説明

データセット生成装置及びデータセット生成方法

【課題】同一の元データから印刷された複数のセット印刷物のうちの1つのセット印刷物を構成する1つの印刷物と、他のセット印刷物を構成する1つの印刷物とを組み合わせたセット印刷物が別セット印刷物であることを検証できるデータセット生成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】N個のデータによって1セットが構成されているデータセットが、N個の正式なデータによって構成されているデータセットであることを検証するセット検証情報を、第n元データ(n=1〜N)に付加するデータセット生成装置であって、1つのデータセットを構成するデータ数Nを決定し、上記セット検証情報を、認証してもらいたい内容としたデジタル署名を生成し、上記セット検証情報を、上記Nで分割し、上記分割された第nセット検証情報(n=1〜N)と、上記デジタル署名とを、上記データセットの第n元データに付加するデータセット生成装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N個のデータによって1セットが構成されているデータセットが、N個の正式なデータによって構成されているデータセットであることを検証するための情報であるセット検証情報を、第n元データ(n=1〜N)に付加する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル入出力機器の性能向上によって、絵画や襖、屏風などを原本として、同等の見栄えをもつ複製品を作成することが容易である。たとえば、入力機器には、ラインスキャナや、デジタル一眼レフ、出力機器には、原本サイズを出力可能な大判インクジェットプリンタが利用される。
【0003】
出力された複製品には、原本所有者の版権が及ぶので、同じデジタルデータから出力されたものであっても、出力物毎に、個別に管理できることが望ましい。また、襖や屏風などは、複数枚の出力物で一連のセットとなるものが多い。したがって、複数枚の出力物が真の1セットであることを検証できることは、版権保護の観点から有益である。
【0004】
従来、複数のデジタルデータが1セットであることを検証する方法として、初期値が規定された所定の漸化式に基づく数列と、セットを構成するデータとを、前から順に合成した後に署名変換する方法がある。この方法では、予め公開された数例を用いて各データを検証することによって、1セットのデータとして署名が有効に行われているか否かを検証する。また、1セット内の文書データから抽出した情報を、そのセット中の別の文書に、電子透かしとして埋め込む方法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。この従来方法によれば、セット内の文書情報から抽出したデータを、セット内の別の文書に電子透かしで埋め込み、1セットのリング構造を構築し、セット検証する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−311548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来方法では、セット検証情報として利用するデータは、元データの内容や属性に依存するので、元データの内容や属性が確定しなければ、セット検証情報を作成することができない。
【0007】
したがって、上記従来例では、版権者が、セット検証情報のみを事前に生成し、版権者とは異なる第三者に、セット検証情報を付加するデータの生成を委託することはできないという問題がある。
【0008】
上記従来例では、同一の元データから印刷された複数のセット印刷物のうちの1つのセット印刷物を構成する1つの印刷物と、他のセット印刷物を構成する1つの印刷物とを組み合わせたセット印刷物が、別セット印刷物であると検証できないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、N個のデータによって1セットが構成されているデータセットが、N個の正式なデータによって構成されているデータセットであることを検証するための情報であるセット検証情報を、第n元データ(n=1〜N)に付加するデータセット生成装置であって、1つのデータセットを構成するデータ数Nを決定するデータ数決定手段と、上記セット検証情報を、認証してもらいたい内容としたデジタル署名を生成するデジタル署名生成手段と、上記セット検証情報を、上記Nで分割する分割手段と、上記分割手段で分割された第nセット検証情報(n=1〜N)と、上記デジタル署名とを、上記データセットの第n元データに付加する付加手段とを有するデータセット生成装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、同一の元データから印刷された複数のセット印刷物のうちの1つのセット印刷物を構成する1つの印刷物と、他のセット印刷物を構成する1つの印刷物とを組み合わせたセット印刷物が別セット印刷物であることを検証できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1である印刷システム100の構成を示す図である。
【図2】実施例1におけるデータセット生成動作を示すフローチャートである。
【図3】実施例におけるS3の動作を示すフローチャートである。
【図4】データセット生成工程で扱われるデータの構成を示す図である。
【図5】元データの内容や属性に依存しないセット検証情報の説明図である。
【図6】デジタル署名を行う場合におけるその他の情報の例を示す図である。
【図7】デジタル署名を行う場合におけるその他の情報の例を示す図である。
【図8】印刷物の元データに、透かし情報を記憶するシステム構成図である。
【図9】セット検証情報等をバーコード情報として最終印刷物に付加する図である。
【図10】セット検証情報等を最終印刷物のICタグに付加する図である。
【図11】生成データセットにおける総当り方式で検証するフローチャートである。
【図12】データセットを検証する動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明を実施するための形態は、次の実施例である。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の実施例1である印刷システム100の構成を示す図である。
【0014】
印刷システム100は、コンピュータ201と、ローカル接続プリンタ209と、ネットワーク接続プリンタ210と、画像入力機器211とを有する。
【0015】
CPU202は、印刷システム100を制御するプログラムを実行する中央処理装置である。HD203は、プログラムやデータが恒久的に保存され、一時的にスプールされるハードディスクである。上記プログラムは、コンピュータ201の図示しないオペレーティングシステム、後述の図10、図11、図12に示す印刷ソフトウェアであるアプリケーションプログラムやプリンタドライバである。上記データは、後述の図4に示す各データである。
【0016】
Local I/F204は、ローカル接続プリンタ209をコンピュータ201に直接接続するためのI/Fである。また、Local I/F204には、デジタルカメラやスキャナ等の画像入力機器211も接続される。
【0017】
ROM205は、コンピュータ201が起動し、オペレーティングシステムを起動するための基本プログラムを記憶している。RAM206は、オペレーティングシステムやアプリケーションプログラムとプリンタドライバとが動作する場合における作業用記憶領域である。
【0018】
Network I/F207は、ネットワーク接続プリンタ210をネットワークで接続するためのI/Fである。システムバス208は、コンピュータ201内の各デバイスを接続するバスである。
【0019】
CPU202は、1つのデータセットを構成するデータ数Nを決定するデータ数決定手段の例であり、上記セット検証情報を、認証してもらいたい内容としたデジタル署名を生成するデジタル署名生成手段の例である。また、CPU202は、上記セット検証情報を、上記Nで分割する分割手段の例であり、上記分割手段で分割された第nセット検証情報(n=1〜N)と、上記デジタル署名とを、上記データセットの第n元データに付加する付加手段の例である。
【0020】
さらに、CPU202は、上記分割された全てのセット検証情報m(m=1〜N)を収集するセット検証情報収集手段の例であり、上記デジタル署名を収集するデジタル署名収集手段の例である。また、CPU202は、上記セット検証情報収集手段で収集されたセット検証情報m(m=1〜N)の組み合わせを行い、上記デジタル署名収集手段で収集したデジタル署名で検証する検証手段の例である。
【0021】
次に、実施例1におけるデータセット生成動作について説明する。
【0022】
図2は、実施例1におけるデータセット生成動作を示すフローチャートである。
【0023】
S1で、生成フローが開始され、S2で、データセットに含まれているデータ数Nが決定される。S2でデータ数Nを決定する場合、データ数Nを手動で入力するか、または指定されたデータ数Nをプログラムで数えることによって決定する。データ数Nの手動入力手段またはデータ数Nの計算プログラムは、後述する図10、図11、図12に示す印刷ソフトの機能として実現される。次に、S3で、元データの内容や属性に依存しないセット検証情報をメッセージとするデジタル署名(デジタル認証、電子認証)を生成する。上記メッセージは、認証してもらいたい内容(たとえば作成した人の氏名等)である。
【0024】
S4では、S2で決定したデータ数Nを用い、セット検証情報をN分割し、N個のセット検証情報とする。上記「セット検証情報」は、N個のデータによって1セットが構成されているデータセット(たとえば、屏風の画像)が、N個の正式なデータによって構成されているデータセットであることを検証するための情報である。上記「データセット」は、たとえば、複数の絵からなる屏風の画像である。また、たとえば、4枚組の画像の場合、データ数N=4である。
【0025】
上記セット検証情報を生成する場合、たとえば、第1データセットの各画像に、数値001、001、001、001を付与し、これらの数値を加算し、この加算結果004をセット検証情報とする。第2データセットの各画像に、数値002、002、002、002を付与し、これらの数値を加算し、この加算結果008をセット検証情報とする。第3データセットの各画像に、数値003、003、003、003を付与し、これらの数値を加算し、この加算結果012をセット検証情報とする。これらを繰り返す。
【0026】
S4で生成した分割された第nセット検証情報(n=1〜N)と、S3で生成したデジタル署名とを、S5で、第n元データ(n=1〜N)に付加し、S6で、データ生成を終了する。
【0027】
次に、実施例におけるS3の動作(セット検証情報をメッセージとするデジタル署名を生成する動作)について説明する。
【0028】
図3は、実施例におけるS3の動作を示すフローチャートである。
【0029】
S11で、セット検証情報とデジタル署名との生成を開始すると、S12で、グローバルにユニークな識別子をN個生成する。S12で、この生成したN個のグローバルにユニークな識別子を連結し、セット検証情報とする。次に、S13で、デジタル署名を行うその他の情報があれば、設定する。上記「デジタル署名を行うその他の情報」は、たとえば、データセットを識別するセット識別情報であり、データ順を識別する番号である。
【0030】
次に、S14では、S12で生成したセット検証情報と、S13で設定したその他の情報とをメッセージとし、デジタル署名データを生成する。S14でその他の情報に各データ毎に異なるデータ順が含まれていると判断されれば、適合するデジタル署名1〜NのN個のデジタル署名をデータ順に生成する。S14の後に、S15で、セット検証情報とデジタル署名との生成を終了する。
【0031】
図4は、図2、図3で説明したデータセット生成工程で扱われるデータの構成を示す図である。
【0032】
元データセット401は、第1元データ402と、第2元データ403と、第N元データ404とによって構成されている。セット検証情報405は、S12で生成したセット検証情報であり、デジタル署名409は、S14で生成したデジタル署名である。分割された第1セット検証情報406、分割された第2セット検証情報407、分割された第Nセット検証情報408は、それぞれ、セット検証情報405に基づいて、S4で生成し、分割された第nセット検証情報(n=1〜N)である。
【0033】
生成データセット400は、S5で生成されたデータセット全体である。生成データセット400は、第1生成データ411、第2生成データ412、……、第N生成データ41Nとによって構成されている。
【0034】
第1生成データ411、第2生成データ412、……、第N生成データ41Nは、それぞれ、分割された第1セット検証情報406、分割された第2セット検証情報407、……、分割された第Nセット検証情報408である。そして、これらには、それぞれ、デジタル署名409が付加されている元データである。
【0035】
ここで、第n生成データと分割された第nセット検証情報との関連付けが必要である場合、第n生成データと第nセット検証情報とをメッセージとしたデジタル署名を、第n生成データに付加する。なお、上記nは、n=1〜Nである。これによって、第n生成データと第nセット検証情報とが、分離不可分になる。
【0036】
図5は、S3で使用した元データの内容や属性に依存しないセット検証情報の説明図である。
【0037】
セット検証情報501は、データ502、503、……、504によって構成されている。No.1(502)、No.2(503)、No.N(504)は、データを区別するために仮に付けた符号である。No.1(502)、No.2(503)、No.N(504)が示すデータは、それぞれ、グローバルにユニークな識別子である。No.1(502)、No.2(503)、No.N(504)は、それぞれグローバルにユニークであるので、セット検証情報501も、グローバルにユニークである。セット検証情報505は、S4で生成され、N分割されたセット検証情報である。データ506、507、……、508は、それぞれデータ502、503、……、504に対応するデータであり、グローバルにユニークな識別子である。セット検証情報501は、データの内容や属性には依存しない情報である。このために、同じ元データによって構成されているデータセットに対して、別のセット検証情報501を与えることが可能である。したがって、同じ元データからなるデータセットを、別データセットして識別可能である。
【0038】
図6、図7は、S13でデジタル署名を行う場合におけるその他の情報の例を示す図である。
【0039】
生成データセット600は、S6で生成したデータセットである。生成データセット600は、第1生成データ601〜第N生成データ60Nによって構成されている。第1生成データ601〜第N生成データ60Nは、セット識別情報605と、分割されたセット検証情報606と、デジタル署名607とが元データに付加されているデータである。分割されたセット検証情報606は、分割された第1セット検証情報〜分割された第Nセット検証情報である。
【0040】
セット識別情報605は、S13で設定されたデータセット自体を識別する識別子であり、データセットを識別できる情報であれば足りるので、たとえば、グローバルにユニークな識別子であればよい。分割されたセット検証情報606は、S4で生成された情報であり、デジタル署名607は、S3で生成された署名である。図5で示すように、セット検証情報がグローバルにユニークであれば、セット識別されたセットを検証することができる。したがって、セット識別情報605は、セット検証に必須ではない。
【0041】
生成データセット700は、S6で生成するデータセットであり、第1生成データ701〜第N生成データ70Nによって構成されている。第1生成データ701〜第N生成データ70Nは、セット識別情報705と、データ順706と、分割されたセット検証情報707と、デジタル署名708とが、元データに付加されているデータである。上記データ順706は、第1データ順〜第Nデータ順を有する。分割されたセット検証情報707は、分割された第1セット検証情報〜分割された第Nセット検証情報を有する。デジタル署名708は、第1デジタル署名〜第Nデジタル署名を有する。
【0042】
セット識別情報705は、S13で設定されたデータセット自体を識別する識別子であり、セット識別情報605と同様であり、データセットを識別できる情報であればよい。データ順706(第1データ順〜第Nデータ順)は、S13で設定されたデータ順序を示す番号情報である。分割されたセット検証情報707は、S4で生成された情報である。デジタル署名708は、S14で生成された署名である。
【0043】
生成データセット700は、データ順706(第1データ順〜第Nデータ順)と、デジタル署名708(第1デジタル署名〜第Nデジタル署名)とが、生成データセット600とは異なる。データ順706(第1データ順〜第Nデータ順)は、元データセットのデータ順を示す値であるので、生成データセットを構成する生成データ毎に異なる。したがって、データ順706(第1データ順〜第Nデータ順)をメッセージとして含むS14で生成するデジタル署名708(第1デジタル署名〜第Nデジタル署名)は、生成データ毎に異なる。
【0044】
図8は、実施例1において、印刷物の元データに、透かし情報を記憶する場合におけるシステム構成図である。
【0045】
PC801が、ネットワーク803を介して、プリンタ802に接続されている。印刷ソフトウェア804は、実施例1であるデータセット生成方法を実行するデータセット生成手段805を含む。透かし情報埋め込み手段806は、S3で生成されたデジタル署名と、S4で生成された分割された第nセット検証情報(n=1〜N)とを、透かし情報として、印刷物の元データに記憶する手段である。
【0046】
プリンタドライバ807は、印刷ソフトウェア804で生成する印刷データを、プリンタ802の特有形式である印刷ジョブを生成する。プリンタ802は、プリンタドライバ807から受信した印刷ジョブを印刷し、最終印刷物を得る。
【0047】
図9は、実施例1において、セット検証情報とデジタル署名とをバーコード情報として、最終印刷物に付加する構成を示す図である。
【0048】
PC901が、ネットワーク903を介して、プリンタ902に接続されている。印刷ソフトウェア904は、実施例1であるデータセット生成方法を実行するデータセット生成手段905を含む。
【0049】
バーコード情報生成手段906は、S3で生成されたデジタル署名と、S4で生成された分割された第nセット検証情報(n=1〜N)とを、元データに付加する。バーコード情報生成手段906は、図8に示す構成において、透かし情報埋め込み手段806の代わりに使用される手段である。プリンタドライバ907は、バーコード情報生成手段906が生成したバーコード情報を埋め込んだ印刷ジョブを生成する。図9に示すその他の構成は、図8における構成と同一である。
【0050】
図10は、セット検証情報とデジタル署名とを、最終印刷物に内蔵するICタグの情報として付加する構成を示す図である。
【0051】
PC1001が、ネットワーク1003を介して、プリンタ1002に接続されている。印刷ソフトウェア1004は、実施例1であるデータセット生成方法を実行するデータセット生成手段1005を含む。
【0052】
ICタグデータ生成手段1006は、S3で生成されたデジタル署名と、S4で生成された分割された第nセット検証情報(n=1〜N)とを、ICタグのデータとして生成する。ICタグデータ生成手段1006は、図8に示す構成において、透かし情報埋め込み手段806の代わりに使用されるものである。プリンタドライバ1007は、ICタグデータ生成手段1006が生成したICタグ情報を埋め込んだ印刷ジョブを生成する。
【0053】
プリンタ1002は、ICタグ書き込み手段1002aを有する。ICタグ書き込み手段1002aは、ICタグデータ生成手段1006が生成したICタグデータを、印刷物に内蔵されているICタグに書き込む。
【0054】
図11は、図2に示すデータセット生成フローチャートに対応し、生成データセット400に示すデータセットにおける総当り方式で検証するフローチャートである。
【0055】
S21で、データセット検証フローを開始すると、S22で、第1データ〜第Mデータのセット検証情報を収集する。上記「第1データ〜第Mデータのセット検証情報」は、生成データセット400で示す第1生成データ411〜第N生成データ41Nの第nセット検証情報(n=1〜N)である。ただし、第1のデータ順〜第Mのデータ順は、この時点では、第1のデータ順〜第Nのデータ順であることを識別できない。S23で、第1データ〜第Mデータのいずれかのデジタル署名を収集する。デジタル署名409に示すように、第1データ〜第Mデータに、同じデジタル署名が付加されている。したがって、第1データ〜第Mデータのいずれかのデジタル署名を収集すればよい。
【0056】
生成データセットの最終形態によって、S22の第1のセット検証情報1〜第Mの検証情報の収集方法と、S23のデジタル署名の収集方法とが異なる。つまり、生成データセットの最終形態が、印刷物の透かし情報であれば、印刷物の画像を、スキャナやデジタルカメラで読み取り、透かし情報を抽出することによって、データを収集する。また、生成データセットの最終形態が、印刷物に印刷されたバーコード情報であれば、バーコード情報をスキャナやデジタルカメラで読み取り、バーコード情報を復号することによって、データを収集する。生成データセットの最終形態が、印刷物であり、この印刷物に内蔵されているICタグに、セット検証情報とデジタル署名データとが記憶されていれば、ICタグリーダーが読み取り、データを収集する。
【0057】
S24で、収集した第1セット検証情報〜第Mセット検証情報の順列を算出する。順列個数=M!になる。S25で、第1セット検証情報〜第M検証情報を組み合わせ、S26で、組み合わせたセット検証情報で署名を検証する。S27で、検証に成功すれば、S28で、1セット検証が成功したと判断し、検証を終了する。S27で検証に失敗したと判断すると、S29で、次の組み合わせ順を行うかどうかを判断する。S27の検証が最後の組み合わせであれば、1セット検証が失敗し(S30)、終了する。S27の検証が最後の順でなければ、S25で、次ぎの組み合わせを試行する。
【0058】
上記のように、実施例1では、セットを構成する全てのデータに含まれているセット検証情報が存在しなければ、セット検証は成功しない。つまり、セットを構成する全てのデータが存在しなければ、セット検証は成功しない(N個の正式なデータによって構成されているデータセットであることを検証しないと判断する)。
【0059】
図12は、図2に示すデータセット生成フローチャートに対応し、図7に示すデータセットを検証する動作を示すフローチャートである。
【0060】
S41で、データセット検証フローを開始すると、全てのデータのデータ順を収集し、S42で、データ順があるかどうかを判断する。S42でデータ順が存在しないと判断されると、S43で、図11に示すフローチャートで、データセットを検証する。
【0061】
次に、S44で、収集したデータ順をプレチェックする。S44のプレチェックで、1〜Nの順であるかどうかを、デジタル署名検証を行わずにチェックする。S44のプレチェックで適正ではないと判断されると、S50で、この時点で1セット検証を失敗したと判断する。S44でプレチェックOKと判断されると、S45で、第1データ順〜第Nデータ順の第1セット検証情報〜第Nセット検証情報を収集する。S45で、セット識別情報705を収集する。
【0062】
次に、S46で、第1データ順〜第Nデータ順の第1デジタル署名〜第Nデジタル署名を収集する。S47で、第1セット検証情報〜第Nセット検証情報を、この順で組み合わせる。そして、セット識別情報705と、データ順706(第1データ順〜第Nデータ順)と、組み合わせたセット検証情報とに基づいて、デジタル署名708(第1デジタル署名〜第Nデジタル署名)で検証する。S48で署名検証が全てOKであれば、S49で、1セット検証が成功したと判断する。S48で署名検証が1つでもNGであれば、S50で、1セット検証が失敗したと判断する。
【0063】
実施例1によれば、元データの内容や属性に依存しないセット検証が可能であるデータセットを生成することができる。また、同じ元データから生成された別の印刷物を、別の1セットとして検証可能なデータセットを生成することができる。
【0064】
実施例1の機能を実現するプログラムを記録した記録媒体を、システムまたは情報処理装置が読み出し、プログラムを実行するようにしてもよい。この場合、記録媒体に記録されたプログラムは、実施例1の機能を実現するものであるから、プログラムを記録した記録媒体も本発明を構成する。
【0065】
そして、上記実施例の各手段を工程に置き換えれば、上記実施例1は、データセット生成方法の例である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、物理的に唯一の1セットであることを判定可能なデータセットを生成できる。したがって、複製物を印刷する業種に有効である。
【符号の説明】
【0067】
100…印刷システム、
201…コンピュータ、
401…元データセット、
409…デジタル署名、
400…生成データセット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N個のデータによって1セットが構成されているデータセットが、N個の正式なデータによって構成されているデータセットであることを検証するための情報であるセット検証情報を、第n元データ(n=1〜N)に付加するデータセット生成装置であって、
1つのデータセットを構成するデータ数Nを決定するデータ数決定手段と;
上記セット検証情報を、認証してもらいたい内容としたデジタル署名を生成するデジタル署名生成手段と;
上記セット検証情報を、上記Nで分割する分割手段と;
上記分割手段で分割された第nセット検証情報(n=1〜N)と、上記デジタル署名とを、上記データセットの第n元データに付加する付加手段と;
を有することを特徴とするデータセット生成装置。
【請求項2】
請求項1であって、
上記セット検証情報と上記デジタル署名とは、印刷物に透かし情報として埋め込まれていることを特徴とするデータセット生成装置。
【請求項3】
請求項1であって、
上記セット検証情報と上記デジタル署名とは、印刷物にバーコード情報として印刷されることを特徴とするデータセット生成装置。
【請求項4】
請求項1であって、
上記セット検証情報と上記デジタル署名とは、印刷物に埋め込まれるICタグ情報として記憶されていることを特徴とするデータセット生成装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項であって、
上記セット検証情報は、上記分割した数であるNと等しいN個のグローバルにユニークな識別子によって構成されている情報であることを特徴とするデータセット生成装置。
【請求項6】
N個のデータによって1セットが構成されているデータセットが、N個の正式なデータによって構成されているデータセットであることを検証するための情報であるセット検証情報を、第n元データ(n=1〜N)に付加するデータセット生成装置であって、
1つのデータセットを構成するデータ数Nを決定するデータ数決定手段と;
上記セット検証情報を、認証してもらいたい内容としたデジタル署名を生成するデジタル署名生成手段と;
上記セット検証情報を、上記Nで分割する分割手段と;
上記分割手段で分割された第nセット検証情報(n=1〜N)と、上記デジタル署名とを、上記データセットの第n元データに付加する付加手段と;
上記分割された全てのセット検証情報m(m=1〜N)を収集するセット検証情報収集手段と;
上記デジタル署名を収集するデジタル署名収集手段と;
上記セット検証情報収集手段で収集されたセット検証情報m(m=1〜N)の組み合わせを行い、上記デジタル署名収集手段で収集したデジタル署名で検証する検証手段と;
を有することを特徴とするデータセット検証装置。
【請求項7】
N個のデータによって1セットが構成されているデータセットが、N個の正式なデータによって構成されているデータセットであることを検証するための情報であるセット検証情報を、第n元データ(n=1〜N)に付加するデータセット生成方法であって、
1つのデータセットを構成するデータ数Nを決定するデータ数決定工程と;
上記セット検証情報を、認証してもらいたい内容としたデジタル署名を生成するデジタル署名生成工程と;
上記セット検証情報を、上記Nで分割する分割工程と;
上記分割工程で分割された第nセット検証情報(n=1〜N)と、上記デジタル署名とを、上記データセットの第n元データに付加する付加工程と;
を有することを特徴とするデータセット生成方法。
【請求項8】
N個のデータによって1セットが構成されているデータセットが、N個の正式なデータによって構成されているデータセットであることを検証するための情報であるセット検証情報を、第n元データ(n=1〜N)に付加するデータセット生成方法であって、
1つのデータセットを構成するデータ数Nを決定するデータ数決定工程と;
上記セット検証情報を、認証してもらいたい内容としたデジタル署名を生成するデジタル署名生成工程と;
上記セット検証情報を、上記Nで分割する分割工程と;
上記分割工程で分割された第nセット検証情報(n=1〜N)と、上記デジタル署名とを、上記データセットの第n元データに付加する付加工程と;
上記分割された全てのセット検証情報m(m=1〜N)を収集するセット検証情報収集工程と;
上記デジタル署名を収集するデジタル署名収集工程と;
上記セット検証情報収集工程で収集されたセット検証情報m(m=1〜N)の組み合わせを行い、上記デジタル署名収集工程で収集したデジタル署名で検証する検証工程と;
を有することを特徴とするデータセット検証方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−286547(P2010−286547A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138350(P2009−138350)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】