説明

データ伝送装置及び伝送可能帯域推測方法

【課題】データ伝送に影響を与えずに伝送路におけるデータの最大伝送量を示す伝送可能帯域を推測し、伝送帯域を有効に利用できるデータ伝送装置及び伝送可能帯域推測方法を得る。
【解決手段】伝送路へ送出される情報量を制御する情報発生制御部と、情報発生制御部から出力される情報に誤り訂正符号を付与したデータを伝送するFEC制御部と、データ受信側の受信状態を判定する受信状態判定部と、誤り訂正符号の付与量の増加させた場合の受信状態判定部による判定結果の変化に基づいて、データの最大伝送量を示す伝送可能帯域を推測する伝送帯域制御部とを備えたことを特徴とする。伝送帯域制御部は、受信状態が悪化した場合、情報量を減らすように指示するとともに、訂正符号量を増やすよう指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、伝送路におけるデータの最大伝送量を示す伝送可能帯域を推測し、該伝送路の伝送帯域を有効活用してデータの伝送を行うデータ伝送装置及び伝送可能帯域推測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
伝送路に送出されるデータのパケット数が、伝送路におけるデータの最大伝送量を示す伝送可能帯域を超え輻輳状態が発生した場合、パケットは廃棄される。これを回避するには、データの伝送レートを減らして、伝送路に送出されるパケット数を減らす必要があるが、伝送路上に存在するルータやスイッチ等のネットワーク機器によりパケットがバッファで吸収されると見かけ上、輻輳状態が解消されたようにみえる。この状態で再びデータの伝送レートを増やすと、再度輻輳状態が発生してしまう。このため、従来のデータ伝送装置には、該データ伝送装置より伝送されたデータを受信するデータ受信装置から伝送されるパケットロス情報によって、データのパケットロスが所定の時間以上ゼロである場合にはデータの伝送レートを増やすように構成したものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、データ伝送におけるデータ受信エラーには、データ伝送の品質低下によるものと伝送路における輻輳状態の発生によるものがある。このため、従来のデータ伝送装置には、データ受信装置側で判定されたデータ伝送の品質に基づいて、伝送品質の低下には誤り訂正の強度を強くして対応し、伝送路での輻輳状態の発生にはデータの伝送レートを減らして対応し、逆に、伝送品質が向上したら誤り訂正の強度を弱くし、伝送路での輻輳状態の発生がなくなったらデータの伝送レートを増やすよう構成したものがあった(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2007−97099号公報
【特許文献2】特開2001−16584号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のデータ伝送装置は上記のように構成されていたため、パケットロス情報によって、データのパケットロスが所定の時間以上ゼロである場合にはデータの伝送レートを増やすようにした特許文献1に記載のもの、及びデータ伝送の品質に基づいて、伝送路での輻輳状態の発生がなくなったらデータの伝送レートを増やすようにした特許文献2に記載のものは、パケットロスが発生して初めて、伝送可能帯域を推測できるため、伝送帯域を有効に利用しようと思うとパケットロスが発生するまでデータの伝送レートを上げざるを得ないという課題があった。また、その結果、パケットロスがないからデータの伝送レートを増やす。パケットロスが発生したためデータの伝送レートを減らす。というように、周期的にデータの伝送レートの上げ下げを繰り返すことになるため、伝送路における輻輳状態の発生、すなわち、パケットロスの発生が周期的に生じるという課題があった。特に画像データの伝送時には、予測符号化を使用しているため、パケットロスが生じると長時間受信画像の劣化が発生してしまうという課題があった。
【0006】
この発明は上記のような問題を解決するためになされたもので、データ伝送に影響を与えずに伝送路におけるデータの最大伝送量を示す伝送可能帯域を推測し、伝送帯域を有効に利用できるデータ伝送装置及び伝送可能帯域推測方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るデータ伝送装置は、誤り訂正符号を伝送するデータに付与して、伝送路におけるデータの最大伝送量を示す伝送可能帯域を推測することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、誤り訂正符号を伝送するデータに付与して、伝送路におけるデータの最大伝送量を示す伝送可能帯域を推測するようにしたので、データ伝送に影響を与えずに伝送可能帯域を推測して、伝送帯域を有効に利用できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明における、実施の形態の一例について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1によるデータ伝送装置1を用いたデータ伝送システムの構成図である。このデータ伝送システムは、画像や音声等の情報を送出する情報発生装置4と、情報発生装置4から送出された情報に誤り訂正符号を付与したデータを伝送するデータ伝送装置1と、データ伝送装置1から伝送されたデータを受信し、該データの受信状態をデータ伝送装置1へ伝送するデータ受信装置3と、データ伝送装置1とデータ受信装置3とを接続するネットワーク(伝送路)2とを備える。
【0010】
図2は、図1で示したデータ伝送装置1の内部構成を示したブロック図である。データ伝送装置1は、情報発生制御部11、FEC(Forward Error Correction)制御部12、受信状態判定部13、伝送帯域制御部14を備える。なお、データ伝送装置1の情報発生制御部11、FEC制御部12、受信状態判定部13、伝送帯域制御部14の各構成は、それぞれの機能に対応するソフトウェアと、これを実行するためのCPUやメモリ等のハードウェアから構成されている。また、情報発生装置4は、データ伝送装置1の内部に組み込むよう構成しても良い。
【0011】
情報発生制御部11は、伝送帯域制御部14からの指示に基づき、情報発生装置4から送出され、ネットワーク2へ伝送される情報量を制御する。FEC制御部12は、伝送帯域制御部14からの指示に基づき、情報発生制御部11から出力される情報に誤り訂正符号を付与したデータを、ネットワーク2を介してデータ受信装置3へ伝送する。ここで、誤り訂正符号として、XOR(排他的論理和)やリードソロモンを使用した場合、付与した誤り訂正符号量の分だけ、データ受信装置3にて情報発生装置4から送出された情報の消失を補うことができる。つまり、誤り訂正符号を2パケット分付与したとすれば、最大2パケット分の情報を消失したとしても、情報の修復を行うことが可能である。なお、情報の伝送レートを情報レート、前記情報に付与する誤り訂正符号のレートをFECレートと呼ぶこととする。
【0012】
受信状態判定部13は、データ受信装置3からネットワーク2を介して伝送される受信状況情報に基づいて、受信装置3におけるデータの受信状態を判定する。なお、データ受信装置3から伝送される受信状況情報としては、RTCP(RTP Control Protcol:RFC3550)のfractin lostのようなパケットロス率を示す情報を使用すればデータ受信装置3におけるデータの受信状態を判定することが可能である。
【0013】
また、受信状況の判定は、他の情報やセンサ等を用いて行うようにしてもよい。伝送帯域制御部14は、受信状態判定部13での判定結果に基づき、情報発生制御部11に対して情報レートを、FEC制御部12に対してFECレートを指示するとともに、FECレートを増加させた場合の受信状態判定部13による判定結果の変化に基づいて、データの最大伝送量を示す伝送可能帯域を推測する。
【0014】
次に動作について説明する。
はじめにデータ伝送装置1によるネットワーク2の帯域制御について、図3を用いて具体的に説明する。なお、図3(a)は、情報レート及びFECレートを縦軸に、時間を横軸に現した図である。また、図3(b)は、データ受信装置3で受信するデータのパケットロス率を縦軸に、時間を横軸に表した図である。また、図3(a)と図3(b)の時間軸は一致しているものとする。
【0015】
定常状態において、情報レートが5Mbps(Mega Byte per second)、FECレートが0Mbpsであり、時間t1において、受信状態判定部13が、データ受信装置3から伝送される受信状況情報から受信状態を判定したところ、パケットロス率が0であったとする。この場合、伝送帯域制御部14は、伝送可能帯域を推測するため、FECレートを1Mbps増やすようFEC制御部12へ指示する。次に、伝送帯域制御部14からの指示に基づき、FEC制御部12は、FECレートを1Mbps増やす。
【0016】
次に、時間t2において、受信状態判定部13が、データ受信装置3の受信状態を判定したところ、パケットロス率が0のままであるため、伝送帯域制御部14は、伝送可能帯域は6Mbps以上であると判断し、先に増やしたFECレート1Mbps分を情報レートとして使用するため、情報レートを1Mbps増やすよう情報発生制御部11へ指示すると共に、FECレートを1Mbps減らすようFEC制御部12へ指示する。次に、伝送帯域制御部14からの指示に基づき、情報発生制御部11は、情報レートを1Mbps増やし、FEC制御部12は、FECレートを1Mbps減らして0にする。次に、伝送帯域制御部14は、さらに伝送可能帯域を推測するため、FECレートを1Mbps増やすようFEC制御部12へ指示し、FECレートが1Mbps増やされる。
【0017】
次に、時間t3において、受信状態判定部13が、データ受信装置3の受信状態を判定したところ、パケットロス率がLより大きいため、伝送帯域制御部14は、伝送可能帯域は6Mbpsより低いと判断し、先に増やしたFECレート1Mbps分のうち、半分の0.5Mbps分を減らすようFEC制御部12へ指示する。次に、伝送帯域制御部14からの指示に基づき、FEC制御部12は、FECレートを0.5Mbps減らす。ここでLは、輻輳していないときの伝送路のロス率で、伝送品質が良ければ0となる。
【0018】
次に、時間t4において、受信状態判定部13が、データ受信装置3の受信状態を判定したところ、パケットロス率が0であるため、伝送帯域制御部14は、伝送可能帯域は6.5Mbps以上7Mbps以下であると判断し、FECレート0.5Mbps分を情報レートとして使用するため、情報レートを0.5Mbps増やすよう情報発生制御部11へ指示すると共に、FECレートを0.5Mbps減らすようFEC制御部12へ指示する。次に、伝送帯域制御部14からの指示に基づき、情報発生制御部11は、情報レートを0.5Mbps増やし、FEC制御部12は、FECレートを0.5Mbps減らす。なお、更に帯域制御を行うことにより、より詳細に伝送可能帯域を推測することが可能であるが、図3の制御では、ここで伝送可能帯域の推測動作を終了するものとする。
【0019】
次に、図4を用いて、ネットワーク2における伝送帯域が安定していなかったり、伝送品質が良好でないために、常に微小なパケットロスを生じたりしている場合におけるデータ伝送装置1によるネットワーク2の帯域制御について説明する。なお、図4図(a)は、情報レート及びFECレートを縦軸に、時間を横軸に現した図である。また、図4(b)は、データ受信装置3での受信するデータのパケットロス率を縦軸に、時間を横軸に表した図である。また、図4(a)と図4(b)の時間軸は一致しているものとする。
【0020】
上記のような状態にある場合、微小なパケットロス率があるため、ロスしたパケットをデータ受信装置3で修復する必要があり、常にFECレートが1Mbps付与されている。このためデータ伝送装置1から伝送されるデータは、情報レートが4Mbps、FECレートが1Mbpsとなっている。次に、時間t1において、受信状態判定部13が、データ受信装置3から伝送される受信状況情報から受信状態を判定したところ、パケットロス率がL以下であるため、伝送帯域制御部14は、伝送可能帯域を推測するため、FECレートを1Mbps増やすようFEC制御部12へ指示し、FECレートが1Mbps増やされる。
【0021】
次に、時間t2において、受信状態判定部13が、データ受信装置3の受信状態を判定したところ、パケットロス率がL以下のままであるため、伝送帯域制御部14は、伝送可能帯域は6Mbps以上であると判断し、増やした分のFECレート1Mbpsを情報レートとして使用するため、情報レートを1Mbps増やすよう情報発生制御部11へ指示すると共に、FECレートを1Mbps減らすようFEC制御部12へ指示する。次に、伝送帯域制御部14からの指示に基づき、情報発生制御部11は、情報レートを1Mbps増やし、FEC制御部12は、FECレートを1Mbps減らす。次に、伝送帯域制御部14は、さらに伝送可能帯域を推測するため、FECレートを1Mbps増やすようFEC制御部12へ指示し、FECレートが1Mbps増やされる。
【0022】
次に、時間t3において、受信状態判定部13が、データ受信装置3の受信状態を判定したところ、パケットロス率がLより大きいため、伝送帯域制御部14は、伝送可能帯域は7Mbpsより低いと判断し、先に増やしたFECレートから0.5Mbps分を減らすようFEC制御部12へ指示する。次に、伝送帯域制御部14からの指示に基づき、FEC制御部12は、FECレートを0.5Mbps減らす。
【0023】
次に、時間t4において、受信状態判定部13が、データ受信装置3の受信状態を判定したところ、パケットロス率が0であるため、伝送帯域制御部14は、伝送可能帯域は6.5Mbps以上7Mbps以下であると判断する。次に、伝送帯域制御部14は、FECレー0.51Mbpsを情報レートとして使用するため、情報レートを0.5Mbpsだけ増やすよう情報発生制御部11へ指示すると共に、FECレートを0.5Mbps減らすようFEC制御部12へ指示する。次に、伝送帯域制御部14からの指示に基づき、情報発生制御部11は、情報レートを0.5Mbps増やし、FEC制御部12は、FECレートを0.5Mbps減らす。また、FECレートを1Mbps残すことにより、微小なパケットロスにも対応できる。
【0024】
なお、簡単のために、FECレートを1Mbps以上確保するようにしたが、実際には、情報レートとFECレートとの比率を一定に保ったほうが誤り耐性は強くなる。つまり、情報レートが5Mbpsであれば、FECレートを1Mbpsとし、情報レートが6Mbpsであれば、FECレートを1.2Mbpsとすることでより確実な誤り耐性を得ることができる。また、パケットロスに対応するために付与するFECレートを、伝送経路の伝送品質が悪い場合には高く、伝送経路の伝送品質が比較的良い場合には低くすることで、ネットワーク2の伝送可能帯域をより効率的に使用することができる。
【0025】
次に、図5を用いて、データの伝送開始直後や、安定した伝送状態において突発的にデータ受信装置3の受信状態が悪化した場合におけるデータ伝送装置1によるネットワーク2の帯域制御について説明する。なお、図5(a)は、情報レート及びFECレートを縦軸に、時間を横軸に現した図である。また、図5(b)は、データ受信装置3での受信するデータのパケットロス率を縦軸に、時間を横軸に表した図である。また、図5(a)と図5(b)の時間軸は一致しているものとする。
【0026】
上記のような状態にある場合、現状のデータの伝送レートが伝送可能帯域を超過した状態にある。このため、データの伝送レートを減らす必要がある。しかし、単に情報発生装置4からのデータの伝送レートをデータ伝送装置1の情報発生制御部11で減らすように制御した場合、該伝送レートが伝送可能帯域を越えているか否かしか判定することができない。さらに、前記制御後の伝送レートが、伝送可能帯域以上の伝送レートのままであった場合には、パケットをロスする状態が継続するため、データ受信装置3で正常にデータを受信することができない。
【0027】
そこで、この実施の形態1によるデータ伝送装置1は、情報発生制御部11の情報レートを減らすとともに、情報発生制御部11から出力された情報に一定量以上の誤り訂正符号を付与する。このように構成すれば、データ受信装置3でパケットロスが発生しなければ、伝送可能帯域は、情報発生制御部11の情報レートと、FEC制御部12のFECレートとをあわせたレート若しくはそれ以上となる。また、情報の修復が不可能なほどパケットロスが発生している場合には、伝送可能帯域は、情報発生制御部11の情報レート以下となり、情報が修復できるくらいのパケットロスが発生している場合には、伝送可能帯域はその中間となる。
【0028】
はじめに、時間t0において、情報レートが7Mbps、FECレート0Mbpsで、データ受信装置3におけるパケットロス率が0の定常状態にあった。しかし、他のデータ伝送装置がデータの伝送を始めた等の理由により、この実施の形態1によるデータ伝送装置1の伝送可能帯域が減少し、時間t1において、受信状態判定部13がデータ受信装置3の受信状態を判定したところ、パケットロス率が上昇してLを超えてしまった。この場合、伝送帯域制御部14は、情報レートを減らすことで受信状態が良化するかを調査するため、情報レートを5Mbpsとするよう情報発生制御部11へ指示する。また、伝送帯域制御部14は、データ受信装置3で情報の修復が可能なように、FECレートを1MbpsとするようFEC制御部12へ指示する。次に、伝送帯域制御部14からの指示に基づき、情報発生制御部11は情報レートを5Mbpsとし、FEC制御部12はFECレートを1Mbpsとする。
【0029】
次に、時間t2において、受信状態判定部13がデータ受信装置3の受信状態を判定したところ、微小なパケットロスが発生していた。この場合、受信状態判定部13は、伝送可能帯域は6Mbps以下であると判断し、FEC制御部12へFECレートを減らすように指示する。なお、受信状態判定部13は、パケットロス率がL以下であることから、FECレートを0.5MbpsとするようFEC制御部12へ指示する。次に、伝送帯域制御部14からの指示に基づき、FEC制御部12はFECレートを0.5Mbpsとする。
【0030】
次に、時間t3において、受信状態判定部13がデータ受信装置3の受信状態を判定したところ、パケットロス率が0であった。この場合、伝送帯域制御部14は、伝送可能帯域は6Mbps以下であると判断する。また、パケットロス率が0であるため、FECレートを0としてもよい。このため、伝送帯域制御部14は、情報レートを5.5Mbpsとするよう情報発生制御部11へ指示するとともに、FECレートを0MbpsとするようFEC制御部12へ指示する。次に、伝送帯域制御部14からの指示に基づき、情報発生制御部11は情報レートを5.5Mbpsとし、FEC制御部12はFECレートを0Mbpsとする。以上のように、データ受信装置3の受信状態の悪化を認識したときに、伝送レートを減らすとともに、FECレートを増やすようにしたので、伝送可能帯域を容易に推測することができる。
【0031】
図6は、図1に示したデータ伝送装置1の帯域制御の動作を示したフローチャートである。次に図3から図5で説明した帯域制御の動作について図6を用いて説明する。なお図6のLは、伝送路で輻輳状態が発生していない場合のパケットロス率であり、伝送品質がよければ0となる。また、xはレート制御用のカウンタであり、帯域制御を行う毎にインクリメントされる。r(x)、R(x)は、任意の値であり、xの値がインクリメントされる毎に、データ受信装置3の受信状態に基づき任意に変更される。
【0032】
伝送帯域制御が開始されると、受信状態判定部13は、データ受信装置3から伝送される受信状況情報から受信状態を判定する(ステップST1)。なお、初期の情報レート及びFECレートは任意のレートで良い。次に、受信状態判定部13は、パケットロス率がL以下であるかを推測する(ステップST2)。次に、伝送帯域制御部14は、受信状態判定部13での判定結果が、パケットロス率がL以下である場合、情報発生制御部11から出力される情報に付与するFECレートをr(x)だけ増やすようFEC制御部12へ指示する。次に、FEC制御部12は、伝送帯域制御部14からの指示に基づき、FECレートをr(x)増やす(ステップST3)。
【0033】
次に、受信状態判定部13は、ステップST3の処理から一定時間が経過すると、ステップST1での処理と同様にしてデータ受信装置3の受信状態を判定する(ステップST4)。次に、受信状態判定部13は、パケットロス率がL以下であるかを推測する(ステップST5)。次に、伝送帯域制御部14は、受信状態判定部13での判定結果が、パケットロス率がL以下である場合、情報レートをr(x)増やすように情報発生制御部11へ指示すると共に、FECレートをr(x)だけ減らすようにFEC制御部12へ指示する(ステップST6)。また、情報発生制御部11は、伝送帯域制御部14からの指示に基づき、情報レートをr(x)増やし、FEC制御部12は、FECレートをr(x)だけ減らす。
【0034】
また、ステップST5で、パケットロス率がLより大きい場合、伝送帯域制御部14は、該結果に基づき、FECレートをr(x)だけ減らすようにFEC制御部12へ指示する。次に、伝送帯域制御部14からの指示に基づき、FEC制御部12は、FECレートをr(x)だけ減らす(ステップST7)。
【0035】
また、ステップ2で、パケットロス率がLより大きい場合、伝送帯域制御部14は、受信状態判定部13からの結果を受信すると、該結果に基づき、情報レートをR(x)だけ減らすよう情報発生制御部11へ指示すると共に、FECレートをr(x)だけ増やすようにFEC制御部12へ指示する。次に、伝送帯域制御部14からの指示に基づき、情報発生制御部11は、情報レートをR(x)だけ減らし、FEC制御部12は、FECレートをr(x)だけ増やす(ステップST8)。
【0036】
次に、受信状態判定部13は、ステップST8の処理から一定時間が経過すると、ステップST1での処理と同様にしてデータ受信装置3の受信状態を判定する(ステップST9)。次に、受信状態判定部13は、パケットロス率がL以下であるかを推測する(ステップST10)。次に、伝送帯域制御部14は、受信状態判定部13での結果が、パケットロス率がL以下である場合、情報レートをr(x)増やすように情報発生制御部11へ指示すると共に、FECレートをr(x)だけ減らすようにFEC制御部12へ指示する。次に、伝送帯域制御部14からの指示に基づき、情報発生制御部11は、情報レートをr(x)増やし、FEC制御部12は、FECレートをr(x)だけ減らす(ステップST11)。
【0037】
また、ステップST10で、パケットロス率がLより大きい場合、伝送帯域制御部14は、該結果に基づき、FECレートをr(x)だけ減らすようにFEC制御部12へ指示する。次に、伝送帯域制御部14からの指示に基づき、FEC制御部12は、FECレートをr(x)だけ減らす(ステップST12)。また、伝送帯域制御部14は、xの値を更新し、R(x)およびr(x)の値を変更してステップST8の処理へ戻り、パケットロス率がL以下になるまでステップST8からステップST12までの処理を繰り返す。
【0038】
なお、ステップST6、7、11の処理が終了すれば一連の帯域制御は完了したことになるので、このまま帯域制御を終了してもよい。しかし、この実施の形態1では、伝送可能帯域をより精度よく推測するため、ユーザの要望により、さらに帯域制御を行うようにしてもよい(ステップST13)。この場合、ステップ3からステップST12までの処理を繰り返し行うことにより、伝送可能帯域をより精度よく推測することができる。例えば、ステップST5やステップST10でパケットロス率が0であった場合、ステップST6やステップST11ではパケットロス率が上がらないように情報レートをr(x)しか増やしていないので、もう少し情報レートを増やせる可能性がある。またステップST2でパケットロス率が0であった場合、ステップST7ではその時のパケットロス率0の状態に戻しているため、情報レートを少しだけ増やすことができる可能性がある。
【0039】
このように、一連の帯域制御を終了した後も、さらにレートの微調整することが可能である。この場合、帯域制御の継続は、xの値を更新してステップST3より継続する。ステップST13で前回と異なるr(x)の値を設定することでさらに微調整を行うことが可能となる。なお、本フローチャートは、伝送状態が安定している場合の制御例であるため、伝送帯域が変動する場合は、ステップST13で帯域制御を一旦終了し、再びフローを開始するほうがよい。
【0040】
以上のように、この実施の形態1によるデータ伝送装置1は、誤り訂正符号を用いてネットワーク2の伝送可能帯域の推測を行うようにしたので、データ伝送に影響を与えずに伝送可能な帯域を推測して、伝送帯域を有効に利用できるという効果がある。また、一定のFECレートを情報レートに対して付与するようにすれば、ネットワーク2の伝送品質が良好でない場合にも安定して伝送可能帯域を推測でき、ネットワーク2の伝送帯域を有効に利用できるという効果がある。また、伝送可能帯域を推測するため、FECレートを増やす場合に、増やしたFECレート分だけ情報レートを減らすようにすれば、バーストロスが発生した場合でもデータを正常に修復できるという効果がある。
【0041】
また、パケットロスがないから情報レートを増やす、パケットロスが発生したため情報レートを減らすというように、周期的に情報レートの増減を繰り返すことがなく、伝送路における輻輳状態の発生、すなわち、パケットロスの発生が周期的に生じるということがないという効果がある。また、画像データの伝送時においても、長時間の受信画像の劣化が発生することがないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明の実施の形態1によるデータ伝送システムの構成図である。
【図2】データ伝送装置の内部構成を示したブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1によるデータ伝送装置の動作説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1によるデータ伝送装置の動作説明図である。
【図5】この発明の実施の形態1によるデータ伝送装置の動作説明図である。
【図6】データ伝送装置の帯域制御の動作を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
1 データ伝送装置、2 ネットワーク(伝送路)、3 データ受信装置、4 情報発生装置、11 情報発生制御部、12 FEC制御部、13 受信状態判定部、14 伝送帯域制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送路へ送出される情報量を制御する情報発生制御部と、
前記情報発生制御部から出力される情報に誤り訂正符号を付与したデータを伝送するFEC制御部と、
前記データ受信側の受信状態を判定する受信状態判定部と、
誤り訂正符号の付与量の増加させた場合の前記受信状態判定部による判定結果の変化に基づいて、前記データの最大伝送量を示す伝送可能帯域を推測する前記伝送帯域制御部と
を備えたことを特徴とするデータ伝送装置。
【請求項2】
前記伝送帯域制御部は、前記情報に付与する誤り訂正符号量を増やしても前記受信状態が悪化しない場合、増やした誤り訂正符号量を、情報量に置き換えるよう前記情報発生制御部及び前記FEC制御部へ指示することを特徴とする請求項1に記載のデータ伝送装置。
【請求項3】
前記伝送帯域制御部は、前記FEC制御部へ、前記情報に一定量以上の誤り訂正符号を常時付与するよう指示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のデータ伝送装置。
【請求項4】
前記伝送帯域制御部は、前記情報へ付与する誤り訂正符号量を増やす場合、前記情報発生制御部へ、情報量を減らすよう指示することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載のデータ伝送装置。
【請求項5】
前記伝送帯域制御部は、前記受信状態判定部により、前記受信状態が悪化したと判定された場合、前記情報発生制御部へ、情報量を減らすように指示するとともに、前記FEC制御部へ、前記情報へ付与する誤り訂正符号量を増やすよう指示することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載のデータ伝送装置。
【請求項6】
伝送路へ送出される情報量を制御するステップと、
前記情報に誤り訂正符号を付与したデータを伝送するステップと、
前記データの受信側の受信状態を判定するステップと、
誤り訂正符号の付与量の増加させた場合の前記受信状態の判定結果の変化に基づいて、前記データの最大伝送量を示す伝送可能帯域を推測するステップと
を備えたことを特徴とする伝送可能帯域推測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−159368(P2009−159368A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−335902(P2007−335902)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】