説明

トランスバーサル型SAWフィルタ

【課題】強い反射を利用するトランスバーサル型SAWフィルタにおいて、低リップルな特性を備えたトランスバーサル型SAWフィルタを提供することにある。
【解決手段】トランスバーサル型SAWフィルタ3の入力側の特性インピーダンスを1/Grfout、出力側の特性インピーダンスを1/Gifinとして、トランスバーサル型SAWフィルタ3の電極を形成した。その特性インピーダンスを持つ入出力終端とトランスバーサル型SAWフィルタ3との間に、各々1個のインダクタと2個のコンデンサとを含む入力側整合回路2及び出力側整合回路4を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信分野で利用される弾性表面波フィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、弾性表面波フィルタ(以降、SAWフィルタと称す)は無線通信分野で広く利用されている。そのSAW(Surface Accoustic Wave)フィルタにおいては、温度安定性(以降、温度特性と称す)に優れる水晶や、温度特性は悪いものの電気機械結合係数が高く広帯域なデバイスを実現できるリチウムタンタレート(以降、LTと称す)やリチウムナイオベート(以降、LNと称す)が利用されることが多かった。また、温度特性が比較的良好で、更に電気機械結合係数も比較的高い圧電材料として四ホウ酸リチウム(以降、LBOと称す)があり、SAWデバイスへの利用が進められている。
【0003】
また、昨今の無線通信の高速大容量化によりそのIF段に用いるIF(Intermediate Frequency)フィルタにおいても広帯域な特性が求められている。IFフィルタには一般に急峻なフィルタ特性、高い減衰特性が要求され、デジタル通信機器用では群遅延の平坦性も重要となる。これらのフィルタには、減衰量及び群遅延の平坦性に優れるトランスバーサル型SAWフィルタが多く利用されてきたが、このトランスバーサル型SAWフィルタは一般にフィルタの挿入損失が大きい欠点があった。
【0004】
この挿入損失に関しては一方向性電極の採用により低損失化が進んでいる。一方向性電極として最もよく利用されているものの一つにDARTがある。このDARTに関しては非特許文献1に詳しく述べられている。
【0005】
従来のトランスバーサル型SAW−IFフィルタの圧電材料には、温度特性に優れた水晶が多く利用されてきた。しかし、広帯域伝送のニーズに伴い、温度特性が比較的良好であり、広帯域な特性を得ることが可能なLBOへの展開がIFフィルタにおいても進んでいる。特に、水晶では実現が難しく、LT、LNでは温度特性が問題となる中帯域デバイスにおいては高い優位性がある。
【0006】
LBOのウェハ方位(カットアングル)は幾つか知られているが、温度特性が優れるオイラー角表示で(45°、90°、90°)のカット及びそれと同一のカットである(135°、90°、90°)のカットでのレーリー(Rayleigh Waves)SAWを利用したものが最も多く用いられている。そのカットアングルは結晶の(1,1,0)面に相当し、ウエハの製造の点でも利点がある。製造条件によって最適なカットアングルが変わるため、実際にはそのカットアングルから若干変えたものも多く利用されている。
【0007】
オイラー角(45°、θ°、90°)のθを90°より幾分変えたものが報告されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。これら(45°、90°、90°)から若干アングルを変えたLBOは、(1,1,0)方位付近の利用であること、レーリーSAWを利用するカットである点で同類のものと判断できる。このLBOは電極部におけるSAWの反射が大きく、一方向性の強度(方向性度)を高くとれる。そのため、SAWフィルタを低損失にすることにより適している。
【0008】
特許文献3ではLBO基板を用いた一方向性電極の最適な電極形状に関して述べている。その最適な電極形状とは、波長λ0の区間に、幅がλ0/8の2本の電極指と、幅が0.26λ0〜0.33λ0の1本の反射電極指の組み合わせであり、電極膜厚は1.0%λ0〜2.0%λ0が良いと示されている。ここで、λ0はSAWデバイスのIDT(Inter Digital Transduser)電極上を伝搬するSAWの位相速度とSAWデバイスの中心周波数F0との比から決まるSAWの実効的な波長である。λ0はIDT電極の電極ピッチと等しいが、近年のSAWデバイスは複数の電極ピッチが混在しているため、複数の電極ピッチの平均値に比較的近い値となる。
【0009】
SAWフィルタは、入出力端子がそれぞれ1本の伝送線路で構成されるアンバランス動作で用いられることが多かった。近年の通信システムの無線部においては、位相の180°反転した2本の伝送線路を用いて外部からのノイズの影響を抑圧するバランス伝送が多く用いられている。IF−SAWフィルタも入力を2端子、出力を2端子とするバランス動作で用いられることが多くなっている。また、無線部においてIF−SAWフィルタの前段にはRFミキサーやアンプ、もしくはそれらが1チップ化されたRF−IC(Radio Frequency-Integrated Circuits)が利用される。一般な無線機器における伝送線路の特性インピーダンスは50Ωが用いられることが多い。
【0010】
しかし、IF−SAWフィルタの前段に用いられる部品においては、それらからIF段への出力インピーダンス(以下、Zrfoutと示す)は50Ωではない場合が多い。その出力インピーダンスの逆数であるアドミタンスをYrfoutとすると、Yrfoutは位相を考慮して、1/Zrfout=Yrfout=Grfout+jBrfoutと複素数で表される。その実数部Grfoutはコンダクタンス、虚数部Brfoutはサセプタンスと呼ばれる。アンバランス動作の部品ではコンダクタンスの逆数 1/Grfoutは多くは50〜500Ω程度である。まれに1000Ω程度まで高まる部品もある。バランス動作部品ではその2倍となり、多くは100〜1000Ωであり、まれに2000Ω程度まで高まる部品もある。また、そのサセプタンスは容量性となる場合が常である。ここで、サセプタンスが容量性とは、Brfoutが負であることとなる。このインピーダンス(アドミタンス)は部品メーカーの設計思想により決まり、メーカー毎に異なることが一般的である。
【0011】
IF−SAWフィルタの後段にはアンプやIFミキサー、もしくはそれらが1チップ化されたIF−ICが利用される。その入力アドミタンスは位相を考慮してYifin=Gifin+jBifinと複素数で表される。アンバランス動作の部品では1/Gifinは多くは50〜500Ω程度であり、まれに1000Ωまで高まる部品もある。バランス動作部品ではアンバランス動作部品のほぼ2倍となり、多くは100〜1000Ωであり、まれに2000Ω程度まで高まる部品もある。また、そのサセプタンスは容量性となる場合が常である。このインピーダンス(アドミタンス)は部品メーカーの設計思想により決まり、メーカー毎に異なることが一般的である。
【0012】
特許文献4には共振子型RF−SAWフィルタにおいて入力側IDT電極の対数と出力側IDT電極の対数を違えて、各々インピーダンスの異なる不平衡(アンバランス)入力と平衡(バランス)出力動作させる技術が示されている。このようにすることで、そのRF−SAWフィルタの前後段部品とインピーダンス整合させることによって、部品間のエネルギー損失なしに高周波信号を伝送させることができる。
【0013】
ここで出力インピーダンスがZ=R+jX(もしくはY=G+jB)である部品とインピーダンス整合するためには、その後段に、入力インピーダンスがその共役複素数であるZ=R+j(−X)(もしくはY=G+j(−B))の部品を接続する必要がある。共役複素数の関係にない場合には、それらの部品間にインダクタ(コイル)やコンデンサ(キャパシタ)等のリアクタンス素子による整合回路を設けてインピーダンス変換する必要がある。
【0014】
RFフィルタに多く用いられる共振子型SAWフィルタでは、インピーダンスを調整する形成自由度がある。しかし、IF−SAWフィルタに多く用いられるトランスバーサル型SAWフィルタの場合には、そのインピーダンスはフィルタの伝達応答によってほぼ決まり、前後段のインピーダンスに合わせる形成自由度はない。
【0015】
フィルタの中心周波数F0における入力側インピーダンスをZinとし、アドミタンスをYinとし、Yin=1/Zin=Gin+j2πfoCinと記す。フィルタの中心周波数F0における出力側のインピーダンスをZoutとし、アドミタンスをYoutとし、Yout=1/Zout=Gout+j2πfoCoutと記す。ここで、Gin、Goutはフィルタのコンダクタンスであり、放射コンダクタンスと呼ばれる。Cin、Coutはフィルタの静電容量である。
【0016】
少なくともトランスバーサル型SAWフィルタは常に容量性であり、同じく容量性である前後段部品とは誘導性であるインダクタなしではインピーダンス整合することは不可能である。コンダクタンスについても前後段部品のコンダクタンスと一致させることは現実的には不可能である。そのため、共振子型SAWフィルタにおいて特許文献4に示されているように、電極対数を調整して所望のインピーダンスを実現することはトランスバーサル型SAWフィルタでは不可能である。少なくとも、トランスバーサル型SAWフィルタ単体でサセプタンス成分をゼロ、もしくは誘導性にすることは不可能である。
【0017】
IFフィルタの入力端子は前段部品(RFミキサーやアンプ、もしくはそれらが1チップ化されたRF−IC)の出力端子に接続されるが、前述のとおり、その出力インピーダンスと共役複素の関係にある入力インピーダンスを実現するトランスバーサル型SAWフィルタを形成することは現実的には不可能である。そこで、少なくとも1個のインダクタ、場合によっては更に複数のコンデンサを用いたリアクタンス素子回路を前段部品とSAWフィルタ間に設けて、インピーダンス変換を行うことが行われる。
【0018】
IFフィルタの出力端子は後段部品(アンプやIFミキサー、もしくはそれらが1チップ化されたIF−IC(Intermediate Frequency-Integrated Circuits))の入力端子に接続されるが、前述のとおり、その入力インピーダンスと共役複素の関係にある出力インピーダンスを実現するトランスバーサル型SAWフィルタを形成することは現実的には不可能である。そこで、少なくとも1個のインダクタ、場合によっては更に複数のコンデンサを用いたリアクタンス素子回路を後段部品とSAWフィルタ間に設けて、インピーダンス変換を行うことが行われる。
【0019】
特許文献5には入出力IDT電極の対数を違えて対数の比に制約をかけた反射重み付け一方向性トランスバーサル型SAWフィルタが示されている。すなわち、入力端子に電気的に接続される入力IDT電極の対数と出力端子に電気的に接続される出力IDT電極の対数とを適切に調整することで、フィルタの挿入損失を大幅に低減する効果が示されている。しかし、前後段のインピーダンスとの関係については開示されていない。
【0020】
DART電極を用いて反射を部分的に間引くことで反射に重み付けを行いフィルタの周波数応答を制御する手法が開示されている(例えば、非特許文献1)。
【0021】
一方、トランスバーサル型SAWフィルタのカットオフ特性をさらに急峻にするために、上述のような反射の重み付けに加えて、IDT電極に励振の「間引き重み付け」を施す手法も考案されている。
【0022】
また、特許文献6には、方向性の異なるDART基本区間IDT電極を組み合わせて、IDT電極内部に幾つかの局所的な共振キャビティを生じさせ、IDT電極全体としては一方向性を持たせた変換器、即ち内部共振型一方向性変換器(RSPUDT)を用いたトランスバーサル型SAWフィルタの形成手法が開示されている。このRSPUDTをIDT電極に用いたトランスバーサル型SAWフィルタは、挿入損失が低減すると共に伝送特性が改善されるという特徴がある。つまり、このIDT電極内は方向性の異なる3つのグループのDARTから構成されている。
【0023】
特許文献6に示されている図中右方への伝搬方向を順方向、左方への伝搬方向を逆方向とすれば、順方向のDART基本区間IDT電極を50λ0分配した第1のグループと、逆方向のDART基本区間IDT電極を40λ0分配した第2のグループと、更に順方向のDART基本区間IDT電極を20λ0分配した第3のグループとからなるIDT電極を用いてトランスバーサル型SAWフィルタを構成した例と、その伝達応答が示されている。
【0024】
この特許文献6のfig.11には、IDT電極の位置(SAWの伝搬方向)を横軸にDART(SPUDT)の反射係数縦軸にとったグラフが図示されている。反射の重み付けを施したIDT電極を用いたトランスバーサル型SAWフィルタが例示されている。同図から、この特許文献6では、IDT電極に反射係数が正の部分と、反射係数が負の部分と、零の部分とが存在する。
【0025】
ここで反射の正負について簡単に説明する。これまでは正と零の反射重み付けを施したフィルタが一般的であったが上記特許文献6の発明は、これと比べ、挿入損失が7.4dBから6.5dBに低減されること、群遅延時間偏差が200nsecから100nsecに半減されること、第2のサイドローブの減衰量が大きく確保されること、通過帯域が広がること等の特徴を有すると記されている。
【0026】
特許文献5、特許文献7には11種類の電極の組み合わせによってそのRSPUDTの最適な電極構成を実現できることが示されている。図10は、その11種類の電極の構造を示す。
実際には、この11種類の電極すべてが用いられるとは限らず、所望の周波数応答を実現する最低限の種類の電極が利用される。
【0027】
【特許文献1】特開平成10−117122号公報
【特許文献2】特許第3426930号明細書
【特許文献3】特開2003−124778号公報
【特許文献4】特開2004−048675号公報
【特許文献5】特開2004−201234号公報
【特許文献6】米国特許第5703427号明細書(fig.11)
【特許文献7】特開2004−235676号公報
【非特許文献1】T.Kodama, H.Kawabata, Y.Yasuhara and H.Sato: “Design of Low-loss SAW Filters Employing Distributed Acoustic ReflectionTransducers”, IEEE Ultrason.Symp.Proc., pp.59-64 (1986).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
特性インピーダンスが50Ωにおいてトランスバーサル型SAWフィルタを形成することが多かった。近年、前後段部品のバランス動作化も進み、それらの1/Gが50Ωより高くなる傾向にある。50Ω系の特性インピーダンスで形成し、50Ω系の特性インピーダンスの元で評価した際に比較的低リップルでも、1/Gが高い実際の環境ではリップルが大きくなる問題が生じた。
【0029】
オイラー角表示で(45°、90°、90°)付近のカットのLBOを用いたトランスバーサル型SAWフィルタにおいてはその強い反射を利用し、一方向性電極を用いた低損失フィルタが実現されている。しかし、形成時のインピーダンスと無線機器におけるインピーダンス環境が異なると、整合回路を設けているにもかかわらず、その強い反射によって強いリップルが生じる問題があった。
【0030】
水晶基板を用いたトランスバーサル型SAWフィルタにおいても、2%λ0の電極膜厚やAlより密度の高い電極材料でIDT電極を構成した場合には強いリップルを生じさせる。このように強い一方向性度を持つ一方向性電極を用いたトランスバーサル型SAWフィルタにおいては実際の環境を考慮した形成技術の確立が課題であった。
【0031】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、その目的は、強い反射を利用するトランスバーサル型SAWフィルタにおいて、低リップルな特性を備えたトランスバーサル型SAWフィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0032】
上記課題を解決するために、本発明では、圧電基板上に入力側IDT電極と出力側IDT電極とを少なくとも備える電極を有するトランスバーサル型SAWフィルタと、トランスバーサル型SAWフィルタの前段に設けられてなるリアクタンス素子を含む入力側整合回路と、トランスバーサル型SAWフィルタの後段に設けられてなるリアクタンス素子を含む出力側整合回路とを備え、入力側整合回路に接続されるトランスバーサル型SAWフィルタの入力側IDT電極の対数と、出力側整合回路に接続されるトランスバーサル型SAWフィルタの出力側IDT電極の対数とが異なることを要旨とする。
【0033】
これによれば、入力側整合回路に接続されるトランスバーサル型SAWフィルタの入力側IDT電極の対数と、出力側整合回路に接続されるトランスバーサル型SAWフィルタの出力側IDT電極の対数と、が異なることによって、低リップルな特性を備えたトランスバーサル型SAWフィルタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明を具体化した実施例について図面に従って説明する。
【実施例1】
【0035】
図1は、本実施例のトランスバーサル型SAWフィルタの構成を示す平面図を示す。圧電基板11上に入力側IDT電極12と出力側IDT電極13が設けられ、入力側IDT電極12と出力側IDT電極13との間の電磁結合を弱めるため、その間にシールド電極14が形成される。図中、黒で塗りつぶされている部分はアルミニウム(Al)でなる各電極である。入力側IDT電極12及び出力側IDT電極13は、ボンディングワイヤ16にて外部端子と接続される。シールド電極14もまたボンディングワイヤ16にて外部のグランド端子に接続される。さらに、圧電基板11の長辺方向(表面波伝搬方向)の端部に吸音材15を塗布して不要反射波を抑圧している。
【0036】
図2は、本実施例の一方向性電極を用いたトランスバーサル型SAWフィルタの構成を示す平面図を示す。圧電基板21上に一方向性電極を部分的に配置した入力側IDT電極22及び出力側IDT電極23を形成し、入力側IDT電極22と出力側IDT電極23との間の電磁結合を弱めるためにシールド電極24を形成している。
【0037】
図3は、一方向性電極の一種であるDART電極の基本区間を示す模式図である。
一方向性電極の一種であるDART電極20が圧電基板11,21に形成されている。図中左端を原点とした場合、それぞれの電極指中心座標d1,d2,d3と、電極指幅w1,w2,w3を図に示した値のように設定する。すなわち、伝搬する表面波の波長λ0で表すと、d1=0.25λ0、d2=0.625λ0、d3=0.875λ0、w1=3λ0/8、w2=λ0/8、w3=λ0/8である。
【0038】
このDART電極20の基本区間の反射中心の電極指中心座標d1は((λ0/4)/λ0)×2π=90°となり、励振中心の電極指中心座標d2は(0.625λ0/λ0)×2π=225°付近となり、水晶やLBOなどの圧電基板11,21に数%λ0程度のアルミニウム電極で構成するときには図中右方へ表面波を強く励振できる。尚、電極指幅w1,w2,w3は常に図3に示した値が良いわけではなく、電極膜厚等により最適な値へと僅かに変更される。製造バラツキも考慮すると、実際にはw1=3λ0/8±0.025λ0(0.35λ0〜0.40λ0)、w2=λ0/8±0.025λ0(0.10λ0〜0.15λ0)、w3=λ0/8±0.025λ0(0.10λ0〜0.15λ0)の範囲となる。
【0039】
図4は、DART電極と反射間引き電極βとの構造の比較を示す模式図である。
反射間引き電極βは、DART電極αと比較した場合、反射の機能を持つ電極指幅w1をほぼλ0/8幅の2本の電極で分割した構造を持つ。反射間引き電極βの4本の電極はほぼλ0/4間隔で配置され、このとき反射作用がなくなる。このため、部分的に反射を間引いて反射に複雑な重み付けを行う場合は、DART電極αと反射間引き電極βとを組み合わせて利用する。
【0040】
図5は、DART電極と反射間引き電極βとを配置したトランスバーサル型SAWフィルタの模式図である。IDT電極31の中にDART電極αと反射間引き電極βが配置されている。1λ0長さの電極区間毎に、それぞれDART電極αと反射間引き電極βとで構成されていて、一方向性の機能を有している。
【0041】
図6(a)は、RSPUDTを用いたSAWフィルタ(RSPUDTフィルタ)の構成を示す模式図である。
SAWフィルタは、入力端子、出力端子がそれぞれ1本の伝送線路で構成され、アンバランス動作するようになっている。SAWフィルタを含むRF部においては、位相の180°反転した2本の伝送線路を用いて外部からのノイズの影響を抑圧するバランス伝送が多く用いられている。SAWフィルタもバランス伝送に対応して動作させる必要があり、その場合は入力を2端子、出力を2端子とする必要がある。
【0042】
図6(b)は、バランス終端に対応したRSPUDTフィルタの模式図である。
RSPUDTフィルタに限らず、トランスバーサル型SAWフィルタや方向性電極を用いたトランスバーサル型SAWフィルタに関してもバランス動作させる場合は同様の構成となる。
【0043】
図7は、本実施例の通信機器の構成を示す模式図である。通信機器100は、前段部品1と、入力側整合回路2と、トランスバーサル型SAWフィルタ3と、出力側整合回路4と、後段部品5と、それらの各構成部材を電気的に接続する接続部10とで構成されている。矢印Aの方向に通信の信号が伝播される。前段部品1の出力アドミタンス6はYrfout=Grfout+jBrfoutで示される。また、トランスバーサル型SAWフィルタ3の入力アドミタンス7はYin=Gin+j2πfoCinで示される。トランスバーサル型SAWフィルタ3の出力アドミタンス8はYout=Gout+j2πfoCoutで示される。後段部品5の入力アドミタンス9はYifin=Gifin+jBifinで示される。
【0044】
トランスバーサル型SAWフィルタ3は、圧電基板上に入力側IDT電極と出力側IDT電極とを少なくとも備える電極を有している。入力側IDT電極と出力側IDT電極との一部分に一方向性電極を少なくとも含んでいる。圧電基板は、Xカットのリチウムタンタレート(LT)、(45°、90°、90°)付近のカットの四ホウ酸リチウム(LBO)又は水晶等の圧電作用を有する材質であれば特に限定しない。
【0045】
特に、LBO基板を用いたトランスバーサル型SAWフィルタでは広帯域な特性が得られ、更に方向性度の高い一方向性電極の利用により比較的低損失な特性を得ることができる。ただし、LBOに限らず、水晶基板においても電極膜厚を厚くしたり、電極材料に密度の高い金属を選択することで同様の方向性度が得られ、比較的低損失な特性を実現できる。すなわち、電極膜厚を2%λ0より大きくしたり、それ以下の膜厚でもアルミニウム(Al)より密度の高い電極材料を用いれば圧電基板が水晶であっても十分な方向性度が得られる。
【0046】
本実施例は、前段部品1の出力アドミタンス6をYrfout=Grfout+jBrfoutとし、後段部品5の入力アドミタンス9をYifin=Gifin+jBifinとして、(1/Grfout)>(1/Gifin)の関係にある通信機器に使用されるトランスバーサル型SAWフィルタである。具体的には、前段部品1の出力はバランス動作であり、1/Grfoutは500Ωであり、後段部品5の入力はバランス動作であり、1/Gifinは250Ωである。
【0047】
特性インピーダンスが50Ωの場合のトランスバーサル型SAWフィルタと比較して説明する。本実施例の通信機器はアンバランス動作であり、1/Grfoutは250Ω、1/Gifinは125Ωであり、50Ωの場合との差はバランス動作ほど大きくない。そのため、50Ωの場合と比較して250Ωと125Ωとの場合はリップルが増大するものの、極端な劣化までにはならない。すなわち、50Ωの場合のリップル0.5dBに対して、1/Grfout=250Ω、1/Gifin=125Ωではリップル0.7dBに劣化する。
【0048】
また、1/Grfout=500Ω、1/Gifin=250Ωの場合においてのリップルは1dB近くまで劣化する。この劣化度合いは反射の強さにも依存し、反射が強く、入力側整合回路2及び出力側整合回路4に対する感度が高い場合にはより顕著に現れる。
【0049】
そこで、トランスバーサル型SAWフィルタ3の入力側の特性インピーダンスを1/Grfout、出力側の特性インピーダンスを1/Gifinとして、トランスバーサル型SAWフィルタ3の電極を形成した。その特性インピーダンスを持つ入出力終端とトランスバーサル型SAWフィルタ3との間に、各々1個のインダクタと2個のコンデンサとを含む入力側整合回路2及び出力側整合回路4を設けた。
【0050】
また、トランスバーサル型SAWフィルタ3は、圧電基板にLBOの(45°、90°、90°)を用い、図5に示した一方向性のトランスバーサル型SAWフィルタ及び図6に示したRSPUDTフィルタの構造とした。入力側IDT電極の対数をN1とし、出力側IDT電極の対数をN2とするとき、N1=60、N2=102、(N1/(N1+N2)=0.37)として形成した第1のフィルタと、N1=102、N2=60、(N1/(N1+N2)=0.63)として形成した第2のフィルタとで構成した。ここで、入力側IDT電極対数N1はトランスバーサル型SAWフィルタ3の入力端子に電気的に接続される入力側IDT電極の対数であり、出力側IDT電極対数N2はトランスバーサル型SAWフィルタ3の出力端子に電気的に接続される出力側IDT電極の対数であり、N1=60とは60λ0長さ相当のIDT電極である。
【0051】
図8は、本実施例の通過帯域の伝達応答を示すグラフである。
トランスバーサル型SAWフィルタ3の前段には1個のインダクタと複数のコンデンサとを備えてインピーダンスをトランスバーサル型SAWフィルタ3に整合する入力側整合回路2を設けて、1/Grfoutにインピーダンスを整合した。トランスバーサル型SAWフィルタ3の後段には1個のインダクタと複数のコンデンサとを備えてインピーダンスをトランスバーサル型SAWフィルタ3に整合する出力側整合回路4を設けて、1/Gifinにインピーダンスを整合した。
【0052】
第1のフィルタの通過帯域の伝達応答を破線で示し、第2のフィルタの通過帯域の伝達応答を実線で示す。第1のフィルタは挿入損失約9dB、リップル0.94dBであり、第2のフィルタは挿入損失約8.5dB、リップル0.51dBであった。第2のフィルタは第1のフィルタより約0.5dB程度低損失であり、リップルも0.4dB程度良化している。
【0053】
第1のフィルタ及び第2のフィルタともに前段のインピーダンス、後段のインピーダンスそれぞれに入力側整合回路2及び出力側整合回路4を設けて整合しているため、不整合によるエネルギー損失はない。また、第1のフィルタ及び第2のフィルタともに圧電基板、IDT電極の総対数N(N=(N1+N2))、等のフィルタの電気的特性を決める条件は同じである。それにもかかわらず、電気的な性能に大きな差が生じている。
【0054】
この理由について説明する。Gin=Grfoutの場合、入力側整合回路2及び出力側整合回路4のインダクタはトランスバーサル型SAWフィルタ3の静電容量(Cin)を打ち消すためだけに利用される。一方、Gin≠Grfoutの場合には、入力側整合回路2及び出力側整合回路4のインダクタはトランスバーサル型SAWフィルタ3の静電容量を打ち消すだけでなく、インピーダンス変換するためにも利用される。インピーダンス変換の際にはコンデンサを入力側整合回路2及び出力側整合回路4に加える必要があり、その容量分が少なからず加わる。
【0055】
従って、インピーダンス変換する際のインダクタは、トランスバーサル型SAWフィルタ3の静電容量に加えて、入力側整合回路2及び出力側整合回路4の容量成分をも打ち消す必要が生じる。ここで、打ち消す総容量成分をCとし、打ち消すためのインダクタのインダクタンスをLとすれば、L=1/(4π2fo2C)となり、総容量成分Cが大きい程、インダクタンスLは小さくする必要がある。しかし、一般に、インダクタンスLの値が小さくなると入力側整合回路2及び出力側整合回路4はインダクタの寄生抵抗分の影響を受け易くなる。例えば、インダクタを入力側整合回路2及び出力側整合回路4の並列腕に設けた場合には、等価的に並列に2πfoQLの寄生抵抗が加わることになる。
【0056】
ここで、インダクタの性能指数Qは、回路のIF周波数帯においては数10程度の値をとることが多い。この寄生抵抗はインダクタンスLに比例しているため、インダクタンスLが小さいほど小さな抵抗となり、トランスバーサル型SAWフィルタ3の抵抗分(ここでは、1/G)が大きい場合には、本来トランスバーサル型SAWフィルタ3に供給されるべき電力がより抵抗が小さいインダクタの寄生抵抗で消費されることになる。従って、Gin≠Grfoutの場合にはインダクタンスLが低下し、その寄生抵抗値が小さくなることで入力側整合回路2及び出力側整合回路4に影響を与えるようになり、更にトランスバーサル型SAWフィルタ3の抵抗分が大きいほどその影響が強くなる。
【0057】
励振電極を間引いていないIDT電極においてはその抵抗分は入力側IDT電極対数N1及び出力側IDT電極対数N2に反比例する。トランスバーサル型SAWフィルタ3においては伝達応答を良好とするため、少なからず励振電極を間引いているため入力側IDT電極対数N1及び出力側IDT電極対数N2と抵抗分が反比例するとは限らない。しかしながら、入力側IDT電極対数N1及び出力側IDT電極対数N2が少ないときに抵抗分が高まると、入力側整合回路2及び出力側整合回路4での消費電力が高まることでトランスバーサル型SAWフィルタ3の挿入損失が劣化する。入力側整合回路2及び出力側整合回路4での消費電力を最小とするためにはGrfoutとGinとのコンダクタンス差を小さくし、GifinとGoutとのコンダクタンス差を小さくすれば良い。
【0058】
(1/Grfout)>(1/Gifin)においては、N1<N2とすることで(1/Gin)<(1/Gout)となり、GrfoutとGinとの差、GifinとGoutとの差は比較的に縮まる。逆に、N1>N2の場合には、(1/Gin)>(1/Gout)となり、GrfoutとGinとの差とGifinとGoutとの差の一方は近くなるものの、もう一方は差が大きく開くことになる。そのもう一方の大きく開いた差が挿入損失を指数的に増大させるとともに、入力側整合回路2及び出力側整合回路4の感度を高めることでリップルを増大させるならば、第1のフィルタと第2のフィルタで生じた結果が説明されることとなる。
【0059】
図9は、電極対数を変えた場合の対数とリップルとの関係を示すグラフである。
(1/Grfout)>(1/Gifin)の条件においては総対数Nに対する入力側IDT電極対数N1の割合いN1/(N1+N2)は0.45以下においてリップルが小さくなる。もちろん、この結果より、逆の条件、すなわち(1/Grfout)<(1/Gifin)ではN1/(N1+N2)が0.55以上においてリップルが小さくなる。(1/Grfout)>(1/Gifin)の条件で、N1/(N1+N2)は0.30〜0.45においてリップルが小さくなる。逆の条件、すなわち(1/Grfout)<(1/Gifin)では、N1/(N1+N2)は0.55〜0.70においてリップルが小さくなる。
【0060】
前述した(1/Grfout)>(1/Gifin)の場合の他に、(1/|Yrfout|)>(1/|Yifin|)においても同様の結果となる。すなわち、後段のインピーダンスが前段のインピーダンスより高い場合にはトランスバーサル型SAWフィルタ3の出力側のインピーダンスを入力側のインピーダンスより高くしてインピーダンス差のバランスをとることが必要である。尚、アドミタンスの絶対値|Y|は、|Y|=(G2+B20.5で表される。
【0061】
以下、実施例1の効果を記載する。
(1)中心周波数F0が500MHz以下、特に300MHz以下の低結合材料を用いたトランスバーサル型SAWフィルタにおいて低リップルな特性を達成することができる。
【0062】
上記実施例以外の変形例は、以下の通りである。
(変形例1)上記通信機器100が高周波回路部を備えている場合は、(1/Grfout)及び(1/Gifin)は、アンバランス動作時に50〜500Ω、バランス動作時に100〜1000Ωであることが多い。LN等の高結合材料を用いたフィルタの場合は、コンダクタンスはこの範囲に入るように形成すればよい。従って、フィルタの性能は入力側IDT電極対数N1又は出力側IDT電極対数N2の大小に、さほど影響を受けない。一方、結合係数の比較的低いXカットのLT、LBO、水晶を材料に用いたフィルタではコンダクタンスは低下し、その逆数が数キロΩになることもまれではない。このようなフィルタにおいては、前後段のコンダクタンスに合わせて入力側IDT電極対数N1、出力側IDT電極対数N2を適切に割り振ることによって、求める性能を得ることができる。
【0063】
それらXカットLT、LBO、水晶基板において、強い反射を利用した一方向性電極を用いたフィルタは整合回路に対する感度が高いため、低リップルな特性を得るには、入力側IDT電極対数N1と出力側IDT電極対数N2とを適切に割り振ることが大変重要になる。例えば、500MHz以下、特に300MHz以下のようにフィルタの中心周波数F0が低くなるとフィルタの1/Gが高まるためこの効果が顕著になる。バランス動作では前段部品及び後段部品のインピーダンスが高まるので、入力側IDT電極対数N1、出力側IDT電極対数N2を適切に割り振ることによって、低リップルな特性を備えたフィルタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本実施例に係わる、トランスバーサル型SAWフィルタの構成を示す平面図。
【図2】本実施例に係わる、一方向性電極を用いたトランスバーサル型SAWフィルタの構成を示す平面図。
【図3】本実施例に係わる、一方向性電極の一種であるDARTの基本区間を示す模式図。
【図4】本実施例に係わる、DARTと反射間引き電極βとの構造の比較を示す模式図。
【図5】本実施例に係わる、一方向性電極DARTが部分的に配置されたトランスバーサル型SAWフィルタの模式図。
【図6】(a)は、本実施例に係わる、RSPUDTを用いたSAWフィルタ(RSPUDTフィルタ)の構成を示す模式図、(b)は、本実施例に係わる、バランス終端に対応したRSPUDTフィルタの模式図。
【図7】本実施例に係わる、通信機器の構成を示す模式図。
【図8】本実施例に係わる、通過帯域の伝達応答を示すグラフ。
【図9】本実施例に係わる、電極対数を変えた場合の対数とリップルとの関係を示すグラフ。
【図10】従来例に係わる、電極構成を示す模式図。
【符号の説明】
【0065】
1…前段部品、2…入力側整合回路、3…トランスバーサル型SAWフィルタ、4…出力側整合回路、5…後段部品、6,8…出力アドミタンス、7,9…入力アドミタンス、10…接続部、11,21…圧電基板、12,22…入力側IDT電極、13,23…出力側IDT電極、14,24…シールド電極、15…吸音材、16…ボンディングワイヤ、20,α…DART電極、31…IDT電極、100…通信機器、A…矢印、C…総容量成分、d1,d2,d3…電極指中心座標、F0…中心周波数、L…インダクタンス、N…総対数、N1…入力側IDT電極対数、N2…出力側IDT電極対数、Q…性能指数、w1,w2,w3…電極指幅、β…反射間引き電極、λ0…波長。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電基板上に入力側IDT電極と出力側IDT電極とを少なくとも備える電極を有するトランスバーサル型SAWフィルタと、
前記トランスバーサル型SAWフィルタの前段に設けられてなるリアクタンス素子を含む入力側整合回路と、
前記トランスバーサル型SAWフィルタの後段に設けられてなるリアクタンス素子を含む出力側整合回路とを備え、
前記入力側整合回路に接続される前記トランスバーサル型SAWフィルタの前記入力側IDT電極の対数と、前記出力側整合回路に接続される前記トランスバーサル型SAWフィルタの前記出力側IDT電極の対数と、が異なることを特徴とするトランスバーサル型SAWフィルタ。
【請求項2】
請求項1に記載のトランスバーサル型SAWフィルタであって、前記入力側整合回路の更に前段に設けられてなる前段部品と、前記出力側整合回路の更に後段に設けられてなる後段部品とをさらに備え、前記トランスバーサル型SAWフィルタの中心周波数における前記前段部品の出力アドミタンス(Yrfout)のコンダクタンス(Grfout)の逆数(1/Grfout)が50Ωとは異なり、前記トランスバーサル型SAWフィルタの中心周波数における前記後段部品の入力アドミタンス(Yifin)のコンダクタンス(Gifin)の逆数(1/Gifin)が50Ωとは異なることを特徴とするトランスバーサル型SAWフィルタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のトランスバーサル型SAWフィルタであって、前記逆数(1/Grfout)が50Ωより高く、前記逆数(1/Gifin)が50Ωより高いことを特徴とするトランスバーサル型SAWフィルタ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のトランスバーサル型SAWフィルタであって、前記逆数(1/Grfout)と前記逆数(1/Gifin)とが(1/Grfout)<(1/Gifin)の関係にあり、前記入力側IDT電極の対数をN1とし、前記出力側IDT電極の対数をN2とするとき、N1/(N1+N2)≦0.45であることを特徴とするトランスバーサル型SAWフィルタ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のトランスバーサル型SAWフィルタであって、前記逆数(1/Grfout)と前記逆数(1/Gifin)とが(1/Grfout)>(1/Gifin)の関係にあり、前記入力側IDT電極の対数をN1とし、前記出力側IDT電極の対数をN2とするとき、0.55≦N1/(N1+N2)であることを特徴とするトランスバーサル型SAWフィルタ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のトランスバーサル型SAWフィルタであって、前記出力アドミタンス(Yrfout)の絶対値の逆数(1/|Yrfout|)と前記入力アドミタンス(Yifin)の絶対値の逆数(1/|Yifin|)とが(1/|Yrfout|)<(1/|Yifin|)の関係にあり、前記入力側IDT電極の対数をN1とし、前記出力側IDT電極の対数をN2とするとき、N1/(N1+N2)≦0.45であることを特徴とするトランスバーサル型SAWフィルタ。
【請求項7】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のトランスバーサル型SAWフィルタであって、前記出力アドミタンス(Yrfout)の絶対値の逆数(1/|Yrfout|)と前記入力アドミタンス(Yifin)の絶対値の逆数(1/|Yifin|)とが(1/|Yrfout|)>(1/|Yifin|)の関係にあり、前記入力側IDT電極の対数をN1とし、前記出力側IDT電極の対数をN2とするとき、0.55≦N1/(N1+N2)であることを特徴とするトランスバーサル型SAWフィルタ。
【請求項8】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のトランスバーサル型SAWフィルタであって、前記逆数(1/Grfout)と前記逆数(1/Gifin)とが(1/Grfout)<(1/Gifin)及び前記出力アドミタンス(Yrfout)の絶対値の逆数(1/|Yrfout|)と前記入力アドミタンス(Yifin)の絶対値の逆数(1/|Yifin|)とが(1/|Yrfout|)<(1/|Yifin|)の関係にあり、前記入力側IDT電極の対数をN1とし、前記出力側IDT電極の対数をN2とするとき、0.62≦N1/(N1+N2)であることを特徴とするトランスバーサル型SAWフィルタ。
【請求項9】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のトランスバーサル型SAWフィルタであって、前記逆数(1/Grfout)と前記逆数(1/Gifin)とが(1/Grfout)>(1/Gifin)の関係にあり、及び前記出力アドミタンス(Yrfout)の絶対値の逆数(1/|Yrfout|)と前記入力アドミタンス(Yifin)の絶対値の逆数(1/|Yifin|)とが(1/|Yrfout|)>(1/|Yifin|)の関係にあり、前記入力側IDT電極の対数をN1とし、前記出力側IDT電極の対数をN2とするとき、N1/(N1+N2)≦0.38であることを特徴とするトランスバーサル型SAWフィルタ。
【請求項10】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のトランスバーサル型SAWフィルタであって、前記逆数(1/Grfout)と前記逆数(1/Gifin)とが(1/Grfout)<(1/Gifin)の関係にあり、及び前記出力アドミタンス(Yrfout)の絶対値の逆数(1/|Yrfout|)と前記入力アドミタンス(Yifin)の絶対値の逆数(1/|Yifin|)とが(1/|Yrfout|)<(1/|Yifin|)の関係にあり、前記入力側IDT電極の対数をN1とし、前記出力側IDT電極の対数をN2とするとき、0.55≦N1/(N1+N2)≦0.70であることを特徴とするトランスバーサル型SAWフィルタ。
【請求項11】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のトランスバーサル型SAWフィルタであって、前記逆数(1/Grfout)と前記逆数(1/Gifin)とが(1/Grfout)>(1/Gifin)の関係にあり、及び前記出力アドミタンス(Yrfout)の絶対値の逆数(1/|Yrfout|)と前記入力アドミタンス(Yifin)の絶対値の逆数(1/|Yifin|)とが(1/|Yrfout|)>(1/|Yifin|)の関係にあり、前記入力側IDT電極の対数をN1とし、前記出力側IDT電極の対数をN2とするとき、0.30≦N1/(N1+N2)≦0.45であることを特徴とするトランスバーサル型SAWフィルタ。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載のトランスバーサル型SAWフィルタであって、前記前段部品の出力端子がバランス動作であり、かつ/もしくは、前記後段部品の入力端子がバランス動作であることを特徴とするトランスバーサル型SAWフィルタ。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載のトランスバーサル型SAWフィルタであって、前記入力側IDT電極と前記出力側IDT電極との一部分に一方向性電極を少なくとも含むことを特徴とするトランスバーサル型SAWフィルタ。
【請求項14】
RSPUDTの手法を利用したことを特徴とするトランスバーサル型SAWフィルタ。
【請求項15】
請求項1乃至請求項14のいずれか一項に記載のトランスバーサル型SAWフィルタであって、前記圧電基板がXカットのリチウムタンタレート(LT)であることを特徴とするトランスバーサル型SAWフィルタ。
【請求項16】
請求項1乃至請求項14のいずれか一項に記載のトランスバーサル型SAWフィルタであって、前記圧電基板が(45°、90°、90°)付近のカットの四ホウ酸リチウム(LBO)であることを特徴とするトランスバーサル型SAWフィルタ。
【請求項17】
請求項1乃至請求項14のいずれか一項に記載のトランスバーサル型SAWフィルタであって、前記圧電基板が水晶であることを特徴とするトランスバーサル型SAWフィルタ。
【請求項18】
請求項1乃至請求項17のいずれか一項に記載のトランスバーサル型SAWフィルタであって、前記電極の電極材料がアルミニウムであり、前記電極の膜厚が波長λ0の2%より大きいことを特徴とするトランスバーサル型SAWフィルタ。
【請求項19】
請求項1乃至請求項17のいずれか一項に記載のトランスバーサル型SAWフィルタであって、前記電極の電極材料がアルミニウムより密度の高い電極材料を用い、前記圧電基板が水晶であることを特徴とするトランスバーサル型SAWフィルタ。
【請求項20】
請求項1乃至請求項19のいずれか一項に記載のトランスバーサル型SAWフィルタであって、前記中心周波数が500MHz以下であることを特徴とするトランスバーサル型SAWフィルタ。
【請求項21】
請求項1乃至請求項19のいずれか一項に記載のトランスバーサル型SAWフィルタであって、前記中心周波数が300MHz以下であることを特徴とするトランスバーサル型SAWフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−214623(P2007−214623A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−29267(P2006−29267)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】