説明

トナー、現像装置及び該現像装置を備えた画像形成装置

【課題】
現像ローラと、現像ローラに圧接してトナーの層厚を規制する薄層形成部材を備える現像装置において、薄層形成部材上にトナーが固着する現象が発生したり、出力画像上に画像かぶりが発生したりすることのないトナー、現像装置及び該現像装置を備えた画像形成装置を提供することを課題とする。
【解決手段】
現像ローラ表面への薄層形成部材の当接状態に依存することなく、トナーに含有されるワックスの融点とトナー表面のワックス露出率を規定するだけで、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー、現像装置及び該現像装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トナーを表面に担持して回転軸を中心として回転する現像ローラと、現像ローラに圧接してトナーの層厚を規制する薄層形成部材を備え、薄層形成部材で規制されたのち搬送されるトナーで、現像ローラと対向配置される感光体上の静電潜像を可視化する現像装置では、トナーに負荷がかかりすぎて、トナー表面に露出しているワックスが染み出してしまうことがあった。
【0003】
この染み出したワックスは薄層形成部材に付着し、さらに、このワックスにトナーが付着する。その後、このトナーは薄層形成部材上に固着してしまう。
【0004】
このような問題に対処するために、例えば、特開2008−225393号公報(特許文献1)では、図2に示すように、現像ローラ100表面に薄層形成部材101を接触させ、その接触部(ニップ部)の中心点Bにおける接線と、この中心点Bから薄層形成部材に沿って先端側に0.5mm移動した点Aにおける接線との角度aを所定以下とした現像装置において、トナー表面のワックス露出率とトナー帯電量を規定することで、薄層形成部材101と現像ローラ100が接触する薄層形成部材101側にトナーが固着する現象を発生させず、トナーの帯電性不良による出力画像上の画像かぶりも生じさせない現像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−225393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の現像装置では、現像ローラ100表面に薄層形成部材101を当接させたときのトナー帯電量を規定しているため、薄層形成部材101の当接状態が大きく異なる場合、薄層形成部材上にトナーが固着する現象を発生させたり、出力画像上に画像かぶりを発生させる場合があった。また、薄層形成部材を当接させることでトナー帯電量を変えるよりも、トナー中の物性を変えてトナー帯電量を変えたほうが、トナーに負荷がかかって薄層形成部材上にトナーが固着する現象が抑えられることがわかった。また、感光体を汚染させたり、薄層形成部材上にトナーが固着するのは、トナー中から染み出したワックスが原因であることもわかった。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、現像ローラ表面への薄層形成部材の当接状態に依存することなく、トナー中のワックスの物性を規定するだけで、薄層形成部材上にトナーが固着する現象が発生したり、出力画像上に画像かぶりが発生したりすることのないトナー、現像装置及び該現像装置を備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、少なくとも結着樹脂とワックスを含有するトナーであって、該トナー表面のワックス露出率は15%以下であり、前記ワックスの融点は80〜100℃の範囲であることを特徴とするものである。
【0009】
また、前記トナーに含有される前記ワックスの含有量は、前記結着樹脂100質量部に対して1〜5質量部であることが好ましい。
【0010】
また、前記トナーに外添されるシリカの量は、前記結着樹脂100質量部に対して1.5〜4質量部であることが好ましい。
【0011】
また、前記トナーに対する前記シリカの付着強度は、20〜35%であることが好ましい。
【0012】
また、前記トナーの体積平均粒子径は、7〜10μmであることが好ましい。
【0013】
また、本発明の現像装置は、前記トナーを備えたものである。
【0014】
また、前記現像装置が、現像ローラと、該現像ローラに圧接して前記トナーの層厚を規制する薄層形成部材を備え、前記薄層形成部材と前記現像ローラが当接する当接部の線圧が20〜50N/mであることが好ましい。
【0015】
また、本発明の画像形成装置は、前記現像装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、現像ローラ表面への薄層形成部材の当接状態に依存することなく、トナーに含有されるワックスの融点とトナー表面のワックス露出率を規定するだけで、薄層形成部材上にトナーが固着する現象が発生したり、出力画像上に画像かぶりが発生したりすることのないトナー、現像装置及び該現像装置を備えた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例となる現像装置の構成を示す概略断面図である。
【図2】本発明の従来例となる現像装置の構成を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態の現像装置について図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の現像装置1の構成を示す概略断面図である。以下には、本発明の現像装置に関して説明するが、その他の構成については、電子写真複写装置の一般的な技術が適用できることはいうまでもない。
【0020】
本発明の現像装置1は、トナー2を感光体3表面の静電潜像に供給して静電潜像を現像する現像装置である。現像装置1は、トナー2を収容する現像槽4と、トナー2を担持して感光体3表面に搬送する現像ローラ5と、トナー2を現像ローラ5上に供給する供給ローラ6と、現像槽4の中でトナー2を撹拌搬送する撹拌部材7と、現像ローラ5上のトナー2の層厚を規制する薄層形成部材としてのドクターブレード8と、ドクターブレード8を現像槽4に支持する支持部材9と、現像ローラ5にバイアスを印加する電源10を含む。
【0021】
現像ローラ5、供給ローラ6、撹拌部材7は、現像槽4内に回転自在に設けられ、各々、矢印で示す反時計方向に回転している。
【0022】
感光体3は、直径30mmであり、対向して配設されている現像ローラ5との間隙は、不図示の間隙保持部材により、200±20μmに設定されている。感光体3の回転方向は、矢印で示す時計方向であり、周速度は、150mm/secとした。
【0023】
現像槽4は、例えば、硬質の合成樹脂等からなり、外観が略直方体形状を有する容器部材である。
【0024】
現像ローラ5は、本発明では、アルミニウムからなり、直径16mm、肉厚が1mmで、表面の算術平均粗さRaが、0.3〜0.8μmとなるようにサンドブラスト処理されたものである。また、現像ローラ5は、周速度145mm/secで、軸線周りに回転駆動される。
【0025】
供給ローラ6は、不図示の金属製の芯金の表面に発泡ウレタン等の多孔性弾性部材が設けられたものであり、表面の空孔にトナー2を吸着しつつ、現像ローラ5を摺擦することで、トナー2を現像ローラ5に供給し、かつ、現像後に現像ローラ5に残存した余分のトナー2をクリーニングする。
【0026】
供給ローラ6と現像ローラ5の接触部の食い込み量は、0.5mm、この接触部の長手方向、即ち供給ローラ6の軸線方向の幅は、300mmで設定されている。なお、供給ローラ6は、アスカーC硬度で5度のウレタンスポンジを用いた。直径は14mmとした。また、周速度は、145mm/secとした。
【0027】
撹拌部材7は、回転軸部から半径方向外方に突出する複数の羽根片を含んで構成され、その羽根片は、例えば、PET(Polyethylene Terephthalate)等の樹脂を用いて薄板状に形成される。
【0028】
ドクターブレード8は、現像ローラ5の軸線方向に平行に延びる板状部材であり、現像ローラ5との当接位置にはトナーの付着を防止するため、例えば、ウレタンからなる樹脂8aが貼り付けられている。ドクターブレード8と現像ローラ5は、線圧20〜50N/mで当接している。この線圧は、ドクターブレード8の板厚、及び樹脂8aの材質及び現像ローラ5との当接位置により変更可能である。
【0029】
ドクターブレード8は、例えば、導電性樹脂や、ステンレス、りん青銅等の材質が用いられる。本発明では、厚み0.1mmのりん青銅を用い、樹脂8aは、厚み1mmのウレタン樹脂とした。このときの線圧は、30N/mであった。また、このときの現像ローラ5上のトナー2の層厚は、0.6〜0.8mg/cmの範囲であった。
【0030】
電源10は、現像ローラ5に、−400V〜−2000V程度の直流のバイアスを印加し、現像ローラ5と感光体3の間隙及び所望の画像濃度に応じて、随時設定される。本発明では、−900Vとした。
【0031】
本発明で用いられるトナー2の成分は、結着樹脂、着色剤、ワックス、帯電制御剤等が挙げられる。結着樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂等の従来公知の種々の熱可塑性樹脂の1種又は2種以上を用いることができ、特にスチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましい。これらの樹脂は、通常の画像形成装置において用いられる熱定着手段によって、記録用紙等の印刷媒体の表面に良好に定着されるには、軟化点が120〜150℃、ガラス転移点が55〜75℃の範囲にあることが好ましく、その一部が架橋構造を有していても良い。
【0032】
軟化点が120℃未満では、オフセットが発生する。一方、軟化点が150℃よりも高いと、定着性が充分でない。ガラス転移点が55℃未満では、トナー2の単一粒子どうしが凝集しやすくなり、トナー2の融着等による画像欠陥が発生する。一方、ガラス転移点が75℃よりも高いと、定着性が充分でない。なお、結着樹脂の軟化点は、フローテスタ(島津製作所製、CFT−500)、ガラス転移点は、示差走査熱量計(パーキンエルマ製、DSC−7)により測定できる。
【0033】
着色剤としては、トナー2の着色剤として常用される染料及び顔料を使用でき、例えば、ニグロシン染料、カーマイン染料、各種の塩基性染料、酸性染料、油性染料、アントラキノン染料、ベンジジン系黄色有機顔料、キナントリン系有機顔料、ローダミン系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラックが挙げられる。着色剤は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が併用されてもよい。
【0034】
ワックスはオフセット防止の目的で添加され、オレフィン系ワックス類、エステル系ワックス類、植物系ワックス類、鉱物系ワックス類、動物系ワックス類、石油系ワックス類、フィッシャ・トロプシュワックス類等の1種又は2種類以上を用いることができる。
【0035】
帯電制御剤としては、本発明で用いるトナー2には、負荷電性の帯電制御剤を用いるのが好ましい。負荷電性の帯電制御剤としては、含金属アゾ染料、オキシナフトエ酸系金属錯体、サリチル酸系金属錯体、フェノール系縮合物、第四級アンモニウム塩、ホウ素錯体等が挙げられる。また、良好な負荷電性を損なわない程度に正荷電性の荷電制御剤を併用することもできる。正荷電性の帯電制御剤としては、アジン化合物のニグロシン系染料、第四級アンモニウム塩、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体、第四級アンモニウム塩、トリフェニルメタン誘導体等が挙げられる。これらの帯電制御剤は、単独で混合して用いても良い。負荷電性の帯電制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して、5質量部以下が好ましい。5質量部を超えると、トナー2の帯電量が高く、画像濃度が下がる、感光体3から、不図示のトナー支持体への転写性が劣る等の問題が生じる。
【0036】
上記構成のトナー2の成分を、既存の製造方法によって粉砕或いは重合し、体積平均粒子径7〜10μmのトナー2を得る。体積平均粒子径は、コールタカウンタ(ベックマン・コールタ製、マルチサイザ3)にて測定を行った。
【0037】
更に、得られたトナー2に、トナー2の流動性向上の目的で、シリカや酸化チタン等を外添する。酸化チタンは、トナー2の単一粒子間の帯電を均一にする効果を有し、添加量は、結着樹脂100質量部に対して、0.5〜1.5質量部が好ましい。酸化チタンが0.5質量部未満では、トナー2の単一粒子間の帯電を均一にする効果が充分発揮できず、1.5質量部より多く添加すると、トナー2の帯電量が急激に低下し、出力画像にかぶり等の画像欠陥が発生する。外添処理は、ヘンシェルミキサ等のような混合装置を用いる。
<実施例1>
本実施例では、トナーの結着樹脂は、ポリエステル系樹脂を用い、軟化点は130℃、ガラス転移点は63℃であった。着色剤は、結着樹脂100質量部に対して、カーボンブラックを6質量部添加した。ワックスは、植物系ワックス類のカルナバワックスを2質量部添加した。次にワックスの融点として、示差走査熱量計を用いた示差熱分析測定により得られる吸熱曲線において、最大吸熱ピークを示す温度を測定した。その結果、本実施例のカルナバワックスの融点は84℃であった。帯電制御剤としては、負荷電性のホウ素錯体を1.5質量部添加した。トナーの体積平均粒子径は、8.7μmとした。外添処理は、粒子径が12nmのシリカを2.8質量部添加して、ヘンシェルミキサで1分間混合撹拌した。
【0038】
次に、本実施例のトナーを本発明の現像装置1に適用した画像形成装置を用いて、画像面積率4%のA4原稿を用い、普通紙を4万枚横通紙して複写試験を行った。
【0039】
以下に、種々の評価及び測定方法を記載する。
【0040】
トナー表面のワックス露出率の測定方法について説明する。まず、外添処理前のトナー1gにn−ヘキサン20ml添加し10分間攪拌した溶液を作製する。その後、この溶液を吸引濾過し真空乾燥させた。
【0041】
トナー表面のワックス露出率は、n−ヘキサンを添加する前後の示差走査熱量計を用いた示差熱分析測定により得られた吸熱ピーク面積から算出され、以下の式(1)で表すことができる。
【0042】
【数1】

本実施例では、トナー表面のワックス露出率は、6.3%であった。
【0043】
トナーに対するシリカの付着強度の測定方法について説明する。まず、外添処理後のトナー2gに0.2重量%のポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル水溶液40ml添加し1分間攪拌する。次に、この水溶液に超音波ホモジナイザ(日本精機社製、US−300T)にて、4分間40μAの超音波振動を与えた。3時間静置したのち、上澄み液を除去し、残ったトナーに純水50ml添加し5分間攪拌した。吸引濾過後、再び純水50ml添加し5分間攪拌した。再び吸引濾過したのち、24時間真空乾燥させた。
【0044】
トナーに対するシリカの付着強度は、以上の測定処理前後の蛍光X線分析装置(リガク社製、XRF)を用いた蛍光X線測定により得られたケイ素の強度から算出され、以下の式(2)で表すことができる。
【0045】
【数2】

本実施例では、トナーに対するシリカの付着強度は、29%であった。
【0046】
トナー帯電量は、吸引式小型帯電量測定装置(トレックジャパン社製、210HS−2A)を用いて、現像ローラ5上のトナーを一定量吸引することで測定した。
【0047】
トナー搬送量は、トナー帯電量測定時に吸引した現像ローラ5上の面積と吸引トナー量から、単位面積当たりの吸引トナー量を算出することで得られる。
【0048】
画像濃度は、分光測色濃度計(X−Rite社製、X−Rite938)を用いて、複写試験で出力された出力画像の画像部の光学濃度を測定した。
【0049】
カブリは、非画像部の濃度を次の手順により算出する。白度計(日本電色工業社製、Z−Σ90 COLOR MEASURING SYSTEM)を用いて、あらかじめプリント前の普通紙の白色度を測定した。次に、プリント後の普通紙の非画像部における白色度を、白度計を用いて測定したのち、プリント前の白色度との差を求める。この差をカブリとした。0.4未満であれば良好と判定し、0.4以上1.0未満ならばやや不良と判定し、1.0以上では肉眼でカブリが明確に見える状態であるため不良と判定した。
【0050】
層厚ムラは、現像ローラ5上のトナーの層厚を目視にて観察した。同時に、ハーフトーン画像のA4原稿を用い、普通紙を横通紙して、複写試験を行い、出力画像を得た。出力画像に層厚ムラによる白筋が現れた場合は、不良と判定し、出力画像に層厚ムラによる白筋が現れず、現像ローラ5上のトナーの層厚に筋が現れた場合は、やや不良と判定し、出力画像に層厚ムラによる白筋が現れず、現像ローラ5上のトナーの層厚にも筋が現れなかった場合は、良好と判定した。
【0051】
以上の結果を表1に示す。
【0052】
【表1】

本実施例では、ワックスの融点は84℃、トナー表面のワックス露出率は6.3%であるため、4万枚目において、カブリ、層厚ムラともに良好であった。
<実施例2>
本実施例では、実施例1と比べて、エステル系ワックスにすることで、融点を変更した以外は、実施例1と同一とした。ワックスの融点は95℃、トナー表面のワックス露出率は6.3%であるため、4万枚目においても、カブリ、層厚ムラともに良好であった。
<実施例3>
本実施例では、実施例1と比べて、結着樹脂との混練状態をかえることで、トナー表面のワックス露出率を変更した以外は、実施例1と同一とした。融点は84℃、トナー表面のワックス露出率は13%であるため、4万枚目において、カブリ、層厚ムラともに良好であった。
<実施例4>
本実施例では、実施例1と比べて、ワックスの含有量を変更した以外は、実施例1と同一とした。ワックスの含有量は4質量部であるため、4万枚目において、カブリ、層厚ムラともに良好であった。
<実施例5>
本実施例では、実施例1と比べて、シリカの量を変更した以外は、実施例1と同一とした。シリカの量は3.5質量部であるため、4万枚目において、カブリ、層厚ムラともに良好であった。
<実施例6>
本実施例では、実施例1と比べて、シリカの量を変更した以外は、実施例1と同一とした。シリカの量は2質量部であるため、4万枚目において、カブリ、層厚ムラともに良好であった。
<実施例7>
本実施例では、実施例1と比べて、ヘンシェルミキサでの混合撹拌時間をかえることで、トナーに対するシリカの付着強度を変更した以外は、実施例1と同一とした。トナーに対するシリカの付着強度は22%であるため、4万枚目において、カブリ、層厚ムラともに良好であった。
<実施例8>
本実施例では、実施例1と比べて、ヘンシェルミキサでの混合撹拌時間をかえることで、トナーに対するシリカの付着強度を変更した以外は、実施例1と同一とした。トナーに対するシリカの付着強度は34%であるため、4万枚目において、カブリ、層厚ムラともに良好であった。
<実施例9>
本実施例では、実施例1と比べて、粉砕時間をかえることで、トナーの体積平均粒子径を変更した以外は、実施例1と同一とした。トナーの体積平均粒子径は7.2μmであるため、4万枚目において、カブリ、層厚ムラともに良好であった。
<実施例10>
本実施例では、実施例1と比べて、粉砕時間をかえることで、トナーの体積平均粒子径を変更した以外は、実施例1と同一とした。トナーの体積平均粒子径は9.4μmであるため、4万枚目において、カブリ、層厚ムラともに良好であった。
<実施例11>
本実施例では、実施例1と比べて、ドクターブレード8と現像ローラ5が当接する当接部の線圧を変更した以外は、実施例1と同一とした。ドクターブレード8と現像ローラ5が当接する当接部の線圧は45N/mであるため、4万枚目において、カブリ、層厚ムラともに良好であった。
<実施例12>
本実施例では、実施例1と比べて、ドクターブレード8と現像ローラ5が当接する当接部の線圧を変更した以外は、実施例1と同一とした。ドクターブレード8と現像ローラ5が当接する当接部の線圧は25N/mであるため、4万枚目において、カブリ、層厚ムラともに良好であった。
<比較例1>
本比較例では、実施例1と比べて、融点を変更した以外は、実施例1と同一とした。カルナバワックスからパラフィンワックスに変更することで、ワックスの融点は76℃となった。このようにワックスの融点が80℃未満となったため、トナーの帯電が不均一となり、4万枚目において、実施例1と比べて、トナー帯電量が低くなった。その結果、カブリはやや不良、層厚ムラは不良となった。
<比較例2>
本比較例では、実施例1と比べて、ワックスの融点を変更した以外は、実施例1と同一とした。カルナバワックスからポリエチレンワックスに変更することで、ワックスの融点は110℃となった。このようにワックスの融点が100℃を超えたため、トナーが溶融せず、4万枚目において、定着性が不良となってしまった。その結果、出力画像が得られなかった。
<比較例3>
本比較例では、実施例1と比べて、結着樹脂との混練状態をかえることで、トナー表面のワックス露出率を変更した以外は、実施例1と同一とした。トナー表面のワックス露出率は15%を超え、16.2%であるため、トナーの帯電が阻害され、4万枚目において、実施例1と比べて、トナー帯電量が低くなった。その結果、カブリはやや不良、層厚ムラは不良となった。
<比較例4>
本比較例では、実施例1と比べて、ワックスの含有量を変更した以外は、実施例1と同一とした。ワックスの含有量は5質量部を超え、6質量部であるため、トナーの帯電が阻害され、4万枚目において、実施例1と比べて、トナー帯電量が大幅に低くなった。その結果、カブリ、層厚ムラともに不良となった。
<比較例5>
本比較例では、実施例1と比べて、ワックスの含有量を変更した以外は、実施例1と同一とした。ワックスの含有量は1質量部未満の0.7質量部であるため、トナーが溶融せず、4万枚目において、定着性が不良となってしまった。その結果、出力画像が得られなかった。
<比較例6>
本比較例では、実施例1と比べて、シリカの量を変更した以外は、実施例1と同一とした。シリカの量は1.5質量部未満の1.0質量部であるため、トナーを充分に帯電させられず、4万枚目において、実施例1と比べて、トナー帯電量が大幅に低くなった。その結果、カブリ、層厚ムラともにやや不良となった。
<比較例7>
本比較例では、実施例1と比べて、シリカの量を変更した以外は、実施例1と同一とした。シリカの量は4質量部を超え、4.5質量部であるため、トナーが溶融できず、4万枚目において、定着性が不良となってしまった。その結果、出力画像が得られなかった。
<比較例8>
本比較例では、実施例1と比べて、ヘンシェルミキサでの混合撹拌時間をかえることで、トナーに対するシリカの付着強度を変更した以外は、実施例1と同一とした。トナーに対するシリカの付着強度は35%を超え、40%であるため、トナー表面に負荷がかかりすぎ、4万枚目において、実施例1と比べて、トナー帯電量が大幅に低くなった。その結果、カブリ、層厚ムラともに不良となった。
<比較例9>
本比較例では、実施例1と比べて、ヘンシェルミキサでの混合撹拌時間をかえることで、トナーに対するシリカの付着強度を変更した以外は、実施例1と同一とした。トナーに対するシリカの付着強度は20%未満の16%であるため、トナー表面からシリカが脱落しやすくなり、4万枚目において、実施例1と比べて、トナー帯電量が大幅に低くなった。その結果、カブリ、層厚ムラともにやや不良となった。
<比較例10>
本比較例では、実施例1と比べて、粉砕時間をかえることで、トナーの体積平均粒子径を変更した以外は、実施例1と同一とした。トナーの体積平均粒子径は10μmを超え、11.3μmであるため、トナーの表面積が減り、4万枚目において、実施例1と比べて、トナー帯電量が大幅に低くなった。その結果、カブリが不良となった。
<比較例11>
本比較例では、実施例1と比べて、粉砕時間をかえることで、トナーの体積平均粒子径を変更した以外は、実施例1と同一とした。トナーの体積平均粒子径は7μm未満の6.2μmであるため、現像ローラ5との静電的な付着力が大きくなってトナーの現像性が低下してしまい、4万枚目において、実施例1と比べて、画像濃度が大幅に低くなった。その結果、層厚ムラが不良となった。
<比較例12>
本比較例では、実施例1と比べて、ドクターブレード8と現像ローラ5が当接する当接部の線圧を変更した以外は、実施例1と同一とした。ドクターブレード8と現像ローラ5が当接する当接部の線圧は20N/m未満の15N/mであるため、トナーを充分に帯電させられず、4万枚目において、実施例1と比べて、トナー帯電量が大幅に低くなった。その結果、カブリ、層厚ムラともに不良となった。
<比較例13>
本比較例では、実施例1と比べて、ドクターブレード8と現像ローラ5が当接する当接部の線圧を変更した以外は、実施例1と同一とした。ドクターブレード8と現像ローラ5が当接する当接部の線圧は50N/mを超え、60/mであるため、トナー表面に負荷がかかりすぎ、4万枚目において、実施例1と比べて、画像濃度が大幅に低くなった。その結果、層厚ムラが不良となった。
【符号の説明】
【0053】
1 現像装置
2 トナー
3 感光体
4 現像槽
5 現像ローラ
6 供給ローラ
7 撹拌部材
8 ドクターブレード
8a 樹脂
9 支持部材
10 電源


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも結着樹脂とワックスを含有するトナーであって、
該トナー表面のワックス露出率は、15%以下であり、
前記ワックスの融点、は80〜100℃の範囲であることを特徴とするトナー。
【請求項2】
前記トナーに含有される前記ワックスの含有量は、前記結着樹脂100質量部に対して1〜5質量部であることを特徴とする請求項1記載のトナー。
【請求項3】
前記トナーに外添されるシリカの量は、前記結着樹脂100質量部に対して1.5〜4質量部であることを特徴とする請求項1記載のトナー。
【請求項4】
前記トナーに対する前記シリカの付着強度は、20〜35%であることを特徴とする請求項1記載のトナー。
【請求項5】
前記トナーの体積平均粒子径は、7〜10μmであることを特徴とする請求項1記載のトナー。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナーを備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項7】
前記現像装置は、現像ローラと、該現像ローラに圧接して前記トナーの層厚を規制する薄層形成部材を備え、前記薄層形成部材と前記現像ローラが当接する当接部の線圧が20〜50N/mであることを特徴とする請求項6に記載の現像装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−3225(P2013−3225A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131781(P2011−131781)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】