説明

トナー搬送ローラ及びそれを用いた画像形成装置、並びにトナー搬送ローラの検査方法

【課題】ウレタン化反応における未反応原料の揮発及び流出による現像ローラへの汚染を抑え、横白スジ入り画像不良を防止することが可能なトナー搬送ローラと、該トナー搬送ローラを用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】シャフト2と、該シャフト2の外周に形成されたポリウレタンフォームからなる弾性層3とを備え、前記ポリウレタンフォームのメタノール溶出分が、ポリウレタンフォーム総質量の1.5質量%以下であることを特徴とするトナー搬送ローラである。また、上記のトナー搬送ローラを用いたことを特徴とする画像形成装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー搬送ローラ及び該トナー搬送ローラを用いた画像形成装置、並びにトナー搬送ローラの検査方法に関し、特に画像形成装置に用いることにより、横白スジ入り画像不良を防止することが可能なトナー搬送ローラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置においては、潜像を保持した感光ドラム等にトナー(現像剤)を供給し、感光ドラムの潜像にトナーを付着させて潜像を可視化する現像方法として、加圧現像法が知られている。該加圧現像法においては、例えば、感光ドラムを一定電位に帯電した後、露光機により感光ドラム上に静電潜像を形成し、更に、トナーを担持した現像ローラを、静電潜像を保持した感光ドラムに接触させて、トナーを感光ドラムの潜像に付着させることで現像を行う。
【0003】
上記画像形成装置においては、現像ローラにトナーを供給するためのトナー搬送ローラ等が用いられ、該トナー搬送ローラは、例えば、金属等の良導電性材料からなるシャフトの外周に、ポリオール、ポリイソシアネート、水(発泡剤)、触媒等を含む原料混合物を攪拌混合して発泡させたポリウレタンフォームからなる弾性層を形成した構造となっている。ここで、上記ウレタンフォームの気泡は、主として連通しており、トナーがローラ内に保持され、ローラ表面の開口部(気泡)を通じて現像ローラに搬送されることになる。
【0004】
上記ポリウレタンフォームからなる弾性層を有するトナー搬送ローラの製造方法としては、種々の手法が知られている。例えば、特開2003−345121号公報(特許文献1)には、トナー搬送ローラの物性のバラツキを改善するため、ポリウレタンフォームの原料混合物に、予めポリオールとポリイソシアネートを反応させて得たプレポリマーポリオールを用いた手法が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−345121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者らが検討したところ、特開2003−345121号公報に開示のトナー搬送ローラは、画像形成装置をしばらく停止させた後、該装置を再稼動させると、現像ローラ由来のピッチでの横白スジ入り画像が発生することが分かった。このことは、押圧時のウレタン化反応における未反応原料の揮発及び流出による現像ローラへの汚染が一因となる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、ウレタン化反応における未反応原料の揮発及び流出による現像ローラへの汚染を抑え、横白スジ入り画像不良を防止することが可能なトナー搬送ローラを提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかるトナー搬送ローラを用いることで、良好な画像を安定して形成することが可能な画像形成装置を提供することにある。更に、本発明の他の目的は、横白スジ入り画像不良を防止することが可能なトナー搬送ローラの検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定のメタノール溶出分のポリウレタンフォームからなる弾性層を有するトナー搬送ローラを画像形成装置に用いることで、横白スジ入り画像の発生を改善できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本発明のトナー搬送ローラは、シャフトと、該シャフトの外周に形成されたポリウレタンフォームからなる弾性層とを備え、前記ポリウレタンフォームのメタノール溶出分が、ポリウレタンフォーム総質量の1.5質量%以下であることを特徴とする。
【0010】
ここで、メタノール溶出分は、ソックスレー抽出装置を用い、ポリウレタンフォームをメタノールで8時間熱還流抽出した際のポリウレタンフォーム中に含まれる抽出物の割合(質量%)である。
【0011】
本発明のトナー搬送ローラの好適例においては、前記ポリウレタンフォームからなる弾性層が、ポリオール、ポリイソシアネート、触媒及び水を含む原料混合物を成形発泡させてなり、前記ポリオールが、プレポリマーポリオールを5〜100質量%含む。
【0012】
また、本発明の画像形成装置は、上記トナー搬送ローラを用いたことを特徴とする。
【0013】
更に、本発明のトナー搬送ローラの検査方法は、シャフトと、該シャフトの外周に形成されたポリウレタンフォームからなる弾性層とを備えるトナー搬送ローラの検査方法において、
前記ポリウレタンフォームのメタノール溶出分が、ポリウレタンフォーム総質量の1.5質量%以下であることを確認することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、特定のメタノール溶出分のポリウレタンフォームからなる弾性層をシャフトの外周に形成することで、横白スジ入り画像不良を防止することが可能なトナー搬送ローラを提供することができる。また、かかるトナー搬送ローラを備え、良好な画像を安定して形成することが可能な画像形成装置を提供することができる。更に、横白スジ入り画像不良を防止することが可能なトナー搬送ローラの検査方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
<トナー搬送ローラ>
以下に、本発明のトナー搬送ローラを、図を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明のトナー搬送ローラの一例の断面図である。図示例のトナー搬送ローラ1は、長さ方向両端部を軸支されて取り付けられるシャフト2と、該シャフト2の外周に形成されたポリウレタンフォームからなる弾性層3とを備える。
【0016】
従来、ポリウレタンフォームからなる弾性層を有するトナー搬送ローラにおいて、ウレタン化反応における未反応原料、特に未反応ポリオールの流出を十分に抑制できなかった理由としては、主として(1)ポリオールとポリイソシアネートとを含むウレタン原料のワンショット反応での成形工程において、ポリオールの水酸基とポリイソシアネートのイソシアネート基との等モルでのウレタン結合形成反応が、ウレタン化反応による反応系の硬化(樹脂化)及びウレタンフォームセルの形成(泡化)と同時に起こるため、反応末期のウレタン化反応の反応性が極端に低下し、一部のポリオールが未反応のまま残留すること、(2)未反応のまま残留したポリオールは、一般に分子量が低く、流出しやすいこと、及び(3)上記ワンショット反応においては、構造的に強固で且つ分子レベルの隙間を形成し易い尿素結合が、ポリウレタンフォーム全体に均等に分布してしまい、未反応のまま残留したポリオールは、その隙間を介して容易に流出すること等が挙げられる。そこで、本発明者らは、ウレタン化反応における未反応原料の揮発及び流出の指標として、弾性層3を形成するポリウレタンフォームのメタノール溶出分に着目し、未反応原料の揮発及び流出を抑制するためには、該ポリウレタンフォームのメタノール溶出分の最適化が有効であることが分かった。そして、本発明のトナー搬送ローラは、弾性層3を形成するポリウレタンフォームのメタノール溶出分がポリウレタンフォーム総質量の1.5質量%以下であり、従来のトナー搬送ローラに比べてウレタン化反応における未反応原料の揮発及び流出が大幅に抑制されている。したがって、本発明のトナー搬送ローラを画像形成装置に使用した場合、現像ローラへの汚染が抑制され、横白スジ入り画像不良を防止することができる。
【0017】
本発明のトナー搬送ローラのシャフトとしては、良好な導電性を有する限り特に制限はなく、例えば、鉄、ステンレススチール、アルミニウム等の金属製の中実体からなる芯金や、内部を中空にくりぬいた金属製円筒体等の金属製シャフト、或いは良導電性のプラスチック製シャフト等を用いることができる。
【0018】
本発明のトナー搬送ローラにおいて、上記弾性層3は、ポリウレタンフォームからなり、ここで、該ポリウレタンフォームは、メタノール溶出分がポリウレタンフォーム総質量の1.5質量%以下であることを要し、1.3質量%以下であることが好ましい。該ポリウレタンフォームのメタノール溶出分がポリウレタンフォーム総質量の1.5質量%以下であることで、ウレタン化反応における未反応原料の揮発及び流出が十分に抑制され、かかるポリウレタンフォームからなる弾性層を有するトナー搬送ローラを用いた画像形成装置においては、現像ローラへの汚染が抑制され、横白スジ入り画像不良を防止することができる。なお、このメタノール溶出分は、ポリウレタンフォームを形成する原料の成分、組成、原料の貯蔵温度、硬化時間等を適宜選択することで調整することができる。
【0019】
上記弾性層を形成するポリウレタンフォームは、例えば、ポリオール、ポリイソシアネート、水及び触媒を含む原料混合物を成形発泡させてなり、必要に応じて導電剤等の他の成分を原料混合物に含むことができる。
【0020】
上記原料混合物に用いるポリオールは、水酸基(OH)を複数有する化合物であり、該ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブタジエンポリオール、プロピレンオキサイド(PO)変性ポリブタジエンポリオール及びポリイソプレンポリオール等が挙げられる。なお、上記ポリエステルポリオールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、プロピレングリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の多価アルコールと、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、セバシン酸、ピメリン酸、スベリン酸等の多塩基カルボン酸とから得られ、また、上記ポリエーテルポリオールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコールに、エチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキサイドを付加させて得られる。
【0021】
ここで、上記原料混合物中のポリオールの少なくとも一部に、ポリオールとポリイソシアネートを反応させたプレポリマーポリオールを用いることが好ましい。該原料混合物にプレポリマーポリオールを使用することで、(1)原料混合物を成形発泡させる反応系の硬化前に反応が更に進んだ三次元網目構造が形成され、反応完結度を向上させることができ、また、(2)得られたポリウレタンフォーム中の尿素結合が局在化されているため、上記した構造的に強固で且つ分子レベルの隙間が形成され難く、結果として、ウレタン化反応における未反応原料、特に未反応ポリオールの流出を大幅に低減させることができる。更に、プレポリマーポリオール自体が未反応のままポリウレタンフォーム中に残存する場合においても、プレポリマーポリオールは、通常使用されるポリオールに比べて分子量が高いため、ポリウレタンフォームの三次元網目構造に絡まって流出され難い。該プレポリマーポリオールの合成に使用されるポリオールとしては、特に限定されるものではなく、上記ポリオールとして例示したものと同様のものが挙げられ、また、ポリイソシアネートとしても、特に限定されるものではなく、下記に詳細に説明するポリイソシアネートとして例示したものと同様のものが挙げられる。なお、合成されたプレポリマーポリオールの水酸基価は、1〜50mgKOH/gの範囲が好ましく、プレポリマーポリオールの合成におけるポリイソシアネート及びポリオールの使用量は、プレポリマーポリオールの水酸基価が上記の範囲になるよう適宜選択されることが好ましい。
【0022】
上記プレポリマーポリオールは、分子量が500〜50,000の範囲であることが好ましい。ここで、プレポリマーポリオールの分子量が500未満では、プレポリマー化が十分でないため、ウレタン化反応を予め進めておくことによりもたらされる効果が得られ難く、一方、50,000を超えると、原料混合物の粘度が高くなり過ぎ、十分なポリウレタンフォームを得ることが困難となる。
【0023】
上記ポリオールは、プレポリマーポリオールを5〜100質量%含むことが好ましい。ここで、ポリオール中のプレポリマーポリオールの割合が5質量%未満では、ウレタン化反応における未反応原料を十分に低減させることができない。
【0024】
上記原料混合物に用いるポリイソシアネートは、イソシアネート基(NCO)を複数有する化合物であって、該ポリイソシアネートとして、具体的には、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート(粗MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)や、これらのイソシアヌレート変性物、カルボジイミド変性物、グリコール変性物等が挙げられる。なお、これらポリイソシアネートは、1種単独で用いてもよいし、2種以上をブレンドして用いてもよい。また、これらポリイソシアネートの使用量は、該ポリイソシアネートのイソシアネート基(NCO)と上記ポリオールの水酸基(OH)との比(NCO/OH)が95/100〜110/100の範囲になるよう適宜選択されることが好ましい。
【0025】
また、上記原料混合物は、上記ポリオール及びポリイソシアネートに代えて、予め上記ポリオールとポリイソシアネートを反応させたウレタンプレポリマーを用いてもよい。また、合成されたウレタンプレポリマーのNCO基含有率は、3〜30質量%の範囲が好ましく、5〜15質量%の範囲が更に好ましく、ウレタンプレポリマーの合成におけるポリイソシアネート及びポリオールの使用量は、ウレタンプレポリマーのNCO基含有率が上記の範囲になるよう適宜選択されることが好ましい。上記原料混合物は、上記ポリオール及びポリイソシアネートに代えて、予め上記ポリオールとポリイソシアネートを反応させたウレタンプレポリマーを用いる場合、更に鎖延長剤を含むことが好ましい。上記鎖延長剤は、上記ウレタンプレポリマー同士を連結する化合物であり、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブタジエンポリオール及びポリイソプレンポリオール等が挙げられる。これら鎖延長剤の使用量は、上記ウレタンプレポリマーのイソシアネート基(NCO)と鎖延長剤の水酸基(OH)との比(NCO/OH)が95/100〜110/100の範囲になるよう、適宜選択されることが好ましい。
【0026】
なお、ウレタンプレポリマーとプレポリマーポリオールの違いは、プレポリマーポリオールが反応性官能基として水酸基(OH)を有するのに対し、ウレタンプレポリマーは、反応性官能基としてイソシアネート基(NCO)を有することである。こられプレポリマーを使い分けることにより、種々の成形方法を選択できるようになる(例えば、ワンショット法及びプレポリマー法)。
【0027】
上記原料混合物に用いる水は、発泡剤として作用し、上記ポリイソシアネートのイソシアネート基(NCO)と反応して炭酸ガスを発生させる。また、水の使用量は、上記ポリオール又はウレタンプレポリマー100質量部に対して1.0〜3.0質量部の範囲が好ましい。
【0028】
上記原料混合物に用いる触媒は、ウレタン化反応用の触媒であり、具体的には、ジブチルスズジラウレート,ジブチルスズジアセテート,ジブチルスズチオカルボキシレート,ジブチルスズジマレエート,ジオクチルスズチオカルボキシレート,オクテン酸スズ、スタナスオクトエート等の有機スズ化合物;オクテン酸鉛等の有機鉛化合物;トリエチルアミン,ジメチルシクロヘキシルアミン等のモノアミン類;テトラメチルエチレンジアミン,テトラメチルプロパンジアミン,テトラメチルヘキサンジアミン等のジアミン類;ペンタメチルジエチレントリアミン,ペンタメチルジプロピレントリアミン,テトラメチルグアニジン等のトリアミン類;トリエチレンジアミン,ジメチルピペラジン,メチルエチルピペラジン,メチルモルホリン,ジメチルアミノエチルモルホリン,ジメチルイミダゾール等の環状アミン類;ジメチルアミノエタノール,ジメチルアミノエトキシエタノール,トリメチルアミノエチルエタノールアミン,メチルヒドロキシエチルピペラジン,ヒドロキシエチルモルホリン等のアルコールアミン類;ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル,エチレングリコールビス(ジメチル)アミノプロピルエーテル等のエーテルアミン類等が挙げられる。これら触媒の中でも、アミン類触媒が好ましい。これら触媒は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。上記触媒の使用量は、ウレタン化反応の反応性を向上させる観点から、上記ポリオール又はウレタンプレポリマー100質量部に対して0.001〜3.0質量部の範囲が好ましい。
【0029】
上記原料混合物は、更にウレタンフォームのセルを安定させるため、整泡剤を含むことが好ましい。上記原料混合物に用いることができる整泡剤としては、ポリエーテル変性シリコーンオイル等のシリコーン系整泡剤の他、イオン性界面活性剤、ノニオン性界面活剤等を挙げることができる。該整泡剤の使用量は、上記ポリオール又はウレタンプレポリマー100質量部に対して0.5〜5.0質量部の範囲が好ましい。
【0030】
上記原料混合物には、上記ポリウレタンフォームからなる弾性層に導電性を付与するため、導電剤を添加してもよく、該導電剤としては、イオン導電剤、電子導電剤等が挙げられる。イオン導電剤としては、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸ジメチルエチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エチル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等のアンモニウム塩;リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩等が挙げられ、電子導電剤としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボンブラック、酸化処理等を施したカラー用カーボンブラック、熱分解カーボンブラック、天然グラファイト、人造グラファイト、アンチモンドープ酸化スズ、ITO、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー、カーボンウィスカー、黒鉛ウィスカー、炭化チタンウィスカー、導電性チタン酸カリウムウィスカー、導電性チタン酸バリウムウィスカー、導電性酸化チタンウィスカー、導電性酸化亜鉛ウィスカー等の導電性ウィスカー等が挙げられる。これら導電剤の使用量は、上記ポリウレタンフォームからなる弾性層が所望の導電性を有するように適宜調整することができる。
【0031】
上記原料混合物には、上記ポリオール、ポリイソシアネート、水、触媒、整泡剤、導電剤の他に、トナー搬送ローラの製造に通常使用される添加剤を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。
【0032】
本発明のトナー搬送ローラは、例えば、予めシャフト2が配置された円筒状のモールドに、ポリオール、ポリイソシアネート、触媒及び水を含む原料混合物を、ウレタン発泡機を用いて注入し、反応硬化させることで作製できる。なお、ウレタン化反応の反応性を向上させるため、上記反応硬化時の硬化時間を長くしたり、上記原料混合物の貯蔵温度を高くすることが好ましい。具体的には、上記反応硬化時の硬化時間は、0.5〜3時間の範囲が好ましく、また、上記原料混合物の貯蔵温度は、20〜50℃の範囲が好ましい。
【0033】
本発明のトナー搬送ローラの検査方法は、シャフトと、該シャフトの外周に形成されたポリウレタンフォームからなる弾性層とを備えるトナー搬送ローラにおいて、該弾性層を形成するポリウレタンフォームのメタノール溶出分が、ポリウレタンフォーム総質量の1.5質量%以下であることを確認することを特徴とする。ここで、トナー搬送ローラの弾性層を形成するポリウレタンフォームのメタノール溶出分が、ポリウレタンフォーム総質量の1.5質量%以下であれば、トナー搬送ローラの製法、ポリウレタンフォームを形成する原料混合物の配合等に制限されることなく、横白スジ入り画像不良の問題を解決することができる。
【0034】
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、上述したトナー搬送ローラを備えることを特徴とする。本発明の画像形成装置は、上記トナー搬送ローラを用いる以外、特に制限はなく、公知の方法で製造することができる。
【0035】
以下に、図2を参照して本発明の画像形成装置を詳細に説明する。図2は、本発明の画像形成装置の一例の部分断面図である。図示例の画像形成装置は、静電潜像を保持した感光ドラム4と、感光ドラム4の近傍(図では上方)に位置し感光ドラム4を帯電させるための帯電ローラ5と、トナー6を供給するためのトナー搬送ローラ7と、トナー搬送ローラ7と感光ドラム4との間に配置された現像ローラ8と、現像ローラ8の近傍(図では上方)に設けられた成層ブレード9と、感光ドラム4の近傍(図では下方)に位置する転写ローラ10と、感光ドラム4に隣接して配置されたクリーニングローラ11とを備える。なお、本発明の画像形成装置は、更に画像形成装置に通常用いられる公知の部品(図示せず)を備えることができる。
【0036】
図示例の画像形成装置においては、感光ドラム4に帯電ローラ5を当接させて、感光ドラム4と帯電ローラ5との間に電圧を印加して、感光ドラム4を一定電位に帯電させた後、露光機(図示せず)により静電潜像を感光ドラム4上に形成する。次に、感光ドラム4と、トナー搬送ローラ7と、現像ローラ8とが、図中の矢印方向に回転することで、トナー搬送ローラ7上のトナー6が現像ローラ8を経て感光ドラム4に送られる。現像ローラ8上のトナー6は、成層ブレード9により、均一な薄層に整えられ、現像ローラ8と感光ドラム4とが接触しながら回転することにより、トナー6が現像ローラ8から感光ドラム4の静電潜像に付着し、該潜像が可視化する。潜像に付着したトナー6は、転写ローラ10で紙等の記録媒体に転写され、また、転写後に感光ドラム4上に残留するトナー6は、クリーニングローラ11によって除去される。ここで、本発明の画像形成装置においては、トナー搬送ローラ7に、上述した本発明のトナー搬送ローラを用いることで、優れた画像を安定的に形成することが可能となる。
【実施例】
【0037】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0038】
(実施例1〜3及び比較例1)
直径6mm、長さ260mmの金属製シャフトを中心に配設した内径15mm、長さ280mmのモールドに、表1に示す配合処方のポリオール成分系及びポリイソシアネート成分系からなる原料混合物を、ウレタン発泡機を用いて注入し、押さえ冶具で蓋をした後、60℃で0.5時間硬化させて、図1に示す構造のトナー搬送ローラを得た。ここで、ウレタン発泡機に投入する前の原料混合物の貯蔵温度は、25℃とした。
【0039】
(実施例4〜5及び比較例2)
原料混合物の貯蔵温度及び硬化時間を表2に示す値に変えた他は、比較例1の製造方法と同様にしてトナー搬送ローラを製造した。
【0040】
次に、得られたトナー搬送ローラについて、メタノール溶出分及び横白スジ入り画像不良を下記の方法で測定・評価した。結果を表1〜2に示す。
【0041】
(1)メタノール溶出分
トナー搬送ローラの弾性層から、ポリウレタンフォームを一部剥がし、秤量した後、ソックスレー抽出装置を用いて、メタノールで8時間熱還流抽出を行った。得られた抽出物を秤量して、ポリウレタンフォーム中に含まれる抽出物の割合(質量%)を求めた。
【0042】
(2)横白スジ入り画像
得られたトナー搬送ローラを画像形成装置に組み込み、一定の期間放置した。その後、該画像形成装置内に含まれるトナー色を全面に配する画像を印刷し、目視による官能評価にて、横白スジ入り画像不良の見られるものを“×”、横白スジ入り画像不良の見られないものを“○”とした。
【0043】
【表1】

【0044】
*1 三洋化成工業(株)製, ポリエーテルポリオール.
*2 ポリオール/ポリイソシアネート(モル比)=2/1で予めプレポリマー化したもの. なお, ポリオールとしてサンニックスFA−703を用い, ポリイソシアネートとしてTDI−80/粗MDI(質量比)=80/20を用いた.
*3 架橋剤.
*4 東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製, シリコーン整泡剤.
*5 花王(株)製, 3級アミン触媒.
*6 花王(株)製, 脂肪族3級アミン触媒.
*7 TDI−80と粗TDIの混合物中の質量比を示す. なお, TDI−80は, 2,4-トリレンジイソシアネート(A)と2,6-トリレンジイソシアネート(B)との質量比(A/B)が80/20の混合物である.
*8 ポリイソシアネート成分系の使用量を指数表示したものである. NCOインデックス = (ポリイソシアネート成分系中のNCOのモル数/ポリオール成分系中の水を含めたイソシアネート反応性水酸基の合計モル数) × 100.
【0045】
【表2】

【0046】
表1及び2から、実施例1〜5のトナー搬送ローラは、ポリウレタンフォームのメタノール溶出分が1.5質量%以下であるため、比較例1のトナー搬送ローラと比べて、現像ローラへの汚染が抑制され、横白スジ入り画像不良を防止できることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明のトナー搬送ローラの一例の断面図である。
【図2】本発明の画像形成装置の一例の部分断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 トナー搬送ローラ
2 シャフト
3 弾性層
4 感光ドラム
5 帯電ローラ
6 トナー
7 トナー搬送ローラ
8 現像ローラ
9 成層ブレード
10 転写ローラ
11 クリーニングローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、該シャフトの外周に形成されたポリウレタンフォームからなる弾性層とを備えるトナー搬送ローラにおいて、
前記ポリウレタンフォームのメタノール溶出分が、ポリウレタンフォーム総質量の1.5質量%以下であることを特徴とするトナー搬送ローラ。
【請求項2】
前記ポリウレタンフォームからなる弾性層が、ポリオール、ポリイソシアネート、触媒及び水を含む原料混合物を成形発泡させてなり、
前記ポリオールが、プレポリマーポリオールを5〜100質量%含むことを特徴とする請求項1に記載のトナー搬送ローラ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のトナー搬送ローラを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
シャフトと、該シャフトの外周に形成されたポリウレタンフォームからなる弾性層とを備えるトナー搬送ローラの検査方法において、
前記ポリウレタンフォームのメタノール溶出分が、ポリウレタンフォーム総質量の1.5質量%以下であることを確認することを特徴とするトナー搬送ローラの検査方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−225204(P2008−225204A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−65249(P2007−65249)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】