説明

トイレ装置

【課題】段階的に設定温度を変更する方式のトイレ装置において、設定温度を途中段階をパスして一足飛びに目標設定温度に変更することができるようにする。
【解決手段】スイッチ22aが押されると、押される度にLED25から信号(温度変更信号)が本体側に向けて送信される。受光部11から本体側マイコン12にこの温度変更信号が入力されると、タイマーをスタートさせ、まずメモリNに1を設定する。次いで所定時間が経過するまで待機し、所定時間内温度変更信号が入力される毎にNに1を加算する。最後のスイッチ操作から所定時間が経過したならば、ステップ37に移り、設定温度を現段階からN段階先の設定温度に変更し、タイマーをリセットする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便座ヒータ、温水洗浄用温水ヒータ又はお尻乾燥用温風ヒータを備えたトイレ装置に係り、特に、このヒータの設定温度が輪番式に段階的に変更されるよう構成されたトイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
便座ヒータ及び温水洗浄用温水ヒータなどを備えたトイレ設備にあっては、通常、便座温度、温水温度を段階的に切り替えるよう構成している。
【0003】
この温度を切り替えるために、リモコンに設定温度を高くするための操作片と、設定温度を低くするための操作片とを設けたものがある。このリモコンでは、設定温度を高くするための操作片を操作する毎に設定温度が段階的に上がり、設定温度を低くするための操作片を操作する毎に設定温度が段階的に下がる。このように温度を高くするための操作片と低くするための操作片とを独立して設けると、リモコンの操作方法が簡明で分り易い。しかしながら、操作片の数が多くなるので、リモコンが大形化し易い。
【0004】
特開2001−152511の例えば0025及び0030段落には、便座温度、臀部乾燥用温風ヒータ及び温水洗浄用温水ヒータの設定温度を、スイッチ操作する毎に適温→低温→切→適温と輪番式に切り替えることが記載されている。この方式であれば、1個のスイッチ(操作片)を押すだけで設定温度を切り替えることができるので、リモコンのスイッチ数を減少させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−152511
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、便座ヒータとして瞬間加熱式のランプヒータが用いられることがある。また、温水ヒータとして、貯湯式の代わりに瞬間加熱式ヒータが用いられることもある。
【0007】
このような瞬間加熱式ヒータは、設定温度が変更されると、それに追随してヒータ温度が迅速に上下するという動作特性を有している。
【0008】
しかしながら、従来のリモコンでは、操作片を操作する毎にヒータに設定温度変更信号が出力されてヒータ温度が段階的に上昇又は下降するので、目標設定温度に達するまでに時間が掛かることがあった。
【0009】
また、適温→低温→切→適温のように、温度設定に「切」を含む輪番式温度設定方式においては、低温から適温に設定温度を高くしたい場合に、切替途中で「切」を経るときに便座温度や温水温度が著しく低下し、例えば予期せずに冷水が臀部に注ぎ掛けられたり、便座の温度が冷たくなったりするなど、急な温度変化による不快感を感取することがある。
【0010】
本発明は、このように操作片を操作して段階的に設定温度を変更する方式のトイレ装置において、設定温度を途中段階をパスして一足飛びに目標設定温度に変更することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明(請求項1)のトイレ装置は、便座ヒータ、乾燥用温風ヒータ及び温水洗浄用温水ヒータの少なくとも一つよりなるヒータと、該ヒータへの通電を制御する通電制御部と、該通電制御部を操作するための操作片を備えたコントローラとを備え、該通電制御部は、該コントローラからの信号の入力回数に応じてヒータ設定温度を輪番式に段階的に変更するよう構成されたトイレ装置において、該通電制御部は、該コントローラからの信号の入力があると、所定時間待機し、この間にコントローラからの1又は2以上の信号の入力があると、ヒータ設定温度を現段階の設定温度から合計の信号の入力回数だけ先の段階の設定温度に短絡的に変更することを特徴とするものである。
【0012】
本発明(請求項2)のトイレ装置は、便座ヒータ、乾燥用温風ヒータ及び温水洗浄用温水ヒータの少なくとも一つよりなるヒータと、該ヒータへの通電を制御する通電制御部と、該通電制御部を操作するための操作片を備えたコントローラとを備え、該通電制御部は、該コントローラからの信号に応じてヒータ設定温度を変更するよう構成されており、該コントローラは、前記操作片の操作回数に応じてヒータ設定温度を輪番式に段階的に変更するように該通電制御部に信号を出力するよう構成されたトイレ装置において、該コントローラは、該操作片が操作されると、所定時間待機し、この間に操作片が1回又は2回以上操作されると、ヒータ設定温度を現段階の設定温度から合計の操作回数だけ先の段階の設定温度に変更する信号を該通電制御部に出力し、該通電制御部は、該コントローラからの信号を受信すると、ヒータ設定温度を現段階の設定温度から該合計の操作回数だけ先の段階の設定温度に短絡的に変更することを特徴とするものである。
【0013】
本発明(請求項3)のトイレ装置は、便座ヒータ、乾燥用温風ヒータ及び温水洗浄用温水ヒータの少なくとも一つよりなるヒータと、該ヒータへの通電を制御する通電制御部と、該通電制御部を操作するための操作片を備えたコントローラとを備え、該通電制御部は、該コントローラからの信号に応じてヒータ設定温度を変更するよう構成されたトイレ装置において、該コントローラは、該操作片の連続押圧時間の長さに応じてヒータ設定温度を変更するように該通電制御部に信号を出力するものであり、該コントローラは、該操作片が規定時間以上連続して押された場合、ヒータ設定温度を現在の設定温度から該操作片の連続押圧時間の長さに応じた設定温度に変更する信号を該通電制御部へ出力し、該通電制御部は、該コントローラからの信号を受信すると、ヒータ設定温度を現在の設定温度から該連続押圧時間の長さに応じた設定温度に短絡的に変更することを特徴とするものである。
【0014】
請求項4のトイレ装置は、請求項3において、前記コントローラは、前記操作片の連続押圧時間の長さに比例してヒータ設定温度を輪番式に段階的に変更するように前記通電制御部に信号を出力するよう構成されており、該コントローラは、該操作片が規定時間以上連続して押された場合、ヒータ設定温度を該操作片の連続押圧時間の長さ分だけ先の段階の設定温度に変更する信号を該通電制御部に出力し、該通電制御部は、該コントローラからの信号を受信すると、ヒータ設定温度を現段階の設定温度から該連続押圧時間の長さ分だけ先の段階の設定温度に短絡的に変更することを特徴とするものである。
【0015】
請求項5のトイレ装置は、請求項1ないし4のいずか1項において、前記便座ヒータはランプヒータであり、前記温水ヒータは瞬間加熱式ヒータであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1及び2によれば、ヒータ設定温度を輪番式に段階的に変更するよう構成されたトイレ装置において、操作片を所定時間の間に複数回操作すると、ヒータ設定温度は、輪番に関係なく、現段階の設定温度から合計の操作回数分だけ先の段階の設定温度に短絡的に変更される。従って、例えば、ヒータ設定温度を高温→中温→低温→切→高温のように輪番式に段階的に変更するよう構成されたトイレ装置において、ヒータ設定温度を中温から高温に変更する場合には、操作片を所定時間の間に3回操作する。これにより、ヒータ設定温度は、低温及び切を経ることなく、中温から直接的に高温に変更される。これにより、ヒータ設定温度変更時に、例えば予期せずに冷水が臀部に注ぎ掛けられたり、便座の温度が急に冷たくなったりして使用者に不快感を与えることが防止される。
【0017】
請求項3のトイレ装置にあっては、操作片を長押しした場合、ヒータ設定温度が現在の設定温度から、操作片を連続して押している時間の長さに応じた設定温度に短絡的に変更される。これにより、ヒータ設定温度が速やかに目標設定温度に変更される。
【0018】
請求項4によれば、ヒータ設定温度を輪番式に段階的に変更するよう構成されたトイレ装置にあっても、操作片を長押しすると、ヒータ設定温度は、輪番に関係なく、現段階の設定温度から操作片の連続押圧時間分だけ先の段階の設定温度に短絡的に変更される。従って、例えば、ヒータ設定温度を高温→中温→低温→切→高温のように輪番式に段階的に変更するよう構成されたトイレ装置において、ヒータ設定温度を中温から高温に変更する場合には、操作片を3段階分、長押しする。これにより、ヒータ設定温度は、低温及び切を経ることなく、中温から直接的に高温に変更される。これにより、ヒータ設定温度変更時に、例えば予期せずに冷水が臀部に注ぎ掛けられたり、便座の温度が急に冷たくなったりして使用者に不快感を与えることが防止される。
【0019】
本発明は、ランプヒータよりなる便座ヒータや、瞬間加熱式温水洗浄用温水ヒータの制御に適用するのに好適である。特に瞬間加熱式温水洗浄用温水ヒータの制御に適用すると、予期せずに冷水や熱目の湯が臀部に注ぎ掛けられたり、便座が急に冷たくなったり熱くなったりすることが防止され、快適に温水洗浄を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施の形態に係るトイレ装置の斜視図である。
【図2】リモコン及び本体制御部のブロック図である。
【図3】制御内容を示すフローチャートである。
【図4】制御内容を示すフローチャートである。
【図5】制御内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、第1図〜第5図を参照して本発明の好適な形態について説明する。
【0022】
第1図に示すように、洋風水洗式便器にトイレ用機器が組み込まれている。この洋風水洗式便器では洋風便器本体1の後部に便座ボックス2が設置され、該便座ボックス2には、便座3及び便蓋4が回動可能に取り付けられている。便座3には着座センサ及び便座用ヒータが設けられている。
【0023】
この便座ボックス2の内部には、便座着座者の臀部を温水で洗浄するための温水洗浄装置(図示略)の洗浄ノズル5と、洋風便器本体1を使用する者を検知するための人体検知センサ6と、音声装置(図示略)のスピーカ7が設けられている。便座ボックス2の側面には手動式フラッシュハンドル8が設けられている。
【0024】
図示は省略するが、便座ボックス2内には、臀部乾燥用温風ファン、脱臭装置、足元及び便鉢内を照らす照明装置、トイレルーム内にプラスイオンとマイナスイオンとを放出するイオン発生器、トイレルーム内を暖房する部屋暖房装置等が設けられている。この便座ボックス2は、昇降装置(図示略)によって洋風便器本体1の上面から浮上可能とされている。さらに、便座ボックス2内には、これらの機器の制御を行う制御回路を有した本体制御部10(第2図)が設置されている。
【0025】
洋風便器本体1のトラップ部の外周面には、凍結防止用ヒータ(図示略)が設けられている。
【0026】
トイレルームの鉛直な壁面にリモコン20が設置されている。このリモコン20は、この壁面に取り付けた状態において正面視した場合、左右方向に長い長方形の盤状である。
【0027】
このリモコン20の前面下部に設けられたカバー20aの前面には、各種スイッチ例えば、おしり洗浄用のおしりスイッチ(パワフルスイッチ)及びマイルドスイッチ、ビデスイッチ、濡れた臀部に温風を吹き付けて乾燥させるための乾燥スイッチ、洗浄及び乾燥停止用の止スイッチ、洗浄強さ調節スイッチ、洗浄位置調節スイッチ、ターボ脱臭スイッチ、マッサージスイッチ及び電源スイッチが設けられている。
【0028】
おしりスイッチ(パワフルスイッチ)を押すと、おしり洗浄ノズル5から比較的高流速にて温水が噴出し、臀部が力強く洗浄される。マイルドスイッチを押すと、洗浄ノズル5から比較的低流速にて温水が噴出し、臀部がソフトに洗浄される。これらおしりスイッチ及びマイルドスイッチは、もう1回押すと洗浄ノズル5が前後に動いて広い範囲が洗浄され(ワイドモード)、さらにもう1回押すとこの前後移動が停止する。
【0029】
ビデスイッチについても、該ビデスイッチを1回押すとビデ洗浄ノズル5から温水が噴出し、もう1回押すと洗浄ノズル5が前後に動き(ワイドモード)、さらにもう1回押すとノズル5の前後移動がさらに大きくなり(スーパーモード)、さらにもう1回押すとこの前後移動が停止する。
【0030】
おしり洗浄、マイルド洗浄及びビデ洗浄の洗浄強さは、洗浄強さ調節スイッチの操作によって調節可能である。また、おしり洗浄、マイルド洗浄及びビデ洗浄の際における洗浄ノズル5の前後位置は、洗浄位置調節スイッチの操作によって調節可能である。
【0031】
乾燥スイッチは、これを1回押すと比較的高温の温風が吹き出し、もう1回押すと中温の温風となり、さらにもう1回押すと比較的低温の温風となり、以下同様に「高」、「中」、「低」と切り替わる。止スイッチ26を押すと、上述の洗浄や乾燥(温風吹出)動作が停止する。なお、この実施の形態では、洗浄は開始2分後に自動的に停止し、乾燥は開始4分後に自動的に停止するセルフストップ機構が採用されている。
【0032】
ターボ脱臭スイッチを押すと、脱臭装置が作動して便鉢内の臭気を脱臭し、もう1回押すと脱臭装置が停止する。
【0033】
マイルド洗浄時及びビデ洗浄時にマッサージスイッチを押すと、洗浄ノズル5から高流速の温水と低流速の温水が交互に噴出する。
【0034】
電源スイッチを押すと、便器本体側の電源の入/切が切り替わる。また、便器本体1側の電源が切の場合には、リモコンから電源の入/切以外の操作信号は発信しないようになっている。
【0035】
リモコン本体の前面の上部中央には、液晶パネル20bが設けられている。この液晶パネル20bには、時刻表示部、リモコン20からの信号光が便座ボックス2に向けて出力されていることを示すための表示部、洗浄ノズル5から噴出する温水の水勢の表示部、乾燥用温風の温度表示部、節電モードとなっているか否かを表示する節電表示部、暖房装置の入/切を表示する暖房表示部、凍結防止用ヒータの入/切を表示する凍結防止表示部、リモコン20の電池残量を表示する電池残量表示部などが設けられている。
【0036】
リモコン20の上部には、便座3を電動装置によって開閉させるための便座開閉スイッチ、便器本体1を大洗浄するための大フラッシュスイッチ及び小洗浄するための小フラッシュスイッチが設けられている。
【0037】
カバー20aを開けることにより露出する隠しスイッチエリアには、音声再生スイッチ、スキップスイッチ及びリバーススイッチ、音量スイッチ及びモード切替スイッチ等が設けられている。
【0038】
このモード切替スイッチを押すと、音声装置が記憶している複数の曲のうち1曲を繰り返し再生する1曲リピートモード、全曲を順番に繰り返し再生する全曲リピートモード、全曲をランダムに再生するランダムモード、朝及び夜の時間帯に朝専用曲及び夜専用曲を再生する専用曲モード等のモード切替が行われる。前記人体検知センサが使用者を検知すると、各モードに従ってスピーカ7から曲が再生され、使用者を検知しなくなってから所定時間経過後に、曲の再生が停止する。
【0039】
また、隠しスイッチ部には、時刻合わせ用の「時」スイッチ及び「分」スイッチ、温水洗浄装置の温水温度設定スイッチ、便座温度設定スイッチ、温水温度及び便座温度の設定条件を表示する液晶等よりなる表示画面が設けられている。本実施の形態では、これら温水温度及び便座温度は5段階に設定可能となっているが、3段階などであってもよい。
【0040】
さらに、隠しスイッチエリアには、ノズル掃除スイッチ、足許及び便鉢内の照明の入/切スイッチ、本体掃除スイッチ、前記イオン発生器を作動させる快適イオンスイッチ、呼び出しスイッチが設けられている。
【0041】
なお、ノズル掃除スイッチを押すと、洗浄ノズル5がその収納部内に収納されたまま約5秒間該ノズル5に水が注ぎかけられ、ノズル5が水洗いされる。本体掃除スイッチは、これを1回押すと昇降装置が便座ボックス2を浮上させ、もう1回押すと昇降装置が便座ボックス2を元の位置に下降させる。
【0042】
さらに、隠しスイッチエリアには、ワンタッチ節電スイッチ、スーパー節電スイッチ、自動洗浄スイッチ、フルオート便座スイッチ、前記部屋暖房装置を作動させる部屋暖房温度スイッチ、冷込防止スイッチが設けられている。また、スイッチエリアには、これらワンタッチ節電スイッチ、スーパー節電スイッチ、自動洗浄スイッチ、フルオート便座スイッチ、冷込防止スイッチの入/切及び部屋暖房スイッチの切/低温/高温を表示するための、液晶等よりなる表示画面が設けられている。
【0043】
ワンタッチ節電スイッチを押すと、押してから8時間の間、温水用ヒータ及び便座用ヒータが切電された後、給電されて設定温度に戻る。
【0044】
スーパー節電スイッチを押すと、便蓋4が閉じている間は便座用ヒータ及び温水用ヒータが省エネ温度とされる。
【0045】
自動洗浄スイッチを押して自動洗浄モードにすると、着座センサが着座を検知した後に離座を検知したときに、便鉢内が自動的に洗浄される。
【0046】
フルオート便座スイッチを押してフルオート便座モードとすると、人体検知センサ6が人体を感知したときに便蓋4が自動的に開き、人体を感知しなくなると便蓋4が自動的に閉まる。
【0047】
冷込防止スイッチを押すと、トイレルーム内の室温が4℃以下になったときに前記部屋暖房装置を作動させて、室温を5℃に保つ。
【0048】
第2図の通り、リモコン20のこれらの各スイッチからの信号がマイコン21に入力され、マイコン21からの信号によってLED駆動回路24がLED25を発光作動させ、信号光を便器本体1へ向けて送信する。
【0049】
本体制御部10では、この信号光を受光部11で受光し、マイコン12はこの受光信号に基づいて温水ヒータ駆動回路13、便座ヒータ駆動回路14、温風ファン駆動回路15及び部屋暖房駆動回路16並びにその他の各種機器(図示略)の駆動、停止、及び駆動条件変更を行う。
【0050】
第2図では、リモコン20に設けられた設定温度を変更するためのスイッチ22(22a,22b,22c…………………)と、その他のスイッチ23(23a,23b,…………………)とが図示されている。前述の通り、温水の温度は、隠しエリアの温水温度設定スイッチで設定され、便座の温度は隠しエリアの便座温度設定スイッチで設定される。部屋暖房温度は隠しエリアの部屋暖房温度スイッチで設定される。温風乾燥設定温度は、乾燥スイッチを押すことにより切り替えられる。
【0051】
この温度を切り替える場合、各温度設定スイッチを押すと、3段階の場合であれば、中温→低温→切→高温→中温のように、また5段階の場合であれば、レベル3(中温)→レベル2(中低温)→レベル1(低温)→レベル0(切)→レベル5(高温)→レベル4(中高温)→レベル3のように輪番式に設定温度が切り替えられる。なお、温度は中温→低温→切→高温→中温とは逆に、中温→高温→切→低温→中温のように切り替えられてもよい。なお、ヒータによっては、「切」の設定を設けず、中温→低温→高温→中温のように、又はレベル3→レベル2→レベル1→レベル5→レベル4→レベル3のように温度の切替が行われるようにしてもよい。例えば、この実施の形態では、便座温度及び便蓋温度の切替には「切」の設定が設けられており、乾燥温度の切替には「切」の設定が設けられていない。ただし、各駆動回路13〜16の温度設定条件はこれに限定されない。
【0052】
設定温度切替用のスイッチ22(22a,22b,22c,…………………)を1回押すと、信号がマイコン21に入力される。マイコン21からの信号によってLEDから信号が本体制御部10に向って送信されると共に、設定温度が液晶パネル27に表示される。
【0053】
この受光信号に基づいて本体側の各駆動回路13〜16の設定温度が変更される。
【0054】
なお、上記便座ヒータとしては便座を急速に暖房状態に立ち上げたり、便座温度を急速に変更したりすることができる瞬間加熱式ランプヒータが好適である。また、温水ヒータとしては、貯湯式ではなく、セラミックヒータと流水とを接触させて流水を急速に加熱する瞬間加熱式ヒータが好適である。
【0055】
これらの瞬間加熱式ヒータを備えた温水洗浄便座は既に広く市販されている。
【0056】
本実施の形態では、設定温度変更用の操作片としての各スイッチ22が短時間のうちに繰り返し操作されたり、長押しされた場合に、各ヒータの設定温度を現段階の設定温度から、この操作回数や長押し時間分だけ先の段階の設定温度に短絡的に(即ち途中段階を経ることなく)切り替えるようにしている。
【0057】
次に、温度設定用スイッチ22が操作されたときの制御内容について第3図〜第5図を参照して説明する。
【0058】
[第3図の制御]
第3図は、リモコン20の温度設定用スイッチ22が操作されたときに本体側のコントローラとしてのマイコン12がこの操作態様に応じて設定温度を変更するフローである。
【0059】
リモコン20の1つのスイッチ22a(例えば便座温度スイッチ)が押されると、押される度にLED25から信号(温度変更信号)が本体側に向けて送信される。受光部11から本体側マイコン12にこの温度変更信号が入力されると、タイマーをスタートさせ、まずメモリNに1を設定する。次いで所定時間が経過するまで待機する。
【0060】
この所定時間としては0.01〜1秒特に0.5秒程度が好適である。この所定時間内に再び同じスイッチ22aの操作による信号が入力されないならば、所定時間経過後に設定温度を1段階だけ変更し、次いでタイマーをリセットする(ステップ31,32,33,37,38)。
【0061】
所定時間経過前にもう1回同じスイッチ22aが押されたときには、タイマーを再スタートさせると共にメモリNの設定値を1個増やし、さらに所定時間が経過するまで待機する。このように最後のスイッチ操作から所定時間が経過するまで待機し、この間の合計の操作回数をメモリNに記憶させる(ステップ33〜36)。最後のスイッチ操作から所定時間が経過したならば、ステップ37に移り、設定温度を輪番に関係なく現段階からN段階先の設定温度に変更し、タイマーをリセットする。
【0062】
このように、リモコン20の温度設定スイッチがダブルクリック、トリプルクリックの如く短時間に繰り返し操作されると、本体側のマイコン12は、輪番に関係なく、設定温度を現段階からこの合計操作回数だけ先の段階の設定温度に短絡的に変更する。これにより、例えば、中温→低温→高温の2段階を経て中温を高温に変更する代わりに、中温からいきなり高温に設定温度を切り替えることができる。
【0063】
[第4図の制御]
第4図は、リモコン20の温度設定用スイッチ22が操作されたときにリモコン20のコントローラとしてのマイコン21がこの操作態様に応じて設定温度を変更する信号を送信するフローである。
【0064】
リモコン20の1つのスイッチ22a(例えば便座温度スイッチ)が押されると、タイマーをスタートさせ、まずメモリNに1を設定する。次いで所定時間が経過するまで待機する。
【0065】
この所定時間の好適長さは上記第3図と同じである。この所定時間内に再び同じスイッチ22aが押されないならば、所定時間経過後に設定温度を1段階だけ変更する信号を送信し、次いでタイマーをリセットする(ステップ41,42,43,47,48)。
【0066】
所定時間経過前にもう1回同じスイッチ22aが押されたときには、タイマーを再スタートさせると共にメモリNの設定値を1個増やし、さらに所定時間が経過するまで待機する。このように最後のスイッチ操作から所定時間が経過するまで待機し、この間の合計の操作回数をメモリNに記憶させる(ステップ43〜46)。最後のスイッチ操作から所定時間が経過したならば、ステップ47に移り、設定温度を輪番に関係なく現段階からN段階先の設定温度に変更する信号を送信し、タイマーをリセットする。
【0067】
このリモコン20からの信号が本体側のマイコン12に入力されると、マイコン12は、このスイッチ22aに対応するヒータの設定温度を、輪番に関係なく、現段階からN段階先の設定温度に変更する。
【0068】
このように、リモコン20の温度設定スイッチが短時間に繰り返し操作されると、本体側のヒータの設定温度が現段階からこの合計操作回数だけ先の段階の設定温度に短絡的に変更される。
【0069】
[第5図のフロー]
第5図は、リモコン20の1つのスイッチ22a(例えば温水温度設定スイッチ)を長押しした場合に、設定温度を現段階からこの長押しした時間の長さ分だけ先の段階の設定温度に変更するようにしたものである。
【0070】
このフローでは、スイッチ22aが押されると、タイマーTをスタートさせ、スイッチ22aから指が離れるまで待機する(ステップ51〜53)。
【0071】
スイッチ22aから指が離れると、スイッチ22aが押されていた時間Tを基準時間Toで除算し、T/Toの値以上の最も近い整数Nを定める(ステップ54)。なお、Toとしては0.5〜1秒特に0.5秒程度が好適である。Toを例えば0.5秒に設定した場合において、例えばTが1秒のときには、T/To=2であるので、N=2と設定される。また、例えばTが1.3秒のときには、T/To=2.6であり、それよりも大きく且つそれに最も近い整数は3であるので、N=3と設定される。なお、スイッチの押圧時間と設定温度の変更段数との関係はこれに限定されない。
【0072】
次いで、リモコン20は、設定温度を輪番に関係なく現段階からN段階先の設定温度に変更する信号を本体側に向けて送信した後、タイマーTをリセットする(ステップ55,56)。
【0073】
このリモコン20からの信号が本体側のマイコン12に入力され、マイコン12は、このスイッチ22aに対応するヒータの設定温度を、輪番に関係なく、現段階からN段階先の設定温度に変更する。
【0074】
これにより、スイッチ22aの長押し時間に比例した段階まで、途中の段階を経ることなく、設定温度を切り替えることができる。
【0075】
なお、第5図のフローは、リモコン20のマイコン21によって実行されるものであるが、本体側のマイコン12でも同様の制御を行ってもよい。ただし、この場合、スイッチ22aが長押しされると、この長押しされている間、継続してLEDが発光することになり、リモコン20の電池が早く消耗することになるので、第5図の通りリモコン20側において長押しの信号処理を行う方が好ましい。
【0076】
以上、第3図〜第5図のフローを、スイッチ22aが押された場合について説明したが、他のスイッチ22が押された場合にも同様に制御されてもよいことは明らかである。
【0077】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は上記以外の態様とされてもよい。
【0078】
本発明は、リモコンに設定温度を高くするための操作片と、設定温度を低くするための操作片とを設け、設定温度を高くするための操作片を操作する毎に、又は該操作片を長押しした時間分だけ設定温度が段階的に上がり、設定温度を低くするための操作片を操作する毎に、又は該操作片を長押しした時間分だけ設定温度が段階的に下がるように構成されたトイレ装置にも適用可能である。この場合、例えば、設定温度を高くするための操作片が所定時間内に複数回操作された場合又は長押しされた場合には、ヒータ設定温度を現段階の設定温度からこの合計の操作回数又は長押し時間分だけ先の段階の設定温度まで短絡的に上昇させ、設定温度を低くするための操作片が所定時間内に複数回操作された場合又は長押しされた場合には、ヒータ設定温度を現段階の設定温度からこの合計の操作回数又は長押し時間分だけ先の段階の設定温度まで短絡的に下降させるよう構成する。これにより、これらの操作片の操作回数又は長押し時間に応じて速やかに目標設定温度までヒータ設定温度を上昇又は下降させることができる。
【符号の説明】
【0079】
1 便器本体
10 本体制御部
12,21 マイコン
20 リモコン
22,22a,22b,22c 設定温度変更用のスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座ヒータ、乾燥用温風ヒータ及び温水洗浄用温水ヒータの少なくとも一つよりなるヒータと、
該ヒータへの通電を制御する通電制御部と、
該通電制御部を操作するための操作片を備えたコントローラと
を備え、
該通電制御部は、該コントローラからの信号の入力回数に応じてヒータ設定温度を輪番式に段階的に変更するよう構成されたトイレ装置において、
該通電制御部は、該コントローラからの信号の入力があると、所定時間待機し、この間にコントローラからの1又は2以上の信号の入力があると、ヒータ設定温度を現段階の設定温度から合計の信号の入力回数だけ先の段階の設定温度に短絡的に変更することを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
便座ヒータ、乾燥用温風ヒータ及び温水洗浄用温水ヒータの少なくとも一つよりなるヒータと、
該ヒータへの通電を制御する通電制御部と、
該通電制御部を操作するための操作片を備えたコントローラと
を備え、
該通電制御部は、該コントローラからの信号に応じてヒータ設定温度を変更するよう構成されており、
該コントローラは、前記操作片の操作回数に応じてヒータ設定温度を輪番式に段階的に変更するように該通電制御部に信号を出力するよう構成されたトイレ装置において、
該コントローラは、該操作片が操作されると、所定時間待機し、この間に操作片が1回又は2回以上操作されると、ヒータ設定温度を現段階の設定温度から合計の操作回数だけ先の段階の設定温度に変更する信号を該通電制御部に出力し、
該通電制御部は、該コントローラからの信号を受信すると、ヒータ設定温度を現段階の設定温度から該合計の操作回数だけ先の段階の設定温度に短絡的に変更することを特徴とするトイレ装置。
【請求項3】
便座ヒータ、乾燥用温風ヒータ及び温水洗浄用温水ヒータの少なくとも一つよりなるヒータと、
該ヒータへの通電を制御する通電制御部と、
該通電制御部を操作するための操作片を備えたコントローラと
を備え、
該通電制御部は、該コントローラからの信号に応じてヒータ設定温度を変更するよう構成されたトイレ装置において、
該コントローラは、該操作片の連続押圧時間の長さに応じてヒータ設定温度を変更するように該通電制御部に信号を出力するものであり、
該コントローラは、該操作片が規定時間以上連続して押された場合、ヒータ設定温度を現在の設定温度から該操作片の連続押圧時間の長さに応じた設定温度に変更する信号を該通電制御部へ出力し、
該通電制御部は、該コントローラからの信号を受信すると、ヒータ設定温度を現在の設定温度から該連続押圧時間の長さに応じた設定温度に短絡的に変更することを特徴とするトイレ装置。
【請求項4】
請求項3において、前記コントローラは、前記操作片の連続押圧時間の長さに比例してヒータ設定温度を輪番式に段階的に変更するように前記通電制御部に信号を出力するよう構成されており、
該コントローラは、該操作片が規定時間以上連続して押された場合、ヒータ設定温度を現段階から該操作片の連続押圧時間の長さ分だけ先の段階の設定温度に変更する信号を該通電制御部に出力し、
該通電制御部は、該コントローラからの信号を受信すると、ヒータ設定温度を現段階の設定温度から該連続押圧時間の長さ分だけ先の段階の設定温度に短絡的に変更することを特徴とするトイレ装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずか1項において、前記便座ヒータはランプヒータであり、前記温水ヒータは瞬間加熱式ヒータであることを特徴とするトイレ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−196447(P2010−196447A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46069(P2009−46069)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】