説明

データ処理装置およびプログラム

【課題】CPUに負担をかけずに画像処理の効果を確認できるようにする。
【解決手段】仮想フォルダに予め画像処理を関連づけておく。その後、サムネイル画像SNを仮想フォルダアイコン50にドラッグすると、サムネイル画像SNに対して画像処理が施されるとともに、その画像処理がサムネイル画像に関連づけられ記憶される。処理後のサムネイル画像SN1によって画像処理の効果を確認できる。このとき、本画像データには画像処理は施されない。後に、処理後のサムネイル画像SN1に対して所定の操作を行うと、そのサムネイル画像に対応する本画像データに、そのサムネイル画像に関連づけられた画像処理が施される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データ等のデータに処理を施す装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
所定のフォルダに画像データが入力されたことを検出し、そのフォルダに関連づけられた所定の処理を画像データに対してバックグラウンドで施す画像処理方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−108416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像処理にはそれなりのマシンパワーを必要とし、大サイズの画像データをバックグラウンドで複数処理するような場合は、CPUの負担が大きく、処理に時間がかかり、他の処理をスムーズに行えないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るデータの処理装置は、データに処理を施すことが可能な装置であって、表示画面に、任意の処理が関連づけられたシンボルと、処理の対象となり得るデータに対応する表示対象とを表示する表示手段と、表示画面上において、特定の移動操作によって表示対象が前記シンボル上にもたらされると、当該シンボルに関連づけれられた処理を当該表示対象に関連づけて記憶する記憶手段と、処理が関連づけられた表示対象に対して所定操作を行うと、当該関連づけられた処理を当該表示対象に対応するデータに施す処理手段とを具備することを特徴とする。
本発明に係るデータ処理プログラムは、コンピュータに上記表示手段および記憶手段の各処理を実行させるとともに、処理が関連づけられた表示対象に対して所定操作を行うと、当該関連づけられた処理を当該表示対象に対応するデータに施す処理を実行させるためのものである。
本発明に係る他のデータ処理装置は、画像データに画像処理を施すことが可能な装置であって、表示画面に、任意の画像処理が関連づけられたシンボルと、画像処理の対象となり得る本画像データに対応するサムネイル画像とを表示する表示手段と、表示画面上において、特定の画像移動操作によってサムネイル画像がシンボル上にもたらされると、当該シンボルに関連づけれられた画像処理を当該サムネイル画像に施すとともに、当該画像処理を当該サムネイル画像に関連づけて記憶するサムネイル処理手段とを具備することを特徴とする。
本発明に係る他のデータ処理プログラムは、コンピュータに上記表示手段およびサムネイル処理手段の各処理を実行させるとともに、サムネイル処理が施されたサムネイル画像に対して所定の操作を行うと、当該サムネイル画像に対応する本画像データに対し、当該サムネイル画像に関連づけられた画像処理を施す本画像処理を実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、CPUに負担をかけずに画像処理の効果を確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】コンピュータの構成を示すブロック図。
【図2】デジタルカメラの構成を示すブロック図。
【図3】仮想フォルダ作成処理の手順を示すフローチャート。
【図4】仮想フォルダ作成当初の表示例を示す図。
【図5】仮想フォルダアイコンの一例を示す図。
【図6】仮想フォルダ作成後の処理手順を示すフローチャート。
【図7】仮想フォルダアイコンにサムネイル画像をドラッグした際の動作を説明する図。
【図8】図6のドラッグ処理の詳細を示すフローチャート。
【図9】2つの仮想フォルダを用いたドラッグ処理を説明する図。
【図10】2つの仮想フォルダを用いた他のドラッグ処理を説明する図。
【図11】図6の仮想フォルダファイル処理の詳細を示すフローチャート。
【図12】仮想フォルダを開いたときの表示例を示す図。
【図13】ファイル形式選択用のダイアログを示す図。
【図14】階層構造の仮想フォルダの表示例を示す図。
【図15】仮想フォルダを開いたときに画像処理の履歴を表示する例を示す図。
【図16】仮想フォルダに代えて処理アイコンを用いた場合の動作を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
図1はコンピュータとデジタルカメラとから成るシステムの構成図である。コンピュータ100は、CPU11、RAM12、ディスクインターフェース13、ディスプレイコントローラ14、CPUバス15、シリアルバス16、シリアルバスコントローラ17などを有する本体部と、シリアルバス16を介して接続されるキーボード21やマウス22等の入力装置と、ディスクインターフェース13を介して接続されるハードディスク31と、表示装置としてのディスプレイ32とから構成される。
【0009】
デジタルカメラ(以下、カメラ)200は、シリアルバス16を介してコンピュータ100に接続される。コンピュータ100のCPU11は、ハードディスク31に保存されている転送プログラムに従い、カメラ200から画像ファイルを取り込んでハードディスク31に記憶したり、画像閲覧プログラムに従って画像ファイルに基づく画像をディスプレイ32に表示したりする。
【0010】
図2はデジタルカメラの制御ブロック図である。撮影レンズ1を透過した被写体光束は、撮像素子2で撮像され、その撮像信号は画像処理部3に入力される。画像処理部3を構成する画像処理回路3aは、入力された撮像信号に種々の処理を施して画像データを生成する。画像データは、表示回路3bによる処理を経て、カメラ背面などに設けられた液晶モニタ4に表示される。撮影モード設定時には、上記撮像および画像表示が繰り返され、いわゆるライブビュー表示(スルー画表示)が行われる。撮像指示がなされると改めて撮像が行われ、生成された画像データは、コンピュータ100で扱うことが可能な画像ファイルとして、記録/再生回路3cによりメモリカード等の記録媒体5に記録される。
【0011】
再生モードでは、記録媒体5に記録された画像データを記録/再生回路3cにて読み出し、画像処理回路3aおよび表示回路3bによる処理を経て液晶モニタ4に表示することができる。
【0012】
一般にカメラで作成される画像ファイルは、画像本体を構成する上記画像データ(以下、本画像データと呼ぶ)と、その本画像データに関する付加情報と、サムネイル画像と呼ばれる本画像データの縮小画像データとを含む。付加情報は、撮影日時や撮影条件といった種々の情報を含み、通常はファイルのヘッダ情報として記述される。
【0013】
CPU6は、操作部7からの入力に応答して画像処理部3や不図示の回路を制御する。操作部7は、電源ボタンやレリーズボタン、再生操作や情報入力等で用いる各種操作部材等を含む。
【0014】
次に、コンピュータ100にて行う画像処理について説明する。
コンピュータ100のハードディスク31には、画像ファイルに種々の画像処理を施すための画像処理アプリケーションがインストールされている。ここでいう画像処理は、画像の明るさ調整、色調整、輪郭強調、種々のフィルタ処理、画像サイズの変更、画像解像度の変更といった、画像ファイル内の本画像データに施す処理を指す。なお、ファイル形式を変更したり、ファイルの付加情報の編集処理も画像処理アプリケーションにて行える。
【0015】
従来から行われている一般的な画像処理手順は、まず処理の対象となる画像ファイルを開き(画像を表示し)、処理を選択し、選択された処理に対応する画像処理パラメータの調整操作を行う。パラメータ調整は、例えば画面に表示されたスライドバーをマウス22で操作したり、キーボード21から数値を入力するなどの方法で行うことができる。パラメータの変化は、表示されている画像にリアルタイムで反映され、これにより処理の効果を目で見て確認できる。調整後に保存操作を行うと、調整後(画像処理後)の画像ファイルが元画像ファイルに上書きで、あるいは別ファイルとして保存される。
【0016】
また、予め画像フォルダおよび画像処理内容(処理の種類とパラメータの値)を選択しておき、実行操作を行うと、選択したフォルダ内の全ての画像ファイルに選択した画像処理を一括して施す「バッチ処理」が可能なアプリケーションもある。
【0017】
ところで、近年では撮像素子の高画素化に伴って画像サイズが大型化しており、かかる大サイズの画像を「バッチ処理」で複数処理するような場合は、処理結果の確認まで長時間待たされることになる。
【0018】
そこで本実施形態では、画像処理が指示されたとき、直ちに本画像データに処理を施すのではなく、サムネイル画像に対して処理を施し、その後に所定の操作が行われて初めて本画像データに処理を施すようにした。また、所望の処理を関連づけた仮想フォルダを画像処理のシンボルとして作成可能とし、その仮想フォルダを用いて種々の処理を行えるようにした。以下、その詳細を説明する。
【0019】
図3は上記仮想フォルダ作成時の制御手順を示すフローチャートである。
上記画像処理アプリケーションにて所定の操作を行うと、CPU11によってこのルーチンが起動される。ステップS1では、ディスプレイ32の画面上において予め用意されたサンプル画像を開くとともに、ステップS2で仮想フォルダのアイコンを表示する。
【0020】
操作者は、この状態で仮想フォルダに関連づける画像処理を選択し、パラメータ調整を行う(ステップS3)。画像処理を選択すると、例えば図4に示すように、サンプル画像SIの隣にパラメータ調整用の操作部40が表示される。操作部40は、選択される画像処理によって異なる。調整によるパラメータの変化はサンプル画像に反映されるので、効果を確認しながら調整を行うことができる。調整が終わって確定操作を行うと、ステップS4で当該画像処理に対するパラメータの値を仮想フォルダに関連づけて記憶するとともに、ステップS5で当該画像処理を表すアイコンを仮想フォルダアイコンの一部に重ねて表示する。これにて1つの画像処理の関連づけが完了し、以降、同様の操作を行うことで、単一の仮想フォルダに複数の画像処理を関連づけることができる。ステップS6で終了操作が確認されると、処理を終了する。
上記のような仮想フォルダは、複数作成して保存することができる。
【0021】
図5は作成された仮想フォルダアイコン50の一例を示している。仮想フォルダアイコン50は、アイコン本体51と、処理アイコン(52,53・・・)から構成される。仮想フォルダは通常のフォルダと同等に扱うことができるので、アイコン本体51は、通常のフォルダアイコンと類似の絵柄となっている。図の仮想フォルダには、「アンシャープマスク」、「レベル補正」、「色合い調整」の3種類の画像処理が関連づけられ、各処理のパラメータの値が関連づけられて記憶されている。仮想フォルダアイコン50には、上から順に「アンシャープマスク」、「レベル補正」、「色合い調整」にそれぞれ対応する処理アイコン52〜53が付加されており、この処理アイコンの並び順は、関連づけがなされた順であり、また後にサムネイル画像や本画像データに画像処理を施す順番と一致する。下から順であってもよい。操作者は、仮想フォルダアイコン50を見るだけで関連づけられた処理の内容および処理順序を把握できる。
【0022】
仮想フォルダには名前を付けることができ、アイコン50の位置にその名前を表示することができる。また、各処理のパラメータの値を後から変更することも可能である。例えば、変更を望む処理の処理アイコンをダブルクリックすると、サンプル画像とともにその処理に対する操作画面が表示され、パラメータの変更が可能となる。処理順序を変更できるようにしてもよい。
【0023】
図6は仮想フォルダ作成後の処理手順を示すフローチャートである。
この処理は、例えば図7(a)に示すように、仮想フォルダアイコンと、画像処理の対象となり得るサムネイル画像SNとが表示されている状況で許容される。表示されているサムネイル画像SNは、オリジナルの画像ファイルに格納されているサムネイル画像のいわばコピーであり、オリジナルファイルのパス等の情報が対応づけられている。操作者は、所望のサムネイル画像SNをマウス22のドラッグ操作で仮想フォルダにドロップしたり、仮想フォルダを開いて中のサムネイル画像に対して処理を行うことができる。以下、各処理の詳細を説明する。
【0024】
図6において、サムネイル画像SNのドラッグが開始されるとステップS21が肯定され、ステップS22のドラッグ処理を行う。ドラッグするサムネイル画像SNは1個のみならず、複数のサムネイル画像を一括してドラッグすることも可能である。
【0025】
ドラッグ処理の詳細を示す図8において、ステップS221では、サムネイル画像SNが仮想フォルダアイコン50上にもたらされたか否かを判定し、否定されるとステップS222に進む。ステップS222でドラッグが解除されたと判定されるとリターンし、解除されていないと判定された場合はステップS221に戻る。
【0026】
サムネイル画像SNが仮想フォルダアイコン50上にもたらされると(ステップS221が肯定されると)、ステップS223において、当該サムネイル画像SNに対し、当該仮想フォルダに関連づけられた全ての画像処理を順に施すとともに、これらの画像処理を当該サムネイル画像SNに関連づけて記憶する。処理後のサムネイル画像は、当該仮想フォルダアイコン50の位置(アイコン上、あるいはその近傍)に表示される。
【0027】
図7(b)は具体例を示し、これは5個のサムネイル画像を一括ドラッグする例である。ドラッグ開始後、仮想フォルダアイコン50に達するまでは、Aで示すように各サムネイル画像SNは半透明の状態で表示され、仮想フォルダアイコン50に達すると、Bで示すように通常表示となる。Bにおけるサムネイル画像SN1は、仮想フォルダに関連づけられている画像処理が施された状態で表示されるので、ドラッグ前のサムネイル画像SNとは雰囲気が異なる。したがって、操作者はこの時点で画像処理の効果をサムネイル画像SN1にて確認することができる。
【0028】
ここで、上記ステップS223で画像処理が施されるのはあくまでサムネイル画像SNのみであり、オリジナルの画像ファイル、すなわち本画像データには何らの処理もなされない。サムネイル画像SNは本画像データと比べて小サイズなため、画像処理はごく短時間で終わり、CPU11にさほど負担をかけることもない。
【0029】
ステップS224では、仮想フォルダアイコン50上でドラッグが解除されたか否か、すなわち仮想フォルダへのドロップ操作がなされたか否かを判定する。否定されるとステップS221に戻り、肯定されるとステップS225に進む。ステップS225では、ドロップされたサムネイル画像を仮想フォルダに格納する処理を行う。格納されるのは、画像処理後のサムネイル画像であり、オリジナルの画像ファイルは元の状態で元の位置に残っている。ドロップされたサムネイル画像に対しては、そのサムネイル画像に施された画像処理の内容と、画像処理を施す順序とが関連づけられて記憶される。
【0030】
ここで、上記ステップS223で作成され表示されたサムネイル画像は、ドラッグ中のサムネイル画像とは別画像として表示が継続する。つまり、ドラッグ中のサムネイル画像がドロップされることなく仮想フォルダアイコン50を通過した場合も、図7(b)のB位置にあるサムネイル画像SN1は表示され続ける。このように処理後のサムネイル画像を残すようにすれば、2以上の仮想フォルダを使用したときに処理結果を比較し易い。
【0031】
例えば図9は、「自動レベル処理」および「カラーバランス処理」がそれぞれ関連づけられた2種類の仮想フォルダを用いた例を示し、(a)はドラッグ前の、(b)はドラッグ後の状態を示している。仮想フォルダアイコン50Aにサムネイル画像SNをドラッグすると、サムネイル画像SNに対して自動レベル処理がなされ、処理後のサムネイル画像SN1が表示される。次に、サムネイル画像SNを仮想フォルダアイコン50Bにドラッグすると、サムネイル画像SNに対してカラーバランス調整処理がなされ、処理後のサムネイル画像SN2が表示される。このとき、自動レベル処理後のサムネイル画像SN1も表示されているので、自動レベル処理の結果とカラーバランス調整の結果を容易に比較できる。
【0032】
図10は、1回のドラッグ操作でサムネイル画像SNが2つの仮想フォルダアイコン50A,50Bを順に通過する例を示している。図10(a)の状態からドラッグを開始し、仮想フォルダアイコン50Aに至った時点で「自動レベル処理」が施され、処理後のサムネイル画像SN1が表示される(図10(b))。その後、仮想フォルダアイコン50Aを通過して次の仮想フォルダアイコン50Bまでドラッグが進んだとき、元のサムネイル画像SNではなく、自動レベル処理後のサムネイル画像SN1に更に「カラーバランス調整」を施し、その処理後のサムネイル画像SN2を表示する(図10(c)→図10(d))。その後、ドラッグ中のサムネイル画像SNが仮想フォルダアイコン50Bを通過しても、サムネイル画像SN1,SN2は表示され続ける。また、サムネイル画像SN1,SN2の近傍には、施した処理を表す処理アイコン53,54が表示されるので、各サムネイル画像が、いかなる処理をいかなる順で施した画像であるかが容易に分かる。
【0033】
このように、サムネイル画像が仮想フォルダアイコンを通過するたびに新たな処理を加えていき、各段階でのサムネイル画像を表示し続けることで、各段階での処理結果を容易に比較できる。
【0034】
なお、上述のようにサムネイル画像が仮想フォルダアイコンを通過するたびに新たな処理を順次加えてゆく、いわば「AND処理」に代えて、仮想フォルダアイコンを通過するたびにそれ以前の処理を破棄して新しい処理のみを施す(常に元のサムネイル画像SNに処理を施して表示する)「OR処理」も考えられる。この場合、例えば図10のサムネイル画像SN1,SN2は、それぞれ「自動レベル処理」、「カラーバランス調整」のみを施した画像となり、これによれば各処理の結果を比較し易い。
上記「AND処理」と「OR処理」は、予め設定画面においてユーザが選択できるようにすることが望ましい。
【0035】
ここで、ドラッグによりサムネイル画像がある仮想フォルダアイコンを通過し、再度その仮想フォルダアイコンに戻された場合は、その仮想フォルダに関連づけられた画像処理(既にサムネイル画像に施されている)をキャンセルするようにしてもよい。これによれば、処理後のサムネイル画像を見て気に入らなかった場合は、直ぐにその処理を取り消すことができ、便利である。また、サムネイル画像をいったん通過した仮想フォルダアイコンに戻す動作を、特定のキー操作と同時に行った場合は、処理をキャンセルするのではなく、その処理を再度施すようにしてもよい。これによれば、サムネイル画像を見て1回の処理では足りないと判断した場合は、追加の処理を簡単に行うことができる。処理をキャンセルした場合も追加した場合も、それがサムネイル画像に反映されることは言うまでもない。
【0036】
図11は図6の仮想フォルダファイル処理(ステップS24)の詳細を示している。これは、図6のステップS23で仮想フォルダの開操作(例えば、仮想フォルダアイコンのダブルクリック)が確認されると開始される。ステップS241では、当該仮想フォルダを開き、その内容を表示する。図12はその表示例を示し、この例では仮想フォルダ内に5つのサムネイル画像が格納されている。これらのサムネイル画像には、当該仮想フォルダに関連づけられた処理が施されている。
【0037】
仮想フォルダ内のサムネイル画像に対し、開操作(例えば、ダブルクリック)がなされると、ステップS242からステップS243に進み、画像処理アプリケーションの編集画面にて当該サムネイル画像に対応する画像ファイルを開く。これにより本画像データが表示されるが、オリジナルの本画像をそのまま表示するのではなく、サムネイル画像に施されている画像処理、換言すれば、サムネイル画像に関連づけて記憶されている画像処理を本画像データに施し、処理後の画像を表示する。
【0038】
ユーザは、この時点で本画像データに対する追加の処理を手動にて行うことができ(ステップS244→S245)、また、画像ファイルの保存を行うこともできる(ステップS246→S247)。画像ファイルを保存した場合、本画像データに対する画像処理が確定したことになるので、当該画像ファイルに対応するサムネイル画像(仮想フォルダ内に存在)は削除してもよい。ただし、サムネイル画像を削除せずに残せるようにしてもよい。
【0039】
なお、サムネイル画像のダブルクリックで画像ファイルを開くようにしたが、ダブルクリックによって実行される処理を選択できるようにしてもよい。「ファイル開」以外の選択肢としては、「印刷」や「サーバへのアップロード」などが考えられる。
【0040】
また、仮想フォルダ内のサムネイル画像は、マウス22のドラッグ操作によりフォルダ外に移動することができる。ステップS248でドラッグが確認されると、ステップS249でドラッグの解除、すなわちドロップ操作を待つ。ドロップ操作が確認されると、ステップS250でドロップ可能位置であるかを判定し、肯定されるとステップS251で、当該サムネイル画像に対応づけられている画像処理を、対応する画像ファイル(本画像データ)に対して施す。処理後の画像ファイルは、ドロップ位置に応じた位置に保存される。このときも仮想フォルダ内のサムネイル画像は削除してよいが、例えば特定のキー操作と同時にドロップを行うことで、サムネイル画像を仮想フォルダ内に残すこともできる。
【0041】
ここで、上記ドロップ操作がなされたとき、画像ファイルの出力形式が指定されていない場合は、例えば図13に示すようなダイアログを開き、ここで出力形式を指定できるようにしてもよい。
【0042】
上記仮想フォルダには、通常のフォルダと同様にサブ仮想フォルダを格納することができる(仮想フォルダを階層構造とすることができる)。この場合、サムネイル画像をサブ仮想フォルダアイコンにドラッグすると、そのサムネイル画像に対し、上位の仮想フォルダに関連づけられた画像処理が順に施され、最後に当該サブ仮想フォルダに関連づけられた画像処理が施される。この時点では、上述と同様に本画像データに対する処理は行われない。
【0043】
図14は仮想フォルダの階層構造の一例を示し、(a)はツリー表示、(b)は通常表示である。500は親の仮想フォルダに対応するアイコン、501〜503はサブ仮想フォルダに対応するアイコンであり、サブ仮想フォルダアイコン501,502に付された処理アイコンは、それぞれ画像サイズ変更処理を表している。サムネイル画像を例えばサブ仮想フォルダアイコン502にドラッグすると、そのサムネイル画像に対し、「自動レベル処理」、「カラーバランス調整」、「640×480ピクセルへの画像サイズ変更」が順に施される。このようにすることで、複数の仮想フォルダアイコンを経由させることなく複数の処理をサムネイル画像に施す(関連づける)ことができる。
【0044】
図15は仮想フォルダを開いたときの他の表示例を示している。表示項目のうち、「Name」はオリジナルの画像ファイル名、「History」はサムネイル画像の仮想フォルダ通過履歴、「Date Past」は当該仮想フォルダ(ここでは、Folder B)を通過した日時である。履歴の欄にあるサムネイル画像は、サムネイル画像が当該仮想フォルダに達したとき(当該仮想フォルダに対応づけられた処理が施された直後)の画像である。また、このサムネイル画像の左側には、当該仮想フォルダに達する前に通過した仮想フォルダのアイコンが順に表示され、同右側には、当該仮想フォルダを通過した後に通過またはドロップされた仮想フォルダのアイコンが順に表示される。例えば、「Flower 1.JPG」のサムネイル画像は、「Folder A」,「Folder B」を順に通過した後、「Folder D」にドロップされたことを示している。また「Flower 5.JPG」は、他の仮想フォルダを経由せずに直接「Folder B」にドロップされたことを示している。このように仮想フォルダ通過履歴を表示することで、サムネイル画像が複雑な経路をたどった場合でもその経路を容易に把握できる。
【0045】
以上では仮想フォルダを用いた例を示したが、画像処理のシンボルとして単なるアイコンを用いた例を図16に示す。
図16はディスプレイ32における画面表示例を示し、601は画像表示部、602は処理アイコン表示部、603は履歴表示部である。処理アイコン表示部602には、複数の画像処理が関連づけられた処理アイコンICが表示されるとともに、その上部には、画像表示部601に表示されている画像に対応するサムネイル画像SNが表示される。
【0046】
ユーザは、サムネイル画像SNをマウス22のドラッグにより各処理アイコンに自由にもたらすことができる。サムネイル画像が処理アイコンを通過するたびに、上述した「AND処理」と同様に処理アイコンに関連づけられた画像処理がサムネイル画像に対して施され、処理後のサムネイル画像(SN1,SN2・・・)は、ドラッグされるサムネイル画像とは別に、当該処理アイコンの近傍に表示され続ける。この間、本画像データには何らの処理も施されず、画像表示部601の画像は変化しない。その後、処理後のサムネイル画像(図ではSN1〜SN5のいずれか)に対してダブルクリックや外部へのドラッグといった操作が行われると、本画像データに対して処理がなされ、処理後の画像ファイルは、保存することができる。
【0047】
なお、本発明に係る画像処理機能は、何らかのアプリケーションソフトに組み込んでもよいし、OS(オペレーティングシステム)自体にその機能を持たせてもよい。
【0048】
また、デジタルカメラなどの電子機器に上記画像処理機能を組み込んでもよい。カメラは撮像手段を有しているので、自身で撮像した画像データに対して上記の画像処理を行うことができる。この場合、カメラにおいては、仮想フォルダや処理アイコン等を用いたサムネイル処理、すなわちサムネイル画像に対する画像処理の実行と関連づけのみを行えるようにし、本画像データに対する処理は、画像ファイルをコンピュータに転送して行うようにしてもよい。本画像データに対する処理をカメラで行わないようにすることで、カメラのCPU(一般にコンピュータのCPUよりも性能が低い)の負荷が軽減され、他の処理に支障を来すことがない。一方、サムネイル画像にはカメラ側で処理が施されるので、処理の効果をカメラで確認することができる。
【0049】
以上では、画像ファイル(画像データ)に画像処理を施す例を説明したが、画像データ以外のデータ(例えば、動画ファイル、音楽ファイル、文書ファイルなど)を処理の対象としてもよい。動画ファイルや音楽ファイルに対する処理としては、各種エフェクトの追加などがあり、文書ファイルに対する処理としてはは、文書校正処理等がある。
【符号の説明】
【0050】
11 CPU
21 キーボード
22 マウス
31 ハードディスク
40 操作部
50,500,501〜503 仮想フォルダアイコン
100 コンピュータ
200 デジタルカメラ
601 画像表示部
602 処理アイコン表示部
603 履歴表示部
SI サンプル画像
SN,SN1,SN2 サムネイル画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データに処理を施すことが可能な装置であって、
表示画面に、任意の処理が関連づけられたシンボルと、処理の対象となり得るデータに対応する表示対象とを表示する表示手段と、
前記表示画面上において、特定の移動操作によって前記表示対象が前記シンボル上にもたらされると、当該シンボルに関連づけれられた処理を当該表示対象に関連づけて記憶する記憶手段と、
前記処理が関連づけられた表示対象に対して所定操作を行うと、当該関連づけられた処理を当該表示対象に対応するデータに施す処理手段とを具備することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
画像データに画像処理を施すことが可能な装置であって、
表示画面に、任意の画像処理が関連づけられたシンボルと、画像処理の対象となり得る本画像データに対応するサムネイル画像とを表示する表示手段と、
前記表示画面上において、特定の画像移動操作によって前記サムネイル画像が前記シンボル上にもたらされると、当該シンボルに関連づけれられた画像処理を当該サムネイル画像に施すとともに、当該画像処理を当該サムネイル画像に関連づけて記憶するサムネイル処理手段とを具備することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項3】
操作に応じて前記シンボルに画像処理を関連づける関連づけ手段を更に備えることを特徴とする請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
単一の前記シンボルに複数の画像処理を関連づけることが可能であることを特徴とする請求項3に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記サムネイル処理手段によって画像処理が施されたサムネイル画像は、移動中のサムネイル画像が当該シンボルを通り過ぎた後も、移動中のサムネイル画像とは別に表示され続けることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記シンボルは、仮想フォルダを表す仮想フォルダアイコンであり、
前記サムネイル画像が任意の仮想フォルダアイコン上にあるときに所定の格納操作がなされると、前記サムネイル処理手段による処理が施されたサムネイル画像を当該仮想フォルダに仮想的に格納する格納手段を更に備えることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記サムネイル処理手段による処理が施されたサムネイル画像に対して所定の操作を行うと、当該サムネイル画像に対応する前記本画像データに対し、当該サムネイル画像に関連づけられた前記画像処理を施す本画像処理手段を更に備えることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
被写体を撮像して前記本画像データおよび前記サムネイル画像を得る撮像手段を更に備えることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項9】
データに処理を施すことが可能なコンピュータに、
表示画面に、任意の処理が関連づけられたシンボルと、処理の対象となり得るデータに対応する表示対象とを表示する表示処理と、
前記表示画面上において、特定の移動操作によって前記表示対象が前記シンボル上にもたらされると、当該シンボルに関連づけれられた処理を当該表示対象に関連づけて記憶する記憶処理と、
前記処理が関連づけられた表示対象に対して所定操作を行うと、当該関連づけられた処理を当該表示対象に対応するデータに施す処理とを実行させるためのデータ処理プログラム。
【請求項10】
画像データに画像処理を施すことが可能なコンピュータに、
表示画面に、任意の画像処理が関連づけられたシンボルと、画像処理の対象となり得る本画像データに対応するサムネイル画像とを表示する表示処理と、
前記表示画面上において、特定の画像移動操作によって前記サムネイル画像が前記シンボル上にもたらされると、当該シンボルに関連づけれられた画像処理を当該サムネイル画像に施すとともに、当該画像処理を当該サムネイル画像に関連づけて記憶するサムネイル処理と、
前記サムネイル処理が施されたサムネイル画像に対して所定の操作を行うと、当該サムネイル画像に対応する前記本画像データに対し、当該サムネイル画像に関連づけられた前記画像処理を施す本画像処理とを実行させるためのデータ処理プログラム。
【請求項11】
更に、操作に応じて前記シンボルに画像処理を関連づける処理をコンピュータに実行させるための請求項10に記載のデータ処理プログラム。
【請求項12】
単一の前記シンボルに複数の画像処理を関連づけることが可能であることを特徴とする請求項11に記載のデータ処理プログラム。
【請求項13】
前記サムネイル処理が施されたサムネイル画像は、移動中のサムネイル画像が当該シンボルを通り過ぎた後も、移動中のサムネイル画像とは別に表示され続けることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載のデータ処理プログラム。
【請求項14】
前記シンボルは、仮想フォルダを表す仮想フォルダアイコンであり、
前記サムネイル画像が任意の仮想フォルダアイコン上にあるときに所定の格納操作がなされると、前記サムネイル処理手段による処理が施されたサムネイル画像を当該仮想フォルダに仮想的に格納する処理を更にコンピュータに実行させるための請求項10〜13のいずれか1項に記載のデータ処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−14256(P2012−14256A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147810(P2010−147810)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】