に頼ることができる。選択的に、ベクターは相同的組換えにより組込みを宿主細胞ゲノム中に向ける、追加のDNA配列を含有することができる。追加のDNA配列は、1または2以上の染色体中の1または2以上の精確な位置において宿主細胞ゲノム中にベクターを組込むことができる。
【0139】
精確な位置における組込みの確度を増加させるために、組込み因子は、相同的に組換えの確率を増大するために対応するターゲット配列と高度に相同性である、十分な数のDNA、例えば、100〜1,500塩基対、好ましくは400〜1,500塩基対、最も好ましくは800〜1,500塩基対を含有することが好ましいであろう。組込み因子は、宿主細胞ゲノム中のターゲット配列と相同性である任意の配列であることができる。さらに、組込み因子は非エンコーディングまたはコーディングDNA配列であることができる。他方において、ベクターは非相同的組換えにより宿主細胞ゲノム中に組込まれることができる。これらをDNA配列は、宿主細胞ゲノム中のターゲット配列と相同性である任意の配列であり、さらに、非エンコーディングまたはコーディング配列であることができる。
【0140】
自律的複製のために、ベクターは問題の宿主細胞中でベクターを複製させることができる複製起点をさらに含んでなることができる。
WO 00/24883に開示されているAMA1プラスミドベクターを複製するエピソームを使用することができる。
【0141】
問題のポリペプチドをコードするDNA配列の2以上のコピーを宿主細胞中に挿入して、DNA配列の発現を増強することができる。この分野においてよく知られている方法に従い、配列の少なくとも1つの追加のコピーを宿主細胞ゲノム中に組込み、形質転換体について選択することによって、DNA配列を安定に増幅することができる。
【0142】
前述の因子を結合して本発明の組換え発現ベクターを構築する手順はこの分野においてよく知られている (例えば、下記の文献を参照のこと: Sambrook 他、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、ニューヨーク州コールドスプリングハーバー) 。
【0143】
宿主細胞
DNA構築物を含んでなるか、あるいはポリペプチドをコードするDNA配列を含んでなる、本発明の宿主細胞は、ポリペプチド、例えば、ハイブリッド酵素、野生型酵素または遺伝的に修飾された野生型酵素の組換え産生において宿主細胞として好都合に使用される。この細胞を発現ベクターで形質転換することができる。選択的に、宿主染色体中にDNA構築物 (1または2以上のコピー) を組込むことによって、ポリペプチド、例えば、ハイブリッド酵素、野生型酵素または遺伝的に修飾された野生型酵素をコードする本発明のDNA構築物で細胞を形質転換することができる。宿主染色体中へのDNA構築物の組込みは、慣用法、例えば、相同的または異種的組換えにより実施することができる。
【0144】
宿主細胞は、任意の適当な原核生物または真核生物の細胞、例えば、フィラメント状真菌、植物または哺乳動物の細胞であることができる。
【0145】
好ましい態様において、宿主細胞は下記のグループにより代表されるフィラメント状真菌の細胞である: 子嚢菌門 (Ascomycota) 、例えば、ニューロスポラ (Neurospora) 、エウペニシリウム (Eupenicillium) (= ペニシリウム (Penicillium)) 、エメリセラ (Emericella) (= アスペルギルス (Aspergillus)) 、コウジカビ (Eurotium) (=アスペルギルス (Aspergillus)) 。
【0146】
より好ましい態様において、フィラメント状真菌は、亜門の真菌門 (Eumycota) および卵菌門 (Oomycota) のフィラメント状形態を包含する (下記により規定された: Hawksworth 他、Ainsworth and Bisby’s Dictionary of The Fungi、第8版、CAB International、University Press、英国ケンブリッジ) 。フィラメント状真菌は、キチン、セルロース、グルカン、キトサン、マンナンおよび他の複合多糖類から構成された栄養菌糸体により特徴づけられる。栄養成長は菌糸の伸長により、そして炭素異化作用は無条件的に好気的である。
【0147】
さらにより好ましい態様において、フィラメント状真菌の宿主細胞は下記の種に属する株から成る群から選択される細胞であるが、これらに限定されない: アスペルギルス (Aspergillus) 種、好ましくはアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) 、アスペルギルス・アワモリ (Aspergillus awamori) 、アスペルギルス・カワチイ (Aspergillus kawachii) 、またはバシラス (Bacillus) 菌株、またはフザリウム (Fusarium) 菌株、例えば、フザリウム・オキシスポラム (Fusarium oxysporum) 、フザリウム・グラミネアラム (Fusarium graminearum) (完全な状態における名称Gibberella zeae、以前においてSphaeria zeae、同義Gibberella roseumおよびGibberella roseum f. sp. cerealis) 、またはフザリウム・スルフリウム (Fusarium sulphureum) (完全な状態における名称Gibberella puricaris、同義Fusarium trichothecioides、Fusarium bactridioides、Fusarium sambucium、Fusarium roseumおよびFusarium roseum var. graminearum) 、フザリウム・セレアリス (Fusarium cerealis) (同義Fusarium crookwellense) 、またはフザリウム・ベネナツム (Fusarium venenatum) の株。
【0148】
最も好ましい態様において、フィラメント状真菌宿主細胞はアスペルギルス (Aspergillus) の種、好ましくはアスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) またはアスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) に属する株の細胞である。
【0149】
宿主細胞は、野生型フィラメント状真菌宿主細胞または変異型、突然変異体または遺伝的に修飾されたフィラメント状真菌宿主細胞であることができる。本発明の他の好ましい態様において、宿主細胞はプロテアーゼ欠乏またはプロテアーゼマイナス株である。また、特別に、グルコアミラーゼ、酸安定性α-アミラーゼ、α-1,6-トランスグルコシダーゼ、およびプロテアーゼ活性の発現を崩壊または減少させるように遺伝的に修飾されたアスペルギルス (Aspergillus) 菌株、例えば、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) 菌株が考えられる。
【0150】
フィラメント状真菌宿主細胞の形質転換
フィラメント状真菌宿主細胞は、この分野において知られている方法におけるプロトプラストの形成、プロトプラストの形質転換、および細胞壁の再生を包含する方法により形質転換することができる。アスペルギルス (Aspergillus) 宿主細胞に適当な形質転換手順は下記の文献に開示されている: EP 238 023、EP 184 438およびYelton 他、1984、Proceedings of the National Academy of Sciences USA 81: 1470-1474。フザリウム (Fusarium) 種に適当な形質転換法は下記の文献に開示されている: Malardier 他、1989、Gene 78: 147-156または米国特許第6,060,305号。
【0151】
親α-アミラーゼをコードするDNA配列の単離およびクローニング
問題のポリペプチドをコードするDNA配列を単離またはクローニングするために使用する技術はこの分野において知られており、そしてゲノムDNAからの単離、cDNAからの調製、またはそれらの組合わせを包含する。このようなゲノムDNAからの本発明のDNA配列のクローニングは、例えば、広く知られているポリメラーゼ連鎖反応 (PCR) または構造的特徴を共有するクローニングされたDNAフラグメントを検出する発現ライブラリーの抗体スクローニングを使用することによって、実施することができる。例えば、下記の文献を参照のこと:Innis 他、PCR: A Guide to Methods and Application、Academic Press、New York。他のDNA増幅手法、例えば、リガーゼ連鎖反応 (LCR) 、結合活性化転写 (LAT) およびDNA配列配列決定に基づく増幅 (NASBA) を使用することができる。
【0152】
親α-アミラーゼをコードするDNA配列は、この分野においてよく知られている種々の方法を使用して、問題のα-アミラーゼを産生する細胞または微生物から単離することができる。まず、研究すべきα-アミラーゼを産生する生物からの染色体DNAまたはメッセンジャーDNAを使用して、ゲノムDNAおよび/またはcDNAライブラリーを構成すべきである。次いで、α-アミラーゼのアミノ酸配列が既知である場合、標識化オリゴヌクレオチドプローブを合成し、問題の生物から調製したゲノムライブラリーからα-アミラーゼエンコーディングクローンを同定するために使用することができる。選択的に、ハイブリダイゼーションおよび非常に低い〜非常に高いストリンジェンシイの洗浄を使用する、α-アミラーゼエンコーディングクローンの同定に、他の既知のα-アミラーゼ遺伝子に対して相同性である配列を含有する標識化オリゴヌクレオチドプローブをプローブとして使用することができる。
【0153】
α-アミラーゼエンコーディングクローンを同定するなお他の方法は、発現ベクター、例えば、プラスミド中にゲノムDNAフラグメントを挿入し、生ずるゲノムDNAでα-アミラーゼ陰性細菌を形質転換し、次いでα-アミラーゼの基質 (すなわち、マルトース) を含有する寒天上に形質転換された細菌をプレートし、これによりα-アミラーゼを発現するクローンを同定する方法を包含する。
【0154】
選択的に、確立された方法、例えば、下記の文献に記載されているホスホロアミダイト法により、酵素をコードするDNA配列を合成することができる: S. L. BeaucageおよびM. H. Caruthers (1981) 、Tetrahedron Letters 22、p. 1859-1869、またはMatthes 他 (1984) ENBO J. 3、p. 801-805。ホスホロアミダイト法において、オリゴヌクレオチドを、例えば、自動化DNA合成装置により合成し、精製し、アニールし、結合し、適当なベクター中でクローニングする。
【0155】
最後に、DNA配列は、標準的技術に従い合成、ゲノムまたはcDNA由来のフラグメント (適当ならば、全DNA配列の種々の部分に対応するフラグメント) を結合することによって製造された、混合ゲノムおよび合成由来、混合合成およびcDNA由来または混合ゲノムおよびcDNA由来であることができる。また、DNA配列は、例えば、下記の文献に記載されているように、特別のプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応 (PCR)により製造することができる: 米国特許第4,683,202号またはR. K. Saiki 他 (1988) 、Science 239、1988、pp. 487-491。
【0156】
単離されたDNA配列
本発明は、なかでも、α-アミラーゼ活性を有する触媒モジュールのアミノ酸配列と、炭水化物結合性モジュールのアミノ酸配列とを含んでなるポリペプチド、例えば、ハイブリッド酵素、野生型酵素または遺伝的に修飾された野生型酵素をコードするDNA配列を含んでなる単離されたDNA配列に関し、ここで触媒モジュールは真菌由来である。
【0157】
用語 「単離されたDNA配列」 は、本明細書において使用するとき、他のDNA配列を本質的に含まない、例えば、アガロース電気泳動により決定して、少なくとも約20%の純度、好ましくは少なくとも約40%の純度、より好ましくは少なくとも約60%の純度、なおより好ましくは少なくとも約80%の純度、最も好ましくは少なくとも約90%の純度のDNA配列を意味する。
【0158】
例えば、単離されたDNA配列は、遺伝子操作において使用される標準的クローニング手法を使用して、DNA配列をその天然の位置からそれが産生される異なる部位に再配置することによって、得ることができる。クローニング手法は、問題のポリペプチドをコードするDNA配列を含んでなる必要なDNAフラグメントの切除および単離、ベクター分子の中へのフラグメントの挿入、および宿主細胞の中への組換えベクターの組込みを包含し、宿主細胞においてDNA配列の複数のコピーまたはクローンが複製される。単離されたDNA配列を種々の方法で操作して、問題のポリペプチドを発現させることができる。ベクターの中への挿入前のDNA配列の操作は、発現ベクターに依存して望ましいか、あるいは必要であることがある。組換えDNA法を使用してDNA配列を修飾する技術は、この分野においてよく知られている。
【0159】
DNA構築物
本発明は、なかでも、ポリペプチド、例えば、α-アミラーゼ活性を有する触媒モジュールを含んでなる第1アミノ酸配列と、炭水化物結合性モジュールを含んでなる第2 アミノ酸配列とを含んでなるハイブリッド酵素; またはα-アミラーゼ活性を有する触媒モジュールを含んでなる第1アミノ酸配列と、炭水化物結合性モジュールを含んでなる第2 アミノ酸配列とを含んでなる野生型酵素をコードするDNA配列を含んでなるDNA構築物に関する。「DNA構築物」 は、天然に存在する遺伝子から単離されるか、あるいはそうでなければ天然に存在しないような方法で組合わせかつ並置された、DNAのセグメントを含有するように修飾された、一本鎖または二本鎖のDNA分子として定義される。用語 「DNA構築物」 は、DNA構築物が本発明のコーディング配列の発現に要求されるすべての制御配列を含有するとき、用語 「発現カセット」 と同義である。
【0160】
位置指定突然変異誘発
いったん親α-アミラーゼをコードするDNA配列が単離され、かつ必要な突然変異部位が同定されると、合成オリゴヌクレオチドを使用して突然変異を導入することができる。これらのオリゴヌクレオチドは必要な突然変異部位をフランキングするヌクレオチド配列を含有する。特別の方法において、α-アミラーゼ遺伝子を担持するベクター中に、DNAの1本鎖ギャップ、すなわち、α-アミラーゼエンコーディング配列をつくる。次いで、必要な突然変異を支持する合成ヌクレオチドを1本鎖DNAの相同的部分にアニールする。
【0161】
次いで、残りのギャップをDNAポリメラーゼI (クレノウフラグメント) で充填し、T4リガーゼを使用して、この構築物を結合する。この方法の特別の例は下記の文献に記載されている: Morinaga 他 (1984) Biotechnology 2、p. 646-639。米国特許第4,760,025号には、カセットの小さい修飾を実行することによって、複数の突然変異をコードするオリゴヌクレオチドを導入することが開示されている。しかしながら、Morinagaの方法よれば、種々の長さのオリゴヌクレオチドを導入することができるので、より大きい種類の突然変異を1回で導入ことができる。
【0162】
α-アミラーゼエンコーディングDNA配列中に突然変異を導入する他の方法は下記の文献に記載されている: NelsonおよびLong (1989) 、Analytical Biochemistry 180、p. 147-151。この方法は、PCR反応におけるプライマーの1つとして化学的に合成されたDNA鎖を使用することによって、導入された必要な突然変異を含有するPCRフラグメントの3工程の発生を含む。PCR発生したフラグメントから、制限エンドヌクレアーゼを使用する切断により、突然変異を担持するDNAフラグメントを単離し、発現プラスミド中に再挿入することができる。
【0163】
局在化ランダム突然変異誘発
ランダム突然変異誘発は、問題の親α-アミラーゼの部分に好都合に局在化することができる。これは、例えば、酵素のある領域が酵素の所定の性質について特定の重要性を有することが同定されたとき、そして、修飾された酵素が改良された性質を有する変異型を生ずることが期待されるとき、好都合であることがある。このような領域は、親酵素の三次構造が解明されかつ酵素の機能に関係づけられたとき、通常同定することができる。
【0164】
局在化または領域特異的ランダム突然変異誘発は、前述したPCR発生突然変異誘発技術またはこの分野において知られている他の適当な技術を使用することによって、好都合に実施される。選択的に、DNA配列の修飾すべき部分をコードするDNA配列は、例えば、適当にベクター中に挿入することによって、単離し、引き続いて前記部分を前述の突然変異誘発法により突然変異誘発させることができる。
【0165】
ハイブリッドまたは野生型酵素の変異型
炭水化物結合性モジュール (「CBM」) と、α-アミラーゼ触媒モジュールとを含んでなる野生型またはハイブリッド酵素のデンプン分解方法における性能は、タンパク質操作、例えば、位置指定突然変異誘発、局在化ランダム突然変異誘発、親野生型酵素の新しい変異型の合成、または他の適当にタンパク質操作技術により改良することができる。
【0166】
宿主細胞におけるポリペプチドの発現
制御配列と適合性の条件下に適当な宿主細胞におけるコーディング配列の発現を指令する1または2以上の制御配列に作用可能に連鎖された核酸配列を含んでなる核酸構築物中に、宿主細胞のDNA中に導入すべきヌクレオチド配列を組込むことができる。
【0167】
本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、種々の方法で操作して、ポリペプチドを発現させるようにすることができる。ベクター中にヌクレオチド配列を挿入する前に、ヌクレオチド配列を操作することは発現ベクターに依存して望ましいか、あるいは必要であることがある。ヌクレオチド配列を操作する技術はこの分野においてよく知られている。
【0168】
制御配列は、適当なプロモーター配列、核酸配列を発現する宿主細胞により認識される核酸配列であることができる。プロモーター配列は、ポリペプチドの発現を仲介する転写制御配列を含有する。プロモーターは、選択した宿主細胞において転写活性であることを示す任意の核酸配列であることができ、突然変異体プロモーター、トランケーテッドプロモーターおよびハイブリッドプロモーターを包含し、そして宿主細胞に対して相同的または異種的である、細胞外または細胞内のポリペプチドをコードする遺伝子から得ることができる。
【0169】
特に細菌宿主細胞中で、本発明の核酸構築物の転写を指令するために適当なプロモーターの例は下記から得られるプロモーターである: 大腸菌 (E. coli) lacオペロン、ストレプトマイセス・ケリコロル (Streptomyces coelicolor) アガロース遺伝子 (dagA) 、バシラス・サチリス (Bacillus subtilis) レバンスクラーゼ遺伝子 (sacB) 、バシラス・リヘニフォルミス (Bacillus licheniformis) α-アミラーゼ遺伝子 (amyL) 、バシラス・ステアロサーモフィルス (Bacillus stearothermophilus) マルトジェニックアミラーゼ遺伝子 (amyM) 、バシラス・アミロリクファシエンス (Bacillus amyloliquefaciens) α-アミラーゼ遺伝子 (amyQ) 、バシラス・リヘニフォルミス (Bacillus licheniformis) ペニシリナーゼ遺伝子 (penP) 、バシラス・サチリス (Bacillus subtilis) xylAおよびxylB遺伝子、および原核生物のβ-ラクタマーゼ遺伝子 (Villa-Kamaroff 他、1978、Proceedings of the National Academy of Sciences USA 75: 3727-3731) 、ならびにtacプロモーター (DeBoer 他、1983、Proceedings of the National Academy of Sciences USA 80: 21-25) 。それ以上のプロモーターは下記の文献に記載されている: “Useful proteins from recombinant bacteria”、Scientific American 1980、242: 74-94; およびSambrook 他、1989、前掲。
【0170】
フィラメント状真菌宿主細胞中で本発明の核酸構築物の転写を指令するために適当なプロモーターの例は、下記の遺伝子から得られるプロモーター、およびそれらの突然変異体、トランケーテッドおよびハイブリッドプロモーターである: アスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) TAKAアミラーゼ、リゾムコル・ミエヘイ (Rhizomucor miehei) アスパラギン酸プロテイナーゼ、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) 中性α-アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) 酸安定性α−アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) またはアスペルギルス・アワモリ (Aspergillus awamori) グルコアミラーゼ (glaA) 、リゾムコル・ミエヘイ (Rhizomucor miehei) リパーゼ、アスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) アルカリ性プロテアーゼ、アスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) トリオースリン酸イソメラーゼ、アスペルギルス・ニヅランス (Aspergillus nidulans) アセトアミダーゼ、およびフザリウム・オキシスポラム (Fusarium oxysporum) トリプシン様プロテアーゼ (WO 96/00787) 、ならびにNA2-tpiプロモーター (アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) 中性α-アミラーゼおよびアスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) トリオースリン酸イソメラーゼの遺伝子からのプロモーターのハイブリッド) 。
【0171】
酵母宿主において、有効なプロモーターは下記の遺伝子から得られるプロモーターである: サッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) エノラーゼ (ENO-1) 、サッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) ガラクトキナーゼ (GAL1) 、サッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) アルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ (ADH2/GAP) およびサッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) 3-ホスホグリセリン酸キナーゼ。酵母宿主細胞に有効な他のプロモーターは下記の文献に記載されている: Romanos 他、1992、Yeast 8: 423-488。
【0172】
また、制御配列は、適当な転写停止配列、すなわち、転写を停止するために宿主細胞により認識される配列である。ターミネーター配列は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の3’末端に作用可能に連鎖されている。選択した宿主細胞中で機能的である任意のターミネーターを本発明において使用することができる。
【0173】
フィラメント状真菌宿主細胞に好ましいターミネーターは、下記の遺伝子から得られるターミネーターである: アスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) TAKAアミラーゼ、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) グルコアミラーゼ、アスペルギルス・ニヅランス (Aspergillus nidulans) アントラニル酸シンターゼ、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) α-グルコシダーゼおよびフザリウム・オキシスポラム (Fusarium oxysporum) トリプシン様プロテアーゼ。
【0174】
酵母宿主細胞に好ましいターミネーターは、下記の遺伝子から得られるターミネーターである: サッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) エノラーゼ、サッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) シトクロムC (CYC1) 、およびサッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ。酵母宿主細胞に有効な他のターミネーターは下記の文献に記載されている: Romanos 他、1992、前掲。
【0175】
また、制御配列は、適当なリーダー配列、すなわち、宿主細胞による翻訳に重要であるmRNAの非翻訳領域である。リーダー配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列の5’末端に作用可能に連鎖されている。選択した宿主細胞中で機能的である任意のリーダー配列を本発明において使用することができる。
【0176】
フィラメント状真菌宿主細胞に好ましいリーダーは、アスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) TAKAアミラーゼおよびアスペルギルス・ニヅランス (Aspergillus nidulans) トリオースリン酸イソメラーゼの遺伝子から得られる。
【0177】
酵母宿主細胞に適当なリーダーは下記の遺伝子から得られるリーダーである: サッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) エノラーゼ (ENO-1) 、サッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) 3-ホスホグリセリン酸キナーゼ、サッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) α-因子およびサッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) アルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ (ADH2/GAP) 。
【0178】
また、制御配列は、ポリアデニル化配列、すなわち、ヌクレオチド配列の3’末端に作用可能に連鎖されており、そして転写されたとき、ポリアデノシン残基を転写されたmRNAに付加するシグナルとして宿主細胞により認識される配列である。選択した宿主細胞中で機能的である任意のポリアデニル化配列を本発明において使用することができる。
【0179】
フィラメント状真菌宿主細胞に好ましいポリアデニル化配列は下記の遺伝子から得られる: アスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) TAKAアミラーゼ、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) グルコアミラーゼ、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) アントラニル酸シンターゼ、フザリウム・オキシスポラム (Fusarium oxysporum) トリプシン様プロテアーゼおよびアスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) α-グルコシダーゼ。
【0180】
酵母宿主細胞に有効なポリアデニル化配列は下記の文献に記載されている: GuoおよびSherman、1995、Molecular Cellular Biology 15: 5983-5990。
【0181】
また、制御配列は、ポリペプチドのアミノ末端に結合したアミノ酸配列をコードし、かつコードされたポリペプチドを細胞の分泌経路に向ける、シグナルペプチドコーディング領域であることができる。核酸配列のコーディング配列の5’末端は、分泌されたポリペプチドをコードするコーディング領域のセグメントと翻訳リーデイングフレームで自然に結合した、シグナルペプチドコーディング領域を固有に含有することがある。選択的に、コーディング配列の5’末端は、制御配列に対して外来性であるシグナルペプチドコーディング領域を含有することがある。コーディング配列がシグナルペプチドコーディング領域を自然に含有しない場合、外来性のシグナルペプチドコーディング領域は必要とされることがある。選択的に、外来性のシグナルペプチドコーディング領域を自然のシグナルペプチドコーディング領域と単に置換して、ポリペプチドの分泌を増強することができる。しかしながら、発現されたポリペプチドを選択した宿主細胞の分泌経路に向けるシグナルペプチドコーディング領域を、本発明において使用することができる。
【0182】
細菌宿主細胞に有効なシグナルペプチドコーディング領域は、下記の遺伝子から得られるシグナルペプチドコーディング領域である: バシラス (Bacillus) NCIB 11837マルトジェニックアミラーゼ、バシラス・ステアロサーモフィルス (Bacillus stearothermophilus) α-アミラーゼ、バシラス・リヘニフォルミス (Bacillus licheniformis) スブチリシン、バシラス・リヘニフォルミス (Bacillus licheniformis) β-ラクタマーゼ、バシラス・ステアロサーモフィルス (Bacillus stearothermophilus) 中性プロテアーゼ (nprT、nprS、nprM) およびバシラス・サチリス (Bacillus subtilis) prsA。それ以上のシグナルペプチドは下記の文献に記載されている: SimonenおよびPalva、1993、Microbiological Reviews 57: 109-137。
【0183】
フィラメント状真菌宿主細胞に有効なシグナルペプチドコーディング領域は、下記の遺伝子から得られるシグナルペプチドコーディング領域である: アスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) TAKAアミラーゼ、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) 中性アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) グルコアミラーゼ、リゾムコル・ミエヘイ (Rhizomucor miehei) アスパラギン酸プロテアーゼ、フミコラ・インソレンス (Humicola insolens) セルラーゼおよびフミコラ・ラヌギノサ (Humicola lanuginosa) リパーゼ。
【0184】
酵母宿主細胞に有効なペプチドは、サッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) α-因子およびサッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) インベルターゼの遺伝子から得られる。他の有効なシグナルペプチドコーディング領域は下記の文献に記載されている: Romanos 他、1992、前掲。
【0185】
また、制御配列は、ポリペプチドのアミノ末端に位置するアミノ酸配列をコードするプロペプチドコーディング領域であることができる。生ずるポリペプチドはプロポリペプチドまたはプロポリペプチド (またはある場合においてチモーゲン) として知られている。プロポリペプチドは一般に不活性であり、そしてプロポリペプチドからのプロペプチドの触媒的または自己触媒的切断により、成熟活性ポリペプチドに転化することができる。プロペプチドコーディング領域は下記の遺伝子から得ることができる: バシラス・サチリス (Bacillus subtilis) アルカリ性プロテアーゼ (aprE) 、バシラス・サチリス (Bacillus subtilis) 中性プロテアーゼ (nprT) 、サッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) α-因子、リゾムコル・ミエヘイ (Rhizomucor miehei) アスパラギン酸プロテアーゼおよびミセリオフトラ・サーモフィラ (Myceliophthora thermophila) ラッカーゼ (WO 95/33836) 。
【0186】
シグナルペプチドおよびプレプロペプチドの両方の領域がポリペプチドのアミノ末端に存在する場合、プロペプチド領域はポリペプチドのアミノ末端の次に位置し、そしてシグナルペプチド領域はプロペプチド領域の次に位置する。
【0187】
また、宿主細胞の生長に関してポリペプチドの発現の調節を可能とする調節配列を付加することが望ましいことがある。調節系の例は、化学的または物理的刺激、例えば、調節化合物の存在に応答して遺伝子の発現をオンまたはオフにする系である。原核生物系における調節系は、lac、tacおよびtrpオペレーター系を包含する。酵母において、ADH2系またはGAL1系を使用することができる。フィラメント状真菌において、TAKAα-アミラーゼのプロモーター、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) グルコアミラーゼのプロモーターおよびアスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) グルコアミラーゼのプロモーターを調節配列として使用することができる。調節配列の他の例は、遺伝子の増幅を可能とするものである。真核生物系において、これらはメトトレキセートの存在下に増幅されるジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子および重金属で増幅されるメタロチオネイン遺伝子を包含する。これらの場合において、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は調節配列と作用可能に連鎖されるであろう。
【0188】
前述の種々のヌクレオチド配列および制御配列を一緒に結合させて、1または2以上の好都合な制限部位を含むことができる組換え発現ベクターを製造し、このような部位におけるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の挿入または置換を可能とすることができる。選択的に、本発明のヌクレオチド配列は、ヌクレオチド配列またはヌクレオチド配列を含んでなるヌクレオチド構築物を適当な発現用ベクター中に挿入することによって、発現させることができる。発現ベクターをつくるとき、コーディング配列が発現のために適当な制御配列に作用可能に連鎖されるように、コーディング配列はベクター中に位置する。
【0189】
組換え発現ベクターは、組換えDNA手順に好都合に付すことができ、そしてヌクレオチド配列を発現させることができる任意のベクター (例えば、プラスミドまたはウイルス) であることができる。典型的には、ベクターの選択は、ベクターを導入すべき宿主細胞とのベクターの適合性に依存するであろう。ベクターは線形または閉じた円形のプラスミドであることができる。
【0190】
ベクターは自律的に複製するベクター、すなわち、染色体外の実在物として存在するベクターであることができ、その複製は染色体の複製に対して独立である。このようなベクターの例は、プラスミド、染色体外因子、ミニ染色体または人工的染色体である。
【0191】
ベクターは自己複製を保証する手段を含有することができる。選択的に、ベクターは、宿主細胞中に導入したとき、ゲノム中に組込まれ、そしてそれが組込まれている1または2以上の染色体と一緒に複製するものであることができる。さらに、単一のベクターまたはプラスミドまたは一緒になって宿主細胞のゲノムの中に導入すべき全DNAを含有する2またはそれ以上のベクターまたはプラスミド、またはトランスポゾンを使用することができる。
【0192】
本発明のベクターは、形質転換された細胞の容易な選択を可能とする、1または2以上の選択可能なマーカーを含有することが好ましい。選択可能なマーカーは、その産物が生物致死剤またはウイルスに対する耐性、重金属に対する耐性、栄養要求性株に対するプロトトロフィーおよびその他を提供する遺伝子である。
【0193】
酵母宿主細胞に適当なマーカーは、ADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1およびURA3である。フィラメント状真菌宿主細胞において使用する選択可能なマーカーは下記のものを包含するが、これらに限定されない:amdS (アセトアミダーゼ) 、argB (オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ) 、bar (ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ) 、hygB (ヒグロマイシンホスホトランスフェラーゼ) 、niaD (硝酸レダクターゼ) 、pyrG (オロチジン-5’-ホスフェートデカルボキシラーゼ) 、sC (硫酸アデニルトランスフェラーゼ) 、trpC (アントラニレートシンターゼ) 、ならびにそれらの同等物。
【0194】
アスペルギルス・ニヅランス (Aspergillus nidulans) またはアスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) のamdSおよびpyrG遺伝子およびストレプトマイセス・ヒグロスコピカス (Streptomyces hygroscopicus) のbar遺伝子は、アスペルギルス (Aspergillus) 細胞において使用するために好ましい。
【0195】
本発明のベクターは、宿主細胞ゲノム中への安定な組込みまたはゲノムに対して独立に細胞中のベクターの自律的複製を可能とする、1または2以上の因子を含有することが好ましい。
【0196】
宿主細胞ゲノム中への組込みのために、ベクターは、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、または相同的または非相同的組換えによりベクターをゲノム中に安定に組込むベクターの任意の他の因子に頼ることができる。選択的に、ベクターは、相同的組換えにより組込みを宿主細胞ゲノム中に向ける追加のヌクレオチド配列を含有することができる。追加のヌクレオチド配列は、1または2以上の染色体中の1または2以上の正確な位置において宿主細胞ゲノム中にベクターを組込むことができる。
【0197】
正確な位置における組込みの確度を増加させるために、組込み因子は好ましくは十分な数のヌクレオチド、例えば、100〜1,500塩基対、より好ましくは400〜1,500塩基対、最も好ましくは800〜1,500塩基対を含有し、これらは対応するターゲット配列と高度に相同的であって相同的組換えの確率を増加させる。組込み因子は、宿主細胞ゲノム中のターゲット配列と相同的である任意の配列であることができる。さらに、組込み因子は非エンコーディングまたはコーディングヌクレオチド配列であることができる。他方において、ベクターは非相同的組換えにより宿主細胞ゲノム中に組込むことができる。
【0198】
自律的複製のために、ベクターは問題の宿主細胞中でベクターを自律的に複製させる複製起点をさらに含んでなることができる。細菌の複製起点の例は、大腸菌 (E. coli) 中の複製を可能とするプラスミドpBR322、pUC19、pACYC177およびpACYC184、およびバシラス (Bacillus) 中の複製を可能とするpUB110、pE194、pTA1060およびpAMβ1複製起点である。酵母宿主細胞において使用する複製起点の例は、2ミクロンの複製起点、ARS1、ARS4、ARS1とCEN3との組合わせ、およびARS4とCEN6との組合わせである。複製起点は、宿主細胞においてその機能を温度感受性とする突然変異を有するものであることができる (例えば、下記の文献を参照のこと: Ehrlich、1978、Proceedings of the National Academy of Sciences USA 75: 1433) 。
【0199】
本発明のヌクレオチド配列の2以上のコピーを宿主細胞中に挿入して、遺伝子産物の産生を増加させることができる。ヌクレオチド配列のコピー数は、宿主細胞ゲノム中に少なくとも1つ追加の配列のコピーを組込むか、あるいは細胞が選択可能なマーカー遺伝子の増幅したコピーを含有する場合、ヌクレオチド配列をもつ増幅可能、選択可能なマーカーを含めることによって増加させることができ、これにより細胞を適当な選択可能な因子の存在下に培養することによって、ヌクレオチド配列の追加のコピーを選択することができる。
【0200】
前述の因子を結合して本発明の組換え発現ベクターを構成するために使用する手順はこの分野においてよく知られている (例えば、下記の文献を参照のこと: Sambrook 他、1989、前掲) 。
【0201】
宿主細胞
本発明は、また、ポリペプチドの組換え製造において好都合に使用される、本発明の核酸構築物を含んでなる本発明の組換え宿主細胞に関する。本発明のヌクレオチド配列を含んでなるベクターを宿主細胞中に導入して、ベクターを染色体組込み体としてまたは前述した自己複製染色体外ベクターとして維持する。
【0202】
宿主細胞は真菌細胞である。「真菌」は、本明細書において使用するとき、下記のものを包含する: 子嚢菌門 (Ascomycota) 、担子菌門 (Basidiomycota) 、ツボカビ菌門 (Chytridiomycota) および接合菌門 (Zygomycota) (下記において定義されている: Hawksworth 他、Alnsworth and Bisby’s Dictionary of The Fungi、第8版、1995、CAB International、University Press、英国ケンブリッジ) ならびに卵菌門 (Oomycota) (下記の文献に記載されている: Hawksworth 他、前掲、p. 171) およびすべての栄養胞子真菌 (Hawksworth 他、1995、前掲) 。
【0203】
より好ましい態様において、真菌宿主細胞はフィラメント状真菌の細胞であることができる。「フィラメント状真菌」は、亜門の真菌門 (Eumycota) および卵菌門 (Oomycota) のすべてのフィラメントの形態を包含する (Hawksworth 他、1995、前掲において定義されている) 。フィラメント状真菌は、キチン、セルロース、グルカン、キトサン、マンナンおよび他の複合多糖から構成されている菌糸体壁により特徴づけられる。栄養成長は菌糸の伸長により、そして炭素異化作用は無条件的に好気性である。
【0204】
好ましい態様において、フィラメント状真菌宿主細胞は好熱性または熱許容性真菌、例えば、子嚢菌亜門 (Ascomycotina) 、坦子菌亜門 (Basidiomycotina) 、接合菌亜門 (Zygomycotina) またはツボカビ門 (Chytridiomycota) 内の種、特にケトミウム (Chaetomium) 、テルモアスカス (Thermoascus) 、マルブランチェス (Malbranches) またはチエラビア (Thielavia) 、例えば、チエラビア・テレストリス (Thielavia terrestris) またはトリコフェア (Trichophaea) 内の種の細胞である。さらにより好ましくは、宿主細胞はトリコフェア・サッカタ (Trichophaea saccata) またはフミコラ (Humicola) 、例えば、フミコラ・インソレンス (H. insolens) である。
【0205】
真菌細胞は、それ自体知られている方法におけるプロトプラストの形成、プロトプラストの形質転換および細胞壁の再生を包含する方法により形質転換することができる。アスペルギルス (Aspergillus) 宿主細胞の形質転換に適当な手順は下記の文献に記載されている: EP 238 023およびYelton 他、1984、Proceedings of the National Academy of Sciences USA 81: 1470-1474。フザリウム (Fusarium) 種の形質転換に適当な方法は下記の文献に記載されている: Malardier 他、1989、Gene 78: 147-156およびWO 96/00787。酵母は下記の文献に記載されている手順を使用して形質転換することができる: BeckerおよびGuarente、編者Abelson J. N. およびSimon M. I. 、Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology、Methods in Enzymology Vol. 194、pp. 182-187、Academic Press, Inc.、New York; Ito 他、1983、Journal of Bacteriology 153: 163; およびHinnen 他、1978、Proceedings of the National Academy of Sciences USA 75: 1920。
【0206】
植物における酵素の発現
問題のポリペプチド、例えば、ハイブリッド酵素または野生型酵素の変異型または本発明のハイブリッドをコードするDNA配列は、後述するように形質転換し、トランスジェニック植物において発現させることができる。
【0207】
トランスジェニック植物は双子葉植物または単子葉植物、略して双子葉または単子葉であることができる。単子葉植物の例は、イネ科植物、例えば、ナカハグサ (イチゴツナギ、イネ科イチゴツナギ科) 、飼料の草、例えば、フェスツカ (Festuca) 、ロリウム (Lolium) 、温帯のイネ科植物、例えば、アグロスチス (Agrostis) 、および穀物、例えば、コムギ、カラスムギ、ライムギ、オオムギ、イネ、モロコシおよびトウモロコシ (コーン) である。
【0208】
双子葉植物の例は、タバコ、マメ科植物、例えば、ハウチワマメ、ジャガイモ、テンサイ、エンドウマメ、ソラマメ・インゲン・ササゲの類およびダイズ、およびアブラナ科植物 (アブラナ科 (Brassicaceae)) 、例えば、カリフラワー、セイヨウアブラナおよび密接に関係するモデル生物アラビドプシス・タリアナ (Arabidopsis thaliana) である。
【0209】
植物部分の例は、幹、カルス、葉、根、果実、種子および塊茎ならびにこれらの部分を含んでなる個々の組織、例えば、表皮、葉肉、柔組織、脈管組織、分裂組織である。本発明の関係において、また、特別の植物細胞内区画、例えば、葉緑体、アポプラスト、ミトコンドリア、液胞、ペルオキシソームおよび細胞質は植物部分であると考えられる。さらに、どの組織から由来しても、植物細胞は植物部分であると考えられる。同様に、本発明の利用を促進するために単離された植物部分、例えば、特定の組織および細胞は、また、植物部分、例えば、胚、内乳、アリューロンおよび種子皮膜であると考えられる。
【0210】
また、このような植物、植物部分および植物細胞の子孫は本発明の範囲内に入る。
この分野において知られている方法に従い、問題の酵素を発現するトランスジェニック植物または植物細胞を構築することができる。簡単に述べると、植物または植物部分は、問題の酵素をコードする1または2以上の発現構築物を植物宿主ゲノム中に組込み、生ずる修飾された植物または植物細胞をトランスジェニック植物または植物細胞に増殖することによって構築される。
【0211】
好都合には、発現構築物は、選択した植物または植物部分中の遺伝子の発現に要求される適当な調節配列と操作的にアソシエートした問題の酵素をコードする遺伝子を含んでなるDNA構築物である。さらに、発現構築物は発現構築物が組込まれている宿主細胞を同定するために有効な選択可能なマーカーと、問題の植物中に構築物を導入するために必要なDNA配列とを含んでなる (後者は使用すべきDNA導入法に依存する) 。
【0212】
調節配列、例えば、プロモーターおよびターミネーター配列および必要に応じてシグナルまたはトランシット配列の選択は、例えば、酵素をいつ、どこでかつどのようにして発現させるかを基準にして決定される。例えば、本発明の酵素をコードする遺伝子の発現は構成的または誘導可能であるか、あるいは発生、段階または組織特異的であることができ、そして遺伝子産物を特定の細胞内区画、組織または植物部分、例えば、種子または葉にターゲッティングすることができる。ターゲット配列は、例えば、下記の文献に記載されている:Tague 他、Plant Phys. 86、506、1988。
【0213】
構成的発現のために、35S-CaMV、トウモロコシユビクイチンおよびイネアクチン1プロモーターを使用することができる (Franck 他、1980、Cell 21: 285-294、Christensen AH、Sharrock RAおよびQuail 1992、Maze polyubiquitin genes: thermal perturbation of expression and transcript splicing, and promoter activity following transfer to protoplasts by electroporation. Plant Mol. Biol. 18、675-689; Zhang W、McElroy D. およびWu R 1991、Analysis of rice Act1 5’ region activity in transgenic rice plants. Plant Cell 3、1155-1165) 。
【0214】
器官特異的プロモーターは、例えば、下記のプロモーターであることができる: 貯蔵シンク組織、例えば、種子、ジャガイモ塊茎、および果実からのプロモーター (EdwardsおよびCoruzzi、1990、Annu. Rev. Genet. 24: 275-303) または代謝シンク組織、例えば、分裂組織からのプロモーター (Ito 他、1994、Plant Mol. Biol. 24: 863-878) 、種子特異的プロモーター、例えば、イネからのグルテリン、プロラミン、グロブリンまたはアルブミンプロモーター (Wu 他、Plant and Cell Physiology Vol. 39、No. 8 pp. 885-889 (1998)) 、レグミンB4からのソラマメ・ナンテンハギ (Vicia faba) プロモーターおよびソラマメ・ナンテンハギ (Vicia faba) からの未知の種子タンパク質遺伝子 (Conrad U. 他、Journal of Plant Physiology Vol. 152、No. 6 pp. 708-711 (1998)) 、種子油体タンパク質からのプロモーター (Chen 他、Plant and Cell Physiology Vol. 39、No. 9 pp. 935-941 (1998)) 、ブラシカ・ナプス (Brassica napus) からの貯蔵タンパク質napAプロモーター、または分野において知られている、例えば、WO 91/14772に記載されている、他の種子特異的プロモーター。
【0215】
さらに、プロモーターは葉特異的プロモーター、例えば、下記のプロモーターであることができる: イネまたはトマトからのrbcsプロモーター (Kyozuka 他、Plant Physiol. Vol. 102、No. 3 pp. 991-1000 (1993) 、クロレラウイルスのアデニンメチルトランスフェラーゼ遺伝子のプロモーター (Mitra A. およびHiggins DW、Plant Molecular Biology Vol. 26、No. 1 pp. 85-93 (1994)) またはイネからのaldP遺伝子のプロモーター (Kagaya 他、Molecular and General Genetics Vol. 240、No. 6 pp. 668-674 (1995) または傷害誘導可能なプロモーター、例えば、ジャガイモpin2プロモーター (Xu 他、Plant Molecular Biology Vol. 22、No. 4 pp. 573-588 (1993)) 。プロモーターは、非生命的処理、例えば、温度、乾燥または塩分変更により誘導可能であるか、あるいは外因的に適用された、プロモーター活性化物質、例えば、エタノール、エストロゲン、植物ホルモン、例えば、エチレン、アブシジン酸およびジベレリン酸および重金属により誘導される。
【0216】
プロモーターエンハンサー因子を使用して、植物における酵素の発現をより高くすることができる。例えば、プロモーターエンハンサー因子は、プロモーターと酵素をコードするヌクレオチド配列との間のイントロンであることができる。例えば、Xu 他 (前掲引用書中) は、発現を増強するためにイネアクチン1の第1イントロンを使用することを開示している。
【0217】
選択可能なマーカー遺伝子および任意の他の発現構築物部分は、この分野において入手可能なものから選択することができる。
【0218】
この分野において知られている慣用技術、例えば、下記の技術に従い、DNA構築物を植物ゲノム中に組込む: アグロバクテリウム (Agrobacterium) 仲介形質転換、ウイルス仲介形質転換、マイクロインジェクション、粒子衝撃、生物分解形質転換、およびエレクトロポレーション (Gasser 他、Science 244、1293; Potrykus、Bio/Tech. 8、535、1990; Shimamoto 他、Nature 338、274、1989) 。
【0219】
現在、アグロバクテリウム・ツメファシエンス (Agrobacterium tumefaciens) 仲介遺伝子トランスファーはトランスジェニック双子葉植物を発生させるために選択される方法であり (概観については、下記の文献を参照のこと: HooykasおよびSchilperoort、1992、Plant Mol. Biol. 19: 15-38) 、また、単子葉植物の形質転換に使用できるが、他の形質転換法がこれらの植物にしばしば使用されている。現在、アグロバクテリウム (Agrobacterium) のアプローチを補充する単子葉植物を発生させるために選択される方法は、胚カルスまたは発育する胚の粒子衝撃法 (形質転換するDNAで被覆した微視的金またはタングステン粒子) である (Christou、1992、Plant J. 2: 275-281; Shimamoto、1994、Cur. Opin. Biotechnol. 5: 158-162; Vasil 他、1992、Bio/Technology 10: 667-674) 。単子葉植物を形質転換する別の方法は、下記の文献に記載されているようなプロトプラストの形質転換にに基づく: Omirulleh S. 他、Plant Molecular Biology Vol. 21、No. 3 pp. 415-428 (1993) 。
【0220】
形質転換後、この分野においてよく知られている方法に従い、発現構築物を組込んで有する形質転換体を選択し、完全植物に再生する。しばしば、再生間または再生後に、例えば、2つの別々のT-DNA構築物を使用する共形質転換により、または特別のリコンビナーゼを使用する選択遺伝子の部位特異的切除により、選択遺伝子を選択的に排除するように、形質転換手順は設計される。
【0221】
デンプン処理
本発明の第1面、第2面および/または第3面のポリペプチドは、糊化デンプンまたは粒状デンプン基質を水性媒質中においてハイブリッド酵素で処理する、デンプンの液化法において使用できる。第1、第2および/または第3の面のポリペプチドは、また、液化デンプン基質の糖化方法において使用できる。好ましい使用は発酵方法においてであり、ここでデンプン基質を第1、第2および/または第3の面のポリペプチドの存在下に液化および/または糖化して、グルコースおよび/またはマルトースを製造し、これらは発酵生物、好ましくは酵母による発酵生成物への転化に適する。
【0222】
このような発酵方法は下記の方法を包含する: 燃料用または飲用エタノール (飲用アルコール) を製造する方法、飲料を製造する方法および必要な有機化合物、例えば、下記の化合物を製造するする方法: クエン酸、イタコン酸、乳酸、グルコン酸、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カルシウム、グルコン酸カリウム、グルコノデルタラクトンまたはナトリウムエリトルベート; ケトン; アミノ酸、例えば、グルタミン酸 (ナトリウムモノグルタメート) および、また、より複雑な化合物、例えば、抗生物質、例えば、ペニシリン、テトラサイクリン; 酵素; ビタミン、例えば、リボフラビン、B12、β-カロテン; ホルモン、これらは合成的製造が困難である。
【0223】
加工すべきデンプンは、高度に精製されたデンプン品質、好ましくは少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または少なくとも99.5%の純度であることができるか、あるいは非デンプン画分、例えば、胚芽残留物および繊維を含む、全穀粒微粉砕物を含んでなる、いっそう粗製のデンプンを含有する物質であることができる。原料、例えば、全穀粒を微粉砕して、構造を開き、それ以上の加工を可能とする。2種類の微粉砕法は本発明において好ましい: 湿式微粉砕生物および乾式微粉砕。また、トウモロコシ粗粒、および好ましくはトウモロコシ粗粒の微粉砕物を適用することができる。
【0224】
穀粒乾式微粉砕物は、デンプンに加えて、有意な量の非デンプン炭水化物化合物を含んでなる。このような不均質物質をジェット煮沸による加工するとき、しばしばデンプンの部分的糊化が達成される。本発明のポリペプチドは非糊化デンプンに対して高度に活性であるので、ポリペプチドは乾式微粉砕デンプンのジェット煮沸物を液化および/または糖化する方法において好都合に適用される。
【0225】
さらに、第1の面のポリペプチドはよりすぐれた加水分解活性を有するので、糖化工程間のグルコアミラーゼの必要性が大きく減少する。これにより、非常に低いレベルのグルコアミラーゼ活性において糖化を実施することができ、そして好ましくはグルコアミラーゼ活性は存在しないか、あるいは存在する場合、0.5 AGU/g DS以下またはそれより少ない、より好ましくは0.4 AGU/g DS以下またはそれより少ない、さらにより好ましくは0.3 AGU/g DS以下またはそれより少ない、最も好ましくは0.1 AGUより少ない、例えば、0.05 AGU/g DS以下またはそれより少ないデンプン基質の量で存在する。
【0226】
mg酵素タンパク質で表すとき、グルコアミラーゼ活性を有する酵素は存在しないか、あるいは0.5 mg EP/g DS以下またはそれより少ない、より好ましくは0.4 mg EP/g DS以下またはそれより少ない、さらにより好ましくは0.3 mg EP/g DS以下またはそれより少ない、最も好ましくは0.1 mg EP/g DS以下またはそれより少ない、例えば、0.05 mg EP/g DS以下またはそれより少ないまたは0.02 mg EP/g DS以下またはそれより少ないデンプン基質の量で存在する。グルコアミラーゼは好ましくはアスペルギルス (Aspergillus) 種、タラロマイセス (Talaromyces) 種、パチキトスポラ (Pachykytospora) 種またはトラメテス (Trametes) 種内のデンプン、より好ましくはアスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) 、タラロマイセス・エメルソニイ (Talaromyces emersonii) 、トラメテス・シングラタ (Trametes cingulata) またはパチキトスポラ・パピラセア (Pachykytospora papyracea) に由来することができる。
【0227】
再び、第1の面のポリペプチドはよりすぐれた加水分解活性を有するので、液化および/または糖化工程におけるα-アミラーゼの必要性が大きく減少する。mg酵素タンパク質で表すとき、第1の面のポリペプチドは0.5 mg EP/g DS以下またはそれより少ない、より好ましくは0.4 mg EP/g DS以下またはそれより少ない、さらにより好ましくは0.3 mg EP/g DS以下またはそれより少ない、最も好ましくは0.1 mg EP/g DS以下またはそれより少ない、例えば、0.05 mg EP/g DS以下またはそれより少ないまたは0.02 mg EP/g DS以下またはそれより少ないデンプン基質の量で投与することができる。
【0228】
第1の面のポリペプチドは、0.05〜10.0 AFAU/g DS、好ましくは0.1〜5.0 AFAU/g DS、より好ましくは0.25〜2.5 AFAU/g DSデンプンの量で投与することができる。この方法は、下記の工程を含んでなる: a) α-アミラーゼ活性を有する触媒モジュールと炭水化物結合性モジュールとを含んでなるポリペプチド、例えば、第1の面のポリペプチドをデンプン基質と接触させ; b) 前記デンプン基質の少なくとも90%、または少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5% w/wの転化を達成するために十分な時間の間および温度において、前記デンプン基質を前記ポリペプチドとインキュベートし; c) 発酵させて発酵生成物を生成し; d) 必要に応じて発酵生成物を回収する。
【0229】
プロセス工程b) および/またはc) の間、グルコアミラーゼ活性を有する酵素は存在しないか、あるいは0.001〜2.0 AGU/g DS、0.01〜1.5 AGU/g DS、0.05〜1.0 AGU/g DS、0.01〜0.5 AGU/g DSの量で存在する。好ましくは、グルコアミラーゼ活性を有する酵素は存在しないか、あるいは0.5 AGU/g DS以下またはより少ない、より好ましくは0.4 AGU/g DS以下またはより少ない、さらにより好ましくは0.3 AGU/g DS以下またはより少ない、最も好ましくは0.1 AGU以下またはより少ない、例えば、0.05 AGU/g DS以下またはより少ないデンプン基質の量で存在する。
【0230】
mg酵素タンパク質で表すとき、グルコアミラーゼ活性を有する酵素は存在しないか、あるいは0.5 mg EP/g DS以下またはそれより少ない、より好ましくは0.4 mg EP/g DS以下またはそれより少ない、さらにより好ましくは0.3 mg EP/g DS以下またはそれより少ない、最も好ましくは0.1 mg EP/g DS以下またはそれより少ない、例えば、0.05 mg EP/g DS以下またはそれより少ないまたは0.02 mg EP/g DS以下またはそれより少ないデンプン基質の量で存在する。この方法において、工程a、b、cおよび/またはdを同時にまたは別々に実施するすることができる。
【0231】
他の面において、この方法は下記の工程を含んでなることができる: a) α-アミラーゼ活性を有する触媒モジュールと炭水化物結合性モジュールとを含んでなるポリペプチド、例えば、第1および/または第2 の面のポリペプチドを発現するように形質転換された酵母細胞とデンプン基質を接触させ; b) 前記デンプン基質の少なくとも90% w/wの転化を達成を達成するために十分な時間の間および温度において、前記デンプン基質を前記酵母とインキュベートし; c) 発酵させてエタノールを生成し; d) 必要に応じてエタノールを回収する。工程a、b、cおよび/またはdを同時にまたは別々に実施するすることができる。
【0232】
なお他の面において、このプロセスは、粒状デンプンの初期糊化温度より低い温度における可溶性デンプン加水分解物への、糊化または粒状デンプンのスラリーの加水分解、特に粒状デンプンの加水分解を含んでなる。α-アミラーゼ活性を有する触媒モジュールと炭水化物結合性モジュールとを含んでなるポリペプチド、例えば、第1面のポリペプチドと接触させることに加えて、デンプンは下記のリストから成る群から選択される酵素と接触させることができる: 真菌α-アミラーゼ (EC 3.2.1.1) 、β-アミラーゼ (EC 3.2.1.2) およびグルコアミラーゼ (EC 3.2.1.3) 。ある態様において、さらに細菌α-アミラーゼまたは脱分枝酵素、例えば、イソアミラーゼ (EC 3.2.1.68) またはプルラナーゼ (EC 3.2.1.41) を添加することができる。本発明の関係において、細菌α-アミラーゼはWO 99/19467、第3ページ第18行〜第6ページ第27行に記載されているα-アミラーゼである。
【0233】
ある態様において、このプロセスは初期糊化温度以下の温度において実施される。好ましくは、この方法を実施する温度は、少なくとも30℃、少なくとも31℃、少なくとも32℃、少なくとも33℃、少なくとも34℃、少なくとも35℃、少なくとも36℃、少なくとも37℃、少なくとも38℃、少なくとも39℃、少なくとも40℃、少なくとも41℃、少なくとも42℃、少なくとも43℃、少なくとも44℃、少なくとも45℃、少なくとも46℃、少なくとも47℃、少なくとも48℃、少なくとも49℃、少なくとも50℃、少なくとも51℃、少なくとも52℃、少なくとも53℃、少なくとも54℃、少なくとも55℃、少なくとも56℃、少なくとも57℃、少なくとも58℃、少なくとも59℃、少なくとも60℃である。好ましい態様において、このプロセスを実施するpHは3.0〜7.0、好ましくは3.5〜6.0、より好ましくは4.0〜5.0の範囲である。好ましい態様において、このプロセスは、例えば、酵母を使用して、例えば、約32℃、例えば、30〜35℃の温度において、発酵を実施するこを含んでなる。
【0234】
他の好ましい態様において、この方法は、例えば、30〜35℃、例えば、約32℃の温度において、例えば、酵母を使用してエタノールを製造するか、あるいは他の適当な発酵生物を使用して必要な有機化合物を製造する、同時の糖化および発酵を含んでなる。
【0235】
上記発酵法において、エタノール含有率は少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、例えば、少なくとも16%のエタノールに到達する。
【0236】
上記面のいずれかにおいて使用すべきデンプンスラリーは、20〜55%乾燥固形分の粒状デンプン、好ましくは25〜40%乾燥固形分の粒状デンプン、より好ましくは30〜35%乾燥固形分の粒状デンプンを有することができる。α-アミラーゼ活性を有する触媒モジュールと炭水化物結合性モジュールとを含んでなるポリペプチド、例えば、第1の面のポリペプチドと接触させた後、粒状デンプンの乾燥固形分の少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または好ましくは少なくとも99%が可溶性デンプン加水分解物に転化される。
【0237】
好ましい態様において、α-アミラーゼ活性を有する触媒モジュールと炭水化物結合性モジュールとを含んでなるポリペプチド、例えば、第1の面のポリペプチドはデンプン糊化物を液化、糖化する方法において使用されるが、ジェット煮沸による糊化に限定されない。この方法は発酵生成物、例えば、エタノールを製造する発酵を含んでなることができる。発酵によりデンプン含有物質からエタノールを製造するこのような方法は、下記の工程を含んでなる: (i) α-アミラーゼ活性を有する触媒モジュールと炭水化物結合性モジュールとを含んでなるポリペプチド、例えば、第1の面のポリペプチドでデンプン含有物質を液化し; (ii) 得られた液化マッシュを糖化し; (iii) 工程 (ii) において得られた物質を発酵生物の存在下に発酵させる。必要に応じて、この方法はエタノールの回収をさらに含んでなる。糖化および発酵は同時の糖化および発酵プロセスとして実施することができる (SSFプロセス) 。発酵間に、エタノール含有率は少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、例えば、少なくとも16%のエタノールに到達する。
【0238】
上記面の方法において加工すべきデンプンは、特に塊茎、根、幹、莢、穀物または全穀粒から得ることができる。より詳しくは、粒状デンプンはトウモロコシ、穂軸、コムギ、オオムギ、ライムギ、マイロ、サゴ、カッサバ、タピオカ、モロコシ、イネ、エンドウ、ソラマメ・インゲン・ササゲの類、バナナまたはジャガイモから得ることができる。トウモロコシおよびオオムギの蝋質および非蝋質の両方のタイプが特別に考えられる。
【0239】
本発明は、また、第1および/または第2 の面のポリペプチドを含んでなる組成物に関する。特に好ましい態様において、組成物は第1の面のポリペプチドを含んでなり、前記ポリペプチドは下記から成る群から選択される: V001、V002、V003、V004、V005、V006、 V007、 V008、 V009、V010、 V011、 V012、 V013、 V014、 V015、 V016、 V017、 V018、 V019、 V021、 V022、 V023、 V024、 V025、 V026、 V027、 V028、 V029、V030、 V031、 V032、 V033、 V034、 V035、 V036、 V037、 V038、 V039、V040、 V041、 V042、 V043、 V047、 V048、 V049、V050、 V051、 V052、 V054、 V055、 V057、 V059、V060、 V061、 V063、 V064、 V065、 V066、 V067、 V068およびV069。組成物は、さらに、下記から成る群から選択される酵素を含んでなることができる: 真菌α-アミラーゼ (EC 3.2.1.1) 、β-アミラーゼ (EC 3.2.1.2) 、グルコアミラーゼ (EC 3.2.1.3) およびプルラナーゼ (EC 3.2.1.41) 。
【0240】
好ましくは、グルコアミラーゼは下記に由来することができる: アスペルギルス (Aspergillus) 種の菌株、例えば、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) 、またはタラロマイセス (Talaromyces) 種の菌株、特にタラロマイセス・レイセタヌス (Talaromyces leycettanus) 、例えば、米国特許No. 再発行32,153に開示されているグルコアミラーゼ、タラロマイセス・ズポンチ (Talaromyces duponti) および/またはタラロマイセス・サーモピレス (Talaromyces thermopiles) 、例えば、米国特許第4,587,215号に開示されているグルコアミラーゼおよびより好ましくはタラロマイセス・エメルソニイ (Talaromyces emersonii) 。
【0241】
最も好ましくは、グルコアミラーゼはタラロマイセス・エメルソニイ (Talaromyces emersonii) 菌株CBS 793.97に由来し、そしてWO 99/28448中に配列番号7として開示されている配列を有する。さらに、前述のアミノ酸に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%またはさらに少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列を有するグルコアミラーゼは好ましい。商用タラロマイセス (Talaromyces) グルコアミラーゼ調製物はNovozymes A/SからSpirizyme Fuelとして供給されている。
【0242】
また、トラメテス (Trametes) 属の菌株、好ましくはトラメテス・シングラタ (Trametes cingulata) に由来するグルコアミラーゼ活性を有するポリペプチドは、第1および/または第2 の面のポリペプチドおよびグルコアミラーゼを含んでなる組成物について好ましい。さらに、グルコアミラーゼ活性を有しかつ米国特許出願No. 60/650,612中の配列番号5の成熟ポリペプチドアミノ酸1〜575に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%またはさらに少なくとも95%の相同性を有するポリペプチドは好ましい。
【0243】
また、パチキトスポラ (Pachykytospora) 属の菌株、好ましくはパチキトスポラ・パピラセア (Pachykytospora papyracea) またはDSNZに寄託され、no. DSM 17105を与えられた大腸菌 (E. coli) 菌株に由来するがを有するポリペプチドは、第1および/または第2 の面のポリペプチドおよびグルコアミラーゼを含んでなる組成物について好ましい。さらに、グルコアミラーゼ活性を有しかつ米国特許出願No. 60/650,612中の配列番号2の成熟ポリペプチドアミノ酸1〜556に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%またはさらに少なくとも95%の相同性を有するポリペプチドは好ましい。
【0244】
前述の組成物は、糊化されたまたは粒状デンプン、ならびに部分的に糊化されたデンプンを液化および/または糖化するために使用できる。部分的に糊化されたデンプンは、ある程度まで糊化されたデンプン、すなわち、デンプンの一部分が不可逆的に膨潤し、糊化され、かつデンプンの一部分がなお粒状で存在するデンプンである。
前述の組成物は、0.01〜10 AFAU/g DS、好ましくは0.1〜5 AFAU/g DS、より好ましくは0.5〜3 AFAU/g DS、最も好ましくは0.3〜2 AFAU/g DSの量で存在する酸性α-アミラーゼを含んでなることが好ましい。組成物は前述の任意の方法において適用できる。
【0245】
材料および方法
酸性α-アミラーゼ活性の決定
本発明に従い使用するとき、酸安定性α-アミラーゼの活性は、酵素標準に関して決定されるAFAU (酸性真菌α-アミラーゼ単位) で測定することができる。1 AFAUは後述する標準条件下に1時間当たり5.260 mgのデンプン乾燥固体を分解する酵素の量として定義される。
【0246】
酸性α-アミラーゼ、すなわち、酸安定性α-アミラーゼ、エンド-α-アミラーゼ (1,4-α-D-グルカン-グルカノ-ヒドロラーゼ、EC 3.2.1.1) は、デンプン分子の内側領域中のα-1,4 グリコシド結合を加水分解して、異なる鎖長をもつデキストリンおよびオリゴ糖が形成する。ヨウ素で生成される色強度はデンプン濃度に対して直接比例する。アミラーゼ活性は、特定の分析条件下におけるデンプン濃度の減少として、逆比色分析を使用して決定される。
【0247】
【表4】

【0248】
標準条件/反応条件
基質: デンプン、ほぼ0.17 g/L
緩衝剤: クエン酸塩、ほぼ0.03 M
ヨウ素 (I2): 0.03 g/L
CaCl2: 1.85 mM
pH: 2.50±0.05
インキュベーション温度: 40℃
反応時間: 23秒
波長: 590 nm
酵素濃度: 0.025 AFAU/mL
酵素使用範囲: 0.01〜0.04 AFAU/mL
【0249】
この分析法をいっそう詳しく記載するフォルダーEB-SM-0259.02/01は、ノボザイムA/S (デンマーク国) に対する要求に応じて入手可能であり、引用することによって本明細書の一部とされる。
【0250】
グルコアミラーゼ活性
グルコアミラーゼ活性はアミログリコシダーゼ単位 (AGU) で測定することができる。AGUは標準条件: 37℃、pH 4.3、基質: マルトース 23.2 mM、緩衝液: 酢酸塩 0.1 M、反応時間: 5分において、1分当たり1 μMのマルトースを加水分解する酵素の量として定義される。
【0251】
自動分析装置を使用することができる。存在するα-D-グルコースがβ-D-グルコースに転化されるように、ムタロターゼをグルコースデヒドロゲナーゼ試薬に添加する。グルコースデヒドロゲナーゼは前述の反応においてβ-D-グルコースと特異的に反応してNADHを生成し、これは340 nmにおいて測光計を使用してもとのグルコース濃度の測度として測定される。
【0252】
AMGインキュベーター:
基質: マルトース 23.2 mM
緩衝液: 酢酸塩 0.1 M
pH: 4.30±0.05
インキュベーション温度: 37℃±1
反応時間: 5分
酵素使用範囲: 0.5〜4.0 AUG/mL
【0253】
色反応:
GlucDH: 430 U/L
ムタロターゼ: 9 U/L
NAD: 0.21 mM
緩衝液: リン酸塩 0.12 M;
0.15 M NaCl
pH: 7.60±0.05
インキュベーション温度: 37℃±1
反応時間: 5分
波長: 340 nm
【0254】
この分析法をいっそう詳しく記載するフォルダー(EB-SM-0131.02/01) は、ノボザイムA/S (デンマーク国) に対する要求に応じて入手可能であり、引用することによって本明細書の一部とされる。
【0255】
菌株およびプラスミド
大腸菌 (E. coli) DH12S (入手先: Gibco BRL) を酵母プラスミドレスキュウーのために使用した。
【0256】
pLA1はWO 01/92502に記載されているpJC039から構築した、TPIプロモーターの制御下のサッカロマイセス・セレビシエ (S. cerevisiae) および大腸菌 (E. coli) シャトルベクターである。酸性アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) α-アミラーゼシグナル配列、酸性アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) α-アミラーゼ遺伝子 (配列番号1) およびリンカー (配列番号67) とCBM (配列番号91) とを含んでなる部分的アテリア・ロルフシイ (Athelia rolfsii) グルコアミラーゼ遺伝子配列を挿入した。プラスミドの全配列は配列番号103に記載されている。α-アミラーゼ遺伝子は5029〜6468の配列であり、リンカーは6469〜6501の配列であり、そしてCBMは6502〜6795の配列である。このベクターはα-アミラーゼCBMハイブリッドの構築に使用した。
【0257】
サッカロマイセス・セレビシエ (S. cerevisiae) YNG318: MATa Dpep4[cir+] ura3-52, leu2-D2, his 4-539をα-アミラーゼ変異型の発現のために使用した。それはJ. Biol. Chem. 272 (15) pp. 9720-9727、1997に記載されている。
【0258】
培地および基質
10×基本溶液: 酵母窒素塩基w/oアミノ酸 (DIFCO) 66.8 g/l、コハク酸塩 100 g/l、NaOH 60 g/l。
SC-グルコース: 20%のグルコース (すなわち、2%の最終濃度 = 2 g/100 ml) 100 ml、5%のトレオニン 4 ml/l、1%のトリプトファン 10 ml/l、20%のカザミノ酸 25 ml/l、10×基本溶液 100 ml/l。この溶液を0.20 μmの孔サイズのフィルターにより滅菌する。寒天およびH2O (ほぼ761 ml) を一緒にオートクレーブ処理し、そして別々に滅菌したSC-グルコース溶液を寒天溶液に添加する。
YPD: バクトペプトン 20 g/l、酵母エキス 10 g/l、20%のグルコース 100 ml/l。
PEG/LiAc溶液: 40%のPEG4000 50 ml、5 Mの酢酸リチウム 1 ml。
【0259】
DNAの操作
特記しない限り、DNAの操作および形質転換は、下記の文献に記載されている分子生物学の標準的方法を使用して実施した: Sambrook 他 (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、ニューヨーク州コールドスプリングハーバー; Ausubel F. M. 他 (編者) “Current Protocols in Molecular Biology”、John Wiley & Sons、1995; Harwood C. R. およびCutting S. M. (編者) 。
【0260】
酵母の形質転換
酵母の形質転換を酢酸リチウム法により実施した。0.5 mlのベクター (制限エンドヌクレアーゼにより消化した) および1 μlのPCRフラグメントを混合する。氷上でYNG318コンピテント細胞を融解する。100 μlの細胞、DNA混合物および10 μlの担体DNA (Clontech) を12 mlのポリプロピレン管 (Falcon 2059) 中で混合する。0.6 mlのPEG/LiAc溶液を添加し、おだやかに混合する。30℃、200 rpmにおいて30分間インキュベートする。42℃ (熱ショック) において30分間インキュベートする。エッペンドルフ管に移し、5秒間遠心する。上清を除去し、3 mlのYPD中に溶解する。この細胞懸濁液を30℃、200 rpmにおいて45分間インキュベートする。この懸濁液をSC-グルコース平板に注ぎ、30℃において3日間インキュベートしてコロニーをつくる。酵母全DNAを下記の文献に記載されているRobzykおよびKassirの方法により抽出する: Nucleic Acids Research Vol. 20、No. 14 (1992) 3790。
【0261】
DNA配列
DNA配列決定のための大腸菌 (E. coli) 形質転換をエレクトロポレーション (BIO-RAD Gene Pulser) により実施した。アルカリ性法 (Molecular Cloning、Cold Spring Harbor) またはキット (Qiagen(商標) Plasmd Kit) により、DNAプラスミドを調製した。ゲル抽出キット (Qiagen) により、DNAフラグメントを回収した。PTC-200 DNAエンジンにより、PCRを実施した。分析装置 (ABI PRISMTM 310 Genetic Analyzer) を使用して、すべてのDNA配列を決定した。
【0262】
【表5】

【0263】
【表6】

【0264】
【表7】

【0265】
【表8】

【0266】
【表9】

【0267】
【表10】

【0268】
【表11】

【0269】
【表12】

【0270】
実施例1リゾムコル・プシルス (Rhizomucor pusillus) α-アミラーゼおよびアテリア・ロルフシイ (Athelia rolfsii) グルコアミラーゼCBMをコードする核酸配列V019の構築
ベクターpLA1を適当な制限エンドヌクレアーゼで消化して、アスペルギルス・ニガー (A. niger) α-アミラーゼ触媒ドメインをコードする領域を切出した。プライマーP001 (配列番号104) およびP002 (配列番号105) を使用するPCRにより、リゾムコル・プシルス (Rhizomucor pusillus) α-アミラーゼ遺伝子を増幅し、増幅されたフラグメントを配列番号19として示す。
【0271】
【表13】

【0272】
DNAフラグメントをQiagenゲル抽出キットによりアガロースゲルから回収した。生ずる精製されたフラグメントをベクター消化物と混合した。混合した溶液を、in vivo 組換えにより発現により、サッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) 中に導入してプラスミドpLAVO19を構築した。
【0273】
実施例2メリピルス・ギガンテウス (Meripilus giganteus) α-アミラーゼおよびアテリア・ロルフシイ (Athelia rolfsii) グルコアミラーゼCBMをコードする核酸配列V022の構築
プライマーP003 (配列番号106) およびP004 (配列番号107) を使用するPCRにより、メリピルス・ギガンテウス (Meripilus giganteus) α-アミラーゼ遺伝子を増幅した。
DNAフラグメントをQiagenゲル抽出キットによりアガロースゲルから回収した。生ずる精製されたフラグメントおよび適当な 制限エンドヌクレアーゼで消化してアスペルギルス・ニガー (A. niger) α-アミラーゼ触媒ドメインをコードする領域を切出したベクターpLA1消化物を混合した。混合した溶液を、in vivo 組換えにより発現により、サッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) 中に導入してプラスミドpLAV022を構築した。
【0274】
実施例3アスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) におけるCBMをもつアミラーゼの発現
実施例1および2に記載するCBMをもつα-アミラーゼ遺伝子を含んでなる構築物を使用して、それぞれ、発現ベクターpAspV019およびpAspV022を構築した。2つのプラスミドpAspV019およびpAspV022は、アスペルギルス・ニヅランス (Aspergillus nidulans) トリオースリン酸イソメラーゼ非翻訳リーダー配列 (Pne2/tpi) およびアスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) アミログリコシダーゼターミネーター (Tamg) に融合した、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) 中性アミラーゼIIプロモーターに基づく発現カセットから成る。
【0275】
また、プラスミド上に、唯一の窒素源としてアセトアミド上の増殖を可能とするアスペルギルス・ニヅランス (Aspergillus nidulans) からのアスペルギルス (Aspergillus) 選択マーカーamdSが存在した。下記の文献に記載されているように、発現プラスミドpAspV019およびpAspV022をアスペルギルス (Aspergillus) 中に形質転換した: Lassen 他 (2001) 、Applied and Environmental Microbiology、67、4701-4707。V019およびV022を発現する形質転換体を単離し、精製し、震蘯フラスコ中で培養した。CBMをもつアミラーゼを発現するアスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) の発酵からの培養ブロスを、アフィニティー精製により精製した (Biochem. J. (2003) 372、905-910) 。
【0276】
実施例4CBMをもつアミラーゼ
本発明のポリペプチドを製造した: 選択した触媒ドメインをアテリア・ロルフシイ (Athelia rolfsii) グルコアミラーゼのリンカー-CBM領域に融合し、そして選択したCBM領域をC003アスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) 触媒ドメインに結合した (フンガミルPE変異型) 。
【0277】
トリコフェレア・サッカタ (Trichopheraea saccata) α-アミラーゼからのCBM+リンカーはN-末端に位置するので、それをSP288シグナルとアスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) 触媒ドメインとの間に挿入した。他方のCBMはすべてのC-末端に配置された。
変異型V008は、アテリア・ロルフシイ (Athelia rolfsii) グルコアミラーゼのC-末端に位置するリンカーおよびCBM領域と、トリコフェレア・サッカタ (Trichopheraea saccata) α-アミラーゼからのN-末端に位置するリンカー+CBMとの両方から構成されていた。
【0278】
アスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) α-アミラーゼのCBM変異型およびアテリア・ロルフシイ (Athelia rolfsii) グルコアミラーゼCBMの触媒ドメイン変異型を、それぞれ、表14および表15に記載する。他の精製された本発明のポリペプチドを、表16および表17に記載する。
これら変異型は、デンプン、特に粒状デンプンに対して改良された活性を有する。
【0279】
【表14】

【0280】
【表15】

【0281】
【表16】

【0282】
【表17】

【0283】
実施例5
異なる投与量のタラロマイセス・エメルソニイ (Talaromyces emersonii) グルコアミラーゼを使用する小規模発酵において、ポリペプチドV019の性能を評価した。デンプン基質、583.3 gの粉砕トウモロコシを912.2 gの水に添加した。この混合物に、4.5 mlの1 g/Lのペニシリン溶液を補充した。このスラリーのpHを40%のH2SO4で5.0に調節した。DSレベルは二重反復実験において34.2±0.8%であると決定された。ほぼ5 gのこのスラリーを20 mlのバイアルに添加した。
【0284】
各バイアルに適当量の酵素を添加し、次いで200 μlの酵母増殖細胞/5gのスラリーを添加した。実際の投与量は各バイアル中でトウモロコシスラリーの正確な重量に基づいた。バイアルを32℃においてインキュベートした。経時的減量を測定することによって、発酵を追跡した。70時間において、発酵を停止し、HPLC分析のために準備した。HPLC調製は、50 μlの40%のH2SO4の添加による反応の停止、遠心および0.45 μmのフィルターに通す濾過から成っていた。HPLC分析用試料を4℃において貯蔵した。
【0285】
【表18】

【0286】
実施例6
熱安定性細菌α-アミラーゼ (LIQUOZYME XTM、Novozymes A/S) で液化したコーンスターチから製造したDE 11マルトデキストリンをMilli-QTM水中に溶解し、そして乾燥固形分 (DS) を30%に調節することによって、糖化用基質を製造した。密閉した2 mlのガラス製バイアル中で60℃および初期pH 4.3において連続的に攪拌しながら、糖化実験を実施した。2つの異なる投与量のCBMα-アミラーゼV019およびV022を標準的処理に上部にタラロマイセス・エメルソニイ (Talaromyces emersonii) グルコアミラーゼ0.35 AGU/g DSおよびアスペルギルス・ニガー (A. niger) α-アミラーゼ0.04 AFAU/g DSで適用した。
【0287】
試料を設定した間隔で採取し、沸騰水中で15分間熱して酵素を不活性化した。冷却後、試料を5%のDSに希釈し、濾過し (Sartorius MINISARTTM NML 0.2 μm) 、次いでHPLCにより分析した。グルコースレベルを全可溶性炭水化物の%として下表19に記載する。
【0288】
【表19】

【0289】
実施例7
生デンプンSSF処理を小規模発酵において評価した。410 gの微粉砕トウモロコシ、590 mlの水道水、3.0 mlの1 g/lのペニシリンおよび1 gの尿素を混合することによって、35% DSの粒状デンプンスラリーを調製した。このスラリーを5 N NaOHでpH 4.5に調節し、そして5 gの試料を20 mlのバイアルに分配した。適当量の酵素を投与し、バイアルを酵母とともにインキュベートした。バイアルを32℃においてインキュベートした。各処理の9回の反復発酵を実施した。
【0290】
24時間、48時間および70時間の時点の分析のために、3回の反復を選択した。バイアルを24、48および70時間において攪拌した。時点の分析は、バイアルの秤量およびHPLCのための試料の調製から成っていた。HPLCのために、50 μlの40%のH2SO4の添加による反応の停止、遠心および0.45 μmのフィルターに通す濾過から成っていた。HPLC分析用試料を4℃において貯蔵した。
実施例7a
酵素および使用量を下記表に示す。A-AMGはアスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) グルコアミラーゼ組成物である。
【0291】
【表20】

【0292】
70時間の発酵後にすぐれたエタノール収率が1.7〜85.5 のAGU/AFAU比のアスペルギルス・ニガー (A. niger) AMG/V019の範囲において観測され、アスペルギルス・ニガー (A. niger) AMG/V019の混合物の広い活性AGU/AFAU比における強固な性能を示す。
【0293】
【表21】

【0294】
実施例7b
酵素および使用量を下記表に示す。T-AMGはタラロマイセス・エメルソニイ (Talaromyces emersonii) グルコアミラーゼ組成物である。
【0295】
【表22】

【0296】
70時間の発酵後にすぐれたエタノール収率が10〜216 のAGU/AFAU比のタラロマイセス・エメルソニイ (T. emersonii) AMG/V019の範囲において観測され、タラロマイセス・エメルソニイ (T. emersonii) AMG/V019の混合物の広い活性AGU/AFAU比における強固な性能を示す。
【0297】
【表23】

【0298】
生物学的物質の寄託
下記の生物学的物質はブダペスト条約に従いDSMZ (Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH 、Mascheroder Weg 1b、D-38124 Braunschweig DE) に寄託され、下記の受け入れ番号を与えられた:
【0299】
【表24】

【0300】
菌株は米国特許法施行規則第1.14条および米国特許法第122条下に権限を受けた特許商標庁長官により決定された者に対してこの出願が係属中に培養物のアクセスが可能とすることを保証する条件下に寄託された。寄託物は寄託された菌株の実質的に純粋な培養物を表す。寄託物は、主題の出願、またはその継続出願が提出されている外国における外国特許法により、要求に応じて入手可能である。しかしながら、寄託物の入手可能性は、政府の処分により許諾された特許権における主題の発明の実施許諾を構成しないことを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
α-アミラーゼ活性を有する触媒モジュールを含んでなる第1アミノ酸配列と、炭水化物結合性モジュールを含んでなる第2 アミノ酸配列とを含んでなるポリペプチド: ここで前記第2 アミノ酸配列は配列番号52、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号109、配列番号137、配列番号139、配列番号141および配列番号143から成る群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも60%の相同性を有するポリペプチド。
【請求項2】
第1アミノ酸配列が配列番号02、配列番号04、配列番号06、配列番号08、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号119、配列番号121、配列番号123、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135および配列番号155から成る群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも60%の相同性を有する、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
リンカー配列が前記第1アミノ酸配列と第2 アミノ酸配列との間のある位置に存在し、前記リンカー配列は配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151および配列番号52から成る群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも60%の相同性を有する、請求項1または2に記載のポリペプチド。
【請求項4】
前記第1アミノ酸配列が配列番号4に示すアミノ酸配列に対して少なくとも60%の相同性を有し、そして前記第1アミノ酸配列がA128P、K138V、S141N、Q143A、D144S、Y155W、E156D、D157N、N244E、M246L、G446D、D448SおよびN450Dから成る群から選択される1または2以上のアミノ酸置換を含んでなる、請求項1〜3のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項5】
前記ポリペプチドが配列番号100に示すアミノ酸配列を有するか、あるいは配列番号100に示すアミノ酸配列に対して少なくとも60%の相同性を有するアミノ酸配列を有する、請求項4に記載のポリペプチド。
【請求項6】
前記ポリペプチドが配列番号101に示すアミノ酸配列を有するか、あるいは配列番号101に示すアミノ酸配列に対して少なくとも60%の相同性を有するアミノ酸配列を有する、請求項1〜3のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項7】
前記ポリペプチドが配列番号102に示すアミノ酸配列を有するか、あるいは配列番号102に示すアミノ酸配列に対して少なくとも60%の相同性を有するアミノ酸配列を有する、請求項1〜3のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項8】
ポリペプチドがハイブリッドである、請求項1〜7のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項9】
下記ポリペプチドおよび変異型から成る群から選択される、α-アミラーゼ活性を有するポリペプチド:
(a) 配列番号14中のアミノ酸1〜441、配列番号18中のアミノ酸1〜471、配列番号20中のアミノ酸1〜450、配列番号22中のアミノ酸1〜445、配列番号26中のアミノ酸1〜498、配列番号28中のアミノ酸18〜513、配列番号30中のアミノ酸1〜507、配列番号32中のアミノ酸1〜481、配列番号34中のアミノ酸1〜495、配列番号38中のアミノ酸1〜477、配列番号42中のアミノ酸1〜449、配列番号115中のアミノ酸1〜442、配列番号117中のアミノ酸1〜441、配列番号125中のアミノ酸1〜477、配列番号131中のアミノ酸1〜446、配列番号157中のアミノ酸41〜481、配列番号159中のアミノ酸22〜626、配列番号161中のアミノ酸24〜630、配列番号163中のアミノ酸27〜602、配列番号165中のアミノ酸21〜643、配列番号167中のアミノ酸29〜566、配列番号169中のアミノ酸22〜613、配列番号171中のアミノ酸21〜463、配列番号173中のアミノ酸21〜587、配列番号175中のアミノ酸30〜773、配列番号177中のアミノ酸22〜586および配列番号179中のアミノ酸20〜582から成る群から選択される成熟ポリペプチドのアミノ酸と少なくとも75%の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド;
(b) (i) 配列番号13中のヌクレオチド1〜1326、配列番号17中のヌクレオチド1〜1413、配列番号19中のヌクレオチド1〜1350、配列番号21中のヌクレオチド1〜1338、配列番号25中のヌクレオチド1〜1494、配列番号27中のヌクレオチド52〜1539、配列番号29中のヌクレオチド1〜1521、配列番号31中のヌクレオチド1〜1443、配列番号33中のヌクレオチド1〜1485、配列番号37中のヌクレオチド1〜1431、配列番号41中のヌクレオチド1〜1347、配列番号114中のヌクレオチド1〜1326、配列番号116中のヌクレオチド1〜1323、配列番号124中のヌクレオチド1〜1431、配列番号130中のヌクレオチド1〜1338、配列番号156中のヌクレオチド121〜1443、配列番号158中のヌクレオチド64〜1878、配列番号160中のヌクレオチド70〜1890、配列番号162中のヌクレオチド79〜1806、配列番号164中のヌクレオチド61〜1929、配列番号166中のヌクレオチド85〜1701、配列番号168中のヌクレオチド64〜1842、配列番号170中のヌクレオチド61〜1389、配列番号172中のヌクレオチド61〜1764、配列番号174中のヌクレオチド61〜2322、配列番号176中のヌクレオチド64〜1761または配列番号178中のヌクレオチド58〜1749と少なくとも低いストリンジェンシイの条件下にハイブリダイゼーションするヌクレオチド配列、または (ii) 配列番号13中のヌクレオチド1〜1326、配列番号17中のヌクレオチド1〜1413、配列番号19中のヌクレオチド1〜1350、配列番号21中のヌクレオチド1〜1338、配列番号25中のヌクレオチド1〜1494、配列番号27中のヌクレオチド52〜1539、配列番号29中のヌクレオチド1〜1521、配列番号31中のヌクレオチド1〜1443、配列番号33中のヌクレオチド1〜1485、配列番号37中のヌクレオチド1〜1431、配列番号41中のヌクレオチド1〜1347、配列番号114中のヌクレオチド1〜1326、配列番号116中のヌクレオチド1〜1323、配列番号124中のヌクレオチド1〜1431、配列番号130中のヌクレオチド1〜1338、配列番号156中のヌクレオチド121〜1443、配列番号158中のヌクレオチド64〜1878、配列番号160中のヌクレオチド70〜1890、配列番号162中のヌクレオチド79〜1806、配列番号164中のヌクレオチド61〜1929、配列番号166中のヌクレオチド85〜1701、配列番号168中のヌクレオチド64〜1842、配列番号170中のヌクレオチド61〜1389、配列番号172中のヌクレオチド61〜1764、配列番号174中のヌクレオチド61〜2322、配列番号176中のヌクレオチド64〜1761または配列番号178中のヌクレオチド58〜1749として示すポリヌクレオチド中に含有されるcDNA配列と少なくとも中程度のストリンジェンシイ条件下にハイブリダイゼーションするヌクレオチド配列、または (iii) (i) または (ii) 相補的配列によりコードされるポリペプチド; および
(c) 配列番号14中のアミノ酸1〜441、配列番号18中のアミノ酸1〜471、配列番号20中のアミノ酸1〜450、配列番号22中のアミノ酸1〜445、配列番号26中のアミノ酸1〜498、配列番号28中のアミノ酸18〜513、配列番号30中のアミノ酸1〜507、配列番号32中のアミノ酸1〜481、配列番号34中のアミノ酸1〜495、配列番号38中のアミノ酸1〜477、配列番号42中のアミノ酸1〜449、配列番号115中のアミノ酸1〜442、配列番号117中のアミノ酸1〜441、配列番号125中のアミノ酸1〜477、配列番号131中のアミノ酸1〜446、配列番号157中のアミノ酸41〜481、配列番号159中のアミノ酸22〜626、配列番号161中のアミノ酸24〜630、配列番号163中のアミノ酸27〜602、配列番号165中のアミノ酸21〜643、配列番号167中のアミノ酸29〜566、配列番号169中のアミノ酸22〜613、配列番号171中のアミノ酸21〜463、配列番号173中のアミノ酸21〜587、配列番号175中のアミノ酸30〜773、配列番号177中のアミノ酸22〜586および配列番号179中のアミノ酸20〜582から成る群から選択される酸性アミノ酸配列中の1または2以上のアミノ酸の保存的置換、欠失および/または挿入を含んでなる変異型。
【請求項10】
下記のポリペプチドおよびフラグメントから成る群から選択される、炭水化物結合性アフィニティーを有するポリペプチド:
(a) 配列番号159のアミノ酸配列529〜626、配列番号161のアミノ酸配列533〜630、配列番号163のアミノ酸配列508〜602、配列番号165のアミノ酸配列540〜643、配列番号167のアミノ酸配列502〜566、配列番号169のアミノ酸配列513〜613、配列番号173のアミノ酸配列492〜587、配列番号175のアミノ酸配列30〜287、配列番号177のアミノ酸配列487〜586および配列番号179のアミノ酸配列482〜582から成る群から選択される配列に対して少なくとも60%の相同性を有するアミノ酸配列を含んでなるポリペプチド;
(b) 配列番号158中のヌクレオチド1585〜1878、配列番号160中のヌクレオチド1597〜1890、配列番号162中のヌクレオチド1522〜1806、配列番号164中のヌクレオチド1618〜1929、配列番号166中のヌクレオチド1504〜1701、配列番号168中のヌクレオチド1537〜1842、配列番号172中のヌクレオチド1474〜1764、配列番号174中のヌクレオチド61〜861、配列番号176中のヌクレオチド1459〜1761および配列番号178中のヌクレオチド1444〜1749から成る群から選択される相補鎖から成る群から選択されるポリヌクレオチドプローブと低いストリンジェンシイの条件下にハイブリダイゼーションするヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチド; および
(c) 炭水化物結合性アフィニティーを有する (a) または (b) のフラグメント。
【請求項11】
炭水化物結合性アフィニティーがデンプン結合性アフィニティーである、請求項10に記載のポリペプチド。
【請求項12】
液化のための請求項1〜11のいずれかに記載のポリペプチドの使用。
【請求項13】
糖化のための請求項1〜11のいずれかに記載のポリペプチドの使用。
【請求項14】
発酵を含んでなる方法のための請求項1〜11のいずれかに記載のポリペプチドの使用。
【請求項15】
デンプン転化方法のための請求項1〜11のいずれかに記載のポリペプチドの使用。
【請求項16】
オリゴ糖を製造する方法のための請求項1〜11のいずれかに記載のポリペプチドの使用。
【請求項17】
マルトデキストリンまたはグルコースシロップを製造する方法のための請求項1〜11のいずれかに記載のポリペプチドの使用。
【請求項18】
燃料用および飲用エタノールを製造する方法のための請求項1〜11のいずれかに記載のポリペプチドの使用。
【請求項19】
飲料を製造する方法のための請求項1〜11のいずれかに記載のポリペプチドの使用。
【請求項20】
有機化合物、例えば、クエン酸、アスコルビン酸、リシンまたはグルタミン酸を製造する発酵方法のための請求項1〜11のいずれかに記載のポリペプチドの使用。
【請求項21】
請求項1〜11のいずれかに記載のポリペプチドを含んでなる組成物。
【請求項22】
デンプンを請求項1〜11のいずれかに記載のポリペプチドで処理する、デンプンを糖化する方法。
【請求項23】
デキシトロースおよび/またはマルトースを含有するシロップにデンプンを転化することを含んでなる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
デンプンが糊化または粒状デンプンである、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
糖化したデンプンを発酵生物と接触させて発酵生成物を製造する、請求項22〜24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
発酵生物が酵母であり、そして発酵生成物がエタノールである、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
下記の工程を含んでなる方法:
(a) α-アミラーゼ活性を有する触媒モジュールと炭水化物結合性モジュールとを含んでなるポリペプチドをデンプンと接触させ、
(b) 前記デンプンを前記ポリペプチドとインキュベートし、
(c) 発酵させて発酵生成物を生成し、そして
(d) 必要に応じて発酵生成物を回収し、
ここでグルコアミラーゼ活性を有する酵素は存在しないか、あるいは0.5 AGU/g DS以下またはより少ない、より好ましくは0.4 AGU/g DS以下またはより少ない、さらにより好ましくは0.3 AGU/g DS以下またはより少ない、最も好ましくは0.1 AGU以下またはより少ない、例えば、0.05 AGU/g DS以下またはより少ないデンプン基質の量で存在し、そして工程a、b、cおよび/またはdを同時にまたは別々に実施する。
【請求項28】
前記ポリペプチドが請求項1〜11のいずれかに記載のポリペプチドである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
下記の工程を含んでなる方法:
(a) α-アミラーゼ活性を有する触媒モジュールと炭水化物結合性モジュールとを含んでなるポリペプチドを発現するように形質転換された酵母とデンプン基質を接触させ、
(b) 前記デンプン基質を前記酵母と保持し、
(c) 発酵させてエタノールを生成させ、そして
(d) 必要に応じてエタノールを回収し、
ここで工程a、bおよびcを同時にまたは別々に実施する。
【請求項30】
酵母細胞が請求項43に記載の細胞である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
下記の工程を含んでなる、発酵によりデンプン含有物質からエタノールを製造する方法:
(i) α-アミラーゼ活性を有する触媒モジュールと炭水化物結合性モジュールとを含んでなるポリペプチドでデンプン含有物質を液化し、
(ii) 得られた液化マッシュを糖化し、そして
(iii) 工程 (ii) において得られた物質を発酵生物の存在下に発酵させる。
【請求項32】
前記ポリペプチドが請求項1〜11のいずれかに記載のポリペプチドである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
エタノールを回収することをさらに含んでなる、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
糖化および発酵を同時の糖化および発酵方法 (SSF方法) として実施する、請求項31〜33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
工程iii間のエタノール含有率が少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、例えば、少なくとも16%のエタノールに到達する、請求項31〜34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
酸性α-アミラーゼが0.01〜10 AFAU/g DS、好ましくは0.1〜5 AFAU/g DS、特に0.3〜2 AFAU/g DSの量で存在する、請求項31〜35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
酸性α-アミラーゼおよびグルコアミラーゼが0.1〜10 AGU/AFAU、好ましくは0.30〜5 AFAU/AGU、特に0.5〜3 AFAU/AGUの比で存在する、請求項31〜36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
請求項1〜11のいずれかに記載のポリペプチドをコードするDNA配列。
【請求項39】
請求項38に記載のDNA配列を含んでなるDNA構築物。
【請求項40】
請求項39に記載のDNA構築物を担持する組換え発現ベクター。
【請求項41】
請求項39に記載のDNA構築物または請求項40に記載のベクターで形質転換された宿主細胞。
【請求項42】
微生物、特に細菌または真菌の細胞である、請求項41に記載の宿主細胞。
【請求項43】
酵母である、請求項41または42に記載の宿主細胞。
【請求項44】
アスペルギルス (Aspergillus) からの菌株、特にアスペルギルス・ニガー (A. niger) 、タラロマイセス (Talaromyces) からの菌株、特にタラロマイセス・エメルソニイ (Talaromyces emersonii) であるか、あるいはトリコデルマ (Trichoderma) からの菌株である、請求項41または42に記載の宿主細胞。
【請求項45】
植物細胞である、請求項41に記載の宿主細胞。
【請求項46】
請求項1〜11のいずれかに記載のポリペプチドを含んでなる組成物。
【請求項47】
前記組成物がグルコアミラーゼをさらに含んでなる、請求項46に記載の組成物。
【請求項48】
グルコアミラーゼがタラロマイセス (Talaromyces) 種、アスペルギルス (Aspergillus) 種、トラメテス (Trametes) 種またはパチキトスポラ (Pachykytospora) 種内の菌株に由来する、請求項46または47に記載の組成物。
【請求項49】
グルコアミラーゼがアスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) 、タラロマイセス・レイセタヌス (Talaromyces leycettanus) 、タラロマイセス・ズポンチ (Talaromyces duponti) 、タラロマイセス・エメルソニイ (Talaromyces emersonii) 、トラメテス・シングラタ (Trametes cingulata) およびパチキトスポラ・パピラセア (Pachykytospora papyracea) から成る群から選択される種に由来する、請求項46〜48のいずれかに記載の組成物。
【請求項50】
糊化デンプン、部分的に糊化されたデンプンまたは粒状デンプンを液化および/または糖化するための請求項46〜49のいずれかに記載の組成物の使用。

【公表番号】特表2008−525036(P2008−525036A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548502(P2007−548502)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/046725
【国際公開番号】WO2006/069290
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(500586299)ノボザイムス アクティーゼルスカブ (164)
【出願人】(500132074)ノボザイムス ノース アメリカ,インコーポレイティド (16)
【Fターム(参考)】