説明

トロンビン受容体アンタゴニストの使用による、経皮的インターベンション後の有害事象の低減

治療的に有効な量の、SCH530348のようなトロンビン受容体アンタゴニストを患者に投与する工程を含む、経皮的冠動脈インターベンション処置または末梢経皮的インターベンション処置を受ける患者において、有害臨床事象を予防する方法が開示される。当該処置の1時間前と短い間に、約40mgの負荷投与量のSCH530348を投与することは、治療的に有効なレベルの血小板凝集を引き起こし得る。いくつかの実施態様において、当該有害臨床事象は、心筋梗塞、緊急の血管再生、または入院を必要とする虚血である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2007年3月23日に出願された米国仮特許出願第60/896,738号、2007年5月31日に出願された米国仮特許出願第60/932,628号、および2007年11月2日に出願された米国仮特許出願第60/985,051号の利益を請求し、それら全てが本明細書中にその全体が援用される。
【背景技術】
【0002】
積極的な抗血小板および抗血栓処置にも関わらず、経皮的冠動脈インターベンション(「PCI」)、例えば冠動脈形成術、ステント留置、およびアテレクトミーを受ける患者において周術期の有害臨床事象が起こり続けている。PCIに関連する、最も重篤な有害臨床結果は死亡、心筋梗塞(「MI」)および大動脈解離である。出血傾向を増すことなく臨床事象を抑制する薬剤は、現在まで発見されていない。
【0003】
血小板機能に干渉する様々な薬剤は、血管性疾患を有する人々における、血栓性事象(例えばMI、脳卒中、血管性の死亡、または血管再生の必要性)に関連する罹患率および死亡率を減少させる。現在の抗血小板治療にも関わらず、患者はこれらの重篤な血栓性事象の危険性があるままである。
【0004】
Schering−Plough Corporationは、現在トロンビン受容体アンタゴニスト(「TRA」)(SCH530348)を、とりわけ急性冠動脈症候群(「ACS」)の処置のために開発中である。SCH530348は、血小板凝集の阻害の新規メカニズムを標的とする;すなわち、SCH530348は、ヒト血小板上の主なトロンビン受容体である、Gタンパク質共役型プロテアーゼ活性化受容体、PAR−1に選択的に結合することによって、血小板凝集を阻害する。セリンプロテアーゼ、トロンビンは、最も強力な血小板の活性化因子である。従って、PAR−1におけるトロンビンの細胞作用に選択的に干渉する薬剤は、動脈血栓性疾患の処置、または予防に有用であり得る。さらに、トロンビン受容体アンタゴニストは、トロンビンのフィブリン産生作用またはコラーゲン誘発血小板凝集に干渉しない。結果として、トロンビン受容体アンタゴニストは、出血の漸進的な増加無しに有効性の利点を有し得る。
【0005】
化学的に、SCH530348は:エチル[(1R,3aR,4aR,6R,8aR,9S,9aS)−9−[(E)−2−[5−(3−フルオロフェニル)−2−ピリジニル]エテニル]−ドデカヒドロ−1−メチル−3−オキソナフト[2,3−c]フラン−6−イル]カルバメートビサルフェートであり、そして以下の構造式を有する:
【0006】
【化1】

SCH530348は、米国特許第7,304,078号において開示され、重硫酸塩の結晶形は、米国特許第7,235,567号において開示され、SCH530348の処方物は米国特許出願第11/771,520号;同第11/771,571号;同第11/860,165号;および同第11/960,320号において開示され、そして様々な状態を処置する方法は、米国特許出願第10/705,282号;同第11/613,450号;同第11/642,505号;および同第11/642,487号において開示され、その全てはその全体として本明細書中に組み込まれる。心肺バイパス処置に関連する有害な心血管事象の予防において、トロンビン受容体アンタゴニストを使用することが、米国特許出願第11/613,450号において教示され、その全体は本明細書中に組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
治療的に有効な量のトロンビン受容体アンタゴニストを患者に投与する工程を含む、経皮的冠動脈インターベンションを受ける患者において、有害臨床事象を予防する方法を提供することが、本発明の目的である。
【0008】
いくつかの実施態様において、当該有害臨床事象は、心筋梗塞、緊急の血管再生、または入院を必要とする虚血である。
【0009】
いくつかの実施態様において、当該トロンビン受容体アンタゴニストは、SCH530348である。
【0010】
いくつかの実施態様において、当該治療的に有効な量を、約1mgから約5mgまでの負荷投与量として投与する。
【0011】
いくつかの実施態様において、当該治療的に有効な量を、約2.5mgの負荷投与量として投与する。
【0012】
いくつかの実施態様において、本方法はさらに、SCH530348の維持投与量を患者に1日1回投与する工程を含む。
【0013】
いくつかの実施態様において、当該維持投与量は、約20mgから約40mgまでである。
【0014】
いくつかの実施態様において、当該維持投与量は、約40mgである。
【0015】
いくつかの実施態様において、上記トロンビン受容体アンタゴニストは、SCH530348の重硫酸塩である。
【0016】
いくつかの実施態様において、上記トロンビン受容体アンタゴニストは、B、C、およびE−5555から成る群から選択される。
【0017】
【化2】

【0018】
【化3】

いくつかの実施態様において、本方法はさらに、上記患者に有効な量の非ステロイド性抗炎症薬を投与する工程を含む。
【0019】
いくつかの実施態様において、当該非ステロイド性抗炎症薬は、アスピリンである。
【0020】
いくつかの実施態様において、本方法はさらに、上記患者に有効な量のADPアンタゴニストを投与する工程を含む。
【0021】
いくつかの実施態様において、当該ADPアンタゴニストは、クロピドグレルである。
【0022】
いくつかの実施態様において、当該ADPアンタゴニストは、プラスグレルである。
【0023】
いくつかの実施態様において、上記トロンビン受容体アンタゴニストは、重大な出血を引き起こさない。
【0024】
いくつかの実施態様において、当該出血は、TIMI大出血/小出血、TIMI大出血、またはTIMI小出血、またはその組み合わせである。
【0025】
いくつかの実施態様において、上記経皮的冠動脈インターベンションは、バルーン血管形成術、ステントの埋め込み、アテレクトミー、および密封小線源治療から成る群から選択される。
【0026】
いくつかの実施態様において、上記投与は、ADP誘発血小板凝集に実質的な影響を与えない。
【0027】
いくつかの実施態様において、上記投与は、AA誘発血小板凝集に実質的な影響を与えない。
【0028】
いくつかの実施態様において、上記投与は、コラーゲン誘発血小板凝集に実質的な影響を与えない。
【0029】
治療的に有効な量のトロンビン受容体アンタゴニストを患者に投与する工程を含む、末梢動脈疾患を処置するために、経皮的インターベンション処置を受ける当該患者において、有害臨床事象を予防する方法を提供することが、本発明の別の目的である。
【0030】
いくつかの実施態様において、当該トロンビン受容体アンタゴニストは、SCH530348である。
【0031】
いくつかの実施態様において、当該治療的に有効な量を、約1mgから約5mgまでの負荷投与量として投与する。
【0032】
いくつかの実施態様において、当該治療的に有効な量を、約2.5mgの負荷投与量として投与する。
【0033】
いくつかの実施態様において、本方法はさらに、SCH530348の維持投与量を当該患者に1日1回投与することを含む。
【0034】
いくつかの実施態様において、当該維持投与量は、約20mgから約40mgまでである。
【0035】
いくつかの実施態様において、当該維持投与量は、約40mgである。
【0036】
いくつかの実施態様において、上記トロンビン受容体アンタゴニストは、SCH530348の重硫酸塩である。
【0037】
いくつかの実施態様において、上記トロンビン受容体アンタゴニストは、B、C、およびE−5555から成る群から選択される。
【0038】
【化4】

いくつかの実施態様において、上記方法はさらに、上記患者に有効な量の非ステロイド性抗炎症薬を投与する工程を含む。
【0039】
いくつかの実施態様において、当該非ステロイド性抗炎症薬は、アスピリンである。
【0040】
いくつかの実施態様において、本方法はさらに、上記患者に有効な量のADPアンタゴニストを投与する工程を含む。
【0041】
いくつかの実施態様において、当該ADPアンタゴニストは、クロピドグレルである。
【0042】
いくつかの実施態様において、当該ADPアンタゴニストは、プラスグレルである。
【0043】
いくつかの実施態様において、上記経皮的インターベンション処置は、血管形成術、プラーク切除およびバイパス移植から成る群から選択される。
【0044】
約40mgのSCH530348の負荷投与量を、処置の開始の少なくとも1時間前に患者に投与する工程を含む、経皮的冠動脈インターベンション処置または末梢経皮的インターベンション処置を受ける当該患者において、少なくとも80%の血小板阻害を達成する方法を提供することが、本発明のさらに別の目的である。
【0045】
これらおよび他の目的が、以下の記載において明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、第2相試験デザインを示すフローチャートである。
【図2】図2は、TIMI大出血/小出血を示す、PCIコホートにおける被験者のパーセントのヒストグラムである。
【図3】図3は、TIMI出血を示す、PCIコホートにおける被験者のパーセントのヒストグラムである。
【図4】図4は、60日の死亡またはMACEを示す、PCIコホートにおける被験者のパーセントのヒストグラムである。
【図5】図5は、60日の死亡またはMIを示す、PCIコホートにおける被験者のパーセントのヒストグラムである。
【図6】図6は、7日間にわたる、PCIコホートの患者におけるMIの発生を示す。
【図7】図7は、投与量で群分けしたときの、3つの負荷投与量を基礎とした、TRAPを用いた血小板凝集の少なくとも80%の阻害を示した被験者のパーセントをあらわすヒストグラムである。
【図8】図8は、時間で群分けしたときの、3つの負荷投与量を基礎とした、TRAPを用いた血小板凝集の少なくとも80%の阻害を示した被験者のパーセントをあらわすヒストグラムである。
【図9】図9は、投与量で群分けしたときの、3つの維持投与量を基礎とした、TRAPを用いた血小板凝集の少なくとも80%の阻害を示した被験者のパーセントをあらわすヒストグラムである。
【図10】図10は、時間で群分けしたときの、3つの維持投与量を基礎とした、TRAPを用いた血小板凝集の少なくとも80%の阻害を示した被験者のパーセントをあらわすヒストグラムである。
【図11】図11は、投与量で群分けしたときの、3つの負荷投与量を基礎とした、TRAPを用いた血小板凝集の少なくとも80%の阻害を示した被験者のパーセントをあらわすヒストグラムである。
【図12】図12は、時間で群分けしたときの、3つの負荷投与量それぞれにおける、時間を通してのTRAP誘発血小板凝集をあらわすヒストグラムである。
【図13】図13は、時間で群分けしたときの、3つの維持投与量それぞれにおける、時間を通してのTRAP誘発血小板凝集をあらわすヒストグラムである。
【図14】図14は、3つの負荷投与量それぞれにおける、時間を通しての、ADP誘発血小板凝集をあらわすヒストグラムである。
【図15】図15は、3つの維持投与量それぞれにおける、時間を通しての、ADP誘発血小板凝集をあらわすヒストグラムである。
【図16】図16は、3つの負荷投与量それぞれにおける、時間を通しての、AA誘発血小板凝集をあらわすヒストグラムである。
【図17】図17は、3つの維持投与量それぞれにおける、時間を通しての、AA誘発血小板凝集をあらわすヒストグラムである。
【図18】図18は、3つの維持投与量それぞれにおける、時間を通しての、5μg/mlのコラーゲン濃度でのコラーゲン誘発血小板凝集をあらわすヒストグラムである。
【図19】図19は、3つの負荷投与量それぞれにおける、時間を通しての、5μg/mlのコラーゲン濃度でのコラーゲン誘発血小板凝集をあらわすヒストグラムである。
【図20】図20は、3つの負荷投与量それぞれにおける、時間を通しての、50μg/mlのコラーゲン濃度でのコラーゲン誘発血小板凝集をあらわすヒストグラムである。
【図21】図21は、3つの維持投与量それぞれにおける、時間を通しての、50μg/mlのコラーゲン濃度でのコラーゲン誘発血小板凝集をあらわすヒストグラムである。
【図22】図22は、3つの負荷投与量それぞれを投与した後の、時間を通しての、SCH530348の血中濃度の薬物動態曲線および血小板凝集のパーセントの比較である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
有効な抗血小板治療として、トロンビン受容体アンタゴニストは、PCIに関連する有害臨床事象の予防に有用性を有し得る。PCI処置(または経皮的冠動脈インターベンション処置)は、バルーン血管形成術、ステントの埋め込み(剥き出しの金属または薬剤コーティングされたもの)、回転性またはレーザーアテレクトミー(血栓/プラークが血管の内側から切除される工程)、および密封小線源治療(再狭窄を阻害するための放射線による処置)を含む。
【0048】
Schering−Plough Corp.は、SCH530348を開発中であり、このものはヒト血小板上の主なトロンビン受容体であるPAR−1(プロテアーゼ活性化受容体−1)の選択的阻害剤である。トロンビン受容体に対する阻害効果と一致して、SCH530348はTRAP(トロンビン受容体活性化ペプチド)刺激ヒト血小板凝集を阻害する(IC50=15nM)。SCH530348の現在の臨床開発は、現在の標準医療、例えばADPアンタゴニストのクロピドグレルおよびアスピリンの補助的な治療の認可に向けられている。しかし、単独治療として、適切なトロンビン受容体アンタゴニストを投与することによる出血リスクの回避は、PCIのような特定の状況において、Plavix(登録商標)(クロピドグレル)およびTiclid(登録商標)(チクロピジン)のような、現在認可されている抗血小板薬剤のいくつかを超えて有力な利点を有し得る。さらに、その標準医療は、プラスグレルのような他のADPアンタゴニストを含むように発展し得る。標準医療に対する補助治療としてトロンビン受容体アンタゴニストを投与することによるPCI患者の処置は、プラスグレル、またはあらゆる他のADPアンタゴニスト、およびアスピリンのような未来の標準医療を包含する。
【0049】
急性冠動脈症候群(「ACS」)は、不安定狭心症、非ST部分上昇型心筋梗塞(MI)、およびST部分上昇型MIを含む、急性心筋虚血と矛盾のない臨床症状のあらゆる群をカバーするために使用される包括的な用語である。急性心筋虚血は、心筋への血液供給の不足による胸痛を伴い、それは冠動脈疾患(冠動脈心疾患とも呼ばれる)から生じる。2次予防は、別の心血管または脳血管事象を予防するための、心臓発作または脳卒中を起こしたことのある患者の処置を伴う。末梢血管疾患(「PVD」)としても知られる、末梢動脈疾患(「PAD」)は、65歳以上のアメリカ人の12−20パーセントに影響する非常によくある状態である。PADは最も普通にはアテローム性動脈硬化症の結果として発症し、それはコレステロールおよび瘢痕組織が蓄積され、動脈の内側に、動脈を狭め、そして詰まらせるプラークを形成する場合に起こる。詰まった動脈は、脚への血流の減少を引き起こし、それは歩行時の疼痛、そしてついには壊疽および切断を引き起こし得る。これらの患者は、その心血管系が既に圧迫されており得、そして高齢であり得ることを考慮すると、過剰な出血を耐える能力が低下している可能性があるので、これらの心血管状態の処置によって起こる出血傾向の増加を回避することは、罹患した患者にとって非常に有利である。
【0050】
血小板上のPAR−1受容体をブロックすることに加えて、SCH530348はまた、内皮細胞、平滑筋細胞、好中球、白血球、および単球を含む、他の細胞上のPAR−1受容体も阻害する。PAR−1アンタゴニストまたはPAR−1 KOマウスのいずれかを用いた、刊行された動物実験において、幾人かの研究者が、炎症性腸疾患を含む、抗炎症性効果を実証した。従って、トロンビン受容体アンタゴニストは、血管形成術処置由来の炎症性反応を経験し得るPCI患者に有用であり得る、抗炎症性作用を有し得る。CD40リガンドおよびC反応性タンパク質は、炎症のバイオマーカーであると考えられ、そして第3相試験において評価される。
【0051】
SCH530348に関するある臨床試験の結果を下記に示す。
【0052】
サルの出血傾向試験
あらゆる新規抗血小板薬は、現在の標準医療と比較して出血リスクの増加を最適に避けるべきである。SCH530348の出血リスクを、麻酔したカニクイザルで評価し、ここでSCH530348を単独で、およびアスピリンおよびクロピドグレルと共に投与した。SCH530348(1mg/kg)および/またはアスピリン(10mg/kg、ASA)およびクロピドグレル(2mg/kg)の単回投与後に、出血の評価を行った。4つの群のサルに、担体(vehicle)(薬剤を溶解するために用いた媒体、0.4%メチルセルロース)、または薬剤のいずれかを経口投与した(n=5−6/群):群I:担体、群II:SCH530348(1mg/kg)、群III ASA(10mg/kg)+(plus)クロピドグレル(2mg/kg)、および群IV:SCH530348、ASA+クロピドグレルの組み合わせ。使用した様々な薬剤の投与量が、全血におけるエキソビボ血小板凝集によって評価すると、それらのそれぞれの血小板経路を>90%阻害した。投与の2時間後、動物を麻酔し、そして前腕のテンプレート出血時間および大腿切開部位からの外科的血液喪失によって、出血リスクを評価した。
【0053】
テンプレート出血時間を、以下のように評価した。サルの前腕の毛を剃り、そしてSimpleate(登録商標)出血装置(Organon Tehnika)を用いて、精密な切開(5mmの長さおよび1mmの深さ)を、皮膚に作成した。切開部位においてろ紙に血液をブロッティングすることによって、出血時間を決定した。血液がもはやろ紙に吸収されない場合、出血は「止まった」とみなした。切開の開始から、出血の停止までの時間を、テンプレート出血時間と定義する。これらの試験おいて、薬剤の経口投与から約3.5および4時間後の2つの時期に、出血時間を評価した。
【0054】
外科的血液喪失を、以下のように評価した。麻酔したサルの後脚の大腿動脈および大腿静脈を、メスの刃によって切開することによって外科的に単離した。それに加えて2つの0.5cmの切開を、Simpleate(登録商標)出血装置(Organon Teknika)で大腿領域の縫工筋に作成して、出血を開始した。外科的血液喪失を決定するために、ガーゼパッドを大腿手術部位に置き、そしてこの部位で失われた血液は、ガーゼに吸収された。ガーゼを30分に新しいものと交換した。2回の30分間隔の採取を行った。血液を含むガーゼを、赤血球を溶解し、そして赤血球内のヘモグロビンと着色反応産物を形成する、5mlのDrabkin’s試薬(Sigma Chemical Co.)に浸した。小さいサンプルを、分光光度計(550nMで)で測定し、そして血液喪失の容量を、標準曲線から得た。標準曲線を、各動物に関して実験の終わりに採取した、既知量の血液によって確立した。
【0055】
これらのサル出血試験の結果を、表Aにまとめる。
【表A】

【0056】
表Aのデータに基づいて、担体またはSCH530348の投与は、群IおよびIIにおいて、それぞれ3.4分および4.9分の平均テンプレート出血時間および0.13ml/hrおよび0.18ml/hrの外科的血液喪失を生じた。群IおよびIIにおいて観察された出血時間および血液喪失は、お互いに統計的に有意ではなく、1mg/kgの投与量のSCH530348は、担体のものを超えるいかなる出血リスクも有さないことを示す。群IIIにおける、アスピリン+クロピドグレルの投与は、3.4分(群I)に対して23.2分とテンプレート出血時間の著しい増加、および0.13ml/hr(群I)に対して2.00ml/hrの外科的血液喪失の増加を引き起こした。これらの増加は両方とも統計的に有意であった。従って、出血リスクが、群IIIのアスピリン+クロピドグレルに関して示された。しかし、群IVにおける、アスピリンおよびクロピドグレルとSCH530348の同時投与は、アスピリン+クロピドグレル群(群III)において観察されるより、テンプレート出血時間(群IIIおよびIVにおいてそれぞれ23.2分対21.86分)、または外科的血液喪失(群IIIおよびIVにおいてそれぞれ2.00ml/hr対2.03ml/hr)によって評価したときに、如何なるさらなる出血リスクの増加を引き起こさなかった。
【0057】
これらの結果は、SCH530348単独の投与に関連する出血リスクはなかったことを示す。さらに、SCH530348は、ASAおよびクロピドグレルに関連する、出血の延長を増悪させなかった。これらのデータは、出血リスクの増加を招くことなく、SCH530348をアテローム血栓症の処置のために現在の標準医療に加え得るという提案を支持する。
【0058】
これらのデータから引き出される結論は、1mg/kgの投与量でのSCH530348の投与は、サルにおいていかなる出血リスクも生じなかったということである。平均体重70kgの成人に基づいて、この投与量は、約70mgのヒト投与量に等しい。従って、ヒトにおいて、70mgまでの投与量のSCH530348は、単独で、またはアスピリンおよびクロピドグレルと同時投与した場合に、いかなる出血リスクも有さない。まとめると、これらの薬理学的研究の結果は、SCH530348について以下のことを実証している:
・カニクイザル(エキソビボ)において、0.1mg/kgの経口投与後、TRAPによる血小板凝集を100%阻害する;および
・単独で、またはアスピリン/クロピドグレルと共に投与した場合に、カニクイザルにおいて出血傾向の証拠を有さない。
【0059】
SCH530348は、hERG電位固定アッセイにおいて活性を有する(IC50〜341nM)。しかし、イヌのプルキンエ線維における活動電位持続時間(インビトロ)またはサルの安全性薬理学試験のいずれかに基づいて、QT延長が起こった証拠はない。
【0060】
サルの外科的出血傾向試験において、単独で投与された、またはアスピリンおよびクロピドグレルと共に投与された場合のSCH530348において、出血の延長は観察されなかった。出血の評価を、SCH530348(1mg/kg)および/またはアスピリン(10mg/kg)およびクロピドグレル(2mg/kg)の単回投与後に行った。
【0061】
現在までに研究された投与量および処置期間において、実験室の安全性試験またはECGにおいて、QT延長の証拠がないことを含めて、有意な処置に関連する変化または異常は存在していない。全体として、試験薬剤は一般的に耐容性が高かった。
【0062】

第2相臨床試験
ヒトにおけるSCH530348の挙動を、第2相臨床開発プログラムにおいてさらに研究した。SCH530348に関する重要な安全性の問題は、他の経口抗血小板治療薬および非経口抗血栓薬による標準医療に加えた場合の、出血の増加の可能性である。従って、単一の第2相試験(P03573)を完了して、出血事象のハイリスク患者、すなわち非緊急性のPCI(経皮的冠動脈インターベンション)を受ける患者においてSCH530348の安全性を評価した。この第2相試験の目標は:
・TIMI大出血および小出血に関して、標準医療に加えたSCH530348の安全性を評価すること;および
・介入処置(interventional procedure)を成功裏に完了した患者において、主要有害心イベント(「MACE」)に対するSCH530348の影響を観察することであった。
【0063】
試験デザインを、図1で概説する。
【0064】
「負荷投与量」という用語は、1回の投与を意図した、決められた量のトロンビン受容体アンタゴニスト(例えば10−40mg)を含む医薬組成物を意味すると理解される。「維持投与量」という用語は、負荷投与量を投与した後に、定期的な投与(例えば1日1回)を意図した、より少ない量のトロンビン受容体アンタゴニスト(例えば0.5−5mg)を含む医薬組成物を意味すると理解される。
【0065】
第2相試験は、非緊急性PCIを受けた冠動脈心疾患の症状を有する男性および女性における、無作為化、二重盲検、プラセボコントロール、多施設、用量増加試験であった。SCH530348の3つの負荷投与量(10、20、および40mg)を試験した(薬剤:プラセボの3:1無作為化)。特定の負荷投与量で安全性および薬力学が確立されたら、別の被験者群を、次の負荷投与量で無作為化した。
【0066】
PCI後、負荷投与量のSCH530348を投与された患者を、3つの維持投与量のSCH530348(0.5、1.0および2.5mg)のうち1つに無作為化し(1:1:1)、そしてこの維持投与量を、処置後59日間(全処置60日間)投与した。プラセボ負荷投与量を投与された患者は、処置後59日間の維持のためにプラセボを投与された。この群は、「一次評価コホート」である。PCIを受けなかったが、カテーテル留置の前にSCH530348の負荷投与量を投与された患者(〜50%)は、「2次評価コホート」である。第2相試験において投与された維持投与量の処方物のいくつかの例を、表1に示す。
【0067】
【表1】

主なエンドポイント(安全性の評価に向けられた)は、一次評価コホートにおける60日間にわたる、thrombosis in myocardinal infarction(「TIMI」)大出血およびTIMI小出血を組み合わせたものであった。その試験は、有効性を評価するために進められたものではないが、2次的エンドポイント(有効性の評価に向けられた)は、1次コホートにおける、死亡および主要有害心イベント(「MACE」)を合わせたものの発生数であった。MACEは、心筋梗塞、緊急血管再生、および入院を必要とする虚血を含む。薬物動態学および薬力学を、処置群の選択した部位で評価した。他の2次的エンドポイントは、2次評価コホート、すなわち、負荷投与量のみを投与された個人におけるTIMI大出血および小出血の発生を含んでいた。
【0068】
TIMI大出血および小出血の3−6%の発生率に基づいて、1600人の患者の試験サイズが推定された。Safety Review Committee(SRC)が、その試験に登録された最初の923人の患者の人口統計学的データおよび安全性データを審査した。その試験における予測したよりも低い出血の発生率(1.7%)を考慮して、SRCは、1600人までの患者のリクルートを続けることで、SCH530348の安全性について得られる情報が増加するとは考えず、そして試験の登録を終了することを勧告した。全部で1030人の患者を、SCH530348の負荷投与量またはプラセボのいずれかが投与されるように、無作為化した(表2)。これらのうち、573人がPCIを受け、そして維持投与量へ無作為化された、すなわち一次評価コホートであった。残りの457人の患者はPCIを受けず、そして従って2次評価コホートへ割り当てられた;これらのうち、75人は続いて冠動脈バイパス移植手術(「CABG」)を受けた。
【0069】
無作為化した患者のベースラインの特徴は、プラセボおよびSCH530348投与群の間で同様であった。ほとんどの患者は男性であり平均年齢は64歳で平均体重は90kgであった。約半分の患者はPCIを受け、そしてこれらのうち、97%(557/573)は、冠動脈内ステント留置を受けた。
【0070】
【表2】

表3は、PCIを受けた被験者のコホートによって摂取された、抗血小板薬剤および抗血栓薬剤の分布を示す。
【0071】
【表3】

1次コホートにおいて、60日間に渡って、TIMI大出血および小出血を合わせた発生を有する患者の割合、すなわちその試験の1次エンドポイントにおいて、SCH530348およびプラセボの間に、統計的な有意差は存在しなかった(2.8%対3.3%)。これらのデータを、下記の表4にまとめる。全体として、TIMI大出血および小出血率は低く、そしてほとんどは周術期であり、入院中に起こった。さらに、1次コホートにおいて、負荷投与量(維持投与量にわたってプールした)に関して出血の発生を見ると、SCH530348対プラセボそれぞれに関して非TIMI出血の有意な増加は存在しなかった(41%対32%)。これらのデータを、図2および3において図で示す。
【0072】
2次コホートは、内科的に処置された(n=382)またはCABGを受けた(n=75)非PCT患者から成っていた。内科的に処置された2次コホートにおいて、TIMI大出血は無く、そして3例(<1%)のTIMI小出血が、SCH530348処置患者に関して報告された。これらは、2つの血管アクセス部位および1つの術後(外科的人工股関節置換)出血を含んでいた。
【0073】
【表4−1】

【0074】
【表4−2】

ポンプおよび体外酸素供給器にプライムするための濃厚赤血球(「PRBC」)輸血の日常的な使用、および手術中の非経口液体の投与によって生じる結果としてのヘモグロビンの減少のために、TIMI出血分類のみの使用は、限られた有用性しかなく、そしてCABGを受けた患者における出血リスクの規定において誤らせ得る。従って、他の臨床的に意味のある措置(例えば胸腔チューブドレナージ、輸血、再調査(re−exploration)の必要性)を調査した。
【0075】
CABGを受けたSCH530348処置患者において、TIMI大出血および小出血の発生に、統計的に有意ではないが、わずかな増加があった(94%対プラセボの80%)(表5)。しかし、SCH530348処置患者において、全胸腔チューブドレナージ、>2ユニットのPRBC輸血の割合、または再調査の必要性において、増加はなかった。全体として、これらの知見は、SCH530348の投与は、CABG中の臨床的に関連する出血のリスクの増加と関連しないことを示唆する。
【0076】
【表5−1】

【0077】
【表5−2】

第2相試験を、その臨床的重要性または重症度に関わらず、全ての出血事象を捕捉する意図でデザインした。1次および2次評価コホートの両方において、非TIMI出血事象は、広い範囲の起源を示す。詳細を下記の表6および7にまとめる。SCH530348で観察された非TIMI出血において、わずかな増加が存在し、それは1次コホートまたは内科的に処置された2次コホートのいずれにおいても統計的に有意ではなかった。
【0078】
【表6】

1次PCIコホートにおける非TIMI出血の内訳を、下記の表7にまとめる。鼻出血、歯肉出血、胃腸出血、尿生殖器出血、または典型的には患者のノンコンプライアンスにつながる他の出血イベントの発生において、有意差はなかった。ほとんどの非TIMI出血は、血管アクセス関連または皮膚打撲/挫傷であった。重要なことに、処置の中断は少なく、そしてSCH530348およびプラセボの間に差はなかった(各群において1%)。
【0079】
【表7】

全体として、プラセボの151人の患者中135人(89%)と比較して、SCH530348は、422人の患者のうち355人(84%)が60日間の処置期間を完了し、一般的によく許容された。任意の有害事象による試験薬剤の中断は、SCH530348で処置した27人(6%)の患者およびプラセボの8人(5%)の患者で起こった。
【0080】
第2相試験は、有効性、すなわち臨床事象率の低減を評価するためにデザインまたは進められたものではないが、1次コホートにおいて、プラセボ(8.6%)に対して、SCH530348群(5.9%)において60日で、死亡および主要有害心イベント(MACE)を合わせたものにおいて、31%の相対的な低減が観察された。この差は統計的に有意ではなかった。1次コホートにおける他の有効性エンドポイントを、下記の表8にまとめる。全ての臨床事象を、盲検Clinical Events Committeeによって判定した。
【0081】
【表8−1】

【0082】
【表8−2】

死亡およびMACEの合計における減少が、SCH530348の負荷投与量の増加と共に観察され(10mgで8.5%、20mgで5%、および40mgで4.6%)、SCH530348の40mg対プラセボで見られる47%の相対的低減をもたらした。その利点は主に、非致命的MIイベントの減少によるものであり、それは主に周術期(29例中23例)非致命的MIであった。非致命的MIにおける減少はまた、投与量関連性のようであった(プラセボの7.3%と比較して、10mgで5.4%、20mgで4.2%、40mgで3.5%)。これらのデータを、図4−6で図示する。従って、SCH530348の40mg負荷投与量コホート対プラセボに関して、MIにおいて52%の減少が存在した(3.5%対7.3%)。最も重要なことには、そのイベントの減少は、ASA(アスピリン)およびクロピドグレルの基礎療法の状況においてであった。ASAはプラセボの98%、およびSCH530348処置群の99%で使用されており、そして全ての患者の97%がクロピドグレルを投与されていた。従って、ASAおよびクロピドグレル投与を含む標準医療の関係において、プラーク破裂のコントロールされた状況であるPCIの前のトロンビン受容体媒介の血小板凝集の阻害は、周術期のイベントの減少を引き起こすようである。
【0083】
その試験において3例:1次PCIコホートにおいて2例、および2次非PCIコホートにおいて1例の死亡が観察された。全てSCH530348群であった。1次コホートの死亡の1例は、138日目(治療終了の78日後)のMIによるものであった;2例目の死亡は、PCI直後のポンプ失調によるものであった。3例目の死亡は、負荷投与量のみを投与された、2次非PCIコホートに割り当てられた患者で起こった。この死亡は、SCH530348投与の72日後の、肺塞栓のためであった。これらの死亡はそれぞれ、研究者によって試験薬剤との関連性は低いと判断された。
【0084】
その試験において、5例の非致命的脳卒中:1次PCIコホートにおいて1例の脳卒中、および2次コホートにおいて4例の脳卒中が、研究者によって報告された。全てSCH530348に無作為化されていた。1次コホートにおける脳卒中は、治療の44日目に起こったラクナ梗塞であった。残りの4例の脳卒中のうち、2例はCABG処置した、および2例は内科的に処置した2次コホートに起こった。CABG関連脳卒中のうち、1例は手術日に起こり、一方2例目は術後(大動脈弁交換も)36日目に記録された(noted)。内科的に処置したコホートの2例の脳卒中のうち、1例は、単回負荷投与量の投与の3日後、頭部外傷および頬骨弓の骨折を伴う落下により生じた硬膜下血腫と診断された;2例目は、単回負荷投与量の投与後25日目に起こった、残留欠陥のない、心房細動の状況における一過性脳虚血発作と判定された。これらのイベントは全て、研究者によって試験薬剤との関連性は低いと判断された。
【0085】
この試験は、標準医療の抗血小板治療(アスピリンおよびクロピドグレル)に加えて、ある範囲の負荷投与量および維持投与量のSCH530348の安全性および耐用性を試験するためにデザインされた。1次PCIコホート内で、SCH530348はTIMI大出血+小出血の発生に有意な増加を与えず、非TIMI出血にわずかな増加があったが統計的に有意ではなく、また試験薬剤の中断と関連するものでもなかった。
【0086】
CABGを行った2次コホート内で、TIMI大出血+小出血に数の増加があった。しかし、この差は統計的に有意ではなく、そして全胸腔チューブドレナージ、>2ユニットのPRBC輸血、および再調査のような、より臨床的に重要なパラメーターが、プラセボと同じかまたはそれより少ないことを考慮すると、そのような知見の臨床的妥当性は疑わしい。非TIMI出血は、処置群間で同様であった。全体として、SCH530348による処置は、出血リスクの増加と関連しなかった。
【0087】
その試験は、安全性試験としてデザインされ、有効性を評価するためには不十分であった。従って、臨床的有効性エンドポイントの減少から生じるSCH530348の利点は、注意して解釈するべきである。それにも関わらず、主に心筋梗塞の提言によってもたらされる死亡およびMACEを合わせたものの頻度は減少し、そしておそらく用量関連性があるようである。ほとんどのイベントは、PCIの時間の周辺に集まっていた。
【0088】

薬力学的サブスタディ
光凝集測定を含む薬力学的サブスタディを、ストリンジェントな生理学的条件下で行い、そして中央のコア研究所で測定した。このサブスタディの目的は、2つ:TRAPによる血小板凝集の≧80%阻害として定義される、臨床的に適切な血小板凝集の阻害の存在を記録すること;および最も多くの割合の試験集団に、臨床的に適切な血小板凝集の阻害を提供する投与レジメを同定することである。「治療的に有効な量のトロンビン受容体アンタゴニスト」という用語は、TRAPによる血小板凝集の少なくとも80%の阻害を達成するために十分なトロンビン受容体アンタゴニストの量を意味することが理解される。
【0089】
図7、8および11で示したように、SCH530348の40mgの負荷投与量のみが、90%以上の試験集団に、2時間以内に臨床的に適切な血小板凝集の阻害を提供した。この負荷投与量を用いて、1、1.5、および2時間で、それぞれ約68%、82%、および96%の患者が、TRAP誘発血小板凝集の≧80%の阻害を有していた。これらの結果は、第1相試験の知見と密接に対応している。早期の処置および迅速な阻害が必要とされる、ACS集団または緊急PCIの状況において、40mgの投与量は、投与患者のそのように高い割合において、標的血小板阻害を達成するので、好ましい負荷投与量として現れる。
【0090】
SCH530348の3つの維持投与量は全て、30および60日において、臨床的に適切な血小板凝集の阻害を提供したが、1.0および2.5mg/日のレジメのみが、試験集団の100%において阻害を成功裡に達成した(図9および10を参照のこと)。これらの結果を第1相の血小板凝集試験と組み合わせた場合、1日2.5mgのレジメが、妥当な時間で最大の効果まで、治療集団の最も大きい部分に、臨床的に適切な血小板凝集阻害を提供するのは明らかである(負荷投与量に続く維持レジメとして、および緊急の血小板凝集阻害が臨床的に必要でない場合の投与量として)。図10は、SCH530348の維持投与の持続する血小板凝集効果を示す。
【0091】
SCH530348は、血小板を活性化することなく(すなわち、P−セレクチンまたはCD40リガンドの発現を増加させることなく)、凝固パラメーターに影響を与えることなく、またはアイヴィ変法(modified Ivy method)によって測定した出血時間を増加させることなく、TRAP誘発血小板凝集の、用量関連性の阻害を示す。この投与量依存性を図12で示す。その作用メカニズムと一致して、SCH530348は、図14および15で示すように、ADP誘発血小板凝集に影響を与えない。同様に、アラキドン酸(「AA」)誘発血小板凝集(図16および17を参照のこと)またはコラーゲン誘発血小板凝集(図18−21を参照のこと)に影響はない。
【0092】
5mgと低いSCH530348の単回投与および1mg/日の複数回投与は、TRAP誘発血小板凝集を有意に阻害した。SCH530348の投与量が増加すると、血小板凝集の開始がより早くのサンプリング時点で起こり、そして観察される最大の凝集阻害が増加し、20および40mgは、投与後1−2時間において、TRAP誘発血小板凝集の一貫した最大(>80%)の阻害を引き起こした。負荷投与量に対する薬物動態学的および薬力学的反応を、図22に示す。血小板に対する阻害効果の期間は、投与量および濃度依存性であり、そして低い単回(3および5mg)または複数回(1および2.5mg)投与後、少なくとも2週間続くこと、および20mgまたは40mgの単回投与および≧3mg/日の複数回投与の後8週間程の間持続することが期待される。これらの薬力学的効果の期間は、薬剤の長い排出半減期と一致する。
【0093】
図22に示した薬物動態学的および薬力学的データは、40mgの負荷投与量の投与後1時間と短いうちに、患者はSCH530348のピーク血中濃度レベルに達し、そして血小板阻害の治療的に有効なレベル(少なくとも80%)に達する。このレベルの血小板阻害は、PCIに関連する有害臨床事象のリスクを減少させるのに十分であると考えられる。この迅速な開始は、「リスク軽減PCI処置」を、負荷投与量の投与後1時間と短いうちに行うことを可能にする。「リスク軽減PCI処置」という用語は、患者が少なくとも80%の血小板阻害を達成した後に受けるPCI処置を意味すると理解される。これは、現在の標準医療、すなわちトロンビン受容体アンタゴニスト無しのクロピドグレルおよびアスピリンを用いて、リスク軽減PCIを行い得るまでの4−6時間の期間に対して、著しい改善を示す。
【0094】
さらに、クロピドグレルは、出血傾向のために、現在冠動脈バイパス移植(「CABG」)処置のような、心肺バイパス(「CPB」)処置に関して禁忌である。従って、もし患者に、PCIを見越してクロピドグレルを投与するなら、典型的には、その後に、クロピドグレルを患者のシステムから排出させることを可能にするため、示されたあらゆるCABG処置(おそらくは時間が欠くことのできない環境において)を5日間まで遅らせることになる。この5日間の遅延が、介入冠動脈イベントに悩む患者にリスクを提示し得る。本明細書中で示したデータは、SCH530348は限られた出血傾向を有するという見解を支持するので、PCIのためにSCH530348単独で処置された患者は、そのようなCPBのスケジュールの遅れを受けず、従ってあらゆる介入冠動脈イベントのリスクを回避する。
【0095】
第2相試験の主な結論は以下の通りである:
1.TIMI出血(大および小)は、SCH530348によって増加しなかった。(プラセボでの3.3%対SCH530348での2.8%)。
【0096】
2.主にMIの減少(プラセボで7.3%;SCH530348の10mgで5.4%、20mgで4.2%、40mgで3.5%)による、SCH530348に関連する死亡およびMACE(主要有害心イベント)を合わせたものにおける、用量関連性(負荷投与量)の数の減少が存在した(プラセボで8.6%;SCH530348の10mgで8.5%、20mgで5%、40mgで4.6%)。
【0097】
3.SCH530348に関連する非TIMI出血において、小さな、統計的に有意でない増加が存在した(プラセボでの32%対SCH530348での41%)。
【0098】
4.SCH530348の負荷投与量の増加は、投与量の投与後2時間以内に、より早い、そしてより完全なTRAP誘発血小板凝集の阻害をもたらした(40mgを用いて96%の患者が>80%の阻害を達成した)。
【0099】

末梢経皮的インターベンション処置
末梢動脈閉塞性疾患(「PAOD」、末梢血管疾患(「PVD」)および末梢動脈疾患(「PAD」)としても知られる)は、大きな末梢動脈の閉塞によって引き起こされる全ての疾患のコレイタ(collator)であり、それはアテローム性動脈硬化症、狭窄を引き起こす炎症性過程、塞栓症または血栓形成から生じ得る。それは急性または慢性虚血のいずれかを引き起こす。PADの通常の介入処置は以下のものを含む:
・血管形成術(経皮的経管的血管形成術または「PTA」)を、大腿動脈のような、大きな動脈の孤立性病変に行い得る。末梢血管形成術は、冠動脈以外の血管の開放における、機械的拡張の使用を指す。それは多くの場合経皮的経管的血管形成術または省略してPTAと呼ばれる。PTAは、脚の動脈、特に総腸骨、外腸骨、表在性大腿および膝窩動脈の狭窄を処置するために、最も普通に行われる。PTAを、静脈等の狭窄を処置するためにも行い得る。
【0100】
・プラークを血管壁の内側から掻爬する、プラーク切除。
【0101】
・時折、動脈脈管構造の重度に狭窄した領域を回避するために、バイパス移植が必要である。一般的に、伏在静脈を使用するが、静脈の質が低い場合、大きな管には人工材料(例えばGore−Tex(登録商標))を多くの場合使用する。
【0102】
PADを処置するために使用する、これらの経皮的インターベンション処置(または末梢経皮的インターベンション処置)は、PCIに関連するものと同様の有害臨床事象と関連し得る。従って、本明細書中で記載されたようなトロンビン受容体アンタゴニストの抗血栓効果は、PADを処置するために使用されるPTA、プラーク切除、およびバイパス移植において明らかな有用性を有する。
【0103】

TRA化合物
本発明は、PCI患者を処置するためのあらゆるトロンビン受容体アンタゴニストの使用を含む。様々な化合物のファミリーが、トロンビン受容体アンタゴニストとしての活性を示すことが示された。式Iの化合物は、そのような活性を示した:
【0104】
【化5】

ここで、改変物は、米国特許第6,645,987号において規定され、それは本明細書中で参考文献に組み込まれる。
【0105】
米国特許公開第2004/0152736号において開示されるように、式Iの特に好ましい化合物のサブセットは以下のようである:
【0106】
【化6】

【0107】
【化7】

およびその薬学的に許容可能な異性体、塩、溶媒和物および多形である。
【0108】
活性トロンビン受容体アンタゴニストのさらなる例は、式IIの化合物、およびその薬学的に許容可能な塩である:
【0109】
【化8】

ここで改変物は、米国特許第7,304,078号において規定され、それは本明細書中で参考文献に組み込まれる。式IIのトロンビン受容体アンタゴニストの特に活性および選択的なサブセットは、以下のようである:
【0110】
【化9】

より治療的に有望なトロンビン受容体アンタゴニストの中での式IおよびIIの化合物は以下である:
【0111】
【化10】

およびその薬学的に許容可能な異性体、塩、溶媒和物および共結晶形式のものである。化合物AはSCH530348である。
【0112】
SCH530348の重硫酸塩が、Schering−Plough Corp.によってトロンビン受容体アンタゴニストとして現在開発中である。その合成は、米国特許公開第03/0216437号において開示されており、その刊行物は化合物Cも開示する。化合物Bは米国特許第6,645,987号において開示される。
【0113】
本発明の方法において使用するための他のTRA化合物が、米国特許第6,063,847、6,326,380号、および同第7,037,920号、および米国特許公開第20060079684号および同第20060223808号のいずれかにおいて開示され、その化合物関連の開示は、全て本明細書中でその全体として参考文献に組み込まれる。
【0114】
上記で記載したトロンビン受容体アンタゴニストは、優れた抗血小板活性を示すと考えられる。それに加えて、それらは他の血小板阻害剤と比較して、出血傾向の低減を示すと考えられ、それらを高い出血リスクのシナリオにおいて抗血小板治療薬として特に魅力的な候補とする。PCIは正確にこれらの必要性を提示する。
【0115】
トロンビン受容体アンタゴニストとして機能するあらゆる他の薬剤も、本発明の範囲内である。例えば、エーザイは現在、E−5555と呼ばれる経口PAR−1(プロテアーゼ活性化受容体)アンタゴニストを開発中であり、その構造は以下のようである:
【0116】
【化11】

経皮的インターベンションと関連する有害臨床事象の防止において、TRA化合物と組み合わせて投与し得る心血管薬剤は、抗血栓、抗血小板凝集、抗アテローム硬化性、抗再狭窄、および/または抗凝固活性を有する薬剤を含む。そのような薬剤は、血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、狭心症、不整脈、心不全、心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓性および血栓塞栓性脳卒中、末梢血管疾患、他の心血管系疾患、脳虚血、炎症性障害および癌、およびトロンビンおよびその受容体が病理学的な役割を果たす他の障害を含む、血栓症関連疾患を処置するのに有用である。適当な心血管系薬剤は、アスピリンなどの非ステロイド性(non−stearoidal)抗炎症性薬剤のようなトロンボキサンA2生合成阻害剤;セラトロダスト、ピコタミド、およびラマトロバンのようなトロンボキサンアンタゴニスト;クロピドグレルのようなアデノシン二リン酸(ADP)阻害剤;アスピリン、メロキシカム、ロフェコキシブ、およびセレコキシブのようなシクロオキシゲナーゼ阻害剤;バルサルタン、テルミサルタン、カンデサルタン(candesartran)、イルベサルタン(irbesartran)、ロサルタン、およびエプロサルタンのようなアンジオテンシンアンタゴニスト;テゾセンタンのようなエンドセリンアンタゴニスト;ミルリノン(milrinoone)およびエノキシモンのようなホスホジエステラーゼ阻害剤;カプトプリル、エナラプリル、エナラプリラート(enaliprilat)、スピラプリル、キナプリル、ペリンドプリル、ラミプリル、フォシノプリル、トランドラプリル、リシノプリル、モエキシプリル、およびベナゼプリル(benazapril)のようなアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤;カンドキサトリルおよびエカドトリルのような中性エンドペプチダーゼ阻害剤;キシメラガトラン、フォンダパリン(fondaparin)、およびエノキサパリンのような抗凝固薬;クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、エタクリン酸、フロセミド、およびアミロライドのような利尿薬;アブシキシマブおよびエプチフィバチドのような血小板凝集阻害剤;およびGPIIb/IIIaアンタゴニストから成る群から選択される。
【0117】
非ステロイド性(non−stearoidal)抗炎症性薬剤は、アセチルサリチル酸(アスピリン)、アモキシプリン(amoxiprin)、ベノリラート(benorylate)/ベノリラート(benorilate)、サリチル酸コリンマグネシウム、ジフルニサル、エテンザミド、ファイスラミン(faislamine)、サリチル酸メチル、サリチル酸マグネシウム、サリチルサリチル酸、サリチルアミド(alicylamide)、アセクロフェナク、アセメタシン、アルクロフェナク、ブロムフェナク、エトドラク、インドメタシン(indometacin)、ナブメトン、オキサメタシン、プログルメタシン、スリンダク、トルメチン、イブプロフェン、アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、カルプロフェン、デキシブプロフェン、デクスケトプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロキサム、インドプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラク、ロキソプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピルプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸、メフェナム酸、フルフェナム酸、メクロフェナム酸、トルフェナム酸、フェニルブタゾン、アンピロン、アザプロパゾン、クロフェゾン、ケブゾン、メタミゾール、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェナゾン、フェニルブタゾン、スルフィンピラゾン、ピロキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、メロキシカム、テノキシカム、セレコキシブ、ニメスリド、リコフェロン、およびオメガ−3脂肪酸を含む。
【0118】
ADP阻害剤は、PLAVIX(登録商標)として上市されているクロピドグレル、TICLID(登録商標)として上市されているチクロピジン、プラスグレル、および動脈血栓症に関して開発中であるAZD6140のような、アデノシン二リン酸(「ADP」)−誘発血小板凝集の阻害剤として作用するあらゆる薬剤を含む:
【0119】
【化12】

TRA化合物と組み合わせて使用するための心血管系薬剤の好ましいカテゴリーは、トロンボキサンA2生合成阻害剤、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、およびADPアンタゴニストを含む。組み合わせて使用するために特に好ましいのは、アスピリン、クロピドグレル、プラスグレル、およびフラグミンである。さらなるTRA組合せ治療が、米国特許公開第2001/0238674において開示され、それは本明細書中でその全体として組み込まれる。
【0120】
少なくとも1つのトロンビン受容体アンタゴニストおよび1つまたはそれ以上の他の治療的に有効な薬剤のこれらの組み合わせにおいて、2つまたはそれ以上の活性化合物は、それぞれ個々に処方し得る、および同時にまたは連続的に同時投与し得る。その組み合わせの成分を、カプセル、錠剤、粉末、カシェ剤、懸濁液、溶液、坐剤、鼻腔内スプレー等の、あらゆる従来の投与形式で個々に、または一緒に投与し得る。
【0121】
あるいは、活性作用物質を、トロンビン受容体アンタゴニストおよび他の治療的に有効な薬剤を、薬学的に許容可能な担体と共に含む、単一固定投与量の医薬組成物に処方し得る。
【0122】
本発明は、上記で述べた特定の実施態様に関連して記載されたが、その多くの代替、改変、および変形が当業者に明らかである。全てのそのような代替、改変、および変形は、本発明の意図および範囲内に入ると意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経皮的冠動脈インターベンション処置を受ける患者において有害臨床事象を予防する方法であって、該患者に治療的に有効な量のトロンビン受容体アンタゴニストを投与する工程を含む方法。
【請求項2】
前記有害臨床事象が、心筋梗塞、緊急の血管再生、または入院を必要とする虚血である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記トロンビン受容体アンタゴニストが、SCH530348である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記治療的に有効な量を、約1mgから約5mgまでの負荷投与量として投与する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記治療的に有効な量を、約2.5mgの負荷投与量として投与する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
SCH530348の維持投与量を前記患者に1日1回投与する工程をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記維持投与量は、約20mgから約40mgまでである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記維持投与量は、約40mgである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記トロンビン受容体アンタゴニストが、SCH530348の重硫酸塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記トロンビン受容体アンタゴニストが、
【化13】

からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記患者に有効な量の非ステロイド性抗炎症薬を投与する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記非ステロイド性抗炎症薬が、アスピリンである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記患者に有効な量のADPアンタゴニストを投与する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ADPアンタゴニストが、クロピドグレルである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ADPアンタゴニストが、プラスグレルである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記トロンビン受容体アンタゴニストは、重大な出血を引き起こさない、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記出血は、TIMI大出血/小出血、TIMI大出血、またはTIMI小出血、またはその組み合わせである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記経皮的冠動脈インターベンション処置は、バルーン血管形成術、ステントの埋め込み、アテレクトミー、および密封小線源治療から成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記投与は、ADP誘発血小板凝集に実質的な影響を与えない、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記投与は、AA誘発血小板凝集に実質的な影響を与えない、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記投与は、コラーゲン誘発血小板凝集に実質的な影響を与えない、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
末梢動脈疾患を処置するために経皮的インターベンション処置を受ける患者において有害臨床事象を予防する方法であって、該患者に治療的に有効な量のトロンビン受容体アンタゴニストを投与する工程を含む、方法。
【請求項23】
前記トロンビン受容体アンタゴニストが、SCH530348である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記治療的に有効な量を、約1mgから約5mgまでの負荷投与量として投与する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記治療的に有効な量を、約2.5mgの負荷投与量として投与する、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
SCH530348の維持投与量を前記患者に1日1回投与する工程をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記維持投与量は、約20mgから約40mgまでである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記維持投与量は、約40mgである、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記トロンビン受容体アンタゴニストが、SCH530348の重硫酸塩である、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記トロンビン受容体アンタゴニストが、
【化14】

【化15】

からなる群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
前記患者に有効な量の非ステロイド性抗炎症薬を投与する工程をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
前記非ステロイド性抗炎症薬が、アスピリンである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記患者に有効な量のADPアンタゴニストを投与する工程をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項34】
前記ADPアンタゴニストが、クロピドグレルである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記ADPアンタゴニストが、プラスグレルである、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記経皮的インターベンション処置は、血管形成術、プラーク切除およびバイパス移植から成る群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項37】
経皮的冠動脈インターベンション処置または末梢経皮的インターベンション処置の開始の少なくとも1時間前に約40mgのSCH530348の負荷投与量を患者に投与する工程を含む、該経皮的冠動脈インターベンション処置または該末梢経皮的インターベンション処置を受ける該患者において、少なくとも80%の血小板阻害を達成する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2010−522169(P2010−522169A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554562(P2009−554562)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/003601
【国際公開番号】WO2008/118320
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】