説明

データ通信システム、プリアンプル長最適化方法、及び通信装置

【課題】 通信装置間の伝送環境に応じて最適なプリアンブル長を設定してフレームを効率よく送受信することができるデータ通信システム、プリアンプル長最適化方法、及び通信装置を提供する。
【解決手段】 第1通信装置から送信されて第2通信装置において受信されたフレーム中のプリアンブルに基づいてビット同期を検出する同期検出手段と、第2通信装置の受信フレーム中の同期検出手段によるビット同期検出位置を示す同期位置情報を生成する同期位置情報生成手段と、同期位置情報に基づいてプリアンブルの長さの最適値を算出するプリアンブル長算出手段と、その最適値に基づいた長さのプリアンブルを含むフレームの第1通信装置から第2通信装置への送信を命令する送信命令手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信装置間でプリアンブル、SFD及びデータをその順に含むフレームを送受信するデータ通信システム、そのシステムのプリアンプル長最適化方法、及び通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
データ通信システムにおいて一般にデータをフレーム(又はパケット)化して送受信することが行われている。フレームは、例えば、図1に示すように、先頭から順に、プリアンブル(Preamble)、SFD(Start Frame Delimiter)、データ長、アドレス、データ及びCRC(Cyclical Redundancy Check)からなる構造を有している。プリアンブルは受信側にフレームの開始を認識させ、フレーム受信のための同期タイミングを与えるための信号パターンである。SFDはプリアンブルとデータとの間に配置される認識ビットパターンである。データ長はフレーム内の有効データ(アドレス、データ及びCRCの部分)の長さを示す。アドレスは宛先アドレスであり、更に送信元アドレスを含んでも良い。データはデータ本体である。CRCはフレームの伝送中のエラーを調べるための値である。
【0003】
送信側の通信装置では、フレームを上記のプリアンブルからの順に送信するので、受信側の通信装置では到来したフレーム毎にフレームを受信する際には、図2に示すように、先ずフレームの先頭に位置するプリアンブルを検出してフレームのプリアンブル以降に続く各ビットのためのビット同期タイミングを獲得し、その同期タイミングに従って次のSFDのビットパターンを検出したか否かを判断し、SFDのビットパターンを検出すると、その後のデータ長、アドレス、データ及びCRCを獲得して保存することが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−252049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のデータ通信システムにおいては、フレーム受信側の通信装置でフレームのビット同期を検出するために必要なプリアンブル長がフレーム送信側の通信装置では分からないので、フレームを送信する際には十分長い(冗長な)プリアンブルを送信しなければならず、このことがシステムのスループット(転送効率)向上の妨げとなっていた。
【0006】
これに対処するために、特許文献1には、アンテナのビームパターンやフレーム送信先との送受信履歴に応じて送信するフレームのプリアンブル長を可変とする技術が開示されている。例えば、フレーム送信先に当てて絞られたビームパターンを形成するときには、そのようなビームパターンを形成しないときに比べて、より短いプリアンブル長を持つプリアンブルタイプが選択されてフレーム送信が行われる。また、フレーム送信時において、保持されている送受信履歴を参照して、フレーム送信先との前回の送受信時刻からの経過時間に応じて、プリアンブル長の異なる複数のプリアンブルタイプのうちいずれかを選択することが行われる。
【0007】
しかしながら、特許文献1の開示技術では、送信側の通信装置と受信側の通信装置との間のデータの伝送環境は常に同一であるとは限らないので、フレーム送信時にそのときの伝送環境に最適なプリアンブル長を設定することができないことがあるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、かかる点を鑑みてなされたものであり、通信装置間の伝送環境に応じて最適なプリアンブル長を設定してフレームを効率よく送受信することができるデータ通信システム、プリアンプル長最適化方法、及び通信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のデータ通信システムは、第1通信装置と第2通信装置とを備え、プリアンブル、SFD及びデータをその順に含むフレームを前記第1通信装置と前記第2通信装置との間で送受信するデータ通信システムであって、前記第1通信装置から送信されて前記第2通信装置において受信されたフレーム中の前記プリアンブルに基づいてビット同期を検出する同期検出手段と、前記第2通信装置の受信フレーム中の前記同期検出手段によるビット同期検出位置を示す同期位置情報を生成する同期位置情報生成手段と、前記同期位置情報に基づいて前記プリアンブルの長さの最適値を算出するプリアンブル長算出手段と、前記最適値に基づいた長さのプリアンブルを含むフレームの前記第1通信装置から前記第2通信装置への送信を命令する送信命令手段と、を備えることを特徴としている。
【0010】
本発明のプリアンブル長最適化方法は、第1通信装置と第2通信装置とを備え、プリアンブル、SFD及びデータをその順に含むフレームを前記第1通信装置と前記第2通信装置との間で送受信するデータ通信システムのプリアンプル長最適化方法であって、前記第1通信装置から送信されて前記第2通信装置において受信されたフレーム中の前記プリアンブルに基づいてビット同期を検出する同期検出ステップと、前記第2通信装置の受信フレーム中の前記同期検出ステップによるビット同期検出位置を示す同期検出位置情報を生成する同期位置情報生成ステップと、前記同期検出位置情報に基づいて前記プリアンブルの長さの最適値を算出するプリアンブル長算出ステップと、前記最適値に基づいた長さのプリアンブルを含むフレームでの前記第1通信装置から前記第2通信装置への送信を命令する命令ステップと、を備えることを特徴としている。
【0011】
本発明の通信装置は、プリアンブル、SFD及びデータをその順に含むフレームを受信する通信装置であって、受信したフレーム中の前記プリアンブルに基づいてビット同期を検出する同期検出手段と、前記受信したフレーム中の前記同期検出手段によるビット同期検出位置を示す同期検出位置情報を生成する同期位置情報生成手段と、前記受信したフレームの送信元の通信装置が前記同期検出位置情報に基づいた前記プリアンブルの長さの最適値を得るために前記同期検出位置情報又は前記最適値を前記データに含むフレームを作成してそれを前記送信元の通信装置に向けて送信する送信手段と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1通信装置から送信されたフレームについて第2通信装置において受信されたフレーム中のプリアンブルに基づいてビット同期を検出し、第2通信装置の受信フレームのビット同期検出位置を示す同期検出位置情報を検出し、同期検出位置情報に基づいてプリアンブルの長さの最適値を算出し、その最適値に基づいた長さのプリアンブルを含むフレームの第1通信装置から第2通信装置への送信を命令することが行われるので、第1通信装置ではプリアンブルの長さが最適化されたフレームが第2通信装置に対して送信される。よって、フレーム送信時の伝送環境に応じて最適なプリアンブル長を設定することができ、また、そのフレームの受信する第2通信装置ではビット同期検出後に不必要なプリアンブル受信期間が続くことなくSFDの受信に移行することができ、これにより、第1通信装置と第2通信装置との間でフレームを効率よく送受信することができるので、データ通信システムのスループットの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】フレームの構造を示す図である。
【図2】従来の無線通信システムのフレーム受信動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明が適用されたデータ無線通信システムの概略構成を示すブロック図である。
【図4】データ提供側の通信装置の送受信部の構成を示すブロック図である。
【図5】データ受け取り側の通信装置の送受信部の構成を示すブロック図である。
【図6】図5の送受信部の動作を示す波形図である。
【図7】図3のシステムのフレームの送受信動作を示すシーケンス図である。
【図8】図5の送受信部のフレーム受信動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0015】
図3は本発明の実施例としてのデータ無線通信システムを示している。このデータ無線通信システムは、複数の通信装置を有しているが、分かり易くするために図3には2つの通信装置1,2が示されている。ここでは通信装置1はデータ提供側装置(第1通信装置)であり、通信装置2は通信装置1からのデータを受け取る側装置(第2通信装置)である。
【0016】
通信装置1はホスト部11と送受信部12とを有し、通信装置2は同様にホスト部21と送受信部22とを有している。ホスト部11,21はコンピュータからなる制御回路である。ホスト部11は動作モードが送信モードであるとき送受信部12が送信動作をするように送受信部12を制御し、動作モードが受信モードであるとき送受信部12が受信動作をするように送受信部12を制御する。同様に、ホスト部21は動作モードが送信モードであるとき送受信部22が送信動作をするように送受信部22を制御し、動作モードが受信モードであるとき送受信部22が受信動作をするように送受信部22を制御する。
【0017】
送受信部11,22はLSI等の集積回路から各々なる。送受信部12はホスト部11の送信指令に応じて送信動作となり、フレームを無線信号としてアンテナ13を介して送信し、また、フレームの送信を終了すると受信動作となり、到来したフレームをアンテナ13を介して受信してフレーム中の有効データを取り出して保持する。同様に、送受信部22はホスト部21の送信指令に応じて送信動作となり、フレームを無線信号としてアンテナ23を介して送信し、また、フレームの送信を終了すると受信動作となり、到来したフレームをアンテナ23を介して受信してフレーム中の有効データを取り出して保持する。
【0018】
送受信に利用されるフレームは、図1に示したように、プリアンブル、SFD、データ長、アドレス、データ及びCRCからなる構造を有している。説明が繰り返しになるが、プリアンブルは受信側にパケットの開始を認識させ、パケット受信のための同期タイミングを与えるための例えば1と0とが交互に続く信号パターンである。SFDはプリアンブルとデータとの間に配置されるビットパターンである。データ長はパケット内の有効データ(アドレス、データ及びCRCの部分)の長さを示す。アドレスは宛先アドレスであり、更に送信元アドレスを含んでも良い。データはデータ本体であり、そのデータの種類として上記した基準タイミングを表すデータである同期信号パターン(基準タイミング信号パターン)が含まれる。CRCはパケットの伝送中のエラーを調べるための値である。
【0019】
通信装置1の送受信部12は図4に示すように、RF回路101、復調回路102、SFD検出回路103、受信FIFO104、フレーム形成部105、及び変調回路106を備えている。
【0020】
RF回路101はアンテナ13に接続されており、送信時には変調回路106から入力されるフレームを構成するディジタル信号を無線信号(RF信号)としてアンテナ13より出力し、受信時にはアンテナ13から入力される無線信号を受信してそれを中間周波数に周波数変換して受信信号IFとして復調回路102へ出力する。RF回路101の動作モードはホスト部11によって制御される。
【0021】
復調回路102はRF回路101の出力に接続されており、RF回路101より入力される受信信号IFを復調してディジタル信号RXDを得てそれをSFD検出回路103及び受信FIFO104へ出力する。また、復調回路102は復調結果のディジタル信号RXDからプリアンプルパターンを識別し、プリアンブルパターンを検出したときを同期検出時としてSFD検出回路103に対してビット同期検出信号SYNCを出力する。
【0022】
SFD検出回路103は復調回路102の出力に接続されており、復調回路102からビット同期検出信号SYNCを受信すると、復調回路102から出力されるディジタル信号RXDからSFDパターンを識別する。SFD検出器103はSFDパターンの検出を完了すると、受信FIFO104に対してSFD検出信号SFD_DETを通知する。このSFDパターンの検出完了は、フレームのプリアンブル及びSFD区間が終了し有効データ範囲であることを示す。
【0023】
受信FIFO104は復調回路102及びSFD検出回路103各々の出力に接続されており、SFD検出回路103からのSFD検出信号SFD_DETに応答して復調回路102から出力されるディジタル信号RXD、すなわちフレーム中のデータ長を含む有効データを保持する。受信FIFO104の出力はホスト部11に接続され、その保存データはホスト部11に読み取り可能にされている。
【0024】
フレーム形成部105はホスト部11からの送信指令に応じてその送信指令に含まれる送信データ(プリアンブル、SFD、データ長、アドレス、及びデータ)を送信FIFO(図示せず)に保持してその送信データにCRCを付加してフレームを形成する。
【0025】
変調回路106はフレーム形成部105の出力に接続されており、フレーム形成部105から入力されるフレームを変調して変調後のフレームを送信するためにRF回路101へ出力する。
【0026】
通信装置2の送受信部22は図5に示すように、RF回路201、復調回路202、SFD検出回路203、受信FIFO204、フレーム形成部205、変調回路206、PB_SFDカウンタ回路207、及びPB_SFDレジスタ回路208を備えている。
【0027】
RF回路201、復調回路202、SFD検出回路203、受信FIFO204、フレーム形成部205、及び変調回路206は、送受信部12のRF回路101、復調回路102、SFD検出回路103、受信FIFO104、フレーム形成部105、及び変調回路106と同一であるので、ここでの説明は省略される。
【0028】
PB_SFDカウンタ回路207は復調回路202及びSFD検出回路203各々の出力に接続されており、復調回路202から入力したビット同期検出信号SYNCに応答してクロックのカウント動作を開始し、SFD検出回路203から入力したSFD検出信号SFD_DETに応じてカウント動作を停止してその時のカウント値PB_COUNTをPB_SFDレジスタ回路208に出力する。クロックは送受信部22内のクロック生成部(図示せず)から生成され、復調回路103から出力されるディジタル信号RXDのビットのタイミングに同期しているので、PB_SFDカウンタ回路207のカウント値はビット同期検出信号SYNCの生成からSFD検出信号SFD_DETの生成までに復調回路103から出力されたディジタル信号RXDのビット数を表す。
【0029】
PB_SFDレジスタ回路208はPB_SFDカウンタ回路207の出力に接続され、PB_SFDカウンタ回路207から出力されたカウント値PB_COUNTを保存する。PB_SFDレジスタ回路208の出力はホスト部21に接続され、その保存カウント値PB_COUNTはホスト部21に読み取り可能にされている。
【0030】
かかる構成のデータ無線通信システムにおいて、通信装置1と通信装置2との間で無線通信が確立され、データ提供側の通信装置1から無線信号にてフレームが通信装置2に送信されるとする。
【0031】
図7に示すように、通信装置1のホスト部11は送信データ(プリアンブル、SFD、データ長、アドレス、及びデータ)を作成して(ステップS1)、送受信部12に対して送信データを含む送信命令を発する(ステップS2)。送受信部12では送信命令に応じてフレームを作成してそのフレームを無線信号にて送信することが行われる(ステップS3)。具体的には、フレーム形成部105においてホスト部11からの送信指令に応じてその送信指令に含まれる送信データにCRCを付加することによりフレームが形成される。このフレームにおけるプリアンブルの長さは初期長(バイト)であり、例えば、1〜4バイトのうちで設定されるならば、最長の4バイトである。フレーム形成部105から入力されるフレームは変調回路106で変調され、変調後のフレームがRF回路101によって所定の周波数の無線信号とされ、それがアンテナ13を介して送信される。その無線信号は通信装置2のアンテナ23を介して送受信部22によって受信され、フレーム受信動作により無線信号からフレーム内のデータ長を含む有効データが得られる(ステップS4)。
【0032】
ここで、送受信部22におけるフレーム受信動作について図8のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0033】
アンテナ23に届いた無線信号はRF回路201で受信され(ステップS21)、受信信号に変換されて復調回路202に供給される。受信信号は復調回路202で復調されてディジタル信号RXDとなり、ディジタル信号RXDはSFD検出回路103及び受信FIFO104へ出力される。ディジタル信号RXDは図6に示すように、無入力状態からフレームのビットデータを示すことになる。フレームの先頭はプリアンブルであるので、プリアンブルの各ビットに対して復調回路102は同期をとることを開始する(ステップS22)。復調回路102は同期をとることができると、復調回路102から図6に示すように、高レベルのビット同期検出信号SYNCが生成される。そのビット同期検出信号SYNCに応答してPB_SFDカウンタ回路207がクロックのカウントを開始する(ステップS23)。
【0034】
また、ビット同期検出信号SYNCに応答してSFD検出回路203はディジタル信号RXDからフレームのSFDに対応する部分を検出することを開始する(ステップS24)。SFD検出回路203はディジタル信号RXDからフレームのSFDに対応する部分の検出を完了すると、その時点はSFDの終了ビットの検出が終了した時点である。図6に示すように、この時点でSFD検出回路203から高レベルのSFD検出信号SFD_DETが生成される。SFD検出信号SFD_DETは受信FIFO204とPB_SFDカウンタ回路207とに供給される。
【0035】
SFD検出信号SFD_DETに応答してPB_SFDカウンタ回路207はカウント動作を停止するので(ステップS25)、そのときのカウント値PB_COUNTはビット同期検出信号SYNCの生成からSFD検出信号SFD_DETの生成までの、すなわちビット同期検出時からSFD検出時までのディジタル信号RXDのビット数を表す。そのカウント値PB_COUNTはPB_SFDレジスタ回路208に保存される。
【0036】
また、SFD検出信号SFD_DETに応答して受信FIFO204はディジタル信号RXDの保存を開始するので、受信FIFO204には無線信号として受信したフレームのデータ長を含む有効データが保存されることになる(ステップS26)。これにより、フレームの受信が終了する。
【0037】
通信装置2のホスト部21はフレームの受信終了のタイミングでPB_SFDレジスタ回路208に保持されたカウント値PB_COUNTを同期検出位置情報として読み取り(ステップS5)、カウント値PB_COUNTをデータとして含む送信データ(プリアンブル、SFD、データ長、アドレス、及びデータ)を作成して(ステップS6)、送受信部22に対して送信データを含む送信命令を発する(ステップS7)。送受信部22では送信命令に応じてフレームを作成してそのフレームを無線信号にて送信することが行われる(ステップS8)。具体的には、フレーム形成部205においてホスト部21からの送信指令に応じてその送信指令に含まれる送信データにCRCを付加することによりフレームが形成される。フレーム形成部205から入力されるフレームは変調回路206で変調され、変調後のフレームがRF回路201によって所定の周波数の無線信号とされ、それがアンテナ23を介して送信される。なお、ステップS5で作成されたフレームのデータ長或いはデータ部分にはカウント値PB_COUNTがデータとして含まれることが示されるので、このフレームの受信側の通信装置1ではカウント値PB_COUNTの存在を判断することができる。
【0038】
カウント値PB_COUNTをフレーム中に含む無線信号は通信装置1のアンテナ13を介して送受信部12によって受信され、無線信号からフレーム内のデータ長を含む有効データが受信FIFO104に保存される(ステップS9)。
【0039】
ホスト部12はフレームの受信終了のタイミングで受信FIFO104に保存されたカウント値PB_COUNTを読み取り(ステップS10)、カウント値PB_COUNTに基づいてプリアンブル長の最適値を算出する(ステップS11)。プリアンブル長の最適値の算出方法としては、先ず、減少バイト数=(PB_COUNT−SFD長)/8が算出される。この減少バイト数の算出では小数点以下が切り捨てられる。PB_COUNT−SFD長は図6のビット同期検出時からSFDの開始時点までのビット数である。8は1バイトのビット数である。そして、減少バイト数を用いてプリアンブル長の最適値(=初期長−減少バイト数)が算出される。例えば、減少バイト数が1バイトであり、プリアンブルの初期長が4バイトならば、プリアンブル長の最適値は3バイトとなる。
【0040】
ホスト部11はプリアンブル長の最適値を算出すると、送受信部12に対してプリアンブル長の最適値を適用した送信データを作成して(ステップS12)、その送信データ含む送信命令を発する(ステップS13)。送受信部12では送信命令に応じてフレームを作成してそのフレームを無線信号にて送信することが行われる(ステップS14)。すなわち、ホスト部11からの送信指令に含まれる送信データ(プリアンブル、SFD、データ長、アドレス、及びデータ)のプリアンプルの長さが最適値とされる。
【0041】
このように、通信装置2で実際に無線信号として受信されたフレームのビット同期検出時点からSFD検出時点までのビット数に応じて通信装置1では最適なプリアンブル長が設定され、そのような最適な長さのプリアンブルのフレームを無線信号として送信することが行われるので、その無線信号の受信する通信装置2ではビット同期検出後に不必要なプリアンブル受信期間が続くことなくSFDの受信に移行することができる。よって、フレーム送信時の伝送環境に応じて最適なプリアンブル長を設定することができ、また、通信装置1,2間でフレームを効率よく送受信することができるので、データ通信システムのスループットの向上を図ることができる。特に、通信装置1がフレームを続けて送信する場合には全体的なデータ伝送時間を短縮化することができる。
【0042】
なお、上記した実施例において、通信装置2の復調回路202が同期検出手段に相当し、PB_SFDカウンタ回路207が同期位置情報生成手段に相当する。通信装置1のホスト部11がプリアンブル長算出手段及び送信命令手段に相当する。また、ステップS22が同期検出ステップに相当し、ステップS25及びS5が同期位置情報生成ステップに相当する。更に、ステップS11がプリアンブル長算出ステップに相当し、ステップS13が送信命令ステップに相当する。
【0043】
また、上記した実施例においては、PB_SFDカウンタ回路207はビット同期検出時点からSFD検出時点までのビット数をカウントしているが、これに限定されない。例えば、ビット同期検出時点からフレームのデータ長終了時点までのビット数、ビット同期検出時点からフレームのアドレス終了時点までのビット数、更にはビット同期検出時点からフレームの終了までのビット数をカウントしても良い。また、同期検出開始時点から同期検出時点までのビット数をカウントしても良い。すなわち、ビット同期検出時点がフレーム中のどこの位置であるのかを示すことができれば良い。
【0044】
また、上記した実施例においては、プリアンブル長の最適値の算出を通信装置1側で行っているが、これは通信装置2のホスト部21がカウント値PB_COUNTに応じてプリアンブル長の最適値の算出し、カウント値PB_COUNTに代えてプリアンブル長の最適値を含むフレームを無線信号として通信装置1に送信するようにしても良い。また、ホスト部11に代わって送受信部12又は22がプリアンブル長の最適値を算出しても良い。
【0045】
更に、上記した実施例においては、通信装置1から通信装置2に送信するフレームのプリアンブルの長さに対する最適化だけを行っているが、通信装置1に上記したPB_SFDカウンタ回路207及びPB_SFDレジスタ回路208に相当する構成を備えて通信装置2から通信装置1に送信するフレームのプリアンブルの長さも同様の動作により最適化しても良いことは勿論である。また、プリアンブル長の最適値の算出方法については上記した実施例に示した方法に限定されないことなく、カウント値PB_COUNTに応じて他の算出方法を用いてプリアンブル長の最適値を算出しても良い。
【0046】
また、上記した実施例においては、通信装置1,2間でフレームを無線信号として送受信する無線通信システムを示したが、本発明はこれに限定されず、フレームを有線信号としてケーブル等の伝送線を介して伝送する有線通信システムにも適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1,2 通信装置
11,21 ホスト部
12,22 送受信部
101,201 RF回路
102,202 復調回路
103,203 SFD検出回路
104,204 受信FIFO
207 PB_SFDカウンタ回路
208 PB_SFDレジスタ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通信装置と第2通信装置とを備え、プリアンブル、SFD及びデータをその順に含むフレームを前記第1通信装置と前記第2通信装置との間で送受信するデータ通信システムであって、
前記第1通信装置から送信されて前記第2通信装置において受信されたフレーム中の前記プリアンブルに基づいてビット同期を検出する同期検出手段と、
前記第2通信装置の受信フレーム中の前記同期検出手段によるビット同期検出位置を示す同期位置情報を生成する同期位置情報生成手段と、
前記同期位置情報に基づいて前記プリアンブルの長さの最適値を算出するプリアンブル長算出手段と、
前記最適値に基づいた長さのプリアンブルを含むフレームの前記第1通信装置から前記第2通信装置への送信を命令する送信命令手段と、を備えることを特徴とするデータ通信システム。
【請求項2】
前記同期位置情報生成手段は、前記同期検出手段によるビット同期検出時点から前記受信フレーム中の前記SFDの検出時点までの前記受信フレームのビット数を計数するカウンタ手段を含み、
前記カウンタ手段によって計数された前記ビット数を前記同期位置情報とすることを特徴とする請求項1記載のデータ通信システム。
【請求項3】
前記プリアンブル長算出手段は、前記ビット数から前記SFDのビット数を差し引いて得られた値に基づいたバイト数だけ前記プリアンプルのバイト数を減らすことにより前記最適値を算出することを特徴とする請求項2記載のデータ通信システム。
【請求項4】
前記第2通信装置は、前記同期検出手段と前記同期位置情報生成手段とを備え、
前記同期位置情報をフレームの前記データに含むフレームを作成してそれを前記第1通信装置に向けて送信する送信手段を更に備え、
前記第1通信装置は、前記プリアンブル長算出手段と前記送信命令手段とを備え、
前記送信手段によって送信されたフレームを受信して当該フレーム中から前記同期位置情報を取り出す手段を更に備えることを特徴とする請求項1記載のデータ通信システム。
【請求項5】
前記第1通信装置と前記第2通信装置との間で前記フレームが無線信号として送受信されることを特徴とする請求項1記載のデータ通信システム。
【請求項6】
第1通信装置と第2通信装置とを備え、プリアンブル、SFD及びデータをその順に含むフレームを前記第1通信装置と前記第2通信装置との間で送受信するデータ通信システムのプリアンプル長最適化方法であって、
前記第1通信装置から送信されて前記第2通信装置において受信されたフレーム中の前記プリアンブルに基づいてビット同期を検出する同期検出ステップと、
前記第2通信装置の受信フレーム中の前記同期検出ステップによるビット同期検出位置を示す同期位置情報を生成する同期位置情報生成ステップと、
前記同期位置情報に基づいて前記プリアンブルの長さの最適値を算出するプリアンブル長算出ステップと、
前記最適値に基づいた長さのプリアンブルを含むフレームでの前記第1通信装置から前記第2通信装置への送信を命令する送信命令ステップと、を備えることを特徴とするプリアンプル長最適化方法。
【請求項7】
プリアンブル、SFD及びデータをその順に含むフレームを受信する通信装置であって、
受信したフレーム中の前記プリアンブルに基づいてビット同期を検出する同期検出手段と、
前記受信したフレーム中の前記同期検出手段によるビット同期検出位置を示す同期位置情報を生成する同期位置情報生成手段と、
前記受信したフレームの送信元の通信装置が前記同期位置情報に基づいた前記プリアンブルの長さの最適値を得るために前記同期位置情報又は前記最適値を前記データに含むフレームを作成してそれを前記送信元の通信装置に向けて送信する送信手段と、を備えることを特徴とする通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−21546(P2013−21546A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153951(P2011−153951)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(308033711)ラピスセミコンダクタ株式会社 (898)
【Fターム(参考)】