説明

データ符号化装置及び方法、並びに、データ復号装置及び方法

【課題】
データを効率よく符号化することが可能なデータ符号化装置及び方法、並びに、データ
復号装置及び方法を提供する。
【解決手段】
取得部は、複数のデータが並んだ入力データを取得する。変換部は、入力データにおい
て、連続する同一の値のデータと、連続する同一の値のデータに隣接する他の値のデータ
とを含むデータ群を探索し、データ群に対応する中間データに変換する。選択部は、デー
タ群における先頭のデータが、入力データ中のどの位置にあるかに応じて、中間データを
符号化する際の符号化方法を選択する。符号化部は、選択された符号化方法を用いて、中
間データを符号化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、データ符号化装置及び方法、並びに、データ復号装置及び方法に
関する。
【背景技術】
【0002】
画像における8×8のブロックにDCT変換及び量子化を適用して得られた変換係数の
取得し、変換係数を複数のスキャンに分けて符号化する画像符号化方法(例えば、Progre
ssive JPEG)がある。
【0003】
従来、このような画像符号化方法では、変換係数のAC成分について、各スキャンで符
号化すべき変換係数の範囲(スキャン単位)を予め定めておき、当該スキャン単位で、変
換係数を符号化していた。各スキャン単位での変換係数の符号化は、連続するゼロ(ゼロ
ラン)及び非ゼロの値のデータの集合を1つのデータ(中間データ)とみなし、当該シン
ボルをハフマン符号化することにより行なう。
【0004】
しかしながら、この方法では、予め定められたスキャン単位の区切り位置の前後のデー
タが共にゼロであるとき、ゼロランにより1つの中間データとして符号化可能な変換係数
が、当該区切り位置によって分断され、2つの中間データが生成されてしまう。
【0005】
これにより、各中間データが別々に符号化されてしまい、効率よく符号化を行なうこと
ができないという課題がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】J. In, S. Shirani, and F. Kossentini, ``On RD optimized progressive image coding using JPEG,'' IEEE Trans. Image Processing vol. 8, no. 11, pp. 1630-1638, Nov. 1999.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明が解決しようとする課題は、データを効率よく符号化することが可能なデータ符号
化装置及び方法、並びに、データ復号装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態に係るデータ符号化装置は、取得部と、変換部と、選択部と、符号化
部とを備える。
【0009】
取得部は、複数のデータが並んだ入力データを取得する。変換部は、前記入力データに
おいて、連続する同一の値のデータと、前記連続する同一の値のデータに隣接する他の値
のデータとを含むデータ群を探索し、前記データ群に対応する中間データに変換する。選
択部は、前記データ群における先頭のデータが、前記入力データ中のどの位置にあるかに
応じて、前記中間データを符号化する際の符号化方法を選択する。符号化部は、選択され
た前記符号化方法を用いて、前記中間データを符号化する。
【0010】
また、本発明の実施形態に係るデータ復号装置は、取得部と、設定部と、選択部と、復
号部と、変換部とを備える。
【0011】
取得部は、符号化データを取得する。設定部は、前記符号化データにおいて、復号すべ
きデータの位置である注目位置を設定する。選択部は、前記符号化データにおける先頭の
注目位置のデータが、前記符号化データ中のどの位置にあるかに応じて復号方法を選択す
る。復号部は、選択された前記符号方法を用いて、前記符号化データを中間データに復号
する。変換部は、前記中間データを、前記中間データに対応するデータ群であって、連続
する同一の値のデータと、前記連続する同一の値のデータに隣接する他の値のデータと、
を含む前記データ群に変換する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態に係るデータ符号化装置1を表すブロック図。
【図2】データ符号化装置1の処理を表すフローチャート。
【図3】データ符号化装置1の処理を説明する一例図。
【図4】ジグザグスキャンの説明図。
【図5】変形例におけるデータ符号化装置1の処理を表すフローチャート。
【図6】第2の実施形態に係るデータ復号装置2を表すブロック図。
【図7】データ復号装置2の処理を表すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係るデータ符号化装置1は、例えば、超音波診断装置や、シンクライ
アント向けの画像伝送装置等に用いられ得る。データ符号化装置1は、取得した画像を符
号化した符号化データを得るものである。
【0014】
データ符号化装置1は、取得した画像の入力データにおいて、少なくとも1つ以上の連
続した値のデータ(離散的な数値)の集合であるデータ群の各々を、対応する中間データ
に変換し、各中間データをエントロピー符号化することにより符号化データを得る。中間
データとは、元の連続するデータに逆変換可能なデータである。中間データは、元の連続
するデータよりもデータ量が少ないものであるのが望ましい。
【0015】
本実施形態では、データ符号化装置1は、ゼロランと、当該ゼロランに隣接するゼロで
ない値のデータ(非ゼロ)との集合をデータ群として、各データ群を中間データに変換す
る。データ符号化装置1は、中間データに対応するデータ群における先頭のデータが、取
得した入力データ中のどの位置にあるかに応じて、エントロピー符号化方法を選択し、選
択したエントロピー符号化方法で当該中間データを符号化する。
【0016】
図1は、データ符号化装置1を表すブロック図である。データ符号化装置1は、取得部
11と、変換部12と、判定部13と、選択部14と、符号化部15と、出力部16とを
備える。
【0017】
取得部11は、画像データ(入力データ)を取得する。
【0018】
変換部12は、取得された入力データを走査して、ゼロランと、当該ゼロランの次の非
ゼロと、の集合であるデータ群を探索し、各データ群を、対応する中間データに変換する

【0019】
判定部13は、各中間データに対応するデータ群における先頭のデータの、入力データ
中での位置(注目位置)を判定する。
【0020】
選択部14は、判定された注目位置に応じて、各中間データを符号化するための、エン
トロピー符号化方法を選択する。このとき、選択部14は、エントロピー符号化方法を選
択するための切替位置情報を保持しておく。例えば、切替位置情報は、ユーザからの入力
により設定されてよい。
【0021】
符号化部15は、選択されたエントロピー符号化方法を用いて、各中間データを符号化
した符号化データを得る。
【0022】
出力部16は、得られた符号化データを出力する。
【0023】
取得部11と、変換部12と、判定部13と、選択部14と、符号化部15と、出力部
16とは、中央演算処理装置(CPU)、及びCPUが用いるメモリにより実施できる。
【0024】
以上、データ符号化装置1の構成について説明した。
【0025】
図2は、データ符号化装置1の処理を表すフローチャートである。図3は、データ符号
化装置1の処理を説明する一例図である。
【0026】
取得部11は、入力データを取得する(S101)。例えば、取得部11は、画像デー
タのサンプル値である8ビット、16ビット、24ビットの数値の列を入力データとして
取得してよい。図3(a)は、取得部11が取得する入力データを示している。入力デー
タは、複数のデータが並んだデータであり、図3(a)において左側が先頭であるとする
。なお、図3(a)における切替位置の情報(切替位置情報)は、選択部14が予め取得
し、保持している。
【0027】
変換部12は、取得された入力データを走査してデータ群を探索し、各データ群を中間
データに変換する(S102)。図3(b)は、変換部12が入力データを変換した中間
データを示している。例えば、変換部12は、ゼロランにおけるゼロの個数と、その次の
非ゼロとの組み合わせの各組に識別番号を割り当てた変換テーブル(不図示)を保持して
おり、当該変換テーブルを用いて各データ群を中間データに変換してよい。図3における
中間データの値は一例である。
【0028】
判定部13は、各中間データに対し、対応するデータ群における注目位置を判定する(
S103)。図3(c)において、丸で囲まれたデータの位置が注目位置である。例えば
、判定部13は、注目位置のデータが、入力データにおいて先頭から何番目の位置にある
かを判定してよい。
【0029】
選択部14は、判定された注目位置と、切替位置情報とに応じて、各中間データを符号
化するための、エントロピー符号化方法を選択する(S104)。図3(d)に示すよう
に、
例えば、選択部14は、各データ群のうち、その注目位置が切替位置より先頭側にある場
合は第1のエントロピー符号化方法を選択する。選択部14は、各データ群のうち、その
注目位置が切替位置より末尾側にある場合は第2のエントロピー符号化方法を選択する。
なお、切替位置は、複数あっても構わない。
【0030】
符号化部15は、選択されたエントロピー符号化方法を用いて、各中間データを符号化
した符号化データを得る(S105)。図3(d)の例では、符号化部15は、注目位置
が切替位置より先頭側にあるデータ群に対応する中間データを第1のエントロピー符号化
方法を用いて符号化する。符号化部15は、注目位置が切替位置より末尾側にあるデータ
群に対応する中間データを第2のエントロピー符号化方法を用いて符号化する。
【0031】
例えば、符号化部15は、エントロピー符号化方法として静的ハフマン符号化を用いて
よい。静的ハフマン符号化では、中間データの出現確率を算出すること(第1パス)、中
間シンボルを符号化すること(第2パス)が必要となる。符号化部15は、第1パスで各
ハフマン符号化方法に対応するヒストグラムを算出してハフマン符号を設計し、第2パス
でハフマン符号長テーブル(あるいはハフマン符号ツリー)と、中間データと、を選択さ
れたハフマン符号化方法により符号化して符号データを得る。この場合、例えば符号化部
15は、中間シンボルを保持するバッファ(不図示)、及び、切り替えて利用する静的ハ
フマン符号化方法の数に応じたヒストグラムバッファ(不図示)を有しているのが望まし
い。
【0032】
出力部16は、得られた符号化データを例えば、記憶装置(不図示)やクライアント側
の表示装置等に出力し(S106)、処理を終了する。
【0033】
以上、データ符号化装置1の処理について説明した。
【0034】
本実施形態では、取得部11が取得する入力データは、画像データのサンプル値である
として説明したが、これに限られない。例えば、取得部11は、差分パルス符号変調(D
PCM)の予測により、サンプル値と予測値との差分値を入力データとして取得してよい
。例えば、(1)直前のサンプル値を予測サンプル値とする、(2)直前の2つのサンプ
ルに予め定めた重み値を用いた積和値を求め、当該積和値を予測サンプル値とする、とい
った方法があるが、予測方法はこれらに限られない。例えば、DPCMで得られた値を量
子化したものを入力データとして取得してもよい。
【0035】
あるいは、サンプル値やその差分値を入力データとして取得する代わりに、例えば、数
値を復元するために必要なビット長を入力データとして取得し、当該入力データを符号化
したうえで、そのビット数で表現された数値を符号化データに付加するという方法を用い
てもよい。これにより、入力データの種類が多い場合における符号化効率が低下を抑制す
ることができる。
【0036】
あるいは、画像データにブロック単位の変換(ブロック変換)を施し、その変換係数を
低周波成分から高周波成分の順で並べたデータを入力データとして取得してもよい。ブロ
ック変換としては、2次元の画像データであればJPEGで用いられる2次元のDCTを
利用できる。また、画像データに2次元のブロック変換を施した場合、変換係数を予め定
めた順序で並べ替えたもの(例えば、図4のシグザグスキャンにより変換係数を並べかえ
たもの)を入力データとして取得してもよい。ブロック変換は、DCT以外にも、例えば
、アダマール変換や離散サイン変換(DST)、学習データあるいは対象データの主成分
分析に基づく直交基底を用いた変換を利用してもよい。
【0037】
また、本実施形態において、取得部11が取得する入力データは、画像データであると
して説明したが、これに限られない。例えば、取得部11は、音声データやテキストデー
タ等、如何なる種類のデータであっても構わない。例えば、音声データの場合、ブロック
変換には、MPEG1−Audioで用いられるMDCTを利用できる。
【0038】
また、本実施形態では、変換部12は、取得された入力データにおいて、ゼロランと、
当該ゼロランの次の非ゼロとを、予め保持してある変換テーブルを用いて中間データに変
換したが、これに限られない。例えば、予めゼロランの最大長を定めておき、ゼロランが
最大長を超えた場合には、最大長のゼロランという中間シンボルを生成する。取得した入
力データについてゼロの発生確率が高い場合、当該方法で生成された中間データをエント
ロピー符号化することにより、符号化効率が向上する。
【0039】
あるいは、入力シンボルとして同じシンボルが並ぶ可能性が高い場合、連続する同一の
値のデータの数(ラン長)をカウントし、ラン長が1のときは入力データを中間データと
し、ラン長が2以上のときは入力データにおけるデータの最大値にラン長を加えた値を第
1中間データ、入力データを第2中間データとしてもよい。
【0040】
別の例として、変換部12は、LZ77法に基づくスライド辞書データを保持し、当該
スライド辞書データを用いて、データ群を中間データに変換してもよい。この場合、予め
スライド辞書のサイズ、最小一致長、最大一致長を定めておく。
【0041】
変換部12は、取得された入力データに対して、スライド辞書内に一致パターンが存在
するかを探索し、一致パターンが存在する場合には、データ群のにおけるデータの最大値
に(「一致長」−「最小一致長」+1)を加えた値を中間データとする。一致パターンが
存在しない場合には、データをそのまま中間データとする。
【0042】
あるいは、一致パターンが存在する場合には、スライド辞書内の位置を符号化データに
付加してもよい。中間データの範囲は0〜(「取得されたデータの最大値」+「最大一致
長」−「最小一致長」+1)であり、中間データが、取得されたデータの最大値を超えな
い場合は、それを入力データとみなし、そうでないなら(「中間データ」−「取得された
データの最大値」−1+「最小一致長」)を一致長とみなすことにより、元の入力データ
を復元できる。
【0043】
なお、変換部12は、中間データへの変換に用いた入力データを、次の中間データへの
変換のためにスライド辞書に登録してよい。あるいは、変換部12は、予めスライド辞書
をエントロピー符号化方法と同じ数だけ用意しておき、エントロピー符号化方法の切り替
えにあわせてスライド辞書を切り替えてもよい。その場合、例えば、一致長の探索におい
ては切り替え位置を無視し、辞書の登録については切り替え位置にしたがって登録しても
よい。その際、切替位置で入力データを分け、2以上の辞書に登録してよい。
【0044】
(変形例1)
データ符号化装置1は、取得した入力データにブロック変換(例えば、DCT変換)を
施し、本実施形態と同様の処理を行ってもよい。図5は、本変形例におけるデータ符号化
装置1の処理を表すフローチャートである。
【0045】
取得部11は、2次元データを取得する(S201)。当該2次元データは、画像デー
タであってもよいし、医療用画像診断装置の内部2次元データであってもよい。医療用画
像診断装置の内部2次元データの例としては、超音波診断装置内部で扱われるB(Bri
ghtness)モードデータあるいはカラードップラーデータ、MRI装置内部で用い
られるk空間データ等がある。
【0046】
変換部12は、2次元データ内で、処理すべきブロック(処理ブロック)を設定する(
S202)。ブロックのサイズは特に限定していないが、例えば4×4、8×8、16×
8、16×16、32×16、32×32等であってよい。ブロックサイズは予め定めた
固定サイズとしてもよいし、局所ごとに切り替えてもよい。
【0047】
変換部12は、処理ブロックに対しDCT変換及び量子化を適用し、量子化DCT入力
データを得る(S203)。変換部12は、例えば、図4のジグザグスキャンにより量子
化DCT入力データを得てもよい。ただし、これに限られない。
【0048】
符号化部15は、量子化DCT入力データのDC成分を符号化する(S204)。例え
ば、符号化部15は、JPEGで用いられるDC成分の符号化方法を利用してよい。
【0049】
判定部13は、量子化DCT係数のAC成分の入力データについて、中間データとすべ
きデータ群における注目位置を判定する(S205)。注目位置は、はじめはAC成分の
入力データの先頭とし、2回目以降はまだ中間データを生成していない最初のAC成分と
してよい。
【0050】
変換部12は、AC成分の入力データを走査して、ゼロランと、当該ゼロランの次の非
ゼロと、の集合(データ群)を探索し、各データ群を、対応する中間データに変換する(
S206)。
【0051】
選択部14は、判定された注目位置と、切替位置情報とに応じて、各中間データを符号
化するための、エントロピー符号化方法を選択する(S207)。なお、切替位置の情報
(切替位置情報)は、選択部14が予め取得し、保持している。
【0052】
符号化部15は、選択されたエントロピー符号化方法を用いて、各中間データを符号化
した符号化データを得る(S208)。出力部16は、得られた符号化データを出力する
(S209)。
【0053】
判定部13は、処理ブロックにおいて、AC成分の入力データの符号化が完了したか否
かを判定する(S210)。完了していない場合(S210:NO)、ステップS205
に遷移する。
【0054】
完了している場合(S210:YES)、変換部12は、取得された2次元データにお
いて、全ての処理ブロックを設定したか否かを判定する(S211)。全ての処理ブロッ
クを設定していない場合(S211:NO)、ステップS202に遷移する。全ての処理
ブロックを設定した場合(S211:YES)、処理を終了する。
【0055】
以上、本変形例におけるデータ符号化装置1の処理について説明した。このような処理
において、ゼロランはブロックの境界を超えることはないが、エントロピー符号化方法の
切替位置を超えることがある。静的ハフマン符号化を用いた場合には、切替位置はブロッ
ク内の入力データにおける先頭位置から中央位置までの間に配置すると符号化効率が高く
なる。例えば、ブロックサイズが8×8であれば、切替位置を1〜32番目のデータ値の
位置に配置し、33〜63番目のデータ値の位置では切り替えないようにすれば、符号化
効率が高まる。選択部14は、このような切替位置情報を保持していてよい。
【0056】
図5の流れを利用する方法の1つは、切替位置を、全ての処理ブロックについて共通と
し、データ値の各範囲について利用するエントロピー符号化方法を決めておくことである
。あるいは、2次元データ内での処理ブロックの位置に対し予め定めた数式を利用して、
切替位置を導出し、各範囲で利用すべきエントロピー符号化方法を、切替位置を超えた回
数にしたがって選択するという方法も利用できる。
【0057】
(変形例2)
取得した入力データが画像や音声のサンプル値やその予測差分値であるDPCMである
場合には、例えば予め定めたデータの数ごとに等間隔で切替位置を配置することができる
。配置された切り替え範囲の各データ群に対して用いるエントロピー符号化方法を切り替
える方法としては、取得した入力データの標本分散あるいは不偏分散を求め、その値が所
定の閾値を超えなければ第1のエントロピー符号化方法を用い、閾値を超えれば第2のエ
ントロピー符号化方法を用いる。そして、切替位置を超えた先頭の中間データを符号化す
る直前に、用いたエントロピー符号化方法の識別情報(1ビット)を出力しておく方法が
利用できる。なお、エントロピー符号化方法は特に2種類には限定されず、また、識別情
報は1ビット以外であってもよい。
【0058】
以上、本実施形態の変形例について説明した。
【0059】
従来のデータ符号化装置は、入力データが入力されたときに、それを定められた範囲で
分割し、各範囲内で、複数のデータを中間データに置き換える処理、および、置き換えら
れた中間データを符号化する処理の2段階の処理で符号化を行う。この符号化の前段の処
理において、もし分割がなされていなければ1つの中間データに置き換えることが可能で
あった入力データが、分割境界の前後で分断されたことで2つの中間データに置き換えら
れることがある。このような中間データが後段で別々に符号化されると符号化効率が低下
してしまう。本実施形態によれば、このようなシンボルの分断による符号化効率の低下を
抑制し、データを効率よく符号化することができる。
【0060】

(第2の実施形態)
第2の実施形態に係るデータ復号装置2は、例えば、データ符号化装置1により符号化
された符号化データを復号するものである。データ復号装置2は、符号化データにエント
ロピー復号方法を適用して中間データに復号し、データ符号化装置1が用いた変換の逆変
換により、当該中間データを元のデータ群に変換し、変換されたデータ群を出力する。デ
ータ復号装置2は、各中間データを復号する際、中間データに逆変換を適用した場合に得
られるデータ群の先頭位置に基づいて、エントロピー復号方法を選択し、中間データに復
号する。
【0061】
図6は、データ復号装置2を表すブロック図である。データ復号装置2は、取得部21
と、設定部22と、選択部23と、復号部24と、変換部25と、出力部26とを備える

【0062】
取得部21は、符号化データ(例えば、データ符号化装置1により符号化された符号化
データ)を取得する。
【0063】
設定部22は、各々の中間データに復号する際、その先頭のデータの位置(注目位置)
を設定する。
【0064】
選択部23は、データ符号化装置1の選択部14が保持している切替位置情報を、同様
に保持している。選択部23は、設定された注目位置に応じて、各中間データを符号化す
るための、エントロピー符号化方法を選択する。
【0065】
復号部24は、選択されたエントロピー復号方法を用いて、取得された符号化データを
各中間データに復号する。
【0066】
変換部25は、データ符号化装置1の変換部12が用いた変換の逆変換により、復号さ
れた中間データを元のデータ群に変換する。
【0067】
出力部26は、データ群を出力する。
【0068】
取得部21と、設定部22と、選択部23と、復号部24と、変換部25と、出力部2
6とは、CPU及びCPUが用いるメモリにより実現されてよい。
【0069】
以上、データ復号装置2の構成について説明した。
【0070】
取得部21は、符号化データを取得する(S301)。設定部22は、各々の中間デー
タに復号する際、注目位置を設定する(S302)。選択部23は、設定された注目位置
に応じて、各中間データを符号化するための、エントロピー符号化方法を選択する(S3
03)。復号部24は、選択されたエントロピー復号方法を用いて、取得された符号化デ
ータを各中間データに復号する(S304)。変換部25は、データ符号化装置1の変換
部12が用いた変換の逆変換により、復号された中間データを元のデータ群に変換する(
S305)。出力部26は、データ群を出力し、処理を終了する(S306)。
【0071】
なお、データ復号装置2は、ステップS302〜ステップS306は、取得した符号化
データを全て復号するまで、繰り返す。
【0072】
以上、データ復号装置2の処理について説明した。
【0073】
上述の実施形態によれば、データを効率よく符号化することが可能なデータ符号化装置
及び方法、並びに、データ復号装置及び方法を提供することができる。
【0074】
なお、上述の実施形態の中で示した処理手順に示された指示は、ソフトウェアであるプ
ログラムに基づいて実行されることが可能である。汎用の計算機システムが、このプログ
ラムを予め記憶しておき、このプログラムを読み込むことにより、上述した実施形態の信
号処理装置による効果と同様な効果を得ることも可能である。上述の実施形態で記述され
た指示は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フ
レキシブルディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、CD−R、C
D−RW、DVD−ROM、DVD±R、DVD±RWなど)、半導体メモリ、又はこれ
に類する記録媒体に記録される。コンピュータまたは組み込みシステムが読み取り可能な
記憶媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であってもよい。コンピュータは、この記
録媒体からプログラムを読み込み、このプログラムに基づいてプログラムに記述されてい
る指示をCPUで実行させれば、上述した実施形態の信号処理装置と同様な動作を実現す
ることができる。もちろん、コンピュータがプログラムを取得する場合又は読み込む場合
はネットワークを通じて取得又は読み込んでもよい。
【0075】
また、記憶媒体からコンピュータや組み込みシステムにインストールされたプログラム
の指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、デ
ータベース管理ソフト、ネットワーク等のMW(ミドルウェア)等が本実施形態を実現す
るための各処理の一部を実行してもよい。
【0076】
さらに、本願発明における記憶媒体は、コンピュータあるいは組み込みシステムと独立
した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロー
ドして記憶または一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0077】
また、記憶媒体は1つに限られず、複数の媒体から本実施形態における処理が実行され
る場合も、本発明における記憶媒体に含まれ、媒体の構成は何れの構成であってもよい。
【0078】
なお、本願発明におけるコンピュータまたは組み込みシステムは、記憶媒体に記憶され
たプログラムに基づき、本実施形態における各処理を実行するためのものであって、パソ
コン、マイコン等の1つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等
の何れの構成であってもよい。
【0079】
また、本願発明の実施形態におけるコンピュータとは、パソコンに限らず、情報処理機
器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって本発明の実施形態に
おける機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0080】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要
旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示され
ている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実
施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実
施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1・・・データ符号化装置
2・・・データ復号装置
11、21・・・取得部
12、25・・・変換部
13・・・判定部
14、23・・・選択部
15・・・符号化部
16、26・・・出力部
22・・・設定部
24・・・復号部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデータが並んだ入力データを取得する取得部と、
前記入力データにおいて、連続する同一の値のデータと、前記連続する同一の値のデータ
に隣接する他の値のデータとを含むデータ群を探索し、前記データ群に対応する中間デー
タに変換する変換部と、
前記データ群における先頭のデータが、前記入力データ中のどの位置にあるかに応じて、
前記中間データを符号化する際の符号化方法を選択する選択部と、
選択された前記符号化方法を用いて、前記中間データを符号化する符号化部と
を備える、データ符号化装置。
【請求項2】
前記選択部は、
前記入力データにおける所定の位置の前後において異なる符号化方法を切り替えて選択す
るための切替位置情報と、前記注目位置とに基づいて、前記符号化方法を選択する、
請求項1記載のデータ符号化装置。
【請求項3】
前記変換部は、
前記連続する同一の値のデータと、前記連続する同一の値のデータに隣接する他のデータ
と、の組み合わせの各組に識別番号を割り当てた変換テーブルを用いて、前記データ群を
前記中間データに変換する、
請求項2記載のデータ符号化装置。
【請求項4】
前記取得部は、
直交変換された画像データの変換係数を取得する、
請求項3記載のデータ符号化装置。
【請求項5】
前記符号化部は、
ハフマン符号化により、前記中間データを符号化する、
請求項1記載のデータ符号化装置。
【請求項6】
符号化データを取得する取得部と、
前記符号化データにおいて、復号すべきデータの位置である注目位置を設定する設定部と

前記符号化データにおける先頭の注目位置のデータが、前記符号化データ中のどの位置に
あるかに応じて復号方法を選択する選択部と、
選択された前記符号方法を用いて、前記符号化データを中間データに復号する復号部と、
前記中間データを、前記中間データに対応するデータ群であって、連続する同一の値のデ
ータと、前記連続する同一の値のデータに隣接する他の値のデータと、を含む前記データ
群に変換する変換部と
を備える、データ復号装置。
【請求項7】
複数のデータが並んだ入力データを取得し、
前記入力データにおいて、連続する同一の値のデータと、前記連続する同一の値のデータ
に隣接する他の値のデータとを含むデータ群を探索し、前記データ群に対応する中間デー
タに変換し、
前記データ群における先頭のデータが、前記入力データ中のどの位置にあるかに応じて、
前記中間データを符号化する際の符号化方法を選択し、
選択された前記符号化方法を用いて、前記中間データを符号化する、
データ符号化方法。
【請求項8】
符号化データを取得し、
前記符号化データにおいて、復号すべきデータの位置である注目位置を設定する設定部と

前記符号化データにおける先頭の注目位置のデータが、前記符号化データ中のどの位置に
あるかに応じて復号方法を選択し、
選択された前記符号方法を用いて、前記符号化データを中間データに復号し、
前記中間データを、前記中間データに対応するデータ群であって、連続する同一の値のデ
ータと、前記連続する同一の値のデータに隣接する他の値のデータと、を含む前記データ
群に変換する、
データ復号方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−81003(P2013−81003A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218672(P2011−218672)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】