説明

トラクタ

【課題】前部作業機から受ける力を効果的に分散できるトラクタを提供する。
【解決手段】トラクタは、メインフレーム12と、作業機支持部30と、リアフレーム13と、を備える。作業機支持部30は、メインフレーム12に取り付けられ、車体の前部に取り付けられるフロントローダを支持する。リアフレーム13は、前端部が作業機支持部30に固定され、後端部がリアアクスルケース又はメインフレーム12に固定され、側面視においてメインフレーム12より下方に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の前方に作業機を装着可能なトラクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車体の前部にローダ等の作業機を取付可能なトラクタが知られている。トラクタの前部に作業機(前部作業機)を取り付けて作業を行う際には、前部作業機からの負荷及び衝撃が車体に加わることが想定される。例えば作業時、前部作業機から車体に対して左右方向のねじりモーメントが掛かる場合、このねじりモーメントは、作業機の取付部を介して、この取付部を支持しているメインフレームに負荷を与える。この負荷を軽減するため、メインフレームよりも車体左右方向の外側にリアフレームを備える構成が従来から知られている。特許文献1は、この種のリアフレームを備えたトラクタを開示する。
【0003】
特許文献1のトラクタが備えるリアフレームは、前端部が前部作業機の取付部に取り付けられ、後端部がメインフレームに取り付けられている。また、リアフレームは、側面視においてメインフレームと略同じ高さに配置されている。このリアフレームを設けることで、例えば上記のねじりモーメントをメインフレームだけでなくリアフレームに分散させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3908486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前部作業機を取り付けて作業を行う際には、前記ねじりモーメント以外の力が車体に掛かることがある。例えば、ローダの昇降時等においては、前部作業器の取付部に強い回転モーメントが作用する。しかし、このような回転モーメントに対しては、特許文献1の構成ではリアフレームに十分に負荷を分散させることができず、メインフレームに対する負荷が大きくなっていた。そのため、作業機の取付部に様々な力が加わった場合でも、その力を効果的に分散できる構成が望まれていた。
【0006】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、前部作業機から受ける力を効果的に分散できるトラクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0008】
本発明の観点によれば、以下の構成のトラクタが提供される。即ち、このトラクタは、メインフレームと、作業機支持部と、リアフレームと、を備える。前記作業機支持部は、前記メインフレームに取り付けられ、車体の前部に取り付けられる作業機を支持する。前記リアフレームは、前端部が前記作業機支持部に取り付けられ、後端部がリアアクスルケース又は前記メインフレームに取り付けられ、側面視において前記メインフレームより下方に配置される。
【0009】
即ち、車体の前部に作業機を取り付けて作業を行っているときには、作業機から力を受けて、車体の左右方向のねじりモーメントが車体に掛かることがある。また、作業機を上下方向に回動させるとき等には、上下方向の回転モーメントが作業機支持部に掛かることがある。この点、上記の構成においては、このようなモーメントをメインフレームだけでなくリアフレーム(及びリアフレームが固定された箇所)に分散させることができる。特に、リアフレームをメインフレームよりも下方に配置することで、リアフレームに比較的多くの負荷が加わる構造とすることができる。従って、トラクタに掛かる負荷を軽減させることができる。
【0010】
前記のトラクタにおいては、車体の左右にそれぞれ備えられる前記作業機支持部を前記メインフレームより下方で連結する連結部を備えることが好ましい。
【0011】
これにより、作業機支持部が補強されるため、トラクタに掛かる負荷を軽減させることができる。特に、作業機支持部に対して車体の左右外側方向に掛かる力の影響を軽減させることができる。
【0012】
前記のトラクタにおいては、前記リアフレームは、平面視において曲がっている曲がり部を有することが好ましい。
【0013】
これにより、リアフレームに対して強い力が掛かった場合においても、変形して衝撃を吸収し易い構造とできるため、リアフレームの破損を防止できる。従って、より多くの負荷をリアフレームに伝達することができる。
【0014】
前記のトラクタにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、このトラクタは、足乗せ部と、燃料タンクと、を備える。前記足乗せ部は、操縦者の足を乗せることが可能である。前記燃料タンクは、前記足乗せ部の下方であって、前記リアフレームの上方に配置される。
【0015】
これにより、燃料タンクの下方にリアフレームが位置するため、燃料タンクが地面の突起等によって破損することを防止できる。また、リアフレームが燃料タンクの保護部材を兼ねているため、特別に保護部材を設ける場合と比べて、部品点数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係るトラクタの全体的な構成を示す斜視図。
【図2】トラクタの底面図。
【図3】メインフレーム及びリアフレームを示す斜視図。
【図4】リアフレームの前端部の取付位置を説明する斜視図。
【図5】リアフレームの後端部の取付位置を説明する斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。初めに、図1及び図2を参照して、トラクタ10の全体的な構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るトラクタ10の全体的な構成を示す斜視図である。図2は、トラクタ10の底面図である。なお、以下の説明においては、単に「左側」「右側」等というときは、トラクタ10が前進する方向に向かって左側及び右側を意味するものとする。
【0018】
本実施形態のトラクタ10は、前部及び後部に適宜の作業機を取付可能に構成されている。例えば、このトラクタ10の前部にはローダ及びフォーク等を取り付けることができ、後部にはロータリ等を取り付けることができる。以下では、前部にローダを取り付けたトラクタ10について説明する。
【0019】
トラクタ10は、図1に示すように、車体11と、前輪14と、後輪15と、フロントローダ16と、キャビン17と、3点支持機構60と、を主要な構成として備えている。
【0020】
車体11は、前部にあるボンネット18に収容された図略のエンジンを備えている。このエンジンは、図2に示す燃料タンク41から燃料の供給を受けて、動力を発生させることができる。エンジンの動力は、適宜の伝達機構を介して前輪14及び後輪15に伝達される。前輪14及び後輪15は、エンジンの動力が伝達されることで回転し、トラクタ10を移動させることができる。また、車体11は、その下部にメインフレーム12を備えている。
【0021】
メインフレーム12は、図1及び図2に示すように、車体11の下部に、車体11の前部から後部にかけて配置されている。また、メインフレーム12よりも車体外側方向には、リアフレーム(サブフレーム)13が左右に1つずつ配置されている。
【0022】
このメインフレーム12及びリアフレーム13には、作業機支持部30を介して上方ブラケット34が取り付けられている。この上方ブラケット34の上端には、フロントローダ16が取り付けられている。なお、メインフレーム12、リアフレーム13、及び作業機支持部30の詳細な構成については後述する。
【0023】
フロントローダ16は、土砂の積込み等を目的とした作業機である。フロントローダ16は、車体11の左右両側に配置された一対のブーム21と、このブーム21を上下に動作させるためのリフトシリンダ23と、土砂等をすくうバケット26と、このバケット26を回動させるためのダンプシリンダ24と、を備えている。なお、以下の説明では、ブーム21の車体後方側を基端側と称し、ブーム21の車体前方側を先端側と称する。
【0024】
ブーム21は、弧を描くように曲がりながらトラクタ10の前方に向かって延びる形状に構成されている。ブーム21の基端側は前記上方ブラケット34の上部に対して回動可能に連結されており、先端側はヒッチ25に対して回動可能に連結されている。
【0025】
ブーム21の長手方向略中央部には、シリンダ受板27が配置されている。このシリンダ受板27の基端側の端部にはリフトシリンダ23が連結され、先端側の端部にはダンプシリンダ24が連結されている。リフトシリンダ23及びダンプシリンダ24は、図示しないポートに作動油が供給されることで伸縮駆動される。
【0026】
この構成で、リフトシリンダ23を伸ばすと、ブーム21が上方に回動して、バケット26が上昇する(図1の2点鎖線参照)。一方で、リフトシリンダ23を縮ませると、ブーム21が下方に回動して、バケット26が下降する。
【0027】
また、ダンプシリンダ24を縮ませると、ヒッチ25が図1の時計回りに回動して、バケット26が上方に回動する(すくい動作)。一方、ダンプシリンダ24を伸ばすと、ヒッチ25が図1の反時計回りに回動して、バケット26は下方に回動する(ダンプ動作)。
【0028】
また、ブーム21の基端側の端部近傍から後方にかけて、操縦者が搭乗するためのキャビン17が配置されている。このキャビン17の内部には、運転操作具及び運転座席等が設けられており、この運転操作具を操作することによって、フロントローダ16の操作及びトラクタ10の走行等を行うように構成されている。
【0029】
また、トラクタ10の後端部には、作業機を取り付けるための3点支持機構60が配置されている。この3点支持機構60は、図1及び図2に示すように、左右一対で配置されたロアリンク61と、ロアリンク61よりも高い位置に配置されるトップリンク62と、で構成されている。
【0030】
次に、図2から図4までを参照して、トラクタ10のフレーム構造及び作業機支持部30の構成について詳細に説明する。図3は、メインフレーム12及びリアフレーム13を示す斜視図である。図4は、リアフレーム13の前端部の取付位置を説明する斜視図である。なお、本実施形態のメインフレーム12、リアフレーム13、及び作業機支持部30は何れも左右対称に構成されているため、以下では左側の構成のみを代表して説明することがある。
【0031】
メインフレーム12は、トラクタ10の前後方向に延びる左右一対の側方フレーム12aと、左右の側方フレーム12aの前端部同士を連結する前方フレーム12bと、で構成されている。また、メインフレーム12には、作業機としてのフロントローダ16の荷重等を支持する作業機支持部30が取り付けられている。
【0032】
作業機支持部30は、取付板31と、突出筒32と、下方ブラケット33と、を備えている。
【0033】
取付板31は、一定の厚みを有する板状の部材で構成されている。取付板31の中央部は若干折り曲げられる一方で、後部はやや下方に延設されている。また、取付板31には複数の孔が形成されており、この孔にボルト等の固定部材を差し込んで固定することで、取付板31がメインフレーム12の側面に取り付けられている。これにより、取付板31が受ける荷重をメインフレーム12に伝達できる構造となっている。
【0034】
また、左側の取付板31の下方に延設された箇所と、右側の取付板31の下方に延設された箇所と、は支持部連結部材(連結部)35によって相互に連結されている。この支持部連結部材35は、側方フレーム12aよりも少し下方に配置され、左右水平方向に向けられている。また、取付板31の厚み方向一側の面であって、取付板31の屈折箇所のやや後方には、突出筒32が取り付けられている。
【0035】
突出筒32は、円筒状の部材であり、取付板31から車体の外側へ水平に突出するように設けられている。この突出筒32は直線状に形成され、その長手方向一側の端部が取付板31に固定され、他側の端部が下方ブラケット33に固定されている。なお、この突出筒32に代えて、円柱状(中実状)の部材や、断面が多角形に構成された部材等を用いることもできる。
【0036】
下方ブラケット33は、図3及び図4に示すように、前記突出筒32の端部に固定されている。下方ブラケット33は、突出筒32との固定箇所から上方に延びる上方伸延部33aと、下方に伸びる下方伸延部33bと、で構成されている。また、上方伸延部33aの端部には、図4に示す上方ブラケット34が取り付けられている。
【0037】
上方ブラケット34は、縦に細長い形状の部材であり、その下部が下方ブラケット33と連結されている。この上方ブラケット34の上端部においては、ブーム21が回動可能に取り付けられている。また、上方ブラケット34の前端部においては、リフトシリンダ23が回動可能に取り付けられている。
【0038】
また、リアフレーム13は、前述のように左右で1つずつ配置されるとともに、それぞれがトラクタ10のほぼ機体前後方向に延びるように形成されている。このリアフレーム13は、図2に示すように、その長手方向中間部以外の部分(前端側及び後端側)においては側方フレーム12aと略平行に配置されるとともに、長手方向中間部においては、側方フレーム12aに対して若干傾斜して配置される。言い換えれば、リアフレーム13は、2つの屈折部(第1屈折部13a及び第2屈折部13b)によってジグザグに折り曲げられた形状に構成されている。
【0039】
このように屈折部13a,13bが形成されているため、フロントローダ16を用いた作業中においてリアフレーム13に機体左右方向の強い力が掛かった場合でも、この屈折部13a,13bが変形することで衝撃を吸収してリアフレーム13が破損することを防止できる。また、フロントローダ16を用いた作業中において、リアフレーム13に機体前後方向の強い力が掛かった場合でも、この屈折部13a,13bが変形することで衝撃を吸収してリアフレーム13が座屈することを防止できる。
【0040】
次に、リアフレーム13の取付位置と、この取付位置の近傍に配置された装置等について説明する。初めに、リアフレーム13の前端部分の周辺の構成について、図3及び図4を参照して説明する。
【0041】
リアフレーム13の前端部には、複数の取付孔が形成されている。そして、この取付孔と、下方ブラケット33の下方伸延部33bに形成された取付孔と、にボルト等の固定具を差し込んで固定することで、リアフレーム13が下方ブラケット33に取り付けられている。また、リアフレーム13の上方であって下方ブラケット33の後方には、図4に示すように燃料タンク41が配置されている。
【0042】
この燃料タンク41は、図2に示すように、車体11の外側(左側)に少し突出した部分を有している。この突出部分の上部には、図4に示すように、給油口41aが設けられている。そして、この突出部分を覆うようにタンク保護板42が取り付けられている。また、図2に示すように、燃料タンク41の前部及び後部にもタンク保護板42が取り付けられている。この構成により、燃料タンク41は、その突出部分の側面がタンク保護板42によって保護され、下面がタンク保護板42及びリアフレーム13によって保護される。そのため、燃料タンク41が破損して燃料が流れ出すことを効果的に防止している。また、燃料タンク41の突出部分以外の部分は、キャビン17の内部に配置されたフロア(足乗せ部)46の下方に配置されている。
【0043】
このフロア46は、操縦者が運転座席に座って操縦等を行うときに足を置くためのものである。また、操縦者がトラクタ10に乗って運転座席に上がるときにはステップ45及びフロア46を階段のように順次踏んで登ることになるため、フロア46は、操縦者が運転座席に上がるための部材であるということができる。
【0044】
次に、図5を参照して、リアフレーム13の後端部の取付位置と、この取付位置の近傍に配置された装置等について説明する。図5は、リアフレーム13の後端部の取付位置を説明する斜視図である。なお、図5は、車体11の後部を底部側から見た様子を示すものであり、また、図5では図を見易くするために後輪15等の構成要素を省略している。
【0045】
図5に示すように、車体11の後部には、エンジンから伝達された動力を変速するためのトランスミッション装置が配置されている。このトランスミッション装置は、トランスミッションケース51内に配置されている。そして、このトランスミッションケース51の後端には、前記ロアリンク61が左右にそれぞれ取り付けられている。また、このトランスミッションケース51の左右の側面には、リアアクスルケース52が左右にそれぞれ取り付けられている。
【0046】
リアアクスルケース52は、エンジンから伝達された動力を後輪15に伝達するための出力軸(リアアクスル)を回動可能に支持している。そして、リアアクスルケース52の車体外側方向には、後輪15が配置されている。また、リアアクスルケース52の下部(図5における上側)には、チェックチェーンブラケット53が取り付けられている。
【0047】
チェックチェーンブラケット53は、チェックチェーン54及びリアフレーム13を取り付けるための部材である。チェックチェーン54は、このチェックチェーンブラケット53の表面に固定された支持板53aに回動可能に取り付けられている。また、チェックチェーン54は、反対側の端部において、ロアリンク61と接続されている。
【0048】
また、リアフレーム13の後端部には、図3及び図5に示すように取付孔が形成されている。この取付孔にボルト等の固定具を差し込んで固定することで、リアフレーム13の車体中央側の面に後端接続板36が取り付けられる。また、この後端接続板36には、リアフレーム13に取り付けるための取付孔に加えて、チェックチェーンブラケット53の支持板53aに取り付けるための取付孔も形成されている。そして、この取付孔と、支持板53aに形成された図略の取付孔と、にボルト等の固定具を差し込んで固定することで、後端接続板36と支持板53aとが固定される。以上のようにして、リアフレーム13がリアアクスルケース52に取り付けられる。
【0049】
この構成により、フロントローダ16等からリアフレーム13が受ける力をリアアクスルケース52に伝達できる構造が実現されている。
【0050】
また、図1に示すように、このリアフレーム13は側面視においてメインフレーム12よりも下方に位置している。そして、フロントローダ16を使用した作業により発生した力は、当該フロントローダ16から上方ブラケット34及び作業機支持部30を介して、メインフレーム12及びリアフレーム13へ伝達される。このため、フロントローダ16から受ける力が上下方向の回転モーメントである場合は、リアフレーム13がメインフレーム12よりも下方にあることからモーメントの腕の長さが大きくなるので、リアフレーム13に対して多くの力を伝達させることができる。そのため、負荷の分散を効率的に行うことができ、トラクタ10の安定した構成を実現できる。
【0051】
以上に説明したように、本実施形態のトラクタ10は、メインフレーム12と、作業機支持部30と、リアフレーム13と、を備える。作業機支持部30は、メインフレーム12に取り付けられ、車体11の前部に取り付けられる作業機としてのフロントローダ16を支持する。リアフレーム13は、前端部が作業機支持部30に取り付けられ、後端部が、後端接続板36及びチェックチェーンブラケット53を介して、リアアクスルケース52に取り付けられている。そして、リアフレーム13は、側面視においてメインフレーム12より下方に配置される。
【0052】
即ち、車体11の前部にフロントローダ16を取り付けて作業を行っているときには、フロントローダ16から力を受けて、車体11の左右方向のねじりモーメントが車体11に掛かることがある。また、フロントローダ16を上下方向に回動させるとき等には、上下方向の回転モーメントが作業機支持部30に作用することがある。この点、上記の構成においては、このようなモーメントをメインフレーム12だけでなくリアフレーム13(及びリアフレーム13が取り付けられたリアアクスルケース52)に分散させることができる。特に、リアフレーム13をメインフレーム12よりも下方に配置することで、リアフレーム13に比較的多くの負荷を受け持たせる構造とすることができる。従って、トラクタ10に掛かる負荷を軽減させることができる。また、取付板31に作用する負荷も軽減されるため、取付板31に形成される取付孔を少なくして、フレームに対する取付板31の取付作業を簡素化することができる。
【0053】
また、本実施形態のトラクタ10は、車体11の左右にそれぞれ備えられる作業機支持部30を、メインフレーム12より低い位置で連結する支持部連結部材35を備える。
【0054】
これにより、作業機支持部30が補強されるため、トラクタ10に掛かる負荷を軽減させることができる。また、フロントローダ16が土砂等に突っ込んだ場合等においては、作業機支持部30に対して車体11の左右外側方向に力が加わる傾向があるが、上記の支持部連結部材35による補強によって、このような方向の力に確実に耐え得るようにすることができる。
【0055】
また、本実施形態のトラクタ10においては、リアフレーム13は、平面視において折れ曲がっている屈折部13a,13bを有している。
【0056】
これにより、リアフレーム13に対して強い力が掛かった場合においても、変形して衝撃を吸収し易い構造にできるため、リアフレーム13の破損を防止できる。従って、より多くの負荷をリアフレーム13に伝達することができる。また、本実施形態はリアフレーム13に比較的多くの負荷が加わるレイアウトとなっているため、上記の屈折部13a,13bを設けてリアフレーム13の破損を防止することが特に好適である。
【0057】
また、本実施形態のトラクタ10においては、フロア46と、燃料タンク41と、を備える。フロア46は、作業中の操縦者が足を置くためのものであるとともに、操縦者が運転座席に上がるときに足を乗せるためのものでもある。燃料タンク41は、フロア46の下方であって、リアフレーム13の上方に配置される。
【0058】
これにより、燃料タンク41の下方にリアフレーム13が位置するため、燃料タンク41が地面の突起等によって破損することを防止できる。また、タンク保護板42に加えてリアフレーム13が燃料タンク41の下方に配置されているため、燃料タンク41の保護がより確実になる。
【0059】
以上に本発明の実施形態を説明したが、上記の構成は更に以下のように変更することができる。
【0060】
上記実施形態では、メインフレーム12は、左右の側方フレーム12aの前端部同士が前方フレーム12bによって接続されている構成であるが、前方フレーム12bを省略した構成のメインフレームに変更しても良い。また、メインフレームの前端部だけでなく後端部も連結させた構成のフレーム(矩形枠状のフレーム)をメインフレームとして用いても良い。
【0061】
上記実施形態では、作業機支持部30は、取付板31と突出筒32と下方ブラケット33とで構成されているが、作業機支持部30は、フロントローダ16からの力をメインフレーム12に伝達可能な構成であれば良く、上記の構成に限定されない。また、取付板31、突出筒32及び下方ブラケット33の形状及び配置も上記の構成に限定されない。
【0062】
上記実施形態では、リアフレーム13は第1屈折部13a及び第2屈折部13bを有しているが、この屈折部の数及び位置は上記の構成に限定されず、屈折部を1つ又は3つ以上有する構成にしても良い。また、折れ曲がる屈折部に代えて、緩やかに湾曲させる湾曲部を曲がり部として有する構成にすることもできる。
【0063】
上記実施形態では、リアフレーム13の後端はメインフレーム12の後端よりも後方に位置しているが、メインフレーム12及びリアフレーム13の位置及び大きさは上記の構成に限定されない。例えば、リアフレーム13の後端をメインフレーム12の後端よりも前方に位置させても良い。
【0064】
上記実施形態では、リアフレーム13は後端接続板36及びチェックチェーンブラケット53を介してリアアクスルケース52に支持されているが、上記以外の適宜の部材を介してリアアクスルケース52に支持させても良い。また、メインフレーム12を後側に延設して、当該延設部分とリアフレーム13とを接続する構成にしても良い。
【0065】
上記実施形態では、フロア46は、操縦中の操縦者の足置き台と、操縦者の乗降時の昇降部と、の2つの機能を兼ねた構成であるが、燃料タンク41の上部に配置される構成であれば、どちらか一方のみの機能を備えた構成のフロア46であっても良い。
【符号の説明】
【0066】
10 トラクタ
12 メインフレーム
13 リアフレーム
13a 第1屈折部(曲がり部)
13b 第2屈折部(曲がり部)
16 フロントローダ
30 作業機支持部
31 取付板
32 突出筒
33 下方ブラケット
35 支持部連結部材(連結部)
46 フロア(足乗せ部)
52 リアアクスルケース
41 燃料タンク
53 チェックチェーンブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインフレームと、
前記メインフレームに取り付けられ、車体の前部に取り付けられる作業機を支持する作業機支持部と、
前端部が前記作業機支持部に取り付けられ、後端部がリアアクスルケース又は前記メインフレームに取り付けられ、側面視において前記メインフレームより下方に配置されるリアフレームと、
を備えることを特徴とするトラクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のトラクタであって、
車体の左右にそれぞれ備えられる前記作業機支持部を前記メインフレームより下方で連結する連結部を備えることを特徴とするトラクタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のトラクタであって、
前記リアフレームは、平面視において曲がっている曲がり部を有することを特徴とするトラクタ。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載のトラクタであって、
操縦者の足を乗せることが可能な足乗せ部と、
前記足乗せ部の下方であって、前記リアフレームの上方に配置される燃料タンクと、
を備えることを特徴とするトラクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−126325(P2011−126325A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284111(P2009−284111)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】