説明

トナー容器、及び、画像形成装置

【課題】画像形成装置本体における使用開始前にトナー排出口の近傍においてトナーが詰まってしまっていても、画像形成装置本体における使用開始時にトナー排出口から外部にトナーが排出されなくなる不具合が生じにくく、画像形成装置本体における使用開始前にシャッタ部材がトナー排出口を開放する方向に移動してしまう不具合が生じにくい、トナー容器、及び、画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置本体での使用が開始される前の状態で、シャッタ部材34dがトナー排出口Wを閉鎖した位置で固定されるようにシャッタ部材34dと容器の外周34nとに貼着された外在部200aと、トナー排出口Wを介して容器34Yの内部に入り込むように内挿された内在部200bと、が一体的に形成された仮止めシール200を設置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置に設置されるトナー容器と、それが設置された画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機等の画像形成装置においては、画像形成装置本体に着脱可能に設置されるトナー容器(トナーボトル)が多く用いられている(例えば、特許文献1、2参照。)。
特許文献1、2において、画像形成装置本体に交換可能に設置されるトナー容器(トナーボトル)は、主として、容器本体(ボトル本体)とキャップ部(被保持部)とで構成されている。そして、トナー容器の内部に収容されたトナーは、キャップ部の底部に設けられたトナー排出口から外部に向けて排出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のトナー容器に対して、画像形成装置に対する着脱操作性を向上させるために、装置本体へのトナー容器の着脱動作に連動してシャッタ部材がトナー排出口を開閉するようにする方策も考えられる。しかし、その場合に、トナー排出口が下方を向いた状態でトナー容器が単体で長期間保管されたようなとき等に、トナー排出口の近傍においてトナーが詰まってしまって、画像形成装置本体においてトナー容器の使用を開始したときにトナー排出口からトナーが排出されない不具合が生じないように構成する必要がある。また、画像形成装置本体においてトナー容器の使用が開始される前の状態において、トナー排出口を閉鎖した状態のシャッタ部材に予期せぬ外力が加わってしまったとき等に、シャッタ部材がトナー排出口を開放する方向に移動してしまって、トナー排出口からトナーが漏出する不具合が生じないように構成する必要がある。
【0004】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、画像形成装置本体における使用開始前にトナー排出口の近傍においてトナーが詰まってしまっていても、画像形成装置本体における使用開始時にトナー排出口から外部にトナーが排出されなくなる不具合が生じにくく、画像形成装置本体における使用開始前にシャッタ部材がトナー排出口を開放する方向に移動してしまう不具合が生じにくい、トナー容器、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の請求項1記載の発明にかかるトナー容器は、画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるトナー容器であって、容器内に収容されたトナーを外部に排出するためのトナー排出口と、容器の外周に沿った移動により前記トナー排出口を開閉するシャッタ部材と、を備え、前記画像形成装置本体での使用が開始される前の状態で、前記シャッタ部材が前記トナー排出口を閉鎖した位置で固定されるように前記シャッタ部材と容器の外周とに貼着された外在部と、可撓性を有するとともに前記トナー排出口を介して容器の内部に入り込むように前記トナー排出口の近傍に内挿された内在部と、が一体的に形成された仮止めシールが設置されたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、画像形成装置本体での使用が開始される前の状態のトナー容器において、シャッタ部材と容器の外周とに貼着された外在部と、可撓性を有するとともにトナー排出口を介して容器の内部に入り込んだ内在部と、が一体的に形成された仮止めシールが設置されている。これにより、画像形成装置本体における使用開始前にトナー排出口の近傍においてトナーが詰まってしまっていても、画像形成装置本体における使用開始時にトナー排出口から外部にトナーが排出されなくなる不具合が生じにくく、画像形成装置本体における使用開始前にシャッタ部材がトナー排出口を開放する方向に移動してしまう不具合が生じにくい、トナー容器、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【図2】作像部を示す断面図である。
【図3】トナー補給装置にトナー容器が設置された状態を示す模式図である。
【図4】トナー容器収容部にトナー容器が設置された状態を示す概略斜視図である。
【図5】トナー容器を斜め上方から示す斜視図である。
【図6】トナー容器を斜め下方から示す斜視図である。
【図7】トナー容器を示す6面図である。
【図8】トナー容器をキャップ部側から示す正面図である。
【図9】トナー容器を示す分解図である。
【図10】トナー容器の容器本体を示す斜視図である。
【図11】容器本体の開口部近傍を示す拡大斜視図である。
【図12】撹拌部材を示す斜視図である。
【図13】別の撹拌部材を示す斜視図である。
【図14】トナー容器のキャップ部を示す斜視図である。
【図15】トナー容器のキャップ部を示す別の斜視図である。
【図16】トナー容器のキャップ部を容器本体との接続部側から示す斜視図である。
【図17】トナー容器のキャップ部を容器本体との接続部側から示す別の斜視図である。
【図18】トナー容器のシャッタ部材がトナー排出口を閉鎖した状態を示す斜視図である。
【図19】トナー容器のシャッタ部材がトナー排出口を開放していく状態を示す斜視図である。
【図20】トナー容器のシャッタ部材がトナー排出口を開放した状態を示す斜視図である。
【図21】トナー容器収容部へのトナー容器の装着動作に連動したシャッタ部材の開放動作を示す模式図である。
【図22】シャッタ部材が取出された状態のキャップ部を示す斜視図である。
【図23】キャップ部の第1部材を示す斜視図である。
【図24】キャップ部の第1部材を示す別の斜視図である。
【図25】キャップ部の第2部材を示す斜視図である。
【図26】シャッタ部材を示す斜視図である。
【図27】シャッタ部材を示す別の斜視図である。
【図28】トナー容器のキャップ部の近傍を示す断面図である。
【図29】トナー容器のキャップ部の内部を示す斜視図である。
【図30】種々の異なるトナー容器が挿入口部に挿入される状態をキャップ部側から示す正面図である。
【図31】4色のトナー容器が挿入口部に挿入された状態を示す正面図である。
【図32】トナー容器収容部のボトル受部を示す斜視図である。
【図33】トナー容器収容部のボトル受部を示す上面図である。
【図34】ボトル受部の先頭部近傍を示す拡大斜視図である。
【図35】ボトル受部の先頭部近傍を示す別の拡大斜視図である。
【図36】ボトル受部の先頭部近傍を示すさらに別の拡大斜視図である。
【図37】トナー容器収容部のキャップ受部を示す斜視図である。
【図38】キャップ受部の一部を示す拡大斜視図である。
【図39】キャップ受部の一部を示す別の拡大斜視図である。
【図40】キャップ受部の内部を示す斜視図である。
【図41】キャップ受部を示す断面図である。
【図42】トナー容器収容部にトナー容器が装着される状態を示す斜視図である。
【図43】トナー容器収容部のシャッタ挟持機構にトナー容器のシャッタ部材が係合しながらトナー排出口を開放していく状態を示す下面図である。
【図44】図43に続く下面図である。
【図45】図44に続く下面図である。
【図46】トナー容器の装着動作が進められるときに、キャップ部に対してキャップ受部の各部位が係る手順を示す模式図である。
【図47】トナー容器のシャッタ部材に仮止めシールが貼着される状態を示す斜視図である。
【図48】トナー容器に仮止めシールが設置された状態を示す断面図である。
【図49】別形態のトナー容器を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態.
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0009】
まず、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1に示すように、画像形成装置本体100の上方にあるトナー容器収容部70には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つのトナー容器32Y、32M、32C、32Kが着脱可能(交換可能)に設置されている(図3、図4、図42をも参照できる。)。
トナー容器収容部70の下方には中間転写ユニット15が配設されている。その中間転写ユニット15の中間転写ベルト8に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Kが並設されている。
トナー容器32Y、32M、32C、32K(粉体容器)の下方には、それぞれ、トナー補給装置60Y、60M、60C、60Kが配設されている。そして、トナー容器32Y、32M、32C、32Kに収容されたトナーは、それぞれ、トナー補給装置60Y、60M、60C、60Kによって、作像部6Y、6M、6C、6Kの現像装置内に供給(補給)される。
【0010】
図2を参照して、イエローに対応した作像部6Yは、感光体ドラム1Yと、感光体ドラム1Yの周囲に配設された帯電部4Y、現像装置5Y(現像部)、クリーニング部2Y、除電部(不図示である。)、等で構成されている。そして、感光体ドラム1Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)がおこなわれて、感光体ドラム1Y上にイエロー画像が形成されることになる。
【0011】
なお、他の3つの作像部6M、6C、6Kも、使用されるトナーの色が異なる以外は、イエローに対応した作像部6Yとほぼ同様の構成となっていて、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、他の3つの作像部6M、6C、6Kの説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部6Yのみの説明をおこなうことにする。
【0012】
図2を参照して、感光体ドラム1Yは、不図示の駆動モータによって図2中の時計方向に回転駆動される。そして、帯電部4Yの位置で、感光体ドラム1Yの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、露光装置7(図1を参照できる。)から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0013】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、現像装置5Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、中間転写ベルト8及び第1転写バイアスローラ9Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上のトナー像が中間転写ベルト8上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム1Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0014】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、クリーニング部2Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによって機械的に回収される(クリーニング工程である。)。
最後に、感光体ドラム1Yの表面は、不図示の除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム1Y上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0015】
なお、上述した作像プロセスは、他の作像部6M、6C、6Kでも、イエロー作像部6Yと同様におこなわれる。すなわち、作像部の下方に配設された露光部7から、画像情報に基いたレーザ光Lが、各作像部6M、6C、6Kの感光体ドラム上に向けて照射される。詳しくは、露光部7は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体ドラム上に照射する。
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0016】
ここで、図1を参照して、中間転写ユニット15は、中間転写ベルト8、4つの1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9K、2次転写バックアップローラ12、複数のテンションローラ、中間転写クリーニング部、等で構成される。中間転写ベルト8は、複数のローラ部材によって張架・支持されるとともに、1つのローラ部材12の回転駆動によって図1中の矢印方向に無端移動される。
【0017】
4つの1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kに、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。
そして、中間転写ベルト8は、矢印方向に走行して、各1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。
【0018】
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8は、2次転写ローラ19との対向位置に達する。この位置では、2次転写バックアップローラ12が、2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された転写紙等の記録媒体P上に転写される。このとき、中間転写ベルト8には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。
【0019】
その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング部(不図示である。)の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8上の未転写トナーが回収される。
こうして、中間転写ベルト8上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
【0020】
ここで、2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体Pは、装置本体100の下方に配設された給紙部26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、給紙部26には、転写紙等の記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
【0021】
レジストローラ対28に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、記録媒体Pが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、記録媒体P上に、所望のカラー画像が転写される。
【0022】
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写された記録媒体Pは、定着部20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ベルト及び加圧ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像が記録媒体P上に定着される。
その後、記録媒体Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対29によって装置外に排出された記録媒体Pは、出力画像として、スタック部30上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0023】
次に、図2にて、作像部における現像装置の構成・動作について、さらに詳しく説明する。
現像装置5Yは、感光体ドラム1Yに対向する現像ローラ51Y、現像ローラ51Yに対向するドクターブレード52Y、現像剤収容部53Y、54Y内に配設された2つの搬送スクリュ55Y、現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ56Y、等で構成される。現像ローラ51Yは、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。現像剤収容部53Y、54Y内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤Gが収容されている。現像剤収容部54Yは、その上方に形成された開口を介してトナー落下搬送経路64Yに連通している。
【0024】
このように構成された現像装置5Yは、次のように動作する。
現像ローラ51Yのスリーブは、図2の矢印方向に回転している。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。
【0025】
ここで、現像装置5Y内の現像剤Gは、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。詳しくは、現像装置5Y内のトナー消費に応じて、トナー容器32Yに収容されているトナーが、トナー補給装置60Y(図3等を参照できる。)を介して現像剤収容部54Y内に補給される。なお、トナー補給装置の構成・動作については、後で詳しく説明する。
【0026】
その後、現像剤収容部54Y内に補給されたトナーは、2つの搬送スクリュ55Yによって、現像剤Gとともに混合・撹拌されながら、2つの現像剤収容部53Y、54Yを循環する(図2の紙面垂直方向の移動である。)。そして、現像剤G中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51Y上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51Y上に担持される。
【0027】
現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード52Yの位置に達する。そして、現像ローラ51Y上の現像剤Gは、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム1Yとの対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム1Y上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ51Y上に残った現像剤Gはスリーブの回転にともない現像剤収容部53Yの上方に達して、この位置で現像ローラ51Yから離脱される。
【0028】
次に、図3及び図4にて、トナー補給装置60Y、60M、60C、60Kについて詳述する。
図3を参照して、装置本体100のトナー容器収容部70に設置された各トナー容器32Y、32M、32C、32K内のトナーは、各色の現像装置内のトナー消費に応じて、トナー色ごとに設けられたトナー補給装置60Y、60M、60C、60Kによって適宜に各現像装置内に補給される。
なお、4つのトナー補給装置60Y、60M、60C、60Kやトナー容器32Y、32M、32C、32Kは、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造であるので、イエローに対応したトナー補給装置50Yやトナー容器32Yのみの説明をおこない、他の3つの色に対応したトナー補給装置60M、60C、60Kやトナー容器32M、32C、32Kの説明を適宜に省略する。
【0029】
図4に示すように、トナー容器32Y、32M、32C、32Kが装置本体100のトナー容器収容部70に装着(矢印Q方向の移動である。)されると、その装着動作に連動して、トナー容器32Y、32M、32C、32Kのシャッタ部材34dが移動してトナー排出口Wが開放されるとともに、トナー補給装置32Y、32M、32C、32Kのトナー補給口73w(図3、図42を参照できる。)とトナー排出口Wとが連通する。これにより、トナー容器32Y、32M、32C、32K内に収容されたトナーが、トナー排出口Wから排出されて、トナー補給装置60Y、60M、60C、60Kのトナー補給口73wからトナータンク部61Y内に貯溜されることになる。
ここで、図3の模式図を参照して、トナー容器32Yは、略円筒状のトナーボトルであって、主として、トナー容器収容部70に非回転で保持されるキャップ部34Yと、ギア33cが一体的に形成された容器本体33Y(ボトル本体)と、で構成される。容器本体33Yは、キャップ部34Yに対して相対的に回転可能に保持されていて、駆動部91(駆動モータ、駆動ギア81等で構成されている。)によって図3の矢印方向に回転駆動される。そして、容器本体33Y自体が回転することで、容器本体33Yの内周面に螺旋状に形成された突起33bによって、トナー容器32Y(容器本体33Y)の内部に収容されたトナーが長手方向に搬送されて(図3の左方から右方への搬送である。)、キャップ部34Yのトナー排出口Wからトナーが排出される。すなわち、駆動部91によってトナー容器32Yの容器本体33Yが適宜に回転駆動されることで、トナータンク部61Yにトナーが適宜に供給される。なお、トナー容器32Y、32M、32C、32Kは、それぞれ、寿命に達したとき(収容するトナーがほとんどすべて消費されて空になったときである。)に新品のものに交換される。
【0030】
図3を参照して、トナー補給装置60Y、60M、60C、60Kは、トナー容器収容部70、トナータンク部61Y、トナー搬送スクリュ62Y、撹拌部材65Y、トナーエンドセンサ66Y、駆動部91、等で構成されている。
トナータンク部61Yは、トナー容器32Yのトナー排出口Wの下方に配設されていて、トナー容器32Yのトナー排出口Wから排出されたトナーが貯留される。トナータンク部61Yの底部は、トナー搬送スクリュ62Yの上流部に接続されている。
また、トナータンク部61Yの壁面(底部から所定高さの位置である。)には、トナータンク部61Yに貯留されたトナーが所定量以下になったことを検知するトナーエンドセンサ66Yが設置されている。トナーエンドセンサ66Yとしては、圧電センサ等を用いることができる。そして、トナーエンドセンサ66Yによってトナータンク部61Yに貯留されたトナーが所定量以下になったことが制御部70にて検知(トナーエンド検知)されると、制御部70の制御により駆動部91(駆動ギア81)によってトナー容器32Yの容器本体33Yを所定時間回転駆動してトナータンク部61Yへのトナー補給をおこなう。さらに、このような制御を繰り返してもトナーエンドセンサ66Yによるトナーエンド検知が解除されない場合には、トナー容器32Y内にトナーがないものとして、装置本体100の表示部(不図示である。)にトナー容器32Yの交換を促す旨の表示をおこなう。
【0031】
また、トナータンク部61Yの中央(トナーエンドセンサ66Yの近傍である。)には、トナータンク部61Yに貯留されたトナーの凝集を防ぐ撹拌部材65Yが設置されている。撹拌部材65Yは、軸部に可撓性部材が設置されたものであって、図3の時計方向に回転することによりトナータンク部61Y内のトナーを撹拌する。さらに、撹拌部材65Yの可撓性部材の先端が、回転周期でトナーエンドセンサ66Yの検知面に摺接することで、トナーエンドセンサ66Yの検知面にトナーが固着して検知精度が低下する不具合を抑止している。
【0032】
図示は省略するが、トナー搬送スクリュ62Yは、トナータンク部61Yに貯留されたトナーを斜め上方に搬送するものである。詳しくは、トナー搬送スクリュ62Yは、トナータンク部61Yの底部(最下点)から現像装置5Yの上方に向けてトナーを直線的に搬送する。そして、トナー搬送スクリュ62Yによって搬送されたトナーは、トナー落下搬送経路64Y(図2を参照できる。)を自重落下して現像装置5Y(現像剤収容部54Y)内に補給される。
【0033】
また、図4を参照して、トナー容器収容部70は、主として、トナー容器32Yのキャップ部34Yを保持するためのキャップ受部73と、トナー容器32Yの容器本体33Yを保持するためのボトル受部72(容器本体受部)と、トナー容器32Yの装着動作時における挿入口となる挿入口部71と、で構成されている。なお、トナー容器収容部70(ボトル受部72、キャップ受部73)の構成については、図32〜図46を用いて後で詳しく説明する。
【0034】
ここで、図1を参照して、装置本体100の手前側(図1の紙面垂直方向手前側である。)に設置された本体カバー(不図示である。)を開放すると、トナー容器収容部70(挿入口部71)が露呈される。そして、各トナー容器32Y、32M、32C、32Kの長手方向を水平方向とした状態で、装置本体100の手前側から各トナー容器32Y、32M、32C、32Kの着脱操作(トナー容器の長手方向を着脱方向とする着脱操作である。)がおこなわれる。
ここで、ボトル受部72は、その長手方向の長さが、容器本体33Yの長手方向の長さとほぼ同等になるように形成されている。また、キャップ受部73はボトル受部72における長手方向(装着方向)の一端側に設けられ、挿入口部71はボトル受部72における長手方向(装着方向)の他端側に設けられている。そのため、トナー容器32Yの装着動作にともない、キャップ部34Yは、挿入口部71を通過した後に、しばらくボトル受部72上を滑動して、その後にキャップ受部73にセットされることになる。
【0035】
また、本実施の形態では、トナー容器32Y、32M、32C、32Kが着脱可能に並設される、トナー容器収容部70のキャップ受部73に、アンテナ73e(RFID用アンテナ)が設置されている(図38、図39等を参照できる。)。詳しくは、アンテナ73eは、トナー容器32Yのキャップ部34Yの端面に設置された電子情報格納部材としてのRFID用チップ35(図5、図9等を参照できる。)と通信をおこなうためのものである。
そして、トナー容器32Y、32M、32C、32KのRFID用チップ35(電子情報格納部材)と、装置本体100のアンテナ73e(RFID用アンテナ)と、の間で必要な情報の授受がおこなわれる。双方の間で通信される情報としては、トナー容器の製造番号、リサイクル回数等の情報や、トナーの容量、ロット番号、色等の情報や、画像形成装置本体100の使用履歴等の情報がある。RFID用チップ35(電子情報格納部材)には、これらの電子情報が画像形成装置本体100に設置される前に予め格納されている(又は、設置された後に装置本体100から受け取った情報が格納される)。
【0036】
次に、図5〜図31にて、粉体容器としてのトナー容器32Y、32M、32C、32Kについて詳述する。
図5〜図7に示すように、トナー容器32Yは、主として、容器本体33Y(ボトル本体)と、その頭部に設けられたキャップ部34Y(ボトルキャップ)と、で構成される。さらに、図9を参照して、トナー容器32Yは、容器本体33Yとキャップ部34Yとの他に、撹拌部材33f、キャップシール37、シャッタ部材34d、シール部材としてのシャッタシール36、電子情報格納部材としてのRFID用チップ35等に分解される。
【0037】
容器本体33Yの頭部には、容器本体33Yとともに一体的に回転するギア33cと、開口部Aと、が長手方向(図8紙面垂直方向である。)の一端側に設けられている(図9〜図11を参照できる。)。開口部Aは、容器本体33Yの頭部(装着動作において先方となる位置である。)に設けられていて、容器本体33Y内に収容されたトナーをキャップ部34Y内のスペース(空洞Bであって、図28を参照できる。)に向けて排出するためのものである。
なお、容器本体33Y内からキャップ部34Y内の空洞Bへのトナー搬送(容器本体33Yの回転駆動)は、キャップ部34Y内におけるトナーが所定の喫水線を下回らない程度に適宜におこなわれる。
【0038】
ギア33cは、装置本体100のトナー容器収容部70に設けられた駆動ギア81と噛合して、容器本体33Yを回転軸を中心に回転駆動させるためのものである。詳しくは、ギア33cは、開口部Aの周りを1周するように形成されていて、容器本体33Yの回転軸に対して放射状に複数の歯が形成されている。そして、ギア33cは、その一部が、キャップ部34Yに形成された切欠部34x(図22等を参照できる。)から露呈して、図8における斜め下方の噛合位置で装置本体100の駆動ギア81と噛合する。そして、駆動ギア81からギア33cに駆動力が伝達されて、容器本体33Yが図8の時計方向に回転することになる。なお、本実施の形態において、駆動ギア81及びギア33cは平歯車である。
【0039】
図5及び図6を参照して、容器本体33Yの長手方向他端側(装着方向の後方の端部である。)には、トナー容器32Yの着脱作業をおこなう際にユーザーが把持するための把持部33dが設けられている。ユーザーは把持部33dを把持しながら、画像形成装置本体100に対してトナー容器32Yの装着をおこなうことになる(図5の矢印方向へのトナー容器32Yの移動である。)。
【0040】
また、容器本体33Yの内周面には、螺旋状の突起33bが設けられている(外周面側から見ると螺旋状の溝となっている。)。この螺旋状の突起33bは、容器本体33Yを所定方向に回転駆動して開口部Aからトナーを排出するためのものである。このように構成された容器本体33Yは、その周面上に配設されるギア33cや把持部33dとともにブロー成形にて製造することができる。
【0041】
なお、図9〜図11を参照して、本実施の形態におけるトナー容器32Yは、容器本体33Yとともに回転する撹拌部材33fがボトル口部33a(開口部A)に嵌合されている。撹拌部材33fは、キャップ部34Y内の空洞Bから容器本体33Y内に向けて延設された棒状部材である(図28をも参照できる。)。容器本体33Yの開口部Aとともに撹拌部材33fが回転することで、開口部Aからのトナー排出性が向上する。
【0042】
詳しくは、図12に示すように、撹拌部材33fは、ボトル口部33a(開口部A)に圧入される略環状の嵌合部33f2、嵌合部33f2上にて180度位相がずれた位置においてキャップ部34Y内の空洞Bに向けて起立する1対の棒状部33f1、2つの棒状部33f1の間に架設された架橋部33f3、等で構成されている。そして、このように構成された撹拌部材33fが、図11に示すように、ボトル口部33a(開口部A)に嵌合される。そして、撹拌部材33fにおける円柱状の2つの棒状部33f1が、容器本体32Yの開口部Aからキャップ部34Yの空洞Bに向けて搬送されるトナーの搬送力を適度に弱めながら、空洞B内のトナーをほぐすことになる。これにより、容器本体32Yの開口部Aからキャップ部34Yの空洞Bに向けて搬送されるトナー量が多すぎて空洞B内でトナーが詰まる不具合が軽減される。
なお、撹拌部材33fにおける2つの棒状部33f1は円柱状に形成されているために、棒状部33f1がトナー排出口W(トナー落下経路C)から著しく離れていると、棒状部33f1によってトナー排出口W(トナー落下経路C)近傍のトナーをほぐすことができなくなってしまう。したがって、図28等に示すように、棒状部33f1は、トナー排出口W(トナー落下経路C)の真上の位置まで延設されている。具体的に、棒状部33f1の先端部の長手方向の位置は、トナー排出口W(トナー落下経路C)の開口幅(図28の左右方向に広がる開口幅である。)の半分の位置を超える位置(図28の右側に延びた位置である。)となっている。
また、現像装置5Yにおけるトナー消費が少なくてトナー容器32Yからトナー補給装置に少量のトナーを補給する場合には、トナー容器32Yにおける容器本体32Yの回転駆動時間も短時間になり、容器本体32Yは1回転もしない程度の僅かな角度で回転することになる。しかし、このような場合であっても、撹拌部材33fに2つの棒状部33f1が180度位相をずらして設置されているため、いずれかの棒状部材33f1によってトナー排出口W(トナー落下経路C)近傍のトナーをほぐすことができる。
また、本実施の形態における撹拌部材33fには、略環状の嵌合部33f2の中央を横断するように架橋部33f3が設けられているために、開口部Aの近傍においてその中心部分のトナーをほぐすことができる。
なお、本実施の形態では、撹拌部材33fに2つの棒状部33f1を形成したが、図13に示すように撹拌部材33fに1つの棒状部33f1を形成することもできるし、図示は省略するが撹拌部材33fに3つ以上の棒状部33f1を形成することもできる。
【0043】
また、図9及び図10を参照して、容器本体33Yのボトル口部33aには、キャップ部34Yの爪部34j(図15、図29等を参照できる。)に係合して双方の部材33Y、34Yを接続するための嵌合部(凸部)が、外周を1周するように形成されている。このように、容器本体33Yは、キャップ部34Yに対して相対的に回転可能に嵌合されている。したがって、ギア33cは、キャップ部34Yに対して相対的に回転することになる。
また、容器本体33Yの頭部(ギア33cが形成された位置近傍である。)の内径は、トナーが収容された収容部(螺旋状の突起33bが形成された位置である。)の内径よりも小さくなるように形成されている(図28をも参照できる。)。そして、容器本体33Yの頭部には、その内周面が内部に向かってせり出すように形成された汲み上げ部(図9、図10の破線で囲んだ部分である。)が設けられている。そして、容器本体33Yの回転にともない螺旋状の突起33bによって開口部Aに向けて搬送されたトナーは、汲み上げ部(図9、図10の破線で囲んだ部分である。)によって頭部の小径部に汲み上げられる。その後、頭部の小径部に汲み上げられたトナーは、撹拌部材33fに撹拌されながら、開口部Aからキャップ部34Yの空洞Bに向けて排出される。
【0044】
図14〜図17を参照して、トナー容器32Yのキャップ部34Yには、シャッタ部材34d、シャッタシール36(シール部材)、キャップシール37、RFID用チップ35(電子情報格納部材)、等が設置される。
キャップ部34Yは、空洞Bよりも大きな内径を有するように形成された内挿部34z(図29を参照できる。)に、容器本体33Yの開口部Aが内挿される。図20、図28等を参照して、キャップ部34Yの底部には、容器本体33Yの開口部Aから排出されたトナーを容器外であって鉛直方向下方に排出(自重落下)させるためのトナー排出口Wが形成されている。そして、キャップ部34Yの底部には、トナー排出口Wの開閉をおこなうためのシャッタ部材34dが、スライド移動可能に保持されている。具体的に、シャッタ部材34dは、キャップ部34Yの側から容器本体33Yの側への長手方向の相対的な移動(図28の左方への移動である。)によりトナー排出口Wを開放して、容器本体33Yの側からキャップ部34Yの側への長手方向の相対的な移動(図28の右方への移動である。)によりトナー排出口Wを閉鎖する。シャッタ部材34dの開閉動作(トナー排出口Wの開閉動作である。)は、トナー容器収容部70(装置本体100)へのトナー容器32Yの長手方向の着脱動作に連動しておこなわれる。
なお、図18〜図20は、シャッタ部材34dがトナー排出口Wの開放を開始してから開放が完了するまでの動作を示すものである。また、図21は、そのときのシャッタ部材34d(シャッタ変形部34d2)の開放動作を示す模式図である。
【0045】
図14、図15等を参照して、キャップ部34Yの上部(天井部)には、長手方向に直交するキャップ部34Yの端面から長手方向に延設された第1の穴部34aが形成されている。この第1の穴部34aは、画像形成装置本体100におけるキャップ部34Yの位置決め主基準となる。詳しくは、トナー容器収容部70へのトナー容器32Yの長手方向の装着動作に連動して、キャップ部34Yの第1の穴部34aがキャップ受部73の主基準ピン73a(図39、図40等を参照できる。)に係合する。
また、キャップ部34Yの下部(底部)には、長手方向に直交するキャップ部34Yの端面から長手方向に延設された第2の穴部34bが、トナー排出口Wの位置に達しないように形成されている。この第2の穴部34bは、画像形成装置本体100におけるキャップ部34Yの位置決め従基準となる。詳しくは、トナー容器収容部70へのトナー容器32Yの長手方向の装着動作に連動して、キャップ部34Yの第2の穴部34bがキャップ受部73の従基準ピン73b(図39、図40等を参照できる。)に係合する。なお、第2の穴部34bは、図8に示すように、鉛直方向を長手方向(この「長手方向」は、その他で記載しているトナー容器32Yの「長手方向」の意味とは異なる。)とする長穴である。
このように構成された2つの穴部34a、34bによって、トナー容器収容部70におけるキャップ部34Yの位置決めがおこなわれる。また、図8を参照して、長手方向に直交する平面でみたときに、第1の穴部34aの中心を通る仮想垂線と、第2の穴部34bの中心を通る仮想垂線と、は、同一直線であるとともに、キャップ部34Yの円中心を通るように形成されている。
【0046】
ここで、図28等を参照して、第1の穴部34aの穴の深さ(又は、主基準ピン73aの長手方向の長さ)は、第2の穴部34bの穴の深さ(又は、従基準ピン73bの長手方向の長さ)よりも長く設定されている。これにより、トナー容器収容部70(キャップ受部73)へのトナー容器32Yの長手方向の装着動作において、位置決め主基準となる第1の穴部34aへの主基準ピン73aの係合が開始された後に、位置決め従基準となる第2の穴部34bへの従基準ピン73bの係合が開始されることになり、トナー容器収容部70(キャップ受部73)へのトナー容器32Yのスムーズな装着が可能になる。また、このように長手方向に長い第1の穴部34aは、キャップ部34Yの天井部(トナーに埋没することがない部分である。)に設けられているために、キャップ部34Y内におけるトナーの搬送性(流動性)に与える影響が生じないことになる。また、長手方向に短い第2の穴部34bは、キャップ部34Yの底部に設けられているものの、キャップ部34Yの端面からトナー排出口Wの位置までの短いスペースを利用して設置できるものであって、位置決め従基準としての機能を充分に発揮する。
【0047】
また、図14〜図17等を参照して、キャップ部34Yの天井部には、画像形成装置本体100(キャップ受部73)におけるキャップ部34Yの長手方向に直交する水平方向の姿勢を規制する規制部としての第1係合部34e及び第2係合部34fが形成されている。第1係合部34eと第2係合部34fとは、いずれも、長手方向に直交する断面(図8の正面図に平行する断面である。)でみたときに第1の穴部34aの穴中心を通る仮想垂線に対して線対称形となるようにキャップ部34Yの外周面から鉛直方向上方に突出するとともに、長手方向(図8の紙面垂直方向である。)に延設されている。そして、第1係合部34eと第2係合部34fとが、図38等に示すキャップ受部73の被係合部73m(凸部)に係合して、キャップ部34Yの水平方向の姿勢が規制されながらキャップ受部73に対してキャップ部34Yが着脱されるとともに、キャップ受部73にキャップ部34Yが装着された状態でのキャップ部34Yの水平方向の姿勢が規制される。
さらに詳しくは、第1係合部34e(規制部)は、第1の穴部34aの真上に形成されていて、長手方向に直交する断面でみたときに略矩形状の断面を有する。また、第1係合部34eは、第1の穴部34aの端面に対して長手方向(装着方向)に突出する突出部34e1が形成されている。この突出部34e1の先端は、図14等に示すように、テーパ状に形成されている。他方、第2係合部34f(規制部)は、第1係合部34eを挟むように第1係合部34eの両側に形成されていて、長手方向に直交する断面(図8の正面図に平行する断面である。)でみたときに略L字状の断面を有する。そして、キャップ受部73に形成された2つの被係合部73mの間に第1係合部34eが入り込むように係合して、2つの被係合部73mをまとめて外側から挟むように2つの第2係合部34fが係合する。ここで、キャップ受部73に対してキャップ部34Yが装着されるときに、第1の穴部34aにおけるテーパ状の突出部34e1が第2係合部34fよりも先に被係合部73mに係合するため、キャップ受部73へのキャップ部34Yの装着がスムーズにおこなわれることになる。
【0048】
また、図14〜図17等を参照して、キャップ部34Yの両側方部には、それぞれ、画像形成装置本体100(キャップ受部73)におけるキャップ部34Yの回転方向の姿勢を規制する第2の規制部としての側方突起34cが形成されている。側方突起34c(第2の規制部)は、長手方向に直交する断面でみたときに第1の穴部34aの穴中心と第2の穴部34bの穴中心とを結ぶ仮想線分の中点を通る仮想水平線上に配設されるようにキャップ部34Yの外周面から水平方向両側に突出するとともに、長手方向(図8の紙面垂直方向である。)に延設されている。そして、2つの側方突起34c(第2の規制部)が、図38等に示すキャップ受部73の側方溝73c(溝部)に係合して、キャップ部34Yの回転方向の姿勢が規制されながらキャップ受部73に対してキャップ部34Yが着脱されるとともに、キャップ受部73にキャップ部34Yが装着された状態でのキャップ部34Yの回転方向の姿勢が規制される。
さらに詳しくは、側方突起34cは、図14等に示すように、長手方向(装着方向)の先端がテーパ状に形成されている。ここで、キャップ受部73に対してキャップ部34Yが装着されるときに、まず、被係合部73mに係合して、その後に第2係合部34fが被係合部73mに係合するとともに、先端がテーパ状に形成された2つの側方突起34cが側方溝73cに係合するため、キャップ部34Yの姿勢が確実に規制された状態でキャップ受部73への装着がスムーズにおこなわれることになる。
【0049】
図14、図15等を参照して、キャップ部34Yの端面上には、第1の穴部34aと第2の穴部34bとの間に形成された設置部34k(凸部で囲まれている。)に、種々の電子情報が格納された電子情報格納部材としてのRFID用チップ35が設置されている。RFID用チップ35は、トナー容器収容部70(キャップ受部73)にキャップ部34Yが装着された状態で、キャップ受部73のアンテナ73eに対して所定距離離間して対向するように構成されている。そして、RFID用チップ35は、キャップ部34Yがキャップ受部73に保持された状態で、アンテナ73eとの間で非接触通信(無線通信)をおこなう。
ここで、本実施の形態では、RFID用チップ35が第1の穴部34a(主基準)と第2の穴部34b(従基準)との間に固設されているために、キャップ受部73のアンテナ73eに対して高精度に位置が定められることになる。したがって、アンテナ73e(RFID用アンテナ)に対するRFID用チップ35の位置ずれによる通信不良を抑止することができる。
なお、突出部34e1と突起部34mとは、それぞれ、設置部34kの周囲に形成された凸部(リブ)よりも前面側(図28の右側である。)に突出するように形成されている。これにより、万が一、トナー容器32Yが容器本体33Yを上方としてキャップ部34Yを下方として静置されそうになった場合等であっても、設置部34k内に保持されたRFID用のチップ35が静置面に直接的に接触してダメージを受ける不具合が抑止されることになる。
【0050】
また、図14及び図15を参照して、キャップ部34Yの外周面上には、トナー容器32Yの非互換性を担保するための凸部34g、34hが設けられている。この凸部34g、34hは、トナー容器収容部70へのトナー容器32Yの装着操作が正しいときに(トナー容器収容部70の正規位置へ装着されたときに)、対応する嵌合部材71g、71h(トナー容器収容部70の挿入口部71に形成されていて、図30を参照できる。)に嵌合するように構成されている。
具体的に、図30を参照して、トナー容器(容器本体)に収容されるトナーの色に応じて凸部34g、34hの位置が異なる位置に配設されている。シアンに対応したトナー容器の凸部34g、34hはトナー容器収容部70(挿入口部71C)のシアン用の嵌合部材71g、71h(図30(C)を参照できる。)にのみ係合する位置に形成され、マゼンタに対応したトナー容器の凸部34g、34hはトナー容器収容部70(挿入口部71M)のマゼンタ用の嵌合部材71g、71h(図30(B)を参照できる。)にのみ係合する位置に形成され、イエローに対応したトナー容器の凸部34g、34hはトナー容器収容部70(挿入口部71Y)のイエロー用の嵌合部材71g、71h(図30(A)を参照できる。)にのみ係合する位置に形成され、ブラックに対応したトナー容器の凸部34g、34hはトナー容器収容部70(挿入口部71K)のブラック用の嵌合部材71g、71h(図30(D)を参照できる。)にのみ係合する位置に形成されている。
このような構成によって、所定の色のトナー容器収容部(例えば、シアンのトナー容器収容部である。)に、異なる色のトナー容器(例えば、イエローのトナー容器である。)がセットされて、所望のカラー画像が形成できなくなる不具合が抑止される。すなわち、トナー容器収容部へのトナー容器の誤セットが抑止される。
ここで、この非互換用の凸部34g、34hは、その一部がトナー容器に収容されているトナーの種類(色)に応じて切断されることで、各色に対する非互換の機能をもたせることが可能になる。すなわち、非互換用の凸部34g、34h(左右合計して8つの爪部が形成されている。)が形成された状態のキャップ部34Y(図8の状態のものである。)に対して、ニッパ、カッタ等の切断治具を用いて必要な爪部を切り落とすことで、種々の形状の非互換用凸部34g、34hを形成することができる(本実施の形態では、図30(A)〜(D)の4種類を形成している)。
このような構成により、トナー容器(キャップ部)の種類と同数の金型を製造する必要がなく、1つの金型で複数種類の非互換性のあるキャップ部を形成することができるため、複数種類のトナー容器全体の製造コストを低減することができる。
なお、本実施の形態では、図30(A)〜(D)に示す4種類の非互換性のあるキャップ部を形成したが、非互換用の凸部34g、34h(左右合計して8つの爪部が形成されている。)において8つの爪部のうち必要な爪部を種々の組み合わせで切り落とすことで、さらに複数種類の非互換性のあるキャップ部を形成することができる。
【0051】
図31(A)〜(C)は、それぞれ、4色のトナー容器32Y、32M、32C、32Kがそれぞれ挿入された状態の挿入口部71の別の構成例を示す図であって、4つの挿入口部71Y、71M、71C、71Kの配列を示す図である。
図31(A)〜(C)に示すように、本実施の形態では、非互換用の凸部34g、34h(嵌合部材71g、71h)の配列をどのように構成しても、比較的近い距離で隣接するトナー容器(挿入口部)同士の凸部34g、34h(嵌合部材71g、71h)が干渉しないように構成されている。これは、トナー容器(例えば、イエロー用のトナー容器32Yである。)における一方の凸部34gが、隣接するトナー容器(例えば、マゼンタ用のトナー容器32Mである。)における他方の凸部34hの上方に位置するように、4つの挿入口71Y、71M、71C、71Kを水平に配列するのではなく斜めに配列するとともに、キャップ部34Yにおいて一方の凸部34gを斜め上方に配置して他方の凸部34hを側方に配置することにより成立するものである。なお、トナー容器の凸部34g、34hにおけるそれぞれの爪部は、長手方向に直交する断面でみたときに、キャップ部34Yの外周部から互いが平行に突出するように形成されている。
また、トナー容器における双方の凸部34g、34hは、それぞれ、長手方向に直交する断面でみたときに、略円筒状のキャップ部34Yの中心を通る中心線(本実施の形態では、鉛直方向に延びる中心線である。)を挟む位置に配設されている。すなわち、一方の凸部34gがキャップ部34Yの中心線に対して図31の右側に配設され、他方の凸部34hがキャップ部34Yの中心線に対して図31の左側に配設されている。これにより、トナー容器がトナー容器収容部70(挿入口部71)に誤挿入された場合であっても、挿入口部71の嵌合部材71g、71hに当接する力がキャップ部34Yの片側のみに集中的に作用してトナー容器に変形が生じる不具合が抑止される。すなわち、トナー容器がトナー容器収容部70(挿入口部71)に誤挿入された場合には、挿入口部71の嵌合部材71g、71hに当接する力がキャップ部34Yの中心線を挟んで両側にバランスよく作用することになる。このような効果を確実に得るためには、双方の凸部34g、34hを、キャップ部34Yの周方向に120度〜240度程度の範囲内でずらして配置することが好ましい。
【0052】
図15を参照して、キャップ部34Yの外周面には、容器本体33Yのギア33cの一部が露呈する切欠部34xが設けられている。そして、トナー容器32Yがトナー容器収容部70に装着された状態で、キャップ部34Yの切欠部34xから露呈するギア33cが、キャップ受部73に設置された駆動ギア81(図示は省略するが、図38等の一点鎖線の位置に配設される。)に噛合して、駆動ギア81によってギア33cとともに容器本体33Yが回転駆動される。
【0053】
図16、図17等を参照して、キャップ部34Yの底部には、シャッタ部材34dがトナー排出口Wを開放するときにシャッタ部材34dの一部(シャッタ変形部34d2である。)を内部に収納するシャッタ収納部34n(収納部)が形成されている。シャッタ収納部34nは、内挿部34zから下方に向けて膨出された略直方体の空間である。そして、シャッタ収納部34n(収納部)は、シャッタ変形部34d2の変形状態(シャッタ主部34d1との接続位置を基点にして上方に弾性変形した状態である。)を保持したまま、シャッタ変形部34d2を収納する。ここで、図14及び図15を参照して、シャッタ収納部34nの内側面には、シャッタレール34t(図22を参照できる。)とともに、シャッタ部材34dの開閉動作を案内するレール部として機能するスライド溝34n1が形成されている。なお、シャッタ部材34dの構成・動作については、後で詳しく説明する。
【0054】
また、図15を参照して、シャッタ収納部34nの外側面の一方には、トナー容器収容部70へのトナー容器32Yの着脱時に、ボトル受部72を通過するキャップ部34Yの位置を定めるために、ボトル受部72の押圧部材72c(図34、図42等を参照できる。)に係合する押圧用レール34n2が形成されている。押圧用レール34n2は、凹部(溝部)によって形成されていて、トナー容器32Yの装着方向(長手方向)に対して平行になるように設けられている。また、押圧用レール34n2は、シャッタ収納部34nにおける長手方向(着脱方向)の全域にわたって形成されていて、そのレール両端が壁部を有さず開放されている。なお、押圧用レール34n2の装着方向の先端部には、装着動作時の押圧部材72cの係合をスムーズにするために、テーパ部34n21が形成されている。
さらに、図14を参照して、シャッタ収納部34nの外側面の他方には、トナー容器収容部70へのトナー容器32Yの着脱時に、ボトル受部72を通過するキャップ部34Yの位置を定めるために、ボトル受部72の圧受部材72d(図34、図42等を参照できる。)が摺動する圧受面34n3が形成されている。
このような構成により、トナー容器収容部70へのトナー容器32Yの装着時(又は、離脱時)であって、キャップ受部73に装着(又は、離脱)される直前(又は、直後)のキャップ部34Yは、押圧用レール34n2が圧縮スプリング72eに付勢された押圧部材72cに係合しながら付勢されて、その付勢力を圧受部材72dに摺接しながら圧受面34n3が受けることになる。こうして、ボトル受部72を通過する際の、キャップ受部73に装着(又は、離脱)される直前(又は、直後)におけるキャップ部34Yの姿勢が規制されることになる。
【0055】
このように構成されたキャップ部34Yは、開口部Aを介して容器本体33Yに連通していて、開口部Aから排出されたトナーをトナー排出口Wから排出する(図3中の破線矢印方向の移動である。)。
ここで、本実施の形態では、図28を参照して、キャップ部34Yの内部に、長手方向(図28の左右方向である。)に延在するように略円柱状の空洞B(スペース)が形成されている。なお、この空洞Bの内径は、図29に示す内挿部34z(容器本体33Yの頭部が挿入される部分である。)の内径よりも小さく形成されている。さらに、キャップ部34Yの内部には、略円柱状の空洞Bの下方の周面からトナー排出口Wに向けて一定の流路面積(流路断面積)にて柱状に形成されたトナー落下経路Cが設けられている。これによって、容器本体33Yの開口部Aからキャップ部34Yの空洞Bに排出されたトナーは、柱状のトナー落下経路Cを自重落下してトナー排出口Wから容器外(トナータンク部61Y)にスムーズに排出されることになる。
【0056】
図22を参照して、キャップ部34Y(シャッタ部材34dやシャッタシール36が取出された状態のものである。)は、第1部材34Y1(図23、図24を参照できる。)と、第2部材34Y2(図25を参照できる。)と、を溶着して形成したものである。詳しくは、第2部材34Y2の切欠部34Y2b、34Y2cに、第1部材34Y1の側方突起34cや底部を差し込み、第2部材34Y2の内周面34Y2aを第1部材34Y1の接合部34Y1aに合わせて接合(溶着)する。
【0057】
なお、図23、図24に示すように、第1部材34Y1の対向面(容器本体33Yの開口部Aの周囲のボトル口部33aに対向する面である。)には、シール材として環状のキャップシール37が貼着されている。キャップシール37は、開口部Aの周囲で容器本体33Y及びキャップ部34Yの互いの対向面の隙間を封止するためのもので、発泡ポリウレタン等の弾性材料(発泡樹脂材料)で形成されている。
また、図23に示すように、第1部材34Y1の端面には、RFID用チップ35を設置するための設置部34kが形成されている。設置部34kは、その周囲が第1部材34Y1の端面から突出するように形成された壁部となっている。設置部34kの内部であって、矩形の壁部の四隅には、略矩形のRFID用チップ35の四隅を固定するための台座部34k2が設けられている。この台座部34k2上にRFIDチップ35を載置することによって、RFID用チップ35の裏面(第1部材34Y1に対向する面である。)に形成された電子デバイスが第1部材34Y1に接触しないように構成されている。なお、設置部34kへのRFID用チップ35の固定は、台座部34k2上にRFID用チップ35を載置した後に、台座部34k2の一部に熱と圧力とを加えながら融解してから冷却固化してRFID用チップ35の四隅に接合させることでおこなわれる。
【0058】
また、図23、図24に示すように、第1部材34Y1(キャップ部34Y)の底部には、その両側に、シャッタ部材34dがトナー排出口Wを開閉するようにシャッタ部材34dを案内して長手方向に移動させるためのシャッタレール34t(レール部)が形成されている。このシャッタレール34tは、トナー排出口Wが形成された底面の両側端から上方に向かってそれぞれ起立する2つの鉛直面34sに形成されたものである。換言すると、鉛直面34sの一部を用いてシャッタレール34tが形成されている。シャッタレール34tは、トナー排出口Wが形成されている底部の両端(図28の紙面垂直方向の両端である。)に突設された突部の上面を利用して形成されたものであって、その突部の側端部に上方に向かって起立する鉛直面34sが形成されている。また、両側端にそれぞれ形成された2つの鉛直面34sは、トナー排出口Wを閉鎖した位置にあるシャッタ部材34dの閉鎖方向の端部から長手方向(装着方向)に突出する位置まで連続的に形成されている(図43をも参照できる。)。
さらに詳しくは、キャップ部34Yには、長手方向に直交する端面から長手方向(装着方向)に突起する2つの突起部34m(ツノ部材)が形成されている。この2つの突起部34mは、第2の穴部34bの下端近傍であって第2の穴部34bを挟むように配設されている。そして、上述した2つの鉛直面34sが、2つの突起部34mにおける側端の鉛直面をそれぞれ含むように構成されている。すなわち、突起部34mの外側の側端の鉛直面は、シャッタレール34tが形成された鉛直面34sと同一面となるように形成されている。
このように構成された鉛直面34sは、キャップ受部73(トナー容器収容部70)のシャッタ閉機構73d(シャッタ挟持機構)における第1挟持部73d1によって挟持される挟持面である(図45を参照できる。)。すなわち、キャップ受部73にセットされたキャップ部34Yにおけるシャッタ部材34dの姿勢は、シャッタ挟持機構としても機能するシャッタ閉機構73dによって定められることになる。
そして、このように挟持面として機能する鉛直面34sを上述したように装着方向(図45の上方である。)に長く延設することで、トナー容器収容部70からトナー容器32Yを取出するときに、シャッタ閉機構73dがシャッタ部材34dを完全に閉鎖するタイミングに対して、シャッタ閉機構73d(第2挟持部73d2)が鉛直面34sを基準としたシャッタ部材34dの保持を解除するタイミングを遅らせることができる。これにより、シャッタ部材34dがトナー排出口Wを完全に閉鎖しないうちにトナー容器32Yが装置本体100から取出される不具合が抑止されることになる。特に、2つの突起部34mの長手方向(装着方向)の先端部は、第1の穴部34aの端面から長手方向(装着方向)に突出した位置にあるため、キャップ部34Yがキャップ受部73から離脱されるときの最後のタイミングで、シャッタ閉機構73d(第2挟持部73d2)によるシャッタ部材34dの保持の解除がおこなわれて、上述したシャッタ部材34dの閉鎖不良を防止する効果が確実なものになる。
また、図23、図24に示すように、第1部材34Y1には、トナー排出口Wとともに、第1の穴部34a(主基準穴)や第2の穴部34b(従基準穴)等の位置決め用の部材や、側方突起34cや第1係合部34eの規制部として機能する部材が形成されている。そのため、2つの成型品(第1部材34Y1と第2部材34Y2とである。)を接着又は溶着することでキャップ部34Yを構成していても、2つの成型品34Y1、34Y2の接着又は溶着の精度等のバラツキによってキャップ受部73(トナー補給口73w)に対するトナー排出口Wの位置がばらついてしまう不具合を抑止することができる。そのため、トナー排出口Wの位置決め不良にともなう、トナー排出口Wからトナー補給口73wへのトナー補給不良も抑止することができる。
なお、シャッタ閉機構73d(シャッタ挟持機構)の構成・動作については、後で図43〜図45等を用いて詳しく説明する。
【0059】
このように構成されたキャップ部34Yの底部には、トナー排出口Wとの対向面上にシャッタシール36(シール部材)が貼着されたシャッタ部材34dが、設置されている。このシャッタ部材34dは、図18〜図20に示すように、トナー容器収容部70へのトナー容器32Yの着脱動作に連動してトナー排出口Bを開閉するためのものである。
詳しくは、図26及び図27を参照して、シャッタ部材34dは、板状のシャッタ主部34d1と、シャッタ主部34d1から突出してシャッタ主部34d1より厚さが薄くて弾性をもたせたシャッタ変形部34d2と、で構成されている。シャッタ主部34d1は、その両外側に1対のシャッタスライダ34d12が形成され、その両内側に1対のシャッタレール係合部34d15が形成されている。シャッタスライダ34d12は、シャッタ主部34d1の側部に、トナー容器32Yの挿入方向に対して平行に延設されている突起である。シャッタレール係合部34d15は、シャッタ主部34d1の内側(シャッタスライダ34d12が突出している側の反対側)に、シャッタシール36と所定の間隔をもって突出している。また、シャッタスライダ34d12は、トナー容器32Yの挿入方向に対する長さが、トナー容器32Yに組み付けた状態で、後述するシャッターレール34tの端部から、シャッタレール34t上に形成された凸部34t1までの長さに設定されている。なお、シャッタ収容部34nに形成されたスライド溝34n1はトナー容器32Yの挿入方向に対する長さが、シャッタスライダ34d12の長さとほぼ同等になるように設定されている。
そして、シャッタ主部34d1のシャッタスライダ34d12がキャップ部34Yのスライド溝34n1(レール部)に係合するとともに、シャッタ主部34d1のシャッタレール係合部34d15とシャッタシール36との間でキャップ部34Yのシャッタレール34t(レール部)が挟み込むように係合して、これらのレール部34n1、34tに沿ってシャッタ部材34dが移動することで、シャッタ主部34d1がトナー排出口Wを開閉する。
【0060】
なお、シャッタ主部34d1の上面(トナー排出口Wに対向する面である。)には、シール部材としてのシャッタシール36が貼着されている。シャッタシール36は、シャッタ主部34d1(シャッタ部材34d)がトナー排出口Wを閉鎖した状態において、シャッタ主部34d1とトナー排出口Wとの間からトナーが漏出するのを防止するためのものであって、発泡樹脂材料等で形成することができる。
ここで、本実施の形態におけるシャッタシール36は、図26及び図27に示すように、シャッタ部材34dの閉鎖方向の端部から長手方向(装着方向)に突出するように配設されている。このシャッタシール36の先端部(突出した部分)は、キャップ部34Yがキャップ受部73に装着されるときに、トナー補給口73wの周囲に形成された壁部(図38等を参照できる。)に当接して、トナー容器32Y内のトナーがトナー補給口73wの周囲に漏出するのを防止するシール材として機能することになる。
【0061】
図26及び図27を参照して、シャッタ部材34dのシャッタ変形部34d2は、シャッタ主部34d1に一体的に形成されていて、シャッタ主部34d1との接続位置(図21の破線で囲んだ部分である。)を基点にして上下方向に弾性変形可能に形成されている。シャッタ変形部34d2は、シャッタ主部34d1に対して長手方向であって容器本体33Yの側に配設されている(図18等を参照できる。)。このシャッタ変形部34d2には、ストッパ部34d22とストッパ解除部34d21とが形成されている。
シャッタ変形部34d2のストッパ部34d22は、シャッタ変形部34d2の開放方向(図21の左方向である。)の最端部(シャッタ主部34d1から離れたシャッタ変形部34d2の先端である。)に形成された壁部であって、これがキャップ部34Yの収納部34nに形成された当接部34n5に当接することで、トナー排出口Wを閉鎖した状態からトナー排出口Wを開放する方向へのシャッタ部材34dの移動を規制する。すなわち、トナー容器32Yは、単独の状態(装置本体100にセットされていない状態である。)で、シャッタ部材34dのストッパ部34d22が当接部34n5に当接しているために、シャッタ部材34dが独自に開放方向に移動してトナー排出口Wを開放してしまうようなことは生じない。
【0062】
シャッタ変形部34d2のストッパ解除部34d21(ストッパ解除用突起部)は、鉛直方向下方に突出するように形成されていて、下方から外力を受けることによりシャッタ変形部34d2の上方への弾性変形にともないストッパ部34d22を上方に変位させて当接部34n5との当接状態を解除するためのものである。ストッパ解除部34d21は、ストッパ部34d22と、接続位置(シャッタ主部34d1とシャッタ変形部34d2との接続位置である。)と、の間に形成されていて、長手方向の両側にスロープが形成された山形の突起である。そして、このストッパ解除部34d21が、トナー容器収容部70へのトナー容器32Yの装着動作に連動して、ボトル受部72に形成されたストッパ解除付勢部72b(図32、図42等を参照できる。)に当接して、ストッパ解除付勢部72bによって上方に押し上げられることによって(下方から外力を受けることによって)、シャッタ変形部34d2が上方に弾性変形されてストッパ部34d22も上方に変位される。こうして、ストッパ部34d22と当接部34n5との当接状態が解除されて、シャッタ部材34dの開放方向の移動が可能になる。
【0063】
以下、図21(A)〜図21(C)を用いて、トナー容器収容部70へのトナー容器32Yの装着動作に連動したシャッタ部材34dの動作について詳述する。なお、図21(A)〜図21(C)におけるシャッタ部材34dの位置は、それぞれ、図18〜図20におけるシャッタ部材34dの位置に対応する。
図21(A)に示すように、トナー容器収容部70へのトナー容器32Yの装着動作(図21の右方向への移動である。)が開始されて、ボトル受部72に形成されたストッパ解除付勢部72b(図32、図42等をも参照できる。)の位置にシャッタ部材34dのストッパ解除部34d21が達していないとき、シャッタ部材34dのストッパ部34d22が当接部34n5に当接していて、シャッタ部材34dの開放方向の移動が規制されている。
その後、トナー容器32Yの装着動作が進むと、図21(B)に示すように、ストッパ解除付勢部72bによってストッパ解除部34d21が押し上げられて、シャッタ変形部34d2が接続位置(破線で囲んだ部分である。)を基点として弾性変形する。これにより、ストッパ部34d22と当接部34n5との当接状態が解除されて、シャッタ部材34dの開放方向の相対的な移動が可能になる。
その後、シャッタ部材34dは、キャップ受部73のトナー補給口73wの周囲に形成された壁部(図38等を参照できる。)に当接して、トナー容器収容部70(キャップ受部73)における移動が規制される(シャッタ部材34dは長手方向に絶対的に移動しないことになる。)。しかし、トナー容器32Yの装着方向の移動は進められるために、シャッタ部材34dの開放方向の相対的な移動がおこなわれる。すなわち、図21(C)に示すように、シャッタ部材34dは、容器本体33Yの側に相対的に移動して、そのシャッタ変形部34d2がシャッタ収納部34n(収納部)内に収納される。こうして、シャッタ部材34dの開放方向の移動によるトナー排出口Wの開放が完全に終了する。このとき、シャッタ部材34dのストッパ解除部34d21は、シャッタ収納部34nの切欠部34n6(図20等も参照できる。)に格納される。
【0064】
このように、本実施の形態におけるトナー容器32Yは、シャッタ部材34dにシャッタ主部34d1との接続位置を基点にして弾性変形するシャッタ変形部34d2を設けて、そのシャッタ変形部34d2にシャッタ部材34dの開放方向の移動を規制するストッパ部34d22とそれを解除するストッパ解除部34d21とを設けているため、トナー容器32Yが単体の状態でシャッタ部材34dが勝手にトナー排出口Wを開放してしまうことがなく、トナー容器32Yが画像形成装置本体100にセットされるときにのみその装着動作に連動してシャッタ部材34dがトナー排出口Wを開放することになる。
【0065】
ここで、シャッタ主部34d1のシャッタレール係合部34d15(図26を参照できる。)は、キャップ部34Yに形成された第2の当接部(図22、図23の破線で囲んだ部分である。)に当接して閉鎖方向(ストッパ部34d22によって規制される方向とは逆方向である。)へのシャッタ部材34dの移動を規制する第2のストッパ部としても機能する。すなわち、シャッタ部材34dがトナー排出口Wを開放した状態(図20の状態である。)から閉鎖した状態(図18の状態である。)に移行するときに、閉鎖方向手前側ではシャッタ部材34dのシャッタレール係合部34d15(第2のストッパ部)が第2の当接部(図22、図23の破線で囲んだ部分である。)に当接して、閉鎖方向奥側ではシャッタ部材34dのストッパ部34d22が当接部34n5に当接して、シャッタ部材34dの閉鎖時の位置が定まることになる。そのとき、シャッタ部材34dのシャッタレール係合部34d15が、シャッタレール34t上に形成された凸部34t1(図23、図24を参照できる。)を乗り越えた直後に第2の当接部に当接することにより、シャッタ部材34dの閉鎖時のクリック感を得ることができる。
なお、図22〜図24を参照して、シャッタレール34tの上方には、溝部を挟んで、シャッタレール34tの鉛直面34sを含む仮想平面上にある鉛直面(又は、仮想平面に対して平行な鉛直面)を有するリブ34pが長手方向に延設されている。このリブ34pは、図45等に示すシャッタ閉機構73d(シャッタ挟持機構)の第1挟持部材73d1によって、シャッタレール34tの鉛直面34sが挟持されるときに、第1挟持部材73d1がシャッタレール34t上方の溝部に入り込まないようにするためのものである。すなわち、リブ34pとシャッタレール34tとの間の距離(溝部の距離である。)は、第1挟持部材73d1の高さ(図45の紙面垂直方向の長さである。)よりも狭く設定されている。
なお、リブ34pは、側方(図28の紙面垂直方向である。)に突出するとともに長手方向(図28の左右方向である。)に延設されていればその機能を達成することができ、上述した鉛直面を必ずしも有していなくてもよい。
【0066】
また、図26、図27等を参照して、シャッタ部材34dのシャッタ主部34d1の両側端であって装着方向先端には、1対の被挟持部34d11が形成されている。この被挟持部34d11は、図43〜図45等に示すように、シャッタ部材34dの開閉動作時にシャッタ閉機構73d(シャッタ挟持機構)の第2挟持部材73d2によって挟持されるためのものである。被挟持部34d11は、シャッタ主部34d1の装着方向先端に起立する係合壁34d11aと、被挟持部34d11の上方に装着方向に平行に延設されている抑え壁34d11bと、側壁34d11c(シャッタ主部34d1の側壁も兼ねている。)と、からなる。
シャッタ部材34dの開閉動作時に、シャッタ部材34dの被挟持部34d11がシャッタ閉機構73d(シャッタ挟持機構)の第2挟持部材73d2に挟持され、キャップ部34Yの鉛直面34sがシャッタ閉機構73d(シャッタ挟持機構)の第1挟持部材73d1に挟持されることで、シャッタ部材34dの開閉動作時におけるキャップ受部73でのシャッタ部材34d及びキャップ部34Yの姿勢が定められることになる。このとき、シャッタ閉機構73d(シャッタ挟持機構)の第2挟持部材73d2に挟持されているのは被挟持部34d11(シャッタ主部34d1)の側壁34d11cであり、抑え壁34d11bは第2挟持部材73d2に対して被挟持部34d11が上下方向に移動するのを抑える役割を果たす。また、後述するが、被挟持部34d11の係合壁34d11aは、第2挟持部材73d2に係合する。
【0067】
ここで、図20及び図45を参照して、上述のように構成されたシャッタ部材34dによって開閉されるキャップ部34Yのトナー排出口W(及び、トナー落下経路C)は、鉛直方向下方からみたときに、略六角形状に形成されている。
詳しくは、キャップ部34Yには、トナー排出口Wの周囲に、下方に向けて突出する縁部34rが形成されている。この縁部34rは、長手方向(図45の上下方向である。)の両側の先端部34r1が、それぞれ、トナー排出口Wの中央部から離れる方向に向かって長手方向に尖状に形成されている。詳しくは、縁部34rは、鉛直方向下方からみたときに、長手方向(図45の上下方向である。)に沿って互いに対向する平行部34r2と、長手方向に対向する先端部に位置する2つの頂角部34r1と、を有する六角形状の縁部である。そして、トナー排出口Wは、縁部34rの六角形状に沿うように六角形状に形成されている。
このように、トナー排出口Wの周囲の縁部34rの、長手方向(シャッタ部材34dが開閉される方向でもある。)の先端部34r1を尖状に形成することで、シャッタ部材34dに貼着されたシャッタシール36は、シャッタ部材34dを閉鎖するときには尖状の先端部34r1によって小さな面積にて縁部34r1との摺接が開始されて徐々にその摺接面積が広がっていくために、縁部34rとの接触によってシャッタシール36に剥がれや破損が生じにくくなる。また、シャッタ部材34dを開放するときにも縁部34rとの摺接面積が徐々に狭まっていくために、縁部34rとの接触によるシャッタシール36へのダメージが少なくなる。
さらに、キャップ受部73のトナー補給口73w(図42等をも参照できる。)の周囲にも、発泡樹脂材料からなるシール材76が貼着されていて、トナー容器32Yのトナー排出口Wに連通するトナー補給口73wからのトナー飛散が防止される。そして、トナー補給口73wの周囲に設置されたシール材76に対して、トナー容器32Yの長手方向の装着動作にともないキャップ部34Yの縁部34rが摺接しても、尖状の先端部34r1によって小さな面積にて縁部34r1とシール材76との摺接が開始されて徐々にその摺接面積が広がっていくために、縁部34rとの接触によってトナー補給口73wのシール材76に剥がれや破損が生じにくくなる。また、トナー容器32Yの長手方向の離脱動作をおこなうときにも、トナー補給口73wのシール材76と縁部34rとの摺接面積が徐々に狭まっていくために、縁部34rとの接触によるトナー補給口73wのシール材76へのダメージが少なくなる。
したがって、装置本体100へのトナー容器32Yの着脱動作にともないトナー容器32Y内に収納しているトナー(又は、残留するトナー)が外部に飛散する不具合を確実に防止することができる。
【0068】
なお、図20を参照して、本実施の形態において、キャップ部34Yの縁部34rは、長手方向(図45の上下方向である。)に向いた面(先端部34r1に接する面である。)が、トナー排出口Wの中央部から離れるにつれて下方に向けて突出する量が漸減するようにテーパ状に形成されている。
このような構成により、トナー容器32Yの長手方向の着脱動作にともないシャッタ部材34dに貼着されたシャッタシール36が縁部34rと擦れても、シャッタシール36にダメージがさらに生じにくくなる。同様に、トナー容器32Yの長手方向の着脱動作にともない、キャップ受部73のトナー補給口73wの周囲に設けられたシール材76(図42を参照できる。)が縁部34rと擦れても、そのシール材76にダメージがさらに生じにくくなる。
【0069】
ここで、図20を参照して、本実施の形態では、トナー排出口W(縁部34rを含む。)とトナー落下経路Cとが、鉛直方向下方からみたときに、正多角体を一方向(本実施の形態では、長手方向に直交する短手方向である。)に延伸してなる異形多角体となるように形成されている。すなわち、トナー排出口Wとトナー落下経路Cとは、鉛直方向下方からみたときに、正多角体を潰して形成したような異形な多角体形状になっている。
このような構成により、トナー落下経路Cの流路の断面形状が真円からかけ離れた形状になるため、トナー落下経路Cにトナーが均一に凝集されることなくトナーが崩れやすくなる。
【0070】
また、図20を参照して、本実施の形態では、トナー排出口W(縁部34rを含む。)とトナー落下経路Cとが、鉛直方向下方からみたときに、長手方向(トナー容器32Yの着脱方向である。)の両側の先端部がそれぞれ長手方向に尖状に形成されている。詳しくは、トナー排出口Wとトナー落下経路Cとは、鉛直方向下方からみたときに、上述した縁部34rの形状と同じように、長手方向(図28の左右方向である。)に沿って互いに対向する平行部と、長手方向に対向する先端部に位置する2つの頂角部と、を有するように略六角形状に形成されている。
このような構成により、トナー落下経路Cの流路の断面形状が真円からかけ離れた形状になるため、トナー落下経路Cにトナーが均一に凝集されることなくトナーが崩れやすくなる。
【0071】
ここで、本実施の形態では、トナー容器32Y、32M、32C、32K内に収容する粉体としてのトナーとして、体積平均粒径をDv(μm)として個数平均粒径をDn(μm)としたときに、
3≦Dv≦8 …(1)
1.00≦Dv/Dn≦1.40 …(2)
なる関係が成立するように形成されたものを用いている。これによって、現像工程時に画像パターンに応じたトナー粒子の選択がおこなわれて良好な画質が維持されるとともに、現像装置で長時間撹拌されても良好な現像性が維持される。さらには、チューブ71等のトナー補給経路が閉塞することなく、トナーが効率的かつ確実に搬送されることになる。
なお、トナーの体積平均粒径及び個数平均粒径の測定は、代表的には、コールカウンター式粒度分布測定器「コールターカウンターTA−2」(コールター社製)又は「コールターマルチサイザー2」(コールター社製)を用いて測定することができる。
【0072】
さらに、本実施の形態では、トナー容器32Y、32M、32C、32K内に収容するトナー(粉体)として、形状係数SF−1が100〜180の範囲になって、形状係数SF−2が100〜180の範囲になるように形成された略球形トナーを用いている。これにより、高い転写効率を維持しつつ、クリーニング性能の低下を抑止することができる。さらには、チューブ71等のトナー補給経路が閉塞することなく、トナーが効率的かつ確実に搬送されることになる。
ここで、形状係数SF−1は、トナー粒子の球形度を示すものであり、次式で求まる。
SF−1=(M2/S)×(100π/4)
上式において、Mはトナー粒子の投影面における最大粒径(まばらな粒径の中で最も大きな粒径である。)であり、Sはトナー粒子の投影面の面積である。したがって、形状係数SF−1が100であるトナー粒子は真球であって、100から大きくなるほど球形度が低くなる。
【0073】
また、形状係数SF−2は、トナー粒子の凹凸度を示すものであり、次式で求まる。
SF−2=(N2/S)×(100/4π)
上式において、Nはトナー粒子の投影面における周長であり、Sはトナー粒子の投影面の面積である。したがって、形状係数SF−2が100であるトナー粒子は凹凸がなくて、100から大きくなるほど凹凸が大きくなる。
なお、形状係数SF−1及び形状係数SF−2は、走査型電子顕微鏡「S−800」(日立製作所社製)にて撮影したトナー粒子の写真を、画像解析装置「LUSEX3」(ニレコ社製)にて解析して求める。
【0074】
次に、図32〜図46にて、トナー容器収容部70(ボトル受部72、キャップ受部73)について詳述する。
先に図4にて説明したように、トナー容器収容部70には、ボトル受部72やキャップ受部73や挿入口部71が設けられている。そして、トナー容器32Yは、把持部33dを把持するユーザーによって、長手方向を水平方向とした状態で、容器本体33Yに対してキャップ部34Yを先頭にして長手方向を装着方向として、挿入口部71からトナー容器収容部70に装着される。挿入口部71から挿入されたトナー容器32Yは、ボトル受部72のボトル受面72a(図34、図35等を参照できる。)を滑動しながら、キャップ受部73に向けてユーザーによって押し込まれる。ここで、図32、図33を参照して、ボトル受部72には、各色ごとにボトル受面72aY、72aM、72aC、72aKが形成されていて、それぞれに対応するトナー容器32Y、32M,32C、32Kが挿入される(白矢印方向の挿入である。)。さらに、図37を参照して、キャップ受部73にも、各色ごとにボトル受部73Y、73M、73C、73Kが形成されていて、それぞれに対応するトナー容器32Y、32M,32C、32Kが挿入(白矢印方向の挿入である。)されて、その位置でキャップ部が非回転で保持される。
【0075】
図32〜図36を参照して、トナー容器収容部70のボトル受部72には、ボトル受面72a、ストッパ解除付勢部72b、押圧部材72c、圧受部材72d、圧縮スプリング72e、ねじりコイルスプリング72f、等が設けられている。
ボトル受面72aは、トナー容器32Yの着脱動作時にはトナー容器32Yの滑動面として機能し、トナー容器32Yのセットが完了した後には回転駆動する容器本体33Yの保持部として機能する。
図33を参照して、ストッパ解除付勢部72bは、ボトル受面72aの上方(トナー容器32Yの装着方向下流側である。)に形成された台形状のリブである。先に図21等で説明したように、ストッパ解除付勢部72bは、トナー容器32Yの装着動作に連動して、シャッタ部材34dのストッパ解除部34d21を押し上げてストッパ部34d22と当接部34n5との当接状態を解除するためのものである(シャッタ部材34dの開放動作を可能にするためのものである。)。
【0076】
図33を参照して、押圧部材72cは、トナー容器32Yの装着方向下流側であって、ボトル受面72aの右方の側壁に設置されている。図34、図36に示すように、押圧部材72cは、その先端が山形に形成されていて、その底部には圧縮スプリング72eの一端が接続されている。このように構成された押圧部材72cは、圧縮スプリング72eによって、図33の左方に付勢されている。
他方、図33を参照して、圧受部材72dは、トナー容器32Yの装着方向下流側であって、ボトル受面72aの左方の側壁(押圧部材72cに対向する位置である。)に設置されている。図35に示すように、圧受部材72dは、その先端が2つの曲線が重なるように逆V字状(V字の谷間が図33の右斜め下方に対向するような形状である。)に形成されていて、その底部にはねじりコイルスプリング72fが接続されていて、ねじりコイルスプリング72fのコイル部が挿入された軸部を中心にして揺動可能に設置されている。
そして、このように構成された押圧部材72cと圧受部材72dとによって、トナー容器収容部70へのトナー容器32Yの装着時に、キャップ受部73に挿入される直前のキャップ部34Yの位置が定められることになる。具体的に、キャップ部34Yの押圧用レール34n2(図15等を参照できる。)が押圧部材72cに係合しながら、キャップ部34Yが押圧部材72cによって図33の左方に押圧される。そして、押圧部材72cによって押圧されたキャップ部34Yは、その圧受面34n3(図14等を参照できる。)が圧受部材72dに摺動しながら、圧受部材72dによって押圧力が受け止められて、そこで図33の左右方向の位置が定められる。
【0077】
図37〜図41を参照して、トナー容器収容部70のキャップ受部73には、主基準ピン73a、従基準ピン73b、被係合部73m、側方溝73c、シャッタ閉機構73d(シャッタ挟持機構)、トナー補給口73w、逃げ穴部73k、アンテナ73e(RFID用アンテナ)、駆動ギア81、等が設けられている。
先に図14等を用いて説明したように、主基準ピン73aと従基準ピン73bとは、それぞれ、キャップ部34Yの第1の穴部34aと第2の穴部34bとに係合する。そして、キャップ受部73におけるキャップ部34Yの位置決めがおこなわれる。
ここで、図41等を参照して、主基準ピン73aは、従基準ピン73bよりも長手方向に長く形成されている(根元部となる基準面の位置は同一平面上に形成されている。)。また、主基準ピン73aは、その先端部が先細り形状となっている。これらにより、キャップ受部73へのトナー容器32Yの長手方向の装着動作において、キャップ受部73へのトナー容器32Yのスムーズな装着が可能になる。
【0078】
また、被係合部73mは、トナー容器32Yのキャップ部34Yに形成された第1係合部34e及び第2係合部34f(規制部)に係合する。これにより、キャップ部34Yの水平方向の姿勢が規制されながらキャップ受部73に対してキャップ部34Yが着脱されるとともに、キャップ受部73にキャップ部34Yが装着された状態でのキャップ部34Yの水平方向の姿勢が規制される。
また、側方溝73cは、トナー容器32Yのキャップ部34Yに形成された34c側方突起(第2の規制部)に係合する。これにより、キャップ部34Yの回転方向の姿勢が規制されながらキャップ受部73に対してキャップ部34Yが着脱されるとともに、キャップ受部73にキャップ部34Yが装着された状態でのキャップ部34Yの回転方向の姿勢が規制される。
【0079】
図38、図42等を参照して、シャッタ閉機構73d(シャッタ挟持機構)は、キャップ受部73内の底部であって、トナー補給口73wに対して、トナー容器32Yの装着方向上流側に配設されている。シャッタ閉機構73dは、図43の左右方向に対向するように配設された1対の略馬蹄形の部材であって、ねじりコイルスプリングが設置された支軸部73d3を中心にして回動可能に構成されている。シャッタ閉機構73d(シャッタ挟持機構)は、一端側に第1挟持部73d1が形成され、他端側に第2挟持部73d2が形成されている。そして、先に説明したように、トナー容器32Yにおけるシャッタ部材34dの開閉動作時に、シャッタ部材34dの被挟持部34d11が第2挟持部材73d2に挟持され、キャップ部34Yの鉛直面34sが第1挟持部材73d1に挟持されることで、シャッタ部材34dの開閉動作時におけるキャップ受部73でのシャッタ部材34d及びキャップ部34Yの姿勢が定められてスムーズな開閉動作が可能になる。
【0080】
図43〜図45は、シャッタ部材34dの開閉動作にともなうシャッタ閉機構73d(シャッタ挟持機構)の動作を示す図である。
シャッタ部材34dの開放動作時には、まず、図43に示すように、白矢印方向のトナー容器32Yの装着動作にともない、第1挟持部材73d1が突起部34mに当接して、第2挟持部材73d2がシャッタ部材34dの被挟持部34d11に当接する。
その後、図44に示すように、白矢印方向のトナー容器32Yの装着動作が進むと、シャッタ閉機構73d(シャッタ挟持機構)が支軸部73d3を中心に回転して、第1挟持部材73d1がキャップ部34Yの突起部34mの鉛直面34sを挟持して、第2挟持部材73d2がシャッタ部材34dの被挟持部34d11の係合壁34d11aに係合しながらシャッタ主部34d1(被挟持部34d11)の側壁34d11c(シャッタ部材34d)を挟持する。
その後、シャッタ部材34dは、キャップ受部73のトナー補給口73wの周囲に形成された壁部(図38等を参照できる。)に当接して、その壁部と第2挟持部73d2とによって挟み込まれるようにしてキャップ受部73におけるシャッタ部材34dの移動が規制される(シャッタ部材34dは長手方向に絶対的に移動しないことになる。)。しかし、トナー容器32Yの装着方向の移動は進められるために、シャッタ部材34dの開放方向の相対的な移動がおこなわれる。すなわち、図45に示すように、シャッタ部材34dは、容器本体33Yの側に相対的に移動して、トナー排出口Wの開放がおこなわれる。このとき、図45に示すように、第1挟持部材73d1がキャップ部34Yの鉛直面34sを挟持して、第2挟持部材73d2がシャッタ部材34dの被挟持部34d11に係合しながらシャッタ部材34dを挟持した状態でシャッタ部材34dの開放動作がおこなわれるため、キャップ受部73でのシャッタ部材34d及びキャップ部34Yの姿勢が定められて、シャッタ部材34dのスムーズな開放動作が可能になる。
【0081】
他方、トナー容器32Yをトナー容器収容部70(キャップ受部73)から取出(離脱)する場合には、上述の装着時の手順と逆の手順で操作がおこなわれる。すなわち、図45、図44、図43の順に、シャッタ部材34dの閉鎖動作にともなうシャッタ閉機構73d(シャッタ挟持機構)の動作がおこなわれる。
ここで、図44を参照して、本実施の形態では、第1挟持部73d1によって挟持される挟持面として機能する鉛直面34sを装着方向(図44の上方である。)に長く延設しているため(突起部34mを設けているため)、トナー容器収容部70からトナー容器32Yを取出するときに、シャッタ閉機構73dがシャッタ部材34dを完全に閉鎖するタイミングに対して、シャッタ閉機構73d(第2挟持部73d2)が鉛直面34sを基準としたシャッタ部材34d(被挟持部34d11)の保持を解除するタイミングを遅らせることができる。すなわち、シャッタ部材34dの閉鎖動作がおこなわれるとき(図45の状態から図44の状態へのシャッタ部材34dの相対的な移動である。)に、鉛直面34s(突起部34m)が図44の上方に突出するように長く形成されているため、第1挟持部73d1が突起部34mの鉛直面34sを挟持して第2挟持部73d2がシャッタ部材34dの被挟持部34d11を保持している状態で、シャッタ閉機構73dが図43のように回転することなく、シャッタ部材34dの閉鎖動作を完全に終了することができる。換言すると、鉛直面34sが図44の上方に突出するように長く形成されていない場合には、第1挟持部73d1が鉛直面34sの挟持を解除してシャッタ閉機構73dが図43のようにいち早く回転してしまうために、それに合わせて第2挟持部73d2もシャッタ部材34dの被挟持部34d11の挟持を解除してしまい、シャッタ部材34dの閉鎖動作が完全に終了しないことになる。
以上説明したように、本実施の形態では、キャップ部34Yに突起部34mを設けているために、シャッタ部材34dがトナー排出口Wを完全に閉鎖しないうちにトナー容器32Yが装置本体100から取出される不具合が抑止されることになる。なお、図38、図39等を参照して、キャップ受部73には、キャップ部34Yの突起部34mがキャップ受部73の壁面に干渉しないように、その壁面に逃げ穴部73kが形成されている。
【0082】
なお、図46(A)〜(D)を参照して、トナー容器収容部70に対してトナー容器32Yの装着動作が進められるときに、キャップ部34Yに対してボトル受部72及びキャップ受部73の各部位が係る手順は以下のようになる。
まず、キャップ部34Yは、ボトル受面72a上を滑動しながら、押圧部材72cと圧受部材72dとによって、キャップ受部73に挿入される直前のキャップ部34Yのガタツキが抑えられる。その後、キャップ部34Yの第1係合部34e及び第2係合部34fがキャップ受部73の被係合部73mに係合するとともに、キャップ部34Yの側方突起34cがキャップ受部73の側方溝73cに係合して、キャップ受部73におけるキャップ部34Yの上下左右方向の姿勢が規制される(図46(A)の状態から、図46(B)の状態へ移行する。)。そして、キャップ部34Yの第1の穴部34aがキャップ受部73の主基準ピン73aに係合して主基準の位置決めがされ(図46(C)の状態である。)、その後にキャップ部34Yの第2の穴部34bがキャップ受部73の従基準ピン73bに係合して主従の位置決めが完了する。また、この位置決めが完了するまでの間(第2の穴部34bと従基準ピン73bとの係合が完了するまで)に、ストッパ解除付勢部72bによってキャップ部34Yのシャッタ部材34dのストッパ部34d22と当接部34n5との当接状態が解除され、シャッタ閉機構73d(シャッタ挟持機構)によってキャップ受部73におけるシャッタ部材34d及びキャップ部34Yの姿勢が定められた状態(図46(C)の状態である。)でシャッタ部材34dの開放動作がおこなわれる。さらに、第2の穴部34bと従基準ピン73bとの係合が完了するまでに、キャップ受部73においてトナー補給口73wの周囲に設けられたシール材76と、キャップ部34Yにおけるトナー排出口Wの周囲に形成された縁部34r(壁部)と、が摺動する。そして、キャップ部34Yにおいて開放されたトナー排出口Wと、キャップ受部73のトナー補給口73wと、が連通して、キャップ受部73(トナー容器収容部70)におけるキャップ部34Y(トナー容器32Y)のセットが完了する(図46(D)の状態である。)。このとき、容器本体33Yのギア33cと装置本体100の駆動ギア81とが噛合するとともに、装置本体100のアンテナ73eに対してキャップ部34YのRFID用チップ35が無線通信可能な最適な位置にくる。
【0083】
以上説明したように、本実施の形態では、トナー容器32Yの装着時において、シャッタ閉機構73d(シャッタ挟持機構)によってキャップ受部73におけるシャッタ部材34d及びキャップ部34Yの姿勢が定められるために、キャップ部34Y(シャッタ部材34d)が傾いた状態でシャッタ部材34dの開放動作がおこなわれる不具合が抑止される。
また、トナー容器32Yの装着時において、キャップ部34Yの第1の穴部34aがキャップ受部73の主基準ピン73aに係合して主基準の位置決めがされた後に、シャッタ閉機構73d(シャッタ挟持機構)によってキャップ受部73におけるシャッタ部材34d及びキャップ部34Yの姿勢が定められて、その後にキャップ部34Yの第2の穴部34bがキャップ受部73の従基準ピン73bに係合して主従の位置決めが完了するため、キャップ部34Yの従基準への位置決めが完了する前にキャップ部34Y(シャッタ部材34d)の姿勢を補正することができる。
また、キャップ部34Yの第1の穴部34aがキャップ受部73の主基準ピン73aに係合して主基準の位置決めがされる前に、キャップ部34Yの側方突起34cがキャップ受部73の側方溝73cに係合する等してキャップ受部73におけるキャップ部34Yの上下左右方向の姿勢が規制されるために、キャップ受部73に対するキャップ部34Yの位置決めがスムーズにおこなわれることになる。
また、シャッタ閉機構73d(シャッタ挟持機構)によってキャップ受部73におけるシャッタ部材34d及びキャップ部34Yの姿勢が定められた後に、トナー補給口73wの周囲に設けられたシール材76とキャップ部34Yにおけるトナー排出口W(縁部34r)とが摺動して、その後にキャップ部34Yの第2の穴部34bがキャップ受部73の従基準ピン73bに係合して主従の位置決めが完了するため、シール材76の摺動抵抗を受けずにキャップ部34Y(シャッタ部材34d)の姿勢を補正することができる。
また、本実施の形態では、シャッタ閉機構73d(シャッタ挟持機構)が、主基準ピン73aの近傍ではなくて、従基準ピン73bの近傍に配設されているために、シャッタ閉機構73d(シャッタ挟持機構)によってキャップ受部73におけるシャッタ部材34d及びキャップ部34Yの姿勢が補正されやすくなる。
さらに、トナー容器32Yの離脱時においては、キャップ部34Yの第2の穴部34bとキャップ受部73の従基準ピン73bとの係合が解除された後に、シャッタ部材34dの閉鎖動作が完了するまで、キャップ部34Yの第1の穴部34aがキャップ受部73の主基準ピン73aに係合した状態になっているため、キャップ部34Y(シャッタ部材34d)が傾いた状態でシャッタ部材34dの閉鎖動作がおこなわれる不具合が抑止される。
【0084】
なお、キャップ受部73におけるトナー補給口73wの周囲には、キャップ部34Yにおいて開放されたトナー排出口Wと、キャップ受部73のトナー補給口73wと、の間からのトナーの漏出を防止するためのシール材76(図42を参照できる。)が貼着されている。したがって、キャップ部34Yがキャップ受部73にセットされた状態では、そのシール材の弾性変形による反力がキャップ部34Yに作用することになる(図28の上方に反力が作用する。)。しかし、図27に示すように、本実施の形態におけるキャップ部34Yは、トナー排出口Wの真上の位置(上述した反力が作用する方向の位置である。)に、主基準ピン73aに係合する第1の穴部34aが形成されているため、上述した反力によってキャップ部34Yに浮きや傾きが生じる不具合を抑止することができる。
また、図28を参照して、本実施の形態におけるキャップ部34Yは、主基準ピン73aが係合する第1の穴部34aが、トナー補給口73wに連通するトナー排出口Wの位置から最も上方に離れた位置(天井部である。)に形成されている。そのため、主基準ピン73aと第1の穴部34aとが係合した状態で双方の部材34a、73aの間にガタがあって、そのガタによってキャップ部34Yに傾きが生じても、第1の穴部34aがトナー排出口Wに近い位置に形成される場合に比べて、その傾きによってキャップ受部73(トナー補給口73w)に対するトナー排出口Wの位置がばらつく不具合が生じにくくなる。
【0085】
以上説明したように、本実施の形態における画像形成装置では、ユーザーが把持部33dを把持しながらトナー容器32Yを長手方向に移動させる1つのアクション(本体カバー110の開閉動作を除く。)で、その動作に連動してシャッタ部材34dによるトナー排出口Wの開閉動作もおこなわれて、トナー容器32Yの装着動作及び離脱動作が完了することになる。
また、本実施の形態のトナー容器32Yは、比較的開口面積の大きなトナー排出口Wが鉛直方向下方に向けて配設されていて、トナー排出口Wから直接的に自重落下によりトナーの排出をおこなうことができる。
また、トナー容器32Yは、トナー容器収容部70(装置本体100)の上方から載置するのではなくて、トナー容器収容部70(装置本体100)の前面から着脱されるために、トナー容器収容部70の上方のレイアウトの自由度が高まる。例えば、トナー補給装置の真上にスキャナ(原稿読込み部)が配設されている場合であっても、トナー容器32Yの着脱における操作性・作業性は低下しない。
また、トナー容器32Yは、その長手方向を水平方向として装置本体100に設置されるために、画像形成装置100全体の高さ方向のレイアウトに影響を及ぼすことなく、トナー容器32Yのトナー容量を多くしてその交換頻度を少なくすることができる。
【0086】
ここで、図47及び図48を参照して、本実施の形態におけるトナー容器32Yは、画像形成装置本体100での使用が開始される前の状態(使用開始前の状態)で、仮止めシール200(シール材)が設置されている。この仮止めシール200は、トナー容器32Yの外部に露出した外在部200aと、トナー容器32Y(キャップ部34Y)の内部に入れ込まれた内在部200bと、が1つの部材として一体的に形成されたものである。そして、この仮止めシール200は、装置本体100でトナー容器32Yの使用が開始される直前に、トナー容器32Yから取り除かれる。
【0087】
詳しくは、仮止めシール200の外在部200aは、使用開始前の状態で、シャッタ部材34dがトナー排出口Wを閉鎖した位置で固定(仮止め)されるように、シャッタ部材34dとトナー容器32Y(キャップ部34Y)の外周とに貼着されている。具体的に、本実施の形態では、仮止めシール200の外在部200aは、把持部200a1を除く部分がシャッタ部材34dとキャップ部34Yとに密着するように、破線で囲んだ2箇所の部分(シャッタ部材34dのシャッタ主部34d1の外表面の一部と、キャップ部34Yのシャッタ収納部34nの外表面の一部と、である。)に、両面テープや粘着剤(接着剤)等を介して貼着されている。外在部200aは、例えば、厚さが0.1〜0.5mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)等の薄板状部材で形成することができる。そして、仮止めシール200(外在部200a)は、装置本体100での使用が開始される直前に、把持部200a1を把持した状態で図48の黒矢印方向に引き抜く作業者(ユーザーやサービスマン等である。)の操作によって、トナー容器32Yから取り除かれて、装置本体100でのトナー容器32Yの使用が可能になる。
このように、装置本体100での使用開始前の単体の状態のトナー容器32Yに仮止めシール200(外在部200a)を設置することによって、トナー排出口Wを閉鎖した状態のシャッタ部材34dに予期せぬ外力が加わってしまっても、シャッタ部材34dがトナー排出口Wを開放する方向に移動してしまってトナー排出口Wからトナーが漏出する不具合が生じにくくなる。すなわち、仮止めシール200によって、トナー排出口Wが開放されないようにシャッタ部材34dの動作が規制されることになる。
【0088】
また、仮止めシール200の内在部200bは、使用開始前の状態で、トナー排出口Wを介してトナー容器32Y(キャップ部34Y)の内部に入り込むようにトナー排出口Wの近傍に内挿されている。詳しくは、図48に示すように、仮止めシール200の内在部200bは、トナー排出口Wからトナー落下経路Cを超えて空洞Bに至る位置まで延在するように形成されている。
具体的に、本実施の形態では、内在部200bは、厚さが0.01〜0.08mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)等の可撓性材料で形成されていて、シャッタ収納部23nの外表面の位置に外在部200aとの接続部分(熱溶着や接着等によって接続されている。)が位置するように配設されている。また、内在部200bは、外在部200aとの接続部分からシャッタ部材34dとキャップ部34Yとの隙間を介して、トナー排出口W、トナー落下経路Cを通って空洞Bに至る位置まで延在している。
そして、仮止めシール200(内在部200b)は、装置本体100での使用が開始される直前に、把持部200a1を把持した状態で図48の黒矢印方向に引き抜く作業者の操作によって、外在部200aとともに、トナー容器32Yから取り除かれることになる。このとき、内在部200bは、仮止めシール200の引き抜き動作にともない、トナー落下経路C内のトナーを撹拌するように揺動しながらトナー容器32Yの外部に移動することになる。
これにより、トナー排出口Wが下方を向いた状態でトナー容器32Yが単体で長期間保管されたようなとき等であって、トナー排出口Wの近傍においてトナーが詰まってしまっても、画像形成装置本体100においてトナー容器32Yの使用を開始するときには仮止めシール200の引き抜き動作にともなう内在部200bの動作によって、詰まったトナーが撹拌され崩されるため、装置本体100で使用開始されたトナー容器32Yのトナー排出口Wからトナーが排出されなくなる不具合が生じにくくなる。
特に、本実施の形態におけるトナー容器32Yは、キャップ部34Yを下方にして容器本体33Yを上方にした状態でトナー容器32Yを長期間放置して保管した場合等には、比較的狭いトナー落下経路Cの内部にトナーが凝集されて詰まりやすくなるため、このような内在部200bが形成された仮止めシール200が有用になる。そして、トナー落下経路Cの内部に詰まったトナーを内在部200bで粉砕するために、内在部200bを、トナー排出口Wから少なくともトナー落下経路Cを超えて空洞Bに至る位置までの範囲に設けることが好ましい。
【0089】
ここで、本実施の形態では、仮止めシール200の引き抜き時における内在部200bのトナー落下経路Cでの移動範囲を大きくとるために、内在部200bを、トナー落下経路Cを形成する内壁面において外在部200aとの接続部分から離れた部分(図48の右側に位置する内壁面である。)に貼着(極めて弱い力による貼着である。)している。これにより、仮止めシール200の引き抜き時におけるトナー落下経路Cでの内在部200bの挙動が安定するとともに、トナー落下経路Cの内部に詰まったトナーを内在部200bで粉砕する効果が確実に発揮されることになる。
【0090】
また、本実施の形態において、仮止めシール200の外在部200aには、内在部200bとの接続部分から離れた端部に、仮止めシール200を引き抜いてトナー容器32Yから取り外すための把持部200a1が形成されている。
そして、上述したように、装置本体100にトナー容器32Yをセットする直前に、作業者は、把持部200a1を把持した状態で図48の黒矢印方向に仮止めシール200を引き抜いて、トナー容器32Yから仮止めシール200を取り除く。これにより、上述したように、外在部200aによるシャッタ部材34dの移動規制が解除されて装置本体100へのトナー容器32Yの装着動作にともなうシャッタ部材34dによるトナー排出口Wの開放動作が可能になるとともに、内在部200bによってトナー落下経路Cに詰まったトナーの粉砕がおこなわれる。
【0091】
なお、図47に示すように、仮止めシール200の把持部200a1には、作業者に対して仮止めシール200の引き抜き方向を明確に認識させるために、矢印表示(図中の白矢印である。)がされている。さらに、図示は省略するが、把持部200a1には、作業者に対して仮止めシール200の引き抜き作業を明確に認識させるために、例えば「トナー容器をセットする前に矢印方向に沿って仮止めシールをはがしてください」等の簡単な文字表示(警告表示)もされている。
また、このように構成された仮止めシール200は、新品のトナー容器32Yを製造する製造工場や、トナー容器32Yのリサイクルをおこなうリサイクル工場において、容器本体33Yから分離された状態のキャップ部34Yに予め設置(貼着)される(図47の矢印で示す貼着方向を参照できる。)。その場合、予め外在部200aと内在部200bとが一体化(接続)された状態の仮止めシール200をキャップ部34Yに設置することもできるし、一体化されていない状態の外在部200aと内在部200bとをキャップ部34Yに設置した後に双方200a、200bを一体化(接続)して仮止めシール200を形成することもできる。そして、仮止めシール200が設置された状態のキャップ部32Yが、トナーが充填された後の容器本体33Yに設置されて、トナー容器32Yの組立てが完了することになる。
【0092】
以上説明したように、本実施の形態では、画像形成装置本体100での使用が開始される前の状態のトナー容器32Yにおいて、シャッタ部材34dとキャップ部34Y(容器)の外周とに貼着された外在部200aと、可撓性を有するとともにトナー排出口Wを介してキャップ部34Y(容器)の内部に入り込んだ内在部200bと、が一体的に形成された仮止めシール200が設置されている。これにより、画像形成装置本体100における使用開始前にトナー排出口Wの近傍においてトナーが詰まってしまっていても、画像形成装置本体100における使用開始時にトナー排出口Wから外部にトナーが排出されなくなる不具合が生じにくく、画像形成装置本体100における使用開始前にシャッタ部材34dがトナー排出口Wを開放する方向に移動してしまう不具合を生じにくくすることができる。
【0093】
なお、本実施の形態では、トナー容器32Y、32M、32C、32K内にトナーのみを収容したが、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤を現像装置に適宜に供給する画像形成装置に対してはトナー容器32Y、32M、32C、32K内に2成分現像剤を収容することもできる。その場合であっても、上述した本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0094】
また、本実施の形態において、作像部6Y、6M、6C、6Kの一部又は全部をプロセスカートリッジとすることもできる。その場合であっても、上述した本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0095】
また、本実施の形態では、容器本体33Yを回転可能に構成することで、容器本体33Yの内部に収容したトナーが開口部Aに向けて搬送されるように構成した。これに対して、容器本体33Yがキャップ部34Yとともに非回転でトナー容器収容部70に保持されるように構成するとともに、容器本体33Y内に開口部Aに向けてトナーを搬送する搬送部材(例えば、軸部状に搬送コイルや複数の搬送羽根が設置されて、容器本体から独立したギアによって所定方向に回転する搬送部材である。)を設置することで、容器本体33Yの内部に収容したトナーが開口部Aに向けて搬送されるように構成してもよい(図49を参照できる)。
詳しくは、図49に示すように、トナー容器32Yは、主として、容器本体33Yと、ギア44Yと、キャップ部34Y(ボトルキャップ)と、で構成される。容器本体33Yの頭部には開口部Aが設けられていて、その開口部Aの外周部にはギア44Yが回転可能に設置されている。ギア44Yは、装置本体100の駆動ギアと噛合してコイル46Yを回転中心軸を中心に回転駆動するためのものである。また、開口部Aは、容器本体33Y内に収容されたトナーをキャップ部34Y内のスペースに向けて排出するためのものである。ギア44Yには回転軸45Yが一体的に設けられていて、回転軸45Yには螺旋状のコイル46Y(搬送コイル)が連結されている。回転軸45Yの一端は、キャップ部34Yの軸受部34Yaに支持されている。コイル46Yは、容器本体33Y内部の開口部Aから底部にかけて延設されている。そして、ギア44Yが容器本体33Yの周りを回転することで、回転軸45Y及びコイル46Yも回転駆動される。これにより、容器本体33Yに収容されたトナーは、コイル46Yのトナー搬送力によって開口部A側に搬送されることになる。なお、ギア44Yは、容器本体33Yとキャップ部34Yとに挟まれるように、開口部Aの外周部に挿設されている。ギア44Yの両端面のうち、一端面側には容器本体33Yとの間にゴム部材47Yが設けられていて、他端面側にはキャップ部34Yとの間にシール部材48Yが設けられている。このような構成によって、トナー容器32Y全体としてのシール性が担保されている。すなわち、ギア44Y、容器本体33Y、キャップ部34Yのそれぞれの間からトナーが漏出する不具合が抑止される。
そして、このようなトナー容器32Yに対しても、上述した本実施の形態と同様に本発明を適用することで、上述した本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0096】
また、本実施の形態において、トナー補給装置60Y、60M、60C、60Kは、図1を参照して、いずれも、トナータンク部(61Y)、トナー搬送部(62Y、63Y)、トナー落下搬送経路(64Y)で形成されるトナー搬送経路が逆N字状(ロシア文字のИ字状)に形成されている(図1の紙面奥側からみた場合にはN字状となる。)。そして、各色のトナー搬送部(62Y、63Y)は、対応する色のプロセスカートリッジ(作像部6Y)の上方であって、装置本体100に対するプロセスカートリッジの着脱口の上方に設けられている。また、各色のトナー容器(32Y)、トナータンク部(61Y)、トナー搬送部(62Y)の搬送方向上流側は、対応する色のプロセスカートリッジではなく、隣接するプロセスカートリッジ(図1の左隣である。)の上方に設けられている。このような構成により、複数のプロセスカートリッジ(作像部)が並列に配設されたタンデム式の画像形成装置において、プロセスカートリッジ(作像部)の着脱操作をおこなう際にプロセスカートリッジとトナー補給装置とが干渉することなく、各色のトナー容器からプロセスカートリッジまでの縦方向のレイアウトをコンパクト化することができるとともに、トナー補給量のばらつきを生じさせない画像形成装置を提供することができる。
【0097】
また、本実施の形態では、キャップ部34Yと容器本体33Yとを有する筒状のトナー容器32Yに対して本発明を適用した。これに対して、トナー排出口を開閉するシャッタ部材が設置されたトナー容器であれば、どのような形態のものであっても、本発明を適用することができる。そして、その場合であっても、使用開始前の状態で、シャッタ部材と容器の外周とに貼着された外在部と、トナー排出口を介して容器の内部に入り込む内在部と、が一体的に形成された仮止めシールを設置することで、上述した本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0098】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0099】
5Y 現像装置、
32Y、32M、32C、32K トナー容器(粉体容器)、
33Y 容器本体、
34Y キャップ部、
34d シャッタ部材、
60Y、60M、60C、60K トナー補給装置、
70 トナー容器収容部、
72 ボトル受部、
73 キャップ受部、
100 画像形成装置本体(装置本体)、
200 仮止めシール、
200a 外在部、 200b 内在部、
A 開口部、 B 空洞、 C トナー落下経路、 W トナー排出口。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0100】
【特許文献1】特開平4−1681号公報
【特許文献2】特開2002−268344公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるトナー容器であって、
容器内に収容されたトナーを外部に排出するためのトナー排出口と、
容器の外周に沿った移動により前記トナー排出口を開閉するシャッタ部材と、
を備え、
前記画像形成装置本体での使用が開始される前の状態で、前記シャッタ部材が前記トナー排出口を閉鎖した位置で固定されるように前記シャッタ部材と容器の外周とに貼着された外在部と、可撓性を有するとともに前記トナー排出口を介して容器の内部に入り込むように前記トナー排出口の近傍に内挿された内在部と、が一体的に形成された仮止めシールが設置されたことを特徴とするトナー容器。
【請求項2】
長手方向を水平方向とした状態で前記画像形成装置本体に対して着脱可能に設置され、
前記長手方向の一端側に開口部が形成されるとともに、内部に収容したトナーが前記開口部に向けて搬送されるように構成された筒状の容器本体と、
前記容器本体の前記開口部が内挿され、前記容器本体の前記開口部から排出されたトナーを容器外であって鉛直方向下方に排出するための前記トナー排出口を底部に具備するとともに、前記トナー排出口を開閉できるように前記シャッタ部材が底部に保持されたキャップ部と、
を備え、
前記キャップ部は、その内部に前記長手方向に延在するように形成された空洞と、前記空洞の下方の周面から前記トナー排出口に向けて柱状に形成されたトナー落下経路と、を具備し、
前記仮止めシールは、
前記外在部が、前記シャッタ部材と前記キャップ部とに貼着され、
前記内在部が、前記トナー排出口から少なくとも前記トナー落下経路を超えて前記空洞に至る位置まで延在するように形成されたことを特徴とする請求項1に記載のトナー容器。
【請求項3】
前記仮止めシールの前記内在部は、前記トナー落下経路を形成する内壁面において前記外在部との接続部分から離れた部分に貼着されたことを特徴とする請求項2に記載のトナー容器。
【請求項4】
前記仮止めシールの前記外在部は、前記内在部との接続部分から離れた端部に、前記仮止めシールを引き抜いて容器から取り外すための把持部を具備したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のトナー容器。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載のトナー容器が前記画像形成装置本体に設置されたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【公開番号】特開2013−72921(P2013−72921A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210261(P2011−210261)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】