説明

トナー、現像方法および画像形成方法

【課題】高速、高画質、高耐久、低環境負荷、多種メディア対応および高環境安定性を満足するトナーを提供することを目的とする。
【解決手段】像担持体上の静電潜像を現像するために現像剤を担持し搬送する現像剤担持体を有する現像装置において用いられるトナーであって、
該現像装置は、該現像剤担持体に対する現像剤の供給及び除去を行う現像剤供給・除去手段を備え、
該現像剤供給・除去手段は導電性材料と該導電性材料の表面に積層した体積抵抗値が
109Ωcm以上の高抵抗材料とを有しており、
該トナーの体積抵抗値Aと該高抵抗材料の体積抵抗値Bの関係が10-3≦A/B≦104であって、該トナーの振動電界印加、常温常圧下での凝集度Cが20乃至90(%)であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体上に形成された潜像に現像剤を付着させて可視化する電子写真方式や静電記録方式などの複写機、プリンタ等の画像形成装置に使用されるトナー、現像方法および画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の複写機やプリンターには、小型化、軽量化、高信頼性といった要求が強まり、性能に対する要求も厳しいものとなってきている。
【0003】
従来の現像装置には、像担持体上に形成された静電潜像を可視化するために現像剤を搬送する現像剤担持体に、現像剤を供給する現像剤供給部材を有しているものがある。
【0004】
また、静電潜像を可視化した後に、その履歴として現像剤が現像剤担持体上に残留しているが、従来の現像装置には、この残留現像剤を除去する現像剤除去部材を有しているものがある。
【0005】
上記現像剤供給部材が、或いは、現像剤除去部材が現像剤担持体と接触している場合、画像形成動作を多数回繰り返すと現像剤の劣化が進んでしまい、画像不良が発生してしまう。
【0006】
そこで、別の従来技術によれば、現像剤への負荷軽減のために、現像剤供給部材と現像剤除去部材とを現像剤担持体と非接触に配置している(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
図6に、斯かる構成の従来の現像装置の一例を示す。図6は、像担持体としてのドラム状の電子写真感光体(以下、「感光ドラム」という。)110と現像装置111の断面を示す。
【0008】
本例にて、現像装置111には感光ドラム110上の静電潜像を可視化するために磁性一成分トナー112を搬送する現像剤担持体としての現像ローラ113が設けられている。現像ローラ113上の可視化に寄与しなかった残留トナーを除去するために、回転する電極114が非接触に配置されており、この電極114には直流電圧を重畳した交流電圧が印加されている。そして、電極114表面のトナー112を除去するために電極114には、掻き取り部材115が接触している。
【0009】
更に、現像ローラ113にトナー112を供給する供給部材116が現像ローラ113近傍に配置してあり、供給部材116の攪拌による効果と、現像ローラ113を構成している磁性ゴム層113Aの磁力でトナー112の供給を行っている。
【0010】
そのような要望を達成するために現像装置の改良提案が数多くなされてきた。
【0011】
また、トナー飛翔性の観点からトナーの物性を規定し潜像担持体と現像剤担持体の間にバイアスをかけて画像形成を行う画像形成方法用トナーが提案されている(例えば特許文献2乃至5参照)。しかしながら、更なる高画質化と現像剤劣化に関しては改良の余地があり、より厳しい環境条件においては更なる改善が求められる。
【0012】
このように種々問題を総じて解決する現像装置およびトナーが存在しないのが現状である。
【0013】
【特許文献1】特開昭63−106768号公報
【特許文献2】特開平6−222605号公報
【特許文献3】特開平6−222607号公報
【特許文献4】特開平6−222608号公報
【特許文献5】特開平6−222611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記状況を鑑み、高速、高画質、高耐久および高環境安定性を満足するトナーおよび画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的は以下の本発明によって達成される。
【0016】
すなわち、像担持体上の静電潜像を現像するために現像剤を担持し搬送する現像剤担持体を有する現像装置において用いられるトナーであって、
該現像装置は、該現像剤担持体に対する現像剤の供給及び除去を行う現像剤供給・除去手段を備え、
該現像剤供給・除去手段は導電性材料と該導電性材料の表面に積層した体積抵抗値が
109Ωcm以上の高抵抗材料とを有しており、
該現像剤供給・除去手段は該現像剤担持体に対して非接触に配置され、
該現像剤担持体と対向する現像剤供給、除去位置において、該現像剤担持体上の現像剤搬送方向と該現像剤供給・除去手段上の現像剤搬送方向は逆方向であり、
該現像剤供給・除去手段と該現像剤担持体の間に振動電界が形成されるものであり、
該現像剤はトナーからなる一成分現像剤またはトナーとキャリアからなる二成分現像剤であり、
該トナーの体積抵抗値Aと該高抵抗材料の体積抵抗値Bの関係が
10-3≦A/B≦104
であって、該トナーは振動電界印加、常温常圧下での凝集度Cが20乃至90(%)であることを特徴とするトナーによって、本発明が達成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、
(1)現像剤供給・除去部材1部品で現像剤担持体上の現像剤の除去と供給を行えるため、現像装置の小型化、さらに、現像剤への負荷が軽減される。
(2)現像剤の安定供給と現像剤の除去が良好である。
(3)トナー劣化抑制に優れ、部材汚染抑制に優れた現像剤が得られる。
(4)現像安定性に優れた現像剤が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、像担持体上の静電潜像を現像するために現像剤を担持し搬送する現像剤担持体を有する現像装置において用いられるトナーであって、
該現像装置は、該現像剤担持体に対する現像剤の供給及び除去を行う現像剤供給・除去手段を備え、
該現像剤供給・除去手段は導電性材料と該導電性材料の表面に積層した体積抵抗値が
109Ωcm以上の高抵抗材料とを有しており、
該現像剤供給・除去手段は該現像剤担持体に対して非接触に配置され、
該現像剤担持体と対向する現像剤供給、除去位置において、該現像剤担持体上の現像剤搬送方向と該現像剤供給・除去手段上の現像剤搬送方向は逆方向であり、
該現像剤供給・除去手段と該現像剤担持体の間に振動電界が形成されるものであり、
該現像剤はトナーからなる一成分現像剤またはトナーとキャリアからなる二成分現像剤であり、
該トナーの体積抵抗値Aと該高抵抗材料の体積抵抗値Bの関係が
10-3≦A/B≦104
であって、該トナーは振動電界印加、常温常圧下での凝集度Cが20乃至90(%)であることを特徴とする。
【0019】
本発明においては使用する現像装置に関して、上述の項目を満たすことにより低温低湿環境から高温高湿環境まで様々な状況においても安定な現像性を維持することができ、特に現像剤の安定供給と現像剤の除去において良好な結果が得られるものである。
【0020】
本発明においては使用するトナーに関して、上述の項目を満たすことにより低温低湿環境から高温高湿環境まで様々な状況においても現像安定性や転写性が良好である。特にトナーの帯電量が高く現像剤の安定供給と現像剤の除去が困難な低温低湿環境、特に極低湿環境において良好な結果が得られるものである。
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0022】
本発明においては、まず、現像装置は、現像剤担持体に対する現像剤の供給及び除去を行う現像剤供給・除去手段を備え、現像剤供給・除去手段は導電性材料と該導電性材料の表面に積層した体積抵抗値が109Ωcm以上の高抵抗材料とを有しており、該現像剤供給・除去手段は、該現像剤担持体に対して非接触に配置されることが必要である。
【0023】
トナーが現像装置中において使用される場合、その現像剤担持体からのトナーの除去そして供給の設計が重要である。
【0024】
非磁性トナーの現像剤担持体からの除去そして供給を非接触で行うには電気的な作用が必要である。しかし、現像担持体と導電性の現像剤供給・除去手段を非接触で作用させる場合には現像担持体と導電性の現像剤供給・除去手段間のリーク(電流の流れ込み)が発生してしまう。
【0025】
そこで本発明においては、導電性材料と、該導電性材料の表面に積層した体積抵抗値が109Ωcm以上の高抵抗材料と、を有した現像剤供給・除去手段を備えることにより電界のリークを起こすことなく、高電圧の電界をかけることが可能となり、供給除去効率がアップする。
【0026】
該導電性材料の表面に積層した体積抵抗値が109Ωcm未満であると、高電圧の電界をかけるとリークが発生し、コート不良が発生しやすくなる。
【0027】
本発明においては、次いで、トナーの体積抵抗値Aと該高抵抗材料の体積抵抗値Bの関係が
10-3≦A/B≦104
であることが必要である。
【0028】
詳細な理由は不明であるが、トナーの体積抵抗値Aと該高抵抗材料の体積抵抗値Bの関係を制御することにより高電圧の電界が均一にかかりトナーコート性が良いと考えられる。
【0029】
トナーの体積抵抗値Aと該高抵抗材料の体積抵抗値Bの関係(A/B)が10-3未満であると、トナーの電界に対する応答性は良いが、トナー自身の導電性があがり、リークが起こりやすくなる。トナーの体積抵抗値Aと該高抵抗材料の体積抵抗値Bの関係(A/B)が104を超えると、トナーの電界に対する応答性が低くなり、トナーコート性に満足がいかない。
【0030】
本発明においては、更にトナーの振動電界印加、常温常圧下で測定のトナーの凝集度C(以下、振動電界印加凝集度Cと称す)が20乃至90(%)であることが必要である。
【0031】
振動電界印加凝集度Cを20乃至90(%)に制御することによりことにより、高電圧の電界をかけても応答性がよく、かつチャージアップよる画像の不均一性が生じない。
【0032】
振動電界印加凝集度Cが20(%)未満であると、高電圧の電界をかけても応答性が悪く、ゴーストが発生しやすい。振動電界印加凝集度Cが90(%)を超えると、高電圧の電界をかけるとトナー凝集体が発生し、コート不良が発生しやすい。
【0033】
ここで本発明の振動電界を印加させた時の凝集度(振動電界印加凝集度)方法を以下に示す。
【0034】
<振動電界印加凝集度測定方法>
本発明におけるトナーの凝集度については、以下のようにして測定を行った。
【0035】
測定装置としては、デジタル振動計(DEGITAL VIBLATIONMETER MODEL 1332 SHOWA SOKKI CORPORATION製)を有するパウダーテスター(細川ミクロン社製)を用いた。
【0036】
測定法としては、振動台に635メッシュ,390メッシュ,200メッシュのふるいを目開の順に、すなわち200メッシュふるいが最上位にくるように重ねて金属面が接するようにセットした。
【0037】
さらに、最上部のメッシュに対して下記条件の交流直流合成波を印加し、かつ最下部のメッシュに対してコンデンサーを介してアースへ落とした。
【0038】
高電圧印加装置としては、アンプ(TREK社製MODEL615−3)を用いた。
【0039】
<印加電圧条件>
直流電圧:1.0kV
波形:矩形波(比率50:50)
振動(交流)電圧:−1.0kV乃至+1.0kV
【0040】
このセットした200メッシュふるい上に正確に秤量した試料1gを加え、デジタル振動計の変位の値を0.60mm(peak−to−peak)になるように調整し、60秒間振動を加えた。その後、各ふるい上に残った試料の質量を測定して下式にもとづき凝集度を得た。
【0041】
その際の測定サンプルは、それぞれ事前に23℃,60%RH環境下において24時間放置したものであり、測定は23℃,60%RH環境下で行った。
凝集度(%)=(200メッシュふるい上の残試料質量/5g)×100+(390メ
ッシュふるい上の残試料質量/5g)×60+(635メッシュふる
い上の残試料質量/5g)×20
【0042】
<トナーおよび外添剤体積抵抗値測定方法>
該トナーの体積抵抗値は以下の方法で測定した。
【0043】
すなわち、直径5mmの下部電極を有するシリンダーに導電性物質0.3乃至1.0gをタップ充填後、直径15mmの上部電極をのせて、350gの荷重をかけた状態で測定したものである。このとき試料の厚みを測定した後、0Vから100V刻みで印加電圧を掃引した。測定される試料の抵抗値、試料厚みと印加電圧から電界を算出し、1×104V/cmにおける体積抵抗値を求めた。
【0044】
体積抵抗値の測定に用いる装置を、図8に示す。
【0045】
図8において、11は下部電極を示し、12は上部電極を示し、14は電流計を示し、15は定電圧装置を示し、17は測定サンプルを示し、18はガイドリングを示し、dは測定サンプルの厚みを示し、Aは体積抵抗測定セルを示す。
【0046】
セルAにサンプルを充填し、充填したサンプル17に接するように電極11及び12を配し、該電極間に電圧を印加し、その時流れる電流を電流計14で測定することにより求めた。その測定条件としては、23℃、65%の環境、試料厚みは0.5乃至1.0mmで行った。
【0047】
さらには本発明においては、下記の条件を満たすことが上述してきた効果が増し好ましい。
【0048】
トナーの体積抵抗値Aと該高抵抗材料の体積抵抗値Bの関係が
10-2≦A/B≦103であって、振動電界印加、常温常圧下で測定のトナーの凝集度が30乃至80(%)であることが好ましい。
【0049】
該トナーのBET比表面積をD(m2/g)、トナーの重量平均径をE(μm)とした時、Bの値が3.0乃至9.0であり、関係式D/Eが0.20乃至0.60であることが好ましい。
【0050】
D/Eの値は粒子の表面積の目安となり、この値が大きいほど印加された電界をトナー表層に充電しやすいと考えられる。この値を制御することで高画質が達成できる。
【0051】
D/Eの値が0.20未満であるとトナーの電界に対する応答性が低くなり、トナーコート性に満足がいかない。D/Eの値が0.60を超えるとトナーの電界に対する応答性は良いが、トナー自身の導電性があがり、リークが起こりやすくなる。
【0052】
<トナーBET比表面積測定方法>
トナーのBET比表面積の測定は次のようにして行う。
【0053】
BET比表面積は、例えば湯浅アイオニクス(株)製、全自動ガス吸着量測定装置(オートソープ1)を使用し、吸着ガスに窒素を用い、BET多点法により求める。サンプルの前処理としては、50℃で10時間の脱気を行う。
【0054】
<トナーの重量平均粒径測定方法>
トナーの重量平均粒径の測定には、コールターカウンターTAII型或いはコールターマルチライザー(コールター社製)を用いた。電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて、1%NaCl水溶液を調製した。
【0055】
この電解水溶液100乃至150ml中に、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1乃至5ml加え、さらに測定試料を2乃至20mg加える。試料を混濁した電解液は、超音波分散器で約1乃至3分間分散処理され、前記測定装置により、100μmのアパーチャーを用いて、2μm以上のトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布とを算出し、体積分布から重量基準の重量平均粒径D4を求めた。
【0056】
トナーの静かさ密度F(g/cm3)およびタップ密度をG(g/cm3)とした時、圧縮度〔(G−F)/G〕×100が10乃至60であることが好ましい。
【0057】
圧縮度の値は粉体のしまりやすさの目安となり、この値が大きいほど印加された電界をトナー表層に充電しやすいと考えられる。この値を制御することで高画質が達成できる。
【0058】
〔(G−F)/G〕×100が10未満であるとトナーの電界に対する応答性が低くなり、トナーコート性に満足がいかない。〔(G−F)/G〕×100の値が60を超えるとトナーの電界に対する応答性は良いが、トナー自身の導電性があがり、リークが起こりやすくなる。
【0059】
静かさ密度、タップ密度、圧縮度は、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)を用いて以下の方法で測定する。
【0060】
トナーの静かさ密度(g/cm3)は、目開き608μm(24メッシュ)の篩いを通して、直径5.03cm,高さ5.03cm、容積100cm3の円筒容器へ、トナーを上方から均一に30秒間ふるい落とし、円筒容器の上面のトナーをすり切って秤量することにより測定される。
【0061】
トナーのタップ密度(g/cm3)は、トナーの静かさ密度の測定後、円筒容器に円筒状のキャップをはめ、この上縁まで粉体を加えてタップ高さ1.8cmのタッピングを180回行う。終了後、キャップを外して容器の上面で粉体をすり切って秤量することにより測定される。
【0062】
また、圧縮度は下記式により算出する。
圧縮度=〔(G−F)/G〕×100
(式中、Fはトナーの静かさ密度であり、Gはトナーのタップ密度である。)
【0063】
該トナーのフロー式粒子像測定装置で計測される平均円形度が0.960乃至0.995であることが好ましい。
【0064】
ここにフロー式粒子像測定装置とは粒子撮像の画像解析を統計的に行う装置であり、平均円形度は該装置を用い次式によって求められた円形度の相加平均によって算出される。
【0065】
【数1】

【0066】
上式において、粒子投影像の周囲長とは、二値化された粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さであり、相当円の周囲長とは、二値化された粒子像と同じ面積を有する円の外周の長さである。円相当径とは、測定された粒子の2次元画像の面積と同面積を有する円の直径である。
【0067】
フロー式粒子像測定装置としてFPIA−2100(シスメックス社製)を用いる。測定方法としては、イオン交換水に界面活性剤(好ましくは和光純薬製コンタミノン)を0.1乃至0.5質量%加えて調整した溶液10ml(20℃)に測定試料を0.02g加えて均一に分散させて試料分散液を調製した。分散させる手段としてはエスエムテー社製の超音波分散機UM−50(振動子は5φのチタン合金チップ)を用い、分散時間は5分とし、その際、分散媒の温度が40℃以上にならないように冷却した。測定は0.60乃至400μmの範囲を226チャンネルに分割し、実際の測定では円相当径が0.60μm以上159.21μm未満の範囲で粒子の測定を行う。
【0068】
平均円形度が0.960乃至0.995であると、トナー形状が球形に近いため現像担持体上トナー残量が少なく、回収において負荷が少なく良好な結果が得られる。
【0069】
平均円形度が0.960未満の場合、トナーの残が多く、現像担持体汚染おける融着が起こりやすくなる。
【0070】
本発明において、トナーが下記の関係式(1)、(2)を満足するトナーであることが好ましい。
0≦Et100(mJ)≦500・・・・・(1)
1.00≦Et10/Et100≦1.60・・・・・(2)
[但し、Et100(mJ)は、プロペラ型ブレードを100mm/secで反時計回りに回転させながら容器内のトナー粉体層中に進入させ、トナー粉体層の底面から100mmの位置から測定を開始し、底面から10mmの位置まで進入させた時に得られる、回転トルクと垂直荷重の総和Etを表しており、Et10(mJ)は、10mm/secで回転させた時の回転トルクと垂直荷重の総和Etを表している。]
【0071】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、関係式(1)、(2)は、現像器内においてトナーが受けるストレスとの相関性が高く、ひいては現像剤の耐久性と相関性が高いといことを見出した。ここで、トナーが受けるストレスとは、現像剤供給・除去手段から現像剤担持体にトナーを供給する直前において、また、トナーが塗布された現像剤担持体と現像ブレードとのニップ部直前において、トナーが、受けるストレスを意味している。つまり、現像剤供給・除去手段―現像剤担持体間においては、両部材の回転による周速差により、現像剤担持体―現像ブレード間においては、トナーのコート量規制により、トナー溜まりが出来やすくなっており、そこに、現像剤供給・除去手段や現像剤担持体の回転による力が加わることでトナーにストレスを与えていると考えている。関係式(1)、(2)における、測定値Et100(mJ)、Et10(mJ)は、プロペラ型ブレードがトナー粉体層中に進入した時にかかるエネルギーを測定したものであり、本発明者らは、トナー粉体層がトナー溜まりを、プロペラ型ブレードが現像剤供給・除去手段や現像剤担持体の回転に相当していると考えている。
【0072】
本発明において、Et100(mJ)を500以下に制御することで、現像器内におけるトナーが受けるストレスを軽減させ、高速での長期耐久画出しにおいてもワックスの染み出しによる部材汚染や外添剤の埋め込み、トナー粒子のつぶれなどといったトナー劣化が抑制され、安定した画像を得ることができることを見出した。特に、非磁性一成分系現像剤においては、現像剤供給・除去手段から現像剤担持体にトナーを供給する直前において、また、トナーが塗布された現像剤担持体と現像ブレードとのニップ部においてトナーコート量を規制される直前において、トナー溜まりができやすく、そのことによってトナーがストレスを受けやすい状態にあり、特に耐久後半において、劣化したトナーが蓄積し、かぶりや現像スジなどといった問題を引き起こしやすかった。そのため、Et100(mJ)を500以下に制御することは非常に重要であり、同様の観点から、Et100(mJ)を470以下に制御することが好ましい。より好ましくは、450以下である。
【0073】
さらに、Et100(mJ)は、150以上に制御することがより好ましい。このことによって、トナーに適度なストレスを与え、トナーを素早くかつ均一、シャープに帯電を与えることが可能となり、帯電不良によるかぶり、飛散などを防止する効果がある。
【0074】
Et10/Et100は、1.00以上1.60以下であることが必要であり、1.20以上1.60以下であることがより好ましい。Et10/Et100は、トナーが受けるストレスについて、回転数の依存性をモニターしているものである。これを現像器内の状況に当てはめて考えた場合、写真画像を得るために好ましく用いられるグロス紙を使用して画出しを行った場合や、トランスペアレントシート(OHT)などを使用した場合において、より高画質を達成するために好ましく用いられる手段である、プロセススピードが1/2速や1/3速に落ちる場合が該当すると考えられる。
【0075】
Et10/Et100を1.60以下に抑制することで、そのようなスピードが可変された状況においてもトナーが受けるストレスを軽減でき、長寿命を達成できることが可能となる。
【0076】
一方、Et10/Et100を1.20以上に制御することで、スピードが可変された状況においても、トナーに適度なストレスを与え、トナーを素早くかつ均一、シャープに帯電を与えることが可能となり、帯電不良によるかぶり、飛散などを防止する効果がある。
【0077】
これら、Et100や、Et10/Et100値を制御する方法の例としては、下記の(A)乃至(D)の方法が挙げられる。これらの方法は、単独で行ってもよいが、複数を組み合わせることによって達成しても良い。
(A)例えば、トナーの粒度分布を分級等によって制御し、適度な微粉、粗粉を存在させることでトナーのパッキングを抑制させる方法。
(B)例えば、トナーの平均円形度を高め、トナー粒子間の接触面積を減少させる方法。
(C)例えば、表面エネルギーが低く疎水性の高い処理剤で処理された有機/無機微粒子層をトナー表面に適正量付着させる方法。
(D)例えば、トナー粒子を水系媒体中に分散させ、スチーム等を流入させることで、系全体を100℃に加熱し、トナー表面の微小な凹凸を無くすことで、トナーの表面エネルギーを減少させる方法。
【0078】
<Et100(mJ)およびEt10(mJ)の測定方法>
本発明における、Et100(mJ)およびEt10(mJ)は、粉体流動性分析装置パウダーレオメータFT−4(Freeman Technology社製)(以下、FT−4と省略する場合がある)を用いることによって測定する。
【0079】
具体的には、以下の操作により測定を行う。尚、全ての操作において、プロペラ型ブレードは、図1に示すように、FT−4測定専用48mm径ブレード(48mm×10mmのブレード板の中心に法線方向に回転軸が存在し、ブレード板は、両最外縁部分(回転軸から24mm部分)が70°回転軸から12mmの部分が35°といったように、反時計回りになめらかにねじられたもので、材質はSUS製。型番:C210。以下、ブレードと省略する場合がある)を用いる。
【0080】
FT−4測定専用の直径50mm、容積160mlの円筒状のスプリット容器(型番:C203。容器底面からスプリット部分までの高さ82mm。材質はガラス。以下、容器と省略する場合がある。)に23℃、60%環境に3日以上放置されたトナーを100g入れることでトナー粉体層とする。
【0081】
(1)コンディショニング操作
(a)粉体層表面に対して時計回り(ブレードの回転により粉体層がほぐされる方向)の回転方向に、ブレードの回転スピードは、ブレードの最外縁部の周速60(mm/sec)、粉体層への垂直方向の進入速度を、移動中のブレードの最外縁部が描く軌跡と粉体層表面とのなす角が5(deg)のスピード(以降、なす角と省略する場合がある)で、粉体層表面からトナー粉体層の底面から10mmの位置まで進入させる。その後、粉体層表面に対して時計回りの回転方向に、ブレードの回転スピードが60(mm/sec)、粉体層への垂直方向の進入速度を、なす角が2(deg)のスピードで、トナー粉体層の底面から1mmの位置まで進入させる操作を行う。その後、粉体層表面に対して時計回りの回転方向に、ブレードの回転スピードが60(mm/sec)、粉体層からの抜き取り速度を、なす角が5(deg)のスピードで、トナー粉体層の底面から100mmの位置まで移動させ、抜き取りを行う。抜き取りが完了したら、ブレードを時計回り、反時計回りに交互に小さく回転させることでブレードに付着したトナーを払い落とす。
【0082】
(b)一連の上記(1)−(a)の操作を5回行うことで、トナー粉体層中に巻き込まれている空気を取り除き、安定したトナー粉体層を作る。
【0083】
(2)スプリット操作
上述のFT−4測定専用セルのスプリット部分でトナー粉体層をすり切り、粉体層上部のトナーを取り除くことで、同じ体積のトナー粉体層を形成する。
【0084】
(3)測定操作
(i)Et100の測定
(a)上記(1)−(a)と同様のコンディショニング操作を一回行う。次に粉体層表面に対して反時計回り(ブレードの回転により粉体層が押し込まれる方向)の回転方向に、ブレードの回転スピードが100(mm/sec)、粉体層への垂直方向の進入速度を、なす角が5(deg)のスピードで、トナー粉体層の底面から10mmの位置まで進入させる。その後、粉体層表面に対して時計回りの回転方向に、ブレードの回転スピードが60(mm/sec)、粉体層への垂直方向の進入速度を、なす角が2(deg)のスピードで、粉体層の底面から1mmの位置まで進入させる操作を行う。その後、粉体層表面に対して時計回りの回転方向に、ブレードの回転スピードが60(mm/sec)、粉体層からの垂直方向の抜き取り速度を、なす角が5(deg)のスピードで、粉体層の底面から100mmの位置まで抜き取りを行う。抜き取りが完了したら、ブレードを時計回り、反時計回りに交互に小さく回転させることでブレードに付着したトナーを払い落とす。
【0085】
(b)上記、一連の操作を7回繰り返し、7回目にブレードの回転スピードが100(mm/sec)で、トナー粉体層の底面から100mmの位置から測定を開始し、底面から10mmの位置まで進入させた時に得られる、回転トルクと垂直荷重の総和Etを、Et100とする。
【0086】
(ii)Et10の測定
(a)Et100の測定を終了したトナー粉体層を用い、まず上記(3)−(i)−(a)の操作を1回行う。
【0087】
(b)次に、(3)−(i)−(a)における一連の操作において、ブレードの回転スピードを100(mm/sec)でトナー粉体層に進入させていたところを、70(mm/sec)に落として測定を行う。
【0088】
(c)引き続き、(3)−(ii)−(b)と同様に40(mm/sec)、10(mm/sec)に順次回転数を落とした測定を行い、回転スピードが10(mm/sec)でトナー粉体層の底面から100mmの位置から測定を開始し、底面から10mmの位置まで進入させた時に得られる、回転トルクと垂直荷重の総和Etを、Et10とする。
【0089】
本発明のトナーを製造する方法は、懸濁重合法を用いて直接トナーを生成する方法;単量体には可溶で水溶性重合開始剤の存在下で直接重合させてトナー粒子を生成するソープフリー重合法に代表される乳化重合法によるトナー粒子の製造などが挙げられる。また、マイクロカプセル製法のような界面重合法、in situ重合法、コアセルベーション法などの製造も挙げられる。さらに、少なくとも1種以上の微粒子を凝集させ所望のトナーを得る界面会合法なども挙げられる。あるいは、粉砕法によって得られたトナーを、機械的衝撃力で球形化する方法などが挙げられる。
【0090】
中でも、小粒径のトナー粒子が容易に得られる懸濁重合方法が特に好ましい。トナー粒子の製造方法として懸濁重合を利用する場合には、以下の如き製造方法によって直接的にトナー粒子を製造することが可能である。
【0091】
単量体中に着色剤,重合開始剤,架橋剤,その他の添加剤を加え、ホモジナイザー,超音波分散機等によって均一に溶解又は分散せしめた単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体中に通常の攪拌機またはホモミキサー,ホモジナイザー等により分散せしめる。好ましくは単量体組成物の液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように攪拌速度・時間を調整し、造粒する。その後は、分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の攪拌を行えば良い。重合温度は40℃以上、通常50乃至80℃(好ましくは55乃至70℃)の温度に設定して重合を行う。重合反応後半に昇温しても良く、必要に応じPH変更しても良い。本発明では、更に、トナーの定着時の臭いの原因となる未反応の重合性単量体、副生成物等を除去するために反応後半、又は、反応終了後に一部水系媒体を留去しても良い。反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄・ろ過により収集し、乾燥する。
【0092】
以下に重合法トナーの材料に関して記載する。
【0093】
本発明のトナーを重合方法で製造する際に用いられる重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が用いられる。該ビニル系重合性単量体としては、主に単官能性重合性単量体を使用する。単官能性重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトンが挙げられる。
【0094】
本発明においては、上記した単官能性重合性単量体を単独或いは、2種以上組み合わせて使用する。
【0095】
本発明においては反応の補助として水溶性開始剤を併用しても良い。例として過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチロアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミノジノプロパン)塩酸塩、アゾビス(イソブチルアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルスルホン酸ナトリウム、硫酸第一鉄又は過酸化水素が挙げられる。
【0096】
重合性単量体の重合度を制御する為に、連鎖移動剤,重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。
【0097】
分散安定剤としては、リン酸三カルシウム,リン酸マグネシウム,リン酸アルミニウム,リン酸亜鉛,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,水酸化カルシウム,水酸化マグネシウム,水酸化アルミニウム,メタケイ酸カルシウム,硫酸カルシウム,硫酸バリウム,ベントナイト,シリカ,アルミナ,ヒドロキシアパタイト等が挙げられる。通常単量体組成物100質量部に対して水300乃至3000質量部を分散媒体として使用するのが好ましい。
【0098】
有機系化合物としては例えばポリビニルアルコール,ゼラチン,メチセルロース,メチルヒドロキシプロピルセルロース,エチルセルロース,カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩,デンプン等が使用される。これら分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2乃至2.0質量部を使用することが好ましい。
【0099】
その他好ましく用いられる分散安定剤としては、硫酸,炭酸,燐酸,ピロ燐酸,ポリ燐酸の難水溶性金属塩があり、これらは分散媒中で高速攪拌下において酸アルカリ金属塩とハロゲン化金属塩との反応によって調製されることが好ましい。
【0100】
これら分散剤の微細化のため0.001乃至0.1質量%の界面活性剤を併用しても良い。具体的には市販のノニオン,アニオン,カチオン型の界面活性剤が利用できる。例えばドデシル硫酸ナトリウム,テトラデシル硫酸ナトリウム,ペンタデシル硫酸ナトリウム,オクチル硫酸ナトリウム,オレイン酸ナトリウム,ラウリル酸ナトリウム,ステアリン酸カリウム,オレイン酸カルシウム等が好ましく用いられる。
【0101】
本発明において縮合系化合物を用いる場合、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド、セルロースなどが挙げられる。より好ましくは材料の多様性からポリエステルが望まれる。
【0102】
本発明において用いられるワックスとしては、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロピッシュワックスの如きポリメチレンワックス、アミドワックス、ケトンワックス、高級脂肪酸、長鎖アルコール、エステルワックス及びこれらのグラフト化合物、ブロック化合物の如き誘導体が挙げられる。
【0103】
好ましく用いられるワックスとしては、炭素数15乃至100個の直鎖状のアルキルアルコール、直鎖状脂肪酸、直鎖状酸アミド、直鎖状エステルあるいは、モンタン系誘導体が挙げられる。これらワックスから液状脂肪酸の如き不純物を予め除去してあるものも好ましい。
【0104】
さらに、好ましく用いられるワックスは、アルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒又は、その他の触媒を用いて重合した低分子量のアルキレンポリマー;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;アルキレンを重合する際に副生する低分子量アルキレンポリマーを分離精製したもの、;一酸化炭素及び水素からなる合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素ポリマーの蒸留残分から、あるいは、蒸留残分を水素添加して得られる合成炭化水素から、特定の成分を抽出分別したポリメチレンワックスが挙げられる。これらワックスには酸化防止剤が添加されていてもよい。
【0105】
トナー内の含有量としてはワックスを6乃至15質量%含有している事が好ましい。
【0106】
本発明に用いられる着色剤は、カーボンブラックあるいは以下に示したような公知のイエロー/マゼンタ/シアン着色剤が利用される。
【0107】
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物,イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物,アゾ金属錯体,メチン化合物,アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、151、154、155、168、180等が好適に用いられる。
【0108】
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物,ジケトピロロピロール化合物,アントラキノン,キナクリドン化合物,塩基染料レーキ化合物,ナフトール化合物,ベンズイミダゾロン化合物,チオインジゴ化合物,ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48;2、48;3、48;4、57;1、81;1、122、146、166、150、169、177、184、185、202、206、220、221、254が特に好ましい。
【0109】
本発明に用いられるシアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体,アントラキノン化合物,塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66等が特に好適に利用される。
【0110】
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明の着色剤は、色相角,彩度,明度,耐侯性,OHP透明性,トナー中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量は、樹脂100質量部に対し1乃至20質量部添加して用いられる。
【0111】
本発明に使用できるトナーの添加剤としては、オイル処理されたシリカ,チタニア等の無機微粒子が好適に用いられる。その他、酸化ジルコニウム,酸化マグネシウムの如き酸化物の他に、炭化ケイ素,チッ化ケイ素,チッ化ホウ素,チッ化アルミニウム,炭酸マグネシウム,有機ケイ素化合物なども併用することが可能である。
【0112】
本発明においてはトナーに体積抵抗値Hが104≦H≦1012(Ωcm)である外添剤を少なくとも1種以上使用することが好ましい。
【0113】
シリカは、出発材料あるいは温度等の酸化の条件により、ある程度任意に、一次粒子の合一をコントロールできる点で好ましい。例えば、かかるシリカは硅素ハロゲン化物やアルコキシドの蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法またはヒュームドシリカと称される乾式シリカ及びアルコキシド,水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O,SO3 2-の如き製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム,塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物を硅素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能でありそれらも包含する。
【0114】
更に、上記シリカは疎水化処理されていることが、トナーの帯電量の温度や湿度の如き環境依存性を少なくするため及びトナー表面からの過剰な遊離を防止するために良い。この疎水化処理剤としては、例えばシランカップリング剤、チタンカップリング剤,アルミニウムカップリング剤の如きカップリング剤が挙げられる。特にシランカップリング剤が、無機酸化物微粒子上の残存基あるいは吸着水と反応し均一な処理が達成され、トナーの帯電の安定化,流動性付与の点で好ましい。
【0115】
シランカップリング剤は、下記一般式
Rm SiYn
R:アルコキシ基
m:1乃至3の整数
Y:アルキル基
ビニル基、グリシドキシ基、メタクリル基を含む炭化水素基
n:1乃至3の整数
で表されるものであり、例えばビニルトリメトキシシラン,ビニルトリエトキシシラン,γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン,ビニルトリアセトキシシラン,メチルトリメトキシシラン,メチルトリエトキシシラン,イソブチルトリメトキシシラン,ジメチルジメトキシシラン,ジメチルジエトキシシラン,トリメチルメトキシシラン,ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン,フェニルトリメトキシシラン,n−ヘキサデシルトリメトキシシラン,n−オクタデシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0116】
より好ましくは、Ca2a+1−Si(OCb2b+13
(a=4乃至12、b=1乃至3)
である。ここで、一般式におけるaが4より小さいと、処理は容易となるが疎水性が十分に達成できない。またaが12より大きいと疎水性は十分になるが、粒子同士の合一が多くなり、流動性付与能が低下してしまう。
【0117】
bは3より大きいと反応性が低下して疎水化が十分に行われなくなってしまう。したがって上記一般式におけるaは4乃至12、好ましくは4乃至8、bは1乃至3、好ましくは1乃至2が良い。
【0118】
シリカのオイル処理に関しては、未処理のシリカに直接オイルで処理しても構わないが、上記疎水化処理をしたシリカにさらにオイル処理をすることが、帯電安定性の観点からより好ましい。オイルとしては、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、パラフィン、ミネラルオイル等が使用できるが、なかでも環境安定性に優れたジメチルポリシロキサンが好適である。処理に用いるオイル量は、シリカ微粒子母体100質量部に対して2乃至40質量部までが適量である。
【0119】
本発明のトナーにおいては、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えばポリフッ化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末の如き研磨剤、酸化アルミニウム粉末の如きケーキング防止剤、あるいは例えばカーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化スズ粉末の如き導電性付与剤、また、逆極性の有機微粒子及び無機微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。
【0120】
以下、本発明に係る現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0121】
実施例1
図2は、本発明に係る現像装置を適用した画像形成装置の概略断面図であり、図3は現像装置の概略断面図である。
【0122】
先ず、本実施例の画像形成装置による画像形成動作について説明する。
【0123】
本実施例において、画像形成装置20は、像担持体としてのドラム状の電子写真感光体、即ち、感光ドラム21を備え、感光ドラム21は、矢印A方向に回転自在に担持されている。感光ドラム21の周辺には、帯電装置22、露光装置23、現像装置24が配置されている。
【0124】
先ず、感光ドラム21は、帯電装置22によって一様に帯電され、その後、本実施例にて、露光装置23であるレーザー光学装置からのレーザー光23Lにより露光され、その表面に静電潜像が形成される。
【0125】
この静電潜像を、感光ドラム21に対向配置された現像装置24によって現像し、トナー像として可視化する。なお、本実施例で、現像装置24は、カートリッジとして、画像形成装置本体20Aに対し着脱可能とされる。
【0126】
可視化された感光ドラム21上のトナー像は、転写装置である転写ローラ25によって記録媒体である転写材26に転写される。
【0127】
転写されずに感光ドラム21上に残存した転写残トナーは、クリーニング装置27に設けたクリーニング部材であるクリーニングブレード27aにより掻き取られ、廃トナー容器28に収納される。クリーニングされた感光ドラム21は、上記動作を繰り返し、画像形成を行う。
【0128】
一方、トナー像を転写された転写材26は、定着装置29によって永久定着された後、機外に排紙される。
【0129】
次に、図3を参照して、現像装置24について更に説明する。
【0130】
本実施例にて、現像装置24は、現像剤として負帯電性の非磁性一成分トナー32を収容する現像容器31を備えている。現像装置24は、現像容器31内の長手方向に延在する開口部に位置し、感光ドラム21と対向配置された現像剤担持体としての現像ローラ33を備え、感光ドラム21上の静電潜像を現像、可視化する。本実施例にて、現像ローラ33は、芯金33Aの上に弾性層33Bが形成されている。現像ローラ33の詳しい構成は後述する。
【0131】
感光ドラム21は、アルミシリンダーを基体とし、その周囲に所定厚みの感光層を塗工した剛体である。画像形成時において、帯電装置22により帯電電位Vd=−500Vに均一帯電されており、画像信号に従いレーザー光23Lで露光された部分がVl=−100Vになる。Vl部に対し、現像ローラ33の芯金33Aには電源40から直流電圧Vdc=−300Vが、現像バイアスとして印加され、負性帯電トナーで反転現像される。
【0132】
弾性を有する現像ローラ33は、上記開口部にて、図3に示す右略半周を現像容器31に突入し、左略半周面を現像容器31から露出して横設される。この現像容器31から露出した面は、現像装置24の左方に位置する感光ドラム21に所定の侵入量となるように押圧、接触するように対向している。本実施例においては、感光ドラム21に対して現像ローラ33は50μm侵入し、接触する。
【0133】
現像ローラ33は、図3にて、矢印B方向に回転駆動される。その表面は、トナー32との摺擦確立を高め、かつ、トナー32の搬送を良好に行うため、適度な凹凸を有している。
【0134】
本実施例にて、現像ローラ33は、弾性層33Bとしてウレタンゴムを基層としアクリル・ウレタン系ゴムを表面にコートした、二層構成とされる。また、表面粗さは、Raで0.6乃至1.3μmであり、抵抗は、104乃至107Ωであった。
【0135】
ここで、抵抗の測定方法を説明する。
【0136】
現像ローラ33を、感光ドラム21と等しい直径のアルミスリーブに、当接荷重500gfで当接させる。このアルミスリーブを、さらに感光ドラム21と等しい周速で回転させる。
【0137】
本実施例において、感光ドラム21は周速90mm/secで回転し、直径は30mmであり、現像ローラ33は、感光ドラム21よりも速い周速120mm/secで回転し、直径は20mmである。
【0138】
次に、現像ローラ33に、本実施例における現像バイアスと等しい−300Vの直流電圧を印加する。その際、アース側に10kΩの抵抗を設け、その両端の電圧を測定することで電流を算出し、現像ローラ33の抵抗を算出する。
【0139】
本実施例にて、現像装置24は、現像ローラ33の上方に位置して、弾性を有する現像剤規制部材としての現像ブレード35が配置される。現像ブレード35は、支持板金38に支持されており、当接方向としては、当接部に対して自由端側の先端が、現像ローラ33の回転方向上流側に位置するカウンター方向となっている。
【0140】
現像ブレード35の支持板金38への支持方法は、ビス等による締め付け、或いは、溶接等、任意の方法を採用し得る。また、現像ブレード35及び支持板金38は、現像ローラ33と同電位であり、よって、感光ドラム31上の静電潜像を現像する際には、現像バイアスと同じ電圧が印加されることとなる。
【0141】
現像ブレード35の材質はSUSであるが、弾性を持つものであれば、りん青銅などの金属、或いは、シリコン、ウレタンなどのゴム材、或いは、PET等の樹脂であっても構わない。また、現像ブレード35に印加するバイアスは、現像バイアスと同電位でなくても良く、トナー32を規制するために好適なバイアスを選択しても良い。
【0142】
現像ローラ33の、図3にて右斜め下方には、現像ローラ33への現像剤供給・除去手段としての高抵抗材料コート電極ローラ34が配置されている。高抵抗材料コート電極ローラ34の構成については、後述する。
【0143】
電極高抵抗材料コート電極ローラ34は、現像ローラ33とは非接触にて配置されており、この電極高抵抗材料コート電極ローラ34と現像ローラ33とが対向配置された位置(領域)が、後述する現像剤供給、除去位置(領域)TSを形成する。現像剤供給、除去領域TSにおける現像ローラ33と高抵抗材料コート電極ローラ34との最小ギャップSの大きさは、後述するように、現像ローラ33と高抵抗材料コート電極ローラ34との間に印加する所要電圧により形成される最大電界強度によって決められるが、通常、10乃至400μmとすることができ、本実施例では150μmとした。
【0144】
更に説明すると、高抵抗材料コート電極ローラ34は、回転可能に支持され、現像ローラ33と同一方向(C方向)に回転駆動する。即ち、現像剤供給、除去位置TSにて、現像ローラ34の回転方向(トナー搬送方向)は、高抵抗材料コート電極ローラ34の回転方向(トナー搬送方向)と逆方向とされる。本実施例では、高抵抗材料コート電極ローラ34は、回転方向Cに、周速80mm/secの速度で回転駆動した。
【0145】
高抵抗材料コート電極ローラ34には、本実施例では、画像形成装置の電源39から+2.0kVの直流電圧にサイン波の交流電圧4kVpp、周波数400Hzを重畳したバイアスを印加した。これにより、現像剤供給、除去領域TSにて、現像ローラ33と高抵抗材料コート電極ローラ34との間に振動電界が形成される。
【0146】
高抵抗材料コート電極ローラ34は、導電性材料34Aの表面に高抵抗材料34Bを積層して構成される。本実施例では、高抵抗材料コート電極ローラ34は、直径11.5mmのSUS製芯金34Aの表面に厚さ100μmのポリカーボネート樹脂34Bを積層したものである。
【0147】
後で、上記高抵抗材料コート電極ローラ34の配置と構成と、印加電圧を決定するに至った根拠について説明する。
【0148】
以上のような構成の現像装置24において、現像動作時には、図3に示すように、現像容器31内のトナー32は、高抵抗材料コート電極ローラ34が矢印C方向に回転することにより、高抵抗材料コート電極ローラ34に担持されて現像ローラ33近傍に、即ち、現像剤供給、除去領域TSに運ばれる。
【0149】
高抵抗材料コート電極ローラ34上に担持されているトナー32は、現像ローラ33と高抵抗材料コート電極ローラ34とのギャップSの位置、即ち、現像剤供給、除去領域TSにおいて、電源39から印加される交流電圧にて発生した振動電界により現像ローラ33へと搬送(供給)される。その際、トナー32は、現像ローラ33により摩擦帯電され、現像ローラ33上に付着する。
【0150】
その後、トナー32は、現像ローラの矢印B方向の回転に伴い、現像ブレード35の圧接下に送られ、ここで適正なトリボ(摩擦帯電量)を受けるとともに現像ローラ33上に薄層形成される。
【0151】
現像ローラ33上に薄層形成されたトナー層は、一様に感光ドラム21との対向部である現像部TDへ搬送される。この現像部TDにおいて、現像ローラ33上に薄層形成されたトナー層は、現像ローラ33と感光ドラム21の両者間に電源40により印加された現像バイアスによって、感光ドラム21上の静電潜像にトナー像として現像される。
【0152】
現像部TDにおいて消費されなかった未現像トナーは、現像ローラ33の回転Bと共に現像ローラ33の下部より現像容器31内へと移送、回収される。
【0153】
この回収された現像ローラ33上の未現像トナーは、高抵抗材料コート電極ローラ34と現像ローラ33とがギャップSにて対向配置された現像剤供給、除去領域TSにおいて、高抵抗材料コート電極ローラ34に印加される、現像バイアスに対してトナー32と逆極性側の交流電圧(現像バイアス−300Vからプラス側で振動する電圧)により現像ローラ33表面から除去される。
【0154】
現像ローラ33表面から除去されたトナーの大部分は、高抵抗材料コート電極ローラ34の回転に伴い搬送されて再度現像ローラ33へ供給され前述の作用を繰り返す。
【0155】
上記絶縁コート電極ローラ34と現像ローラ33との間に振動電界を発生することにより、画像が良化する理由は、次の実験で判明した。
【0156】
現像装置24の長手方向端部を透明なアクリル板で構成することでトナー供給部付近の可視化を行った。
【0157】
その結果、上記振動電界を発生することで、図4に示すように、絶縁コート電極ローラ34によって搬送されたトナー32Aは、その動きDが現像剤供給、除去領域TSにて、即ち、トナー供給部Fに発生した電界により妨げられ、トナー32Aが現像ローラ33に担時されていく動きEが観察された。これは、トナー供給部Fで一時滞留したトナー32Aは、現像ローラ33と摩擦帯電を起こして、鏡像力により現像ローラ33上に担持されていると考えられる。
【0158】
なお、高抵抗材料コート電極ローラ34の芯金は、本実施例において、SUS製のものを使用しているが、導電剤を分散させた樹脂、若しくは、ゴムでも良く、導電性のもので電極として機能すればよい。高抵抗コート材料も、所望の最大電界に対して耐圧性があればよい。材料としては、本実施例では、ポリカーボネート樹脂を使用したが、他にもポリエステル、ポリエチレン、ポリイミド、ウレタン、フェノール等の樹脂でも良く、若しくはフッ素樹脂などの耐圧性の大きい樹脂、若しくは、シリコンゴム等のゴム材、若しくは、アルマイト等の高抵抗無機化合物でも良い。
【0159】
また、本実施例では、現像剤供給・除去手段34としてローラ形状の絶縁コート電極ローラ34を使用したが、導電性無端ベルトの表面を高抵抗材料コート処理したものでも良く、その際は、トナー供給位置付近で最大電界が本実施例に挙げた関係にあればよい。
【0160】
また、本実施例においては、本発明を画像形成装置本体20Aに着脱可能な現像装置からなるカートリッジに適用した場合について説明したが、画像形成装置本体内に固定され、トナーのみを補給するような構成の現像装置に適用してもよく、また、図1にて、上記現像装置24と感光ドラム21、クリーニング装置27及び帯電装置22を一体で形成し画像形成装置本体20Aに対し着脱可能としたプロセスカートリッジに適用してもよい。
【0161】
以上から、本実施例によれば、高抵抗材料コートした電極ローラを現像ローラ近傍に間隙を持って配置し、高抵抗材料コート電極ローラと現像ローラを同一方向に回転させ、高抵抗材料コート電極ローラと現像ローラとの間に振動電界を形成することにより、また、特に、交流電圧を高抵抗材料コート電極ローラに印加して、高抵抗材料コート電極ローラ芯金と現像ローラの間の最大電界を8.0×106V/m以上にすると、現像ローラへのトナーの供給と除去が、トナーが磁性、非磁性に限らず、絶縁コート電極ローラ1部品で行えて、現像装置の小型化、回転駆動トルクの低減、トナーへの低負荷の効果が得られる。
【0162】
(非磁性一成分フルカラー画像形成装置の例)
図7は本発明に従う画像形成装置の一例の概略構成図である。本例の画像形成装置は、複数の画像担持体(潜像担持体)である感光ドラムを上下に並べて配置したタンデム型で、中間転写ベルト方式の電子写真カラー(多色画像)プリンタである。上述してきた現像装置を非磁性一成分フルカラー画像形成装置に挿入しても問題のない高画質画像が得られる。
【0163】
PY・PM・PC・PBkはそれぞれイエロー(Y)・マゼンタ(M)・シアン(C)・ブラック(Bk)の各色のトナー画像を形成する第1〜第4の4つの画像形成部(画像形成ユニット)であり、画像形成装置本体内に下から上に順に並列配置されている。
【0164】
これらの第1乃至第4の4つの画像形成部PY・PM・PC・PBkは互いに形成するトナー画像の色が上記のように異なる他は、同一の構成・電子写真作像機能を有している。すなわち、第1乃至第4の各画像形成部はそれぞれ、第1の画像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(感光ドラム)1、一次帯電手段としての帯電ローラ2、露光手段としてのレーザー照射装置3、現像手段としてのトナー現像装置4、一次転写手段としての一次転写ローラ5、クリーニング手段としてのブレードクリーニング装置6等からなる。第1〜第4の各画像形成部のトナー現像装置4に収容させている現像剤はそれぞれイエロートナー、シアントナー、マゼンタトナー、ブラックトナーである。各色のトナーは後述する。
【0165】
本実施例の画像形成装置は、第1乃至第4の各画像形成部PY・PM・PC・PBkにおいて、それぞれ、感光ドラム1、帯電ローラ2、現像装置4、ブレードクリーニング装置6の4つのプロセス機器を一括して画像形成装置本体に対して着脱交換自在のプロセスユニット(プロセスカートリッジ)としてある。
【0166】
30は第2の画像担持体としてのエンドレスベルト状の中間転写ベルトであり、上記の第1乃至第4の4つの画像形成部PY・PM・PC・PBkの感光ドラム1側(プリンタ前面側)においてこの4つの画像形成部の全体部に亘らせて、不図示の複数の支持ローラ間に懸回張設させて縦方向に配設してある。第1乃至第4の各画像形成部において、一次転写ローラ5はそれぞれこの中間転写ベルト30を介して感光ドラム1に圧接させてある。各感光ドラム1と中間転写ベルト30との接触部が一次転写部である。
【0167】
第1乃至第4の各画像形成部PY・PM・PC・PBkにおいて、正回転駆動された各感光ドラム1はその回転過程でそれぞれ不図示の電源回路から帯電バイアスが印加される帯電ローラ2により所定の極性及び電位に一様に一次帯電処理され、その帯電処理面に対してLEDアレイ装置3によりそれぞれフルカラー画像の色分解成分像である、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各画像パターンにしたがった光像露光LY・LM・LC・LBkがなされ、各感光ドラム1上に画像情報の静電潜像が形成される。その静電潜像がそれぞれ現像装置4によってトナー画像として現像されることで、第1〜第4の4つの画像形成部PY・PM・PC・PBkの各感光ドラム1の面にそれぞれ電子写真プロセスによりフルカラー画像の色分解成分像である、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色トナー画像が所定のシーケンス制御タイミングにて形成される。
【0168】
そして、第1乃至第4の各画像形成部PY・PM・PC・PBkにおいて、各感光ドラム1の面に形成されるイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色トナー画像が、各感光ドラム1の正回転方向に順方向の矢印の時計方向に感光ドラム1と略同速で回転駆動される中間転写ベルト30の面に対して、第1乃至第4の各画像形成部PY・PM・PC・PBkの一次転写部において一次転写ローラに不図示の電源回路から印加される一次転写バイアスによって順次に重畳転写される。これにより回転駆動される中間転写ベルト30の面に未定着のフルカラートナー画像(鏡像)が合成形成される。
【0169】
第1乃至第4の各画像形成部PY・PM・PC・PBkにおいて、中間転写ベルト30に対するトナー画像の一次転写後に各感光ドラム1上に残った転写残トナーは第1乃至第4の各画像形成部PY・PM・PC・PBkに戻され貯留される。
【0170】
32は2次転写ローラ、32aは対向ローラである。対向ローラ32aは中間転写ベルト30の下端側において中間転写ベルトの内側に配設してあり、2次転写ローラ32は対向ローラ32aとの間に中間転写ベルト30を挟ませて該中間転写ベルト30の外面に当接させて配設してある。2次転写ローラ32と中間転写ベルト30との接触部が二次転写部である。
【0171】
40は画像形成装置本体の下部に配設した給紙カセットであり、最終記録媒体としての転写材Pを積載収容させてある。CPU80は所定のシーケンス制御タイミングにて搬送手段(ピックアップローラ)31を駆動させて給紙カセット40内の転写材Pを1枚分離給紙させ、所定のタイミングにて二次転写部に給送する。中間転写ベルト30上に合成形成された未定着のフルカラートナー画像は、この二次転写部において二次転写ローラ32に不図示の電源回路から印加される二次転写バイアスによって転写材Pの面に一括転写されていく。
【0172】
二次転写部を通過した転写材Pは、中間転写ベルト30の面から分離されて搬送ベルト35によって定着装置7に送られる。
【0173】
中間転写ベルト30上に残った転写残トナーは、帯電ブラシ33から不図示の電源回路から印加されるバイアスによってプラスの帯電を与えられ、中間転写ベルトより感光ドラムへ逆転写され、感光ドラムに当接されたブレードによりクリーニングされる。
【0174】
定着装置7に送られた転写材P上の未定着のフルカラートナー画像は定着装置7により熱および圧を加えられて転写材Pに溶融固着され、シートパス41を通って画像形成装置本体の上面に配設した排紙トレイ36上にカラー画像形成物として排出される。
【実施例】
【0175】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。
【0176】
<結着樹脂の合成>
<極性樹脂の合成例(1)>
下記原料を、温度計,撹拌器,リフラックスコンデンサー及び窒素ガス導入管を具備している四口フラスコ(four−neck flask)に入れ、下記原料100質量部に対し0.5質量%の触媒量のシュウ酸チタン化合物を入れ、四口フラスコに窒素ガスを通し撹拌しながら徐々に昇温し、150℃で10時間反応し、縮重合反応の後半200℃に温度を上げ、減圧下で縮重合反応をすすめた。結果、重量平均分子量Mwが11000の前駆ポリエステル樹脂(1)(酸価5mgKOH/g)を得た。
【0177】
・一般式(1)であらわされるジオール成分 55mol%
【0178】
【化1】

(式中、Rはエチレン又はプロピレン基を表し、x,yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2乃至10である。本実施例ではx+yの平均値は3である。)
・イソフタル酸 20mol%
・テレフタル酸 25mol%
【0179】
その後、前駆ポリエステル樹脂(1)の100質量部を四口フラスコに入れ温度150℃に加熱後に、無水トリメリット酸0.5質量部を加え、徐々に加熱して前駆ポリエステル樹脂(1)のポリマーの末端がトリメリット酸で変性された極性樹脂(1)を調製した。
【0180】
<トナーの製造例>
(ブラックトナー製造例1)
65℃に加温したイオン交換水900質量部にリン酸三カルシウム3質量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を得た。
【0181】
一方、
スチレン 80質量部
n−ブチルアクリレート 20質量部
極性樹脂(1) 3質量部
極性樹脂(2) 2質量部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとテレフタル酸との重縮合物、
Tg=55℃、Mn=2500、Mw/Mn=1.9)
カーボンブラック(カーボンブラック Nipex30 pH:9.0) 10質量部
荷電制御剤1:芳香族オキシカルボン酸Zn化合物
(ボントロンE−84:オリエント化学社製) 4質量部
荷電制御剤2:メチルカリックスアレーン 1質量部
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。この単量体組成物を65℃に加温し、
パラフィンワックス(1) 10質量部
(DSC吸熱ピーク:69℃、Mw:700、Mn:500)
を添加混合溶解し、これに重合開始剤(t−ブチルパーオキシピバレート)5質量部を溶解した。
【0182】
前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、70℃,N2雰囲気下においてTK式ホモミキサーにて10,000rpmで7分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、70℃で4時間反応させた。最後に液温を85℃とし更に3時間撹拌を続けた。
【0183】
室温(25℃)まで冷却された懸濁液に塩酸を加えて燐酸カルシウム塩を溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子を得た。
【0184】
次に、上記粒子を40℃にて12時間乾燥して重量平均粒径5.8μmのブラック着色粒子(1)を得た。
【0185】
その後、ブラック粒子(1)100質量部に対し、疎水化処理を行った1次粒径50nmのチタニア微粉末を0.5質量部、及び同じく疎水化処理を行った1次粒径20nmのシリカ微粉末を1.5質量部加え、三井鉱山社製ヘンシェルミキサーを用いて均一拡散しブラックトナー(1)を得た。物性を表1に示す。
【0186】
(ブラックトナーの製造例2)
《樹脂粒子分散液1の調製》
・スチレン 90質量部
・nブチルアクリレート 20質量部
・アクリル酸 3質量部
・ドデカンチオール 6質量部
・四臭化炭素 1質量部
以上を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)1.5質量部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)2.5質量部をイオン交換水140質量部に溶解したものに、フラスコ中で分散し、乳化し、10分間ゆっくりと混合しながら、これに過硫酸アンモニウム1質量部を溶解したイオン交換水10質量部を投入し、窒素置換を行った後、前記フラスコ内を撹拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。こうして、平均粒径が0.17μm、ガラス転移点が57℃、重量平均分子量(Mw)が11,000である樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液1を調製した。
【0187】
《樹脂粒子分散液2の調製》
・スチレン 75質量部
・nブチルアクリレート 25質量部
・アクリル酸 2質量部
以上を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)1.5質量部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)3質量部をイオン交換水140質量部に溶解したものに、フラスコ中で分散し、乳化し、10分間ゆっくりと混合しながら、これに過硫酸アンモニウム0.8質量部を溶解したイオン交換水10質量部を投入し、窒素置換を行った後、前記フラスコ内を撹拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続し、平均粒径が0.1μm、ガラス転移点が61℃、重量平均分子量(Mw)が550,000である樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液2を調製した。
【0188】
《離型剤粒子分散液の調製》
・エステル系ワックス(融点65℃) 50質量部
・アニオン性界面活性剤 5質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 200質量部
以上を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒径が0.5μmである離型剤を分散させてなる離型剤粒子分散液を調製した。
【0189】
《着色剤粒子分散液1の調製》
・カーボンブラック 20質量部
・アニオン性界面活性剤 2質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 78質量部
以上を混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散した。この着色剤粒子分散液1における粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA−700)を用いて測定したところ、含まれる着色剤粒子の平均粒径は、0.2μmであり、また1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
【0190】
《帯電制御粒子分散液の調製》
・ジ−アルキル−サリチル酸の金属化合物 20質量部
(帯電制御剤、ボントロンE−88、オリエント化学工業社製)
・アニオン性界面活性剤 2質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 78質量部
以上を混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散した。この帯電制御粒子分散液における粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA−700)を用いて測定したところ、含まれる帯電制御粒子の平均粒径は、0.2μmであり、また1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
【0191】
<混合液調製>
・樹脂粒子分散液1 250質量部
・樹脂粒子分散液2 110質量部
・着色剤粒子分散液1 50質量部
・離型剤粒子分散液 70質量部
以上を、撹拌装置,冷却管,温度計を装着した1リットルのセパラブルフラスコに投入し撹拌した。この混合液を1N−水酸化カリウムを用いてpH=5.2に調整した。
【0192】
<凝集粒子形成>
この混合液に凝集剤として、10%塩化ナトリウム水溶液150質量部を滴下し、加熱用オイルバス中でフラスコ内を撹拌しながら57℃まで加熱した。この温度の時、樹脂粒子分散液2の3質量部と帯電制御剤粒子分散液の10質量部を加えた。50℃で1時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると平均粒径が約4.9μmである凝集粒子(A)が形成されていることが確認された。
【0193】
<融着工程>
その後、ここにアニオン製界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)3部を追加した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて撹拌を継続しながら105℃まで加熱し、3時間保持した。そして、冷却後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、乾燥させることにより、トナー粒子(2)を得た。
【0194】
その後、ブラック粒子(2)100質量部に対し、疎水化処理を行った1次粒径50nmのチタニア微粉末を0.5質量部、及び同じく疎水化処理を行った1次粒径20nmのシリカ微粉末を1.5質量部加え、三井鉱山社製ヘンシェルミキサーを用いて均一拡散しブラックトナー(2)を得た。ブラックトナー(2)の物性を表1に示す。
【0195】
(ブラックトナーの製造例3)
ブラックトナー製造例1にかえて、荷電制御剤1、2ともに添加せず、また、疎水化処理を行った1次粒径50nmのチタニア微粉末を0.5質量部から3.0質量部に変更し、疎水化処理を行った1次粒径15nmのシリカ微粉末を1.5質量部から0.1質量部に変更したことを除きブラックトナー製造例1と同様にしてブラックトナー(3)を得た。
【0196】
(ブラックトナーの製造例4)
ブラックトナー製造例1にかえて、荷電制御剤1の添加量を4質量部から10質量部に変更し、また、疎水化処理を行った1次粒径50nmのチタニア微粉末を添加しないこと、疎水化処理を行った1次粒径15nmのシリカ微粉末を1.5質量部から3.0質量部に変更することを除きブラックトナー製造例1と同様にしてブラックトナー(4)を得た。
【0197】
(ブラックトナーの製造例5)
ブラックトナー製造例1にかえて、荷電制御剤1の添加量を4質量部から10質量部に変更し、また、カーボンブラックを添加せずブラック染料に変更し、更に疎水化処理を行った1次粒径50nmのチタニア微粉末を0.5質量部から0.3質量部に変更し、疎水化処理を行った1次粒径15nmのシリカ微粉末を1.5質量部から2.0質量部に変更することを除きブラックトナー製造例1と同様にしてブラックトナー(5)を得た。
【0198】
(ブラックトナーの製造例6)
ブラックトナー製造例1にかえて、カーボンブラックの添加量を10質量部から20質量部にかえることと、また、疎水化処理を行った1次粒径50nmのチタニア微粉末および疎水化処理を行った1次粒径15nmのシリカ微粉末の添加量を調整したことを除きブラックトナー製造例1と同様にしてブラックトナー(6)を得た。
【0199】
(ブラックトナーの製造例7乃至10)
ブラックトナー製造例1にかえて、リン酸三カルシウムの添加量および、TK式ホモミキサーの回転数を変化させ、トナー重量平均粒径を変化させたことを除きブラックトナー製造例1と同様にしてブラックトナー(7)および(10)を得た。
【0200】
(ブラックトナーの製造例11)
ブラックトナー製造例1にかえて、荷電制御剤1、2ともに添加せず、また、疎水化処理を行った1次粒径50nmのチタニア微粉末を0.2質量部から2.0質量部に変更し、疎水化処理を行った1次粒径15nmのシリカ微粉末を1.5質量部から0.2質量部に変更したことを除きブラックトナー製造例1と同様にしてブラックトナー(11)を得た。
【0201】
(ブラックトナーの製造例12)
ブラックトナー製造例1にかえて、荷電制御剤1の添加量を4質量部から8質量部に変更し、また、疎水化処理を行った1次粒径50nmのチタニア微粉末を0.5質量部から0.3質量部に変更し、疎水化処理を行った1次粒径15nmのシリカ微粉末を1.5質量部から2.5質量部に変更することを除きブラックトナー製造例1と同様にしてブラックトナー(12)を得た。
【0202】
(ブラックトナーの製造例13乃至14)
ブラックトナー製造例1にかえて、チタニア微粉末およびシリカ微粉末の添加量を変化させたことを除きブラックトナー製造例1と同様にしてブラックトナー(13)および(14)を得た。
【0203】
(ブラックトナーの製造例15)
・極性樹脂(1) 100質量部
・パラフィンワックス(1) 10質量部
(DSC吸熱ピーク:69℃、Mw:700、Mn:500)
・荷電制御剤:芳香族オキシカルボン酸Zn化合物
(ボントロンE−84:オリエント化学社製) 4質量部
・顔料:ブラック顔料 10質量部
(カーボンブラック Nipex30 pH:9.0)
上記材料を混練し粉砕して粉砕粒子(1)を得た。その後、粒度分布調整した粉砕粒子(1)100質量部に対し、(ブラックトナー製造例1)と同様の処理を行い、ブラックトナー(15)を得た。
【0204】
(ブラックトナーの製造例16)
トナーの製造例15において粉砕して得られた粉砕粒子(1)をローターが回転するタイプの機械にて回転数、時間を変えて表面処理を行い、その後粒度分布調整してブラック粒子(16)を得た。その後、ブラック粒子(16)100質量部に対し、(ブラックトナー製造例1)と同様の処理を行い、ブラックトナー(16)を得た。
【0205】
(ブラックトナーの製造例17乃至19)
ブラックトナー製造例1にかえて、チタニア微粉末およびシリカ微粉末の添加量を変化させたこと及びヘンシェルミキサーでの処理の時間、回転数を変化させたことを除きブラックトナー製造例1と同様にしてブラックトナー(17)乃至(19)を得た。
【0206】
(ブラックトナーの製造例20乃至21)
ブ ラックトナー製造例1にかえて、外添剤(b)を表1に示す物性の外添剤に変更したことを除きブラックトナー製造例1と同様にしてブラックトナー(20)乃至(21)を得た。
【0207】
(トナーの製造例22乃至24)
顔料をカーボンブラックに代えてC.I.ピグメントレッド122を5質量部使用した以外はトナー製造例1と同様にしてマゼンタトナー(1)を得た。また、C.I.ピグメントブルー15:3を5質量部使用した以外はトナー製造例1と同様にしてシアントナー(1)を得た。さらに、C.I.ピグメントイエロー93を5質量部使用した以外はトナー製造例1と同様にしてイエロートナー1を得た。
【0208】
【表1】

【0209】
<実施例1>
(画像評価)
得られたトナー1を用い、以下の方法に従って画像評価を行った。
【0210】
画像形成装置としては市販のレーザプリンタHP社製CLJ−1500(HP社製)のプロセススピードを100mm/秒に変えた改造機を用いた。
【0211】
カートリッジは同じくCLJ−1500用を図3に示す構成に変更を行い使用した。
【0212】
転写材としては、LETTERサイズのXEROX 4024用紙(XEROX社製、75g/m2)を用いて行った。
【0213】
本発明の評価としては前処理として画像評価前に0℃/5%/14日間の保管モードを設け、その後、低温低湿環境(15℃/10%)において、印字比率が1%となる画像を用い、単色モードにて以下に示す連続印字方法において5000枚を印字した。
【0214】
なお、画像形成速度はいずれも普通紙モード時の速度とした。
【0215】
100枚目、5000枚目の画像を用い、以下の評価基準に基づき画像評価を行った。
【0216】
各評価結果について、表2に記す。
【0217】
<実施例2乃至21>
得られたトナー2及び5乃至21を用い、実施例1に変えて表2に示すように変更を行い画像評価を行った。結果を表3に示す。
【0218】
【表2】

【0219】
【表3】

【0220】
<実施例22>
得られたブラックトナー1、イエロートナー1、マゼンタトナー1及びシアントナー1を用い、以下の方法に従って画像評価を行った。
【0221】
画像形成装置としては市販のレーザプリンタHP社製CLJ−3700(HP社製)のプロセススピードを100mm/秒に変えた改造機を用いた。
【0222】
カートリッジは同じくCLJ−3700用を図3のような構成に変更を行い使用した。
各色とも全ての評価項目でランクAであった。
【0223】
<比較例1乃至2>
得られたトナー3乃至4を用い、実施例1に変えて表4に示すように変更を行い画像評価を行った。結果を表5に示す。
【0224】
<比較例3乃至4>
得られたトナー5乃至6を用い、実施例1に変えて表4に示すようにカーボンや樹脂により抵抗を変更したコート電極ローラに変更を行い画像評価を行った。結果を表5に示す。
【0225】
<比較例5乃至7>
得られたトナー16を用い、実施例1に変えて表4に示すようにコートを行わなかった電極ローラに変更を行い画像評価を行った。結果を表5に示す。
【0226】
さらに、高抵抗材料コート電極ローラ34の回転方向についても実験を行った。
【0227】
比較例6は、実施例1と印加電圧構成は同じで、高抵抗材料コート電極ローラ34の回転を停止させたものである。結果は、図4のトナー供給位置Fに高抵抗材料コート電極ローラ34によるトナー搬送Dがなく、べた黒の追従性が悪い。
【0228】
比較例7は、実施例1と印加電圧構成は同じで、図5に示すように、高抵抗材料コート電極ローラ34の回転を現像ローラ33と逆方向Hにしたものである。結果は、図5のように現像ローラ回転に対して、先ず、トナー供給Iが行われ、その後トナー供給位置下流で、現像バイアスに対してトナーと逆極性側の振動電圧によりトナー除去Jが行われるので、べた黒の追従性が悪い。
【0229】
以上から、高抵抗材料コート電極ローラ34の回転方向は、現像ローラ33と同一方向であること、即ち、高抵抗材料コート電極ローラ34と現像ローラ33とが対向した現像剤供給、除去領域TSにおいて現像ローラ33とは逆方向であることが最適であることが分かった。
【0230】
<比較例8>
得られたトナー16を用い、実施例1に変えて表4に示すように高抵抗材料コート電極ローラに交流電圧をかけず画像評価を行った。結果を表5に示す。
【0231】
【表4】

【0232】
【表5】

【0233】
[現像性評価方法]
(画像濃度変化)
画像濃度はマクベス濃度計またはカラー反射濃度計(例えばColorreflection densitometer X−RITE 404Amanufactured by X−Rite Co.)で測定する。
初期濃度と一万枚耐久後の濃度の差で評価する。
A;10%以下
B:10%を超え20%以下
C:20%を超え30%以下
D:30%を超える
【0234】
(帯電量変化)
帯電量変化は、現像容器内の現像剤の耐久初期及び5000枚通紙後の帯電量値の変化量を下記評価基準に基づいて評価した。
A:変化量が10%以下。
B:変化量が10%を超え15%以下。
C:変化量が15%を超え20%以下。
D:変化量が20%を超える。
【0235】
(かぶりの測定)
カブリの測定は、REFLECTOMETER MODEL TC−6DS(東京電色社製)を用い測定し、下記式により算出した。かぶり値は少ない方が良好である。
カブリ(反射率;%)=(標準紙の反射率;%)−(サンプルの白べた部の反射率;%)
A;1.5%以下
B:1.5%を超え2.0%以下
C:2.0%を超え2.5%以下
D:2.5%を超える
【0236】
(ベタ均一性)
得られた転写紙上のベタ部画像は5点の濃度差でA、B、C、Dと評価した。
A:0.1%以下
B:0.1%を超え0.2%以下
C:0.2%を超え0.3%以下
D:0.3%を超える
【0237】
(ゴースト)
ゴーストは、3cm角のベタパッチ後のハーフトーン画像上を観察し、ゴースト部と他の部分の濃度を測定し、その差から下記評価基準に基づいて評価した。
A:濃度差が5%以下。
B:濃度差が5%を超え15%以下。
C:濃度差が15%を超え25%以下。
D:濃度差が25%を超える。
【0238】
(リーク)
リークは、全面ハーフトーン画像を100枚印字し、その画像上を観察し、下記評価基準に基づいて評価した。
A:全く発生しない。
B:線状のリーク跡が1枚発生。
C:線状のリーク跡が5枚以下発生。
D:線状のリーク跡が5枚を越えて発生。
【図面の簡単な説明】
【0239】
【図1】粉体流動性分析装置のプロペラ型ブレードの説明図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の一実施例を説明する概略構成図である。
【図3】本発明に係る現像装置の一実施例を説明する概略構成図である。
【図4】本発明に従った現像装置内の現像剤の動きを説明する図である。
【図5】実験例における現像装置内の現像剤の動きを説明する図である。
【図6】従来例を説明する図である。
【図7】本発明に係る画像形成装置の他の実施例を説明する概略構成図である。
【図8】本発明におけるトナー体積抵抗値測定装置の説明図である。
【符号の説明】
【0240】
20 画像形成装置
20A 画像形成装置本体
21 感光ドラム(像担持体)
22 帯電装置
23 露光装置
24 現像装置
25 転写ローラ
27 クリーニング装置
29 定着装置
31 現像容器
32 トナー
33 現像ローラ(現像剤担持体)
34 高抵抗材料コート電極ローラ(現像剤供給・除去手段)
35 現像ブレード
39 電源
40 現像バイアス電源
50 現像装置
51 現像容器
52 現像スリーブ
53 弾性ブレード
55 電源
60 現像バイアス電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を担持し搬送する現像剤担持体を有する現像装置によって像担持体上の静電潜像を現像する現像方法に用いられるトナーであって、
該現像装置は、該現像剤担持体に対する現像剤の供給及び除去を行う現像剤供給・除去手段を備え、
該現像剤供給・除去手段は導電性材料と該導電性材料の表面に積層した体積抵抗値が
109Ωcm以上の高抵抗材料とを有しており、
該現像剤供給・除去手段は該現像剤担持体に対して非接触に配置され、
該現像剤担持体と対向する現像剤供給、除去位置において、該現像剤担持体上の現像剤搬送方向と該現像剤供給・除去手段上の現像剤搬送方向は逆方向であり、
該現像剤供給・除去手段と該現像剤担持体の間に振動電界が形成されるものであり、
該現像剤はトナーからなる一成分現像剤またはトナーとキャリアからなる二成分現像剤であり、
該トナーの体積抵抗値Aと該高抵抗材料の体積抵抗値Bの関係が
10-3≦A/B≦104
であって、トナーは振動電界印加、常温常圧下での凝集度Cが20乃至90(%)である
ことを特徴とするトナー。
【請求項2】
該トナーの体積抵抗値Aと該高抵抗材料の体積抵抗値Bの関係が
10-2≦A/B≦103
であって、該トナーは振動電界印加、常温常圧下で測定のトナーの凝集度が30乃至80(%)であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
該トナーのBET比表面積をD(m2/g)、トナーの重量平均粒径(D4)をE(μm)とした時、Eの値が3.0乃至9.0であり、関係式D/Eが0.20乃至0.60であることを特徴とする請求項1乃至2に記載のトナー。
【請求項4】
該トナーの静かさ密度F(g/cm3)およびタップ密度をG(g/cm3)とした時、〔(G−F)/G〕×100で示される圧縮度が10乃至60であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー。
【請求項5】
該トナーが、体積抵抗値Hが104≦H≦1012(Ωcm)である外添剤を少なくとも1種以上含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー。
【請求項6】
該トナーのフロー式粒子像測定装置で計測される平均円形度が0.960乃至0.995であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー。
【請求項7】
該トナーが下記の関係式(1)、(2)を満足することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のトナー。
0≦Et100(mJ)≦500・・・・・(1)
1.00≦Et10/Et100≦1.60・・・・・(2)
[但し、Et100(mJ)は、プロペラ型ブレードの最外縁部の周速を100mm/secで回転させながら容器内のトナー粉体層中に垂直に進入させ、該粉体層の底面から100mmの位置から測定を開始し、底面から10mmの位置まで進入させた時に得られる、回転トルクと垂直荷重の総和を表しており、Et10(mJ)は、10mm/secで回転させた時の回転トルクと垂直荷重の総和を表している。]
【請求項8】
該現像剤が一成分トナーのみからなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のトナー。
【請求項9】
該トナーが非磁性トナーであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のトナー。
【請求項10】
該現像剤担持体に直流電圧を印加し、該現像剤供給・除去手段に交流電圧を印加する現像装置であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のトナー。
【請求項11】
該現像剤供給・除去手段の導電性材料と前記現像剤担持体との間に発生する最大電界が8.0×106V/m以上であることを特徴とする現像装置であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のトナー。
【請求項12】
現像剤を担持し搬送する現像剤担持体を有する現像装置によって像担持体上の静電潜像を現像する現像方法であって、
該現像装置は、該現像剤担持体に対する現像剤の供給及び除去を行う現像剤供給・除去手段を備え、
該現像剤供給・除去手段は導電性材料と該導電性材料の表面に積層した体積抵抗値が
109Ωcm以上の高抵抗材料とを有しており、
該現像剤供給・除去手段は該現像剤担持体に対して非接触に配置され、
該現像剤担持体と対向する現像剤供給、除去位置において、該現像剤担持体上の現像剤搬送方向と該現像剤供給・除去手段上の現像剤搬送方向は逆方向であり、
該現像剤供給・除去手段と該現像剤担持体の間に振動電界が形成されるものであり、
該現像剤はトナーからなる一成分現像剤またはトナーとキャリアからなる二成分現像剤であり、
該トナーの体積抵抗値Aと該高抵抗材料の体積抵抗値Bの関係が
10-3≦A/B≦104
であって、該トナーは振動電界印加、常温常圧下での凝集度Cが20乃至90(%)であることを特徴とする現像方法。
【請求項13】
現像剤を担持し搬送する現像剤担持体を有する現像装置によって像担持体上の静電潜像を現像する工程、次いで中間転写体を介してまたは介さずに被転写材に転写する転写工程を有する画像形成方法であって、
該現像装置は、該現像剤担持体に対する現像剤の供給及び除去を行う現像剤供給・除去手段を備え、
該現像剤供給・除去手段は導電性材料と該導電性材料の表面に積層した体積抵抗値が
109Ωcm以上の高抵抗材料とを有しており、
該現像剤供給・除去手段は該現像剤担持体に対して非接触に配置され、
該現像剤担持体と対向する現像剤供給、除去位置において、該現像剤担持体上の現像剤搬送方向と該現像剤供給・除去手段上の現像剤搬送方向は逆方向であり、
該現像剤供給・除去手段と該現像剤担持体の間に振動電界が形成されるものであり、
該現像剤はトナーからなる一成分現像剤またはトナーとキャリアからなる二成分現像剤であり、
該トナーの体積抵抗値Aと該高抵抗材料の体積抵抗値Bの関係が
10-3≦A/B≦104
であって、該トナーは振動電界印加、常温常圧下での凝集度Cが20乃至90(%)であることを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−150985(P2009−150985A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−327274(P2007−327274)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】