説明

トランスジェニック植物におけるオリゴ糖の産生

【課題】公知の製造経路が有する欠点を回避したオリゴ糖の別の製造経路を提供すること。
【解決手段】スクロースをオリゴ糖に変換する能力を有する酵素をコードする遺伝子を選抜し;適当な転写-開始および転写-終止シグナルに該遺伝子を連結して発現構築物を得;適当な植物細胞を該発現構築物で形質転換し;形質転換植物細胞からトランスジェニック植物を再生し;該酵素の発現および活性を許容する条件下で該トランスジェニック植物を培養し;ついで、該トランスジェニック植物からオリゴ糖を単離することよりなることを特徴とするオリゴ糖の製法、ならびに、オリゴ糖を産生し得るトランスジェニック植物およびその一部分に加えて、該方法によって得た産物およびその使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オリゴ糖の製法、その方法で産生したオリゴ糖、オリゴ糖を産生し得るトランスジェニック植物および植物細胞、ならびにその方法で得たオリゴ糖の適用に関する。
【背景技術】
【0002】
食物産業においては、「ライト」および低カロリーに向けた大きくなりつつあるトレンドが認めることができる。製品中の多すぎる脂肪および/または砂糖の本明細書中における使用は避ける。それにもかかわらず、甘い味覚を有する食物製品を得るために、増加しつつある多種の砂糖代替物(substitute)が販売されてきている。アスパルタームは、その知られている例である。しかしながら、アスパルタームは、官能器刺激特性に乏しい。
【0003】
もう1つの型の砂糖代替物は、オリゴ糖により形成される。オリゴ糖は、フルクトースおよび/またはグルコースのごとき、2個または3個以上の単糖よりなる分子である。該オリゴ糖中の単糖は、β-(2-1)-またはβ-(2-6)結合のいずれかによって互いに結合している。オリゴ糖中の単糖の数は、DP-値(「重合度」)によって示される。3のDP-値とは、オリゴ糖が3個の単糖より構成されることを意味する。オリゴフルクトースとは、フルクトース単位より全体的になるオリゴ糖である。また、オリゴ糖が1または2以上のグルコース単位よりなる場合、これらは、フルクトース単位にα(1-2)結合によって結合するであろう。オリゴ糖の組成は、式GmFn,でも示され、ここに、Gはグルコース、Fはフルクトースを示し、mは0または1に等しく、nは0よりも大きいか、または0に等しい全体数である。特に適したオリゴ糖は、mが1に等しく、nが2〜8、好ましくは2または3であるものである。
【0004】
オリゴ糖は加水分解され難く、例えば、ヒトの胃および小腸では全く加水分解されない。ヒトの消化酵素はオリゴフルクトース分子中のβ(2-1)およびβ(2-6)結合に何ら効果を有していないことが、オリゴフルクトースの知られている事実である。したがって、それは、分解され、体内に吸収されることなく胃および小腸を通過する。しかしながら、オリゴ糖は、大腸の微生物フローラによって代謝されるもの以外は身体に残らない。ここでガスに加えて放出されるのは、揮発性脂肪酸であり、ついで、これは再度、腸フローラのエネルギー源として供される。この現象は、なぜ、オリゴ糖が、身体に吸収されるグルコース、フルクトースおよびスクロースのごとき遊離糖よりもヒトに対して低エネルギー値を有するのかということを説明している。しかしながら、オリゴ糖は、砂糖代替物として供するに十分な甘味力を有しているのである。
【0005】
さらに、オリゴ糖、特にオリゴフルクトースは、ビフィズス源効果(bifidogeniceffect)を有すること、すなわち、それが消化系のビフィズス菌の増殖を刺激することが知られている。ビフィズス菌は、病原性細菌の進展に対して保護し、それによって健康にプラスの影響を有する。加えて、オリゴ糖は栄養繊維である。
多様な方法で調製した種々のオリゴ糖がちょうど今、すでに販売されてきている。
【0006】
オリゴ糖は、より長い植物イヌリン鎖の部分酵素的加水分解によって製造し得る。それに関する方法は、例えば、欧州特許出願440.074号に記載されている。
オリゴ糖は、同じく酵素的に合成し得る。この酵素的製造経路用途は、スクロースをオリゴ糖混合物に変換し、異なる微生物から単離された酵素、フルクトシルトランスフェラーゼ(JP-80/40193)よりなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、公知の製造経路は多数の欠点を有している。第一に、双方の公知の製法は比較的高価である。製造混合物中には、2〜約7個の鎖長を有する所望のオリゴ糖に加えて、比較的に多数の遊離糖およびより長い鎖長を有するオリゴ糖も生じる。多くの遊離糖の欠点は、それが、混合物のエネルギー値の増加を生じることである。例えば、遊離糖が17キロジュール/gのエネルギー定数を有するのに対し、純粋なGF2およびGF3は4〜6キロジュール/gのエネルギー定数を有する。加えて、遊離糖は歯科う触(虫歯)を引き起こす。
【0008】
反対に、長過ぎる鎖長を有するオリゴ糖は、甘味能力が低く、このことは、混合物の平均甘味能力の低下を引き起こす。
たとえば、アスパルタームのごときある種の他の甘味料に対して、オリゴ糖は優れた官能器刺激特性を有する。
本発明の目的は、前記した欠点を回避したオリゴ糖の別の製造経路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この最後に、本発明は、
a)スクロースをオリゴ糖に変換する能力を有する酵素をコードする遺伝子を選抜し;
b)該遺伝子を適当な転写-開始シグナルおよび転写-終止シグナルに連結して発現構築物を得;
c)適当な植物細胞を該発現構築物で形質転換し;
d)該形質転換細胞からトランスジェニック細胞を再生し;
e)酵素の発現および活性を許容する条件下にて該トランスジェニック植物を培養し;ついで、
f)該トランスジェニック植物からオリゴ糖を単離する工程
よりなることを特徴とするオリゴ糖の製法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
したがって、本発明は、公知の産業的製法によって調製したオリゴ糖と比較して、より望ましい特性を有するオリゴ糖またはオリゴ糖の混合物をトランスジェニック植物または植物細胞によって製造する方法を提供する。
【0011】
本発明による方法の特に有利な点は、鎖長分布が狭く、それによって最終産物中に遊離糖が全く、またはほとんど生じないことである。その結果は、低う触性および所望の低エネルギー値である。また、5より大きな鎖長を有するオリゴ糖もほとんど生じない。その利点は、本発明により製造されるオリゴ糖が、より高い特異的な甘味能力を有することである。甘味能力は「平均鎖長」に依存するのが事実である。混合物の平均鎖長が長くなる程、甘味能力は低下してゆく。高い特異的な甘味能力の利点は、余分の甘味料を製品の加工にほとんど添加する必要がないことである。
【0012】
同様な考察は、溶解性に関してもあてはまる。平均鎖長が増加すると溶解性が低下することも事実である。したがって、本発明による混合物は、酵素的合成または酵素的加水分解によって得た混合物よりもより高い溶解性を有する。加えて、生産コストがかなり低下する。
【0013】
ビフィズス菌体内では、短鎖が長鎖よりも吸収され得るということが示唆されている。したがって、本発明による方法により製造したオリゴ糖混合物は、より高いビフィズス源効果を有するであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
スクロースをオリゴ糖に変換する能力を有する酵素をコードする遺伝子を選抜するためには、例えば、細菌のような微生物、または植物のような、フルクトシルトランスフェラーゼ活性を含むいずれの可能な生物においても探索することが可能である。スクロースからフルクタンを生成し得るフルクトシルトランスフェラーゼを含む多種の微生物が知られている。これらの酵素は、フルクトース単位を、スクロースからフルクタン受容体分子に移動させる。微生物フルクトシルトランスフェラーゼは、通常、高DPのフルクタンを生成する。かかる多糖類産生用のトランスジェニック植物を製造するための、種々のフルクトシルトランスフェラーゼの用途は、すでに文献に記載されている。かくして、バシラス・サチリス(Bacillus subtilis)のSacB-遺伝子を植物に導入することによって、この植物のフルクタンのパターンを改変し得ることは知られている(WO89/12386号)。しかしながら、このことは、高分子量多糖類の生成にも関係している。
【0015】
スクロースを高分子量フルクタンに変換し得るフルクトシルトランスフェラーゼをコードすることが知られているもう1つの遺伝子は、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)のftf遺伝子である。本発明によれば、驚くべきことには、高分子フルクタンに加えて、このフルクトシルトランスフェラーゼが、三糖類クラス(1-ケストース)の、かなりの量のオリゴ糖を生成することがここに判明した。また、突然変異体は、三糖類のみを蓄積し、多糖類は蓄積しないことも判明している。
【0016】
さらに知られているのは、同様に、主として三糖類を産生するバシラス・サチリス(Bacillus subtilis)のSac B遺伝子の突然変異体である。
【0017】
膨大な種類の他の微生物も、同様にフルクトシルトランスフェラーゼを産生し得る。これらには、限定するものではないが、内生胞子を形成する、桿菌および球菌(例えば、バシラス(Bacillus))、グラム-陽性球菌(例えば、ストレプトコッカス(Streptococcus))、グラム-陰性好気性桿菌および球菌(例えば、シュードモナス(Pseudomonas)、ザントモナス(Xanthomonas)、アゾトバクター(Azotobacter))、グラム-陰性任意嫌気性桿菌(例えば、エルウィニア(Erwinia)、ザイモモナス(Zymomonas))、放線菌類(例えば、アクチノマイセス類、ロシア類)ならびに藍細菌(例えば、トリポスリクス・テニス(Tolypothrix tenuis))が含まれる。
【0018】
これらのフルクトシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子は、所望により、標的またはランダム突然変異導入技術によって改変して、望ましいオリゴ糖-合成酵素特性を有する酵素を提供することができる。
【0019】
細菌フルクトシルトランスフェラーゼは、スクロースについては約20mMの比較的低いKMを有する。大部分の植物におけるスクロース濃度はかなり高く、したがって、これらの酵素は植物中でも活性であろう。細菌フルクトシルトランスフェラーゼの重要な特性は、0℃までの低温でのその活性である。植物は、しばしばこれらの温度に接するが、細菌酵素はこれらの条件下でさえもまだ活性であろう。
【0020】
また、フルクトシルトランスフェラーゼは、植物起源とすることもできる。植物においては、フルクタンの生合成および分解は、限定された数の種でのみ起こる。例は、キク科(Asteraceae)、ユリ科(Liliaceae)およびイネ科(Poaceae)ファミリーである。既知の植物フルクトシルトランスフェラーゼから出発して、標的もしくはランダム突然変異導入法によってか、または、すでに天然に発生した突然変異体の選抜によって、本発明に適した遺伝子を単離し、または作製することができる。
【0021】
非常に適当な植物フルクトシルトランスフェラーゼの例は、種々の植物種に生じ、特に三糖類の合成を触媒するスクロース-スクロース-フルクトシルトランスフェラーゼ(SST)である。
【0022】
もう1つの例は、オオムギ(Hordeum vulgare L.)からのスクロース-フルクタン-6-フルクトシルトランスフェラーゼ(6-SFT)である。本発明の1つの具体例によれば、オリゴ糖産生用の6-SFTを発現するトランスジェニック植物を提供する。
【0023】
本発明のもう1つの具体例によれば、キクイモ(Helianthus tuberosus L.)のフルクタン-フルクタン-フルクトシルトランスフェラーゼ(FFT)を含むトランスジェニック植物を提供する。
【0024】
選抜したフルクトシルトランスフェラーゼ遺伝子を植物内で発現させるためには、プロモーター、エンハンサーなどのごとき転写-開始シグナルを遺伝子付加して、所望の発現構築物を得ることができる。かかる発現プロモーターは、特定の細胞型に特異的とし得、または多様な細胞型で活性とし得る。加えて、発現の時期および部位は、例えば、分化-特異的プロモーターの使用によって決定し得る。植物における遺伝子発現用に一般的に用いられているプロモーターは、35S カリフラワー・モザイクウイルス・プロモーター(CaMVプロモーター)であり、これは、植物の分化ステージに依存して、多種の細胞型で活性である。フルクトシルトランスフェラーゼ遺伝子が植物起源である場合、それ自体の調節配列を使用することもできる。
【0025】
好ましいプロモーターは、標的植物および目的に応じて、強力または弱い、組織-特異的または構成プロモーターとし得る。適当なプロモーターの例は、「シンク(sink)」-特異的パタチン・プロモーターおよびジャガイモの顆粒-結合デンプン・シンターゼ・プロモーター、またはサツマイモのスポラミン プロモーターである。
【0026】
さらに転写レベルを上昇するために、プロモーターを改変し、またはエンハンサーを重複して含ませることができる。
【0027】
mRNAの転写は、アルファルファ・モザイクウイルス RNA4翻訳エンハンサーシグナルのごとき転写エンハンサーを付加することによって改変し得、それは翻訳される5'非-翻訳領域に存在しなければならない。
【0028】
転写を正確に終止させるために、構築物にターミネーター配列を付加し得る。かかる配列の例は、ノパリン・シンターゼ遺伝子終止配列である。
【0029】
特別の状況に適した発現シグナルの選択は、もちろん、この目的のために行わなければならないさらなる進歩的な研究を行わなくとも、当業者が到達する範囲内である。
【0030】
フルクトシルトランスフェラーゼの基質であるスクロースは、多くの異なる部位に存在する炭水化物である。それは細胞質で合成され、また、サイトゾル、液胞および細胞外間隙(アポプラスト)または他の可能な部位でかなりな量発見されている。
【0031】
植物細胞における生化学プロセスは、同様にして、単一または多数の細胞区画にしばしば限定されるため、新たに導入した遺伝子の産物の蓄積は特異的な区画で起こることが望ましい。この目的のためには、細胞区画に特異的である標的配列は、トランスジェニック植物で発現するフルクトシルトランスフェラーゼ遺伝子のコード部分に近接して発現構築物中に存在させ得る。異なる細胞位置を標的化するための特異的アミノ酸領域は、すでに同定され解析されている。これらのDNA-配列は、フルクトシルトランスフェラーゼ活性が細胞または植物の所望の区画に指向されるよう、該酵素の遺伝子にリンクさせ得る。
【0032】
したがって、本発明の好ましい具体例において、発現構築物は、また、フルクトシルトランスフェラーゼ活性を1または2以上の特異的な植物細胞区画に指向させる標的配列よりなる。標的配列の例は、ジャガイモからのパタチンのものか、またはサツマイモからのスポラミンのものの、カルボキシペプチダーゼY(cpy)遺伝子のシグナル配列および液胞標的配列、あるいは、PR蛋白質S-遺伝子(pr-s)のシグナル配列およびアポプラスト標的配列である。しかしながら、これらのものは例であって、当業者であれば、自身で他の標的配列を選択し得るであろう。
【0033】
原則として、発現構築物は、液胞、色素体、細胞壁、細胞質ほかのごとき、いずれのランダムな細胞区画においても標的化が起こるように改変し得る。
【0034】
導入遺伝子発現の位置のみならず時期までも、制御することがしばしば植物に有利となる。例えば、新たに導入した酵素の活性の発現は、通常、植物の特異的な部分、例えば、塊茎、果実または種子のごとき収穫し得る器官に限定することが通常望ましい。さらには、しばしば、特定の分化ステージにおいてこれらの器官で発現を開始させることが望ましい。このことは、たしかに、導入遺伝子の発現が、かかる器官の正常な分化を妨害する場合である。
【0035】
本発明によるオリゴ糖は、「ライト」バージョンの種々の食物製品中の砂糖、グルコース・シロップおよびイソグルコースの代替物として用いることができる。食物製品の例は、糖菓、ビスケット、ケーキ、デイリー製品、ベビーフーズ、アイスクリームおよび他のデザート、チョコレートほかである。また、ビフィズス菌の刺激も、動物の健康に重要である。したがって、本発明によるオリゴ糖は、例えば、動物飼料としても適用し得る。
【0036】
さらに、本発明は、以下の例を基礎としてさらに明瞭になるであろう。これは、本発明の説明目的のものであって、いかなる場合においても限定することを意図するものではない。以下に示す添付図面に関する説明は、実施例で行う。
【実施例】
【0037】
実施例1
遺伝子の選抜
1.天然発生遺伝子
スクロースからのオリゴ糖のその産生能につき、多数の微生物をスクリーニングした。この目的のため、微生物培養は、液体栄養中で一晩増殖させた。オリゴ糖-産生活性は、培養試料を、0.1%Triton X-100存在下、200mMスクロースと共にインキュベートすることによって測定した。反応産物は、TLCによって分離し、フルクトース特異的試薬を用いて視覚化した(Cairns,A.J.およびPollock,C.K.,New Phytol.109,399-405(1988))。ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)がオリゴ糖の有効な産生菌であることがこのスクリーニングの結果として判明した(図1参照)。オリゴ糖-産生酵素活性は、DEAE-イオン交換クロマトグラフィーおよびゲル濾過クロマトグラフィーによってストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)培養物から精製した。それから、ShirozaおよびKuramitsu(J.Bacteriol.170,810-816(1988))によって記載されているftf遺伝子の産物によって酵素活性が誘導されることが判明した。
【0038】
つづいて、プラスミドpTS102(ShirozaおよびKuramitsu,前掲)からのフルクトシルトランスフェラーゼ(ftf)遺伝子を、pEMBL9(Denteら,Nucl.Acids Res.11,1645-1655(1983))のマルチクローニングサイトにEcoRV-BglIIフラグメントとしてクローン化し、このプラスミド中に存在するlacZプロモーターから発現させた。ついで、イー・コリ(E.coli)をそれで形質転換した。それによって細菌は、オリゴ糖を産生し得るようになった。
【0039】
オリゴ糖の産生は、前記したスクリーニング法によって証明した。非-形質転換イー・コリ(E.coli)は、スクロースからオリゴ糖を何ら産生しない。
【0040】
2.突然変異導入遺伝子
突然変異導入によって、必要により、それを酵素のオリゴ糖-産生活性に適用することが可能である。遺伝子中の突然変異は、例えば、以下の方法でなし得る。
【0041】
ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)のftf遺伝子の突然変異導入には、ゲノム組込み系(Van Der Plasら,Gene 95,39-48(1990))によって、プラスミドpTS102をシネココッカス種(Synechococcussp.)PCC 7942(R2-PIM9)のゲノムに組込み、株R2-PTSを得た。この藍細菌R2-PTS株はフルクトシルトランスフェラーゼ遺伝子を発現する。R2-PTS株は、ペリプラズム中のポリマー蓄積に起因するスクロース-感受性である。R2-PTS培養物を、点突然変異(T→CおよびG→A突然変異)を誘導するN-メチル-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジン(MNNG)で突然変異誘導した。変化したフルクトシルトランスフェラーゼ活性を有する突然変異体を選抜した。MNNGによって突然変異導入した培養物を、スクロース含有培地上に平板し、合計400個のスクロース-抵抗性のコロニーを、変化したフルクトシルトランスフェラーゼ活性について試験した。
【0042】
これらのコロニーに由来したのはR2-PTS培養物で、これを遠心によって濃縮した。かくして、得られたペレットを、1%Triton X-100、200mMスクロースを入れた50mMリン酸ナトリウム緩衝液中に再懸濁し、37℃にて一晩インキュベートした。その反応産物は、TLC-分析によって分析した(CairnsおよびPollock、前掲)。TLCは、85:15 アセトン:水で3回展開し、つづいてWiseら,Analytical Chemistry 27,33-36(1955)によって記載されているのと同様に噴霧尿素で処理した。この方法は、フルクトースおよびフルクトース-含有ポリマーを優先的に染色する。
【0043】
実質的に三糖類を産生する突然変異株の内から、前記方法で突然変異ftf遺伝子の酵素的オリゴ糖-形成活性のイン・ビトロ(in vitro)証明用に1つを選択した。
【0044】
本発明によれば、他の突然変異導入法(部位-特異的またはランダム)、および他の生物からのフルクトシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子を同様に用いて、突然変異オリゴ糖-産生蛋白質の遺伝子を選抜することができる。
【0045】
実施例2
植物におけるftf遺伝子の発現
A.植物形質転換ベクターにおける35S-ftf-NOSの構築
mRNAの翻訳を刺激する二重エンハンサーおよび配列を有する植物-特異的35Sプロモーターを含むプラスミドpMOG18は、Symonsら(Bio/Technology 8,217-221(1990))によって記載されている。それは、35S-プロモーター-uidA-遺伝子-NOS-ターミネーター構築物を含む。BamHIでの消化によって内部BamHI-サイトを除去し、クレノー酵素で粘着末端を埋め、再度連結した、Stratagene社(San Diego,CA,U.S.A.)からのpBluescriptIISK-プラスミドをさらなるクローニングに用いた。35S-uidA-NOS-フラグメントをpMOG18のEcoRIおよびHindIIIでの消化によって得、このBamHI-pBluescriptを対応するEcoRI/HindIIIサイトにクローン化し、プラスミドpPA2を得た。プラスミドpPA2をNcoIおよびBamHIで消化し、ベクター含有フラグメントを単離した。
【0046】
フルクトシルトランスフェラーゼ遺伝子ftfは、pEMBL9のマルチクローニングサイト中のEcoRV/BglIIフラグメントとして、プラスミドpTS102からクローン化した(前記参照)。和合性SmaIおよびBamHI部位をこの目的に用いた。これにより、プラスミドpTA12を得た。
【0047】
ftf遺伝子の成熟プロセシングサイト(ヌクレオチド位置783)(J.Bacteriol.170,810-816(1988))に近接したNcoI部位を得るために、以下のオリゴヌクレオチド:5'-GGCTCTCTTCTGTTCCATGGCAGATGAAGC-3'
で部位特異的-突然変異をKramerら(Nucl.Acids Res.12,9441-9456(1984))により記載されているごとく行った。これから、プラスミドpTD2を得た。成熟プロセシングサイトに対してアミノ酸位置+1(ヌクレオチド位置783)のグルタミンが、これによってメチオニンに変化した。成熟フルクトシルトランスフェラーゼをコードする配列がその中に存在するNcoI/PstIフラグメントをさらなるクローニングに用いた。このプラスミドから、NcoI/PstIフラグメントとしてftf遺伝子を単離し、このフラグメントを前記のpPA2ベクター-含有フラグメントに連結した。これによりプラスミドpTXを得た。pTXは、その中でftfがシグナル配列領域を有さない成熟フルクトシルトランスフェラーゼ遺伝子をその中に示す35S-ftf-NOS-フラグメントを含む。pTXをXbaIおよびHindIIIで消化し、完全構築物(35S-ftf-NOS)を含有するフラグメントを、バイナリ植物ベクターpBIN19(Bevan,Nucl.Acids Res.,12,8711-8721)の誘導体であるpMOG23(Symonsら,前掲)のXbaI/HindIII制限サイトにクローン化した。これからプラスミドpTZを得た。
【0048】
B.成熟ftf遺伝子を発現するトランスジェニック植物の作成および解析
pTZ-プラスミドは、ヘルパープラスミドpRK2013(Lam,Plasmid 13,200-204(1985))の使用する3点交雑育種で、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)LB4404(Hoekemaら,Nature 303,179-180(1983))にコンジュゲートした。リーフディスク形質転換法(Horschら,Science 227,1229-1232(1985))を用いて、その構築物をニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum) var.Petit Havanna(SR1)に導入した。再生植物はKP-植物と呼称し、カナマイシン抵抗性につき選抜し、MS培地(MurashigeおよびSkoog,Physiol.Plant.15,473-497(1962))で培養した。その後に、植物を温室中の土壌で生育させ分析した。
【0049】
葉材料を切除し、エッペンドルフチューブ中で摩砕した。遠心(16,000rpmにて2分間)後に、上清1μlを、実施例1記載と同様にTLC上で分析した。オリゴ糖は、野生型植物または無-関係構築物で形質転換した植物では全く認められなかった。形質転換体のスクリーニングにより、この方法を用いてオリゴ糖-蓄積植物が実証された(図2参照)。発現レベルは、同構築物で形質転換した個々の植物間で変動した。このことは、植物における形質転換実験では通常の現象である。発現レベルの変動は、ゲノム中の組込み位置に実質的に依存する(位置効果)。
【0050】
実施例3
タマネギからのオリゴ糖-産生酵素(SST)
微生物由来の前記で用いたフルクトシルトランスフェラーゼ遺伝子に加えて、かかる酵素を植物によっても産生する。この例においては、タマネギ種子由来のSST遺伝子を用いる。
【0051】
タマネギ種子からのSST蛋白質は、以下のプロトコールを用いたクロマトグラフィー法によって精製した。種子を湿布間にて、22℃にて2〜3日間インキュベートし、pH5.7の50mMリン酸-クエン酸緩衝液中でホモジナイズした。デンプンおよび残渣は、約10,000gにて10分間遠心することによって除去した。硫酸アンモニウムを20%まで上清に添加し、沈殿を遠心によって採取した。上清中の硫酸アンモニウムの濃度を80%まで上昇させ、沈殿を採取し、20mM NaAc、pH4.6中に溶解した。その溶液を、3回緩衝液(20mMNaAc)を交換しつつ一晩透析し、その溶液を遠心によって清澄化した。上清をFPLC monoS-カラム上に置き、0-0.5M NaClグラジエントを有する20mM NaAc、pH4.6で溶出した。10mM NaAc、pH5.6に対して一晩透析した後に、該溶液を、10mM NaAc、pH5.6で平衡化したラフィノース-エポキシ・セファロースカラム(Pharmacia社)上に置いた。溶出は、10mM NaAc、pH5.6(緩衝液A)および10mMリン酸-クエン酸緩衝液、pH7.0+0.5M NaCl-緩衝液(緩衝液B)よりなる線形グラジエントで行った。活性フラクションは、20mMリン酸-クエン酸緩衝液、pH7.0に対して一晩透析し、20mMリン酸-クエン酸緩衝液、pH7.0中のmonoQ FPLC-カラム上に置いた。そのカラムを0-0.5M NaClのグラジエントで溶出した。最終精製のために、該蛋白質をSepharose 6-カラム上に置き、50mMリン酸緩衝液、pH6.5、1%Triton X-100で溶出した。タマネギ種子からの精製SSTのSDS-PAGEゲルの銀染色により、約68,000dの分子量を有する1のみのバンドが現れた(図3参照)。
【0052】
この精製SSTをスクロースとインキュベートした場合、1-ケストースのみが産生された。顕著なインベルターゼ活性は何ら認められなかった(図4参照)。
精製蛋白質のアミノ酸配列は、徐々に消化することによって得たペプチドに基づいて決定した。6-SFT遺伝子(実施例4参照)を用いて、2種のcDNAクローン、pAC22およびpAC92を種子-産生タマネギ花からのmRNAのcDNA-バンクから単離した。pAC22およびpAC92のインサート配列はApplied Biosystems Inc.社からの自動シークエンサーで決定し、そのヌクレオチドおよび由来するアミノ酸配列を図16および17に示す。
【0053】
pAC22およびpAC92によりコードされる蛋白質の活性を決定するために、該インサートをその全体で、NcoIおよびBamHIでベクターを消化することによってエシェリキア・コリ(Escherichia coli)uidAコード配列を除去したpMOG18(Sijmonsら,Bio/Technology 8,217-221,1990)にクローン化した。pAC22およびpAC92のSmaI-XhoIインサートをpMOG18中にクローン化し得る前に、NcoI5'粘着末端をExonucleaseIIIで除去し、かくして平滑-末端を作製し、両方のBamHIおよびNcoI制限サイトを部分的にKlenowポリメラーゼで埋め、それによって和合性連結サイトを作製した。かく得られた35S-AC22および35S-AC92プラスミドで、タバコプロトプラストを形質転換した(Goodallら,Meth.of Enzymology 181,148-151,1990)。25℃にてインキュベート20時間後に、該プロトプラストをペレット化し、50mM NaPOクエン酸緩衝液、pH5.7中に再懸濁した。液体窒素中で凍結することによって該プロトプラストを溶解した。激しく撹拌し、遠心した後に上清を10mMスクロースおよび1μl 14C-スクロース(Amersham社)と25℃にて20時間インキュベートした。試料を95℃にて3分間加熱することによって反応を停止させた。試料当たり2μlをTLCプレート(Schleider and Schull社)上に負荷し、該TLCプレートを90:10アセトン:水中で3回展開し(CairnsおよびPollock,New Phytol.109,399-405,1988)、尿素噴霧で染色した(Wiseら,Anal.Biochem.27,33-36,1955)。このようにして、オートラジオグラフィー(ハイパーフィルム-MP,Amersham社)後に、構築物35S-AC22および35S-AC92についてフルクトシルトランスフェラーゼ活性を証明し得た。
【0054】
実施例4
オオムギからのスクロース-フルクタン 6-フルクトシルトランスフェラーゼ(6-SFT)
1.導入部
スクロース-フルクタン 6-フルクトシルトランスフェラーゼ(6-SFT)は、グラス(grass)に典型的な分岐フルクタン(グラミナンとも呼称される)生合成の鍵酵素である。該酵素は、スクロースからケストースを形成し、スクロースおよびイソケストースからビフルコースを形成する。この例においては、オオムギ(Hordeum vulgare L.)からの6-SFTの精製を記載する。加えて、完全cDNAのクローニングおよび機能の立体配置についても記載する。
【0055】
2.スクロース-フルクタン 6-フルクトシルトランスフェラーゼの精製
8〜10日齢のオオムギ(Hordeum vulgare L.cv Express)植物の第一葉を切除し、Simmenら,Plant Physiol.101,459-468(1993)によって記載されているのと同様にして、連続して48時間光に暴露してフルクタンおよび該フルクタン生合成の酵素の蓄積を誘導した。つづいて、該葉を液体窒素中で凍結し、それを用いるまで-70℃にて保存した。
【0056】
酵素調製物は、誘導第一葉(700g新鮮重)を液体窒素中で微粉末に摩砕し、つづいてそれを抽出緩衝液(HClでpH5.75に調整した、1mM DTT、1mM ベンズアミジン、1mM EDTA、0.1mMPMSFおよび0.5%PVPを含有する25mM メチルピペラジン)中に懸濁することによって調製した。そのg新鮮重当たり2mlを用いた。除霜後に、該抽出物を4℃にて維持し、撹拌しつつ0.1M HClを滴下することによってpH4.75に調整した。3時間後に、その抽出物を17,000×gにて30分間遠心した。得られた上清を、透析緩衝液(1mM DTT、1mM ベンズアミジン、1mM EDTAおよび0.1mM PMSFを含有する10mM メチルピペラジン(HCl)緩衝液(pH5.75))に対して4℃にて一晩透析した。
【0057】
その酵素溶液をBlue Sepharose上のアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。この目的に、酵素溶液を0.45μm Milliporeフィルターを通して濾過し、前記透析緩衝液で予め平衡化したBlue Sepharose-6-fast flow(Pharmacia社,Uppsala,Sweden)のカラム(26×120mm)上で流速2ml/分で負荷した。色素にアフィニティーを有さない蛋白質を除去するために、該カラムを3ベッド容積の透析緩衝液で洗浄した。結合蛋白質は、最初は10mMメチルピペラジン(HCl)緩衝液(pH5.75)中の0.2M NaClで30分間、つづいて同緩衝液中の0.2M−0.5M NaClの線形グラジエントで90分以内、3ml/分の流速にて溶出した(5mlフラクション)。
【0058】
6-SFT活性を含有するすべてのフラクションを保存し、透析緩衝液に対して4℃にて一晩透析し、ついで透析バッグをポリエチレングリコール40,000でカバーし、4℃にて4時間インキュベートすることによって出発容積の1/3まで濃縮した。
【0059】
第一アニオン交換クロマトグラフィー工程では、6-SFTフラクションを濾過し、透析緩衝液で予め平衡化した6ml resource Qカラム(Pharmacia社)上で、3ml/分の流速にて負荷した。該カラムを10mM メチルピペラジン(HCl)緩衝液(pH5.75)で洗浄した後に、同緩衝液中の0−0.15M NaClの線形グラジエントで、15ml/分の流速にて8分間以内、結合蛋白質を溶出した。1mlフラクションを採取した。6-SFTを含有するフラクションを保存し、硫酸アンモニウムを補充して最終濃度を2Mとした。
【0060】
つづいて、6-SFT保存液を疎水性相互作用クロマトグラフィーに付した。この目的には、2M硫酸アンモニウムを入れた50mMクエン酸-NaHPO緩衝液(pH5.0)で予め平衡化したアルカリ-スパーロース-カラムHR5/5(Pharmacia社)上で0.5ml/分の流速で、該保存液を負荷した。結合蛋白質は、50mMクエン酸-NaHPO緩衝液(pH5.0)中の2−0M硫酸アンモニウムの線形グラジエントで0.5ml/分の流速にて60分以内溶出した。0.5mlのフラクションを採取し、6-SFT活性を含むフラクションを保存した。
【0061】
保存フラクションをゲル濾過クロマトグラフィーに付し、その前に、微量濃縮遠心管(Centricon-30,Amicon-Grace社,Beverly,CT)中にて190μlの総容積までまず濃縮した。その濃縮物は、0.2M NaClを含有する100mMクエン酸-NaHPO緩衝液で平衡化したSuperdex 75HR 10/30ゲル濾過カラム(Pharmacia社)上に置き、流速0.4ml/分で同緩衝液で溶出した。0.2mlフラクションを採取し、6-SFT活性を含むフラクションを保存し、10mM メチルピペラジン(HCl)緩衝液(pH5.75)でのCentricon-30微量遠心管中の5回連続濃縮および希釈工程によって脱塩した。
【0062】
第二アニオン交換クロマトグラフィー工程には、脱塩試料を6ml Resource Qカラム(Pharmacia社)上に負荷した。条件および緩衝液は、フラクションの大きさを0.5mlに減少する以外は、第一アニオン交換クロマトグラフィー工程と同一であった。6-SFT活性を含有するフラクションを保存液I、IIおよびIIIで合わせた(図5A)。
【0063】
精製の間で、種々の精製工程の後に、フラクションの酵素活性を測定した。この目的のために、350gにて5分間遠心することによってBiogel P-10カラム(8×300mm)上で50-100μl部の酵素調製物を案内することによってそれを脱塩した(Simmensら,前掲)。脱塩した酵素調製物は、50mMクエン酸-NaHPO緩衝液(pH5.75)中の0.2Mスクロースとインキュベートして、精製の間に6-SFT活性を含むフラクションを同定した。最終酵素調製物(保存液IおよびIII)を25mMメチルピペラジン(HCl)緩衝液(pH5.75)中の0.1Mスクロース単独、または0.1Mイソケストースと組み合わせてインキュベートした。特に断らない限り、酵素活性アッセイは、27℃にて3時間行った。反応は、試料を95℃にて3分間加熱することによって終止させた。試料を13,000×gにて5分間遠心し、トレハロース(内部標準)を補充して最終濃度0.1μg/μlとし、分析まで-20℃にて保存した。
【0064】
中性炭水化物は、パルス電流滴定検出器に結合したDionex DX-300グラジエントクロマトグラフィー系に付けたCarboPac PA-100カラム(Dionex社,Sunnyvale,USA)上のアニオン交換クロマトグラフィーによって分析した(Simmenら,前掲)。アニオン交換クロマトグラフィーにより分析する前に、スクロースからグルコースを遊離させる酵素活性を、酵素精製の間に採取したフラクション中で検出した。これには、製造業者の指示書に従って、グルコース試験キット(GOD-Perid法、Boehringer GmbH社,Mannheim,Germany)を用いた。
【0065】
識別できない触媒特性を有する2種の6-SFTイソ型を精製によって単離した(表I)。HighTrap blue column上のアフィニティークロマトグラフィー、およびアルカリスーパーロースカラム上の疎水性相互作用クロマトグラフィーによって、インベルターゼ(β-フルクトシダーゼ)活性を6-SFTからほぼ完全に分離した。このことは、6-SFTが全くインベルターゼ活性を有しないことを意味する。β-フルクトシダーゼおよびフルクトシルトランスフェラーゼ活性の間のモル比はアフィニティークロマトグラフィー後には係数6付近に低下し、ついで、疎水性相互作用クロマトグラフィーの後には約3の最終比までさらに低下した(表I)。残っているβ-フルクトシダーゼ活性は、6-SFTから分離できず、それゆえ、その触媒特性のうちの1つのようである。
【0066】
Simmenら(前掲)によってすでに示されているごとく、フルクトースをスクロースまたはイソケストースのいずれかに転移する能力は、6-SFTの特徴付け特性である。第二アニオン交換カラムの後に得た両方の6-SFTイソ型は、スクロース単独またはスクロースおよびイソケストースとインキュベートした後に形成した産物のHPLC-分析によって示されるごとく、同一の触媒特性を有する(図5B)。基質のみとしてのスクロースの存在下では、主としてケストースが形成されるが、スクロースはグルコースおよびフルクトースに同様にして加水分解される。スクロースおよびイソケストースとインキュベートした後には、主としてビフルクトースが形成され、遥かに少ないスクロースが加水分解される。このことは、イソケストースがスクロースと比較して優先的な受容体であること、およびβ-フルクトシダーゼ活性は6-SFTの一要素であることを示している。
【0067】
3.ゲル電気泳動
2種の6-SFTイソ型の純度を明らかにするために、2つの6-SFTピークの間にあるResource Qクロマトグラフィーのフラクション(従って、両方のフラクションを含有する)を保存(図5中の保存液II)し、酵素活性アッセイ(図6A)またはSDS-PAGE分析(図6B)のいずれかと合わせた非-変性IEFゲル-分析によって分析した。
【0068】
6-SFT保存液IIの2次元電気泳動には、製造業者のプロトコールに従って、MiniProteanII 2D-cell(Biorad社)を使用する非変性条件下のpH4-8の範囲内の等電点電気泳動に付した。
【0069】
つづいて、1mm管状ゲルを5×試料緩衝液中で30分間培養し、2次元で分離するために7.5-12%SDS-ポリアクリルアミドゲル上に負荷する(Laemmli,Nature 227,680-685,(1970))か、あるいは、0.5Mクエン酸-NaHPO緩衝液(pH5.75)中で10分間、3回洗浄し、酵素活性アッセイ用に2.5mm片に切断するかした。その2.5mmゲル片は、0.2Mスクロースおよび0.02%NaNを入れた0.4Mクエン酸-NaHPO緩衝液(pH5.75)中、27℃にて12時間インキュベートした。13,000gにて5分間遠心した後、その上清を採取し、95℃にて3分間加熱し、トレハロース(内部標準、最終濃度0.1μg/μl)を補充し、さらなる分析用に-20℃にて保存した。
【0070】
SDS-ポリアクリルアミドゲル上で分離した蛋白質は、銀染色によって視覚化した(Blum,1987)。
【0071】
2種のイソ型は明らかに分離し、その両方は、フルクトシルトランスフェラーゼおよび同様にβ-フルクトシダーゼ活性を有していた。それらのpIはわずかしか異ならなく、pH5.0に近かった。両方の6-SFTイソ型を変性した後に、各々49および23kDaの2種のサブユニットがSDS-PAGE上に供された。このデータおよびトリプシン消化によって得たパターンのほぼ完全な同一性(データは示さず)は、2種のイソ型が、構造および配列に関して非常に大きな同一性を示すことを示している。ネガティブに負荷した6-SFT(両方のイソ型を含有する)は、分子量排除クロマトグラフィーによって測定して約67kDaの分子量を有していた(データは示さず)。
【0072】
4.N-末端アミノ酸配列の決定
N-末端アミノ酸配列を決定するために、6-SFT保存液Iおよび保存液IIIの100μg蛋白質を、グラジエントゲル(7.5-12%)上に負荷し、SDS-PAGEによって分離した(Laemmli,前掲)。該蛋白質は、CAPS緩衝液系(Matsudeira,J.Biol.Chem.,262,10035-10038(1987))を用いて、ポリビニリデンジフルオリド膜(Immobilon PVDF transfer membrane,Millipore Corp.社,Bedford,MA)に移した。蛋白質バンドを、1%酢酸中の0.2%Ponceau Sで膜上に視覚化し、切り出し、トリプシンで消化した。
【0073】
トリプシン処理ペプチドは、逆相HPLCによって分離し、トリプシン処理ペプチドのN-末端配列決定は自動エドマン分解によって行った。
【0074】
49kDaサブユニットのN-末端のペプチド配列を決定し、その大きいおよび小さい、両方のサブユニットをトリプシンで消化して内部ペプチド配列を得た。両方のサブユニットについて、トリプシン処理したペプチドの2種のアミノ酸配列を決定し、DNAプライマーの設計に用いた(図7)。
【0075】
5.プローブの設計
397bpフラグメントは、RT-PCRによって作成した。この目的のため、合成オリゴ-d(T)プライマー(23-mer)およびM-MuL V逆転写酵素を用いたポリ(A)-RNAの逆転写によって一本鎖cDNAを合成した。PCRは、2種の合成、変性プライマー:
(i) CGCCTGCAGGTACCACATGTT(C/T)TA(C/T)CA(A/G)TA(C/T)AA(C/T)CC
(ii) CCACGTCTAGAGCTCTC(A/G)TC(A/G)TACCA(A/C/G)GC(C/G)GTCAT
の間のPerkin-Elmer社プロトコールに従って行った。
【0076】
これらのプライマーは、6-SFTのトリプシン処理後に得た2部のペプチド配列により設計した。得られたPCR産物は、pCR-IITMベクター(TA-cloning kit,Invitrogen社)中にクローン化した。該フラグメントのα-32P-dATPでの標識は、製造業者の指示書に従って、ランダムプライムド・ラベリングキット(Boehringer GmbH社,Mannheim,Germany)で行った。
【0077】
6.cDNAライブラリーのスクリーニング
5の方法に従って作製した397bpのフラグメントを第一葉のRNAゲルブロット分析におけるプローブとして用いた。その第一葉では、フルクタンの蓄積が、種々の時間連続して光に連続曝露することによって誘導される。非処理葉の場合にはまったくハイブリダイゼーションシグナルが認められなかったのに対して、葉における6-SFT活性が上昇するに対応する様式で、約1800bpのハイブリダイズバンドが急速に蓄積した(データは示さず)。この結果は、約1800bp長のメッセンジャーRNAの存在を指している。
【0078】
また、PCR産物を用いて第一葉のcDNA発現ライブラリーをスクリーニングした。ここでは、完全長のcDNAの探索を行った。
【0079】
ここでは終わりまで、8日-齢の切除第一葉から全RNAを抽出することによってcDNA発現ライブラリーを最初に作製した。この第一葉では、光に48時間連続して暴露することによってフルクタンの合成を誘導した。該葉を液体窒素で摩砕して微粉末とし、RNA抽出緩衝液(10mM EDTA、0.1M NaClおよび25mM DTTを入れた0.1M Tris(HCl)、pH9)中に懸濁した。まだ凍結した試料は、一様にクリーム様に達するまでさらに摩砕し、ついでその試料をフェノール-クロロホルム-イソアミルアルコール(25:24:1;v:v:v)(BrandtおよびIngversen,Carlsberg Res. Commun.43,451-469,1978)で抽出した。第二ホモゲナイズ工程を削除し、最後のクロロホルム抽出後にRNAを2M LiClで4℃にて一晩沈殿することによって該方法を幾分修飾した。最後のエタノール沈殿後に、ポリ(U)-Sepharoseクロマトグラフィー(BrandtおよびIngversen,前掲)によってポリ(A)-RNAを単離し、cDNA合成に用いた(ZAP-cDNA合成キット,Stratagene社,LaJolla,CA,USA)。
【0080】
そのcDNAをユニ-ZAP-XRベクターに連結し、EcoRIおよびXhoIで消化し、ファージ粒子(GigapackIII Packaging Kit,Stratagene社,LaJolla,CA,USA)中にパッケージングした(7.5×10プラーク形成単位/5μgポリ(A)+-RNA)。
【0081】
第一ライブラリーは、Stratagene社プロトコールに従って、60℃にて、α-32P-標識した6-SFTの397bp長のフラグメントでスクリーニングした(前記参照)。もう1回陽性クローンをスクーニングし、Exassist/SOLR-system(Stratagene社,La Jolla,CA,USA)を用いて、Bluescript phagemide陽性クローンから最終的に切断した。両方の鎖のDNA配列決定は、シークエンシング・プロキット(東洋紡績(株),大阪,日本)を用いた、ジデオキシヌクレオチド鎖停止法によって行った。特に断らない限り、標準的なプロトコールを用いた(Sambrookら,Cold Spring Harbor Laboratory Press社,Cold Spring Harbor(1989))。配列データ-分析は、GCG配列分析ソフトウェアパッケージ,Ver.7.2(1992)を用いて行った。
【0082】
第一スクリーニングの後に、9個の陽性クローンを単離した。さらなるスクリーニングの後でも、7個のクローンが陽性のままであった。これらの配列は、5'末端から、およびPCR産物に基づいて設計した内部プライマーから部分的に決定した。7個すべてのクローンが同一蛋白質をコードし、そのうちの4個が完全コード配列を含んでいるようであった。完全長の配列の可能性のあるクローンの内の1個の配列は両方の鎖で全体的に決定し、それが49kDaサブユニットならびに23kDaサブユニットを含むポリペプチドをコードすることが判明した(図7)。
【0083】
完全に配列決定したcDNAの完全ヌクレオチド配列の概略図を図8および9に示す。それは、ヌクレオチド46で始まり、2個の終始コドンによってヌクレオチド1923で終止する1個のオープンリーディングフレームを含む。該オープンリーディングフレームは、67残基長のリーダー配列を含む626アミノ酸のポリペプチド鎖をコードする。
【0084】
成熟6-SFTはヌクレオチド246で出発し、したがって、61.3kDaの計算分子量および5.37の計算pIを有する少なくとも559アミノ酸残基を有する。精製蛋白質から得たすべての5個の部分アミノ酸配列が、cDNA由来のアミノ酸配列中に存在する(図8および9)。cDNAは、同様に、45bpの5'-非翻訳配列およびポリ(A)テイルを有する171bpの3'非-翻訳配列を含む。6-SFT cDNAの可能な翻訳開始シグナル(ATG)は、ヌクレオチド位置46ないし48に位置し、可能なポリアデニル化配列は、ヌクレオチド位置1973ないし1979に存在する。成熟6-SFTは、ConA-Sepharose上にアルファ-メチル-マンノシド-可逆性結合を示し、このことは、それが糖蛋白質(データは示さず)であることを示している。同様にして、由来するアミノ酸配列は、6個の可能なグリコシル化位置(Asn-X-Ser/Thr)を含む。
【0085】
精製蛋白質から得たすべてのペプチド配列は、由来するアミノ酸配列となんら誤対合なしであった。精製SFTの23kDaサブユニットから得た2種のペプチド配列がcDNAの3'-末端付近に位置する一方、49kDaサブユニットから得た配列は5'-末端付近に位置する。
【0086】
cDNAの既知のβ-フルクトシダーゼおよびフルクトシルトランスフェラーゼに対する可能な関連をさらに研究するために、由来するアミノ酸配列を種々の植物、糸状菌類および細菌インベルターゼ、ならびに細菌レバナーゼおよびレバンスクラーゼの配列と比較した(図10および図11)。ここに記載するcDNAは、緑豆(ヤエナリ)(Araiら,前掲)、ニンジン(Ungerら,前掲)、およびトマト(Elliottら,前掲)の可溶性酸インベルターゼと最も高い相同性を有し、他の生物界からのインベルターゼ、レバナーゼおよびレバンスクラーゼ、すなわち、多種のβ-フルクトシダーゼとも等しく明らかな相同性を有する。アミノ酸配列の比較は、少なくとも5個のよく保存されたドメインを示している。ドメインIおよびIVは、ドメインII、IIIおよびVよりもインベルターゼおよびレバンスクラーゼとの間で保存性が低い。これらの酵素では、ドメインIIIは特に非常に保存されている。驚くべきことには、最も制限された相同性は、細菌のレバンスクラーゼとで、すなわち、6-SFTとして、同様な6-フルクトシル転移反応を触媒するクラスの酵素とである(図11中の樹系図参照)。
【0087】
7.ニコチアナ・プラムバギニフォリア(Nicotiana plumbaginifolia)プロトプラストにおける6-SFTの発現
6-SFT cDNAクローンは、カリフラワー・モザイクウイルス35S転写の発現シグナル(Neuhausら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88,10362-10366(1991)参照)の調節下のpUC119プラスミドベクター(Sambrookら,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor LaboratoryPress社,Cold Spring Harbor,1989)の誘導体にサブ-クローン化した。
【0088】
ニコチアナ・プラムバギニフォリア(Nicotiana plumbaginifolia)のプロトプラストは、Goodallら(Meth.Enzymol.181,148-161(1990))により記載されているごとく大量に単離し形質転換した。要約すると、6-SFT cDNAを含有するプラスミド10μgを15mlの滅菌プラスチック管中の10μl容積のTE緩衝液中に分散した。対照形質転換は、インサートを含まない同プラスミド10μgで行った。1×10個のプロトプラストを添加して0.5ml容積とし、等容積の20%(w/v)ポリエチレングリコール6000と注意深く混合した。2-5分後に、K3培地6.5mlを添加し、該プロトプラストを27℃にて2時間インキュベートした。その後に、それをW5オスモチカム(osmoticum)で1:1に希釈し、1000gにて10分間ペレット化した。全プロトプラスト(t=0時間の対照としたものを除いて)をK3培地2mlに再懸濁し、27℃にてインキュベートした。3、6、9、18および27時間後に、試料を産物分析用に採取した。ここで、該プロトプラストを、W5オスモチカム(osmoticum)2mlを添加した後に、1000gにて10分間ペレット化した。プロトプラストのペレットを0.1Mクエン酸-NaHPO緩衝液(pH5.75)に再懸濁し、滅菌エッペンドルフチューブに移し、液体窒素中で凍結した。脱霜した後に、該試料を激しく撹拌し、細胞残渣を13,000gにて3分間ペレット化した。上清(50〜100μl)は、前記のごとく、それをBiogel P-10カラム上に案内することによって脱塩した。脱塩酵素試料は、0.02%NaNを入れた50mMクエン酸-NaHPO緩衝液(pH5.75)中の、0.1Mスクロース、または0.1Mイソケストースと組み合わせた0.1Mスクロースと、27℃にて20時間インキュベートした。産物分析は、該試料を95℃にて3分間加熱することによって反応を終結させた後、図5の場合に記載したごとく行った。
【0089】
約3時間の初期対数増加期の後、プロトプラストの抽出物がスクロースからケストースを形成し、スクロースおよびイソケストースからビフルクトースを形成した。このことにより、該cDNAが機能性6-SFTをコードすることが確認された(図11)。精製酵素のように、プロトプラスト中に存在する活性は、スクロースからイソケストースの産生よりもだいたい4倍速い速度で、スクロースおよびイソケストースからのビフルコースの生成を触媒した。これらの結果により、cDNAが6-SFTをコードしていることが確認された。
【0090】
8.植物における6-SFT遺伝子の発現
6-SFT cDNAは、植物-特異的35Sプロモーターとノパリンシンターゼ遺伝子由来の終止シグナルとの間にクローン化した。このキメラ遺伝子構築物(35S-6SFT-NOS)をつづいてバイナリ植物ベクターpBIN19(Bevan,Nucl.Acids Res. 12,8711-8721)の誘導体にインサートした。これにより、プラスミドpVDH280を得た。このプラスミドは、ヘルパープラスミドpRK-2013(Lam,Plasmid 13,200-204(1985))を用いた三点交差育種でアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)LBA4404(Hoekemaら,Nature 303,179-180(1983))とコンジュゲートした。該構築物は、リーフディスク形質転換法(Horshら,Science 227,1229-1232(1985))を用いて、ニコチニア・タバカム(Nicotinia tabacum) var.Sumsun NNに導入した。再生植物を、カナマイシン抵抗性について選抜し、MS培地(MurashigeおよびSkoog,Physiol.Plant. 15,473-497(1962))で培養し分析した。
【0091】
イン・ビトロ(in vitro)非トランスジェニック対照植物ならびにイン・ビトロ(in vitro)トランスジェニック植物1、3、4、5、7、9、10および11の葉材料を切り出し、エッペンドルフチューブ中で摩砕した。遠心(16,000rpmにて2分間)後に、PA-100カラムおよびパルス電流滴定検出器を付けたDionex DX-300系によって200μlを分析し、100%NaOHへのNaOH/NaAcグラジエントで溶出した。得られたスペクトルを図19〜21に示す。
【0092】
野生型植物(C1)または無関係構築物で形質転換した植物においては、オリゴ糖は全く認められなかった(図18〜20)。形質転換体のスクリーニングによって、これらの方法の使用によって、イヌリンシリーズに基づくDPを有するオリゴ糖-蓄積-植物は3〜5および8〜9にあると概算される。発現レベルは、同構築物で形質転換した個々の植物の間で変動した。このことは、植物における形質転換実験においては通常の現象である。発現レベルの変動は、ゲノム中の組込み位置に実質的に依存する(位置効果)。
【0093】
形質転換体番号4の抽出物に6-ケストース100ngを添加した後、再度、スペクトルを記録した。図21は、形質転換体番号4の場合においては、2-6型結合を有するオリゴ糖が形成されていることを示している。なぜならば、6-ケストースなしのスペクトルに比してより高いピークが認められるからである。したがって、恐らく、該ピークは6-ケストースに対応する。
【0094】
実施例5
キクイモからのフルクタン-フルクタン フルクトシルトランスフェラーゼ
本発明に適用する他の植物フルクトシルトランスフェラーゼは、塩析、レクチン-アフィニティークロマトグラフィーおよびイオン交換クロマトグラフィーを用いるLuescher法によって、キクイモ(Helianthus tuberosus L.)から精製した(Luescher,M.ら,New Phytol.123,717-724(1993))。
【0095】
精製酵素は、無処理IEF-ゲル上で分離し、PVDF膜上にブロットした。該膜をクーマシー・ブルー染色によって染色し、2種の最も重要なFFTイソ型(各々T1およびT2)を切り出した(図13参照)。
【0096】
蛋白質T1およびT2の両方をトリプシンで消化し、そのペプチドをHPLCによって分離した。消化FFTイソ型のHPLC図は、同一パターンを示す(図14および15参照)。T2の4種の精製ペプチド(フラクション18、24、20および26)のアミノ酸配列を決定した。第一ペプチドの配列は:
NH-E-Q-W-E-G-X-F-M-Q-Q-Y-X-X-
第二ペプチドは以下のアミノ酸配列を有していた:
NH-A-V-P-V-X-L-X-X-P-L-(F/L)-I-X-W-V-
第三および第四のペプチドは、各々、以下のアミノ酸配列を有していた:
NH-W-T-P-D-N-P-E-L-D-V-G-I-G-L;
NH-V-D-H-V-I-V-Y-G-F-A-Q-G
【0097】
実施例5と同様の方法でcDNAを単離し配列を決定した。形質転換した完全cDNA-クローン植物細胞を用いて、トランスジェニック植物を得た。
【0098】
実施例6
他の植物種での適用性
該技術の一般的な適用性を実証するために、先の実施例に記載した種々の構築物を種々の穀物に導入した。かくして、ジャガイモを、Visser,Plant TissueCulture Manual B5, 1-9, Kluwer Academic Publishers社,1991に記載の方法に従って形質転換した。得られたトランスジェニック植物は各々の試験した器官にオリゴ糖を蓄積した。また、同構築物を、D'Halluinら,Bio/Technology 10,309-314(1994)によって記載されているごとく形質転換したビート(Beta vulugaris L.)にも導入した。得られたトランスジェニック・ビート植物は、例えば、その葉および根に顕著な量のオリゴ糖を蓄積した。同構築物は、Blockら,Plant Physiol.91,694-701(1989)に従って形質転換したナタネ(Brassica napus L.)に導入した。得られたトランスジェニック植物は、例えば、その葉および貯蔵器官に、顕著なレベルのオリゴ糖を蓄積した。もちろん、植物を示した方法で形質転換することは必須でない。当業者の及ぶ範囲の他の方法も用いることができる。
【0099】
改変し得る他の植物種の例には、限定するものではないが、トウモロコシ(Zea mays L.)、コムギ(Triticum aestivum L.)、オオムギ(Hordeum vulgareL.)、コメ(Oryza sativa L.)、ダイズ(Glycin max L.)、エンドウマメ(Pisum sativum L.)、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris L.)、チコリー(Cichorium intybus L.)、サトウキビ(Saccharum officinarum L.)、サツマイモ(Dioscorea esculenta L.)、キャッサバ(Manihot esculenta L.)およびグラス(例えば、(Lolium spp.)、(Poa spp.)および(Festuca spp.))が含まれる。
【0100】
天然または誘導改変炭水化物分離パターンを有する植物は、オリゴ糖-合成遺伝子の導入について好ましい標的植物とし得る。かかる植物には、限定するものではないが、デンプンおよびスクロース代謝における天然の突然変異体、ならびに、例えば、SonnewaldおよびWillmitzer,Plant Physiology 99,1267-1270(1992)に記載されているごとき、分子および遺伝子技術によってデンプンおよびスクロース代謝を改変した植物が含まれる。
【0101】
実施例7
本発明によるオリゴ糖の用途
本発明による方法を用いて産生したオリゴ糖は、種々の製品の砂糖代替物として使用し得る。そのうちの3例を以下に示す。
【0102】
1.アイスクリーム
アイスクリームを以下の成分から製造する:
635部 水
90部 バター脂肪
100部 低-脂肪粉乳
170部 本発明によるオリゴ糖
5部 クレモダン(Cremodan)SE30TM(Grindsted社)
0.3部 アスパルタームTM
所望により香料
粉乳を水に溶解する。その全体を40-45℃に加熱する。残りの乾燥成分を混合し、温牛乳に溶解する。ついで、溶解したバターを添加する。ついで、その全体を72℃にて10分間低温殺菌する。その後、その混合物を、150/35 barにて二工程ホモジナイザーでホモジナイズする。かく得た氷混合物を5℃に急速に冷却し、つづいてその全体を5℃にて最低4時間熟成させる。最後に、その氷混合物に空気を混入させ、100%増量割合まで凍結する。
【0103】
-35℃にて硬化させ、-20℃にて保存した後に、天然の砂糖(サッカロース、グルコースシロップ)で製造したアイスクリームの有する味覚およびテキスチャーに相当するアイスクリームを得る。
【0104】
2.ムースリ・バー
ムースリ・バーは、以下の成分から製造した:
28部 本発明によるオリゴ糖
68部 ムースリ・ミックス
4部 カカオ
加熱することによってオリゴ糖からシロップを製造し、そのシロップを他の成分と混合した。バーは、かく得た混合物から、円筒圧縮で形成した。天然砂糖を省略していることに起因して、該バーは従来のバーよりも遥かに低-カロリーである。
【0105】
3.ソフトドリンク
ソフトドリンクは以下の成分から製造した:
90部 水または果汁
8-10部 本発明によるオリゴ糖
人工甘味料
香料および着色剤
栄養酸
炭酸ガス
すべての成分を水の一部に溶解した。ついで、残りの水を、炭酸ガス-含有水として添加した。ソフトドリンクのエネルギー値は非常に低い。なぜならば、付加天然砂糖を全く添加していないからである。
【0106】
【表1】


ケストース-産生活性として測定
molフルクトース/mol産生フルクトース
ナノカタール=nmol・s−1
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1は、野生型および改変形のストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)のフルクトシルトランスフェラーゼ(ftf)のオリゴ糖-産生活性を示し、これは、Carins,A.J.およびPollock,C.J.,New Phytol.109,399-405(1988)により記載されているのと同様にして、スクロースと共にインキュベートし、TLC上で分析した。コロニーおよび精製蛋白質由来である培養試料は、1%Triton X-100を入れた50mM リン酸ナトリウム緩衝液中の200mMスクロースと一緒に37℃にて一晩インキュベートした。レーン1は、エス・ミュータンス(S.mutans)培養の反応産物を示し;レーン2は、エス・ミュータンス(S.mutans)からの精製酵素の活性を示し;レーン3は、プラスミドpTS102を運搬するイー・コリ(E.coli)株の活性を示し;レーン4は、プラスミドpTD2を運搬するイー・コリ(E.coli)株の活性を示し;レーン5は、イー・コリ(E.coli)プロモーター調節下の成熟エス・ミュータンス(S.mutans)フルクトシルトランスフェラーゼ遺伝子で形質転換したイー・コリ(E.coli)細胞の活性を示す。レーンAで用いたオリゴ糖標準は、アリウム・セパ(Allium cepa)球根の抽出物であり、レーンHで用いたものはキクイモ(Helianthus tuberosus)塊茎の抽出物である。図において、Fはフルクトース、Gはグルコース、Sはスクロース(二糖)、Nはネオケストース(F6-6G1-2F、三糖)、Iはl-ケストース(G1-2F1-2F、三糖)、Kはケストース(G1-2F6-2F、三糖)を示す。より長いオリゴ糖(DP=4-9)についても同様に示す。
【図2】図2は、エス・ミュータンス(S.mutans)のフルクトシルトランスフェラーゼ遺伝子を発現するトランスジェニック・タバコ植物(KZ)のTLC-分析を示す。オリゴ糖がこれらの植物において蓄積している。レーンHは、対照としての、キクイモ(Helianthus tuberosus)塊茎の抽出物を示す。
【図3】図3は、タマネギ種子からの精製SSTのSDS-PAGEゲルを示す。銀染色によって染色したこのゲル上の試料が、単一バンドとして認められる。Mは、分子量マーカーを示し、ここにそれらのサイズはキロダルトン(kD)で示す。
【図4】図4は、スクロースと共にインキュベートしたタマネギ種子からの精製SSTの反応産物を示す(レーン4および5:o-イン・ビトロ(in vitro))。三糖のみが形成される。レーン1はチューリップ茎(T)の抽出物を示し、レーン2はキクイモ(Helianthus tuberosus)塊茎(H)の抽出物を示し、レーン3はアリウム・セパ(Allium cepa)球根(白抜き円)の抽出物を示す。Mは単糖を、Sはスクロース(二糖)を、Nはネオケストース(F2-6G1-2F、三糖)を、Iはl-ケストース(G1-2F1-2F、三糖)を示す。より長いオリゴ糖(DP4-5)も同様に示す。生成物は、図1記載と同様にしてTLC上で分析した。
【図5】図5は、精製工程中、Resource Qカラム上の第二アニオン交換クロマトグラフィー段階後の、オオムギからのスクロース-フラクタン 6-フルクトシルトランスフェラーゼ(6-SFT)の2種のイソ型の分離を示す。図5Aは、25mM メチルピペラジン(HCl)緩衝液(pH5.75)中の0.2Mスクロースと共にインキュベート後にクロマトグラフィーに付した後に得たフラクションの、蛋白質溶出特性(A280)およびフルクトシルトランスフェラーゼ活性を示す。De クロマトグラム(図5B)は、CarboPack-PA100カラム上のアニオン交換HPLC分離後に、パルス電流滴定検出(pulsed amperometric detection)によって得た。反応生成物は、スクロース単独、またはスクロースおよびイソケトースと保存液Iおよび保存液IIIとをインキュベートした後に得た。炭水化物は、その保持時間によって同定し、トレハロースを内部標準として用いた。図5A中の白抜き円は、形成されたケストース、ビフルコース、イソケスチンおよびケスチンの合計で指したフルクトシルトランスフェラーゼ活性を表す。図5Bにおいて、pはイソケストース夾雑物から生じた非-同定産物に相当し、cはイソケトース基質の夾雑物に相当する。
【図6】図6Aは、非-変性条件下の等電点電気泳動後の6-SFTのフラクションの保存液(保存液IIとして示す;図5参照)の酵素活性のグラフを示す。黒塗り三角は、遊離フルクトースとして測定したβ-フラクトシダーゼ活性を示し、一方、白抜き円は形成したケストースとして測定したフルクトシルトランスフェラーゼ活性を示す。図6Bは、第二アニオン交換クロマトグラフィー後の保存液IIの二次元解析後のSDS-PAGEゲルである。2種の6-SFTイソ型がここに示されている。双方のイソ型は、各々23kDaおよび49kDaの2種のサブユニットよりなることが判明している。図6Cは、IFE-マーカー フィコシアニン(pI4.6)、β-ラクトグロブリン(pI5.1)およびウシ・カルボニックアンヒドラーゼ(pI6.0)の二次元ゲル電気泳動である。
【図7】図7は、オオムギからの6-SFTをコードするcDNAクローンを得るために用いた戦略の模式図である。
【図8】図8は、オオムギからの、オオムギ由来の6-SFTのcDNA-配列およびアミノ酸配列を示す。
【図9】図9は、オオムギからの、オオムギ由来の6-SFTのcDNA-配列およびアミノ酸配列(図8の続き)を示す。
【図10】図10は、オオムギ由来の6-SFT、インベルターゼ(β-フルクトシダーゼ)、レバナーゼおよびレバンスクラーゼののアミノ酸配列の全体図である。該全体図は、GCG sequence analysis software packageのPileup Programで作成した。以下の略語を用いた:H.v. 6-SFT=オオムギからのスクロース-フルクタン 6-フルクトシルトランスフェラーゼ;V.r.Inv=緑豆からの可溶性酸インベルターゼ(ヤエナリ;Araiら,Plant Cell Physiol.33,245-252(1992));D.c.Inv=ニンジンの可溶性酸インベルターゼ(Ungerら,Plant Physiol.104,1351-1357(1994));L.e.Inv=トマトの可溶性酸インベルターゼ(Elliottら,Plant Mol.Biol.21,515-524(1993));D.c.cw Inv=ニンジンの細胞壁インベルターゼ(StrumおよびCrispeels,Plant Cell 2,1107-1119(1990));A.s.Inv=エンバクの部分インベルターゼ配列(Wuら,J.Plant Physiol.142,179-183(1993));E.c.Inv=エシェリキア・コリ(Escherichia coli)のインベルターゼ(rafD)(Aslandisら,J.Bacteriol.171,6753-6763(1989));S.m.Scrb=ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)(SatoおよびKuramitsu,Infect.Immun.56,1956-1960(1989));B.p.LelA=バシラス・ポリミキサ(Bacillus polymyxa)からのレバナーゼ(Bezzateら,非公開参考EMBOデータベース);B.s.SacC=バシラス・サチリス(Bacillus subtilis)のレバナーゼ(Martinら,Mol.Gen.Genet.208,177-184(1987));K.m.Inu=クルイベロマイセス・マルキシアヌス(Kluiveromyces marxianus)のイヌリナーゼ(Lalouxら,FELVLett.289,64-68(1991));S.c.Invl=パン酵母のインベルターゼ1(HohmannおよびGozalbo,Mol.Gen.Genet.211,446-454(1988));S.o.inv=シュバンニオマイセス・オクシデンタリス(Schwanniomycesoccidentalis)のインベルターゼ(Kleinら,Curr.Genet.16,145-152(1989));A.n.Inv=アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)のインベルターゼ(Boddyら,Curr.Genet.24,60-66(1993));B.a.SacB=バシラス・アミログファシエンス(Bacillus amyloguefaciens)のレバンスクラーゼ(Tangら,Gene 96,89-93(1990));B.s.SacB=バシラス・サチリス(Bacillus subtilis)のレバンスクラーゼ(Steinmetzら,Mol.Gen.Genet.200,220-228(1985));S.m.SacB=ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)のレバンスクラーゼ(ShirozaおよびKuramitsu,J.Bacteriol.170,810-816(1988));Z.m.LevU=ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)のレバンスクラーゼ(Songら,EMBOデータベースの非公開参照)
【図11】図11は、由来するアミノ酸配列に基づいた、種々のインベルターゼ(β-フラクトシダーゼ)、レバナーゼおよびレバンスクラーゼとオオムギからの6-SFTとの樹系図である。該樹系図は、GCG配列分析ソフトウェアパッケージのPileupプログラムを用いて、図10に記載した配列で作成した。
【図12】図12は、ニコチアナ・プラムバギニフォリア(Nicotiana plumbaginifolia)プロトプラストにおけるオオムギ6-SFTの機能的発現を示す。エラー・バーは平均±標準偏差を示す。6-SFTcDNAは、プロトプラスト中で27時間発現した。試料を膨大な回数採取し、フルクトシルトランスフェラーゼ活性を、スクロース(図12A)またはスクロースおよびシオケトース(図12B)とインキュベートすることによって、プロトプラスト抽出物中で測定した。白抜き円は、6SFT遺伝子構築物で形質転換したプロトプラストの抽出物の酵素活性を示す。白抜き四角は、6-SFT cDNAなしのベクターで形質転換したプロトプラストの抽出物の活性を示す。
【図13】図13は、キクイモ(Helianthus tuberosus L.)からのフラクタン-フラクタン フルクトシルトランスフェラーゼ(FFT)の精製酵素抽出物の天然IEF-ゲルである。クーマシー・ブルー染色した後に、FFTの2種の最も重要なイソ型(T1(pI4.45)およびT2(pI4.75))に加えて、約5.5のpIを有するバンドが認められ、これは恐らく、変性FFTに相当する。
【図14】図14は、FFTイソ型T1のトリプシン消化物のHPLC図である。
【図15】図15は、FFTイソ型T2のトリプシン消化物のHPLC図である。
【図16】図16は、その下に示すオープンリーディングフレーム1を有するクローンpAC22のDNA-配列を示す。
【図17】図17は、オープンリーディングフレーム2を有するクローンpAC92のDNA-配列を示す。
【図18】図18は、PA-100カラムおよびパルス電流滴定検出を有するDionex DX-300システムで得、100%までのNaOH/NaAcグラジエントで溶出したトランスジェニックタバコ植物から得た抽出物のスペクトルを示す。トランスジェニック系統の番号は、スペクトル当たりに示す、すなわち1、3、4として示す。C1は、対照系統である。(G=グルコース、S-スクロース、DP=重合度)
【図19】図19は、PA-100カラムおよびパルス電流滴定検出を有するDionex DX-300システムで得、100%までのNaOH/NaAcグラジエントで溶出したトランスジェニックタバコ植物から得た抽出物のスペクトルを示す。トランスジェニック系統の番号は、スペクトル当たりに示す、すなわち5、7、9、10として示す。(G=グルコース、S-スクロース、DP=重合度)
【図20】図20は、PA-100カラムおよびパルス電流滴定検出を有するDionex DX-300システムで得、100%までのNaOH/NaAcグラジエントで溶出したトランスジェニックタバコ植物から得た抽出物のスペクトルを示す。トランスジェニック系統の番号は、スペクトル当たりに示す、すなわち11として示す。系統9のスペクトル(NR9+ST)のスペクトルも、イヌリンシリーズとの組合せで示す(G=グルコース、S-スクロース、DP=重合度)。
【図21】図21は、対照(C1)、形質転換体番号4(#4)(4番形質)、および100ngの6-ケストースを抽出物に添加した形質転換体(#4+6K)のスペクトルを示す。スペクトル中の「6K」なる記号は、6-ケストースピークを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物-特異的転写-開始および終止シグナルに読み枠で結合した、植物または植物細胞中でスクロースをオリゴ糖に変換する能力を有する酵素をコードする遺伝子を含む、該酵素を発現するためのDNA構築物。
【請求項2】
スクロースをオリゴ糖に変換する能力を有する酵素をコードする遺伝子が、微生物起源のものであることを特徴とする、請求項1記載のDNA構築物。
【請求項3】
スクロースをオリゴ糖に変換する能力を有する酵素をコードする遺伝子が、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)のftf遺伝子、バシラス・サチリス(Bacillus subtilis)のSacB遺伝子およびそれらの突然変異形よりなる群から選択されることを特徴とする請求項2記載のDNA構築物。
【請求項4】
スクロースをオリゴ糖に変換する能力を有する酵素をコードする遺伝子が、植物起源のものであることを特徴とする請求項1記載のDNA構築物。
【請求項5】
遺伝子が、タマネギのスクロース-スクロース-フルクトシルトランスフェラーゼ(SST)遺伝子、オオムギ(Hordeum vulgare L.)由来のスクロース-フルクタン 6-フルクトシルトランスフェラーゼ(6-SFT)遺伝子、キクイモ(Helianthus tuberosus)由来のフルクタン-フルクタン-フルクトシルトランスフェラーゼ(FFT)遺伝子またはそれらの突然変異形から選択される請求項4記載のDNA構築物。
【請求項6】
さらに、発現構築物が、少なくとも1つの標的シグナル配列を含むことを特徴とする請求項1−5のいずれか1項に記載のDNA構築物。
【請求項7】
さらに、発現構築物が、少なくとも1つのエンハンサーを含むことを特徴とする請求項1−6のいずれか1項に記載のDNA構築物。
【請求項8】
請求項1−7のいずれか1項に記載のDNA構築物を含むトランスジェニック植物細胞。
【請求項9】
請求項8記載のトランスジェニック植物細胞から再生させることによって得ることができるトランスジェニック植物。
【請求項10】
請求項9記載の植物由来の、または、請求項8記載のトランスジェニック植物細胞からの再生によって得ることができるトランスジェニック植物組織。
【請求項11】
a)適当な植物細胞をDNA構築物で形質転換し;
b)形質転換植物細胞からトランスジェニック植物を再生させ;
c)酵素の発現および活性を許容する条件下にてトランスジェニック植物を培養し;ついで
d)トランスジェニック植物からオリゴ糖を単離する
工程を含む方法において、オリゴ糖を製造するための請求項1−7のいずれか1項に記載のDNA構築物の使用。
【請求項12】
請求項1−7のいずれか1項に記載のDNA構築物で植物細胞を形質転換し;形質転換植物細胞からトランスジェニック植物を再生させ;酵素の発現および活性を許容する条件下にてトランスジェニック植物を培養し;ついで、トランスジェニック植物からオリゴ糖を単離する、ことによって得ることができるオリゴ糖。
【請求項13】
一般式G(式中、Gはグルコース、Fはフルクトースを表し、m=0または1、n≧0、好ましくはm=1、nは2〜8で変動し、好ましくはn=2または3)によって特徴付けられる請求項12記載のオリゴ糖。
【請求項14】
個々の分子の鎖長が実質的に2ないし8にある請求項12および13記載のオリゴ糖の混合物。
【請求項15】
請求項12または13記載のオリゴ糖、および/または請求項14記載のオリゴ糖の混合物の、食物製品における砂糖代替物としての使用。
【請求項16】
請求項12または13記載のオリゴ糖、および/または請求項14記載のオリゴ糖の混合物の、食物製品における栄養繊維としての使用。
【請求項17】
請求項12または13記載のオリゴ糖、および/または請求項14記載のオリゴ糖の混合物の、食物製品におけるビフィズス源剤(bifidogenic agent)としての使用。
【請求項18】
請求項12または13記載のオリゴ糖、および/または請求項14記載のオリゴ糖の混合物の、動物飼料におけるビフィズス源剤としての使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−6898(P2007−6898A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−254517(P2006−254517)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【分割の表示】特願平8−504234の分割
【原出願日】平成7年7月7日(1995.7.7)
【出願人】(504189542)スティヒティング・スヘイクンディヒ・オンデルズーク・イン・ネーデルラント (1)
【Fターム(参考)】